説明

分割磁気共鳴画像システム

磁気共鳴画像(MRI)システムは、ギャップにより分離するMRIマグネットハウジングの対を有する分割磁気システムを含む。メインMRIマグネットの対は、個々のMRIマグネットハウジング内部に配置される。複数の強化アセンブリはMRI磁気ハウジングに付属する。強化アセンブリの一部若しくは全部は、MRIマグネットハウジングと取外し自在に接続し得る。このことにより、MRIシステムを再配置するための輸送性及び操縦性を改良するべくMRIシステムの部分的な分解が可能となる。MRIシステムは、放射線治療システムを支持するための、ギャップ内のガントリを含み得る。更に、取外し自在の強化アセンブリは、MRI磁気ハウジングの対の間で、電気コンジット及び流体管などの、コンジットを収容するために用いられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2010年2月24日出願の米国仮特許出願第61/307665号(発明の名称「Split MRI System」)の利益を主張するものであり、該出願の内容は参照の上本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
1.技術分野
本願は、磁気共鳴画像(MRI)システム、特に、分割主要マグネットを含むMRIシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
磁気共鳴画像(MRI)、若しくは核磁気共鳴画像(NMRI)は、身体の内部構造及び機能を可視化するために放射線医学で通常用いられる、主要な医療画像技術である。MRIは、例えば、E. MARK HAACKE ETらによる「MAGNETIC RESONANCE IMAGING: PHYSICAL PRINCIPLES AND SEQUENCE DESIGN (Wiley-Liss 1999)」(特許文献1)により開示される。当該内容は参照の上、本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】"MAGNETIC RESONANCE IMAGING: PHYSICAL PRINCIPLES AND SEQUENCE DESIGN (Wiley-Liss 1999)", E. MARK HAACKE ET
【特許文献2】米国特許出願公開番号2005/0197564号のDempseyによる発明の名称「System for Delivering Conformal Radiation Therapy While Simultaneously Imaging Soft Tissue」
【特許文献3】米国特許出願公開番号2011/0012593号のShvartsmanらによる発明の名称「Method and Apparatus for Shielding a Linear Accelerator and a Magnetic Resonance Imaging Device From Each Other」
【特許文献4】米国特許出願番号第12/951976号のShartsmanらによる発明の名称「Self−Sheided Gradient Coil」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々なMRIシステムが今日知られ、広く用いられている。しかしながら、これらシステムは通常、特に、利用可能なドアや廊下などのアクセスポイントの操縦が限定される現存空間内で、移動し設置することが困難な巨大なコンポーネントを含む。
【0006】
このように、MRIシステムの機能の性質を犠牲にすること無く、これらシステムをより簡易に移動し設置できるようにMRIシステムを改良することには、利点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、先行の分割MRIシステムと比較して、より容易に再配置され設置され得る分割MRI構成を有するMRIシステムが、開示される。 本開示のMRIシステムは、分解され、移動され更に現存設備及び遮蔽ボールトに設置できるように、構成されるのが好ましい。
【0008】
本開示の形態は、MRIマグネットギャップにより分離される第1と第2のMRIマグネットハウジングを含む磁気共鳴画像(MRI)システムを包含し、第1のMRIマグネットハウジング内部に配置される第1のメインMRIマグネットと、第2のMRIマグネットハウジング内部に配置される第2のメインMRIマグネットを伴う。複数の強化アセンブリ及び/又はそれらのサブアセンブリが、第1と第2のMRIマグネットハウジングに付属する。複数の強化アセンブリ及び/又はサブアセンブリの少なくとも一つは、第1と第2のMRIマグネットハウジングの少なくとも一つに取外し自在に付属する。
【0009】
ある実施形態では、複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1と第2のMRIマグネットハウジングの両方に取外し自在に付属し得る。
【0010】
ある実施形態では、複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1のMRIマグネットハウジングに付属する第1の強化サブアセンブリと、第2のMRIマグネットハウジングに付属する第2の強化サブアセンブリとを含み得る。そのような実施形態では、強化アセンブリは、第1と第2の強化サブアセンブリに取外し自在に付属する中央強化コネクタを更に含み得る。更に、そのような実施形態では、第1の強化サブアセンブリは、第1のMRIマグネットハウジングに付属する際に、第1のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在し、第2の強化サブアセンブリは、第2のMRIマグネットハウジングに付属する際に、第2のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在する。
【0011】
ある実施形態では、MRIシステムは、MRIマグネットギャップ内に配置されるガントリを更に含み得る。放射線治療装置、若しくはインターベンショナル治療装置は、ガントリにより支持され得る。
【0012】
ある実施形態では、MRIシステムは、更に冷却システムを含み、該冷却システムは、第1と第2のメインMRIマグネットを冷却するためのクーラントを運ぶ流体管を含み得る。流体管は、取外し自在に付属する複数の強化アセンブリの少なくとも一つを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在し得る。
【0013】
ある実施形態では、MRIシステムは、更に電力システムを含み、該電力システムは、第1と第2のメインMRIマグネットに電力を供給するための電気コンジットを含み得る。電気コンジットは、取外し自在に付属する複数の強化アセンブリの少なくとも一つを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在し得る。
【0014】
第1と第2のMRIマグネットハウジングが円筒形であってもよく、これにより、MRIシステムを含むMRI画像及び/又は他の医療処置を受ける患者を支持するためにMRIシステム内部に患者ベッドを収容できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の特徴、態様、及び形態は、添付の図面と共に記載される。
【図1A】分割磁石MRIシステムの第1の実施形態の斜視図を示す。
【図1B】分割磁石MRIシステムの第1の実施形態の斜視図を示す。
【図1C】分割磁石MRIシステムの第1の実施形態の斜視図を示す。
【図2A】分割磁石MRIシステムの第2の実施形態の斜視図を示す。
【図2B】分割磁石MRIシステムの第2の実施形態の斜視図を示す。
【図2C】分割磁石MRIシステムの第2の実施形態の斜視図を示す。
【図3】本開示の分割磁石MRIシステムの簡易なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1Aから図1Cまでは、分割磁石MRIシステム100の斜視図を示す。図1Aは、MRIシステム100の完全に組み立てられたものの図を示し、図1Bは、MRIシステム100の部分的分解図を示し、図1Cは、MRIシステム100の更なる分解図を示す。
【0017】
MRIシステム100は、従来のMRIシステムと比べて、より容易に再配置して設置できる分割MRI構成を有する。開示されるMRIシステム100は、分解され、移動され更に現存設備及び遮蔽ボールトに設置できるように、構成されるのが好ましい。MRI100は、(図3に示される)個々の円筒形超電導MRIメインマグネット101a、101bを収容する、第1及び第2の円筒形メインMRIマグネットハウジング102a、102bを含む。MRIメインマグネット101a、101bは、患者ベッド103上に位置する患者を撮像するため、2つのマグネットハウジング102a、102bの間のギャップ104内で概略中央に位置する撮像のための視野(FOV)内にて、一様な磁界を生成するように、操作され得る。
【0018】
MRIメインマグネットハウジング102a、102bは、強化アセンブリ105a〜105cにより、相互に支持され接続される。種々の実施形態では、強化アセンブリ105a〜105cは、MRIメインマグネット101a、101bを機械的、熱的、及び/又は電子的に接続して、MRIメインマグネット101a、101bのパフォーマンスを向上させ、マインマグネット101a、101b間の力に耐えるようにすることができる。
【0019】
強化アセンブリ105a〜105cは、マグネットハウジング102a、102bから放射状に延在する、強化サブアセンブリ106a〜160fと、強化サブアセンブリ106a〜106fの夫々の対を接続する、強化コネクタ108a〜108cを含む。特に、強化アセンブリ105aは、強化コネクタ108aにより接続される強化サブアセンブリ106a、106bを含み、強化アセンブリ105bは、強化コネクタ108bにより接続される強化サブアセンブリ106c、106dを含み、強化アセンブリ105cは、強化コネクタ108cにより接続される強化サブアセンブリ106e、106fを含む。
【0020】
図1B及び図1Cに最もよく示されるように、強化アセンブリ105a、105bの強化サブアセンブリ106a〜106dは、マグネットハウジング102a、102bから取外し自在であり、強化サブアセンブリ106e、106fは、マグネットハウジング102a、102bに恒久的に付属する。しかしながら、強化コネクタ108a〜108cは、個々の強化サブアセンブリ106a〜106fから取外し自在である。
【0021】
強化サブアセンブリ106a〜106dは、例えば、スクリュ、並びに/又は、ナット及びボルトを含む周知の接続ハードウエアなどの、周知の取外し自在接続デバイスを用いて、マグネットハウジング102a、102bに、取外し自在に接続される。一方、強化サブアセンブリ106e、106fは、夫々、マグネットハウジング102a、102bに恒久的に付属する。例えば、強化サブアセンブリ106e、106fは、個々のマグネットハウジング102a、102bに溶接されてもよく、その他、接着剤や別の恒久付属手段を用いて付属されてもよい。
【0022】
強化コネクタ108a〜108cは、例えば、スクリュ、又はナット及びボルトを含み得る周知の接続ハードウエアなどの、周知の取外し自在の接続デバイスを用いて、強化サブアセンブリ106a〜106fの夫々の対に、取外し自在に接続される。
【0023】
例示の実施形態は3つのアセンブリ105を含み、それらのうちの2つは取外し自在のサブアセンブリ106の対を含むが、これは、多数の可能な実施形態のうちの一つに過ぎない。別の実施形態は、n個の強化アセンブリ105を含み得、ここで、nは2以上の任意の整数であればよく、2からnの任意の個数の強化アセンブリ105が、少なくとも一つの取外し自在の強化サブアセンブリ106を含み得る。言い換えれば、別の実施形態は、任意の個数の強化アセンブリ105を含んでよく、それらのうちの一部若しくは全部は、少なくとも一つの取外し自在の強化サブアセンブリ106を含み得る。
【0024】
ハウジング102に取外し自在に付属する強化サブアセンブリ106を構築するのか、若しくはハウジング102に恒久的に付属する強化サブアセンブリ106を構築するのかに関する判断は、可搬性や設置の容易さなどの要因間でバランスを達成することに基づくことが好ましい。強化アセンブリ106を取外し自在にすることにより、MRIシステム100は、完全に組み立てたMRIシステム100よりもより可搬性の高いコンポーネントに分解できる。他方、取外し自在アセンブリは、最終的組み立てに要求されるステップに加えることが可能であり、強化サブアセンブリ106e、106fなどの少なくとも一部の強化サブアセンブリを恒久的に付属させることが望ましく、可搬性向上のためには残りの強化サブアセンブリ106a−106dを取外し自在とすることが望ましい。
【0025】
例えば、側方に延在する強化サブアセンブリ106a、10cを取外すことにより、MRIハウジング102a及び残りの上方に延在する強化サブアセンブリ106eは、既存設備の廊下や出入り口を介して容易に移動できる。
【0026】
図2A〜図2Cも参照して、別のMRIシステムが、MRIシステム200として示される。MRIシステム200は、MRIシステム100に関して記載したものと同様の要素を含む。よって同一の要素には同一の符号を付している。
【0027】
MRIシステム200は更に、ギャップ104内に配置されるガントリ202を含む。ガントリ202は、放射線治療装置204のために用いられ得る。MRIシステム200は、例えば、対象の人体を配置し、放射線治療計画を進展すべく撮像し、放射線治療の間に撮像して患者の動きに対して治療アプリケーションを修正することができる、システムを含み得る。例えば、MRIシステム200は、米国特許出願公開番号2005/0197564号のDempseyによる発明の名称「System for Delivering Conformal Radiation Therapy While Simultaneously Imaging Soft Tissue」(特許文献2)に開示され、及び/又は、米国特許出願公開番号2011/0012593号のShvartsmanらによる発明の名称「Method and Apparatus for Shielding a Linear Accelerator and a Magnetic Resonance Imaging Device From Each Other」(特許文献3)に開示される、ガントリ202によりサポートされる、Co60放射線源若しくは線形電子加速器(LINAC)などの、放射線源を含むことができる。なお、これら出願は、全体として参照の上本明細書に組み込まれるものである。
【0028】
よって、ある実施形態では、ガントリ202は、MRIメインマグネットの対の間のギャップ内で放射線治療装置204をサポートするために用いられ得る。ギャップ内に配置される放射線治療装置204は、MRIマグネットにより大きく減衰すること無く、撮像視野内部の放射線治療アイソセンタに放射線ビームを送ることができる。強化アセンブリ105a−105cは、放射線治療ユニットの外側周りに延在し、放射線治療ビームの干渉や障害が生じないように、放射線治療ユニットをクリアなものとする。
【0029】
MRIシステムのガントリ202、MRIメインマグネットハウジング102a、102b、及び強化アセンブリ105a〜105cは、放射線治療のために設計された、既存の線形加速器若しくはコバルト治療ボールト内に容易に設置されるように、分解可能なように構築され得る。ある実施形態では、強化アセンブリの幾つか若しくは全て、又はそれらの部分は、図1A〜図1Cに関して上述したように、取外し自在である。例えば、n個の強化アセンブリを設けることができるが、ここでnは2以上の整数であればよい。
【0030】
強化アセンブリは、低温接続、又は、クライオスタットへの軸サスペンションストラップを伴う室温分離サポートを有してもよい。クライオスタットは、このサスペンションを含むために、直径が僅かに大きくされ得る。
【0031】
放射線治療装置204の放射線のソースは、例えば、LINACなどの加速器から、若しくは、コバルト60(60Co)などの放射線のソースからであればよい。放射線は、一様なビームで送られ、又は、計画で要求されるように放射線を調整するように変調され得る。このことは、ビームを方向付けること、ビームをフィルタリングすること、ビームをオンオフすること、及び、コリメータでビームを成形することを、含み得る。撮像は、デリバリの質を危険にさらす動作の間のデリバリを回避し、且つ患者の人体への放射線量のデリバリを容量として記録するために、ビームのオンオフをゲートせしめ得る放射線デリバリと同時に、発生し得る。
【0032】
ソースと患者の間で、マグネット若しくは傾斜磁場コイルなどの干渉非一様放射線減衰構造を備えること無く、患者へ放射線を方向付けることが好ましい。中央ギャップを伴う従来のMRIユニットは、放射線治療装置を含んでおらず、それらのマグネットハーフ間のサポートは、撮像ボリュームに近接していた。本開示のMRIシステムの利点の一つは、放射線治療を可能にする、中央ギャップ104を伴う超電導MRIマグネットである。マグネットを介して放射線を通過させるという提案もあるが、これは、ソースから患者までのクリアパスという考えよりも望ましくない。
【0033】
図3を参照して、本開示のMRIシステム100、200は様々な実施形態で構成可能であり、強化アセンブリ105の一つ若しくはそれ以上を介して種々のコンジットがルーツ付けされる。例えば、図3に示すように、取外し自在強化アセンブリ105aは、第1と第2のMRIマグネットハウジング102a、102b間で延在する電気用導管及び/又は流体管を収容するのに用いられ得る。種々の電気用導管及び/又は流体管は、強化アセンブリ105b及び/又は105cを介して、追加的に及び/又は択一的に経路付けされ得る。図3はMRIシステム200を示すが、図3の記載はMRI100にも等価的に適用可能であることに、留意すべきである。
【0034】
ある実施形態では、MRIシステム200は、冷却システム302を含み、該冷却システム302は、例えば、クライオスタットを含み得る。冷却システム302は、メインMRIマグネット101a、101bを冷却するためのクーラントを運ぶ流体管304を含み得る。流体管304は、一連のコネクタ306を含み、該コネクタ306は、強化アセンブリ105aの分解ポイントにて若しくは近傍にて様々な位置で、種々の周知の流体管コネクタのいずれかをも含み得る。このことにより、流体管304は、強化アセンブリ105aの取外し及び分解の間に接続を断ち、その後、強化アセンブリ105aの再組み立ての管に再接続し、更に、強化アセンブリ105aをメインMRIマグネットハウジング102a、102bに再接続することが可能になる。
【0035】
MRIシステム200は、メインMRIマグネット101a、101bの立ち上げ及び立ち下げの間にメインMRIマグネット101a、101bへの電力の供給を制御し、及び/又は、種々の他の操作制御信号をメインMRIマグネット101a、101bに伝えるなどの、種々の電気及び/又は制御システムを包含し得る電力/制御システム310も含み得る。電力供給システム310は、メインMRIマグネット101a、101bの動作に電力供給し、及び/又は該動作を制御する、電気及び/又は種々の制御信号をキャリする電気コンジット314を含み得る。電気コンジット314は、強化アセンブリ105aの分解ポイント若しくはその近傍における種々の位置にて、種々の周知の電気コネクタのいずれをも含み得る一連のコネクタ316を含み得る。このことにより、コンジット314は、強化アセンブリ105aの取外し及び分解の際に接続を外し、強化アセンブリ105aの再組み立ての際に再接続をし、強化アセンブリ105aをメインMRIマグネットハウジング102a、102bに再接続することができる。
【0036】
ある実施形態では、電力/制御システム310は、メインMRIマグネット101a、101bの両方に電気動力を提供するように動作され得る、単一の動力供給を含み得る。例えば、動力/制御システム310は、メインMRIマグネット101a、101bの動作の立ち上げ及び立ち下げの際に、電力を提供するように動作され得る、単一の動力供給を含み得る。
【0037】
先行技術のシステムでは、夫々のMRIマグネットは、個々の電力供給から電力を受ける。パワーアップの際には、電力は、最も好ましくは同時に、MRIマグネットの各々に対して立ち上げられる。しかしながら、MRIシステムの主磁場の不均質が、個々のメインMRIマグネットへの電流の際により生じることが多い。理想的には、電流は、MRIマグネット内で同一であり、若しくは同一に非常に近いものであり、よって、主磁場内の不均質を訂正するために磁場を生成するシムコイルを用いて、シミングが行われる。
【0038】
一方、本発明のMRIシステムは、電力を単一の電力供給310からMRIマグネット101a、101bの両方に供給するので、2つのMRIマグネット101a、101bへの電流の差異は大きく縮小され、このことにより、MRIマグネットの各々に分離して電力供給した先行技術のMRIシステムと比較して、MRIシステムの主磁場内の不均質が縮小される。結果として、本発明のMRIシステムは、より容易にシムを入れられ得る。
【0039】
MRIシステム100、200の実施形態は、概略コイル320として示される、無線周波数及び傾斜磁場コイルの種々の構成を含むこともできる。コイル320の特定の例及び記述は、米国特許出願番号第12/951976号のShartsmanらによる発明の名称「Self−Sheided Gradient Coil」(特許文献4)に開示されており、当該出願は全体として参照の上本明細書に組み込まれる。例えば、コイル320は、放射線治療ビームの減衰を回避するための、ギャップ104及びガントリ202と整列するギャップを含む、傾斜磁場コイルを含み得る。傾斜磁場コイルは、導線により、放射線治療ビームを減衰させることを回避するための電子機器内のギャップも有するが、コイルを機械的に支持するための薄い、一様に減衰を行う、前者(ギャップ104及びガントリ202と整列するギャップ)を有する。傾斜磁場コイルは、導線による放射線ビームを減衰することを制限するための、一次コイルではない遮蔽コイルの電子機器内の、ギャップを有することもあるが、一様な減衰を生成するための補償部材を有してもよい。傾斜磁場コイルは、導線による放射線ビームを減衰することを制限するための、一次コイルではない遮蔽コイルの電子機器内の、ギャップを有することもあるが、一様な減衰を生成するための補償部材、及び、減衰を制限するための、アルミニウムなどのより小さい原子番号の導体を有してもよい。
【0040】
メインMRIマグネット101a、101bの内径により、放射線治療装置204の放射線のソースは、1mの名目半径でガントリ202上にて支持されることができるのが好ましい。この1mの名目半径は、本発明の放射線治療システムにとって好ましい距離である。放射線治療装置204により放射される放射線治療ビームがMRIシステムの入口でメインMRIマグネット101a、101bに影響を与えることがなく、よって、MRIコイル320上への散乱により放射線治療ビームの減衰及び低下を回避するように、メインMRIマグネット101a、101bは構成され得る。ある実施形態では、放射線治療装置204により放射される放射線治療ビームがMRIシステムの入口でメインMRIマグネット101a、101b若しくは傾斜磁場コイル320に影響を与えることがなく、よって、MRIコイル320若しくは傾斜磁場システム上への散乱により放射線治療ビームの減衰及び低下を回避するように、メインMRIマグネット101a、101b及び傾斜磁場コイル320は構成され得る。
【0041】
本開示の原理に係る種々の実施形態を記載したが、当然のことながら、例示としてのみそれらは示されているのであり、限定的なものではない。よって、本発明の幅及び範囲は、上述の例示の実施形態のいずれによっても限定されるべきものではなく、本開示から生じる請求項及びその均等物によってのみ規定されるべきである。さらに、上記の利点及び特徴は、記述の開示で示されるが、上記の利点のどれでも若しくは全てを達成するプロセス及び構成に対する、それら発生する請求項の適用例を限定するものではない。
【0042】
更に、本明細書のセクションの表題は、構成に関する指示を提示する37C.F.R.(連邦規則基準)1.77等の示唆と一貫するように示している。これらの表題は、本開示から生じ得る、請求項で規定される発明を限定したり特徴付けたりするものではない。具体的に例示として、表題は「技術分野」と示しているが、それら請求項は、いわゆる技術分野を記述するこの表題の下で選択された言葉により限定されるべきものではない。更に、「背景」における技術に関する記載は、技術が、本開示内のいずれかの発明の先行技術であるという、自白として解釈されるべきものではない。「概要」も、添付の請求項に記載される発明の特徴として考慮されるべきものではない。更に、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示にて新規性に関して一点しかないと主張するように用いられるべきではない。本開示から派生する複数の請求項の限定に従って、複数の発明が設定可能であり、それら請求項は、保護される発明、及び均等物を然るべく規定する。あらゆる場合、それら請求項の範囲は、本開示を踏まえて真の価値で考慮されるものであり、本明細書で設定される表題により制約されるべきものではない。
【符号の説明】
【0043】
100、200・・・MRIシステム、
101a、101b・・・円筒形超電導MRIメインマグネット、
102a・・・第1の円筒形メインMRIマグネットハウジング、
102b・・・第2の円筒形メインMRIマグネットハウジング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像(MRI)システムにおいて、
MRIマグネットギャップにより分離される第1と第2のMRIマグネットハウジングと、
第1のMRIマグネットハウジング内部に配置される第1のメインMRIマグネットと、
第2のMRIマグネットハウジング内部に配置される第2のメインMRIマグネットと、
第1のMRIマグネットハウジングに付属する複数の第1の強化サブアセンブリと、
第2のMRIマグネットハウジングに付属する複数の第2の強化サブアセンブリと、並びに、
複数の中央強化コネクタであって、夫々は複数の第1の強化サブアセンブリの各々と、及び複数の第2の強化サブアセンブリの各々と、取外し自在に接続するように構成された、複数の中央強化コネクタと
を含み、
複数の第1の強化サブアセンブリの少なくとも一つと、複数の第2の強化サブアセンブリの少なくとも一つは、個々のMRIマグネットハウジングに取外し自在に付属する
磁気共鳴画像システム。
【請求項2】
MRIマグネットギャップ内に配置されるガントリを更に含む
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項3】
ガントリにより支持される放射線治療装置を更に含む
請求項2に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項4】
更に冷却システムを含み、該冷却システムは、第1と第2のメインMRIマグネットを冷却するためのクーラントを運ぶ流体管を含む
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項5】
前記流体管が、取外し自在に付属する複数の第1の強化サブアセンブリの少なくとも一つと、取外し自在に付属する複数の第2の強化サブアセンブリの少なくとも一つとを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在する
請求項4に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項6】
更に電力システムを含み、該電力システムは、第1と第2のメインMRIマグネットに電力を供給するための電気コンジットを含む
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項7】
前記電気コンジットが、取外し自在に付属する複数の第1の強化サブアセンブリの少なくとも一つと、取外し自在に付属する複数の第2の強化サブアセンブリの少なくとも一つとを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在する
請求項6に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項8】
複数の第1の強化サブアセンブリの各々は、第1のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在する
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項9】
複数の第2の強化サブアセンブリの各々は、第2のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在する
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項10】
第1と第2のMRIマグネットハウジングが円筒形である
請求項1に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項11】
磁気共鳴画像(MRI)システムにおいて、
MRIマグネットギャップにより分離される第1と第2のMRIマグネットハウジングと、
第1のMRIマグネットハウジング内部に配置される第1のメインMRIマグネットと、
第2のMRIマグネットハウジング内部に配置される第2のメインMRIマグネットと、
第1と第2のMRIマグネットハウジングに付属する複数の強化アセンブリと
を含み、
複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1と第2のMRIマグネットハウジングの少なくとも一つに取外し自在に付属する
磁気共鳴画像システム。
【請求項12】
複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1と第2のMRIマグネットハウジングに取外し自在に付属する
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項13】
複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1と第2のMRIマグネットハウジングの一つに取外し自在に付属するサブアセンブリを含む
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項14】
複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1のMRIマグネットハウジングに付属する第1の強化サブアセンブリと、第2のMRIマグネットハウジングに付属する第2の強化サブアセンブリと
を含む請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項15】
複数の強化アセンブリの少なくとも一つは、第1と第2の強化サブアセンブリに取外し自在に付属する中央強化コネクタを含む
請求項14に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項16】
第1の強化サブアセンブリは、第1のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在し、第2の強化サブアセンブリは、第2のMRIマグネットハウジングの外面から放射状に延在する
請求項14に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項17】
更に、MRIマグネットガントリ内に配置されるガントリを含む
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項18】
ガントリにより支持される放射線治療装置を更に含む
請求項17に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項19】
更に冷却システムを含み、該冷却システムは、第1と第2のメインMRIマグネットを冷却するためのクーラントを運ぶ流体管を含む
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項20】
前記流体管が、取外し自在に付属する強化アセンブリの少なくとも一つを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在する
請求項19に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項21】
更に電力システムを含み、該電力システムは、第1と第2のメインMRIマグネットに電力を供給するための電気コンジットを含む
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項22】
前記電気コンジットが、取外し自在に付属する強化アセンブリの少なくとも一つを介して、第1のMRIマグネットハウジング内部から第2のMRIマグネットハウジング内部まで延在する
請求項21に記載の磁気共鳴画像システム。
【請求項23】
第1と第2のMRIマグネットハウジングが円筒形である
請求項11に記載の磁気共鳴画像システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520292(P2013−520292A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555145(P2012−555145)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026073
【国際公開番号】WO2011/106524
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512129837)ビューレイ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ViewRay Incorporated
【Fターム(参考)】