説明

冷却水処理装置

【課題】維持コストを抑えながら銀イオンなどにより殺藻、殺菌し、確実に硬質スケールの成長を抑制する冷却水処理装置を提供する。
【解決手段】冷却水処理装置は、冷却水の流れの上流から下流に沿って、殺藻または殺菌効果を有する銀イオンまたは銅イオンの少なくともいずれか一方を冷却水中に供給する殺藻殺菌イオン供給装置と、冷却水中の金属イオンを吸着するとともに除溶する岩石が充填される岩石充填部材と、を備える。また、上記金属イオン供給装置の上流側に、冷却水が流れる隙間に磁場を発生する磁場発生部材を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却塔と熱交換器とを循環する冷却塔冷却水を処理してスケールの付着を防止するとともに微生物や藻類の発生を防止する冷却水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却塔で大気と熱交換させて冷却した冷却水をポンプで熱交換器へ送り、該熱交換器での熱交換で昇温した冷却水を冷却塔に循環させる冷却水循環系では、冷却塔等での水の蒸発によってイオン物質が冷却水中に濃縮され、冷却水を送るパイプの内壁や熱交換器、冷却塔の内部にスケールや錆が発生し、これらのスケールや錆が、冷却効率の低下や設備の短寿命化等の一因となっている。また、水の濃縮は、微生物や藻類の発生と増殖とを加速し、環境衛生面からも問題となっている。
【0003】
これらの問題を軽減するため、従来から有機りん酸系または塩素系の薬剤を定期的に冷却水に添加することが行われていたが、維持コストが高いというだけでなく、冷却塔から薬剤が飛散することによる環境汚染を防止する対策も必要なことから、薬剤使用を使わない冷却水処理方法が望まれている。
【0004】
そして、薬剤を使用しない冷却水処理方法として、磁気処理方法が提案され、各種の処理装置が導入されている。
ケーシングの各端部の内側位置には、第1永久磁石及び第2永久磁石が軸方向に互いに離間して設けられており、各永久磁石は、互いに離間して設けられた3個の磁石片よりなり、各磁石片の磁極は異極が互いに対向するように構成されている。そして、冷却水を磁気処理することによってスケール成長が抑制された経験的な事実は多数報告されており、薬剤を用いることなく系内のスケール成長とアルジー生成を抑制できたとの報告はある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、冷却水の磁気処理方法によるスケール成長の抑制に加え、冷却塔の冷却水の流路の途中に配置された銅材及び銀材からなる陽極と、この陽極と対をなして配置された陰極と、陽極と陰極の間に通電する直流電源とからなり、陽極と陰極との間に冷却水を流した状態で通電できるように設置し、藻類の繁殖を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、銀、銅、亜鉛などの金属イオンを抗菌性能を有する抗菌剤として使用し、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、セラミックスを担持体とし、単結晶テトラポット状の三次元構造をもつ酸化亜鉛ウイスカを配合した抗菌・防錆兼用剤を冷却水内に投下設置することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平6−296970号公報
【特許文献2】特開平5−245478号公報
【特許文献3】特開平5−45090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の磁気処理方法においては、効果発現の再現性は絶対的なものではなく、また、その効果の程度にもバラツキが大きく、十分な信頼性を得る水処理方法を提供するものではなかった。加えて、この従来の方法では、非常に高い磁束密度を持つ磁気処理装置を必要とするため、装置の製造コストも高価となってしまうという問題がある。
【0009】
また、全く効果がないとする報告も多く、スケール成長に電磁気処理効果が確認された場合は、スケール結晶構造に変化を伴っており、その効果は長期間の電磁気処理を継続することにより発現している。すなわち、循環水の電磁気処理に期待される物理的な効果は穏和なものであるため、循環水の組成あるいは冷却システムの構造により、電磁気処理効果の発現の程度が異なっている。
【0010】
その導入の方法は、直流電源を用いた金属銅のアノード溶解によるものであるから、電磁処理のための磁石に加えて直流電源装置が必要であること、循環水量が大きい冷却システムにおいては大面積の銅電極が必要となることから、装置が複雑になるとともに装置コスト、維持コスト共に増大してしまうという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、維持コストを抑えながら銀イオンなどにより殺藻、殺菌し、確実に硬質スケールの成長を抑制する冷却水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係わる冷却水処理装置は、冷却水の流れの上流から下流に沿って、殺藻または殺菌効果を有する銀イオンまたは銅イオンの少なくともいずれか一方を冷却水中に供給する殺藻殺菌イオン供給装置と、冷却水中の金属イオンを吸着するとともに除溶する岩石が充填される岩石充填部材と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係わる冷却水処理装置の効果は、金属イオン供給装置の下流に岩石充填部材を配置することにより、金属イオンによる殺藻、殺菌の効果を長続きすることができるので、銀および銅の消費量を低減することができるし、電力量も減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置を配備した冷却水循環系の構成図である。図2は、この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置の外観図である。図3は、この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置の断面図である。図4は、この発明の実施の形態1に係わる円環型両面6極着磁磁石の平面図である。図5は、この発明の実施の形態1に係わる金属イオン供給装置の外観図である。
この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置1は、図1に示すように、図示しない空気調和機の水冷式熱交換器2での熱交換により昇温した冷却水を冷却塔(クーリングタワー)3で大気と熱交換させて冷却し、その冷却水を熱交換器2へ戻す冷却水循環系に配置される。熱交換器2で熱交換された冷却水は循環ポンプ4で冷却塔3に送られる。そして、この冷却塔3で熱交換されて一時的に貯まる冷却水中に冷却水処理装置1が浸漬されている。
【0015】
図2(a)は、冷却水処理装置1の平面図、図2(b)は、冷却水処理装置1の流入口6a側からの正面図、図2(c)は、冷却水処理装置1の流出口6b側からの正面図である。
この実施の形態1に係わる冷却水処理装置1は、図2に示すように、ステンレス製の直方体の無底の筐体6内に配置されている。冷却水の上流から下流に向かって、流れに直交し、上流側の側面に処理前の冷却水が流れ込む流入口6aが設けられている。また、流れに直交し、下流側の側面に処理後の冷却水が流れ出す流出口6bが設けられている。筐体の天井6cの上には、電極端子7が設けられている。
【0016】
実施の形態1に係わる冷却水処理装置1は、図3に示すように、処理対象の冷却水の上流から下流に向かって、磁場発生部材11、金属イオン供給装置12、岩石充填部材13を備えている。
実施の形態1に係わる磁場発生部材11は、図2(a)と図3に示すように、フェライトからでき、厚み方向に着磁された複数の円環型両面6極着磁磁石15を有する。そして、複数の円環型両面6極着磁磁石15は、上下2本のステンレスからできた保持棒16により円環の孔が貫通されて水平方向に配置されている。そして、2本の保持棒16は、冷却水の流れる方向に垂直に所定の距離だけ離間する支持部材17により両端が支持されており、冷却水は、円環型両面6極着磁磁石15の着磁面により挟まれた隙間を流れる。
円環型両面6極着磁磁石15は、図4に示すように、円環の周方向に6分割されてN極とS極とに交互に着磁されており、着磁面に水平方向に磁束が流れるので、強い磁界が形成される。なお、円環型の磁石を片面だけ多極着磁しても両面着磁と同様にスケールを剥離する効果を発揮する。また、6極着磁しているが、4極または8極以上に着磁しても同様な効果が得られる。
【0017】
実施の形態1に係わる金属イオン供給装置12は、図3と図5に示すように、筐体の天井6cから複数対の2種類の陽極21a、21bとカーボンなどの高導電性物質の陰極22とが下がっている。この金属イオン供給装置12は、水中にイオン化されたとき殺菌に寄与する第1金属としての銀からなる第1陽極としての複数の銀陽極21aと、水中にイオン化されたとき殺藻に寄与する第2金属としての銅からなる第2陽極としての複数の銅陽極21bとが、それぞれ一対としてカーボンなどの高導電性物質の陰極22を備えている。
なお、実施の形態1において殺菌力の最も強い銀と殺菌力は弱いが安価な銅とを例に挙げたが、これ以外に白金、金、コバルトなどを組み合わせた場合でも同様な効果が得られる。
【0018】
また、金属イオン供給装置12は、図1に示すように、銀陽極21aとカーボンなどの高導電性物質の陰極22、銅陽極21bとカーボンなどの高導電性物質の陰極22の間の水に電流を流して正電位の方の電極から該金属をイオン化する電源23と、この電源を制御する制御装置24と、を備えている。
銀陽極21a、銅陽極21bおよびカーボンなどの高導電性物質の陰極22は、それぞれ電極支持体25に握持され、銀陽極21a、銅陽極21bおよびカーボンなどの高導電性物質の陰極22からそれぞれ電源ケーブル26が電極端子7から引き出され、電極支持体25は筐体の天井6cに固定されている。
電源23は、過電圧を考慮して印加する電流値および電解時間である印加時間が制御装置24により制御される。
【0019】
制御装置24は、CPU、ROM、RAM、インターフェースを有するコンピュータから構成され、ROMには、予め設定された殺藻・殺菌制御プログラムが格納されている。この殺藻・殺菌制御プログラムにより金属イオン供給装置12を制御して冷却水を殺藻・殺菌するように制御する。
【0020】
実施の形態1に係わる岩石充填部材13は、図3に示すように、直方体の側面がメッシュ状の孔が多数開けられたステンレスからなる2個のカゴ31、カゴ31内に充填された岩石粒32から構成されている。このカゴ31は、上下に少し離間して筐体の端面6dに固定されている。岩石粒32は、三波川変成岩を砕いたものである。この三波川変成岩は、泥質堆積岩起源の広域変成岩である緑泥片岩であり、三波川変成帯で産出される。なお、岩石粒として、三波川変成岩に代表される泥質堆積岩起源の広域変成岩以外に、火成岩起源の広域変成岩、接触変成岩など細孔を有し、除溶性の性質を示す岩石であれば本発明に適用することができる。
【0021】
次に、磁場発生部材11の効果について説明する。磁場発生部材11の横並びに並んだ円環型両面6極着磁磁石15の隙間を冷却水が通過すると、磁場発生部材11を備えないときに比べて磁場発生部材11の下流側の配管に強く付着するスケール量が少なくなり、付着しても軟質スケールが多くなる。このことは、強い磁場内を水が通過すると、水がスケールなどの細孔に浸透しやすくなる性質が強まり、配管に一旦付着したスケールと配管との隙間に入り込み、スケールを配管から剥離するように作用すると考えられる。
【0022】
また、磁場が強いほど水がスケールなどの細孔への浸透性が顕著になるが、円環型両面6極着磁磁石15は、冷却水が流れる面内に発生する磁場の強さが強いので、冷却水の浸透性をより大きくする。
また、金属イオン供給装置12の上流に磁場発生部材11が配置されているので、冷却水に含まれている例えばカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのイオンがスケールとして銀陽極21a、銅陽極21bおよび陰極22の表面に付着することが防がれ、金属イオンの供給の際の電力が一定のまま維持される。
【0023】
次に、金属イオン供給装置12の動作について説明する。
第1時限として、銅陽極21bと対応するカーボンなどの高導電性物質の陰極22に電源23から電圧を印加して、銅陽極21bから銅イオンを溶出する。このように、水中に銅イオンが所定の濃度以上に存在すると、藻の呼吸が阻害されて繁殖が抑えられる。そして、藻の繁殖が抑えられると、藻を住処としているレジオネラ属菌の繁殖が抑えられ、個体数が減少する。
第2時限として、銀陽極21aと対応するカーボンなどの高導電性物質の陰極22に電源23から電圧を印加して、銀陽極21aから銀イオンを溶出する。このように、水中に銀イオンが所定の濃度上に存在すると、銀イオンがレジオネラ属菌の細胞に強く吸着して、レジオネラ属菌を直接死滅させる。また、同時に、レジオネラ属菌に強く吸着し、レジオネラ属菌の細胞酵素をブロッキングして死滅させる。
実際に冷却塔3内に設置して効果を測定すると、冷却水処理装置1が設置されたときレジオネラ属菌の菌数が790CFU/100mLであったものが、1ヶ月経過すると菌数が10CFU/100mL未満に大幅に減少した。
【0024】
このように2つの時限に別々の金属イオンを水中に溶出することにより、最終的に殺菌を効果的に行うことができる。特に、最初に銅イオンを溶出して、主に藻とバクテリアとの個体数を減じて細菌が繁殖しにくい水中環境に変化させ、その上で、銀イオンを溶出して、細菌を死滅することにより、効果的に殺藻と殺菌を行うことができる。
さらに、金属の値段として銀よりも安い銅で銀イオンによる殺菌に前もって殺藻を行っているので、値段の高い銀および銅の消費量を節約することができ、ランニングコストを低く抑えることができる。
また、銀陽極21aから溶出された銀イオンの一部が銀として銅陽極21b上に析出しても、銅陽極21bに印加したとき、銀が再度銀イオンとして溶出されるので、無駄なく銀陽極21aの銀が消費される。
【0025】
次に、岩石充填部材13を冷却水が通過したときに受ける作用を説明する。
金属イオン供給装置12だけを上流に配置し、下流に岩石充填部材13の配置の有無により観察される現象について説明する。金属イオン供給装置12で銅イオンと銀イオンを上述の2つの時限で供給して終了し、その後の殺藻、殺菌の効果を観察すると1週間でなくなってしまうが、金属イオン供給装置12の下流に岩石充填部材13を配置すると、金属イオン供給装置12で銅イオンと銀イオンを上述の2つの時限で供給して終了し、その後の殺藻、殺菌の効果を観察すると、1ヶ月以上に亘って効果が観察される。これは、三波川変成岩は劈開性を有しており、且つ泥質堆積岩起源であるので細孔を多数有しており、岩石粒32が銅イオンまたは銀イオンを吸着し、銅イオンまたは銀イオンが中性化せずにイオン状態で長く留まると考えられる。さらに、三波川平成岩は速度は遅いが水中に成分が溶解する性質を有しているので、吸着された銅イオンまたは銀イオンが溶解にともなって再度水中に浮遊するので、殺藻、殺菌の効果が長引くと考えられる。
【0026】
このように金属イオン供給装置12の下流に岩石充填部材13を配置することにより、金属イオンによる殺藻、殺菌の効果を長続きすることができるので、銀および銅の消費量を低減することができるし、電力量も減らすことができる。
【0027】
また、磁場発生部材11だけを上流に配置し、下流に岩石充填部材13の配置の有無により観察されている現象について説明する。磁場発生部材11だけを配置して冷却水を処理すると、配管に付着するスケールは少なくなるが、それでも配管の内壁に硬質スケールが付着するので、スチールブラシだけではクリーニングすることができずに、薬品洗浄が必要になる。
一方、磁場発生部材11の下流に岩石充填部材13を配置すると、多くは岩石充填部材13の下方に軟質スケールが沈降し、配管の内壁にも軟質のスケールが付着しているので、スチールブラシだけで洗浄を完了することができる。これは、磁場発生部材11を通過してきた冷却水の中に含まれるイオンが吸着され、吸着したまま岩石が劈開して行くので、浮遊物が弱く結びついてヘドロ状に沈降する。
【0028】
次に、冷却水循環系の冷却塔3に冷却水処理装置1を配置したときの熱交換器2の配管内を観察した結果を説明する。図6(a)は、冷却水処理装置1を配置したときの熱交換器2の配管の入口の写真である。図6(b)は、冷却水処理装置1を配置しなかったときの熱交換器2の配管の入口の写真である。
冷却水処理装置1を用いて冷却水を処理すると、図6(a)に見られるように、配管の入口には殆ど硬質スケールが付着しておらず配管の素材の色が観察される。一方、冷却水が冷却水処理装置1により処理されていないと、図6(b)に見られるように、配管の入口に硬質スケールが付着して入口を狭めている。そして、0.3〜0.4mmの硬質スケールが付着すると、冷凍能力が4%位低下し、それをカバーするために消費電力が20%余分に必要になる。
このように、冷却水が循環する配管内に硬質スケールが付着しないので、熱交換効率が悪化せずに、全体の消費電力を削減することができる。また、硬質スケールが付着していないので、軟質スケールが付着してもブラシで洗浄することができ、薬品洗浄を行わなくてもすむ。
【0029】
冷却塔3内の冷却水の水質の冷却水処理装置1の配置の有無による違いを観察した結果を説明する。図7(a)は、冷却塔3内の冷却水の様子を撮影した写真である。図7(b)は、冷却塔3内に冷却水処理装置1を沈めて稼動して1週間経過したときの冷却水の様子を撮影した写真である。
冷却水処理装置1が配置される前では、図7(a)に見られるように、水中に藻が大量に生え微生物が繁殖しているので、透明度が悪く、色も赤茶色で、レジオネラ属菌などによるカビ臭さが漂っている。一方、冷却水処理装置1を沈めて稼動して1週間経過すると、図7(b)に見られるように、透明度が良くなり、藻が生えていないので、色も無色で、カビ臭さも大幅に改善される。
【0030】
なお、実施の形態1では空気調和装置の冷却塔3に投入する例について説明したが、冷温水を用いた冷凍機や加温器などにも適用することができる。
【0031】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2に係わる冷却水処理装置を配備した冷却水循環系の構成図である。図9は、この発明の実施の形態2に係わる冷却水処理装置の断面図である。
この発明の実施の形態2に係わる冷却水処理装置1Bは、冷却水循環系において蒸発などにより減少する循環水に冷却塔3で補給する補給水を処理する。そのために、実施の形態1に係わる冷却水処理装置1に補給水供給装置8が追加され、筐体6Bが異なっているが、その他は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
この実施の形態2に係わる冷却水処理装置1Bは、冷却塔3の中に熱交換されて一時的に貯まる冷却水中に沈まないように冷却水の水面より上方に配置されており、補給水は補給水供給装置8により冷却水処理装置1Bの筐体6B内に供給される。
補給水供給装置8は、冷却水処理装置1Bの補給水供給口33に連なる補給水配管27、補給水配管27の途中に介設され、補給水の供給開始と供給停止とを切り換える給水電磁弁28を備える。そして、この給水電磁弁28は、制御装置24により制御される。
【0032】
また、この実施の形態2に係わる筐体6Bは、図9に示すように、有底であり、4つの側面は上端部を除いて閉鎖されている。そして、側面の上端部には開口部34を有している。そして、この筐体6Bの中に磁場発生部材11、金属イオン供給装置12、岩石充填部材13が実施の形態1と同様に配備されている。また、筐体6Bの底面に平行に補給水分配管35が配置され、筐体6Bの1側面に設けられた補給水供給口33に接続されている。補給水分配管35は、管の側面に孔が明けられており、補給水配管27から供給された補給水は補給水分配管35から筐体6B内に供給される。供給された補給水は、磁場発生部材11、金属イオン供給装置12および岩石充填部材13により実施の形態1と同様な処理が加えられる。そして、開口部34の水位まで溜まった補給水は開口部34から溢れ出して冷却塔3の冷却水に補給される。
【0033】
このように補給水に処理を施してから補給し、冷却水の影響をうけないので、冷却水処理装置1Bの寿命、特に金属イオン供給装置12の寿命を永くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置を配備した冷却水循環系の構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置の外観図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わる冷却水処理装置の断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる円環型両面6極着磁磁石の平面図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係わる金属イオン供給装置の外観図である。
【図6】実施の形態1に係わる冷却水処理装置を稼動したときの熱交換器の配管の入口を撮影した写真である。
【図7】実施の形態1に係わる冷却水処理装置を稼動したときの水槽を撮影した写真である。
【図8】この発明の実施の形態2に係わる冷却水処理装置を配備した冷却水循環系の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係わる冷却水処理装置の断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1、1B 冷却水処理装置、2 水冷式熱交換器、3 冷却塔、4 循環ポンプ、6、6B 筐体、6a 流入口、6b 流出口、7 電極端子、8 補給水供給装置、11 磁場発生部材、12 金属イオン供給装置、13 岩石充填部材、15 円環型両面6極着磁磁石、16 保持棒、17 支持部材、21a 銀陽極、21b 銅陽極、22 カーボンなどの高導電性物質の陰極、23 電源、24 制御装置、25 電極支持体、26 電源ケーブル、27 補給水配管、28 給水電磁弁、31 カゴ、32 岩石粒、33 補給水供給口、34 開口部、35 補給水分配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水の流れの上流から下流に沿って、
殺藻または殺菌効果を有する銀イオンまたは銅イオンの少なくともいずれか一方を冷却水中に供給する金属イオン供給装置と、
冷却水中の金属イオンを吸着するとともに除溶する岩石が充填される岩石充填部材と、 を備えることを特徴とする冷却水処理装置。
【請求項2】
上記金属イオン供給装置の上流側に、冷却水が流れる隙間に磁場を発生する磁場発生部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の冷却水処理装置。
【請求項3】
上記磁場発生部材は、中心孔が保持棒で貫通されて串刺し状に支持される複数の環型の両面または片面多極着磁磁石を有することを特徴とする請求項2に記載の冷却水処理装置。
【請求項4】
上記岩石は、泥質堆積岩起源の広域変成岩、火成岩起源の広域変成岩または接触変成岩からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷却水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−283235(P2007−283235A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114724(P2006−114724)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】