説明

冷却装置及び画像形成装置

【課題】冷却ローラの長手方向の温度差を低減することができる冷却装置、及び、その冷却装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート状部材を冷却する冷却ローラを備えた冷却装置において、冷却ローラは、外管内に内管を内包し、外管と内管との隙間を冷却媒体が流れる外側流路、及び、内管内を冷却媒体が流れる内側流路を有する二重管構造であり、内管の冷却ローラ長手方向途中に外側流路と内側流路とを連通する開口を設けており、冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が内側流路を流れ前記開口を通って外側流路に流れ込み少なくとも冷却ローラの一端側に向かって流れる第1の経路と、冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が内側流路を流れ前記開口を通って外側流路に流れ込み少なくとも冷却ローラの他端側に向かって流れる第2の経路とが形成されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる、シート状部材を冷却する冷却装置、及び、その冷却装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、電子写真技術を用いてシート状媒体である用紙上にトナー画像を形成し、熱定着装置を通過させることでトナーを溶融し融着させるものが知られている。一般に熱定着装置の温度は、トナーや用紙の種類、用紙搬送スピードなどによって異なるが180℃〜200℃程度の温度に設定され制御されて、トナーを瞬時に融着させる。熱定着装置を通過した直後の用紙の表面温度は、用紙の熱容量(比熱、密度など)に左右されるが例えば100℃〜130℃程度の高い温度となっている。トナーの溶融温度はもっと低いので、熱定着装置通過直後の時点ではトナーは少し軟らかいままであり、用紙が冷えるまでは、しばらく粘着状態にある。そのため、連続的に画像出力動作が繰り返され熱定着装置通過後の用紙が排紙収容部に積載される場合、用紙上のトナーが十分に硬化できず軟化状態にあると、用紙上のトナーが別の用紙に貼り付く、所謂、ブロッキング現象を起こり画像品質が著しく低下することがある。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、熱定着装置よりも用紙搬送方向下流側に、用紙に接触して用紙を搬送しつつ冷却する冷却ローラを備えた冷却装置が設けられている。熱定着装置通過後の用紙が冷却装置の冷却ローラによって冷却されることで、用紙上のトナーも冷やされ硬化し、上記ブロッキング現象が起こるのを抑えることができる。また、冷却ローラは管状構造であり、冷却ローラ長手方向一端側から他端側に向かって冷却ローラ内に冷却液が流され、用紙から熱を奪うことで温度が上昇した冷却ローラが冷却液により冷却される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷却ローラ長手方向一端側から他端側に向かって一方向に一つの経路で冷却ローラ内に冷却液が流されるので、前記一端側では冷却液の温度が最も低く、前記他端側に行くほど用紙から冷却ローラが吸熱した熱により冷却液の温度が高くなる。そのため、冷却ローラの長手方向の温度差により冷却効率に差が生じるといった問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、冷却ローラの長手方向の温度差を低減することができる冷却装置、及び、その冷却装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート状部材に接することでシート状部材を冷却する冷却ローラと、該冷却ローラに設けられた供給口から冷却ローラ内に冷却媒体を供給し、該冷却ローラに設けられた排出口から冷却ローラ外に排出された冷却媒体を回収する冷却媒体供給回収手段と、を備えた冷却装置において、前記冷却ローラは、外管内に内管を内包し、該外管と該内管との隙間を冷却媒体が流れる外側流路、及び、該内管内を冷却媒体が流れる内側流路を有する二重管構造であり、前記内管の冷却ローラ長手方向途中に前記外側流路と前記内側流路とを連通する開口を設けており、前記冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み少なくとも前記冷却ローラの一端側に向かって流れる第1の経路と、前記冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み少なくとも前記冷却ローラの他端側に向かって流れる第2の経路とが形成されるように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の冷却装置において、上記開口が上記内管の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第1の排出口とを設け、前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第2の排出口とを設けており、前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の冷却装置において、上記開口が上記内管の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口を設け、前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口を設け、上記冷却ローラの一端側と他端側とのどちらか一方に、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に上記冷却媒体を排出する排出口を設けており、前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出されることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の冷却装置において、上記冷却ローラ内を冷却ローラ長手方向途中で2つの領域に仕切る仕切り壁を有し、上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第1の排出口とを設け、前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第2の排出口とを設けており、前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記仕切り壁で折り返されて前記仕切り壁よりも前記一端側にある前記外側流路に流れ込み前記第1の排出口から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記仕切り壁で折り返されて前記仕切り壁よりも前記他端側にある前記外側流路に流れ込み前記第2の排出口から排出されることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の冷却装置において、上記第1の経路と上記第2の経路との冷却ローラ長手方向途中で上記仕切り壁によって折り返される位置が、前記冷却ローラの周方向で段階的または連続的にことなることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の冷却装置において、上記冷却ローラの両端それぞれに、上記外管を回転可能に支持し、上記内管を固定支持する支持手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4または5の冷却装置において、上記冷却ローラの両端それぞれに、上記外管及び上記内管を回転可能に支持する支持手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2または3の冷却装置において、前記開口の近傍に前記内側流路から前記開口を通して前記外側流路に冷却媒体を導くガイド壁を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項2または3の冷却装置において、上記開口を上記内管の長手方向で異なる位置に複数形成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の冷却装置において、シート状部材の冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅の略中央が、上記第1の経路で前記内側流路から前記外側流路に冷却媒体が流れ込む位置、及び、上記第2の経路で前記内側流路から前記外側流路に冷却媒体が流れ込む位置、の近傍を通ることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の冷却装置において、シート状部材の冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅が、上記第1の経路の前記外側流路と上記第2の経路の前記外側流路とのどちらかの冷却ローラ長手方向の幅よりも狭い場合には、シート状部材の前記幅よりも前記冷却ローラ長手方向の幅が広い上記第1の経路上または上記第2の経路上でシート状部材が搬送され、シート状部材が搬送される側の流路にのみ冷却媒体を流すことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、上記第1の経路及び上記第2の経路に流す冷却媒体の送液を1つの送液手段で行うことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、上記第1の経路に流す冷却媒体と上記第2の経路に流す冷却媒体とを別個の送液手段で行うことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の冷却装置において、上記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段を有しており、前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを同一にすることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、上記前記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段と、上記第1の経路及び上記第2の経路を流れる冷却媒体の温度を検知する温度検知手段とを有し、前記温度検知手段によって前記検知した冷却媒体の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前期第2の経路上の冷却効率が同一になるように、前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを調整することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、冷却媒体の熱を外部に放熱する放熱手段と、該放熱手段に送風する冷却ファンと、該冷却ファンの風量を制御する風量制御手段と、上記第1の経路及び上記第2の経路を流れる冷却媒体の温度を検知する温度検知手段とを有し、前記温度検知手段によって検知した冷却媒体の温度に基づいて、前記第1の経路及び前記第2の経路を流れる冷却媒体の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって前記冷却ファンの風量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、上記前記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段と、上記第1の経路上及び上記第2の経路上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段とを有し、前記温度検知手段によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前記第2の経路上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを調整することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、冷却媒体の熱を外部に放熱する放熱手段と、該放熱手段に送風する冷却ファンと、該冷却ファンの風量を制御する風量制御手段と、上記第1の経路上及び上記第2の経路上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段とを有し、前記温度検知手段によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前記第2の経路上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって前記冷却ファンの風量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、シート状部材上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該シート状部材上に形成されたトナー像を少なくとも熱によってシート状部材に定着させる熱定着手段と、該熱定着手段によってトナー像が定着されたシート状部材を冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18の冷却装置を用いることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、上記第1の経路で内側流路を流れ内管の冷却ローラ長手方向途中に形成された開口から外側流路に流れ込み前記開口から冷却ローラの一端側に向かって流れる冷却媒体と、上記第2の経路で内側流路を流れ内管の冷却ローラ長手方向途中に形成された開口から外側流路に流れ込み前記開口から冷却ローラの他端側に向かって流れる冷却媒体とにより、冷却ローラが冷却される。これにより、第1の経路の外側流路を流れる冷却媒体と第2の経路の外側流路を流れる冷却媒体それぞれが冷却ローラから受熱する熱量は、冷却ローラの長手方向で冷却媒体を一端側から他端側へ一方向に一つの経路で行う構成よりも少なくなる。よって、その分、第1の経路の外側流路を流れる冷却媒体と第2の経路の外側流路を流れる冷却媒体それぞれの温度上昇が抑えられるので、冷却ローラの長手方向で冷却媒体を一端側から他端側へ一方向に一つの経路で行う構成よりも、冷却ローラの長手方向の温度差を低減することができる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、冷却ローラの長手方向の温度差を低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】冷却ローラを備えた冷却装置の一例の概略図。
【図2】一般に用いられている回転管継手手段を取り付けた冷却ローラの概略断面図。
【図3】構成例1に係る冷却ローラの概略構成図。
【図4】構成例1に係る冷却ローラの概略断面図。
【図5】構成例1に係る他の冷却ローラの概略断面図。
【図6】(a)構成例2に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例2に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図7】(a)構成例3に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例3に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図8】構成例2の変形例に係る冷却ローラの概略断面図。
【図9】(a)構成例4に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例4に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図10】(a)構成例5に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例5に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図11】(a)構成例6に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例6に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図12】構成例6に係る冷却ローラの長手方向から見た断面図。
【図13】(a)構成例7に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例7に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図14】構成例7に係る他の冷却ローラの概略断面図。
【図15】(a)構成例8に係る冷却ローラの概略断面図。(b)構成例8に係る冷却ローラの内管の拡大図。
【図16】構成例9に係る冷却ローラの概略断面図。
【図17】冷却ローラに対する用紙の通紙位置の説明に用いる図。
【図18】1つの送液手段で冷却液を送液する場合の冷却循環装置の模式図。
【図19】2つの送液手段で冷却液を送液する場合の冷却循環装置の模式図。
【図20】タンク内に冷却液の温度を検知する温度検知手段を設けた冷却循環装置の模式図。
【図21】外管内部に冷却ローラの表面近傍の温度を検知する温度検知手段が設けられた冷却ローラの概略断面図。
【図22】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図23】一端側にだけ回転管継手手段11を取り付けた冷却ローラの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の冷却ローラおよび冷却装置を、熱定着手段によって用紙上のトナーを定着させる画像形成装置を用いて説明する。しかし、本発明の冷却ローラおよび冷却装置はそれに限定されることなく、シート媒体の冷却が必要な装置であれば適応可能である。
【0011】
冷却手段としての冷却ローラは、管状構造であり、内部に冷却液を流し循環させることで冷却ローラ表面を冷却するようにしたものである。この冷却ローラを有する冷却装置を熱定着手段直後の用紙搬送経路中に配置し、冷却ローラによって用紙を搬送させると同時に、接触させることで用紙から熱を除去し冷却する。
【0012】
図1は、用紙搬送の働きをも担う本発明の冷却ローラ10を備えた冷却装置100の一例の概略図である。冷却装置100には用紙Pの搬送方向(左右方向)に間隔をおいて配列されたローラ2とローラ3が設けられて、用紙搬送の搬送ベルト4を展張している。そして用紙搬送方向下流側のローラ2を駆動ローラ(図示しない駆動源と連結)として、搬送ベルト4を反時計回り方向に回転させ、用紙を図中右側から左側へ搬送する。
【0013】
冷却装置100よりも用紙搬送方向上流側には熱定着手段7が配置されており、冷却装置100よりも用紙搬送方向下流側には排紙収容部8があり、ローラ3の上方には熱定着手段7から搬送されてきた用紙Pをガイドする上ガイド5が設けられている。また、ローラ2とローラ3との中間位置には、搬送ベルト4に食い込むように上から冷却ローラ10が圧接されており、冷却ローラ10は搬送ベルト4の搬送力を利用した連れ回りで回転するようになっている。図中の符号6は冷却装置100本体を構成するブラケットであり、ローラ2、ローラ3、冷却ローラ10、及び、上ガイド5などの構成部品を固定または回転自在に支持する部材である。冷却装置100はこのブラケット6によりユニット化され、画像形成装置本体に組み込まれる。
【0014】
熱定着手段7で熱せられ高温となった用紙Pは、排紙収容部8に排出される前に冷却装置100を通過する。詳細には、熱定着手段7を通って高温となった用紙Pが、冷却装置100の上ガイド5とローラ3との間に入り込み、その後、冷却ローラ10と搬送ベルト4とで形成されるニップ領域部を通過して排紙収容部8に排出される。冷却ローラ10の内部は管構造になっており、外部で十分に冷却された冷却液が冷却ローラ10内に供給され冷却ローラ10内を循環した後に冷却液が冷却ローラ10内から排出される。用紙Pは、冷却ローラ10と搬送ベルト4とが接することで形成されるニップ領域で冷却ローラ10に密着し接触しながら通過されるので、その際に用紙Pの熱は冷却ローラ10に吸熱され用紙Pが十分に冷却される。例えば、熱定着手段7の通過直後の用紙Pの表面温度が100℃程度のときに用紙Pを冷却装置100に通過させることで、用紙Pを50〜60℃程度まで冷却することができる。
【0015】
なお後述するが、冷却ローラ10は、回転管継手手段11を介してタンク51、ポンプ52、冷却ファン53を装着したラジエータ54などの冷却液循環手段と送液チューブ55により連通/連結され、封入した冷却液が冷却ローラ10内を流れることで冷却ローラ10が冷却される。
【0016】
次に図2を用いて、本発明の基本構成となる一般に用いられている回転管継手手段11(ロータリージョイント)を取り付けた冷却ローラ10の概略断面図の一例について説明する。
【0017】
図2に示すように冷却ローラ10は外管14と内管15から成る中空の管構造で、少なくとも外管14が回転する。外管14は、軸付のフランジ10cと、軸受け10gを嵌合圧入したフランジ10dで両端が構成されており、両フランジに漏洩防止のOリング10eを入れ込んでネジ10fでそれぞれのフランジを外管14に取り付けている。このとき、両フランジとも、外管14に嵌合関係で挿入して取り付け、外管14との同軸度を出している。冷却ローラ10は、フランジ10cの軸と、フランジ10dの軸受け10gを用いて冷却装置100のブラケット6に対して両端を回転自在に支持される。
【0018】
また、フランジ10dには平行ネジ部10hと嵌合部10iから成る結合部が形成されており、フランジ10dには、その結合部と相対するように形成した平行ネジ部11kと嵌合部11cとを有するロータ11jが取り付けられる。フランジ10dとロータ11jそれぞれの平行ネジ部10h,11kは外管14の回転方向(用紙Pの搬送方向)に対して締まり勝手となるような方向にネジ加工されている。
【0019】
ロータ11jは回転管継手手段11の構成部品であり、間隔をおいて設けた2箇の軸受け11dとの嵌合関係で回転自在に回転管継手手段11のケーシング11eに支持されている。
【0020】
ロータ11jとフランジ10dとの取り付けは、上記したように嵌合関係による挿入/取り付けであるため、ロータ11jとフランジ10dとの同軸度が出される。このことから、外管14は、それぞれ嵌合関係で取り付けられたロータ11j及びフランジ10dを介して、回転管継手手段11のケーシング35eに対して軸が合わされた状態となっており、高精度な回転ができるようになっている。なお、ロータ11jにはフランジ10dとの隙間から冷却液の漏洩を防ぐOリング11gを入れ込んでいる。
【0021】
冷却ローラ10は、外管14が回転し内管15は固定(非回転)されている構成と、外管14が回転し外管14と共に内管15も回転する構成が考えられる。ここでは、外管14が回転し内管15は固定(非回転)されている構成の冷却ローラ10について説明する。
【0022】
図2に示すように、内管15の回転管継手手段11側の一端側を回転しないように回転管継手手段11で固定支持し、他端側を外管14のフランジ10cに回転自在に支持させる。内管15の回転管継手手段11への取り付けは、ケーシング11eに取り付けられるフランジ11fに内管15の一端側を圧入することで内管15がフランジ11fに固定支持される。また、ケーシング11e、フランジ11f、及び、内管15は互いに嵌合関係で挿入され取り付けられるので、ケーシング11eに対して内管15の同軸度は出された状態となっている。なお、フランジ11fは漏洩防止のOリング11iを入れ込んで、ネジ11hでケーシング11eに取り付けられる。また、内管15はフランジ10cに軸受け10jを介して内管15の他端側が取り付けられ、回転自在に支持される。また、フランジ10c、軸受け10j、及び、内管15は互いに嵌合関係で挿入され取り付けられるので、フランジ10cに対して内管15の同軸度も出された状態となっている。
【0023】
以上の構成により、冷却ローラ10の一端側では、回転管継手手段11のケーシング11eを基準にして外管14と内管15との同軸度が出され、そして回転管継手手段11のケーシング11eに対して外管14は回転自在に支持され、内管15はケーシング11eに対して回転しないよう固定支持されるようになっている。冷却ローラ10の他端側は、フランジ10cを介して外管14と内管15との同軸度が出され、そして外管14に対して内管15が回転自在となるように支持されている。
【0024】
内管15のフランジ10c側の外周壁には開口孔10kが形成されおり、内管15の回転管継手手段11側の端面には断面孔10mが形成されている。回転管継手手段11の給水口19から内管15の断面孔10mを通って内管15内に供給された冷却液は、開口孔10kを通って外管14と内管15との間の隙間に流れ込み、回転管継手手段11内を通って排水口13から外部に排出される。
【0025】
冷却液の流路は矢印で示すように、先ず回転管継手手段11内に供給された冷却液は、内管15内を軸方向に流れ、内管15の軸方向フランジ10c側端部まで行く。なお、図2においては、回転管継手手段11の給水口19から内管15の軸方向フランジ10c側端部までの冷却液の流路を往流路とする。そして、内管15の軸方向フランジ10c側端部まで行った冷却液は、Uターンをするように開口孔10kを通って外管14と内管15との間の隙間で形成される外側流路に流れ込み、内管15とロータ11jの狭小間隙を通り、外管14と内管15とで形成される広い間隙を軸方向フランジ10c側に向かって流れ、このとき冷却液によって外管14が冷却される。そして、回転管継手手段11のケーシング11eに形成された排水口13から回転管継手手段11の外部に冷却液が排出される。なお、図2においては、開口孔10kから上記外側流路を通って排水口13までの冷却液の流路を復流路とする。
【0026】
このように冷却ローラ10は内部に冷却液が流れる往復循環する流路を有し、回転管継手手段11を介して後述する冷却液循環手段と閉ループの流路を形成して冷却液を循環させる。
【0027】
[構成例1]
次に、構成例1に係る冷却ローラ10を図3に示す。図3は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、冷却ローラ10の軸方向で2つの独立した経路12を設けた冷却ローラ10の概略断面図である。
【0028】
以下、第1の回転管継手手段11aおよび経路12a側を指すときは図番の後ろにaを付し、第2の回転管継手手段11bおよび経路12b側を指すときは図番の後ろにbを付して区別する。
【0029】
図4において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10に供給され、内管15a内の内側流路18a(復流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15aの間隙である外側流路16a(往流路)を通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aから排出される。
【0030】
同様に、冷却液は第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10に供給され、内管15b内の内側流路18b(復流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15bの間隙である外側流路16b(往流路)を通り、第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0031】
このように冷却ローラ10は内部に往復循環する2つの独立した経路12a、12bを有することにより冷却ローラ10の長手方向で冷却領域を分割し、回転管継手手段11a、11bを介して後述する図18、図19及び図20などに示すような冷却液循環手段と閉ループの流路を形成して冷却液を循環させる。
【0032】
次に、図2と図4とを用いて冷却ローラ10の冷却効率について説明する。
図2に示す冷却ローラ10には、図18、図19及び図20に示すような冷却液循環手段によって冷却された冷却液が回転管継手手段11の給水口19から供給され、内管15の断面孔10bを通って内管15内に流れ込んだ冷却液が内管15内の内側流路18(往流路)を通り、開口孔10k(通水口)を経由して、外管14と内管15の間隙である外側流路16(復流路)を通り、回転管継手手段11の排水口13aから排出される。このとき、外側流路16を流れる冷却液によって外管14が冷却される。
【0033】
ここで、開口孔10kを通って内側流路18から外側流路16に冷却液が流れ込む位置(図2の外側流路16のフランジ10c側端部)では、冷却液の温度は低い状態であるが、冷却ローラ10の表面上を図1に示す熱定着手段7を通り加熱された用紙Pが密着し接触しながら通過するので、外側流路16の回転管継手手段11側に行くほど冷却液の温度は上昇する。したがって、冷却ローラ10(外管14)の表面温度は冷却ローラ長手方向フランジ10c側端部で最も低く、冷却ローラ長手方向回転管継手手段11側端部で最も高くなる。
【0034】
よって、冷却効率は、冷却ローラ長手方向フランジ10c側端部で最も高く、冷却ローラ長手方向回転管継手手段11側端部で最も低くなり、冷却ローラ10の長手方向の全幅で温度勾配を持ち、温度差および冷却効率差も大きくなる。
【0035】
図4に示す構成例1に係る冷却ローラ10には、図18、図19及び図20に示すような冷却液循環手段によって冷却された冷却液が第1の回転管継手手段11aの給水口19aから供給され、内管15a内の内側流路18a(往流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15aとの間隙である外側流路16a(第1の復流路)を通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aから排出される。このとき、外側流路16aを流れる冷却液によって流路壁17より左側の外管14が冷却される。
【0036】
同様に、冷却ローラ10には、図18、図19及び図20に示すような冷却液循環手段によって冷却された冷却液が第2の回転管継手手段11bの給水口19bから供給され、内管15b内の内側流路18b(往流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15bの間隙である外側流路16b(第2の復流路)を通り、第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。このとき、外側流路16bを流れる冷却液によって流路壁17より右側の外管14が冷却される。
【0037】
ここで、流路壁17で折り返されて内側流路18a、18bから外側流路16a、16bに冷却液が流れ込む位置では、冷却液の温度は低い状態であるが、冷却ローラ10の表面上を図1に示す熱定着手段7を通り加熱された用紙Pが密着し接触しながら通過するので、外側流路16aの第1の回転管継手手段11a側、及び、外側流路16bの第2の回転管継手手段11b側に行くほど冷却液の温度は上昇する。したがって、冷却ローラ10(外管14)の表面温度は図2の流路壁17側で最も低く、第1の回転管継手手段11a側及び第2の回転管継手手段11b側で最も高くなる。
【0038】
よって、冷却効率は、図4の流路壁17付近で最も高く、第1の回転管継手手段11a側及び第2の回転管継手手段11b側で最も低くなり、冷却ローラ10の流路壁17を境にして対称の温度勾配を持つと共に、冷却ローラ10の幅方向の温度差を小さくすることができる。
【0039】
また、流路壁17を境にして経路12a(第1の復流路)と経路12b(第2の復流路)に分割しているので、それぞれの外側流路16a及び外側流路16bで用紙Pの熱を受熱する量は約半分となるため、冷却液の温度上昇は低く抑えることができ、その結果、冷却効率は高くなり、また、冷却ローラ10の長手方向の冷却効率差は小さくなる。
【0040】
更に、一般に用紙の印字率の高い画像中央部を効率良く冷却することができるので、排紙後に積載されたときに蓄熱し易い用紙中央部のブロッキング現象をより抑制することができる。
【0041】
次に図5は、図4に示した冷却ローラ10に対して、冷却液を内側流路18から外側流路16に流れ易くするように改良を加えた冷却ローラ10の概略断面図である。
【0042】
図4に示した冷却ローラ10では、内側流路18を流れてきた冷却液は流路壁17に衝突し、外側流路16に流れ込みにくく、流路壁17近傍で対流が起こることがある。そこで、流路壁17に図5に示すような内側流路18から外側流路16の方向に冷却液の流れが導かれるような角度をもった流路補助壁23a、23bを設けている。また、同様の理由により図示していないが、流路壁17の形状を曲率をつけた形状にしてもよい。流路壁17に流路補助壁23a、23bを設けることにより、内側流路18から外側流路16への冷却液の流れがスムーズになり、冷却効率を上げることができる。
【0043】
[構成例2]
次に、構成例2に係る冷却ローラ10を図6に示す。図6(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、経路12aと経路12bが通水口20を介して繋がっている構造の冷却ローラ10の概略断面図である。図6(b)は、図6(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X6から見た場合の内管15の拡大図である。
【0044】
図6において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18a(往流路)を通り、外管14と内管15との間隙である外側流路16a(復流路))や外側流路16b(復流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20を通って、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0045】
同様に、冷却液は、第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18b(往流路)を通り、外管14と内管15との間隙である外側流路16a(復流路)や外側流路16b(復流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20を通って、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0046】
このように冷却ローラ10は内部に通水口20を介して冷却液が流れる2つの経路12a、12bを有することにより冷却ローラ10の長手方向で冷却領域を分割し、第1の回転管継手手段11a及び第2の回転管継手手段11bを介して後述する冷却液循環手段と閉ループの流路を形成して冷却液を循環させる。内管15をこのような簡素化した形状にすることにより、低コスト化を図ることができる。
【0047】
冷却効果は、流路壁17と通水口20の折り返し及び合流から分岐の構造の違いで若干の冷却液の流れ方に差が生じる場合も考えられるが、ほぼ構成例1の冷却ローラ10と同様の効果が得られる。
【0048】
[構成例3]
次に、構成例3に係る冷却ローラ10を図7に示す。図7(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、経路12aと経路12bは通水口20を介して繋がっており、内管15内の内側流路18および給水口19を第1の回転管継手手段11aと第2の回転管継手手段11bとのどちらか一方の回転管継手手段11側にのみ有する構造の冷却ローラ10の概略断面図である。図7(b)は、図7(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X7から見た場合の内管15の拡大図である。
【0049】
図7において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18a(復流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20を通って、外管14と内管15との間隙である外側流路16a(往流路)や外側流路16bを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0050】
このように冷却ローラ10は内部に通水口20を介して冷却液が流れる経路12aと経路12bを有し、外側流路16a及び外側流路16bにより冷却ローラ10の長手方向で冷却領域を分割し、第1の回転管継手手段11a及び第2の回転管継手手段11bを介して後述する冷却液循環手段と閉ループの流路を形成して冷却液を循環させる。
【0051】
また、給水口19を第1の回転管継手手段11aと第2の回転管継手手段11bとのどちらか一方に設けることで、冷却装置100の後述する送液チューブ55(図18などを参照)の取り回しが簡素化できる。
【0052】
冷却効果は、流路壁17と通水口20の折り返し及び分岐の構造の違いで若干の冷却液の流れ方に差が生じる場合も考えられるが、ほぼ構成例1や構成例2の冷却ローラ10と同様の効果が得られる。
【0053】
また、図8に示すように、通水口20を通って内側流路18aから流れ込んできた冷却液を外側流路16aや外側流路16bへ導く流路補助壁24を内管15bの通水口20側端部に設けることで、内側流路18aを流れてきた冷却液を通水口20を通って外側流路16aや外側流路16bに流れ込み易くすることができる。
【0054】
[構成例4]
次に、構成例4に係る冷却ローラ10を図9に示す。図9(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、2つの独立した経路12を設けたもので、冷却ローラ10の長手方向で折り返す位置が周方向で異なる構造の冷却ローラ10の概略断面図である。図9(b)は、図9(a)に示した冷却ローラ10を紙面真上から見た場合の内管15の拡大図である。
【0055】
図9(a)において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15a内の内側流路18a(往流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bとを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15aとの間隙である外側流路16a(復流路)を通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aから排出される。
【0056】
同様に、冷却液は、第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、内管15b内の内側流路18b(往流路)を通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bとを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15bとの間隙である外側流路16b(復流路)を通り、第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0057】
ここで、流路壁17は外側流路16に通水されないことで周方向1周にわたり局所的に冷却できない箇所がないように冷却ローラ10の長手方向に対して斜めに配置されている。内管15aと内管15bとは周方向で折り返し位置が異なるように断面が斜めになっており、また、冷却ローラ10の長手方向で互い違いになるように配置されている。
【0058】
本構成例において、図9(a)に示す冷却ローラ10の周方向の位置C1では外側流路16a(第1の復流路)を流れる冷却液により冷却ローラ10が冷却され、冷却ローラ10が回転して冷却ローラ10の周方向の位置C2では外側流路16b(第2の復流路)を流れる冷却液により冷却ローラ10が冷却される。したがって、冷却液が流路壁17で折り返される近傍において、冷却ローラ10の周方向1周にわたり外側流路16a、16bを冷却液が循環しない箇所をなくすことができるため、局所的に冷却効率が低下する箇所をなくすことができる。
【0059】
図9(b)に示す例では、内管15a、15bの断面が斜めになっているが、内管15a、15bの断面が斜めの構造に限定されるものではなく、冷却ローラ10の周方向1周にわたり局所的に外側流路16に冷却液が流れない構造であれば良く、また、冷却液の流れに支障が無ければ良い。
【0060】
このように冷却ローラ10は内部に往復循環する2つの独立した経路12a、12bを有することにより冷却ローラ10の長手方向で冷却領域を分割し、第1の回転管継手手段11a及び第2の回転管継手手段11bを介して後述する冷却液循環手段と閉ループの流路を形成して冷却液を循環させる。
【0061】
[構成例5]
次に、構成例5に係る冷却ローラ10を図10に示す。図10(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、2つの独立した経路12a、12bを設けた冷却ローラ10の概略断面図である。図10(b)は、図10(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X10から見た場合の内管15の拡大図である。
【0062】
外管14は回転し、内管15aの一端側は回転しないように第1の回転管継手手段11aに固定支持され、他端側は流路壁17に軸受け(図示しない)を介して回転自在に支持される。また、内管15bの一端側は回転しないように第2の回転管継手手段11bに固定支持され、他端側は流路壁17に軸受け(図示しない)を介して回転自在に支持される。内管15aの流路壁17の近傍には内側流路18aから外側流路16aへ冷却液が流れるように通水口20aが設けられており、内管15bの流路壁17の近傍には内側流路18bから外側流路16bへ冷却液が流れるように通水口20bが設けられている。
【0063】
このような構成にした冷却ローラ10は、外側流路16内の特に外管14の内側近傍で冷却液の流れ(軸方向と回転方向の流れ)に乱流を起こし、冷却効率を上げることができる。
【0064】
[構成例6]
次に、構成例6に係る冷却ローラ10を図11に示す。図11(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、2つの経路12a、12bは通水口20を介してつながっている構造の冷却ローラ10の概略断面図である。外管14は回転し、内管15の両端は回転管継手手段11に回転自在に支持される。図11(b)は、図11(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X11から見た場合の内管15の拡大図である。また、図12は、図11に示したY−Y’の位置で冷却ローラ1を切断した際の断面を冷却ローラ10の長手方向から見た場合の断面図である。
【0065】
本構成例においては、図12に示す通り、外管14と内管15とは連結支持手段21により局所的に固定されている。これにより、外管14と内管15とは連れ回りをする。連結支持手段21は、外管14と内管15とが連れ回りをしたときの負荷に耐えられる機械強度を有し、外側流路16を流れる冷却液の流れをできる限り妨げない構造にすることが望ましい。
【0066】
このような構成にした冷却ローラ10は、外側流路16内の冷却液の流れ(軸方向と回転方向の流れ)をスムーズにし、冷却効率を上げることができる。
【0067】
[構成例7]
次に、構成例7に係る冷却ローラ10を図13に示す。図13(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、2つの経路12a、12bは通水口20を介してつながっている構造の冷却ローラ10の概略断面図である。図13(b)は、図13(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X13から見た場合の内管15の拡大図である。
【0068】
内管15の通水口20が形成されている箇所と外管14との間には流路補助壁22が外管14の内壁に固定されており、内側流路18a、18bを流れてきた冷却液が通水口20を通り、外側流路16a、16bに流れ込み易くするようにしている。
【0069】
内管15が回転しない場合や、外管14と内管15とが連れ回りする場合は、流路補助壁22を通水口20の内部まで設けることが可能であるが、外管14と内管15とが非同期で回転する場合は流路補助壁22を内管15に接触しないように外側流路16内に設ける必要がある。
【0070】
また、図14に示すように、内管15が内管15aと内管15bとの2つに分割されている場合にも経路12a、12b近傍の外管14の内壁に流路補助壁22を固定させて設けることで、内側流路18a、18bを流れてきた冷却液を経路12a、12bを通って外側流路16a、16bに流れ込み易くすることができる。
【0071】
[構成例8]
次に、構成例8に係る冷却ローラ10を図15に示す。図15(a)は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、2つの経路12a、12bは通水口20を介してつながっている構造の冷却ローラ10の概略断面図である。図15(b)は、図15(a)に示した冷却ローラ10を図中矢印X15から見た場合の内管15の拡大図である。
【0072】
本構成例においては、内管15には外側流路16と内側流路18とを連通する少なくとも2個の通水口20a、20bが形成されており、冷却ローラ10の長手方向で冷却液の折り返す位置が周方向で異なるようになっている。これにより、周方向1周にわたり冷却ローラ10の長手方向の同一箇所で内側流路18から外側流路16に冷却液が全て流れてしまうのを抑制することができる。
【0073】
図15の冷却ローラ10の周方向の位置C2において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18aを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20aを通って、外管14と内管15との間隙である外側流路16a及び外側流路16bを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0074】
同様に、冷却液は、第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18bを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20aを通って、外管14と内管15との間隙である外側流路16a及び外側流路16bを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0075】
また、図15の冷却ローラ10の周方向の位置C1において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18aを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20bを通って、外管14と内管15との間隙である外側流路16a及び外側流路16bを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0076】
同様に、冷却液は、第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、内管15内の内側流路18bを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある通水口20bを通って、外管14と内管15との間隙である外側流路16a及び外側流路16bを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aおよび第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0077】
このように内管15に設けられた複数個の通水口20の位置を冷却ローラ10の周方向で異なる位置に配置することにより、周方向で異なる位置の外側流路16を流れてきた冷却液が通水口20を通って内側流路18に流れ込むときに、異なる通水口20から内側流路18に流れ込んだ冷却液が互いにぶつかり合うことがないため、対流や乱流を低減することができ、外側流路16から内側流路18への冷却液の流れがスムーズになり、冷却効率を上げることができる。また、これらの対流や乱流を低減することにより局所的に冷却効率が低下することを抑制することができる。
【0078】
[構成例9]
次に、構成例9に係る冷却ローラ10を図16に示す。図16は、冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けて、経路12aと経路12bは通水口20を介してつながっている構造の冷却ローラ10の概略断面図である。冷却ローラ10の長手方向と直交する方向に熱定着手段7を通って高温となった用紙Pが搬送される。
【0079】
図16において冷却液は、第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、内管15a内の内側流路18aを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bとを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15aとの間隙である外側流路16aを通り、第1の回転管継手手段11aの排水口13aから排出される。
【0080】
同様に、冷却液は第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、内管15b内の内側流路18bを通り、冷却ローラ10の長手方向途中にある経路12aと経路12bとを分離する流路壁17で折り返されて、外管14と内管15bとの間隙である外側流路16bを通り、第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出される。
【0081】
したがって、用紙P以外の外部からの受熱がない場合、冷却ローラ10の外側流路16を流れる冷却液の温度および冷却ローラ10の外管14の表面温度は、内側流路18a、18bで折り返されて外側流路16a、16bに流れ込んだ位置が最も低く、第1の回転管継手手段11a側や第2の回転管継手手段11b側で最も高くなる。
【0082】
そこで、本構成例においては、冷却ローラ10の長手方向に対して、用紙Pの中心位置が流路壁17の位置を通るように、用紙Pを搬送させる。これにより、用紙Pの幅方向に対して左右均等に温度勾配を持って冷却ローラ10の外管14が冷却されるとともに、経路12a、12bから同量の熱量を奪うことになるので、どちらか一方の経路12の冷却液の温度上昇が大きくなるといったことを防止することができる。
【0083】
また、用紙Pの幅方向に対して左右均等に温度勾配を持って冷却ローラ10の外管14が冷却されるため、用紙Pの幅方向のカール、定着による画質および光沢ムラを低減することができる。
【0084】
また、本構成例で冷却ローラ10に設けた流路壁17を有しない構造の冷却ローラ10を用いる場合には、冷却ローラ10の長手方向に対して、用紙Pの中心位置が通水口20の中心位置を通るように、用紙Pを搬送させればよい。
【0085】
ここで、用紙Pの幅が外側流路16aの長さより短い場合、経路12aのみに通水し、用紙Pは図17に示すように冷却ローラ10の経路12a上を搬送させる。このように一方の流路aへの通水のみで用紙Pの冷却を行うことで、エネルギーの低減および冷却装置100の長寿命化を図ることができる。
【0086】
図17においては、外側流路16aと外側流路16bとの長さを同一としているが、外側流路16aと外側流路16bとの長さが異なる場合も考えられる。その場合、用紙Pの幅を検出して、用紙Pの幅が外側流路16aと外側流路16bとのどちらの長さよりも短いときには外側流路16a上と外側流路16b上とのどちら側を搬送させてもよく、用紙Pの幅が外側流路16aと16bのどちらか一方より長く、もう一方より短いときには、用紙Pの幅よりも長い方の経路12a上または経路12b上を搬送させればよい。
【0087】
次に、図18を用いて、1つの送液手段で冷却液1を送液する場合について説明する。
冷却装置100に用いられている図18に示す冷却循環装置50は、タンク51内の冷却液1をポンプ52で送り出し、放熱手段であるラジエータ54を通るときに、冷却ファン53から送風を受けて外部に熱を放熱して冷却液1の温度を下げる(冷却液1と外部との熱交換)。ラジエータ54で冷却された冷却液1は分岐点J1で流路が2つに分かれた送液チューブ55それぞれにより冷却ローラ10の軸方向両端それぞれに取り付けられた、第1の回転管継手手段11aの給水口19a、及び、第2の回転管継手手段11bの給水口19bから、冷却ローラ10内に供給され、冷却ローラ内の経路12aや経路12bを流れる。このとき、熱定着手段7を通って高温となった用紙Pの熱を冷却ローラ10が奪い、冷却ローラ10内の冷却液1の温度が上昇する(冷却液1と用紙Pとの熱交換)。冷却ローラ10内で温度が上昇した冷却液1は第1の回転管継手手段11aの排水口13aや第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出され、合流点J2で再び一つの流路をとなった送液チューブ55を通り、タンク51を経由して再びポンプ52で送り出される。これらの冷却液1の循環を通して、用紙Pの熱を冷却装置100の外部に放出することを繰り返す。
【0088】
図18に示す冷却循環装置50において、ラジエータ54を出てから冷却ローラ10までの流路および冷却ローラ10の経路12a側と経路12b側の流路に関する構造が同一である場合、1つのポンプ52で送液することにより、給水口19a及び給水口19bには同一の流量および圧力となる。したがって、冷却ローラ10は流路壁17の左右で対称の冷却効率とすることができる。
【0089】
次に、図19を用いて、2つの送液手段で冷却液1を送液する場合について説明する。
図19に示す冷却循環装置50において、冷却ローラ10の経路12aと経路12bの冷却液1の循環系は独立した流路R1と流路R2となっている。
【0090】
流路R1側では、タンク51a内の冷却液1aをポンプ52aで送り出し、ラジエータ54aを通るときに、冷却ファン53aから送風を受けて外部に熱を放熱して冷却液1aの温度を下げる(冷却液1aと外部との熱交換)。ラジエータ54aで冷却された冷却液1aは送液チューブ55aにより冷却ローラ10の軸方向一端側に取り付けられた第1の回転管継手手段11aの給水口19aから冷却ローラ10内に供給され、冷却ローラ内の経路12aを流れる。このとき、熱定着手段7を通って高温となった用紙Pの熱を冷却ローラ10が奪い、冷却ローラ10内の冷却液1aの温度が上昇する(冷却液1aと用紙Pとの熱交換)。冷却ローラ10内で温度が上昇した冷却液1aは第1の回転管継手手段11aの排水口13aから排出され、タンク51aを経由して再びポンプ52aで送り出される。
【0091】
また、流路R2側では、タンク51b内の冷却液1bをポンプ52aで送り出し、ラジエータ54bを通るときに、冷却ファン53bから送風を受けて外部に熱を放熱して冷却液1bの温度を下げる(冷却液1bと外部との熱交換)。ラジエータ54bで冷却された冷却液1bは送液チューブ55bにより冷却ローラ10の軸方向一端側に取り付けられた第2の回転管継手手段11bの給水口19bから冷却ローラ10内に供給され、冷却ローラ内の経路12bを流れる。このとき、熱定着手段7を通って高温となった用紙Pの熱を冷却ローラ10が奪い、冷却ローラ10内の冷却液1bの温度が上昇する(冷却液1bと用紙Pとの熱交換)。冷却ローラ10内で温度が上昇した冷却液1bは第2の回転管継手手段11bの排水口13bから排出され、タンク51bを経由して再びポンプ52bで送り出される。
【0092】
したがって、冷却ローラ10内の経路12aと経路12bとが異なる場合や、冷却ローラ10の経路12aと経路12bとが外部から受ける受熱量が異なる場合や、ラジエータ54a、54bを出てから冷却ローラ10までの流路が異なる場合等において、ポンプ52a、52bの送液量、冷却ファン53a、53bの風量、冷却液1a、1bの流量を独立して制御することが可能となる。
【0093】
次に、冷却液1の流量を調整する機構ついて説明する。
冷却循環装置50を画像形成装置等に実装する場合、レイアウト上やスペースの問題により、例えラジエータ54を出てから冷却ローラ10までの流路および冷却ローラ10の経路12a側と経路12b側の流路に関する構造が同一であっても、第1の回転管継手手段11aと第2の回転管継手手段11bとに繋ぐ送液チューブ55の長さ異なることが十分考えられる。このとき、圧力損失等の影響により冷却ローラ10内の2つの経路12aと経路12bで冷却効率に差が生じる。また、循環系の構成の違いに加え、部品精度のばらつきやロット間のばらつきも考えられる。そこで、冷却循環装置50の送液チューブ55などに流量調整弁56を繋いで、機械的機構により流量の調整を可能にする。
【0094】
次に、冷却液1の温度を検知して冷却液1の流量を制御する場合について説明する。図20はタンク51a、51b内に冷却液1の温度を検知する温度検知手段57a、57bを設けた例である。
【0095】
温度検知手段57a、57bによって検知した冷却液1の温度はフィードバック制御され、冷却ローラ10の経路12aと経路12bとを流れる冷却液の温度が同一になるようにポンプ52a、52bの送液量または流量調整弁56a、56bを調整して、冷却液1の流量を調整する。
【0096】
ここで、冷却する対象物は冷却ローラ10上を搬送される用紙Pであるから、温度検知手段57a、57bにより冷却ローラ10内の外側流路16a、16bを流れる冷却液1の温度を検知してフィードバック制御する方法が最も精度が良いことになる。しかし、冷却ローラ10内の外側流路16a、16bは温度検知手段57a、57bを設けるためのスペース的な問題や、冷却ローラ10が回転駆動する問題などがあるため、実際に温度検知手段57a、57bを設ける場所としては、冷却液1が第1の回転管継手手段11aの給水口19aや第2の回転管継手手段11bの給水口19bに流れ込む直前の図20に示す温度検知手段57c、57dが配設された位置が望ましい。また、各温度検知手段57によって検知した冷却液1の温度をフィードバックして、冷却ファン53a、53bの風量を制御して冷却液1の温度を制御する構成も可能である。
【0097】
次に、冷却ローラ10の表面近傍の温度を検知して冷却液の流量を制御する場合について説明する。
図21は冷却ローラ10の外管14内部に冷却ローラ10の表面近傍の温度を検知する温度検知手段58を設けた例である。温度検知手段58によって検知した冷却ローラ10の表面近傍の温度はフィードバック制御され、冷却ローラ10の経路12aと経路12bとを流れる冷却液の温度が同一になるように例えば、図18に示したポンプ52の送液量または流量調整弁56a、56bを調整して、冷却液の流量を調整する。また、温度検知手段58によって検知した冷却ローラ10の冷却ローラ10の表面近傍の温度をフィードバックして、例えば、図18の冷却ファン53の風量を制御して冷却液の温度を制御する。
【0098】
図22は、本発明の冷却ローラ10を有する冷却装置100を搭載したタンデム型中間転写ベルト方式のカラー画像形成装置の構成概略図である。
【0099】
複数のローラによって中間転写媒体としての中間転写ベルト61を展張し、中間転写ベルト61はこれらのローラにより回転するように構成すると共に、中間転写ベルト61のまわりに画像形成用のプロセス手段を配置している。
【0100】
中間転写ベルト61の回転方向を図中矢印aとするとき、中間転写ベルト61の上方であってローラ62とローラ63との間には、中間転写ベルト61の回転方向の上流側から順に画像形成用のプロセス手段として、第1画像ステーション64Y、第2画像ステーション64C、第3画像ステーション64M、第5画像ステーション64Bkが配置されている。例えば第1画像ステーション64Yは、ドラム状の感光体71Yの周囲に帯電手段70Y、光書き込み手段72Y、現像装置73Y、クリーニング手段74Yが配置され、さらに中間転写ベルト61を挟んで感光体71の対向位置に中間転写ベルト61への転写手段としての1次転写ローラ75Yが設けられており、他の3つの画像ステーションも同一構成となっている。そしてそれら4つの画像ステーションが互いに所定のピッチ間隔となるように左右並列に配置されている。
【0101】
本実施形態では光書き込み手段72をLEDを光源とする光学系としているが、半導体レーザーを光源とするレーザー光学系で構成することもでき、感光体71に対して画像情報に応じた露光を行う。
【0102】
中間転写ベルト61の下方には、シート状部材である用紙Pの用紙収納部76および給紙コロ77、レジストローラ対78、中間転写ベルト61を張架するローラ65に中間転写ベルト61を介して対向するように設けられた中間転写ベルト61から用紙Pへの転写手段としての2次転写ローラ66、中間転写ベルト61の裏面に接するローラ68の対向位置に中間転写ベルト61のおもて面に接するように設けられたクリーニング手段69、熱定着手段7、用紙Pを冷却する冷却ローラ10を有する冷却装置100、トナー定着後の用紙Pの排出部である排紙収容部8などが配置されている。そして、用紙収納部76から排紙収容部8へ至る用紙搬送路79が延びている。両面画像形成時に裏面の画像形成を行わせるため、冷却装置100を一度通過した用紙Pを反転させ、再度、レジストローラ対78へ搬送する両面画像形成用の用紙搬送路80も備えている。
【0103】
なお、冷却装置100の冷却ローラ10は用紙Pの熱を受熱する受熱部であり、冷却ファン53を装着したラジエータ54、ポンプ52、タンク51と共に送液チューブ55で連通/連結され、冷却液1が封入されている。冷却液の循環経路は送液チューブ55の矢印で示すように、ラジエータ54で冷やされた冷却液1を、冷却ローラ10へ供給し、そして冷却ローラ10内を廻ってから排出し、その後にタンク51、ポンプ52へ送り、再び、ラジエータ54に戻す順序であり、ポンプ52の回転圧力により冷却液1を循環させ、ラジエータ54で放熱することで冷却液1、如いては冷却ローラ10を冷やす。ポンプ52のパワーやラジエータ54の大きさなどは、熱設計条件(冷却ローラ10が冷却すべき熱量と温度の条件)によって決定される流量、圧力、冷却効率などを元に選定される。
【0104】
画像の形成プロセスは、第1画像ステーション64Yに着目すれば、一般の静電記録方式に準じていて、暗中にて帯電手段70Yにより一様に帯電された感光体71Y上に光書き込み手段72Yにより露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置73Yによりトナー像として可視像化する。そのトナー像は1次転写ローラ75Yにより感光体71Y上から中間転写ベルト61に転写される。転写後の感光体71Yの表面はクリーニング手段74によりクリーニングされる。他の画像ステーション64も第1画像ステーション64Yと同構成であり、同様の画像形成プロセスが行われる。
【0105】
画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkにおける各現像装置73は、それぞれ異なる4色のトナーによる可視像化機能を有しており、各画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkでイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを分担すれば、フルカラー画像を形成することができる。よって、中間転写ベルト61の同一画像形成領域が4つの画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkを順次通過する間に、中間転写ベルト61を挟むようにして各感光体71とそれぞれ対向して設けられた1次転写ローラ75により与えられる転写バイアスによって、それぞれ1色ずつトナー像を中間転写ベルト61上に重ね転写されるようにすれば、上記同一画像形成領域が各画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkを1回通過した時点で、この同一画像領域に、重ね転写によってフルカラートナー画像を得ることができる。
【0106】
そして、中間転写ベルト61上に形成されてフルカラートナー画像は、用紙Pに転写される。転写後の中間転写ベルト61はクリーニング手段69によりクリーニングされる。用紙Pへの転写は転写時においてローラ65上で中間転写ベルト61を介して2次転写ローラ66に転写バイアスを印加し、2次転写ローラ66と中間転写ベルト61とのニップ部に用紙Pを通過させることにより行なわれる。用紙Pへの転写後、用紙P上に担持されたフルカラートナー像を熱定着手段7で定着することにより、用紙P上にフルカラーの最終画像が形成され、排紙収容部8に積載される。
【0107】
本実施形態の画像形成装置においては、排紙収容部8に用紙Pが積載される前に、熱定着手段7の直後に配置した冷却装置100を用紙Pが通過する。通過する際、熱定着手段7で熱せられた用紙Pが受熱部である冷却ローラ10に接触しながら通過することになるので、冷却ローラ10の表面で用紙Pから熱を吸熱し、この熱を冷却ローラ10内部の冷却液1へ伝達する。熱が伝達され高温となった冷却液1は、この後、冷却ローラ10から排出され、冷却液1はタンク51、ポンプ52を経て、冷却ファン53を装着したラジエータ54に送られ、そこで熱が画像形成装置外に排熱される。ラジエータ54で熱が除去され室温近くにまで下げられた冷却液1は、その後、再び冷却ローラ10へと送られる。このような冷却液1による高い冷却性能の排熱サイクルによって、熱定着手段7で熱せられて高温となった用紙Pが効率良く冷やされる。従って、用紙Pが排紙収容部8に積載される時点では、用紙P上のトナーを確実に硬化状態とさせることができる。特に両面画像形成出力の際に大きな問題となっていたブロッキング現象を回避することができる。
【0108】
本実施形態では、冷却ローラの長手方向両端それぞれに回転管継手手段11を取り付けているが、図23に示すように、冷却ローラの一端側にだけ回転管継手手段11を取り付けた構成であっても良い。この場合、外管14に内包される内管15の内部を部分的に二重管構造にする。これにより、回転管継手手段11の給水口19から供給された冷却液1が内管15内の内側流路18aを冷却ローラの回転管継手手段11が取り付けられた側である一端側から他端側に向かって流れ、内管15の略中央部に形成された連通口20を通り分岐壁25によって分岐され外側流路16aと外側流路16bとに流れ込む。外側流路16aに流れ込んだ冷却液1は、外側流路16aを前記一端側に向かって流れ回転管継手手段11の排水口13から排出される。一方、外側流路16bに流れ込んだ冷却液1は、外側流路16bを前記他端側に向かって流れ外管14の他端側の内側端面で折り返されて内管15内の内側流路18bに流れ込む。内側流路18に流れ込んだ冷却液1は前記一端側に向かって流れ内管5内の内側流路18cを通り回転管継手手段11の排出口13から排出される。
【0109】
以上、本実施形態によれば、シート状部材である用紙Pに接することで用紙Pを冷却する冷却ローラ10と、冷却ローラ10に設けられた供給口から冷却ローラ10内に冷却媒体である冷却液1を供給し、冷却ローラ10に設けられた排出口から冷却ローラ10外に排出された冷却液1を回収する冷却媒体供給回収手段であるポンプ52と、を備えた冷却装置100において、冷却ローラ10は、外管14内に内管15を内包し、外管14と内管15との隙間を冷却液1が流れる外側流路16、及び、内管15内を冷却液1が流れる内側流路18を有する二重管構造であり、内管15の冷却ローラ長手方向途中に外側流路16と内側流路18とを連通する開口を設けており、ポンプ52によって供給された冷却液1が内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み少なくとも冷却ローラ10の一端側に向かって流れる第1の経路である経路12aと、ポンプ52によって供給された冷却液1が内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み少なくとも冷却ローラ10の他端側に向かって流れる第2の経路である経路12bとが形成されるように構成した。これにより、冷却ローラ10の長手方向で冷却液1が流れる経路を2つに分割して冷却ローラ10が冷却されるので、冷却ローラ10の長手方向で冷却液1を一方向で行う構成よりも、冷却ローラ10の温度上昇を低減することができる。また、冷却ローラ10の長手方向及び両端の温度差を低減することができる。また、冷却ローラ10の幅方向で均一な画質、光沢をえることができる。さらに、冷却ローラ10の長手方向で対称に温度制御しているので、用紙Pのカールを低減することができる。
また、本実施形態によれば、上記開口が内管15の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、冷却ローラ10の一端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第1の供給口と、冷却ローラ10内から冷却ローラ10外に冷却液1を排出する第1の排出口とを設け、冷却ローラ10の他端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第2の供給口と、冷却ローラ10内から冷却ローラ10外に冷却液1を排出する第2の排出口とを設けており、前記第1の供給口から供給された冷却液1は前記経路12aで内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却液1は前記経路12bで内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出される。これにより、冷却ローラ10の構成が簡素化されるので、冷却装置100の低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、上記開口が内管15の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、冷却ローラ10の一端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第1の供給口を設け、冷却ローラ10の他端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第2の供給口を設け、冷却ローラ10の一端側と他端側とのどちらか一方に、冷却ローラ10内から冷却ローラ10外に冷却液1を排出する排出口を設けており、前記第1の供給口から供給された冷却液1は前記経路12aで内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却液1は前記経路12bで内側流路18を流れ前記開口を通って外側流路16に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出される。これにより、前記経路12aと前記経路12bとを流れる冷却液1の前記排出口を1箇所に共通化しているので、冷却ローラ10の構成が簡素化されるので、冷却装置100の低コスト化を図ることができ、また、前記排出口とポンプ52などとを繋ぐ送液チューブ55の引き回しを簡単にすることができる。
また、本実施形態によれば、冷却ローラ10内を冷却ローラ長手方向途中で2つの領域に仕切る仕切り壁である流路壁17を有し、冷却ローラ10の一端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第1の供給口と、冷却ローラ10内から冷却ローラ10外に冷却液1を排出する第1の排出口とを設け、冷却ローラ10の他端側に、冷却ローラ10内に冷却液1を供給する第2の供給口と、冷却ローラ10内から冷却ローラ10外に冷却液1を排出する第2の排出口とを設けており、前記第1の供給口から供給された冷却液1は上記経路12aで内側流路18を流れ流路壁17で折り返されて流路壁17よりも前記一端側にある外側流路16に流れ込み前記第1の排出口から排出され、前記第2の供給口から供給された冷却液1は上記経路12bで内側流路18を流れ流路壁17で折り返されて流路壁17よりも前記他端側にある外側流路16に流れ込み前記第2の排出口から排出される。これにより、冷却ローラ10の構成が簡素化されるので、冷却装置100の低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、上記経路12aと上記経路12bとの冷却ローラ長手方向途中で流路壁17によって冷却液1の折り返される位置が、冷却ローラ10の周方向で段階的または連続的に異なる。これにより、冷却ローラ10の用紙Pが搬送される領域において、冷却ローラ10の長手方向で冷却ローラ10の1周にわたり外側流路16に通水されない箇所を無くすことができるので、局所的に冷却できない箇所を無くすことができる。
また、本実施形態によれば、冷却ローラ10の両端それぞれに、外管14を回転可能に支持し、内管15を固定支持する支持手段である回転管継手手段11を設けたことで、外側流路16内の外管14近傍で冷却液1の流れ(長手方向と回転方向の流れ)に乱流を起こさせるので、冷却効率を上げることができる。
また、本実施形態によれば、冷却ローラ10の両端それぞれに、外管14及び内管15を回転可能に支持する支持手段である回転管継手手段11を設けたことで、外側流路16内での冷却液1の流れ(軸方向の回転方向の流れ)をスムーズにしているので、冷却効率を上げることができる。
また、本実施形態によれば、前記開口の近傍に内側流路18から前記開口を通して外側流路16に冷却液1を導くガイド壁である流路補助壁22、23、24を設けたことで、2つの異なる内側流路18を流れてきた冷却液1を直接合流させることなく、内側流路18から外側流路16の方向にスムーズに流れを導くことができるので、冷却効率の低下を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、上記開口を内管15の長手方向で異なる位置に複数形成したことで、冷却ローラ10の長手方向の前記開口がある箇所で冷却ローラ10の1周にわたり、外側流路16で2つの異なる外側流路16を流れてきた冷却液1がぶつかり合う位置をずらしているので、局所的に冷却効率が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、用紙Pの冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅の略中央が、上記経路12aで外側流路16から内側流路18に冷却液1が流れ込む位置、及び、上記経路12bで外側流路16から内側流路18に冷却液1が流れ込む位置、の近傍を通ることで、2つの異なる外側流路16を通る用紙Pの面積が同じになるように中央通紙されるので、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、用紙Pの冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅が、上記経路12aの外側流路16と上記経路12bの外側流路16とのどちらかの冷却ローラ長手方向の幅よりも狭い場合には、用紙Pの前記幅よりも冷却ローラ長手方向の幅が広い上記経路12a上または上記経路12b上で用紙Pが搬送され、用紙Pが搬送される側の経路にのみ冷却液1を流す。これにより、前記経路12aと前記経路12bとのどちらか一方への通水のみで用紙Pの冷却を行うので、エネルギーの低減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、上記経路12a及び上記経路12bに流す冷却液1の送液を1つの送液手段で行う。これにより、1つの送液手段で前記経路12aと前記経路12bとに冷却液1を流しているので、冷却装置100の小型化や低コスト化を図ることができる。また、前記経路12aと前記経路12bとを同一構成にすることで、冷却ローラ長手方向の左右で冷却ローラ10の温度及び温度勾配を同一にすることができる。
また、本実施形態によれば、上記経路12aに流す冷却液1と上記経路12bに流す冷却液1とを別個の送液手段で行うことで、前記経路12aの流量と前記経路12bに流す流量とをそれぞれ独立して制御することができる。また、送液手段として送液性能の低い小型、低コストのものを用いることができる。
また、本実施形態によれば、上記経路12aと上記経路12bとに流す冷却液1の流量を調整する流量調整手段である流量調整弁56を有しており、流量調整弁56によって前記経路12aに流す冷却液1の流量と前記経路12bに流す冷却液1の流量とを同一にする。これにより、冷却ローラ長手方向において前記経路12aと前記経路12bとの協会部を中心にして対称の温度勾配に制御することができる。また、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、上記前記経路12aと上記経路12bとに流す冷却液1の流量を調整する流量調整手段である流量調整弁56と、上記経路12a及び上記経路12bを流れる冷却液1の温度を検知する温度検知手段57とを有し、温度検知手段57によって検知した冷却液1の温度に基づいて、前記経路12a上及び前期経路12b上の冷却効率が同一になるように、流量調整弁56によって前記経路12aに流す冷却液1の流量と前記経路12bに流す冷却液1の流量とを調整する。これにより、冷却ローラ長手方向の左右で冷却ローラ10の温度および温度勾配が同一になるように制御しているので、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、冷却液1の熱を外部に放熱する放熱手段であるラジエータ54と、ラジエータ54に送風する冷却ファン53と、冷却ファン53の風量を制御する風量制御手段と、上記経路12a及び上記経路12bを流れる冷却液1の温度を検知する温度検知手段57とを有し、温度検知手段57によって検知した冷却液1の温度に基づいて、前記経路12a及び前記経路12bを流れる冷却液1の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって冷却ファン53の風量を制御する。これにより、冷却ローラ長手方向の左右で冷却ローラ10の温度および温度勾配が同一になるように制御しているので、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、上記前記経路12aと上記経路12bとに流す冷却液1の流量を調整する流量調整手段である流量調整弁56と、上記経路12a上及び上記経路12b上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段58とを有し、温度検知手段58によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記経路12a上及び前記経路12b上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、流量調整弁56によって前記経路12aに流す冷却液1の流量と前記経路12bに流す冷却液1の流量とを調整する。これにより、冷却ローラ長手方向の左右で冷却ローラ10の温度および温度勾配が同一になるように制御しているので、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、冷却液1の熱を外部に放熱する放熱手段であるラジエータ54と、ラジエータ54に送風する冷却ファン53と、冷却ファン53の風量を制御する風量制御手段と、上記経路12a上及び上記経路12b上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段58とを有し、温度検知手段58によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記経路12a上及び前記経路12b上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって冷却ファン53の風量を制御する。これにより、冷却ローラ長手方向の左右で冷却ローラ10の温度および温度勾配が同一になるように制御しているので、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
また、本実施形態によれば、用紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、用紙P上に形成されたトナー像を少なくとも熱によって用紙Pに定着させる熱定着手段7と、熱定着手段7によってトナー像が定着された用紙Pを冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、前記冷却手段として、本発明の冷却装置100を用いることで、用紙Pの幅方向のカールや、定着による画質及び光沢ムラを低減することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 冷却液
2 ローラ
3 ローラ
4 搬送ベルト
5 上ガイド
6 ブラケット
7 熱定着手段
8 排紙収容部
10 冷却ローラ
10b 断面孔
10c フランジ
10d フランジ
10e リング
10f ネジ
10h 平行ネジ部
10i 嵌合部
10k 開口孔
10m 断面孔
11 回転管継手手段
11c 嵌合部
11e ケーシング
11f フランジ
11g リング
11h ネジ
11i リング
11j ロータ
11k 平行ネジ部
12 流路
13 排水口
14 外管
15 内管
16 外側流路
17 流路壁
18 内側流路
19 給水口
20 通水口
21 連結支持手段
22 流路補助壁
23 流路補助壁
24 流路補助壁
25 分岐壁
35e ケーシング
50 冷却循環装置
51 タンク
52 ポンプ
53 冷却ファン
54 ラジエータ
55 送液チューブ
56 流量調整弁
57 温度検知手段
58 温度検知手段
61 中間転写ベルト
62 ローラ
63 ローラ
64 画像ステーション
65 ローラ
66 2次転写ローラ
68 ローラ
69 クリーニング手段
70 帯電手段
71 感光体
72 書き込み手段
73 現像装置
74 クリーニング手段
75 1次転写ローラ
76 用紙収納部
77 給紙コロ
78 レジストローラ対
79 用紙搬送路
80 用紙搬送路
100 冷却装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開2006−003819号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材に接することでシート状部材を冷却する冷却ローラと、
該冷却ローラに設けられた供給口から冷却ローラ内に冷却媒体を供給し、該冷却ローラに設けられた排出口から冷却ローラ外に排出された冷却媒体を回収する冷却媒体供給回収手段と、を備えた冷却装置において、
前記冷却ローラは、外管内に内管を内包し、該外管と該内管との隙間を冷却媒体が流れる外側流路、及び、該内管内を冷却媒体が流れる内側流路を有する二重管構造であり、前記内管の冷却ローラ長手方向途中に前記外側流路と前記内側流路とを連通する開口を設けており、
前記冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み少なくとも前記冷却ローラの一端側に向かって流れる第1の経路と、前記冷却媒体供給回収手段によって供給された冷却媒体が前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み少なくとも前記冷却ローラの他端側に向かって流れる第2の経路とが形成されるように構成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
請求項1の冷却装置において、
上記開口が上記内管の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、
上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第1の排出口とを設け、
前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第2の排出口とを設けており、
前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出され、
前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側と前記他端側との少なくとも一方に向かって流れ前記第1の排出口と前記第2の排出口との少なくとも一方から排出されることを特徴とする冷却装置。
【請求項3】
請求項1の冷却装置において、
上記開口が上記内管の冷却ローラ長手方向の略中央部に形成されており、
上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口を設け、
前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口を設け、
上記冷却ローラの一端側と他端側とのどちらか一方に、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に上記冷却媒体を排出する排出口を設けており、
前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出され、
前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記開口を通って前記外側流路に流れ込み前記一端側または前記他端側に向かって流れ前記排出口から排出されることを特徴とする冷却装置。
【請求項4】
請求項1の冷却装置において、
上記冷却ローラ内を冷却ローラ長手方向途中で2つの領域に仕切る仕切り壁を有し、
上記冷却ローラの一端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第1の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第1の排出口とを設け、
前記冷却ローラの他端側に、該冷却ローラ内に上記冷却媒体を供給する第2の供給口と、前記冷却ローラ内から冷却ローラ外に前記冷却媒体を排出する第2の排出口とを設けており、
前記第1の供給口から供給された冷却媒体は上記第1の経路で前記内側流路を流れ前記仕切り壁で折り返されて前記仕切り壁よりも前記一端側にある前記外側流路に流れ込み前記第1の排出口から排出され、
前記第2の供給口から供給された冷却媒体は上記第2の経路で前記内側流路を流れ前記仕切り壁で折り返されて前記仕切り壁よりも前記他端側にある前記外側流路に流れ込み前記第2の排出口から排出されることを特徴とする冷却装置。
【請求項5】
請求項4の冷却装置において、
上記第1の経路と上記第2の経路との冷却ローラ長手方向途中で上記仕切り壁によって折り返される位置が、前記冷却ローラの周方向で段階的または連続的にことなることを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の冷却装置において、
上記冷却ローラの両端それぞれに、上記外管を回転可能に支持し、上記内管を固定支持する支持手段を設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5の冷却装置において、
上記冷却ローラの両端それぞれに、上記外管及び上記内管を回転可能に支持する支持手段を設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項8】
請求項2または3の冷却装置において、
前記開口の近傍に前記内側流路から前記開口を通して前記外側流路に冷却媒体を導くガイド壁を設けたことを特徴とする冷却装置。
【請求項9】
請求項2または3の冷却装置において、
上記開口を上記内管の長手方向で異なる位置に複数形成したことを特徴とする冷却装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の冷却装置において、
シート状部材の冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅の略中央が、上記第1の経路で前記内側流路から前記外側流路に冷却媒体が流れ込む位置、及び、上記第2の経路で前記内側流路から前記外側流路に冷却媒体が流れ込む位置、の近傍を通ることを特徴とする冷却装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の冷却装置において、
シート状部材の冷却ローラ長手方向に直交する方向の幅が、上記第1の経路の前記外側流路と上記第2の経路の前記外側流路とのどちらかの冷却ローラ長手方向の幅よりも狭い場合には、シート状部材の前記幅よりも前記冷却ローラ長手方向の幅が広い上記第1の経路上または上記第2の経路上でシート状部材が搬送され、シート状部材が搬送される側の流路にのみ冷却媒体を流すことを特徴とする冷却装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
上記第1の経路及び上記第2の経路に流す冷却媒体の送液を1つの送液手段で行うことを特徴とする冷却装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
上記第1の経路に流す冷却媒体と上記第2の経路に流す冷却媒体とを別個の送液手段で行うことを特徴とする冷却装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の冷却装置において、
上記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段を有しており、
前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを同一にすることを特徴とする冷却装置。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
上記前記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段と、
上記第1の経路及び上記第2の経路を流れる冷却媒体の温度を検知する温度検知手段とを有し、
前記温度検知手段によって前記検知した冷却媒体の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前期第2の経路上の冷却効率が同一になるように、前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを調整することを特徴とする冷却装置。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
冷却媒体の熱を外部に放熱する放熱手段と、
該放熱手段に送風する冷却ファンと、
該冷却ファンの風量を制御する風量制御手段と、
上記第1の経路及び上記第2の経路を流れる冷却媒体の温度を検知する温度検知手段とを有し、
前記温度検知手段によって検知した冷却媒体の温度に基づいて、前記第1の経路及び前記第2の経路を流れる冷却媒体の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって前記冷却ファンの風量を制御することを特徴とする冷却装置。
【請求項17】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
上記前記第1の経路と上記第2の経路とに流す冷却媒体の流量を調整する流量調整手段と、
上記第1の経路上及び上記第2の経路上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段とを有し、
前記温度検知手段によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前記第2の経路上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、前記流量調整手段によって前記第1の経路に流す冷却媒体の流量と前記第2の経路に流す冷却媒体の流量とを調整することを特徴とする冷却装置。
【請求項18】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の冷却装置において、
冷却媒体の熱を外部に放熱する放熱手段と、
該放熱手段に送風する冷却ファンと、
該冷却ファンの風量を制御する風量制御手段と、
上記第1の経路上及び上記第2の経路上における冷却ローラ表面近傍の温度を検知する温度検知手段とを有し、
前記温度検知手段によって検知した冷却ローラ表面近傍の温度に基づいて、前記第1の経路上及び前記第2の経路上の冷却ローラ表面近傍の温度が同一になるように、前記風量制御手段によって前記冷却ファンの風量を制御することを特徴とする冷却装置。
【請求項19】
シート状部材上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
該シート状部材上に形成されたトナー像を少なくとも熱によってシート状部材に定着させる熱定着手段と、
該熱定着手段によってトナー像が定着されたシート状部材を冷却する冷却手段とを備えた画像形成装置において、
前記冷却手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18の冷却装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−34008(P2011−34008A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182899(P2009−182899)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】