分岐コネクタ
【課題】簡単な構成で、確実に幹線ケーブルから分岐ケーブルへの分岐ができる分岐コネクタを提供すること。
【解決手段】導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、カバー部材と、前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにした。
【解決手段】導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、カバー部材と、前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐コネクタに関するものであり、より詳しくは、幹線ケーブルから分岐ケーブルを分岐して接続するための分岐コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術が発達し、様々な分野で多様なネットワークシステムが活用されている。例えば、オフィス等におけるネットワークシステムでは、分散して配置された複数のコンピュータがネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0003】
また、工場内の生産管理システムにおいては、工作機械、ロボットなどの各種機器を集中管理するためのFA(Factory Automation)ネットワークが構築されている。FAネットワークにおいては、ネットワーク全体を統括・制御するマスタユニットと工作機械、ロボット等、複数の周辺機器とがネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0004】
また、種々の商品等を保管する倉庫等においては、当該商品をピッキングするために、商品又は商品が収納されるスペースの間口毎にピッキング表示器が取り付けられ、制御用コンピュータからの指示によりそのピッキング表示器を点灯させて、主として発光表示によりピッキング位置やピッキングする商品の数量を表示するピッキング支援システムが広く用いられてきている。このようなピッキング支援システムにおいては、制御用コンピュータとピッキング表示器等の周辺機器とが、ネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0005】
このような各ネットワークにおいて使用されるネットワークケーブル、すなわち電源の供給を行うための電源ケーブルや制御信号等の送受信を行うための通信ケーブルの種類は様々であるが、配線本数が多くなると誤配線等のトラブルが多くなる。そこで、配線本数を出来るだけ少なくするため、通信ケーブルと電源ケーブルとを兼ねるケーブルが多く使用されている。このようなケーブルとして、例えばAS−iケーブルがある。これは、二本の導電体を絶縁体により被覆し、該絶縁体により断面外形を左右非対称としていることで導電体の極性が混同されないようになっている。このケーブルの寸法は長径が約10mm、短径が約4mmで、導電体の中心間の間隔は約4mmであって、導電体は、制御信号等の伝達および電源の供給の役割を兼ねるものである。
【0006】
ところで、例えば上記のピッキング支援システム等においては、1台の制御コンピュータに対し多くの周辺機器を接続してシステムを構成する。このため、接続のためのケーブルを途中で多数分岐する必要があり、該分岐箇所に分岐コネクタを使用して、幹線ケーブルから分岐ケーブルを分岐させることが行われている。
【0007】
このような分岐コネクタとしては、例えば下記特許文献1に記載のものがある。このコネクタにおいては、ハウジングの上面に幹線ケーブルを添設した状態で(上側の)カバーを上方から圧接すると共に、下面に分岐ケーブルを添設した状態で(下側の)カバーを下方から圧接する。これにより、ハウジングの上面及び下面に突出して設けられた接続部材の端子部に幹線ケーブルと分岐ケーブルとが電気的接続状態で圧着されるので、両方のケーブルを電気的に接続することができるというものである。また、この分岐コネクタにおいては、カバーとハウジングとの係合は、カバーに形成された凹部とハウジングに形成された凸部との係合によりなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07−078641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のようなケーブルを配線する作業においては、ケーブルを様々な方向に引き回して作業を行う。それゆえ、ケーブルの分岐箇所である分岐コネクタにも大きな力がかかることが度々ある。このとき、上記従来の分岐コネクタにおいては、前記の力が働いたときにカバーとハウジングとの係合が容易に解除され、分岐コネクタが分解してしまう恐れがある。
【0010】
また、このような分岐コネクタの分解が起こらないように、前記の係合には工具などの利用を必要とし、工具により大きな力を加えて係合させるようにしたものがある。これによれば、上述のように分岐コネクタが分解する可能性は低くなるが、分岐コネクタを取り付けるのに工具等を必要とするので、簡単に分岐作業を行うことができない。また、いったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに、もう一度分岐コネクタを分解しようとしても容易に分解できず、やはり工具が必要になってしまう。
【0011】
さらに、上記従来の分岐コネクタにおいては、カバーとハウジングとの係合における係合位置(カバーの凹部とハウジングの凸部)が固定されており、それ以上強く締結することができない。すなわち、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを接続部材を介して導通できても、それらケーブルをしっかりとカバーとハウジングとの間に挟持することができない。それゆえ、分岐コネクタを利用してケーブルを分岐したあと、配線の際などに幹線ケーブル又は分岐ケーブルを引っ張ったりすると、接続部材の端子部、あるいはケーブルを破損してしまう恐れがある。
【0012】
本発明は上記のような問題点を克服するためになされたものであり、簡単な構成で、確実に幹線ケーブルから分岐ケーブルへの分岐ができる分岐コネクタを提供することを目的とする。
【0013】
また、分岐コネクタを使ってケーブルを分岐するとき、および分岐コネクタを再度分解するときに工具などを必要とせず容易に作業できる分岐コネクタを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、分岐コネクタを使ってケーブルを分岐した後、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部、あるいは各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する恐れがない分岐コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る分岐コネクタは上記の課題を克服するためになされたものであって、導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、カバー部材と、前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る分岐コネクタによれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部材内に配したうえで、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけで、コンタクト部材を介して幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。また、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけなので工具などを必要とせず、それゆえいったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに簡単に分岐コネクタを分解することができる。しかも、前記螺合の際に固く締め付けておくことによって、ケーブルを配線する作業においてケーブルを様々な方向に引き回し、分岐コネクタに大きな力がかかった場合でも、分岐コネクタは容易に分解しない。
尚、前記「介在される」コンタクト部材は、前記ベース部材又はカバー部材と一体に形成されるようにしてもよいし、別体としてもよい。
【0017】
また、本発明に係る分岐コネクタにおいては、ベース部材は上方に開口する開口部を備えると共に該開口部の外周にはネジ山が形成され、カバー部材は、キャップ部とコンタクトアッシーとからなり、前記キャップ部は、下方に開口する開口部を有しており、該開口部内側面には前記ベース部材のネジ山に対して螺合可能なネジ溝が形成され、前記コンタクトアッシーは、前記キャップ部の開口部内に、キャップ部に対して前記螺合の回転軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられ、コンタクト部材は、前記コンタクトアッシーと一体に形成されるとともに、複数の接触部が前記コンタクトアッシーから突出しており、前記キャップ部をベース部に螺合する際にコンタクトアッシーがベース部に対して前記回転軸を中心に回動しないように、かつコンタクト部材の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に導通するように、コンタクトアッシー及びベース部には回動規制手段が設けられているようにするのが好ましい。
【0018】
このようにすれば、カバー部材のキャップ部をベース部材に螺合する際、コンタクトアッシーはキャップ部と共に回動せず、ベース部に対して位置決めが可能となるので、コンタクトアッシーに備えるコンタクト部材の接触部を確実に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に接触させ導通させることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る分岐コネクタにおいては、キャップ部をベース部に羅合すると、コンタクトアッシーの下端面がベース部材内に配された幹線ケーブルと分岐ケーブルを押圧するようにするのが好ましい。
【0020】
このようにすれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルがコンタクトアッシーの下端面に押圧され、該下端面とベース部との間に挟持されるので、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部や、各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る分岐コネクタによれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部材内に配したうえで、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけで、コンタクト部材を介して幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。また、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけなので工具などを必要とせず、それゆえいったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに簡単に分岐ケーブルを分解することができる。しかも、前記螺合の際に固く締め付けておくことにより、ケーブルを配線する作業においてケーブルを様々な方向に引き回し、分岐コネクタに大きな力がかかった場合でも、分岐コネクタは容易に分解しない。
【0022】
また、上述のようにカバー部材をキャップ部と該キャップ部に対して回動可能でコンタクト部材を備えたコンタクトアッシーとにより構成し、またコンタクトアッシー及びベース部に回動規制手段を備えるようにすれば、カバー部材のキャップ部をベース部材に螺合する際、コンタクトアッシーはキャップ部と共に回動せず、ベース部に対して位置決めが可能となるので、コンタクトアッシーに備えるコンタクト部材の接触部を確実に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に接触させ、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。
【0023】
さらに、幹線ケーブルと分岐ケーブルがコンタクトアッシーの下端面に押圧されるようにすれば、該下端面とベース部との間に挟持されるので、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部や、各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る分岐コネクタの使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1の分岐コネクタのカバー部材を取り外した状態を示す図である。
【図3】図2の分岐コネクタにおいて、カバー部材をキャップ部とコンタクトアッシーとに分解し、さらに幹線ケーブル及び分岐ケーブルをベース部材から取り除いた状態を示す図である。
【図4】ベース部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】ベース部材の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は左側面図、(ウ)は平面図、(エ)は底面図である。
【図6】キャップ部の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は平面図、(ウ)は底面図である。
【図7】コンタクトアッシーの一実施形態を示す(ア)は斜視図、(イ)は正面図、(ウ)は左側面図、(エ)は平面図、(オ)は底面図である。
【図8】図7のコンタクトアッシーにおいて、コンタクト部材の配置を示す説明図であり、(ア)は、コンタクトアッシーの底面図、(イ)は、コンタクトアッシーの正面図である。
【図9】コンタクト部材の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は平面図である。
【図10】図7のコンタクトアッシーにおいて、導電体との配置関係を示す説明図である。
【図11】(ア)はキャップ部にコンタクトアッシーを取り付ける様子を示す正面図、(イ)はキャップ部にコンタクトアッシーを取り付けた状態を示す正面図、(ウ)は(イ)の断面を示す図である。
【図12】(ア)は、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを配設したベース部材にカバー部材を取り付ける様子を示す正面図、(イ)はベース部材にカバー部材を取り付けた状態を示す正面図、(ウ)は(イ)の断面を示す図である。
【図13】図1の分岐コネクタにおいて、幹線ケーブル、及び2つの分岐ケーブルを接続した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本願発明に係る分岐コネクタの一実施形態を示すものであり、分岐コネクタ1により、幹線ケーブルC1の途中から分岐ケーブルC2を分岐させるものである。より具体的には、幹線ケーブルC1の第1導電体C101と分岐ケーブルC2の第1導電体C201とを導通させ、幹線ケーブルC1の第2導電体C102と分岐ケーブルC2の第2導電体C202とを導通させることによって、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2を分岐させるものである。この実施形態においては、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2は、AS−iケーブルであり、断面左右非対称のフラット形状を有している。尚、幹線ケーブルの第1導電体C101と分岐ケーブルの第1導電体C201とが同じ極性を有しており、幹線ケーブルの第2導電体C102と分岐ケーブルの第2導電体C202とが同じ極性を有している。
【0027】
図2は、この実施形態における分岐コネクタ1をベース部材2とカバー部材3に分解した状態を示す図であり、図3は、カバー部材3を更にキャップ部31とコンタクトアッシー32とに分解し、ベース部材2からケーブルを取り除いた状態を示す図である。この実施形態においては、このベース部材2と、キャップ部31と、コンタクトアッシー32とにより分岐コネクタ1を構成する。
【0028】
図4及び図5に示すとおり、ベース部材2は、略円盤状の基底部21の上面に基底部21よりも小さい半径を有し上方に開口する円筒形状の開口部22を備えてなるものである。また、平面視でベース部材2の中心を通って幹線ケーブルC1を配設できるようベース部材2の基底部21には幹線ケーブル配設溝211が形成され、該幹線ケーブル配設溝211上の前記開口部22は切り欠かれている(図中の23)。さらに、基底部21には幹線ケーブル配設溝211に直交して分岐ケーブルC2が配設可能な分岐ケーブル配設溝212が形成され、該分岐ケーブル配設溝212に分岐ケーブルC2を配設できるよう、基底部21の側壁に分岐ケーブル配設溝212に通じる挿入口213が形成されている。
【0029】
尚、ここでは幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2を分岐する場合について説明しているが、この分岐ケーブル配設溝212および挿入口213は、幹線ケーブル配設溝211の左右両側に形成されており、図13に示すように、幹線ケーブルC1から2つの分岐ケーブルC2、C3に分岐させることもできる。
【0030】
幹線ケーブル配設溝211、分岐ケーブル配設溝212、及び挿入口213は、図4及び図5に示すようにAS−iケーブルの断面左右非対称形状と同じ断面形状を有していて、これにより作業者が幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2の極性を間違えずにケーブルの分岐作業をすることができ、また各ケーブルを隙間なく配設できるようになっている。
また、開口部22の外周には、ネジ山221が形成され、開口部22の内側側壁には、上下方向に延びる突条24が形成されている。
【0031】
さらに、ベース部材2の幹線ケーブル配設溝211の上端近傍には、配設される幹線ケーブルC1に係合し保持するためのケーブル係合片25が複数形成されている。また、幹線ケーブル配設溝211及び挿入口213内の端部近傍の底部には、配設された幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2が抜け落ちるのを防止するためのストッパー片26が複数形成されている。
【0032】
キャップ部31は、図3及び図6に示すように下方に開口した開口部311を備えた円筒形状を有しており、開口部311の内周面には、ベース部材2のネジ山221に螺合可能なネジ溝312が形成されている。また、キャップ部31の平面視中心部には、コンタクトアッシー32の嵌合部323を嵌合可能な嵌合孔313が形成されている。
【0033】
尚、この実施形態においては、ベース部材2及びキャップ部31はいずれもポリカーボネートにより作製されているが、絶縁材料であって上述の形状に成形可能なものであれば、適宜材料を選択して使用できる。
【0034】
コンタクトアッシー32は、同じくポリカーボネートにより作成され、図7及び図8に示されるように、図9に示すコンタクト部材4と一体に成形されている。図7に示すように、コンタクトアッシー32は、略円筒形状のアッシー本体321の中央上面に大きく凹部322を形成し、当該凹部322の中心には、上方へ突出する嵌合部323が形成されている。
【0035】
コンタクトアッシー32は、この嵌合部323をキャップ部31の嵌合孔313に嵌合させることによって、キャップ部31に対して嵌合孔313の中心軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられる。
【0036】
また、アッシー本体321の側壁には上下方向に延びる複数のリブ324が形成されている。カバー部材3をベース部材2に螺合するときに、リブ324の側壁がベース部材2の開口部22の切り欠かれた箇所(図中の23)の切欠き側端部231に当接して、コンタクトアッシー32が、嵌合孔313(および嵌合部323)の回転軸線を中心にベース部材に対して回動しないようになされている。
【0037】
さらに、アッシー本体321の側壁には上下方向に延びる凹溝325が形成されている。これにより、カバー部材3をベース部材2に螺合するときに、ベース部材2に形成された突条24が凹溝325に嵌挿され、凹溝325と突条24とが当接して、コンタクトアッシー32が嵌合部323の回転軸線を中心にベース部材に対して回動しないようになされている。
【0038】
また、上述のとおり、コンタクトアッシー32は、コンタクト部材4と一体に形成されたものである。コンタクト部材4は、ステンレスで作製され、図9に示すとおり、板状の胴部41と胴部41から下方に突出する複数の接触部42とを備えている。尚、この実施形態においては、ステンレスを用いているが、導電性の高い材料であって、上記のように成形可能なものであれば、適宜材料を選択することが可能である。
【0039】
この実施形態においては、コンタクト部材4は3つの接触部を備えており、中央の接触部42を幹線ケーブルC1の導電体に接触させると共に、左右いずれかの接触部42を分岐ケーブルC2の導電体に接触させることによって、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とをコンタクト部材4を介して導通させるものである。
【0040】
尚、既述のとおり、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2および分岐ケーブルC3の2本の分岐ケーブルに分岐することも可能である。左右の接触部42を、それぞれ分岐ケーブルC2、C3の導電体に接触させるようにすれば、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2、C3の2つの分岐ケーブルに分岐を行うことができる。
接触部42は、先端が鋭角に尖った形状となっており、容易に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの絶縁体の層を貫通して導電体に刺さる、あるいは接触する。
【0041】
このコンタクト部材4は、図8に破線で示す位置に配置されている。すなわち、2つのコンタクト部材4(第1のコンタクト部材4A及び第2のコンタクト部材4B)がアッシー本体321と一体に形成され、第1コンタクト部材4A及び第2コンタクト部材4Bのそれぞれの接触部42A、42Bの先端部がアッシー本体321から下方に突出するようになされている。
【0042】
このような構成を備えることによって、ベース部材2に幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とを配設して当該ベース部材にカバー部材を螺合すると、図10に示すように、コンタクト部材4A、及び4Bは、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とを導通させる。すなわち、図10はベース部材2の底面図であるが、一部点線で示す第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が、一点鎖線で示す幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触して、幹線ケーブルC1の第1導電体C101と分岐ケーブルC2の第1導電体C201とがコンタクト部材4Aを介して導通する。また、一部点線で示す第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が、一点鎖線で示す幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1の第2導電体C102と分岐ケーブルC2の第2導電体C202とがコンタクト部材4Bを介して導通する。これによって、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2への分岐が可能となる。
【0043】
上記のような構成を備えたキャップ部31とコンタクトアッシー32は、図11の(ア)に示すように、コンタクトアッシー32の嵌合部323をキャップ部31の嵌合孔313に嵌合させて、図11の(イ)及び(ウ)に示すカバー部材3を構成する。尚、既述のように、コンタクトアッシー32は、キャップ部31に対して嵌合孔313の中心軸と同一軸を中心に回動自在である。
【0044】
このように構成したカバー部材3は、図12の(ア)に示すように、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2を配設したベース部材2に取り付けられる。すなわち、カバー部材3のキャップ部31に形成したネジ溝312をベース部材2に形成したネジ山221に螺合させることにより、カバー部材3をベース部材2に取り付ける。
【0045】
このとき、ベース部材2に形成された突条24がコンタクトアッシー32に形成された凹溝325に嵌挿するように位置決めをして、コンタクトアッシーを下方に押圧すると、図10に示して上述したように、第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触すると共に、第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とがコンタクト部材を介して導通するようになっている。
【0046】
上記のように位置決めをして、カバー部材3のキャップ部31に形成したネジ溝312をベース部材2に形成したネジ山221に螺合させることにより、カバー部材3をベース部材2に取り付けると、コンタクトアッシー32はキャップ部31に対して回動可能に取り付けられており、かつベース部材2に形成された上下に延びる突条24がコンタクトアッシー32に形成した上下に延びる凹溝325に嵌挿していてコンタクトアッシー32がベース部材2に対して回動しないようになっているため、コンタクトアッシー32は、鉛直下方に押し下げられる。それゆえ、上記当初の位置決め通り、コンタクトアッシー32は押し下げられることとなり、第1コンタクト部材4A、および第2コンタクト部材4Bの接触部42は、それぞれ幹線ケーブルC1、分岐ケーブルC2の絶縁性の被覆層に刺さって、第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触すると共に、第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とがコンタクト部材を介して導通する。
【0047】
また、このときコンタクトアッシー32の下端面が、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2の上面を押圧する。これによって、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2がコンタクトアッシー32の下端面とベース部2との間に挟持されるので、幹線ケーブルC1あるいは分岐ケーブルC2を引っ張ったりした場合でも、コンタクト部材4の接触部42を破損したり、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2におけるコンタクト部材4の接触部42が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【符号の説明】
【0048】
1 分岐コネクタ
2 ベース部材
21 基底部
22 開口部
3 カバー部材
31 キャップ部
32 コンタクトアッシー
4 コンタクト部材
C1 幹線ケーブル
C2 分岐ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐コネクタに関するものであり、より詳しくは、幹線ケーブルから分岐ケーブルを分岐して接続するための分岐コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術が発達し、様々な分野で多様なネットワークシステムが活用されている。例えば、オフィス等におけるネットワークシステムでは、分散して配置された複数のコンピュータがネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0003】
また、工場内の生産管理システムにおいては、工作機械、ロボットなどの各種機器を集中管理するためのFA(Factory Automation)ネットワークが構築されている。FAネットワークにおいては、ネットワーク全体を統括・制御するマスタユニットと工作機械、ロボット等、複数の周辺機器とがネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0004】
また、種々の商品等を保管する倉庫等においては、当該商品をピッキングするために、商品又は商品が収納されるスペースの間口毎にピッキング表示器が取り付けられ、制御用コンピュータからの指示によりそのピッキング表示器を点灯させて、主として発光表示によりピッキング位置やピッキングする商品の数量を表示するピッキング支援システムが広く用いられてきている。このようなピッキング支援システムにおいては、制御用コンピュータとピッキング表示器等の周辺機器とが、ネットワークケーブルを介して相互に接続されている。
【0005】
このような各ネットワークにおいて使用されるネットワークケーブル、すなわち電源の供給を行うための電源ケーブルや制御信号等の送受信を行うための通信ケーブルの種類は様々であるが、配線本数が多くなると誤配線等のトラブルが多くなる。そこで、配線本数を出来るだけ少なくするため、通信ケーブルと電源ケーブルとを兼ねるケーブルが多く使用されている。このようなケーブルとして、例えばAS−iケーブルがある。これは、二本の導電体を絶縁体により被覆し、該絶縁体により断面外形を左右非対称としていることで導電体の極性が混同されないようになっている。このケーブルの寸法は長径が約10mm、短径が約4mmで、導電体の中心間の間隔は約4mmであって、導電体は、制御信号等の伝達および電源の供給の役割を兼ねるものである。
【0006】
ところで、例えば上記のピッキング支援システム等においては、1台の制御コンピュータに対し多くの周辺機器を接続してシステムを構成する。このため、接続のためのケーブルを途中で多数分岐する必要があり、該分岐箇所に分岐コネクタを使用して、幹線ケーブルから分岐ケーブルを分岐させることが行われている。
【0007】
このような分岐コネクタとしては、例えば下記特許文献1に記載のものがある。このコネクタにおいては、ハウジングの上面に幹線ケーブルを添設した状態で(上側の)カバーを上方から圧接すると共に、下面に分岐ケーブルを添設した状態で(下側の)カバーを下方から圧接する。これにより、ハウジングの上面及び下面に突出して設けられた接続部材の端子部に幹線ケーブルと分岐ケーブルとが電気的接続状態で圧着されるので、両方のケーブルを電気的に接続することができるというものである。また、この分岐コネクタにおいては、カバーとハウジングとの係合は、カバーに形成された凹部とハウジングに形成された凸部との係合によりなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平07−078641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のようなケーブルを配線する作業においては、ケーブルを様々な方向に引き回して作業を行う。それゆえ、ケーブルの分岐箇所である分岐コネクタにも大きな力がかかることが度々ある。このとき、上記従来の分岐コネクタにおいては、前記の力が働いたときにカバーとハウジングとの係合が容易に解除され、分岐コネクタが分解してしまう恐れがある。
【0010】
また、このような分岐コネクタの分解が起こらないように、前記の係合には工具などの利用を必要とし、工具により大きな力を加えて係合させるようにしたものがある。これによれば、上述のように分岐コネクタが分解する可能性は低くなるが、分岐コネクタを取り付けるのに工具等を必要とするので、簡単に分岐作業を行うことができない。また、いったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに、もう一度分岐コネクタを分解しようとしても容易に分解できず、やはり工具が必要になってしまう。
【0011】
さらに、上記従来の分岐コネクタにおいては、カバーとハウジングとの係合における係合位置(カバーの凹部とハウジングの凸部)が固定されており、それ以上強く締結することができない。すなわち、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを接続部材を介して導通できても、それらケーブルをしっかりとカバーとハウジングとの間に挟持することができない。それゆえ、分岐コネクタを利用してケーブルを分岐したあと、配線の際などに幹線ケーブル又は分岐ケーブルを引っ張ったりすると、接続部材の端子部、あるいはケーブルを破損してしまう恐れがある。
【0012】
本発明は上記のような問題点を克服するためになされたものであり、簡単な構成で、確実に幹線ケーブルから分岐ケーブルへの分岐ができる分岐コネクタを提供することを目的とする。
【0013】
また、分岐コネクタを使ってケーブルを分岐するとき、および分岐コネクタを再度分解するときに工具などを必要とせず容易に作業できる分岐コネクタを提供することを目的とする。
【0014】
さらに、分岐コネクタを使ってケーブルを分岐した後、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部、あるいは各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する恐れがない分岐コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る分岐コネクタは上記の課題を克服するためになされたものであって、導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、カバー部材と、前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る分岐コネクタによれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部材内に配したうえで、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけで、コンタクト部材を介して幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。また、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけなので工具などを必要とせず、それゆえいったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに簡単に分岐コネクタを分解することができる。しかも、前記螺合の際に固く締め付けておくことによって、ケーブルを配線する作業においてケーブルを様々な方向に引き回し、分岐コネクタに大きな力がかかった場合でも、分岐コネクタは容易に分解しない。
尚、前記「介在される」コンタクト部材は、前記ベース部材又はカバー部材と一体に形成されるようにしてもよいし、別体としてもよい。
【0017】
また、本発明に係る分岐コネクタにおいては、ベース部材は上方に開口する開口部を備えると共に該開口部の外周にはネジ山が形成され、カバー部材は、キャップ部とコンタクトアッシーとからなり、前記キャップ部は、下方に開口する開口部を有しており、該開口部内側面には前記ベース部材のネジ山に対して螺合可能なネジ溝が形成され、前記コンタクトアッシーは、前記キャップ部の開口部内に、キャップ部に対して前記螺合の回転軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられ、コンタクト部材は、前記コンタクトアッシーと一体に形成されるとともに、複数の接触部が前記コンタクトアッシーから突出しており、前記キャップ部をベース部に螺合する際にコンタクトアッシーがベース部に対して前記回転軸を中心に回動しないように、かつコンタクト部材の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に導通するように、コンタクトアッシー及びベース部には回動規制手段が設けられているようにするのが好ましい。
【0018】
このようにすれば、カバー部材のキャップ部をベース部材に螺合する際、コンタクトアッシーはキャップ部と共に回動せず、ベース部に対して位置決めが可能となるので、コンタクトアッシーに備えるコンタクト部材の接触部を確実に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に接触させ導通させることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る分岐コネクタにおいては、キャップ部をベース部に羅合すると、コンタクトアッシーの下端面がベース部材内に配された幹線ケーブルと分岐ケーブルを押圧するようにするのが好ましい。
【0020】
このようにすれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルがコンタクトアッシーの下端面に押圧され、該下端面とベース部との間に挟持されるので、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部や、各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る分岐コネクタによれば、幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部材内に配したうえで、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけで、コンタクト部材を介して幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。また、カバー部材をベース部材に対して螺合するだけなので工具などを必要とせず、それゆえいったん配線した後で配線を変更する必要が生じたときに簡単に分岐ケーブルを分解することができる。しかも、前記螺合の際に固く締め付けておくことにより、ケーブルを配線する作業においてケーブルを様々な方向に引き回し、分岐コネクタに大きな力がかかった場合でも、分岐コネクタは容易に分解しない。
【0022】
また、上述のようにカバー部材をキャップ部と該キャップ部に対して回動可能でコンタクト部材を備えたコンタクトアッシーとにより構成し、またコンタクトアッシー及びベース部に回動規制手段を備えるようにすれば、カバー部材のキャップ部をベース部材に螺合する際、コンタクトアッシーはキャップ部と共に回動せず、ベース部に対して位置決めが可能となるので、コンタクトアッシーに備えるコンタクト部材の接触部を確実に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に接触させ、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させることができる。
【0023】
さらに、幹線ケーブルと分岐ケーブルがコンタクトアッシーの下端面に押圧されるようにすれば、該下端面とベース部との間に挟持されるので、ケーブルを引っ張ったりした場合でも、分岐コネクタの接続部材の端子部や、各ケーブルの該端子部が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る分岐コネクタの使用状態を示す斜視図である。
【図2】図1の分岐コネクタのカバー部材を取り外した状態を示す図である。
【図3】図2の分岐コネクタにおいて、カバー部材をキャップ部とコンタクトアッシーとに分解し、さらに幹線ケーブル及び分岐ケーブルをベース部材から取り除いた状態を示す図である。
【図4】ベース部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】ベース部材の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は左側面図、(ウ)は平面図、(エ)は底面図である。
【図6】キャップ部の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は平面図、(ウ)は底面図である。
【図7】コンタクトアッシーの一実施形態を示す(ア)は斜視図、(イ)は正面図、(ウ)は左側面図、(エ)は平面図、(オ)は底面図である。
【図8】図7のコンタクトアッシーにおいて、コンタクト部材の配置を示す説明図であり、(ア)は、コンタクトアッシーの底面図、(イ)は、コンタクトアッシーの正面図である。
【図9】コンタクト部材の一実施形態を示す(ア)は正面図、(イ)は平面図である。
【図10】図7のコンタクトアッシーにおいて、導電体との配置関係を示す説明図である。
【図11】(ア)はキャップ部にコンタクトアッシーを取り付ける様子を示す正面図、(イ)はキャップ部にコンタクトアッシーを取り付けた状態を示す正面図、(ウ)は(イ)の断面を示す図である。
【図12】(ア)は、幹線ケーブルと分岐ケーブルとを配設したベース部材にカバー部材を取り付ける様子を示す正面図、(イ)はベース部材にカバー部材を取り付けた状態を示す正面図、(ウ)は(イ)の断面を示す図である。
【図13】図1の分岐コネクタにおいて、幹線ケーブル、及び2つの分岐ケーブルを接続した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本願発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本願発明に係る分岐コネクタの一実施形態を示すものであり、分岐コネクタ1により、幹線ケーブルC1の途中から分岐ケーブルC2を分岐させるものである。より具体的には、幹線ケーブルC1の第1導電体C101と分岐ケーブルC2の第1導電体C201とを導通させ、幹線ケーブルC1の第2導電体C102と分岐ケーブルC2の第2導電体C202とを導通させることによって、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2を分岐させるものである。この実施形態においては、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2は、AS−iケーブルであり、断面左右非対称のフラット形状を有している。尚、幹線ケーブルの第1導電体C101と分岐ケーブルの第1導電体C201とが同じ極性を有しており、幹線ケーブルの第2導電体C102と分岐ケーブルの第2導電体C202とが同じ極性を有している。
【0027】
図2は、この実施形態における分岐コネクタ1をベース部材2とカバー部材3に分解した状態を示す図であり、図3は、カバー部材3を更にキャップ部31とコンタクトアッシー32とに分解し、ベース部材2からケーブルを取り除いた状態を示す図である。この実施形態においては、このベース部材2と、キャップ部31と、コンタクトアッシー32とにより分岐コネクタ1を構成する。
【0028】
図4及び図5に示すとおり、ベース部材2は、略円盤状の基底部21の上面に基底部21よりも小さい半径を有し上方に開口する円筒形状の開口部22を備えてなるものである。また、平面視でベース部材2の中心を通って幹線ケーブルC1を配設できるようベース部材2の基底部21には幹線ケーブル配設溝211が形成され、該幹線ケーブル配設溝211上の前記開口部22は切り欠かれている(図中の23)。さらに、基底部21には幹線ケーブル配設溝211に直交して分岐ケーブルC2が配設可能な分岐ケーブル配設溝212が形成され、該分岐ケーブル配設溝212に分岐ケーブルC2を配設できるよう、基底部21の側壁に分岐ケーブル配設溝212に通じる挿入口213が形成されている。
【0029】
尚、ここでは幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2を分岐する場合について説明しているが、この分岐ケーブル配設溝212および挿入口213は、幹線ケーブル配設溝211の左右両側に形成されており、図13に示すように、幹線ケーブルC1から2つの分岐ケーブルC2、C3に分岐させることもできる。
【0030】
幹線ケーブル配設溝211、分岐ケーブル配設溝212、及び挿入口213は、図4及び図5に示すようにAS−iケーブルの断面左右非対称形状と同じ断面形状を有していて、これにより作業者が幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2の極性を間違えずにケーブルの分岐作業をすることができ、また各ケーブルを隙間なく配設できるようになっている。
また、開口部22の外周には、ネジ山221が形成され、開口部22の内側側壁には、上下方向に延びる突条24が形成されている。
【0031】
さらに、ベース部材2の幹線ケーブル配設溝211の上端近傍には、配設される幹線ケーブルC1に係合し保持するためのケーブル係合片25が複数形成されている。また、幹線ケーブル配設溝211及び挿入口213内の端部近傍の底部には、配設された幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2が抜け落ちるのを防止するためのストッパー片26が複数形成されている。
【0032】
キャップ部31は、図3及び図6に示すように下方に開口した開口部311を備えた円筒形状を有しており、開口部311の内周面には、ベース部材2のネジ山221に螺合可能なネジ溝312が形成されている。また、キャップ部31の平面視中心部には、コンタクトアッシー32の嵌合部323を嵌合可能な嵌合孔313が形成されている。
【0033】
尚、この実施形態においては、ベース部材2及びキャップ部31はいずれもポリカーボネートにより作製されているが、絶縁材料であって上述の形状に成形可能なものであれば、適宜材料を選択して使用できる。
【0034】
コンタクトアッシー32は、同じくポリカーボネートにより作成され、図7及び図8に示されるように、図9に示すコンタクト部材4と一体に成形されている。図7に示すように、コンタクトアッシー32は、略円筒形状のアッシー本体321の中央上面に大きく凹部322を形成し、当該凹部322の中心には、上方へ突出する嵌合部323が形成されている。
【0035】
コンタクトアッシー32は、この嵌合部323をキャップ部31の嵌合孔313に嵌合させることによって、キャップ部31に対して嵌合孔313の中心軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられる。
【0036】
また、アッシー本体321の側壁には上下方向に延びる複数のリブ324が形成されている。カバー部材3をベース部材2に螺合するときに、リブ324の側壁がベース部材2の開口部22の切り欠かれた箇所(図中の23)の切欠き側端部231に当接して、コンタクトアッシー32が、嵌合孔313(および嵌合部323)の回転軸線を中心にベース部材に対して回動しないようになされている。
【0037】
さらに、アッシー本体321の側壁には上下方向に延びる凹溝325が形成されている。これにより、カバー部材3をベース部材2に螺合するときに、ベース部材2に形成された突条24が凹溝325に嵌挿され、凹溝325と突条24とが当接して、コンタクトアッシー32が嵌合部323の回転軸線を中心にベース部材に対して回動しないようになされている。
【0038】
また、上述のとおり、コンタクトアッシー32は、コンタクト部材4と一体に形成されたものである。コンタクト部材4は、ステンレスで作製され、図9に示すとおり、板状の胴部41と胴部41から下方に突出する複数の接触部42とを備えている。尚、この実施形態においては、ステンレスを用いているが、導電性の高い材料であって、上記のように成形可能なものであれば、適宜材料を選択することが可能である。
【0039】
この実施形態においては、コンタクト部材4は3つの接触部を備えており、中央の接触部42を幹線ケーブルC1の導電体に接触させると共に、左右いずれかの接触部42を分岐ケーブルC2の導電体に接触させることによって、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とをコンタクト部材4を介して導通させるものである。
【0040】
尚、既述のとおり、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2および分岐ケーブルC3の2本の分岐ケーブルに分岐することも可能である。左右の接触部42を、それぞれ分岐ケーブルC2、C3の導電体に接触させるようにすれば、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2、C3の2つの分岐ケーブルに分岐を行うことができる。
接触部42は、先端が鋭角に尖った形状となっており、容易に幹線ケーブル及び分岐ケーブルの絶縁体の層を貫通して導電体に刺さる、あるいは接触する。
【0041】
このコンタクト部材4は、図8に破線で示す位置に配置されている。すなわち、2つのコンタクト部材4(第1のコンタクト部材4A及び第2のコンタクト部材4B)がアッシー本体321と一体に形成され、第1コンタクト部材4A及び第2コンタクト部材4Bのそれぞれの接触部42A、42Bの先端部がアッシー本体321から下方に突出するようになされている。
【0042】
このような構成を備えることによって、ベース部材2に幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とを配設して当該ベース部材にカバー部材を螺合すると、図10に示すように、コンタクト部材4A、及び4Bは、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とを導通させる。すなわち、図10はベース部材2の底面図であるが、一部点線で示す第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が、一点鎖線で示す幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触して、幹線ケーブルC1の第1導電体C101と分岐ケーブルC2の第1導電体C201とがコンタクト部材4Aを介して導通する。また、一部点線で示す第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が、一点鎖線で示す幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1の第2導電体C102と分岐ケーブルC2の第2導電体C202とがコンタクト部材4Bを介して導通する。これによって、幹線ケーブルC1から分岐ケーブルC2への分岐が可能となる。
【0043】
上記のような構成を備えたキャップ部31とコンタクトアッシー32は、図11の(ア)に示すように、コンタクトアッシー32の嵌合部323をキャップ部31の嵌合孔313に嵌合させて、図11の(イ)及び(ウ)に示すカバー部材3を構成する。尚、既述のように、コンタクトアッシー32は、キャップ部31に対して嵌合孔313の中心軸と同一軸を中心に回動自在である。
【0044】
このように構成したカバー部材3は、図12の(ア)に示すように、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2を配設したベース部材2に取り付けられる。すなわち、カバー部材3のキャップ部31に形成したネジ溝312をベース部材2に形成したネジ山221に螺合させることにより、カバー部材3をベース部材2に取り付ける。
【0045】
このとき、ベース部材2に形成された突条24がコンタクトアッシー32に形成された凹溝325に嵌挿するように位置決めをして、コンタクトアッシーを下方に押圧すると、図10に示して上述したように、第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触すると共に、第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とがコンタクト部材を介して導通するようになっている。
【0046】
上記のように位置決めをして、カバー部材3のキャップ部31に形成したネジ溝312をベース部材2に形成したネジ山221に螺合させることにより、カバー部材3をベース部材2に取り付けると、コンタクトアッシー32はキャップ部31に対して回動可能に取り付けられており、かつベース部材2に形成された上下に延びる突条24がコンタクトアッシー32に形成した上下に延びる凹溝325に嵌挿していてコンタクトアッシー32がベース部材2に対して回動しないようになっているため、コンタクトアッシー32は、鉛直下方に押し下げられる。それゆえ、上記当初の位置決め通り、コンタクトアッシー32は押し下げられることとなり、第1コンタクト部材4A、および第2コンタクト部材4Bの接触部42は、それぞれ幹線ケーブルC1、分岐ケーブルC2の絶縁性の被覆層に刺さって、第1コンタクト部材4Aの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第1導電体C101に接触し、第1コンタクト部材4Aの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第1導電体C201に接触すると共に、第2コンタクト部材4Bの中央の接触部42が幹線ケーブルC1の第2導電体C102に接触し、第2コンタクト部材4Bの左側の接触部42が分岐ケーブルC2の第2導電体C202に接触して、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2とがコンタクト部材を介して導通する。
【0047】
また、このときコンタクトアッシー32の下端面が、幹線ケーブルC1と分岐ケーブルC2の上面を押圧する。これによって、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2がコンタクトアッシー32の下端面とベース部2との間に挟持されるので、幹線ケーブルC1あるいは分岐ケーブルC2を引っ張ったりした場合でも、コンタクト部材4の接触部42を破損したり、幹線ケーブルC1及び分岐ケーブルC2におけるコンタクト部材4の接触部42が入り込んでいる箇所を破損する心配がない。
【符号の説明】
【0048】
1 分岐コネクタ
2 ベース部材
21 基底部
22 開口部
3 カバー部材
31 キャップ部
32 コンタクトアッシー
4 コンタクト部材
C1 幹線ケーブル
C2 分岐ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、
カバー部材と、
前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、
前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、
コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、
幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにしたことを特徴とする分岐コネクタ。
【請求項2】
ベース部材は上方に開口する開口部を備えると共に該開口部の外周にはネジ山が形成され、
カバー部材は、キャップ部とコンタクトアッシーとからなり、
前記キャップ部は、下方に開口する開口部を有しており、該開口部内側面には前記ベース部材のネジ山に対して螺合可能なネジ溝が形成され、
前記コンタクトアッシーは、前記キャップ部の開口部内に、キャップ部に対して前記螺合の回転軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられ、
コンタクト部材は、前記コンタクトアッシーと一体に形成されるとともに、複数の接触部が前記コンタクトアッシーから突出しており、
前記キャップ部をベース部に螺合する際にコンタクトアッシーがベース部に対して前記回転軸を中心に回動しないように、かつコンタクト部材の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に導通するように、コンタクトアッシー及びベース部には回動規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分岐コネクタ。
【請求項3】
キャップ部をベース部に羅合すると、コンタクトアッシーの下端面がベース部材内に配された幹線ケーブルと分岐ケーブルを押圧するようにしたことを特徴とする請求項2記載の分岐コネクタ。
【請求項1】
導電体の周囲を絶縁体で被覆した幹線ケーブル及び分岐ケーブルを収容するベース部材と、
カバー部材と、
前記幹線ケーブルと分岐ケーブルとを導通させるためのコンタクト部材とを備え、
前記ベース部材とカバー部材とは螺合構造を有し、
コンタクト部材は、前記ベース部材とカバー部材との間に介在されると共に、複数の接触部を有しており、
幹線ケーブルと分岐ケーブルをベース部内に配し、前記カバー部材を前記ベース部材に対して螺合すると、前記コンタクト部材の複数の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブル内に入り込んで、該幹線ケーブルと分岐ケーブルとがコンタクト部材を介して導通するようにしたことを特徴とする分岐コネクタ。
【請求項2】
ベース部材は上方に開口する開口部を備えると共に該開口部の外周にはネジ山が形成され、
カバー部材は、キャップ部とコンタクトアッシーとからなり、
前記キャップ部は、下方に開口する開口部を有しており、該開口部内側面には前記ベース部材のネジ山に対して螺合可能なネジ溝が形成され、
前記コンタクトアッシーは、前記キャップ部の開口部内に、キャップ部に対して前記螺合の回転軸と同一軸を中心に回動自在に取り付けられ、
コンタクト部材は、前記コンタクトアッシーと一体に形成されるとともに、複数の接触部が前記コンタクトアッシーから突出しており、
前記キャップ部をベース部に螺合する際にコンタクトアッシーがベース部に対して前記回転軸を中心に回動しないように、かつコンタクト部材の接触部が幹線ケーブル及び分岐ケーブルの導電体に導通するように、コンタクトアッシー及びベース部には回動規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の分岐コネクタ。
【請求項3】
キャップ部をベース部に羅合すると、コンタクトアッシーの下端面がベース部材内に配された幹線ケーブルと分岐ケーブルを押圧するようにしたことを特徴とする請求項2記載の分岐コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−232141(P2010−232141A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81293(P2009−81293)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(308012495)積水樹脂キャップアイシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(308012495)積水樹脂キャップアイシステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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