説明

冷却装置

【課題】冷却部を着脱自在にするという簡単な構成で、種々の被冷却物に対応できる冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】受電コイル28によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流で、ペルチェ素子31は作動し、このペルチェ素子31の下面に位置する放熱面は冷却手段で冷却され、また、上面に位置する冷却面の吸熱で第1冷却体32を冷却している。そして、この第1冷却体32に接合手段で着脱自在に密着させた第2冷却体36を配設することにより、種々の被冷却物に対応できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子を用いた冷却装置に関し、主として一般家庭で使用されている誘導加熱調理器を利用した冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、火を使わない、燃焼ガスの出ない安全でクリーンな熱源として誘導加熱調理器が普及してきている。この誘導加熱調理器は誘導加熱のための加熱コイルと、加熱コイルに高周波電流を制御可能に供給する制御回路上に様々な電子部品とを備えている。
【0003】
そして、上記の誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を給電される非接触受電装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、図7は非接触受電装置の例で、ペルチェ素子を用いた従来の冷却装置の断面図である。
【0005】
キッチンの天板やダイニングテーブル板である台座1の裏側に高周波誘導磁界発生コイル2を備え、本体が前記台座1の上に着脱自在に載置される構成の冷却装置3を備え、前記本体は下部に作動部4を備え、その上部に飲料等を収容する片手で持ち運び可能なコップ状をなす容器部5を備え、前記作動部4は、前記高周波誘導磁界発生コイル2の磁界によって、誘起電力を発生する受動側コイル6、この受動側コイル6によって発生する電流に基づく直流によって作動するペルチェ素子7、回路基板8及び放熱用送風機9、更に前記ペルチェ素子7の放熱用ヒートシンク10を備え、前記作動部4の上面開口の受け口に前記容器部5の底部を受け入れる構成にて、前記作動部4と前記容器部5が分離可能であり、前記ペルチェ素子7の吸熱部の上面に薄い電気絶縁材を介して接合された熱良導板11が前記受け口の底面を形成し、前記容器部5の底面壁が前記熱良導板11に当接するように、前記容器部5の底部が前記受け口に嵌め合わされた状態で前記容器部5に収納した飲料等の被冷却物が冷却されるようになっている。
【0006】
そして、キッチンの天板やダイニングテーブル板である台座1の裏側に配置した高周波誘導磁界発生コイル2の磁界中に置いたときに発生する誘起電力によって、ペルチェ素子等のペルチェ素子7が作動して、容器部5の飲料物等の被冷却物の冷却が行われるため、電源コードを必要としない。このため、冷却装置3の持ち運びが便利であると共に、キッチンやダイニングなどの設備として普及している電磁誘導加熱装置の利用範囲が拡大する。
【0007】
また、高周波誘導磁界発生コイル2を備えた台座1に着脱自在に載置される本体が、下部の作動部4と上部の被冷却物収容の容器部5を備えることによって、冷却装置3の重心が下がって安定した設置ができるものとなる。
【0008】
また、高周波誘導磁界発生コイル2を備えた台座1に着脱自在に載置される本体は、下部の作動部4の上に被冷却物収容の容器部5が着脱自在に載置される構成であり、作動部4は容器部5の底部が着脱自在にセットされる上面開口の受け入れ部を備えるため、容器部5の着脱がし易く、使い勝手がよい。
【0009】
このため、容器部5を取り外して飲料等を容器部5に入れたり、冷却された飲料等を他の容器に移したり等の作業がし易くなる。
【0010】
また、容器部5を取り外して水洗いできるため、その場合、下部の作動部4へ水が掛かることもなく安全である。更に、放熱用送風機9への電力は、ペルチェ素子7への電力と同じ直流が利用されるため、本体を、高周波誘導磁界発生コイル2を備えた台座1に載置することによって、ペルチェ素子7への給電と同時に給電できることとなり、放熱用送風機9への電力供給の電源コードも不要であり、また、スイッチによるON−OFF制御も必要なく、使い勝手も便利なものとなる。更にまた、容器部5が片手で持ち運び可能なコップ状であるため、持ち運びが便利であり、利用し易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4744242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の構成では、被冷却物が飲料物等の被冷却物に限られてしまい、他の被冷却物に対応ができない構成となっており、被冷却物が片手で持ち運び可能なコップ状をなす容器部5に入りきらない異形状のもの、例えば、くだものなどや、逆に広くて薄いもの、例えば、シート状のチーズなど、種々のものに対応ができない等の課題があった。
【0013】
また、冷却温度や冷却面積に対しても変更ができないため、用途が限られてしまい、被冷却物の容量や、冷却温度に対するバリエーションを大きくしがたいという欠点もあった。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷却部を着脱自在にするという簡単な構成で、種々の被冷却物に対応できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷却装置は、誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電流によって作動するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段と、前記ペルチェ素子で冷却される略平板状の第1冷却体と、前記第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着され前記第1冷却体を介して前記ペルチェ素子で冷却され、略平板状の第1冷却体の冷却面とは大きさあるいは形状の異なる第2冷却体を配設した構成としてある。
【0016】
また、第2冷却体は前記第1冷却体の面積を大きくして、冷却温度を変えるように構成しある。
【0017】
上記した構成により、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流で、ペルチェ素子は作動し、このペルチェ素子の下面に位置する放熱面は冷却手段で冷却され、また、上面に位置する冷却面の吸熱で第1冷却体を冷却している。そして、この第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着させた第2冷却体を配設することにより、種々の被冷却物に対応できるようになる。
【0018】
つまり、被冷却物毎に対応する第2冷却体を用意して、ひとつの冷却装置に複数の第2冷却体を載せ替えることで、種々の被冷却物に対応が可能となる。
【0019】
また、第1冷却体は、ペルチェ素子に直接冷却され、第2冷却体は、第1冷却体を介して冷却されるので、第2冷却体は、熱伝達損失で第1冷却体よりも冷却量が少なくなる。
【0020】
したがって、第1冷却体は、面積を狭くして低温用として、第2冷却体は、第1冷却体より面積を大きくして、中低温用として、冷却面積と冷却温度を変えたものを用意することで、使い勝手が大幅に向上する。
【0021】
さらに、第2冷却体は、面積を変えたものや、被冷却物に合わせて形状をかえたものを複数用意することで、様々なシーンに合わせて、使用することができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0022】
そして、ペルチェ素子は受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電された電流によって作動するので、大きい容量を要する電源部が不要となるので、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、さらに、コードレスとすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の冷却装置は、被冷却物毎に対応して、冷却面積と冷却温度を変えるとともに、被冷却物に合わせて形状をかえたものを複数用意することで、様々なシーンに合わせて、使用することができ、使い勝手を大幅に向上する。
【0024】
また、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を得るようにしてあり、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、さらに、コードレスとすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の制御ブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の制御ブロック図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における冷却装置の第2冷却体の他の形状図(b)本発明の実施の形態1における冷却装置の第2冷却体の他の形状図
【図5】本発明の実施の形態2における冷却装置の概要ブロック図
【図6】本発明の実施の形態3における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の制御ブロック図
【図7】従来の冷却装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明の冷却装置は、誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電流によって作動するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段と、前記ペルチェ素子で冷却される略平板状の第1冷却体と、前記第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着され前記第1冷却体を介して前記ペルチェ素子で冷却され、略平板状の第1冷却体の冷却面とは大きさあるいは形状の異なる第2冷却体を配設した構成としたものである。
【0027】
これによって、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流でペルチェ素子は作動し、このペルチェ素子の下面に位置する放熱面は冷却手段で冷却され、また、上面に位置する冷却面の吸熱で第1冷却体を冷却するので、この第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着させた第2冷却体を配設することにより、種々の被冷却物に対応できるようになり、様々なシーンに合わせて、使用することができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0028】
第2の発明の冷却装置は、特に、第1の発明の第2冷却体は第1冷却体より面積を大きくして、冷却温度を変えるように構成したものである。
【0029】
これによって、受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流で、ペルチェ素子は作動し、このペルチェ素子の下面に位置する放熱面は冷却手段で冷却され、また、上面に位置する冷却面の吸熱で第1冷却体を冷却して、この第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着させた第2冷却体を配設することにより、種々の被冷却物に対応できるようになる。
【0030】
つまり、被冷却物毎に対応する第2冷却体を用意して、ひとつの冷却装置に複数の第2冷却体を載せ替えることで、種々の被冷却物に対応が可能となる。
【0031】
また、第1冷却体は、ペルチェ素子に直接冷却され、第2冷却体は、第1冷却体を介して冷却されるので、第2冷却体は、熱伝達損失で第1冷却体よりも冷却量が少なくなる。
【0032】
したがって、第1冷却体は、面積を狭くして低温用として、第2冷却体は、第1冷却体より面積を大きくして、中低温用として、冷却面積と冷却温度を変えたものを用意することで、使い勝手が大幅に向上する。
【0033】
さらに、第2冷却体は、面積を変えたものや、被冷却物に合わせて形状をかえたものを複数用意することで、様々なシーンに合わせて、使用することができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0034】
そして、ペルチェ素子は受電コイルによって誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電された電流によって作動するので、大きい容量を要する電源部が不要となるので、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、さらに、コードレスとすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【0035】
第3の発明の冷却装置は、特に、第1または2の発明の第1冷却体と第2冷却体を着脱自在に密着させる接合手段は粘着性を有する熱伝導性シートで構成したものである。
【0036】
これによって、第1冷却体と第2冷却体を着脱自在に密着させる接合手段は、粘着性を有する熱伝導性シートで構成してあるので、第1冷却体と第2冷却体は密着して、第1冷却体の冷却量を第2冷却体に効率よく伝達することができるとともに、第2冷却体を第1冷却体に固定することができ、被冷却物を安定して保持することができるようになる。
【0037】
第4の発明の冷却装置は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明のペルチェ素子を冷却する冷却手段は、前記受電コイルの上部に配置し前記ペルチェ素子に片面を密着させたヒートシンクと、前記ヒートシンクの側部に配設し前記ヒートシンクに送風する冷却ファンとで構成したものである。
【0038】
これによって、冷却手段は、前記受電コイルの上部に配置し前記ペルチェ素子に片面を密着させたヒートシンクと、前記ヒートシンクの側部に配設し前記ヒートシンクに送風する冷却ファンから構成してあるので、ヒートシンクを冷却する冷却ファンの給気と排気の空気の流れがショートサーキットして、冷却能力を低下させる心配がなくなる。
【0039】
また、ヒートシンクの側部に冷却ファンを配設してあるので、冷却ファンからの空気の流れが、受電コイルの近傍を流れていくため、受電コイルも、ともに冷却することができるとともに、ヒートシンクの下部に冷却ファンが位置しないため、その分冷却装置の高さも低く構成でき、コンパクトにすることができる。
【0040】
第5の発明の冷却装置は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明のペルチェ素子を冷却する冷却手段は、前記ペルチェ素子に片面を密着させた第1熱交換器と、冷却装置本体から別設に構成し、前記第1熱交換器の熱を、冷媒を介して放出する第2熱交換器とで構成したものである。
【0041】
これによって、ペルチェ素子を冷却する冷却手段は、前記ペルチェ素子に片面を密着させた第1熱交換器と、冷却装置本体から別設に構成し、前記第1熱交換器の熱を、冷媒を介して放出する第2熱交換器から構成してあるので、第1熱交換器の冷却能力を第2熱交換器で大幅に向上させることができ、ペルチェ素子の冷却能力を向上させるとともに、第1熱交換器を小さく構成でき、冷却装置本体もよりコンパクトに構成することができる。
【0042】
第6の発明の冷却装置は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の第1冷却体および第2冷却体の全体を上部から覆うように設けたカバーを配設した構成としたものである。
【0043】
これによって、第1冷却体および第2冷却体の全体を上部から覆うように設けたカバーを配設した構成としてあるので、第1冷却体および第2冷却体の上面から逃げる放熱量を低減することができ、第1冷却体および第2冷却体の温度を下げることができ、被冷却物を低温にすることができる。
【0044】
第7の発明の冷却装置は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明の受電コイルは、前記ペルチェ素子と冷却手段と前記第1冷却体を備えた本体と別設に配設した構成としたものである。
【0045】
これによって、受電コイルは前記ペルチェ素子と冷却手段と前記第1冷却体からなる本体と別設に配設した構成としてあるので、誘導加熱調理器から冷却装置本体を離して使用することができ、大幅に使い勝手を向上させることができる。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0047】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の要部断面図、図2は本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器の制御ブロック図、図3は本発明の実施の形態1における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の制御ブロック図、図4(a)本発明の実施の形態1における冷却装置の第2冷却体の他の形状図、図4(b)は本発明の実施の形態1における冷却装置の第2冷却体の他の形状例図である。
【0048】
本発明の冷却装置20は、誘導加熱調理器21上に載置して使用するもので、まず、誘導加熱調理器21について説明する。
【0049】
誘導加熱調理器21は、図1または図2に示すように、天面を鍋などの被加熱調理容器22を載置する天板23で形成され、その一部に操作部24が設けてあり、天板23の内側には被加熱調理容器22を加熱する略円形状の加熱コイル25と、上記加熱コイル25の運転や電源供給するインバータ部26を制御する誘導加熱調理器制御部27が配置されていて、誘導加熱調理器制御部27が、インバータ部26のスイッチング半導体をオン,オフしてインバータ部26の高周波発振を制御するとともに発振動作の起動,停止も制御している。
【0050】
上記インバータ部26は、周波数変換装置の一つで、電源整流器,フィルタコンデンサ
,共振コンデンサ,スイッチング半導体など(図示せず)を含み、商用電源を高周波電流に変換し、この高周波電流を加熱コイル25に供給して、加熱コイル25は誘導加熱調理器制御部27の近傍で高周波磁界を発生し、被加熱調理容器22の底を加熱する。
【0051】
次に、上記の誘導加熱調理器21に載置して使用する本実施の形態の冷却装置20について説明する。
【0052】
冷却装置20は、図1または図3に示すように、冷却装置20の下部には誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイル28が配設してあり、その上部に櫛歯状のヒートシンク29が配設してある。
【0053】
上記ヒートシンク29の側部には、ヒートシンク29を冷却するための空気流を送る冷却ファン30が配設してあり、また、上部には、ペルチェ素子31と、その周囲に設けた発泡樹脂製の断熱材が配設してある。
【0054】
上記、ペルチェ素子31は、その下面を放熱面としてヒートシンク29上面に密着させてあり、密着面には、熱抵抗を下げるため、熱伝導グリスが薄く塗布してあるとともに、上面は、冷却面として、上部に配設したアルミ製の略平板状の第1冷却体32に密着させてあり、密着面には、同様に、熱抵抗を下げるため、熱伝導グリスが薄く塗布してある。
【0055】
そして、ヒートシンク29とペルチェ素子31と第1冷却体32はそれぞれの密着性を保持させるように固定してある。
【0056】
また、第1冷却体32は、ペルチェ素子31より少し大きい面積としてあり、その周囲には、外郭を形成する熱伝導性のあまりよくない樹脂製のケース蓋枠33が設けてあり、受電コイル28やヒートシンク29、冷却ファン30、ペルチェ素子31などの内蔵物を収納する冷却装置20の本体ケース34に、上部から覆うように固定されている。
【0057】
上記、第1冷却体32の上面は、ペルチェ素子31の冷却により、低温に保持されるようになっていて、この面に被冷却物を載置することで、被冷却物を低温に保持することができるようになっている。
【0058】
さらに、第1冷却体32の上面には、接合手段として粘着性を有する熱伝導性シート35で着脱自在に密着させて固定保持される第2冷却体36が配設できるようになっていて、第2冷却体36は、第1冷却体32より面積を大きくして、冷却温度を変えるように構成してある。
【0059】
そして、冷却装置の本体ケース34内のヒートシンク29側部の空間には、受電コイル28によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流を変換して、冷却ファン30、ペルチェ素子31などを稼働、コントロールする冷却装置制御部37が設けてある。
【0060】
また、第1冷却体32および第2冷却体36の全体を上部から覆うように設けたカバー38を配設できるようになっていて、第1冷却体32あるいは第2冷却体36に載置する被冷却物を覆うように設けることで、保護するとともに、冷却性を向上させるようになっている。
【0061】
さらに、第1冷却体32と第2冷却体36の上面には、示温塗料によって冷却温度を表示する温度表示シート39←(図面に符号記載をお願いします。)(表示手段)が配設してある。
【0062】
以上のように構成された冷却装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0063】
上記した構成において、誘導加熱調理器21に鍋などの代わりに、冷却装置20を載置して、誘導加熱調理器21を操作し、高周波磁界を発生させると、受電コイル28に誘起電力が発生して、これを冷却装置20の冷却装置制御部37で変換して、冷却ファン30、ペルチェ素子31などを稼働、コントロールするようになっている。
【0064】
このペルチェ素子31は、1枚の絶縁伝熱板(セラミック等)の間に、不足電子P型・過剰電子N型の半導体素子がπ字形あるいは逆π字形に交互に配置されており、電気的には直列に、熱的には並列に接続される既存の構成のもので、このペルチェ素子31に直流電流を流すことにより、素子の両面に温度差が発生し、冷却側で吸熱、放熱側で発熱が起こるようになっていて、冷却側で吸収する総熱量が総供給電力(W)に相当する熱量と合算され、放熱側に放出されるようになっている。
【0065】
そのため、ペルチェ素子31で効果的に冷却するために、ペルチェ素子31の下面に位置する放熱側を密着させたヒートシンク29と冷却ファン30で冷却するようになっていて、具体的には、ヒートシンク29の側部に配設した冷却ファン30からの空気流でヒートシンク29を介してペルチェ素子31の放熱側の発熱を熱交換して、反対側に排出するようになっている。
【0066】
このようにして、ペルチェ素子31の上面に位置する冷却側を低温に維持し、この冷却面に第1冷却体32を密着させて、第1冷却体32を低温に保持させ、この面に被冷却物を載置することで、被冷却物を低温に保持することができるようになっている。
【0067】
ここで、受電コイル28によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電した電流で、ペルチェ素子31は作動し、このペルチェ素子31の下面に位置する放熱面は冷却手段で冷却され、また、上面に位置する冷却面の吸熱で第1冷却体32を冷却している。
【0068】
そして、この第1冷却体32に接合手段で着脱自在に密着させた第2冷却体36を配設することにより、種々の被冷却物に対応できるようになる。
【0069】
つまり、被冷却物毎に対応する第2冷却体36を用意して、ひとつの冷却装置20に複数の第2冷却体36を載せ替えることで、種々の被冷却物に対応が可能となる。
【0070】
また、第1冷却体32は、ペルチェ素子31に直接冷却され、第2冷却体36は、第1冷却体32を介して冷却されるので、第2冷却体36は、熱伝達損失で第1冷却体32よりも冷却量が少なくなる。
【0071】
したがって、第1冷却体32は、面積を狭くして低温用として、第2冷却体36は、第1冷却体32より面積を大きくして、中低温用として、冷却面積と冷却温度を変えたものを用意することで、使い勝手が大幅に向上する。
【0072】
さらに、第2冷却体36は、面積を変えたものや、被冷却物に合わせて形状をかえたものを複数用意することで、様々なシーンに合わせて、使用することができ、使い勝手が大幅に向上する。
【0073】
具体的には、図4(a)に示すように第2冷却体36は、周囲に縁をたてて皿形状、あるいはお椀形状としてもよく、あるいは、図4(b)に示すようにポット状として、中に
被冷却物として、ボトルに入った液体例えばワインなど入れて冷却する構成としてもよく、被冷却物に合わせた形状、大きさにすればよい。
【0074】
そして、ペルチェ素子31は受電コイル28によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電された電流によって作動するので、大きい容量を要する電源部が不要となるので、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、さらに、コードレスとすることができ、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【0075】
また、第1冷却体32と第2冷却体36を着脱自在に密着させる接合手段として粘着性を有する熱伝導性シート35で構成してあるので、第1冷却体32と第2冷却体36は密着して、第1冷却体32の冷却量を第2冷却体36に効率よく伝達することができるとともに、第2冷却体36を第1冷却体32に固定することができ、被冷却物を安定して保持することができるようになる。
【0076】
さらに、冷却手段は、前記受電コイル28の上部に配置し、前記ペルチェ素子に片面を密着させたヒートシンク29と、前記ヒートシンク29の側部に配設し、前記ヒートシンク29に送風する冷却ファン30から構成してあるので、ヒートシンク29を冷却する冷却ファン30の給気と排気の空気の流れがショートサーキットして、冷却能力を低下させる心配がなくなる。
【0077】
また、ヒートシンク29の側部に冷却ファン30を配設してあるので、冷却ファン30からの空気の流れが、受電コイル28の近傍を流れていくため、受電コイル28もともに冷却することができるとともに、ヒートシンク29の下部に冷却ファン30が位置しないため、その分、冷却装置20の高さも低く構成でき、コンパクトにすることができる。
【0078】
そして、第1冷却体32および第2冷却体36の全体を上部から覆うように設けたカバー38を配設できるようになっているので、第1冷却体32および第2冷却体36の上面から逃げる放熱量を低減することができ、第1冷却体32および第2冷却体36の温度を下げることができ、被冷却物を低温にすることができる。
【0079】
尚、第1冷却体32と第2冷却体36の接合を確実行うための構成、ねじやクランプなどを用いて第1冷却体32に第2冷却体36を押しつけて密着させる構成や、第1冷却体32と第2冷却体36に嵌合部例えば、図に示すように第1冷却体32にガイドレール部を設け、第2冷却体36に設けたガイド溝をスライドして挿入して密着させるようにしてもよく、その他、本発明の効果的に果たすものであればどのような組み合わせにしてもよい。
【0080】
尚、第1冷却体32と第2冷却体36の上面には、示温塗料によって冷却温度を表示する温度表示シート(表示手段)を配設するようにしてもよい。これによると、センサーや電子回路を必要とせず簡単に第1冷却体32あるいは第2冷却体36の温度が使用者に告知することができ、大幅に使い勝手を向上させることができる。
【0081】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態における冷却装置の概要を示すブロック図である。
【0082】
実施の形態1と冷却手段の配置が異なるだけで、実施の形態1と同一部分は同一符号を付記して、その説明を省略し異なる部分のみを説明する。
【0083】
図5に示すように、ペルチェ素子31を冷却する冷却手段は、ペルチェ素子31の放熱面となる片面を密着させた第1熱交換器41と、第1熱交換器41からの熱を水流(冷媒
)で送る往き管42と、往き管42から送られてきた水流(冷媒)を介して第1熱交換器41の熱を、冷却装置20本体から別設に構成し冷却する第2熱交換器43と、第2熱交換器43で冷却された水流(冷媒)を第1熱交換器41へ返す戻り管44から構成してある。
【0084】
そして、上記ペルチェ素子31は、その下面を放熱面として第1熱交換器41上面に密着させてあり、密着面には、熱抵抗を下げるため、熱伝導グリスが薄く塗布してあるとともに、上記第2熱交換器43は送風機45で大気に放出して冷却するように構成している。
【0085】
ここで、ペルチェ素子31を冷却する冷却手段は、ペルチェ素子31に片面を密着させた第1熱交換器41と、冷却装置20本体から別設に構成し、前記第1熱交換器41の熱を、水流(冷媒)を介して大気に放出する第2熱交換器43から構成してあるので、第1熱交換器41の冷却能力を第2熱交換器43で大幅に向上させることができ、ペルチェ素子31の冷却能力を向上させるとともに、第1熱交換器41を小さく構成でき、冷却装置20本体もよりコンパクトに構成できる。
【0086】
特に、ペルチェ素子31は冷却側で吸収する総熱量が総供給電力(W)に相当する熱量と合算され、放熱側に放出されるようになっているため、放熱側が十分冷却されないと、冷却側と放熱側の温度差がとれても、放熱側の温度が高くなってしまい、結果的に、冷却側の温度が高くなってしまう。
【0087】
そのため、ペルチェ素子31の放熱側の温度が高くならないように第1熱交換器41の熱を第2熱交換器43で放熱するようにし、さらに、第2熱交換器43の能力たとえば放熱面積や送風機45の能力、さらには、水流(冷媒)量を大きくすることで、対応でき、冷却能力を高くしつつ、冷却装置20本体もよりコンパクトに構成できるようになる。
【0088】
尚、第2熱交換器43は送風機45を用いる空冷でなくてもよく、水冷あるいは、その他冷却能力の高いものであればよい。
【0089】
(実施の形態3)
図6は、本発明の第3の実施の形態における誘導加熱調理器に載置した冷却装置の制御ブロック図である。
【0090】
実施の形態1と受電コイル28の配置が異なるだけで、実施の形態1と同一部分は同一符号を付記して、その説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0091】
図6に示すように、誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイル51は、受電コイル51が受電した電流を整流し直流化する第2制御部52と一体とした受電コイルユニット54に備えられている。
【0092】
つまり、本実施の形態では、実施の形態1のペルチェ素子31と、冷却ファン30と、第1冷却体32と、受電コイル28とを備えた冷却装置20の構成と異なり、受電コイル51は別設に配設している。
【0093】
したがって、受電コイルユニット54内の第2制御部52に得られた直流電流は、送電線53を介して冷却装置20の冷却装置制御部37へ電力供給している。
【0094】
また、送電線53は、受電コイルユニット54と冷却装置20とは着脱自在に、接続されるようになっている。
【0095】
このように、実施の形態1で示したペルチェ素子31と、ペルチェ素子の片面に密着させたヒートシンク29およびヒートシンク29に送風する冷却ファン30を備えた冷却手段と、前記第1冷却体32と、冷却装置制御部37と、受電コイル28とを備えた冷却装置20本体の構成と異なり、本実施の形態の受電コイル51は、ペルチェ素子31と、冷却手段と、第1冷却体32と、冷却装置制御部37とを備えた冷却装置20本体と別設に配設した構成としている。
【0096】
したがって、誘導加熱調理器21から冷却装置20本体を離して使用することができ、大幅に使い勝手を向上させることができる。
【0097】
また、受電コイルユニット54に備えられた受電コイル51をリング状に形成し、誘導加熱調理器21で加熱する非加熱調理容器、例えば、鍋などの周囲に配設出来るようにして、被加熱調理容器、例えば、鍋などと一緒に使用することもできるようになり、使い勝手を向上させることが出来る。
【0098】
さらに、誘導加熱調理器21に特別に、受電コイルユニット54専用の給電コイルを設けて、受電コイルユニット54をコントロールするようにしてもよい。これによれば、被加熱調理容器、例えば、鍋の加熱状態にかかわらず冷却装置20をコントロールすることが出来、より使い勝手が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明の冷却装置20は、受電コイル51によって誘導加熱調理器21からの高周波磁界を利用して電力を得るようにしてあり、構成も簡単となり、コンパクトで安価にでき、家庭あるいはホテル、旅館、医療機関などの業務用の冷却パンなどの用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0100】
3、20 冷却装置
21 誘導加熱調理器
28、51 受電コイル
29 ヒートシンク
30 冷却ファン
7、31 ペルチェ素子
32 第1冷却体
35 熱伝導性シート
36 第2冷却体
38 カバー
41 第1熱交換器
42 往き管
43 第2熱交換器
44 戻り管
54 受電コイルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱調理器からの高周波磁界を利用して電力を受電する受電コイルと、前記受電コイルによって受電された電流によって作動するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段と、前記ペルチェ素子で冷却される略平板状の第1冷却体と、前記第1冷却体に接合手段で着脱自在に密着され前記第1冷却体を介して前記ペルチェ素子で冷却され、略平板状の第1冷却体の冷却面とは大きさあるいは形状の異なる第2冷却体を配設した冷却装置。
【請求項2】
前記第2冷却体は前記第1冷却体より面積を大きくして、冷却温度を変えるように構成した請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第1冷却体と第2冷却体を着脱自在に密着させる接合手段は粘着性を有する熱伝導性シートで構成してなる請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段は、前記受電コイルの上部に配置し前記ペルチェ素子に片面を密着させたヒートシンクと、前記ヒートシンクの側部に配設し前記ヒートシンクに送風する冷却ファンとで構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記ペルチェ素子を冷却する冷却手段は、前記ペルチェ素子に片面を密着させた第1熱交換器と、冷却装置本体から別設に構成し、前記第1熱交換器の熱を、冷媒を介して放出する第2熱交換器とで構成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記第1冷却体および第2冷却体の全体を上部から覆うように設けたカバーを配設した請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記受電コイルは、前記ペルチェ素子と冷却手段と前記第1冷却体を備えた本体と別設に配設した請求項1〜6のいずれか1項に記載の冷却装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100950(P2013−100950A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245138(P2011−245138)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】