説明

分光透過率可変素子を備えた分光イメージング装置及び分光イメージング装置における分光透過率可変素子の調整方法

【課題】分光透過率可変素子を備えた分光イメージング装置を提供する。
【解決手段】波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有し該周期を変化可能で被観察物体からの光を複数のピーク波長を有する光にする分光透過率可変素子1と、複数のピーク波長を有する光から使用者が指定した指令波長近傍のピーク波長を含む撮像用の光と該指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を含む校正用の光にする光抽出手段3と、被観察物体の像を撮影する撮像素子5と、校正用の光から指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を検出する検出器8と、検出された指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長から指令波長近傍のピーク波長を算出し、該算出したピーク波長と指令波長のずれを算出し該ずれに基づいて周期の調整量を決定する演算処理部9aと該調整量に基づいて分光透過率可変素子を駆動させ周期を変化させる駆動処理部9bを含む制御手段9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光透過率可変素子を備えた分光イメージング装置、及び、分光イメージング装置における分光透過率可変素子の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有し、その変動周期を変化させることができ、入射又は反射した光を複数のピーク波長を有する光に変換する分光透過率可変素子が、画像観察や光通信などの分野で用いられている。
【0003】
そして、そのような分光透過率可変素子を用いた装置としては、例えば、特許文献1に記載されているような光通信システムや、特許文献2に記載されているような画像観察装置が知られている。
【0004】
この特許文献1の光通信システムや特許文献2の画像観察装置には、分光透過率可変素子として、ファブリペロー・エタロンが用いられている。そのファブリペロー・エタロンとは、光の干渉を利用するものであり、対向するように配置された一対のミラー面の間隔を変化させることによって、透過又は反射し得る光の波長を変化させることができるものである。
【0005】
そのようなファブリペロー・エタロンのミラー面は、通常、石英などの光学基板の上にコーティングを施すことによって形成される。しかし、実際には、製造誤差の無い完全にフラットな光学基板を作製することはできない。また、コーティングを施す際に、光学基板に対して発生する応力により基板が歪んでしまうことがある。このように、一対の光学基板、すなわち、対向する一対のミラー面には、必ず歪みが生じている。さらに、エタロンの使用環境によっては、作製後の光学基板やミラー面に歪みが生じることもある。
【0006】
そして、対向する一対のミラー面のいずれか一方にでも歪みが生じていると、局所的にそれらの面間隔に違いが生じ、部分ごとに干渉距離が異なってしまう。その結果、そのエタロンの透過又は反射し得る光の波長が場所によって異なってしまい、所望の分光透過率特性が得られないことになる。
【0007】
また、仮にミラー面自体に歪みが生じていないとしても、対向する一対のミラー面の平行度が低い場合には、局所的に対向する一対のミラー面の間隔に違いが生じるため、同様に、部分ごとの干渉距離が異なり、そのエタロンは、所望の分光透過率特性が得られないことがある。
【0008】
そこで、特許文献1の光通信システムや特許文献2の画像観察装置では、使用する際に、エタロンの分光透過率特性の校正を行い、そのずれを認識するとともに、そのずれを解消するための調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平09−186673号公報
【特許文献2】特開2005−308688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の光通信システムでは、送信用の光の光路と独立して設けられた校正用の光の光路において校正を行う構成となっている。
【0011】
しかし、特許文献1の光通信システムにおいてこのような構成を採用できるのは、光通信に関する用途において必要とされるエタロンの口径が数十〜数百μm程度であり、エタロンの製造誤差の影響がそれほど問題とならないためである。つまり、必要とされるエタロンの口径が数mm以上である分光イメージング装置においては、エタロンの製造誤差が大きく影響してしまうため、このような構成を採用しても、正確な校正を行うことができないという問題があった。
【0012】
一方、特許文献2の画像観察装置では、同一の光路で校正と撮像を行っているため、エタロンの製造誤差が校正に影響を及ぼさない。
【0013】
しかし、特許文献2の画像観察装置のような構成の場合、光路が同一であるため、校正を撮像と同時に行うことは困難であるという問題があった。また、校正を撮像と同時に行わず別個に行った場合には、校正を行った後、実際に撮像を行う際に、すでに分光透過率特性にずれが生じていても、そのずれを認識することができず、結果として、正確な校正が行えないという問題があった。さらに、校正と撮像とを同時に行うと、校正に用いる光の波長帯域と撮像に用いる光の波長帯域とが同一であるため、撮影している画像の画質が低下するなどの影響が生じてしまうという問題があった。
【0014】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、任意のタイミングで高精度な校正を行うことができる分光透過率可変素子を備えた分光イメージング装置、及び、任意のタイミングで高精度に行うことができる分光イメージング装置の分光透過率可変素子の調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有していて該変動周期を変化させることができ被観察物体からの光を複数のピーク波長を有する光に変換する分光透過率可変素子と、前記複数のピーク波長を有する光から使用者が指定した指令波長近傍のピーク波長を含む撮像用の光と該指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を含む校正用の光とを抽出する光抽出手段と、前記撮像用の光により形成される前記被観察物体の像を撮影する撮像素子と、前記校正用の光から前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を検出する検出器と、前記検出器により検出された前記校正用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長から前記撮像用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長を算出し該算出した前記指令波長近傍のピーク波長と前記指令波長とのずれを算出し該ずれの量に基づいて前記変動周期の調整量を決定する演算処理部と該調整量に基づいて前記分光透過率可変素子を駆動させて前記変動周期を変化させる駆動処理部とを含む制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記光抽出手段が、ダイクロイックミラーであることが好ましい。
【0017】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記光抽出手段が、前記分光透過率可変素子を透過した光の光路上に配置されたビームスプリッターと、該ビームスプリッターにより分割された一方の光の光路上に配置されていて前記撮像用の光のみを透過するフィルターと、該ビームスプリッターにより分割された他方の光の光路上に配置されていて前記校正用の光のみを透過するフィルターとにより構成されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記光抽出手段が、前記分光透過率可変素子の前記撮像装置側に配置されていて前記分光透過率可変素子を透過した光から前記撮像用の光のみを透過するフィルターと、前記分光透過率可変素子と前記被観察物体との間に配置されていて前記被観察物体からの光を透過し前記分光透過率可変素子で反射された光を反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーからの光のうち前記校正用の光のみを透過するフィルターとにより構成されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記校正用の光の含むピーク波長を含み前記撮像用の光の含むピーク波長を含まない波長帯域の光を発する校正用光源と、前記被観察物体と前記分光透過率可変素子との間に配置されていて前記校正用光源からの光の光路を前記被観察物体からの光の光路と合成する光路合成手段とを備えていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができることが好ましい。
【0021】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接するピーク波長であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の分光イメージング装置は、校正用光源を備えている場合、前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接し、且つ、該指令波長近傍のピーク波長よりも短波長帯域に存在するピーク波長であり、前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができ、前記校正用光源の発する光が、以下の条件式(1)、(2)を満足することが好ましい。

但し、

であり、mは1以上の整数、λrefは前記校正用光源の波長帯域、λmは前記指令波長近傍のピーク波長、λm+1、λm+2は前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長、λEm-minは前記撮像素子に入射する光の最短波長、FWHMm+1は前記ピーク波長λm+1の半値全幅、Rは前記一対の基板の対向する面の反射率、nは前記一対の基板間の媒質の屈折率、dは前記一対の基板の面間隔、θは前記一対の基板に対する前記被観察物体からの光の入射角である。
【0023】
また、本発明の分光イメージング装置は、前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接し、且つ、該指令波長近傍のピーク波長よりも長波長帯域に存在するピーク波長であり、前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができ、前記校正用光源の発する光が、以下の条件式(1)’、(2)’を満足することが好ましい。

但し、

であり、mは1以上の整数、λrefは前記校正用光源の波長帯域、λmは前記指令波長近傍のピーク波長、λm-1、λm-2は前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長、λEm-maxは前記撮像素子に入射する光の最長波長、FWHMm-1は前記ピーク波長λm-1の半値全幅、Rは前記一対の基板の対向する面の反射率、nは前記一対の基板間の媒質の屈折率、dは対向する前記一対の基板の面間隔、θは前記一対の基板に対する前記被観察物体からの光の入射角である。
【0024】
また、上記の目的を達成するために、本発明の分光イメージング装置の分光透過率可変素子の調整方法は、波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有していて該変動周期を変化させることができ被観察物体からの光を複数のピーク波長を有する光に変換する分光透過率可変素子と、使用者が指定した指令波長近傍の波長帯域の光により前記被観察物体の像を撮影する撮像素子を備えた分光イメージング装置の調整方法において、光抽出手段が、前記分光透過率可変素子を介して変換した複数のピーク波長を有する光から前記指令波長近傍のピーク波長を含む撮像用の光と該指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を含む校正用の光とを抽出し、制御手段が、検出器によって前記校正用の光から検出された前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長から前記撮像用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長を算出し、該算出した前記指令波長近傍のピーク波長と前記指令波長とのずれを算出し、該ずれの量に基づいて前記分光透過率可変素子の前記変動周期を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、任意のタイミングで高精度な校正を行うことができる分光透過率可変素子を備えた分光イメージング装置、及び、任意のタイミングで高精度に行うことができる分光イメージング装置の分光透過率可変素子の調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に用いる分光透過率可変素子の一例であるエタロンの構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1のエタロンの波長に対する透過率特性の一例を示す特性図である。
【図3】実施例1の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図4】図3の分光イメージング装置が備えているエタロンの波長に対する透過率特性の一例を示す特性図である。
【図5】図3の分光イメージング装置が備えているダイクロイックミラーの波長に対する透過率特性を示す特性図である。
【図6】図3の分光イメージング装置が備えている撮像用フィルターの波長に対する透過率特性を示す特性図であり、(a)は第1撮像用フィルターの透過率特性、(b)は第2撮像用フィルターの透過率特性、(c)は撮像用フィルター全体の透過率特性を示している。
【図7】図3の分光イメージング装置が備えている校正用フィルターの波長に対する透過率特性を示す特性図であり、(a)は第1校正用フィルターの透過率特性、(b)は第2校正用フィルターの透過率特性、(c)は校正用フィルター全体の透過率特性を示している。
【図8】図3の分光イメージング装置に入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図9】図3の分光イメージング装置が備えている分光透過率可変素子を透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図10】図3の分光イメージング装置が備えている光抽出手段の撮像用フィルターを透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図11】図3の分光イメージング装置が備えている光抽出手段の校正用フィルターを透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図12】図3の分光イメージング装置が行う処理の手順を示すフローチャート図である。
【図13】使用者が指定した指令波長近傍の波長帯域を示す特性図である。
【図14】図3の分光イメージング装置が備えている撮像素子に入射する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。
【図15】実施例2の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図16】校正用光源の発する光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図17】図15の分光イメージング装置の備えている光抽出手段のハーフミラーの波長に対する透過率特性を示す特性図である。
【図18】校正用光源が光を発していない状態の図15の分光イメージング装置のエタロンに入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図19】校正用光源が光を発していない状態の図15の分光イメージング装置に図18の特性を有する光が入射した場合に、検出器に到達する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。
【図20】校正用光源が光を発している状態の図15の分光イメージング装置のエタロンに入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図21】校正用光源が光を発している状態の図15の分光イメージング装置に図20の特性を有する光が入射した場合に、検出器に到達する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。
【図22】実施例3の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図23】実施例4の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図24】実施例5の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図25】エタロンで反射することにより変換された光の波長に対する強度を示す特性図である。
【図26】実施例6の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図27】実施例7の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【図28】実施例8の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、本発明の分光イメージング装置の実施例の説明に先立ち、本発明の分光イメージング装置が備えている分光透過率可変素子について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明に用いる分光透過率可変素子の一例であるエタロンの構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1のエタロンの波長に対する透過率特性の一例を示す特性図である。
【0029】
本発明の分光イメージング装置に用いられる分光透過率可変素子の代表的なものとしては、エアギャップ式のファブリペロー・エタロンが知られている。そこで、以下においては、そのエタロンを用いて、本発明の分光透過率可変素子についての説明を行う。
【0030】
図1に示すように、エタロン1は、対向するように配置された一対の光学基板1aと、反射コート1bと、静電容量センサ1cと、圧電素子1dとにより構成されている。
【0031】
一対の光学基板1aは、精密に研磨されたガラス等の透明な部材で形成された2枚のプレートを、非常に高い平行度となるように配置したものである。
【0032】
2つの反射コート1bは、一対の基板1aの対向する面上であって、少なくともエタロン1を透過する光束の通過する部分に、互いに対向するようにして、それぞれ形成されている。
【0033】
2つ静電容量センサ1cは、それぞれ電極1c1と電極1c2とからなっており、それらの電極1c1と電極1c2は、一対の対向する光学基板1aの対向する面上であって、エタロン1を透過する光束を遮らない部分に、互いに対向するようにして配置されている。これらの静電容量センサ1cは、それぞれの電極1c1と電極1c2との間の静電容量が面間隔に比例して変化するという特性を有しており、その静電容量を電圧信号に変換して出力するようになっている。
【0034】
複数の圧電素子1dは、一対の対向する光学基板1aの間であって、エタロン1を透過する光束を遮らない部分に取り付けられている。これらの圧電素子1dは、電圧を加えることにより、一対の対向する光学基板1aの対向する面の間隔、すなわち、2つの反射コート1bの面間隔を変化させることができるようになっている。
【0035】
このような構成のエタロン1は、図2に示すように、波長に対して周期的に透過率が大きく変動する分光透過率特性を有している。そのため、エタロン1を透過した光やエタロン1で反射された光は、複数のピーク波長を有する光に変換されることになる。
【0036】
また、このような構成のエタロンの分光透過率特性は、エタロン自体の構成により決定されるという特性を有している。例えば、波長に対する透過率(T)は、反射コートの反射率等により決定される。また、波長に対する透過率の変動周期、すなわち、ピークとなる波長同士の間隔である自由スペクトル領域(FSR)は、2つの反射コートの面間隔等により決定される。さらに、透過率(T)に対する波長の半値全幅(FWHM)は、自由スペクトル領域等により決定される。つまり、図2に示す分光透過率特性は、エタロン1の分光透過率特性の一例に過ぎない。
【0037】
具体的には、このような構成のエタロンの分光透過率特性は、対向する2つの反射コート1b間の媒質の屈折率をn、対向する反射コート1b間の間隔をd、光の入射角をθとすると、次式を満たす波長λmにおいて透過率が最大値となる。
2ndcosθ = mλm
但し、mは1以上の整数である。
【0038】
また、反射コート1bの1面の反射率をRとすると、このような構成のエタロンの透過率(T)は、次式で表わされる。

【0039】
また、このような構成のエタロンの自由スペクトル領域(FSR)は、次式で表される。

【0040】
さらに、このような構成のエタロンの半値全幅(FWHM)は、次式で表される。

【0041】
このため、エタロン1では、圧電素子1dにより、2つの反射コート1bの面間隔を自在に変化させることができるので、自由スペクトル領域を自在に変化させることができる。つまり、エタロン1では、透過率がピークとなる波長を、2つの反射コート1bの面間隔から算出することができる。
【0042】
なお、上述したように、このエタロン1は、本発明の分光透過率可変素子の一例に過ぎない。つまり、本発明の分光透過率可変素子は、このエタロン1のような透過率特性を有するものであれば良い。
【0043】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0044】
図3〜図10を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する
【0045】
なお、図3は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。図4は、図3の分光イメージング装置が備えているエタロンの波長に対する透過率特性の一例を示す特性図である。図5は、図3の分光イメージング装置が備えているダイクロイックミラーの波長に対する透過率特性を示す特性図である。図6は、図3の分光イメージング装置が備えている撮像用フィルターの波長に対する透過率特性を示す特性図であり、(a)は第1撮像用フィルターの透過率特性、(b)は第2撮像用フィルターの透過率特性、(c)は撮像用フィルター全体の透過率特性を示している。図7は、図3の分光イメージング装置が備えている校正用フィルターの波長に対する透過率特性を示す特性図であり、(a)は第1校正用フィルターの透過率特性、(b)は第2校正用フィルターの透過率特性、(c)は校正用フィルター全体の透過率特性を示している。
【0046】
また、図8は、図3の分光イメージング装置に入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。図9は、図3の分光イメージング装置が備えている分光透過率可変素子を透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。図10は、図3の分光イメージング装置が備えている光抽出手段の撮像用フィルターを透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。図11は、図3の分光イメージング装置が備えている光抽出手段の校正用フィルターを透過した光の波長に対する強度を示す特性図である。
【0047】
さらに、図12は、図3の分光イメージング装置が行う処理の手順を示すフローチャート図である。図13は、使用者が指定した指令波長近傍の波長帯域を示す特性図である。図14は、図3の分光イメージング装置が備えている撮像素子に入射する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。
【0048】
まず、図3〜図7を用いて、本実施例の分光イメージング装置の構成について説明する。
【0049】
本実施例の分光イメージング装置は、図3に示すように、エタロン1と、対物光学系2と、光抽出手段3と、結像光学系4と、撮像素子5と、集光光学系6と、ライトガイドファイバー7と、検出器8と、制御手段9とを備えている。
【0050】
分光透過率可変素子であるエタロン1は、対物光学系2から出射される光の光路上に配置されている。
【0051】
このエタロン1は、図1に示したエタロンと同様の構成である。そのため、エタロン1は、図4に示すように波長に対して周期的に透過率が大きく変動する分光透過率特性を有しており、その変動周期、すなわち、透過率がピークとなる波長とその波長同士の間隔である自由スペクトル領域は、一対の光学基板、すなわち、それらに形成された反射コートの面間隔を変化させることにより、任意に変化させることができるようになっている。
【0052】
なお、このエタロン1では、反射コートの面間隔を変化させることにより、透過率がピークとなる波長λmを約500〜580nmの波長帯域内、波長λmよりも短波長帯域でピークとなる波長λm+1を約410〜480nmの波長帯域内で変化させることができるようになっている。なお、波長λmは次数がmであるときの波長である。また、波長λm+1は次数がm+1であるときの波長である。
【0053】
光抽出手段3は、エタロン1から出射される光の光路上に配置されたダイクロイックミラー3aと、ダイクロイックミラー3aを透過し結像光学系4及び撮像素子5の配置された方向へ向かう光の光路上に配置された撮像用フィルター3bと、ダイクロイックミラー3aで反射され集光光学系6の配置された方向へ向かう光の光路上に配置された校正用フィルター3cにより構成されている。なお、撮像用フィルター3bは、第1撮像用フィルター3b1と第2撮像用フィルター3b2とにより構成されている。また、校正用フィルター3cは、第1校正用フィルター3c1と第2校正用フィルター3c2とにより構成されている。
【0054】
なお、ダイクロイックミラー3aは、図5に示すように、撮像用の光を含む波長帯域の光(約490nm以上)のみを透過し、それ以外の波長帯域(約490nm以下)の光を反射する透過率特性を有している。
【0055】
また、撮像用フィルター3bのうち、第1撮像用フィルター3b1は、図6(a)に示すように約500nm以下の波長帯域の光を遮断するような透過率特性を有している。一方、第2撮像用フィルター3b2は、図6(b)に示すように約580nm以上の波長帯域の光を遮断するような透過率特性を有している。そのため、撮像用フィルター3bは全体として、図6(c)に示すように約500〜580nmの波長帯域内の光以外を遮断するような透過率特性を有することになる。なお、この撮像用フィルター3bが透過する光の波長帯域は、エタロン1の透過率がピークとなる波長のうち、長波長帯域の波長λmを変化させ得る波長帯域と略一致するようになっている。
【0056】
また、この光抽出手段3を構成する校正用フィルター3cのうち、第1校正用フィルター3c1は、図7(a)に示すように約410nm以下の波長帯域の光を遮断するような透過率特性を有している。一方、第2校正用フィルター3c2は、図7(b)に示すように約480nm以上の波長帯域の光を遮断するような透過率特性を有している。そのため、校正用フィルター3cは全体として、図7(c)に示すように約410〜480nmの波長帯域内の光以外を遮断するような透過率特性を有することになる。なお、この校正用フィルター3cが透過する光の波長帯域は、エタロン1の透過率がピークとなる波長のうち、短波長帯域の波長λm+1を変化させ得る波長帯域と略一致するようになっている。
【0057】
撮像素子5は、光抽出手段3の撮像用フィルター3bを通過した光により結像光学系4が像を結ぶ位置と撮像面とが一致するように配置されている。なお、この撮像素子5には、不図示の画像表示手段が接続されており、撮影された像は、その画像表示手段に表示される。
【0058】
集光光学系6は、光抽出手段3の校正用フィルター3cを通過した光の光路上に配置されており、その光をライトガイドファイバー7の入射端面に集光する。
【0059】
ライトガイドファイバー7は、検出器8に接続されており、その検出器8に、集光光学系6により集光された光を導く。
【0060】
検出器8は、ライトガイドファイバー7に導かれて入射した光、すなわち、光抽出手段3の校正用フィルター3cを通過した光のピーク波長を検出する。
【0061】
制御手段9は、エタロン1と検出器8とに接続されており、その内部に演算処理部9aと駆動処理部9bとを有している。なお、演算処理部9aは、エタロン1の静電容量センサ1cからの情報と検出器8からの情報を取得して、それらの情報に基づいて演算を行う。また、駆動処理部9bは、演算処理部9aからの指令に基づき、エタロン1の電圧素子1dを駆動させるとともに、エタロン1の静電容量センサ1cからの情報を取得して、フィードバック制御を行う。
【0062】
次に、図3〜図11を用いて、本実施例の分光イメージング装置を通過する光と、その光路について説明する。
【0063】
被観察物体からの光は、対物光学系2により、エタロン1に導かれる。そして、そのエタロン1は、波長に対して透過率が周期的に変動する図4に示すような分光透過率特性を有しているため、エタロン1に入射した被観察物体からの光が図8において斜線で示すような特性を有している場合には、被観察物体からの光は、図9において斜線で示すような複数のピーク波長を有する光に変換され出射される。
【0064】
なお、上述したように、本実施例の分光イメージング装置に用いられているエタロン1は、反射コートの面間隔に応じて、分光透過率特性の自由スペクトル領域が決定される。つまり、エタロン1により変換された光のピーク波長も、反射コートの面間隔に応じて変化する。したがって、図9に示すようなピーク波長を有する光は、このエタロン1により変換された光の一例に過ぎない。
【0065】
そして、エタロン1により変換された光は、光抽出手段3のダイクロイックミラー3aに入射する。そして、ダイクロイックミラー3aは、上述したように、図5に示すような透過率特性を有している。そのため、ダイクロイックミラー3aに入射した光のうち、撮像用の光を含む波長帯域(約490nm以上)の光は透過して撮像素子5方向へ出射され、それ以外の波長帯域(約490nm以下)の光は反射されて検出器8方向へ出射される。
【0066】
ダイクロイックミラー3aを透過した光は、光抽出手段3の撮像用フィルター3bに入射する。この撮像用フィルター3bは、上述したように、全体として図6(c)に示すような透過率特性を有している。そのため、この撮像用フィルター3bを透過して出射された光は、図10において斜線で示すような特性を有する光となる。
【0067】
その後、撮像用フィルター3bを透過した光は、結像光学系4を介して、撮像素子5の撮像面上に像を形成する。その結果、本実施例の分光イメージング装置では、所定の波長帯域の光の強度のみが強い光によって形成された画像が撮影される。そのため、本実施例の分光イメージング装置では、例えば、エタロン1の分光透過率特性を変化させつつ同一の観察範囲の画像を撮影することにより、その観察範囲内のいずれの部分がどのような光を発しているのかを測定することができる。
【0068】
一方、ダイクロイックミラー3aに反射された光は、光抽出手段3の校正用フィルター3cに入射する。この校正用フィルター3cは、上述したように、全体として図7(c)に示すような透過率特性を有している。そのため、この校正用フィルター3cを透過して出射された光は、図11において斜線で示すような特性を有する光になる。
【0069】
その後、校正用フィルター3cを透過した光は、集光光学系6とライトガイドファイバー7とを介して、検出器8へ入射する。その結果、本実施例の分光イメージング装置では、画像を形成する光を含まない波長帯域に存在するピーク波長が検出器8において検出される。
【0070】
ここで、図12のフローチャート図を参照しつつ、図1、図13及び図14を用いて、本実施例の分光イメージング装置の分光透過率可変素子の調整方法とその手順について説明する。
【0071】
例えば、図13で示すような波長λo(555nm)を中心とする一定範囲の波長帯域(550〜560nm)の光が、被観察物体のいずれの部分から発せられているのかを、本実施例の分光イメージング装置を用いて測定するとする。
【0072】
その際、まず、使用者が、指定した波長(指令波長λo)を制御手段9に入力する(ステップ1)と、制御手段9の演算処理部9aは、その内部に備えているルックアップテーブルから、指令波長λoに対応するセンサ出力値(指令電圧Vo)を取得し(ステップ2)、それを駆動処理部9bに送信する。
【0073】
その後、駆動手段9bは、エタロン1の備える静電容量センサの出力値Vsを取得する(ステップ3)。そして、駆動手段9bは、指令電圧Voと静電容量センサの出力値Vsとを比較し(ステップ4)、その値が一致するまで圧電素子を駆動させてエタロン1の反射コートの面間隔を変更する(ステップ5)。そして、指令電圧Voと静電容量センサの出力値Vsとが等しくなった後、検出器8は、そのとき入射している校正用の光から、短波長帯域のピーク波長λm+1を検出する(ステップ6)。
【0074】
ところで、上述したように、エタロン1の透過率がピークとなる波長同士の間隔である自由スペクトル領域は、一対の反射コートの面間隔により算出することができる。すなわち、短波長帯域でエタロン1の透過率がピークとなる波長λm+1と一対の反射コートの面間隔とから、長波長帯域でエタロン1の透過率がピークとなる波長λmを算出することができる。つまり、撮像用の光を直接用いなくとも、校正用の光のピーク波長λm+1から、撮像用の光のピーク波長λmを算出することができる。
【0075】
そこで、次に、制御手段9の演算処理部9aは、エタロン1の静電容量センサから取得した値Vsからエタロン1の一対の反射コートの面間隔を算出し、その算出した面間隔と検出器8で取得したピーク波長λm+1とから撮像用の光に含まれているピーク波長λmを算出する(ステップ7)。なお、このとき、検出器8で取得したピーク波長λm+1と撮像用の光に含まれているピーク波長λmとの関係は、次式で表わされる。

【0076】
その後、演算処理部9aは、その算出した波長λmの値と指令波長λoとを比較する(ステップ8)。
【0077】
このとき、撮像用の光のピーク波長λmと使用者が指定した指令波長λoとが一致するのであれば、図14(a)において斜線で示した部分のように、画像を形成する光の強度は十分に強くなり、十分な光量で撮像を行うことができる。つまり、目的とする波長における物体面の分光画像を取得することができる。そのため、指令波長λoを変更しつつ繰り返し波長走査を行えば、被観察物体に含まれるスペクトル成分を正確に抽出することができる。
【0078】
そこで、波長λmの値と指令波長λoとの値が一致した場合には、不図示の画像表示手段に画像が表示される(ステップ9)。
【0079】
一方、撮像用の光のピーク波長λmと使用者が指定した指令波長λoとが大きくずれていると、図14(b)において斜線で示した部分のように、画像を形成する光の強度は波長λmと波長λoとが一致している場合に比べ非常に弱くなり、十分な光量で撮像を行うことができない。つまり、目的とする波長における物体面の分光画像を取得することができない。そのため、指令波長λoを変更しつつ繰り返し波長走査しても、被観察物体に含まれるスペクトル成分を正確に抽出することができない。そして、十分な光量で撮像を行うためには、撮像用の光のピーク波長λm、すなわち、エタロン1の透過率が長波長帯域でピークとなる波長λmと使用者が指定した指令波長λoとが一致するように、エタロン1を調整する必要がある。
【0080】
そこで、波長λmの値と指令波長λoとの値が一致しない場合には、制御手段9が、それらのずれの量に基づいて、指令波長λoとそれに対応するセンサ出力値(指令電圧Vo)に関するルックアップテーブルの変更を行う(ステップ10)。そして、算出される波長λmの値と指令波長λoが一致するまで、ステップ2〜8までの処理を繰り返し行う。
【0081】
このように、本実施例の分光イメージング装置は、分光透過率可変素子の調整を、撮像を行っている最中であればいつでも、使用者の任意のタイミングで行うことができる。そして、この調整方法によれば、調整に必要な校正と画像観察との間に時間的なずれが生じないため、非常に高精度な調整を行うことが可能となる。
【0082】
また、本実施例の分光イメージング装置は、画像観察を行うためのエタロンと同一のエタロンを用いて、且つ、画像観察を行うための光路と同一の光路を用いて校正を行っている。そのため、エタロン自体の製造誤差が校正に影響することはあり得ない。
【0083】
また、本実施例の分光イメージング装置は、単一の分光透過率可変素子を介して変換された光から撮像用の光と校正用の光とを抽出した後に、撮像用の光のみを用いて撮像を行うとともに、校正用の光のみを用いて分光透過率可変素子の調整を行っている。そのため、撮像用の光の光量を低下させることなく、校正用の光を抽出することができ、撮影する画像の画質が低下することもない。
【実施例2】
【0084】
図15〜図21を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0085】
なお、図15は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。図16は、校正用光源の発する光の波長に対する強度を示す特性図である。図17は、図15の分光イメージング装置の備えている光抽出手段のハーフミラーの波長に対する透過率特性を示す特性図である。
【0086】
また、図18は、校正用光源が光を発していない状態の図15の分光イメージング装置のエタロンに入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。図19は、校正用光源が光を発していない状態の本実施例の分光イメージング装置に、図18の特性を有する光が入射した場合に、検出器に到達する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。図20は、校正用光源が光を発している状態の図15の分光イメージング装置のエタロンに入射する光の波長に対する強度を示す特性図である。図21は、校正用光源が光を発している状態の本実施例の分光イメージング装置に図20の特性を有する光が入射した場合に、検出器に到達する光の波長に対する強度を示す特性図であり、(a)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致している場合、(b)はエタロンにより変換された光のピーク波長と使用者が指定した指令波長とが一致していない場合を示している。
【0087】
なお、本実施例の分光イメージング装置において、実施例1の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0088】
まず、図15〜図17を用いて、本実施例の分光イメージング装置の構成について説明する。
【0089】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例1の分光イメージング装置の構成に加えて、校正用光源10と、校正光照明光学系11と、光路合成手段であるハーフミラー12とを備えている。また、実施例1の分光イメージング装置の光抽出手段3とは異なり、ダイクロイックミラー3aの代わりに、ハーフミラー3dを備えている。
【0090】
校正用光源10は、分光イメージング装置の内部に配置されている。この校正用光源10が発する光は、図16において斜線で示すような特性、すなわち、本実施例の分光イメージング装置で撮像し得る波長帯域、具体的には、撮像用フィルター3bの立ち上がり波長である約500(λEm-min)nmから立ち下がり波長である約580(λEm-max)nmの波長帯域の光を含まず、且つ、エタロン1の校正に用いるピーク波長の存在し得る約410〜480nmの波長帯域(λref)の光を含むという特性を有するものである。
【0091】
なお、校正用光源10は、発する光の波長帯域(λref)が、撮像素子に入射する光のピーク波長の次数をmとし、その波長をλmとした場合、以下の式(1)、(2)を満足するように構成されている。

但し、

なお、Rは一対の基板の対向する面の反射率、nは一対の基板間の媒質の屈折率、dは一対の基板の面間隔、θは一対の基板に対する被観察物体からの光の入射角である。
【0092】
なお、校正用光源10の発する光が、この条件式(1)に規定する波長帯域の光を含んでいない場合、十分な精度で校正のためのピーク波長を検出することができない。また、この条件式(2)の下限値を下回ると、カットする帯域を広くしなければならないため、撮像用フィルターやビームスプリッターの製造が困難になり、その結果として、製造コストの増大につながってしまう。一方、この条件式(2)の上限値を上回ると、校正用の光が撮像用の光の波長帯域に含まれてしまうため、正確な分光画像を取得することができなくなってしまう。
【0093】
校正光照明光学系11は、校正用光源10とハーフミラー12との間に配置されている。この校正光照明光学系11により、校正用光源10からの光は、ハーフミラー12へ導かれる。
【0094】
ハーフミラー12は、校正光照明光学系11により導かれた校正用光源10からの光の光路と対物光学系2によりエタロン1へ導かれる被観察物体からの光の光路とが交わる位置に配置されている。このハーフミラー3dにより、校正用光源10からの光は、被観察物体からの光に合成される。
【0095】
光抽出手段3がダイクロイックミラー3aに代わり備えているハーフミラー3dは、図17に示すような透過率特性を有しており、入射した光の70%がハーフミラー3dを透過して撮像素子5方向へ出射され、入射した光の30%がハーフミラー3dにより反射されて検出器8方向へ出射される。
【0096】
次に、図15〜図20を用いて本実施例の分光イメージング装置を通過する光と、その光路について説明する。
【0097】
本実施例の分光イメージング装置において、校正用光源10が光を発していない場合には、エタロン1に入射する光は、被観察物体からの光のみとなる。
【0098】
ここで、被観察物体からの光が、図18において斜線で示すように非常に微弱な強度しか有していない場合、検出器8にまで到達する光は、使用者が指定した指令波長λ0とエタロン1での透過率がピークとなる波長λmとが一致していたとしても、図19(a)において斜線で示すような、微弱な強度しか有さないものになる。さらに、使用者が指定した指令波長λ0とエタロン1での透過率がピークとなる波長λmとが一致していなければ、図19(b)において斜線で示すような、それらの波長が一致していた場合よりもさらに微弱な強度しか有さないものになる。
【0099】
その結果、エタロン1の校正や調整を十分にすることができず、正確な測定や画像観察を行うことができない。
【0100】
しかし、被観察物体からの光が図18において斜線で示すような非常に微弱な強度しか有していない場合であっても、校正用光源10が光を発している場合には、エタロン1に入射する光は図20において斜線で示すような特性を有するものとなる。
【0101】
そのため、校正用光源10が光を発している場合、検出器8にまで到達する光は、使用者が指定した指令波長λoとエタロン1の透過率がピークとなる波長λmとが一致していてもいなくても、図21(a)や図21(b)において斜線で示すような特定のピーク波長に対する強度が高いものになる。
【0102】
その結果、被観察物体からの光の強度にかかわらず、エタロン1の校正や調整を十分にすることができ、正確な測定や画像観察を行うことができる。
【0103】
なお、本実施例の分光イメージング装置では、エタロン1により変換された光は、光抽出手段3によって撮像用の光と校正用の光とに分けられる際、光抽出手段3のハーフミラー3dにより、撮像素子5方向には入射した光のうち70%の光が出射されるが、検出器8方向には入射した光のうち30%の光しか出射されない。
【0104】
しかし、本実施例の分光イメージング装置の場合、校正用の光のピーク波長が存在し得る波長帯域の光を校正用光源が発している状態であれば、たとえ、エタロン1から出射された光のうち30%の光であっても、十分にピーク波長の検出をすることができる。その結果、本実施例の分光イメージング装置は、被観察物体からの光の強度によらずに、エタロン1の校正や調整を高精度に行うことができる。
【0105】
一方、入射光のうち70%を撮像に用いることができるため、本来測定を行おうとしている被観察物体からの微弱な光を、校正を行いつつ、十分に撮像することができる。なお、この割合は、この値に限定されるものではなく、被観察物体からの光や校正用光源からの光の光量に対応させて、適宜変更してもかまわない。
【0106】
また、本実施例の分光イメージング装置の校正用光源10は、一定の波長帯域の光を照射するようになっている。しかし、その校正用光源10が照射する光の波長帯域は、使用者が指定した指令波長や検出器が検出するピーク波長に応じて、制御手段9が自動的に変更するようにしても良い。
【0107】
なお、その後に行われる画像の形成やエタロン1の調整方法とその手順は、実施例1の分光イメージング装置と同様であるため、その詳細な説明については省略する。
【実施例3】
【0108】
図22を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0109】
なお、図22は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【0110】
また、本実施例の分光イメージング装置において、上記実施例の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0111】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例1の分光イメージング装置の構成に加えて、励起用光源13と、励起光光学系14と、光路合成手段であるハーフミラー15とを備えている。また、実施例2の分光イメージング装置の光抽出手段3と同様に、ダイクロイックミラー3aの代わりに、ハーフミラー3dを備えている。
【0112】
励起光光学系14は、励起用光源13とハーフミラー15との間に配置されている。この励起光光学系14により、励起用光源13からの光は、ハーフミラー15へ導かれる。
【0113】
ハーフミラー15は、励起光光学系14により導かれた励起用光源13からの光の光路と対物光学系2によりエタロン1へ導かれる被観察物体からの光の光路とが交わる位置に配置されている。
【0114】
また、励起用光源13が発する光は、校正用光源10の発する光や撮像用の光の波長帯域とは異なる波長帯域の光である。
【0115】
励起用光源13からの光は、まず、このハーフミラー15で対物光学系2方向へ反射され、その後、対物光学系2を介して被観察物体に照射される。そして、励起光を照射されることにより被観察物体が発する蛍光は、対物光学系2に入射し、その後、ハーフミラー15を透過してエタロン1に入射する。
【0116】
なお、その後に行われる画像の形成やエタロン1の調整方法とその手順は、実施例2の分光イメージング装置と同様であるため、その詳細な説明については省略する。
【0117】
本実施例の分光イメージング装置は、このような構成とすることにより、励起光により励起された蛍光についても好適に分光画像を取得することができる。
【実施例4】
【0118】
図23を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0119】
なお、図23は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【0120】
また、本実施例の分光イメージング装置において、上記実施例の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0121】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例2の分光イメージング装置とほぼ同じ構成を備えているが、実施例3の分光イメージング装置と同様の励起用光源13と、励起光光学系14と、光路合成手段であるハーフミラー15とを備えている。なお、その他の構成や、エタロン1の校正や調整方法については、他の実施例と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【実施例5】
【0122】
図24及び図25を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0123】
なお、図24は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。図25は、エタロンで反射することにより変換された光の波長に対する強度を示す特性図である。
【0124】
また、本実施例の分光イメージング装置において、実施例1や実施例2の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0125】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例1の分光イメージング装置とほぼ同じ構成をしているが、光抽出手段の構成が実施例1の分光イメージング装置とは異なっている。
【0126】
本実施例の分光イメージング装置は、光抽出手段3が、エタロン1の像側に配置された撮像用フィルター3bと、エタロン1の物体側に配置されたハーフミラー3d’と、ハーフミラー3d’と集光光学系6との間に配置された校正用フィルター3cとによって構成されている。
【0127】
ハーフミラー3d’は、被観察物体からの光の光路上であって対物光学系2とエタロン1との間に配置されている。このハーフミラー3d’は、被観察物体側からの光を透過し、エタロン1側からの光を検出器8方向に向かって反射する特性を有している。
【0128】
ところで、本実施例の分光イメージング装置が備えているエタロン1は、上述のように、入射した光が透過した際には、その光を図4に示すような特性を有する光に変換する。このとき、このエタロン1に反射された光は、図25に示すような特性を有する光となる。本実施例では、この反射された光を用いて、校正用の光のピークを検出する。
【0129】
なお、その他の構成や、エタロン1の校正や調整方法については、他の実施例と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【0130】
本実施例の分光イメージング装置は、このような構成であるため、エタロン1と撮像素子5との間にビームスプリッターを配置する必要がなく、構造を簡略化することができ、撮像用フィルター3b1,3b2の配置の自由度や、結像光学系4の設計の自由度を上げることができる。
【実施例6】
【0131】
図26を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0132】
なお、図26は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【0133】
また、本実施例の分光イメージング装置において、上記実施例の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0134】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例2の分光イメージング装置とほぼ同じ構成を備えているが、光抽出手段の構成が、実施例2の分光イメージング装置とは異なっており、実施例5の分光イメージング装置と同様の構成となっている。
【0135】
なお、その他の構成や、エタロン1の校正や調整方法については、他の実施例と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【実施例7】
【0136】
図27を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0137】
なお、図27は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【0138】
また、本実施例の分光イメージング装置において、上記実施例の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0139】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例6の分光イメージング装置とほぼ同じ構成を備えているが、校正用光源10と、校正光照明光学系11と、光路合成手段であるハーフミラー12の配置位置が、実施例6の分光イメージング装置とは異なっている。
【0140】
具体的には、ハーフミラー12は、対物光学系2とエタロン1との間に配置されたハーフミラー3d’と、校正用フィルター3cとの間に配置に配置されている。そして、校正光照明光学系11は、校正用光源10からの光を、そのように配置されたハーフミラー12へと導くように配置されている。
【0141】
本実施例の分光イメージング装置では、校正用光源10と、校正光照明光学系11と、光路合成手段であるハーフミラー12が、このような位置に配置されているため、校正用光源10からの光は、まず、ハーフミラー12によってハーフミラー3d’方向へ反射され、その後、ハーフミラー3d’によって、被観察物体からの光に合成されエタロン1へと導かれる。そして、エタロン1によって反射された光は、ハーフミラー3d’によってハーフミラー12方向へ反射され、その後、ハーフミラー12を透過し、校正用フィルター3c、集光光学系6、ライトガイドファイバー7を介して、検出器8へと導かれる。
【0142】
なお、その他の構成や、エタロン1の校正や調整方法については、他の実施例と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【0143】
本実施例の分光イメージング装置は、このような構成であるため、対物光学系と結像光学系との間に配置しなければならないハーフミラーを1個にすることができ、校正用光源を配置したとしても、光軸に沿う方向に対する装置全長の小型化を図ることができる。
【実施例8】
【0144】
図28を用いて、本実施例に係る分光イメージング装置について詳細に説明する。
【0145】
なお、図28は、本実施例の分光イメージング装置の構成を示す模式図である。
【0146】
また、本実施例の分光イメージング装置において、上記実施例の分光イメージング装置とほぼ同じ構成や作用を有する部材には、同一の符号を付し、それらについての詳細な説明は省略する。
【0147】
本実施例の分光イメージング装置は、実施例4の分光イメージング装置とほぼ同じ構成を備えているが、対物光学系2、校正用光源10及び励起用光源13の配置位置が、実施例4の分光イメージング装置と異なっている。
【0148】
具体的には、対物光学系2、校正用光源10及び励起用光源13は、分光イメージング装置本体部16の外部に配置されている。なお、対物光学系2と分光イメージング装置本体部16との間には、ライトガイドファイバー17が配置されている。また、校正用光源10には、ライトガイドファイバー18が接続されている。同様に、励起用光源13には、ライトガイドファイバー19が接続されている。
【0149】
このような構成であるため、本実施例の分光イメージング装置において、校正用光源10からの光は、ライトガイドファイバー18を介して、被観察物体に照射される。同様に、励起用光源13からの光は、ライトガイドファイバー19を介して、被観察物体に照射される。そして、被観察物体に反射された校正用の光や被観察物体に励起光を照射することによって発生した蛍光は、対物光学系2に入射し、ライトガイドファイバー17を介して、エタロン1に入射する。
【0150】
なお、その他の構成や、エタロン1の校正や調整方法については、他の実施例と同様であるため、詳細な説明については省略する。
【0151】
なお、ライトガイドファイバー17のようなファイバースコープや硬性鏡等における内視鏡装置や顕微鏡装置等からの結像光線の射出NAは大きくても0.1程度であるため、エタロンへの入射角度θは6度以下となり、光線の広がり角度による波長λmのシフト量は0.5%以下であり、実使用上問題はない。
【0152】
本実施例の分光イメージング装置は、このような構成であるため、光抽出手段、ひいては、装置全体の小型化を図ることができる。そのため、特に、内視鏡装置に用いる場合に好適である。
【0153】
なお、このように構成する場合には、必ずしも、対物光学系2や校正用光源10や励起用光源13の全てを分光イメージング装置の外部に配置する必要は無く、それらのいずれかのみを外部に配置するようにしても良い。
【0154】
さらに、本発明は、これらの例に限定されるものではなく、上記実施例の種々の組み合わせも本発明に含まれる。
【0155】
なお、上記実施例においては、撮像用の光のピーク波長(λm)を、そのピーク波長よりも短い波長帯域に存在し、且つ、そのピーク波長に隣接するピーク波長(λm+1)を用いて算出している。
【0156】
しかし、本発明の分光イメージング装置は、必ずしも、そのような算出手段に限定されるものではなく、撮像用の光のピーク波長(λm)よりも長い波長帯域に存在し、且つ、そのピーク波長に隣接するピーク波長(λm-1)を含む光を用いて算出を行っても良い。
【0157】
そして、この場合には、検出器で取得したピーク波長λm-1と撮像用の光に含まれているピーク波長λmとの関係は、次式で表わされる。

【0158】
また、この場合には、撮像用フィルターの立ち上がり波長をλEm-min、立ち下がり波長をλEm-max、校正用光源10発する光の波長帯域をλref、撮像素子に入射する光のピーク波長の次数をmとし、その波長をλmとした場合、以下の式(1)’、(2)’を満足することが好ましい。

但し、

なお、Rは一対の基板の対向する面の反射率、nは一対の基板間の媒質の屈折率、dは一対の基板の面間隔、θは一対の基板に対する被観察物体からの光の入射角である。
【0159】
なお、校正用光源の発する光が、この条件式(1)’に規定する波長帯域の光を含んでいない場合、十分な精度で校正のためのピーク波長を検出することができない。また、この条件式(2)’の下限値を下回ると、校正用の光が撮像用の光の波長帯域に含まれてしまうため、正確な分光画像を取得することができなくなってしまう。一方、この条件式(2)’の上限値を上回ると、カットする帯域を広くしなければならないため、撮像用フィルターやビームスプリッターの製造が困難になり、その結果として、製造コストが増大してしまう。
【0160】
また、本発明の分光イメージング装置は、必ずしも、撮像用の光のピーク波長(λm)に隣接するピーク波長(λm-1,λm+1)を用いて算出する必要は無く、そのピーク波長に隣接しないピーク波長(・・・、λm+3、λm+2、λm-2、λm-3・・・)を用いて算出を行っても良い。
【0161】
また、上記実施例においては、分光透過率可変素子の調整の際に、静電容量センサの出力値に基づくルックアップテーブルを用いて校正や調整を行っているが、必ずしも、そのルックアップテーブルは静電容量センサの出力値に基づくものである必要は無く、圧電素子の入力電圧等に基づくものを用いても良い。これは、圧電素子の入力電圧も、エタロンの一対の対向する光学基板の面間隔に対応して変化するためである。
【0162】
また、上記実施例においては、励起用光源を備えていないものもあるが、本発明の構成はこのような構成に限定されるものではなく、いずれの実施例においても、励起用光源を備えていてかまわない。
【符号の説明】
【0163】
1 エタロン
1a 光学基板
1b 反射コート
1c 静電容量センサ
1c1,1c2 静電容量センサの電極
1d 圧電素子
2 対物光学系
3 光抽出手段
3a ダイクロイックミラー
3b 撮像用フィルター
3b1 第1撮像用フィルター
3b2 第2撮像用フィルター
3c 校正用フィルター
3c1 第1校正用フィルター
3c2 第2校正用フィルター
3d,3d’,12,15 ハーフミラー
4 結像光学系
5 撮像素子
6 集光光学系
7,17,18,19 ライトガイドファイバー
8 検出器
9 制御手段
9a 演算処理部
9b 駆動処理部
10 校正用光源
11 校正光照明光学系
13 励起用光源
14 励起光照明光学系
16 分光イメージング装置本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有していて該変動周期を変化させることができ被観察物体からの光を複数のピーク波長を有する光に変換する分光透過率可変素子と、
前記複数のピーク波長を有する光から使用者が指定した指令波長近傍のピーク波長を含む撮像用の光と該指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を含む校正用の光とを抽出する光抽出手段と、
前記撮像用の光により形成される前記被観察物体の像を撮影する撮像素子と、
前記校正用の光から前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記校正用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長から前記撮像用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長を算出し該算出した前記指令波長近傍のピーク波長と前記指令波長とのずれを算出し該ずれの量に基づいて前記変動周期の調整量を決定する演算処理部と該調整量に基づいて前記分光透過率可変素子を駆動させて前記変動周期を変化させる駆動処理部とを含む制御手段とを備えることを特徴とする分光イメージング装置。
【請求項2】
前記光抽出手段が、ダイクロイックミラーであることを特徴とする請求項1に記載の分光イメージ装置。
【請求項3】
前記光抽出手段が、前記分光透過率可変素子を透過した光の光路上に配置されたビームスプリッターと、該ビームスプリッターにより分割された一方の光の光路上に配置されていて前記撮像用の光のみを透過するフィルターと、該ビームスプリッターにより分割された他方の光の光路上に配置されていて前記校正用の光のみを透過するフィルターとにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の分光イメージング装置。
【請求項4】
前記光抽出手段が、前記分光透過率可変素子の前記撮像装置側に配置されていて前記分光透過率可変素子を透過した光から前記撮像用の光のみを透過するフィルターと、前記分光透過率可変素子と前記被観察物体との間に配置されていて前記被観察物体からの光を透過し前記分光透過率可変素子で反射された光を反射するハーフミラーと、前記ハーフミラーからの光のうち前記校正用の光のみを透過するフィルターとにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の分光イメージング装置。
【請求項5】
前記校正用の光の含むピーク波長を含み前記撮像用の光の含むピーク波長を含まない波長帯域の光を発する校正用光源と、前記被観察物体と前記分光透過率可変素子との間に配置されていて前記校正用光源からの光の光路を前記被観察物体からの光の光路と合成する光路合成手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分光イメージング装置。
【請求項6】
前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の分光イメージング装置。
【請求項7】
前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接するピーク波長であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分光イメージング装置。
【請求項8】
前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接し、且つ、該指令波長近傍のピーク波長よりも短波長帯域に存在するピーク波長であり、
前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができ、
前記校正用光源の発する光が、以下の条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする請求項5に記載の分光イメージング装置。

但し、

であり、mは1以上の整数、λrefは前記校正用光源の波長帯域、λmは前記指令波長近傍のピーク波長、λm+1、λm+2は前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長、λEm-minは前記撮像素子に入射する光の最短波長、FWHMm+1は前記ピーク波長λm+1の半値全幅、Rは前記一対の基板の対向する面の反射率、nは前記一対の基板間の媒質の屈折率、dは前記一対の基板の面間隔、θは前記一対の基板に対する前記被観察物体からの光の入射角である。
【請求項9】
前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長が、該指令波長近傍のピーク波長と隣接し、且つ、該指令波長近傍のピーク波長よりも長波長帯域に存在するピーク波長であり、
前記分光透過率可変素子が、対向するように配置された一対の基板を備えており、該一対の基板の面間隔を変化させることにより該分光透過率特性の変動周期を変化させることができ、
前記校正用光源の発する光が、以下の条件式(1)’、(2)’を満足することを特徴とする請求項5に記載の分光イメージング装置。

但し、

であり、mは1以上の整数、λrefは前記校正用光源の波長帯域、λmは前記指令波長近傍のピーク波長、λm-1、λm-2は前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長、λEm-maxは前記撮像素子に入射する光の最長波長、FWHMm-1は前記ピーク波長λm-1の半値全幅、Rは前記一対の基板の対向する面の反射率、nは前記一対の基板間の媒質の屈折率、dは前記一対の基板の面間隔、θは前記一対の基板に対する前記被観察物体からの光の入射角である。
【請求項10】
波長に対して周期的に透過率が変動する分光透過率特性を有していて該変動周期を変化させることができ被観察物体からの光を複数のピーク波長を有する光に変換する分光透過率可変素子と、使用者が指定した指令波長近傍の波長帯域の光により前記被観察物体の像を撮影する撮像素子を備えた分光イメージング装置の調整方法において、
光抽出手段が、前記分光透過率可変素子を介して変換した複数のピーク波長を有する光から前記指令波長近傍のピーク波長を含む撮像用の光と該指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長を含む校正用の光とを抽出し、制御手段が、検出器によって前記校正用の光から検出された前記指令波長近傍のピーク波長以外のピーク波長から前記撮像用の光の有する前記指令波長近傍のピーク波長を算出し、該算出した前記指令波長近傍のピーク波長と前記指令波長とのずれを算出し、該ずれの量に基づいて前記分光透過率可変素子の前記変動周期を調整することを特徴とする分光イメージング装置の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−249808(P2010−249808A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62894(P2010−62894)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】