説明

冷却ファンの劣化度検出装置及び劣化度検出方法

【課題】この発明は、冷却ファンの交換時期をユーザに効果的に通知することにより、情報記録再生機器における情報記録動作の信頼性を保持させ、ユーザにとっての取り扱いを便利にして十分に実用に適するようにした冷却ファンの劣化度検出装置及び劣化度検出方法を提供することを目的としている。
【解決手段】入力された情報を記録媒体(36a)に対して記録再生する記録再生手段(36)と、通電駆動され記録再生手段(36)に対して放熱を行なう冷却ファン(41)と、冷却ファン(41)に流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファン(41)の劣化度を複数の段階に分けて検出する検出手段(32c)と、検出手段(32c)で検出された各段階での冷却ファン(41)の劣化度を通知する通知手段(32d)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばHDD(hard disk drive)等を備えた情報記録再生機器に使用される冷却ファンの劣化度を検出する劣化度検出装置及び劣化度検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、首記の如き情報記録再生機器にあっては、一般に、そのHDDに対して放熱を行なうための冷却ファンが搭載されている。すなわち、HDDは、その駆動中、冷却ファンによって放熱されることにより、情報の記録動作について一定レベルの信頼性が保持されるようになっている。
【0003】
ところで、冷却ファンは、長期間使用していると、徐々に消費電流量が大きくなるとともに回転速度が低下し、最終的には停止してしまうことが知られている。このため、実際の運用上としては、冷却ファンの性能が徐々に劣化し、HDDに対して実質的な放熱効果を奏さなくなる前に、冷却ファンを交換する必要がある。
【0004】
特許文献1には、動作中のファンの回転数を常時検出し、この検出された回転数が所定の基準回転数以下となっている状態が、所定の基準時間以上持続することが確認された場合に、ファンの寿命と判断してアラームを発生させるようにしたファン寿命検出装置の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2004−027987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、冷却ファンの交換時期をユーザに効果的に通知することにより、情報記録再生機器における情報記録動作の信頼性を保持させ、ユーザにとっての取り扱いを便利にして十分に実用に適するようにした冷却ファンの劣化度検出装置及び劣化度検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、この発明に係る冷却ファンの劣化度検出装置は、入力された情報を記録媒体に対して記録再生する記録再生手段と、通電駆動され記録再生手段に対して放熱を行なう冷却ファンと、冷却ファンに流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファンの劣化度を複数の段階に分けて検出する検出手段と、検出手段で検出された各段階での冷却ファンの劣化度を通知する通知手段とを備えるようにしたものである。
【0007】
また、この発明に係る冷却ファンの劣化度検出方法は、入力された情報を記録再生手段により記録媒体に対して記録再生する工程と、通電駆動される冷却ファンにより記録再生手段に対して放熱を行なう工程と、冷却ファンに流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファンの劣化度を複数の段階に分けて検出する工程と、検出された各段階での冷却ファンの劣化度を通知する工程とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記した発明によれば、冷却ファンに流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファンの劣化度を複数の段階に分けて検出し通知するようにしたので、冷却ファンの交換時期をユーザに効果的に通知することができ、情報記録再生機器における情報記録動作の信頼性を保持させ、ユーザにとっての取り扱いを便利にして十分に実用に適するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するHDD内蔵のデジタル放送受信装置11の主要な信号処理系を示している。
【0010】
すなわち、BS(broadcasting satellite)/110度CS(communication satellite)デジタル放送受信用のアンテナ12で受信した衛星デジタル放送信号は、入力端子13を介して衛星デジタル放送用のチューナ部14に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0011】
そして、このチューナ部14で選局された放送信号は、PSK(phase shift keying)復調器15に供給されてTS(transport stream)が復調される。このTSは、TS処理部16に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号等に復号化された後、信号処理部17に出力される。
【0012】
また、地上波放送受信用のアンテナ18で受信した地上デジタルテレビジョン放送信号は、入力端子19を介して地上デジタル放送用のチューナ部20に供給されることによって、所望のチャンネルの放送信号が選局される。
【0013】
そして、このチューナ部20で選局された放送信号は、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)復調器21に供給されてTSが復調される。このTSは、上記TS処理部16に供給されてデジタルの映像信号及び音声信号に復号化された後、上記信号処理部17に出力される。
【0014】
また、上記地上波放送受信用のアンテナ18で受信した地上アナログテレビジョン放送信号は、入力端子19を介して地上アナログ放送用のチューナ部22に供給されることにより、所望のチャンネルの放送信号が選局される。そして、このチューナ部22で選局された放送信号は、アナログ復調器23に供給されてアナログの映像信号及び音声信号に復調された後、上記信号処理部17に出力される。
【0015】
ここで、上記信号処理部17は、TS処理部16から供給されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施し、グラフィック処理部24及び音声処理部25に出力している。また、この信号処理部17は、上記アナログ復調器23から供給されたアナログの映像信号及び音声信号をデジタル化し、そのデジタル化された映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施した後、グラフィック処理部24及び音声処理部25に出力している。
【0016】
このうち、グラフィック処理部24は、信号処理部17から供給されるデジタルの映像信号に、OSD(on screen display)信号生成部26で生成されるOSD信号を重畳して出力する機能を有する。また、このグラフィック処理部24は、信号処理部17の出力映像信号と、OSD信号生成部26の出力OSD信号とを選択的に出力することや、両出力をそれぞれ画面の半分を構成するように組み合わせて出力することができる。
【0017】
そして、グラフィック処理部24から出力されたデジタルの映像信号は、映像処理部27に供給される。この映像処理部27は、入力されたデジタルの映像信号を、映像表示器28で表示可能なフォーマットのアナログ映像信号に変換した後、映像表示器28に出力して映像表示させるとともに、出力端子29を介して外部に導出させる。
【0018】
また、上記音声処理部25は、入力されたデジタルの音声信号を、前記スピーカ30で再生可能なフォーマットのアナログ音声信号に変換した後、スピーカ30に出力して音声再生させるとともに、出力端子31を介して外部に導出させる。
【0019】
ここで、このデジタル放送受信装置11は、上記した各種の受信動作を含むその全ての動作を制御部32によって統括的に制御されている。この制御部32は、CPU(central processing unit)32aを内蔵しており、デジタル放送受信装置11の本体に設置された操作部33からの操作情報、または、リモートコントローラ34から送出され受信部35で受信した操作情報を受けて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0020】
この場合、制御部32は、メモリ部32bを利用している。このメモリ部32bは、主として、CPU32aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU32aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0021】
また、この制御部32には、HDD36が接続されている。この制御部32は、ユーザによる操作部33またはリモートコントローラ34の操作、または、CPU32aが実行する制御プログラムの指示に基づいて、上記TS処理部16から得られるMPEG(moving picture experts group)2−TSのデジタル信号を、暗号化器・復号化器37によって暗号化した後、HDD36に供給してハードディスク36aに記録させるように制御することができる。
【0022】
さらに、この制御部32は、ユーザによる操作部33またはリモートコントローラ34の操作、または、CPU32aが実行する制御プログラムの指示に基づいて、上記アナログ復調器23から得られるアナログの映像信号及び音声信号をエンコーダ38によりMPEG2−TSに変換し、上記暗号化器・復号化器37によって暗号化した後、HDD36に供給してハードディスク36aに記録させるように制御することができる。
【0023】
また、この制御部32は、ユーザによる操作部33またはリモートコントローラ34の操作、または、CPU32aが実行する制御プログラムの指示に基づいて、HDD36によりハードディスク36aからMPEG2−TSを読み出させ、上記暗号化器・復号化器37によって復号化した後、TS処理部16に供給することによって、以後、上記した映像表示及び音声再生に供させるように制御することができる。
【0024】
また、この制御部32には、デジタル送受信部39が接続されている。このデジタル送受信部39は、USB(universal serial bus)規格に準拠したデジタルインターフェース機能を持つもので、入出力端子40に接続された図示しないUSB機器と制御部32との相互間でのデータ通信を可能にしている。
【0025】
これにより、この制御部34は、デジタル送受信部40及び入出力端子41を介してHDD12に制御信号を送信し、HDD12を記録状態や再生状態に制御することが可能となる。
【0026】
このため、制御部32は、HDD36によりハードディスク36aに記録されているコンテンツを読み出し、この読み出したコンテンツをデジタル送受信部39及び入出力端子40を介して外部のUSB機器に送信することが可能となる。
【0027】
さらに、制御部32は、デジタル送受信部39及び入出力端子40を介して外部のUSB機器にコンテンツの取得を要求することができる。この場合、制御部32は、要求したコンテンツを入出力端子40及びデジタル送受信部39を介して入力し、映像表示や音声再生に供させたり、HDD36のハードディスク36aに記録させたりすることが可能となる。
【0028】
ここにおいて、上記制御部32は、冷却ファン41を駆動させている。この冷却ファン41は、主として、HDD36がその記録再生時に発生する熱を外部に放出してHDD36の冷却を行なうことにより、HDD36による情報の記録再生動作に対して、一定レベルの信頼性を保持させるようにしている。
【0029】
なお、最近ではHDD36のみならず、デバイスの高集積化でTS処理部16や信号処理部17、グラフィック処理部24、エンコーダ38、暗号化器・復号化器37、OSD信号生成部26といった部分の1チップ化が進んでおり、こういった1チップデバイス部分での発熱からの信頼性確保も重要になってきており、冷却ファンの製品信頼性に係わる役割は重要となってきている。以下では、HDD36の廃熱に着目して説明を続ける。
【0030】
すなわち、上記制御部32は、冷却ファン劣化度検出部32c及び冷却ファン劣化度通知部32dを備えている。このうち、冷却ファン劣化度検出部32cは、長期間の使用による冷却ファン41の劣化度(正確にはファンを回転させるためのファンモータの劣化度であるが、ここでは、ファンモータも含めて冷却ファンと称する)を複数の段階に分けて検出し、各段階に応じた検出信号を冷却ファン劣化度通知部32dに出力している。
【0031】
これにより、冷却ファン劣化度通知部32dは、冷却ファン劣化度検出部32cから供給される、各段階に対応した検出信号に応じた内容のメッセージをOSD信号生成部26に発生させ、映像表示器28に表示させることにより、冷却ファン41の劣化度をユーザに通知するようにしている。
【0032】
図2は、上記冷却ファン劣化度検出部32cの一例を示している。すなわち、上記デジタル放送受信装置11は、その全体の供給電力を賄う電源部42を備えている。そして、この電源部42から得られる電力を冷却ファン用電源生成部43に供給することにより、冷却ファン41を駆動するための電力が生成されている。
【0033】
ここで、冷却ファン用電源生成部43で生成された冷却ファン41用の電力は、冷却ファン劣化度検出部32cの入力端子32c1、電流検出部32c2及び出力端子32c3を介して冷却ファン41に供給され、冷却ファン41の駆動に供されている。
【0034】
この場合、上記電流検出部32c2は、冷却ファン41に流れる電流値を測定し、その測定された電流値を電流比較部32c4の一方の入力端に供給している。この電流比較部32c4の他方の入力端には、予め設定された基準電流値Irefが端子32c5を介して供給されている。
【0035】
そして、上記電流比較部32c4では、電流検出部32c2から供給される電流値と、端子32c5に供給された基準電流値Irefとを比較し、その比較結果を劣化度判定部32c6に出力している。この劣化度判定部32c6は、電流比較部32c4から供給された比較結果に基づいて、冷却ファン41の劣化度を複数の段階に分けて検出し、各段階に応じた検出信号を、出力端子32c7を介して冷却ファン劣化度通知部32dに出力している。
【0036】
ここで、図3(a)は、2相ブラシレスタイプの一般的なファンモータに対して、定格電圧を印加した場合における定常回転時の電流変換波形と、予め設定された基準電流値Irefとを示している。モータの特正上、2相であれば2つのコイルを順次切り換えて駆動させるため、その相切換の部分がリップルとして発生している。このため、このリップルの間隔をモータの回転速度f1として見ることができる。なお、この説明では、2相モータであるため、リップルの間隔がモータの1/2回転相当となっている。
【0037】
そして、定常回転時においては、図3(a)に示すように、冷却ファン41に流れる電流値が、予め設定された基準電流値Irefを超えることがないため、上記電流比較部32c4の出力は、図3(b)に示すようにL(low)レベルとなっている。この電流比較部32c4の出力がLレベルになっている状態では、上記劣化度判定部32c6は、冷却ファン41が定常の駆動状態であると判断し、その旨の検出信号を発生する。このように、劣化度判定部32c6から冷却ファン41が定常の駆動状態である旨の検出信号が発生された場合、上記冷却ファン劣化度通知部32dは、冷却ファン41の劣化度に関する何らのメッセージも映像表示器28に表示させることはない。
【0038】
冷却ファン41を長期間使用すると、ブラシレスモータの場合、軸受けのベアリング部分が徐々に劣化していき、その結果、負荷電流が増加してくる。そして、図4(a)に示すように、冷却ファン41に流れる電流値が基準電流値Irefを超えてくると、電流比較部32c4の出力に、図4(b)に示すようにH(high)レベルのパルスが得られるようになる。この場合、モータの回転速度も、f1よりも遅いf2となる。
【0039】
このように、電流比較部32c4の出力にH(high)レベルのパルスが得られるようになってきた場合、上記劣化度判定部32c6は、冷却ファン41の劣化度が第1段階に達したと判断し、その旨の検出信号を発生する。このように、劣化度判定部32c6から冷却ファン41の劣化度が第1段階である旨の検出信号が発生された場合、上記冷却ファン劣化度通知部32dは、図5に示すように、「ファンの交換をお勧めします」なるメッセージを映像表示器28に表示させる。
【0040】
さらに、冷却ファン41の劣化が進むと、図6(a)に示すように、冷却ファン41に流れる電流値が基準電流値Irefを超える時間が長くなり、図6(b)に示すように、電流比較部32c4の出力のLレベル期間に対するHレベル期間の割合(デューティ比)が大きくなってくる。この場合、モータの回転速度も、f2よりも遅いf3となる。
【0041】
そして、上記劣化度判定部32c6は、電流比較部32c4の出力のLレベル期間に対するHレベル期間の割合が、予め設定された所定値を超えたとき、冷却ファン41の劣化度が第2段階に達したと判断し、その旨の検出信号を発生する。このように、劣化度判定部32c6から冷却ファン41の劣化度が第2段階である旨の検出信号が発生された場合には、冷却ファン41がHDD36に対して実用上十分な放熱効果を発揮できない程度に劣化しており、HDD36に対して記録再生動作の信頼性を一定レベルに確保することが困難な状況になっている。
【0042】
このとき、上記冷却ファン劣化度通知部32dは、図7に示すように、「ファン交換の時期です 録画に制限がかかります」なるメッセージを映像表示器28に表示させる。このメッセージが表示される状態にあっては、上記制御部32は、HDD36に対して、コンテンツの記録動作を行なわせないように記録制限をかける。
【0043】
また、上記のように、冷却ファン41の劣化度が第2段階に達したことが検出された場合、電流比較部32c4は、冷却ファン41に流れる電流の単位時間当たりのリップル数をカウントして、リップル周波数(モータの回転速度に対応)の計測を開始する。
【0044】
そして、さらに、冷却ファン41の劣化が進み、リップル周波数が予め設定された所定の周波数より低くなったとき、つまり、図8(a)に示すように、モータの回転速度がf3よりも遅くなり、予め設定された所定のしきい値を超える速度f4となったとき、上記劣化度判定部32c6は、冷却ファン41の劣化度が最終段階である第3段階に達したと判断し、その旨の検出信号を発生する。
【0045】
このように、劣化度判定部32c6から冷却ファン41の劣化度が第3段階である旨の検出信号が発生された場合には、冷却ファン41の寿命が尽きた状態、つまり、これ以上冷却ファン41の継続動作を保証できない異常状態となっている。
【0046】
このとき、上記冷却ファン劣化度通知部32dは、図9に示すように、「ファンを交換して下さい 保護のため電源を遮断します」なるメッセージを映像表示器28に表示させる。このメッセージが表示される状態にあっては、上記制御部32は、上記電源部42を制御して、デジタル放送受信装置11に対して待機電力以外の電力供給を遮断するように制御する。
【0047】
図10は、上記した冷却ファン41の劣化度を3段階に分けて検出して通知する処理動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS11)され、ステップS12で、デジタル放送受信装置11の図示しない電源スイッチがオンされて、上記電源部42から電源電力の供給が開始されると、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、ステップS13で、冷却ファン41に流れる電流値と基準電流値Irefとを比較し、ステップS14で、電流比較部32c4から冷却ファン41に流れる電流値が基準電流値Irefを超えたことによるHレベルのパルスが発生されたか否かを判別する。
【0048】
そして、Hレベルのパルスが発生されたと判断された場合(YES)、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、劣化度が第1段階に達した旨の検出信号を発生する。この検出信号を受けた冷却ファン劣化度通知部32dは、ステップS15で、図5に示したような、第1段階に対応するメッセージを表示させる。
【0049】
その後、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、ステップS16で、冷却ファン41に流れる電流値と基準電流値Irefとの比較結果のLレベル期間に対するHレベル期間の割合(デューティ比)が予め設定された所定値を超えたか否かを判別し、超えないと判断された場合(NO)、ステップS15の処理に戻される。
【0050】
そして、上記ステップS16で超えたと判断された場合(YES)、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、劣化度が第2段階に達した旨の検出信号を発生する。この検出信号を受けた冷却ファン劣化度通知部32dは、ステップS17で、図7に示したような、第2段階に対応するメッセージを表示させる。このとき、制御部32は、HDD36に対して記録動作を行なわせないように制限をかける。
【0051】
その後、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、ステップS18で、冷却ファン41を流れる電流のリップル周波数が予め設定された所定のしきい値より低くなったか否か、つまり、モータの回転速度が予め設定された所定のしきい値より遅くなったか否かを判別すし、遅くなっていないと判断された場合(NO)、ステップS17の処理に戻される。
【0052】
また、上記ステップS18で遅くなったと判断された場合(YES)、上記冷却ファン劣化度判定部32cは、劣化度が第3段階に達した旨の検出信号を発生する。この検出信号を受けた冷却ファン劣化度通知部32dは、ステップS19で、図9に示したような、第3段階に対応するメッセージを表示させる。このとき、上記制御部32は、ステップS20で、デジタル放送受信装置11に対して待機電力以外の電力供給を遮断するように制御する。
【0053】
その後、制御部32は、ステップS21で、デジタル放送受信装置11の電源スイッチがオフされたか否かを判別し、オフされていないと判断された場合(NO)、ステップS19の処理に戻され、オフされたと判断された場合(YES)、処理を終了(ステップS22)する。
【0054】
上記した実施の形態によれば、冷却ファン41の劣化度を複数の段階に分けて検出し、各段階に応じた内容のメッセージをユーザに通知するようにしたので、冷却ファン41の寿命が尽きる前に事前にユーザがメンテナンスを施すことが可能となり、HDD36における記録動作の信頼性を保持することができるとともに、ユーザにとっての取り扱いを便利にして十分に実用に適するものとなる。
【0055】
特に、HDD36に対する予約記録時は、ユーザのいない状態で、自動的に電源がオンされ、記録時間中、冷却ファン41は動作することになる。この場合、冷却ファン41のモータ回転数に変化が出てから停止してしまうまでの期間の予測は不可能であるため、突然の動作停止により予約記録の失敗を招くことになる。冷却ファン41の劣化状況を段階的に警告し、事前に冷却ファン41の交換を促すことにより、突然の動作停止を避け予約記録の失敗を防止することが可能となる。
【0056】
また、上記した実施の形態では、冷却ファン41の劣化度が第2段階に達したとき、HDD36に対して記録動作を行なわせないように制限をかけるようにしたが、この記録制限は、冷却ファン41の劣化度が第2段階に達したことが検出された時点から、所定時間遅らせて実行させるようにすることもできる。
【0057】
例えば、ユーザが複数の放送番組について記録予約を行なっており、図11に示すような記録予約リスト上でタイトル1〜タイトル6の順に順次予約記録が行なわれる状況で、タイトル1の予約記録が実行される前に、冷却ファン41の劣化度が第2段階に達したことが検出されたとする。
【0058】
この場合、次に予約記録が行なわれるタイトル1から記録を制限するのではなく、3番目に予約記録が行なわれるタイトル3から記録制限を行なうようにする。図11に示す記録予約リスト上においては、その右側に“R”として示す欄に、タイトル3〜タイトル6に“○”印を付して示すように、タイトル3以降が記録制限されることがユーザに通知される。このため、ユーザは、タイトル3の予約記録が開始される前までに冷却ファン41の交換を行なえばよいことがわかる。
【0059】
また、上記した実施の形態では、冷却ファン41の劣化度を第1段階から第3段階の3つに分けて検出し、それぞれ通知するようにしたが、これに限らず、例えば、第1段階と第2段階、第1段階と第3段階、または、第2段階と第3段階のときに通知するようにしても良いことはもちろんである。
【0060】
さらに、冷却ファン41のモータ用電源ラインは電流容量も大きく、万一サージやラッチアップ等によりモータ内部で異常破壊が発生した場合、常時過電流が流れた状態に陥る場合がある。このとき、冷却ファン41に流れる電流値は、基準電流値Irefを超える値となり、電流比較部32c4の出力は、常時Hレベルとなる。この場合に、部品異常ということで、第3段階の劣化度に対応するメッセージをユーザに通知して、電源電力の供給を遮断することができる。
【0061】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、デジタル放送受信装置の主要な信号処理系を説明するために示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の冷却ファン劣化度検出部の一例を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の定常時における冷却ファンを流れる電流値と基準電流値との関係を説明するために示す図。
【図4】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の第1段階の劣化時における冷却ファンを流れる電流値と基準電流値との関係を説明するために示す図。
【図5】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の冷却ファンの第1段階の劣化時におけるメッセージを説明するために示す図。
【図6】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の第2段階の劣化時における冷却ファンを流れる電流値と基準電流値との関係を説明するために示す図。
【図7】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の冷却ファンの第2段階の劣化時におけるメッセージを説明するために示す図。
【図8】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の第3段階の劣化時における冷却ファンを流れる電流値と基準電流値との関係を説明するために示す図。
【図9】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の冷却ファンの第3段階の劣化時におけるメッセージを説明するために示す図。
【図10】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の主要な処理動作を説明するために示すフローチャート。
【図11】同実施の形態におけるデジタル放送受信装置の記録予約された番組に対する記録制限の表示形態を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0063】
11…デジタル放送受信装置、12…アンテナ、13…入力端子、14…チューナ部、15…PSK復調器、16…TS処理部、17…信号処理部、18…アンテナ、19…入力端子、20…チューナ部、21…OFDM復調器、22…チューナ部、23…アナログ復調器、24…グラフィック処理部、25…音声処理部、26…OSD信号生成部、27…映像処理部、28…映像表示器、29…出力端子、30…スピーカ、31…出力端子、32…制御部、32a…CPU、32b…メモリ部、32c…冷却ファン劣化度検出部、32c1…入力端子、32c2…電流検出部、32c3…出力端子、32c4…電流比較部、32c5…端子、32c6…劣化ド判定部、32c7…出力端子、32d…冷却ファン劣化度通知部、33…操作部、34…リモートコントローラ、35…受信部、36…HDD、36a…ハードディスク、37…暗号化器・復号化器、38…エンコーダ、39…デジタル送受信部、40…入出力端子、41…冷却ファン、42…電源部、43…冷却ファン用電源生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された情報を記録媒体に対して記録再生する記録再生手段と、
通電駆動され前記記録再生手段に対して放熱を行なう冷却ファンと、
前記冷却ファンに流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファンの劣化度を複数の段階に分けて検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された各段階での前記冷却ファンの劣化度を通知する通知手段とを具備することを特徴とする冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、
前記冷却ファンに流れる電流値が大きくなり予め設定された所定の基準電流値を超えるようになってきたとき、冷却ファンの劣化度を第1段階と判断し、
前記冷却ファンに流れる電流値が前記基準電流値を超えない期間に対する超える期間の割合が予め設定された所定値になったとき、冷却ファンの劣化度を第2段階と判断し、
前記冷却ファンに流れる電流のリップル周波数が予め設定された所定の周波数よりも低くなったとき、冷却ファンの劣化度を第3段階と判断することを特徴とする請求項1記載の冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項3】
前記検出手段により前記冷却ファンの劣化度が第2段階と判断されたとき、前記記録再生手段に対する記録再生動作を制限し、前記検出手段により前記冷却ファンの劣化度が第3段階と判断されたとき、前記記録再生手段及び前記冷却ファンに対する電源電力の供給を停止させる制御手段を備えることを特徴とする請求項2記載の冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記冷却ファンの劣化度が第1段階と判断されたときと第2段階と判断されたときに通知を行なうことを特徴とする請求項2記載の冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項5】
前記通知手段は、前記冷却ファンの劣化度が第1段階と判断されたときと第3段階と判断されたときに通知を行なうことを特徴とする請求項2記載の冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項6】
前記通知手段は、前記冷却ファンの劣化度が第2段階と判断されたときと第3段階と判断されたときに通知を行なうことを特徴とする請求項1記載の冷却ファンの劣化度検出装置。
【請求項7】
入力された情報を記録再生手段により記録媒体に対して記録再生する工程と、
通電駆動される冷却ファンにより前記記録再生手段に対して放熱を行なう工程と、
前記冷却ファンに流れる電流の変化に基づいて、当該冷却ファンの劣化度を複数の段階に分けて検出する工程と、
検出された各段階での前記冷却ファンの劣化度を通知する工程とを具備することを特徴とする冷却ファンの劣化度検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−221931(P2009−221931A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66384(P2008−66384)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】