説明

冷媒配管及びこの冷媒配管を用いた空気調和機

【課題】 空気調和機の室外機と室内機とを接続して、冷媒及び信号の通路となる冷媒配管であって、信号線の着脱が容易な冷媒配管、及びこの冷媒配管を用いた空気調和機を得ることを目的とする。
【解決手段】 この発明に係る空気調和機の冷媒配管は、金属管の両端に設けられた絶縁物を介して、室内機と室外機とを接続する冷媒配管であって、金属管に取付けられた導通装置を備え、導通装置は、断面C字形の略管形状で、少なくともその内側に導体を有するとともに、その導体に信号線が接続されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷媒配管及びこの冷媒配管を用いた空気調和機に関するものであり、特に、室外機と室内機とを接続して冷媒とともに信号も伝送する冷媒配管、及びこの冷媒配管を用いて接続された空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和機は、室外機と室内機とに分かれて設置されることが多い。このようにして設置することにより、室内機を小型にすることができるというメリットがある一方で、室外機と室内機との間を信号線、電源線や冷媒配管で接続する必要も生じてくる。
【0003】
従来技術として、分離型空気調和機の設置時に、室内ユニットと室外ユニットの間を接続する信号線を、ガス側冷媒配管および液側冷媒配管で兼用することで削減し、設置工事の簡略化を図る冷媒配管を提供することを目的として、銅管の両端付近に電気的絶縁装置を設け、銅管の両端にフレアナットを取付けフレア加工し、銅管の電気的絶縁装置の内側両端に電源供給用または制御信号の導線を接続し、フレアナット部分を除く全体を断熱材で覆い、導線を断熱材の両端付近から引き出すように構成することにより制御信号用の導線をなくすことができるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−81996号公報([0009]段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によれば、冷媒配管の銅管を利用することにより、信号線の導線を省くことができるが、制御信号の導線を銅管に直接接続しているので、接続しなおすのが困難であるという問題があった。特に、1つの室外機に対して複数の室内機が接続されるマルチタイプの空気調和機については、このような信号線の誤配線は実際の現場で散見され、また、3室以上のマルチ空調室外機ともなれば途中で配線が誤って接続されていても気付きにくく、また、最終的な導通試験時に誤配線を見つけたとしても工程の手戻りが発生し、作業効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、空気調和機の室外機と室内機とを接続して、冷媒及び信号の通路となる冷媒配管であって、信号線の着脱が容易な冷媒配管、及びこの冷媒配管を用いた空気調和機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る空気調和機の冷媒配管は、金属管の両端に設けられた絶縁物を介して、室内機と室外機とを接続する冷媒配管であって、金属管に取付けられた導通装置を備え、導通装置は、断面C字形の略管形状で、少なくともその内側に導体を有するとともに、その導体に信号線が接続されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信号線の着脱が容易な冷媒配管、及びこの冷媒配管を用いた空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る空気調和機の全体構成図である。
【図2】実施の形態1に係る冷媒配管の模式図である。
【図3】実施の形態1に係る絶縁装置・導通装置を示す模式図である。
【図4】実施の形態1に係るマルチ空調室外機の側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
本実施の形態では、1台のマルチ空調室外機に2台の空調室内機が接続される場合を例にとり説明する。図1は、実施の形態1に係る空気調和機の全体構成図である。
【0011】
図1において、A室及びB室の室内には、それぞれ空調室内機1が設置されている。それぞれの空調室内機1には、冷媒配管2が取付けられ、マルチ空調室外機3に接続されている。また、マルチ空調室外機3の上部には電源線及び信号線を接続するための端子台4が、下部には冷媒配管の液管及びガス管を接続するための冷媒配管接続口5が、それぞれ設けられている。
【0012】
なお、図示していないが、一般に、空調室内機1内には冷媒配管に接続された絞り装置や利用側熱交換器、及び利用側熱交換器の近傍に設けられた室内ファンが設けられている。また、室内の気温を検知する温度センサーや、リモコン等によりユーザの希望する温度を設定できるように構成されている。
【0013】
また、同じく図示していないが、一般に、マルチ空調室外機3内には冷媒配管に接続された圧縮機、四方弁や熱源側熱交換器、及び熱源側熱交換器の近傍に設けられた室外ファンが設けられている。そして、マルチ空調室外機3側では、これらの機器の監視制御を行うとともに、信号線を介して空調室内機1内に設置された機器の監視制御も行っている。
【0014】
図2は、実施の形態1に係る冷媒配管の模式図である。図2において、各冷媒配管2は、2本の電源線6と金属製の液管7及びガス管8とが、断熱材9により周囲を覆われた構成となっている。また、各冷媒配管の両端部は、断熱材9に覆われておらず、2本の電源線6と液管7とガス管8とが、露出した状態となっており、マルチ空調室外機3側では、液管7はそれぞれの空調室内機1に対応した液管接続口(10A又は10B)に、ガス管8はそれぞれの空調室内機1に対応したガス管接続口(11A又は11B)に、それぞれフレアナット接続されている。
【0015】
また、液管7の両端部には、絶縁装置12及び導通装置13が取付けられており、絶縁装置12の方が、導通装置13よりも液管7の端部側に取付けられている。そして、導通装置13には信号線14が接続されている。また、空調室内機1側の導通装置13に取付けられた信号線14は、空調室内機1の図示しない信号端子に接続され、マルチ空調室外機3側の導通装置13に取付けられた信号線14は、マルチ空調室外機3のそれぞれの信号端子に接続される。なお、絶縁装置12及び導通装置13は、ガス管8の両端部に設けられていても良いし、また液管7とガス管8との両方に設けられていても良い。
【0016】
図3は、実施の形態1に係る絶縁装置12・導通装置13を示す模式図である。図3において、液管7の両端には絶縁装置12が取付けられており、それぞれの絶縁装置12によって、液管7の端部と中央部とが絶縁されている。絶縁装置12は、輪形状の絶縁体であり液管7を左右に分断する形で絶縁を行っている。絶縁装置12の取付け時には、絶縁装置12の左右両側から液管7を取付けるようにすればよい。
【0017】
なお、本実施の形態では、輪形状の絶縁体で液管7を左右に分断する構成をとっているが、信号の通路となる部分、すなわち、液管7のうち絶縁装置12に挟まれた部分と、室内機及び室外機とを電気的に絶縁できればよいので、絶縁装置12を室内機又は室外機に直接接続可能な形状として、冷媒配管2を構成しても良い。少なくとも、信号の通路となる金属管があり、その金属管を、絶縁物を介して室内機又は室外機に接続する構成であれば良い。
【0018】
導通装置13は、その内径が液管7の外径と略同一の管形状であり、その周面の一部が切り欠かれた断面C字形の形状をした弾性を有する部材(例えばプラスチック等の合成樹脂)からなる。そして、この切り欠かれた部分を利用して、液管7の外部からスライドさせることにより、液管7に着脱することが可能な構造となっている。
【0019】
また、導通装置13の内周面には内周面導体15が設けられ、導通装置13を液管7に取付けたときに、内周面導体15と液管7とが電気的に接触するように構成されている。また、内周面導体15には、信号線14が接続されている。図3においては、導通装置13の周面を貫通して信号線14が内周面導体15に接続されているが、これに限られるものではなく、導通装置13周面の切り欠かれた部分(断面C字形の空隙部分)から接続しても良い。あるいは導通装置13自体を導体で形成しても構わない。
【0020】
このような導通装置13を用いることにより、信号線14の冷媒配管への着脱が容易となる。
【0021】
また、信号線14の冷媒配管への着脱が容易となることにより、作業効率の向上が図れる。特に、1台の室外機に対して複数の室内機が接続されるマルチタイプの空気調和機においては、誤配線があった場合でも手直ししやすくなるので、例えば最終的な導通試験時に誤配線を見つけたとしても工程の手戻りが発生せず、設置工事の際の作業効率を向上させることができる。
【0022】
なお、室内機との間で送受される信号は、送信側の機器に接続された信号線14から導通装置13を介して液管7に伝わり、更に、受信側の機器の信号線14に接続された導通装置13を経由して、受信側機器に伝送される。
【0023】
なお、マルチ空調室外機3側の信号端子を冷媒配管の接続口近傍に設ければ、誤配線の可能性が低くなり好適である。図4は、このような構成を示す実施の形態1に係るマルチ空調室外機3の側面模式図である。図4において、マルチ空調室外機3の上方に設けられた端子台4には、A室用の端子として、A室電源線接続端子16A及びA室信号線接続端子17Aが近接して設けられ、また、B室用の端子として、B室電源線接続端子16B及びB室信号線接続端子17Bが近接して設けられている。本実施の形態では、電源線として2本の導線が、信号線として1本の導線が用いられる例を示している。
【0024】
また、本実施の形態では、室外受電のタイプを例に取り説明しており、端子台4には受電用電源端子18が設けられている。これは、家屋などに供給される電気を受電用電源端子18からマルチ空調室外機3内に取り込むための端子であり、この受電用電源端子18から、マルチ空調室外機3内の各機器への給電、各空調室内機1への給電を行っている。
【0025】
一方、図4において、マルチ空調室外機3の下方に設けられた冷媒配管接続口5には、A室用の接続口として、A室液管接続口10A及びA室ガス管接続口11Aが近接して設けられ、また、B室用の接続口として、B室液管接続口10B及びB室ガス管接続口11Bが近接して設けられている。これらの液管接続口及びガス管接続口はフレアナットにより接続可能な構造となっている。また、液管とは冷媒が液状態でその内部を流れる管であり、ガス管とは冷媒がガス状態でその内部を流れる管である。
【0026】
また、図4において、A室ガス管接続口11Aの近傍下方にA室延伸信号端子19Aが設けられ、B室ガス管接続口11Bの近傍下方にB室延伸信号端子19Bが設けられている。そして、A室信号線接続端子17AとA室延伸信号端子19Aとはマルチ空調室外機3の内部を通るA室延伸信号線20Aにより接続され、B室信号線接続端子17BとB室延伸信号端子19BともB室延伸信号線20Bにより同様に接続されている。なお、これら延伸信号端子の設置位置は、ガス管接続口の近傍下方に限られず、それぞれの室内機に対応した冷媒配管接続口の近傍に設けられていればよい。
【0027】
実施の形態1によれば、金属製の冷媒配管の両端に絶縁装置12及び導通装置13を設け、導通装置13に信号線14を接続したので、冷媒配管2に対する信号線14の着脱が容易になるという効果がある。また、特に、マルチタイプの空気調和機にこの冷媒配管を用いれば、設置工事における作業効率の向上を図ることができるという効果もある。
【0028】
また、実施の形態1によれば、信号線接続端子17と延伸信号端子19とをマルチ空調室外機3の内部を通る延伸信号線20により接続し、さらに、延伸信号端子19を冷媒配管接続口の近傍に設けたので、複数の室内機が接続される場合の誤配線を防止することができるという効果もある。
【符号の説明】
【0029】
1 空調室内機
2 冷媒配管
3 マルチ空調室外機
4 端子台
5 冷媒配管接続口
6 電源線
7 液管
8 ガス管
9 断熱材
10A A室液管接続口
10B B室液管接続口
11A A室ガス管接続口
11B B室ガス管接続口
12 絶縁装置
13 導通装置
14 信号線
15 内周面導体
16A A室電源線接続端子
16B B室電源線接続端子
17A A室信号線接続端子
17B B室信号線接続端子
18 受電用電源端子
19A A室延伸信号端子
19B B室延伸信号端子
20A A室延伸信号線
20B B室延伸信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属管の両端に設けられた絶縁物を介して、室内機と室外機とを接続する冷媒配管であって、
前記金属管に取付けられた導通装置を備え、
前記導通装置は、断面C字形の略管形状で、少なくともその内側に導体を有するとともに、該導体に信号線が接続されている冷媒配管。
【請求項2】
前記絶縁物は輪形状をなし、該絶縁物の両側に金属管を接続してなる請求項1に記載の冷媒配管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の冷媒配管により、室外機と室内機とを接続して構成される空気調和機。
【請求項4】
1台の室外機に対して複数の室内機が接続される請求項3に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−163490(P2011−163490A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28731(P2010−28731)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】