説明

処理されていない水酸化アルミニウムを充填剤として含むシリコーンゴム組成物

【課題】処理されていない水酸化アルミニウムを含有するシリコーンゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)式(1)RSiO(4−a−b)/2の少なくとも1のジオルガノポリシロキサン100質量部、(B)比表面積50〜400m/g、SiO4/2単位のQ4が少なくとも80%の高分散性シリカ1〜100質量部、(C)比表面積0.1〜20m/g、平均粒径0.05〜20μmの表面改質化なしの少なくとも1の水酸化アルミニウム粉末50〜300質量部、(D)架橋剤(有機過酸化物および/またはヒドロペルオキシドあるいは式(2)RSiO(4−c−d)/2のオルガノ水素ポリシロキサンと少なくとも1の遷移金属を含有するヒドロシリル化触媒との組合せ物から選択)を含有するシリコーンゴム組成物により解決された(式中は明細書中に示す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物に関する。特に本発明は、付加架橋または過酸化物架橋されたシリコーンゴム組成物に関し、この場合、これらは、水酸化アルミニウムを充填剤として含有し、その際、処理されていない水酸化アルミニウムを使用するものである。
【背景技術】
【0002】
さらにアルミニウム三水和物(ATH)としても知られている水酸化アルミニウムは、化学量論的に定義された、結晶性の水酸化アルミニウムであり、この場合、これらは、塩基をアルミニウム塩溶液に添加することによる沈殿物またはボーキサイトから得ることができるか、あるいは、酸化アルミニウム水和物は、工業的にはしばしばアルミナ水和物と呼称され、この場合、これらはAl・HOまたはAl・3HOの組成を有することからオキシドハイドレートとして知られており、かつ鉱物アルミニウム前駆体、たとえばボーキサイトまたはアルモゲルから、非晶質の成分として得ることができる。
【0003】
水酸化アルミニウム粉末を含有するシリコーンゴム組成物は、すでに公知である。さらに、このような組成物は、硬化剤によって、場合によっては加熱下で、シリコーンゴムに硬化させる。硬化剤は、たとえば、過酸化物または遷移金属含有ヒドロシリル化触媒とメチル水素シロキシ基含有オルガノシロキサンとの組み合わせ物である。十分な量の水酸化アルミニウム粉末をシリコーンゴム組成物中に添加することによって、高圧がいしとしての使用に必要不可欠な架橋ゴムの共通の性質、たとえば、アーク抵抗性および漏れ抵抗性が、著しく改善されることは当業者に公知である。さらに、多くの酸化アルミニウムを含有するようになるにつれて、架橋されていない組成物の加工特性および架橋されたゴムの機械的特性が悪化することは当業者に公知である。しかしながら、高圧がいしとしての使用、特に自由空気での使用の際には、架橋されたゴムは十分な機械的耐性を示すものでなくてはならず、それというのも、たとえば風および天候の影響によって、さらに鳥の被害による、連続的な機械的負荷を受けるためである。
【0004】
技術水準では、水酸化アルミニウムを含有するシリコーンゴム組成物は、組成物またはゴムの種々の目的、たとえば、架橋されていない組成物の加工特性および耐久性、架橋ゴムの誘電性さらには機械的性質を改善させる目的のために、これらの表面を、たとえば、シラン、シラザンまたはシロキサンで処理している。
【0005】
さらに、US3965065B1では、硬化可能なオルガノポリシロキン組成物中での水酸化アルミニウムの使用は、特にアーク抵抗性を改善させることが記載されている。しかしながら、この抵抗性は、材料が一定の時間、湿分下にさらされる場合には、著しく劣化する。水酸化アルミニウムと硬化可能なオルガノシロキサンとの混合物を、少なくとも30分に亘って、100℃で加熱することによって、改善された電気的特性を有するエラストマーが得られる、改善されたエラストマー形成組成物を製造するための方法が記載されている。
【0006】
表面処理された水酸化アルミニウムの使用は、すでに1970年代から知られている。US4217466B1では、がいしが記載されており、そのスクリーンは、シリコーンエラストマーから構成されており、この場合、これは、表面処理された水酸化アルミニウムを充填剤として含有するものである。好ましい処理剤としては、たとえばビニルシランである。
【0007】
US5691407B1では、付加架橋されたシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、表面処理された酸化アルミニウムを含有するものである。表面処理剤として、シランまたはシラザン、チタン化合物またはポリシロキサンを使用することができる。表面処理された水酸化アルミニウムの使用は、高圧がいしにおける使用の際の、シリコーンゴムの電気的性質を改善するものである。表面処理された水酸化アルミニウムの使用は好ましいが、それも処理されていない水酸化アルミニウムを、ヘキサメチルジシランとの組み合わせ物で使用することが好ましい。
【0008】
EP0787772B1では、硬化可能なシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、表面処理された水酸化アルミニウムを含有するが、しかしながら他の補強充填剤を用いることなく、にもかかわらず良好な機械的耐性および電気的性質を示すものである。硬化剤は過酸化物である。良好な機械的性質は、本質的に、水酸化アルミニウム粉末を、アルキル基およびアルコキシ基またはヒドロキシ基を有するシランまたはシロキサン、たとえばビニルトリメトキシシランまたはSiOHまたはSi−OR末端基を有するビニル含有オルガノシランで処理することによって達成される。その際、水酸化アルミニウム粉末を、薬剤で予め処理するか、あるいは、処理をin situで、シリコーンゴム組成物の製造の際におこなってもよい。比較例として、処理されていない水酸化アルミニウムを充填剤として使用した場合には、著しく劣悪な破断抵抗性および他の破断抵抗性を示した。水酸化アルミニウムを前記により処理する場合に、150部の水酸化アルミニウム粉末を100部のポリジオルガノシランに対して含有するゴムは、5.1MPaの破断抵抗性(Reissfestigkeit)および13N/mmの引裂抵抗性(Weiterreisswiderstaende)を有し、かつ、処理されていない水酸化アルミニウムを用いた場合には、1.7MPaの破断抵抗性および8N/mmの引裂抵抗性を有する。
【0009】
EP0808868B2では、硬化可能なシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、オルガノシランまたはオルガノシラザンで表面処理された水酸化アルミニウム粉末を含有するものである。その際、シランまたはシラザンは、さらにアルケニル基を含有するものであってもよく、たとえばビニルトリメトキシシランまたはテトラメチル−ジビニル−ジシラザンであってもよい。この硬化剤は、たとえば過酸化物またはヒドロシリル化触媒とSi−H基含有ポリオルガノシロキサンとから成る組み合わせ物であってもよい。さらに、EP0808868B2では、常用の水酸化アルミニウムを含有するシリコーンゴム組成物は、安定ではないことが記載されており、それというのも、この水酸化アルミニウムが水を吸着し、それによって電気的性質が劣化するためである。水酸化アルミニウム粉末のオルガノシランまたはオルガノシラザンでの処理は、良好な耐水性および良好な電気的特性を達成するために必須であると記載されている。
【0010】
EP0801111B1では、熱的に硬化可能なシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、ポルオルガノシロキサン、二酸化ケイ素粉末、水酸化アルミニウム粉末、ベンゾトリアゾール、白金化合物と3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールとの反応生成物および過酸化物を含有する。このような組成物は、100質量部のポリオルガノシロキサンに対して1.0〜50質量部の水酸化アルミニウムを含有するものであって、白金化合物のみを含有するか、あるいは、たとえば二酸化チタンとの組み合わせ物の形で白金化合物を含有する組成物と比較して、改善された耐燃性および電気的性質を示す。
【0011】
さらにEP0808875B1では、良好な耐燃性を有するシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、水酸化アルミニウムおよび白金化合物を含有していてもよく、その際、組成物は、硬化前であっても、良好に加工するために十分な流動性を有していてもよい。これらの組成物は、ポリオルガノシロキサン、熱分解法シリカ、表面処理された炭酸亜鉛、Si−H基含有ポリオルガノシロキサンおよび白金触媒を含有する。場合により水酸化アルミニウムおよび他の白金化合物を添加する。水酸化アルミニウムが使用される場合には、これらは表面処理されているものである。
【0012】
さらに、炭酸亜鉛および水酸化アルミニウムの表面処理は、本発明の目的を達成するために重要である。
【0013】
US5668205B1では、付加架橋されたシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、水酸化アルミニウムを含有しており、かつ付加的に電気的性質を改善するために、トリメチルシリル末端ジメチルポリシロキサンを含有している。さらに水酸化アルミニウムを含有する過酸化シリコーンゴム組成物が記載されており、その際、オルガノポリシロキサンの大部分は、トリビニル−またはジビニルシリル末端基を有し、かつ場合によっては、不飽和基不含のポリシロキサンであってもよい。このような組成物は、射出成形で加工されてもよく、かつシリコーンゴムに硬化し、改善された電気的性質を示し、特に、この組成物から製造されたがいしは、使用する際に、環境における高い空気汚染を示す。この水酸化アルミニウムは未処理であるか、または表面処理されていてもよい。このようなジ−またはトリビニル末端基を含有するポリマーは、シリコーン化学において、常用されている材料ではない。これらの製造は高価であり、費用がかかるために、使用は好ましくない。
【0014】
US6063487B1では、水酸化アルミニウムを含有する、付加架橋または過酸化物架橋されたシリコーンゴム組成物が記載されており、その際、水酸化アルミニウムは、水溶性ナトリウムイオンを0.01質量%までの含量で有し、pH値は6.5〜8.0であり、かつ電気伝導率が50μS/cmであり、この場合、これらは、水中の30質量%懸濁液として測定される。これらの組成物から製造された絶縁体は、改善された電気的特性および低い吸水性を示す。良好な結果は、水酸化アルミニウムが表面処理によって疎水化される場合に達成される。
【0015】
US5977216B1では、水酸化アルミニウム自体は補強特性を有しないことが記載している。しかしながら、望ましい電気的特性を達成するためには、シリコーンゴム組成物中での水酸化アルミニウムの極めて高い充填度は必要不可欠であることから、結果として、低い機械的安定性を有するシリコーンゴムが得られる。硬化可能なシリコーンゴム組成物は、ビニルシラザン、たとえばテトラメチルジビニルシラザン、またはビニルアルコキシシラン、たとえばビニルトリメトキシシラン等で処理された水酸化アルミニウムを含有しており、この場合、これらは、表面上で、水酸化アルミニウム1gに対して1×10−6〜2×10−4モルのビニル基が存在する。このような、ビニル基で改質化された水酸化アルミニウムを用いることによって補強性を有するようになりものの、高い充填度にもかかわらず、ゴムの強度は許容できるものではない。表面処理された水酸化アルミニウムを有するゴムの破断抵抗は、実施例において、45〜58kgf/cm(4.41〜5.69N/mmに相当する)であり、水酸化アルミニウム処理されていないゴムの例の場合には18〜25kgf/cm(1.76〜2.45N/mm)を示す。
【0016】
EP0928008A2では、高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物が記載されており、その際、水酸化アルミニウムはin situで表面処理されているものである。組成物を製造する際に、処理されていない水酸化アルミニウムを、オルガノシラン結合剤を組み合わせて使用する。これによって、水酸化アルミニウム表面が疎水化され、水酸化アルミニウムとポリシランとの相互作用を改善させ、さらには、水酸化アルミニウムの分散性および補強性を改善させる。
【0017】
US6106954B1では、付加架橋されたオルガノポリシロキサン組成物が記載されており、この場合、これらは、表面処理された水酸化アルミニウムを含有するものであり、その際、処理剤はオルガノシランまたはオルガノシラザンであり(またはこれらの部分加水分解産物)、これらは不飽和基不含のものである。水酸化アルミニウムは、シリコーンゴム中での絶縁特性を改善するために使用される。それというのも、水酸化アルミニウムは吸湿性であるためであり、湿性環境下でシリコーンゴムはその絶縁特性を失う。前記のように表面処理された水酸化アルミニウムを使用することによって、湿性条件下であっても、シリコーンゴムはその絶縁特性を維持する。
【0018】
EP1037946B1では、付加架橋されたシリコーンゴム組成物が記載されており、この場合、これらは、水酸化アルミニウムおよび他の金属酸化物として酸化亜鉛ならびに場合によっては二酸化チタンを含有する。これらの組成物を用いた場合には、この出願において記載された技術水準における欠点、たとえば低い貯蔵性および低いクリープ抵抗性を回避することができる。この水酸化アルミニウムは、好ましくはin situで、オルガノシラザンによって表面処理されるものである。
【0019】
特に技術水準から、表面処理された水酸化アルミニウム粉末を使用する場合には、一連の利点、たとえば、架橋されていない組成物の加工性および安定性、架橋されたゴムの機械的特性および誘電特性、少ない吸水性がもたらされる。しかしながら、このような組成物の重大な欠点は、水酸化アルミニウム粉末の表面処理に、付加的なコストがかかること、それに伴って高い製造費用が必要となることである。水酸化アルミニウム粉末の表面処理は、好ましくは処理剤、たとえばシランを用いて実施されるが、このような処理剤は、健康に有害であるかまたは毒性であると評価されるものであるか、あるいは、加工において毒性の物質を放出しうるものである。したがって、相当する安全性の尺度が要求される。以上のことから、処理されていない水酸化アルミニウムを用いてシリコーンゴム組成物を製造する際に、これらの組成物が、技術水準において示された表面処理された水酸化アルミニウムを有する組成物と同様の良好な性質示すものであることは、有利である。
【0020】
驚くべきことに、適したシリコーンゴム組成物が表面処理されていない水酸化アルミニウムを使用する場合に、この組成物が架橋されていない状態であるにもかかわらず、良好な貯蔵安定性を示し、かつ架橋されたシリコーンゴムである場合にもかかわらず、高圧がいしに必要不可欠な誘電性試験の高い要求を満たすことが見いだされた。これに関連して、さらに処理されていない水酸化アルミニウムを、架橋されたゴムに使用する場合には、少なくとも100%の破断点の伸び、少なくとも2N/mmの破断抵抗および少なくとも10N/mmの引裂抵抗を達成する。
【特許文献1】US3965065B1
【特許文献2】US4217466B1
【特許文献3】US5691407B1
【特許文献4】EP0787772B1
【特許文献5】EP0808868B2
【特許文献6】EP0801111B1
【特許文献7】EP0808875B1
【特許文献8】US5668205B1
【特許文献9】US6063487B1
【特許文献10】US5977216B1
【特許文献11】EP0928008A2
【特許文献12】US6106954B1
【特許文献13】EP1037946B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
前記欠点を有しない、処理されていない水酸化アルミニウムを含有する、高圧がいしのためのシリコーン組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の課題は以下のようにして解決された。
【0023】
本発明の対象は、高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物であり、この場合、これらは
(A)一般式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
[式中、Rは非置換またはハロゲン置換された、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和基を有しないものであり、
は非置換またはハロゲン置換された一価炭化水素基であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和炭化水素であって、それぞれ分子が平均して少なくとも2個の、ケイ素原子と結合した不飽和基を有するものであり、かつ、
a、bは互いに独立して正数を示すが、但し、1≦a<3、0≦b<1および1<a+b≦3である]を有する、少なくとも1のジオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET法により測定された比表面積50〜400m/gを有し、かつQ4、Q3およびQ2の合計に対して、SiO4/2単位のQ4の割合が少なくとも80%である高分散性シリカ (A)100質量部に対して1〜100質量部、
(C)BET法により測定された比表面積0.1〜20m/gおよび平均粒径0.05〜20μmを有する、前処理工程による表面改質化がなされていない、少なくとも1の水酸化アルミニウム粉末 (A)100質量部に対して、50〜300質量部、
(D)組成物を硬化させるのに十分な量も架橋剤、この場合、これらの架橋剤は、有機過酸化物、ヒドロペルオキシドまたはこれらの種々の有機過酸化物またはヒドロペルオキシドの混合物であるか、あるいは、
一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であって、この場合、これらは脂肪族不飽和炭化水素ではないが、それぞれの分子に対して、平均して少なくとも3個のケイ素原子と結合した水素原子を有し、かつ、
c、dは互いに独立して正数を示すが、但し、1≦c<3、0<d≦1であり、かつ、1<c+d≦3である]を有するオルガノ水素ポリシロキサンと、少なくとも1の遷移金属を含有するヒドロシリル化触媒との組み合わせ物、
から成る基から選択されるものである、
を含有し、その際、架橋されたゴムは、少なくとも100%の破断点の伸び、少なくとも2N/mmの破断抵抗ならびに少なくとも10N/mmの引裂抵抗を示す。
【0024】
本発明によるシリコーンゴム組成物の構成部分(A)は、一般式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
[式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、この場合、これらは脂肪族不飽和基を有しない。Rは、置換または非置換の一価の炭化水素基であり、この場合、これらは脂肪族不飽和炭化水素基であり、それぞれの分子に対して、平均して少なくとも2個のケイ素原子含有不飽和基を有するものである。aおよびbは正数を示すが、但し、式1≦a<3、0<b≦1および1<a+b≦3を満たすものである]のジオルガノポリシロキサンまたはジオルガノポリシロキサンの混合物である。
【0025】
特に好ましくは、Rは一価の、脂肪族炭素−炭素−多重結合を含有することのない、SiC−結合され、場合によっては置換された、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基を意味する。
【0026】
基Rに対する例は、アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル−、1−n−ブチル−、2−n−ブチル−、イソ−ブチル−、tert.−ブチル−、n−ペンチル−、イソ−ペンチル−、ネオ−ペンチル−、tert.−ペンチル基、ヘキシル基、たとえばn−へキシル基、ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基、オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソオクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、たとえばN−ノニル基、デシル基、たとえばn−デシル基、ドデシル基、たとえばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、たとえばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル−、シクロヘキシル−、シクロヘプチル−およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、たとえばフェニル−、ナフチル−、アントリル−およびフェナントレル基;アルカリール基、たとえばo−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアルアルキル基、たとえばベンジル基、α−およびβ−フェビルエチル基である。
【0027】
置換された基Rの例としてはハロゲンアルキル基、たとえば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲンアリール基、たとえばo−、m−およびp−クロロフェニル基、ならびに、Rに関して前記に示されたすべての基であって、好ましくメルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソ−シアネート基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基およびハロゲン基で置換されていてもよいものである。
【0028】
好ましくは、基Rは、1〜6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、その際、特に好ましくはメチル基である。
【0029】
は、好ましくは、脂肪族炭素−炭素−多重結合を有するSiC−結合された、一価の炭化水素基を意味する。
【0030】
の例としてはアルケニル基、たとえばビニル−、5−ヘキセニル、シクロヘキセニル−、1−プロペニル−、アリル−、3−ブテニル−、および4−ペンテニル基、およびアルキニル基、たとえばエチニル−、プロパルギル−、および1−プロピニル基である。
【0031】
好ましくは、Rはアルケニル基であり、その際、特に好ましくはビニル基である。
【0032】
好ましい実施態様において、Rはメチル基であり、かつRはビニル基である。ジオルガノポリシロキサン(A)の構造は直鎖または分枝であってもよく、その際、特に好ましくは直鎖構造である。ジオルガノポリシロキサン(A)の粘度は25℃で1.000mPa・s〜50.000.000mPa・sである(DIN53018による測定)。一つの好ましい実施態様において、ジオルガノポリシロキサン(A)の粘度は500.000〜40.000.000mPa・sであり、さらに好ましくは2.000.000〜30.000.000mPa・sであり、したがって高温−架橋されたゴム(HTV)で通常使用されるポリシロキサンの範囲である。
【0033】
他の実施態様において、ジオルガノポリシロキサン(A)の粘度は、25℃で1.000mPa・s〜100.000mPa・sであり、さらに好ましくは5.000〜50.000mPa・sである(DIN53018による測定)。この粘度の範囲でのポリシロキサンは、通常、液状シリコーンゴム(液体シリコンゴム、LSR)に使用されるものである。
【0034】
ジオルガノポリシロキサン(A)は、たとえばビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル−末端ポリジメチル−ポリメチルビニル−シロキサンまたはトリメチルシリル−末端ポリジメチル−ポリメチルビニル−シロキサンであってもよい。成分(A)は、単一のジオルガノポリシロキサンから構成されるか、あるいは2個またはそれ以上のジオルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。
【0035】
成分(B)は、高分散性シリカである。成分(B)は補強充填剤として使用され、この場合、これらは、架橋されたシリコーンゴムに十分な機械的安定性を付与するものである。
【0036】
補強充填剤の例は、さらに少なくとも50m/gのBET表面積を有する充填剤であり、この場合、これらは熱分解法シリカ、沈降シリカまたはケイ素−アルミニウム混合酸化物であり、この場合、これらはBET表面積50m/gを上廻る。挙げられた充填剤は疎水性であってもよく、たとえばオルガノシラン、−シラザンまたは−シロキサンで処理されることによってか、あるいは、ヒドロキシル基をアルコキシ基にエーテル化することによって、疎水性にしてもよい。好ましくは、少なくとも100m/gのBET表面積を有する熱分解法シリカである。
【0037】
本発明による材料は、好ましくは成分(A)100質量部に対して1〜100質量部、特に3〜50質量部の量で、補強充填剤を含有する。1質量部を下廻る量の場合には、架橋されたゴムの機械的安定性は十分ではなく、100質量部を上廻る場合にはゴムは脆性である。
【0038】
充填剤からの1種を使用することができるが、しかしながらさらに、少なくとも2個の充填剤からの混合物を使用することができる。
【0039】
シリカの表面処理は、ケイ素化合物を用いて実施されてもよく、この場合、これらは飽和または不飽和基を含有するか、あるいは、このようなケイ素化合物の混合物を用いてもよい。不飽和基含有ケイ素化合物を使用する場合には、処理されるべきシリカは、相当する不飽和基を表面上に有するものである。処理されていないシリカは、シリコーンゴム組成物の製造の際に、前記ケイ素化合物またはヒドロキシ末端ジオルガノシロキサン−オリゴマーとの組み合わせ物の形で使用することができる。ジオルガノシロキサン−オリゴマーは、さらに不飽和基を含有していてもよい。
【0040】
ヒドロキシ−末端ジオルガノシロキサン−オリゴマーの例は、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサンオリゴマー、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマーまたはヒドロキシ−末端メチルビニルシロキサンオリゴマーである。不飽和基含有シロキサン−オリゴマーの場合には、このような不飽和基含有シロキシ単位の割合は、好ましくは1〜50モル%、特に好ましくは4〜20モル%である。オリゴマーの粘度は、好ましくは5〜500mPa・s、特に好ましくは15〜60mPa・sである。シリカを表面処理する場合には、処理剤は好ましくは、使用されたケイ素化合物またはシロキサンオリゴマーの少なくとも一部は、不飽和基を含有する。好ましくは、不飽和基含有処理剤の量は、少なくとも10質量%、特に少なくとも30質量%である。シリカ表面は、少なくとも部分的に不飽和基で改質化され、それによって架橋されたシリコーンゴム組成物の機械的性質は、本発明による処理されていない水酸化アルミニウムを使用した場合にさらに改善される。
【0041】
シリカは、29Si MAS−固体 NMR−分光法を用いて、そのSi−OH含量によって特徴付けることができる。シリカのSiO4/2−単位は、ケイ素原子と結合したOH−基(シラノール基)がいくつ存在するかに依存して、種々の化学シフトを示す。これに関して、SiO4/2単位の場合には、Q4−(OHを有しない)、Q3−(1個のOH基がケイ素原子と結合したもの)およびQ2−(2個のOH基がケイ素原子に結合したもの)単位で異なる。これらのシグナルのピーク強度の割合は、シリカのシラノール含量のための尺度である。ピークが重複する場合には、文献公知のシフトの使用下でのシグナルのデコンボリューションによって、その割合が算出される。TMSのシフトに対してQ4−単位の化学シフトは約−110ppm、Q3−単位は約−100ppmおよびQ2−単位は約−90ppmに達し、この場合、これらは、たとえばC.C.Liu, G.E. Maciel, J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 5103に記載されている。
【0042】
疎水化工程によって表面改質化されたシリカは、前処理によってかまたはin situ処理によるものかとは無関係に、Q4単位が、Q2、Q3およびQ4単位の合計に対して少なくとも80%に達するものである。Q4単位が高くなればなるほど、シラノール含量はますます低くなるため、シリカを疎水化させることはより一層有利である。シリカが良好に疎水化されるにつれて、架橋されていない組成物の貯蔵の際の剛化挙動が改善される。よって、好ましい実施態様においてQ4単位の割合は90〜99モル%である。
【0043】
シリカをin situ処理をする場合には、Q4単位の割合の測定は、ポリマー構成部分を、適した有機溶剤を用いて、充填剤と分離した後に測定される。
【0044】
本発明による組成物の成分(C)は、架橋されたゴムに、がいしとしての使用に必要不可欠な電気的特性、たとえば、アーク抵抗性およびクリープ抵抗性を与えるために重要である。成分(C)は水酸化アルミニウム粉末であり、さらにアルミニウム三水和物(ATH)の名称で知られており、かつ通常は一般式(3)または(4):
Al(OH) (3)
Al・3HO (4)
によって示される。
【0045】
さらに水酸化アルミニウムは、たとえば酸化アルミニウム水和物AlO(OH)を含んでもよい。通常は、シリコーンゴム組成物中で水酸化アルミニウムを使用し、この場合、これらは、たとえばシランまたはシラザンによって表面処理されているものである。本発明による組成物においては、これとは対照的に、表面処理されていない水酸化アルミニウムを使用する。このような処理されていない水酸化アルミニウムは、たとえば商標 Apyral 40CD(Nabaltec GmbH, Schwandorf/Deutschland)、Martinal OL−107またはMartinal OL−104(双方ともにMartinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)またはMicral 632(J.M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A)として入手可能である。
【0046】
使用された水酸化アルミニウム粉末は、平均粒径0.05〜20μm、好ましくは1〜15μmを有する。BET法によって測定された比表面積によれば、水酸化アルミニウム粉末は0.1〜20m/g、好ましくは1〜10m/gの比表面積を有する。平均粒径が20μmを上廻るか、あるいは、比表面積が0.1m/gを下廻る場合には、粒子があまりにも大きいために、水酸化アルミニウム粉末は、シリコーンゴム中でもはや均一に分散されない。平均粒径が0.05μmを下廻るか、あるいは、比表面積が20m/gを上廻る場合には、水酸化アルミニウム含分は、ゴムの機械的性質に著しく作用する。
【0047】
成分(C)に関しては、成分(A)100質量部に対して50〜300質量部で使用する。好ましくは80〜250質量部、さらに好ましくは90〜200質量部である。水酸化アルミニウムの割合が大きくなる場合には、組成物の加工性および架橋されたゴムの機械的特性が低下し、水酸化アルミニウムの割合は少なくなる場合には、ゴムの電気的特性の改善が専ら不十分となる。成分(C)は、単一の水酸化アルミニウム粉末として使用されるか、あるいは、種々の水酸化アルミニウム粉末の組み合わせ物の形で使用することができ、たとえば、この場合は、種々の粒径または比表面積または種々の形態を有するものであってもよい。
【0048】
成分(D)は架橋剤であり、この場合、これらは組成物を、場合により高い温度で硬化させるのに十分な量で添加される。好ましくは、組成物を高い温度で硬化させる架橋剤であり、これにより架橋されていない組成物の貯蔵安定性を改善させるためである。成分(D)は、たとえば、有機または無機の過酸化物であるか、あるいは、1個のオルガノ水素ポリシロキサンと少なくとも1の遷移金属含有ヒドロシリル化触媒との組み合わせ物である。成分(D)は過酸化物であり、この場合、これらは、ジアルキルペルオキシド、ジアリールペルオキシド、アルキルアリールペルオキシド、アルアルキルペルオキシドおよびヒドロペルオキシドから成る群から選択される。成分(D)としては、単一のペルオキシドまたはヒドロペルオキシドを使用するか、あるいは、種々のペルオキシドまたはペルオキシドとヒドロペルオキシドとの組み合わせ物で使用することができる。成分(D)の割合は(D)がペルオキシドである場合には、(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜80質量部および特に好ましくは0.5〜40質量部に達する。
【0049】
本発明による材料の架橋をフリーラジカルによりおこなう場合には、架橋剤として、フリーラジカル源として役立つ有機過酸化物を使用する。有機過酸化物の例としては、アシルペルオキシド、たとえばジベンゾイルペルオキシド、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、ビス−(2,4−ジクロロベンゾイル)−ペルオキシドおよびビス−(4−メチルベンゾイル)−ペルオキシド;アルキルペルオキシドおよびアリールペルオキシド、たとえばジ−tert.−ブチルペルオキシド、2,5−ビス−(tert.−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ジクミルペルオキシドおよび1,3−ビス−(tert.−ブチルペルオキシ−イソプロピル)−ベンゾール;ペルケタール、たとえば1,1−ビス−(tert.−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;ペルエステル、たとえばジアセチルペルオキシジカルボネート、tert.−ブチルペルオキシベンゾエート、tert.−ブチルペルオキシ−イソプロピルカルボネート、tert.−ブチルペルオキシ−イソノナノエート、ジシクロヘキシルペルオキシジカルボネートおよび2,5−ジメチル−ヘキサン−2,5−ジペルベンゾエートである。
【0050】
有機過酸化物からの1種であってもよいが、さらに、種々の有機過酸化物の少なくとも2種から成る混合物を使用することもできる。
【0051】
したがって、ゴム組成物が付加架橋されている場合には、成分(D)は、1種のオルガノ水素ポリシロキサンと少なくとも1種の遷移金属含有ヒドロシリル化触媒とから成る組み合わせ物から構成される。その際、オルガノ水素ポリシロキサンは、一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和炭化水素基ではない。それぞれの分子に対して、平均して少なくとも3個のこのようなケイ素原子と結合した水素原子を有するものである。aおよびbは正の数であるが、その際、式1≦c<3、0<d≦1および1<c+d≦3を満たす]を有する。
【0052】
の例としてはアルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル−、1−n−ブチル−、2−n−ブチル−、イソ−ブチル−、tert.−ブチル−、n−ペンチル−、イソ−ペンチル−、ネオ−ペンチル−、tert.−ペンチル基、ヘキシル基、たとえばn−ヘキシル基、ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基、オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、たとえばn−ノニル基、デシル基、たとえばn−デシル基、ドデシル基、たとえばn−ドデシル基およびオクタデシル基、たとえばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル−、シクロヘキシル−、シクロヘプチル−およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、たとえばフェニル−、ナフチル−、アントリル−およびフェナントリル基;アルカリール基、たとえばo−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアルアルキル基、たとえばデシル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0053】
置換された基Rの例としては、ハロゲンアルキル基、たとえば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサ−フルオロ−イソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲンアリール基、たとえばo−、m−およびp−クロロフェニル基、ならびにRに関して前記に示されたすべての基であり、この場合、これらの基は、好ましくは、メルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソ−シアネート基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基およびハロゲン基で置換されていてもよいものである。
【0054】
好ましくは一般式(2)のオルガノ水素ポリシロキサンが使用され、この場合、これらは、ゴム中のビニル基に対してSi−H過剰量で生じる。
【0055】
Si−結合された水素の脂肪族多重結合への付加反応を促進する触媒としては、さらに本発明による方法の場合には、Si−結合された水素の脂肪族多重結合への付加を促進するのに従来使用されてきたものと同様の触媒を使用する。触媒としては、好ましくは、白金金属の群からの金属または白金金属の群からの化合物または錯体である。このような触媒の例としては、金属白金および微粉化された白金であり、この場合、これらは、担体、たとえば二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭上に存在するものであってもよく、白金の化合物または錯体、たとえば白金ハロゲン化物、たとえばPtCl、HPtCl6HO、NaPtCl4HO、白金−オレフィン−錯体、白金−アルコール−錯体、白金−アルコレート−錯体、白金−エーテル−錯体、白金−アルデヒド−錯体、白金−ケトン−錯体、この場合、これらは、HPtCl6HOおよびシクロヘキサノンからの反応生成物、白金−ビニル−シロキサン錯体、たとえば白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ−メチル−ジシロキサン錯体であり、この場合、これらは、検出可能な程度の無機結合ハロゲンと一緒にかまたはこれを含まないものであり、ビス−(γ−ピコリン)−白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)−ジ−塩化物、シクロオクタジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン−白金二塩化物、γ−ピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジエン白金二塩化物、ならびに、白金三塩化物とオレフィンおよび第1級アミンおよび/または第2級アミンとから成る反応生成物、たとえば1−オクタン中に溶解された白金四塩化物とsec.−ブチルアミンまたはアンモニウム白金錯体との反応生成物である。
【0056】
触媒は、本発明による方法において、好ましくは触媒量で使用する。
【0057】
特に好ましくは、このようなヒドロシリル化触媒は、架橋されていないゴムの貯蔵温度において、好ましくは40℃を下廻る温度で不活性であり、より高い温度の場合には、組成物に対して十分な速度で触媒する。
【0058】
このようなヒドロシリル化触媒の例は白金化合物であり、この場合、これらは、一般式(5)
【0059】
【化1】

の化合物、化合物のオリゴマーまたはポリマーであり、この場合、これらは、一般式(6)
【0060】
【化2】

の構成単位および場合によっては一般式(7)
R11SiO(4−r)/2 (7)
の構成単位を組み合わせたものであり、
その際、式中、Rは、場合によっては置換されたジエンを意味し、この場合、これらは、白金を含有する少なくとも1個のπ−結合で結合されており、かつ、4〜18個の炭素原子を有する1個の分枝または非分枝鎖であるか、あるいは、6〜28個の炭素原子を有する1個の環を意味し、
は同一かまたは異なって、水素原子、ハロゲン原子、−SiR−、−ORまたは一価の、場合によっては置換された、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を示すが、但し、式(5)の化合物中で、少なくとも1個の基Rは−SiRを有し、
は同一かまたは異なって、水素、ハロゲン原子、−ORまたは一価の、場合によっては置換された、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、
は同一かまたは異なって、水素、−SiRまたは一価の、場合によっては置換された、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、
は同一かまたは異なって、水素、ハロゲン原子、−SiR、−SiR(3−t)[R10SiR11sO(3−s)/2]、−ORまたは一価の、場合によっては置換された、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を示すが、但し、式(6)中で少なくとも1個の基Rは、−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2]を示し、
10は同一かまたは異なって、酸素または二価の、場合によっては置換された、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基であり、この場合、これらは、酸素原子を介して、ケイ素と結合していてもよく、
11は同一かまたは異なって、水素または1個の有機基を意味し、
rは0、1、2または3であり、
sは0,1、2または3であり、かつ、
tは1、2または3である。
【0061】
オルガノシロキサンの用語は、ポリマー、オリゴマー、たとえばダイマーのシロキサンも包含するものである。
【0062】
が1個の置換されたジエンであるか、あるいは、基R、R、R、R、RおよびR10が置換された炭化水素基である場合には、置換基として、ハロゲン原子、たとえばF、Cl、BrおよびJ、シアノ基、−NR、ヘテロ原子、たとえばO、S、NおよびP、ならびに基−ORが好ましく、その際、Rは前記の意味を有する。
【0063】
の例としてはジエン、たとえば1,3−ブタジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、α−およびγ−テルピネン、(R)−(+)−4−イソプロペニル−1−メチル−1−シクロヘキセン、(S)−(−)−4−イソプロペニル−1−メチル−1−シクロヘキセン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、2,5−ヘプタジエン、1,5−シクロオクタジエン、1−クロロ−1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジクロロ−1,5−シクロオクタジエン、5,8−ジヒドロ−1,4−ジオキソシン、η−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、η−1,3,5−シクロヘプタトリエン、η−1−フルオロ−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、η−1,2,4,7−テトラメチル−1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、1,8−シクロオクタテトラデカジエン、1,9−シクロヘキサデカジエン、1,13−シクロオクタコサジエン、η−1,5,9−シクロドデカトリエン、η−1,5,10−トリメチル−1,5,9−シクロドデカトリエン、η−1,5,9,13−シクロヘキサデカテトラエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、1,3−ドデカジエン、メチルシクロペンタジエンダイマー、4,7−メチレン−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、ビシクロ[4.2.2]デカ−3,9−ジエン−7,8−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[4.2.2]デカ−3,9−ジエン−7,8−ジカルボン酸アルキルエステルおよびビシクロ[4.2.2]デカ−3,7,9−トリエン−7,8−ジカルボン酸アルキルエステルである。
【0064】
好ましいジエンRは、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1−クロロ−1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジクロロ−1,5−シクロオクタジエン、1,8−シクロテトラデカジエン、1,9−シクロヘキサデカジエン、1,13−シクロテトラコサジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、およびη−1,3,5,7−シクロオクタテトラエンであり、その際、1,5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエンが特に好ましい。
【0065】
の例としてはアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、tert.−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、tert.−ペンチル基、ヘキシル基、たとえばn−ヘキシル基、ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基、オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、たとえばn−ノニル基、デシル基、たとえばn−デシル基、シクロアルキル基、たとえばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基、不飽和基、たとえばアリル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基およびスチリル基、アリール基、たとえばフェニル基、o−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基、アルアルキル基、たとえばベンジル基およびα−、β−フェニルエチル基、ならびに式−C(R)=CR;他のRに関する例としては、−OR−基、たとえばヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基およびフェノキシ基である。ハロゲン含有基Rの例はハロゲンアルキル基、たとえば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲンアリール基、たとえば、o−、m−およびp−クロロフェニル基である。Rの例は同様にシリル基であり、トリルメチルシリル、エチルジメチルシリル−、メトキシジメチルシリル−、n−プロピルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、n−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、オクチルジメチルシリル、ビニルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、ヒドロキシプロピルジメチルシリル、メチルビニルフェニルシリルおよびメトキシプロピルシリル基である。
【0066】
好ましい基Rは、水素原子、ヒドロキシ、メトキシ基および1〜8個の炭素原子を含有する炭化水素基ならびにトリメチルシリル、エチルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、オクチルジメチルシリル基であり、その際、水素原子、メチル基およびトリメチルシリル基が特に好ましい。
【0067】
好ましい基Rは一価、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基、たとえば、基Rで挙げられた例と関連して、置換された炭化水素基、たとえばヒドロキシプロピル、およびクロロプロピル基および−OR−基、たとえばヒドロキシ、メトキシおよびエトキシ基であり、その際、メチル、エチル、ブチル、オクチル、メトキシ、エトキシおよびヒドロキシプロピル基が特に好ましい。
【0068】
基Rに関しての例は、基Rで挙げられた基である。好ましいRは水素原子、アルキル基およびアリール基であり、その際、水素原子、メチル−およびエチル−基が特に好ましい。
【0069】
基Rの例としては、基Rに関して挙げられた基、ならびに1−トリメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル−、1−エチルジメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル−、1−メトキシジメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル−およびペンタメチルジシロキサニル基である。
【0070】
好ましいRとしては、一価の基、たとえば水素原子、メチル、メトキシ、トリメチルシリル、オクチルジメチルシリル、ジメチルメトキシシリル、1−トリメチルシロキシプロピル−3−ジメチルシリル−およびヒドロキシプロピルジメチルシリル基、ならびに多価の基であり、たとえば−C−、−Si(Me)−O−Si(Me)1/2、−Si(Me)−CH−CH−CH−O−Si(Me)1/2、−Si(Me)−O−Si(Me)O2/2、−Si(Me)−O−SiO3/2、−Si(Me)−CH−CH−Si(Me)1/2および−Si(Me)−CH−CH−Si(Me)O2/2であり、その際、Meはメチル基を意味する。
【0071】
基R10の例としては、酸素原子ならびに−CH−、−C−、−C−、−C−、−C12−、−C−、−CHCH(CH)−C−CH(CH)CH−および−(CHO−であり、その際、酸素原子、−C−、−C−および−(CHO−が特に好ましい。
【0072】
例R11の例としては、水素原子ならびに基RおよびRに関して挙げられた例である。
【0073】
特に好ましいR11の例としては、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素であり、その際、メチル、エチル、フェニルおよびビニル基が特に好ましい。
【0074】
一般式(7)の単位の例としては、SiO4/2−、(Me)SiO1/2−、Vi(Me)Si1/2−、Ph(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−、Ph(Me)SiO2/2−、Vi(Me)SiO2/2−、H(Me)SiO2/2−、MeSiO3/2−、PhSiO3/2−、ViSiO3/2−、(Me)(MeO)SiO1/2−およびOH(Me)SiO1/2−、その際、(Me)SiO1/2−、Vi(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−、Ph(Me)SiO2/2−およびMe(MeO)SiO1/2−MeSiO3/2−が好ましく、かつ(Me)SiO1/2−、Vi(Me)SiO1/2−、(Me)SiO2/2−およびVi(Me)SiO2/2が特に好ましく、その際、Meはメチル基、Viはビニル基、かつPhはフェニル基である。
【0075】
構成部分(D)としては、一般式(5)〜(7)によるヒドロシル化触媒が使用され、この場合、これらは好ましくはビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金−、ビス(アルキニル)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)白金−、ビス(アルキニル)(1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−およびビス(アルキニル)(1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体である。
【0076】
構成成分(A)〜(D)の他に、場合による他の構成成分を、組成物中に導入することができる。
【0077】
場合による構成成分(E)としては阻害剤を使用することができ、この場合、これらは架橋速度を調整するものである。室温で、脂肪族多重結合でSi結合された水素の構成を遅延させる薬剤、いわゆる阻害剤であり、本発明による組成物の場合にはすべての阻害剤を使用することができ、この場合、これらは、同様の目的のために従来使用されてきたものである。
【0078】
阻害剤の例としては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ベンゾトリアゾール、ジアルキルホルムアルド、アルキルチオ尿素、メチルエチルケトキシン、有機またはケイ素有機化合物であり、その際、1012mバール(絶対圧)で、少なくとも25℃の沸点および少なくとも1個の脂肪族三重結合を有するものであって、たとえば1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオールおよび3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3,7−ジメチル−オクト−1−イン−6−エン−3−オール、ジアリルマレイネートおよびビニルアセテートからの混合物、マレイン酸モノエステル、および阻害剤、たとえば式HC=C−C(CH)(OH)−CH−CH−CH=C(CHの化合物であり、たとえば、商標“Dehydrolinalool”(BASF AG, Ludwigshafen/Deutschland)で入手可能である。
【0079】
構成部分(E)として好ましくは、エチニルシクロヘキサノール(ECH)、ジヒドロリナロール、3−メチルドデシノールまたはジオルガノシロキサンオリゴマーであり、この場合、これらは、50までのシロキシ単位からなる平均鎖長を示し、かつ末端で3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ基を有する。特に好ましくはエチニルシクロヘキサノールおよび末端で3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ−基を有するジオルガノシロキサン−オリゴマーである。
【0080】
場合による構成部分(F)として、添加剤を使用することができ、この場合、これらは電気的性質、熱安定性または耐燃性のさらなる改善に寄与するものである。これらの添加剤は、たとえば金属酸化物または金属水酸化物であってもよく、たとえば三酸化アンチモニル、酸化セリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウムまたは金属または遷移金属化合物、たとえばパラジウムまたは白金の化合物であり、場合によっては、これらの化合物のヒドロシリル化触媒中での活性を調整する有機化合物との組み合わせ物、あるいは、このような添加剤の組み合わせ物である。
【0081】
好ましい金属酸化物は二酸化チタンである。好ましい実施態様において、構成部分(F)は、1個の白金化合物または白金錯体と1個のオルガノケイ素化合物との反応生成物から構成されるものであって、この場合、これらは、炭素を介して、ケイ素と結合された、塩基性窒素を有するか、あるいは、このような反応生成物と二酸化チタンとの組み合わせ物から構成される。このような白金化合物または白金錯体の例は、たとえばEP0359252B1に記載されたH[PtCl]・6HO、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコレート錯体、白金−エーテル錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、特に白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体であるか、あるいは、たとえばEP1077226B1に記載された白金とアセチリドリガンドとのシクロオクタジエン錯体、特にビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金−錯体である。好ましくは白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体または白金とアセチリドリガンドとのシクロオクタジエン−錯体である。
【0082】
オルガノケイ素化合物の例は、炭素を介してケイ素と結合した塩基性窒素を有するものであって、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(シクロヘキシル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、1,2−ビス[N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル]−1,1,2,2−テトラメチルジシロキサン、N,N’−ビス−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,2−エタンジアミン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,2−エタンジアミンおよびN,N’−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−尿素である。
【0083】
好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよびN,N’−ビス−(3−(トリメトキシシリル)−プロピル)−1,2−エタンジアミンである。
【0084】
特に好ましくはN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0085】
好ましくは、高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物は、少なくとも15ppm、多くとも500ppmの窒素を含有する。15ppmを下廻る窒素量の場合には、その機能が不十分であり、500ppmを上廻る窒素量の場合には、窒素成分が、組成物の架橋において悪影響を及ぼす。
【0086】
場合による他の構成部分(G)として、組成物のまたは架橋されたゴムの望ましい性質において影響しない限りにおいて、他の非補強充填剤および顔料を含有していてもよい。他の構成部分(G)は、100質量部の(A)に対して、0.001〜100質量部の量で含有されていてもよい。他の構成成分(G)の例としては、カーボンブラック、グラファイト、石英粉、カルボン酸金属塩、たとえばステアリン酸カルシウム、金属酸化物または混合酸化物、たとえば酸化鉄、コバルト−アルミニウム酸化物スピネル、コバルト−鉄−クロムスピネル、アルミニウム−クロム−コバルトスピネルおよび他のスピネル、酸化セリウム、酸化クロム、二酸化チタンおよび酸化バナジウム、ならびに他の加工助剤、たとえば非官能性ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシ−末端ポリ−ジメチルシロキサン油、ヒドロキシ−末端ポリ−ジメチル−メチルビニルシロキサン油、離型剤および可塑剤である。
【0087】
本発明による組成物は、シリコーンゴム組成物に通常使用される混合装置(ニーダー、押出機、二軸シリンダーミル)中で、構成成分を簡単に混合することによって製造することができる。
【0088】
好ましくは、構成成分(A)、(B)および(C)および場合によって任意の構成成分(E)、(F)および(G)をニーダー中で完全に、場合によっては加熱しながら、均一になるまで混合することにより製造する。ニーダーから組成物を取り出した後に、この粗生成物(Vorprodukt)を、ロールミル上で構成成分(D)と一緒にして完成させ、その際、組成物の温度は、組成物の架橋が生じる温度を下廻るように保持しなければならない。任意の構成成分(E)、(F)および(G)は、第1工程で、さらに構成成分(D)と一緒に、ロールミル上で添加した。
【0089】
好ましい実施態様においては、最初に適した混合装置中で、構成成分(A)および(B)を表面処理剤と一緒に、加熱しながら、均一になる間で混合した。その後にこの中間生成物を第2工程中で、ニーダー中で、構成成分(C)および場合によっては任意の成分と一緒に混合し、引き続いて、前記に示したように、ロールミルミル上で、構成成分(D)および任意成分と一緒にして完成させた。構成成分(D)が、ニーダー中で達する温度を上廻る分解温度を示す場合には、構成成分(D)は、ニーダーの段階で装入してもよい。
【0090】
本発明によるシリコーンゴム組成物は、前記機序および電気的性質に基づいて、特に、高圧がいしまたは難燃性ケーブル鞘を製造するのに適している。
【実施例】
【0091】
ベース混合物1の製造:
ニーダー中で、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部(99.94モル%のジメチルシロキシ単位と0.06モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度約6000シロキシ単位を有するもの)と、ビニルシラン−処理されたシリカ31部(BET法により測定された表面積300m/gを有するもの)とを、均質になるまで混合した。
【0092】
ベース混合物2の製造:
ニーダー中で、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部(99.94モル%のジメチルシロキシ単位と0.06モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度約6000のシロキシ単位を有するもの)と、シリカ31部(BET法により測定された300m/gの表面積を有するもの)およびジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサンオリゴマー7部(粘度40mPa・sを有するもの)とを、均質になるまで混合し、かつ2時間に亘って170℃で加熱した。
【0093】
ベース混合物3の製造:
ニーダー中で、ジメチルビニルシリルオキシ末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー100部(99.94モル%のジメチルシロキシ単位と0.06モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有するものであって、かつ重合度約6000シロキシ単位を有するもの)と、シリカ31部(BET法によって測定された表面積300m/gを有するもの)、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサンオリゴマー5部(粘度40mPa・sを有するもの)およびジメチルヒドロキシシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー5部(粘度40mPa・sを有し、かつメチルビニルシロキシ含量10モル%である)とを、均質になるまで混合し、かつ2時間に亘って170℃で加熱した。
【0094】
架橋剤1:
架橋剤1はジクミルペルオキシドである。
【0095】
架橋剤2:
架橋剤2は、シリコーン油中の2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン50%濃度ペーストである。
【0096】
架橋剤3:
架橋剤3はトリメチルシリルオキシ末端ジメチルシロキシ−メチル水素シロキシコポリマーであり、その際、平均鎖長は150シロキシ単位、Si−H含量は0.5質量%および粘度は25℃で360mm/sである。
【0097】
触媒1:
触媒1は、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ポリジメチルシロキサン中の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−白金錯体からなる、0.025質量%白金含有溶液である。
【0098】
触媒2:
触媒2は、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ポリジメチルシロキサン中の1,5−シクロオクタジエン−ビス[トリメチルシリルフェニルエチニル]白金からなる、0.025質量%白金含有溶液である。
【0099】
添加剤1:
添加剤1は以下のようにして製造された:ジメチルビニルシリルオキシ末端ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサンコポリマー(20モル%のメチルビニルシロキシ単位を含有し、かつ粘度は25℃で50.000mPa・sを示す)100部を、撹拌器中で、熱分解的に気相中で製造した二酸化チタン50部と一緒に、均質になるまで混合しした。さらに、ジメチルビニルシリルオキシ末端ジメチルポリシロキサン(約25℃で1400mPa・sの粘度)中の、白金−ビニルシロキサン−錯体(Karstedt触媒として公知のもの;触媒1と同様)から成る、1質量%白金含有混合物(元素として測定したもの) 25部を添加し、かつ均質になるまで混合した。この混合物に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン4部を供給し、強力に攪拌しながらゆっくりと150℃に加熱し、かつ2時間に亘って150℃で攪拌した。
【0100】
添加剤2:
添加剤2は、ベース混合物1中のコバルト−酸化アルミニウム−スピネルの50質量%混合物であり、この場合、これらは商標 Sicopal blau K 6310(BASF AG, Ludwigshafen/Deutschland)として市販されているものである。
【0101】
添加剤3:
添加剤3は、ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーオリゴマーであり、この場合、これらは、平均鎖長は12シロキシ単位を有し、かつメチルビニルシロキシ含量は8モル%を示し、かつ末端3−メチル−3−ヒドロキシ−ブト−1−イン−4−オキシ基を有する。
【0102】
例1:
ニーダー中で、ベース混合物2 100部と一緒に、処理されていない水酸化アルミニウム 140部(Micral 632; J.M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A)を、均質になるまで混合した。
【0103】
この混合物100部を、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部と一緒にして完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って170℃でプレスし、その後に4時間に亘って150℃で加熱した。
【0104】
例2:
ニーダー中で、ベース混合物2 100部と一緒に、処理されていない水酸化アルミニウム(Micral 632; J.M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A)140部を、均質になるまで混合した。
【0105】
この混合物100部を、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.035部、架橋剤3 3部および触媒1 1部と一緒にし、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って170℃でプレスした。
【0106】
例3:
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と処理されていない水酸化アルミニウム(Micral 632; J.M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A)140部とを、均質になるまで混合した。
【0107】
この混合物100部に、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部を加え、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスし、その後に4時間に亘って150℃で加熱した。
【0108】
例4:
ニーダー中で、ベース混合物2 100部と処理されていない水酸化アルミニウム(Material OL 104; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)160部およびジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ、重合度 約5500シロキシ単位を有するもの)20部とを、均質になるまで混合した。
【0109】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0110】
例5:
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)160部およびジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と、0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有するもの)20部とを、均質になるまで混合した。
【0111】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料体を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0112】
例6:
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム 155部(Martinal OL 104; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)およびジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン コポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有するもの)20部とを、均質になるまで混合した。
【0113】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 1部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料体を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0114】
例7(本発明によらない例):
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、ビニルシラン処理された水酸化アルミニウム(Martinal OL 104S; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland) 160部およびジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン コポリマー(99.5モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有するもの) 20部とを均質になるまで混合した。
【0115】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール 0.025部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0116】
例8(本発明によらない例):
ニーダー中で、ベース混合物2 100部と、ビニルシラン処理された水酸化アルミニウム (Hymod M 632 SL; J.M. Huber Corporation, Edison NJ/U.S.A)160部、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサンオリゴマー 1.2部(粘度40mPa・s)および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム0.8部とを、均質になるまで混合した。
【0117】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール0.025部、添加剤1 1部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物は15分に亘って、170℃でプレスした。
【0118】
例9:
ニーダー中で、ベース混合物1 100部と処理されていない水酸化アルミニウム(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH, Scwandirf/Deutschland)140部、加工助剤としてのステアリン酸カルシウム1.5部および添加剤2 2.2部とを、均質になるまで混合した。
【0119】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール 0.025部、添加剤1 1部、架橋剤3 3部および触媒1 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0120】
例10:
ニーダー中で、ベース混合物1 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム(Micral 632; J.M. Huber Corporation, Edison NJ/USA)140部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム 1.5部とを、均質になるまで混合した。
【0121】
この混合物 100部に、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部および添加剤1 1.0部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物は15分に亘って、170℃でプレスし、その後に4時間に亘って、150℃で加熱した。
【0122】
例11:
ニーダー中で、ベース混合物1 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム 160部(Apyral 40 CD; Nabaltec GmbH, Scwandirf/Deutschland)および二酸化チタン1.0部とを、均質になるまで混合した。
【0123】
この混合物 100部に、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部および添加剤2 1.5部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物は15分に亘って、170℃でプレスし、その後に4時間に亘って、150℃で加熱した。
【0124】
例12:
ニーダー中で、ベース混合物3 100部、処理されていない水酸化アルミニウム(Matinal OL 104; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland) 155部、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーオリゴマー(粘度は40mPa・sであり、かつメチルビニルシロキシ含量は10モル%)0.5部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム0.8部を、均質になるまで混合した。
【0125】
この混合物 100部に、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部および添加剤1 1.0部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃で加圧し、その後に4時間に亘って150℃で加熱した。
【0126】
例13
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム 155部(Martinal OL 104; Martinwerk GmbH, Bergheim/Deutschland)、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と0.45%のメチルビニルシロキシ単位とを含有するものであり、重合度約5500シロキシ単位を有する)20部、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーオリゴマー(粘度40mPa・sを有し、かつメチルビニルシロキシ含量10モル%を有するもの)0.5部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム 0.8部とを、均質に混合した。
【0127】
この混合物 100部に、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール 0.025部、添加剤1 1部、架橋剤3 3部および触媒2 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って、170℃でプレスした。
【0128】
例14:
ニーダー中でベース混合物3 100部と、処理されていない水酸化アルミニウム(Martinal OL 104S; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland) 155部、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と、0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有する)20部および架橋助剤としてのステアリン酸カルシウム 0.8部とを、均質になるまで混合した。
【0129】
この混合物 100部に、ロールミル上で、添加剤1 1部、添加剤3 2部、架橋剤3 3部および触媒2 1部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物は15分に亘って、170℃でプレスした。
例15(本発明によらない例):
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、ビニルシラン−処理された水酸化アルミニウム(Martinal OL 104S; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland) 160部、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.5モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有する) 20部、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーオリゴマー(粘度40mPa・sを有し、かつメチルビニルシロキシ含量10モル%を有する)0.5部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム0.8部とを、均質になるまで混合した。
【0130】
この混合物 100部を、ロールミル上で、阻害剤としてのエチニルシクロヘキサノール 0.025部、添加剤1 1部、架橋剤3 3部および触媒2 1部と一緒にして、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って170℃でプレスした。
【0131】
例16(本発明によらない例):
ニーダー中で、ベース混合物3 100部、ビニルシラン処理された水酸化アルミニウム 140部(Martinal OL 104S; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有する)20部、ジメチルヒドロキシシロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー−オリゴマー(粘度は40mPas・sおよびメチルビニルシロキシ含量は10モル%を有する)0.5部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム0.8部を、均質になるまで混合した。
【0132】
この混合物 100部に、ロールミル上で、1.0部の架橋剤2および1.0部の添加剤1を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物は15分に亘って170℃でプレスし、その後に4時間に亘って150℃で加熱した。
【0133】
例17(本発明によらない例):
ニーダー中で、ベース混合物3 100部と、ビニルシラン−処理された水酸化アルミニウム(Martinal OL 104S; Martinswerk GmbH, Bergheim/Deutschland)160部、ジメチルビニルシリルオキシ−末端ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサンコポリマー(99.55モル%のジメチルシロキシ単位と0.45モル%のメチルビニルシロキシ単位とを含有し、かつ重合度は約5500シロキシ単位を有する)20部、ジメチルヒドロキシ−末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマーオリゴマー(粘度は40mPa・sであり、かつメチルビニルシロキシ含量は10モル%である)0.5部および加工助剤としてのステアリン酸カルシウム0.8部を、均質になるまで混合した。
【0134】
この混合物 100部に、ロールミル上で、架橋剤2 1.0部を添加し、組成物を完成させた。試料を製造するために、組成物を15分に亘って170℃でプレスし、その後に4時間に亘って150℃で加熱した。
【0135】
ショアー硬度の測定は、DIN53505−Aにしたがって、6mmの厚さの試料でおこなった。破断抵抗および破断点伸びについては、DIN53504にしたがって、2mmの厚さのS1ショルダースターブ(Schulterstaeben)でおこなった。引裂抵抗に関する測定については、ASTM D624 Bにしたがって、2mmの厚さの試料でおこなった。ライトオフテンパラチャーの測定は、DIN53529−A3にしたがって、非等温的でおこなった。T50値の測定は、等温的に、150℃で、DIN53529−A3にしたがっておこなった。これら測定の結果は第1表に示した。
【0136】
【表1】

【0137】
絶縁破壊強度(Durchschlagfestigkeit)試験は、DIN IEC 243−2にしたがっておこなった。比絶縁破壊強度(spezifischen Durchgangwiderstands)試験は、DIN IEC93にしたがっておこなった。高圧−アーク抵抗試験は、DIN VDE 0441 第1部にしたがっておこなった。高圧−漏れ抵抗試験は、DIN IEC 587(VDE 0303 第10部)にしたがっておこなった。これらの結果については第2表に示した。
【0138】
【表2】

煮沸(Kochen)による電気的試験は、100時間に亘っての放置後に、0.1%濃度でのNaClの添加を含む脱イオン水中で、3mmの試料の厚さでおこなった。試験結果は第3表に示した。
【0139】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物において、
(A)一般式(1):
SiO(4−a−b)/2 (1)
[式中、Rは非置換またはハロゲン置換された、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和基を有しないものであって、
は非置換またはハロゲン置換された一価の炭化水素基であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和炭化水素基であり、それぞれの分子が平均して少なくとも2個の、ケイ素原子と結合した不飽和基を有するものであり、かつ、
a、bは互いに独立して正数を示すが、但し、1≦a<3、0<b≦1および1<a+b≦3である]を有する、少なくとも1個のジオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET法により測定された比表面積50〜400m/gを有し、かつQ4、Q3およびQ2の合計に対して、SiO4/2単位のQ4の割合が少なくとも80%である、高分散性シリカ (A)100質量部に対して1〜100質量部、
(C)BET法により測定された比表面積0.1〜20m/gおよび平均粒径0.05〜20μmを有する、前処理工程による表面改質化がなされていない、少なくとも1個の水酸化アルミニウム粉末 (A)100質量部に対して50〜300質量部、
(D)組成物を硬化させるのに十分な量の架橋剤、この場合、この架橋剤は、有機過酸化物、ヒドロペルオキシドまたは種々の有機過酸化物もしくはヒドロペルオキシドからなる混合物であるか、あるいは、
一般式(2)
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であって、この場合、これらは、脂肪族不飽和炭化水素基ではないが、但し、それぞれの分子が平均して少なくとも3個の、ケイ素原子と結合した水素原子を有するものであり、かつ、
c、dは互いに独立して正数を示すが、但し、1≦c<3、0<d≦1であり、かつ、1<c+d≦3である]を有するオルガノ水素ポリシロキサンと、少なくとも1個の遷移金属を含有するヒドロシリル化触媒との組み合わせ物、
から成る群から選択されるものである、
を含有するが、その際、架橋されたゴムは、少なくとも100%の破断点の伸び、少なくとも2N/mmの破断抵抗ならびに少なくとも10N/mmの引裂抵抗を示す、高圧がいしのためのシリコーンゴム組成物。
【請求項2】
(D)が、有機過酸化物、ヒドロペルオキシドまたは種々の有機過酸化物もしくはヒドロペルオキシドからなる混合物である、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
(D)が、オルガノ水素ポリシロキサンと、一般式(2):
SiO(4−c−d)/2 (2)
[式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、この場合、これらは、脂肪族不飽和炭化水素基ではなく、それぞれの分子が平均して少なくとも3個の、ケイ素原子と結合した水素原子を有するものであり、かつ、
c、dは互いに独立して正数を意味するが、但し、1≦c<3、0<d≦1であり、かつ、1<c+d≦3である]を有するオルガノ水素ポリシロキサンと、少なくとも1個の遷移金属を含有するヒドロシリル化触媒との組み合わせ物である、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
ヒドロシリル化触媒が、一般式(5)
【化1】

の化合物、化合物のオリゴマーまたはポリマーから成る群から選択され、この場合、これらは、一般式(6)
【化2】

の構成単位および場合によっては一般式(7)
R11SiO(4−r)/2 (7)
の構成単位を組み合わせたものであり、
その際、式中、Rは、置換または非置換のジエンを意味し、この場合、これらは、白金を有する少なくとも1個のπ−結合によって結合されており、かつ、4〜18個の炭素原子を有する1個の分枝または非分枝鎖であるか、あるいは、6〜28個の炭素原子を有する1個の環を意味し、
は同一かまたは異なって、水素原子、ハロゲン原子、−SiR−、−ORまたは一価の、置換または非置換の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を意味するが、但し、一般式(5)の化合物中で、少なくとも1個の基Rは−SiRを意味し、
は同一かまたは異なって、水素原子、ハロゲン原子、−ORまたは一価の、置換または非置換の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
は同一かまたは異なって、水素原子、−SiRまたは一価の、置換または非置換の、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
は同一かまたは異なって、水素原子、ハロゲン原子、−SiR、−SiR(3−t)[R10SiR11sO(3−s)/2、−ORまたは一価の、置換または非置換の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を示すが、但し、一般式(6)中で少なくとも1個の基Rは、−SiR(3−t)[R10SiR11(3−s)/2の意味を有し、
10は同一かまたは異なって、酸素または二価の、置換または非置換の、1〜24個の炭素原子を有する炭化水素基を示し、この場合、これらは、酸素原子を介して、ケイ素と結合していてもよく、
11は同一かまたは異なって、水素または1個の有機基を示し、
rは0、1、2または3であり、
sは0、1、2または3であり、かつ、
tは1、2または3である、請求項3に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
ヒドロシリル化触媒が、ビス(アルキニル)(1,5−シクロオクタジエン)白金錯体、ビス(アルキニル)(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン)白金錯体、ビス(アルキニル)(1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金錯体およびビス(アルキニル)(1,6−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン)白金錯体から成る群から選択される、請求項4に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項6】
成分(B)が、ケイ素化合物またはヒドロキシ−末端ジオルガノシロキサン−オリゴマーで表面処理されており、その際、不飽和基を有するこれらのケイ素化合物またはヒドロキシ末端ジオルガノシロキサンオリゴマーの割合は、少なくとも10%である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
シリコーンゴム組成物が、さらに阻害剤を含有する、請求項1、3、4、5または6のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項8】
シリコーンゴム組成物が、さらに1個または複数個の金属酸化物を含有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項9】
シリコーンゴム組成物が、さらに白金化合物または白金錯体であるか、あるいは、白金化合物または白金錯体と、炭素を介してケイ素と結合する塩基性窒素を有するオルガノケイ素化合物との反応生成物を含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項10】
炭素を介してケイ素と結合する塩基性窒素を有するオルガノケイ素化合物が、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランから成る化合物の群から選択される、請求項9に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項11】
オルガノケイ素化合物が、15ppm〜500ppmの範囲の窒素含量を有する、請求項9または10に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項12】
シリコーンゴム組成物が、他の充填剤を含有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項13】
構成成分を、混合装置中で混合することによって製造する、請求項1から12までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項14】
構成成分(A)、(B)および(C)ならびに場合によっては(E)阻害剤、(F)電気的性質、熱安定性または耐燃性を改善させる作用を有する添加剤および(G)非補強充填剤または顔料を、ニーダー中で、場合によっては熱の供給下で混合し、かつこのようにして得られた粗生成物を、ロールミル上で、構成成分(D)と一緒にすることで完成させる、請求項13に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項15】
高圧がいしまたは難燃性のケーブル鞘を製造するための、請求項1から12までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物の使用。
【請求項16】
請求項1から12までのいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物を架橋することにより得られるシリコーンゴム。

【公開番号】特開2006−111882(P2006−111882A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300572(P2005−300572)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(390008969)ワッカー ヘミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, BRD
【Fターム(参考)】