説明

処理及び毒性除去方法

本発明は、特に熱可塑性材料の製造及び毒性除去或いは妨害物質又は汚染物の前記材料からの除去方法において、材料が、少なくとも一つの容器(1)において真空下に加熱され、混合され、随意に粉砕され、すすぎ媒体が、容器(1)に導入され、材料の少なくとも部分的な領域を通過し、妨害物質でいっぱいになった又は飽和したすすぎ媒体が、容器(1)から排出される方法に関する。本発明によれば、容器(1)に導入されるすすぎ媒体の量が、ガス状のすすぎ媒体に関しては、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり5 Nm3未満、特に0.1 Nm3 (DIN 1343による規定立方メートルVn)未満であり、液体のすすぎ媒体に関しては、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり0.1リットル未満であり、ここで、同時に容器(1)内の真空が、100ミリバールより下に永続的に維持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の公知要件事項部による方法、及びこの方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特にプラスチックのリサイクルにおける重要な要求は、リサイクルした材料から製造した最終製品が、魅力的な品質のものであり、新品から製造した製品に可能な限り近いことである。処理された又はリサイクルされた材料及びそれから製造された製品は、必要な機械的要件及び基準を満たさなければならず、特に不快な臭気、色、移行性の毒素などによって損なわれていてはならない。特に、食料品に使用することを意図するプラスチックパッケージは、厳しい食品法規を満たさなければならない。
【0003】
したがって、斯かる材料が、リサイクル経路から取り出されると、それらは適切に浄化され処理されなければならない。主として表面を浄化する種々の浄化及び洗浄プロセスのほかに、特にほとんどのポリマーは「高密度の」材料ではなく、材料中への移行が起こり得るため、しばしば他の浄化を行う必要がある。しかしながら、これらの移行物は、表面又は外部のみに作用する洗浄プロセスでは、取り除くことができない。
【0004】
汚染物は、基本的に、処理されている材料から出る又は入って来る材料から分離した又は材料と一緒にもたらされることもある何らかの物質であり、ことによると後々処理又は製品の質を害することがある。汚染物は、外側から処理されている材料の表面に、洗浄水の場合と同様に、表面コーティングなどに付着することがあり、次いで、蒸発、昇華し、表面などから解放されるようになる。しかし、汚染物は、材料のマトリックス中又は材料の内部に存在することもあり、次いで処理の間に外側へと拡散し、そこで汚染物は蒸発,昇華などをする。これは、特に柔軟剤などの有機添加物の場合に見られるが、マトリックス中の水、単量体、ガス又はワックスのこともある。除去すべき汚染物は、昇華する固体又は粉塵を含むこともある。
【0005】
リサイクル及び同時の汚染除去又は汚染物質の除去のための設備及び方法は、先行技術から種々の構成で知られている。
【0006】
ポリマーのリサイクルのための基本的な設備が、例えば、ヨーロッパ特許(EP) 第123 771号に記述されている。しかしながら、概して、斯かる装置は、通常痕跡なしに全ての汚染物を取り除くことができず、これが処理又は製造の障害に帰着する。
【0007】
例えば、製造されている材料を乾燥させてある程度の汚染物を除去するため、どのようにしてガスをそれらの材料に通すかが、オーストリア特許(AT) 第 504 854号から公知である。このプラントは、既に満足に機能している。
【0008】
しかしながら、斯かる方法の効率と経済性の両方をさらに向上させることは常に有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、材料から望ましくない汚染物を効率的に、迅速に且つできるだけ完全に取り除くことのできる経済的な汚染された材料の処理方法を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴的構成によって解決する。
【0011】
受容タンクに導入するすすぎ媒体の量が、ガス状のすすぎ媒体の場合では、時間あたりの材料のkg又は材料スループットあたり、時間あたり5 Nm3以下、特に有益なのは0.1 Nm3 (規定立方メートルVn)以下、液体のすすぎ媒体の場合では、時間あたりの材料のkg又は材料スループットあたり、時間あたり0.1リットル以下であることが特定されている。しかしながら、同時に、受容タンク内の真空を、絶えず100ミリバール未満に維持しなければならない。
【0012】
時間あたりのすすぎ媒体の供給量の上記の表示は、浄化されている材料のスループット又はインプットの量及び時間あたりの浄化された材料の受容タンクからのアウトプット、すなわち、時間あたりの材料の量あたりの時間あたりのすすぎ媒体の量と関連している。
【0013】
迅速で極めて効率的なリサイクルした材料の毒性除去及び汚染物のほとんど全部の除去を、このようにして、より少ない経済的出費で達成することができる。
【0014】
Nm3 (規定立方メートル Vn)における全ての表示は、DIN 1343による値、すなわち、温度=273.5K、圧力=1.01325バールで0%の湿度を有する乾燥したガスに関する値として理解される。
【0015】
既に先に説明したように、汚染物は、一方で、ポリマーの表面に外側から粘着し、他方、汚染物はまた、材料の細孔、かすり傷又は亀裂で濃縮される。ほとんどの部分に関しては、これらの汚染物は、注意深い洗浄により比較的問題なく減らすことができる。
【0016】
しかしながら、汚染物の少なからぬ部分がまた、一般に材料のマトリックス内部に含まれ、又はその中に取り込まれ、溶け込んでいる。特に除去しにくいのが、マトリックスに結びついたこれらの汚染物であり、通常、表面的な洗浄方法は、不十分である。
【0017】
これらの汚染物又は不純物の除去は、複雑で未だ十分に理解されていないプロセスである。この除去は、基本的に三つの工程で行われる。
【0018】
第一の工程は、材料の内部から外側の周辺領域への汚染物の拡散又は移行である。この工程は適用される温度に大きく依存する。しかしながら、温度は、特にポリマー材料の場合に、物理的又は化学的な害が生じないよう、特に溶融が生じないように、材料を考慮して選択しなければならない。周囲の圧力も、ある役割をする。低い周囲圧力で、拡散の勾配が生じ、移行が強められる。
【0019】
第二の工程は、材料の表面からの汚染物の分離である。分離は、すすぎ媒体によって促進され、周囲圧力に依存するか、又は真空をかけることによって促進される。有効な分離は、100ミリバールより下の真空でのみ達成することができる。
【0020】
第三の工程である放出では、汚染物は、次いで、すすぎ媒体によって運び去られ、受容タンクから取り除かれなければならない。
【0021】
適切に高い温度、適切な真空をかけること及びすすぎ媒体を導入することという発明の選択のおかげで、毒性除去の良好な効率を達成することができる。さらになお、他のファクター、特に経済性及びプロセスの時間を考慮しなければならない。
【0022】
推定されるように大量の汚染物を分離して運び去るため、可能な限り大量のすすぎ媒体を材料に通すことを考えることは、基本的に許容される。大量のすすぎガス(scouring gas)が、例えば乾燥のため、材料に通される斯かる方法も、先行技術に記載されている。しかしながら、これらの方法では、真空がかけられないのが普通であり、その代わり、これらの方法は、開放型の容器内で、周囲圧力下で行われる。しかし、真空の欠落のために、汚染物の拡散及び分離の両方が低下する。そのため、大量のすすぎ媒体それだけでは、助けにならない。
【0023】
これに関連して、すすぎ媒体、特に大量のすすぎ媒体、を排気した容器に導入することは、常に必ず、真空がこれによって大きく損なわれる又は低下することを伴うことに留意すべきである。すすぎ媒体が多く導入されるほど、圧力が高くなって真空が弱まり、汚染物の移行及び蒸発又は分離が少なくなる。同じような真空が維持されるとすれば、真空を低下させることなしに十分なすすぎ媒体を導入することはもはや不可能なので、より多くの汚染物がなお表面に存在しているにもかかわらず、それらは分離されることもなく、そのためそれらを取り除くこともできないであろう。
【0024】
他方、又はこれを埋め合わせて、このようにして汚染物の可能な限り多くの移行及び良好な分離を達成するため、任意に単純に真空を高めることもできない。これには、真空ポンプのより高い吸引力が必要であり、このことがまた、より高い間接費及び稼働コストを要するであろう。しかし、たとえ最良の真空システムを用いても、大量のすすぎ媒体があっては、十分に深い真空を作ることができない。
【0025】
したがって、真空にも注意を払うことなしに、汚染物の高い分離と大きな放出を推定上達成するため、大量のすすぎ媒体を用いることができない。実際、説明したように、これは、真空が弱まり、これがより悪い拡散及びより少ない分離のために毒性除去効率が低下することを意味するか或いはもはやプロセスを実施することができないか又は経済的な態様でプロセスを実施することができないので、非生産的でさえあろう。
【0026】
そのため、互いに対抗するパラメーターを相殺させてそれらを調和させなければならない。したがって、このようにして、受容タンクにおける材料の必要な滞留時間も決定することができる。
【0027】
浄化作用が、すすぎ媒体を用いない処理と比較して、平均して5〜65%高められる。より高い蒸発点を有する汚染物は、蒸発しやすい又は根本的に浄化しやすい汚染物よりも大きな浄化の増強を受けることが分かった。得られた製品は、全ての要求される基準を満たす。例えば、それらは、ILSIに適合するか、FDAに認定されるか、又はEFSAに適合していると認定される。
【0028】
驚くべきことに、本発明の基礎をなす実験で、これまでの見解に反して、大幅に毒性除去の効率を高めるために、大量のすすぎ媒体は必要なく、非常に少量のすすぎ媒体でさえ十分であることが分かったのである。その結果、表面からの汚染物のさらに有効な分離により、必要な真空の維持が、大幅に容易になり、より経済的になる。そのため、本方法が、より経済的になり、処理時間が短くなる又は反応器における滞留時間を短くすることができる。
【0029】
本発明の方法のさらに別の有益な構成が、従属請求項に記載されている。
【0030】
したがって、材料の内部から表面への汚染物の効率的な拡散又は移行のため、及び良好な分離のためには、真空が、永続的に50ミリバールより下、特に10〜20ミリバールの間、好ましくは2ミリバールより下に保たれていることを規定するのが有益である。
【0031】
本方法の一つの有益な構成によれば、すすぎ媒体としてガス状の物質、特に空気、二酸化炭素、蒸気、不活性ガス例えば窒素を用いることができる。ガス状のすすぎ剤は、特に受容タンク内の材料の更なる乾燥にも用いることができる。基本的に、全ての不活性ガスは、それらが前処理タンク内の熱い環境にあるポリマーにほとんど影響を与えないか又は影響を与えないので、特に有用である。
【0032】
そのほか、すすぎ媒体として、受容タンクに入った後、直ぐに蒸発する液体、特に水を使用することも有益である。水は特に、特に高い毒性除去の効率をもたらし、また、非常に少量で空気よりも効果的である。基本的に、液体のすすぎ剤は、貯蔵及び分取するのがより容易である。特に、それらの受容タンクに入って直ぐの蒸発は、凝集の状態に変化をもたらし、これが、汚染物のポリマー粒子の表面からの分離がさらにより良く生じるのを助ける。そのため、通常、少なくとも短い時間で、液体のすすぎ媒体は、材料粒子の表面の湿潤をもたらす。そのため、液体のすすぎ媒体は、表面に存在する汚染物を解放することができる。汚染物は、直ぐ後に生じるすすぎ媒体の蒸発の間、さらにより効率的に表面から分離される。
【0033】
これに関連して、すすぎ媒体が極性又は非極性であるのが有益である。そのため、汚染物の性質又は極性に依存して、最も効率的な汚染物のすすぎ媒体への溶解性又は混入を達成することができる。
【0034】
一つの有益なプロセスによれば、すすぎ媒体は、受容タンクに入る前に、例えば上流の加熱部材又はガス乾燥部材によって、加熱及び/又は乾燥される。加熱は、全課程の廃熱から好都合に、省エネの態様で行われる。
【0035】
液体の媒体の場合には、蒸発のエネルギーは、系から引き出されて好都合である。この目的で、通常冷却されたディスクとして構成される下部ディスクが、小さなノズルを備えることができ、蒸発のエネルギーを、このディスクの冷却に用いることができる。
【0036】
導入されるすすぎ剤の種類は、予想される汚染物の性質及び量、浄化されている材料の性質、及び定められた目的による。
【0037】
例えば、定められた目的が、高密度ポリエチレン(HD-PE)製のミルクボトルからの移行物を浄化することならば、適正な処理温度及び必要な真空を作ることに加えて、強められた浄化のための水又は空気を導入することが有益である。水は、少量噴霧して導入され、処理条件下で蒸気又はガスになる。水の使用は、HD-PE又は他のポリオレフィンの場合には、それらのポリマーは、所定の処理条件、特に高温の下では、水に対して比較的不感受性に反応するので、比較的問題にならない(noncritical)。
【0038】
しかし、決められた目的が、ポリエチレンテレフタレート(PET)フレークからの移行物の浄化である場合、及びPETの材料特性が、維持又はさらに向上されなければならない場合には、高温の水又は水蒸気は、PETの分子鎖の分解を引き起こすことがあるので、水は、考えられる限りでは、好ましくない媒体である。空気又は酸素も、望ましくない酸化変色を引き起こすことがある。この理由で、この場合には、不活性ガス又はポリマーに対する影響のない液体が好ましい。さらに、エチレングリコール又はジエチレングリコールが、時折生じる重縮合の間に生成する。これらの生成物はまた、より容易に取り除かれる。もちろん、前提条件は、すすぎ媒体に水分がないこと、例えば、乾燥した窒素である。
【0039】
さらに、例えば、重合過程におけるリサイクル品の再利用の間、PETの粘度の目標とする影響及び同時に移行物の除去が望ましい決められた目的もある。この場合、分子鎖の分解が、実際に望ましく、例えば、水は、加速された移行物質の除去とともに分子鎖の分解ももたらすので、水は、好ましいすすぎ媒体であることが証明されている。
【0040】
しかしながら、すすぎ媒体の主な目的は、ポリマー粒子の表面からの移行物の分離と、それに続く移行物の除去である。
【0041】
他の有益なプロセスによれば、すすぎ媒体は、少なくとも1メートル/分の速度で、受容タンクに入る又は浄化されている材料にぶつかる。特に第二の工程、すなわち、汚染物の材料の表面からの分離も、流れる媒体の速度又はすすぎ媒体が表面にぶつかる速度に依存することが分かった。このようにして、汚染物の分離は、多かれ少なかれ物理的に強制されており、汚染物は、それらを流れ過ぎるすすぎ媒体によって伴出される。この効果は、分あたり少なくとも1メートル、又は多くの場合に既に約0.8若しくは0.9メートル/分のすすぎ媒体の限界速度で生じる。そのため、すすぎ媒体が、斯かる接近速度又はより高速で浄化されているポリマー粒子にぶつかると、温度のために、既にフレークの表面に移行している大量の汚染物が、運び去られすすぎ媒体の流れの中に取り込まれる。
【0042】
他の有益なプロセスによれば、受容タンクに入るすすぎ媒体の量は、ガス状のすすぎ媒体の場合では、時間あたりの材料スループットのキログラムあたり、時間あたり0.1〜4.7 Nm3 (規定立方メートル Vn)、好ましくは1〜3 Nm3の範囲であり、蒸発前の液体のすすぎ媒体の場合では、受容タンクに入るすすぎ媒体の量は、時間あたりの材料スループットのキログラムあたり、時間あたり0.0001〜0.08リットル、好ましくは0.003〜0.05リットルの間の範囲である。通例、不完全真空(partial vacuum)は、2〜20又は50ミリバールの範囲である。このプロセスは、これらの範囲において、特に効率的に迅速に経済的に行うことができる。
【0043】
他の有益なプロセスによれば、受容タンクに入るすすぎ媒体の量は、ガス状のすすぎ媒体の場合では、時間あたりの材料スループットのキログラムあたり、時間あたり0.050 Nm3以下、好ましくは0.001〜0.047 Nm3 (規定立方メートル Vn)、好ましくは0.001〜0.030 Nm3の範囲であり、蒸発前の液体のすすぎ媒体の場合では、受容タンクに入るすすぎ媒体の量は、時間あたりの材料スループットのキログラムあたり、時間あたり0.0001〜0.08リットル、好ましくは0.003〜0.05リットルの間の範囲である。通例、不完全真空(partial vacuum)は、2〜20又は50ミリバールの範囲である。このプロセスは、これらの範囲において、特に効率的に迅速に経済的に行うことができる。
【0044】
本発明の方法は、連続的に進行するのが好ましく、汚染除去される材料が受容タンクに連続的に導入され、ある一定の滞留時間の後、材料は、例えば、送り出しウォーム(delivery worm)、押出機、又は他の処理タンクへ向けてもう一度取り出され、すすぎ媒体も、連続して流入して取り出される。
【0045】
すすぎ媒体が、受容タンク、特に円筒状の受容タンクの底面を通って導入されると、特に効率的である。
【0046】
受容タンク内のフレークは、回転する混合渦中で渦を巻くため、材料は、しばしばすすぎ媒体用の入口開口をなでるように通りすぎる。入口開口は、比較的小さいのが有益である。そのため、この場所における材料は、ここですすぎ媒体にぶつかられ、汚染物は分離してガス流に取り込まれる。この後、粒子は、前方に移動し、次の粒子が、すすぎ媒体の流れの流入領域に入る。このようにして、大量の粒子が、所定の時間内に、すすぎ媒体の速度又は局所流が1m/分超であるその場所又はその強調された入口領域を通り過ぎる。入口ノズルからより離れた容器の別の領域では、速度が減少するかどうかは、分離が既に生じているので、二次的な問題である。
【0047】
変更形態が、特にすすぎ媒体の必要最低限の速度に達するのを確実にするため、すすぎ媒体が、1〜3 mmの直径を有するのが好ましい少なくとも一つのノズル、必要であれば単一のノズル、例えばニードルノズルによって導入されることを特徴としている。ノズルの開放面積(open area)は、70 mm2以下で、好都合である。
【0048】
詰まりを防止するため、しばしば、そらせ板が入口開口の前に配置される。これは、すすぎ媒体が粒子に直接ただちにぶつかるのを妨げるであろうから、本件の場合には必要でも有益でもない。そのため、受容タンクにおけるすすぎ媒体のための入口開口は、できるだけ覆われていず、すすぎ媒体の流れをそらせる又はその速度を低下させる覆いがないようにすべきである。
【0049】
特にポリマー材料を処理する場合には、フレークが単独で緩いままであるのが有益である。これだけが、材料の大きな全体の表面を確保するからである。この理由で、ポリマー材料を処理する場合には、処理が、ガラス転移温度より上で溶融範囲より下の温度、好ましくは材料が軟化状態で存在する温度、好ましくはビカー軟化点(DIN 306、A、10N、50 K/hによる)の範囲で行われるのが有益である。このようにして軟化された粘着性のフレークは、絶え間ない運動と混合により、単独で自由に流動可能であり、一緒に焼け付いて小さな表面を有する堅く締まった塊になるのが防止される。
【0050】
一つの有益なプロセス制御によれば、受容タンクの上流又は下流に少なくとも一つの他の受容タンク又は前処理タンクを追加すること、及び材料を連続的に全ての受容タンクを通って進行させることが可能である。本発明の方法は、各々の受容タンクで行うのが好ましく、プロセス制御も変えることができる。材料及び予想される汚染物に適合した適切なパラメーターの選択により、さらにより良い毒性除去の効率を得るため、異なる種類及び/又は異なる量のすすぎ剤を、複数のタンクにおいて用いることができる。したがって、例えば、幾つかの汚染物を同時に十分に除去するために、複数の受容タンクにおいて異なる極性のすすぎ剤、例えば、前処理タンクにおいて極性のすすぎ媒体を主処理タンクにおいて非極性のすすぎ媒体、又はその逆、を用いるのが有益である。このための有益な装置が、例えば、国際公開(WO) 第03/103915号に記載されている。国際公開(WO) 第03/103915号の図面及び明細書に示されているこの装置は、参照することにより、本願に含まれている。
【0051】
これに関連して、前処理タンクとそれに連結された主処理タンクを備えることが特に有益であり、その際、前述の請求項の一つによる方法が、二つのタンクの各々で実施される。主処理タンク内の温度が、前処理タンク内の温度よりも高い場合及び/又は主処理タンク内の圧力が、前処理タンク内の圧力よりも低い場合に、特に有効な毒性除去が達成される。
【0052】
さらに、本発明によれば、ガス供給手段が、すすぎ媒体を、少なくとも1メートル/分の速度で受容タンクに導入することができるように構成され、受容タンク及び真空ポンプが、真空を受容タンクにおいて絶えず100ミリバールよりも低く維持することができるように構成され又は構造的に設計されている特殊な装置が特定され又はその装置により問題が解決する。本発明の方法は、斯かる装置を用いて迅速かつ容易に実施することができる。
【0053】
本発明の装置は、市販の装置、例えば、エレマ社(firm Erema)からのVacurema(登録商標) Basic、Advanced又はPrimeの名称の下に入手可能な装置に、基本的に基づいている。例えば、ヨーロッパ特許(EP) 第 2 117 796号において特定されている装置を用いることができる。ヨーロッパ特許(EP) 第 2 117 796号において提案されその明細書で具体的に説明されているこの装置は、参照することにより本願の内容に取り込まれている。
【0054】
本発明の方法では、汚染物を分離し、取り込み又は運んで行くことのできるすすぎ媒体が、下から、すなわち、稼働の際にカッターコンパクタ内に位置する材料の高さよりも下の領域又はカッターコンパクタの内部に発生する混合渦の材料の高さよりも下の領域で導入される。汚染物がいっぱいの、場合によっては汚染物で飽和しており、しかもガス状のすすぎ媒体が、稼働の間カッターコンパクタ内に位置する材料の高さよりも上又は混合渦の材料の高さよりも上の領域で、カッターコンパクタから取り出される。このようにして強制流動が形成され、すすぎ媒体は、材料の少なくとも部分的な領域を流れて通る。
【0055】
すすぎ媒体の供給手段は、受動供給手段として、例えば、単なる貫通開口部として構成することができ、この貫通開口部を通って、ガスが純粋に受け身の態様で、例えば部分真空によって、カッターコンパクタの内側に吸引される。しかし、供給手段は、ノズルなどの能動供給手段として構成することもでき、この能動供給手段を通して、過剰圧力を用いて、例えばポンプ、送風機などにより、ガスを能動的に吹いて、噴霧して又はポンプで送って受容タンクの内部に入れることができる。
【0056】
供給手段は、一方で、特に、カッターコンパクタの底面における一以上のノズルであって、最も下の下部混合部材の下で底面の半径の最も内側の三分の一の内側にあるノズルの形態に構成することができる。供給手段が底面に形成されると、すすぎ媒体の下からの吹き込みが、サンプ(sump)のある一定のゆるみももたらし、これが、さらにより良い材料の処理と毒性除去を確実にする。
【0057】
供給手段は、個々の単一の開口として又は混合部材の駆動シャフトを貫通させるために底面の回りにほとんど連続的に延びる環状のスロット開口の形態で、構成することができる。
【0058】
底面の開口の代わりに又はそれに加えて、供給手段は、カッターコンパクタの側壁に配置することもでき、その際、供給手段が、常に材料の高さよりも下であることに注意を払う。有益なのは、カッターコンパクタの全体の高さの下から三分の一の領域、特に底に近い下部の又は一番下の混合部材より下の領域にある供給手段の位置である。
【0059】
上下に配置された幾つかの混合部材を有する装置では、プロセス制御が、供給手段を、最も上の混合部材と最も下の混合部材との間に配置させ、又はそれらを、各々の二つのディスク又は混合部材の間に形成された空間に注ぎ込ませると有益である。このようにして、材料はすすぎ媒体の流れに十分に曝され、この流れは、混合部材による混合とともに有益に働く。
【0060】
有益なことに、供給手段は、支持ディスク又は混合部材の縁の領域に流れ込んでいるのではなく、特に、受容タンク内の各々の二つの支持ディスク又は混合部材の間の領域に流れ込んでいる又はそれらはそこに配置されており、その際、供給手段は特に各々の二つの支持ディスク又は混合部材の間の真ん中に配置されている。
【0061】
これに関連して、少なくとも上部支持ディスクに開口(breakthroughs)が形成されているのが特に好ましい。このようにして、汚染物を、混合部材の間の領域から効果的に取り除くことができるからである。
【0062】
供給手段が、回転する材料粒子が側壁に最大の圧力をかけるタンクの側壁の領域に形成される場合には、供給手段は、能動供給手段として、この圧力に対抗して、すすぎ媒体を圧力によってタンクの内部に送り込まなくてはならない。
【0063】
ガス供給手段も、側壁における個々の単一の開口として構成することができる。しかし、それらは、外周に沿って延びる環状の隙間の形態に構成することもできる。
【0064】
これまで述べた可能な構成の代わりに又はそれに加えて、供給手段を、混合部材のうちの少なくとも一つに又は支持ディスクに配置することもできる。底面に最も近い下部混合部材に又は下部支持ディスクに配置する構成が、有益である。供給手段が、混合部材又は支持ディスクに配置される場合には、供給手段を、底面に面する側に形成するのが有益である。
【0065】
さらに、供給手段を、支持ディスク又は混合部材の近くに配置するのが有益であり、支持ディスクが回転する際に、支持ディスクを追走する混合部材の縁の近くに、又は開口(breakthrough)の近くに配置するのが有益である。このようにして、汚染物の効果的な除去を確実にすることができる。
【0066】
横方向の流れ、すなわち、側壁から側壁への流れで、すすぎ媒体が材料を通って流れることも、同様に可能であるが、幾分か費用が高くなる。しかし、あり得る再凝縮を防止する必要他ある場合には有益である。理論的には、すすぎ剤の上からの供給も可能である。
【0067】
供給及び除去を調節するため、供給手段は、少なくとも部分的に可動で制御可能であるのか好都合である。作動部材又は弁が、すすぎ剤の量を好都合に制御する。作動部材は、真空の計測によって制御することができる。これは、十分な拡散勾配を得るためには、真空を維持する必要があるので、有益である。
【0068】
本発明にしたがって、すすぎ剤が、真空気密な受容タンクに導入されると、浄化効果を高めることができ、処理時間を短くできることが実験で示された。すすぎ剤が、実際に材料を流れて通り抜け、同時に真空がさらに維持されることも重要である。
【0069】
これより、本発明を、特に有益な実例の実施の形態により説明するが、限定として受け止めるべきではない。
【0070】
特に、以下の方法の実施例も実施される好ましい装置が、図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】一段式装置を示している。
【図2】一つの前処理タンクを備えた二段式装置を示している。
【図3】二つの前処理タンクを備えた二段式装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、一段式装置を示しており、この装置の設計は、Vacurema(登録商標) Basicの設備からの借用であるが、すすぎ媒体のための供給開口2が形成されているのが異なる。この装置は、真空ポンプで排気することができ、最下部領域で一軸スクリュー押出機4に連結されている受容タンク又は真空反応器又はカッターコンパクタ1からなっている。リサイクルをする汚染されたフレークは、真空スルース6を通って上から受容タンク1内に到着し、そこで、垂直方向の軸の回りに回転可能に駆動される混合及び攪拌部材3により、加熱され、軟化されるが、溶融はされず、絶えず動かされ、混合され粉砕される。同時に、すすぎガスが、底に位置する供給開口2を通って下から導入され、材料又は混合渦通って流され、上部において吸引開口7を通ってもう一度取り出される。このようにして、本発明の方法は、受容タンク1内で行われ、汚染除去及とそれと同時の乾燥、結晶化、及び固有粘度の上昇を達成する。適切な滞留時間の後、真空を維持しながら、材料は押出機4の取り入れ帯域に強制供給され、そこで材料は溶融された後、濾過されさらに処理される。
【0073】
図2は、設計がVacurema(登録商標) Advancedの設備からの借用である設備を示している。ここでは、図1のタンクと同様に構成された二つの受容タンク1、1’があるか、又は排気可能な前処理タンク1’が、排気可能な主処理タンク1の上流から連結されており、前処理タンク1’では、浄化しリサイクルをする原材料が、初めに導入され本発明方法により処理される。適切な滞留時間の後、材料は、真空下に非圧縮式の排出ウォーム5によって前処理タンク1’から取り出されて主処理タンク1に送られ、そこで、材料は、特に変更されてはいるがなおも本発明にしたがっている条件下で、再び本発明の処理を受けた後、材料は、図1と同様に仕上げられる。
【0074】
図3は、設計がVacurema(登録商標) Primeの設備からの借用である設備を示している。ここでは、図1のタンクと同様に構成された三つの受容タンク1、1’、すなわち、排気可能な主処理タンクと主処理タンク1の上流から連結された二つの前処理タンク1’がある。二つの前処理タンク1’は、互いに並列に切り替えられ、互いに同時に又は交互に、バッチ操作で不連続的に作動され、又は交互にしたがって連続的に下流の主処理タンク1を充填する。全ての三つのタンク1、1’には、本発明の方法が、各々のタンク1、1’内で、場合により異なるパラメーターで、実施することができるよう、すすぎ媒体のための供給開口2が備わっている。
【0075】
そのほか、図2及び図3の前処理タンク1’に、すすぎガスが導入されない又は導入することができないこと、及びそれらが伝統的な態様で作動されることを規定することができる。しかしながら、主処理タンク1では、本発明の方法によるすすぎガスの導入が、どの場合にも行われる。
【0076】
以下の方法の実施例は、ここで説明した装置を用いて行われた。
実施例1:
一段処理Vacurema(登録商標) Basicでの高密度ポリエチレン(HD-PE)ミルクボトルの浄化
以下の効果が、最初に改造した一段式Vacurema(登録商標) Basic設備を用いて従来の洗浄プラントで洗浄されたミルクボトルからのHD-PEフレークの処理において得られた。
【0077】
例えば、Tポリマー=115℃の稼働点、タンク内の圧力p=10ミリバール、滞留時間=60分及びトルエン又はクロロホルム等の或るメーカーの薬品に関して約92.3%の浄化効率とすると、すすぎ媒体、すなわち、時間あたりの材料のキログラムあたり、時間あたり0.003リットルの水が導入されると(材料のスループットは、時間あたり約300〜350 kgのPEであった)、このすすぎ媒体は、タンク内で蒸発し、浄化効率は98.2%に上昇する。このプロセスにおいて、真空は、約20〜25ミリバールへと低下するが、なお十分である。
実施例2:
二段処理Vacurema(登録商標) Advancedでの高密度ポリエチレン(HD-PE)ミルクボトルの浄化
最初に従来の洗浄プラントで洗浄された高密度ポリエチレン(HD-PE)ミルクボトルが、改造されたVacurema(登録商標) Advancedシステム(図2)で処理され、それらの中に拡散していた毒素が除去される。この装置は、前処理タンク1’と下流に連結された主処理タンク1からなる。両方のタンク1、1’は、真空下で稼働され、すすぎガスを送り込むことができる。
【0078】
前処理タンク1’には、冷たく乾燥した状態の予め浄化され粉砕された高密度ポリエチレン(HD-PE)フレークが、少量のバッチで、スルース6を通して連続的に導入される(材料のスループット:1000 kg/時間)。絶え間ない攪拌下、フレークは、真空下に機械的に加熱される。フレークが粘着する又は塊になるのを防止するため、温度がビカー温度より下又はビカー温度近くに維持される。フレークは、前処理タンク1’内で流体として挙動し、絶え間ない攪拌下にタンクを通り抜け、平均滞留時間は50分であり、タンクの下部領域において約90〜115℃の温度が、得られる。同時に、約1〜30ミリバールの真空が、維持される。最適条件下、特に最小残留水分などの下では、真空が時折1ミリバール未満にさえ低下することがある。
【0079】
ここで、この第一のタンク1’における目的は、フレーク内に拡散していた毒素を、少なくとも表面に近いフレークの領域から取り除くことである。
【0080】
この目的で、時間あたりの材料のキログラムあたり、時間あたり約0.01〜0.03リットルの水が、ニードルノズル2によって、約2 m/分の流速で、タンクの下部領域内にスプレーされ、この水は、ただちに蒸発して向流原理(counterflow principle)で運動している材料によって運ばれる。吸い出し点は、タンクの天井に位置している。タンク内の水の蒸発は、体積の急激な増大につながる。真空は、約10〜30ミリバールに低下する。
【0081】
次いで、材料は、スルース又は搬送手段5を通って主処理タンク1へと移送される。ここで、更なる処理が、異なる条件下で行われる。
【0082】
詳細には、二つのタンク内では、以下の状態が生じている。
前処理タンク:
材料=101℃
p=29ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.02リットル/時の量の水
流速:約2m/分
主処理タンク(反応器):
T材料=123℃
p=3ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.0033規定立方メートル(Nm3)の量の空気:時間あたり1000kgのPEの材料スループットに関して時間あたり3.36規定立方メートル(Nm3)の量のすすぎ空気又は上記条件下での1650m3/時に対応
流速:約2m/分
或るメーカーの薬品、例えば、トルエン及びクロロベンゼンに関する浄化効果は、本発明の方法のおかげで、トルエンについては94.5%(すすぎ媒体を使用せず)から99.8%に、クロロベンゼンについては93.7%から99.8%に上昇した。
実施例3:
空気−水の比較
ここでは、すすぎ媒体として、実施例2の主処理タンク1における空気が、水に取り替えられ、その結果、主処理タンク1内の条件が、以下のように変わった。
主処理タンク(反応器):
T材料=124℃
p=5ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.0032リットル/時の量の水:上記条件下で、材料スループットkg/時あたり、時間あたり約1800 m3の量の蒸気に対応
流速:約2m/分
材料中の薬品であるトルエン及びクロロベンゼンを検出することは、もはや不可能であった。それらは、検出の限界未満に下がっていた。
実施例4:
ポリプロピレンボトルの浄化
ポリプロピレン(PP)ボトルが、実施例2と同様に、以下の条件下で処理された。
前処理タンク:
材料=122℃
p=35ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.0028リットル/時の量の水:上記条件下で、材料スループットkg/時あたり、時間あたり約2640 m3の量の蒸気に対応
流速:約2m/分
主処理タンク(反応器):
T材料=135℃
p=3ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.0012リットル/時の量の水:上記条件下で、材料スループットkg/時あたり、時間あたり約1900 m3の量の蒸気(=1000 kgのポリプロピレン(PP)/時あたり、時間あたり1900 m3の蒸気)に対応
流速:約2m/分
リモネン含有量を、浄化工程の前と後で分析した。未浄化のポリプロピレン(PP)フレークの個々の値は、ヘッドスペース探知システムの約32544〜46800の検出器カウントの範囲であった。すすぎ剤を使用しないと、約5200〜8900のカウントであることが分かった。本発明によるするすすぎ剤を使用すると、処理をした材料におけるこれらの値は、1250〜1500カウントに低下した。
実施例5:
高密度ポリエチレン(HD-PE)ミルクボトルの浄化
実施例2にしたがって本方法を実施したが、前処理タンク及び主処理タンクの両方において、60分の滞留時間を用いた。リモネンで汚染された高密度ポリエチレン(HD-PE)フレークを使用した。長期間の実験で、汚染除去の進行を監視するため、3000個のサンプルが、連続的に取り上げられた。
【0083】
最初(サンプル200個まで)は、フレークは、単なる真空下で、すすぎ剤なしで処理され、その結果、平均リモネン含有量が、約1.2 ppmに減少し、そのあたりを上下した。
【0084】
この後、ほかの点では変わらない条件で、複数のすすぎ剤が添加された。言い換えれば、前処理タンク1’における水と主処理タンク2における空気との組み合わせた使用によるものである。200個のサンプルから先は、以下の条件下に、すすぎ剤が両方のタンクに添加された。
前処理タンク:
材料=104℃
p=22ミリバール
すすぎ媒体:材料スループットkg/時あたり0.045リットル/時の量の水:上記条件下で、時間あたり約1000kgのPEの材料スループットに関して、約43 m3/分の量のすすぎガス(蒸気)に対応
流速:約2m/分
主処理タンク(反応器):
T材料=121℃
p=5ミリバール
すすぎ媒体:上記条件下で、材料スループットkg/時あたり2.3m3の空気:上記条件下で、時間あたり1000kgのPEのスループットに関して、時間あたり2300 m3の量のすすぎ空気(約7.86規定立方メートル/時(Nm3/h))に対応
流速:約2m/分
平均リモネン含有量は、その結果、約0.25 ppmに減少し、そのあたりを上下した。実験の進行は、以下のグラフから分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料、特に熱可塑性材料の処理及び毒性除去並びに汚染物又は不純物の材料からの除去方法において、材料が、少なくとも一つの受容タンク(1)において真空下に加熱され、混合され、場合により粉砕され、すすぎ媒体が、材料の高さの下で、受容タンク(1)に導入され、材料の少なくとも部分的な領域を通過し、汚染物でいっぱいになった又は飽和したすすぎ媒体が、もう一度受容タンク(1)から運び出される方法であって、受容タンク(1)に導入されるすすぎ媒体の量が、ガス状のすすぎ媒体の場合には、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり5 Nm3未満、特に0.1 Nm3 (DIN 1343による規定立方メートルVn)未満であり、液体のすすぎ媒体の場合には、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり0.1リットル未満である一方、同時に受容タンク(1)内の真空が、100ミリバールより下に絶えず維持されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
真空が、50ミリバールより下、特に10〜20ミリバールの間、好ましくは2ミリバールより下に永続的に維持されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
すすぎ媒体が、ガス状の物質、特に空気、二酸化炭素、蒸気、不活性ガス例えば窒素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
受容タンク(1)に入った直後に蒸発する液体、特に水が、すすぎ媒体として用いられることを特徴とする請求項1〜3の一つに記載の方法。
【請求項5】
すすぎ媒体が、極性又は非極性であることを特徴とする請求項1〜4の一つに記載の方法。
【請求項6】
すすぎ媒体が、受容タンク(1)に入る前に、特に受容タンク(1)内の温度まで、加熱及び/又は乾燥されることを特徴とする請求項〜5の一つに記載の方法。
【請求項7】
すすぎ媒体が、少なくとも1メートル/分の速度で、受容タンク(1)に入る又は浄化されている材料にぶつかることを特徴とする請求項1〜6の一つに記載の方法。
【請求項8】
受容タンク(1)に入るすすぎ媒体の量が、ガス状のすすぎ媒体の場合には、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり0.050 Nm3未満、特に0.001〜0.047 Nm3(規定立方メートルVn)、好ましくは0.001〜0.030 Nm3の範囲であり、蒸発前の液体のすすぎ媒体の場合には、時間あたりの材料のキログラム又は材料スループットあたり、時間あたり0.0001〜0.08リットル、好ましくは0.003〜0.05リットルの間の範囲である請求項1〜7の一つに記載の方法。
【請求項9】
スループット又は材料とすすぎ媒体の受容タンク(1)への添加と受容タンクからの取り出しが連続的であることを特徴とする請求項1〜8の一つに記載の方法。
【請求項10】
すすぎ媒体が、受容タンク(1)、特に円筒状の受容タンクの底面を通して導入されることを特徴とする請求項1〜9の一つに記載の方法。
【請求項11】
すすぎ媒体が、好ましくは1〜10mmの直径を有する、特に70mm2以下の開放面積を有する少なくとも一つのノズル、必要ならば単一のノズル、例えばニードルノズルによって導入されることを特徴とする請求項1〜10の一つに記載の方法。
【請求項12】
ポリマー材料、特に熱可塑性材料を処理する時に、ガラス転移温度より上で溶融範囲よりも下の温度、好ましくは材料が軟化した状態で存在する温度、好ましくは材料がビカー軟化点(DIN 306、 A、 10N、 50 K/hによる)の範囲にある温度で、処理が行われることを特徴とする請求項1〜11の一つに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一つの別の受容タンク(1’)が、受容タンク(1)の上流又は下流から追加され、材料が、全ての受容タンク(1,1’,…)を相次いで通り抜け、その際、先行する請求項の一つによる方法が、各々の受容タンク(1,1’,…)において、特に異なるすすぎ剤及び異なるすすぎ剤の量を用いて、実施されることを特徴とする請求項1〜12の一つに記載の方法。
【請求項14】
単一の前処理タンク又は並列に切り替えられる二つの前処理タンク並びにそれに連結された主処理タンクが設けられ、その際、先行する請求項の一つによる方法が、主処理タンクにおいて、好ましくは各々の二つの前処理タンクにおいても実施され、特に主処理タンク内の温度が前処理タンク内の温度よりも高く及び/又は主処理タンク内の圧力が前処理タンク内の圧力よりも低いことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
先行する請求項の一つによる方法を実施するための装置であって、少なくとも一つの受容タンク又はカッターコンパクタ(1)を備え、受容タンク又はカッターコンパクタ(1)は、特に基本的に漏斗形又は円筒状のものであり、特に底面(3)及び側壁(2)を有するものであり、真空ポンプによって排気することができ、受容タンク又はカッターコンパクタ(1)内には、少なくとも一つの混合部材(12、21)、特に垂直方向の軸(8)の回りに回転することのできるものが配置され、混合部材は、受容タンク(1)の内部に存在する処理されている材料、特に断片状又は粒状の材料、特に溶融していないポリマー粒子などの形態のプラスチック材料を動かし又は回転させ、この材料を、混合し、加熱し場合により粉砕し又は材料に作用し、その際、受容タンク(1)において、稼働の間受容タンク(1)内に位置する材料の高さの下又は稼働の間に形成する混合渦の材料の高さの下に、すすぎ媒体の受容タンク(1)の内部への進入のため、少なくとも一つの、特にノズルの形態の、ガス供給手段が、形成又は連結されている装置であり、ガス供給手段が、すすぎ媒体を少なくとも1メートル/分の速度で受容タンク(1)に導入することができるよう構成され、受容タンク(1)及び真空ポンプが、受容タンク(1)内の真空を絶えず100ミリバールより下に維持することができるように構成され又は構造的に設計されていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−517160(P2013−517160A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549207(P2012−549207)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/AT2011/000028
【国際公開番号】WO2011/088488
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(503433958)エレマ エンジニアリング リサイクリング マシネン ウント アンラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトフング (27)
【Fターム(参考)】