説明

冷却集塵装置

【課題】高温低湿の地域では、小さなエネルギーで冷却し、同時に粉塵を捕集して清浄にした空気を室内に供給する装置が必要とされている。
【解決手段】屋外から外気6を導入して、外気6中の粉塵を除去するとともに外気6を冷却して室内へ供給する冷却集塵装置であって、高電圧が印加されたスプレーノズル2からなる水噴霧部1と、水噴霧部1の下流側に0Vが印加され、無数の隙間を内部に有する捕集フィルタ3を備え、スプレーノズル2の先端から無数の尖った水電極5を発生させ、捕集フィルタ3に向けて水電極5を噴霧すると同時に外気中の粉塵を帯電させることを特徴とする冷却集塵装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の気化による空気の冷却、空気中の粉塵の捕集すなわち集塵および捕集フィルタの洗浄という3つの作用を同時に行う冷却集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤道近辺の内陸地域は気温が非常に高く、かつ湿度が非常に低い。そこでは水を含んだ水分保持体と送風機で構成されたデザートクーラーという装置が一般的に普及している。デザートクーラーは水分保持体に外気を当てて水を気化させることで外気を冷やし、冷えた外気を室内に入れる装置である。冷えた外気を室内に入れることによって涼を得、かつエアコンなどその他の冷媒式空調機の運転負荷を下げるという効果がある。この空気冷却方式では外気を室内に導入するため、例えば砂漠地帯もしくは砂漠が近い地域などでは砂埃が多く含まれる外気を入れることよって室内が埃で充満するという課題が存在する。
【0003】
上記課題を解決できる可能性のある手段として、集塵機能付空調機がある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
以下、その集塵機能付空調機について図9を参照しながら説明する。
【0005】
図9に示す集塵機能付空調機は上流から順に放電部106、熱交換器101、送風機108で構成されている。
【0006】
外気114は送風機108によって放電部106、熱交換器101を通過した後、室内に送り込まれる。
【0007】
放電部106は棘状の先端を有する放電電極104および放電電極104とで空気を挟むように設けられた対向電極105とで構成されており、高圧電源116によって放電電極104に4〜5kV(極性は±どちらでもよい)の高電圧を、対向電極105に0Vを印加する。
【0008】
電圧を印加することで放電電極と対向電極との間でコロナ放電を起こし、放電電極104の先端からイオンを発生させる。発生したイオンが対向電極105に降り注ぐ空間を通過することで空気中の粉塵はイオンと結合し、帯電を起こす。帯電した粉塵は0Vが印加された下流の熱交換器101に導入され、熱交換器101の表面と帯電した粉塵との間で働く鏡像力によって熱交換器101に付着し、捕集される。
【0009】
また、熱交換器101は熱交換管102と熱交換管102によって貫通するように接続された複数枚の熱交換フィン103とで構成されている。
【0010】
熱交換器101は冷媒配管113によって凝縮ユニット109と接続されており、冷媒は冷媒配管113を通じて熱交換器101と凝縮ユニット109との間を循環している。冷媒は凝縮ユニット109の中においてコンプレッサー110で圧縮され、凝縮器111で液化され、膨張弁112で膨張冷却される。冷却された冷媒が送られて熱交換器101は冷却され、熱交換器101と接触した空気は冷却される。このようにして熱交換器101上で集塵および冷却を同時に行うことができる。
【0011】
また、課題解決のための他の手段として冷却を特許文献1記載の熱交換器で行い、集塵のみを従来の電気集塵装置で行う方法が考えられる。ここで図10を用いて従来からある一般的な2段式電気集塵装置の構造について説明する。
【0012】
2段式電気集塵装置は上流から順に帯電部117、集塵部118、送風機119で構成される。送風機119によって空気は順番に帯電部117、集塵部118へと導入される。
【0013】
帯電部は外気114の通風方向と平行となるように放電電極121および対向電極122を設け、一定の間隔を開けて放電電極121を挟むように対向電極122を配置して構成される。高圧電源116によって放電電極121に絶対値として2〜10kV程度の高電圧を(極性は±どちらでもよい)、対向電極122に0Vを印加することでコロナ放電を起こし、棘状の先端120から対向電極122に向かって降り注ぐイオンを生成する。
【0014】
生成されたイオンは通過する粉塵と結合し、粉塵を帯電させる。帯電部117の下流に位置する集塵部118は通風方向と平行に設けた電極板A123と電極板B124とを一定の間隔を開けながら積層した構造となっており、電極板A123には放電電極121と同じ高電圧が印加され、電極板B124には0Vが印加されている。
【0015】
帯電した粉塵は電極板A123と電極板B124の間に導入され、電極板A123から電極板B124への方向へと働くクーロン力を受けて主に電極板B124に付着する。このような原理で2段式電気集塵装置は集塵を行う。2段式電気集塵装置は直径1μm以下の微細粉塵を集塵でき、また、空気を通過させる際の圧力損失が小さく、水洗いして捕集粉塵を洗い流せるという長所を有しており、主に住環境の空気清浄用途として一般的に使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭63−123934号公報(第6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に記載される冷却集塵装置は冷媒やコンプレッサーを用いた熱交換器で冷却を行っており、冷却に大きなエネルギーが必要となる。また、熱交換器に付着捕集した粉塵を自動的に除去できる構造となっていない。結露水によって付着した粉塵を洗い流せるように熱交換器の下にドレンパンが設けられているが熱交換器を洗浄するには結露水の量が少なく、また、高温低湿の外気を冷却する場合はそもそも結露水が発生しない。そのため冷却フィンの間に粉塵が堆積して目詰まりを起こしたり、堆積した粉塵によって熱交換効率が下がって冷却しにくくなるという課題を有する。
【0018】
また、集塵のみを図10に記載するような2段式電気集塵装置に行わせる方法を取った場合、冷却に別途装置が必要となること、また、大きくて重く、構造が複雑な集塵部が必要となることといった課題を有する。導電性、剛性を得るために主に集塵部の電極板Aと電極板Bには0.5〜1mm程度の厚みを有する鋼板やアルミ板を用いることが多い。集塵部は電極板Aと電極板Bとを接触させずに何枚も積層して構成する必要があり、必然的に大きくて重く、構造が複雑になる。
【0019】
そこで、本発明の冷却集塵装置は軽くて構造が簡単であり、小さなエネルギーで空気を冷却すると同時に外気中の粉塵を捕集し、捕集した粉塵を洗い流してフィルタ上から取り除くことが可能な冷却集塵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そして、本発明の冷却集塵装置は、屋外から外気を導入して、外気中の粉塵を除去するとともに外気を冷却して室内へ供給する冷却集塵装置であって、高電圧が印加されたスプレーノズルからなる水噴霧部と、この水噴霧部の下流側に0Vが印加され、無数の隙間を内部に有する捕集フィルタを備え、前記スプレーノズルの先端から無数の尖った水電極を発生させ、前記捕集フィルタに向けて前記水電極を噴霧すると同時に外気中の粉塵を帯電させることにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の冷却集塵装置は、スプレーノズルから噴霧した水を空気中もしくは下流の捕集フィルタに付着させた状態で気化させることで空気を冷却するため、小さなエネルギーで取り入れた外気を冷却することができる。
【0022】
また、スプレーノズルに高電圧を、対向する下流の捕集フィルタに0Vを印加することでスプレーノズルが水を噴霧する際に形成される先端の尖った水電極が捕集フィルタに向かってコロナ放電を起こし、コロナ放電によって作られたイオンが空気中の粉塵と結合して粉塵を帯電させる。同時に水電極を形成する水が直径0.1〜2mm程度の帯電水滴になって捕集フィルタの隙間に入り、捕集フィルタの表面との間に電場を作る。この電場によって帯電した粉塵はクーロン力を受け、捕集フィルタの表面に付着し、捕集される。このような原理で外気中の粉塵を捕集すなわち集塵することができる。
【0023】
また、帯電水滴は粒子径が大きいため衝突して物理的に捕集フィルタ上に付着して水になり、捕集フィルタの表面を伝わりながら重力によって下側に移動し、捕集フィルタの下に設けたドレンパンに垂れ落ちる。その時捕集フィルタ表面に捕集された粉塵を洗い流し、捕集フィルタ上から取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1の冷却集塵装置を示す構成図
【図2】同捕集フィルタ内部で帯電粉塵が捕集される原理を示す図
【図3】本発明の実施の形態2の冷却集塵装置を示す構成図
【図4】本発明の実施の形態3の冷却集塵装置を示す構成図
【図5】本発明の実施の形態4の捕集フィルタ3を示す構成図
【図6】本発明の実施の形態5の冷却集塵装置を示す構成図
【図7】本発明の実施の形態6の捕集フィルタ3を示す構成図
【図8】同冷却集塵装置を示す構成図
【図9】特許文献1に示される集塵機能付空調機を示す構成図
【図10】従来の2段式電気集塵装置を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の冷却集塵装置の構成図を図1に、捕集フィルタ3内部で帯電粉塵16が捕集される原理を図2に示す。図1に示す冷却集塵装置は上流から順に水噴霧部1、捕集フィルタ3、送風機10で構成される。高温低湿かつ粉塵をたくさん含んだ外気6は送風機10によって冷却集塵装置の内部に導入された後、清浄冷気12となって外壁11に設けた開口から室内へ供給される。
【0027】
水噴霧部1を構成するスプレーノズル2には水噴霧用ポンプ7と送水管8によって貯水タンク9に貯められた水が送られ、スプレーノズル2から下流の捕集フィルタ3に向かって水が噴霧される。水が噴霧される際にスプレーノズル2の先端から無数の尖った水電極5が形成される。高圧電源4によってスプレーノズル2に高電圧が印加されているため、スプレーノズル2の先端から形成される水電極5にも同じだけの高電圧が印加される。ここで水電極5とは水滴が連なって線の形をなしたものである。
【0028】
また、捕集フィルタ3には0Vが印加されているため、高電圧、例えば−6kVが印加された水電極5と捕集フィルタ3の間でコロナ放電が生じ、両者の間を通過する粉塵がコロナ放電によって生じたイオンと結合して帯電し、帯電粉塵16となる。同時に水電極5の先端がちぎれるようにして帯電水滴17が生じる。帯電粉塵16および帯電水滴17は下流の捕集フィルタ3に導入される。
【0029】
ここで帯電粉塵16の粒子径はおよそ0.1〜10μm、帯電水滴17の粒子径はおよそ0.1〜2mmである。捕集フィルタ3は無数の捕集体繊維18が絡み合って構成されており、捕集体繊維18どうしの間で0.1mm〜10mm程度の無数の隙間19が形成される。帯電水滴17は粒子径が大きいため捕集体繊維18に衝突して捕集されるが、帯電粉塵16は粒子径が小さいためそのままでは大半が捕集されずに通り抜けてしまう。
【0030】
ここでどのようにして帯電粉塵16が捕集されるかについて図2を用いて説明する。図2に示すように比較的粒子径の大きい帯電水滴17が隙間19を通る際に、瞬間的に帯電水滴と0Vが印加された捕集体繊維18との間に電場が形成される。その時、帯電水滴17と捕集体繊維18に挟まれた位置に存在した帯電粉塵16は自ら電荷を有しているため電場によるクーロン力を受け、捕集体繊維18に付着し捕集される。この電場は瞬間的にしか作られないが無数の帯電水滴17が次々に絶えず隙間19を通るため、捕集体繊維18との間で常に電場が設けられた状態となる。このような仕組みで常に帯電粉塵16は捕集フィルタ3上に捕集される。
【0031】
また、帯電水滴17が水電極5の先端から空気中へと生成放出される時や、捕集体繊維18に付着して水になった際に高温低湿の外気と接触して気化する。気化することによって空気の熱が奪われ、空気が冷却される。
【0032】
これは外気の湿度が低いことを利用した水の気化熱による冷却方法であり、スプレーノズル2から水を噴霧して空気に接触させている。この冷却方法による使用するエネルギーは特許文献1に記載される空調機で用いられている、冷媒を圧縮膨張して熱交換器を冷却するヒートポンプ方式が使用するエネルギーと比較して非常に小さい。
【0033】
このようにして集塵かつ冷却された清浄冷気12は送風機10によって外壁11の開口から室内へ供給され、室内の空気環境を快適なものにする。
【0034】
また、水噴霧部1から噴霧された水は捕集フィルタ3に捕集された後、捕集体繊維18表面に付着した粉塵を洗い流しながら重力によって下方へ移動し、捕集フィルタ3の下に置かれた貯水タンク9に落下して回収される。水によって洗い流された粉塵は重力沈降して貯水タンク9の底にたまるか濾過器15に漉し取られる。したがって貯水タンク9および濾過器15の定期的な清掃は必要である。
【0035】
また、給水管14から貯水タンク9に水を供給し、空気中に気化して減った分の水を補う。その際にはボールタップ13で給水を制御し、貯水タンク9中の水位を保っている。
【0036】
また、図に記載していないが、捕集フィルタ3の表面全体を導電塗料でコーティングすることで捕集フィルタ3の表面全体に確実に0Vを印加することができる。捕集フィルタ3は帯電水滴17を捕集して濡れるので、自動的にある程度の導電性が表面に与えられる。したがって必然的に表面全体に0Vが印加されることになるが、導電性を最初から与えれば確実に0Vを印加することができる。
【0037】
その方法として導電塗料で捕集フィルタ3の表面全体をコーティングする方法が有効である。導電塗料の例としてカーボンブラック粒子を界面活性剤によって水中に乳化分散したカーボンブラック分散液が存在する。
【0038】
また、捕集フィルタ3の表面全体を親水性塗料でコーティングすれば、帯電水滴17が玉にならずに膜を作るように付着する。そのため表面に一様な導電性を与えられる。
【0039】
親水性塗料の例として塩素化ポリプロピレンを界面活性剤によって水中に乳化分散させた塩素化ポリプロピレン分散液が存在する。塩素化ポリプロピレン分散液はポリプロピレンやポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂に対して密着結合性を有する。したがって上記樹脂を捕集体繊維18の材料として用いれば水が付着しても溶出してなくなることを防止するという効果が得られる。
【0040】
さらに、カーボンブラック分散液と塩素化ポリプロピレン分散液を混合した塗料でコーティングすれば、確実な導電性と耐水性を得ることができる。
【0041】
(実施の形態2)
上流側から順に帯電部22、水噴霧部1、捕集フィルタ3、送風機10を設けた冷却集塵装置を図3に示す。図3において、図1、2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0042】
水電極5と捕集フィルタ3の間で起こすコロナ放電だけでなく水噴霧部1の上流側に設けた帯電部22でもコロナ放電を起こし、粉塵を確実に帯電させる。帯電部22は先端の尖った針状電極20と対向電極21とで構成され、一定の間隔を開けて針状電極20を対向電極21が挟む構造となっている。
【0043】
高圧電源4によって針状電極20に高電圧を印加し、対向電極21に0Vを印加することで両者の間でコロナ放電を起こし、針状電極20の先端近傍でイオンを生成する。生成したイオンが対向電極21へ降り注ぐ空間を粉塵が通過する際にイオンと結合して粉塵が帯電する。帯電部22を水噴霧部1の上流側に設けてコロナ放電を起こすことによって粉塵を確実に帯電させ、捕集フィルタ3上でより多くの粉塵を捕集することができる。
【0044】
(実施の形態3)
水噴霧部1の上流側に針状電極20を設け、一定の間隔を開けて針状電極20を挟むように対向電極21を設けた冷却集塵装置を図4に示す。図4において、図1、2、3と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0045】
図4に示すように、スプレーノズル2に針状電極20を設ければスプレーノズル2と同じ高電圧が針状電極20に自動的に印加される。高電圧が印加された針状電極20と0Vが印加された対向電極21との間でコロナ放電が起こり、両者の間を通過する粉塵は帯電し、捕集フィルタ3上でより多くの粉塵を捕集することができる。また、スプレーノズル2と同じ高電圧が針状電極20に自動的に印加されるため、高圧電源4と針状電極20の接続が不要で、より簡単な構造にすることができる。
【0046】
(実施の形態4)
内部に有する隙間の平均サイズが2〜10mmの捕集体A23を上流側に、内部に有する隙間の平均サイズが0.1〜2mmの捕集体B24を下流側に設けて両者を一体化した捕集フィルタ3を図5に示す。図5において、図1、2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
帯電水滴17が捕集体繊維18に付着して捕集されると帯電水滴17と捕集体繊維18との間で作られる電場が消えてしまうため、帯電水滴17を捕集しない方が電場を作りやすい。そのため隙間19のサイズがある程度大きい捕集体Aで捕集フィルタ3上流側を構成して電場を作り、帯電粉塵16を捕集する。
【0048】
しかしながら帯電水滴17を確実に付着捕集しないと水滴まじりの空気を室内に供給することになり、快適性が損なわれる。そこで捕集フィルタ3の下流側を目の細かい捕集体B24で構成し、帯電水滴17を捕集する。こうすることで帯電粉塵16および帯電水滴17の捕集を確実に行うことができる。
【0049】
(実施の形態5)
水をくみ上げて捕集フィルタ3の上からかけ流す冷却集塵装置を図6に示す。図6において、図1、2、3、4、5と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0050】
貯水タンク9の水をかけ流し用ポンプ25でくみ上げ、捕集フィルタ3の上からかけ流す。かけ流した水は捕集フィルタ3の下に設けた貯水タンク9に落ちて回収される。こうすることで捕集フィルタ3上に捕集された粉塵を洗い流す作用効果と、水の気化による空気の冷却効果の双方を高めることができる。
【0051】
(実施の形態6)
上流から下流にかけて無数の貫通孔27を有するハニカム形状を有するハニカムフィルタ26を図7に、ハニカムフィルタ26を捕集フィルタ3として用いた冷却集塵装置を図8に示す。図7および図8において、図1、2、3、4、5、6と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図7に示すとおりハニカムフィルタ26は上流側に開口を有し下流の端までつながる貫通孔27を無数に有する。外気に含まれる帯電粉塵16は貫通孔27を通過する際に同じく通過する帯電水滴17と貫通孔27を形成する孔壁28とが作る電場によってクーロン力を受け、ハニカムフィルタ26の表面に捕集される。
【0053】
また、孔壁28に付着した帯電水滴17が気化して熱を奪い、空気を冷却する。ハニカムフィルタの貫通孔27は上流から下流にかけて作られた細長い小さなトンネルのようなものである。帯電粉塵16は貫通孔27を通過する際の長い道程において常に電場によるクーロン力を受けるため捕集されやすい。
【0054】
また、帯電水滴17が付着して孔壁28全体が水に濡れた状態であり、貫通孔27を通過する空気と接触して気化しやすい。そのため空気の熱を奪って冷却する効果が高い。
【0055】
図8に示すように集塵および冷却に優れたハニカムフィルタ26を捕集フィルタ3として用いることで冷却集塵装置の集塵および冷却機能を高めることができる。ちなみにハニカムフィルタ26は上流から下流につながる貫通孔27を有する。
【0056】
図8に示す冷却集塵装置では帯電水滴17を噴霧して捕集した粉塵を洗い流すことを目的に貫通孔27を上下に向けて水を貫通孔27の下側から落下できる構造にしている。落下した水はハニカムフィルタの下に設けた貯水タンク9に回収され、再度水噴霧部1に送られて噴霧され、冷却および集塵に利用される。
【0057】
本実施の形態では、ハニカムフィルタ26を貫通孔27を上下に貫通させ、捕集フィルタ3として用いることにより、実施の形態5のように水をくみ上げて捕集フィルタ3の上からかけ流すという水の経路を別途設ける必要がなく、捕集した粉塵を洗い流すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のごとく本発明の冷却集塵装置は小さなエネルギーで冷却および集塵された清浄冷気を室内に供給することができ、かつ捕集フィルタを常に洗浄してきれいにすることができる。そのため例えば内陸の砂漠地帯など高温低湿で粉塵が多い地域で必要とされる冷却集塵装置として大いに活用が期待できるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 水噴霧部
2 スプレーノズル
3 捕集フィルタ
4 高圧電源
5 水電極
6 外気
7 水噴霧用ポンプ
8 送水管
9 貯水タンク
10 送風機
11 外壁
12 清浄冷気
13 ボールタップ
14 給水管
15 濾過器
16 帯電粉塵
17 帯電水滴
18 捕集体繊維
19 隙間
20 針状電極
21 対向電極
22 帯電部
23 捕集体A
24 捕集体B
25 かけ流し用ポンプ
26 ハニカムフィルタ
27 貫通孔
28 孔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外から外気を導入して、外気中の粉塵を除去するとともに外気を冷却して室内へ供給する冷却集塵装置であって、高電圧が印加されたスプレーノズルからなる水噴霧部と、この水噴霧部の下流側に0Vが印加され、無数の隙間を内部に有する捕集フィルタを備え、前記スプレーノズルの先端から無数の尖った水電極を発生させ、前記捕集フィルタに向けて前記水電極を噴霧すると同時に外気中の粉塵を帯電させることを特徴とする冷却集塵装置。
【請求項2】
高電圧が印加された針状電極および0Vが印加された対向電極で構成された帯電部を水噴霧部の上流側に設けることを特徴とする請求項1記載の冷却集塵装置。
【請求項3】
先端が上流側を向いた針状電極を水噴霧部に設け、針状電極を挟むように0Vが印加された対向電極を設けることを特徴とした請求項1または2いずれかに記載の冷却集塵装置。
【請求項4】
捕集フィルタを2枚で構成し、内部に有する隙間の平均サイズが2〜10mmの捕集フィルタを上流側に、内部に有する隙間の平均サイズが0.1〜2mmの捕集フィルタを下流側に設けることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の冷却集塵装置。
【請求項5】
捕集フィルタを導電性塗料でコーティングすることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の冷却集塵装置。
【請求項6】
捕集フィルタを親水性塗料でコーティングすることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の冷却集塵装置。
【請求項7】
捕集フィルタが上流側から下流側にかけて無数の貫通孔を有するハニカム形状であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の冷却集塵装置。
【請求項8】
捕集フィルタの上から水をかけ流すことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の冷却集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−66837(P2013−66837A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206935(P2011−206935)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】