説明

冷熱源装置の運転制御システム

【課題】冷却負荷や外気に応じて冷凍機直列型の冷熱源装置全体の消費電力が最も小さくなるように運転制御する。
【解決手段】外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比とを取得する取得手段と、各冷凍機1、2の冷却水ポンプ4、5の流量比、冷却塔ファン21a,21bの風量比を任意の定数とすると共に各冷凍機1,2の負荷分配比を変数として、冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適負荷分配比をシミュレートすると共に、該最適負荷分配比を定数とすると共に流量比と風量比を変数として冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適流量比と最適風量比をシミュレートするシミュレータ24と、各冷凍機1,2の冷水ポンプ3を制御すると共に、各冷凍機1,2の出口冷水温度を制御し、各冷却塔6,7の冷却水ポンプ4,5と冷却塔ファン21a,21bを制御する制御手段23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷熱源装置の運転制御システムに係り、特に、冷熱源装置の省エネ運転を行うことができる冷熱源装置の運転制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
中東等のように、年間を通して外気温度が高い国や地域では、冷熱を使用する外部負荷装置(例えば空調機)に供給する冷水温度と外部負荷装置から還流する冷水温度との温度差が大きい。このため、外部負荷装置から還流する冷水(高温側冷水)を処理する高温側冷凍機と、高温側冷凍機で冷却されて冷却負荷が低減された冷水(低温側冷水)を処理する低温側冷凍機との2台の冷凍機を直列に接続した冷凍機直列型の冷熱源装置が用いられている。冷凍機直列型の冷熱源装置の運転については、例えば特許文献1、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−225528号公報
【特許文献2】特開昭60−023760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1及び2では、処理すべき冷却負荷に関係なく、低温側冷凍機を定格運転し、残りの冷却負荷を高温側冷凍機で部分冷却負荷運転しており、冷却負荷に応じた冷凍機の省エネ運転を行っていない。また、外気に応じた冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔ファンの省エネ運転もされていない。
【0005】
このような背景から、冷却負荷や外気に応じて冷凍機直列型の冷熱源装置を省エネ運転するための運転制御システムの確立が課題となっている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、冷却負荷や外気に応じて冷凍機直列型の冷熱源装置全体の消費電力が最も小さくなるように運転制御することができるので、従来と比較して顕著な省エネを図ることができる冷熱源装置の運転制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の冷熱源装置の運転制御システムは前記目的を達成するために、外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、前記複数の冷凍機ごとに前記冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを有する場合であって、前記運転制御システムは、前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、冷却塔ファンの風量比、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適流量比、最適風量比、及び最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適流量比、最適風量比に基づいて前記各冷却塔の冷却水ポンプと冷却塔ファンを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の冷熱源装置の運転制御システムは、複数の冷凍機ごとに冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを有する場合である。
【0009】
この場合、制御手段は、冷水流量比に基づいて各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、冷却塔ファンの流量比、各冷凍機に冷熱負荷比を分配する負荷分配比を変数として、冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適流量比と最適風量比と最適負荷分配比をシミュレータでシミュレートし、該シミュレータで得られた最適負荷分配比に基づいて各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適流量比、最適風量比に基づいて各冷却塔の冷却水ポンプと冷却塔ファンを制御するようにした。
【0010】
ここで、COPとは、Coefficient Of Performanceの略であり、性能係数とも称される。また、冷凍機の設定冷凍能力とは、冷凍機の定格冷凍能力もしくは使用者が任意に設定した冷凍能力を言う。
【0011】
本発明における冷熱源装置の運転制御システムによれば、取得手段によって、冷却塔ファンで冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、直列に配設された複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する。これにより、冷熱源装置全体の定格冷却能力に対して実際に必要としている冷却能力を把握することができる。
【0012】
次に、シミュレータによって、先ず、各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、冷却塔ファンの風量比、各冷凍機に冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適流量比と最適風量比と最適負荷分配比をシミュレートする。これにより、取得手段で取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比のときに、冷熱源装置全体のCOPを最大にするには、各冷凍機、及び各冷凍機に対応する冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを、どのような比率で分担させるかを決定することができる。
【0013】
そして、制御手段は、冷水流量比に基づいて冷水ポンプを制御すると共に、最適負荷配分比に基づいて各冷凍機の出口冷水温度を制御し、最適流量比、最適風量比に基づいて各冷却塔の冷却水ポンプと冷却塔ファンを制御する。
【0014】
これにより、運転制御システムは、冷却負荷や外気に応じて冷凍機直列型の冷熱源装置全体の消費電力が最も小さくなるように運転制御することができる。
【0015】
本発明においては、前記シミュレータには、前記冷凍負荷比と前記外気湿球温度に応じて前記COPが最大になる最適負荷分配比もしくは前記各冷凍機の出口冷水温度、最適流量比、最適風量比の制御テーブルが格納されており、前記取得手段によって取得された前記冷凍負荷比と前記外気湿球温度が前記シミュレータに入力されると、前記シミュレートは前記制御テーブルから前記最適負荷分配比、最適流量比、最適風量比を選択することが好ましい。
【0016】
シミュレータは、COPが最大になるまで変数である負荷分配比、流量比及び風量比を変更して演算を繰り返す必要がある。また、最適負荷分配比、最適流量比及び最適風量比を求める際に、取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比を前提条件としているので、前提条件が変わればシミュレートをし直さなくてはならない。これにより、シミュレートのための演算負荷が大きくなるので、運転制御システム全体の消費電力の増加につながる。
【0017】
しかし、制御テーブルを予め作成してシミュレータに格納しておけば、取得手段が取得した外気湿球温度と冷凍負荷比に応じて、最適負荷分配比、最適流量比及び最適風量比を制御テーブルから選択すればよいので、シミュレート負荷を顕著に低減できる。
【0018】
本発明において、前記運転制御システムは、前記冷水ポンプの回転数を可変する第1のインバータと、前記冷却水ポンプの回転数を可変する第2のインバータと、前記冷却塔ファンの回転数を可変する第3のインバータと、を備え、制御手段は、前記冷水流量比、前記最適流量比、前記風量比をインバータ周波数に換算して前記第1から第3のインバータに出力することにより、前記冷水ポンプ、前記冷却水ポンプ、前記冷却塔ファンの回転数をインバータ制御することが好ましい。
【0019】
このように回転駆動部を有する冷水ポンプ、冷却水ポンプ、冷却塔ファンの回転数をインバータ制御することで、更に省エネを図ることができる。
【0020】
本発明においては、前記制御手段は、前記複数台の冷凍機のうち前記シミュレータによって前記最適負荷分配比の割り当てが0%になった冷凍機については運転を停止すると共に、停止した冷凍機に対応する冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを停止することが好ましい。これにより、更に省エネ運転を図ることができる。
【0021】
本発明の請求項5の冷熱源装置の運転制御システムは前記目的を達成するために、外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、前記複数の冷凍機ついて少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を前記複数の冷凍機に各冷却水ポンプで分配する場合であって、前記運転制御システムは、前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、前記冷却塔ファンの風量、前記各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適風量、最適流量比、及び最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適風量及び最適流量比に基づいて前記冷却塔ファン及び冷却水ポンプを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項5の冷熱源装置の運転制御システムは、複数の冷凍機ついて少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を複数の冷凍機に各冷却水ポンプで分配する場合である。この場合のシミュレータによるシミュレートは、請求項1の「冷却塔ファンの風量比」を「冷却塔ファンの風量」に置き換えることにより、請求項1と同様に行うことができる。
【0023】
本発明の請求項6の冷熱源装置の運転制御システムは前記目的を達成するために、外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、前記複数の冷凍機ついて少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を1台の冷却水ポンプで前記複数の冷凍機の高温側冷凍機から低温側冷凍機に順次供給する場合であって、前記運転制御システムは、前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、前記冷却塔ファンの風量、前記各冷凍機の冷却水ポンプの流量、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適風量及び最適流量に基づいて前記冷却塔ファン及び冷却水ポンプを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項6の冷熱源装置の運転制御システムは、複数の冷凍機について少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を複数の冷凍機の高温側冷凍機から低温側冷凍機に順次供給する場合である。この場合のシミュレータによるシミュレートは、請求項1の「冷却塔ファンの風量比」を「冷却塔ファンの風量」に置き換え、請求項1の「冷却水ポンプの流量比」を「冷却水ポンプの流量」に置き換えることにより、請求項1と同様に行うことができる。
【0025】
なお、請求項5及び6の場合、冷凍機は複数台必要であるが、冷却塔は複数の冷凍機の冷却容量を賄えるだけの能力があれば複数台有することに限定されず、少なくとも1台あればよい。
【0026】
本発明においては、前記運転制御システムは、前記冷凍機をバイパスするバイパス配管と、前記バイパス配管を開閉する開閉弁と、を備え、前記制御手段は、前記運転を停止した冷凍機のバイパス配管の開閉弁を開成することが好ましい。
【0027】
停止した冷凍機中に冷水を流すと流通抵抗が大きくなり冷水ポンプの負荷が増大するが、バイパス配管で停止した冷凍機をバイパスさせることで冷水ポンプの負荷を低減する。これにより、更に省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】冷熱源装置とその運転制御システムを構成する全体図
【図2】冷熱源装置とその運転制御システムを構成する別態様の全体図
【図3】冷熱源装置とその運転制御システムを構成する更に別態様の全体図
【図4】冷熱源装置とその運転制御システムを構成する更に別態様の全体図
【図5】シミュレータによるシミュレートのステップ図
【図6】高温側の冷却水ポンプの冷凍負荷比及び湿球温度に対する最適流量比を表にした制御テーブル図
【図7】高温側の冷却塔ファンの冷凍負荷比及び湿球温度に対する最適風量比を表にした制御テーブル図
【図8】高温側冷凍機の冷凍負荷比及び湿球温度に対する最適出口冷水温度を表にした制御テーブル図
【図9】冷熱源装置とその運転制御システムの別態様を構成する全体図
【図10】冷熱源装置とその運転制御システムの更に別態様を構成する全体図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に従って本発明に係る冷熱源装置の運転制御システムの好ましい実施の形態について詳説する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態の冷熱源装置の運転制御システムAの全体図の一例である。
【0031】
図1に示すように、冷熱源装置は、冷熱を使用する外部負荷装置B(例えば空調機)に対して冷熱を供給する装置であって、高温側冷凍機1と低温側冷凍機2との2台のヒートポンプ式の冷凍機を直列に配設して構成される。即ち、外部負荷装置Bに冷水を供給すると共に、外部負荷装置Bで温められた冷水が還流する冷水配管17aの途中に2台の冷凍機1、2が直列に配設される。
【0032】
ここで、高温側冷凍機1とは外部負荷装置Bから還流する冷水が最初に通過する冷凍機を意味し、低温側冷凍機2とは高温側冷凍機1で途中まで冷却された冷水を目的温度まで冷却して外部負荷装置Bに供給する冷凍機を意味する。なお、本実施の形態では2台の冷凍機1、2で説明するが、2台以上であってもよい。
【0033】
ヒートポンプ式の冷凍機1、2の内部構造は特に図示しないが、主として、蒸発器と凝縮器との間を流れる冷媒が蒸発器で蒸発することによって冷水配管17a内を流れる冷水を冷却すると共に、蒸発した冷媒ガスを凝縮器で冷却して凝縮液化し、冷媒液体を再び蒸発器に循環する。
【0034】
また、冷水配管17aには、冷水ポンプ3、冷水流量計11a、高温側冷凍機1の入口側及び出口側の冷水温度を測定する第1温度計12aと第2温度計12b、及び低温側冷凍機2の出口側の冷水温度を測定する第3温度計12cが設けられる。なお、低温側冷凍機2の入口側の冷水温度は、高温側冷凍機1の出口温度と同じになる。これにより、外部負荷装置Bで温度上昇した冷水は、冷水ポンプ3によって冷水配管17a内を搬送され、高温側冷凍機1を通り所定温度まで冷却される。その後、所定温度まで冷却された冷水は、低温側冷凍機2を通り目的温度まで冷却されて外部負荷装置Bに供給される。
【0035】
冷水流量計11a、第1〜第3の温度計12a,12b,12cは、後記する制御手段23にケーブルにより接続され、計測された計測値が制御手段23に入力される。なお、図1において図が複雑にならないように、制御手段23と接続するケーブルの記載は省略して図示しており、他の図2〜4も同様である。
【0036】
また、冷水ポンプ3の駆動モータ(図示せず)にはインバータ8が接続されると共に、インバータ8が制御手段23の制御指令部25に接続される。これにより、制御指令部25は、冷水ポンプ3の駆動モータの回転周波数を冷水流量比Lrate(%)に応じてインバータ制御する。ここで、冷水流量比Lrate(%)とは、冷熱源装置の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を言う。
【0037】
また、高温側冷凍機1には、入口側と出口側とを繋ぐバイパス配管17bが設けられると共に、バイパス配管17bには開閉弁15が設けられる。そして、開閉弁15は制御手段23の制御指令部25にケーブルにより接続される。これにより、制御指令部25は、開閉弁15を閉成することにより、冷水配管17aを流れる冷水を、高温側冷凍機1と低温側冷凍機2の両方に流すことができる。また、制御指令部25が開閉弁15を開成することによって、冷水配管17aを流れる冷水が高温側冷凍機1をバイパスし、低温側冷凍機2のみに流れるようにすることができる。
【0038】
上記した高温側と低温側との2台の冷凍機1、2にはそれぞれ冷却塔6、7が備えられ、各冷凍機1、2の凝縮器と冷却塔6、7との間に設けられた循環流路である冷却水配管18a、18b内を冷却水が循環する。なお、冷却水配管18a,18bは、冷水配管17aと区別し易いように1点鎖線で示す。冷却塔6、7の構成は特に図示しないが、主として、冷却塔ファン21a,21b、散水管(図示せず)、冷却水貯留タンク(図示せず)を備え、冷却塔ファン21a,21bによって冷却塔6、7内に取り込まれた外気と散水管から散水される冷却水とがカウンターカレントで接触することにより、冷却水が冷却される。これにより、冷却塔6、7で外気によって冷却された冷却水は、冷却水ポンプ4、5によって冷却水配管18a,18b内を搬送されて冷凍機1、2の凝縮器に供給され、蒸発器と凝縮器との間を循環する冷媒を冷却する。冷却塔ファン21a,21bの駆動モータ(図示せず)には、インバータ10a、10bが接続され、インバータ10a、10bがケーブルによって制御手段23の制御指令部25に接続される。これにより、制御指令部25は、冷却塔ファン21a,21bの駆動モータの回転周波数を、制御手段23のシミュレータ24で演算された最適風量比(後記する)に基づいてインバータ制御する。
【0039】
なお、高温側の冷却水配管18aとは、高温側冷凍機1に対応して設けられたものを意味し、低温側の冷却水配管18bとは、低温側冷凍機2に対応して設けられたものを意味し、以下説明する機器や部材についても同様である。
【0040】
また、冷却塔6、7に取り込む外気の温度及び湿度を計測する外気温度計19と外気湿度計20が設けられ、これらの計測器はケーブルによって制御手段23に接続される。また、高温側と低温側の冷却水配管18a、18bにはそれぞれ、冷却水流量計11b、11c、冷却塔入口の冷却水温度を計測する入口温度計13a,14a、冷却塔出口の冷却水温度を計測する出口温度計13b,14bが設けられ、これらの計測器はケーブルによって制御手段23に接続される。また、冷却水ポンプ4、5にはインバータ9a,9bが接続され、インバータ9a,9bがケーブルによって制御手段23の制御指令部25に接続される。これにより、制御指令部25は、冷却水ポンプ4、5の駆動モータの回転周波数を、制御手段23のシミュレータ24で演算された最適流量比(後記する)に基づいてインバータ制御する。
【0041】
また、冷却塔6、7の出口温度計13b,14bと、冷却塔ファン21a、21bをインバータ制御するインバータ10a,10bとは、第1の温度指示調節計16a,16bにケーブル(図示あり)で接続される。そして、第1の温度指示調節計16a,16bは、制御指令部25からインバータ10a,10bに指令された最適流量比を用いて、出口温度計13b,14bの冷却水温度が所定温度になるように冷却塔ファン21a、21bの駆動モータの回転周波数を制御する。また、高温側及び低温側のそれぞれにおいて、冷却塔6、7の入口温度計13a,14aと、冷却水ポンプ4、5をインバータ制御するインバータ9a,9bとは、第2の温度指示調節計16c,16dにケーブル(図示あり)で接続される。そして、第2の温度指示調節計16c,16dは、制御指令部25からインバータ9a,9bに指令された最適風量比を用いて、入口温度計13a,14aの冷却水温度が所定温度になるように冷却水ポンプ4、5の駆動モータの回転周波数を制御する。制御方式としては例えばPID制御を採用することができるが、PID制御に限定されるものではない。
【0042】
なお、図1は、冷熱源装置の構成として最も好ましい態様で示したが、図2のようにバイパス配管17b及び開閉弁15を設けない態様でもよく、図3のように温度指示調節計16a〜16dを設けない態様でもよい。更には、バイパス配管17b、開閉弁15、温度指示調節計16a〜16dを設けない態様でもよい。
【0043】
次に、冷熱源装置を運転制御する運転制御システムについて説明する。
【0044】
冷水流量計11aで冷水配管17aを流れる冷水流量Lが測定され、第1〜第3の温度計12a〜12cで、高温側冷凍機1の入口冷水温度、出口冷水温度、及び低温側冷凍機2の出口冷水温度が計測される。また、冷却水流量計11b,11cで高温側と低温側との冷却水配管18a,18bを流れる冷却水流量が計測され、入口温度計13a,14aと出口温度計13b,14bで冷却塔6、7の入口冷却水温度と出口冷却水温度が計測される。更には、外気温度計19で外気温度が計測され、外気湿度計20で外気湿度が計測される。そして、これらの計測器で計測された計測値は制御手段23に入力され、冷凍負荷比Q(%)と、外気湿球温度TWB(℃)と、冷水流量比Lrate(%)が算出される。
【0045】
ここで、冷凍負荷比Q(%)とは、2台の冷凍機1、2の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷却負荷Qの比率(%)であり、次式(1)で算出される。
【0046】
Q=L*σ*(T1in−T2out)*C/60/(RTcap1+RTcap2)/1000…(1)
L…冷水流量(L/min)
σ…水の密度(kg/m
T1in…高温側冷凍機の入口冷水温度(℃)
T2out…低温側冷凍機の出口冷水温度(℃)
…水の比熱(kg/kg・K)
60…周波数60(Hz)の場合
RTcap1…高温側冷凍機の設定冷凍能力(kW)
RTcap2…低温側冷凍機の設定冷凍能力(kW)を示す。
【0047】
なお、「*」は掛け算を示し、「/」は割り算を示し、以下同様である。
【0048】
また、上記の設定冷凍能力は,冷凍機製造メーカが仕様書に記載している値であり、制御手段23に予め格納されている。
【0049】
また、上記算出された冷凍負荷比Q(%)を用いて冷水流量比Lrate(%)を求める。冷水流量比Lrate(%)とは、上記説明の通りであり、次式(2)で算出される。
【0050】
rate=Q/(σ*ΔTsp*C/60/1000)/Lcap…(2)
Q…冷凍負荷比(%)
σ…水の密度(kg/m
ΔTsp…T1in−T2outの設定値であり、冷熱源装置の運転時に設定されて制御装置に予め格納される(K)。
【0051】
…水の比熱(kg/kg・K)
60…周波数60(Hz)の場合
cap…定格冷水流量(L/min)
また、外気湿球温度TWBは、外気温度Taと外気湿度RHから公知の式を用いて算出される。
【0052】
そして、制御手段23は、冷水流量比に基づいて各冷凍機の冷水ポンプ3を制御すると共に、各冷凍機1、2の冷却水ポンプ4、5の流量比、冷却塔ファン21a、21bの流量比、各冷凍機1、2に冷熱負荷比を分配する負荷分配比を変数として、冷熱源装置全体のCOP(Coefficient Of Performance:性能係数)が最大になるための最適流量比と最適風量比と最適負荷分配比をシミュレータ24でシミュレートし、該シミュレータ24で得られた最適負荷分配比に基づいて各冷凍機の出口冷水温度を制御し、最適流量比、最適風量比に基づいて各冷却塔の冷却水ポンプ4、5と冷却塔ファン21a、21bを制御するようにした。
【0053】
図5は、シミュレータ24が行うシミュレートのステップを示したものである。この場合、各冷凍機1、2の冷却水ポンプ4、5の流量比、冷却塔ファン21a、21bの流量比、各冷凍機1、2に冷熱負荷比を分配する負荷分配比の全ての変数を同時に変えて、冷熱源装置全体のCOPが最大になる最適負荷分配比もしくは各冷凍機の出口冷水温度、最適流量比、最適風量比をシミュレートすることも可能であるが、以下のステップで段階的にシミュレートすることがより好ましい。
【0054】
先ず、シミュレータ24には、制御手段23で算出された冷凍負荷比Q(%)、外気湿球温度TWBが入力されると共に、冷却水ポンプ4、5の流量比と、冷却塔ファン21a,21bの風量比とを任意の定数(任意の固定値を与える)として入力される(ステップ1)。この場合、流量比と風量比は、極端な比率にするのではなく、冷却水ポンプ4、5や冷却塔ファン21a,21bの動作範囲の中から適当と思われる比率、例えば50%:50%に設定することが好ましい。また、冷水流量比Lrate(%)は、上記(2)式から分かるように、冷凍負荷比Q(%)によって一義的に決まる値なので、冷熱源装置の運転制御は冷凍負荷比Q(%)を代表因子として使用し、冷水流量比Lrate(%)は冷水ポンプ3の消費電力の計算に使用する。
【0055】
次に、シミュレータ24は、冷凍負荷比Q(%)を高温側冷凍機1と低温側冷凍機2とに配分する負荷分配比を変数として、任意の負荷分配比を入力する(ステップ2)。
【0056】
次に、シミュレータ24は、冷熱源システム全体のCOPを演算する(ステップ3)。
【0057】
COPの演算は、先ず、高温側と低温側の冷凍機1、2、冷水ポンプ3、冷却水ポンプ4、5、及び冷却塔ファン21a,21bのそれぞれの消費電力を演算する。即ち、冷凍機1、2の消費電力は、冷凍機1、2の入口の冷水温度データ、冷凍機冷却負荷データに対応した冷凍機のCOPが冷凍機メーカから仕様書の一部として公開されているので、これらのデータを基に冷凍機のCOPを推定し、消費電力は次式(3)で計算する。なお、冷凍機1、2の入口の冷水温度データは、第1〜第3の温度計12a〜12cで計測される。また、冷凍機の冷却負荷データは、冷水流量計11a、第1温度計12aと第3温度計12cの温度差、水の比熱から演算される。
【0058】
冷凍機の消費電力(kW)=Q/COP…(3)
また、冷水ポンプ3、冷却水ポンプ4,5、及び冷却塔ファン21a,21bの消費電力は、周波数をfとし、これらの機器を駆動する駆動モータの定格消費電力(周波数が50Hz又は60Hzでの消費電力)をWとすると、次式(4)で計算することができる。
【0059】
W=W/(f/50)/0.9又はWcwp=W/(f/60)/0.9…(4)
次に、求めた各機器の消費電力からCOPを次式(5)により計算する。
【0060】
COP=Q/(W+W+Wcp+Wcwp1+Wcwp2+Wfan1+Wfan2)…(5)
W1…高温側冷凍機の消費電力(kW)
W2…低温側冷凍機の消費電力(kW)
cp…冷水ポンプの消費電力(kW)
cwp1…高温側の冷却水ポンプの消費電力(kW)
cwp2…低温側の冷却水ポンプの消費電力(kW)
fan1…高温側の冷却塔ファンの消費電力(kW)
fan2…低温側の冷却塔ファンの消費電力(kW)
そして、COPが最大になるまで、負荷分配比を変更して演算を繰り返す。これにより、高温側と低温側の冷却水ポンプ4、5の流量比及び冷却塔ファン21a,21bの風量比を或る数値で固定したときに冷熱源装置のCOPが最大になる最適負荷分配比が決まる(ステップ4)。
【0061】
次に、シミュレータ24は、求めた最適負荷分配比を定数(任意の固定値を与える)とし、流量比と風量比とを変数としたときに、任意の流量比と風量比を入力する(ステップ5)。
【0062】
そして、上記負荷分配比のときと同様に冷熱源装置全体のCOPが最大になる最適流量比と最適風量比とを求める(ステップ6)。
【0063】
最後に、シミュレータ24は、COPが最大のときの流量比と風量比を、最適流量比及び最適風量比としてインバータ周波数に換算すると共に、ステップ4で得られた最適負荷分配比に対応する高温側冷凍機1の出口冷水温度を演算する。なお、本実施の形態では、2台の冷凍機1、2の例で説明したので、最適負荷分配比に対応する最適出口冷水温度は高温側冷凍機1のみでよい。しかし、冷凍機が3台以上の場合には、冷水流れ方向の最下流位置の冷凍機以外の冷凍機について、最適出口冷水温度を演算する。
【0064】
そして、シミュレータ24は、最適流量比及び最適風量比を換算したインバータ周波数と、最適出口冷水温度とを制御指令部25に送る。
【0065】
制御指令部25は、冷水流量比に基づいて冷水ポンプ3をインバータ制御すると共に、シミュレータ24によって得られた最適出口冷水温度に基づいて高温側冷凍機1を制御すると共に、最適流量比及び最適風量比を換算したインバータ周波数に基づいて高温側と低温側の冷却水ポンプ4、5と冷却塔ファン21a,21bをインバータ制御する。
【0066】
これにより、冷却負荷や外気に応じて冷凍機直列型の冷熱源装置全体の消費電力が最も小さくなるように運転制御することができるので、従来にない省エネを図ることができる。
【0067】
しかし、シミュレータ24による図5のシミュレートは、算出された冷凍負荷比Q(%)、外気湿球温度TWB、冷水流量比Lrate(%)を条件として最適負荷分配比、最適流量比、最適風量比を求めたものである。したがって、冷凍負荷比Q(%)、外気湿球温度TWB、冷水流量比Lrate(%)の前提条件が変動した場合には、新たにシミュレートをし直して最適出口冷水温度、最適流量比、最適風量比を求める必要がある。
【0068】
かかる観点から、最適出口冷水温度、最適流量比、及び最適風量比を求める際に、冷凍負荷比Q(%)及び外気湿球温度TWBに応じた制御テーブル(制御表)をシミュレータ24に搭載しておくと、シミュレータ24のシミュレート負荷を軽減でき、更なる省エネになる。なお、上記したように、冷水流量比Lrate(%)は冷水ポンプ3の消費電力を計算する際に使用するので、制御テーブルには必要ない。
【0069】
図6は、任意の冷凍負荷比Q(%)と外気湿球温度TWBについて上記のシミュレートを予め行ってCOPが最大になる冷却水ポンプ4、5の最適流量比を求め、最適流量比のうち高温側の冷却水ポンプ4の流量比率をテーブル化したものである。なお、図を省略してあるが、低温側の冷却水ポンプ5の流量比率をテーブル化したものも同様に作成する。
【0070】
図6の制御テーブルによれば、例えば、冷凍負荷比Q(%)が60%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる高温側の冷却水ポンプ4の流量比率は75%になる。また、冷凍負荷比Q(%)が10%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる高温側の冷却水ポンプ4の流量比率は0%(ゼロ)になる。これは、冷凍負荷が小さく、高温側の冷凍機1を停止し、その冷凍機1に冷却水を供給する冷却水ポンプ4が停止していることを示している。
【0071】
図7は、任意の冷凍負荷比Q(%)と外気湿球温度TWBについて上記のシミュレートを予め行ってCOPが最大になる冷却塔ファン21a,21bの最適風量比を求め、最適風量比のうち高温側の冷却塔ファン21aの風量比率をテーブル化したものである。なお、図を省略してあるが、低温側の冷却塔ファン21bの風量比率をテーブル化したものも同様に作成する。
【0072】
図7のテーブルによれば、例えば、冷凍負荷比Q(%)が60%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる高温側の冷却塔ファン21aの風量比率は75%になる。
また、冷凍負荷比Q(%)が10%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる高温側の冷却塔ファン21aの風量比率は0%(ゼロ)になる。これは、冷凍負荷が小さく、高温側の冷凍機1を停止し、その冷凍機1に供給する冷却水を製造する冷却塔ファン21aが停止していることを示している。
【0073】
図8は、任意の冷凍負荷比Q(%)と外気湿球温度TWBについて上記のシミュレートを予め行ってCOPが最大になる最適負荷分配比を求め、最適負荷分配比から高温側冷凍機1の最適出口冷水温度をテーブル化したものである。図8のテーブルによれば、例えば、冷凍負荷比Q(%)が10%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる最適出口冷水温度は13.4℃になる。ここで、13.4℃は、外部負荷装置Bから還流される冷水の温度である。また、冷凍負荷比Q(%)が60%で湿球温度が10℃のときには、COPが最大になる最適出口冷水温度は8.9℃になる。
【0074】
なお、図6〜図8は、湿球温度は10℃から1℃刻みで30℃まで示してあるが、この温度範囲に限定するものではない。
【0075】
図6〜図8から分かるように、冷凍負荷比Q(%)が10〜50%の領域は、高温側冷凍機1を停止させた場合にCOPが最大となる運転制御条件であることを示している。即ち、制御指令部25は、高温側冷凍機1に対応する冷却水ポンプ4、冷却塔ファン21aを停止すると共に、バイパス配管17bの開閉弁15を開成して、外部負荷装置Bから還流される冷水を低温側冷凍機2に直接流すように制御する。
【0076】
このように、制御テーブルがあれば、冷凍負荷比Q(%)と外気湿球温度を取得するだけで、後は制御テーブルから最適負荷配分比もしくは前記各冷凍機の出口冷水温度、最適流量比、最適風量比を選択すればよいので、COPが最大になるための演算を繰り返す必要がなくなる。これにより、シミュレート負荷が顕著に低減できるので、更なる省エネになる。
【0077】
また、高温側冷凍機1の運転を停止する場合に、バイパス配管17bの開閉弁15を開成して高温側冷凍機1をバイパスして冷水が流れるようにすることで、冷水が停止した高温側冷凍機を流れるよりも流通抵抗を小さくできる。これにより、冷水ポンプの負荷を低減できるので更なる省エネになる。
【0078】
なお、本実施の形態では、各計測機器の計測値から制御手段23が冷凍負荷比Q(%)、外気湿球温度TWB、冷水流量比Lrate(%)を演算してシミュレータ24に入力するようにしたが、これらの演算もシミュレータ24で行ってもよい。
【0079】
図9は、図1の別態様であり、複数の冷凍機ついて1台の冷却塔6を有し、該冷却塔6の冷却塔ファン21で冷却した冷却水を複数の冷凍機1、2に各冷却水ポンプで分配する場合である。即ち、冷却塔6の冷却塔ファン21により冷却された冷却水は、冷却水出口配管18を流れる。冷却水出口配管18の流れた冷却水は、高温側の冷凍機1に冷却水を供給する高温側配管18Aと低温側の冷凍機2に冷却水を供給する低温側配管18Bとに分流される。そして、冷凍機1で熱交換された冷却水は高温側配管を流れると共に、冷凍機2で熱交換された冷却水は低温側配管を流れ、冷却水入口配管に合流して冷却塔に戻る。高温側配管及び低温側配管に、それぞれ冷却水ポンプが設けられ、各冷却水ポンプの回転数を制御することで冷凍機1及び冷凍機2へ供給する冷却水の流量比を変えるように構成される。また、図9では図1に示した温度指示調節計は設けていないが、設けるようにしてもよい。その他の装置構成は、基本的に図1と同様である。
【0080】
図9の構成の本発明によれば、シミュレータ24によるシミュレートは、図5の「冷却塔ファンの風量比」を「冷却塔ファンの風量」に置き換えることにより、同様に行うことができる。即ち、M=1〜yにおいてMが1の場合である。
【0081】
図10は、図1の更に別態様であり、複数の冷凍機1、2ついて1台の冷却塔6を有し、該冷却塔6の冷却塔ファン21で冷却した冷却水を1台の冷却水ポンプ4で複数の冷凍機1、2の高温側冷凍機1から低温側冷凍機2に順次供給する場合である。
【0082】
図10の構成の本発明によれば、シミュレータ24によるシミュレートは、図5の「冷却塔ファンの風量比」を「冷却塔ファンの風量」に置き換え、図5の「冷却水ポンプの流量比」を「冷却水ポンプの流量」に置き換えることにより、同様に行うことができる。即ち、L=1〜xにおいてLが1で、M=1〜yにおいてMが1の場合である。
【符号の説明】
【0083】
A…冷熱源装置の運転制御システム、B…外部負荷装置、1…高温側冷凍機、2…低温側冷凍機、3…冷水ポンプ、4…高温側の冷却水ポンプ、5…低温側の冷却水ポンプ、6…高温側の冷却塔、7…低温側の冷却塔、8…冷水ポンプのインバータ、9a…高温側の冷却水ポンプのインバータ、9b…低温側の冷却水ポンプのインバータ、10a…高温側の冷却塔ファンのインバータ、10b…低温側の冷却塔ファンのインバータ、11a…冷水流量計、11b…高温側の冷却水流量計、11c…低温側の冷却水流量計、12a…高温側冷凍機入口の第1温度計、12b…高温側冷凍機出口の第2温度計、12c…低温側冷凍機入口の第3温度計、13a…高温側の冷却塔の入口温度計、13b…高温側の冷却塔の出口温度計、14a…低温側の冷却塔の入口温度計、14b…低温側の冷却塔の出口温度計、15…開閉弁、16a…高温側の第1の温度指示調節計、16b…低温側の第1の温度指示調節計、16c…高温側の第2の温度指示調節計、16d…低温側の第2の温度指示調節計、17a…冷水配管、17b…バイパス配管、18a…高温側の冷却水配管、18b…低温側の冷却水配管、19…外気温度計、20…外気湿度計、23…制御手段、24…シミュレータ、25…制御指令部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、
前記複数の冷凍機ごとに前記冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを有する場合であって、
前記運転制御システムは、
前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、
前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、冷却塔ファンの風量比、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適流量比、最適風量比、及び最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、
前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適流量比、最適風量比に基づいて前記各冷却塔の冷却水ポンプと冷却塔ファンを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項2】
前記シミュレータには、前記冷凍負荷比と前記外気湿球温度に応じて前記COPが最大になる最適負荷分配比もしくは前記各冷凍機の出口冷水温度、最適流量比、最適風量比の制御テーブルが格納されており、前記取得手段によって取得された前記冷凍負荷比と前記外気湿球温度が前記シミュレータに入力されると、前記シミュレータは前記制御テーブルから前記最適負荷分配比、最適流量比、最適風量比を選択することを特徴とする請求項1の冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項3】
前記運転制御システムは
前記冷水ポンプの回転数を可変する第1のインバータと、
前記冷却水ポンプの回転数を可変する第2のインバータと、
前記冷却塔ファンの回転数を可変する第3のインバータと、を備え、
前記制御手段は、前記冷水流量比、前記最適流量比、前記風量比をインバータ周波数に換算して前記第1から第3のインバータに出力することにより、前記冷水ポンプ、前記冷却水ポンプ、前記冷却塔ファンの回転数をインバータ制御することを特徴とする請求項1又は2の冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記複数台の冷凍機のうち前記シミュレータによって前記最適負荷分配比の割り当てが0%になった冷凍機については運転を停止すると共に、停止した冷凍機に対応する冷却水ポンプ及び冷却塔ファンを停止することを特徴とする請求項1〜3の何れか1の冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項5】
外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、
前記複数の冷凍機ついて少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を前記複数の冷凍機に各冷却水ポンプで分配する場合であって、
前記運転制御システムは、
前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、
前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、前記冷却塔ファンの風量、前記各冷凍機の冷却水ポンプの流量比、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適風量、最適流量比、及び最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、
前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適風量及び最適流量比に基づいて前記冷却塔ファン及び冷却水ポンプを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項6】
外部負荷装置に冷水を供給する冷水配管にヒートポンプ式の冷凍機を複数台直列に配設して成り、前記外部負荷装置から還流される冷水を前記冷凍機の蒸発器で冷却して再び外部負荷装置に供給する冷水ポンプと、前記冷凍機の凝縮器に冷却水配管を介して冷却水を供給する冷却水ポンプと、前記冷却水を外気で冷却する冷却塔ファンを有する冷却塔と、を備えた冷熱源装置の運転制御システムにおいて、
前記複数の冷凍機ついて少なくとも1台の冷却塔を有し、該冷却塔の冷却塔ファンで冷却した冷却水を1台の冷却水ポンプで前記複数の冷凍機の高温側冷凍機から低温側冷凍機に順次供給する場合であって、
前記運転制御システムは、
前記冷却塔ファンで前記冷却塔内に取り込む外気の湿球温度と、前記複数台の各冷凍機の設定冷凍能力の合計値に対する実際の冷凍負荷を表す冷凍負荷比と、前記冷水の定格冷水流量に対する実際の冷水流量を表す冷水流量比とを取得する取得手段と、
前記取得した外気湿球温度、冷凍負荷比、冷水流量比の条件下において、前記冷却塔ファンの風量、前記各冷凍機の冷却水ポンプの流量、及び前記各冷凍機に前記冷凍負荷比を分配する負荷分配比を変数として、前記冷熱源装置全体のCOPが最大になるための最適負荷分配比をシミュレートするシミュレータと、
前記冷水流量比に基づいて前記各冷凍機の冷水ポンプを制御すると共に、前記シミュレータで得られた最適負荷配分比に基づいて前記各冷凍機の出口冷水温度を制御し、前記最適風量及び最適流量に基づいて前記冷却塔ファン及び冷却水ポンプを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする冷熱源装置の運転制御システム。
【請求項7】
前記運転制御システムは、
前記冷凍機をバイパスするバイパス配管と、
前記バイパス配管を開閉する開閉弁と、を備え、
前記制御手段は、運転を停止した冷凍機のバイパス配管の開閉弁を開成することを特徴とする請求項1、5、6の何れか1の冷熱源装置の運転制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−225629(P2012−225629A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96375(P2011−96375)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】