説明

凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥血漿を製造、貯蔵、および投与するための装置およびシステム

可撓性のコンテナーは液状物質を受容し、当該液状物質は当該可撓性のコンテナー内においてin situで凍結乾燥される。可撓性のコンテナーから分離したガス透過性材料は、乾燥および凍結乾燥中の昇華のために、ガス移送を行う。システムのガス透過性の部分は、凍結乾燥後、当該可撓性のコンテナーから分離、除去され得る。凍結乾燥された物質は、投与が必要とされるまで、当該可撓性のコンテナー内に貯蔵される。当該可撓性のコンテナーは、凍結乾燥物質と混合するための再構成液を受容し、個体に投与するために、再構成された凍結乾燥物質を当該可撓性のコンテナーから移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年3月19日に出願された、「Apparatus and Methods for Making, Storing, and Administering Freeze−Dried Materials Such as Freeze−Dried Plasma」と題された、米国特許出願第12/077,397号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、2007年7月27日に出願された同時係属中の米国特許出願11/881,493(これは、2007年3月19日に出願された同時係属中の米国特許出願11/725,352の一部継続出願である)の一部継続出願である。この米国特許出願の全ては本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿の単一ドナー単位を製造、貯蔵、および投与するための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
応急処置は、外傷被害者等の重傷を負った患者の生存にとって重要である。例えば、戦闘状況において重傷を負った受容者の初期治療は、生と死の分かれ目を意味する。患者の傷を治療し、出血を止める必要がある一方、患者身体が、適切に機能できるように保証することも重要である。したがって、受容者身体が、傷害により体液を失った後に、適切に水分が補給されることを保証するステップを講じることが必要である。本発明は、かかる問題に対処する。
【0004】
これまでは、体液は、静脈経由で生理食塩水を供給することにより、受容者体内に補給された。効果はあるものの、研究によれば、受容者への液体補給において、血漿を受容者に供給することの方が、生理食塩水を使用することよりもかなり効果的であることが明らかになった。しかし、血漿の汚染を防ぐために、血漿の供給および貯蔵が重要である。血漿を供給する理想的な手段は、血漿を凍結乾燥状態で供給し、そしてこれを受容者に投与するときに再構成することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿の単一ドナー単位を製造、貯蔵、および投与するための方法、システム、および装置を提供する。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿が、当該凍結乾燥物質用の再構成液、例えば脱気水と共に、コンテナーの第1のチャンバーに貯蔵される。再構成液は、コンテナーの第2のチャンバーに貯蔵される。当該コンテナー中の密閉壁は、第1のチャンバーと第2のチャンバーとの中間に障壁を形成して、凍結乾燥物質と再構成液との接触を防ぐ。密閉壁内の少なくとも1つのバルブアセンブリが、当該密閉壁の少なくとも1つの部域を選択的に開放して、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間に液の流通を形成するように操作可能である。こうすることにより、当該凍結乾燥物質は、当該コンテナー中で再構成することが可能となる。再構成された凍結乾燥物質は、当該同一コンテナーから受容者に直接投与することもできる。
【0007】
1つの構成形態では、バルブアセンブリは、感圧バルブ、例えばフラップバルブを備える。バルブは、通常は閉鎖した状態、すなわち、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の液の流通を通常は阻止する状態と、開放した状態、すなわち、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の流通が形成された状態との間で作動する。感圧バルブは、バルブを挟んだ圧力差の形成に応答して、例えばコンテナーのチャンバーを選択的に圧迫することにより、開放状態となるように設置可能である。
【0008】
1つの構成形態では、バルブアセンブリは、通常は閉鎖した隔壁を備える。隔壁は、通常は閉鎖した状態、すなわち、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の閉鎖性を維持する状態と、隔壁を少なくとも部分的に裂開することに応答して、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の液の流通を形成する開放した状態との間で作動する。当該隔壁は、例えば隔壁を少なくとも部分的に裂開させるための牽引部材に連結した裂開部材を備える。
【0009】
感圧バルブおよび隔壁は、冗長バルブアセンブリを提供するように、連続して配置可能である。かかる構成形態では、通常は閉鎖した隔壁が、バルブとは独立に、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の閉鎖性を維持する、通常は閉鎖した状態、ならびに隔壁を少なくとも部分的に裂開させること、およびバルブを挟んで負荷される圧力差に応答して、第1のチャンバーおよび第2のチャンバー間の液の流通を形成する開放状態で作動する。
【0010】
1つの構成形態では、密閉壁の一部域でコンテナーの外壁を被覆する、外部スカートが設けられる。当該外部スカートは、当該外部スカートを裂開させて取り除くように牽引部材に連結した裂開部材を備えることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、第1のチャンバーおよび第2のチャンバーを有する、上記のように一般的に記載される可撓性のコンテナーを提供する方法がもたらされる。第1のチャンバーは、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿等を、乾燥状態で保持する。第2のチャンバーは、凍結乾燥物質用の再構成液を保持する。コンテナー内の内部密閉壁は、第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間に障壁を形成して、凍結乾燥物質と再構成液との間の接触を防ぐようなサイズと構成である。密閉壁内の少なくとも1つのバルブアセンブリは、当該密閉壁の少なくとも1つの部域を開放して、第1のチャンバーと第2のチャンバーとの間に液の流通を形成するように操作することにより作動する。本発明のかかる態様によれば、バルブアセンブリは、当該部域を開放するように操作され、再構成液は、第2のチャンバーから、バルブアセンブリを経由して第1のチャンバーに注入されて、凍結乾燥物質と接触する。
【0012】
1つの構成形態では、外部スカートは、密閉壁の部域でコンテナーの外壁を被覆し、バルブアセンブリの操作を阻止する。この構成形態では、外部スカートは、密閉壁の部域を開放するようにバルブアセンブリを操作する前に、バルブアセンブリが操作を受けるように除去される。
【0013】
別の構成形態では、再構成された凍結乾燥血漿は、コンテナーから受容者に直接投与される。
【0014】
本発明の別の態様によれば、凍結乾燥ヒト血漿を含む凍結乾燥物質は、上記パラグラフのいずれか1つに一般的に記載したものとまったく同様のコンテナーを用いて、調製および貯蔵、輸送、再構成、ならびに投与される。1つの構成形態では、液状のヒト血漿が鋳型に充填される。当該鋳型は、それらが約−45℃に達するまで冷却される。当該血漿は、水分含量が5%w/w未満となるように乾燥され、これにより、コンテナーを用いて貯蔵、輸送、再構成、および投与可能な、凍結乾燥ヒト由来物質が形成される。別の構成形態では、液状のヒト血漿は、コンテナー中において、in situで凍結乾燥される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿は、第1のコンテナー中に貯蔵され、凍結乾燥物質用の再構成液、例えば脱気水は、分離した第2のコンテナーに貯蔵される。2つのコンテナーを共に連結させて、第1のコンテナーと第2のコンテナーとの間で液の流通が形成されるように、移液セットを操作することができる。これにより、凍結乾燥物質が、いずれか1つのコンテナー内で再構成可能となる。再構成された凍結乾燥物質は、同一コンテナーから、直接受容者に投与することも可能である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、容器を備えるシステムが提供されるが、同容器は、第1および第2の末端部材を含み、各末端部材は、剛性または半剛性の材料を含み、それぞれの材料は、構造的強度をもたらす第1および第2のフレームを画定する。透明なガス不透過性材料が、第1のフレームの周囲に沿って密着され、またガス透過性材料が第2のフレームの周囲に沿って密着されている。可撓性の側壁部材は、第1のフレームおよび第2のフレームの側端部の周囲に沿って密着されている。第1の末端部材、第2の末端部材、および側壁部材は、内部空間の周囲を画定する。側壁上の少なくとも1つのポート部材は、内部空間との液の流通をもたらす。
【0017】
当該システムは、新鮮なヒト血漿等の物質が、単一の多機能容器内で凍結乾燥、輸送、貯蔵、再構成、および投与されるのを可能にする。
【0018】
本発明の別の態様は、上記多機能容器の技術的特徴を利用する方法を提供する。当該方法には、液体物質、例えば新鮮なヒト血漿を、容器上の第1のポート部材を通じて導入するステップが含まれる。当該方法には、当該容器の内部空間内においてin situで液状物質を凍結乾燥するステップが含まれ、その間、第2の末端部材のガス透過性材料は、水蒸気の昇華を促進するように、ガスを輸送する。当該方法には、凍結乾燥物質を再構成するために、内部空間内で凍結乾燥物質と混合するための再構成液を、当該容器の第2のポート部材を経由して導入するステップも含まれる。当該方法には、再構成された凍結乾燥物質を、内部空間から当該容器の第3のポート部材を経由して搬送するステップがさらに含まれる。
【0019】
定義したように、上記単一の多機能容器は、当該容器内での物質の凍結乾燥;当該容器内での凍結乾燥物質の輸送および貯蔵;ならびに物質の再構成および当該容器からの投与に役立つ。
【0020】
1つの実施形態では、凍結乾燥後に、酸素を含まない不活性ガスを、第2の末端部材のガス透過性材料を経由して内部空間に導入するステップが上記方法にさらに含まれる。酸素を含まない不活性ガスは、凍結乾燥物質と共に内部空間を満たし、当該物質の劣化を防ぐ。当該方法には、凍結乾燥物質を含め内部空間内に、酸素を含まない不活性ガスを封じ込めるために、第2の末端部材のガス透過性材料を被覆するステップも含まれる。当該方法には、凍結乾燥物質を、再構成液を注入する以前の貯蔵期間、容器内に封じ込められた酸素を含まない不活性ガス内で貯蔵するステップが含まれる。
【0021】
1つの実施形態では、貯蔵期間中、外部コンテナー内に被覆された容器を配置するステップが上記方法に含まれる。
【0022】
別の実施形態では、凍結乾燥血漿用のアセンブリが存在し、これにより液状血漿を収納するコンテナーが、凍結乾燥プロセス中に水蒸気を除去するのに用いられる透過性膜を有するコンテナーまたは構造物から分離される。当該2つのコンテナーは、一方のコンテナーから他方のコンテナーに水蒸気の通過を可能にするチューブで連結される。当該チューブは、凍結乾燥機から取り出して、血漿収納コンテナーを分離する前に、はさみ込みにより閉鎖され、またはクランプ止めされる。凍結乾燥機から取り出した後に、第1のコンテナーは、密閉可能、ならびにチューブおよび第2のコンテナーから分断可能である。
【0023】
上記およびその他の重要で有意義な分野は、下記の説明により明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿、および当該凍結乾燥物質用の再構成液を貯蔵するためのデバイスであって、当該デバイス内で当該凍結乾燥物質を再構成すること、および再構成された凍結乾燥物質を当該デバイスから直接受容者に投与することを可能にするデバイスの正立面図であり、このデバイスは、外部保護スカートを除去する前の状態で示されている。
【図2】図2は、図1に示すデバイスの側方立面図である。
【図3】図3は、図1に示すデバイスの正立面図であり、当該デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前に、外部保護スカートが除去されるように、これを裂くステップを示している。
【図4A】図4Aは、外部保護スカートを取り除いた後で、当該デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前の、図3で示したデバイスの正立面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示すデバイスの側方立面図である。
【図5A】図5Aは、外部保護スカートを除去する前の、図1のライン5A−5Aに沿って一般的に表される、デバイス内に形成された内部密閉壁および関連バルブアセンブリの側方立断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すものと同様の側方立断面図であり、内部密閉壁および複数バルブアセンブリの別の構成を示している。
【図6】図6は、外部保護スカートを除去した後で、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前の、図4Aのライン6−6に沿って一般的に表される、デバイス内に形成された内部密閉壁および関連バルブアセンブリの側方立断面図である。
【図7】図7は、内部密閉壁の少なくとも1つの部域を開放した後で、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前の、図6で示したものと同様の内部密閉壁および関連バルブアセンブリの側方立断面図である。
【図8】図8は、図1に示すデバイスの正立面図であり、当該デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前に、外部保護スカートを除去するステップを示している。
【図9】図9は、図8に示すデバイスの正立面図であり、図7にも示した方法で、バルブアセンブリを操作して、内部密閉壁の少なくとも1つの部域を開放するステップを示している。
【図10】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図11】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図12】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図13】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図14】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図15】図10〜15は、図9に示すデバイスの正立面図であり、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成するステップを示している。
【図16】図16は、図15に示すデバイスの正立面図であり、再構成された物質をデバイスから受容者に直接投与するステップを示している。
【図17A】図17A〜17Eは、図1に示すデバイス内に注入および貯蔵する前に、液状のヒト血漿から凍結乾燥血漿ケーキを調製するための事例的プロセスを説明する斜視図である。
【図17B】図17A〜17Eは、図1に示すデバイス内に注入および貯蔵する前に、液状のヒト血漿から凍結乾燥血漿ケーキを調製するための事例的プロセスを説明する斜視図である。
【図17C】図17A〜17Eは、図1に示すデバイス内に注入および貯蔵する前に、液状のヒト血漿から凍結乾燥血漿ケーキを調製するための事例的プロセスを説明する斜視図である。
【図17D】図17A〜17Eは、図1に示すデバイス内に注入および貯蔵する前に、液状のヒト血漿から凍結乾燥血漿ケーキを調製するための事例的プロセスを説明する斜視図である。
【図17E】図17A〜17Eは、図1に示すデバイス内に注入および貯蔵する前に、液状のヒト血漿から凍結乾燥血漿ケーキを調製するための事例的プロセスを説明する斜視図である。
【図18】図18および19は、凍結乾燥物質(図17A〜17Eのプロセスを用いて形成される血漿ケーキ等)を、図1に示すデバイスの第1のチャンバー内に配置するステップを示す正立面図である。
【図19】図18および19は、凍結乾燥物質(図17A〜17Eのプロセスを用いて形成される血漿ケーキ等)を、図1に示すデバイスの第1のチャンバー内に配置するステップを示す正立面図である。
【図20】図20は、凍結乾燥物質用の再構成液を、図1に示すデバイスの第2のチャンバーに配置するステップを示す正立面図である。
【図21】図21は、図1に示すデバイスを作製するために、当該デバイスの周りに外部保護スリーブを配置するステップを示す正立面図である。
【図22】図22は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿、および当該凍結乾燥物質用の再構成液を貯蔵するためのデバイスであって、当該デバイス内で当該凍結乾燥物質を再構成すること、および再構成された凍結乾燥物質を当該デバイスから直接受容者に投与することを可能にする、別のデバイスの正立面図であり、このデバイスは、外部保護スカートを除去する前の状態で示されている。
【図23】図23は、外部保護スカートを除去する前の、図22のライン23−23に沿って一般的に表される、デバイス内に形成されるバルブアセンブリの正面内部立断面図である。
【図24】図24は、外部保護スカートを除去した後で、デバイスを操作して凍結乾燥物質を再構成する前の、図22に示すデバイスの正立面図である。
【図25】図25は、外部保護スカートを除去した後の、図23のライン25−25に沿って一般的に表される、図23に示すものと類似したバルブアセンブリの正立断面図である。
【図26】図26および27は、凍結乾燥物質を再構成するようにデバイスを操作することにより、図25に示すバルブアセンブリを経由して、物質が通過するステップを示す正面内部立断面図である。
【図27】図26および27は、凍結乾燥物質を再構成するようにデバイスを操作することにより、図25に示すバルブアセンブリを経由して、物質が通過するステップを示す正面内部立断面図である。
【図28】図28Aおよび28Bは、図1または図22に示すタイプのデバイスの第2のチャンバーに、凍結乾燥物質用の再構成液を装填する別の方法を示す、かなり概略的な図である。
【図29】図29Aおよび29Bは、図1または図22に示すタイプのデバイスの第2のチャンバーに、凍結乾燥物質用の再構成液を装填するもう1つ別の方法を示す、かなり概略的な図である。
【図30】図30は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿、および当該凍結乾燥物質用の再構成液を貯蔵するためのシステムの正立面図であり、独立した第1のコンテナーと第2のコンテナー、および受容者に投与するために、当該システム内で凍結乾燥物質の再構成を可能にする移液セットを備える。
【図31】図31は、図30に示すシステムの正立面図であるが、凍結乾燥物質を再構成するように、移液セットにより、第1のコンテナーと第2のコンテナーとの間で液の流通が形成されている。
【図32】図32は、凍結乾燥物質が再構成された後の、図30および31に示すシステムを構成するコンテナーのうちの1つの正立面図であり、再構成された物質を当該コンテナーから受容者に直接投与するステップを示している。
【図33】図33は、凍結乾燥物質、例えば凍結乾燥ヒト血漿、および当該凍結乾燥物質用の再構成液を貯蔵するためのデバイスの正立面図であり、当該デバイスは、同デバイス内において物質をin situで凍結乾燥するようなサイズと構成である。
【図34】図34は、図33に示すデバイスの正立面図であり、当該デバイス内において、in situで凍結乾燥するために、当該デバイス内に液状の血漿を注入するステップを示している。
【図35】図35は、各デバイス内において、in situで液状の血漿を凍結乾燥する目的で、凍結乾燥機内に配置した後の、図34に示す複数のデバイスの透視図である。
【図36】図36は、凍結乾燥機から取り出された後の図35に示すデバイスの正立面図であり、同デバイス内においてin situで形成された、そして当該デバイスに再構成液を注入する前の凍結乾燥血漿ケーキを示している。
【図37】図37は、デバイス内に再構成用物質を注入した後の図36に示すデバイス正立面図である。
【図38】図38は、図1に示すタイプのデバイスを作製するために、デバイス内に再構成用物質を注入した後の図37に示すデバイスの周りに、外部保護スリーブを配置するステップを示す正立面図である。
【図39A】図39Aは、血漿等の物質を凍結乾燥、貯蔵、再構成、および投与するための多機能デバイスの分解斜視図であり、同デバイスは、異なる物理特性を有し、それによって異なる機能を果たす複数の構成部材からなる容器を備える。
【図39B】図39Bは、図39Aに示すデバイスの組立て後の透視図であり、可撓性の側壁部材および、透明のガス不透過性末端部材を示している。
【図39C】図39Cは、図39Aに示すデバイスの組立て後の透視図であり、可撓性の側壁部材、およびガス透過性末端部材を示している。
【図39D】図39Dは、図39Cの39D−39Dに沿って表される、図39Aに示すデバイスの組立て後の側方立面図である。
【図40】図40および41Aは、ガス不透過性外套内に密閉された図39A〜39Dに示す容器を備える凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、また図41に示すように、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための蓋付き剛性外部コンテナーの透視図も示している。
【図41A】図40および41Aは、ガス不透過性外套内に密閉された図39A〜39Dに示す容器を備える凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、また図41に示すように、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための蓋付き剛性外部コンテナーの透視図も示している。
【図41B】図41Bは、図41に示すように、ガス不透過性の外套内に密閉され、および蓋付き剛性外部コンテナー内に配置された凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、当該外部コンテナーは、再構成液の容器および関連する再構成および投与セットのための貯蔵スペースも備える。
【図42】図42および43は、図39A〜39Dに示すような容器、および一体化された閉鎖カバーを備える一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、図42は閉鎖カバーが開いた状態、および図43は閉鎖カバーが閉じた状態を示している。
【図43】図42および43は、図39A〜39Dに示すような容器、および一体化された閉鎖カバーを備える一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、図42は閉鎖カバーが開いた状態、および図43は閉鎖カバーが閉じた状態を示している。
【図44】図44および45は、図43(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図45】図44および45は、図43(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図46】図46および図47は、図39A〜39Dに示すような容器、および一体化された閉鎖カバーを備える一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの別の代表的な実施形態を示す透視図であり、図46は閉鎖カバーが開いた状態、および図47は閉鎖カバーが閉じた状態を示している。
【図47】図46および図47は、図39A〜39Dに示すような容器、および一体化された閉鎖カバーを備える一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの別の代表的な実施形態を示す透視図であり、図46は閉鎖カバーが開いた状態、および図47は閉鎖カバーが閉じた状態を示している。
【図48】図48および49は、図47(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図49】図48および49は、図47(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図50】図50および51は、1単位の液状血漿を、閉鎖カバーが開いた状態の図42に示すタイプの一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリに移送するステップを示す透視図であり、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを用いてプロセスを開始するところである。
【図51】図50および51は、1単位の液状血漿を、閉鎖カバーが開いた状態の図42に示すタイプの一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリに移送するステップを示す透視図であり、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを用いてプロセスを開始するところである。
【図52】図52は、図50および図51に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを、凍結乾燥機内に複数配置した透視図である。閉鎖カバーは開かれた状態であり、当該凍結乾燥機は、液状血漿を凍結乾燥状態の血漿に凍結乾燥するために、当該一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを、ある範囲の温度および真空条件下に暴露し、開いた閉鎖カバーは乾燥中に水蒸気の昇華を促進する。
【図53】図53は、図52に示す凍結乾燥機内にある、複数の一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、閉鎖カバーは依然開かれた状態であり、当該凍結乾燥機は、当該一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを、酸素を含まない不活性ガス雰囲気に暴露し、開いた閉鎖カバーは、アセンブリ中に収納された凍結乾燥血漿物質内に酸素を含まない不活性ガスが浸透するのを促進する。
【図54】図54は、図53に示す凍結乾燥機内にある、複数の一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、酸素を含まない不活性ガスを当該一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ内に封じ込め、その後の輸送期間中および貯蔵期間中の劣化から凍結乾燥血漿物質を保護するために、閉鎖カバーは閉じられつつある。
【図55】図55および56は、図54(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図56】図55および56は、図54(閉鎖カバーが閉じた状態)に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの透視図であり、輸送期間中および使用するときまでの保管期間中、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを収納するための、蓋付き剛性外部コンテナー内に配置されている。
【図57】図57は、図50〜56に示す凍結乾燥および装填プロセスを経た後に、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ内の凍結乾燥血漿物質を再構成するステップを示す図であり、同ステップは、凍結乾燥血漿物質との混合を目的として、再構成液を供給コンテナーから一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ内に移送するステップに基づく。
【図58】図58は、再構成された凍結乾燥血漿物質を、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリから個体に投与するステップを示す図である。
【図59】図59は、再構成液を、図57に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ内に移送した後に、凍結乾燥血漿物質を、当該再構成液と混合するステップを示す図であり、同ステップは、再構成液と凍結乾燥血漿物質との混合物を供給コンテナーに戻し、当該混合物を、すぐに投与できるまで図57および図59に示す方法で出したり入れたりするステップに基づく。
【図60】図60は、図57に示すような一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを用いて再構成された凍結乾燥血漿物質を、個体に投与するステップを示す図であり、当該再構成された物質は、図57および図59に示すように混合された後、投与目的で、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリから当初の再構成液コンテナーに最終的に移送される。
【図61】図61は、物質、例えば血漿を凍結乾燥するための別のシステムおよびデバイスを示す正立面図であり、同システムは、第1の貯蔵部分および第2の凍結乾燥部分として機能する、第1の押し潰し可能なコンテナーを備え、上記2つの部分はチューブにより連結された単一のデバイスまたはアセンブリを形成する。
【図62】図62は、図61に示すシステムおよびデバイスを表す正立面図であり、pH調整溶液が、第1のコンテナーに無菌状態で添加されている。
【図63】図63は、図61に示すシステムおよびデバイスをさらに表す正立面図であり、液状の血漿が、第1のコンテナーに注入されている。
【図64】図64は、図61のシステムおよびデバイスの正立面図であり、当該デバイスは血漿で満たされている。
【図65】図65は、各デバイス内において、in situで液状の血漿を凍結乾燥する目的で、凍結乾燥機内に配置した後の、図64に示す複数のデバイスの透視図であり、第1の部分(第1の押し潰し可能なコンテナー)は、凍結乾燥機の熱伝達表面に接触している。
【図66】図66A〜68Bは、図66に示す最終バッグを形成するために、第2の凍結乾燥部分を第1の貯蔵部分に連結するチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖するために用いられる閉鎖デバイス等の機器の様々な図を提示しており、かかる機器は、凍結乾燥機から取り出す前に、凍結乾燥機を用いてチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖する。
【図67】図66A〜68Bは、図66に示す最終バッグを形成するために、第2の凍結乾燥部分を第1の貯蔵部分に連結するチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖するために用いられる閉鎖デバイス等の機器の様々な図を提示しており、かかる機器は、凍結乾燥機から取り出す前に、凍結乾燥機を用いてチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖する。
【図68】図66A〜68Bは、図66に示す最終バッグを形成するために、第2の凍結乾燥部分を第1の貯蔵部分に連結するチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖するために用いられる閉鎖デバイス等の機器の様々な図を提示しており、かかる機器は、凍結乾燥機から取り出す前に、凍結乾燥機を用いてチューブを閉鎖またははさみ込み閉鎖する。
【図69】図69は、第1のコンテナーと第2のコンテナーとを連結するために用いられるチューブを示す図であり、同チューブは第1のコンテナーを密閉閉鎖するためにヒートシールされる。
【図70】図70は、凍結乾燥された血漿を収納する図64のデバイスの正立面図であるが、第2の凍結乾燥部分は取り除かれている。
【図71】図71は、図61〜69に関して上記で論じた、物質を凍結乾燥するための別のシステムおよびデバイスを構成する第2の部分の2番目の構成形態に関する正立面図を提示する。
【図72】図72は、図61〜69に関して上記で論じた、物質を凍結乾燥するための別システムおよびデバイスを構成する第2の部分のさらなる構成形態に関する正立面図を提示する。
【図73】図73は、血漿物質と再構成液とがすぐに投与できるように、両者の混合を可能にする、凍結乾燥血漿物質と再構成液とを混合するステップを示す図である。
【図74】図74は、図70に示すような一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリを用いて再構成された、凍結乾燥血漿物質を、個体に投与するステップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書の開示は、当技術分野の熟練者が、本発明を実践可能なように詳細かつ正確ではあるが、本明細書において開示される物理的実施形態は、他の特定の構造物において具体化され得る本発明を単に例示したに過ぎない。好ましい実施形態について記載したが、詳細については、特許請求の範囲に規定される本発明から逸脱せずに変更可能である。
【実施例】
【0026】
I.凍結乾燥血漿を貯蔵および再構成するためのデバイス
図1および図2は、凍結乾燥物質を貯蔵し、投与するためのデバイス10を表している。デバイス10は、第1の押し潰し可能なチャンバー12、および第2の押し潰し可能なチャンバー14を有する可撓性のバッグを備える。
【0027】
第1のチャンバー12は、ドライチャンバーとも呼ばれ、一定量の凍結乾燥物質16を収納する。凍結乾燥物質16の性質および種類は変化し得る。例示の実施形態では、凍結乾燥物質はヒト血漿を含み、一定量とは単一ドナー単位のヒト血漿である。
【0028】
第2のチャンバー14は、ウェットチャンバーとも呼ばれ、凍結乾燥物質16用の再構成液18を収納する。再構成物質18の性質および種類は、変化し得る。例示の実施形態では、再構成物質18は、滅菌水を含み、望むならば脱気され得る。使用する際には、ウェットチャンバー14内の滅菌水は、ドライチャンバー12内の凍結乾燥血漿と混合されて、輸液用の血漿を提供する。血漿は、デバイス10を用いてその場で再構成され、投与される。
【0029】
第1のチャンバー12は、再構成する前に、真空包装された、無菌状態の、水分を含まない、そして低酸素濃度の、好ましくは室温で長期貯蔵、例えば少なくとも2年間貯蔵可能な環境において、凍結乾燥物質16を維持するようなサイズと構成である。かかる環境内で貯蔵されると、凍結乾燥物質16は、その輸液として望ましい品質を維持する。
【0030】
第2のチャンバー12は、再構成液18が凍結乾燥物質16と混合される前に、無菌環境で、そして好ましくは室温で長期貯蔵、例えば少なくとも2年間の貯蔵に役立つ低ガス濃度で、再構成液18を維持するようなサイズと構成である。
【0031】
チャンバー12およびチャンバー14それぞれの容積は、好ましくは、第1のチャンバー12内の凍結乾燥物質16の容積よりも約50%大きい。こうすることにより、第1のチャンバー12または第2のチャンバー14のいずれか一方の中で凍結乾燥物質16と再構成液18とを混合するためのゆとりのある容積が、デバイス10の中に設けられるが、後ほどにさらに詳記する。
【0032】
デバイス10は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレン等の不活性な医療グレードのプラスチック材料を原料として作製され得る。デバイス10は、より耐久性を持たせるために、例えば通常の取扱いにおいて遭遇するおそれのある、破れや穿孔に抗するように、多重ラミネートのポリマー層を備えることができる。
【0033】
デバイス10の材料は、望む場合には、チャンバー12およびチャンバー14の内容物を目視検査できるように、透明にすることも選択可能である。第1のチャンバー12中の材料は、ガス不透過性の障壁、例えば金属蒸着された、低ガス透過性のコーティング物、または金属ラミネートを提供するように選択され得る。この場合、第1のチャンバーの壁は不透明であってもよい。
【0034】
さらに、デバイス10は、使用前は、例えば金属蒸着された、ガス不透過性の材料で作製された真空密閉式の外套20(図1では極細線で示す)で被覆され得る。外套20は、長期安定性を強化する。
【0035】
内部密閉壁22(図1を参照)は、デバイス10を第1のチャンバー12と第2のチャンバー14とに区分する(図5Aも参照)。密閉壁22は、第1のチャンバー12と第2のチャンバー14との間に障壁を設け、通常は使用するときまでの貯蔵期間中、凍結乾燥物質16と再構成液18との接触を防ぐ。
【0036】
図5A/Bおよび図7が示すように、密閉壁22の1つまたは複数の部域24は、介護者により選択的に開放可能であり、後ほどにさらに詳記する。部域(複数可)24は、開放時、チャンバー12およびチャンバー14の両者間の液の流通を可能にする。当該液の流通は、再構成液18と凍結乾燥物質16との混合を可能にするが、後ほどさらに詳記する。
【0037】
密閉壁22の部域(複数可)24は、様々な方法で開放可能である。代表的な実施形態では(図5を参照)、密閉壁22は、通常閉鎖したバルブアセンブリ26を備え、同アセンブリは密閉壁22が開放する各部域24に関連付けられている。図5Aでは、単一の部域24を示し、したがって単一のバルブアセンブリ26を示す。図5Bに示すように、複数の部域24aおよび24bが設けられる場合には、各部域24aおよび24bは、その専用のバルブアセンブリ26aおよび26bをそれぞれ備える。
【0038】
代表的な実施形態では(図5Aおよび5Bを参照)、各バルブアセンブリ26は、主たる感圧バルブ28を備える。バルブ28は、例えば短いダックビル(duck bill)バルブまたは2方向フラップバルブの形態を採り得る。主たるバルブ28は、通常、チャンバー12およびチャンバー14の両者間の液の流通を阻止するようなサイズと構成である。
【0039】
代表的な実施形態では、各バルブアセンブリ26は、通常、バルブ28とウェットチャンバー14との間に、閉鎖隔壁30も備える。隔壁30は、バルブ28とは独立に、チャンバー12およびチャンバー14の両者間の閉鎖性を維持する。バルブ28とは独立に、隔壁30は、チャンバー12およびチャンバー14の両者間の意図しない物質の通過を阻止し、これにより使用する前に、デバイス10内で、凍結乾燥物質16と再構成液18との分離の完全性を維持する。
【0040】
隔壁30は、隔壁30に組み込まれた一体化した裂開部材32を備える。一体化した裂開部材32は、第2のチャンバー14の壁の中にある液体密閉式開口部(fluid sealed pass−through)または隔壁36を経由して延在する牽引用の糸34に連結している。図1が示すように、牽引用の糸は、デバイス10の外側のプルタブ38を終端とする。
【0041】
図6および図7が示すように、裂開部材32は、介護者がタブ38を引くと、隔壁30が開放するようなサイズと構成である。開口部または隔壁26は、牽引用の糸34の周囲を密閉し、また牽引用の糸34がチャンバー14の内部から通過した直近も密閉し、第2のチャンバー14の完全性を維持する。隔壁30をかかる方法で開放すると、開放部域24が形成される(図7を参照)。開放部域24は、第1のチャンバー12および第2チャンバー14を、バルブ28を通じて流通状態にする。
【0042】
部域24が開放状態になっても(図7を参照)、主たるバルブ28は、通常、なおもチャンバー12およびチャンバー14の両者間の流通を阻止する働きをする。しかし、部域24が開放状態のとき、バルブ28は、バルブ38の相対する両側間の液体の圧力差に応答して、弾性的に屈曲するようなサイズと構成である(図11および図14を参照)。圧力差に応じて、バルブ28は、高圧力側の部域から低圧力側の部域に向けて、液体の圧力差方向に開放する。
【0043】
後ほどさらに詳記するように(図10および図13にそれぞれ示すように)、介護者は、一方のチャンバーを選択的に圧迫し、他方のチャンバーは圧迫しないことにより、バルブ28を挟んで液体の圧力差を作り出す。液体は、液体の圧力差に応じて、バルブ28経由で圧迫されたチャンバーから圧迫されないチャンバーに排出される。
【0044】
複数の構成部材からなるバルブアセンブリ26は、チャンバー12およびチャンバー14が、凍結乾燥物質16を再構成することが望ましい状況になるまで、分離した状態に留まることを保証するように、冗長密閉能力を提供する。
【0045】
代表的な実施形態では(図1および図2を参照)、デバイス10は、外部剥取り式スカート40をさらに備え、これはさらに冗長性を提供する。図1および2が示すように、スカート40は、密閉壁22の部域でデバイス10を覆う。スカート40は、密閉壁22に関連するバルブアセンブリ26の構成部材を覆い、保護する役割を果たす。
【0046】
スカート40の少なくとも1つの部域は、デバイスの外壁を円周に沿って、第1のチャンバーもしくは第2のチャンバーの部域のいずれかまたは両方において、例えば接着剤により付着している。さらに、スカート40は、デバイス10の周りに取り付けられるときには、当該デバイスの外壁は、望ましくは、褶曲し、またはプリーツ状であり、そうでなければ、共に束ねられる(図1および図2が示すように)。あるいは、コンテナーの壁においてプラケーション(placation)を施すことも可能である。
【0047】
プラケーションは、密閉壁22の部域で壁応力を緩和する。スカート40は、一度取り付けられると、かかるプラケーションまたはプリーツを維持し、そうすることにより、密閉壁22の部域、および密閉壁22に関連するバルブアセンブリ26の構成部材において、壁ストレスを緩和し、または分散させる働きを有する。かかる壁応力は、例えば第2のチャンバー14に収納されている再構成液18の重量、および/または輸送期間中や使用前の操作中の取扱い方に起因するなどして生じ得る。表面を覆うスカート40の存在は、密閉壁22に関連するバルブアセンブリ26の構成部材を、輸送期間中や使用前の意図しない接触から隔離する役割も果たす。
【0048】
図1が示すように、スカート40は、一体化した裂開部材を備える。一体化した裂開部材42は、プルタブ46を終端とし、スカート40の外部に垂れ下がる牽引用の糸44を備える。裂開部材42は、介護者がタブ46を引っ張ると、スカート40が裂開して開放状態になるようなサイズと構成である(図3が示す通り)。スカート40が取り除かれると、バッグ12および14の壁のプラケーションは緩み(図4Aおよび4Bが示す通り)密閉壁22に関連するバルブアセンブリ26の構成部材を操作できる状態にする。
【0049】
第1のチャンバー12および第2のチャンバー14と呼ぶのは、1つのチャンバーを別のチャンバーと区別するためにそうするのであって、いずれかのチャンバーを特定の空間的関係に限定しようとするものではないことを理解されたい。例えば、チャンバー12およびチャンバー14は、縦方向の端部を接触させて向かい合わせの配置にすることも可能である。
【0050】
デバイス10の技術的特徴として、密閉手段により分離された複数のチャンバーまたは区画が挙げられるが、かかる手段は、チャンバー間の最終的な相互連結および相互流通を可能にし、様々な方法で実現可能である。さらに、バッグまたはチャンバーと呼ぶ場合、これを何らかの具体的な構造または形状に限定すべきではなく、内容物16および18を担持および混合する能力を有する任意のコンテナーを意味するものと理解すべきである。
【0051】
II.凍結乾燥物質および再構成液の作製および装填
凍結乾燥物質16および再構成液18の作製および装填は、2つの主要な処理ステップ:(i)物質16を凍結乾燥するステップ、および(ii)チャンバー12およびチャンバー14内で、物質16および再構成液18を装填するステップを含む。
【0052】
A.凍結乾燥血漿の作製
代表的な実施形態では、凍結乾燥物質16は血漿を含む。したがって、デバイス10に装填するための凍結乾燥血漿を作製する事例的方法を、以下に説明する。
【0053】
血漿の作製および製造は、無菌状態で行われる。好ましくは、製造および作製手順は、例えば、ヒト血漿を無菌で取り扱うための、ISOクラス3の生物学的封じ込めフードを備えたISOクラス5のクリーンルーム(またはこれ以上)内で実施可能である。凍結乾燥は、CIP/SIPの凍結乾燥機内で無菌的に実施可能である。
【0054】
ヒト血漿は、単一ドナーから従来方式により収集され、これは、例えばドナーから、閉鎖系採血バッグ内に1単位の全血を採血し、続いて血漿を遠心分離し、そして一体的に連結した輸送バッグ(約250mlからなる1血漿単位を収納する)内に当該血漿を収集することによる。各単位(輸送バッグ内に収納されている)は、生物学的封じ込めフード内で、個別に取り扱われる。単一ドナーの1単位の取扱いと、別の単位である、異なるドナーに由来する単一ドナーの1単位の取扱いとの間には、生物学的封じ込めフード内での切替えステップ(change−over)に関するライン洗浄プロトコールが存在する場合があり、そうでなければ、フロー設計に関する妥当性確認プロセスと切替えステップとが規定され得る。かかるプロトコールは、それ以前の取扱いに関連するすべてのツールおよび物質の除去に対応し得る。同プロトコールは、それ以前の取扱いに関連する残留物が、その場に放置されないことを保証するための、封じ込め作業区域、および作業区域の計器(天秤)の徹底洗浄にも対応し得る。単一ドナーサンプルの識別は、単一ドナーヒト血漿コンテナーのバーコードおよびその他のタギングにより維持される。
【0055】
図17Aに示すように、凍結乾燥する前に、250mlのヒト血漿単位が、輸送バッグ48から、滅菌された、発熱物質フリーの、直方体の鋳型50(例えば、4cm×10cm×12.5cm−−d×w×l)に注入される。鋳型50は、ステンレススチールであり得るが、良好な熱伝導特性を有する金属、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、または金でできていてもよい。鋳型50では、その内面が良好なリリース特性を有する堅牢で不活性な障壁フィルム、例えばPTFE、またはダイヤモンドでコーティングされ得る。
【0056】
図17Bに示すように、ヒト血漿を収納する鋳型50は、次に水不透過性、気体透過性、滅菌性、ヒートシール可能なバッグ52内に配置され、同バッグは、ヒト血漿識別情報(由来、血液型、採血日等)を表示するバーコードとタギング54を有する。かかる気体透過性バッグ52は、一般的には、微多孔性PTFE膜材料(例えば、Gore−Tex(商標))または微多孔性HDPE膜(例えば、Tyvek(商標))であり得る。
【0057】
バッグ52は、鋳型50およびヒト血漿を収納するようにヒートシールされる。バッグ52は、バッグ材料に何らかのふくらみが生じ、またはバッグ材料が鋳型内壁端部表面よりも下に、または鋳型底部に垂れ下がることなく、鋳型50とその内容物を整然と収納するように設計される。
【0058】
図17Cに示すように、収納バッグ52内の鋳型50は、次に凍結乾燥機56内に、無菌の凍結乾燥機の棚表面58に乗せられて配置される。凍結乾燥に用いられる凍結乾燥機56は、妥当性確認済みの定置洗浄、定置蒸気滅菌された、約200平方フィート以上の棚面積を有する凍結乾燥機である。かかる凍結乾燥機56は、完全積載時には少なくとも500個の鋳型を収納可能である。
【0059】
積載したら、凍結乾燥サイクルが開始する。このサイクルは、一般的にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、所定時間、例えば2〜8時間凍結し、これに続いて凍結乾燥機の凝縮器を冷却し、そして真空状態にして凍結乾燥サイクルを開始する。凍結乾燥ヒト血漿ケーキ60が形成される。
【0060】
代表的な、第1次の凍結乾燥サイクルでは、ヒト血漿ケーキ60の温度は、その完全性を維持するために、ヒト血漿の崩壊温度(例えば、−33℃)未満に保つ必要がある。ケーキ60の水分含量が5%重量/重量(w/w)未満のとき、所望であるならば、水分含量をさらに下げるために、第2次の乾燥サイクル(上昇した温度)を利用することができる。第1次および第2次の凍結乾燥サイクルを組み合わせると、72時間以上を要するが、かかる時間は処理条件により変化し得る。凍結乾燥サイクルが終了すると、凍結乾燥機の真空は、酸素を含まない、窒素またはアルゴン等の高純度不活性ガスの雰囲気に開放され得る。
【0061】
図17Dに示すように、鋳型50内の凍結乾燥ケーキ60、および収納バッグ52は、無菌の収納カート62に取り出されるが、同カートの環境は、湿気および酸素を排除するために、窒素またはアルゴン雰囲気下で維持され得る。収納カート62は、凍結乾燥機内容物が、管理された不活性ガス雰囲気の下で移送可能なように、凍結乾燥機の前部に連結され得る。
【0062】
収納カート62は、ヒト凍結乾燥血漿ケーキ(各ケーキは鋳型50中にあり、またバッグ52内に装填されている)を貯蔵するために、ならびにケーキを、デバイス積載区域に搬送可能にするために利用可能であり、こうして、凍結乾燥血漿ケーキ60は、デバイス10に積載可能になるが、後ほどさらに詳記する。
【0063】
B.デバイス内への凍結乾燥血漿および水の装填
図1に示すように、デバイス10は、第1のチャンバー12と流通する第1の無菌真空ポート64、および第2のチャンバー14と流通する第2の無菌真空ポート66を備える。真空ポート64および66は、最終組立て段階において(図18〜21を参照)、様々なチューブTと接続するようなサイズ、構成であり、凍結乾燥血漿物質16および再構成液18(例えば、水)をデバイス10内に装填するのを容易にする。
【0064】
投与用ポート68も、第2のチャンバー14と流通した状態でヒートシールされる。投与用ポート68は、再構成液18を第2のチャンバー14に移送するために、装填プロセスで用いられるが、後ほどさらに詳記する。再構成液18がチャンバー14内に装填された後、投与用ポート68は、従来型の隔壁、または破れやすい膜アセンブリ、または従来型のスクリューロック式ルアーフィッティング70と共に密閉されて、図16に示すように、輸液時に投与セット72とポート28とを接続するのを容易にする。
【0065】
デバイス10は、ヒートシール可能な無菌フランジ74(図1を参照)も備え、フランジ74は、図18に示すように、凍結乾燥血漿ケーキ60を第1のチャンバー12に挿入し、次いで図19に示すように無菌状態で密閉できるようにする。
【0066】
スロット76は、フランジ74に事前形成され得る。スロット76は、図16に示すように、再構成した血漿を個体に投与するために、所望の重力頭高(gravity head height)で、デバイス10を牽架するのを可能にする。
【0067】
個々の単一ドナーヒト血漿凍結乾燥ケーキ60は、フランジ74を経由して無菌的にデバイス10に積載される(図18を参照)。デバイス積載区域は、例えば不活性ガスで満たすことにより相当量の酸素や水分の汚染を排除する生物学的封じ込めフードであり得る。また、デバイス積載区域は、不活性ガス環境を備える無菌グローブボックスシステムであってもよい。
【0068】
図18および19は、代表的な積載プロセスを表している。バッグ52は開放され、血漿ケーキ60は、鋳型50から取り出される。血漿ケーキ60は、開放したフランジ74を経由して第1のチャンバー12内に積載される。図17Eで示すように、血漿ケーキ60は、大きなオープンエンドのスパチュラに類似した、単回使用、無菌、透明プラスチック製アプリケーターツール78を用いて、鋳型50(バッグ52を取り除いた後の)から、チャンバー12に直接移送可能であることが予期される。チャンバー12に積載されると、フランジ74は、様々な従来方式の無菌技術、例えば誘電加熱溶接またはヒートシールを用いて密閉封鎖可能である。
【0069】
血漿チャンバー12の積載は、チャンバー12のフランジ74のほぼ50%を占める「オイスタースタイル(oyster style)」の開口部を経由することができ、これにより、積載後の速やかな密閉封鎖が可能となる。オイスタースタイルの開口部は、プロセス期間中に、第1のチャンバー12または凍結乾燥血漿に損傷を与える懸念もなく、血漿ケーキ60の積載を可能にするであろう。オイスタースタイルの開口部の場合、端部−継ぎ目の単純な配置、およびシールプロセス中の接触が可能となるように、端部継ぎ目には十分な余剰の重なりが存在し得る。
【0070】
好ましくは、チャンバー12に積載し、これをシールした後は、第1のチャンバー12の真空ポート64に接続したチューブTを経由して、無菌の真空に減圧される(図19を参照)。100mTorr近くの圧力に達したら、真空ポート64はヒートシールされ、そしてチューブTは取り除かれる。かかる排気プロセスにより、バブル導入もせず、泡形成することもなく、ヒト凍結乾燥血漿を混合、再構成できるようにする、最終的な能力が付与される。当該真空は、チャンバー12内で、血漿ケーキ60が圧縮されて微細な粉末となり、凍結乾燥物質16を形成する原因ともなり得る。
【0071】
原料血漿と、チャンバー12に装填された物質16との間の直接的でトレース可能な関連性を維持するために、デバイス10は、好ましくは、バーコードおよびタギング54’を備え(図1を参照)、これは、ヒト血漿識別情報(由来、血液型、採血日等)を表示し、また鋳型50を収納するバッグ52上に、凍結乾燥時に貼付されたバーコードおよびタギング54を再現し、またそうでなければ、これと関連付けられる。このようにして、デバイス10は、ヒトドナー源まで遡るトレース可能な関連性を維持する。
【0072】
凍結乾燥血漿物質16の再構成を促進するために、ガラス、ポリ塩化ビニル、または高密度ポリエチレン等の、ただしこれらに限定されない、不活性物質からなる無菌性の高密度球体を、チャンバー12内に、これを封鎖する前に添加することができる。
【0073】
再構成液18(代表的な実施形態では、ガスを含まない水)は、第2のチャンバー14に導入される。真空ポート66および投与用ポート68は、図20に示すように、供給ライン80および82とそれぞれ連結される。チャンバー14内のガスは、無菌の真空に減圧することにより除去される。
【0074】
真空ポート66は密閉され、チューブ80は取り除かれる。再構成液の必要量(例えば、約250ml)が、投与用ポート68を経由してチャンバー14に添加される。チューブ82は取り除かれ、次いで投与用ポート68が、従来型の隔壁、または破れやすい膜アセンブリ、または従来型のスクリューロック式ルアーフィッティング70で密閉されるが、これらは、輸液時に投与セット68とポート68とを連結するのを容易にする。
【0075】
凍結乾燥血漿の再構成を促進するために、ガラス、ポリ塩化ビニル、または高密度ポリエチレン等の、ただしこれらに限定されない、不活性物質からなる無菌性の高密度球体が、第2のチャンバー14内に存在することができる。
【0076】
図21に示すように、上記の方法で凍結乾燥物質16および再構成液18を装填した後、デバイス10の壁は、すでに記載したように密閉壁22の部域で褶曲しており、そして外部スカート40が取り付けられている。望むならば、図1に示すように、外套418 20を付加することも可能である。
【0077】
デバイス10は、すぐに貯蔵、輸送、および使用できる状態にある。
【0078】
III.凍結乾燥物質の再構成および投与
デバイス10は、凍結乾燥物質16を再構成するステップを予測して、目的を有する2ステップからなる操作を可能にする。
【0079】
第1のステップ(図8に示す)では、裂開部材42を牽引すると、スカート40が開放、除去され、これにより、デバイス10の密閉壁22は、図6に示すいつでも使用可能な状態になる。第2のステップ(図9に示す)では、裂開部材32を牽引すると、隔壁20が開放される(図7に、さらに詳しく示す)。密閉壁22の部域24は、これにより開口する。
【0080】
部域24が開口すると、介護者は、第2のチャンバー14に圧力を加えて、再構成液18を第2のチャンバー14から第1のチャンバー12に押し出すことができ(図10および11を参照)、これにより、凍結乾燥物質16の再構成が開始する。より具体的には、部域24が開口すると、介護者は、第1のチャンバー12ではなく、第2のチャンバー14に圧力を加えることができる(図10に示すように)。図10および図11が示すように、第2のチャンバー14と第1のチャンバー12との間の圧力差により、液18は、バルブ28(このバルブは、図11が示すように、圧力差に応じて屈曲して、第1のチャンバー12の方向に開放する)を経由して第2のチャンバー14から第1のチャンバー12内に排出される。排出された液18は、第1のチャンバー12内の凍結乾燥物質16と混合し、再構成が開始する。
【0081】
図12が示すように、デバイス10を振とうさせると、第1のチャンバー12内での液18と凍結乾燥物質18との混合が促進される。
【0082】
部域24が開口すると、次に介護者は、今は少なくとも部分的に液18に再構成した物質16を、第1のチャンバー12から第2のチャンバー14に押し出すために、第1のチャンバー12に圧力を加えることができる(図13および図14を参照)。凍結乾燥物質16の再構成は進行する。より具体的には、図13が示すように、介護者は、今度は第2のチャンバー14ではなく、第1のチャンバー12に圧力を加えることができる(図13が示す通り)。図13および図14が示すように、第1のチャンバー12と第2のチャンバー14との間の圧力差により、液18と凍結乾燥物質16との混合物は、第1のチャンバー12から、バルブ28(図14が示すように、圧力差に応じて屈曲して、第2のチャンバー14の方向に開口する)を経由して第2のバルブ14に押し戻される。排出された液18は、凍結乾燥血漿物質18との混合を継続し、さらに物質18の再構成を促進する。
【0083】
図15が示すように、デバイス10を振とうさせると、第2のチャンバー14内で水と凍結乾燥血漿との混合がさらに促進される。
【0084】
液18内で再構成された物質16は、所望の混合度が実現し、そのとき当該混合物が輸液にすぐに用いられるようになるまで、途中で振とうさせながら、チャンバー12および14の圧力を変化させて、チャンバー12およびチャンバー14の両者間を往復させることができる。より具体的には、介護者は、他方ではなく一方のチャンバーを圧迫するステップ、定期的に振とうさせながら、所望の混合度および血漿の再構成が実現するまで、液18と凍結乾燥物質18との混合物をチャンバー12およびチャンバー14の間を往復させて排出するステップに進むことができる。
【0085】
この時点(図16が示す通り)で、介護者は、デバイス10の投与用固定具70を液体投与セット72に連結可能である。再構成された血漿は、採血針84経由で重力流により、個体の循環系に輸液される。
【0086】
投与用固定具70は、輸液中に血漿分5が水7により継続的に再構成するのを補助するために、静的混合チューブ86(図16に示す通り)をさらに備えることができる。
【0087】
本明細書に記載するように、デバイス10は、下記事項をもたらす:
i)凍結乾燥ヒト血漿等の、凍結乾燥物質の長期間安定な収納;
ii)注射を目的とした、再構成液による凍結乾燥物質の最終的で迅速な再構成;および
iii)安全、無菌状態での、外傷被害者への、再構成された凍結乾燥物質の最終的送達
IV.その他の代表的実施形態
A.中間バルブ流路を備えたデュアルコンテナー
図22は、凍結乾燥物質を貯蔵、投与するためのデバイス100の別の代表的な実施形態を表す。デバイス100は、通常閉鎖した中間バルブアセンブリ106で結合された、第1の押し潰し可能なコンテナー102、および第2の押し潰し可能なコンテナー104を備える。
【0088】
デバイス100は、具体的な構造は異なってはいるものの、図1に示すデバイスと多くの技術的特徴を共有する。第1のコンテナー102は、すでに記載したようなドライチャンバー12を備え、また凍結乾燥されたヒト血漿の単一ドナー単位等の凍結乾燥物質16の一定量を収納するようなサイズと構成である。
【0089】
第2のコンテナー104は、すでに記載したようなウェットチャンバー14を備え、凍結乾燥物質16用の再構成液18を収納するようなサイズと構成である。上記のように、再構成物質18は、例えば滅菌水を含むことができ、これは、望むならば脱気され得る。
【0090】
使用する際には、ウェットチャンバー14内の滅菌水は、ドライチャンバー12内の凍結乾燥血漿と混合されて、輸液用の血漿となる。当該血漿は、デバイス10を用いてその場で再構成され、投与される。
【0091】
上記のように、第1のコンテナー102は、これが再構成される前には、真空包装され、無菌状態の、水分を含まない、および低酸素濃度の環境であって、好ましくは室温で長期間、例えば少なくとも2年間保存できるようにする環境で、凍結乾燥物質16を維持するようなサイズと構成である。かかる環境で貯蔵すると、凍結乾燥物質16は、輸液用としてその望ましい品質を保つ。
【0092】
やはり上記のように、第2のコンテナー104は、再構成液18が凍結乾燥物質16と混合される前に、無菌環境で、また低ガス濃度で、好ましくは室温で長期間、例えば少なくとも2年間保存できるようにしながら、再構成液18を維持するようなサイズと構成である。
【0093】
各コンテナー102およびコンテナー104の容積は、好ましくは、第1のチャンバー12内の凍結乾燥物質16の容積よりも約50%大きい。こうすることにより、デバイス10内に、第1のコンテナー102または第2のコンテナー104のいずれかにおいて、凍結乾燥物質16および再構成液18を混合するためのゆとりの容積が設けられるが、後ほどさらに詳記する。
【0094】
コンテナー102およびコンテナー104は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレン等の不活性な医療グレードのプラスチック材料から作製され得る。コンテナー102およびコンテナー104の一方または両方は、より耐久性を持たせるために、例えば通常の取扱いにおいて遭遇するおそれのある、破れや穿孔に抗するように、多重ラミネートのポリマー層を備えることができる。
【0095】
コンテナー102およびコンテナー104の材料は、望む場合には、チャンバー12およびチャンバー14の内容物を目視検査できるように、透明にすることも選択可能である。第1のコンテナー102の材料は、ガス不透過性の障壁、例えば金属蒸着された、低ガス透過性のコーティング物、または金属ラミネートを提供するように選択され得る。この場合、第1のチャンバーの壁は不透明であってもよい。
【0096】
上記のように、デバイス100は、使用前は、例えば金属蒸着された、ガス不透過性の材料で作製された真空密閉式の外套20(図22では極細線で示す)で被覆される。外套20は、貯蔵安定性を強化する。
【0097】
図22に示す別の代表的な実施形態では、バルブアセンブリ106は、可撓性の管状バルブ流路110内に装填された感圧バルブ108を備え、同流路110は、2つのコンテナー102およびコンテナー104の間に延在する。バルブ108は、例えば短いダックビル、または2方向フラップバルブの形態を採り得る。バルブ108は、通常、2つのコンテナー102およびコンテナー104間の液の流通を阻止するようなサイズと構成である。しかし、バルブ108は、バルブ108の相対する両側間の液体の圧力差に応答して(図11および図14に示すバルブ28と同様の方式で)、弾性的に屈曲するようなサイズと構成である。圧力差に応じて、バルブ108はバルブ28と同様に、高圧力側の部域から低圧力側の部域に向けて、液体の圧力差方向に開放する。
【0098】
バルブ流路110が結合しているコンテナーの壁の部域は、バルブ流路110を経由するコンテナー102とコンテナー104との間の流通を通常閉鎖する。
【0099】
外部剥取り式スカート112は、コンテナー102およびコンテナー104の中央部域および中間バルブ流路110の周囲を覆う。スカート112は、使用前に、バルブアセンブリ106の構成部材を覆い、保護する役割を果たす。スカート112の少なくとも1つの部域は、第1のチャンバーもしくは第2のチャンバーの部域または両方において、各コンテナー102およびコンテナー104の外壁の周りに、円周に沿って、例えば接着剤により、付着している。
【0100】
図23が示すように、外部スカート112内で、コンテナー102およびコンテナー104の中央部域、およびバルブ流路110そのものは、望ましくは、褶曲し、またはプリーツ状であり、そうでなければ、共に束ねられており、各コンテナー102およびコンテナー104、ならびにバルブ流路110の長さを短縮している。あるいは、コンテナー102およびコンテナー104の壁、および/またはバルブ流路110において、プラケーションを施すことも可能である。表面を覆うスカート112の存在は、バルブ流路110を、輸送期間中や使用前の意図しない接触から隔離する役割も果たす。
【0101】
図23が示すように、バルブ流路110の対向する両端部を覆う各コンテナー102およびコンテナー104の壁は、それぞれ一体化した裂開部材112を備える。図23が示すように、各一体化した裂開部材112は、内部の牽引用の糸114により各コンテナー102およびコンテナー104の近傍側壁に連結されている。内部の牽引用の糸114は、デバイス100が、図22に示す褶曲した状態にあるときには、通常、若干の張力を持って保持されている(すなわち、コンテナー102およびコンテナー104の中央部域、ならびにバルブ流路110そのものが褶曲しており、外部スカート112によりこの状態に保持されているとき)。デバイス100が褶曲した状態にあるとき、内部の牽引用の糸114が有する張力は、裂開部材112に影響を与えるほど十分ではない。バルブ流路110の対向する両端部を覆う各コンテナー102およびコンテナー104の壁は閉鎖したままである。デバイス100が褶曲した状態にあるとき、チャンバー12およびチャンバー14、ならびにそれらの内容物は、使用前は隔離、分離されたままである。
【0102】
図24が示すように、スカート112は、一体化した裂開部材116を操作することにより、剥ぎ取られ、取り除かれ(図3に示す方式で)、デバイス100は、図24に示す状態になる。図24が示すように、スカート112を除去したら、コンテナー102およびコンテナー104の壁、ならびにバルブ流路110のプラケーションは弛緩し、デバイス100は伸長する。
【0103】
図25が示すように、デバイス100が伸長すると、内部の牽引用の糸114の張力は増加する。増加した張力は、裂開部材112を作動させるのに十分であり、バルブ流路110の対向する両端部にある壁の開口部域116を裂開させる(図25が示すように)。開口部域116は、第1のチャンバー12および第2のチャンバー14を、バルブ流路110を介して流通状態にする。
【0104】
部域116が開口すると、介護者は、デバイス10についてすでに記載した場合と同様の方法で(図10〜16に示すように)、デバイス100の操作に進むことができる。介護者は、一方のコンテナーを選択的に圧迫し、他方のコンテナーは圧迫しないことにより、バルブ108を挟んで液圧差を生み出す。液は液圧差に応じて、バルブ108経由で、圧迫されたコンテナーから圧迫されないコンテナーに排出されて、投与用として凍結乾燥物質を混合、再構成する。コンテナー102およびコンテナー104を操作した結果、バルブ流路110経由でチャンバー12およびチャンバー14間を反対方向に物質が移動するが、その移動を図26および図27に示す。
【0105】
B.移液セットを備えたデュアルコンテナー
図30は、凍結乾燥物質を貯蔵、および投与するためのシステム200の代表的な実施形態を示している。システム200は、第1の押し潰し可能なコンテナー202、および第2の分離した押し潰し可能なコンテナー204を備える。システム200は、第1のコンテナー202および第2のコンテナー204間の液の流通を形成する移液セット206もさらに備える。
【0106】
システム200は、具体的な構造は異なってはいるものの、図1および図22に示すデバイスと多くの技術的特徴を共有する。
【0107】
第1のコンテナー202は、すでに記載したようなドライチャンバー12を備え、また凍結乾燥されたヒト血漿の単一ドナー単位等の凍結乾燥物質16の一定量を収納するようなサイズと構成である。原料血漿と、チャンバー12内の物質16との間の直接的でトレース可能な関連性を維持するために、コンテナー202は、好ましくは、バーコードおよびタギング54を備え(図30を参照)、これは、ヒト血漿識別情報(由来、血液型、採血日等)を表示する。このようにして、コンテナー202は、ヒトドナー源まで遡るトレース可能な関連性を維持する。
【0108】
第2のコンテナー204は、すでに記載したようなウェットチャンバー14を備え、凍結乾燥物質16用の再構成液18を収納するようなサイズと構成である。上記のように、再構成物質18は、例えば滅菌水を含むことができ、これは、望むならば脱気され得る。
【0109】
使用する際には(図31)、移液セット206を用いて、ウェットチャンバー14内の滅菌水は、ドライチャンバー12内の凍結乾燥血漿と混合されて、輸液用の血漿となる。当該血漿は、システム200を用いてその場で再構成され、投与される。
【0110】
上記のように、第1のコンテナー202は、これが再構成される前には、真空包装され、無菌状態の、水分を含まない、および低酸素濃度の環境であって、好ましくは室温で長期間、例えば少なくとも2年間保存できるようにする環境で、凍結乾燥物質16を維持するようなサイズと構成である。かかる環境で貯蔵すると、凍結乾燥物質16は、輸液用としてその望ましい品質を保つ。
【0111】
やはり上記のように、第2のコンテナー204は、再構成液18が凍結乾燥物質16と混合される前に、無菌環境で、また低ガス濃度で、好ましくは室温で長期間、例えば少なくとも2年間保存できるようにしながら、再構成液18を維持するようなサイズと構成である。
【0112】
各コンテナー202およびコンテナー204の容積は、好ましくは、第1のチャンバー12内の凍結乾燥物質16の容積よりも約50%大きい。こうすることにより、コンテナー202およびコンテナー204の中に、第1のコンテナー202もしくは第2のコンテナー204または両方において、凍結乾燥物質16および再構成液18を混合するためのゆとりの容積が設けられるが、後ほどさらに詳記する。
【0113】
コンテナー202およびコンテナー204は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、または高密度ポリエチレン等の不活性な医療グレードのプラスチック材料から作製され得る。コンテナー202およびコンテナー204の一方または両方は、より耐久性を持たせるために、例えば通常の取扱いにおいて遭遇するおそれのある、破れや穿孔に抗するように、多重ラミネートのポリマー層を備えることができる。
【0114】
コンテナー202およびコンテナー204の材料は、望む場合には、チャンバー12およびチャンバー14の内容物を目視検査できるように、透明にすることも選択可能である。第1のコンテナー202の材料は、ガス不透過性の障壁、例えば金属蒸着された、低ガス透過性のコーティング物、または金属ラミネートを提供するように選択され得る。この場合、第1のチャンバー12の壁は不透明であってもよい。
【0115】
各コンテナー202およびコンテナー204は、使用前は、例えば金属蒸着された、ガス不透過性の材料で作製された真空密閉の外套208(図30に極細線で示す)で被覆され得る。外套208は、貯蔵安定性を強化する。移液セット206も、使用前は、望ましくは滅菌外套208(図31に極細線で示すように)に装填される。
【0116】
移液セット206は、各端部にプラスチック製の針またはスパイク210を備える。外部剥取り式スカートまたはキャップ216は、使用するときまで滅菌性を保つために、各針またはスパイク210の周囲に配置可能、またはこれを被覆可能である。
【0117】
使用の際には、針またはスパイク210は、各コンテナー202およびコンテナー204と液流通した状態で連結するポートチューブ214内に位置する従来型の穿孔可能な膜212を穿孔するようなサイズと構成である。各膜212は、移液セット206の各針または各スパイク210により穿孔されるまでは、通常、コンテナー202およびコンテナー204それぞれを密閉する。針またはスパイク210により穿孔されたら、ポートチューブ214を通じて液の流通が開通する。
【0118】
ポートチューブ214が開口したら、介護者は、図31が示すように、システム200を操作するステップ、再構成液18を第2のコンテナー204から移送して凍結乾燥物質16と接触させるステップに進むことができる。介護者は、一方のコンテナーを選択的に圧迫し、他方のコンテナーは圧迫しないことにより、移液セット206を挟んだ液体の圧力差を生み出すことができる。液は、移液セット206を介する液圧差に応答して、圧迫されたコンテナーから圧迫されないコンテナーに排出されて、投与用として凍結乾燥物質を混合、再構成する。チャンバー12およびチャンバー14の間で、物質を反対方向に往復移動させると、必要に応じて、凍結乾燥物質を再構成するステップに進むことができ、このとき投与可能となる。
【0119】
このとき、介護者は、図16を参照してすでに記載したように、同様の方法で、図31に示すように、個体の循環系に再構成された物質を移液するために、投与用固定具70(第1のコンテナー202に連結した状態で示す)を該当する投与セットに連結することができる。投与用固定具70は、第2のコンテナー204、または第1のコンテナー202および第2のコンテナー204の両者にも連結可能である。
【0120】
C.再構成液を装填する別の方法
図28A/Bおよび図29A/Bは、すでに記載したように、再構成液18をデバイス10またはデバイス100内に装填する別の方法を示す。かかる別法では、再構成液18を搬送するのに投与用ポート68を使用する必要はなく、装填前の作業で閉鎖、密閉可能である。
【0121】
1つの別の代表的な実施形態では(図28A/Bを参照)、ウェットチャンバー14は、2つの装填用ポート120および128を備える。使用する際には(図28Aを参照)、第1のポート120は、再構成液18の供給源124と、第1のインラインバルブ122を介して連結される。第2のポート128は、真空供給源125と、第2のインラインバルブ126を介して連結される。
【0122】
図28Aに示すように、第1のバルブ122は、閉鎖しており、第2のバルブ126は開放している。チャンバー14の内部を真空状態にする。図26Bに示すように、第1のバルブ122は開放しており、第2のバルブ126は閉鎖している。再構成液18は、重力流によりチャンバー14内に搬送される。両装填用ポート120および128は密閉されている。
【0123】
もう1つ別の代表的な実施形態では(図29A/Bを参照)、ウェットチャンバー14は、単一の装填用ポート130を備える。使用する際には(図29Aを参照)、ポート130は、再構成液18の供給源132および真空供給源134に、2方向バルブ136を介して連結される。
【0124】
図29Aに示すように、2方向バルブ136は、液供給源132との流通を閉鎖し、真空供給源134との流通を開放するように作動している。チャンバー14の内部を真空状態にする。図29Bに示すように、2方向バルブ136は、液供給源132との流通を開放し、真空供給源134との流通を閉鎖するように作動している。再構成液18は、重力流によりチャンバー14内に搬送される。装填用ポート130は密閉される。
【0125】
両構成形態において、投与用ポート68は、装填前作業において挿入、密閉され得る。投与用ポート68は、図16に示すように、再構成された凍結乾燥物質を投与するときまで用いられない。
【0126】
D.凍結乾燥物質を装填する別の方法
別の実施形態では、物質16は、チャンバー12内において、in situで凍結乾燥可能である。かかる構成形態では、図33に示すように、デバイス300は、すでに記載した方法に基づき、密閉壁22によりチャンバー12とチャンバー14に区画される。密閉壁22は、すでに記載したように、牽引用の糸34とタブ38を有する隔壁26を備える。
【0127】
チャンバー12内で血漿の凍結乾燥を促進させるために、デバイス300は、凍結乾燥時に遭遇する低温(例えば、−33℃よりも低い)でもひび割れに抵抗する材料から作製される。候補材料として、ポリオレフィン材、ポリウレタン材、ポリウレタン、エラストマー材、およびポリシリコーン材が挙げられる。低温に耐えるように処理されたポリ塩化ビニルも使用可能である。
【0128】
デバイス300は、第1の無菌ポート302および第2の無菌ポート304も備え、これらは、第1のチャンバー12と流通している。第1の無菌ポート302は、使用する際には、液状の血漿を凍結乾燥するために、チャンバー12内に搬入する。第1のポート302は、望ましくは、穿孔可能な膜または隔壁314により通常閉鎖している。第2の無菌ポート304は、ガス透過性膜316等のガス透過性膜により、通常閉鎖している。使用する際には、ガス透過性膜316は、凍結乾燥プロセスの前後において、チャンバー12の内および外への蒸気およびガスの輸送を促進するが、そうでなければチャンバー12から液が漏れるのを防ぐ。ガス透過性膜316は、例えばナイロン材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料、またはポリプロピレン材料を含み得る。
【0129】
デバイス300は、無菌ポート306も備え、これは第2のチャンバー14と流通する。ポート306は、すでに記載したように、使用する際には、再構成液を第2のチャンバー14内に搬送する(例えば、図29Aおよび29Bを参照)。第1のポート302も、穿孔可能な膜または隔壁314により、通常閉鎖され得る。
【0130】
投与用ポート310も、第2のチャンバー14と流通した状態でヒートシールされる。投与用ポート310は、すでに記載したように、使用する際には、投与目的で再構成された物質を第2のチャンバー14から個体に搬送する。
【0131】
図34が示すように、第1のポート302は、液状血漿の供給源312に連結したチューブTに結合するようなサイズと構成である。例示の実施形態では、ポート302を経由する液の流通をチャンバー12に形成するために、チューブTは、ポート302内の膜314を穿孔するスパイクまたは針318を備える。
【0132】
チューブTを経由して、所望の容積の液状血漿は、供給源312から第1のチャンバー12内に搬送される。第1のチャンバー12に液状血漿を搬送した後、チューブTは取り除かれ、そしてポート302は密閉閉鎖される。かかる処理段階では、第2のチャンバー14は、図34に示すように空のままである。
【0133】
原料血漿と、チャンバー12内で凍結乾燥される物質16との間の直接的でトレース可能な関連性を維持するために、デバイス300は、好ましくは、バーコードおよびタギング54’を備え(図31を参照)、これは、ヒト血漿識別情報(由来、血液型、採血日等)を表示し、また原料血漿バッグ312上に貼付されたバーコードおよびタギング54を再現し、またはそうでなければ、これと関連付けられる。このようにして、デバイス300は、ヒトドナー源まで遡るトレース可能な関連性を維持する。
【0134】
図35に示すように、各チャンバー12が液状血漿で満たされた1つまたは複数のデバイス300が、凍結乾燥機320内に、無菌の凍結乾燥機の棚表面322上に乗せられて配置される。載荷したら、凍結乾燥サイクルが開始する。かかるサイクルでは、一般的にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、そして2〜8時間凍結し、これに続き凍結乾燥機の凝縮器を冷却し、そして真空状態にして凍結乾燥サイクルを開始する。その結果、凍結乾燥されたヒト血漿ケーキ324が、各デバイス300のチャンバー12内において、in situで形成される(図36を参照)。
【0135】
凍結乾燥プロセスの代表的なパラメータはすでに記載されており、それらを本明細書において参考として援用する。
【0136】
全凍結乾燥プロセスを通じて、ポート314内のガス透過性膜316は、ガス、例えば凍結乾燥中に、水が液状血漿から昇華するときの水蒸気の通過を容易にするが、そうでない場合には、チャンバー12から液状血漿が漏れるのを防ぐ。
【0137】
図36に示すように、凍結乾燥後には、チャンバー12内に凍結乾燥されたケーキ324を含むデバイス300は、凍結乾燥機320から取り出される。
【0138】
好ましくは、ポート304を経由して無菌状態で真空化が実施される。圧力が100mTorr近くに達したら、ポート304はヒートシールにより閉鎖される。この減圧プロセスにより、バブル導入もせず、泡形成することもなく、ヒト凍結乾燥血漿を混合、再構成できるようにする、最終的な能力が付与される。当該真空は、チャンバー12内で血漿ケーキ324が圧縮されて微細な粉末となり、凍結乾燥物質16を形成する原因ともなり得る。デバイス300は、次の処理まで湿気および酸素を排除するために、窒素またはアルゴン雰囲気下で維持され得る。
【0139】
次に(図37を参照)、再構成液18は、例えば図29Aおよび29Bに示す方法で、第2のチャンバー14内にポート306経由で導入される。次に、ポート306は密閉される。
【0140】
図38が示すように、凍結乾燥物質16および再構成液18を上記の方法で装填した後、デバイス300の壁は、すでに記載したように、密閉壁22の部域で褶曲し、またやはりすでに記載したように外部スカート40(牽引用の糸44およびタブ46を備える)が取り付けられる。望むならば、図1に示すように、外套20を付加することも可能である。
【0141】
デバイス300は、いつでも貯蔵、輸送、および使用できる状態にある。
【0142】
液状血漿は、上記方法と同様の方法で、図30に示すコンテナー202内において、in situで凍結乾燥され得ることを理解されたい。
【0143】
V.再構成して用いる物質を凍結乾燥および貯蔵するためのデバイス、システム、および方法
A.多機能凍結乾燥および貯蔵用容器
図39A〜39Dは、血漿等の物質を凍結乾燥、貯蔵、再構成、および投与するための多機能デバイス400の代表的な実施形態を示す。デバイス400は、デバイス400内で当該物質の凍結乾燥を行っている間、当該物質を受容するようなサイズおよび構成である。また、デバイス400は、意図する場所で再構成する前に、凍結乾燥物質を輸送、取扱い、および貯蔵している間、これを収納するための容器としても機能するようなサイズと構成である。さらに、デバイス400は、凍結乾燥物質が再構成可能な容器としても機能するようなサイズおよび構成である。また、デバイス400は、凍結乾燥物質を再構成後、これを安全かつ無菌な状態で個体に投与できる容器としても機能するようなサイズと構成である。多機能デバイス400を用いれば、単一の容器で所定の物質を凍結乾燥、輸送、貯蔵、再構成、および投与することができる。
【0144】
図39Aの分解組立て図に示すように、デバイス400は、異なる物理特性を有する複数の構成部材から作製された容器402を備え、これにより異なる機能を果たす。示す通り、容器402は、内部空間406周囲を取り囲む側壁部材404を備える。容器402は、側壁部材404を覆って内部空間406を封じ込める第1の末端部材408および第2の末端部材410も備える。容器402は、側壁部材404の部域を貫通する第1のポート部材412、第2のポート部材414、および第3のポート部材416も備えて、側壁部材404ならびに覆いとして働く第1の末端部材408および第2の末端部材410により区画された内部空間406に液の流通をもたらす。
【0145】
共に組み立てられると(図39B〜39Cが示すように)、様々な構成部材は、一体型の多機能容器402を形成し、この中で、所定の物質の凍結乾燥、次いで輸送および貯蔵、次いで再構成、次いで投与が可能となる。
【0146】
図39A〜39Dに示すように、第1の末端部材408および第2の末端部材410は、容器402の末端部のために、軽量ながら耐久性のある構造骨格を形成するように選択された剛体または半剛体の物質からなるフレームを備える。第1の末端部材408および第2の末端部材410に用いられる材料は、例えば可塑化されていないポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレンを含み得る。当該材料は、望ましくは、動物の組織および体液に接触するのに十分不活性であり、医療グレードのものである。第1の末端部材408および第2の末端部材410により画定されるフレームは、例えば所望の形状およびサイズに成形され得る。
【0147】
第1の末端部材408および第2の末端部材410により画定されるフレームは、容器402に適する形状を画定、維持するほか、全体的な構造サポート、および容器402のその他の構成部材が取り付けられる部域を提供する。第1の末端部材408および第2の末端部材410により画定されるフレームは、凍結乾燥中およびその後の取扱い中に、容器402に加えられる圧力条件やその他の力に耐える一体的な構造的要素を容器402にもたらす。
【0148】
第1の末端部材408および第2の末端部材410により画定されるフレームは、それぞれ、材料パネル408’および材料パネル410’それぞれをサポートする。例示の実施形態では、材料パネル408’および材料パネル410’は、末端部材408および末端部材410それぞれの全体に水平に広がっている。材料パネル408’および材料パネル410’は、末端部材408および末端部材410が画定するフレームに、例えば接着剤またはヒートシール技術によって周囲を取り囲むように密着している。
【0149】
パネル用として選択された材料408’および材料410’は、異なる機能を果たすので異なる。かかる技術的特徴は、後ほどさらに詳記する。
【0150】
側壁部材404が、第1の末端部材408および第2の末端部材410により画定されるフレームに附属する。側壁部材404は、末端部材408および末端部材410の側端部の間を垂直方向に広がっている。側壁部材404は、末端部材408および末端部材410の側端部に、例えば接着剤またはヒートシール技術によって周囲を取り囲むように密着している。
【0151】
側壁部材404、ならびに第1の末端部材408および第2の末端部材410は、内部空間406を完全に閉鎖、密閉する。
【0152】
側壁部材404は、可撓性のガス不透過性材料を含む。当該材料も、望ましくは、動物の組織および体液に接触するのに十分不活性であり、また医療グレードのものである。側壁部材404を形成する材料は、例えば可塑化されたポリ塩化ビニル、またはポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルム、または高密度ポリエチレンフィルムを含み得る。側壁部材404は、図39Aに示すような可撓性の材料からなる連続したフィルム、または互いにシールされたより短い長さの可撓性のフィルム材料を含み得る。
【0153】
側壁部材404の可撓性は、凍結乾燥中およびこれに続く取扱い中に遭遇する圧力条件に応じて引き起こされる、容器402の膨張、および収縮、および歪みに順応する。望ましくは、側壁部材404の材料も、凍結乾燥中およびこれに続く容器402の取扱い中に生ずる破れまたは穿孔に対する抵抗性を付与する。側壁部材404の材料は、望ましくは透明であり、これによりユーザーは、内部空間406と周囲環境との間でガスを透過させないで、容器402の内容物を目視で観察および検査できるようになる。
【0154】
第1の末端部材408の材料408’も、側壁部材と同様に、ガス不透過性であるように選択されて、側壁部材404をかかる機能において補完する。望ましくは、材料408’も、透明となるように選択され、これにより内部空間406内を目視で観察するのに役立つ。第1の末端部材408の材料408’は、可撓性であってよく、また望む場合には剛性であってもよい。
【0155】
第1の末端部材408の材料408’のすべてが透明である必要はないことを理解されたい。材料408’は、内部空間406を観察可能にするのに十分な透明な部域を含み、その残りの部分はガス不透過性で不透明であり得る。
【0156】
側壁部材404の材料と同様に、第1の末端部材408を構成する材料408’は、望ましくは、動物の組織および体液に接触するのに十分不活性であり、また医療グレードのものである。第1の末端部材408を構成する材料408’は、例えば可塑化されたポリ塩化ビニルフィルム、またはポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルム、または高密度ポリエチレンフィルムを含み得る。
【0157】
第2の末端部材410の材料410’は、部材410が異なる機能を果たすので、望ましくは、少なくとも一部分において側壁部材404、および第1の末端部材408の物理特性とは異なる物理特性を有する。より具体的には、第2の末端部材410の材料410’は、ガス透過性、例えば疎水性であるように選択される。ガス透過性材料410’は、凍結乾燥プロセス中およびその後に、内部空間406の中に、および外へ蒸気およびガスを移動するのに役立ち、一方、疎水性であれば、液体が内部空間406に進入する、またはこれから漏出するのを防ぐ。ガス透過性材料410’は、例えばナイロンフィルム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム材料もしくはその他のフルオロポリマーフィルム材料、ポリプロピレン材料、またはポリウレタンフィルム材料を含み得る。
【0158】
第2の末端部材410のガス透過性の材料410’が存在すると、凍結乾燥プロセス中に、内部空間406内で、物質から水蒸気が昇華可能となる。第2の末端部材410のガス透過性の材料410’が存在すると、凍結乾燥プロセス後に、望むならば不活性ガスも、内部空間406に導入可能になり、容器402内に材料の長期貯蔵に役立つ保護的雰囲気が生み出される。技術的特徴は、後ほどさらに詳記する。
【0159】
第2の末端部材410を構成するガス透過性の材料410’の表面積は、凍結乾燥プロセス中の昇華速度に影響を及ぼす可能性があり、すなわち表面積が大きくなるほど昇華速度は高まる。図39A〜39Dでは、第2の末端部材410のガス透過性の材料410’は、末端部材410を完全に覆っている。あるいは、図46および図47に示す実施形態について後ほど記載するように、第2の末端部材410のガス透過性の材料410’は、末端部材410のより小さな部域を占め、第2の末端部材410の残りの部分はガス不透過性であり、望ましくは透明であり得る。
【0160】
第1のポート部材412、第2のポート部材414、および第3のポート部材416は、側壁部材404の部域内で密閉されている。ポート412、414、および416は、例えば、熱または接着剤で側壁部材404の周辺材料に密着した、例えば、押出成形または鋳型成形された医療グレードのプラスチックチューブを備える。ポート412、414、および416は、記載したように、側壁部材404と、被覆としての第1の末端部材および第2の末端部材とにより形成される内部空間406に液流通を設ける。
【0161】
各ポート部材412、414、および416は、望ましくは、従来型の隔壁もしくは破れやすい膜アセンブリで、または従来型のスクリューロックルアーフィッティングにより、最初は密閉される。各ポート部材412、414、および416は、物質を内部空間406から出し入れ可能にするために、移液用のチューブに連結するようなサイズと構成であり、後ほどさらに詳記する。
【0162】
例えば、典型的な構成形態では、第1のポート部材412は、使用する際には、容器402内においてin situで凍結乾燥するために、液体状態の物質を内部空間406に導入しやすくするサイズと構成であり得る。第2のポート部材414は、使用する際には、凍結乾燥物質と混合し、これを再構成するために、内部空間406内に再構成液を導入しやすくするサイズと構成であり得る。第3のポート部材416は、使用する際には、再構成した物質を内部空間406から移送しやすくするサイズと構成であり得る。かかる目的でのポート部材の使用は、後ほど詳記する。
【0163】
例示の実施形態では、第1のポート部材412は、第2のポート部材414および第3のポート部材416とは異なる側壁部域を占める。かかる分離により、凍結乾燥機能専用のポート部材412は、再構成機能および投与機能専用のポート部材414および416から隔離される。
【0164】
図39Dに最適に示すように、少なくとも第1のポート部材412は、望ましくは、側壁部材404に対して非直角の方向に向いている。より具体的には、ポート部材412は、第1の末端部材408から遠ざかるように曲がっており、第2の末端部材410を構成するガス透過性材料410’の平面よりも重心位置が高くなっている。かかる方向付けにより、液体物質をポート部材412経由で内部空間406に導入する際に、第2の末端部材410のガス透過性材料410’の濡れが最小限に抑えられる。凍結乾燥プロセスは、第2の末端部材410の濡れた材料410’を最終的に乾燥させるが、ただし、凍結乾燥プロセス全体を通じて昇華速度を最大にするために、最初から濡らさないように予防する方が望ましいと考えられる。
【0165】
凍結乾燥プロセス中は、容器402は、図39Dに示す方向で凍結乾燥機内の棚に置かれる(図52にも示す)。この方向では、第1の末端部材408のガス不透過性材料408’は、棚の上にある。第1の末端部材408により画定されるフレームは、容器402をかかる望ましい方向で上向きに維持しながら液状物質を凍結乾燥するとき、当該液状物質に安定したプラットフォームのサポートを提供する。
【0166】
かかる望ましい上向きの方向では、第2の末端部材410のガス透過性材料410’は上向きで、凍結乾燥環境側に向いている。かかる方向では、乾燥中、昇華する水蒸気は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を通って、物質から上方に抜けて行く。
【0167】
凍結乾燥プロセスの前、中、後の容器402の使用に関する具体的詳細は、後ほどさらに詳記する。
【0168】
B.凍結乾燥物質の貯蔵アセンブリ
やはり、後ほどさらに詳記するが、凍結乾燥プロセスの完了後、乾燥プロセス中に存在する真空条件は、望む場合には、酸素を含まない、高純度不活性ガス、例えば窒素またはアルゴンの雰囲気に開放され得る。酸素を含まない不活性ガスは、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を通じて内部空間406に進入して、湿気と酸素を排除する。
【0169】
かかる構成形態では、容器402(現在は、凍結乾燥された物質を収納している)は、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気下で維持されているが、図40に示すように、容器402は真空シールされた、透明な蒸気バリア、または外套418内に置かれている。外套418は、ガス不透過性材料から作製され、第1の末端部材408と関連してすでに記載したように、望ましくは可撓性であり、例えば可塑化されたポリ塩化ビニルフィルム、またはポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルム、または高密度ポリエチレンフィルムである。かかる材料は、金属蒸着された、低ガス透過性のコーティング物、または金属ラミネートと組み合わせて使用可能である。蒸気バリアまたは外套418は、輸送中および貯蔵中に、酸素を含まないガスの環境を容器402内に封じ込める。
【0170】
容器402および外套418は、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ420を備える。外套418により封じ込められた酸素を含まない不活性ガスが存在することによって、湿気と酸素が排除されると、その後の輸送および貯蔵期間中に、容器402内で生ずる凍結乾燥物質の劣化を防ぐ。
【0171】
凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ420は、図40および図41Aに示すように、剛性の外部コンテナーまたは缶422内に配置することにより、輸送および保管期間中、さらに保護され得る。外部コンテナー422は、例えば金属または耐衝撃性プラスチック材料から構成され得る。外部コンテナー422は、その後の取扱いおよび保管中の、外套418および容器402の破れ、穿孔、または圧潰に対してさらに保護を提供する。図41Bが示すように、外部コンテナー422は、望むならば、凍結乾燥物質容器402と共に、再構成液で満たされた容器、ならびに関連する再構成および投与用のセットを保持するための追加の区画を備えることができる。
【0172】
例示の実施形態では(図41Aに示すように)、外部コンテナー422は、コンテナー422を閉鎖、および望ましくは密閉する蓋424を備える。蓋424は、使用時に容器402および外套418にアクセスできるように除去可能である。
【0173】
望む場合には(図42および図43に示すように)、1つまたは複数の完全性マーカー要素426を、外套418の中または内部表面上に配置可能である。この完全性マーカー要素426は、酸素および/もしくは湿気、またはこれらを組み合わせたもの、および/または凍結乾燥物質の完全性もしくは有効性に対して悪影響を及ぼす、もしくは及ぼす可能性のあるその他の事前に選択された条件に対して感受性のある物質を担持する。例えば、感受性物質は、酸素および/もしくは湿気、またはこれらを組み合わせたものの事前決定された域値レベルが外套418内に存在する場合には、色が変化して外套418を通して視認可能である。マーカー426は、再構成前の凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ420内で、凍結乾燥物質の完全性および有効性を示す視認可能な表示をさらに提供する。
【0174】
D.一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ
図42および図43は、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の代表的な実施形態を表している。かかる代表的な実施形態では、容器402は、上記および図39A〜39Dに示すように、枢動可能に取り付けられた閉鎖カバー430をさらに含む。閉鎖カバー430は、気体不透過性材料、例えばポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレンから作製される。かかる材料は、金属蒸着された、低ガス透過性コーティング物、または金属ラミネートと組み合わせて使用可能である。
【0175】
例示の実施形態では、閉鎖カバー430は、一般的に剛性の材料から作製される。かかる構成形態では、第2の末端部材410によって画定されるフレーム上のヒンジアセンブリ432は、図42に示すような開放状態と、図43に示すような閉鎖状態との間で移動できるように、閉鎖カバー430を容器402上に連結する。
【0176】
開放状態(図42に示す)では、閉鎖カバー430は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’から遠ざかるように空間配置し、すでに記載した目的のために、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を経由する制限のないガスの移動を可能にする。
【0177】
閉鎖状態(図43に示す)では、閉鎖カバー430は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’の全体を覆い、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を通過するガスの移動を実質的に阻止する。
【0178】
望ましくは、閉鎖カバー430の末端部および側部末端部材410により画定されるフレームの末端部は、閉鎖カバー430が閉鎖状態のときに、例えば締り嵌めにより、および/またはガスケットアセンブリの使用により、第2の末端部材410のガス透過性材料410’全体について、ガス不透過性の密閉アセンブリを形成するサイズおよび構成である。蒸気バリア性の外套を使用する場合は、当該密閉アセンブリは、「気密性」または無菌性である必要はないが、その代わりに、凍結乾燥機から取り出してから蒸気バリア性の外套で覆うまでの間の取扱いを容易にするために、十分なガス保持能力を提供する必要がある。
【0179】
望ましくは、閉鎖カバー430が閉鎖状態のとき、閉鎖カバー430上のラッチアセンブリ434と第2の末端部材410とがロック状態を形成し、不注意により閉鎖カバー430を開放するのを阻止する。
【0180】
あるいは、閉鎖カバー430は、第2の末端部材410によって画定されるフレームに取り付けられるより可撓性の材料を備えることができ、同材料は、通常、第2の末端部材410のガス透過性材料410’から遠ざかる方向に巻かれた状態、または折り畳まれた状態(すなわち、開放状態)である。かかる構成形態では、より可撓性の閉鎖カバー430は巻き戻され、または展開されて、第2の末端部材410のガス透過性材料410’の全体を覆う(すなわち、閉鎖状態にする)。次に、より可撓性の閉鎖カバー430は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’について周囲を取り囲むように、例えばヒートシールによって密封される。
【0181】
図43および図43に示す構成形態においては、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、図42に示す向きで、すなわち第2の末端部材410のガス透過性材料410’を上向きにし、および閉鎖カバー430を開いた状態で(これは図52にも示されている)、凍結乾燥プロセスで処理される。かかる方向では、乾燥中、水蒸気は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を経由して容器402内の物質から上方に向かって昇華、流出する。
【0182】
すでに記載したように、乾燥後、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気を、望むならば、図42に示す方向に向いた一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の上に導入することができる。酸素を含まない不活性ガスは、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を通って、内部空間406に進入して、すでに記載したように内部空間406内の湿気および酸素に入り込み、これを排除する。
【0183】
かかる構成形態では、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は(現在、凍結乾燥された物質を収納している)、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気の下で維持されているが、閉鎖カバー430は、その閉鎖状態に配置され(図54を参照)、またラッチアセンブリ434は、図43に示すように嵌合状態にある。閉鎖カバー430は、その後の輸送および貯蔵中において、酸素を含まないガス環境を、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内に封じ込める。上記のように、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内に封じ込められた酸素を含まない不活性ガスが存在することにより、湿気および酸素が排除されると、その後の輸送および貯蔵中に生ずる、容器402内に担持される凍結乾燥物質の劣化が防止される。
【0184】
図44および図45に示すように、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、すでに記載したように、蓋424付きの、例えば金属製または耐衝撃性プラスチック材料からなる剛性の外部コンテナーまたは缶422内に配置することができる。外部コンテナー422は、その後の取扱いおよび貯蔵中に生ずる、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の破れ、穿孔、または圧潰に対してさらなる保護を提供する。先に記載したように、外部コンテナー422は、望むならば、再構成液を収納する容器、ならびに関連する再構成用および投与用のセットを保持するための分離した区画を1つまたは複数備えることができる。
【0185】
また、望むならば、図43に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、剛性の外部コンテナー内に配置される前に、図40に示すタイプの真空密閉式の透明のガス不透過性蒸気バリアまたは外套418にも配置可能である。任意選択的な外套418は、図43に極細線で示されている。
【0186】
図46および図47は、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の別の代表的な実施形態を示している。かかる代表的な実施形態では、上記および図39A〜39Dに示すような容器402は、第2の末端部材410の領域全体には延在しないガス透過性材料の部域436を備える。かかる構成形態では、第2の末端部材410の残りの部域438はガス不透過性の材料を含み、この例についてはすでに記載済みである。
【0187】
図46に示すように、ガス透過性材料の部域436は、フレーム440によって支持され、これに密着されるが、同フレーム440自体は、第2の末端部材410に結合している。この密着は、例えば接着剤または熱によって実現可能である。
【0188】
図46が示すように、フレーム440は、第2の末端部材410の残りの部分438の面よりも僅かに隆起している。これから記載するように、例えば閉鎖カバー430を閉鎖する際に、第2の末端部材410に対してフレーム440が内側に歪むのを抑えるために、支持棒442は、フレーム440から容器402内部に延在している。かかる条件下で、フレーム440が内側に歪む初期量だけ、支持棒442は移動して、第1の末端部材408と接触し、これによりさらに内側に歪むのが阻止される。
【0189】
かかる構成形態では、フレーム440は、枢動可能に取り付けられた閉鎖カバー430を担持する。閉鎖カバー430は、ガス不透過性材料、例えばポリ塩化ビニル、またはポリエチレン、またはポリプロピレン、または高密度ポリエチレンから作製される。かかる材料は、金属蒸着された、低ガス透過性のコーティング物または金属ラミネートと組み合わせて使用可能である。
【0190】
例示の実施形態では、閉鎖カバー430は、一般的に剛性の材料から作製される。かかる構成形態では、フレーム440上のヒンジアセンブリ432は、図46に示すような開放状態と、図47に示すような閉鎖状態との間で移動するように閉鎖カバー430に連結する。
【0191】
開放状態(図46に示す)では、閉鎖カバー430は、フレーム440によって担持されるガス透過性材料の部域436から遠ざかるように空間的に配置し、すでに記載した目的のために、凍結乾燥プロセス中および同プロセス後に、ガス透過性材料の部域436を経由する制限のないガスの移動を可能にする。
【0192】
閉鎖状態(図47に示す)では、閉鎖カバー430は、フレーム440によって担持されるガス透過性材料の部域436の全体を覆い、ガス透過性材料の部域436を通過するガスの移動を実質的に阻止する。
【0193】
望ましくは、閉鎖カバー430の末端部およびフレーム440の末端部は、閉鎖カバー430が閉鎖状態のときに、例えば締り嵌めにより、および/またはガスケットアセンブリの使用により、フレーム440全体についてガス不透過性の密閉部を形成するサイズおよび構成である。蒸気バリア性の外套を使用する場合は、当該密閉部は、「気密性」または無菌性である必要はないが、その代わりに、凍結乾燥機から取り出してから蒸気バリア性の外套で覆うまでの期間の取扱いを容易にするために、十分なガス保持能力を提供する必要がある。
【0194】
望ましくは、閉鎖カバー430が閉鎖状態のとき、閉鎖カバー430上のラッチアセンブリ434とフレーム440とがロック状態を形成し、不注意により閉鎖カバー430を開放するのを阻止する。
【0195】
あるいは、閉鎖カバー430は、フレーム440に取り付けられる、より可撓性材料を備えることができ、同材料はフレーム440上のガス透過性の第2の末端部材410から遠ざかる方向に、通常巻かれた状態、または折り畳まれた状態(すなわち、開放状態)である。かかる構成形態では、より可撓性の閉鎖カバー430は、巻き戻され、または展開されて、フレーム440上のガス透過性の第2の末端部材410を覆う(すなわち、閉鎖状態にする)。次に、より可撓性の閉鎖カバー430は、ガス透過性の第2の末端部材410を覆うように、フレームについて周囲を取り囲むように、例えばヒートシールによって密封される。
【0196】
図46および図47に示す構成形態では、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、図46に示す方向で、フレーム440によって担持されるガス透過性材料の部域436を上向きにして、また閉鎖カバー430を開いた状態で、凍結乾燥プロセスで処理される。かかる方向では、乾燥中、水蒸気は、フレーム440により担持されるガス透過性材料の部域436を経由して、材料から上方に向かって昇華、流出する。すでに記載したように、乾燥後、図46に示す方向を維持しながら、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気が、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428上に導入される。酸素を含まない不活性ガスは、すでに記載したように、フレーム440により担持されるガス透過性材料部域経由で内部空間406に進入して、内部空間406内の湿気および酸素に入り込み、これを排除する。
【0197】
かかる構成形態では、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(現在、凍結乾燥された物質を収納している)は、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気下で維持されているが、図47に示すように、閉鎖カバー430は、閉鎖した状態で、またラッチアセンブリ434は嵌合した状態で配置される。閉鎖カバー430は、その後の輸送および貯蔵中、酸素を含まないガス環境を、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内に封じ込める。上記のように、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内に封じ込められた酸素を含まない不活性ガスが存在することにより、湿気および酸素が排除されると、その後の輸送および貯蔵中に生ずる、容器402内に担持される凍結乾燥物質の劣化が防止される。
【0198】
図48および図49に示すように、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、すでに記載したように、例えば金属または耐衝撃性プラスチック材料からなる、蓋424付きの剛性外部コンテナーまたは缶422内に配置可能である。外部コンテナー422は、その後の取扱いおよび貯蔵中に生ずる一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の破け、穿孔、または圧潰に対してさらなる保護を提供する。
【0199】
また、望むならば、図43に示す一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428も、剛性外部コンテナー内に配置される前に、図40に示すタイプの真空密閉式の透明なガス不透過性外套418に配置可能である。任意選択的な外套418は、図47に極細線で示されている。
【0200】
E.一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリの使用
1.凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ内での物質の凍結乾燥
代表的な実施形態では、凍結乾燥物質は血漿を含む。したがって、図42および図43に開示するような代表的な凍結乾燥物質貯蔵アセンブリに装填するための凍結乾燥血漿を調製する例示的方法を以下に説明する。
【0201】
血漿の調製および製造は、無菌のクリーンルーム環境で行われる。製造および調製手順は、例えば、ヒト血漿を無菌で取り扱うためのISOクラス3の生物学的封じ込めフードを備えたISOクラス5クリーンルーム(またはこれ以上)内で実施可能である。凍結乾燥は、CIP/SIPの凍結乾燥機内で無菌的に実施可能である。
【0202】
ヒト血漿は、単一ドナーから従来方式により集められ、これは、例えばドナーから、閉鎖系採血バッグ内に1単位の全血を採血し、続いて血漿を遠心分離し、そして一体的に連結した輸送バッグ444(約250mlからなる1血漿単位を収納する)内に収集することによる。各単位(輸送バッグ444内に収納されている)は、生物学的封じ込めフード内で、個別に取り扱われる。単一ドナー1単位の取扱いと、別の単位である、異なるドナーに由来する単一ドナー1単位の取扱いとの間には、生物学的封じ込めフード内での切替えステップ(change−over)に関するライン洗浄プロトコールが存在し、そうでなければ、フロー設計に関する妥当性確認プロセスと切替えステップとが規定される。かかるプロトコールは、それ以前の取扱いに関連するすべてのツールおよび物質の除去に対応し得る。同プロセスは、それ以前の取扱いに関連する残留物が、その場に放置されないことを保証するための、封じ込め作業区域、および作業区域の計器(天秤)の徹底洗浄にも対応し得る。単一ドナーサンプルの識別は、単一ドナーヒト血漿コンテナーに関するバーコードおよびその他のタギングにより維持される。
【0203】
滅菌された、発熱物質フリーのアセンブリを提供するために、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は前処理プロトコールで処理される。約250mlの血漿を凍結乾燥するためのアセンブリ420の代表的サイズは、約10cm×12cm×2cm(l×w×d)である。
【0204】
図50に示すように、250mlのヒト血漿単位は、輸送バッグ444から凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428に注入される。輸送バッグ444に一体的に連結した医療グレードの可撓性のチューブ446は、第1のポート部材412に無菌的な方法で、例えば血液成分の処理において周知の無菌連結技法を用いて、または無菌条件下でスパイクもしくはルアーフィッティング結合を用いて連結される。血漿は、輸送バッグ444からチューブ446および第1のポート部材412を経由して、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428に、重力流により移送可能である。
【0205】
図51に示すように、移液チューブ446は、次に上記条件下で、または例えばHematron(登録商標)Dielectric Sealerを用いて無菌的に切り離されて、血液成分の処理において周知の無菌の断裂(snap−apart)シールを提供する。
【0206】
バーコードおよびタギング448は、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428に貼付される。バーコードおよびタギング448は、輸送バッグ444に担持されるヒト血漿識別情報450(由来、血液型、採血日等)を反映する。
【0207】
図52に示すように、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(現在、液状の血漿を収納している)は、次に、凍結乾燥機452内に無菌の凍結乾燥機の棚表面454上に乗せられて配置される。凍結乾燥に用いられる凍結乾燥機452は、望ましくは妥当性確認済みの定置洗浄、定置蒸滅菌が施された凍結乾燥機である。
【0208】
図52に示すように、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を上方に向けた状態であり、また閉鎖カバー430は開放状態で置かれている。
【0209】
積載されたら、凍結乾燥サイクル(プロセッサ456によって制御される)が開始する。かかるサイクルは、一般的にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、また2〜8時間凍結し、これに続いて凍結乾燥機の凝縮器を冷却し、そして真空状態にして凍結乾燥サイクルを開始する。凍結乾燥されたヒト血漿ケーキが、凍結乾燥材料貯蔵アセンブリ428内で形成される。
【0210】
1次凍結乾燥サイクルでは、ヒト血漿ケーキの温度は、その完全性を維持するために、−33℃(崩壊温度)よりも低く保つ必要がある。ケーキの含水率が5重量%(w/w)未満であるときには、含水率をさらに下げるために2次乾燥サイクル(上昇した温度)が用いられる。一般的に、1次および2次凍結乾燥サイクルを組み合わせると、少なくとも72時間かかる。上記のように、図52に示す方向では、乾燥サイクル中、昇華する水蒸気は、凍結血漿物質から第2の末端部材410のガス透過性材料410’を経由して、開放状態の閉鎖カバー430によって制限されずに上方に流出する。
【0211】
可撓性の側壁部材404は、凍結乾燥サイクル中に遭遇する圧力条件に起因した容器の歪みに順応する。
【0212】
凍結乾燥サイクルが終了すると(図53を参照)、凍結乾燥機の真空状態は、窒素またはアルゴン等の酸素を含まない、高純度不活性ガスの雰囲気458に開放される(制御器456が作動することによって)。上記のように、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気は、開放状態の閉鎖カバー430によって制限されずに、第2の末端部材410のガス透過性材料410’を経由して、すでに記載したように、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の内部空間に進入して、内部空間内の湿気および酸素に入り込み、これを排除する。
【0213】
図54に示すように、一体型凍結乾燥物質材料貯蔵アセンブリ428(現在、凍結乾燥された物質を収納している)が、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気下で維持されているが、閉鎖カバー430は、その閉鎖状態に配置され、ラッチアセンブリ434は嵌合状態にある。
【0214】
図52および図53に示す代表的な実施形態では、凍結乾燥機452は、図54に示すように閉鎖カバー430が手動で閉鎖可能なように、凍結乾燥機452内への無菌アクセスを可能にする手段460を備える。あるいは、手段460は、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の閉鎖カバー430を閉鎖するために、遠隔駆動型の機械式またはロボット的手段を凍結乾燥機内に備えることができる。
【0215】
なおも別の選択肢として、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428は、湿気および酸素を排除するために、酸素を含まない不活性ガスの雰囲気下で維持された、封じ込め環境を有する無菌の封じ込め領域またはカート(例えば、図17Dに一般的に示されるような)に取出し可能である。当該封じ込め領域またはカートは、制御された不活性ガスの雰囲気下で凍結乾燥機の内容物を移動できるように、凍結乾燥機の前面に連結可能である。凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の閉鎖カバー430は、無菌のコンテナー領域またはカートがもたらす環境内で閉鎖可能である。
【0216】
一体型の閉鎖カバー430を提供する代わりに、または一体型の閉鎖カバー430と組み合わせて、ガス不透過性材料からなる、図40に示すような真空密閉された透明の外套418を、酸素を含まない不活性ガス環境の存在下で容器402上に配置可能であることを理解されたい。
【0217】
とにかく、その後の輸送および貯蔵中、閉鎖カバー430および/または外套418は、酸素を含まない不活性ガス環境を、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または外套418付きの容器402)内に封じ込める。上記のように、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内に封じ込められた酸素を含まない不活性ガスの存在下で、湿気および酸素が排除されることによって、その後の輸送および貯蔵中に生ずる、容器402内に担持される凍結乾燥物質の劣化が防止される。
【0218】
図55および図56に示すように、閉鎖した一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(外套418付きの、または無しの)は、例えば金属または耐衝撃性プラスチック材料からなる、すでに記載したような蓋424付きの剛性外部コンテナーまたは缶422の内部に配置可能である。外部コンテナー422は、その後の取扱いおよび貯蔵中に生ずる、一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428の破れ、穿孔、または圧潰に対してさらなる保護を提供する。
【0219】
2.一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリによる凍結乾燥血漿の再構成および同アセンブリからの投与
遠隔位置で使用する際には(図57を参照)、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または、図40および図41に示すような外套418付きの容器402)は、外部コンテナー422から取り出される。外套418(提供される場合)を取り除いた後、移液セット462が、滅菌された再構成液(例えば、水)のコンテナー464と、個別の一体型凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または容器402)の第2のポート部材414とに連結される。移液セット462は、例えば図30に示すように、連結を形成するためのプラスチック製の針またはスパイクを各末端に備えることができる。移液セット462は、長尺および可撓性であり得る(図57に示す通り)。あるいは、移液セット462は、貯蔵スペースを低減し取扱いを単純化するために、短尺および剛性であり得る。
【0220】
介護者は、今度は、図57および図59に示すように、再構成液をコンテナー464から移送して凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428内の凍結乾燥物質と接触させるように、再構成液のコンテナー464と共に、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または容器402)を操作するステップに進むことができる。介護者は、各頭頂高の差を選択的に設定することによって、移液セット462を挟んで液圧差を生み出すことができる。個体への投与に備えて、必要に応じて凍結乾燥物質を再構成するために、移液セット462を介した液圧差に応じて、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または容器402)と再構成液206のコンテナー464との間で往復するように、流体を押し出すことができる。
【0221】
図58に示す実施形態では、再構成された物質は、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または容器402)から投与される。かかる構成形態では、混合に用いられた投与セット462は、第2のポート部材414から外され、第2のポート部材414は閉鎖される(上記のように、第2のポート部材414は、移液用のスパイクまたは針を除去したら、自動的に閉鎖する隔壁を含むことができる)。この時点で、図58に示すように、介護者は再構成された物質を個体の循環系に移送するために、図58に示すように、第3のポート部材416を投与セット466に連結する。投与セット466は、図16または図32を参照して上記した方法と同じ方法で静脈に挿入するための採血針468を備える。再構成された物質を個体の循環系に投与する際には、可撓性の側壁部材404が、容器402の圧潰を容易にする。
【0222】
図60に示す実施形態では、再構成された物質は、当初再構成液を収納していたコンテナー464から投与される。かかる構成形態では、混合後、再構成された物質は、凍結乾燥物質貯蔵アセンブリ428(または容器402)から再構成液コンテナー464に、最終的に移送される。かかる構成形態では、混合に用いられた投与セット462は、再構成液コンテナー464から外され、関連するポート470は閉鎖される。この時点で、図60に示すように、介護者は再構成された物質を個体の循環系に移送するために、図60に示すように、再構成液コンテナー464上の別のポート472を投与セット466と連結する。投与セット466は、図16または図32を参照して上記した方法と同じ方法で静脈に挿入するための採血針468を備える。
【0223】
VII.血漿を凍結乾燥、貯蔵、および投与するためのデバイスおよびシステムに関するさらなる実施形態
図61〜71は、凍結乾燥コンテナーおよびプロセスに関する別の実施形態を表し、同コンテナーおよびプロセスは、再構成された血漿を個体に移送するために用いられるコンテナー内で、液状の血漿を直接凍結乾燥可能にし、当該コンテナーは、凍結乾燥プロセス中、ガス透過性バッグまたは膜内に配置されない。すなわち、血漿を収納する当該コンテナーは、凍結乾燥プロセス中、ガス透過性膜と流通した状態にあるが、凍結乾燥プロセス中、ガス透過性バッグ内に配置される必要はない。
【0224】
血漿を凍結乾燥する多くのプロセスは、血漿を凍結乾燥単位内に配置する必要があり、通常、第1のコンテナー中に血漿を収納し、次いで当該第1のコンテナーを微多孔性PTFEまたはHDPE膜からなるガス透過性バッグ内に配置する。凍結乾燥後、ガス透過性膜のバッグは廃棄され、そして凍結乾燥血漿は、医者等のエンドユーザーが使用可能なコンテナーに移されるが、かかるコンテナーは、好ましくは、医師等が通常使用する血液バッグに類似するものである。かかるプロセスの問題は、ガス透過性バッグが膨張すると、透過性バッグが凍結乾燥中に熱伝達表面から引き離されてしまう可能性があることであり、これは最適な凍結乾燥よりも劣る結果となり得る。下記プロセスは、かかる問題を最小限に抑えることができる。
【0225】
図61は、血漿を凍結乾燥し、貯蔵し、および個体に送達するための、ただし当該凍結乾燥血漿を別のコンテナーまたはシステムに移す必要がない、システム500を表している。システム500は、一般的に、第1の押し潰し可能なコンテナー502、および一般的に微多孔性PTFE膜材料(例えば、Gore−Tex(商標))または微多孔性HDPE膜(例えば、Tyvek(商標))であり得る膜材料506を含む第2のコンテナー504を備える。第2のコンテナー502は、押し潰し可能であってもなくてもよい。第1のコンテナー502および第2のコンテナー504は、開放した第1の末端部510を有するチューブ508により連結されており、チューブ508は、凍結乾燥プロセス中に、ガスが第1のコンテナー502から第2のコンテナー504に移動するのを可能にする。チューブ508は、任意の直径であってよいが、好ましくは約1〜2cmの直径を有する。またチューブ508は任意の長さであってもよいが、ただし、図66A〜69について以下で論じたように、チューブ508は、はさみ込み、閉鎖、密閉、および分断可能なように十分長い必要がある。
【0226】
なおも図61を参照すると、第2の押し潰し可能なコンテナー504も、開放した第1の末端部510を受容する開口部512を有する。通常、システム500は、組立て式デバイスとして供され、またシステムは、最も具体的には滅菌性の問題から、組立て式デバイスとして供されるのが好ましい。しかし、組立てが必要な場合には、開口部512が、開放した第1の末端部510の周囲で密閉されるように、第2の押し潰し可能なコンテナー504にヒートシールを適用して、図63に示す組立て済みのシステム500を供するのが好ましい。チューブ508は、次に、第1の押し潰し可能なコンテナー502から第2の押し潰し可能なコンテナー504に通ずる開放した気体またはガス流路514を提供することに留意されたい。チューブ508は、第1のコンテナー502と一体的に形成されてよく、または第2のコンテナー504がチューブ508に連結される方式と同様の方式で、第1のコンテナー502に連結され得る分離した要素であってもよい。
【0227】
図62は、空のアセンブリ500を表す。凍結乾燥プロセス中に炭酸が、一般的には二酸化炭素(CO)の形態で除去されるので、実際の再構成血漿のpHは上昇する、すなわち望ましいpHよりも高い。したがって、第1のコンテナー502に血漿を添加する前にpH調整溶液を添加するステップ、または凍結乾燥中にCOを再充填するステップのいずれかによって、アセンブリ500内のpHを調節する必要があり得る。図62は、血漿を添加する前に、アセンブリ500にpH調整溶液が導入されるステップを示す。無菌の調整溶液用ポート515は、好ましくはスパイク接続であり、第1のコンテナー502に取り付けられており、pH調整溶液の無菌的添加を可能にする。好ましい調整溶液として、酸類(アスコルビン酸等)、またはバッファー溶液が挙げられる。所望量のバッファー溶液がアセンブリに添加されたら、溶液用ポート515は密封閉鎖され、好ましくは、溶液用ポート515はヒートシールされる。
【0228】
図63は、調整溶液が第1のコンテナー502に添加された後のアセンブリ500を表す。記載したように、溶液用ポート515は密閉閉鎖される。液状の血漿は、次に第1のコンテナー502に、無菌方式の血漿添加用ポート517を経由して添加される。事前決定された血漿の容積または重量が第1のコンテナー502に添加されたら、ポート517は閉鎖、密閉され、好ましくはヒートシールされる。
【0229】
図64は、液状の血漿で満たされ、ポート515および517が密閉されたアセンブリ500を表している。第1の押し潰し可能なコンテナー502が、事前決定された量の液状の血漿16で満たされたら、システム500は、凍結乾燥プロセスで処理される。図65に示すように、1つまたは複数のデバイス500は、第1の押し潰し可能なコンテナー502のそれぞれが液状の血漿で満たされた状態で、凍結乾燥機320内に、無菌の凍結乾燥機棚表面322に乗せられて配置される。アセンブリ500は、図66A〜69Bでさらに論じた、再使用可能なストッパー機構内に配置されるが、同機構は、第1のコンテナー502および熱伝導性膜506と、棚表面322との間の接触を可能にし、これを制限しない。再使用可能な機構は、乾燥サイクルの終わりに凍結乾燥機の機構が作動したときに、連結チューブ508をはさみ込み方式で閉鎖するように設計されている。凍結乾燥に用いられる凍結乾燥機452は、妥当性確認済みの定置洗浄(CIP)、定置蒸気滅菌(SIP)が施された凍結乾燥機であり得るが、記載したアセンブリの閉鎖システムは、非CIP/非SIP凍結乾燥環境での操作を可能にする。積載したら、凍結乾燥サイクルが開始する。このサイクルは、一般的にヒト血漿を−45℃近くまで冷却し、2〜8時間凍結し、これに続いて凍結乾燥機の凝縮器を冷却し、そして真空状態にして凍結乾燥サイクルを開始する。凍結乾燥プロセス中に、第1の押し潰し可能なコンテナー502が、熱伝導表面322と十分な接触状態に留まるのを保証するために、第1の押し潰し可能なコンテナー502は、内部支持構造(図示せず)を備えることができ、および/またはコンテナー502は、これまで用いられてきたものよりも厚い、弾力性のある材料から製造され得る。その結果、凍結乾燥ヒト血漿は、第1の押し潰し可能なコンテナー502中において、in situで形成される(図66を参照)。
【0230】
凍結乾燥プロセスに関する代表的なパラメータはすでに記載されており、本明細書において参考として援用される。
【0231】
全凍結乾燥プロセスを通じて、第2の押し潰し可能なコンテナー502上に位置するガス透過性膜506は、ガス、例えば凍結乾燥中に、水が液状血漿から昇華するときの水蒸気の通過を容易にするが、そうでない場合には、第1の押し潰し可能なコンテナー502から液状血漿が漏出するのを防ぐ。第2の押し潰し可能なコンテナー504は、第1の押し潰し可能なコンテナー502と凍結乾燥機の棚322との接触に影響を及ぼさずに、またはこれを変化させずに膨張または圧迫可能である。コンテナー502は、コンテナー502上に直接位置する半多孔性膜506を有さず、これにより、再構成または投与するために、凍結乾燥血漿を第1のコンテナー502から別のコンテナーに移送させることなく、再構成された血漿を投与する間、永久的で気密性のシールをコンテナー502にもたらす。こうすることで、滅菌性の保証を高めることができる。
【0232】
コンテナー502も真空パック可能で、第1の押し潰し可能なコンテナー502がなおも真空状態にある間(図66)、図67A〜69Bの実施例で示すような密閉機構を利用することができ、その結果、非常に密封性の高い装填が施されたコンテナーが得られる。真空乾燥プロセスの終わりに、凍結乾燥機の内部がまだ真空状態のときに、ストッパー機構がチューブ508を閉鎖し、または凍結乾燥機の内部の真空が不活性ガス、CO、またはその両方の組合せにより破られた後に、ストッパー機構はチューブ508を閉鎖する。
【0233】
凍結乾燥プロセスが終了したら、システム500は、凍結乾燥機から取り出され、第2の押し潰し可能なコンテナー504は、チューブ508および液体流路514の密閉性を保証するような方法で、第1の押し潰し可能なコンテナー502から取り外される。図66A〜69は、システム500が凍結乾燥プロセスを経た後に、チューブ508を密閉および閉鎖するための様々な方法およびデバイスを表し、各プロセスは、第1の押し潰し可能なコンテナー502に永久的で気密性のある密閉性を付与する。アセンブリ500は、第1のコンテナー502、第2のコンテナー504、およびチューブ508がなおも接続された状態で、望ましい閉鎖機構がチューブに取り付けられたままで、またコンテナー502と504との間で積極的な閉鎖(positive closure)を維持しながら、凍結乾燥機から取り出されることに留意されたい。
【0234】
図66Aは、はさみ込み点機構530を受容する構成のチューブ508の断面図を示す。はさみ込み点機構530は、一般的にはさみ込み部材532、およびはさみ込み部材532を受容する表面536を有するはさみ込み部534を備える。表面536は、はさみ込みプロセスを緩和するために、機構530の残りの部分よりも柔らかい材料であってもよい。
【0235】
図66Bは、チューブ508を押し上げてはさみ込み、チューブ508および液体流路530を密閉閉鎖する機構530を示す。機構530が定位置で固定されると、チューブ508は、図70に示すようにヒートシールされ、分断されて、コンテナー502の気密密閉性をさらに保証する。
【0236】
図67Aは、チューブ508をはさみ込み、密閉するための別の機構540を示す。機構540は、一般的に、はさみ込み部材542およびヒンジ部材544を備える。ヒンジ部材544は、2つのアーム546を有し、ヒンジ548により枢動可能に接続されている。ローリング部材550は、機構540を支持するようにアーム546に沿って配置されて、チューブ508に高い密閉性をもたらす。
【0237】
図67Bに示すように、はさみ込み部材542は、チューブ508に向かって下向きに力が加えられてヒンジ部材544に収まる。アーム546は、上向きに旋回し、その際ローリング部材550は両アームが互いの側に向かって内側に移動するのを補助し、これにより必要な密閉性を付与する。チューブ508は、次に図69で論じたようにさらにヒートシールで処理可能である。
【0238】
図68Aは、第1の押し潰し可能なコンテナー502、およびチューブ508の密閉に用いられる別のはさみ込み機構560を表す。チューブ508は、はさみ込まれる際に、自身の上に折り畳まれ、より容易なはさみ込みプロセスが実現可能となる。はさみ込み機構560は、一般的に、固定された部分562、および可動部分564、およびガイド部材566を含むラチェット機構を形成する。
【0239】
図68Bに示すように、可動部分564は、下方向に固定された部分562に向かって移動し、その際ガイド部材566は可動部分564を補助し、そしてチューブ508を閉鎖する。他のよく知られたはさみ込み機構および密閉機構と同様に、チューブ508は、次に図69で論じたようにさらにヒートシールで処理可能である。図68A〜68Bで論じたようなラチェット機構は、図66A〜Bおよび図67A〜Bでそれぞれ論じたように、チューブ508に必要な気密密閉性を付与するために、はさみ込み機構530および540に組み込むことも可能であることに留意されたい。
【0240】
第1の押し潰し可能なコンテナー502は、第2の押し潰し可能なコンテナー504および第2のコンテナー504によって支持された透過性膜506とは独立に成形され、形成されることに留意されたい。逆に、第2のコンテナー504および透過性膜506の設計も変更可能である。図71および図72は、システム500に関する別の実施形態を示し、第2の押し潰し可能なコンテナーは用いられておらず、チューブ508は直に透過性膜570に連結している(図71)、またはチューブ508はフィルター572と接合している(図72)が、当該フィルターは、当技術分野で公知の市販フィルターであり得る。例えば、フィルター媒体は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオリド、またはポリテトラフルオロエチレン材料等の疎水性ポリマーを含むことができる。透過性膜570が、膜506および凍結乾燥プロセスで論じた従前の膜と類似の働きをし、図67A〜69Bで論じた第1の押し潰し可能なコンテナー502から分断可能となるように、透過性膜570は、チューブ508またはフィルター572の周囲で、好ましくはヒートシールにより密閉される。
【0241】
図70は、凍結乾燥および密閉プロセス後の、血漿で満たされた第1の押し潰し可能なコンテナー502を示す。押し潰し可能なコンテナー502は、最低または低水蒸気透過率(MVTR)で設計されたパウチ580内に貯蔵可能である。当該パウチは、貯蔵中に、乾燥した血漿を水および酸素に晒すことから保護するのに役立てるように、酸素吸収剤582および吸水剤584も有することができる。一般的に、これまでに図示し論じたように、投与用ポート518は、再構成された血漿を個体に送達するために、第1の押し潰し可能なコンテナー502上に位置する(例えば、図16、32、および60を参照)。投与用ポート518は、好ましくは典型的な血液バッグスパイク520を備えた、標準血液バッグの無菌接続構成を有する。ポート518は、コンテナー502が個体に投与されるまでは密閉されている。図31および図60で同様に論じたように、第1の押し潰し可能なコンテナー502は、再構成用ポート522をさらに保持し、やはり好ましくはコンテナー502を液体コンテナーに接続するための標準血液バッグの無菌接続構成を有する。
【0242】
遠隔位置で使用する際には(図73を参照)、移液セット462は、滅菌再構成液(例えば水)のコンテナー464および第1の押し潰し可能なコンテナー502に連結される。移液セット462は、例えば図30に示すような連結を形成するために、プラスチック製の針またはスパイクを各末端部に備えることができる。移液セット462は、長尺および可撓性であり得る(図57でこれまでに示す通り)。あるいは、移送セット462は、貯蔵スペースを低減し取扱いを単純化するために、短尺および剛性であり得る。
【0243】
個体への投与を準備する段階において、ここで介護者は、再構成液をコンテナー464から移送して第1の押し潰し可能なコンテナー502内の凍結乾燥物質と接触させるステップ、第1の押し潰し可能なコンテナー502内で、再構成液206と当該凍結乾燥物質とを混合するステップへと、コンテナー464の操作を進めることができる。
【0244】
図73および74は、第1の押し潰し可能なコンテナー502が、当業界において公知であり、また使用されている典型的な血液バッグと外観が類似しており、これにより、再構成された血漿を投与するための、介護者にとってなじみのあるコンテナーが提供されることを示している。図73では、再構成された物質は、凍結乾燥前に液状の血漿が当初収納され、次にこれに引き続いて、凍結乾燥後には凍結乾燥された血漿を収納する第1の押し潰し可能なコンテナー502から投与される。混合に用いられる投与セット462上に位置するピンチバルブ574は閉鎖しており、これにより関連ポート470から液がさらに移送されるのを防ぐ。投与セット462は、次に分断され密閉される。この時点で、図74に示すように、介護者は、再構成された物質を個体の体循環に移送するために、第1の押し潰し可能なコンテナー502上の投与用ポート522を、投与セット466と図74に示すように連結する。投与セット466は、図16、32、または60を参照しながら上記した方法と同様の方法で、静脈内に挿入するための採血針468を備える。
【0245】
VIII.結び
上記事項は、本発明の原理についてのみ例示したものと見なされる。さらに、非常に多くの修正および変更が、当技術分野の熟練者には容易に思い付くはずなので、本発明を図示および記載した通りの構成および操作に限定することは本望ではない。好適な実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲によって定義される本発明から逸脱することなく、詳細を変更することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体物質を凍結乾燥するための装置であって、
第1の押し潰し可能なコンテナーと、
該第1の押し潰し可能な材料に連結するチューブと、
流体密封性の、該チューブと気体流通状態にある透過性の膜であって、該膜は、該第1の押し潰し可能なコンテナーと分離している、透過性の膜と
を備える装置。
【請求項2】
前記チューブに連結した第2のコンテナーであって、該第2のコンテナーは、前記透過性の膜を支持する第2のコンテナー
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のコンテナーが可撓性である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
液体を受容するための流体吸入用ポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記流体吸入用ポートが、前記第1の押し潰し可能なバッグ上に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記流体吸入用ポートが、前記チューブ上に位置する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の押し潰し可能なコンテナー上に位置する投与用ポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の押し潰し可能なコンテナー上に位置する再構成用ポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記透過性の膜が、PTFE材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記透過性の膜が、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオリド、またはポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記液体が血漿を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の押し潰し可能なコンテナー上に位置する、pH調整溶液を受容するためのポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の押し潰し可能なコンテナー上に位置する、再構成液を受容するためのポートをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の押し潰し可能なコンテナーを貯蔵するためのパウチをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記パウチが、低水蒸気透過率(MVTR)の材料をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記パウチ内に位置する酸素吸収剤をさらに含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記パウチ内に位置する吸水剤をさらに含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
液体を凍結乾燥する方法であって、
液体を受容するための装置を提供するステップであって、
該装置が、
第1の可撓性のコンテナーと、
該第1の可撓性のコンテナーに連結するチューブと、
該チューブと接続された透過性の膜であって、該膜は、該第1の可撓性のコンテナーと分離している、透過性の膜と、
該液体を受容するための第1の液体用ポートと、
pH調整溶液を受容するための第2の液体用ポートと
を備える、ステップと、
該第1の可撓性のコンテナーに該液体を充填するステップと、
該第1の可撓性のコンテナー内の該液体を凍結乾燥するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の可撓性のコンテナーを真空包装するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記液体がヒト血漿を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
液体を受容するための装置を提供するステップであって、
該装置が、
第1の可撓性のコンテナーと、
該可撓性のコンテナーに連結するチューブと、
該チューブと接続された、分離している透過性の膜と、
該液体を導入するための液体用ポートと、
pH調整溶液を導入するための第2の液体用ポートと、
投与用ポートと、
再構成用ポートと
を備える、ステップと、
該液体用ポートを経由して、液体を該装置内に導入するステップと、
凍結乾燥プロセス中に、該第1の可撓性のコンテナー内の該液体を凍結乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項22】
前記液体を凍結乾燥した後に、前記チューブを永久的に密閉するステップと、
前記透過性の膜を前記装置から除去するステップと
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記密閉するステップが、
凍結乾燥中に、前記チューブをはさみ込み閉鎖するためのデバイスを提供するステップと、
該チューブをはさみ込み閉鎖するステップと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記密閉するステップが、前記チューブをヒートシールするステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記密閉するステップが、前記チューブをヒートシールするステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のコンテナーを真空包装するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記装置が、前記透過性の膜を支持する第2の押し潰し可能なコンテナーをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記液体を凍結乾燥した後に、前記装置から前記第2の押し潰し可能なコンテナーを除去するステップと、
前記チューブを密閉するステップと
をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記再構成用ポートを液体供給源に接続するステップと、
凍結乾燥血漿を再構成するステップと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
再構成された生成物を、前記第1の押し潰し可能なコンテナーから、前記投与用ポートを経由して受容者に直接投与するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記液体が血漿を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の可撓性のコンテナーを、低水蒸気透過率(MVTR)の材料を含むパウチ内に貯蔵するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記パウチに酸素吸収剤を提供するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記パウチに吸水剤を提供するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−11】
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【図12】
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【図13−14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図39C】
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【図39D】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66A】
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【図66B】
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【図67A】
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【図67B】
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【図68A】
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【図68B】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【公表番号】特表2012−500041(P2012−500041A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522983(P2011−522983)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/004592
【国際公開番号】WO2010/019217
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(506211517)ヘムコン メディカル テクノロジーズ, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】