説明

冷却ユニット及び電子機器システム

【課題】冷却対象物と接触していない伝熱部に結露が生じることを抑制する。
【解決手段】冷却ユニット10は、冷却体によって冷却される冷却部12と、冷却部12と接触される第一接触部14A、及び、冷却対象物と接触される第二接触部14Bをそれぞれ有する複数の伝熱部14と、複数の伝熱部14の各々を、冷却部12に接触した位置に独立して移動可能に、冷却部12から離間した位置に支持している支持部18とを備えている。この構成によれば、冷却対象物と接触していない伝熱部14は、冷却部12から離間された状態に保たれるので、この伝熱部14に結露が生じることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、冷却ユニット及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のピンと、この複数のピンがそれぞれ挿入された複数の孔部を有する伝熱体とを備え、複数のピンを対象物の形状に追従させた状態で対象物に密着させて対象物の熱を伝達する伝熱インターフェースシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243583号公報
【特許文献2】特開平6−283874号公報
【特許文献3】実開平6−81024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この伝熱インターフェースシステムを介して対象物を冷却体によって冷却させる場合には、次の問題がある。すなわち、複数のピンは、対象物と密着しているか否かにかかわらず常に伝熱体と伝熱可能な状態とされている。従って、複数のピンのうち一部のピンが対象物と密着し、残りのピンが対象物と接触していない場合には、この対象物と接触していないピンが伝熱体を介して冷却体により冷却され、このピンに結露が生じる虞がある。
【0005】
本願の開示する技術は、上記事情を鑑みて成されたものであり、複数の伝熱部のうち冷却対象物と接触していない伝熱部がある場合には、この伝熱部に結露が生じることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の開示する技術では、複数の伝熱部の各々が冷却部に接触した位置に独立して移動可能に冷却部から離間した位置に支持されている。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する技術によれば、冷却対象物と接触していない伝熱部は、冷却部から離間された状態に保たれる。従って、この伝熱部に結露が生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】冷却ユニットの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の冷却ユニットで電子機器を冷却している状態を示す図である。
【図3】図2の要部を示す拡大図である。
【図4】冷却ユニットの第一変形例を示す図である。
【図5】冷却ユニットの第二変形例を示す図である。
【図6】冷却ユニットの第三変形例を示す図である。
【図7】図6の冷却ユニットで電子機器を冷却している状態を示す図である。
【図8】電子機器システムの一実施形態を示す全体図である。
【図9】電子機器の変形例を示す図である。
【図10】複数の放熱ブロックの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の開示する技術の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1,図2に示されるように、冷却ユニット10は、冷却部12と、複数の伝熱部14と、断熱部16と、支持部18とを備えている。
【0011】
冷却部12は、扁平の箱状に形成されている。この冷却部12の内側には、冷却管20が通っている。この冷却部12及び冷却管20は、伝熱性を有している。冷却管20は、蛇行して形成されており、冷却体の一例である冷媒22を供給する図示しない冷媒供給装置と接続される。そして、この冷却管20に冷媒供給装置が接続された状態で冷媒供給装置から供給された冷媒22が冷却管20の内部を流れると、この冷媒22によって冷却部12が冷却される。また、箱状に形成された冷却部12における複数の面のうち後述する複数の伝熱部14と向かい合う面は、この複数の伝熱部14と接触される冷却面12Aとされている。
【0012】
複数の伝熱部14の各々は、ブロック状に形成されると共に、伝熱性を有する熱良導体で形成されている。この複数の伝熱部14は、平面視にてマトリックス状に配列されている。この複数の伝熱部14は、後述する支持部18によって弾性支持されることにより、冷却面12Aに対して接離可能とされている。各伝熱部14において、冷却面12A側の面は、冷却面12Aと接触される第一接触部14Aとされており、冷却面12Aと反対側の面は、冷却対象物の一例である電子機器38と接触される第二接触部14Bとされている。
【0013】
また、この複数の伝熱部14は、支持部18によって弾性支持されることにより、冷却面12Aからこの冷却面12Aの法線方向に離間されている。すなわち、各伝熱部14に対して冷却面12A側に押圧力が加えられていない状態では、支持部18の弾性力により、各伝熱部14と冷却面12Aとの間に隙間24が確保される。
【0014】
断熱部16は、それぞれ断熱性を有する断熱ケース26と断熱層28とを有している。断熱ケース26は、箱状に形成されており、冷却部12を収容している。この断熱ケース26は、冷却部12が固定された底部26Aと、この底部26Aと対向する天井部26Bとを有している。天井部26Bは、冷却面12Aの法線方向に冷却面12Aと離間されている。
【0015】
天井部26Bには、複数の伝熱部14の冷却面12Aに対する接離方向、すなわち、この場合、冷却面12Aの法線方向に貫通する孔部30が形成されている。この孔部30を形成する周縁部の内側には、上述の複数の伝熱部14が配置されている。
【0016】
断熱層28は、板状又はシート状に形成されており、冷却面12A上に重ねて設けられている。この断熱層28は、冷却面12Aのほぼ全体を覆う大きさ及び形状とされている。この断熱層28には、後述する各伝熱部14と対応する位置に貫通孔32がそれぞれ形成されている。各貫通孔32は、冷却面12Aの法線方向に貫通している。また、この各貫通孔32は、各伝熱部14における第一接触部14A側の部分の挿入を許容する大きさ及び形状とされている。この断熱層28は、上述の断熱ケース26と共に冷却部12を断熱している。
【0017】
支持部18は、複数の断熱支持体34を有している。この複数の断熱支持体34は、それぞれ断熱性及び弾性を有している。この複数の断熱支持体34は、それぞれ貫通孔32の周囲を囲うように筒状に形成されると共に、断熱層28から冷却面12Aの法線方向に延出されている。
【0018】
図3に示されるように、上述の複数の伝熱部14は、第一接触部14Aが形成された本体部14Cと、第二接触部14Bが形成された係止部14Dとを有している。係止部14Dは、本体部14Cよりも大径に形成されている。そして、上述の筒状に形成された各断熱支持体34の内側には、伝熱部14の本体部14Cが挿入されている。また、各断熱支持体34の先端は、伝熱部14の係止部14Dと係止されており、これにより、各伝熱部14は、断熱支持体34によって弾性支持されている。
【0019】
また、複数の断熱支持体34は、互いに独立して形成されており、これにより、複数の伝熱部14は、互いに独立して冷却面12Aに対して接離可能とされている。つまり、複数の伝熱部14は、冷却面12Aから離間した位置と、冷却面12Aと接触した位置とに独立して移動可能とされている。
【0020】
また、それぞれ筒状に形成された複数の断熱支持体34は、冷却面12Aと複数の伝熱部14の各々との間に密閉空間36を個別に形成している。この複数の密閉空間36は、互いに独立して形成されている。
【0021】
そして、図2に示されるように、この冷却ユニット10は、上記構成により、次の機能を有している。すなわち、内部に発熱体を有する電子機器38が複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14の第一接触部14Aと接触した状態で、電子機器38が冷却面12A側に押圧されると、この一部の伝熱部14の第二接触部14Bが冷却面12Aと接触される。そして、これにより、電子機器38の熱が上述の一部の伝熱部14を介して冷却部12に吸収され、電子機器38が冷却される。このとき、電子機器38と接触されていない伝熱部14は、断熱支持体34の弾性力により、冷却面12Aからこの冷却面12Aの法線方向に離間された状態に保たれる。
【0022】
また、特に図示しないが、電子機器38が複数の伝熱部14の全てと接触される大きさ及び形状で形成されていた場合には、この全ての伝熱部14の第二接触部14Bが冷却面12Aと接触される。そして、これにより、電子機器38の熱が全ての伝熱部14を介して冷却部12に吸収され、電子機器38が冷却される。
【0023】
このように、冷却ユニット10は、異なる形状及び大きさの電子機器38に対応し、電子機器38を冷却できるという機能を有する。
【0024】
次に、冷却ユニット10の作用及び効果について説明する。
【0025】
この冷却ユニット10によれば、電子機器38が複数の伝熱部14の全てと接触される場合、及び、複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14と接触される場合のいずれであっても、電子機器38を冷却することができる。
【0026】
また、この冷却ユニット10では、電子機器38と接触していない伝熱部14は、冷却部12から離間された状態に保たれる。従って、この伝熱部14に結露が生じることを抑制することができると共に、この伝熱部14を通じて冷気が漏れること、すなわち、無駄な熱流を抑制することができる。
【0027】
また、冷却部12は、それぞれ断熱性を有する断熱ケース26及び断熱層28によって覆われることで断熱されている。従って、冷却部12からも冷気が漏れることを抑制することができるので、このことによっても、無駄な熱流を抑制することができる。これにより、冷却部12を冷却するためのエネルギーの損失を抑制することができる。
【0028】
また、図3に示されるように、複数の断熱支持体34は、冷却面12Aと伝熱部14との間に密閉空間36を形成すると共に、断熱性を有している。従って、これにより、冷却部12の断熱性をより確保することができる。特に、密閉空間36は、互いに独立して形成されているので、これにより、冷却部12の断熱性をさらに確保することができる。また、複数の断熱支持体34は、複数の伝熱部14を弾性支持する機能の他に、冷却部12を断熱する機能を有している。従って、複数の伝熱部14を弾性支持する機能と、冷却部12を断熱する機能とが異なる構造で達成される場合に比して、冷却ユニット10の構造を簡素化することができる。
【0029】
また、図1に示されるように、複数の伝熱部14が冷却面12Aから離間された状態では、この複数の伝熱部14が孔部30の周縁部の内側に配置される。従って、仮に各断熱支持体34及び断熱層28から冷気が漏れた場合には、この冷気が孔部30から漏れることを複数の伝熱部14によって抑制することができる。
【0030】
なお、上述のように、密閉空間36が形成されたり、複数の伝熱部14が孔部30の周縁部の内側に配置されたりすることで、冷却部12の断熱性が確保される場合には、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制できることが望ましい。つまり、隙間24の寸法や、各断熱支持体34の断熱性や、孔部30の周縁部と複数の伝熱部14との隙間等を適切に設定することにより、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制することができる。そして、このようにすることにより、冷却部12の断熱性の確保と、複数の伝熱部14に結露が生じることの抑制を両立させることができる。
【0031】
次に、冷却ユニット10の変形例について説明する。
【0032】
冷却ユニット10において、複数の断熱支持体34は、それぞれ筒状に形成されていたが、次のように構成されていても良い。すなわち、図4に示される変形例において、複数の断熱支持体34は、それぞれ貫通孔32の周囲を囲うように断熱層28から膨出されたドーム状に形成されている。
【0033】
各断熱支持体34の頂部には、貫通孔32と同軸上に貫通孔42が形成されており、この貫通孔42には、伝熱部14の本体部14Cが挿入されている。また、各断熱支持体34の頂部は、本体部14Cと固定されている。そして、これにより、複数の伝熱部14は、断熱支持体34によって弾性支持されており、互いに独立して冷却面12Aに対して接離可能とされている。
【0034】
さらに、それぞれドーム状に形成された複数の断熱支持体34は、冷却面12Aと複数の伝熱部14の各々との間に密閉空間36を個別に形成している。
【0035】
なお、この変形例では、複数の断熱支持体34に対する断熱層28と反対側にガイド部材44が設けられている。このガイド部材44には、貫通孔42と同軸上にガイド孔46が形成されている。そして、各伝熱部14は、本体部14Cがガイド孔46に挿入された状態で、このガイド部材44によって冷却面12Aの法線方向に移動可能にガイドされている。
【0036】
このように構成されていても、上述の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0037】
また、支持部18は、次のように構成されていても良い。すなわち、図5に示される変形例において、支持部18は、断熱性及び弾性を有するシート状の断熱支持体54を有している。この断熱支持体54は、断熱層28に対する冷却面12Aと反対側に断熱層28と離間して設けられている。この断熱支持体54の端部は、孔部30の周縁部に固定されており、これにより、断熱支持体54には、一定の張力が付与されている。
【0038】
また、断熱支持体54と断熱層28との間には、断熱層28と離間して支持ネット56が設けられている。この支持ネット56の端部は、孔部30の周縁部に固定されている。そして、断熱支持体54は、この支持ネット56により断熱層28側から支持されている。
【0039】
また、断熱支持体54には、貫通孔32と同軸上に貫通孔62が形成されており、この貫通孔62には、伝熱部14の本体部14Cが挿入されている。また、各伝熱部14の係止部14Dは、各貫通孔62の周縁部に係止されており、これにより、各伝熱部14は、断熱支持体54によって弾性支持されている。そして、断熱支持体54の弾性変形を伴って、複数の伝熱部14は、互いに独立して冷却面12Aに対して接離される。
【0040】
また、このシート状に形成された断熱支持体54は、孔部30を塞いでおり、断熱ケース26と共に冷却面12Aと複数の伝熱部14との間に密閉空間66を形成している。
【0041】
このように、支持部18が断熱支持体54を有していても、次の作用及び効果を奏することができる。
【0042】
つまり、断熱支持体54は、冷却面12Aと複数の伝熱部14との間に密閉空間66を形成すると共に、断熱性を有している。従って、これにより、冷却部12の断熱性を確保することができる。また、断熱支持体54は、複数の伝熱部14を弾性支持する機能の他に、冷却部12を断熱する機能を有している。従って、複数の伝熱部14を弾性支持する機能と、冷却部12を断熱する機能とが異なる構造で達成される場合に比して、冷却ユニット10の構造を簡素化することができる。また、断熱支持体54は、冷却面12Aと複数の伝熱部14との間に密閉空間66を一括して形成しているので、これにより、冷却ユニット10の構造をより簡素化することができる。
【0043】
なお、本変形例のように、断熱支持体54によって冷却部12の断熱性が確保される場合には、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制できることが望ましい。つまり、隙間24の寸法や、断熱支持体54の断熱性等を適切に設定することにより、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制することができる。
【0044】
また、冷却ユニット10は、次のように構成されていても良い。すなわち、図6,図7に示される変形例において、冷却ユニット10は、断熱性を有する中空状の支持部68を有している。この支持部68は、冷却部12を収容し、この冷却部12を断熱している。
【0045】
また、支持部68には、冷却面12Aの法線方向に冷却面12Aと離間して支持壁部68Aが形成されている。この支持壁部68Aは、弾性を有しており、上述の複数の伝熱部14を弾性支持している。そして、これにより、複数の伝熱部14は、互いに独立して冷却面12Aに対して接離可能とされている。
【0046】
また、この支持部68は、冷却面12Aと複数の伝熱部14との間に密閉空間76を形成している。
【0047】
この変形例によれば、支持部68が複数の伝熱部14を弾性支持する機能の他に、冷却部12を断熱する機能を有しているので、冷却ユニット10の構造を簡素化することができる。また、支持部68が冷却面12Aと複数の伝熱部14との間に密閉空間76を形成すると共に、断熱性を有している。従って、これにより、冷却部12の断熱性を確保することができる。
【0048】
なお、本変形例においても、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制できることが望ましい。つまり、隙間24の寸法や、支持部68の断熱性等を適切に設定することにより、複数の伝熱部14に結露が生じることを抑制することができる。
【0049】
また、図1に示される断熱部16は、断熱ケース26と断熱層28とを有していたが、断熱ケース26及び断熱層28のどちらか一方のみを有していても良い。また、断熱部16が断熱ケース26を有しない場合に、断熱層28とその他の断熱層によって冷却部12の全体が覆われていても良い。
【0050】
また、複数の伝熱部14の各々が冷却面12Aに対して離間した位置から冷却面12Aと接触した位置に独立して移動可能であれば、支持部18は、複数の伝熱部14を弾性支持する構成でなくても良い。
【0051】
また、冷却部12は、冷媒22によって冷却されていたが、その他の冷却体、例えば、ペルチェ素子等によって冷却されていても良い。また、冷却部12は、箱状に形成されていたが、その他の形状とされていても良い。
【0052】
また、冷却部12の冷却対象物は、電子機器38であったが、その他でも良い。
【0053】
次に、上述の冷却ユニット10を備えた電子機器システムについて説明する。
【0054】
図8に示される電子機器システム40は、上述の冷却ユニット10及び電子機器38の組み合わせを複数備えたものである。つまり、この電子機器システム40は、複数の冷却ユニット10A〜10Cと、複数の電子機器38A〜38Cを備えている。複数の冷却ユニット10A〜10Cは、互いに同一に構成されている。
【0055】
一方、複数の電子機器38A〜38Cは、互いに異なる大きさで形成されている。つまり、電子機器38Aは、電子機器38B,38Cよりも大きく形成されている。また、電子機器38Aは、複数の伝熱部14の全てと接触される大きさ及び形状で形成されている。これに対し、電子機器38B,38Cは、複数の伝熱部14の一部を除く複数の伝熱部14と接触される大きさ及び形状で形成されている。さらに、電子機器38Cは、電子機器38Bよりも小さく形成されており、電子機器38Bよりも少ない数の伝熱部14と接触される。
【0056】
そして、この電子機器システム40では、図2に示される例と同様の要領で、複数の電子機器38A〜38Cが複数の冷却ユニット10A〜10Cにそれぞれセットされた状態で冷却される。つまり、電子機器38Aが冷却ユニット10Aの全ての伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Aが冷却面12A側に押圧されると、全ての伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、電子機器38Aが冷却される。
【0057】
一方、電子機器38Bが冷却ユニット10Bにおける複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Bが冷却面12A側に押圧されると、この一部の伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、電子機器38Bが冷却される。同様に、電子機器38Cが冷却ユニット10Cにおける複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Cが冷却面12A側に押圧されると、この一部の伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、電子機器38Cが冷却される。
【0058】
この電子機器システム40によれば、異なる形状及び大きさの電子機器38A〜38Cを、互いに同一に構成された複数の冷却ユニット10A〜10Cによって冷却することができる。従って、互いに異なる複数の冷却ユニットを用いる場合に比して、冷却ユニット10A〜10Cの共通化により、コストダウンすることができる。
【0059】
なお、この電子機器システム40において、複数の電子機器38A〜38Cは、図9に示されるように、発熱体を有する本体部80A〜80Cと、この本体部80A〜80Cと熱伝導可能に接続された放熱部82A〜82Cとをそれぞれ有していても良い。本体部80A〜80Cは、互いに同一の大きさとされているが、互いに発熱温度や発熱領域等が異なっている。
【0060】
一方、放熱部82A〜82Cは、ブロック状に形成されており、本体部80の発熱温度や発熱領域等に合わせて互いに異なる大きさで形成されている。つまり、放熱部82Aは、放熱部82B,82Cよりも大きく形成されている。また、放熱部82Aは、複数の伝熱部14の全てと接触される大きさ及び形状で形成されている。これに対し、放熱部82B,82Cは、複数の伝熱部14の一部を除く複数の伝熱部14と接触される大きさ及び形状で形成されている。さらに、放熱部82Cは、放熱部82Bよりも小さく形成されており、放熱部82Bよりも少ない数の伝熱部14と接触される。なお、この放熱部82A〜82Cの本体部80A〜80Cからの高さ寸法は、図1に示される隙間24よりも大きく設定されている。
【0061】
そして、この電子機器システム40では、図8に示される例と同様の要領で、複数の電子機器38A〜38Cが複数の冷却ユニット10A〜10Cにそれぞれセットされた状態で冷却される。つまり、放熱部82Aが冷却ユニット10Aの全ての伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Aが冷却面12A側に押圧されると、全ての伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、放熱部82A及び本体部80Aが冷却される。
【0062】
一方、放熱部82Bが冷却ユニット10Bにおける複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Bが冷却面12A側に押圧されると、この一部の伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、放熱部82B及び本体部80Bが冷却される。同様に、放熱部82Cが冷却ユニット10Cにおける複数の伝熱部14のうち一部の伝熱部14と接触した状態で、電子機器38Cが冷却面12A側に押圧されると、この一部の伝熱部14が冷却面12Aと接触される。そして、これにより、放熱部82C及び本体部80Cが冷却される。
【0063】
この変形例のように、各本体部80A〜80Cの発熱温度や発熱領域等に合わせて放熱部82A〜82Cの大きさが変更されていると、本体部80A〜80Cをその発熱温度や発熱領域等に応じた適切な温度に冷却することができる。
【0064】
なお、放熱部82A〜82Cは、本体部80A〜80Cに一体に形成されても良く、また、本体部80A〜80Cと別体に構成された上で、伝熱性及び粘着性を有する熱伝導部材により本体部80A〜80Cに固定されても良い。
【0065】
また、電子機器38A〜38Cには、図10の(A)〜(D)に示される電子機器38が用いられても良い。すなわち、この電子機器38では、放熱部82が互いに同一に構成された複数の放熱ブロック84を有している。この複数の放熱ブロック84は、本体部80の発熱温度や発熱領域等に合わせて配置されると好適である。このようにすると、本体部80の発熱温度や発熱領域等に合わせて放熱部82の形状や大きさを変更する必要がある場合には、放熱ブロック84の共通化により、コストダウンすることができる。
【0066】
また、図8,図9に示される電子機器システム40は、複数の冷却ユニット10A〜10Cと、複数の電子機器38A〜38Cとを備えていたが、図1〜図7に示される冷却ユニット10及び電子機器38を一つずつ備えていても良い。
【0067】
以上、本願の開示する技術の一実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 冷却ユニット
12 冷却部
14 伝熱部
14A 第一接触部
14B 第二接触部
16 断熱部
18,68 支持部
22 冷媒(冷却体の一例)
26 断熱ケース
28 断熱層
30 孔部
32 貫通孔
34,54 断熱支持体
36,66,76 密閉空間
38 電子機器(冷却対象物の一例)
40 電子機器システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却体によって冷却される冷却部と、
前記冷却部と接触される第一接触部、及び、冷却対象物と接触される第二接触部をそれぞれ有する複数の伝熱部と、
前記複数の伝熱部の各々を、前記冷却部に接触した位置に独立して移動可能に、前記冷却部から離間した位置に支持している支持部と、
を備えた冷却ユニット。
【請求項2】
前記冷却部を断熱する断熱部を備えた、
請求項1に記載の冷却ユニット。
【請求項3】
前記支持部は、前記冷却部を断熱している、
請求項1又は請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項4】
前記支持部は、前記冷却部と前記複数の伝熱部との間に密閉空間を形成している、
請求項3に記載の冷却ユニット。
【請求項5】
前記断熱部は、前記複数の伝熱部の前記冷却部に対する接離方向に貫通する孔部が形成されると共に、前記冷却部を収容する断熱ケースを有し、
前記複数の伝熱部は、前記孔部を形成する周縁部の内側に配置されている、
請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項6】
前記断熱部は、前記冷却部における前記複数の伝熱部と向かい合う面上に設けられると共に、前記複数の伝熱部の各々と対応する位置に貫通孔が形成された断熱層を有し、
前記支持部は、それぞれ前記貫通孔の周囲を囲うように形成されて前記複数の伝熱部の各々を支持すると共に、前記冷却部と前記複数の伝熱部の各々との間に密閉空間を個別に形成し、且つ、断熱性を有する複数の断熱支持体を有している、
請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項7】
前記断熱部は、前記冷却部における前記複数の伝熱部と向かい合う面上に設けられると共に、前記複数の伝熱部の各々と対応する位置に貫通孔が形成された断熱層を有し、
前記支持部は、前記断熱層に対する前記冷却部と反対側に前記断熱層と離間して設けられて前記複数の伝熱部を支持すると共に、前記冷却部と前記複数の伝熱部との間に密閉空間を形成し、且つ、断熱性を有する断熱支持体を備えた、
請求項2に記載の冷却ユニット。
【請求項8】
前記冷却対象物としての電子機器と、
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の冷却ユニットと、
を備えた電子機器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195523(P2012−195523A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60010(P2011−60010)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】