説明

冷却装置及び画像形成装置

【課題】冷却媒体の循環路から冷却媒体が流出したとき、その流出量を最小限に抑える冷却装置、及びその冷却装置を搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】冷却装置は、冷却媒体が循環可能な循環路6を備える。循環路6に、冷却媒体を循環路内で循環させる送液部2と、吸熱作用で被冷却物20から熱を受ける受熱部5と、熱を外部に放出する放熱部3と、冷却媒体を貯蔵するリザーブタンク10とを配置する。タンク10は、上流側に開口する挿入口17とタンク内に開口する流入口13とを有する流入管11を備える。流入口13の高さは、流出口14が浸漬する最も低い水位よりも微小寸だけ低い高さに位置するとともに、挿入口17、および挿入口17と受熱部5との間の循環路配管は流出口14より高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却液を循環させて吸熱作用により発熱体を冷却する装置、及びその冷却装置を書き込み部や現像部等の発熱箇所に配設して局所冷却を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やレーザプリンタは、感光体上に静電潜像を形成してから用紙にトナー像を定着する画像作像工程を行う。このため、画像形成装置を制御するための各種電装回路および電源装置、感光体を帯電させるために用いる高圧電源および帯電装置、感光体上に静電潜像を形成する光書き込み装置、現像剤を撹拌して感光体上の静電潜像を現像する現像装置、及びトナー像を用紙に定着させる定着装置等の数多くの発熱を伴うユニットから形成されている。
【0003】
近年、画像形成装置は高速印刷化に伴って各ユニットの発熱量が増加している。また、小型化に伴って高集積化されることにより熱が装置外に排熱し難い構造となっている。このため、従来と比較して装置内の温度が上昇する傾向にある。
【0004】
特に、使用環境温度が高いときや、高速連続印刷等を行ったとき等により装置内の温度が上昇する。このような場合、現像装置内の現像剤のトナーが現像装置周囲からの受熱や、攪拌による摩擦熱により軟化または溶融して固着し、異常画像が発生することがある。
【0005】
そこで、従来では、一般的に、装置内の温度上昇を防止するために冷却したい箇所の周囲にダクトを配置して冷却ファンにより送風して冷却する空冷方式が採用されていた。
【0006】
しかしながら、装置の小型化および高集積化に伴い、送風するダクトを配置する十分なスペースの確保が困難であり、それにより必要な冷却性能を得ることも困難になってきている。また、必要な冷却性能を得るために冷却ファンの風量を上げると、トナー飛散の問題があるため空冷方式では限界がある。
【0007】
そこで、近年では、装置内に冷却液を循環させて冷却したい箇所に、内部に冷却液を通水した受熱部を当接させて熱を奪い、放熱部から装置外部へ熱を放熱して熱交換する液冷方式が提案されている。この液冷方式では、高い冷却性能で局所冷却が可能であるが、経時劣化による腐食および破損により液漏れが発生する可能性がある。液漏れが発生すると冷却性能が低下すると共に、装置内部の作像部および電装回路に冷却液がかかると異常画像やショートによるシステムダウン等の問題が発生する可能性がある。
【0008】
また、冷却液の循環経路においては、一般的に、ゴム製送液チューブ等が用いられ、冷却液を溜めるためのリザーブタンクには樹脂製が用いられる。このため、水分透過により冷却液が減少する。そこで、予め初期に保証年数の冷却液の減少分および濃度上昇を考慮した十分な液量を入れる必要がある。そのため、この分の液量を入れるためのリザーブタンクが必要になり、冷却装置に用いる冷却液量が多くなる。したがって、経時劣化等の要因で特にリザーブタンク周辺から冷却液が漏れると多量の液漏れが発生する可能性がある。
【0009】
一方、初期においては、水分透過による冷却液の減少はないので、まずは冷却装置に必要な液量を入れておき、定期的に液量を確認して水分透過による冷却液の減少分を補充する方法もある。しかしながら、この方法では、定期的に冷却液を補充するメンテナンスが必要となって、装置の稼動率の低下を招くことになる。
【0010】
そして、従来には、冷却装置の循環路の中で冷却液の液量が最も多いリザーブタンクを冷却装置の最下部に配置するようにしたものがある(特許文献1)。このように配置することによって、冷却装置が稼動していないときに、リザーブタンクに近い循環路が破損して冷却液が流れ出したとしても画像形成装置の内部に多量の冷却液がかかる可能性を低くしている。
【0011】
また、発熱体に冷却水を供給する主タンクと、この主タンクに冷却水を補給する補助タンクとを備えたものがある(特許文献2)。この場合、主タンクの冷却水が水分透過等によって減少して水位が低下すると、補助タンクから自動的に主タンクへ冷却水が補給され、主タンクの液量を常時一定に保つようにしている。このため、水分透過を考慮して、初期に主タンクへこの分の冷却水を余分に入れる必要がなく、主タンクに近い循環路が破損して冷却水が流れ出したとしても主タンクから冷却水が流出する液量を少なくできる。
【0012】
さらに、液冷媒(冷却冷媒)を貯溜するタンクを備え、このタンクの液冷媒の水面が装置の天地逆転によって変化しても液冷媒が受熱部に供給される位置に流体流出口を設けたものがある(特許文献3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記特許文献1に記載のものでは、送液ポンプが冷却装置の上部にあるため、非自吸式ポンプでは、何らかの原因で空気が混入すると送液ポンプに冷却液を送り込めないので冷却液を循環することができないという問題がある。また、自吸式ポンプでも何らかの原因で空気が混入して送液ポンプに呼び水が送れないと自力で空気を排出して冷却液を循環することができないという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に記載のものでは、タンクが大型化するとともに、構造としても全体として複雑化している。このため、高コスト化していた。
【0015】
さらに、特許文献3に記載のものでは、冷却装置の停止時に、流入口の位置が流出口より低位置のとき、タンクの上流側でタンクに近い循環路が破損して冷却液が流れ出すと、タンク内の冷却液が多量に流出する可能性があるという問題がある。なお、大型の装置では、装置が大きく傾くことや天地逆転することはない。このため、この特許文献3に記載の構造はあまり実用的ではない。
【0016】
本発明は、斯かる事情に鑑み、冷却媒体を循環させない電源OFF時または冷却制御待機時において、何らかの異常により冷却媒体の循環路から冷却媒体が流出したとき、その流出量を最小限に抑える冷却装置、及びその冷却装置を搭載した画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の冷却装置は、冷却媒体が循環可能な循環路を備え、この循環路に、前記冷却媒体を循環路内で循環させる送液部と、吸熱作用で被冷却物から熱を受ける受熱部と、この受熱部で吸熱した熱を外部に放出する放熱部と、前記冷却媒体を貯蔵するリザーブタンクとを配置した冷却装置において、リザーブタンクの上流側に開口する挿入口とリザーブタンク内の上流側において開口する流入口とを有する流入管部と、リザーブタンク内の下流側において開口して冷却媒体が流出する流出口とを備え、前記流入管部の流入口の高さは、前記流出口が浸漬する最も低い水位よりも微小寸だけ低い高さに位置するとともに、前記流入管部の挿入口、およびこの挿入口と前記受熱部との間の循環路配管は前記リザーブタンクの流出口より高いものである。
【0018】
本発明の冷却装置によれば、流入口の高さを、流出口が浸漬する最も低い水位よりも微小寸だけ低い高さに位置しているので、流入口からリザーブタンクに流入する際、冷却媒体の媒体面上への落下を回避できる。また、流出口と流入口とがほぼ同一高さ位置に配置され、リザーブタンクの内圧が上がっている状態でリザーブタンクの下流側の循環路配管が破損等しても、リザーブタンクからの冷却媒体の流出を少なくできる。さらに、流入管部の挿入口、およびこの挿入口と前記受熱部との間の循環路配管は流出口よりも高位であるので、リザーブタンクの上流側の循環路配管が破損等しても、リザーブタンクからの冷却媒体の流出を防止できる。
【0019】
前記リザーブタンクは上流壁と下流壁とを有し、前記流出口を構成する流出管は、平面的に見て、リザーブタンクの下流壁の幅方向中央と上流壁の幅方向中央とを結ぶ直線上における下流壁側に設けられ、前記流入口を構成する流入管は、前記直線からずれた位置における上流壁側に設けられているのが好ましい。
【0020】
冷却媒体がリザーブタンクに流入する際に気泡が発生する場合がある。このため、流出口と流入口との位置関係を前記のように構成することによって、流入口側で生じた気泡が流出口から流出しにくくなる。
【0021】
前記リザーブタンク内に、冷却媒体の変位する媒体上面を流入口と流出口との間において分割する仕切り部材を配置するようにしてもよい。このような仕切り部材を配置することによって、流入口側で生じた気泡が流出口から流出しにくくなる。
【0022】
前記流出口は、リザーブタンクの下流壁内面よりもタンク内に位置するのが好ましい。冷却媒体の上面(水位)が流出口の高さ付近まで低下した場合に、流入口側で生じた気泡がリザーブタンクの内壁面を伝わって、流出口から流出しにくくなる。
【0023】
前記流出口の断面積は、流入口の断面積よりも小さく設定してもよい。このように設定することによって、流入口側で生じた気泡が流出口から流出しにくいものとなる。
【0024】
リザーブタンクの上流側にリザーブタンクからの冷却媒体の循環路配管への逆流を防止する逆流防止手段を設けたものであってもよい。このように逆流防止手段を設ければ、逆流防止手段よりも上流側で循環路配管が破損した場合に、リザーブタンクからの冷却媒体の流出を防止できる。
【0025】
前記流入口及び流出口を備えたリザーブタンクは、前記送液部を除く装置最下部に配置されるのが好ましい。このように設定することによって、リザーブタンクから冷却媒体が流出したとしても、この冷却装置を構成する他の部材にかかることを防止できる。
【0026】
流出口よりも下流側において、この流出口よりも低位置の循環路配管から漏れた冷却媒体を回収する回収手段と、この回収手段にて回収した冷却媒体を溜める補助タンクとを備えるようにするのが好ましい。
【0027】
このように設定することによって、流出口よりも低位置の循環路配管から漏れた冷却媒体を回収手段にて回収することができ、しかも、回収手段にて回収した冷却媒体を補助タンクに溜めることができる。
【0028】
本発明の画像形成装置は、前記冷却装置を搭載したものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明の冷却装置では、流入口からリザーブタンクに流入する際、冷却媒体の媒体面上への落下を回避できるので、冷却装置として静音化を図ることができ、しかも、リザーブタンクで発生する気泡の減少を図ることができる。このように気泡の発生を抑えることができ、循環路内の冷却媒体を安定して循環させることができて、効率のよい冷却が可能となる。
【0030】
また、リザーブタンクの下流側の循環路配管やリザーブタンクの上流側の循環路配管が破損等しても、リザーブタンクからの冷却媒体の流出を防止でき、他の機器の不良化を防止できる。すなわち、冷却媒体を循環させない電源OFF時または冷却制御待機時において、何らかの異常により冷却媒体の循環路から冷却媒体が流出したとき、その流出量を最小限に抑えることができる。
【0031】
流入口を直線(リザーブタンクの下流壁の幅方向中央と上流壁の幅方向中央とを結ぶ直線)よりもずれた位置に配置したもの、仕切り部材を配置したもの、流出口は、リザーブタンクの下流壁内面よりもタンク内に位置するもの、流出口の断面積が、流入口の断面積よりも小さく設定したもの等は、流入口側で発生した気泡が、流出口から流出しにくいものとなって、循環路内の冷却媒体を安定して循環させることができて、効率のよい冷却が可能となる。
【0032】
リザーブタンクは、前記送液部を除く装置最下部に配置されたものでは、冷却媒体が冷却装置を構成する他の部材にかかることを防止でき、装置の不良化(冷媒漏れによる被害)を防止できる。
【0033】
回収手段と補助タンクとを備えたものでは、安定して冷媒漏れによる被害を防止できる。
【0034】
本発明の画像形成装置では、冷却装置の循環路が破損等しても、リザーブタンクからの冷却媒体の流出を抑えることができ、液漏れ(冷却媒体漏れ)による被害を抑えことが可能な装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の冷却装置の構成図である。
【図2】前記冷却装置を用いた画像形成装置の全体構成図である。
【図3】前記冷却装置に用いられるリザーブタンクを示し、(a)は第1のリザーブタンクの簡略図であり、(b)は第2のリザーブタンクの簡略図であり、(c)は第3のリザーブタンクの簡略図である。
【図4】前記冷却装置に用いられるリザーブタンクを示し、(a)は第4のリザーブタンクの簡略図であり、(b)は第5のリザーブタンクの簡略図であり、(c)は第6のリザーブタンクの簡略図である。
【図5】前記冷却装置に用いられるリザーブタンクを示し、(a)は第7のリザーブタンクの簡略図であり、(b)は第8のリザーブタンクの簡略図であり、(c)は第9のリザーブタンクの簡略図である。
【図6】前記冷却装置に用いられる第10のリザーブタンクを示し、(a)は簡略側面図であり、(b)は簡略断面平面図である。
【図7】前記冷却装置に用いられる第11のリザーブタンクを示し、(a)は簡略正面図であり、(b)は簡略断面平面図である。
【図8】前記冷却装置に用いられる第11のリザーブタンクの簡略断面平面図である。
【図9】前記冷却装置に用いられる第12のリザーブタンクを示し、(a)は簡略正面図であり、(b)は簡略断面平面図である。
【図10】流入口と流出口との断面形状を示し、(a)は第1の関係を示す断面図であり、(b)は第2の関係を示す断面図であり、(c)は第3の関係を示す断面図であり、(d)は第4の関係を示す断面図である。
【図11】逆流防止手段を備えた冷却装置の簡略図である。
【図12】前記逆流防止手段を示し、(a)はポンプ駆動時の簡略断面図であり、(b)は逆流時の簡略断面図である。
【図13】回収手段と補助タンクとを備えた冷却装置の簡略図である。
【図14】リザーブタンクを示し、(a)は第1変形例の簡略図であり、(b)は第2変形例の簡略図であり、(c)は第3変形例の簡略図であり、(d)は第4変形例の簡略図である。
【図15】リザーブタンクを示し、(a)は第5変形例の簡略図であり、(b)は第6変形例の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0037】
図1は、本実施形態に係る冷却装置の簡略構成図であり、図2はこの冷却装置を用いた画像形成装置を示している。この画像形成装置は、タンデム型中間転写ベルト方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー複写装置である。
【0038】
すなわち、画像形成装置は、複数のローラによって中間転写媒体としての中間転写ベルト61を展張し、中間転写ベルト61はこれらのローラにより回転するように構成すると共に、中間転写ベルト61のまわりに画像形成用のプロセス手段を配置している。
【0039】
中間転写ベルト61の回転方向を図中矢印aとするとき、中間転写ベルト61の上方であってローラ62とローラ63との間には、中間転写ベルト61の回転方向の上流側から順に画像形成用のプロセス手段として、第1画像ステーション64Y、第2画像ステーション64C、第3画像ステーション64M、及び第4画像ステーション64Bkが配置されている。例えば第1画像ステーション64Yは、ドラム状の感光体71Yの周囲に帯電手段70Y、光書き込み手段72Y、現像装置73Y、クリーニング手段74Yが配置され、さらに中間転写ベルト61を挟んで感光体71の対向位置に中間転写ベルト61への転写手段としての1次転写ローラ75Yが設けられており、他の3つの画像ステーションも同一構成となっている。そしてそれら4つの画像ステーションが互いに所定のピッチ間隔となるように左右並列に配置されている。
【0040】
また、本実施形態では光書き込み手段72をLEDを光源とする光学系としている。しかしながら、半導体レーザーを光源とするレーザー光学系で構成することもでき、感光体71に対して画像情報に応じた露光を行う。
【0041】
中間転写ベルト61の下方には、シート状部材である用紙Pの用紙収納部76、給紙コロ77、レジストローラ対78、2次転写ローラ66、クリーニング手段69、熱定着手段90及び排紙収容部81などが配置されている。2次転写ローラ66は、中間転写ベルト61を張架するローラ65に中間転写ベルト61を介して対向するように設けられた中間転写ベルト61から用紙Pへの転写手段である。クリーニング手段69は、中間転写ベルト61の裏面に接するローラ68の対向位置に中間転写ベルト61のおもて面に接するように設けられている。
【0042】
また、用紙収納部76から排紙収容部81へ至る用紙搬送路79が延びている。両面画像形成時に裏面の画像形成を行わせるため、熱定着手段90を一度通過した用紙Pを反転させ、再度、レジストローラ対78へ搬送する両面画像形成用の用紙搬送路80も備えている。
【0043】
画像の形成プロセスは、第1画像ステーション64Yに着目すれば、一般の静電記録方式に準じていて、暗中にて帯電手段70Yにより一様に帯電された感光体71Y上に光書き込み手段72Yにより露光して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置73Yによりトナー像として可視像化する。そのトナー像は1次転写ローラ75Yにより感光体71Y上から中間転写ベルト61に転写される。転写後の感光体71Yの表面はクリーニング手段74によりクリーニングされる。他の画像ステーション64も第1画像ステーション64Yと同構成であり、同様の画像形成プロセスが行われる。
【0044】
画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkにおける各現像装置73は、それぞれ異なる4色のトナーによる可視像化機能を有しており、各画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkでイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを分担すれば、フルカラー画像を形成することができる。よって、中間転写ベルト61の同一画像形成領域が4つの画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkを順次通過する間に、中間転写ベルト61を挟むようにして各感光体71とそれぞれ対向して設けられた1次転写ローラ75により与えられる転写バイアスによって、それぞれ1色ずつトナー像を中間転写ベルト61上に重ね転写されるようにすれば、上記同一画像形成領域が各画像ステーション64Y,64C,64M,64Bkを1回通過した時点で、この同一画像領域に、重ね転写によってフルカラートナー画像を得ることができる。
【0045】
そして、中間転写ベルト61上に形成されてフルカラートナー画像は、用紙Pに転写される。転写後の中間転写ベルト61はクリーニング手段69によりクリーニングされる。用紙Pへの転写は転写時においてローラ65上で中間転写ベルト61を介して2次転写ローラ66に転写バイアスを印加し、2次転写ローラ66と中間転写ベルト61とのニップ部に用紙Pを通過させることにより行なわれる。用紙Pへの転写後、用紙P上に担持されたフルカラートナー像を熱定着手段90で定着することにより、用紙P上にフルカラーの最終画像が形成され、排紙収容部81に積載される。
【0046】
そして、この画像形成装置では、図1に示すように、被冷却物20としての現像装置73を冷却するための冷却装置100が配設されている。この冷却装置100は、冷却媒体(冷却液1)が循環可能な循環路6を備えたものである。この循環路6に、冷却媒体を循環路6内で循環させる送液部2としての送液ポンプ2Aと、吸熱作用で被冷却物から熱を受ける受熱部5と、この受熱部5で吸熱した熱を外部に放出する放熱部3(ラジエータ3Aからなる)と、前記冷却媒体を貯蔵するリザーブタンク10とを配置したものである。なお、ラジエータ3Aには冷却ファン4が付設されている。
【0047】
リザーブタンク10は、冷却液1が流れ込む流入管11、流れ出る流出管12、冷却液1を注入および補給するための開口部を塞ぐキャップ部15が基本構成である。また、冷却液1として、凍結やカビの発生を防止するためにプロピレングリコールまたはエチレングリコールを純水で希釈した液が用いられ、更に腐食を防止する等のために添加剤が少量加えられている。なお、循環路6は、リザーブタンク10と受熱部5とを連結する配管6aと、受熱部5と放熱部3とを連結する配管6bと、放熱部3と送液部2とを連結する配管6cと、送液部2とリザーブタンク10とを連結する配管6dとを備える。
【0048】
送液ポンプ2Aとしては、自吸式ポンプであっても、非自吸式ポンプであってもよい。一般的に、自吸式ポンプはポンプの吸込口付近に逆止弁等が取り付けられていて、さらに空気分離室を備え、ポンプ本体に呼び水するだけで揚水するように作られたポンプである。非自吸式ポンプは吸込逆止弁や空気分離室が無く、自吸能力がないものである。このため、押込運転(ポンプに水が流れ込む)以外は吸込管の先にフートバルブを取り付け、吸い込み管全部に呼び水をする必要がある。
【0049】
この冷却装置100は、冷却媒体としての冷却液1がポンプ2Aにより送り出され循環路6内を循環する。送液ポンプ2Aから送り出された冷却液1はラジエータ3A内を流れるときに冷却ファン4からの送風により液温が下げられ、奪われた熱は冷却ファン4により装置外部へ放熱される。液温が下げられた冷却液1は受熱部5に給水口5aから供給され、排水口5bから排出される。このとき受熱部5の内部を液温が低い冷却液1が通水することで受熱部5は冷却される。
【0050】
ここで、冷却したい被冷却物20(この場合現像装置73)を受熱部5に当接させて、被冷却物20の熱を受熱部5に伝熱することで被冷却物20の温度を下げる。被冷却物20から熱を奪った受熱部5は内部を通水する冷却液1に伝熱し、冷却液1の液温が上昇する。冷却液1は循環路6の配管6a内を流れ、流入管11からリザーブタンク10へ流れ込む。冷却液1はリザーブタンク10の流出管12を流れ出た後に再びポンプ2Aへ流れ込む。この循環サイクルを繰り返して熱交換を行う。
【0051】
ところで、冷却液1は経時で循環路6およびリザーブタンク10等から水分透過により減少するため、リザーブタンク10を含む冷却装置100には、予め初期に保証年数経過後の冷却液1の減少および濃度上昇を考慮した十分な液量を入れる必要がある。なお、ポンプ2Aのパワーやラジエータ3Aの大きさなどは、熱設計条件(ジャケット5が冷却すべき熱量と温度の条件)によって決定される流量、圧力、冷却効率などを元に選定される。
【0052】
次に、図14を用いて保証年数経過後の冷却液1の減少および濃度上昇を考慮した初期に必要な液量およびリザーブタンク10の流出口14の位置について説明する。流入管11のリザーブタンク側の開口部を流入口13と呼び、流入管11の反リザーブタンク側の開口部を挿入口17と呼び、流出管12のリザーブタンク側の開口部を流出口14と呼ぶ。また、流入管11は、リザーブタンク10の上流壁10aに付設され、流出管12はリザーブタンク10の下流壁10bに付設されている。
【0053】
図14(a)に示すように、流入口13と流出口14とが同一高さである場合、初期に注入した冷却液1の液量をH0としたときに、冷却液1が経時で徐々に減少した場合、保証年数経過後において冷却液1が循環できるためには、少なくとも流出口14の位置の液量がH2でなければならない。すなわち、このH2より低ければ、リザーブタンク10から冷却液1が流れ出ないため、冷却液1が循環できなくなる。詳細に言えば液量H2は流出口14の下側の水位でも流れ出るが流出管12に気泡が混入する可能性があるため、液量は流出口14が浸漬する液量H2以上であることが望ましい。
【0054】
また、保証年数経過後に冷却液1の液量がH2あったとしても、冷却液1は主に純水のみが水分透過して減少するため、プロピレングリコールまたはエチレングリコール濃度が上昇して冷却液1の粘度が上昇する。このときに、送液ポンプ2Aは冷却液1を循環させる性能が必要である。性能が不足しているとき、保証年数経過後に送液ポンプ2Aで冷却液1が循環できるように、プロピレングリコールまたはエチレングリコール濃度を抑えるために、初期の液量H0を多く注入する必要がある。
【0055】
このため、この条件を満たす初期の液量H0を注入して、保証年数経過後に、V3だけ減少して液量H2となったときに、この水位より低い位置に流出口14があればよい。ただし、リザーブタンク10の下流側の循環路6で破損が起こったときに、リザーブタンク10からの流出量を最小にするために流出口14は上記条件を満たす最も高い位置にあることが望ましい。
【0056】
次に、リザーブタンク10の流入口13および流出口14の位置により、リザーブタンク10の上流側または下流側で循環路6が破損等によりそこから冷却液1が漏れたときについての差を説明する。
【0057】
前述した通り、初期の液量と流出口14の位置は決定される。リザーブタンク10の下流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、リザーブタンク10内の冷却液1は最大V2の液量が流出する。ただし、循環路6の内圧や表面張力の関係で破損が1箇所のとき、流出しない可能性もある。しかしながら、キャップ部15が密閉されていないときは、V2の液量が流出する。
【0058】
ここで、送液ポンプ2Aに自吸式ポンプを用いたとしても、何らかの原因で空気が混入したとき、送液ポンプ2Aに呼び水を送れないと自力で空気を排出して冷却液1を循環することができない。このため、送液ポンプ2Aをリザーブタンク10の下流側で且つ下側に配置することが望ましい。しかしながら、リザーブタンク10から送液ポンプ2Aまでの間で液漏れが発生したとき、リザーブタンク10からの流出量が多くなる可能性がある。したがって、リザーブタンク10と送液ポンプ間の距離はできるだけ短く、破損し難い循環路6の構造とすることが望ましい。
【0059】
ところで、リザーブタンク10の上流側で循環路6が破損等によって、液漏れが発生したときの状況を考える。この状況において、図14(b)では、流入口13と流出口14とが同じ高さ位置である場合を示し、図14(c)では、流入口13が流出口14よりも低位置である場合を示し、図14(d)では、流入口13が流出口14よりも高位置である場合を示している。
【0060】
図14(b)では、リザーブタンク10から初期に最大V1の液量の冷却液1が流出する可能性がある。保証年数経過後では液量が流入口13とほぼ同一水位であるからほとんど流出はない。また、このときまで、流入口13は水位より低い位置であるから、流入時に冷却液1は液面に落下することはない。このため、液面への冷却液落下による落下音や気泡の混入を防止できる。
【0061】
図14(c)では、リザーブタンク10から初期に図14(b)より多い最大V1の液量の冷却液1が流出する可能性がある。保証年数経過後であっても、冷却液1の水位は流入口13より高いので、冷却液1が流出する可能性がある。ただし、図14(b)と同様に流入口13は水位より低い位置であるから、流入時に冷却液1は液面に落下することはなく、落下音や気泡の混入を防止できる。
【0062】
図14(d)では、リザーブタンク10から初期に図14(b)より少ない最大V1の液量の冷却液1が流出する可能性がある。保証年数経過前に冷却液1の水位は流入口13の高さになる。このときを過ぎると冷却液1はリザーブタンク10から流出することはない。ただし、流出口14から液面に冷却液1が落下することになるので、落下音や気泡の混入が発生する可能性がある。
【0063】
次に、リザーブタンク10への流入管11の挿入口の高さ位置が同じであって、流入口13の高さ位置による差について考察する。図15(a)は、流入口13の高さ位置が流出口14の高さ位置よりも低い場合を示し、図15(b)は、流入口13の高さ位置と流出口14の高さ位置とが同じ場合を示している。流入管11が前記図14では水平管部11aのみで構成されていたが、この図15においては、水平管部11aと、これに連通される鉛直管部11bとからなる。
【0064】
流入口13が図15(a)(b)に示す位置にあるとき、保証年数経過して冷却液1の液量が流出口14の位置まで減少しても、流入口13は液中にあるため、流入時に冷却液1は液面に落下することはなく、落下音や気泡の混入を防止できる。循環路6の内圧が外圧と同等以下において、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、冷却液1は最大で流入管11のリザーブタンク10への挿入位置より上側にある液量が流出する可能性がある。
【0065】
しかし、冷却液1の液温の上昇等により循環路6の内圧が高い状態において、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、液量が流入管11のリザーブタンク10への挿入位置より下側にあっても、内圧により冷却液1が押し出され流出する可能性がある。このとき流入口13が液面より低い位置にあると冷却液1が流出する可能性があるので、流入口13はできる限り高い位置にある方が液漏れ量を少なくすることができる可能性がある。
【0066】
このように、保証年数経過して冷却液1の液量が流出口14の位置まで減少したときの液面は流出口14の水位である液面H2より高い位置にある必要がある。このときに、流入管11の流入口13はこの水位より低い位置にあることで流入時に冷却液1は液面に落下することはなく、落下音や気泡の混入を防止できる。また、冷却液1の液温の上昇等により循環路6の内圧が高い状態において、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、内圧により冷却液1が押し出され流出する可能性を最小限にするため、液面H2に近い方がよい。冷却装置100の設置の傾きや冷却液1の減少傾向の誤差等を考慮して、流入口13の位置は液面H2より僅かに低い位置が好ましい。
【0067】
また、流入管11のリザーブタンク10への挿入口の位置は流出口14より高い位置にあることが好ましい。従って、流入管11の形状としては、図3(a)(b)(c)に示すように配置するのが好ましい。この場合、図3(a)(b)では、流入管11は、水平管部11aと鉛直管部11bとからなる。図3(a)では、鉛直管部11bが短く設定されて、水平管部11aの高さ位置が冷却液1の初期状態の液面よりも下位に設定される。図3(b)では、鉛直管部11bが長く設定され、水平管部11aがリザーブタンク10の上壁10cよりも上方に突出している。また、図3(c)では、水平管部11aと鉛直管部11bとの間に折曲管部11cが設けられている。このため、この図3(c)では、鉛直管部11bの上部が冷却液1の初期状態の液面よりも上位に位置し、水平管部11aが冷却液1の初期状態の液面よりも下位に位置する。
【0068】
ところで、流入管11のリザーブタンク10への挿入口が図4(a)に示す位置にあるとき、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、リザーブタンク10から初期に最大で挿入口の液面H1から初期の液面H0までの液量の冷却液1が流出する可能性がある。ただし、循環路6の内圧が外圧と同等以下のときである。流入管11のリザーブタンク10への挿入口が図4(b)に示す位置にあるとき、流入管11のリザーブタンク10への挿入口が初期の液面H0より高い位置にあるので、リザーブタンク10から冷却液1は流れ出さない。
【0069】
次に図5は、流入管11の鉛直管部11bをリザーブタンク10の内壁(上流壁10a)に沿うように配置されており、流路の少なくとも一面をリザーブタンク10の内壁と共有している。このような構造にすることで、リザーブタンク10のコストを下げることができる。また、透過性の容器を用いると冷却液1がリザーブタンク10の壁面に沿って流れるため、冷却液1の流れを確認し易くする効果もある。
【0070】
以上のことより、図3から図5に示すように、流入管11の流入口13は保証年数経過後の水位より低い位置にあることで流入時に冷却液1は液面に落下することはなく、落下音や気泡の混入を防止できる、且つ、冷却液1の液温の上昇等により循環路6の内圧が高い状態において、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、内圧により冷却液1が押し出され流出する可能性を最小限にするため、液面H2に近い流出口14より略低位に位置し、更に、流入管11のリザーブタンク10への挿入口およびリザーブタンク10の上流側の配管6aが流出口14より高いことにより、リザーブタンク10の上流側で循環路6の破損等により液漏れが発生したとき、流出量を少なくすることができる。
【0071】
図2に示すような画像形成装置においては、現像装置73内の現像剤が現像装置73の周囲からの受熱および攪拌による摩擦熱により昇温した熱を現像装置73に当接したジャケット5により熱を吸収し、この熱をジャケット5内部の冷却液1へ伝達する。熱が伝達され高温となった冷却液1は、この後、ジャケット5から排出され、冷却液1はタンク10、ポンプ2Aを経て、冷却ファン4を装着したラジエータ3Aに送られ、そこで熱が画像形成装置外に排熱される。ラジエータ3Aで熱が除去され室温近くにまで下げられた冷却液1は、その後、再びジャケット5へと送られる。このような冷却液1による高い冷却性能の排熱サイクルによって、昇温した現像剤が効率良く冷やされる。従って、現像装置73内の現像剤の温度上昇を抑えられるため、現像剤の溶融および固着による異常画像を回避することができる。
【0072】
ところで、前記各実施形態においては、流入口13を構成するための流入管11と、流出口14を構成するための流出管12とは、平面的に見て、リザーブタンク10の下流壁10bの幅方向中央と上流壁10aの幅方向中央とを結ぶ直線L(図6(b)参照)上における下流壁側に設けられている。また、流入口13は下方に向かって開口し、流出口14は水平方向に沿ってリザーブタンク10内部に向かって開口している。
【0073】
これに対して、図6では、流入口13を構成するための流入管11は、前記直線Lからずれた位置に配設される。また、流出口14は、下流壁10bの上下方向高さの中間部に配置される。
【0074】
ところで、大型の画像形成装置200に本発明の冷却装置100を適用した場合、冷却装置100のリザーブタンク10が水平方向に大きく傾く可能性はないが、設置等の状況により僅かに傾くことは考えられる。このとき、下流側と上流斜側とで冷却液1の水面高さが異なることになる。このため、図6のように流出口14を水平方向の中央に配置することにより装置の傾きがあっても常に流出口14は同じ高さにすることができる。
【0075】
また、リザーブタンク10に流れ込む冷却液1に例えばラジエータ3A内部に滞留していた気泡が流れ込んだとき、流入口13から流入する気泡はその流れにのって流出口14側へ流れる。経時で冷却液1の液量が減少して液面が流出口14の高さに近くなり、気泡が液面を流れると、気泡が流出口14に吸い込まれ易くなる。このとき、流入口13と流出口14を対向しない異なる位置に配置することにより、リザーブタンク10に流れ込んだ気泡を流出口14から送液ポンプ2Aへ送り込み難いようにすることができる。
【0076】
次に、図7に示すリザーブタンク10においては、内部に平板矩形状の仕切り部材16が配置されている。この仕切り部材16は、冷却媒体の変位する媒体上面を流入口13と流出口14との間において分割するものである。この場合、仕切り部材16は、図7(a)に示すように、上壁10cとの間、及び下壁(底壁)10dとの間に隙間C1、C2が形成され、図7(b)に示すように、側壁10e、10fに密着している。
【0077】
このような仕切り部材16を設ける場合、図8に示すように、仕切り部材16と側壁10e、10fとの間に隙間C3、C4が設けられるものであってもよい。この場合、仕切り部材16を上壁10c及び/又は下壁10dに密着させることになる。
【0078】
リザーブタンク10に流れ込む冷却液1に例えばラジエータ3A内部に滞留していた気泡が流れ込んだとき、流入口13から流入する気泡はその流れにのって流出口14側へ流れる。経時で冷却液1の液量が減少して液面が流出口14の高さに近くなり、気泡が液面を流れると、気泡が流出口14に吸い込まれ易くなる。このとき、流出口14の高さ付近に仕切り部材16を設けると、液面を浮揚する気泡が流出口14側へ流れ込まなくすることができ、リザーブタンク10に流れ込んだ気泡を流出口14から送液ポンプ2Aへ送り込み難いようにすることができる。
【0079】
図9に示すリザーブタンク10では、流出口14をリザーブタンク10の下流壁10bの内面よりもタンク内に突出させている。このようなリザーブタンク10でも流入口13から流入する気泡が流出口14側へ流れていくが、表面張力の関係等によって、リザーブタンク10の内面(内壁)に沿って流れる場合がある。このような場合、図9に示すように、流出口14をタンク内に突出させた場合、気泡が内面(内壁)に沿って下流壁10b側に流れてきたとしても、気泡はこの流出口14から流出しない。
【0080】
次に図10に流入口13と流出口14との形状を示し、図10(a)では、流入口13を構成する流入管11と、流出口14を構成する流出管12とを、外径寸法及び肉厚を同一として、流入口13の開口面積(断面積)と流出口14の開口面積(断面積)とを同一としている。
【0081】
図10(b)では、流入口13を構成する流入管11と、流出口14を構成する流出管12とを、外径寸法を同一とするとともに肉厚を相違させ、流出口14の開口面積(断面積)を流入口13の開口面積(断面積)よりも小さくしている。
【0082】
図10(c)(d)では、流入口13を構成する流入管11と、流出口14を構成する流出管12とを、外径寸法及び肉厚を同一とするとともに、流出口14に、開口面積(断面積)を小とする面積減少部材25を配置している。図10(c)の面積減少部材25は、流出口14の内径面に、周方向に沿って所定ピッチで配設される突起部26からなる。また、図10(d)の面積減少部材25は、クロスする一対の棒状体27にて構成される。
【0083】
図10(b)(c)(d)に示すように、流出口14の開口面積を小さくすることによって、大きな気泡のこの流出口14からの流出を防止することができる。なお、図(c)(d)に示すように、面積減少部材25を設ける場合、面積減少部材25として、流出口14の断面積を減少させればよいので、図例のものに限らない。
【0084】
次に、図11では、リザーブタンク10の上流側にリザーブタンク10からの冷却液1の循環路配管(配管6a)への逆流を防止する逆流防止手段30を設けている。逆流防止手段30は、図12に示すように、逆流防止弁40からなる。
【0085】
この場合の逆流防止弁40は、ボール収納室33と、このボール収納室33に収容されるボール31とを備える。また、このボール収納室33の下流側開口部33bには、ボール押さえ部(ストッパ部材)32が付設されている。このボール押さえ部32には、冷却液1の流通を許容する多数の孔部が設けられている。
【0086】
このため、ポンプ駆動時(冷却液循環状態)では、冷却液1が図12(a)の矢印のように上流側から下流側へ流れる。この際、ボール31がボール押さえ部に当接乃至接触した際に、矢印方向の移動が規制される。これによって、ボール31と下流側開口部33bとの間に隙間が形成され、ボール31によって下流側開口部33bが塞がれることがない。このようにボール31によって開口部33bが塞がれない状態では、ボール押さえ部32には多数の孔部が設けられているので、このボール押さえ部32を介して、冷却液1が図12(a)の矢印のように上流側から下流側へ流れる。このため、逆流防止弁40は循環路6内に配置されていても、循環路6における冷却液1の循環が妨げられることがない。
【0087】
これに対して、図11に示すXで示すR1の位置で循環路6が破損した場合、リザーブタンク10における流入管11よりも高位の冷却液1が、低位置の破損部位R1へリザーブタンク10から流出しようとする。すなわち、図12(b)に示すように、冷却液1が矢印ように下流側から上流側へ流れることになる。この流れによって、ボール31が上流側へ押圧され、このボール31によって上流側開口部33aが塞がれることになる。このように上流側開口部33aが塞がれれば、このボール収納室33よりも上流側へは冷却液1が流出せず、破損部位R1からの冷却液1の流出量(漏れ量)を少なく抑えることができる。
【0088】
ところで、送液ポンプ2Aには自吸式ポンプを用いたときでも冷却液1を循環させるために呼び水をする必要があるので、リザーブタンク10より下方に配置することが望ましい。しかし、何らかの原因でリザーブタンク10自らの破損およびその周囲の破損が発生すると、冷却装置100の循環路6で最も液量が多いところから冷却液1が流出することになる。このときの冷却したい装置例えば、図2に示す画像形成装置に冷却液1が多量にかかると損害が大きく、復帰することが困難になる。そこで、リザーブタンク10を下方に配置することによりその損害を最小限にすることができる。
【0089】
図1に示す冷却装置100では、送液ポンプ2Aがリザーブタンク10の下方に配置されている。このため、リザーブタンク10から送液ポンプ2Aの間の配管6dで破損が発生したとき、リザーブタンク10から冷却液1が多量に送液ポンプ2A側へ流れ出す可能性がある。
【0090】
そこで、図13に示すように、送液ポンプ2Aの下方側に、配管6d等で液漏れが発生したときに、冷却液1を回収する冷却液回収手段51を設けるようにしている。この冷却液回収手段51は、送液ポンプ2Aの下方、つまりリザーブタンク10の一部の下方位置から配管6cの下方位置をカバーするような受け皿部材52からなる。また、受け皿部材52の下方位置には、この受け皿部材52にて受けられた冷却液1を一時的に外部に流出しないように貯蔵する補助タンク50を設けている。これらによって、送液ポンプ2A周辺の液漏れの損害を最小限にする。
【0091】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。前記実施例では、被冷却物20として、前記実施形態では現像装置73であったが、書き込み手段72や定着手段90等の他の部材であってもよい。また、冷却媒体としては空気などの気体である媒体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 冷却媒体(冷却液)
2 送液部
3 放熱部
5 受熱部
6 循環路
10 リザーブタンク
10a 上流壁
10b 下流壁
11 流入管
12 流出管
13 流入口
14 流出口
16 仕切り部材
20 被冷却物
30 逆流防止手段
50 補助タンク
51 冷却液回収手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2008−180831号公報
【特許文献2】特開平2−209685号公報
【特許文献3】特許第3636118号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体が循環可能な循環路を備え、この循環路に、前記冷却媒体を循環路内で循環させる送液部と、吸熱作用で被冷却物から熱を受ける受熱部と、この受熱部で吸熱した熱を外部に放出する放熱部と、前記冷却媒体を貯蔵するリザーブタンクとを配置した冷却装置において、
前記リザーブタンクは、リザーブタンクの上流側に開口する挿入口とリザーブタンク内の上流側において開口する流入口とを有する流入管部と、リザーブタンク内の下流側において開口して冷却媒体が流出する流出口とを備え、前記流入管部の流入口の高さは、前記流出口が浸漬する最も低い水位よりも微小寸だけ低い高さに位置するとともに、前記流入管部の挿入口、およびこの挿入口と前記受熱部との間の循環路配管は前記リザーブタンクの流出口より高いことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記リザーブタンクは上流壁と下流壁とを有し、前記流出口を構成する流出管は、平面的に見て、リザーブタンクの下流壁の幅方向中央と上流壁の幅方向中央とを結ぶ直線上における下流壁側に設けられ、前記流入口を構成する流入管は、前記直線からずれた位置における上流壁側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記リザーブタンク内に、冷却媒体の変位する媒体上面を流入口と流出口との間において分割する仕切り部材を配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記流出口は、リザーブタンクの下流壁内面よりもタンク内に位置することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記流出口の断面積は、流入口の断面積よりも小さく設定していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
リザーブタンクの上流側にリザーブタンクからの冷却媒体の循環路配管への逆流を防止する逆流防止手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記流入口及び流出口を備えたリザーブタンクは、前記送液部を除く装置最下部に配置されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項8】
流出口よりも下流側において、この流出口よりも低位置の循環路配管から漏れた冷却媒体を回収する回収手段と、この回収手段にて回収した冷却媒体を溜める補助タンクとを備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の冷却装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−15280(P2012−15280A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149548(P2010−149548)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】