分散型剛体を備えた可変ミラー、可変ミラー製造ツール、および可変ミラー製造方法
可変ミラー(1)は、反射面(3)と反対面(4)を有する可変薄膜(2)と;剛体板(5)と;少なくとも1つが剛体板(5)に固定されることによって可変薄膜(2)を局所的に変形できる少なくとも1つのアクチュエータ(9)とを備える。可変ミラー(1)は更に、可変薄膜(2)の反対面(4)に接触する必ずしも均一ではない接着層(11)と;少なくとも1つの弾性連結手段(12)とを備える。弾性連結手段(12)は、機械的接続手段(21)と;機械的接続手段(21)の上端(13)を接着層(11)に結合する上部結合手段(22)と;機械的接続手段(21)の下端(14)を剛体板(5)に結合する下部結合手段(23)とを備える。可変ミラーを製造する製造ツールと製造方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型剛体を備えた可変ミラー、可変ミラー製造ツール、および可変ミラー製造方法に関する。
本発明は、アクチュエータまたは操作者に関わる可変ミラーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の技術水準において、アクチェータの構造を含む可変薄膜ミラーは、公知である。そのような可変ミラーは、薄膜の直径が増加すると、共鳴振動数が減少し、そのため、周波数応答に関して、有意な性能を備える直径が大きな可変ミラーを製造できないようにすることを特徴とする。先行技術の可変ミラーは、従って薄膜の直径、その張力およびその共鳴振動数の間で妥協した物に制限される。実のところ、十分な共鳴振動数を得るために、薄膜の直径を減らすか、薄膜の張力を増やすことが必要である。この制限は、可変ミラーの剛体が何よりも重要なことによって生じ、このため、可変ミラーは、局所的に変形すると、その振動を局在化したやり方では十分に伝送されない。
【0003】
現行の技術水準において、面を変形させるべくアクチュエータを備えた構造に対応する解決策が提供されている(特許文献1参照)。この構造は更に、可変薄膜と;可変薄膜の反対面に対向して位置するメッシュと;それぞれ作動面を備えるアクチュエータと;作動接続部のメッシュとを備える。それぞれ作動接続部は、メッシュの1つのアクチュエータのそれぞれの作動面と、前記作動面に対向する第2面上のそれぞれの点とに連結される。それぞれ作動接続部は、異方性剛体を備え、第2面に対して垂直な動きを伝送する。
【0004】
この解決策は、薄膜共鳴振動数を最適化できるようにするが、実行は難しい。より具体的には、種々の要素の組立てが難しくなるので、機械交差が高いことを暗示する。同様に、この解決策の可変ミラーは、幾つかの要素ブロックを含む。最後に、この解決策は、第2可変面を利用する必要があるので、無視できない追加費用がかかる。
【0005】
現行の技術水準において、基部と;第1集光面と反対後面を備える微細光学基板と;基板の後面と基部を共に連結する弾性手段と;弾性連結手段内に置かれた少なくとも1つのアクチュエータとを含む可変ミラーの支援システムに対応する解決策が提供される(特許文献2参照)。弾性連結手段は、光学基板の形状を制御可能に変形させるために、基部と光学基板の間に接続される。弾性連結手段は、少なくとも1つのアクチュエータを部分的にのみ含む弾性基盤を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/050283号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,831,780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この解決策の主要な欠点は、実施形態を実行するのが非常に難しいことである。直径が約数十cmの可変ミラーの他には、この解決策を適応することができない。この解決策は、可変ミラーが宇宙に送られる場合に被り得る変形を相殺することのみを目指しているので、アクチュエータによる補正度数も低い。
【0008】
従って、先行技術の解決策の欠点は、十分な補正度数と簡単な可変ミラーの製造方法を維持しながら有意な共鳴振動数を得ることが、所定直径の可変ミラーにおいては不可能なことにある。
【0009】
本発明の目的は、可変ミラーの構成要素の全ての簡単な組立てを可能にすると共に、アクチュエータの位置での機械公差の要件を減らしながら、薄膜の面全体に薄膜の剛体を分散させる弾性構造を提供することにある。よって、現行技術水準の欠点は、改善される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明は、反射面と反対面を有する可変薄膜と;剛体板と;および少なくとも1つのアクチュエータとを含む可変ミラーを提供する。アクチュエータの少なくとも1つは、剛体板 に固定され、可変薄膜を変形させることができる。可変ミラーは更に、可変薄膜の反対面に接触する必ずしも均一ではない接着層と;機械的接続手段と;および少なくとも1つの弾性連結手段とを含む。弾性連結手段は、機械的接続手段の上端を接着層に連結する上部結合手段と、機械的接続手段の下端を剛体板に連結する下部結合手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の特定の実施形態に従って、全て弾性連結手段は、アクチュエータ間に配置されうる。
本発明の別の実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段12は、アクチュエータ9の位置に位置決めされる。
【0012】
別の実施形態に従って、全ての弾性連結手段12は、アクチュエータ9の位置に配置される。
有利には、少なくとも1つの機械的接続手段は、剛体板の面に対して垂直に延びる剛体棒である。
【0013】
有利には、アクチュエータの位置に配置された弾性連結手段の少なくとも1つは、接着層からアクチュエータを分離する弾性の第2結合手段を含む。
有利には、アクチュエータの位置に配置された前記弾性連結手段の少なくとも1つは、第1機械的接続手段を接着層から分離する第2機械的接続手段を含む。弾性連結手段は、前記接着層を貫通する。
【0014】
好ましくは、第2機械的接続手段は、剛体板の面に対して垂直に延びる剛体棒からなる。
特定の実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段は、第1剛体板の下方に位置する第2剛体板に固定される。第1剛体板は、弾性連結手段の位置に、ドリルで貫通孔が開けられる。
【0015】
別の特定の実施形態に従って、アクチュエータの位置に配置された弾性連結手段のうちの少なくとも1つは、第1剛体板の下方に位置する第2剛体板に固定される。第1剛体板と、第2剛体板に固定される対応するアクチュエータの中心とは、機械的接続手段の位置において、ドリルで穴が開けられる。
【0016】
有利には、下部結合手段は、第2剛体板にドリルで事前設定可能な深さまで開けられた穴の内部に形成される、接着剤の層からなる。
特定の一実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段は、機械的接続手段と下部結合手段の間に、調整可能空間(凹部)を含む。
【0017】
第1実施形態に従って、それぞれ下部結合手段は、1分間を超える重合時間を有する接
着剤からなる剛体結合手段である。それぞれ上部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性接続手段である。
【0018】
第2実施形態に従って、それぞれ下部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、それぞれ上部結合手段は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段である。
【0019】
第3実施形態に従って、それぞれ下部結合手段と上部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段である。
本発明はまた、可変ミラーを製造する製造ツールを提供する。製造ツールは、
平行光線を発生する照明装置と;
波面センサと;
照明装置から生じる光の方向を、可変ミラーと波面センサの間で分割できるようにする分割キューブと;
設定点ユニットと;
波面センサと設定点ユニットそれぞれから伝送されたデータを、受信できるコンピュータと;
それぞれアクチュエータに関連する部分の前記可変ミラーの局所変形を制御するために、それぞれアクチュエータを個別に制御できるように、前記コンピュータに接続される制御ユニットと
を含む。
【0020】
最後に本発明は、製造ツールを用いて可変ミラーを予備形成する製造方法を提供する。製造方法は、
接着層を、可変薄膜に固定する段階と;
上部結合手段を、接着層に固定する段階と;
それぞれ弾性連結手段の上端を、上部接続手段を介して、接着層に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段の下端を、重合時間が1分間を超える接着剤からなる下部剛体結合手段を介して、剛体板に固定する段階と;
下部剛体結合手段を構成する接着剤の重合中、前記重合の全期間に所定の形状に従って可変ミラーの可変薄膜を予備成形するため、閉ループによって、可変ミラーのアクチュエータの復帰力を制御および最適化する段階と
を連続して含む。
【0021】
当然のことながら、アクチュエータによって生じ得る力に対応する力の作用下で、接続部の伸張が5nm以上である場合、接続は弾性である。そのような動きは、現行技術水準の波面センサにおいて観察され得る動きに、対応する。同様に当然のことながら、そのような伸張が同期間中に5nm未満である場合、その接続は剛体である。
【0022】
本発明は、アクチュエータまたは操作者によって実行されることが可能である。アクチュエータのみを、以下で述べることにする。
本発明は、添付の図面と共に、非制限的例示実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことでより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アクチュエータの周囲に、棒の機械的接続手段を備える本発明の第1実施形態の可変ミラーの三次元図。
【図2】本発明の第1実施形態の、磁気アクチュエータの構造の平面図。
【図3】本発明の第1実施形態の、可変ミラーの断面図。
【図4】アクチュエータに接触して棒の機械的接続手段を備えた、本発明の第2実施形態の可変ミラーの断面図。
【図5】弾性接着剤の二重層を含む機械的接続手段を備える、本発明の第3実施形態の可変ミラーの断面図。
【図6】2本棒の機械的接続手段を備える、本発明の第4実施形態の可変ミラーの断面図。
【図7】2つの剛体板上に分散されたアクチュエータに対応する機械的接続手段を備える、本発明の第5実施形態の可変ミラーの断面図。
【図8】アクチュエータの下方に2本棒の機械的接続手段の下端を備える、本発明の第6実施形態の可変ミラーの断面図。
【図9】アクチュエータの下方に棒の機械的接続手段の下端を備える、本発明の第7実施形態の可変ミラーの断面図。
【図10】剛体上部結合手段と弾性下部結合手段を備える、本発明の第8実施形態の可変ミラーの断面図。
【図11】上部と下部の弾性結合手段を備える、本発明の第9実施形態の可変ミラーの断面図。
【図12】事前に設定された深さの弾性接着剤を備える、本発明の第10実施形態の可変ミラーの断面図。
【図13】本発明の可変ミラーの製造および制御を可能にする装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態の可変ミラー1を示す。この可変ミラー1は、可変薄膜2、剛体板5、磁気アクチュエータ9の構造および弾性連結手段12の構造から成る。
【0025】
可変薄膜2は、2つの面、つまり反射面3と反対面4を有する光学基板である。本実施形態において、光学基板はシリコン型でできており、可変薄膜2の厚さは、20μmである。別の実施形態において、光学基板は、カプトン型でできている。
【0026】
剛体板5は、最初は変形されていない可変薄膜2の面に平行に位置する平板である。剛体板5は、例えばアルミニウムか任意の他の材料から製造されることが可能である。
それぞれ磁気アクチュエータ9は、磁石7、コイル8、およびコイル8によって生じる磁場を制御する磁場制御装置(図示略)を含む。
【0027】
それぞれ磁石7は、可変薄膜2と一体になっている。それぞれコイル8は、対応する磁石7に対向する剛体板5に少なくとも部分的に固定される。この実施形態において、磁石7は、直径850μm、厚さ250μmであり、コイル8は、1.7mmの外径を有する。
【0028】
磁石7の付近でコイル8によって生じ、更に可変ミラー1のユーザによって制御される磁場に依存して、磁石7は、コイル8に引き付けられるか、押しのけられる。磁場は、磁石7を、剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿って動かす。磁石7は、可変薄膜2と一体になっており、可変薄膜2は、磁石7の作用を受ける領域の位置で、局所的に変形される。
【0029】
磁気アクチュエータ9を制御する磁場制御装置は、設定点に対して閉ループで作動し、可変薄膜2に特定の形状を与えるようにする。
有利には、磁気アクチュエータ9は、均一な分布マトリックスに従って、可変薄膜2を覆う面全体に配置される。対応する可変薄膜2の領域のうちのそれぞれ1つの変形に及ぼすそれぞれ磁気アクチュエータ9の影響は、従って同じである。そのため磁気アクチュエータ9の影響機能は、同一の空間的伸張を有する。複数の磁気アクチュエータ9同士の間
の距離は、この実施形態において2.5mmになる。
【0030】
接着層11は、可変薄膜2の反対面4に接触するように構成される。接着層11は、可変薄膜2の固化と、それぞれ磁石7の固定との双方を可能にすることによって、可変ミラー1の様々な要素から成るアセンブリを製造し易くする。接着層11は、必ずしも均一でなく、事実、接着層11に働く圧力に応じて、不均質になることがある。接着層11の厚さは、この実施形態において100μmになる。
【0031】
この接着層11は、弾性接着剤からなる。この接着剤は、エラストマ接着剤であり、そのシリコーンまたはポリウレタンの接着剤群は、その高い弾力性のためにニーズに対応する。そのため、接着層11は、接着層11に加えられる力に応じて均質になり難い。
【0032】
それぞれ弾性連結手段12は、磁気アクチュエータ9によって可変薄膜2が局所的に変形すると、その周波数応答を改善するために、可変薄膜2の剛体を分散できるようにする。
【0033】
それぞれ弾性連結手段12は、剛体板5と可変薄膜2の間を弾性的に接続できるようにする。この弾性連結手段12は、2つの末端、つまり可変薄膜2に連結される上端13と、剛体板5に連結される下端14とを備える。それぞれ弾性連結手段12は、複数の磁気アクチュエータ9同士の間に配置される。
【0034】
より正確には、それぞれ弾性連結手段12は、機械的接続手段21を含む。機械的接続手段21は、剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿って延びる剛体棒である。それぞれ剛体棒21は、この実施形態において100μm〜200μmの直径を有する。それぞれ弾性連結手段12はまた、機械的接続手段21の上端13に配置された上部結合手段22と、機械的接続手段21の下端14に配置された下部結合手段23という計2つの結合手段を有する。下部結合手段23は、剛体棒21の下端14を固定するために剛性である。
【0035】
それぞれ剛体結合手段23は、剛体棒21に沿った公差を取除くために、剛体板5の穴(凹部)に埋め込まれる。この剛体結合手段23は、剛体棒21が突っ込まれる接着剤からなる。
【0036】
別の実施形態において、剛体結合手段23は、剛体板5に固定される接着パッドである。
この接着剤は、ジュール効果から生じるコイル8における熱放散を防ぐために、熱拡張が小さい。ジュール効果から生じる熱放散が、剛体棒21を動かしてしまうと、制御不能な可変薄膜2の変形が引き起こされてしまう。また接着剤は、重合時間が大きいので、接着剤が硬化する前に可変薄膜2を成形できるようにする。これによって、幾何公差に対する制約が解除されるようになる。
【0037】
そのような接着剤は、熱膨張が低いことで知られる「エポキシ樹脂」接着剤群に属する。より具体的には、接着剤は、要素の組立ておよび可変ミラー1の特定の初期成形を可能にするために、重合時間が1分間を超える。接着剤は、最初に剛体板5の穴の中に置かれ、剛体棒21が接着剤に突っ込まれると、重合が起こる。
【0038】
弾性結合手段22は、機械的復帰機能を提供するために、弾性である。このため、弾性結合手段22は、接着剤のパッドである。そのような接着剤は、弾性接着剤であり、そのシリコーンまたはポリウレタン群は、その高い弾力性のため、ニーズに対応する。
【0039】
接着剤からなるバネの機械的復帰力は、剛体棒21の直径を介して容易に設定すること
が可能である。実のところ、復帰力は、接触面に比例する。即ち、接触面が弱いほど、可変薄膜2の変位は大きい。更に復帰力は、接着剤の他の定数パラメータ(厚さ、磁気アクチュエータ9の強度等)に比例する。
【0040】
この機械的復帰力はまた、他の定数パラメータを有する接着剤の分量によっても設定される。実のところ、接着剤の材料に弾力性があるので、同じ相対伸張に対して、接着パッドが厚くなるほど変形が大きくなるため、接着剤の分量が増加すると、その動きは増大する(バネの剛体も低下する)。
【0041】
可変ミラー1の弾性連結の構造を構成する機械的接続手段21は、容易に再生できると共に、変形をより局在化できる利点を提供する。
本実施形態はまた、機械的連結を減らしながら、複数の磁気アクチュエータ9同士の間の動きを増やせるようにする。
【0042】
更に本実施形態は、可変ミラー1の線形性を保存しながら、可変薄膜2の共鳴振動数を有意に増加できるようにする。共鳴振動数(一定の材料で)は、もはや可変ミラー1の寸法ではなく、剛体棒21同士の間の距離にのみ依存する。
【0043】
図4は、本発明の第2実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、もはや磁気アクチュエータ9の周囲ではなく、磁気アクチュエータ9の位置に弾性連結手段12が配置される点で、第1実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0044】
上部結合手段22は、磁石7の下に直接に形成され、剛体棒21の上端は、機械的復帰機能を提供するために上部結合手段22上に固定される。
下部結合手段23は、コイル8内に埋め込まれる。実際のところ、コイル8は、中心に銅線がない。そこでコイル8の中心にドリルで穴(凹部)が開けられ、最初に接着剤がコイル8の穴の中に置かれ、剛体棒21が接着剤内に突っ込まれると、重合が起こる。
【0045】
この実施形態の可変ミラー1は、影響関数の空間的伸張については性能を改善した。この改善は、除去力が適用力と同じ場所に位置するという事実から生じる。その結果、本発明の第1実施形態の可変ミラー1に対して、剛体棒21の位置で可変薄膜2の局所的変形を回避することがより容易になる。
【0046】
図5は、本発明の第3実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2弾性結合手段22’が、磁石7と接着層11の間に位置する点で、第2実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0047】
この実施形態は、可変ミラー1の他のパラメータを一定に維持しながら、可変薄膜2の変形を増大できるようにする、磁石7を取り囲む弾性接着剤22,22’の二重層を用いる。
【0048】
図6は、本発明の第4実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2剛体棒21’が、第2弾性結合手段22’と接着層11の間に置かれる点で、第3実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0049】
有利には、第1剛体棒21と第2剛体棒21’は、互いに同じ長さである。
この実施形態の本発明は、第2剛体棒21’が、直接に接着層11に侵入する点で識別される。その場合、この実施形態は、第2剛体棒21’のプリントが、磁石7のものよりも低いので、可変薄膜2に及ぼすプリント作用を減らせるようにする。接着剤の二重弾性結合によって、可変薄膜2の変形が増大できるようになる。
【0050】
図7は、本発明の第5実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2剛体板6が、第1剛体板5の下方に配置される点で、第4実施形態の可変ミラー1とは異なる。この第2剛体板6はまた、剛体棒21が固定される磁気アクチュエータ9の構造を備えるコイル8を含む。第1剛体板5は、このため、第2剛体板6に接続されるそれぞれ弾性連結手段12の位置に、ドリルで開けられた貫通孔を有する。
【0051】
この実施形態は、2つの位置にコイルを分散できるようにするので、複数の磁気アクチュエータ9同士の間の距離を減らせるようにする。有利には、磁気アクチュエータ9は、互いになお一層近づけ得るように、2つを超える数の剛体板上に配置されることが可能である。しかし剛体板の長さが有意になり、幾らかの歪みが生じ得るので、剛体板の数は制限される。
【0052】
結局、有利なやり方で、全体の寸法を減らせるようにし、従って複数の磁気アクチュエータ9同士の間の距離を減らせるようにするべく、複数の磁石7は、可変薄膜2に対して互いに異なる高さに配置される。
【0053】
図8は、本発明の第6実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、弾性連結手段12の下端14が、第1剛体板5ではなくて、第1剛体板5の下方に位置する第2剛体板6に固定される点で、第4実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0054】
このため、コイル8は、第1剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿ってドリルで貫通孔が開けられ、第1剛体板5も、コイル8のドリルの更に下方にドリルで貫通孔が開けられる。このため第1剛体棒21は、第1剛体板5とコイル8を通過する。弾性連結手段12の下端14が、第2剛体板6に連結されるのは、先の実施形態の剛体結合手段23を介して得られる。
【0055】
この実施形態の可変ミラー1は、コイル8周囲の熱放散領域に対して、結合点23を機械的接続手段21から遠ざけて配置することによる利点を有する。従って熱膨張現象は、有意に減少する。
【0056】
図9は、本発明の第7実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、可変ミラー1に適用される先の複数の実施形態の特徴を含む。弾性連結手段12は、例えば第2実施形態の1つの剛体棒21だけを含む。
【0057】
図10は、本発明の第8実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、本発明の先の実施形態に類似している。その違いは、結合手段22,23にある。
実際に下部結合手段23と上部結合手段22は、それぞれ剛体および弾性である。そのため結合手段22,23の特徴は、先の実施形態に対して逆になる。
【0058】
他の特定の実施形態において、結合手段22,23の特徴は、記載されるそれぞれ1つの他の実施形態において逆になる。
図11は、本発明の第9実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、本発明の先の実施形態に類似する。その違いは、結合手段22,23にある。
【0059】
実際のところ、下部結合手段23と上部結合手段22は、それぞれ弾性である。
本発明の他の特定の実施形態において、結合手段22,23は、記載されるそれぞれ1つの他の実施形態において弾性である。
【0060】
図12は、本発明の第10実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、
本発明の第8実施形態に類似している。その違いは、弾性結合手段23にある。
弾性結合手段23は、第2剛体板6にドリルで開けられた穴(凹部)からなる。穴は、弾性接着剤によっては完全には満たされない。何故なら、接着剤は、事前に設定された特定の深さに配置されるからである。
【0061】
作業が牽引/圧縮で実施される先の実施形態に反して、接着剤は、剛体棒21上に配置されるので、この実施形態は、剪断加工を可能にする。その時、復帰力は、接触面、従って剛体棒21の直径と接着剤パッドの高さに比例する。
【0062】
従ってこの実施形態は、接着剤の厚さを制御しながら、磁気アクチュエータ9の復帰力をパラメータ化させる。
更に、それぞれ磁気アクチュエータ9の動きを修正することも、従って可能である。実際に円形膜において、機械的接続のため、動きも縁の近くでより小さい。従って、縁および中心で接続をより弱くすることによって、それぞれ1つの磁気アクチュエータ9の動きの均質性を高めることができる。
【0063】
別の実施形態において、剛体棒21の少なくとも1つは、対応する剛体棒21の下方に位置する液圧チャンバ(凹部)またはガス状チャンバ(凹部)に固定されるので、可変薄膜2の形状を制約できるようにする。
【0064】
本発明の有利な実施形態において、可変薄膜2だけを剛体板5に固定すべく、磁気アクチュエータ9のマトリックスは、剛体板5から分離される。この実施形態は、精密仕様に対応する可変ミラー1成形の受託製造を、可能にする利点を有する。
【0065】
図13は、上記の実施形態の何れか1つの可変ミラー1を製造するツールを例示する。
この製造ツールは、
平行光線を発生できるようにする照明装置30と;
波面センサ32と;
可変ミラー1と波面センサ32の間で、照明装置30から生じる光の方向を分割できるようにする分割キューブ31と;
設定点ユニット34と;
波面センサ32と設定点ユニット34によって伝送されるデータを受信できるコンピュータ33と;
コンピュータ33に接続される制御ユニット35と
を含み、
制御ユニット35は、それぞれ磁気アクチュエータ9に関連する可変ミラー1の局所変形を制御するために、それぞれ磁気アクチュエータ9を個別に制御できる。
【0066】
上記の実施形態の何れか1つの可変ミラー1を予備成形できるようにする方法は、この前にも記載された製造ツールを用いる。方法は、重合時間が1分間を超える接着剤から製造される剛体の下部結合手段23を使用することが必要になる。方法は、以下の連続する段階、つまり;
接着層11を、可変薄膜2に固定する段階と;
上部結合手段22を、接着層11に固定する段階と;
それぞれ弾性連結手段12の上端13を、上部結合手段22を介して接着層11に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段12の下端14を、重合が1分間を超える接着剤からなる剛体下部結合手段23を介して、剛体板5,6のうちの少なくとも1つに固定する段階と;
剛体下部結合手段23を含む接着剤の重合中において、重合の全期間に所定形状の可変ミラー1の薄膜を予備成形するために可変性でなければならない磁気アクチュエータ9の
復帰力を、閉ループが制御および最適化する段階と
を含む。
【0067】
可変ミラー1の上記の実施形態に従って、剛体結合23を提供する接着剤は、数分の重合時間を有する。この時間は、可変ミラー1の据付けと較正に必要な時間、より詳細には用いられる制御および相互作用マトリックスの測定の時間に依存して1分間から3時間であることが可能である。
【0068】
この方法、およびこの方法を実行するデバイスは、例えば、制御を必要とせずに平面形の可変ミラーを得られるようにする。これによって、装置設置時に光学的配列を得難くする収差を誘発することで知られている、現行の技術水準の薄膜を備える磁気可変ミラーの欠点が、改善できるようになる。更に、重合が完了すると、この形状が受動的に得られる。これは、エネルギーを消費せず、コンピュータがいらないことを意味する。
【0069】
そのような製造方法は、任意の固定形を有する可変ミラーを提供すべく、巧妙に実行されることが可能である。磁石は、薄膜に接着剤で接着され、可変ミラーの形状は、重合中に加えられる力によって与えられる。コイルも、剛体板に固定されるが、可変ミラーの固定形状が得られると、コイルはもはや有用でなくなる。従って、有利には、磁気アクチュエータ9の構造のコイルは、櫛形要素上に配置されることが可能であり、要素は、剛体板内へ導入することと剛体板から除去することが可能である。これによって、コイルの費用を節約できるようになる。
【0070】
本発明のこの上に記載された実施形態は、実施例として与えられたものであり、限定されない。当然のことながら、当業者は、本発明の範囲内で種々の別の解決策および本発明のそのような実施形態の様々な組合せを提供し得る。
【0071】
従って、先に述べた実施形態は、非磁性アクチュエータ、例えば機械的および圧電的アクチュエータ並びに種々の様式のアクチュエータの任意の組合せに同じように構成される。
【0072】
最後に、本発明は、剛体結合の重合段階中に可変ミラーに初期形状を与えるべく実行され得るが、この形状は、その後に変形可能であるか、または完全に固定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型剛体を備えた可変ミラー、可変ミラー製造ツール、および可変ミラー製造方法に関する。
本発明は、アクチュエータまたは操作者に関わる可変ミラーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の技術水準において、アクチェータの構造を含む可変薄膜ミラーは、公知である。そのような可変ミラーは、薄膜の直径が増加すると、共鳴振動数が減少し、そのため、周波数応答に関して、有意な性能を備える直径が大きな可変ミラーを製造できないようにすることを特徴とする。先行技術の可変ミラーは、従って薄膜の直径、その張力およびその共鳴振動数の間で妥協した物に制限される。実のところ、十分な共鳴振動数を得るために、薄膜の直径を減らすか、薄膜の張力を増やすことが必要である。この制限は、可変ミラーの剛体が何よりも重要なことによって生じ、このため、可変ミラーは、局所的に変形すると、その振動を局在化したやり方では十分に伝送されない。
【0003】
現行の技術水準において、面を変形させるべくアクチュエータを備えた構造に対応する解決策が提供されている(特許文献1参照)。この構造は更に、可変薄膜と;可変薄膜の反対面に対向して位置するメッシュと;それぞれ作動面を備えるアクチュエータと;作動接続部のメッシュとを備える。それぞれ作動接続部は、メッシュの1つのアクチュエータのそれぞれの作動面と、前記作動面に対向する第2面上のそれぞれの点とに連結される。それぞれ作動接続部は、異方性剛体を備え、第2面に対して垂直な動きを伝送する。
【0004】
この解決策は、薄膜共鳴振動数を最適化できるようにするが、実行は難しい。より具体的には、種々の要素の組立てが難しくなるので、機械交差が高いことを暗示する。同様に、この解決策の可変ミラーは、幾つかの要素ブロックを含む。最後に、この解決策は、第2可変面を利用する必要があるので、無視できない追加費用がかかる。
【0005】
現行の技術水準において、基部と;第1集光面と反対後面を備える微細光学基板と;基板の後面と基部を共に連結する弾性手段と;弾性連結手段内に置かれた少なくとも1つのアクチュエータとを含む可変ミラーの支援システムに対応する解決策が提供される(特許文献2参照)。弾性連結手段は、光学基板の形状を制御可能に変形させるために、基部と光学基板の間に接続される。弾性連結手段は、少なくとも1つのアクチュエータを部分的にのみ含む弾性基盤を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/050283号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5,831,780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この解決策の主要な欠点は、実施形態を実行するのが非常に難しいことである。直径が約数十cmの可変ミラーの他には、この解決策を適応することができない。この解決策は、可変ミラーが宇宙に送られる場合に被り得る変形を相殺することのみを目指しているので、アクチュエータによる補正度数も低い。
【0008】
従って、先行技術の解決策の欠点は、十分な補正度数と簡単な可変ミラーの製造方法を維持しながら有意な共鳴振動数を得ることが、所定直径の可変ミラーにおいては不可能なことにある。
【0009】
本発明の目的は、可変ミラーの構成要素の全ての簡単な組立てを可能にすると共に、アクチュエータの位置での機械公差の要件を減らしながら、薄膜の面全体に薄膜の剛体を分散させる弾性構造を提供することにある。よって、現行技術水準の欠点は、改善される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明は、反射面と反対面を有する可変薄膜と;剛体板と;および少なくとも1つのアクチュエータとを含む可変ミラーを提供する。アクチュエータの少なくとも1つは、剛体板 に固定され、可変薄膜を変形させることができる。可変ミラーは更に、可変薄膜の反対面に接触する必ずしも均一ではない接着層と;機械的接続手段と;および少なくとも1つの弾性連結手段とを含む。弾性連結手段は、機械的接続手段の上端を接着層に連結する上部結合手段と、機械的接続手段の下端を剛体板に連結する下部結合手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の特定の実施形態に従って、全て弾性連結手段は、アクチュエータ間に配置されうる。
本発明の別の実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段12は、アクチュエータ9の位置に位置決めされる。
【0012】
別の実施形態に従って、全ての弾性連結手段12は、アクチュエータ9の位置に配置される。
有利には、少なくとも1つの機械的接続手段は、剛体板の面に対して垂直に延びる剛体棒である。
【0013】
有利には、アクチュエータの位置に配置された弾性連結手段の少なくとも1つは、接着層からアクチュエータを分離する弾性の第2結合手段を含む。
有利には、アクチュエータの位置に配置された前記弾性連結手段の少なくとも1つは、第1機械的接続手段を接着層から分離する第2機械的接続手段を含む。弾性連結手段は、前記接着層を貫通する。
【0014】
好ましくは、第2機械的接続手段は、剛体板の面に対して垂直に延びる剛体棒からなる。
特定の実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段は、第1剛体板の下方に位置する第2剛体板に固定される。第1剛体板は、弾性連結手段の位置に、ドリルで貫通孔が開けられる。
【0015】
別の特定の実施形態に従って、アクチュエータの位置に配置された弾性連結手段のうちの少なくとも1つは、第1剛体板の下方に位置する第2剛体板に固定される。第1剛体板と、第2剛体板に固定される対応するアクチュエータの中心とは、機械的接続手段の位置において、ドリルで穴が開けられる。
【0016】
有利には、下部結合手段は、第2剛体板にドリルで事前設定可能な深さまで開けられた穴の内部に形成される、接着剤の層からなる。
特定の一実施形態に従って、少なくとも1つの弾性連結手段は、機械的接続手段と下部結合手段の間に、調整可能空間(凹部)を含む。
【0017】
第1実施形態に従って、それぞれ下部結合手段は、1分間を超える重合時間を有する接
着剤からなる剛体結合手段である。それぞれ上部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性接続手段である。
【0018】
第2実施形態に従って、それぞれ下部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、それぞれ上部結合手段は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段である。
【0019】
第3実施形態に従って、それぞれ下部結合手段と上部結合手段は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段である。
本発明はまた、可変ミラーを製造する製造ツールを提供する。製造ツールは、
平行光線を発生する照明装置と;
波面センサと;
照明装置から生じる光の方向を、可変ミラーと波面センサの間で分割できるようにする分割キューブと;
設定点ユニットと;
波面センサと設定点ユニットそれぞれから伝送されたデータを、受信できるコンピュータと;
それぞれアクチュエータに関連する部分の前記可変ミラーの局所変形を制御するために、それぞれアクチュエータを個別に制御できるように、前記コンピュータに接続される制御ユニットと
を含む。
【0020】
最後に本発明は、製造ツールを用いて可変ミラーを予備形成する製造方法を提供する。製造方法は、
接着層を、可変薄膜に固定する段階と;
上部結合手段を、接着層に固定する段階と;
それぞれ弾性連結手段の上端を、上部接続手段を介して、接着層に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段の下端を、重合時間が1分間を超える接着剤からなる下部剛体結合手段を介して、剛体板に固定する段階と;
下部剛体結合手段を構成する接着剤の重合中、前記重合の全期間に所定の形状に従って可変ミラーの可変薄膜を予備成形するため、閉ループによって、可変ミラーのアクチュエータの復帰力を制御および最適化する段階と
を連続して含む。
【0021】
当然のことながら、アクチュエータによって生じ得る力に対応する力の作用下で、接続部の伸張が5nm以上である場合、接続は弾性である。そのような動きは、現行技術水準の波面センサにおいて観察され得る動きに、対応する。同様に当然のことながら、そのような伸張が同期間中に5nm未満である場合、その接続は剛体である。
【0022】
本発明は、アクチュエータまたは操作者によって実行されることが可能である。アクチュエータのみを、以下で述べることにする。
本発明は、添付の図面と共に、非制限的例示実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことでより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アクチュエータの周囲に、棒の機械的接続手段を備える本発明の第1実施形態の可変ミラーの三次元図。
【図2】本発明の第1実施形態の、磁気アクチュエータの構造の平面図。
【図3】本発明の第1実施形態の、可変ミラーの断面図。
【図4】アクチュエータに接触して棒の機械的接続手段を備えた、本発明の第2実施形態の可変ミラーの断面図。
【図5】弾性接着剤の二重層を含む機械的接続手段を備える、本発明の第3実施形態の可変ミラーの断面図。
【図6】2本棒の機械的接続手段を備える、本発明の第4実施形態の可変ミラーの断面図。
【図7】2つの剛体板上に分散されたアクチュエータに対応する機械的接続手段を備える、本発明の第5実施形態の可変ミラーの断面図。
【図8】アクチュエータの下方に2本棒の機械的接続手段の下端を備える、本発明の第6実施形態の可変ミラーの断面図。
【図9】アクチュエータの下方に棒の機械的接続手段の下端を備える、本発明の第7実施形態の可変ミラーの断面図。
【図10】剛体上部結合手段と弾性下部結合手段を備える、本発明の第8実施形態の可変ミラーの断面図。
【図11】上部と下部の弾性結合手段を備える、本発明の第9実施形態の可変ミラーの断面図。
【図12】事前に設定された深さの弾性接着剤を備える、本発明の第10実施形態の可変ミラーの断面図。
【図13】本発明の可変ミラーの製造および制御を可能にする装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜図3は、本発明の第1実施形態の可変ミラー1を示す。この可変ミラー1は、可変薄膜2、剛体板5、磁気アクチュエータ9の構造および弾性連結手段12の構造から成る。
【0025】
可変薄膜2は、2つの面、つまり反射面3と反対面4を有する光学基板である。本実施形態において、光学基板はシリコン型でできており、可変薄膜2の厚さは、20μmである。別の実施形態において、光学基板は、カプトン型でできている。
【0026】
剛体板5は、最初は変形されていない可変薄膜2の面に平行に位置する平板である。剛体板5は、例えばアルミニウムか任意の他の材料から製造されることが可能である。
それぞれ磁気アクチュエータ9は、磁石7、コイル8、およびコイル8によって生じる磁場を制御する磁場制御装置(図示略)を含む。
【0027】
それぞれ磁石7は、可変薄膜2と一体になっている。それぞれコイル8は、対応する磁石7に対向する剛体板5に少なくとも部分的に固定される。この実施形態において、磁石7は、直径850μm、厚さ250μmであり、コイル8は、1.7mmの外径を有する。
【0028】
磁石7の付近でコイル8によって生じ、更に可変ミラー1のユーザによって制御される磁場に依存して、磁石7は、コイル8に引き付けられるか、押しのけられる。磁場は、磁石7を、剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿って動かす。磁石7は、可変薄膜2と一体になっており、可変薄膜2は、磁石7の作用を受ける領域の位置で、局所的に変形される。
【0029】
磁気アクチュエータ9を制御する磁場制御装置は、設定点に対して閉ループで作動し、可変薄膜2に特定の形状を与えるようにする。
有利には、磁気アクチュエータ9は、均一な分布マトリックスに従って、可変薄膜2を覆う面全体に配置される。対応する可変薄膜2の領域のうちのそれぞれ1つの変形に及ぼすそれぞれ磁気アクチュエータ9の影響は、従って同じである。そのため磁気アクチュエータ9の影響機能は、同一の空間的伸張を有する。複数の磁気アクチュエータ9同士の間
の距離は、この実施形態において2.5mmになる。
【0030】
接着層11は、可変薄膜2の反対面4に接触するように構成される。接着層11は、可変薄膜2の固化と、それぞれ磁石7の固定との双方を可能にすることによって、可変ミラー1の様々な要素から成るアセンブリを製造し易くする。接着層11は、必ずしも均一でなく、事実、接着層11に働く圧力に応じて、不均質になることがある。接着層11の厚さは、この実施形態において100μmになる。
【0031】
この接着層11は、弾性接着剤からなる。この接着剤は、エラストマ接着剤であり、そのシリコーンまたはポリウレタンの接着剤群は、その高い弾力性のためにニーズに対応する。そのため、接着層11は、接着層11に加えられる力に応じて均質になり難い。
【0032】
それぞれ弾性連結手段12は、磁気アクチュエータ9によって可変薄膜2が局所的に変形すると、その周波数応答を改善するために、可変薄膜2の剛体を分散できるようにする。
【0033】
それぞれ弾性連結手段12は、剛体板5と可変薄膜2の間を弾性的に接続できるようにする。この弾性連結手段12は、2つの末端、つまり可変薄膜2に連結される上端13と、剛体板5に連結される下端14とを備える。それぞれ弾性連結手段12は、複数の磁気アクチュエータ9同士の間に配置される。
【0034】
より正確には、それぞれ弾性連結手段12は、機械的接続手段21を含む。機械的接続手段21は、剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿って延びる剛体棒である。それぞれ剛体棒21は、この実施形態において100μm〜200μmの直径を有する。それぞれ弾性連結手段12はまた、機械的接続手段21の上端13に配置された上部結合手段22と、機械的接続手段21の下端14に配置された下部結合手段23という計2つの結合手段を有する。下部結合手段23は、剛体棒21の下端14を固定するために剛性である。
【0035】
それぞれ剛体結合手段23は、剛体棒21に沿った公差を取除くために、剛体板5の穴(凹部)に埋め込まれる。この剛体結合手段23は、剛体棒21が突っ込まれる接着剤からなる。
【0036】
別の実施形態において、剛体結合手段23は、剛体板5に固定される接着パッドである。
この接着剤は、ジュール効果から生じるコイル8における熱放散を防ぐために、熱拡張が小さい。ジュール効果から生じる熱放散が、剛体棒21を動かしてしまうと、制御不能な可変薄膜2の変形が引き起こされてしまう。また接着剤は、重合時間が大きいので、接着剤が硬化する前に可変薄膜2を成形できるようにする。これによって、幾何公差に対する制約が解除されるようになる。
【0037】
そのような接着剤は、熱膨張が低いことで知られる「エポキシ樹脂」接着剤群に属する。より具体的には、接着剤は、要素の組立ておよび可変ミラー1の特定の初期成形を可能にするために、重合時間が1分間を超える。接着剤は、最初に剛体板5の穴の中に置かれ、剛体棒21が接着剤に突っ込まれると、重合が起こる。
【0038】
弾性結合手段22は、機械的復帰機能を提供するために、弾性である。このため、弾性結合手段22は、接着剤のパッドである。そのような接着剤は、弾性接着剤であり、そのシリコーンまたはポリウレタン群は、その高い弾力性のため、ニーズに対応する。
【0039】
接着剤からなるバネの機械的復帰力は、剛体棒21の直径を介して容易に設定すること
が可能である。実のところ、復帰力は、接触面に比例する。即ち、接触面が弱いほど、可変薄膜2の変位は大きい。更に復帰力は、接着剤の他の定数パラメータ(厚さ、磁気アクチュエータ9の強度等)に比例する。
【0040】
この機械的復帰力はまた、他の定数パラメータを有する接着剤の分量によっても設定される。実のところ、接着剤の材料に弾力性があるので、同じ相対伸張に対して、接着パッドが厚くなるほど変形が大きくなるため、接着剤の分量が増加すると、その動きは増大する(バネの剛体も低下する)。
【0041】
可変ミラー1の弾性連結の構造を構成する機械的接続手段21は、容易に再生できると共に、変形をより局在化できる利点を提供する。
本実施形態はまた、機械的連結を減らしながら、複数の磁気アクチュエータ9同士の間の動きを増やせるようにする。
【0042】
更に本実施形態は、可変ミラー1の線形性を保存しながら、可変薄膜2の共鳴振動数を有意に増加できるようにする。共鳴振動数(一定の材料で)は、もはや可変ミラー1の寸法ではなく、剛体棒21同士の間の距離にのみ依存する。
【0043】
図4は、本発明の第2実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、もはや磁気アクチュエータ9の周囲ではなく、磁気アクチュエータ9の位置に弾性連結手段12が配置される点で、第1実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0044】
上部結合手段22は、磁石7の下に直接に形成され、剛体棒21の上端は、機械的復帰機能を提供するために上部結合手段22上に固定される。
下部結合手段23は、コイル8内に埋め込まれる。実際のところ、コイル8は、中心に銅線がない。そこでコイル8の中心にドリルで穴(凹部)が開けられ、最初に接着剤がコイル8の穴の中に置かれ、剛体棒21が接着剤内に突っ込まれると、重合が起こる。
【0045】
この実施形態の可変ミラー1は、影響関数の空間的伸張については性能を改善した。この改善は、除去力が適用力と同じ場所に位置するという事実から生じる。その結果、本発明の第1実施形態の可変ミラー1に対して、剛体棒21の位置で可変薄膜2の局所的変形を回避することがより容易になる。
【0046】
図5は、本発明の第3実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2弾性結合手段22’が、磁石7と接着層11の間に位置する点で、第2実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0047】
この実施形態は、可変ミラー1の他のパラメータを一定に維持しながら、可変薄膜2の変形を増大できるようにする、磁石7を取り囲む弾性接着剤22,22’の二重層を用いる。
【0048】
図6は、本発明の第4実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2剛体棒21’が、第2弾性結合手段22’と接着層11の間に置かれる点で、第3実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0049】
有利には、第1剛体棒21と第2剛体棒21’は、互いに同じ長さである。
この実施形態の本発明は、第2剛体棒21’が、直接に接着層11に侵入する点で識別される。その場合、この実施形態は、第2剛体棒21’のプリントが、磁石7のものよりも低いので、可変薄膜2に及ぼすプリント作用を減らせるようにする。接着剤の二重弾性結合によって、可変薄膜2の変形が増大できるようになる。
【0050】
図7は、本発明の第5実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、第2剛体板6が、第1剛体板5の下方に配置される点で、第4実施形態の可変ミラー1とは異なる。この第2剛体板6はまた、剛体棒21が固定される磁気アクチュエータ9の構造を備えるコイル8を含む。第1剛体板5は、このため、第2剛体板6に接続されるそれぞれ弾性連結手段12の位置に、ドリルで開けられた貫通孔を有する。
【0051】
この実施形態は、2つの位置にコイルを分散できるようにするので、複数の磁気アクチュエータ9同士の間の距離を減らせるようにする。有利には、磁気アクチュエータ9は、互いになお一層近づけ得るように、2つを超える数の剛体板上に配置されることが可能である。しかし剛体板の長さが有意になり、幾らかの歪みが生じ得るので、剛体板の数は制限される。
【0052】
結局、有利なやり方で、全体の寸法を減らせるようにし、従って複数の磁気アクチュエータ9同士の間の距離を減らせるようにするべく、複数の磁石7は、可変薄膜2に対して互いに異なる高さに配置される。
【0053】
図8は、本発明の第6実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。可変ミラー1は、弾性連結手段12の下端14が、第1剛体板5ではなくて、第1剛体板5の下方に位置する第2剛体板6に固定される点で、第4実施形態の可変ミラー1とは異なる。
【0054】
このため、コイル8は、第1剛体板5の面に対して垂直な軸線に沿ってドリルで貫通孔が開けられ、第1剛体板5も、コイル8のドリルの更に下方にドリルで貫通孔が開けられる。このため第1剛体棒21は、第1剛体板5とコイル8を通過する。弾性連結手段12の下端14が、第2剛体板6に連結されるのは、先の実施形態の剛体結合手段23を介して得られる。
【0055】
この実施形態の可変ミラー1は、コイル8周囲の熱放散領域に対して、結合点23を機械的接続手段21から遠ざけて配置することによる利点を有する。従って熱膨張現象は、有意に減少する。
【0056】
図9は、本発明の第7実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、可変ミラー1に適用される先の複数の実施形態の特徴を含む。弾性連結手段12は、例えば第2実施形態の1つの剛体棒21だけを含む。
【0057】
図10は、本発明の第8実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、本発明の先の実施形態に類似している。その違いは、結合手段22,23にある。
実際に下部結合手段23と上部結合手段22は、それぞれ剛体および弾性である。そのため結合手段22,23の特徴は、先の実施形態に対して逆になる。
【0058】
他の特定の実施形態において、結合手段22,23の特徴は、記載されるそれぞれ1つの他の実施形態において逆になる。
図11は、本発明の第9実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、本発明の先の実施形態に類似する。その違いは、結合手段22,23にある。
【0059】
実際のところ、下部結合手段23と上部結合手段22は、それぞれ弾性である。
本発明の他の特定の実施形態において、結合手段22,23は、記載されるそれぞれ1つの他の実施形態において弾性である。
【0060】
図12は、本発明の第10実施形態の可変ミラー1の断面図を示す。この実施形態は、
本発明の第8実施形態に類似している。その違いは、弾性結合手段23にある。
弾性結合手段23は、第2剛体板6にドリルで開けられた穴(凹部)からなる。穴は、弾性接着剤によっては完全には満たされない。何故なら、接着剤は、事前に設定された特定の深さに配置されるからである。
【0061】
作業が牽引/圧縮で実施される先の実施形態に反して、接着剤は、剛体棒21上に配置されるので、この実施形態は、剪断加工を可能にする。その時、復帰力は、接触面、従って剛体棒21の直径と接着剤パッドの高さに比例する。
【0062】
従ってこの実施形態は、接着剤の厚さを制御しながら、磁気アクチュエータ9の復帰力をパラメータ化させる。
更に、それぞれ磁気アクチュエータ9の動きを修正することも、従って可能である。実際に円形膜において、機械的接続のため、動きも縁の近くでより小さい。従って、縁および中心で接続をより弱くすることによって、それぞれ1つの磁気アクチュエータ9の動きの均質性を高めることができる。
【0063】
別の実施形態において、剛体棒21の少なくとも1つは、対応する剛体棒21の下方に位置する液圧チャンバ(凹部)またはガス状チャンバ(凹部)に固定されるので、可変薄膜2の形状を制約できるようにする。
【0064】
本発明の有利な実施形態において、可変薄膜2だけを剛体板5に固定すべく、磁気アクチュエータ9のマトリックスは、剛体板5から分離される。この実施形態は、精密仕様に対応する可変ミラー1成形の受託製造を、可能にする利点を有する。
【0065】
図13は、上記の実施形態の何れか1つの可変ミラー1を製造するツールを例示する。
この製造ツールは、
平行光線を発生できるようにする照明装置30と;
波面センサ32と;
可変ミラー1と波面センサ32の間で、照明装置30から生じる光の方向を分割できるようにする分割キューブ31と;
設定点ユニット34と;
波面センサ32と設定点ユニット34によって伝送されるデータを受信できるコンピュータ33と;
コンピュータ33に接続される制御ユニット35と
を含み、
制御ユニット35は、それぞれ磁気アクチュエータ9に関連する可変ミラー1の局所変形を制御するために、それぞれ磁気アクチュエータ9を個別に制御できる。
【0066】
上記の実施形態の何れか1つの可変ミラー1を予備成形できるようにする方法は、この前にも記載された製造ツールを用いる。方法は、重合時間が1分間を超える接着剤から製造される剛体の下部結合手段23を使用することが必要になる。方法は、以下の連続する段階、つまり;
接着層11を、可変薄膜2に固定する段階と;
上部結合手段22を、接着層11に固定する段階と;
それぞれ弾性連結手段12の上端13を、上部結合手段22を介して接着層11に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段12の下端14を、重合が1分間を超える接着剤からなる剛体下部結合手段23を介して、剛体板5,6のうちの少なくとも1つに固定する段階と;
剛体下部結合手段23を含む接着剤の重合中において、重合の全期間に所定形状の可変ミラー1の薄膜を予備成形するために可変性でなければならない磁気アクチュエータ9の
復帰力を、閉ループが制御および最適化する段階と
を含む。
【0067】
可変ミラー1の上記の実施形態に従って、剛体結合23を提供する接着剤は、数分の重合時間を有する。この時間は、可変ミラー1の据付けと較正に必要な時間、より詳細には用いられる制御および相互作用マトリックスの測定の時間に依存して1分間から3時間であることが可能である。
【0068】
この方法、およびこの方法を実行するデバイスは、例えば、制御を必要とせずに平面形の可変ミラーを得られるようにする。これによって、装置設置時に光学的配列を得難くする収差を誘発することで知られている、現行の技術水準の薄膜を備える磁気可変ミラーの欠点が、改善できるようになる。更に、重合が完了すると、この形状が受動的に得られる。これは、エネルギーを消費せず、コンピュータがいらないことを意味する。
【0069】
そのような製造方法は、任意の固定形を有する可変ミラーを提供すべく、巧妙に実行されることが可能である。磁石は、薄膜に接着剤で接着され、可変ミラーの形状は、重合中に加えられる力によって与えられる。コイルも、剛体板に固定されるが、可変ミラーの固定形状が得られると、コイルはもはや有用でなくなる。従って、有利には、磁気アクチュエータ9の構造のコイルは、櫛形要素上に配置されることが可能であり、要素は、剛体板内へ導入することと剛体板から除去することが可能である。これによって、コイルの費用を節約できるようになる。
【0070】
本発明のこの上に記載された実施形態は、実施例として与えられたものであり、限定されない。当然のことながら、当業者は、本発明の範囲内で種々の別の解決策および本発明のそのような実施形態の様々な組合せを提供し得る。
【0071】
従って、先に述べた実施形態は、非磁性アクチュエータ、例えば機械的および圧電的アクチュエータ並びに種々の様式のアクチュエータの任意の組合せに同じように構成される。
【0072】
最後に、本発明は、剛体結合の重合段階中に可変ミラーに初期形状を与えるべく実行され得るが、この形状は、その後に変形可能であるか、または完全に固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射面(3)と反対面(4)を有する可変薄膜(2)と;
剛体板(5)と;
少なくとも1つのアクチュエータ(9)と
前記反対面(4)に接触される必ずしも均一ではない接着層(11)と;
少なくとも1つの弾性連結手段(12)と
を備える可変ミラー(1)であって、
少なくとも1つの前記アクチュエータ(9)が前記剛体板(5)に固定されることによって、前記アクチュエータ(9)は前記可変薄膜(2)を局所的に変形させることができ、
前記弾性連結手段(12)は、
機械的接続手段(21)と;
前記機械的接続手段(21)の上端(13)を、前記接着層(11)に連結する上部結合手段(22)と;
前記機械的接続手段(21)の下端(14)を、前記剛体板(5)に連結する下部結合手段(23)と
を備えることを特徴とする、可変ミラー(1)。
【請求項2】
全ての前記弾性連結手段(12)は、複数の前記アクチュエータ(9)同士の間に配置される、
請求項1記載の可変ミラー(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記弾性連結手段(12)は、前記アクチュエータ(9)の位置に配置される、請求項1記載の可変ミラー(1)。
【請求項4】
全ての前記弾性連結手段(12)は、前記アクチュエータ(9)の位置に配置される、
請求項3記載の可変ミラー(1)。
【請求項5】
前記機械的接続手段(21)は、前記剛体板(5)の面に対して垂直に沿って延びる剛体棒である、
請求項1〜4何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)は、前記接着層(11)から前記アクチュエータ(9)を分離する弾性の第2結合手段(22’)を有する、
請求項3〜5何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)のうちの少なくとも1つは、前記接着層(11)から前記第2結合手段(22’)を分離する第2機械的接続手段(21’)を含み、
前記弾性連結手段(12)の上端は、前記接着層(11)を貫通できる、
請求項6記載の可変ミラー(1)。
【請求項8】
前記第2機械的接続手段(21’)は、前記剛体板(5)に対して垂直に延びる剛体棒である、
請求項7記載の可変ミラー(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記弾性連結手段(12)は、前記第1剛体板(5)の下方に位置する第2剛体板(6)に固定され、
前記第1剛体板(5)は、前記弾性連結手段(12)の位置において、ドリルで貫通孔が開けられる、
請求項3〜8何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項10】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)のうちの少なくとも1つは、前記第1剛体板(5)の下方に配置された第2剛体板(6)に固定され、
前記第1剛体板(5)と、前記第2剛体板(6)に固定された対応する前記アクチュエータ(9)の中心とは、前記機械的接続手段(12)の位置において、ドリルで穴が開けられる、
請求項3〜9何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項11】
前記下部結合手段(23)は、前記第2剛体板(6)にドリルで事前設定可能な深さまで開けられた穴の内部に形成された、接着剤の層によって形成される、
請求項10記載の可変ミラー(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの弾性連結手段(12)は、前記機械的接続手段(21)と前記下部結合手段(23)の間に位置する調整可能空間を有する、
請求項3〜11何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項13】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項14】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項15】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、前記機械的接続手段(21,21’)が貫通するように形成された前記接着層(11)からなる、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項16】
それぞれ前記下部結合手段(23)と前記上部結合手段(22)は、エラストマ接着剤によって構成される弾性結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項17】
請求項1〜16何れか一項記載の可変ミラー(1)を製造する製造ツールであって、前記製造ツールは、
平行光線を得られるようにする照明装置(30)と;
波面センサ(32)と;
前記照明装置(30)から生じる前記平行光線の方向を、前記可変ミラー(1)と前記波面センサ(32)の間で分割できるようにする分割キューブ(31)と;
設定点ユニット(34)と;
前記波面センサ(32)と前記設定点ユニット(34)からそれぞれ伝送されるデータを、受信可能なコンピュータ(33)と;
それぞれ前記アクチュエータ(9)に関連する前記可変ミラー(1)の局所変形を制御するために、前記アクチュエータ(9)をそれぞれ個別に制御可能なように、前記コンピュータに連結される制御ユニット(35)と
を備えることを特徴とする、可変ミラー(1)の製造ツール。
【請求項18】
請求項17記載の製造ツールを用いて、請求項1〜14何れか一項記載の可変ミラー(1)を予備成形する製造方法であって、前記製造方法は、
前記接着層(11)を、前記可変薄膜(2)に固定する段階と;
前記上部結合手段(22)を、前記接着層(11)に固定する段階と;
それぞれ前記弾性連結手段(12)の前記上端(13)を、前記上部結合手段(22)を介して前記接着層(11)に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段(12)の前記下端(14)を、重合時間が1分間を超える接着剤からなる前記下部剛体結合手段(23)を介して、前記剛体板(5,6)に固定する段階と;
前記下部剛体結合手段(23)を構成する前記接着剤が重合すると、前記重合の全期間に所定形状に従って前記可変薄膜(2)を予備成形するために、前記可変ミラー(1)の前記アクチュエータ(9)の復帰力を、閉ループによって制御および最適化する段階と
を含むことを特徴とする、可変ミラー(1)を予備成形する製造方法。
【請求項1】
反射面(3)と反対面(4)を有する可変薄膜(2)と;
剛体板(5)と;
少なくとも1つのアクチュエータ(9)と
前記反対面(4)に接触される必ずしも均一ではない接着層(11)と;
少なくとも1つの弾性連結手段(12)と
を備える可変ミラー(1)であって、
少なくとも1つの前記アクチュエータ(9)が前記剛体板(5)に固定されることによって、前記アクチュエータ(9)は前記可変薄膜(2)を局所的に変形させることができ、
前記弾性連結手段(12)は、
機械的接続手段(21)と;
前記機械的接続手段(21)の上端(13)を、前記接着層(11)に連結する上部結合手段(22)と;
前記機械的接続手段(21)の下端(14)を、前記剛体板(5)に連結する下部結合手段(23)と
を備えることを特徴とする、可変ミラー(1)。
【請求項2】
全ての前記弾性連結手段(12)は、複数の前記アクチュエータ(9)同士の間に配置される、
請求項1記載の可変ミラー(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記弾性連結手段(12)は、前記アクチュエータ(9)の位置に配置される、請求項1記載の可変ミラー(1)。
【請求項4】
全ての前記弾性連結手段(12)は、前記アクチュエータ(9)の位置に配置される、
請求項3記載の可変ミラー(1)。
【請求項5】
前記機械的接続手段(21)は、前記剛体板(5)の面に対して垂直に沿って延びる剛体棒である、
請求項1〜4何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)は、前記接着層(11)から前記アクチュエータ(9)を分離する弾性の第2結合手段(22’)を有する、
請求項3〜5何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)のうちの少なくとも1つは、前記接着層(11)から前記第2結合手段(22’)を分離する第2機械的接続手段(21’)を含み、
前記弾性連結手段(12)の上端は、前記接着層(11)を貫通できる、
請求項6記載の可変ミラー(1)。
【請求項8】
前記第2機械的接続手段(21’)は、前記剛体板(5)に対して垂直に延びる剛体棒である、
請求項7記載の可変ミラー(1)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記弾性連結手段(12)は、前記第1剛体板(5)の下方に位置する第2剛体板(6)に固定され、
前記第1剛体板(5)は、前記弾性連結手段(12)の位置において、ドリルで貫通孔が開けられる、
請求項3〜8何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項10】
前記アクチュエータ(9)の位置に配置された前記弾性連結手段(12)のうちの少なくとも1つは、前記第1剛体板(5)の下方に配置された第2剛体板(6)に固定され、
前記第1剛体板(5)と、前記第2剛体板(6)に固定された対応する前記アクチュエータ(9)の中心とは、前記機械的接続手段(12)の位置において、ドリルで穴が開けられる、
請求項3〜9何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項11】
前記下部結合手段(23)は、前記第2剛体板(6)にドリルで事前設定可能な深さまで開けられた穴の内部に形成された、接着剤の層によって形成される、
請求項10記載の可変ミラー(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの弾性連結手段(12)は、前記機械的接続手段(21)と前記下部結合手段(23)の間に位置する調整可能空間を有する、
請求項3〜11何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項13】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項14】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、重合時間が1分間を超える接着剤からなる剛体結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項15】
それぞれ前記下部結合手段(23)は、エラストマ接着剤からなる弾性結合手段であり、
それぞれ前記上部結合手段(22)は、前記機械的接続手段(21,21’)が貫通するように形成された前記接着層(11)からなる、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項16】
それぞれ前記下部結合手段(23)と前記上部結合手段(22)は、エラストマ接着剤によって構成される弾性結合手段である、
請求項1〜12何れか一項記載の可変ミラー(1)。
【請求項17】
請求項1〜16何れか一項記載の可変ミラー(1)を製造する製造ツールであって、前記製造ツールは、
平行光線を得られるようにする照明装置(30)と;
波面センサ(32)と;
前記照明装置(30)から生じる前記平行光線の方向を、前記可変ミラー(1)と前記波面センサ(32)の間で分割できるようにする分割キューブ(31)と;
設定点ユニット(34)と;
前記波面センサ(32)と前記設定点ユニット(34)からそれぞれ伝送されるデータを、受信可能なコンピュータ(33)と;
それぞれ前記アクチュエータ(9)に関連する前記可変ミラー(1)の局所変形を制御するために、前記アクチュエータ(9)をそれぞれ個別に制御可能なように、前記コンピュータに連結される制御ユニット(35)と
を備えることを特徴とする、可変ミラー(1)の製造ツール。
【請求項18】
請求項17記載の製造ツールを用いて、請求項1〜14何れか一項記載の可変ミラー(1)を予備成形する製造方法であって、前記製造方法は、
前記接着層(11)を、前記可変薄膜(2)に固定する段階と;
前記上部結合手段(22)を、前記接着層(11)に固定する段階と;
それぞれ前記弾性連結手段(12)の前記上端(13)を、前記上部結合手段(22)を介して前記接着層(11)に連結する段階と;
それぞれ弾性連結手段(12)の前記下端(14)を、重合時間が1分間を超える接着剤からなる前記下部剛体結合手段(23)を介して、前記剛体板(5,6)に固定する段階と;
前記下部剛体結合手段(23)を構成する前記接着剤が重合すると、前記重合の全期間に所定形状に従って前記可変薄膜(2)を予備成形するために、前記可変ミラー(1)の前記アクチュエータ(9)の復帰力を、閉ループによって制御および最適化する段階と
を含むことを特徴とする、可変ミラー(1)を予備成形する製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−503641(P2011−503641A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531559(P2010−531559)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001542
【国際公開番号】WO2009/092901
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510121536)
【氏名又は名称原語表記】UJF−FILIALE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001542
【国際公開番号】WO2009/092901
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510121536)
【氏名又は名称原語表記】UJF−FILIALE
【Fターム(参考)】
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