説明

分岐血管接続用の可動外部継手

血管内移植片は、管状本体と可動外部継手とを含む。管状本体は、移植片材料とこれに結合されたステントを含み、そこを貫通する内腔を形成している。可動外部継手は、管状本体から外方へ延在している。可動外部継手は、移植片材料を含み、略截頭円錐形状をなす。可動外部継手は、管状本体に結合された基部と、管状本体から離間する頂部と、基部と頂部との間に配置された結合内腔とを含み、結合内腔は本体内腔と流体連通する。結合移植材料は、形状記憶材料を含む可動外部継手の長手方向軸に略平行に走る縦糸を有する織布とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、腔内医療装置および処置に関し、より詳細には、主移植片を分岐血管移植片に接続する可動外部継手を有する腔内補綴具あるいは移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内には動脈瘤および/または解離が発生することがあり、最も典型的には大動脈と抹消血管内に発生する。関係する大動脈の領域に応じ、動脈瘤は血管の二分岐箇所あるいはそこからより小さな「分岐」動脈が延びる大動脈の一部に延在することがある。様々な種類の大動脈動脈瘤は、動脈瘤の含まれる領域に基づき分類することができる。例えば、胸部大動脈動脈瘤には、上行胸部大動脈や大動脈弓やそこから発する鎖骨下動脈等の分岐動脈中に存在する動脈瘤が含まれ、また下行胸部大動脈や、そこから発する胸部肋骨動脈および/または腎上腹腔動脈、さらにそこから発する腎上、上部腸間膜、腹腔および/または肋間動脈を含みうる分岐動脈等の分岐動脈内に存在する動脈瘤が含まれる。最後に、腹腔動脈動脈瘤には、横隔膜下側の動脈、例えば腎傍動脈やそこから発する腎臓動脈等の分岐動脈に存在する動脈瘤が含まれる。
【0003】
胸部動脈は、多数の動脈分岐を有する。動脈弓はそこから延出する3本の主要な分岐を有しており、それら全てが通常弓の凸状上面から立ち上がり、上側胸部開口を介して下行する。腕頭動脈は、気管前部に始端を有する。腕頭動脈は2本の分岐、すなわち右鎖骨下動脈(右腕に血液を供給)と右総頸動脈(頭部と頸部の右側に血液を供給)とに分れる。左総頸動脈は、動脈弓からまさに腕頭動脈の始端左側に立ち上がる。左総頸動脈は、動脈弓からまさに腕頭動脈の始端左側に立ち上がる。大動脈弓から立ち上がる第3の分岐、すなわち左鎖骨下動脈は、左総頸動脈始端の背後から左側に発し、左腕に血液を供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大動脈弓の胸部動脈瘤を有する患者に対し、大動脈を置換する手術を施すことがあり、この場合、大動脈は人工心肺を用いる手術にて織物代用品を用いて置換される。このような場合、大動脈の動脈瘤部分を除去するか切開して、動脈瘤部分を横断して代替管状体を縫合する。この種の手術は極めて侵襲性が高く、長い回復期間を必要とし、それ故に虚弱体質あるいは他の禁忌的要因を抱える個人に対し施すことはできない。
【0005】
別の選択肢として、大動脈の動脈瘤領域を、管状排除デバイスの使用、例えば血管の動脈瘤部分に差し渡した血管内部に配置したステント移植片により迂回させ、動脈瘤部分が大動脈を流れる血液にそれ以上、さらされないよう封止することができる。通常は患者の鼠径部領域内の切開を介して動脈瘤内に導入する特別なカテーテルを用い、ステント移植片は胸部切開を用いることなく移植されることができる。大動脈あるいは流管状体内部で動脈瘤箇所を内部迂回するステント移植片の使用もまた、問題が無いわけではない。特に、胸部の一箇所にステント移植片を使用する場合、肝心の分岐動脈がステント移植片によって覆われたり閉塞されたりせず、しかもステント移植片を大動脈壁に対し封止し、動脈瘤箇所を通過して血液が流れる流体導管を提供するよう配慮しなければならない。動脈瘤が分岐動脈に直に隣接して位置する場合、大動脈から分岐動脈の始端の位置を横断して部分的あるいは全体的に延在する位置においてステント移植片を展開させ、動脈壁に対するステント移植片の封止を確実にする必要がある。
【0006】
側枝に対応するため、その側壁の穿孔または開口を有する主血管ステント移植片を利用することができる。主血管ステント移植片は、展開後に穿孔を分岐血管の小孔に整列配置するよう位置決めする。使用時、展開されたとき側方分岐への血流をブロックまたは規制しないように穿孔すなわち開口が配向されるように、1つ以上の側方開口を有するステント移植片の近位端部が予め位置決めされ所定箇所に確実に係留される。穿孔それ自体は密封シールを形成しておらず、すなわち隣接する側分岐動脈内へ血液を流動させることのできる1つ(または複数)の個別導管を含んでいる。その結果、動脈移植片の外面と、穿孔を囲繞する移植片の端部と隣接血管壁との間の囲繞動脈壁との間の空間内への血液の漏洩が発生しがちとなる。同様の血液漏洩は、移植後移動すなわちステント移植片の動きから発生し、1つ(または複数)の穿孔と1つ(または複数)の分岐動脈の不整列を引き起こすことがあり、そのことがまた1つ(または複数)の分岐動脈内への欠陥流に帰結することがある。
【0007】
一部事例では、主血管ステント移植片はしばしば分岐移植ステント片と呼ばれる他のステント移植片による補助を受ける。分岐移植片は穿孔を介して分岐血管内へ配置され、分岐血管内への血流のための導管を提供する。分岐ステント移植片は、不要な漏洩をその場で防止するため、主移植片に対し好ましくは密封接続する。分岐移植片と主移植片との間のこの接続はその場で効果的に作成するのは困難なようであり、漏洩の可能性のある箇所となる。
【0008】
一部事例では、分岐移植片延長部(ステント移植片)が主ステント移植片に組み込まれている。このような分岐移植片延長部は移送用に主ステント移植片に対し折り畳むかあるいは圧潰され、複雑な手順を必要とし、分岐延長部を分岐血管内へ導き、続いて膨張させるのに多くのスリーブとガイドワイヤとを必要とする。さらに、一部事例では、この分岐ステント移植片はその折り畳みあるいは圧潰した形状に復元しがちであり、したがって妨害がない流路を分岐血管に対し提供しない。
【0009】
したがって、当分野には、動脈等の主血管からそこから発する動脈弓の分岐血管等の分岐血管へ流れを導くステント移植片構造における改善の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
血管内補綴具の一実施形態は、管状本体と可動外部継手とを含む。管状本体は、移植片材料とそこに結合されたステントとを含み、そこを貫通する内腔を形成する。可動外部継手は、管状本体から外方へ延在する。可動外部継手は移植片材料を含み、全体として截頭円錐形状である。可動外部継手は、管状本体に結合した基部と、管状本体から離間する頂部と、基部と頂部の間に配置され結合内腔がその中に形成された結合本体とを含み、結合内腔は本体内腔と流体連通する。結合移植片材料は、形状記憶材料を含む縦糸を有する織布である。形状記憶材料は直線状に設定された形状であるため可動外部継手が弛緩状態(非拘束状態)に解放された際に管状本体から離間付勢される。
【0011】
血管内補綴具の移送および展開方法では、主補綴具は圧縮形状にて主血管内の標的位置へ移送されるため一般的に可動外部継手は分岐血管に整列配置される。スリーブが後退させられ、可動外部継手が露出する。可動外部継手を位置決めし、それを分岐血管により良く整列させるため、主本体の位置に対する微妙な調整が必要となることがある。管状本体が展開され、これが圧縮構成から膨張構成に拡張する。分岐血管補綴具は、圧縮形状にて分岐血管へ移送することができる。分岐血管補綴具は、この分岐血管補綴具を径方向に膨張形状へ膨張させ、分岐血管の一部の外面を可動外部継手の一部の内面に当接させるよう展開させることができる。
【0012】
本発明になる実施形態の前述ならびに他の特徴は、添付図面に例示した下記の説明から明らかとなろう。添付図面は、本願明細書に組み込まれて明細書の一部を形成し、さらに実施形態の原理の説明に役立ち、当業者が本願明細書に記述する実施形態を作成し使用できるようにする。図面は、実寸ではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による腔内ステント移植片の概略側面図である。
【図2】図1のステント移植片の一部の概略的な拡大図である。
【図3】図1のステント移植片の可動外部継手のステント部分の概略図である。
【図4】図1のステント移植片の可動外部継手の頂部に配置したステントリングの概略図である。
【図5】図1のステント移植片の可動外部継手の概略図である。
【図6】図1のステント移植片の可動外部継手の作成方法に用いるシート材料の正面図である。
【図7】本発明方法により作成した図1のステント移植片の可動外部継手の上面図である。
【図8】本発明の別の方法により作成した図1のステント移植片の可動外部継手の上面図である。
【図9】本発明の別の方法により作成した図1のステント移植片の一部の概略図である。
【図10】本発明の別の実施形態になる腔内ステント移植片の概略側面図である。
【図11】ステント移植片移送装置の概略図である。
【図12】図11のステント移植片移送装置の先端の概略斜視図である。
【図13】ステント移植片の一部とステント移植片移送装置の一部の概略図である。
【図14】外筒を後退させた際の図11のステント移植片移送装置の段階的工程を示す概略図である。
【図15】外筒を後退させた際の図11のステント移植片移送装置の段階的工程を示す概略図である。
【図16】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【図17】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【図18】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【図19】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【図20】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【図21】図1のステント移植片と分岐ステント移植片とを標的位置へ移送し展開する方法の段階的工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
具体的な実施形態を、図面を参照して説明するが、同様の参照符号は同一のあるいは機能的に類似する要素を示す。特段指示しない限り、移送システムでは、下記の説明で用いられる用語「遠位端」と「近位端」は処置臨床医に対する位置または方向に関して用いられる。「遠位端」あるいは「遠位端側」は臨床医から離れた位置あるいは離間する方向にあることであり、「近位端」あるいは「近位端側」は臨床医に近い位置あるいは接近する方向にあることである。ステント移植片装置にとって「近位端」は血流路を介して心臓により近い部分であり、一方で「遠位端」は血流路を介して心臓から遠いステント移植片の部分である。
【0015】
図1〜図3を参照すると、ステント移植片100は大動脈等の血管内に配置するように形態されている。ステント移植片100は、ステント104に結合された移植片材料102を含んでいる。移植片材料102は、縫合部110あるいは当業者が熟知する他の手段を用いてステント104に結合することができる。図1〜図3に示す実施形態では、ステント104は移植片材料102の外側の表面に結合されている。しかしながら、ステント104は代替的には移植片材料102の内面に結合され得る。移植片材料102は任意の適当な移植片材料、例えばポリエステル織布、DACRON(登録商標)材料、膨張ポリ四フッ化エチレン、ポリウレタン、シリコーンまたは他の適切な材料とすることができるがこれに限らない。ステント104は、任意の従来のステント材料あるいは構成であることができる。図示のように、ステント104は好ましくは、熱処理ステンレス鋼やニッケルチタン合金(ニチノール)等の形状記憶材料から作成され、ジグザグ形状に形成される。ステント移植片100は、近位端106と遠位端108とその間の本体107を含む。近位端ステント112と遠位端ステント114は図示の如く移植片材料102外部に延在し、当分野ではアンカーステントあるいはクラウンステントと一般に記述されることもある。本体107は、そこを貫通して配置された内腔116を有する。ステント移植片100はさらに、下記に詳しく説明する可動外部継手120を含む。可動外部継手120を除き、ステント移植片100はMedtronic, Inc.社のVALIANT(登録商標)胸部ステント移植片あるいは他の公知のステント移植片に類似させることができる。
【0016】
可動外部継手120は、移植片材料102の開口にステント移植片100の外側表面に配置される。可動外部継手120は、略截頭円錐形状をなす。可動外部継手120は、基部124と頂部126と移植片材料128を含む。円形の形状を有するワイヤ122は、例えばワイヤ122上に移植片材料128を折り畳み、この移植片材料128の折り畳み部分をそれ自体に縫い付けることで、頂部126に配置することができる。可動外部継手120を略截頭円錐形状として記述したが、基部124は好ましくは円形ではなく略楕円形である。基部124は、例示であって限定ではなく、ほぼ20〜30mmの長軸とほぼ15〜20mmの短軸とを持たせることができる。さらに、可動外部継手120の高さはほぼ10〜15mmとすることができる。さらに、可動外部継手の頂部126の直径は、大動脈と左総頸動脈の接合部や、大動脈と左鎖骨下大動脈の接合部、あるいは大動脈と腕頭大動脈の接合部に使用する場合、ほぼ8〜12mmとすることができる。
【0017】
可動外部継手120の移植片材料128は、2つの材料糸を互いに直角に交差するように織り合わせ織布を生み出す工程を介して形成される医用織布である。移植片材料128の縦糸は、長さ方向にのび、すなわち円錐面の傾斜糸が長手方向軸144へ突出した際に、それらは可動外部継手120の長手方向軸線144に略平行となる。緯糸は、縦糸間に横断関係で織り合わせられる。図5に示すように、移植片材料128の縦糸は矢印140の方向にあり、緯糸は矢印142の方向にある。可動外部継手120の縦糸は、熱可塑性樹脂糸と形状記憶材料との組み合わせから作成される合成糸である。移植片材料128での使用に適した熱可塑性樹脂糸は、これらに限定はされないが、ポリエステル類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリウレタン類、ポリ四フッ化エチレン類とそれらの混合物を含む。熱可塑性樹脂糸用の好適な材料は、ポリエチレンテレフタレートである。形状記憶材料は好ましくはニチノールであるが、他の形状記憶材料とすることもできる。緯糸は、前記に一覧掲載した任意の熱可塑性樹糸、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)であることができる。縦糸の形状記憶材料は直線状に設定された形状をなし、したがって集合的な截頭円錐構造において可動外部継手120を本体107から離れるように突出させる。したがって、可動外部継手120をその移送形態から解放すると、下記により詳しく説明するように、可動外部継手120は本体107から離れて伸びるよう自力で所定形態をなす(膨張する)ことになる。
【0018】
可動外部継手120の頂部は移動できるので、可動外部継手120により、ステント移植片100を分岐血管に整列配置する相当の可撓性が提供される。この可動性は可動外部継手120の形状に起因するものであり、可動外部継手120の形成時にいくらかの過剰な移植片材料128を用いることでさらに改善することができる。したがって、ステント移植片100が分岐血管に完全に整列配置されていない場合、可動外部継手120の頂部126は移動あるいはシフトされ、可動外部継手120が分岐血管内に伸長するようにできる。さらに、上記で説明された移植片材料128の組成のため、可動外部継手120は標的箇所への移送期間中にスリーブから解放するとステント移植片100の本体107から飛び出す。このことが、移送システムから解放された際に可動外部継手120の瘤状化あるいは圧潰を阻止する。
【0019】
前述したように織り合わせた形状記憶材料を有する可動外部継手120は、多くの仕方で形成することができる。一実施形態では、熱可塑性樹脂/形状記憶複合縦糸を方向140に、また熱可塑性樹脂糸を方向142で織り合わせることで、図6に示す移植片材料128の2枚のシートが形成される。2枚のシートは互いに縫いつけられるか取り付けられて可動外部継手120の形状にされ、続いて本体107の移植片材料102に縫い付けられるか取り付けられる。この種の実施形態では、縫合部132は2枚のシートが互いに取り付けられる箇所に形成され、可動外部継手120が図7に示すように本体107の移植片材料102に結合される箇所に縫合部134が形成される。
【0020】
可動外部継手120を形成する別の実施形態では、可動外部継手120は方向140の熱可塑性樹脂/形状記憶合成糸と方向142の熱可塑性樹脂糸を有する一体型本体として形成すされる。この種の一体型本体は、例えば米国特許第5,800,514号明細書や米国特許第6,994,724号明細書や米国特許第7,189,257号明細書で、その開示を参照によりその全体を本願明細書に援用する明細書に開示された方法により、略截頭円錐形状の可動外部継手120に形成することができる。より具体的には、選択された縦糸を係合解除および/または係合させることで、移植片の織り合わせ期間中に、截頭円錐形状の直径の変化等の移植片材料の寸法や形状や構成における漸次変化を達成することができる。一体型本体として形成される可動外部継手120はそこで縫い合わせるか、そうでなければ本体107の移植片材料102に取り付け、図8に示すように、縫合部134を作成することができる。しかしながら、図7に示した実施形態のように円錐面に沿う縫合部132は存在しない。
【0021】
別の実施形態では、可動外部継手120’の移植片材料128は、図9に示すように、本体(例えば、107)の移植片材料102’を有する一体的本体として織り合わせられることができる。熱可塑性樹脂/形状記憶合成糸を方向146に織り合わされ、熱可塑性樹脂糸が方向148で織り合わされる。したがって、可動外部継手120’は、方向146での形状記憶材料の存在のために、上述したように、本体(例えば、107)から離れるように突出する。さらに、本体の移植片材料102’内の形状記憶材料のために、移植片材料102’は管形状に残り、それを組み込む血管からの圧縮力に抵抗する傾向がある。図9には示していないが、ステント(例えば、104)は先の図に示したように、やはり移植片材料102’に取着することができる。本体(例えば、107)の移植片材料102’と可動外部継手120’の移植片材料128の一体型形態は、例えば米国特許第5,800,514号明細書、米国特許第6,994,724号明細書や米国特許第7,189,257号明細書で、その開示を全体として参照により本願明細書に組み込む明細書に開示された方法により、達成することができる。
【0022】
図10は、その別の実施形態によるステント移植片150を示す。ステント移植片150は図1のステント移植片100に類似し、類似の特徴にはそれに応じて同一の参照符号が与えられる。ステント移植片150は、截頭円錐形状を集合的に形成する伸縮性材料のバンド162で出来た可動外部継手160を含む。そこからバンド162を形成することのできる材料の例には、管理された伸びを有する可伸長材料、すなわちエラストマー性不織布が含まれるがこれに限定されない。エラストマー性不織布は、例えばスパンボンドウェブやメルトブローウェブや接着カード付きウェブやそれらの組み合わせであることができる。材料がメルトブロー加工繊維である場合、これにメルトブロー加工超極細合成繊維を含むことができる。材料は、エラストマー繊維形成ポリマー類で作成することができる。ここでの熱可塑性樹脂エラストマー性繊維の調製に用いるのに適した弾性ポリマー類には、限定を伴わずに、Shell Chemical Company社から商品表示KRATON(登録商標)エラストマー性樹脂として入手することのできるスチレン‐イソプレン‐スチレンやスチレン‐ブタジエン‐スチレンやスチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレンやあるいはスチレン‐エチレン/プロピレン‐スチレンを含むオレフィンコポリマー等のジブロックやトリブロックあるいはマルチブロックエラストマー性コポリマー、E.I. Du Pont de Nemours Co.社から商品名LYCRA(登録商標)ポリウレタンとして入手可能なものを含むポリウレタン類、Ato Chemical Company社から商品名PEBAX(登録商標)ポリエーテル・ブロック・アミドとして入手可能なポリエーテル・ブロック・アミドを含むポリアミド類、E.I. Du Pont de Nemours Co.社から商品名HYTREL(登録商標)ポリエステルエステルとして入手可能なポリエステル類、Dow Chemical Co.社から商品名AFFINITY(登録商標)として入手可能なほぼ0.89g/ccを下回る密度を有するシングルサイト触媒すなわちメタロセン触媒によるポリオレフィン類が含まれる。
【0023】
エラストマー性メルトブローウェブは、例えばButin et al.への米国特許第3,849,241号明細書に開示された当分野では公知の従来のメルトブロー工程と機器を用いて生成され得る。メルトブロー時に、熱可塑性樹脂、ここではエラストマー性樹脂を押出成形機内に供給し、そこで繊維形成に必要な適切な温度に融解加熱する。押出成形機が、溶融樹脂を特別なメルトブロー金型へ給送する。樹脂は、金型のオリフィスから高速ガス流、通常は空気内に融解糸として出現する。空気は、ブラスト正面に配置された移動スクリーン上に収集される微細繊維のブラスト内へポリマーを希薄化させる。繊維がスクリーン上に着地すると、それらは絡み合って凝集性ウェブを形成する。
【0024】
本発明に用いるエラストマー性スパンボンドウェブは、当分野で既知の技術、例えば下記のAppel et al.に対する米国特許第4,340,563号明細書や、Dorschner et al.に対する米国特許第3,692,618号明細書や、Matsuki et al.に対する米国特許第3,802,817号明細書に記載された技術により形成され得る。スパンボンドウェブの形成に適切に用いることのできるポリマーの例には、上記に一覧掲載したエラストマー性ポリマー類が含まれる。伸縮性を持たせた他の材料は当業者には熟知されており、伸縮性材料やその等価物について下記の特許刊行物、すなわち国際公開第2005037160号パンフレットや、米国特許第6465073号明細書や、国際公開第9316669号パンフレットや、米国特許第6248097号明細書や、欧州特許第0556749号(B1)明細書や、欧州特許第1201212号明細書に記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体において本願明細書に援用される。
【0025】
図10に示す実施形態では、3本のバンド162が存在するが、当業者には明らかであるように、より多数もしくはより少数のバンドを適宜配設することができる。一体的な截頭円錐構造全体を、ニチノール(形状記憶)補強(支持)構造の有無によらず単一の円錐形状バンドで構成しうる。可動外部継手160は略截頭円錐形状とし、これにより本体107により近いバンド162が本体107からより遠いバンド162よりも大きな直径を有するようにする。可動外部継手160用の伸縮性材料のバンド162の使用が、分岐ステント移植片に対し良好なシールをもたらし、本体を通る流れを抑制する可能性のある本体107に向かう可動外部継手160の縮みを最小化する。
【0026】
図11〜図15は、ステント移植片100を血管内の標的位置に移送するのに用いることのできる移送システムの一例を示す。図11は、その中にステント移植片100を有するステント移植片移送システム200の概略一部断面図である。ステント移送システム200は、可撓性で密着した蛇行性血管内に追従性を提供することができる先細チップ202を含む。弾丸形状チップ等の他のチップ形状もまた使用しうる。チップ202は、第1のガイドワイヤ220を収容するためにその中に貫通配置された内腔204を含む。
【0027】
先細チップ202は、遠位端方向に漸次縮径する先細の外面216を含む。より具体的には、先細の外面216は近位端に第1の直径を有し、遠位端方向、すなわちオペレータから離間する方向に漸次縮径する。先細の外面216はさらに、図12に最もよく示されているように、第2のガイドワイヤ222を収容する溝218を含む。段部212は、チップ202の近位端部の直径を縮径し、スリーブ着地面226を提供する。段部212はおおよそ環状であり、ステント移植片移送システム200の長手方向軸に直交する。
【0028】
ステント移植片移送システム200の第1のすなわち外部スリーブ210は、スリーブ着地面226の外部筒状面の上に延び、図11に示すように、ステント移植片移送システム200が展開前形態にあるときに肩部212に当接する。第2のすなわち内部スリーブ214が、外部スリーブ210内に配置されている。内部スリーブ214は、下記により詳しく説明するように、そこを通って可動外部継手120が延出する開口を含んでいる。
【0029】
ステント移植片移送システム200はまた、第1のガイドワイヤ220が移送システム200の全長にわたって延びるようにチップ内腔204に結合された内管205を含む。移送システム200には、内管205を取り囲む外管206もまた含むことができる。ステント移植片100を移送システム200上に搭載したときに、ステント移植片100の遠位端にストップ208が配置される。ストップ208は、外部スリーブ210と内部スリーブ214を後退させるか、そうでなければ取り除いてスリーブ移植片100を解放する際に、ステント移植片100の長手方向の動きを阻止する。ステント移植片100は圧縮形態すなわち移送形態で外部スリーブ210と内部スリーブ214内に配置され、ここでステント移植片100の直径は、脈管系を介してこれを挿入できるように縮径される。
【0030】
第2のガイドワイヤ222はステント移植片移送システム200を貫通し、ステント移植片100の内腔116を貫通し、可動外部継手120の内腔130を貫通し、内部スリーブ214と外部スリーブ210との間を、さらにチップ202の溝218を通り外部スリーブ210の遠位端から延出する。管224は、この経路に沿ってガイドワイヤ222を案内するよう配設することができ、移送システム200の近位端部に対し手前側へ管224を延在させることができる。移送形態すなわち圧縮形態では、可動外部継手120は図11と図13に概略図示したように近位側に折り畳むことができる。
【0031】
外部スリーブ210は中空管であり、その中に内腔を画成しており、この内腔の中に外管206と内管205と内部スリーブ214とステント移植片100が移送形態にて配置される。外部スリーブ210は、外管206に対し、近位側に移動させられ、すなわち後退させられて、可動外部継手120を解放または展開する。図14は、後退させられた外側スリーブ210と伸長(展開)された可動外部継手120を示す。外部スリーブ210が後退させられた後、内部スリーブ214を例えば引っ張りワイヤあるいは当業者に公知の他の方法を用いて取り除く。従来型の後退させられた内部スリーブ214は、可動外部継手120と干渉することになるため望ましくない。しかしながら、後退させる前に内部スリーブ214を分割させる長手方向スリットを作成する引っ張りストリング(図示せず)を用いることができる。別の選択肢として、可動外部継手120に対して遠位の内部スリーブ214内の脆弱化(脆い)領域(線)を用い、後退している内部スリーブ214が脆弱化領域を可動外部継手120周りに分割されるようにできる。当業者には自明であるように、内部スリーブ214の後退時に可動外部継手120を収容する他の手段を用いることができる。内部スリーブ214の後退により、スリーブ移植片100をその圧縮形態から図15に概略示す展開形態すなわち膨張形態へ展開させることができる。
【0032】
本願明細書に記載したステント移植片移送システム200は、ステント移植片100を移送し展開させるのに用いることのできる移送システムの一例に過ぎず、当業者に公知の他の多くの移送システムを用いうる。例えば、ステント移植片100は標的箇所にあるときに膨張させるバルーン上に装着しうる。他のステント移植片システム、例示であって限定はしないが、いずれも参照によりその全体を本願明細書に組み込む米国特許出願公開第2008/0114442号明細書や同公開第2008/0262590号明細書や米国特許第7,264,632号明細書に記載された移送システムが用いられ、ステント移植片100を移送して展開することができる。さらに、ステント移植片100についてステント移植片移送システム200を説明してきたが、移送システム200は、ステント移植片150との使用(図10)に同様に適したものである。
【0033】
図16〜図21は、ステント移植片100を主血管内の標的箇所へ移送する方法と分岐ステント移植片を分岐血管へ移送する方法を概略示している。図16〜図21は、ステント移植片100の移送方法を説明するものであるが、本方法はステント移植片150(図10)の移送にも用いられ得る。本願明細書に記載する実施例では、ステント移植片100は大動脈300内に移送され展開される。大動脈300の一部には、上行大動脈302や大動脈弓304や下行大動脈306が含まれる。大動脈弓からの分岐は、腕頭動脈308や左総頸動脈314や左鎖骨下動脈316である。腕頭動脈は、右鎖骨下動脈310と右総頸動脈312内へ分岐している。大動脈弓304の領域内の動脈瘤318は、分岐動脈への血流は維持しなければならないため、ステント移植片を用いて迂回あるいは排除するのが困難である場合がある。
【0034】
図16〜図21に示す実施形態では、動脈瘤は腕頭動脈308に十分近く、したがってステント移植片は腕頭動脈308と心臓との間に延在させねばならない。このような場合、単一の可動外部継手120しか持たないステント移植片100を用い、可動外部継手120を腕頭動脈308内へ展開させて腕頭動脈308を一面に覆うよう設計する。ステント移植片100の挿入処置前に、迂回移植片あるいは血管(図示せず)を組み込む迂回処置を実施し、右総頸動脈312を左総頸動脈314に、また左総頸動脈を左鎖骨下動脈316に接続する。この種の処置はステント移植片挿入の1〜2週間前実施し、大動脈弓内の動脈瘤318を修復する外科的解決策よりも著しい複雑さおよびリスクを軽減することができる。こうして、腕頭動脈308と、したがって右総頸動脈312に対する血流を維持することで、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈316に対する血流を維持する。したがって、大動脈弓からのこれらの分岐血管に対する開口(あるいは心門)は、ステント移植片100により遮蔽することができる。別の選択肢として、多数の可動外部継手120をステント移植片100内に配設することができる。さらに、動脈瘤が左総頸動脈314と左鎖骨下動脈316だけに影響を及ぼす場合、左総頸動脈314と左鎖骨下動脈の間の一つの迂回だけを実施し、そこで単一の可動外部継手120を有するステント移植片を用いて左総頸動脈314を一面に覆う必要がある。別の選択肢として、この種の状況下で、2個の可動外部継手を有するステント移植片を前記した分岐血管のそれぞれに1つずつ配設することができる。従って、下記に説明する方法のステント移植片100の実施形態は単一の可動外部継手120を含み、可動外部継手を腕頭動脈308内で展開させるが、多数の可動外部継手を用いることができ、1つ(または複数)の可動外部継手を他の分岐動脈内で展開できることを当業者は理解されたい。
【0035】
図16は、下行大動脈306から大動脈弓304を通り上行大動脈302内へ前進させた第1のガイドワイヤ220と、下行大動脈306から大動脈弓304を通り腕頭動脈308内へ前進させた第2のガイドワイヤ222を示す。ガイドワイヤ200,222は通常、当分野で熟知されている如く、大腿動脈内に挿入され、腹大動脈を通り、胸部大動脈内へ上方に経路誘導される。
【0036】
図17は、ステント移植片100がその中で圧縮され、大動脈弓304内の標的位置までガイドワイヤ220,222上を前進した状態のステント移植片移送システム200を示す。ステント移植片移送システム200および/またはステント移植片100の位置はX線撮影で検証することができ、移送システム200および/またはステント移植片100には当分野で公知のX線不透過性マーカを含むことができる。
【0037】
ステント移植片移送システム200が、ステント移植片100の可動外部継手120が分岐血管内の開口に適切に整列配置される箇所に至った後、外部スリーブ210を近位端側に後退させ、図18に示すように可動外部継手120を解放する。可動外部継手120の形状記憶繊維の織り込み/織り合わせ構成は、展開後に可動外部継手が本体107に対し圧潰される可能性を低減する正の外向きの力を提供する。そこで移送システム200を移動させ、可動外部継手を分岐動脈、この場合腕頭動脈308に対しより良好に整列配置することができる。さらに、可動外部継手120の構成が故に、たとえそれが腕頭動脈308に完全に整列配置されていない場合でも、可動外部継手120の頂部はそれが接触する際に移動させることができ、分岐血管の開口内にますます接近移動させ、ステント移植片100全体の移動を強いられることなく、腕頭動脈308にそれを適切に整列配置する。
【0038】
可動外部継手120が一旦展開され、腕頭動脈308内に位置すると、内部スリーブ214は図15について前述したように後退させられることができ、それによってステント移植片100の主本体を図19に示すように展開することができる。可動外部継手120とステント移植片100を一旦展開されると、移送システム200は取り除かれ得る。第2のガイドワイヤ222は腕頭動脈308内の所定の場所に残留することができ、あるいは別のガイドワイヤと交換されることができる。分岐ステント移植片移送システム404は、図20に示すように、第2のガイドワイヤ222上を腕頭動脈308内へ前進させられる。分岐ステント移植片移送システムは、チップ402とスリーブ(図示せず)とを含み、その中に分岐ステント移植片400を収容している。分岐ステント移植片移送システム404と分岐ステント移植片400は、従来型であってよい。分岐ステント移植片移送システム404は腕頭動脈308内へ前進させ、したがって分岐ステント移植片400の近位端部406が可動外部継手120内部に残留する。スリーブ拘束分岐ステント移植片400は次に近位端側へ後退させられ、それによって移送システム404から分岐ステント移植片400を解放する。移送システム404は、そこで図21に示す如く後退させる。分岐ステント移植片400の近位端406は、分岐ステント移植片400を膨張させたときに可動外部継手120内に配置されるため、近位端部406は可動外部継手120の頂部126にて括れ(幅狭化し)、可動外部継手120の内面に順応する。
【0039】
本発明になる様々な実施形態を上記に説明してきたが、それらは例示と一例としてのみ提示したものであり、限定ではない。形態と細部における様々な変形が、本発明の趣旨ならびに範囲から逸脱することなく本願明細書において可能であることは、当業者には明白となる。本願明細書に記載した各実施形態や本願明細書に引用した各引用文献の各特徴が、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて使用できる。本願明細書で言及した全ての特許ならびに出版物は、参照により本願明細書にその全体を援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、遠位端と、近位端と遠位端の間に位置する本体内腔とを有する管状本体であって、本体移植片材料とこの本体移植片材料に結合させた複数ステントとを含む前記管状本体と、
前記管状本体から外方へ延出し、略截頭円錐形状をなし、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間する頂部と前記基部と前記頂部の間に位置する結合内腔とを含む可動外部継手であって、前記結合内腔が前記本体内腔と流体連通し、さらに該可動外部継手は結合移植片材料を含み、前記結合移植片材料が形状記憶材料を含む前記可動外部継手の長手方向軸に略平行に走る縦糸を有する織布である前記可動外部継手と、
を備えている、
ことを特徴とする血管内補綴具。
【請求項2】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項3】
前記縦糸は、熱可塑性樹脂糸と形状記憶材料の組み合わせから作成した合成糸である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項4】
前記縦糸を略横断して走る前記可動外部継手の緯糸は熱可塑性樹脂糸で作成される、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項5】
前記縦糸の前記形状記憶材料は、前記可動外部継手を前記管状本体から離れるよう突出するよう直線状に焼鈍される、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項6】
前記可動外部継手の頂部に配置したリングをさらに備える、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項7】
前記可動外部継手の前記基部から前記頂部までの高さは10〜15mmの範囲である、
請求項1に記載の補綴具。
【請求項8】
主血管内に配置する構成の主補綴具であって、管状本体と可動外部継手とを含み、前記管状本体が近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する本体内腔と本体移植片材料とを有し、前記可動外部継手が前記管状本体から延出し、前記本体内腔に流体連通する結合内腔を含み、さらに前記可動外部継手が略截頭円錐形状の結合移植片材料を含み、前記結合移植片材料が形状記憶材料を含む前記可動外部継手の長手方向軸に略平行に走る縦糸を有する織布である前記主補綴具と、
前記主血管から延出する分岐血管内に配置する構成の分岐補綴具で、前記可動外部継手の内面に当接する外面を含む分岐補綴具と、を備え、
前記可動外部継手が、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間させた頂部とを含み、前記可動外部継手の遠位端部が前記分岐補綴具の近位端部と重複する、
ことを特徴とする主補綴具と分岐補綴具組立体。
【請求項9】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
前記縦糸は、熱可塑性樹脂糸と形状記憶材料の組み合わせから作成された合成糸である、
請求項8に記載の組立体。
【請求項11】
前記縦糸を略横断して走る前記可動外部継手の緯糸は熱可塑性樹脂糸で作成される、
請求項8に記載の組立体。
【請求項12】
前記縦糸の前記形状記憶材料は、前記可動外部継手を前記管状本体から離れるように突出するよう直線状に焼鈍される、
請求項8に記載の組立体。
【請求項13】
前記可動外部継手の頂部に配置されたリングをさらに備える、
請求項8に記載の組立体。
【請求項14】
前記可動外部継手の前記基部から前記頂部までの高さは10〜15mmの範囲とする、
請求項8に記載の組立体。
【請求項15】
主血管と分岐血管の接合部近傍の標的位置の動脈瘤を排除する方法であって、
圧縮形態にある主補綴具を主血管内の標的位置へ移送することであって、前記主補綴具が管状本体と可動外部継手とを含み、該管状本体が近位端と遠位端と前記近位端と遠位端との間に配置した本体内腔と本体移植片材料とを含み、前記可動外部継手が結合移植片材料を含み、前記結合移植片材料が形状記憶材料を含む前記可動外部継手の長手方向軸に略平行に走る縦糸を有する織布である移送することと、
第1のスリーブを後退させ、前記可動外部継手を露出させることと、
前記可動外部継手を前記分岐血管に整列配置することと、
前記管状本体を展開し、前記管状本体が圧縮形状から膨張形状へ膨張するようになることというステップを含み、
前記管状本体を前記主血管内に配置し、前記可動外部継手を前記分岐血管内に伸長させ、該可動外部継手を前記管状本体から外方へ延出させ、前記可動外部継手が前記本体内腔に流体連通する結合内腔を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
圧縮形状にある分岐血管補綴具を前記分岐血管に移送することと、
前記分岐血管補綴具を展開し、前記分岐血管補綴具を径方向に膨張形状まで膨張させ、前記分岐血管補綴具の一部の外面を前記可動外部継手の一部の内面に当接させるようにすることという工程をさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記可動外部継手は、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間させた頂部とを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記可動外部継手の前記基部から前記頂部までの高さは10〜15mmの範囲である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記可動外部継手の頂部に配置したリングをさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基部は形状が略楕円形であり、頂部は形状が略円形である、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記基部は20〜30mmの範囲の主軸と15〜20mmの範囲の副軸とを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記頂部は8〜12mmの範囲の直径を含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記形状記憶材料はニッケルチタン合金である、
請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記縦糸は、熱可塑性樹脂糸と形状記憶材料の組み合わせから作成された合成糸である、
請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記縦糸を略横断して走る前記可動外部継手の緯糸は熱可塑性樹脂糸で作成される、
請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記縦糸の前記形状記憶材料は、前記第1のスリーブの後退時に、前記可動外部継手を前記管状本体から離れるように突出するよう直線状に焼鈍される、
請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記主血管は大動脈弓である、
請求項15に記載の方法。
【請求項28】
近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する本体内腔とを有する管状本体で、本体移植片材料とこの本体移植片材料に結合させた複数のステントとを含む前記管状本体と、
前記管状本体から外方へ延出し、略截頭円錐形状をなし、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間する頂部と前記基部と前記頂部の間に位置する結合内腔とを含み、該結合内腔が前記本体内腔と流体連通する可動外部継手で、略周方向に配置された複数のバンドを含み、該複数のバンドを弾性材料から形成した前記可動外部継手とを備える、
ことを特徴とする血管内補綴具。
【請求項29】
前記弾性材料は、スチレン‐イソプレン‐スチレンやスチレン‐ブタジエン‐スチレンやスチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレンやあるいはスチレン−エチレン/プロピレン‐スチレンを含むオレフィンコポリマー等のジブロックやトリブロックあるいはマルチブロックエラストマー性コポリマーと、ポリウレタン類とポリウレタンと、ポリアミド類とポリエーテル・ブロック・アミドと、ポリエステル類とポリエーテルエステルと、ほぼ0.89g/cc未満の密度を有するシングルサイト触媒すなわちメタロセン触媒によるポリオレフィンとからなるグループから選択される、
請求項28に記載の補綴具。
【請求項30】
可動外部継手の基部から頂部までの高さは、8〜12mmの範囲である、
請求項28に記載の補綴具。
【請求項31】
主血管内に配置する構成の主補綴具で、管状本体と可動外部継手とを含み、前記管状本体が近位端と遠位端および前記近位端と遠位端の間に位置する本体内腔と本体移植片材料とを有し、前記可動外部継手が前記管状本体から延出し、前記本体内腔に流体連通する結合内腔を含み、さらに前記可動外部継手は略截頭円錐形状をなし、略周方向に配置され弾性材料から形成された複数のバンドから形成される前記主補綴具と、
前記主血管から延出する分岐血管内に配置する分岐補綴具で、前記可動外部継手の内面に当接する外面を含む前記分岐補綴具と、を備え、
前記可動外部継手が、前記管状本体に結合した基部と前記管状本体から離間させた頂部とを含み、前記可動外部継手の遠位端部が前記分岐補綴具の近位端部と重複する、
ことを特徴とする主補綴具と分岐補綴具組立体。
【請求項32】
前記弾性材料は、スチレン‐イソプレン‐スチレンやスチレン‐ブタジエン‐スチレンやスチレン‐エチレン/ブチレン‐スチレンやあるいはスチレン‐エチレン/プロピレン‐スチレンを含むオレフィンコポリマー等のジブロックやトリブロックあるいはマルチブロックエラストマー性コポリマーと、ポリウレタン類とポリウレタンと、ポリアミド類とポリエーテル・ブロック・アミドと、ポリエステル類とポリエーテルエステルと、ほぼ0.89g/cc未満の密度を有するシングルサイト触媒すなわちメタロセン触媒によるポリオレフィンとからなるグループから選択される、
請求項31に記載の補綴具。
【請求項33】
前記可動外部継手の基部から頂部までの高さは8〜12mmの範囲である、
請求項32に記載の補綴具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公表番号】特表2012−523907(P2012−523907A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506058(P2012−506058)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029490
【国際公開番号】WO2010/120550
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511126109)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】