説明

分子上のエピトープの免疫検出のための試薬、キット及び方法

サンプル中の選択されたエピトープを発現する分子を検出するか及び/又は定量する方法が開示される。細胞溶解物の中の蛋白質をプロファイルする方法も開示される。サンプル中の選択されたエピトープを発現する分子を検出するか及び/又は定量するためのキット及び細胞溶解物の中の蛋白質をプロファイルするためのキットも開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、増幅産物が蛍光染料により染色されてそれによるRNA増幅の応用においての使用に適している、核酸鋳型に連結された抗体を用いて分子上のエピトープを検出することによりそれを検出及び提要する方法に関する。発明は、さらに、上記方法を実施するために有用な試薬及びキットに関する。
発明の背景
この出願は、引用により本明細書に編入される、2004年2月20日に出願された米国仮出願連続番号60/546,225に対して優先権を主張する。この出願は、各々が引用により本明細書に編入される、2001年10月15日に出願された米国特許09/977,716、2001年2月15日に出願された米国特許09/983,896、及び2000年7月25日に出願された米国特許出願連続番号09/624,946に関連する。
【0002】
蛋白質の検出及び定量のための伝統の方法論は、二次元電気泳動、質量分光分析及び抗体結合を含む。各方法論は、相対的に大量の組織から蛋白質のレベルを測定するために使用されたが、各々は感度の欠如をこうむる。
【0003】
低富裕性抗原及びそれらの修飾物の検出は、体内の細胞事象のため並びに感染及びその他の病理状態の臨床診断のために必須の多数の制御蛋白質の機能を理解するための鍵である。免疫学上抗原を検出するときの限界は、抗原の濃度と抗体の親和性に関する。一般に、高い親和性のモノクローナル抗体は低濃度において抗原を検出することができる。しかしながら、検出において抗体を使用する場合の感度は、結合した抗体の検出により制限される。稀な相互作用の結合シグナルの増幅が直線の一貫した様式において生成できるなら、検出に対する障壁は克服され得る。
【0004】
ELISAタイプのアッセイに関する検出限界は、0.1−50ng/mlであり、抗体の親和性、特に移用される捕捉抗体の親和性に依存する。「サンドイッチ」又は二カ所ELISAアッセイにおいては、抗原を捕捉するための高親和性抗体の使用が高感度に相関する(Porstmann,T.&Kiessig,S.T.Enzyme immunoassay techniques.An overview.Journal of Immunological Methods.150,5−21(1992))。検出用抗体は、ときに、感度を増幅するために、酵素、通常はペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼにコンジュゲートされる。発色生成物を蛍光原基質で置き換えることで、1桁の規模を超えない程度、ほんのわずかにアッセイ感度を改善する(Porstmann,B.,Porstmann,T.,Nugel,E.& Evers,U.Which of the commonly used marker enzymes gives the best results in colorimetric and fluorometric enzyme immunoassays:horseradish perokisidase,alkaline phosphatase or beta−galactosidase? Journal of Immunological Methods.79,27−37)。さらに、増加したバックグラウンドは、一般に、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ並びに他の直鎖状酵素を用いるELISAアッセイの感度に付随する。
【0005】
蛋白質、脂質、糖及び代謝物レベル及びそれらの修飾物を監視する能力の改善は、細胞生物学及び医学において求められている。これらの分子を検出する感度を改善するために、様々な技術が用いられた。検出方法の最近の例は、免疫−PCR,RCA及び免疫−aRNAを含む。
【0006】
免疫−PCR(米国特許5,665,539,引用により本明細書に編入される)は、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)技術と慣用の検出方法を組み合わせることにより蛋白質を検出する感度を増加させる。しかしながら、免疫−PCRの主要な限界は、PCR反応の非直線増幅能力であり、この技術を定量性検出法にとどめさせる。即ち、この方法は、シグナルの量と存在する蛋白質の量の間の直接的相関を提供しない。
【0007】
相対的に恒温の回転循環DNA増幅技術(RCA;Schwietzer et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97,10113,2000,引用により本明細書に編入される)は、この技術が免疫−PCRに付随した定量の問題のいくつかを克服するように、免疫−PCRを超える改善を提供する。回転循環増幅(RCA)は免疫RCAとも呼ばれてきた。増幅されたシグナル(一本鎖DNA)は、抗原−抗体複合体と共にある。免疫RCAは蛋白質マイクロアレイに関しての興味を引くアプローチである。フェムトモラー感度は免疫RCAアプローチに関して記載されたが、免疫RCAにより研究されたサイトカインの現実の検出感度は1〜1000pg/mlの範囲であり、既に利用可能なELISA検出に匹敵するレベルであった。
【0008】
Tannous et al(Nucleic Acids Resarch.30,e140(2002))は、T7 RNAポリメラーゼを用いた抗原定量系を報告した。それらの系においては、T7 RNAポリメラーゼを検出抗体と複合体形成させ、そしてDNA鋳型が増幅のために供給された。増幅されたRNAはT7 RNAポリメラーゼ又はルシフェラーゼの何れかをコードしたため、次に、インビトロ翻訳系を用いて酵素を生産し、そして最終酵素活性が最初の抗原濃度を反映した。
【0009】
引用により本明細書に編入される米国特許5,922,553は、免疫−aRNAと呼ばれる技術により選択された蛋白質のレベルを定量する方法を開示する。この方法においては、選択された蛋白質に対する1次抗体を固相支持体に固定化する。当該支持体を次に選択された蛋白質に接触させることにより、選択された蛋白質が1次抗体に固定化される。固相支持体を、次に、選択された蛋白質を標的とする2次抗体に共有結合されたRNAプロモーター−推進性cDNA配列に接触させることにより、2次抗体が、結合した選択された蛋白質に結合する。選択された蛋白質の量は、増幅されたRNA技術により結合した1次抗体に共有結合されたプロモーター推進cDNA配列のレベルを定量することにより測定される。好ましい態様においては、T7プロモーター推進cDNA配列を2次抗体に共有結合させる。従って、目的の抗原は、プレートに結合された抗体により捕捉されて、T7 RNAポリメラーゼ酵素の結合に適合させた二重鎖オリゴヌクレオチドと直接結合された抗体により検出される。抗原の最初の濃度は、電気泳動後のRNA種のオートラジオグラフにより測定される。検出感度はT7 RNAポリメラーゼ増幅と放射性アイソトープの使用の組み合わせのために高いが、顕著な欠点も有する。増幅産物(RNA)の放射性アイソトープによる標識及びRNA種の電気泳動による分離は、広範囲の用途を排除する、長々しく、時に困難な一連の工程を創製する。共有グルタルアルデヒド結合条件は本質的に可変性であり、抗体の親和性と機能に対して予測不可能な効果を有する。
【0010】
単鎖断片並びに環外ペプチドに基づく相補性決定領域(CDR)サブユニットは、この免疫−aRNA技術において有用であることがわかった。さらに、PCR並びに増幅されたRNA技術を用いて、結合した単鎖断片又はCDRサブユニットに共有結合されたプロモーター推進cDNA配列を定量することができる。小さな抗体結合ユニットと既存の大きな単鎖又は環外ペプチドライブラリーと結合された断片の使用及びロボットによる補助の使用は、この方法を、医学の目的及び研究目的の両方に関して広く有用にさせる。さらに、単一の第3の検出器種(detector species)を二重鎖DNAと結合させて、単鎖Fv又はCDRsの何れかに結合できるため、検出を均一且つ単純にさせる。
発明の概要
本発明は、サンプル中の選択されたエピトープを発現する分子を検出及び/又は定量するための方法に関する。当該方法は、サンプル中の選択されたエピトープを発現する分子を固相支持体に固定化することを含む。固相支持体を上記の選択されたエピトープに特異的に結合する分子、ストレプトアビジン及びビオチン化オリゴヌクレオチドに接触させる。選択されたエピトープに特異的に結合する分子は、ビオチン化されたモノクローナル抗体、ビオチン化されたFAb、ビオチン化されたF(Ab)、ビオチン化されたヒト化又はキメラ抗体、好ましくはヒトFcを含み、ビオチン化された抗体、ビオチン化されたFAb、ビオチン化されたF(Ab)、ビオチン化された単鎖Fv、ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDR、ビオチン化されたCDR模倣物、ビオチン化された操作されたCDR構造、ユニバーサルエピトープを含む抗体、ユニバーサルエピトープを含むFAb、ユニバーサルエピトープを含むF(Ab)、ユニバーサルエピトープを含む単鎖Fv、ユニバーサルエピトープを含むCDR模倣物、又はユニバーサルエピトープを含む操作されたCDR構造であってよい。選択されたに特異的に結合する分子がユニバーサルエピトープを含むのなら、固相支持体をさらにユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子に接触させる。ユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子は、ビオチン化抗体、ビオチン化FAb、ビオチン化F(Ab)、ビオチン化ヒト化又はキメラ抗体であって好ましくはヒト化抗体を含み、ビオチン化単鎖Fv、ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDR、ビオチン化CDR模倣物、又はビオチン化された操作されたCDR構造である。ビオチン化されているなら、RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドに結合するストレプトアビジンに結合する。ユニバーサルエピトープを含むなら、RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドに結合するストレプトアビジンがユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子に結合する。次に、RNA増幅産物を生産するための鋳型としてオリゴヌクレオチドを用いて、RNA増幅を実施する。RNA増幅産物を、RNA増幅産物を染色する染料に接触させ、そして染色されたRNA増幅産物から放射される蛍光を検出するか又は定量する。いくつかの好ましい態様において、当該オリゴヌクレオチドは少なくとも500塩基対を有する二重鎖DNAである。いくつかの好ましい態様において、当該オリゴヌクレオチドはRNAポリメラーゼ終結配列を含む。好ましくは、当該オリゴヌクレオチドはT7 RNAプライマーとT7 RNAポリメラーゼ終結配列を含む。
【0011】
本発明の別の側面は、細胞溶解物中の蛋白質をプロファイリングする方法を提供する。当該方法は、別々のエピトープに結合する分子の混合物に溶解物を接触させることを含む。別々の分子を別々のオリゴヌクレオチドに結合させる。RNA増幅において使用する場合は、存在する別々のオリゴヌクレオチドは、溶解物の中に存在する分子上の別々の分子に相当する存在し、溶解物のプロファイルを決定するために識別可能な別々のRNA増幅産物を生じる。
【0012】
本発明は、発明の方法を実施するためのキットを提供する。当該キットは上記方法を実施するために必要な様々な試薬を含む。
発明の詳細な説明
本発明は、特定のエピトープ及び試薬を含む分子のレベルを検出及び/又は定量するための改良方法、これらの改良方法を実施するための系及び試薬に関する。発明のいくつかの側面によれば、RNA増幅プロトコルにおいて鋳型として使用される核酸分子は、少なくとも500bpを含む。発明のいくつかの側面によれば、RNA増幅プロトコルにおいて鋳型として使用される核酸分子は、5’末端にT7プロモーター及び3’末端にT7終結配列を含む。発明のいくつかの側面によれば、RNA増幅プロトコルにおいて鋳型として使用される核酸分子はビオチン化されており、鋳型に連結されている、抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造である。2つのビオチン化成分の連結はストレプトアビジンブリッジにより達成される。
【0013】
発明によれば、検出される特定のエピトープを含む分子は、固相支持体又は表面に固定化されるのが好ましい。いくつかの態様においては、検出されるエピトープ以外の部位において分子に結合するアンカーの使用により上記分子が固定化される。そのような態様においては、アンカーを固相支持体に固定する。いくつかの態様において、アンカーは、抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造である。いくつかの態様において、固相支持体は、ガラススライド、チップ、試験管又はマルチタイタープレート、例えば96又は384ウエルプレートもウエルである。好ましい態様においては、エピトープアンカーを表面上の示されたスポットに結合させる。例えば、表面はチップを含んでよく、エピトープアンカーをチップ上の示されたスポットに結合させる。一つの態様において、エピトープアンカーを表面又はプレートに、ピペッター又は単一の部位への塗布を許容する類似のデバイスの助けを借りて被覆する。結合したエピトープアンカーを有する表面を、次に、選択されたエピトープを発現する分子を含む疑いのあるサンプルと、当該分子がエピトープアンカーに結合するように、接触させる。別の態様においては、エピトープアンカーを使用せずに当該分子を表面に直接付着させる。
【0014】
いくつかの態様において、上記分子は、蛋白質、糖質、又はグリコシル化された蛋白質である。本発明の方法によりアッセイ可能なサンプルの例は、限定ではないが、細胞及び生物の流体、例えば血清を含む個々の溶液を含む。
【0015】
発明によれば、検出される特定のエピトープを含む分子は、エピトープ検出器を用いて検出されるのが好ましい。いくつかの態様において、エピトープ検出器は、RNA増幅鋳型として作用する核酸分子に連結された、抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造である。いくつかの態様において、エピトープ検出器は、上記エピトープを含む分子に結合する、一次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造、及びRNA増幅鋳型として作用する核酸分子に連結された一次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造に結合する二次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造である。いくつかの態様において、上記エピトープを含む分子に結合する、一次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造は、二次抗体、好ましくは普遍的(general)エピトープ又はユニバーサルエピトープにより認識されるエピトープを含む。本発明の好ましい態様において、普遍的エピトープ又はユニバーサルエピトープは、ヘマグルチニンタグ又はポリヒスチジンタグである。普遍的エピトープ又はユニバーサルエピトープの例は、ポリ−His−タグ、例えば、蛋白質の生成のためにデザインされたものである。いくつかの態様において、一次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造に結合する二次抗体、FAb,F(Ab),Fv抗体断片、CDRs,CDR模倣物及び操作されたCDR構造は、ビオチン化されており、そしてストレプトアビジンブリッジによりRNA増幅鋳型として作用するビオチン化核酸分子に連結される。
【0016】
抗体は、好ましくは分子上の特定のエピトープに結合するモノクローナル抗体である。そのようなモノクローナル抗体は日常的に作成できる。いくつかの態様において、抗体は、ヒト化抗体又はキメラ抗体である。
【0017】
あるいは、結合活性を有する抗体断片、scFv又はCDRペプチドを用いてこの技術において抗体を置き換えることができる。エピトープ選択のためのFv断片は、組換えDNA技術の使用により細胞内又は微生物上で生産することができる。例えば、Skerra and Pluckthum(Science 1988 240:1038−1044)は、エシェリヒアコリにおける機能性Fv断片の生産のための発現系を記載する。
【0018】
抗体の軽鎖又は重鎖の可変ドメインのみをコードするDNA配列を有するオペロンを有する真核発現ベクターにより真核宿主細胞においてFv断片を生産する方法も記載された(J.Mol.Biol.1988 203:825−828)。完全に機能するFv断片が培養上清にて生産されるように、Fv断片の鎖は宿主細胞から分泌されて正確に集合する。加えて、当該DNA配列は、アミノ末端エンドがオリゴヌクレオチドの共有結合に適した表面を有する一つ又は複数の残基を発現するように、その5’エンドに向かって変更されてよい。加えて、システイン残基が各可変ドメインのC末端エンドに向かって生産されて、ダイマー中で可変ドメインがジスルフィド結合により一緒になって結合するようになることを許容するように、3’末端エンドが変更されてよい。これは、Fv断片の集合をも促進するかもしれない。あるいは、第1可変ドメインをコードする第1DNA配列及び第2可変ドメインをコードする第2DNA配列を有するベクターを用いてFv断片が安定化されてよく、第1配列と第2配列は連結ペプチド配列をコードする第3DNA配列により連結される。この場合、連結ペプチド配列は、機能性単鎖Fvへの2つのポリペプチドのフォールディングを許容するのに十分長くて柔軟である。好ましくは、宿主細胞が骨髄腫細胞系であって、形質転換前には、完全な抗体又は軽鎖を分泌しない。そのような細胞系はよく知られており広く利用可能である(Reichmann et al.J.Mol.Biol.1988 203:825−828)。
【0019】
あらゆるハプテン又は化学化合物に対するランダムファージ技術もFvsを分泌させるのに使用することができる(Harrison et al.United States Biochemical Pharma.Ltd.(欧州)、ワットフォード、大英帝国)。
【0020】
CDR技術はよく知られており、米国特許5,334,702、米国特許5,663,144、及び米国特許5,919,764において記載されており、引用により本明細書に編入される。抗体分子は、相補決定領域(CDRs)と呼ばれる6つの可変ループによりそれらの抗原に結合する。重鎖からのCDR3はその特異性にしばしば媒介する。制約されたCDR模倣物のデザインのための一般的方法論は、Williamsら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1989 86:5537−5541)、Sargoveら(Science 1991 253:792−795)及びMuraliら(Immunol.Res.1998 17:163−169)により記載される。通常、CDRsは、環状になるように制約されて芳香族残基により修飾された6から15マーのペプチドを含む。CDR模倣物は小さな分子であって(約1kDa)、特異性、親和性及び生物学的な活性に関してそれらの親抗体を模倣することができる。CDR模倣物の環状形態は約5から13の制約されたアミノ酸を含む。
【0021】
本発明のためには、CDRを含むエピトープ検出器又はエピトープアンカーが、CDR又はCDR模倣物から本質的になってよい。あるいは、エピトープ検出器又はエピトープアンカーが、ヒト化抗体フレームワークに再挿入されるか又はFcに付着される結合として規定されたCDR又はCDR模倣物を含んでよい。CDRs又はCDR模倣物は、ヒト化抗体フレームワークに再挿入されるか又はFcに付着される。ヒト化抗体フレームワークに再挿入されるか又はFcに付着されるCDRs又はCDR模倣物は、本明細書において、操作されたCDR構造とも呼ばれる。しかしながら、この開示を読んだ当業者には理解されるとおり、用語「操作されたCDR構造」は、CDR又はCDR模倣物が挿入されるあらゆる蛋白質をも包含する。そのような蛋白質の例は、限定ではないが、イムノグロブリンファミリーのメンバー、ミニボディ又は小抗体様分子、又はCDRを抗原結合表面として機能するようにするあらゆる他のネットワークを含む。
【0022】
CDRs、CDR模倣物及び操作されたCDR構造の本発明における使用のためのデザインにおける重要な工程は、活性に重要な残基の描写である。これは、最初に別々の長さのオリジナルの抗体又は受容体又はリガンドの生物活性ドメインからアナログのセットを合成し、そして完全活性及び部分活性に関して最小の鎖の長さを立証することにより、一般には達成される。最小の鎖の長さが立証されたなら、各側鎖を系統的に変化させることにより、各位置における電荷、立体容積、疎水性、芳香性及びキラル性の重要性を決定することができる。大きなアナログセットの特性の評価の後で、結合に関与する官能基(functional groups)とコンフォメーションの特徴を同定することができる。別のコンフォメーショナル上制約されたアナログが次に開発できる。ペプチドを制約するための様々な手段が開発されている。
【0023】
一つの手段は、コンフォメーショナル上制約されたアミノ酸を導入することを含む。Hruby(Life Sci.1982 31:189−199)は、多数のアミノ酸とビルトインコンフォメーショナル制約物を伴うジペプチド誘導体の合成、並びにそれらの生物学上活性なペプチドへの取り込みを記載する。Prasadら(Biopolymers 1995 35:11−20)も、ジアルキルアミノ酸を生産するためにα−炭素の水素原子をメチル基により置換することによりアミノ酸ユニットを制約する方法を記載する。米国特許6,022,523は、C−α及びC−β原子に二重結合を導入することによりアミノ酸のコンフォメーショナルな自由度を制限する方法を記載する。
【0024】
ペプチドを制約するための別の方法は、共有架橋結合の導入を含む。共有架橋結合の導入によるペプチドバックボーンの制約は、非通常のアミノ酸の取り込みよりも劇的な効果を提供する。マクロ環状化は、しばしば、ペプチドN末端とC末端の間、側鎖とN又はC末端の間、又は2つの側鎖間でアミド結合を形成することにより達成される。第1ジェネレーションのジアルコキシ−ベンジル結合剤である4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ酢酸により誘導されたポリスチレン樹脂上でFmoc/t−ブチル固相手法により合成された側鎖保護されたペプチドのヘッドトゥーテイル環状化が、Sheppard,R.C.(Int.J.Peptide Res.1982 20:451−454)により記載された。加えて、類似の結合剤、4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシフェノキシ)−ブチル酸(HAMA)が、最近、これらの酸性高感受性のリンカーによるペプチドの断片濃縮及び固相合成において用いられた(In Peptide,E.Giralt and D.Andreu編纂、ESCOM,Leiden,The Netherlands 1991,131−133)。Schillerにより記載されたエンケファリンアナログは、D−lys残基のe−アミノ基のLeuのC末端バックボーンのカルボキシレート基への付着が高い潜在性並びに顕著なμ受容体選択性を有する環状の16員環アナログを生成する、側鎖のバックボーン共有環状化の例を提供する(Schiller et al.Int.J.Pep.Prot.Res.1985;25:171−177)。BOP−試薬とカルボジイミド/1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾルの組み合わせも、環状ペプチドの形成において有用であることが報告された(Felix,A.M.Int.J.Pep.Prot.Res.1988 31:231−238)。Degradoらも、m−アミノメチル安息香酸をリンカーとして用いたGP IIb/IIIa複合体の生物学上活性な環状化されたペプチドアナログを開発した(米国特許6,022,523)。
【0025】
特定の位置におけるシステインの導入による酸化により、ジスルフィドを形成することもできる。例えば、Romani,S.(Int.J.Pep.Prot.Res.1987 29:107−117)は、アゾジカルボキシル酸のジ第三ブチル酸アスターの助けを借りて非対称性ジスルフィドを構築することができる。Ploux,O.(Int.J.Pep.Prot.Res.1987 29:162−169)も、3S−3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基のチオール置換による非対称性ジスルフィドの形成のための方法を記載する。
【0026】
好ましい態様において、本発明において使用されるオリゴヌクレオチドは、二重鎖であって、T7のRNAポリメラーゼを用いて増幅できるようにT7プロモーターにより推進されるcDNA配列を含む。この態様において、二重鎖cDNAはT7のRNAポリスチレン転写のための鋳型としての使用のために合成される。T7のRNAポリメラーゼはそのプロモーター部位が二重鎖であることを要求する。好ましい態様において、当該オリゴヌクレオチドは、T7プロモーターとT7終結配列を含む。
【0027】
好ましい態様において、当該オリゴヌクレオチドは、少なくとも50、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも400、より好ましくは少なくとも500、そしてより好ましくは少なくとも600塩基対の長さである。
【0028】
一つの態様において、オリゴヌクレオチドが付着する抗体、FAb,F(Ab),Fv又はCDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造上の部位は、化学物質、例えばヘテロダイマーカップリング剤からなるリンカー又は他のリンカーの付着を許容する一連の残基を含む。これらの残基は、リンカーの付着のための均一な結合部位を提供する。当該リンカーは、この部位に付着し、そしてまた、抗体、FAb,F(Ab),Fv又はCDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造にオリゴヌクレオチドを連結する。オリゴヌクレオチドは未修飾でも修飾されていてもよい。例えば、エピトープ発現分子の迅速なセミ定量評価を許容する、混合物中へのビーコン又は蛍光標識されたオリゴヌクレオチドの取り込みにより、増幅されたオリゴヌクレオチドの存在が増強され得る(Ton et al.Chemistry 2000 6:1107−1111;Leone et al.Nucleic Acids Res.1998 26(9):2150−2155)。
【0029】
別の態様において、エピトープ検出器のオリゴヌクレオチドがビオチンにカップリングされ、そしてモノクローナル抗体、FAb,F(Ab),ヒトFcを伴うか又は伴わないキメラ抗体、単鎖Fv又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造がストレプトアビジンにカップリングされ、そしてモノクローナル抗体、FAb,F(Ab),ヒトFcを伴うか又は伴わないキメラ抗体、単鎖Fv又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造へのオリゴヌクレオチドの付着は、ビオチンのストレプトアビジンに対する複合体形成により起こる。いくつかの態様によれば、エピトープ検出器のオリゴヌクレオチドがビオチンにカップリングされ、そしてモノクローナル抗体、FAb,F(Ab),ヒトFcを伴うか又は伴わないキメラ抗体、単鎖Fv又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造がビオチンにカップリングされ、そしてオリゴヌクレオチドと、モノクローナル抗体、FAb,F(Ab),ヒトFcを伴うか又は伴わないキメラ抗体、単鎖Fv又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造が各ビオチンのストレプトアビジンへの相互作用により互いに連結され、それにより、オリゴヌクレオチドを、モノクローナル抗体、FAb,F(Ab),好ましくはヒトFcを伴うか又は伴わないキメラ抗体、単鎖Fv又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造に付着させる。
【0030】
いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、5’と3’の両エンドにてビオチン化されて、ストレプトアビジンと接触したときに、エピトープ検出器への結合に加えて、2つ又はそれより多いオリゴヌクレオチドが互いに結合してよい。
【0031】
結合したエピトープ検出器は、慣用のPCR又はaRNA技術による増幅のような方法により定量されてよい。使用される検出方法が免疫aRNAなら、二重鎖cDNAをエピトープ検出器において用いるのが好ましい。この態様においては、aRNAを、ポリメラーゼ、未標識リボヌクレオチド、及び蛍光標識されたリボヌクレオチドを用いて固相上で転写する。本発明のための「ポリメラーゼ」は、特定のプロモーターを認識するポリメラーゼを意味する。本発明において有用なポリメラーゼの例は、限定ではないが、T7のRNAポリメラーゼ、T3のRNAポリメラーゼ、SP6のRNAポリメラーゼ、29ポリメラーゼ及びTaqポリメラーゼを含む。別の態様においては、感度を増加させるための逆転写酵素又は複製酵素によるさらなる増幅のための鋳型として、増幅された産物が作用し得る。
【0032】
選択されたエピトープに結合する分子は、オリゴヌクレオチドに対して非共有結合される。いくつかの態様において、選択されたエピトープに結合するビオチン化された分子を、ストレプトアビジン、及びビオチン化オリゴヌクレオチドと共に同時に加えてよい。いくつかの態様において、試薬は予め混合される。いくつかの態様において、試薬はシグナルを増強するために繰り返し加えられる。いくつかの態様において、過剰のストレプトアビジン及びビオチン化オリゴヌクレオチドは、選択されたエピトープに結合するビオチン化分子あたり一つより多いビオチン化オリゴヌクレオチドを連結するのに十分な量にて提供され、それによりシグナルを増強する。
【0033】
様々な手段が上記エピトープ検出器の増幅産物の検出のために利用可能である。一つの態様において、上記核酸配列は検出可能に標識され、例えば、放射性標識又は蛍光標識を用いる。好ましい態様において、核酸配列は標識されないで、どちらかと言えば、蛍光染料により染色される。他の方法、例えば、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー、ハイブリダイゼーションアッセイ、免疫組織化学アッセイ及び/又は特異的結合蛋白質アッセイを検出に使用することもできる。加えて、配列特異的プローブとのハイブリダイゼーションにより、RNA増幅産物の濃度を測定してよい。そのようなプローブは蛍光オリゴであるか又は蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)に基づく分子ビーコンであり得る。
【0034】
本発明の方法は、医学の目的と研究の目的の両方に広く適用可能である。
本発明における検出のための好ましい手段は、蛍光染料により染色することを含む。この態様においては、ポリメラーゼ、例えば、T7のRNAポリメラーゼ、T3のRNAポリメラーゼ、SP6のRNAポリメラーゼ、29ポリメラーゼ又はTaqポリメラーゼによるRNA増幅の後に、反応混合物の一部を、蛍光染料、例えば、溶液中で直接RNAに結合して次に蛍光シグナルを放出する非対称性シアニン染料であるRioGreen試薬(モリキュラープローブス社)(米国特許5,436,134)と混合することができる。この方法において有用な類似の特性を備えた他の蛍光染料の例は、限定ではないが、PicoGreen,TOTO−1又はYOYO−1を含む。反応はマイクロプレート中で実施するのが好ましく、蛍光はSpectra Fluoraのようなフルオリメーターを用いてRNA溶液とRiboGreen染料の混合の5分から15分後に読む。蛍光の読みは535nmにおいて回収される。
【0035】
本発明のいくつかの方法において、選択されたエピトープに対するモノクローナル抗体、選択されたエピトープに対するFAb、選択されたエピトープに対するF(Ab)、選択されたエピトープに対するヒト化された抗体か又はキメラ抗体、選択されたエピトープに関する単鎖Fv、又は制約されたエピトープに特異的なCDRs、CDR模倣物又は操作されたCDR構造の何れかを含むエピトープ検出器を別々の長さのオリゴヌクレオチドとコンジュゲートして含む混合物を、単一の反応において用いることにより、自動化配列決定によって細胞溶解物中の蛋白質のプロファイルを提供することができる。この方法においては、増幅及び増幅産物の蛍光染料による染色の後に、反応混合物を電気泳動により分離し、そしてRNA産物のサイズを蛍光染料又はプローブにより可視化する。さらに、特異的プローブが反応混合物とハイブリダイズすることができて対応する抗原の存在及び富裕さを明らかにするように、別々のエピトープに特異的な別々の分子に連結された別々のオリゴヌクレオチドを別々の配列と共に提供してよい。
【0036】
ビオチン化オリゴヌクレオチドに非共有連結されたビオチン化検出用抗体(又は抗体断片、CDR,ファージ抗体)を用いて、発明の方法は、限定ではないが、蛋白質、翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化、等)、糖質等を含む、抗体により認識されるあらゆる種類の抗原を検出することができる。あるいは、当該方法は、ビオチン化蛋白質、ペプチド、有機構造等を用いることにより相互作用のパートナーを検出するために使用できる。ビオチン化分子対非標識分子を用いることにより、標的分子の定量のための競合結合アッセイにも、当該方法を適用することができる。
【0037】
本発明は、免疫PCR技術の非定量性の性質についての心配ごとを排除し、そしてプロテオミクスの分野における莫大な可能性を提供する感度の良い検出方法を提供する。特定のプロモーターを認識するポリメラーゼ、例えばT7のRNAポリメラーゼ、T3のRNAポリメラーゼ、SP6のRNAポリメラーゼ、29のポリメラーゼ又はTaqポリメラーゼ、並びに増幅工程における特異的プロモーターを用いることにより、この方法により実施されるアッセイは、生物学アッセイ及び医学アッセイにおいて関連する直線増幅及び正確な定量を所有する。検出感度に影響する因子の数も減る。抗原とそれらの抗体、FAb,F(Ab),Fv又は単価CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造の間の特異的結合が、この方法の唯一の決定的なパラメーターである。
【0038】
ユニバーサルエピトープを提供する能力は、複数の追加の利点と共に本発明の方法を提供する。最初に、モノクローナル抗体へds−オリゴと共に最初にカップリングされることなく、あらゆる細胞抗原が検出できる。ユニバーサルプローブなしに、当該方法は、一つ又はいくつかの特定の抗原を一度に観察することにおいてのみ有用なはずである。他方、有用プローブは、あらゆる細胞又は液体に存する抗原を、エピトープ検出器の利用可能な抗体、FAb,F(Ab),CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造により検出することを可能にする。加えて、プロトコルにおいてわずかに修飾することにより、別々のサイズのオリゴヌクレオチドがエピトープ検出器の利用可能な抗体、FAb,F(Ab),Fv,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造に付着されたときに、別々の蛋白質が単一の電気泳動レーンにおいて同時に検出可能である。即ち、本明細書において証明されるとおり、本発明の方法は、蛋白質抗原の同定並びにポリペプチド及び他の構造、例えば、糖又は脂質の翻訳後修飾に適用可能な用途の広い技術を検出の単一細胞レベルにおいて提供する。
【0039】
同様に、ストレプトアビジンブリッジの使用は、本発明の方法において使用される存在する抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造の容易な適合を可能にする。そのような抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造は、本発明においてビオチン化されて使用され得る。本発明における使用のための存在する抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造の適合の容易性は、本発明を、他の方法に比べて特に有利にさせる。
【0040】
本発明の方法は、分子の相互作用の分析及び小さな分子の検出においても有用である。例えば、エピトープ特異的分子を組織サンプル上でエピトープ検出器として用いることにより、特定の受容体の発現を同定することもその逆も可能である。利用可能な抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造、又は結合蛋白質、小分子、例えば毒素又はドラッグ代謝物は、限定ではないが水、食物、及び体液を含む如何なる溶液中でも検出することができる。
【0041】
分子の相互作用を研究するために、2つの成分(分子A/分子B)の相互作用系を開発する。2つの成分、分子A及び分子Bは、蛋白質、糖、又はあらゆる種類の化学的実在物、限定ではないが糖質、DNA又はRNA、又はアルファヘリックス又はベータシートのような構造上のコンフォメーションを有するペプチドを含むものを含んでよい。この2成分系を開発するために、エピトープ検出器、例えば第1分子の抗体、以後分子Aと呼ぶ、を、分子Aを含むサンプルと近接させることにより、分子Aをエピトープ検出器に結合させる。各発現蛋白質がHAタグ又は類似のタグをも含むように構築された発現ライブラリーの産物を含む溶液を次に加えることにより、分子Aに相互作用する分子を同定することができる。本発明のためには、これらの分子を分子B又は第2分子と呼ぶ。あるいは、正常な細胞抽出物又は溶解物又は可能性のある分子Bを含むあらゆる液体を使用することができる。
【0042】
ライブラリー産物又は細胞抽出物又は溶解物の中の第2分子、分子Bが、エピトープ検出器により結合された第1分子Aに結合したら、タグに結合するユニバーサル検出器又はマーカーの何れかによるか又は分子Bに対して特異的なCDRライブラリー又はscFvライブラリーを用いることにより、新規な分子が検出できる。好ましい態様においては、ユニバーサル検出器にコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドからの増幅された核酸配列を検出する蛍光に基づく定量可能なアッセイにより、分子Aと分子Bの間の相互作用の監視を実施する。
【0043】
2成分(分子A/分子B)相互作用系の分子の一つがリガンド又は薬剤ドラッグに結合したら、2成分系を用いることにより、分子Aの分子Bに対する結合に対してのリガンド又はドラッグの効果を調査することができる。従って、本発明は、分子の相互作用に対するドラッグの影響を監視するためのインビトロ系も提供する。リガンド又はドラッグは、分子Aの分子Bに対する結合をリガンド又は薬剤ドラッグが如何にして変化させるかを決定するアッセイにおいて如何なる工程において付加することもできる。加えて、一つより多くのドラッグを2成分系に付加することができる。例えば、第2ドラッグ、例えば第1ドラッグのアンタゴニストを加え、そして、AのBに対する結合のレベル並びにAのBとの複合体形成を測定することができる。さらに、公知のリガンド又はドラッグの代わりに、他のタグで標識された分子Cの別のライブラリーの産物を含む第3の溶液をAとBの複合体に加えて、そしてこの第3溶液の結合に対する効果を測定することができる。
【0044】
即ち、本発明は、生物学的リードアウト、即ち複合体相互作用の形成による迅速なインビトロスクリーニングアッセイを提供する。さらに、この種の系を用いることにより、その出力が各累進的付加により発展した事象の数に依存する有機的アナログコンピューターのように作用するスクリーニング系を構築することが可能である。これらの累進的事象は、この集合体を干渉する薬剤ドラッグ又はリガンドのような第3の分子の添加と同時に妨害される。第3分子の添加の前と後のシグナルの定量が出力の変化を規定する。正の変化は、薬剤ドラッグ又はリガンドが分子Aの分子Bへの結合を促進させることを意味し、対するに、負の変化は、薬剤ドラッグ又はリガンドが分子Aの分子Bへの結合を阻害することを意味する。
【0045】
本発明は、活性なCDRs、CDR模倣物又は操作されたCDR構造を同定するため及び本発明を通して特定の疾患状態に付随した蛋白質のファミリー、即ちerbBファミリー及びそのオリジンとの関連並びに悪性腫瘍の早期の検出を研究するためにも使用することができる。例えば、制約されたターンに発展してしかも芳香的に修飾された末端を有する単一の環状リングのCDR模倣物(>106)の大きくて多様な集団を含むライブラリーが開発された。この特定のライブラリーはM13ファージシステムを用いて製作され、そしてランダム化を通して6員環のAHNPペプチドに由来するCDR−ストレプトアビジン結合モイエティの大きなレパートリーを含む。ランダム化の誘導化のためには、ランダム化されたCDR領域をコードするものであって固定された制約フレームワーク領域を伴う合成オリゴヌクレオチドライブラリーを、大きく変化したCDRストレプトアビジン融合蛋白質の発現を導くファージ構築物に挿入する。
【0046】
CDR−SAライブラリーを本発明において使用することにより、例えば、腫瘍表面マーカーに関して形質転換された細胞系と腫瘍細胞をスクリーニングすることができる。この態様において、初期スクリーニングは、好ましくは、細胞への結合に関して蛍光に基づくマイクロフルオリメトリーを用いて、次に細胞溶解物に由来する捕捉された蛋白質への結合に関してELISAタイプのアッセイを用いる。例えば、モノクローナル抗体をP13−キナーゼ又はrasに付着させることができ、そしてあらゆる結合したCDR−SA携帯を検出することができる。腫瘍特異的な選択されたCDR−SA分子の如何なる未知の標的の配列も、のちに決定することができる。ひとつの態様において、精製されたCDR−SAを用いることにより、細胞、例えばCOS7細胞中にて及び悪性腫瘍の様々なステージからの新規に単離された腫瘍組織から調製された発現ライブラリーにおいて構築されたcDNA発現ライブラリーをスクリーニングする。
【0047】
CDRs、CDR模倣物又は操作されたCDR構造のライブラリーは、受容体、当該受容体の活性化に際して関連する蛋白質、及び当該受容体に付随した経路に関与する蛋白質を検出するためのプローブのスペクトラムを生じさせるためにも使用することができる。例えば、CDR模倣物ライブラリーを用いて、erbB受容体、erbB受容体の活性化に際して関連する蛋白質。及びerbB受容体に付随する経路、例えばPI−3キナーゼ経路に関与する蛋白質に対するプローブのスペクトラムを生じさせることができる。
【0048】
受容体、受容体の活性化に際して付随する蛋白質、当該受容体に付随する経路に関与する蛋白質に対する結合として規定されたライブラリーのCDRs又はCDR模倣物を、受容体又は蛋白質を標的とするように治療にて使用することもできる。治療用途のための好ましい態様においては、CDR及びCDR模倣物をヒト化された抗体フレームワークに再度挿入するか又はFcに付着させる。この態様においては、操作されたCDR構造を単独で投与するか又は放射性標識又はサイトトキシンを付着させて含んでよい。
【0049】
いくつかのランダムに変化させたCDRsによりscFYライブラリーを作成する方法は、Winterらにより、米国特許6,291,650、米国特許6,225,447、米国特許6,172,197及び米国特許6,140,471において記載されている。しかしながら、CDR−SAライブラリーの生産はWinterらにより記載されていない。
【0050】
本発明の方法を実施するためのキットも、本発明において提供される。一つの態様において、選択されたエピトープを発現する分子の検出のためのキットが提供される。好ましい態様において、当該分子の検出は、核酸配列を染色する蛍光染料により実施される。いくつかの態様において、上記キットは、オリゴヌクレオチド、好ましくは1から少なくとも100、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも400、より好ましくは少なくとも500、そしてより好ましくは少なくとも600塩基対のオリゴヌクレオチドを含むコンテナを含む。当該オリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼプロモーター及び好ましくはRNAポリメラーゼ終結配列を含む。いくつかの好ましい態様において、当該オリゴヌクレオチドは、T7プロモーター及びT7終結配列を含む。当該オリゴヌクレオチドは、好ましくはビオチン化される。上記キットは、上記オリゴヌクレオチドをビオチン化するための試薬を任意に供給してよい。いくつかの態様において、当該キットは、ストレプトアビジン又はアビジンを供給する。いくつかの態様において、当該キットは、エピトープに対して特異的に結合する分子、例えば、抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造を供給する。いくつかの態様において、上記の抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造は、ビオチン化される。いくつかの態様において、エピトープに結合する分子は、抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造と結合するユニバーサルエピトープを含む。そのような抗体、FAb,F(Ab),Fvs,CDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造はビオチン化されていてよい。キットは、RNAポリメラーゼを含むコンテナ及び/又は増幅反応バッファーを含むコンテナ及び/又はRNAポリメラーゼと蛍光染料を含むコンテナを供給してもよい。RNAポリメラーゼは好ましくはT7のポリメラーゼである。
【0051】
別の態様において、混合物、例えば細胞溶解物の中の蛋白質をプロファイルするキットが提供される。この態様においては、キットが、選択されたエピトープに対するモノクローナル抗体、選択されたエピトープに対するFAbs、選択されたエピトープに対するF(Ab)s、選択されたエピトープに対するヒト化された抗体か又はキメラ抗体、選択されたエピトープに関する単鎖Fv、又は制約されたエピトープに特異的なCDRsを含むエピトープ検出器の混合物を含むことが好ましい。当該エピトープ検出器は、好ましくはビオチン化されているか、又はキットがそれらをビオチン化する試薬を供給する。当該キットは、複数の別々のオリゴヌクレオチドを供給し、各々が別々の長さを有する。長さは変化し、そして好ましくは0から少なくとも100、より好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも300、より好ましくは少なくとも400、より好ましくは少なくとも500、そしてより好ましくは少なくとも600塩基対である。当該オリゴヌクレオチドは、RNAポリメラーゼプロモーター及び好ましくはRNAポリメラーゼ終結配列を含む。いくつかの好ましい態様において、オリゴヌクレオチドはT7プロモーターを含む。いくつかの好ましい態様において、オリゴヌクレオチドはT7プロモーターとT7終結配列を含む。オリゴヌクレオチドは、好ましくはビオチン化される。キットは、任意にオリゴヌクレオチドをビオチン化するための試薬を供給してよい。キットは、どのオリゴヌクレオチドが増幅されたかを確認するために使用することができる様々なオリゴヌクレオチドのサイズに対応するサイズマーカーを含んでよい。キットは、任意に、ストレプトアビジン又はアビジン及び/又はRNAポリメラーゼ及び/又は増幅反応バッファー及び/又は蛍光染料も含んでよい。
【0052】
オリジナルの免疫PCRは上記アッセイにおいて純粋な抗原を使用した。免疫PCRののちの繰り返しは混合された抗原を試験した(Henderickson et al.Nucleic Acids Resarch 1999 23(3):522−529)が、しかしELISAよりも2から3桁高い規模の感度を示したにすぎなかった。莫大な多様性の抗原を含むバックグラウンドを伴うリアルワールドアッセイにおいては、感度がいつもアッセイの特異性により制限される。抗体、FAb,F(Ab),Fvs,又はCDR断片により結合されたエピトープは、より大きなポリペプチドを同定すると予測され、細胞又は細菌又はあらゆる他の真核生物の上清、流体、抽出物の中のモチーフを同定するために使用することができる。さらに、ポリペプチド、有機分子又は糖構造の現実の同定は、Fvsによるいくつかのエピトープの結合をガイドとして用いるデータベースのコンピューターにより補助された分析により決定することができる。例えば、Fv a,d,e,及びfによる結合は、側鎖a,d,e,及びfを有する物として糖のファミリーを同定するはずであり、よって、これらの同じ側鎖を有する糖のファミリーに属する。この様式において、本発明は、如何なる特定の一時において細胞内に全ての分子が存在しないなら、多くの明確な特定及び同定を可能にする。さらに、このアプローチは、活性細胞又は細胞上清内で翻訳される別の転写形態を同定するために使用することができる。この手法は、1)非放射性検出方法、もっとも好ましくは蛍光染料を伴う使用、2)マイクロタイズされた液体操作手法、3)低サンプル容量検出、例えば「プロテインチップ」分析及び4)ロボット化に基づいて容易に分析される(amenable to)。例えば、複数の結合要素又はユニット及び単一のユニバーサルエピトープ検出器を含むチップを開発することができる。モノクローナル抗体、FAb,F(Ab),ヒト化又はキメラ抗体、単鎖Fv、又はCDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造の上の普通の表面を認識する結合要素、例えばユニバーサル抗体を使用することができる。あるいは、アビジンは、各抗体、単鎖Fv又はCDR、CDR模倣物又は操作されたCDR構造内に組み込むこと(by built into)ができ、そしてビオチンをオリゴヌクレオチドにカップリングさせることができる。これらのチップはより迅速で高い親和性の利点を提供し、それによりシグナルを増加させる。
【0053】
以下の非限定実施例は本発明をさらに例示するために提供される。
実施例
恒温であって、且つ直線的定量及び容易な工業的採用を可能にさせる新規な検出手法が本明細書に記載される。当該手法は、二重鎖鋳型を検出抗体に架橋するためにストレプトアビジンを使用する。蛍光RNAインターカレート染料(RiboGreen,モリキュラープローブス)を用いることにより、増幅されたRNAの収量を定量し、即ち、放射活性並びに長くて飽き飽きする電気泳動の使用を排除する。全ての反応は96−又は384−ウエルプレートにおいて実施することができる。上記の新規なアプローチはT7ポリメラーゼ技術により触媒される蛍光増幅(FACTT)と呼ばれて、血清中の低富裕性蛋白質を分析して、広く実施されているELISA技術との比較を提供するために使用される。
【0054】
インターカレート染料RiboGreenの蛍光は、RNA断片への結合に際して1000倍より高くなるが、遊離のヌクレオチドの存在によっては増強されない。溶液中の1ng/mlのRNAの検出限界のため、RiboGreenはエチジウムブロミドに基づくアッセイよりも200倍以上感度が高い。RiboGreenの用途は現在の方法論において最適化される。RiboGreenの容易な使用は短いds−oligo(50−60bp)の断片からの実質上の蛍光の読取りを生成しそこなった。染料と相互作用するような大きな表面を提供する長いRNA鎖が開発されて、強いシグナルを生じることがわかった。このため、PCRによる約600bpの新規のds−DNA鋳型(D2)を使用する。ストレプトアビジンへの結合を促進するため、ビオチン化された5’PCRプライマーを単に用いることにより、ビオチン化をds−DNAに導入した。D2は、5’エンドにT7プロモーター配列を、そして3’エンドにT7終結配列を含む。D2鋳型は、3’T7プロモーター配列を欠く対照ds−DNAに比較して良好なT7増幅効率を提供することから、T7終結配列が直鎖状鋳型に関するT7 RNAポリメラーゼの転写効率を改善することが示唆される。ビオチンにカップリングされたD2鋳型は、増幅モジュール(AM)と呼んでよい。
【0055】
AMはビオチン化された抗体に相互作用したストレプトアビジンに結合する。ストレプトアビジンは4価であり、そしてビオチン化されたAMは従ってストレプトアビジンを通して検出抗体に架橋することができた(図1参照)。増幅モジュールが本当にストレプトアビジンを結合できるか否かを試験するため、5μg/mlから0.5fg/mlほどまでの範囲のストレプトアビジンを直接384−ウエルのプレートに固定化して、単純化されたFACTTアッセイにおいて使用した。
【0056】
増幅モジュールをストレプトアビジンと1時間インキュベートした後、未結合のモジュールを除去して、6回PBSTで洗浄した。T7のRNAポリメラーゼを直接上記384−ウエルに反応バッファー及びNTP混合物と共に加えた。図2に示すとおり、ストレプトアビジンは5μg/mlから0.5fg/mlほどまでの範囲であり、9桁の規模の動的範囲を超えた用量依存様式において検出に成功した。ストレプトアビジンサンプルからの全ての読みは統計計算によると対照とは顕著に異なった。FACTT曲線のスロープ範囲1より少ない。事実、FACTT曲線のスロープは変化した。T7のRNAポリメラーゼにより指向された反応を上記DNA鋳型を用いて試験した場合、鋳型濃度の10倍の増加が蛍光の読みにおいて約2倍の上昇を導いたにすぎなかった。増幅のこの特性は、FACTTが広い範囲の濃度にわたり用量依存性の読みを生じることを可能にさせる。
【0057】
包括的なFACTTをELISAと比較するため、我々は、ビオチン化されたHRPを用いてコートされたストレプトアビジンを検出するようなELISAアッセイを平行して設定した。予測されたとおり、バックグラウンドを超える3 SDをカットオフとして使用した場合、5ng/mlを超える濃度のストレプトアビジンサンプルのみが対照に比較して統計上優位な差異を示すことができた。当該データは、包括的には、FACTTがELISAの全ての10倍感度が高いことを示唆する。
【0058】
図2の各ウエル中の全てのストレプトアビジン分子がプレート上に固定化されて活性のままであると仮定すれば、最低検出可能濃度(5fg/ml又は0.6fM)は1.2x10−21モラーのウエル中のテトラマーストレプトアビジン、又は約700分子に相当する。典型的なFACTT反応においては、捕捉抗体の親和性に依存して、目的の抗原をある一定の程度に固定化することができる。各検出抗体は一つより多くのビオチン部位を有することから、抗原の数の現実の検出限界はいっそう低いことが示唆される。
【0059】
このセットの研究を広げるため、30%を超える胸部腫瘍、卵巣腫瘍及び膵臓腫において過剰発現される治療上及び診断上の標的である、の受容体チロシンキナーゼp185her2/neuを選択した。特に、組換えHer2−Fc融合蛋白質を抗原として、そして4D5をビオチン化された検出用抗体として用いた。Her2−Fcを0.1%FBSを含むPBS中の10倍の連続希釈に供し、そして捕捉用mAb(アンカー)1E1に提示した。1E1とビオチン化検出用抗体h4D5はp185her2/neu受容体の細胞外ドメイン上の異なるエピトープに結合する。ビオチン化4D5をプレートに加えて捕捉用抗体を結合した後に、ストレプトアビジンと増幅モジュールを連続して加えた。結合しない分子を次に洗い流し、そしてT7のRNAポリメラーゼを用いて、抗体−抗原−抗体複合体に結合した増幅モジュールを増幅した。Her2−Fcの結合と検出の代表的な研究は、この技術がHer2−Fc蛋白質の極めて感度の高い検出を可能にしたことを示した(図3)。0.5μg/mlから0.05og/ml(約0.5fM)ほどまでのHer2−Fcにて、FACTTは用量依存性蛍光シグナルを生じ、対照とは有意に異なる読みを伴い、そして3 SDによれば対照よりも高かった。二次抗体として同じペアのp185her2/neu特異的抗体とHRP−抗ヒトIgGを用いる対照のELISAアッセイにおいては、検出限界が5ng/mlである(図3)。FACTTのこの感度は、ELISAよりもさらに(again)5桁の規模の感度及び特異性である。
【0060】
細胞表面から分離された(shed from)Her2のエクトドメインが胸部癌患者の血清から検出された。Her2の血清中高濃度は、ホルモン/化学治療に対する遅い応答速度と再発(relapse)後の短い生存と相関する。ここで、時間経過の研究において、FACTTを実施して、過剰発現されるが変異はしていないHer2/neuにより単独で推進された腫瘍を有するヌードマウスからの血清においてHer2を検出できるか否かを試験した。図4は、5匹の動物から回収されたデータを示す。腫瘍のサイズをマニュアル測定し(図4パネルA)、そして血清サンプルを接種から2、4、7そして9日目に回収した。血清中のHer2のレベルをFACTTにより市販のHer2 ECD標準(オンコジーンサイエンセズ)を用いて検出し、そして対照の正常血清を超える相対濃度として提示された(図4、パネルB)。一般に、血清Her2レベルの増加のトレンドは腫瘍の成長と相関した。全ての計算された血清Her2濃度のそれらの対応する腫瘍のサイズに対するプロットは0.55の相関係数(p<0.01)示したことから、血清のHer2レベルと腫瘍のサイズの間の妥当な相関を指示している。腫瘍が10mmよりも大きいときに良好な相関が存在した。接種から9日後に、最小の腫瘍を有した#4を除く全てのマウスが上昇した血清Her2レベルを示した(基底レベルを超える>3 SD)。注目すべきは、ELISAの使用では、11日目においてさえも血清中のHer2/neuを検出できなかった。これらのデータは、血清サンプル上でFACTTを使用することにより、極めて初期の腫瘍の質量の検出を支持する。
【0061】
FACTTは一般的なアプローチであることを証明するために、FACTTを用いてTNFαとG−CSFを検出したが、2つのサイトカインは免疫−ローリング−サークル増幅(RCA)により以前に研究されている。対照のELISAアッセイにおいては、TNFαとG−CSFは共に10pg/mlの検出限界を有した(図5)。免疫−RCAアッセイにおいては。TNFαの検出限界がELISAに匹敵した(10pg/ml)のに対して、G−CSFの感度は遥かに低かった(1000pg/ml)。我わおFACTTアッセイにおいては、TNFαとG−CSFの両者の検出限界が0.01pg/mlであり、ELISA又は免疫−RCAよりも3桁高い規模の感度である(図5)。
【0062】
ストレプトアビジンとHer2−Fcに加えて、血清中の組換えプリオン蛋白質もFACTTにより検出された。全ての蛋白質がELISAよりも約10倍の感度をもって検出された。加えて、用量依存性シグナルが遥かに広い範囲の標的濃度にわたって観察できた。増加した感度及び広い範囲は、T7のRNAポリメラーゼによるRNA分子の直鎖状生産に帰するのかもしれず、秒あたり97−115ヌクレオチドの翻訳速度にて鋳型により堅実に進行する。増幅モジュールと非共有ストレプトアビジン相互作用を組み合わせることは、このアプローチに対する感度及び再現性を提供するのに必要不可欠である。
【0063】
増幅されたRNAの蛍光検出に関してのアプローチがいくつか存在する。この報告においては、インターカレート染料のRiboGreenを用いた。RiboGreenはRNA濃度を分析するのにもっとも感度が高くないのかもしれないが、384ウエルのプレートフォーマットを実施するためにFACTTアッセイを単純化する。加えて、RNA検出は、標準フルオリメーターを用いて増幅されたRNAの量を測定するのに5−10分しか必要としない。FACTTをマニュアルにより実施したが、本フォーマットは利用可能な高処理量のロボットサンプル操作に完全に匹敵する。FACTTアプローチの容易な自動化は、複数の抗原を研究する場合に将来期待される。
【0064】
別々の抗体コンジュゲート又は検出用試薬を用いることにより、FACTTはさらに最適化できる。例えば、FACTTの感度は、高密度のDNAナノ粒子に連結された抗体を用いて数桁規模で増加させることができる可能性がある。加えて、ファージライブラリーから生産された組換え抗体はFACTT検出を促進させるために広いレパートリーの試薬を提供することもできる。
【0065】
もっとも広く使用される臨床Her2試験は、IHC(免疫組織化学)及びFISH(蛍光インサイチュハイブリダイゼーション)である。IHCはHer2蛋白質発現レベルを測定するが、FISHは増幅された遺伝子のコピー数を検出する。FISH陽性及びIHC陽性(等級+3)として試験された患者はハーセプチン(Herceptin)治療に匹敵する応答率(34〜35%)を有する。しかしながら、多くの場合、IHCとFISHの結果の間には高い不一致(disconcordance)が存在する。固定された組織スライド中の蛋白質抗原の損失及びIHC法の間の主観的観察(IHC−,FISH+)並びに遺伝子増幅の間の蛋白質過剰発現(IHC+,FISH−)がそのような矛盾の原因である。
【0066】
Her2は胸部癌患者の血清から検出することもできる。前処理血清Her2レベルは、腫瘍サイズ、侵入されたリンパ節の数、及び組織学的スコアに正に相関した。別の研究においては、血清Her2レベルがIHCスコアよりも良好なステージIVの胸部癌の指標であった。処理後Her2血清レベルも、転移なしの生存及び疾患特異的生存の予後的な値であった。血清Her2のための臨床ELISAアッセイも開発された。このアッセイは特別な機会を必要とする。このアッセイにおいては、陽性サンプルと陰性サンプルを識別するためのカットオフレベルが15ng/mlであい、ELISAの検出限界に極めて近い。
【0067】
ELISAよりも遥かに高い感度及び高処理量技術への適合性により、FACTTは低富裕性抗原の臨床検出のためにELISAを置換し得る。多くの臨床上の標的、例えば、病原体及び診断用蛋白質(例えば、ヘリコバクターピロリ、レプチン、インスリン及びc−ペプチド)のための現在の検出アッセイは、すでにELISAフォーマットにおいて確立された。FACTTの利用可能なELISA試薬(抗体ペア)との単純な適合性は、初期ステージにおける微量な臨床サンプル及びモニター抗原レベルからの抗原の検出を可能にさせ得る。
【0068】
FACTTは抗体アレイにも適用可能である。現在、いくつかのELISAに基づく抗体アレイがサイトカインのため及びシグナル蛋白質のリン酸化を同定するために開発されてきた。ELISAよりも高い感度を伴って、FACTTは、これらの値を増強することができる。FACTTは特定の生化学特性に関して親和性により単離されて研究された機能性細胞集団を分析するのにも有用となる。そのような集団に関する細胞の数は一般に低く、そして他の感度の低い方法では検出不可能となる。
【0069】
最後に、FACTTは2D電気泳動マススペクトロメトリー(2D−MS)に現在大きく依存しているプロテオミクスの別のアプローチとしても使用することができる。富裕な蛋白質に関するその偏りに加えて、2D−MSは疎水性蛋白質及び低分子量又は高分子量の蛋白質、並びに蛋白質翻訳後愁色を同定する際にも一般的には成功しない。FACTTの診断エリアへの適用は、健康及び疾患に関与する正常及び異常な蛋白質、糖質、及び脂質の我々の生化学上の理解を改善するのに有用となる。
材料と方法
抗体:
抗−p185her2/neu抗体1E1,6E2及びA18をヒトp185her2/neu発現細胞系T6−17を用いて開発した。ヒト化された4D5(h4D5,a.k.a.ハーセプチン)はジェネンテックの好意により提供された。1E1/ビオチン化4D5セットを用いてHer2−Fcを検出し、一方6E2/ビオチン化A18セットを用いて血清Her2を検出したが、市販のHer2 ECD標準(オンコジーンサイエンセズ)は1E1/ビオチン化4D5により認識されなかったからである。TNFα及びG−CSFに対する抗体(DuoSet ELISA開発システム)をR&Dシステムズから購入した。
DNA構築物:
Her2のドメインIIとT7のターミネーター終結配列を含んだpCal−n−EK D2のEcoRI/AatII(平滑化された)断片をpcDNAベクターpHA2のEcoRI/EcoRV部位にサブクローニングすることによりプラスミドpTD2Tを構築した。IDATのためのビオチン−DNA鋳型を用意するため、ビオチン化された上流プライマー(ビオチン5’,配列:5’ggctaactagagaacccact3’)と下流プライマー(T7terR,配列:5’ttggttatgccggtact3’)をpTD2Tと共にPCR反応において用いた。あるいは、T7ターミネーターの5’に位置する、リバースプライマーGST2r(5’ccgctcgagtcaggcacagggcttgctgcacttc3’)をビオチン5’と共にPCRにおいて用いることにより、対照鋳型D2Xを生成した。全てのプライマーはペンシルバニア大学化学部門の核酸設備において合成した。
抗体のビオチン化:
h4D5は、直接、PierceのEZ−リンク スルフォ−NHS−LC−ビオチンを用いてビオチン化した。簡単に言えば、h4D5(0.25mg/ml,100μl)をスルフォ−NHS−LC−ビオチン(1mg/ml,1.85μl,使用直前に蒸留水に溶解した)と混合した。氷の上でのインキュベーション2時間後に、反応混合物をPBSに対して一晩透析することにより遊離のビオチンを除去した。ビオチン化された抗体を4℃に保存した。
FACTT反応:
典型的なFACTTアッセイは、サンドイッチタイプの検出において各抗原について抗体のペアを必要とする。一般に、捕捉用抗体は炭酸塩−重炭酸塩バッファー(pH9.6)中で5μg/mlにて384ウエルプレートニタイシテ15μl/ウエルにて一晩4℃においてコートした。FBS(対照を含む全てのサンプルに関して0.1%)の存在下での抗原の連続希釈を上記のコートされたプレートに加えた。15μlの希釈されたビオチン化検出用抗体(180ng/ml)を各ウエルに関して使用した。ストレプトアビジンとビオチン−DNA鋳型(増幅されたモジュール、AM)を連続してそれぞれ5μg/mlと250ng/mlにて加えた。我々は、プレートを6回PBST(PBS中0.1%のTween20)で各結合インキュベーションの合間に洗浄した。過剰のAMと蛋白質を洗浄により除去した後に、20μlの反応混合物(60ユニットのT7 RNAポリメラーゼプラス(Ambion)、1.25μMのNTP,1xT7バッファー(Ambion))を各ウエルに加えた。RNA増幅は37℃において3時間実施した。RNAインキュベート染料RiboGreen(モリキュラープローブス)を反応混合物に加えて(20μl;製造者により供給されるとおりTEバッファー中で1:200希釈された)、そしてプレートをEx 485nm/Em 535nmにおいてTECANスペクトラフルオリーダー中で読んだ。ストレプトアビジン検出の場合、ストレプトアビジンを、384ウエルプレートに対して炭酸塩−重炭酸塩バッファーを異なる濃度で用いて直接コートした。プレートは、次に、カゼインでブロックして、そしてAMに暴露した。そのあと、標準FACTTプロトコルを続けた。
ELISA:
FACTTによる感度のパターンを比較するために、ELISAsも実施した。96ウエルプレートをELISAにおいて行い、4倍容量のIDAT試薬を用いる以外は、FACTTに類似のプロトコルを続けて行うことにより、抗原をプレートに捕捉した。p185her2/neuに関しては、未標識のh4D5を検出用抗体として用いて、PBSTで6回洗浄し、そしてHRPをコンジュゲートされた抗−マウス二次抗体(Pierce,1:5,000希釈)とインキュベートした。ストレプトアビジン検出に関しては、ビオチン化された抗体のみを二次抗体として用いた(Zymed,1:1000希釈)。PBSTによる再度の6回の洗浄の後に、100μlのTMB基質(0.1mg/ml,0.05Mリン酸−クエン酸バッファー、pH5.0)を各ウエル中において室温にてインキュベートした。反応は15分以内で20μlの2MのHSOにより停止し、そしてTECANスペクトラフルオラリーダーを用いて、データを450nmにおいて回収した(吸収フィルター)。
マウス:
NCR同型接合無胸腺(ヌード)マウス(6から8週齢)をナショナルキャンサーインスティチュートから購入した。1x10の形質転換されたT6−17細胞を100μlのPBSに懸濁して、各動物のわき腹に皮下注射した。ペンシルバニア大学の公共機関における動物の世話と使用の委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)のガイドラインに従い動物を維持した。腫瘍の容量は式:π*長さ*幅*高さ/6により計算した。
統計分析:
検出に関するカットオフラインをバックグラウンド又は対照を超える(over)3 SDと規定する。用量依存性の読みを示す連続希釈における分析物のもっとも低い濃度を検出限界として考える。スチューデントテストを用いることにより、実験値対対照値の統計上の差を計算した。P<0.05ならば、差が統計上有意であると考える。プリズムプログラム(GraphPadソフトウエア社)を用いて、相関を計算して、標準曲線を描くことにより、抗原の濃度を計算した。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、発明の好ましい態様の描写を提供する(FACTT)。捕捉用抗体が最初にサンプルからの目的の抗原(Ag)に結合する。検出用抗体は、抗原中の離れた非オーバーラップエピトープに結合し、ビオチン化されてストレプトアビジンによりビオチン−二重鎖DNA鋳型に連結される。T7 RNAポリメラーゼを次に用いて、DNA鋳型から直線的に多コピーのRNA産物を増幅するが、その量がサンプル中の抗原の初期量の指標である。
【図2】図2は、本発明(FACTT)と(ELISA)の態様を用いたストレプトアビジンの検出を比較する実験からのデータを提供する。ストレプトアビジンを384−ウエル(FACTT)又は96−ウエルプレート(ELISA)に対して示されたとおりの異なる濃度にて予めコートした。ストレプトアビジンを検出するため、ビオチン−DNAをFACTT(左の軸)において使用し、ビオチン−HRPをELISAにおいて使用した(右の軸)。値は3つの別個の実験の平均として示す。棒、SE。
【図3】図3は、本発明(FACTT)と(ELISA)の態様を用いたp185her2の検出を比較する実験からのデータを含む。p185her2の細胞外ドメインは、mAb 4D5のエピトープを含み、Fc−機能性蛋白質として発現されて、Her2−Fcと命名された。1E1は4D5のエピトープとは異なるエピトープを認識し、384ウエルプレート上に5μg/mlと20μl/ウエルにてコートされた。Her2−Fcの0.1%血清中の5x10から5x10−2pg/mlまでの連続希釈を各ウエルに加えた。ストレプトアビジンとビオチン化DNA鋳型(AM)を続けてそれぞれ5μg/mlと250ng/mlにて加えた。FACTT(左の軸)により、Her2−Fcが5pg/mlほどの濃度において(7.5フェトグラム/ウエル)検出でき、スチューデントテストによれば対照に対して統計上有意な差異があった(<0.05)。相対蛍光強度を、対照の読みに対する各サンプルの蛍光の読みとして測定した。値を3つの別個の実験の平均として示す。棒。対照ELISA実験も含まれる(右の軸)。
【図4】図4、パネルA及びB:血清Her2の検出。図3に記載されたのと類似のFACTTアッセイを、指示された時間に回収された血清サンプルに関して実施した。0日目、10のHer2発現T6−17細胞を各マウスの背面わき腹に皮下接種した。パネルA.可視可能な腫瘍のサイズをサンプルを回収するときに測定した。パネルB.FACTTにより検出された血清Her2濃度。マウスの血清をPBS中において1:50に希釈して、希釈されたサンプルを各FACTT試験のために用いた。3SDにより基底ライン(「0」、正常のマウス血清)よりも高いサンプルを「*」で示した。
【図5】図5、パネルa及びb。TNFα及びG−CSFのFACTTによる検出。TNFα(パネルa)とG−CSF(パネルb)の連続希釈物をFACTTにより(実線、左の軸)又はELISA(破線、右の軸)により、R&DシステムズのDuoSet抗体を用いて検出した。矢印は各アッセイにおける検出の限界を指し示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたエピトープを発現する分子をサンプル中で検出する方法であって、
(a)サンプル中の選択されたエピトープを発現する分子を固相支持体に固定化し;
(b)固相支持体を、選択されたエピトープ、ストレプトアビジン及びビオチン化されたオリゴヌクレオチドに特異的に結合した分子に接触させるが、但し、選択されたエピトープに特異的に結合する分子は、ビオチン化された抗体、ビオチン化されたFAb,ビオチン化されたF(Ab),ヒトFcを伴うか又は伴わないビオチン化されたヒト化抗体又はキメラ抗体、ビオチン化された単鎖Fvs,ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDR、ビオチン化されたCDR模倣物、ビオチン化された操作されたCDR構造、ユニバーサルエピトープを含むモノクローナル抗体、ユニバーサルエピトープを含むFAb、ユニバーサルエピトープを含むF(Ab)、ユニバーサルエピトープを含むヒト化抗体又はキメラ抗体、ユニバーサルエピトープを含む単鎖Fv、ユニバーサルエピトープを含む制約されたエピトープに特異的なCDR、ユニバーサルエピトープを含むCDR模倣物、又はユニバーサルエピトープを含む操作されたCDR構造であって、但し、選択されたエピトープに特異的に結合する分子がユニバーサルエピトープを含むモノクローナル抗体、ユニバーサルエピトープを含むFAb、ユニバーサルエピトープを含むF(Ab)、ユニバーサルエピトープを含むヒト化抗体又はキメラ抗体、ユニバーサルエピトープを含む単鎖Fv、ユニバーサルエピトープを含む制約されたエピトープに特異的なCDR、ユニバーサルエピトープを含むCDR模倣物、又はユニバーサルエピトープを含むビオチン化された操作されたCDR構造であるなら、固相支持体をさらにユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子に接触させ、その際、ユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子は、ビオチン化された抗体、ビオチン化されたFAb,ビオチン化されたF(Ab),好ましくはヒトFcを伴うか又は伴わないビオチン化されたヒト化抗体又はキメラ抗体、ビオチン化された単鎖Fvs,ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDR、ビオチン化されたCDR模倣物、又はビオチン化された操作されたCDR構造であり、
それにより、選択されたエピトープに特異的に結合する分子は固相支持体に固定化された分子の選択されたエピトープに結合し、そしてそれがビオチン化されているなら、RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドに結合するストレプトアビジンに結合し、そしてRNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドに結合するストレプトアビジンのユニバーサルエピトープに結合するビオチン化分子に結合し;
(c)オリゴヌクレオチドをRNA増幅により増幅することによりRNA増幅産物を生成し;
(d)増幅されたオリゴヌクレオチドを、RNA増幅産物を染色する蛍光染料に接触させ;そして
(e)選択されたエピトープを含む分子がサンプル中に存在することの指標である、染色されたRNA増幅産物から発せられた蛍光を検出する
ことを含む方法。
【請求項2】
サンプル中に存在する選択されたエピトープを含む分子が染色されたRNA増幅産物から発せられた蛍光を測定することにより定量され、それにより発せられた蛍光の量をサンプル中に存在する選択されたエピトープを含む分子の量に相関させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドが二重鎖DNAである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドが少なくとも100塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが少なくとも500塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドがT7のRNAポリメラーゼプロモーター及び7のRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
固相支持体が、チップ、ビーズ又はマルチウエルプレートのウエル内の表面である、請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
固相支持体が、選択されたエピトープを発現する分子に結合する固定化分子を含む、請求項1乃至8の何れか1項記載の方法。
【請求項10】
細胞溶解物の中の蛋白質をプロファイルする方法であって、
(a)細胞溶解物を、別々の選択されたエピトープに特異的に結合するビオチン化分子の混合物に加えるが、その際、選択されたエピトープに特異的に結合するビオチン化分子が、ビオチン化されたモノクローナル抗体、ビオチン化されたFAb断片、ビオチン化されたF(Ab)断片、ビオチン化されたヒト化抗体又はキメラ抗体、ビオチン化された単鎖Fvs,ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDRs,ビオチン化されたCDR模倣物、ビオチン化された操作されたCDR構造であって、但し、選択されたエピトープに特異的に結合するビオチン化分子がRNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドに連結されたストレプトアビジンに連結され、但し、別々の選択されたエピトープに特異的に結合するビオチン化分子が別々の長さのオリゴヌクレオチドに連結され;
(b)上記オリゴヌクレオチドをRNA増幅により増幅して、RNA増幅して産物を生成し;
(c)上記RNA増幅産物を、RNA増幅産物を染色する蛍光染料に接触させ、そしてRNA増幅産物を電気泳動により分離し;そして
(d)溶解物の中の蛋白質のプロファイルが決定できるように蛍光によりRNA増幅産物を可視化する
ことを含む方法。
【請求項11】
サンプル中に存在する選択されたエピトープを含む分子が染色されたRNA増幅産物から発せられた蛍光を測定することにより定量され、それにより発せられた蛍光の量をサンプル中に存在する選択されたエピトープを含む分子の量に相関させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが二重鎖DNAである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが少なくとも100塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項10記載の方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが少なくとも500塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項10記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項10乃至14記載の方法。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドがT7のRNAポリメラーゼプロモーター及びT7のRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項10乃至15の何れか1項記載の方法。
【請求項17】
選択されたエピトープを含む分子を検出及び/又は定量するためのキットであって、
(a)選択されたエピトープに関するビオチン化モノクローナル抗体、選択されたエピトープに関するビオチン化FAbs、選択されたエピトープに関するビオチン化F(Ab)s、選択されたエピトープに関するビオチン化されたヒト化抗体か又はキメラ抗体、選択されたエピトープに関するビオチン化単鎖Fv、ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDR、選択されたエピトープに関するビオチン化CDR模倣物又は選択されたエピトープに関するビオチン化された操作されたCDR構造を含むコンテナ;
(b)ストレプトアビジンを含むコンテナ;
(c)RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドを含むコンテナ;
(d)RNAポリメラーゼを含むコンテナ;及び
(e)蛍光染料を含むコンテナ;
又は
(a)モノクローナル抗体、FAbs、F(Ab)s、ヒト化抗体か又はキメラ抗体、単鎖Fv、又は制約されたエピトープ特異的CDR、CDR模倣物又はCDR構造をビオチン化するための試薬を含むコンテナ;
(b)ストレプトアビジンを含むコンテナ;
(c)RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドを含むコンテナ;
(d)RNAポリメラーゼを含むコンテナ;及び
(e)蛍光染料を含むコンテナ;
又は
(a)ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関するモノクローナル抗体、ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関するFAbs、ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関するF(Ab)s、ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関するヒト化抗体か又はキメラ抗体、ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関する単鎖Fv、ユニバーサルエピトープを含む制約されたエピトープ特異的CDR、ユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関するCDR模倣物又はユニバーサルエピトープを含む選択されたエピトープに関する操作されたCDR構造を含むコンテナ;
(b)ユニバーサルエピトープに関するビオチン化モノクローナル抗体、ユニバーサルエピトープに関するビオチン化FAbs、ユニバーサルエピトープに関するビオチン化F(Ab)s、ユニバーサルエピトープに関するビオチン化ヒト化抗体か又はキメラ抗体、ユニバーサルエピトープに関するビオチン化単鎖Fv、ビオチン化された制約されたユニバーサルエピトープ特異的CDR、ユニバーサルエピトープに関するビオチン化CDR模倣物又はユニバーサルエピトープに関するビオチン化された操作されたCDR構造を含むコンテナ;
(c)ストレプトアビジンを含むコンテナ;
(d)RNAポリメラーゼプロモーターを含むビオチン化オリゴヌクレオチドを含むコンテナ;
(e)RNAポリメラーゼを含むコンテナ;及び
(f)蛍光染料を含むコンテナ
を含むキット。
【請求項18】
固相支持体をさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項19】
固相支持体、及び選択されたエピトープを発現する分子に結合する分子を含むコンテナをさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項20】
チップ、ビーズ又はマルチウエルプレートのウエル内の表面である固相支持体をさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項21】
チップ、ビーズ又はマルチウエルプレートのウエル内の表面である固相支持体、及び選択されたエピトープを発現する分子に結合する分子を含むコンテナをさらに含む、請求項17記載のキット。
【請求項22】
蛋白質をプロファイルするためのキットであって、
(a)ストレプトアビジンブリッジにより別々の長さのビオチン化オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた、選択されたエピトープに関するビオチン化モノクローナル抗体、選択されたエピトープに関するビオチン化FAb、選択されたエピトープに関するビオチン化F(Ab)s、選択されたエピトープに関するビオチン化されたヒト化抗体か又はキメラ抗体、選択されたエピトープに関するビオチン化単鎖Fvs、ビオチン化された制約されたエピトープ特異的CDRs、ビオチン化CDR模倣物又はビオチン化された操作されたCDR構造の混合物を含むコンテナ;
(b)RNAポリメラーゼを含むコンテナ;及び
(c)蛍光染料を含むコンテナ
を含むキット。
【請求項23】
オリゴヌクレオチドが二重鎖DNAである、請求項17乃至22の何れか1項記載のキット。
【請求項24】
オリゴヌクレオチドが少なくとも100塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項17乃至22の何れか1項記載のキット。
【請求項25】
オリゴヌクレオチドが少なくとも500塩基対を有する二重鎖DNAである、請求項17乃至22の何れか1項記載のキット。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドがRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項17乃至25の何れか1項記載のキット。
【請求項27】
オリゴヌクレオチドがT7のRNAポリメラーゼプロモーター及びT7のRNAポリメラーゼ終結配列を含む、請求項17乃至26の何れか1項記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−527995(P2007−527995A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554271(P2006−554271)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005444
【国際公開番号】WO2005/081908
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】