説明

分割露光装置

【課題】部品点数及び制御軸数を削減し、装置の小型化を図る。
【解決手段】基板7を複数の露光領域に分割し、基板7に投影する露光パターンが描かれた投影マスクを基板7の分割された露光領域にそれぞれ対応するよう複数の転写領域に分割し、分割された基板7の露光領域ごとに露光を行う分割露光装置において、投影マスクの上方位置に近接して配置され、投影マスクの面と平行にX方向に往復移動可能な遮光体25と、遮光体25の上方位置に近接して配置され、前記投影マスクの面に平行に前記X方向と直交するY方向に往復移動可能であって、基板7及び投影マスクの位置決めマークを撮像するCCDカメラ13−1〜4を覆うためのカバー57と、を備え、遮光体25及びカバー57をそれぞれ所定の露光領域以外の光を遮蔽する位置に位置決めし、前記所定の露光領域を露光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割露光装置に係り、特に、光源から出射した光を、投影マスクを通して基板に照射することにより投影マスクに描かれた回路パターンを基板に形成する分割露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に形成される導電パターンは、年々高密度化、高精度化が望まれている。一方、プリント基板は、温度、湿度、洗浄、あるいは乾燥処理などにより寸法変化が生じる。そのため、導電パターンと絶縁層とを積層してなる積層基板においては、各層の導電パターン形状に誤差が生じた場合、精度よく上下の導電パターンを電気的に接続することが困難となり、プリント基板の高密度化への要求の障害となっている。
【0003】
このような障害を少なくするためには、プリント基板の大きさを小さくすれば寸法変化も比例して小さくすることができ、生産性の観点からは、比較的大きな基板を用いて、多面取りすることが望まれる。
【0004】
このようなことから、基板への露光工程においては、基板の露光領域を複数に分割して各露光領域を小さくし、投影マスクに描かれたパターンを基板の露光領域ごとに転写する分割露光方法が、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示された技術は、フォトマスクのパターンが描かれた面から遮光体までの距離を縮めなくても、基板の効率的な利用を可能とするため、フォトマスクと、フォトレジストが表面に塗布または貼り付けられた基板とを接触または近接して配置し、上記フォトマスクを通して光を前記基板に照射することによって、フォトマスクに描かれたパターンを分割して基板に転写する分割露光方法であって、フォトマスクに描かれたパターンを分割して基板に転写するための光を遮蔽するための遮光体を備え、フォトマスクには、複数の露光領域に分割され、それぞれの露光領域に所定の露光パターンが描かれているとともに、相互に隣接する露光領域と露光領域との間には、予め定めた幅の非透光スペースが設けられ、露光領域のそれぞれの露光パターンを基板に順次転写する過程で、フォトマスクの非透光スペース幅を減じるように、フォトマスクと基板とを相対的に移動させることにより、隣接する露光領域間の距離を縮めて、基板に各露光領域の露光パターンを転写することを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−215807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の発明では、露光領域のそれぞれの露光パターンを基板に順次転写する過程で、フォトマスクの非透光スペース幅を減じるように、フォトマスクと基板とを相対的に移動させることにより、隣接する露光領域間の距離を縮めて、基板に各露光領域の露光パターンを転写している。そのため、フォトマスクと平行な面上をX方向に移動可能な遮光体及びY方向に移動可能な遮光体が必要である。しかし、このような構成では、部品点数及び制御軸が多くなり、装置が大きくならざるを得なかった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、部品点数及び制御軸数を削減し、装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、基板を複数の露光領域に分割し、前記基板に投影する露光パターンが描かれた投影マスクを前記基板の分割された露光領域にそれぞれ対応するよう複数の転写領域に分割し、分割された前記基板の露光領域ごとに露光を行う分割露光装置において、前記投影マスクの上方位置に近接して配置され、前記投影マスクの面に平行に第1の方向に往復移動可能な遮光体と、前記遮光体の上方位置に近接して配置され、前記投影マスクの面に平行に前記第1の方向と直交する第2の方向に往復移動可能であって、前記基板及び前記投影マスクの位置決めマークを撮像する撮像装置を覆うためのカバーと、を備え、前記遮光体及び前記カバーがそれぞれ所定の露光領域以外の光を遮蔽する位置に位置決めされて前記所定の露光領域が露光されることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、前記カバーの端部の下端側に遮光の境界となる鍔部を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第2の手段において、前記鍔部は前記カバーの端部の下端部に一体的に設けられていることを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第2の手段において、前記鍔部は前記カバーの下方の前記撮像装置を搭載するベース部に前記カバーとは別体に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品点数及び制御軸数を削減し、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る分割露光装置の平面図である。
【図2】図1に示した分割露光装置の一部を断面し、装置側面から見た図である。
【図3】基板と投影マスクの相対位置の位置合わせの状態を示す説明図である。
【図4】一括露光時の遮光体及びCCDカメラのカバーの配置を示す説明図である。
【図5】横方向2分割露光時及び縦方向2分割露光時の遮光体及びCCDカメラのカバーの配置を示す説明図である。
【図6】4分割露光時の遮光体及びCCDカメラのカバーの配置を示す説明図である。
【図7】対称または非対称にアライメントマークを配置したときの状態を示す説明図である。
【図8】非対称にアライメントマークを配置したときのCCDカメラの動作を示す説明図である。
【図9】非対称にアライメントマークを配置したときのCCDカメラ駆動装置の説明図である。
【図10】従来のCCDカメラのカバー及び本発明に係るCCDカメラのカバーと、光との関係を示す説明図である。
【図11】鍔部をカバーに一体的に設けた例を示す図である。
【図12】鍔部をカバーに対して別体に設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、CCDカメラ用のカバーを一方向の遮光体と兼用することにより、最小の部品点数及び制御軸数で分割露光装置を構成したことを特徴とする。
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態に係る分割露光装置の平面図、図2は一部を断面した側面図である。
【0018】
図1及び図2において、分光露光装置は光源装置と露光装置とからなり、光源装置は装置奥側に配置されている。光源装置は、光源部1、集光部2、光反射部3及び光強度一様化部4からなる。光源装置では、光源部1から出射した光14は、集光部2で集光され、光反射部3側に反射により導かれる。光反射部3では、集光部2から導かれた光14を光強度一様化部4に向けて反射する。露光装置では、光強度一様化部4から平行化部5に導かれた光14は、平行化部5で反射され、遮光体25、マスク枠8、投影マスク9、基板7へと導かれる。すなわち、分割露光装置では、光源装置の光源部1から出射された光14が、集光部2、光反射部3、光強度一様化部4、平行化部5、遮光体25、マスク枠8、投影マスク9を通って基板7に導かれる光学系が構成される。
【0019】
露光装置は、露光テーブル6、マスク枠8、投影マスク9、ベース11、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4、モータ20X−1〜4、20Y−1,2、36、ボールネジ20X−1〜4、21Y−1,2、37、ガイド22X−1〜4、22Y−1,2、38、遮光体25、駆動装置40X−1〜4、40Y−1,2、41、スライダ42、ガイドバー45、CCDカメラのカバー57及びブラケット50、支持ブラケット51等を備える。
【0020】
露光装置では、ベース11の光源装置側の上面に一体構造の駆動装置41が設置され、スライダ42が駆動装置41によって図示X方向に移動する。ベース11の反光源装置側には、支持ブラケット51とガイドバー45が配置され、ガイドバー45の上面を遮光体25の一端側(図1及び図2において左端側)を可動に支持するローラ43が転動する。遮光体25の他端側(図1及び図2において右端側)はスライダ42によって支持され、ローラ25とスライダ42によって遮光体25はX方向に移動可能となっている。なお、遮光体25はマスク枠8の上方に近接して配置されている。
【0021】
マスク枠8はベース11上面のブラケット50上に支持され、投影マスク9はマスク枠8の下面側に配置される。露光テーブル6はベース11内のXYZθステージ12−1〜4によって支持される。ベース11のブラケット51上には、第1及び第2のY方向駆動装置40Y−1,2及び第1ないし第4のX方向駆動装置40X−1〜4が配置されている。プレート52上で対称に配置された第1及び第2のY方向駆動装置40Y−1,2は、一対のガイド22Y−1,2によって案内され、モータ20Y−1,2によりボールネジ21Y−1,2を介して駆動される一体構造のものである。第1ないし第4のX方向駆動装置40X−1〜4も、一対のガイド22X−1〜4によって案内され、モータ20X−1〜4によりボールネジ21X−1〜4を介して駆動される一体構造のものである。
【0022】
第1及び第2のY方向駆動装置40Y−1,2は、Y方向へ移動可能なスライダ53上へ共通ベース54の一端(図1及び図2において左端)側が固定され、他端(図1及び図2において右端)側のローラ55がガイドバー56上を転動してY方向の位置決めが行われる。また、第1ないし第4のX駆動装置40X−1〜4が2個ずつ対向して同様に共通ベース54上の一端側及び他端側に配置され、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4のX軸方向位置決めが行われる。なお、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4は、第1ないし第4のX方向駆動装置40X−1〜4によって駆動されるスライダ53と一体に移動する共通ベース54にそれぞれ搭載されている。
【0023】
また、第1及び第4のX方向駆動装置40X−1,4と共通ベース54全体を覆い、前出遮光体25へ近接する第1のカバー57aを配置し、これと対向させて第2及び第3のX方向駆動装置40X−2,3と共通ベース54全体を覆い、前出遮光体25へ近接する第2のカバー57bを配置している。そして、Y方向は、各々2個、すなわち第1及び第4のCCDカメラ13−1,4、または第2及び第3のCCDカメラ13−2,3がそれぞれ共通ベース54を介して同時に位置決めを行い、X方向は独立して位置決めを行うとともに第1及び第2のカバー57a,bがY方向の遮光体を兼用する。
【0024】
このように大略構成された分割露光装置では、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4は画像処理装置(図示せず)と接続されており、Zステージ12−1が上昇して投影マスク9と基板7が近接する位置で第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4がそれぞれ基板7及び投影マスク9のアライメントマークを撮像し、撮像データを画像処理装置に出力する。そして、画像処理装置はアライメントマークのマーク位置を測定し、その後、双方の相対位置が近似する修正値を算出し、修正値に基づいて前出XYθステージ12−2〜4が基板7位置を修正する。基板7位置が修正されると、投影マスク9と基板7が近接または接触した状態となり、光源部1から出射された光14を、投影マスク9を通して基板7上へ照射する。
【0025】
基板7は、表面に予め感光性フイルムがラミネートされるか、またはフォトレジスト感光剤が塗布されており、マスクパターンに応じて光路を遮られない箇所が、感光性フイルムまたはフォトレジストへ照射され、光化学反応によりネガタイプでは照射部が硬化し、ポジタイプでは非照射部が硬化する。これによりマスクパターンと略同一のパターンが感光性フイルムまたはフォトレジスト感光剤へ描かれ、描かれたパターンは現像により非硬化部が溶融除去され、回路が形成される。
【0026】
図3は基板と投影マスクの相対位置の位置合わせの状態を示す説明図、図4は一括露光時の遮光体及びCCDカメラカバーの配置を示す説明図である。
【0027】
全面露光時は、図3(a)及び図4(a)に示すように、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4が投影マスク9のアライメントマークNo1〜No4と基板7のアライメントマークa〜dの座標を測定し、測定値に基づき図3(b)に示すように双方の相対位置が近似する位置へXYθ位置決めステージ12−2〜4が露光テーブル6上面へ載置した基板7の位置を修正した後、図4(b)に示すように第1及び第2のカバー57a,57b(図ではカバーは総括的には符号57で示す。以下、同様。)及び遮光体25が退避して全面露光を行う。
【0028】
図5は横方向2分割露光時及び縦方向2分割露光時の遮光体及びCCDカメラカバーの配置を示す説明図である。横方向2分割露光時は、図5(a)及び(b)に示すように第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4がA及びB領域の投影マスク9と基板7のアライメントマーク座標を測定して全面露光時と同様に基板7の位置を修正した後、カバー57が退避するとともに遮光体25が遮光位置へ位置決めし、AまたはB露光領域を順次形成し、2分割露光を行う。縦方向2分割露光時は、図5(c)及び(d)に示すように第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4がC及びD領域の投影マスク9と基板7のアライメントマーク座標を測定して基板7の位置を修正した後、カバー57が遮光位置へ位置決めを行い、遮光体25は退避してCまたはD露光領域を順次形成し、2分割露光を行う。
【0029】
図6は、4分割露光時の遮光体及びCCDカメラのカバーの配置を示す説明図である。4分割露光時は、図6(a)〜(d)に示すように、第1ないし第4のCCDカメラ13−1〜4がE〜H領域の投影マスク9と基板7のアライメントマーク座標を測定して基板7の位置を修正した後、遮光体25及びカバー57がそれぞれ遮光位置へ位置決めして4分割されたE〜Hの各露光領域を順次形成し、4分割露光を行う。
【0030】
図7は対称または非対称にアライメントマークを配置したとき状態を示す説明図、図8は非対称にアライメントマークを配置したときのCCDカメラの動作を示す説明図、図9は非対称にアライメントマークを配置したときのCCDカメラの独立駆動装置の説明図である。基板7のアライメントマークNo1〜4は図7(a)に示すように主に対称に配置されるので同時にY方向へ位置決めしてもかまわない。しかし、露光テーブル6上へ基板7設置する際に設置方向を間違えないように(フールプルーフのため)非対称に配置する場合がある。非対称を配置した例が図7(b)である。
【0031】
図7(b)において2点鎖線で示すように非対称にアライメントマークNo4’を配置する場合には、図8(a)に示す如く、3個のアライメントマークNo1〜3の座標の測定座標へ位置決めして測定した後に、図8(b)に示すように残りの1個のアライメントマークNo4’の座標へ位置決めし、順次測定することによって非対称の場合に対応することできる。
【0032】
この場合、図9に示すように、別途Y軸方向へ第4のCCDカメラ13−4の位置決めができるようモータ60、ボールネジ61、ガイド62からなる位置決め装置63を設け、設置方向を間違えないように設定した座標(第4のアライメントマークNo4’)に対応して位置決めすることにより、第1ないし第4の4個のCCDカメラ13−1〜4が同時にマーク座標の測定を行い、生産工程の均等なタイミングを図るための工程作業時間である露光のタクトタイムが延びないようにすることもできる。
【0033】
また、照射光は必ずしも投影マスク面に対して垂直でないため、遮光部と投影マスク面までの距離に比例した幅で、照度が不均一な領域が生じることが知られている。図10はCCDカメラのカバーと光との関係を示す説明図で、同図(a)は従来から使用されているカバーを、同図(b)は本実施形態に係るカバーの例をそれぞれ示す。
【0034】
カバー57は断面チャネル型で水平部57−1aと側板57−1bとからなり、下方が開放されている。光14はカバー57の上方から下方に照射される。その際、従来のカバー57では、光14の照射方向が垂直でないと水平部57−1aの端部57−1d(上端部)で光14が遮られ、垂直であった場合に照射されるべき位置(側板57−1bから垂直下方に垂下された位置)からg1だけずれる。
【0035】
そこで本実施形態に係るカバー57は、側板57−1bの最下端から外側に水平方向に延びる所定幅の鍔部57−2を設けた。このように鍔部57−2を設けると、図10(a)の場合と同じ角度だけ垂直方向から傾いたとしても、光14が鍔部57−2の先端で遮られ、垂直であった場合に照射されるべき位置からのずれ量がg2で済む。これは、従来では、光14のずれ量g1が、カバーの端部57−1dと基板7の表面との距離s1に傾き角の正接を乗算した値に等しく、本実施形態では、ずれ量g2が側板57−1bの下端57−1cから基板7の表面との距離s2に傾き角の正接を乗算した値に等しいことからも明らかである。
【0036】
このように鍔部57−2をカバー57の側板57−1bの下端に設けると、光14の垂直方向からの傾きに対して露光ずれを最小限に抑えることができる。
【0037】
また、このような鍔部57−2を設けた場合、メンテナンスなどでカバー57を取り外す場合がある。このようにカバー57を取り外したとき、鍔部57−2を何かにぶつけてしまうと、図11(a)に示すようにエッジに凹み57−2aが生じることがある。このように凹み57−2aがあると、カバー57を取り付けた後、図11(b)に示すように光14を照射すると、その凹み57−2aの形状がそのまま基板7の露光形状に反映されてしまい、設計通りの露光形状を得ることができない。
【0038】
そこで、本実施形態では、図12に示すように、カバー57と鍔部57−3を別体にし、鍔部57−3を共通ベース54に取り付け、カバー57を取り外す際、鍔部57−3はカバー57と共には取り外すことができないように構成した。
【0039】
これにより、鍔部57−2と同じ機能を備えながら、鍔部57−3のエッジに凹みが生じることがなくなり、基板7に対して設計通りの形状で露光することができる。
【0040】
なお、図11は鍔部をカバーに一体的に設けた例を示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は断面図である。図12は鍔部をカバーに対して別体に設けた例を示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は断面図である。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、下記のような効果を奏する。
【0042】
1)露光光14の紫外光からCCDカメラ13−1〜4のプラスチック部及びケーブルの変質を防ぐ目的と投影マスク9上へゴミが舞い落ちることを防ぐ目的で設置するCCDカメラ13−1〜4用のカバー57を、X方向に移動可能な遮光体またはY方向に移動可能な遮光体と兼用し、一方の遮光体を廃止することにより、部品点数及び制御軸数を低減させることができる。その結果として、装置の小型化を図ることができる。
【0043】
2)CCDカメラ13−1〜4用のカバー57の最下端に鍔部57−2を設けることにより、露光境界部での照度が不均一な領域が、カバー57の上側の端部57−1dに当たって遮られる光の影によって広くなってしまうことを防止することができる。言い換えれば、遮光体として使用するために、遮光の境界を設定する箇所をカバー57の側板57−1bの端部(上端部)57−1dでではなく、カバー57の側板57−1bの下端部の鍔部57−2のエッジとしたので、露光光の角度ずれに対する許容度を大きくすることができる。
【0044】
3)鍔部57−2をカバー57から分離し、CCDカメラ13を搭載する共通ベース54に設けたので、メンテナンス時にカバー57の取り外しを行う際、鍔部57−2が凹んだり、変形したりすることがなく、安定した遮光位置精度と遮光性能を発揮することができる。
【0045】
なお、特許請求の範囲における基板は本実施形態では符号7に、露光領域は符号A〜Hに、投影マスクは符号9に、第1の方向はX方向に、遮光体は符号25に、撮像装置はCCDカメラ13−1〜4に、カバーは符号57,57a,57bに、鍔部は符号57−2,57−3に、ベース部は共通ベース54に、それぞれ対応する。
【0046】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
7 基板
9 投影マスク
13−1〜4 CCDカメラ
25 遮光体
54 共通ベース
57,57a,57b カバー
57−2,57−3 鍔部
A〜H 露光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を複数の露光領域に分割し、前記基板に投影する露光パターンが描かれた投影マスクを前記基板の分割された露光領域にそれぞれ対応するよう複数の転写領域に分割し、分割された前記基板の露光領域ごとに露光を行う分割露光装置において、
前記投影マスクの上方位置に近接して配置され、前記投影マスクの面に平行に第1の方向に往復移動可能な遮光体と、
前記遮光体の上方位置に近接して配置され、前記投影マスクの面に平行に前記第1の方向と直交する第2の方向に往復移動可能であって、前記基板及び前記投影マスクの位置決めマークを撮像する撮像装置を覆うためのカバーと、
を備え、
前記遮光体及び前記カバーがそれぞれ所定の露光領域以外の光を遮蔽する位置に位置決めされて前記所定の露光領域が露光されること
を特徴とする分割露光装置。
【請求項2】
請求項1記載の分割露光装置において、
前記カバーの端部の下端側に遮光の境界となる鍔部を備えていること
を特徴とする分割露光装置。
【請求項3】
請求項2記載の分割露光装置において、
前記鍔部は前記カバーの端部の下端部に一体的に設けられていること
を特徴とする分割露光装置。
【請求項4】
請求項2記載の分割露光装置において、
前記鍔部は前記カバーの下方の前記撮像装置を搭載するベース部に前記カバーとは別体に設けられていること
を特徴とする分割露光装置。

【図3】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−72886(P2013−72886A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209433(P2011−209433)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000233332)日立ビアメカニクス株式会社 (237)
【Fターム(参考)】