説明

冷感泡沫化粧料

【課題】冷感泡沫化粧料に於いて、冷感を有した泡沫を形成して冷感を付与し、かつ液だれを防止すると共に伸びの良い泡沫として使用する。
【解決手段】冷感泡沫化粧料は、製剤が水性原体および沸点が0℃以下の液化ガスを含有してなり、前記水性原体が水溶性高分子、低級アルコールおよび非イオン界面活性剤を含有し、且つ前記沸点が0℃以下の液化ガスがジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたもので、前記水性原体と前記液化ガスの混合物がゲル状となり、内容物を泡沫状に噴射したとき発泡した前記水性原体が前記液化ガスの気化熱で冷却されることにより、冷感を有した泡沫となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を泡沫状に噴射したとき、発泡した水性原体が液化ガスの気化熱で冷却されることにより、冷感を有した泡沫となることを特徴とした冷感泡沫化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物を噴射したとき塗面で氷結状又は積雪状となって冷却感を与える製剤としては、化粧水、水虫剤などがあり、氷結状又は積雪状が溶けたあとは液状となるものが提供されている。
【0003】
冷却感を与える組成物として、水を50重量%以上含むエアゾール用含水原液と沸点5℃以下のエアゾール用噴射剤又はエアゾール用噴射剤と噴射助剤の混合物からなるエアゾール組成物(例えば特許文献1参照)がある。このエアゾール組成物は、水を50重量%以上含むエアゾール用含水原液と沸点5℃以下のエアゾール用噴射剤又はエアゾール用噴射剤と噴射助剤の混合物からなり、塗布面に霧状で噴射したとき、噴射剤の気化熱によって冷却された含水原液の一部又はほとんど全部が塗布面上に氷結状あるいは積雪状に付着するものである。
【0004】
また皮膚冷却エアゾール剤として、水、低級アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる2種以上の成分及び有効成分を配合した原液と液化ガスの噴射剤からなる皮膚冷却エアゾール剤(例えば特許文献2参照)がある。この皮膚冷却エアゾール剤は、上記成分を配合しシャーベット状の泡沫ゲルを形成するものである。
【0005】
【特許文献1】特許第2960445号公報
【特許文献2】特許第3038837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および特許文献2に係わる技術は、含水原液を液化ガスの気化熱により冷却し氷結状、積雪状又はシャーベット状にさせて冷却感を与えるものであり、この氷結状、積雪状又はシャーベット状の原液が溶けたあとは液状となり、塗布面から液だれがあるという問題を払拭することが出来ない。
【0007】
本発明の目的は、内容物を泡沫状に噴射したとき発泡した水性原体が液化ガスの気化熱で冷却され冷感を有した泡沫となることにより、冷感の付与および液だれを防止すると共に伸びの良い泡沫として塗布することが出来る冷感泡沫化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係わる冷感泡沫化粧料は、製剤が水性原体および沸点が0℃以下の液化ガスを含有してなり、前記水性原体が水溶性高分子、低級アルコールおよび非イオン界面活性剤を含有し、且つ前記沸点が0℃以下の液化ガスがジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたもので、前記水性原体と前記液化ガスの混合物がゲル状となり、内容物を泡沫状に噴射したとき発泡した前記水性原体が前記液化ガスの気化熱で冷却されることにより、冷感を有した泡沫となることを特徴とするものである。
【0009】
上記冷感泡沫化粧料に於いて、製剤中には水性原体15重量%乃至45重量%および沸点が0℃以下の液化ガス55重量%乃至85重量%含有することが好ましい。
【0010】
上記沸点が0℃以下の液化ガスは、ジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせ含有することが好ましい。
【0011】
上記水溶性高分子を、水性原体中に0.01重量%乃至3重量%含有することが好ましい。
【0012】
また低級アルコールを、水性原体中に1重量%乃至30重量%含有することが好ましい。
【0013】
また非イオン界面活性剤を、水性原体中に0.1重量%乃至10重量%含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明に係わる冷感泡沫化粧料では、水溶性高分子、低級アルコールおよび非イオン界面活性剤からなる水性原体と、ジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた液化ガスを耐圧容器に充填することで、水溶性高分子、非イオン界面活性剤及び液化ガスによって内容物がゲル化し、噴射した内容物中の液化ガスが揮発および発泡すると共に液化ガスの気化熱により発泡した水性原体が冷却され冷感を付与することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係わる冷感泡沫化粧料の最良の形態について説明する。
【0016】
本発明は、製剤が水性原体15重量%乃至45重量%および沸点が0℃以下の液化ガス55重量%乃至85重量%を含有してなり、前記水性原体が水溶性高分子0.01重量%乃至3重量%、低級アルコール1重量%乃至30重量%および非イオン界面活性剤0.1重量%乃至10重量%を含有し、且つ前記沸点が0℃以下の液化ガスがジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたもので、前記水性原体と前記液化ガスの混合物がゲル状となり、内容物を泡沫状に噴射したとき発泡した前記水性原体が前記液化ガスの気化熱で冷却されることにより、冷感を有した泡沫となることを特徴とする冷感泡沫化粧料に関するものである。
【0017】
また泡沫を得るためには水性原体と液化ガスを分散した状態で、液化ガスの揮発により水性原体が発泡する。しかしながら、一般のフォーム剤は水性原液と液化ガスを分散させても直ぐに分離すると共に、分離する過程において不均一な分散状態を生じることがあるため、ゲル化させ分散を保持させる方が好ましい。
【0018】
また水性原体と液化ガスをゲル化させることによって、水性原体は液化ガスの気化熱による冷却効率を向上し、冷感を有する泡沫を得ることが可能となる。
【0019】
本発明の冷感泡沫化粧料は、水性原体中の水溶性高分子と非イオン界面活性剤により液化ガスをゲル化して封じ込め、且つ液化ガスの揮発による発泡および液化ガスの気化熱により発泡した水性原体を冷却して冷感を有する泡沫を形成する。
【0020】
上記冷感を有する泡沫とは、内容物を泡沫状で噴射し発泡する過程において液化ガスの気化熱により水性原体が冷却されることによって冷感を有する泡沫となることをいう。
【0021】
また冷感を有した泡沫の温度としては、液化ガスの種類・配合量、製剤の温度および使用環境により泡沫の温度は異なるが、例として温度が25℃の場合の泡沫温度範囲は−10℃〜+5℃程度であるが、前記水性原体および前記液化ガスを使用するものであれば上記例に限定されるものではない。
【0022】
また製剤の噴射状態としては形態により噴射状態が異なるが、スパウトを使用し泡沫状で噴射して液化ガスの気化熱により水性原体を冷却し冷感を有する泡沫となるもの。また泡沫を霧状で噴射中に塗布面に付着した泡沫が積層となり、この際液化ガスの気化熱によって水性原体を冷却し冷感を有する泡沫となるものなどがある。
【0023】
水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸系共重合体、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩およびガム質などがあり、製剤に応じて使い分けることが好ましい。さらには安定したゲルを得るためにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩およびガム質などが最も好ましい。
【0024】
上記水溶性高分子は、水性原体中に0.01重量%〜3重量%含まれることが好ましい。水性原体中における水溶性高分子が0.01重量%では液化ガスを封じ込め、ゲル化させる力は弱くなる。また、水性原体中における水溶性高分子が3重量%では液化ガスを封じ込めゲル化させる力は大きくなるが、ベタツキ感は大きくなる。
【0025】
水溶性高分子を3%以上配合しても液化ガスを封じ込める強さに差異はないが、水性原体の粘度が増すと共に泡質が悪くなり、ベトツキ感は大きくなる。従って、水性原体における水溶性高分子の上限は3重量%で十分である。
【0026】
低級アルコールには、水性原体の凝固温度を下げ液化ガスの気化熱により水性原体が冷却されて凝固することを調節し、泡沫状で噴射出来るようにすることが要求される。このような低級アルコールとしてはエチルアルコールやイソプロピルアルコールなどが好ましい。また、低級アルコールは消泡作用を有し低級アルコールの種類によって消泡作用が異なることからエチルアルコールが最も好ましい。
【0027】
上記低級アルコールは、水性原体中に1重量%〜30重量%含まれることが好ましい。低級アルコールが1重量%以下では水性原体が凝固し泡沫状で噴射出来なくなる。また30重量%以上では泡沫を形成し難くなると共に、冷感を有した泡沫を得られなくなる傾向がある。
【0028】
非イオン界面活性剤は発泡剤としての機能および液化ガスを封じ込める機能を有し、且つ液化ガスの気化熱により冷却され凝固傾向となることが要求される。このような非イオン界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンステロール類などがある。
【0029】
上記非イオン界面活性剤は、水性原体中に0.1重量%〜10重量%含まれることが好ましい。水性原体中における水溶性高分子が0.1重量%では液化ガスを封じ込めゲル化させる力および発泡性は弱くなる。また、水性原体中における水溶性高分子が10重量%では液化ガスを封じ込めゲル化させる力および発泡性は大きくなるが、ベタツキ感は大きくなる。
【0030】
非イオン界面活性剤を10重量%以上配合しても液化ガスを封じ込めゲル化させる力および発泡性に差異はないが、水性原体のベトツキ感は大きくなる。従って、水性原体における非イオン界面活性剤の上限は10重量%で十分である。
【0031】
液化ガスは製剤中に、55重量%〜85重量%含まれることが好ましい。液化ガスが85重量%以上では水性原体と液化ガスが混合し難くなる。また、液化ガスが55重量%以下では冷感を有した泡沫を得難くなる。
【0032】
液化ガスとしては、ジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせることが好ましい。
【0033】
水性原体中には、水溶性高分子、低級アルコールおよび非イオン界面活性剤のほかに、用途に応じて界面活性剤、多価アルコール、無機粉体、油性物質、紫外線吸収剤、殺菌剤、消炎剤、メントール、抽出物、保存剤及び香料など冷感泡沫化粧料としての成分を適宜配合することが出来る。
【0034】
以下、本発明に係わる実施例1〜8および比較例1−1〜5−4と、前記各実施例および比較例に対する評価を表1〜6に示す。
【0035】
表1〜6に於いて、内容物のゲル化の評価は官能によるものであり、○印はゲル化が良好と評価したもの、△印はゲル化が不安定であると評価したもの、×印はゲル化を殆どしていないと評価したもの、を表している。
【0036】
また冷感、の評価は官能によるものであり、○印は冷感があると評価したもの、△印は冷感が不足していると評価したもの、×印は冷感が殆どしないと評価したもの、を表している。
【0037】
また発泡性、の評価は官能によるものであり、○印は発泡性が良好と評価したもの、△印は発泡性が不安定であると評価したもの、×印は殆ど発泡しないもの、を表している。
【0038】
またベタツキ感、の評価は官能によるものであり、○印はベタツキ感が殆どしないと評価したもの、△印はベタツキ感はあるが気にしない程度と評価したもの、×印はベタツキ感があると評価したもの、を表している。
【実施例1】
【0039】
実施例1は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸ポリエチレングリコール(以下、モノステアリン酸PEGという)を5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を20.0重量%および液化ガスを80重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、プロパン2.8重量%、イソブタン11.2重量%、ノルマルブタン26.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0040】
比較例1−1〜1−4は実施例1に於けるヒドロキシプロピルセルロースの含有率を変化させたものであり、比較例1−1ではヒドロキシプロピルセルロースを0.005重量%とし、比較例1−2ではヒドロキシプロピルセルロースを0.01重量%とし、比較例1−3ではヒドロキシプロピルセルロースを3.0重量%とし、比較例1−4ではヒドロキシプロピルセルロースを4.0重量%、としたものである。
【0041】
表1に示すように、実施例1ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感はなく、総合的に良好であった。これに対し、比較例1−1ではゲル化および冷感は殆どなく、発泡性も不安定であったが、ベタツキ感はなかった。また比較例1−2ではゲル化および冷感が不安定で、発泡性も不足しているが、ベタツキ感はなく支障はない程度であった。また比較例1−3ではゲル化は良好で冷感もあるも、発泡性が不安定で、多少ベタツキ感はあるものの支障はない程度であった。また比較例1−4ではゲル化は良好で冷感もあるものの、発泡性に難があり、ベタツキ感もあった。
【0042】
【表1】

【0043】
上記結果から、水性原体に於けるヒドロキシプロピルセルロースの含有率が0.005重量%ではゲル化、冷感に難があり実用的ではなく、含有率が4.0重量%ではゲル化、冷感と共に良好であるものの、発泡性が不安定で、ベタツキ感があり実用的ではないが、含有率が0.01重量%、3.0重量%ともゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるヒドロキシプロピルセルロースの含有率は0.01重量%〜3.0重量%の範囲で十分である。
【実施例2】
【0044】
実施例2は、水性原体を、ポリアクリル酸ナトリウムを0.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を20.0重量%および液化ガスを80重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、プロパン2.8重量%、イソブタン11.2重量%、ノルマルブタン26.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0045】
比較例2−1〜2−4は実施例2に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率を変化させたものであり、比較例2−1ではポリアクリル酸ナトリウムを0.005重量%とし、比較例2−2ではポリアクリル酸ナトリウムを0.01重量%とし、比較例2−3ではポリアクリル酸ナトリウムを3.0重量%とし、比較例2−4ではポリアクリル酸ナトリウムを4.0重量%、としたものである。
【0046】
表2に示すように、実施例2ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。これに対し、比較例2−1ではゲル化に難があり、冷感は殆どなく、発泡性も不安定であるが、ベタツキ感はなかった。また比較例2−2ではゲル化および冷感が不安定で、発泡性も不足しているが、ベタツキ感はなく支障はない程度であった。また比較例2−3ではゲル化は良好で冷感もあるものの、発泡性が不安定で、多少ベタツキ感があったが支障はない程度であった。また比較例2−4ではゲル化は良好で冷感もあるものの、発泡性に難がありベタツキ感もあった。
【0047】
【表2】

【0048】
上記結果から、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率が0.005重量%ではゲル化、冷感に難があり実用的ではなく、含有率が4.0重量%ではゲル化、冷感と共に良好であるものの、発泡性が不安定でベタツキ感もあり実用的ではないが、含有率が0.01重量%、3.0重量%ともゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるポリアクリル酸ナトリウムの含有率は0.01重量%〜3.0重量%の範囲で十分である。
【0049】
実施例1、2の結果、水性原体に於ける水溶性高分子の含有率は0.01重量%〜3.0重量%の範囲で十分である。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を20.0重量%および液化ガスを80重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、プロパン2.8重量%、イソブタン11.2重量%、ノルマルブタン26.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0051】
比較例3−1〜3−4は実施例3に於けるモノステアリン酸PEGの含有率を変化させたものであり、比較例3−1ではモノステアリン酸PEGを0.01重量%とし、比較例3−2ではモノステアリン酸PEGを0.1重量%とし、比較例3−3ではモノステアリン酸PEGを重量10.0%とし、比較例3−4ではモノステアリン酸PEGを15.0重量%、としたものである。
【0052】
表3に示すように、実施例3ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。これに対し、比較例3−1ではゲル化は不安定で、冷感も少なく、発泡性も難があり、ベタツキ感はなかった。また比較例3−2ではゲル化および冷感は良好で、発泡性は不足しているものの、ベタツキ感はなく支障はない程度であった。また比較例3−3ではゲル化、冷感、発泡性とも良好で、ベタツキ感は支障はない程度であった。また比較例3−4ではゲル化、冷感、発泡性共に良好であったが、ベタツキ感があった。
【0053】
【表3】

【0054】
上記結果から、水性原体に於けるモノステアリン酸PEGの含有率が0.01重量%ではゲル化が不安定で、冷感および発泡性に難があり実用的ではなく、含有率が15.0重量%ではゲル化、冷感、発泡性共に良好であるものの、ベタツキ感があり実用的ではないが、含有率が0.1重量%、10.0重量%ともゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於けるモノステアリン酸PEGの含有率、即ち、非イオン界面活性剤の含有率は0.1重量%〜10.0重量%の範囲で十分である。
【実施例4】
【0055】
実施例4は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を20.0重量%および液化ガスを80重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、プロパン2.8重量%、イソブタン11.2重量%、ノルマルブタン26.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0056】
比較例4−1〜4−4は実施例4に於ける99%エチルアルコールの含有率を変化させたものであり、比較例4−1では99%エチルアルコールを0.1重量%とし、比較例4−2では99%エチルアルコールを1.0重量%とし、比較例4−3では99%エチルアルコールを30.0重量%とし、比較例4−4では99%エチルアルコールを40.0重量%、としたものである。
【0057】
表4に示すように、実施例4ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。これに対し、比較例4−1ではゲル化および冷感は良好であるも、発泡性に難があり、ベタツキ感はなかった。また比較例4−2ではゲル化および冷感は良好で、発泡性は不足しているが、ベタツキ感はなく支障はない程度であった。また比較例4−3ではゲル化は良好で、冷感があり、発泡性も良好で、多少ベタツキ感はあるが支障はない程度であった。また比較例4−4ではゲル化は不安定で、冷感もあるが、発泡性が足りず、ベタツキ感はなかった。
【0058】
【表4】

【0059】
上記結果から、水性原体に於ける99%エチルアルコールの含有率が0.1重量%ではゲル化、冷感、ベタツキ感は良いが、発泡性に難があるため実用的ではなく、含有率が40.0重量%ではゲル化が不安定で、冷感、ベタツキ感は良いが、発泡性が不安定で実用的ではないが、含有率が1.0重量%、30.0重量%ともゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、水性原体に於ける99%エチルアルコールの含有率、即ち、低級アルコールの含有率は1.0重量%〜30.0重量%の範囲で十分である。
【実施例5】
【0060】
実施例5は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を20.0重量%および液化ガスを80重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、プロパン2.8重量%、イソブタン11.2重量%、ノルマルブタン26.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0061】
比較例5−1〜5−4は実施例5に於ける水性原体と液化ガスの含有率を変化させたものであり、比較例5−1は水性原体を5.0重量%および液化ガスを95.0重量%(ジメチルエーテル47.5重量%、プロパン重量3.3%、イソブタン重量13.3%、ノルマルブタン30.9重量%)配合して製剤を構成したものであり、比較例5−2は水性原体を15.0重量%および液化ガスを85.0重量%(ジメチルエーテル42.5重量%、プロパン3.0重量%、イソブタン11.9重量%、ノルマルブタン27.6重量%)配合して製剤を構成したものであり、比較例5−3は水性原体を45.0重量%および液化ガスを55.0重量%(ジメチルエーテル27.5重量%、プロパン1.9重量%、イソブタン7.7重量%、ノルマルブタン17.9重量%)配合して製剤を構成したものであり、比較例5−4は水性原体を55.0重量%および液化ガスを45.0重量%(ジメチルエーテル22.5重量%、プロパン1.6重量%、イソブタン6.3重量%、ノルマルブタン14.6重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0062】
表5に示すように、実施例5ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。これに対し、比較例5−1ではゲル化に難があり、冷感は良好であるも、発泡性は不安定で、ベタツキ感はなかった。また比較例5−2ではゲル化が不安定であるも、冷感、発泡性、ベタツキ感は良好であった。また比較例5−3ではゲル化は良好で冷感もあり、更に発泡性についても良好で、ベタツキ感もなかった。また比較例5−4ではゲル化は良好で、冷感は足りないが、発泡性は良好で、多少ベタツキ感はあった。
【0063】
【表5】

【0064】
上記結果から、製剤に於ける水性原体と液化ガスの含有率が水性原体5.0重量%および液化ガスを95.0重量%ではゲル化、発泡性に難があり実用的ではなく、水性原体を55.0重量%および液化ガスを45.0重量%では冷感が足りず、ベタツキ感もあり実用的ではないが、含有率が水性原体を15.0重量%および液化ガスを85.0重量%、水性原体を45.0重量%および液化ガスを55.0重量%ではゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に実用の範囲にあるといえる。従って、製剤に於ける水性原体および液化ガスの含有率は水性原体15重量%〜45重量%および液化ガス55重量%〜85重量%の範囲で十分である。
【実施例6】
【0065】
実施例6は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および液化ガスを70重量%(イソブタン70.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0066】
表6に示すように、実施例6ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。
【実施例7】
【0067】
実施例7は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および液化ガスを70重量%(ジメチルエーテル40.0重量%、ノルマルブタン30.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0068】
表6に示すように、実施例7ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった
【実施例8】
【0069】
実施例8は、水性原体を、ヒドロキシプロピルセルロースを1.5重量%、非イオン界面活性剤としてモノステアリン酸PEGを5.0重量%、99%エチルアルコールを15.0重量%、精製水を適量として構成すると共に、この水性原体を30.0重量%および液化ガスを70重量%(プロパン40.0重量%、イソブタン10.0重量%、ノルマルブタン20.0重量%)配合して製剤を構成したものである。
【0070】
表6に示すように、実施例8ではゲル化が良好で冷却感もあり、更に発泡性も良好で、ベタツキ感もなく総合的に良好であった。
【0071】
【表6】

【0072】
上記結果から、実施例6〜8は、水性原液を30.0重量%と液化ガスを70重量%に固定し液化ガスの種類、組み合わせおよび含有率変化させたものでゲル化、冷感、発泡性、ベタツキ感共に良好であった。従って、液化ガスは1種又は2種以上を組み合わせ最良の状態とする。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明に係わる冷感泡沫化粧料は、水溶性高分子、低級アルコールおよび非イオン界面活性剤を含有する水性原体と、ジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた液化ガスを配合することを特徴とし、冷感を有した泡沫を形成し冷感の付与および液だれを防止すると共に伸びの良い泡沫の冷感泡沫化粧料とすることが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤が水性原体15重量%乃至45重量%および沸点が0℃以下の液化ガス55重量%乃至85重量%を含有してなり、前記水性原体が水溶性高分子0.01重量%乃至3重量%、低級アルコール1重量%乃至30重量%および非イオン界面活性剤0.1重量%乃至10重量%を含有し、且つ前記沸点が0℃以下の液化ガスがジメチルエーテル、プロパン、イソブタン及びノルマルブタンから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせたもので、前記水性原体と前記液化ガスの混合物がゲル状となり、内容物を泡沫状に噴射したとき発泡した前記水性原体が前記液化ガスの気化熱で冷却されることにより、冷感を有した泡沫となることを特徴とした冷感泡沫化粧料。

【公開番号】特開2007−131539(P2007−131539A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323081(P2005−323081)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000185363)小池化学株式会社 (11)
【Fターム(参考)】