説明

分子光起電技術、製造方法及びこれに派生する物品

【課題】 分子光起電技術、製造方法及びこれに派生する物品に関する。
【解決手段】 本明細書で開示するのは、電磁放射を吸収することができる吸収材と、第1の導電性表面を含む第1の基材と、概第1の基材の第1の導電性表面に対向し且つ第1の導電性表面に面する第2の導電性表面を含む第2の基材と、第2の基材の第2の導電性表面に電気的に導通するが、第1の基材から電気的に絶縁されている電子トランスポータと、第1の基材の第1の導電性表面に電気的に導通するが、第2の基材に電気的に絶縁されている正孔トランスポータとを備え、正孔トランスポータ及び/又は電子トランスポータが電気絶縁シースに化学結合され、正孔トランスポータ及び/又は電子トランスポータが吸収材に化学結合された光起電電池である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子光起電技術、製造方法及びこれに派生する物品に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電システムは、種々の用途で光を電気に変換する。光起電システムは、一般に「太陽電池」として知られており、これは、太陽光から電気を生成する能力から名付けられている。光起電システムによる電力生成は、電気を発生させる他のシステムに優る多数の利点を提供することができる。これらの利点は、運転コストが安く、信頼性が高く、モジュール性があり、組立費用が安いことのほか、環境的に有利であることである。
【0003】
太陽電池は、半導体接合部に存在する光起電作用を活用することにより光を電気に変換する。従って、太陽電池は、一般に、電子電流を生成する半導体層を含む。半導体層は、入射光を吸収し、励起電子を生成する。半導体層に加え、太陽電池は、一般に、ガラスカバー又は他の封入材、抗反射層、電子を回路に流入させることができる前面接触基材、及び光に暴露されることにより励起電子が半導体層に注入されたときに電子が回路を形成することができる裏面接触電子を含む。
【0004】
近年、有機及び無機−有機のハイブリッド太陽電池の開発がなされている。これらの種類の太陽電池は、有利には比較的低コストで製造することができる。低コスト太陽電池の1つは、色素増感太陽電池である。色素増感太陽電池は、一般に、有機色素を用いて入射光を吸収して励起電子を生成する。色素増感太陽電池は、一般に、サンドイッチ構成で配列した2つの平面導電基材を含む。色素被覆半導体フィルムが2つの基材を分離する。半導体フィルムは多孔性で表面積が大きく、これによって十分な色素が分子の単層としてその表面に付着し、光が効率的に吸収されるのを促進する。半導体フィルム内の基材と孔との間に介在する残りの空間(スポンジとして働く)は、トリヨージド/ヨージドのような酸化/還元対を含む有機電解質溶液で満たされる。
【0005】
しかしながら、色素増感フィルムは、幾つかの技術的欠点を有する。技術的欠点の1つは、輸送する距離が長いことにより、光発生電子がフィルムの隣接する粒子を通して1つの基材に向かって「ランダムウォーク」で半導体フィルムを移動する必要があるため、電子の実質的な再結合又は逆反応が起こることである。逆反応は、正孔トランスポータに排出された正孔が電子トランスポータに排出された電子と接触すると起こる。再結合は、色素から排出された電子が酸化吸収体と再結合すると起こる。
【0006】
更に、電子が排出されることにより形成された酸化色素は、一般に電子が光電池内の還元種から移動することにより還元される。還元種は、一般に、電解質中に存在し、これが、次に電解質中で(電子を手放した後の)酸化種になる。この酸化種は、同じ長く蛇行した拡散経路を通って反対側の基材に向かって移行する必要がある。酸化種は、基材から電子を受け取ることにより還元され、回路が形成される。
【0007】
電子が基材にランダムウォークする間に、電子はかなりの距離を移動する可能性があり、電解質溶液の成分と組み合わせることにより電子が失われる可能性がある。これはまた再結合として知られている。太陽光で照射されると、半導体内の電子密度は、極めて高くなる場合があるため、このような損失により最大電圧、従って太陽電池が達成可能な効率がかなり低下する。電子の移動距離を短縮させる技術の1つは、半導体フィルムの厚さ、従って電子が基材に到達するのに移動する必要がある距離を短くすることである。不利なことには、半導体フィルムの厚さを減少させると色素装填が少なくなるため光の吸収が減少し、このため太陽電池の効率が低下する可能性がある。
【0008】
現在の色素増感太陽電池の別の技術的欠点は、ランダムに相互接続したナノ粒子からなるTiOフィルムの電子導電性が不十分なことである。TiOフィルムは、一般に、太陽電池の電子トランスポータとして用いられる。更に、太陽電池(光電池)では、色素を最適に装填するためにTiO電子トランスポータの界面積を最大にすることは困難である。
【特許文献1】特開2000−026487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、電子の移動路を短縮し、これにより電子が基材まで拡散するのに要する時間を低減すると同時に、別の基材までの正孔輸送距離を短縮することにより逆反応による再結合を最低限にすることが有利である。従って、電荷輸送距離が短く、再結合及び逆反応を最低限又は阻止し、大量生産を容易にすることができる太陽電池又は光電池を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示するのは、電磁放射を吸収することができる吸収材と、第1の導電性表面を含む第1の基材と、該第1の導電性表面に対向し且つ第1の基材の第1の導電性表面に面する第2の導電性表面を含む第2の基材と、第2の基材の第2の導電性表面と電気的に導通するが、第1の基材から電気的に絶縁されている電子トランスポータと、第1の基材の第1の導電性表面と電気的に導通するが、第2の基材に電気的に絶縁されている正孔トランスポータとを備え、正孔トランスポータ及び/又は電子トランスポータが電気的に絶縁されたシースに化学結合され、正孔トランスポータ及び/又は電子トランスポータが吸収材に化学結合されることを特徴とする光電池である。
【0011】
本明細書に開示するのは、第1のパターン付けられた導電性表面を含む第1の基材と、第1の導電性表面に対向し且つ第1の基材の第1の導電性表面に面する第2のパターンの導電性表面を含む第2の基材と、第2の基材の第2の導電性表面に電気的に導通するが、第1の基材に電気的に絶縁している電子トランスポータと、第1の基材の第1の導電性表面に電気的に導通するが、第2の基材に電気的に絶縁している正孔トランスポータと、電子トランスポータと正孔トランスポータとの間に配置された吸収材とを備え、該吸収材が電磁放射を吸収することができる光電池である。
【0012】
本明細書に開示するのは、電子を第2の基材に輸送することができる第1の固有導電性ポリマーを含む円筒体と、正孔を第1の基材に導電することができ、任意選択的に透明で円筒体を囲むが電気的には導通しないマトリクスと、円筒体とマトリクスとの間に配置され且つ円筒体及びマトリクスと密接に接触し、電気的に絶縁する分子を含み且つ少なくとも1つの単層の厚さであるシース層と、第1の固有導電性ポリマーに化学結合し、円筒体と電気的に導通すると同時にマトリクスと電気的に絶縁するように円筒体とマトリクスとの間に配置された吸収材と、を備え、吸収材が約300〜約1,100ナノメートルの波長の電磁放射を吸収することができ、第1の基材及び第2の基材が互いに電気的に導通する光電池である。
【0013】
本明細書で開示するのは、電気絶縁分子に任意的に結合された電子輸送分子と、電気絶縁分子に任意的に結合された正孔輸送分子と、電磁放射を吸収することができる吸収材とを含む光起電組成物であって、吸収材が電子輸送分子及び正孔輸送分子に化学結合する光起電組成物である。
【0014】
また、本明細書で開示されるのは、電磁放射を吸収することができる吸収材と、電子トランスポータ及び/又は正孔トランスポータと、電気的に絶縁された分子とを含む組成物をブレンドする段階と、組成物を基材に堆積する段階とを含む光電池を製造する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で用いる用語「第1の」、「第2の」等は、順序又は重要性を示すものではなく、1つの要素を他の要素から区別するために用いられ、用語「the」、「a」及び「an」は、量の限定を示すものではなく、引用項目が少なくとも1つ存在することを示すことに留意されたい。更に、本明細書で開示した全ての範囲は、終点も含み、独立して結合可能である。
【0016】
図1に示す例示的な実施形態を参照すると、光電池10は、各々正孔トランスポータ及び電子トランスポータを含む少なくとも1対の交互嵌合フィンガー12及び14を含む。電気絶縁シース16は、正孔輸送フィンガー12及び電子輸送フィンガー14を互いに電気的に絶縁する。吸収材18は、電子輸送フィンガー及び正孔輸送フィンガーに化学的に結合される。交互嵌合フィンガーの何れかに電気的に導通する2つの基材が存在する。各基材が、交互嵌合フィンガーと電気的に導通する少なくとも1つの導電性表面を有する。基材の導電性表面は電極として機能する。第1の基材20は、正孔輸送フィンガー12と電気的に導通する第1の表面を含み、第2の基材22は、電子輸送フィンガー14と導通する第2の表面を含む。それぞれの基材の第1及び第2の表面は、互いに対向し互いに面する。正孔輸送フィンガー12、電子輸送フィンガー14、電気絶縁シース16及び吸収分子18は、第1の基材20の第1の表面と第2の基材22の第2の表面との間に配置される。
【0017】
1つの実施形態では、正孔輸送フィンガー12、電子輸送フィンガー14及び/又は絶縁シース16は、少なくとも1つの寸法が分子の大きさである。分子寸法を有する絶縁シース並びに正孔輸送及び電子輸送フィンガーを用いることにより、電子再結合及び逆反応が最低限になり、これによって光電池の効率が向上する。また、自己集合により生成された光電池は、ランダム又は規則化したナノ構造を生じることができる。自己集合により、界面表面積が大きくなり、電荷輸送距離が最小になり、再結合又は逆反応が最低限に抑えられる。
【0018】
1つの実施形態では、光電池は、光起電組成物の自己集合により形成される。光起電組成物は、電子トランスポータ、正孔トランスポータ、及び吸収材を含み、これら全ては、互いに化学的に結合される。更に別の実施形態では、光起電組成物は、電子トランスポータ、正孔トランスポータ、絶縁分子及び吸収材を含み、これら全ては、互いに化学的に結合される。光起電組成物は、自己集合して交互嵌合フィンガーとなり、次いで、これを用いて光電池を形成することができる。
【0019】
交互嵌合フィンガー12及び14は、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかを含む交互の相を含む。電子トランスポータを含む相は、電気絶縁シース16により正孔トランスポータを含む相から隔てられる。交互嵌合フィンガーは両方とも、第1の端部及び第2の端部を有する。任意の交互嵌合フィンガーの一方の端部のみ(即ち第1の端部又は第2の端部の何れか)が、任意の所与の時間に基材の導電性表面と電気的に導通する。例えば、電子トランスポータを含む交互嵌合フィンガーの第1の端部が第2の基材と電気的に導通し、第2の端部が第1の基材と電気的に絶縁する。同様に、同時に、正孔トランスポータを含む交互嵌合フィンガーの第1の端部が、第1の基材と電気的に導通し、第2の端部が第2の基材から電気的に絶縁される。1つの実施形態では、交互嵌合フィンガーは、基材に化学的に結合することができる。別の実施形態では、交互嵌合フィンガーは、化学的に結合されることなく基材上に配置される。
【0020】
交互嵌合フィンガーは、規則構造又はランダム構造を形成することができる。ランダム構造の例には、例えば相互貫入ネットワーク、共連続構造又は同様のもの、或いは前記構造の少なくとも1つを含む組み合わせなどの相互貫入構造が含まれる。規則的構造の例には、ラメラ構造、重層構造、稠密充填構造又は同様のもの、或いは前記構造の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0021】
図2は、相互貫入構造を形成する電子トランスポータ及び正孔トランスポータを含む交互嵌合フィンガーを示す。図2では、電子輸送フィンガー14は第2の基材22と電気的に導通し、正孔輸送フィンガー12は第1の基材20と電気的に導通する。電子輸送フィンガー14は、第1の基材20と電気的に導通せず、正孔輸送フィンガー12は第2の基材22と電気的に導通しない。電子輸送フィンガー14及び/又は正孔輸送フィンガー12の何れか上に配置されるのは、電気絶縁シース16である。吸収材18は、電子輸送フィンガー14及び/又は正孔輸送フィンガー12に化学結合することができる。吸収材は、一般に、電子トランスポータ及び正孔トランスポータの両方に化学結合する。
【0022】
再び図1の光電池10を参照すると、光が吸収分子18に当たると、光電池10は短波長及び長波長赤外線放射を吸収して電子を放出する。図1に示すように、電子は、電子輸送フィンガー14に放出され、第2の基材22に移動する。同時に、正孔は正孔輸送フィンガー12に放出され、第1の基材20に移動する。次に、電子が外部電子回路24を通って移動し、正孔と再結合して電気を生成する。外部電子回路24は、本明細書で用いる場合、基材と電気的に導通し、吸収分子、電子及び正孔トランスポータ、絶縁分子、電荷セパレータ又はイオンドーパントなどの光電池の内部構成要素と導通しない要素に関する。
【0023】
図3に示す光電池10の別の実施形態では、交互嵌合フィンガー(例えば、正孔輸送フィンガー12又は電子輸送フィンガー14)の第1の端部は、第1の基材20及び/又は第2の基材22の何れかに接触し、第2の端部(第1の端部に対向する)は、自己集合単層により基材と電気的に導通しないようにされる。図3に示すように、正孔輸送フィンガー12は第1の端部26を有し、その上に絶縁自己集合単層28(SAM)が配置される。自己集合単層28は、第2の基材22の第2の表面上に配置され、且つこれと密接に接触する。正孔輸送フィンガー12の第2の端部30は、第1の端部26に対向する。第2の端部30は第1の基材20の第1の表面上に配置され、且つこれと電気的に導通する。
【0024】
同様に、電子輸送フィンガー14は、第2の基材22の第2の表面と電気的に導通する第1の端部32を有し、第1の端部34は、電子輸送フィンガー14が第1の基材20と電気的に導通しないようにする自己集合単層36を有する。自己集合単層26及び36は、一般に電気的に絶縁である。第1の基材20及び/又は第2の基材22の導電性表面は、導電性ナノワイヤで製造することができる。1つの実施形態では、自己集合単層は、第1の基材20及び第2の基材22上のナノワイヤと化学的に結合することができる。別の実施形態では、第1及び第2の基材の第1及び第2の導電性表面は、導電性金属、半導体、又は固有導電性ポリマーで製造することができる。
【0025】
図4に示される更に別の実施形態では、光電池10は、繊維の形態の少なくとも1つの相互貫入相を含む。図4に見られるように、電子輸送フィンガー14は、繊維で形成される。繊維は、第2の基材22に共有結合することができる反応基38を含む。反応基38により、フィンガー14が第2の基材22に容易に固定される。光電池のこの構造は、第1の基材20又は第2の基材22の何れか又は両方が、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかに化学的に結合する反応基38のみに接触するように最初にパターン付けされることにより起こる。このようにパターン付けすると、電子トランスポータと第2の基材との間に第1の組の選択的反応が起こり、同時に、正孔トランスポータと第1の基材との間に第2の組の選択的反応が起こることができる。これらの選択的反応により、繊維上の望ましい部位と1つの基材上の望ましい部位との間が接触することができ、同時に繊維の残りの部分と対向する基材との間の接触を妨げることができる。
【0026】
上に記載したように、光電池は、有利には光起電組成物の自己集合により形成される。この光起電組成物は、有利には、自己集合を含むプロセスを用いて、光を効率的に吸収させるのに効果的な幾何学的形状及び厚さを有し、並びに励起子輸送距離を約100ナノメートル(nm)以下に短縮して、結果的に電荷輸送を容易にする層に自己集合化する分子を含む。自己集合プロセスにより、相分離が起こり、少なくとも1つの交互嵌合フィンガーが生成される。交互嵌合フィンガーは、アスペクト比が約1以上であり、表面に沿う任意の点で別のフィンガーと直接又は間接的に物理的接触をするものである。直接接触は、1つの交互嵌合フィンガーが、表面に沿う任意の点で別の交互嵌合フィンガーに物理的に接触するものである。例えば、電子輸送フィンガーは、正孔輸送フィンガー表面の任意の点で正孔輸送フィンガーに直接接触することができる。間接接触は、交互嵌合フィンガーが別の材料又は層に接触し、該材料又は層が別の交互嵌合フィンガーに接触するものである。例えば、電子輸送フィンガーは、電気絶縁シースを通して間接的に正孔輸送フィンガーに接触することができる。
【0027】
1つの実施形態では、交互嵌合フィンガーには、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかを含む交互層を含む。交互嵌合フィンガーの長さは、一般に、他の寸法よりも大きい。交互嵌合フィンガーの断面域は、任意の幾何学的形状を有することができる。1つの実施形態では、交互嵌合フィンガーの断面域は、矩形及び/又は正方形であり、該フィンガーは層形態で配列される。このような層は、一般にラメラと呼ばれる。別の実施形態では、少なくとも1つの交互嵌合フィンガーは円形断面である。この場合、自己集合プロセスにより、円筒形交互嵌合フィンガーがマトリクスにより取り囲まれた稠密充填円筒体を含む構成とすることができる。円筒形フィンガーが電子トランスポータから構成される場合には、マトリクスは正孔トランスポータを含み、この逆の場合もある。交互嵌合フィンガーに適する他の断面幾何学的形状は、三角形、多角形、管状(即ち、同心円)又は同様のもの、或いは前記形状の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0028】
上に述べたように、交互嵌合フィンガーは、少なくとも1つの分子寸法を有する。相の大きさを分子寸法まで小さくすることにより、光電池の効率が向上し、電子と外部回路24の外側の正孔との再結合又は逆反応が最小となる。正孔輸送フィンガー又は電子輸送フィンガーは、約2ナノメートル以上の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。1つの実施形態では、正孔輸送フィンガー又は電子輸送フィンガーは、約3ナノメートル以上の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。更に別の実施形態では、正孔輸送フィンガー又は電子輸送フィンガーは、約5ナノメートル以上の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。一般に、電子輸送フィンガー又は正孔輸送フィンガーは、約100ナノメートル以下の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。1つの実施形態では、一般に、電子輸送フィンガー又は正孔輸送フィンガーは、約75ナノメートル以下の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。別の実施形態では、一般に、電子輸送フィンガー又は正孔輸送フィンガーは約50ナノメートル以下の寸法を少なくとも1つ有することが望ましい。
【0029】
光起電組成物は、電子トランスポータ及び/又は正孔トランスポータに化学的に結合された吸収材を含む。吸収材は、分極分子とすることができ、即ち、電磁スペクトルのあらゆる波長から電磁エネルギーを吸収して電子を放出することができる。放出された電子は、電子トランスポータに移動する。化学結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、又は他の任意の形態の結合とすることができる。吸収材は、吸収分子及び電荷セパレータを含む。電荷セパレータの機能は、電子が電子トランスポータから吸収材に移動して戻る割合を減少させることである。
【0030】
電荷セパレータは、以下の特性を有する吸収材に結合された分子部分である。電荷セパレータは、吸収材が電子を電子トランスポータに注入した後に電子を酸化吸収材に供給することができる還元剤である。従って、電荷セパレータの最高占有分子軌道(HOMO)のエネルギーは、吸収材のHOMOより約100ミリ電子ボルト(meV)以上の高い(更に負である)。電荷セパレータは、この電子を極めて迅速に送達し、酸化色素分子が電子トランスポータ内で電子と再結合する時間がないようにすることができる。この電子が電荷セパレータから吸収材へ移動した後には、電荷セパレータは酸化状態である。酸化状態では、発生する可能性がある他の何れの反応よりも速く正孔トランスポータ内の還元剤から電子を受け取ることができる。電子を正孔トランスポータから受け取るために、電荷セパレータのHOMOのエネルギーは、正孔トランスポータのHOMOより小さい必要がある。言い換えると、電荷セパレータの還元電位は、何れの場合においても、約100meV以上正孔トランスポータの電位より正とすることができる。
【0031】
1つの実施形態では、吸収分子は、全電磁スペクトルにわたる放射線を吸収した後に電子を放出することができる。別の実施形態では、吸収分子は、長波長赤外線吸収分子に化学的に結合される低波長赤外線吸収分子を含む。低波長赤外線吸収分子は、約300nm(ナノメートル)〜約700nmの波長を有する放射線を吸収し、長波長吸収分子は約700〜約1,100nmの波長を有する放射線を吸収する。
【0032】
吸収分子は電子トランスポータ及び正孔トランスポータと化学的に両立せず、溶液からキャストするとき、又は溶融物を冷却するときに吸収分子が電子トランスポータ及び正孔トランスポータと同じ相に存在しないようにすることが望ましい。自己集合するときには、吸収分子は、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかを含む相の外側表面に配置されるのが望ましい。これにより、長波長又は短波長赤外線放射線が効率的に吸収される。また、短波長及び長波長吸収分子は互いに化学的に両立し、単一の相に共存することができるようにすることも望ましい。
【0033】
吸収分子は、エネルギーを吸収すると電子を放出することができる。吸収分子は急速に電子及び正孔を注入することができることが望ましい。吸収分子は、外部電子回路24の外側での再結合又は逆反応を阻止又は最低限にすることができる必要がある。また、吸収分子は任意の副反応を最低限にすることができる必要もある。
【0034】
吸収分子は、有機材料、無機−有機材料、有機金属材料とすることができる。1つの実施形態では、吸収分子は、有機材料、無機−有機材料、有機金属材料、無機ナノ材料(従来の無機半導体(例えばシリコーン、テルル化カドミウム(CdTe)、砒化ガリウム(GaAs)で作られた量子ドットナノ粒子のような)又は同様のものとすることができる。有機吸収分子は、色素又は顔料とすることができる。赤外線放射を吸収するのに用いることができる適切な色素の例は、アントラノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、クロコニン(croconines)及びその誘導体、トリフェニルアミン構造を有するアゾ顔料、カルバゾール構造を有するアゾ顔料、フルオレン構造を有するアゾ顔料、オキサジアゾール構造を有するアゾ顔料、ビススチルベン(bisstilbene)構造を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン構造を有するアゾ顔料、ジスチリルベンゼン構造を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール構造を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール構造有するアゾ顔料、スチルベン構造を有するアゾ顔料、カルバゾール構造を有するトリスアゾ顔料、アントラキノン構造を有するアゾ顔料、ジフェニルポリエン構造を有するビスアゾ顔料のようなモノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ及びその誘導体、ベンズイミダゾロン及びその誘導体、ジケトピロールピロール及びその誘導体、ジオキサジン及びその誘導体、ジアリライド及びその誘導体、インダントロン及びその誘導体、イソインドリン及びその誘導体、イソインドリノン及びその誘導体、ナフトール及びその誘導体、ペリノン及びその誘導体、無水ペリレン酸又はペリレン酸イミドのようなペリレン及びその誘導体、アンサントロン(ansanthrones)及びその誘導体、ジベンズピレンキノン及びその誘導体、ピラントロン及びその誘導体、ビオラントロン(bioranthorones)及びその誘導体、イソビオラントロン(isobioranthorone)及びその誘導体、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン型顔料、シアニン及びアゾメチン型顔料、インジゴイド型顔料、ビスベンゾイミダゾール型顔料、アズレニウム塩、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ベンゾピリリウム塩、フタロシアニン及びその誘導体、プリアントロン(pryanthrones)及びその誘導体、キナシドン(quinacidones)及びその誘導体、キノフタロン及びその誘導体、スクアレーン(squaraines)及びその誘導体、スクアリリウム(squarilyiums)及びその誘導体、又は同様の物、或いは前記色素の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0035】
赤外線放射を吸収することができる適切な金属の有機金属錯体の例は、結晶チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、α型、β型又はY型オキソチタニルフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、鉛フタロシアニン、パラジウムフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、又は同様のもの、或いは前記金属錯体の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0036】
吸収分子は、電子トランスポータ及び正孔トランスポータと反応し且つ化学的に結合することができる官能基を有することが望ましい。また、吸収分子は、吸収分子と正孔トランスポータとの間に電荷セパレータを有することも望ましい。放出された電子は、酸化された吸収材分子(電子トランスポータ表面の正孔を示す)に直接移行することができるので、吸収分子は、該吸収分子に化学的に結合された電荷セパレータを有し、電子が酸化された吸収材と直接再結合しないようにすることが望ましい。また、吸収分子は、電気絶縁分子に化学的に結合し、正孔トランスポータとの直接反応のような不要な電子の移動を最低限にすることもできる。絶縁分子は、電子が、望ましい電子回路の外側の正孔と再結合するのを阻止及び/又は最小限にする。絶縁シース16を形成するこれらの絶縁分子は、電子が、電子回路の外側の正孔と再結合するのを防止する。
【0037】
上に記載したように、電荷セパレータにより、正孔トランスポータから吸収材まで、酸化された吸収材との電子の再結合が生じることができる速度より更に速く電子が流れるのを促進することが望ましい。電荷セパレータは、電子供与部分を含むことができる。適切な電荷セパレータの例は、置換フェノチアジン成分、置換カルバゾール成分、置換ジベンゾカルコフェン(dibenzochalcophene)成分、置換トリアリールアミン、チオフェン、又は同様のものである。
【0038】
上に記載したように、電気絶縁分子は、電子が正孔と再結合するのを最低限にするか又は阻止するために、吸収分子に及び/又は電子トランスポータ及び/又は正孔トランスポータに化学的に結合される。これらの電気絶縁分子は、一般に、共役主鎖を有さず、従って固有導電性ではないモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー及び/又はポリマーを含む。1つの実施形態では、これらの電気絶縁分子は、熱可塑ポリマー又は熱硬化ポリマーとすることができる。熱可塑ポリマーには、デンドリマー、イオンポリマー、又はブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、スターブロックコポリマーのようなコポリマー、或いは同様のものを含むことができる。モノマー及び/又はオリゴマーは、絶縁分子として用いることが一般に望ましい。電気絶縁分子は、電気絶縁シースを形成し、これにより正孔トランスポータと電子トランスポータとの間の電気的導通が最小限になる。絶縁シースは、部分的単層、単層又は多層システムを含むことができる。適切な電気絶縁分子の例は、非導電性無機化合物、無機化合物、非共役モノマー、非導電性オリゴマー及びポリマー、又は同様のもの、或いは前記電気絶縁分子の少なくとも1つを含む組み合わせである。電気絶縁分子は、ナノ粒子、ナノシート、ナノロッド、又は同様のもののようなナノ構造を形成することができる。
【0039】
絶縁分子として用いることができる適切なオリゴマー及び/又はポリマーの例は、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリカーボネート、ポリアルキド(polyalkyds)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジノフェノチアジン、ポリベンゾチアゾール、ポリピラジノキノクサリン、ポリピロメリトイミド、ポリキノクサリン、ポリベンズイミダゾール、ポリオキシインドール、ポリオキソイソインドリン、ポリジオキソイソインドリン、ポリトリアジン、ポリピリダジン、ポリピペラジン、ポリピリジン、ポリピペリジン、ポリトリアゾール、ポリピラゾール、ポリカルボラン、ポリオキサビシクロノナン、ポリジベンゾフラン、ポリフタリド、ポリアセタール、ポリ無水物、ポリビニルエーテル、ポリビニルチオエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルケトン、ポリハロゲン化ビニル、ポリビニルニトリル、ポリビニルエステル、ポリスルホネート、ポリスルフィド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリ尿素、ポリホスファゼン、ポリシラザン、又は前記有機ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである。また、これらのポリマーを作るために用いられるモノマーを用いて電気絶縁シースを製造することができる。また、電気絶縁シースには、電気絶縁ナノ粒子を用いることもできる。
【0040】
また、上に述べたように、前記ポリマーを製造するために用いるモノマーは、絶縁分子として用いることもできる。一般に、絶縁分子は、自己集合が起こっている間及び/又はその後に、電子輸送フィンガー14上に配置される絶縁シース16を形成することが望ましい。このシースは、電子輸送フィンガー16に密接に接触して、電子が外部電子回路24の外側の正孔と再結合するのを防止し、又は最低限にする。絶縁シースの厚さは、約0.2ナノメートル以上であることが望ましい。1つの実施形態では、絶縁シースの厚さは、約0.4ナノメートル以上であることが望ましい。別の実施形態では、絶縁シースの厚さは、約1.0ナノメートル以上であることが望ましい。
【0041】
正孔輸送フィンガー又は正孔輸送マトリクス12には、正孔に高度の移動度を与える正孔トランスポータ(正孔トランスポータ)を含む。1つの実施形態では、液体として処理可能であるが、光電池の運転状態では固体に変換することができる空隙充填透明正孔トランスポータを有するのが望ましい。更に、正孔トランスポータは、波長が約300〜約1,100ナノメートルの光に透過性であることが望ましい。1つの実施形態では、正孔トランスポータの光に対する透過性は約10%以上である。別の実施形態では、透明正孔トランスポータの光透過性は、約20%以上である。更に別の実施形態では、透明正孔トランスポータの光透過性は、約40%以上である。
【0042】
また、正孔トランスポータの最高占有分子軌道(HOMO)エネルギーレベルは、吸収材のHOMOとほぼ一致させ、吸収材と正孔トランスポータとの間の正孔の輸送を容易にすることも望ましい。
【0043】
適切な正孔トランスポータは、以下に示す構造(I)〜(VIII)により表される。
【0044】
【化1】

【0045】
(式中、Rは水素又はアルキルである。)適切なアルキル基はメチル基である。
【0046】
【化2】

【0047】
【化3】

【0048】
【化4】

【0049】
【化5】

【0050】
【化6】

【0051】
【化7】

【0052】
及び
【0053】
【化8】

【0054】
(式中、Rは水素及び/又はアルキルである。)適切なアルキル基はメチル基である。
【0055】
適切な正孔トランスポータの他の例には、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ジアミン化合物、芳香族3級アミン化合物、ブタジエン化合物、インドール化合物、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、又は同様のもの、或いは前記材料の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0056】
更に、適切な正孔トランスポータの他の例は、トリフェニルメタン、ビス(4−ジエチルアミン−2−メチルフェニル)フェニルメタン、スチルベン、ヒドロゾン(hydrozone)、トリトリルアミンを含む芳香族アミン、アリールアミン、エナミンフェナントレンジアミン、N,N”−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン、N,N”−ビス−(4−メチルフェニル)−N,N”−ビス(4−エチルフェニル)−1、1”−3,3”−ジメチルビフェニル)−4,4”−ジアミン、4−4”−ビス(ジエチルアミノ)−2,2”−ジメチルトリフェニルメタン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1”−ビフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(4−メチルフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(アルキルフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、及びN,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(クロロフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、4,4”−ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4”−[4(ジ−p−トリルアミノ)−スチリル]スチルベン、N,N,N”,N”−テトラ−p−トリル−4−4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラフェニル−4,4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラ−1−ナフチル−4,4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラ−2−ナフチル−4,4”−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−ターフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、4,4”−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニルアミノ]−p−ターフェニル、4,4”−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(8−フルオロアンテニル(fluoranthenyl))−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ナフトアセニル(naphthacenyl))−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−コロネニル(coronenyl))−N−フェニルアミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、N,N,N”,N”−テトラ(2−ナフチル)−4,4”−ジアミノ−p−ターフェニル、4,4”−ビス(N−フェニル−N−{4−(1−ナフチル)−フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4”−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミン]フルオリン、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、又は同様のもの、或いは前記物質の少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0057】
また、正孔トランスポータは、固有導電性ポリマーとすることもできる。適切な固有導電性ポリマーの例は、ポリ(アセチレン)及びその誘導体、ポリ(チオフェン)及びその誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリ(3,4−エチレンジチアチオフェン)及びその誘導体、ポリ(イサチアナフテン)、ポリ(ピリドチオフェン)、ポリ(ピリジノチオフェン)、及びその誘導体、ポリ(ピロール)及びその誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)及びその誘導体、ポリ(アニリン)及びその誘導体、ポリ(フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(チオナフテン)、ポリ(ベンゾフラン)、及びポリ(インドール)及びその誘導体、ポリ(ジベンゾチオフェン)、ポリ(ジベンゾフラン)、ポリ(カルバゾール)及びその誘導体、ポリ(ビチオフェン)、ポリ(ビフラン)、ポリ(ビピロール)、及びその誘導体、ポリ(チエノチオフェン)、ポリ(チエノフラン)、ポリ(チエノピロール)、ポリ(フラニルピロール)、ポリ(フラニルフラン)、ポリ(ピロリルピロール)、及びその誘導体、ポリ(ターチオフェン)、ポリ(ターフラン)、ポリ(ターピロール)、及びその誘導体、ポリ(ジチエノチオフェン)、ポリ(ジフラニルチオフェン)、ポリ(ジピローリルチオフェン)、ポリ(ジチエノフラン)、ポリ(ジピローリルフラン)、ポリ(ジピローリルピロール)及びその誘導体、ポリ(フェニルアセチレン)及びその誘導体、ポリ(ビインドール)及び誘導体、ポリ(ジチエノビニレン)、ポリ(ジフラニルビニレン)、ポリ(ジピローリルビニレン)及びその誘導体、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシチエニル)ビニレン)、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシフラニル)ビニレン)、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシピローリル)ビニレン)、及びその誘導体、ポリ(ビス−チエニルアリーレン)及びポリ(ビス−ピローリルアリーレン)及びその誘導体、ポリ(ジチエニルシクロペンテノン)、ポリ(キノリン)、ポリ(チアゾール)、ポリ(フルオレン)、ポリ(アズレン)、又は同様のもの、或いは前記固有導電性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0058】
また、正孔トランスポータは、イオン液体又は電解質とすることができる。正孔トランスポータとして用いられるイオン液体の適切な例は、メチルプロピルイミダゾリウムトリフレート、メチルプロピルイミダゾリウムビストリフルイミド(triflimide)、メチルプロピルイミダゾリウムナノフレート、メチルプロピルイミダゾリウムエーテルスルホネート、メチルプロピルイミダゾリウムヨージド、メチルプロピルイミダゾリウムトリヨージド、メチルプロピルイミダゾリウム擬ハライド、ホスホニウム陰イオンを有する金属錯体陽イオン、又は同様のもの、或いは前記正孔トランスポータの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0059】
電子トランスポータは、正孔トランスポータ材料と一般に同じ特性を有し、即ち、電荷を輸送することができる。従って、電子トランスポータは、吸収材のLUMOとほぼ一致する最低非占有軌道(LUMO)エネルギーレベルを有し、吸収材と前記電子トランスポータとの間の電子が容易に輸送されるようにすることが望ましい。
【0060】
1つの実施形態では、電子トランスポータには、金属、半導体、固有導電性ポリマー、又は前記材料の少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノシートのようなナノ構造を含む。例示的な電子トランスポータは、その外側に化学的に結合された吸収材及び/又は絶縁分子を有する酸化チタンナノワイヤである。1つの実施形態では、ナノワイヤは整列して束になり、電子輸送フィンガー14を形成することができる。
【0061】
適切な電子トランスポータの例は、トリス−8−ヒドロキシキノラートアルミニウム(AlQ)のような無機錯体、シアノ−ポリフェニレンビニレン(CN−PPV)、オリゴマー、ポリマー及び2,5−ジアリールオキサジアゾール、ジアリールトラゾール、トリアジン、ピリジン、キノリン、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、又は同様のもののような電子不足複素環成分を含む他の分子種である。他の例示的な電子トランスポータは、特定の官能基を付けたフラーレン(例えば、6,6−フェニル−C61−ブチル酸−メチルエステル)、ジフルオロビニル−(ヘテロ)アリーレン、3−(1,1−ジフルオロ−アルキル)チオフェン基、ペンタセン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、α,ω−置換セキシチオフェン、n−デカペンタフルオロヘプチル−メチルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、ジヘキシル−キンクチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ジ−ヘキシル−ヘキサチオフェン、ジヘキシル−アントラジチオフェン、フタロシアニン、C60フラーレン、又は同様のもの、或いは前記電子トランスポータの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0062】
電子を輸送するが正孔を遮断する材料の適切な例を構造(IX)〜(XIII)に示す。
【0063】
【化9】

【0064】
【化10】

【0065】
【化11】

【0066】
【化12】

【0067】
【化13】

【0068】
電子輸送フィンガー及び/又は正孔輸送フィンガーの表面積は、約2平方メートル/グラム(m/g)以上であることが望ましい。1つの実施形態では、電子輸送フィンガー及び/又は正孔輸送フィンガーの表面積は、約10m/g以上である。別の実施形態では、電子輸送フィンガー及び/又は正孔輸送フィンガーの表面積は、約20m/g以上である。更に別の実施形態では、電子輸送フィンガー及び/又は正孔輸送フィンガーの表面積は、約50m/g以上である。更に別の実施形態では、電子輸送フィンガー及び/又は正孔輸送フィンガーの表面積は、約100m/g以上である。
【0069】
光電池のための第1及び第2の基材の導電性表面は、導電性材料を含むことができる。また、基材は電磁スペクトル内で光透過性であることが望ましい。また、基材は、波長が約300〜1,100ナノメートルの光に透過性であることが望ましい。基材の導電性表面は、一般に、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかと選択的に化学結合するようにパターン付けることができる。このパターン付けは、テンプレート、マスク、又は、例えば、疎水性−親水性相互作用、電場、磁場、又は同様のもののような化学的手段を用いることにより達成することができる。パターン付けにより、一般に、基材は電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかと化学的結合することができるが、両方と結合することはできない。1つの実施形態では、電子トランスポータは、第2の基材とのみ化学結合することができる反応基を含む。別の実施形態では、正孔トランスポータは、第2の基材とのみ化学結合することができる反応基を含む。導電性表面は、所望であれば、単層又は多層を含むことができる。
【0070】
基材に用いることができる適切な導電性材料の例は、金属、半導体、固有導電性ポリマー又は同様のもの、或いは前記物質の少なくとも1つを含む組み合わせである。金属の例は、白金、銀、銅、金又は同様のもの、或いは前記金属の少なくとも1つを含む組み合わせの薄膜である。適切な半導体の例は、インジウムスズ酸化物、ドープインジウムスズ酸化物又は同様のもの、或いは前記半導体の少なくとも1つを含む組み合わせなどの導電金属酸化物である。固有導電酸化物の例は、上の電子輸送及び正孔トランスポータを記載する実施形態に詳細に示している。
【0071】
また、基材の導電性表面に用いることができる導電性及び半導電性材料は、例えば、ナノワイヤ、ナノフィルム、ナノロッド又は同様のもののようなナノ構造形態とすることができる。導電ナノフィルムは、基材上に堆積して導電性表面を形成することができる。ナノフィルムを堆積させるのに有用な方法は、膨張熱プラズマ(ETP)、イオンメッキ、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、金属有機化学蒸着(MOCVD)(有機金属化学蒸着(OMCVD)とも呼ばれる)、金属有機気相成長(MOVPE)、又は、スパッタリング、反応電子ビーム(e−ビーム)蒸着、及びプラズマスプレーのような物理蒸着法である。上に記載したように、テンプレート、マスク、又は同様のものを用いて、上記プロセスの間に導電性表面にパターン付けすることができる。
【0072】
ナノワイヤは、中実又は中空とすることができ、導電性表面を生成するのに用いることができる。基材の導電性表面としてナノワイヤを用いると、粒界により引き起こされる電気抵抗を低減することが容易になる。1つの実施形態では、ナノワイヤは導電性であるのが望ましい。別の実施形態では、ナノワイヤは半導電性であるのが望ましい。ナノワイヤは、金属及び/又は導電性金属酸化物を含むことができる。ナノワイヤは表面上に反応分子を有し、電子トランスポータ又は正孔トランスポータの何れかと選択的に化学結合するようにすることができる。1つの実施形態では、ナノワイヤの直径は、約2〜約200ナノメートルである。別の実施形態では、ナノワイヤの直径は、約5〜約50ナノメートルである。更に別の実施形態では、ナノワイヤの直径は、約10〜約30ナノメートルである。
【0073】
光電池を製造する方法の1つの実施形態では、吸収分子が固有導電性ポリマー及び電荷セパレータと化学結合し、光起電組成物を形成する。光電池を形成する方法の別の実施形態では、吸収分子が固有導電性ポリマー、絶縁分子及び電荷セパレータと化学結合し、光起電組成物を形成する。次いで、組成物を適切な溶媒に溶解して、これからキャストすることができる。或いは、組成物を溶融ブレンドし、押し出し及び又はロールミルにより更に加工することができる。キャスト後、或いはロールミル後、組成物は自己集合プロセスを開始する。自己集合は、テンプレート、マスク、電場、磁場、せん断場、又は、例えば、疎水性−親水性相互作用のような特定の化学相互作用を用いることにより起こすことができる。
【0074】
自己集合プロセスにより、電子トランスポータ及び正孔トランスポータが相分離し、吸収材が効率的に光を吸収することができる効果的な幾何学的形状及び厚さを有する相になるように促進される。電子トランスポータとして機能する相は円筒体の形態であり、ブロックコポリマーの一部に見られるのと同様の方法で稠密にされることが望ましい。1つの実施形態では、円筒体は、実質的に、電子トランスポータとして機能する固有ポリマーを含み、マトリクスは、実質的に、正孔トランスポータとして機能する固有導電性ポリマーを含む。別の実施形態では、円筒体は、正孔トランスポータとして機能する固有導電性ポリマーを含み、マトリクスは、電子トランスポータとして機能する固有導電性ポリマーを含む。
【0075】
一般に、円筒体のアスペクト比は、約2以上であるのが望ましい。1つの実施形態では、アスペクト比は約5以上であり、別の実施形態では、約10以上である。相が円筒体の形態である場合には、円筒体の長さは、約1マイクロメートル以上であるのが望ましい。1つの実施形態では、円筒体の長さは、約10マイクロメートル以上とすることができ、別の実施形態では、約50マイクロメートル以上である。円筒体の直径は、約2ナノメートルであるのが望ましい。1つの実施形態では、円筒体の直径は、約5ナノメートル以上であり、別の実施形態では、約10ナノメートル以上であるのが望ましい。
【0076】
1つの実施形態では、自己集合が起こった後、電子輸送及び/又は正孔輸送するのに用いられる材料は、電荷輸送の改善を容易にするため架橋することができる。架橋により、各層又は円筒体内の電子輸送ブロックが単一の電子輸送分子通路に融合することになり、これにより輸送が改善されるとともに、一体性が機械的に安定し堅牢な構造をもたらすことになる。
【0077】
図3に示す光電池10に関する別の実施形態である光電池を製造する別の方法では、自己集合は、電子導電性ポリマーナノ繊維束が自己凝集して正孔輸送マトリクスになることを促進する段階を含む。これを達成するために、2種の電子輸送ポリマーを用いる。第1の電子輸送ポリマーはシースされていない。第2の電子輸送ポリマーは、吸収分子及びシースに化学結合される。この第2の電子輸送ポリマー上の吸収分子及びシースは、第2の電子輸送ポリマーの表面全体は覆わず、ポリマーの一部をシースせずに残すことになる。必要な場合、両方の形の非シース表面は、互いに結合するよう機能化されることになる。例えば、これは、これらの電子輸送ポリマー表面に水素結合供与体及び受容体基を有することにより達成することができる。これら2つの形を疎水性イオン液体中で加熱すると、自然に、中心に非シースポリマー、及び繊維の外側にシースポリマーを含むナノメートル直径繊維を形成することになる。上に詳細に記載したように、電子輸送ポリマー及び正孔輸送ポリマーの末端基は、それぞれの基材に結合するように設計されることになる。イオン液体は、溶解した正孔輸送ポリマーを架橋することにより、組立てた後に固化することができる。
【0078】
更に別の実施形態は、光電池の製造に関するものであり、電子輸送ブロックは、擬コア−シェル構造からなり、このコア及びシェルがそれぞれ電子トランスポータ及び電気絶縁シース材料を構成する。また、正孔輸送ブロックは、擬コアシェル構造からなり、このコア及びシェルがそれぞれ正孔トランスポータ及び電気絶縁シース材料を構成する。コア−シェルブロックコポリマーは、光吸収材料と混合するが、これは、溶液相又は溶融状態のナノ粒子の形態とすることができる。次に、この混合物をパターン付けした(電極)基材上に堆積する。この混合物は、第1の基材又は第2の基材の何れかに別個に堆積することができる。堆積は、スピンコーティング、溶液流延法、又は同様のものを含むプロセスを介して行うことができる。ブロックコポリマー/光吸収材混合物を堆積させた後、コーティングせずに予めパターン付けした基材を他の基材上に堆積させたブロックコポリマーの表面に密接に接触するようにする。
【0079】
電極基材を予めパターン付けするために、まず自己集合単層(SAM)又はポリマーブラシを少なくとも1つの基材に塗布し、次に、e−ビームリソグラフィー、ナノインプリンティング、極UVリソグラフィー又はブロックコポリマーリソグラフィーなどの技術でパターン付けする。このパターン付け法を用いて、電極基材は、化学的にも局所的にもパターン付けされる。第1及び第2の基材は、異なる化学的特性を有するSAM(又はポリマーブラシ)でパターン付けする。更に詳細には、パターン付けした電極の1つの化学的性質は、ブロックコポリマーの電子形成ブロックとのみ相溶性であり、正孔形成ブロックとは非相溶性である必要がある。同様に、他のパターン付けした電極は、ブロックコポリマーの正孔形成ブロックとのみ相溶性である必要がある。これらの要件により、ブロックコポリマーの各ブロックと対応する電極基材との間が適切な電気的接触が確保されるようにされ、これによって短絡回路が防止される。
【0080】
各電極基材には、異なるSAM(ポリマーブラシ)を用いることができる。別の実施形態では、両電極に同じSAM(ポリマーブラシ)を用い、その後SAM電極の1つだけをブランケットUV(放射)暴露又はオゾン暴露或いは熱処理することにより化学的に修飾する。
【0081】
ブロックコポリマー/光吸収材混合物の自己集合は、溶媒又は蒸気を存在させるか、電気、磁気、せん断又は上記プロセスの組み合わせのような外部場を存在させて熱処理、圧力印加のような種々のプロセスを用いて起こすことができ、これによって、コポリマーブロックの相分離が生じ、周期的で境界のはっきりしたドメインにすることができる。これらのドメインの寸法及び形態は、分子量、容量分画及びブロック構成要素と光吸収材料(吸収材)との間の相互作用の程度により制御される。寸法は、数ナノメートル〜数百ナノメートルの桁であり、形態は、球、円筒形、ラメラ、二重螺旋及び他の相互貫入相である。この用途に好ましい形態は、ラメラ又は円筒形である。
【0082】
1つの実施形態では、光吸収材料(吸収材)は、自己集合すると、正孔形成ブロックと擬コア−シェル電子形成ブロックとの間の界面を隔離するように選択される。この目的のために、光吸収材料の表面機能化が必要であることもあれば、そうでない場合もある。予めパターン付けした電極上でブロックコポリマー/光吸収混合物が自己集合すると、特に円筒形又はラメラ形成ブロックコポリマー/光吸収材混合物に対し、ブロックコポリマードメイン(相)を垂直に配向する手段が得られる。
【0083】
前記方法で製造した光電池は、エネルギー変換効率が約10%以上とすることができる点で有利である。別の実施形態では、光電池のエネルギー変換効率は、約20%以上とすることができる。更に別の実施形態では、光電池のエネルギー変換効率は、約30%以上とすることができる。また、前記方法により製造された光電池は、汎用性及び柔軟性があって軽量で、ロールミルを用いるなどの柔軟な方法で製造することができる。
【0084】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形を行うことができ、均等物をその構成要素と置き換えることができることは当業者には理解されるであろう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの変更を行うこともできる。従って、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の請求項に包含される全ての実施形態を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】電子トランスポータ及び正孔トランスポータに化学結合された吸収分子に入射した電磁エネルギーが電気エネルギーに変換される光電池の1つの実施形態の概略図。
【図2】電子トランスポータ及び正孔トランスポータが相互貫入構造を形成する光電池の1つの実施形態の概略図。
【図3】自己集合プロセスにより、電子トランスポータ及び正孔トランスポータが、分子の桁の寸法を少なくとも1つ有する相に相分離するように促進される光電池の実施形態の図。
【図4】電子輸送ポリマーの末端基が各基材に結合するように設計され、電子輸送ポリマーが繊維の形態に封入された光電池の1つの実施形態の図。
【符号の説明】
【0086】
10 光電池
12 正孔輸送フィンガー
14 電子輸送フィンガー
16 電気絶縁シース
18 吸収材
20 第1の基材
22 第2の基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射を吸収することができる吸収材と、
第1の導電性表面を含む第1の基材と、
前記第1の基材の第1の導電性表面に対向し且つ面する第2の導電性表面を含む第2の基材と、
前記第2の基材の第2の導電性表面と電気的に導通するが、前記第1の基材から電気的に絶縁されている電子トランスポータと、
前記第1の基材の第1の導電性表面と電気的に導通するが、前記第2の基材から電気的に絶縁されている正孔トランスポータと、
を備え、前記正孔トランスポータ及び/又は前記電子トランスポータが電気絶縁シースに化学結合され、前記正孔トランスポータ及び/又は前記電子トランスポータが前記吸収材に化学結合されることを特徴とする光電池。
【請求項2】
前記第1の基材及び/又は前記第2の基材は、波長が約300〜約1,100ナノメートルである光に対して透過性である請求項1に記載の光電池。
【請求項3】
前記第1の基材の導電性表面が、前記光電池の外部にある電子回路を介して前記第2の基材の導電性表面と電気的に導通している請求項1に記載の光電池。
【請求項4】
前記第1及び/又は前記第2の基材の導電性表面が、金属、半導体、ドープ半導体、固有導電性ポリマー、又は前記材料の少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる導電性材料の1つ又はそれ以上の層を備える請求項1に記載の光電池。
【請求項5】
前記電子トランスポータ及び正孔トランスポータが、約2ナノメートル以上の特徴寸法を有する交互嵌合フィンガーの形態である請求項1に記載の光電池。
【請求項6】
前記正孔トランスポータ及び前記電子トランスポータが、固有導電性ポリマーを含む請求項1に記載の光電池。
【請求項7】
前記正孔トランスポータ及び/又は前記電子トランスポータが、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ジアミン化合物、芳香族3級アミン化合物、ブタジエン化合物、インドール化合物、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、トリフェニルメタン、ビス(4−ジエチルアミン−2−メチルフェニル)フェニルメタン、スチルベン、ヒドロゾン、トリトリルアミンを含む芳香族アミン、アリールアミン、エナミンフェナントレンジアミン、N,N”−ビス−(3,4−ジメチルフェニル)−4−ビフェニルアミン、N,N”−ビス−(4−メチルフェニル)−N,N”−ビス(4−エチルフェニル)−1,1”−3,3”−ジメチルビフェニル)−4,4”−ジアミン、4−4”−ビス(ジエチルアミノ)−2,2”−ジメチルトリフェニルメタン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1”−ビフェニル]−4,4”−ジアミン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(4−メチルフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、N,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(アルキルフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、及びN,N”−ジフェニル−N,N”−ビス(クロロフェニル)−1,1”−ビフェニル−4,4”−ジアミン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、4,4”−ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4”−[4(ジ−p−トリルアミノ)−スチリル]スチルベン、N,N,N”,N”−テトラ−p−トリル−4−4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラフェニル−4,4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラ−1−ナフチル−4,4”−ジアミノビフェニル、N,N,N”,N”−テトラ−2−ナフチル−4,4”−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]p−ターフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、4,4”−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニルアミノ]−p−ターフェニル、4,4”−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N(8−フルオロアンテニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ナフトアセニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、4,4”−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、N,N,N”,N”−テトラ(2−ナフチル)−4,4”−ジアミノ−p−ターフェニル、4,4”−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)−フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4”−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミン]フルオリン、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ナフタレン、又は前記物質の少なくとも1つを含む組み合わせを含む請求項1に記載の光電池。
【請求項8】
前記固有導電性ポリマーが、ポリ(アセチレン)及びその誘導体、ポリ(チオフェン)及びその誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリ(3,4−エチレンジチアチオフェン)及びその誘導体、ポリ(イサチアナフテン)、ポリ(ピリドチオフェン)、ポリ(ピリジノチオフェン)、及びその誘導体、ポリ(ピロール)及びその誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)及びその誘導体、ポリ(アニリン)及びその誘導体、ポリ(フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(p−フェニレン)及びその誘導体、ポリ(チオナフテン)、ポリ(ベンゾフラン)、及びポリ(インドール)及びその誘導体、ポリ(ジベンゾチオフェン)、ポリ(ジベンゾフラン)、ポリ(カルバゾール)及びその誘導体、ポリ(ビチオフェン)、ポリ(ビフラン)、ポリ(ビピロール)、及びその誘導体、ポリ(チエノチオフェン)、ポリ(チエノフラン)、ポリ(チエノピロール)、ポリ(フラニルピロール)、ポリ(フラニルフラン)、ポリ(ピロリルピロール)、及びその誘導体、ポリ(ターチオフェン)、ポリ(ターフラン)、ポリ(ターピロール)、及びその誘導体、ポリ(ジチエノチオフェン)、ポリ(ジフラニルチオフェン)、ポリ(ジピローリルチオフェン)、ポリ(ジチエノフラン)、ポリ(ジピローリルフラン)、ポリ(ジピローリルピロール)及びその誘導体、ポリ(フェニルアセチレン)及びその誘導体、ポリ(ビインドール)及び誘導体、ポリ(ジチエノビニレン)、ポリ(ジフラニルビニレン)、ポリ(ジピローリルビニレン)及びその誘導体、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシチエニル)ビニレン)、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシフラニル)ビニレン)、ポリ(1,2−トランス(3,4−エチレンジオキシピローリル)ビニレン)、及びその誘導体、ポリ(ビス−チエニルアリーレン)及びポリ(ビス−ピローリルアリーレン)及びその誘導体、ポリ(ジチエニルシクロペンテノン)、ポリ(キノリン)、ポリ(チアゾール)、ポリ(フルオレン)、ポリ(アズレン)、又は前記固有導電性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである請求項6に記載の光電池。
【請求項9】
前記電子トランスポータが、官能基を付けたフラーレン、6,6−フェニル−C61−ブチル酸−メチルエステル、ジフルオロビニル−(ヘテロ)アリーレン、3−(1,1−ジフルオロ−アルキル)チオフェン基、ペンタセン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、α,ω−置換セキシチオフェン、n−デカペンタフルオロヘプチル−メチルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、ジヘキシル−キンクチオフェン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ジ−ヘキシル−ヘキサチオフェン、ジヘキシル−アントラジチオフェン、フタロシアニン、C60フラーレン、又は前記電子トランスポータの少なくとも1つを含む組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の光電池。
【請求項10】
前記電気絶縁シースが、前記電子トランスポータ及び/又は前記正孔トランスポータに結合され、及び電子が正孔と再結合するのを妨げ、前記電気的に絶縁されたシースが0.2ナノメートル以上である特徴寸法を有する請求項1に記載の光電池。
【請求項11】
前記電気絶縁シースが、電気絶縁材料の部分的単層又は多層を含むことができる請求項10に記載の光電池。
【請求項12】
前記吸収材が、吸収分子及び該吸収分子に化学結合された電荷セパレータを含む請求項1に記載の光電池。
【請求項13】
前記吸収分子が、波長約700〜約1,100ナノメートルの電磁放射を吸収することができる少なくとも1つの長波長吸収分子と、波長約300〜約700ナノメートルの電磁放射を吸収することができる少なくとも1つの短波長吸収分子とを含み、前記短波長吸収分子及び前記長波長吸収分子が、互いに化学的に両立され、単一の相内に存在することができる請求項12に記載の光電池。
【請求項14】
前記電荷セパレータが、置換フェノチアジン成分、置換カルバゾール成分、置換ジベンゾカルコフェン成分、又は前記電荷セパレータの少なくとも1つを含む組み合わせである請求項12に記載の光電池。
【請求項15】
前記電荷セパレータが、電子供与成分及び/又は還元剤を含む請求項12に記載の光電池。
【請求項16】
前記吸収材が、前記電子トランスポータの導電帯に直接電子を放出するのに効果的なLUMOレベルを有し、HOMOレベルが、前記正孔トランスポータの正孔導電帯に直接正孔を放出するのに効果的である請求項1に記載の光電池。
【請求項17】
電気絶縁分子に任意選択的に結合される電子トランスポータと、
電気絶縁分子に任意選択的に結合される正孔トランスポータと、
電磁放射を吸収することができる吸収材と、
を含み、前記吸収材が、前記電子トランスポータ及び前記正孔トランスポータに化学的に結合することを特徴とする光起電組成物。
【請求項18】
前記吸収材が、吸収分子と1つ又はそれ以上の電荷セパレータとを含み、前記電荷セパレータが前記吸収分子に化学結合し、更に、前記電荷セパレータが、置換フェノチアジン成分、置換カルバゾール成分、置換ジベンゾカルコフェン成分、又は前記電荷セパレータの少なくとも1つを含む組み合わせである請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記吸収分子が、波長約700〜約1,100ナノメートルの電磁放射を吸収することができる少なくとも1つの長波長吸収分子と、波長約300〜約700ナノメートルの電磁放射を吸収することができる少なくとも1つの短波長吸収分子とを含む請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
請求項17に記載の組成物を含むデバイス。
【請求項21】
電磁放射を吸収することができる吸収材と、電子トランスポータ及び/又は正孔トランスポータと、及び/又は電気絶縁分子とを含む組成物をブレンドする段階と、
前記組成物を基材上に堆積する段階と、
を含む光電池の製造方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法により製造した光電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−49890(P2006−49890A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216748(P2005−216748)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】