分散型発電インターフェース
本明細書において、分散型発電の電圧および電流に対応する信号を受け取り、分散型発電の電圧を制御するための信号を電力回路に出力する、最大電力点追従装置を含む第1の部分と、電力回路、配電グリッドの電圧および電流、ならびにインバータ電流に対応する信号を受け取り、電力回路の出力電圧を制御するための信号を出力する、電流基準生成器、電流制御装置、および直流電圧制御装置を含む第2の部分とを含み、電流基準生成器が、非線形回路素子を含み、かつ電力回路の直流電圧ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成し、結果として、実質的に高調波のない電力が配電グリッドに注入される、分散型発電を配電グリッドと接続する電力回路の制御装置のための方法、システム、および装置について説明する。分散型発電は、例えば光起電力モジュールや風車などとすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、風車ならびに光起電力セルおよび光起電力モジュールなどの分散型発電を配電グリッドと接続するための回路、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
風車や光起電力(PV)セルまたは光起電力モジュールと共に使用されるような分散型発電が、重要な再生可能エネルギー資源になりつつある。そのような発電は、3つの基本要素(すなわち、インバータ、出力フィルタ、および制御機構)の様々な構成で配電グリッドに接続され得る。あらゆる手法に利点と欠点があり、それらの手法は、高調波およびノイズ除去能力、簡潔性、効率性、柔軟性、信頼性、安全性、モジュール性、費用などの様々な属性に折り合いをつけたものである。
【発明の概要】
【0003】
概要
本明細書において説明するのは、分散型発電の電圧および電流に対応する信号を受け取り、電力回路に分散型発電の電圧を制御するための信号を出力する、最大電力点追従装置を含む第1の部分と、電力回路の直流電圧、配電グリッドの電圧および電流、ならびにインバータ電流に対応する信号を受け取り、電力回路の出力電圧を制御および/または変更するための信号を出力する、電流基準生成器、電流制御装置、および直流電圧制御装置を含む第2の部分とを含む、分散型発電を配電グリッドと接続する電力回路のための制御装置であって、電流基準生成器が非線形回路素子を含み、かつ電力回路の直流電圧ならびにグリッドの電圧および/または電流から電流基準信号を生成し、結果として実質的に高調波のない電力が配電グリッドに注入される、制御装置である。一態様において、電流基準生成器は、電力回路の直流電圧およびグリッド電圧から電流基準信号を生成する。
【0004】
一態様において、電流基準生成器は、(i)瞬時電力基準信号を生成する瞬時電力計算器を含み、(ii)非線形回路素子を使用して、瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する。
【0005】
制御装置は、改良型位相同期ループ(EPLL)を含んでいてもよい。EPLLは、瞬時電力基準信号を生成するのに使用されるグリッド電圧の位相角を提供し得る。
【0006】
一態様において、瞬時電力計算器は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出してもよい。有効電力コマンドおよび無効電力コマンドは外部から設定されてもよい。有効電力コマンドは、直流リンク電圧誤差または直流リンクエネルギー誤差に対して動作する内部PI制御装置によって生成されてもよい。無効電力コマンドは、電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置によって生成されてもよい。
【0007】
一態様において、電流基準生成器は、コンデンサエネルギー計算器、ノッチフィルタ、および少なくとも一つのPI制御装置を含み、EPLLをさらに含んでいてもよい。EPLLは、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成し得る。ノッチフィルタは二重周波数に対して動作し得る。
【0008】
一態様において、第1のPI制御装置は、(i)基準エネルギー信号と(ii)電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの並列信号と乗算して電流基準信号の有効電流成分を生成する。
【0009】
一態様において、第2のPI制御装置は、(i)基準無効電力信号と(ii)電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの直交信号と乗算して電流基準信号の無効成分を生成する。
【0010】
電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を含んでいてもよい。電流制御装置は、ソフトスタート動作を実現するためにグリッド電圧に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびフィードフォワード部分を含んでいてもよい。電流制御装置は一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバックを含んでいてもよく、各共振型出力フィードバック部分はグリッド電圧の高調波に対応し得る。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびソフトスタートフィードフォワード制御装置を含んでいてもよい。
【0011】
電流制御装置は、注入電流から直流成分を除去するためにグリッド電流信号に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および積分制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および一つまたは複数の共振型制御装置を含んでいてもよく、これらはグリッド電流信号に対して動作して、注入電流から選択される高調波を除去し、基準電流信号からもたらされ得る高調波を排除する。電流制御装置は、幅広い周波数範囲内のすべての高調波を抑圧するために共振型制御装置と並列または直列の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および広帯域高調波制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、幅広い周波数範囲内のすべての高調波を抑圧するためにグリッド電圧に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および広帯域フィードフォワード高調波補償器を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、ならびに前述の制御構造および補償構造の任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0012】
電流制御装置は、グリッド電流に作用する一つまたは複数の共振型高調波制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、グリッド電流に作用する積分制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型制御装置と並列の、または共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置を含んでいてもよい。広帯域高調波制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。電流制御装置は、グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器を含んでいてもよい。広帯域フィードフォワード高調波補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。電流制御装置は、上記制御装置のいずれかの部分を、単独で、または組み合わせとして含んでいてもよい。
【0013】
また本明細書においては、本明細書において説明する制御装置とインバータを含む電力回路とを含む、分散型発電をグリッドと接続するためのマイクロインバータシステムも説明する。
【0014】
一態様において、電流制御装置は、電力回路の出力フィルタを介して実質的に高調波のない電力の流れを制御する。フィルタはインダクタとすることができる。フィルタは、誘導性素子と容量性素子の組み合わせを含んでいてもよい。フィルタはLCLとすることもできる。
【0015】
また本明細書においては、本明細書において説明するマイクロインバータシステムを含むPVモジュールも説明する。
【0016】
また本明細書においては、分散型発電の電圧および電流に対応する信号を使用して分散型発電の電圧を制御する工程、電流基準信号を生成し、(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流とに対応する信号を使用して電力回路の出力電圧を制御する工程を含み、電流基準信号を生成する工程が、非線形回路素子を備える電流基準生成器を使用する工程を含み、結果として実質的に高調波のない電力が配電グリッドに注入される、分散型発電を配電グリッドと接続する電力回路を制御するための方法も説明する。電流基準信号を生成し、電力回路の出力電圧を制御する工程は、(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流ならびにインバータ電流とに対応する信号を使用する工程を含んでいてもよい。
【0017】
電力回路の出力電圧は、電力回路のインバータを制御することによって制御されてもよい。インバータは、電流源インバータまたは電圧源インバータとすることができる。
【0018】
一態様において、方法は、瞬時電力基準信号を生成する工程、および非線形回路素子を使用して瞬時電力基準信号とグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、グリッド電圧の位相角を使用して瞬時電力基準信号を生成する工程を含んでいてもよい。
【0019】
一態様において、方法は、位相同期ループまたはEPLLを使用してグリッド電圧の位相角を提供する工程を含む。
【0020】
方法は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する工程を含んでいてもよい。方法は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを外部から設定する工程を含んでいてもよい。方法は、直流リンク電圧誤差に対して動作する内部PI制御装置により有効電力コマンドを生成する工程を含んでいてもよい。方法は、電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置により無効電力コマンドを生成する工程を含んでいてもよい。
【0021】
別の態様において、方法は、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、並列信号と乗算される、基準エネルギー信号と電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差から、電流基準信号の有効電流成分を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、直交信号と乗算される、基準無効電力信号と電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差から、電流基準信号の無効成分を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、EPLLを使用してグリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含んでいてもよい。
【0022】
別の態様において、方法は、電流制御装置において共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程、または電流制御装置において2つ以上の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程を含んでいてもよい。各共振型出力フィードバック部分は、グリッド電圧の高調波に対応し得る。方法は、フィードフォワードソフトスタート制御装置を使用する工程をさらに含んでいてもよい。方法は、グリッド電流に作用する一つまたは複数の共振型制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、グリッド電流に作用する積分制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、共振制御装置と並列の広帯域高調波制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、共振制御装置と直列の広帯域高調波制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。広帯域高調波制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。方法は、グリッド電圧に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器を使用する工程を含んでいてもよい。広帯域フィードフォワード高調波補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。
【0023】
本明細書で説明する局面、態様、および方法において、分散型発電は、少なくとも一つのPVモジュール、または少なくとも一つの風車、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよく、インバータは、電流源インバータまたは電圧源インバータとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明をより良く理解するために、また本発明がどのようにして実行され得るかを示すために、次に、例として添付の図面を参照して各態様を説明する。
【0025】
【図1】一態様による、PVモジュールに適用されるマイクロインバータシステムを示すブロック図である。
【図2】一態様による、図1に示すようなマイクロインバータシステムの制御部のマイクロインバータおよび電流基準生成器を示すブロック図である。
【図3】別の態様による、図1に示すようなマイクロインバータシステムのマイクロインバータおよび制御部を示すブロック図である。
【図4】図2または3に示すような制御部のための改良型位相同期ループ(EPLL)ブロックの一態様を示すブロック図である。
【図5】本明細書において説明する改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6A】本明細書において説明する歪みグリッド電圧のための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6B】本明細書において説明するグリッド電流から直流信号を除去するための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6C】本明細書において説明する歪みグリッド電圧および歪み基準信号のための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6D】本明細書において説明する広周波数帯域における高調波を抑圧するために制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6E】本明細書において説明する広周波数帯域における高調波を補償するために制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図7】従来の状態フィードバック設計において、出力フィルタコンデンサ電圧がフィードバック信号として使用され、または使用されないときの、閉ループ極の位置のずれを示すグラフである。
【図8A】0.5mHから1mHまでのグリッド側のインダクタンスの変化に対する従来の制御装置の感受性および不安定性を示すグラフである。
【図8B】0.5mHから20mHまでのグリッド側のインダクタンスの変化に対する制御部の一態様のロバスト性および安定性を示すグラフである。
【図9A】本明細書において説明する改善型LQR法を使用して設計された閉ループ極の軌跡を示す図である。
【図9B】異なる設計反復についての閉ループシステムの応答特性の発展を示す図である。
【図10A】サンプルPVシステムにおける入力照射の段階的変化についてのグリッド高調波なしのマイクロインバータシステムの性能を示す図である。
【図10B】サンプルPVシステムにおける入力照射の段階的変化についてのグリッドが歪んでいるときのマイクロインバータシステムの性能を示す図である。
【図11】有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを追従する際のマイクロインバータシステムの性能、(a)有効および無効コマンド、(b)グリッドの電圧(実線)および電流(破線)、(c)瞬時電力誤差を示す図である。
【図12】グリッド周波数変動に対するマイクロインバータシステムの性能、(a)グリッドの電圧(実線)および電流(破線)、(b)瞬時電力誤差、(c)推定周波数を示す図である。
【図13】グリッド電圧の高調波およびノイズに対するマイクロインバータシステムの性能、(a)グリッド電圧、(b)グリッド電流を示す図である。
【図14】入力電力が100Wから200Wまで段階的に進むときのマイクロインバータシステムの一態様(実線)と従来の設計(破線)との出力電流の振幅を示す図である。
【図15】図15(a)は、ループ内の信号が直流項および二重周波数項を含む直流バス制御ループの一態様を示す図である。図15(b)は、簡略化された線形ループの一態様を示す図である。
【図16A】EPLLと従来のPLLとの性能を比較した結果を示すグラフである。
【図16B】EPLLと従来のPLLとの性能を比較した結果を示すグラフである。
【図17】本明細書において説明するソフトスタートフィードフォワード制御装置なしとありでのシステムの性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
態様の詳細な説明
分散型発電は、3つの基本要素、すなわちインバータ、出力フィルタ、および制御の、様々な構成として配電グリッドに接続され得る。インバータトポロジおよび出力フィルタの選択は、全般的システム性能およびシステムの動作に直接の影響を及ぼす。例えば高次フィルタは、回路構成要素のサイズおよび重量を大幅に低減させることができるが、同時に安定性の問題も生じ得る。その場合は、そのような問題を克服し、システムの所望の性能を回復するために強力な制御システムが必要とされる。そのような制御システムは、適切な制御が実現され得るようにシステム変数を測定するためのセンサを必要とし得る。複雑さと費用を低減するためには、最小限の数の測定センサが用いられるべきである。しかし、現在利用できる解決策は複雑なハードウェアおよび制御システムを有し、そのためシステム全体が高価になり、発電機からの電力抽出の効率が最大化されない。
【0027】
本明細書において説明するのは、分散型発電を配電グリッドと接続するためのシステムである。システムは、本明細書においては「マイクロインバータシステム」ともいい、電力部と制御部とを含む。電力部は一つまたは複数の分散型発電機から電力を獲得し、電力をグリッドに注入するためのインバータを含む。一態様において、分散型発電機は、一つまたは複数のPVセルまたはPVモジュールである。また電力部は、インバータの出力電流におけるスイッチングリプルを減衰させるための出力フィルタも含む。出力フィルタは、単純なインダクタ(L)とすることもでき、例えばLCLフィルタなどの一つまたは複数のインダクタと一つまたは複数のコンデンサ(C)との組み合わせとすることもでき、任意の類似の高次フィルタとすることもできる。制御部は、インバータからの出力電力を制御し、グリッドへの高品質の(すなわち、実質的に位相整合された、実質的に高調波のない)電力の注入を保証する。すなわち、グリッドに注入される電力は、全高調波歪み(THD)および位相整合を含む、電力品質についての国家的または国際的電力機関の仕様および標準に従う。例えば、本明細書において説明する技法は、電力機関の仕様および標準によって規定されるように、電流のTHDが、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満になるように分散型発電に適用され得る。
【0028】
本発明の態様は本明細書においては主に配電グリッドに関して説明されているが、本発明はそれだけに限定されるものではないことが理解されるであろう。すなわち、各態様は、インターフェースが発電と電気負荷との間のものである独立型用途において使用されてもよい。独立型用途の一例がオフグリッド用途である。独立型の一態様では、負荷の電圧および電流が感知され、本明細書において説明する技法またはその変形を使用して、負荷に送電される電力を調整するのに使用され得る。
【0029】
異なる状況下にある分散型発電システムの総合効率を高めるためには、独立の制御および電力抽出が発電機ごとに必要とされる。例えば、PVモジュールを使用した分散型発電では、PVモジュールの部分日影および/またはPVモジュール間の不整合が、システムの総合効率を高めるために独立の制御および電力抽出を必要とする要因である。
【0030】
これは、本明細書において説明する局面および態様によれば、PVパネルごとに電力部および制御部を含む別個のマイクロインバータシステムを使用することによって達成され得る。典型的には、マイクロインバータシステムは、コンパクトかつロバストであり、そのためPVパネルに取り付けることも可能である。マイクロインバータシステムは、高くつく高電圧直流配線を必要とせず、PVモジュールの部分日影を回避することができないPVモジュールなどの分散型発電用途に適する。というのは、最大電力点追従(MPPT)がPVモジュールごとに独立に実行されるからである。マイクロインバータシステムは、PVモジュール間の不整合損を回避する。この技術のモジュール性のおかげで、PVモジュールは「プラグアンドプレイ」方式で追加することもできる。加えて、マイクロインバータシステムは大量生産されてもよく、これによりコストが低減される。さらに、システムの少なくともいくつかの部分はFPGAを使用して実施されてもよく、これによってシステムは一層コンパクトかつロバストなものになる。
【0031】
本明細書において使用する場合、「dc」という用語は直流を指し、「DC」という用語と同義である。
【0032】
本明細書において使用する場合、「PVセル」および「PVモジュール」という用語は区別なく使用され、同義である。
【0033】
本明細書において使用する場合、「コマンド」という用語は、基準信号を指す。
【0034】
本明細書において使用する場合、「分散型発電」という用語は、配電グリッドに対して分散されている発電を指す。分散型発電の例には、それだけに限らないが、PVモジュールおよびそのアレイ、風車およびそのアレイなどが含まれる。
【0035】
各態様は本明細書においては主にPVモジュールに関して説明されているが、これらの態様は、風車などの別の種類の分散型発電に適用されるか、またはそれらと共に使用するために適合されてもよいことが理解されるであろう。
【0036】
分散型発電を配電グリッドと接続するためのマイクロインバータシステムの一態様が図1のブロック図に示されている。この態様は、(一つまたは複数の)PVセル10の両端に並列に接続された入力コンデンサCPVと、入力コンデンサの両端に並列に接続された第1段20と、第1段出力の両端に並列に接続された第2のコンデンサC1と、インバータを含む第2段30と、L1、C2、およびL2を含む出力LCLフィルタとを含む電力部を含む。第1段20は、一つまたは複数のスイッチを含んでいてもよく、入力コンデンサCPV電圧を調整するのに使用され、入力電圧振動を除去し、大きな入力コンデンサの必要性を回避する。図1の態様において、制御部40は、最大電力点追従装置50と、第1段20および第2段30におけるスイッチを駆動するためのゲート信号を生成することによりグリッドへの電力潮流を制御するための回路とを含む。例えば、制御部40は、図1に示し、以下で説明するように、PV出力電圧VPVを制御するための段52と、直流コンデンサ電圧Vdcを制御するための段54と、改良型パルス幅変調(PWM)制御装置56と、配電グリッドへの電力注入を制御するための出力電流制御装置58とを含む。
【0037】
マイクロインバータシステムの電力部の第2段30は、電流源インバータ(CSI)または電圧源インバータ(VSI)を含んでいてもよい。例えば、単純な誘導性フィルタまたはLCLフィルタなどの高次フィルタを使用して、電圧源インバータがグリッドに接続されていてもよい。そのようなフィルタは、インバータによって生成されて注入電流に移されるスイッチング周波数リプルを減衰させる。単純なLフィルタでは、減衰は20 log(ωsL)dBである。例えば、L=10mH、fs=50kHzの値では、減衰は約70dBである。同レベルの(またはより多くの)フィルタリングを提供するのにずっと小型の回路素子で済む高次出力フィルタが使用されてもよい。例えば、図1に示すような、インダクタンスL1(インバータ側)、キャパシタンスC2、およびインダクタンスL2(グリッド側)を有するLCLフィルタを考える。L1=L2=220μH、C2=2.2μFでは、そのようなフィルタは、50kHzのスイッチング周波数においてL=10mHに等しい単一のインダクタンスのように働くことが示されている。よってLCLフィルタは実質的に回路構成要素のサイズを低減する。例えばこの例では、インダクタのサイズは約22.7分の1に低減され得る。
【0038】
本明細書において説明する分散型発電を配電グリッドと接続するためのシステムの別の態様が、図2のブロック図に示されている。図2には、制御部の一態様の詳細が示されている。一般に、制御部は、瞬時電力基準計算器60と、φvを算出する改良型位相同期ループ(EPLL)70と、マイクロインバータのための基準電流を算出することをタスクとする基準電流生成器80とを含む。そのような基準電流は、正確な有効(active)電力レベル(すなわち有効(real)電力レベル)および無効電力レベルがグリッドに注入されるようにするために、閉ループ(非線形)機構において適正に調整される。図2の態様において、瞬時電力基準計算器60は有効電力および無効電力のコマンドを受け取り、瞬時電力基準信号を生成する。
【0039】
従来の手法は有効電力の生成を考慮するにすぎないことが知られているのに対して、本明細書において説明する態様は有効電力および無効電力の両方の生成を実現し得る。無効電力制御は多くの場合、ユーティリティシステムがない場合に負荷無効電力需要がDGシステムによってしか供給され得ない、独立型用途およびマイクログリッドシステムにおいて必要とされる。有効電力および無効電力の両方の生成が、別の回路を必要とせずに達成される。有効電力のための基準は、例えば、直流コンデンサ電圧Vdcの誤差に対して動作する単純なPI制御装置などによって生成され得る。性能結果のサンプルが図11に示されており、図11(a)には基準有効電力信号および基準無効電力信号が示されており、図11(b)にはグリッドの電流信号(破線)および電圧信号(実線)が示されており、図11(c)には瞬時電力誤差が示されている。
【0040】
本明細書において説明する制御部の別の態様が図3のブロックに示されている。この制御装置の一特徴は、従来の方法においてなされるような直流リンク電圧の制御ではなく、直流リンクエネルギーの制御である。図3において、定数Kは、電圧からエネルギー変数を生成するために0.5C1に等しい。しかし、一般に定数は、制御装置設計に含まれている任意の数とすることができる。エネルギー変数を使用した結果として、制御ループは線形になり、他方、従来の手法では、制御ループは非線形である。(詳細な数学的証明を以下に示す。)非線形ループは設計のために線形化を必要とし、信号変動が大きい場合に制御装置の性能および安定性を制限する。制御変数として直流リンク電圧ではなく直流リンクエネルギーを使用することには2つの利点がある。一つの利点は、全般的な安定性を保証するパラメータ集合の設計を容易にすることである。第2の利点は、直流リンク電圧が二重周波数を有すると共に高次のリプルも有するのに対して、直流リンクエネルギーが二重周波数リプルだけを有することから生じる。よって、この態様において使用されるノッチフィルタ(図3参照)は、エネルギー信号が使用されるときにリプルを完全に阻止する。図14に、入力電力が100Wから200Wまで段階的に進むときの従来の方法(破線)および本制御法の態様(実線)についての出力電流の振幅を示す。従来の方法では、電流の振幅は、グリッド電流上で3次および5次の高調波に変換される4次の高調波を有することがわかる。
【0041】
図3の制御部の態様の別の特徴は、有効電力および無効電力に対する独立制御である。これは、改良型位相同期ループ(EPLL)によって提供される電圧直交信号によって実現される。無効電力Q*のための基準は、外部から設定されるか、または独立型もしくはマイクログリッド用途において出力電圧振幅および/または(一つもしくは複数の)周波数誤差を(例えばPI制御装置を使用して)処理することによって計算される。実際の出力無効電力は、電圧EPLLおよび出力電流のための別のEPLL(図3には示されていない)によって提供されるデータを使用して、または低域フィルタもしくはノッチフィルタを使用して算出することができる。無効電力制御ループは任意選択であり、主として独立型用途に役立つものであることが理解されるであろう。
【0042】
EPLL部分のブロック図が図4に示されている。EPLLは、測定された電圧信号からφvおよびωを推定する。EPLLは有害な二重周波数リプルを回避する。そのようなリプルが、システムの動作の正確さにマイナスの影響を及ぼす従来の単相PLLシステムの主要な短所である。EPLLは、入力信号の短期の欠如に際してさえも同期のための正確な基準を提供する。これは、測定システムにおいて短い中断が生じる場合、およびシステムにおいて事故が生じる場合に望ましい機能である。図16Aおよび図16Bに、EPLLおよび従来のPLLから得られた結果を示す。入力は、t=0.1秒において消滅する、大きさが変化するノイズのある正弦波信号である。EPLLによって提供される正弦波信号は正確であり、他方、従来のPLLによって提供される正弦波信号は大きな二重周波数リプルを有し、入力信号が消滅するときに大きなオフセットを有する。入力信号がないときには、EPLLの出力も位相のわずかなオフセットを有するが、この程度のオフセットは、振幅推定機能を落とすことによって制御され得る。さらにEPLLは、同期基準と直交する別の信号も提供する。そのような信号は、直交信号といい、図3に示すような無効電力制御に使用され得る。またEPLLは、図3の態様における無効電力制御ループの別の特徴である、その入力信号の振幅を推定することもできる。
【0043】
制御部の複雑さは既存の技法の複雑さ以下であり、さらに本明細書において説明する制御装置は有効電力および無効電力の両方に対して柔軟であり、独立の制御を提供するという利点も加わることが理解されるであろう。図2および図3に示すような制御装置は、ディジタル実装形態に適する。EPLLおよび電流基準生成器は同様の構造を有していてもよく、この構造はFPGAにおける順次ディジタル回路実装形態を簡略化する。というのは、ひとたびEPLL構造が実装されれば、同じ手法が有限状態機械設計における電流基準生成器に使用され得るからである。
【0044】
一態様によれば、制御部は、インバータと配電グリッドとの間に接続されたLCLフィルタの挙動を制御する。そのようなLCLフィルタの制御の必要が生じるのは、LCL回路の構成要素間における共振のためである。この共振モードの制振は、純粋なLCLフィルタにおいては0であり、これは、回路がその固有共振周波数の振動を示すことを意味する。実際には、構成要素の抵抗性がある程度の制振を提供するが、その乏しい制振ではやはり、振動がフィルタによって生成される結果になる。この問題を克服するための2つの方法がある。(1)受動的制振。この方法では、共振モードの制振を増大させるためにLCL構成要素にある量の抵抗が加えられる。しかしそのような抵抗器は、エネルギーを消費し、損失を増大させる。(2)能動的制振。この方法では、共振モードに適切な制振を導入するために適切な制御戦略が使用される。この手法は、後述する制御部の一態様において使用される。
【0045】
制御戦略は、LCLフィルタが使用されるときに望ましい性能を得るに際して重要な役割を果たす。フィルタは3次のものであり、3つの状態変数を有する。グリッドに注入される電流は最も重要な変数であり、慎重に制御される。目的は、あらゆるシステム動作条件ならびにあらゆるシステムの不確実性およびパラメータの変化について、この電流を60Hzの実質的に高調波のない正弦波信号として維持することである。システムの条件および要件に関する詳細な説明を以下に示す。
・発電がPVモジュールや風車などの間欠的または可変的な電源であることから、異なるシステム動作条件が生じる。この現象は、制御装置がそのために動作することができなければならない幅広い電流レベルおよび他のシステム変数を生じさせる。
・フィルタは、無限バスである配電グリッドに接続されている。しかし、そのような無限バスは、フィルタが結び付けられている位置に応じてフィルタに対して異なるインピーダンスを示し得る。この現象は、フィルタのグリッド側インダクタにおいて大きな不確実性を生成させる。
・結合点における配電グリッド電圧は、多くの場合、純粋な正弦波であると想定されるが、これは必ずしもそうであるとは限らない。注入電流は滑らかでなければならず、かつグリッド電圧歪みの存在にもかからわず許容される高調波のレベルに従わなければならない。
・典型的なグリッドは、多くの場合、その周波数にある程度の変動を生じる。制御装置は、そのような変動にもかかわらずグリッドと同期して動作することができなければならない。この問題は、弱いグリッドシステムまたは孤立したシステムにおいてはより一層厄介である。
・システムの構成要素は非線形性を有する可能性があり、これは電流歪みを生じさせる可能性がある。制御装置は、注入電流の品質に対するそれらの現象の悪影響を最小限に抑えることができなければならない。
・回路構成要素は、温度および/または老朽化による変化を受ける可能性がある。制御装置はそのような変化に抗してロバストに動作しなければならない。
・LCLフィルタの共振現象は、システムの様々な動作条件の間の望ましくない振動を回避するように制御される必要がある。
【0046】
LCLフィルタの安定性がほんのわずかしかないせいで、閉ループシステムの安定かつロバストな性能を得るためのグリッド電流の標準的なフィードバックループを設計することは困難である。よって、一態様においては、図5に示すような、出力フィードバックループと組み合わされた準状態フィードバック戦略が使用され得る。制御部は、グリッド電流およびインバータ電流をフィードバックする内部ループ110と、誤差なしの純粋な正弦波電流の追従を保証する外部ループ100とを含む。内部ループ110におけるグリッド電圧からのフィードフォワード項は、制御ループ動作の安定性特性に対して全く影響を及ぼさない。これはソフトスタート動作を実現するのに使用される。(本明細書にはこの項を設計するための数式が含まれている。)マイクロインバータ出力フィルタコンデンサ電圧Vc(図1参照)は、センサの過剰な使用を回避するために、内部ループにおけるフィードバック信号として使用されない。設計の解析が示すところによれば、制御部は、コンデンサ電圧を使用せずに望ましく動作する。また、インバータ電流の測定からグリッド電流を推定するための状態推定器も使用され得る。これによりグリッド電流を感知する必要もなくなる。
【0047】
標準的な状態フィードバックの技法では、すべての状態変数がフィードバックに使用されるものと仮定する。よって、閉ループ極は、コンデンサ電圧利得が0に設定されている場合には、その事前指定位置から逸脱する。逸脱は、図7に示されているように、応答速度の低減および共振の制振の低減の方向でのものであり、図7には、Vcが使用される場合と、Vcが使用されない場合についての閉ループ極の逸脱が示されている。
【0048】
調査が示すところによれば、状態フィードバック理論の標準的な極割当ての技法は、様々な理由で、制御装置利得を設計するのに好適ではない。閉ループ極のための適切な位置の集合を獲得することは困難であり、閉ループシステムは、システムの不確実性、計算遅延、および推定の正確さの影響を受けやすくなり、共振振動について不十分な制振を示すことになる。例えば、グリッド側インダクタL2に対する不確実性(すなわち、0.5mHから1mHまでの変化)の影響が図8Aに示されている。これは、グリッド側インダクタの増大が閉ループシステムを不安定にすることを示している。これとは対照的に、グリッド側インダクタにおける大きな不確実性(すなわち、0.5mHから20mHまでの40倍の変化)に対する図5の態様の性能が図8Bに示されている。制御装置は不安定性なしで非常に大きな不確実性レベルを処理することが示されている。
【0049】
この態様は最適な制御法を使用し、制御目的を満たす位置に閉ループ極を最適に割当てる。線形二次調整(LQR)法の改善バージョンが、単相PV用途に適合するように作成され、使用された。この改善は、調整問題ではなく追従問題を解決することを伴うものであった。さらに、図5に示すような共振型制御装置100が、0定常状態誤差を保証するように組み入れられた。この制御装置の係数は、後述のような改良型LQR法を使用して最適に獲得された。従来のLQR法を使用することに伴う一つの大きな問題は、そのQ行列の正しい調整である。本明細書において説明するのは、望ましい応答に到達すべきQ行列の要素を見つける系統的な方法である。
【0050】
方法を明確にするために、以下にいくつかの数学的証明を示す。LCLフィルタは以下の状態空間方程式で説明されてもよく、式中、指数pはプラントを表し、xpはxp={ii,vc,ig}Tとして定義される状態ベクトルであり、yは、igである対象となる出力である。
【0051】
各行列は次式で与えられる。
式中、MはPWM利得である。共振型制御装置(R制御装置)は以下の状態空間方程式で記述される。
式中、指数rは共振を表し、xrはR制御装置の状態ベクトルであり、eは注入電流の誤差である。各行列は次式で与えられる。
式中、 oはシステム周波数である。R制御装置の状態変数は、ラプラス領域においては、
であり、よって、時間領域において以下の式を満たす。
LCLフィルタおよびR制御装置は、一緒に組み合わされるとき、以下の状態空間方程式で記述され得る5次システムを構成する。
式中、x=[xp,xr]Tは状態変数のベクトルであり、y基準は基準信号であり、各行列は以下で与えられる。
制御信号uは、状態フィードバック則の標準形である
として表され得ることに留意されたい。この場合の唯一の違いは、コンデンサ電圧に対応するフィードバック利得のうちの一つが0に設定されることである。(行列AおよびBで記述される)組み合わせシステムは完全に制御することができる。
【0052】
式集合(1)は閉ループ制御システムを記述している。(1)において、y基準はグリッド電流のために基準信号である。この信号は、基準生成部によって提供され、周波数60Hzの純粋な正弦波信号である。よって式 基準+ y基準=0を満たす。またグリッド電圧vgも、グリッドが硬いと仮定する場合には、この式を満たす。上記考察は、(1)の両辺に微分演算子D2+ が適用される場合、vgおよびy基準が消え、以下の簡略化された式が得られる。
(10)において、新しい状態ベクトルzおよび新しい制御信号vはz= + xおよびv= uとして定義される。新しい変数(zおよびv)は、元の変数の周波数 における純粋な正弦波からの逸脱を特徴付ける。より具体的には、R制御装置に対応する新しい状態ベクトルは、
であり、式における相等性は(6)に基づいて推論される。また、状態フィードバック制御則(9)は、
として新しい制御信号についての類似の則を獲得するために使用されてもよい。
【0053】
式(10)および式(12)は、状態変数を「0」まで調整することを目的とする標準調整問題を記述している。実際のところ、状態変数および制御信号に対する上記変換は、追従問題を調整問題へと変換した。そのような問題には、LQRの技法を使用して最適に対処することができる。LQR法は、次式で表される二次コスト関数を最小化する最善の制御装置利得を提供する。
行列Qは半正値である。解は代数リカッチ方程式(ARE)から得られ、手順K=lqr(A,B,Q,1)を使用してMatlab(商標)において都合よく計算される。
【0054】
LQR法は、閉ループ極を選択する問題を、行列Qを選択することへと変換する。この行列は対角非負行列であり、よって、制御装置利得Kの要素と同数の要素を有し、すなわち、Q=diag(q1,q2,q3,q4,q5)である。しかし、閉ループ極の選択とは異なり、Qの選択は、各要素qiを増大させることは、状態変数ziの0からの逸脱を低減することに対して顕著な効果を有するという明確な見通しをもって実行される。よって多くの場合、簡単な試行錯誤段で適切な選択に至ることができ、この選択が閉ループシステムの望ましい挙動をもたらす。さらに、この方法において設計者は、安定性が非負のQの任意の選択について保証されるために、閉ループの不安定性についての懸念をもたない。
【0055】
(13)から、q5が追従誤差を制御し、望ましい応答を生成することに対して最も大きな影響を及ぼすことがわかる。係数q4は追従誤差の変化率を制御し、システム応答をより円滑にするのに使用され得る。q3、q2およびq1を使用することによりさらなる調整も可能である。本明細書において使用される系統的方法は、他のすべての係数が0に設定されている間にq5を初期の正の値から増大させ始めるものである。q5は、ある値まで到達した後で、固定化され、次いで、q4が増加し始める。q係数が増大されている間、システム応答が閉ループ極および0の位置と共に監視される。この設計は、望ましい応答が達成された後で終了する。典型的な根軌跡曲線が図9Aに示されており、システム応答特性の展開が図9Bに示されている。
【0056】
Qの選択ごとに、閉ループ極は、コスト関数(13)が最小化されるように、特定の位置に手配され、配置される。そのようは解を最適という。これは、閉ループ極の任意のブラインド選択が必ずしも最適解に対応するとは限らないはずであることを意味する。LQR法の一特徴は、最適である閉ループ極の位置を保証することである。またそのような最適性は、当技術分野において周知のように、位相余裕および利得余裕という旧来の概念の点でもある程度のシステムロバスト性に対応する。図8Bには、図8Aの状況に類似した状況が示されている。L2における0.5mHという小ささの不確実性で不安定になる従来の状態フィードバック設計とは異なり、本明細書において説明する技法は、非常に大きい、すなわち、20mH以上もの大きさの不確実性で安定性を維持する。
【0057】
本明細書において説明する改良型LQR設計法の一特徴は、無限時間追従問題が対処されることである。そのような問題はこれまで、閉形式の定式として対処されたことがない。有限時間追従問題の解は、無限時間が関与するときに生成する課題であるため、公知である。本明細書において説明する技法は、この課題を効果的に解決する。
【0058】
ソフトスタート動作を実現するためにグリッド電圧のフィードフォワード項が含まれる。閉ループ状態空間方程式は、
であり、式中、各行列は以下で与えられる。
制御構造によれば、制御信号は以下になる。
これにより閉ループシステムについての以下の記述が生成される。
グリッド電圧への出力電流の応答は以下の式から計算される。
フィードフォワード項を最適化してソフトスタート動作を実現するために、以下のノルムが最小化のために定義される。
ノルムは、以下の式に示される周知の線形解析理論から算出することができる。
式中、各行列は以下に定義される。
したがって、最適な利得を、微分法と、利得を0に等しくすることによって導出することができる。
【0059】
図17にサンプルシミュレーションを提示する。図17には、システム出力電流応答が、始動項が含まれる場合と、始動項が含まれない場合とについて示されている。フィードフォワード項はシステムの始動段の円滑化に寄与することがわかる。
【0060】
図6Aに示す制御部の別の態様によれば、さらなる改善が、注入電流の品質に対するグリッド電圧歪みの影響を最小化する。改善は、図6Aに示すように外側フィードバックループに複数の共振制御装置103および109を組み込むことによって行われた。またそのような制御装置の設計は、前述のような改善型LQR法を使用して実現されてもよい。そのような設計は、従来の技法を使用すると非常に困難な、複数の制御係数の調整を伴う。本明細書において説明する方法は、そのような設計を、不安定性の懸念を伴わずに、非常に簡便なやり方で円滑に行わせる。
【0061】
図10Aおよび図10Bに、グリッド電圧が平滑である場合と、グリッド電圧が歪んでいる場合の2つの場合についての図6Aの態様の性能を示す。図示のシナリオは、0.075秒の瞬間において照射レベルが100パーセントから25パーセントまで落ちる場合に対応する。高品質電力の注入を意味する高速で円滑なグリッド電流注入が観測される。図13には、グリッド電圧が高調波および/またはノイズによって歪むときのシステムの望ましい性能を確認する別のシミュレーション結果が示されている。この図でグリッド電圧は、t=0.7秒において20%の第5高調波を受け、次いでt=0.8秒において分散0.01のホワイトノイズも加えられる。グリッド電流が示されており、電圧端子において存在する極度の歪みおよびノイズにもかかわらず非常に明確な正弦波形を描いている。
【0062】
電流制御部の別の態様によれば、グリッド電圧の高調波および基準電流の高調波を排除するために、図6Bに示すような複数の共振制御装置図が配置され得る。これらの制御装置の利得も、本明細書において説明する改良型LQR法を使用して最適に決定され得る。
【0063】
電流制御部の別の態様によれば、グリッド電流に存在し得る可能な直流成分を排除するために、図6Cに示すような積分制御装置が含まれる。この制御装置の利得も、本明細書において説明する変形LQR法を使用して最適に決定され得る。
【0064】
電流制御部の別の態様によれば、広範囲の周波数内にある高調波を抑圧するために、図6Dに示すような広帯域高調波制御装置が含まれる。この制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構造を有していてもよい。
【0065】
電流制御部の別の態様によれば、広範囲の周波数内にある高調波を補償するために、図6Eに示すような広帯域フィードフォワード高調波補償器が含まれる。この補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構造を有していてもよい。
【0066】
本明細書において説明する態様の電流制御部は、図5、6A、6B、6C、6D、および6Eに示すような構成の一つを使用してもよく、その任意の2つ以上の構成を組み合わせてもよいことが理解される。閉ループ制御装置の態様はシステム不確実性の大きな変動とインバータのスイッチング動作によって生じる大きな測定ノイズの両方に対してロバストである。制御部は、その性能に対するマイナスの影響なしでグリッド電圧における歪みおよび可能な周波数スイングを処理する。共振現象は十分に制振され、事実上信号には振動が現れない。システムのEPPL機能のおかげで、システムの周波数適合可能性が達成される。さらに、R制御装置は、高速な周波数変化によって生じる誤差を回避するように適切に構築されている。図12に、60から50Hzまでの大きな周波数変動が生成するときのシステムのサンプル性能を示す。図12(a)にはグリッドの電流(破線)および電圧(実線)が示されており、図12(b)には瞬時電力誤差が示されており、図12(c)には推定周波数が示されている。システムは、動作周波数を調整しており、注入電力は定常状態で変更されないままである。
【0067】
制御部の態様は、例えば、DSPマイクロプロセッサおよび/またはFPGAにおいて実装され得る。しかし、制御装置を、固定小数点実装形態について制御装置のパラメータ長と量子化誤差のどちらの影響も受けにくくするよう注意を払わねばならない。これに関しては既存文献に記載されているようなデルタ演算子の使用が有益となり得る。結果として、制御部の実装形態は、FPGAにおいてより複雑さが低く、よりコンパクトなものになる。
【0068】
補足のために図2の非線形制御の態様を数学的に導出し、以下で論じる。結合点におけるグリッド電圧をv(t)で、DGによる注入電流をi(t)で表すものとする。目的は、グリッドへの瞬時電力p(t)=v(t)i(t)の適切な注入を保証するように電流を制御することである。電力は、それぞれPおよびQで表されるその有効成分および無効成分によって都合よく特徴付けられる。v(t)=Vsin(φv)およびi(t)=Isin(φi)である正弦波状況において、瞬時電力は、
であり、式中、φ=φv-φiおよびP=1/2VIcosφおよびQ=-1/2・2VIsinφである。
【0069】
有効電力および無効電力のコマンドがそれぞれP基準およびQ基準で表されるものとする。その場合、瞬時電力のコマンドは次式で与えられる。
実際の電力と基準電力との瞬時二乗誤差であるコスト関数
を定義する。前述の目的はここで、J[i(t)]を最小にする適切な電流i(t)を見つけることに変換することができる。この問題への解を得るには、電流はi(t)=Isin(φi)であり、式中、
であり、ωはグリッド周波数である。電圧信号v(t)=Vsin(φv)は、
になるような基準とみなされる。その場合コスト関数は、滑らかな未知の変数θ=(I,φ)になる。(勾配降下法に基づくものである)EPLL方程式を導出するのに使用されるのと同じ戦略が、これらの未知の変数の変動を決定する式に到達するために用いられて得る。一般式は
であり、式中、μは正値定符号2×2行列である。対角構造をμ=diag{μ1,μ2}と仮定すると、結果として得られる式は以下のように要約することができる。
式中、e(t)=p基準(t)-p(t)=p基準(t)-v(t)i(t)であり、i(t)=Isin(φi)である。
【0070】
式集合(25)には、実際の電力と所望の電力との最小誤差を保証するために所望の変数Iおよびφiがどのように変更されなければならないかが示されている。図2にその方式が示されている。式(23)には、図2において、瞬時電力基準P基準(t)がどのようにして有効および無効基準値P基準およびQ基準から合成されるかが示されている。さらに、位相角および周波数を得るために電圧信号に対してEPLLが用いられる。EPLLの一特徴は、この状況では、単相用途における二重周波数高調波を除去することができることであり、このためEPLLはグリッド接続単相用途に有用である。
【0071】
以下に、直流電圧制御装置の性能およびその設計方法を示すための数学的証明を示す。式(26)には、直流バスのための電力バランス方程式が示されており、式中、p入力は入力電力であり、p出力はインバータ出力電力である。この式は非線形である。
【0072】
直流リンクエネルギー(wc)を新しい状態変数として定義することにより、線形式(27)が得られ、式中、pLは出力フィルタに蓄積される瞬時電力である。
【0073】
2つの項vgiおよびpLは二重周波数信号であり、p入力は直流信号である。結果は、wcが直流項と二重周波数項だけからなるというものになる。よって、vdcは多くの高次の高調波を有する。これは、従来行われたように、vdcがフィードバックループに使用される場合には、二重周波数を中心とするノッチフィルタが制御ループから高調波を除去することができない可能性があることを意味する。他方、wcにおけるフィードバックループはこの問題をなくす。この現象は図14に示されており、この方法は出力電流においてリプルを生じさせない。
【0074】
この方法は、リプルを回避するのみならず、直流リンク制御ループのための設計手順も円滑化する。完全な制御ループが図15(a)に示されており、ループ内の信号は直流項および二重周波数項を含む。電流制御装置は直流リンク制御ループより速いため、この態様は、線形ループが示されている図15(b)に示すように簡略化され得る。ループのPI制御係数を設計するには任意の周知の線形システム設計法が使用され得る。ループの特性方程式を(28)に示す。
【0075】
本願全体において引用されるすべての参照文献、係属中の特許出願、および公開特許の内容は参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0076】
均等物
当業者は、本明細書において説明した態様の変形を理解し、または確認することができるであろう。そのような変形は本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲により保護されるものである。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、風車ならびに光起電力セルおよび光起電力モジュールなどの分散型発電を配電グリッドと接続するための回路、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
風車や光起電力(PV)セルまたは光起電力モジュールと共に使用されるような分散型発電が、重要な再生可能エネルギー資源になりつつある。そのような発電は、3つの基本要素(すなわち、インバータ、出力フィルタ、および制御機構)の様々な構成で配電グリッドに接続され得る。あらゆる手法に利点と欠点があり、それらの手法は、高調波およびノイズ除去能力、簡潔性、効率性、柔軟性、信頼性、安全性、モジュール性、費用などの様々な属性に折り合いをつけたものである。
【発明の概要】
【0003】
概要
本明細書において説明するのは、分散型発電の電圧および電流に対応する信号を受け取り、電力回路に分散型発電の電圧を制御するための信号を出力する、最大電力点追従装置を含む第1の部分と、電力回路の直流電圧、配電グリッドの電圧および電流、ならびにインバータ電流に対応する信号を受け取り、電力回路の出力電圧を制御および/または変更するための信号を出力する、電流基準生成器、電流制御装置、および直流電圧制御装置を含む第2の部分とを含む、分散型発電を配電グリッドと接続する電力回路のための制御装置であって、電流基準生成器が非線形回路素子を含み、かつ電力回路の直流電圧ならびにグリッドの電圧および/または電流から電流基準信号を生成し、結果として実質的に高調波のない電力が配電グリッドに注入される、制御装置である。一態様において、電流基準生成器は、電力回路の直流電圧およびグリッド電圧から電流基準信号を生成する。
【0004】
一態様において、電流基準生成器は、(i)瞬時電力基準信号を生成する瞬時電力計算器を含み、(ii)非線形回路素子を使用して、瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する。
【0005】
制御装置は、改良型位相同期ループ(EPLL)を含んでいてもよい。EPLLは、瞬時電力基準信号を生成するのに使用されるグリッド電圧の位相角を提供し得る。
【0006】
一態様において、瞬時電力計算器は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出してもよい。有効電力コマンドおよび無効電力コマンドは外部から設定されてもよい。有効電力コマンドは、直流リンク電圧誤差または直流リンクエネルギー誤差に対して動作する内部PI制御装置によって生成されてもよい。無効電力コマンドは、電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置によって生成されてもよい。
【0007】
一態様において、電流基準生成器は、コンデンサエネルギー計算器、ノッチフィルタ、および少なくとも一つのPI制御装置を含み、EPLLをさらに含んでいてもよい。EPLLは、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成し得る。ノッチフィルタは二重周波数に対して動作し得る。
【0008】
一態様において、第1のPI制御装置は、(i)基準エネルギー信号と(ii)電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの並列信号と乗算して電流基準信号の有効電流成分を生成する。
【0009】
一態様において、第2のPI制御装置は、(i)基準無効電力信号と(ii)電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの直交信号と乗算して電流基準信号の無効成分を生成する。
【0010】
電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を含んでいてもよい。電流制御装置は、ソフトスタート動作を実現するためにグリッド電圧に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびフィードフォワード部分を含んでいてもよい。電流制御装置は一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバックを含んでいてもよく、各共振型出力フィードバック部分はグリッド電圧の高調波に対応し得る。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびソフトスタートフィードフォワード制御装置を含んでいてもよい。
【0011】
電流制御装置は、注入電流から直流成分を除去するためにグリッド電流信号に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および積分制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および一つまたは複数の共振型制御装置を含んでいてもよく、これらはグリッド電流信号に対して動作して、注入電流から選択される高調波を除去し、基準電流信号からもたらされ得る高調波を排除する。電流制御装置は、幅広い周波数範囲内のすべての高調波を抑圧するために共振型制御装置と並列または直列の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および広帯域高調波制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、幅広い周波数範囲内のすべての高調波を抑圧するためにグリッド電圧に対して動作する共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、および広帯域フィードフォワード高調波補償器を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、ならびに前述の制御構造および補償構造の任意の組み合わせを含んでいてもよい。
【0012】
電流制御装置は、グリッド電流に作用する一つまたは複数の共振型高調波制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、グリッド電流に作用する積分制御装置を含んでいてもよい。電流制御装置は、共振型制御装置と並列の、または共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置を含んでいてもよい。広帯域高調波制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。電流制御装置は、グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器を含んでいてもよい。広帯域フィードフォワード高調波補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。電流制御装置は、上記制御装置のいずれかの部分を、単独で、または組み合わせとして含んでいてもよい。
【0013】
また本明細書においては、本明細書において説明する制御装置とインバータを含む電力回路とを含む、分散型発電をグリッドと接続するためのマイクロインバータシステムも説明する。
【0014】
一態様において、電流制御装置は、電力回路の出力フィルタを介して実質的に高調波のない電力の流れを制御する。フィルタはインダクタとすることができる。フィルタは、誘導性素子と容量性素子の組み合わせを含んでいてもよい。フィルタはLCLとすることもできる。
【0015】
また本明細書においては、本明細書において説明するマイクロインバータシステムを含むPVモジュールも説明する。
【0016】
また本明細書においては、分散型発電の電圧および電流に対応する信号を使用して分散型発電の電圧を制御する工程、電流基準信号を生成し、(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流とに対応する信号を使用して電力回路の出力電圧を制御する工程を含み、電流基準信号を生成する工程が、非線形回路素子を備える電流基準生成器を使用する工程を含み、結果として実質的に高調波のない電力が配電グリッドに注入される、分散型発電を配電グリッドと接続する電力回路を制御するための方法も説明する。電流基準信号を生成し、電力回路の出力電圧を制御する工程は、(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流ならびにインバータ電流とに対応する信号を使用する工程を含んでいてもよい。
【0017】
電力回路の出力電圧は、電力回路のインバータを制御することによって制御されてもよい。インバータは、電流源インバータまたは電圧源インバータとすることができる。
【0018】
一態様において、方法は、瞬時電力基準信号を生成する工程、および非線形回路素子を使用して瞬時電力基準信号とグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、グリッド電圧の位相角を使用して瞬時電力基準信号を生成する工程を含んでいてもよい。
【0019】
一態様において、方法は、位相同期ループまたはEPLLを使用してグリッド電圧の位相角を提供する工程を含む。
【0020】
方法は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する工程を含んでいてもよい。方法は、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを外部から設定する工程を含んでいてもよい。方法は、直流リンク電圧誤差に対して動作する内部PI制御装置により有効電力コマンドを生成する工程を含んでいてもよい。方法は、電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置により無効電力コマンドを生成する工程を含んでいてもよい。
【0021】
別の態様において、方法は、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、並列信号と乗算される、基準エネルギー信号と電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差から、電流基準信号の有効電流成分を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、直交信号と乗算される、基準無効電力信号と電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差から、電流基準信号の無効成分を生成する工程を含んでいてもよい。方法は、EPLLを使用してグリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含んでいてもよい。
【0022】
別の態様において、方法は、電流制御装置において共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程、または電流制御装置において2つ以上の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程を含んでいてもよい。各共振型出力フィードバック部分は、グリッド電圧の高調波に対応し得る。方法は、フィードフォワードソフトスタート制御装置を使用する工程をさらに含んでいてもよい。方法は、グリッド電流に作用する一つまたは複数の共振型制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、グリッド電流に作用する積分制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、共振制御装置と並列の広帯域高調波制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。方法は、共振制御装置と直列の広帯域高調波制御装置を使用する工程を含んでいてもよい。広帯域高調波制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。方法は、グリッド電圧に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器を使用する工程を含んでいてもよい。広帯域フィードフォワード高調波補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有していてもよい。
【0023】
本明細書で説明する局面、態様、および方法において、分散型発電は、少なくとも一つのPVモジュール、または少なくとも一つの風車、またはこれらの組み合わせを含んでいてもよく、インバータは、電流源インバータまたは電圧源インバータとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明をより良く理解するために、また本発明がどのようにして実行され得るかを示すために、次に、例として添付の図面を参照して各態様を説明する。
【0025】
【図1】一態様による、PVモジュールに適用されるマイクロインバータシステムを示すブロック図である。
【図2】一態様による、図1に示すようなマイクロインバータシステムの制御部のマイクロインバータおよび電流基準生成器を示すブロック図である。
【図3】別の態様による、図1に示すようなマイクロインバータシステムのマイクロインバータおよび制御部を示すブロック図である。
【図4】図2または3に示すような制御部のための改良型位相同期ループ(EPLL)ブロックの一態様を示すブロック図である。
【図5】本明細書において説明する改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6A】本明細書において説明する歪みグリッド電圧のための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6B】本明細書において説明するグリッド電流から直流信号を除去するための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6C】本明細書において説明する歪みグリッド電圧および歪み基準信号のための改善型LQR法を使用して設計された、制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6D】本明細書において説明する広周波数帯域における高調波を抑圧するために制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図6E】本明細書において説明する広周波数帯域における高調波を補償するために制御部の電流制御装置部分の一態様において使用される閉ループフィードバック方式を示すブロック図である。
【図7】従来の状態フィードバック設計において、出力フィルタコンデンサ電圧がフィードバック信号として使用され、または使用されないときの、閉ループ極の位置のずれを示すグラフである。
【図8A】0.5mHから1mHまでのグリッド側のインダクタンスの変化に対する従来の制御装置の感受性および不安定性を示すグラフである。
【図8B】0.5mHから20mHまでのグリッド側のインダクタンスの変化に対する制御部の一態様のロバスト性および安定性を示すグラフである。
【図9A】本明細書において説明する改善型LQR法を使用して設計された閉ループ極の軌跡を示す図である。
【図9B】異なる設計反復についての閉ループシステムの応答特性の発展を示す図である。
【図10A】サンプルPVシステムにおける入力照射の段階的変化についてのグリッド高調波なしのマイクロインバータシステムの性能を示す図である。
【図10B】サンプルPVシステムにおける入力照射の段階的変化についてのグリッドが歪んでいるときのマイクロインバータシステムの性能を示す図である。
【図11】有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを追従する際のマイクロインバータシステムの性能、(a)有効および無効コマンド、(b)グリッドの電圧(実線)および電流(破線)、(c)瞬時電力誤差を示す図である。
【図12】グリッド周波数変動に対するマイクロインバータシステムの性能、(a)グリッドの電圧(実線)および電流(破線)、(b)瞬時電力誤差、(c)推定周波数を示す図である。
【図13】グリッド電圧の高調波およびノイズに対するマイクロインバータシステムの性能、(a)グリッド電圧、(b)グリッド電流を示す図である。
【図14】入力電力が100Wから200Wまで段階的に進むときのマイクロインバータシステムの一態様(実線)と従来の設計(破線)との出力電流の振幅を示す図である。
【図15】図15(a)は、ループ内の信号が直流項および二重周波数項を含む直流バス制御ループの一態様を示す図である。図15(b)は、簡略化された線形ループの一態様を示す図である。
【図16A】EPLLと従来のPLLとの性能を比較した結果を示すグラフである。
【図16B】EPLLと従来のPLLとの性能を比較した結果を示すグラフである。
【図17】本明細書において説明するソフトスタートフィードフォワード制御装置なしとありでのシステムの性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
態様の詳細な説明
分散型発電は、3つの基本要素、すなわちインバータ、出力フィルタ、および制御の、様々な構成として配電グリッドに接続され得る。インバータトポロジおよび出力フィルタの選択は、全般的システム性能およびシステムの動作に直接の影響を及ぼす。例えば高次フィルタは、回路構成要素のサイズおよび重量を大幅に低減させることができるが、同時に安定性の問題も生じ得る。その場合は、そのような問題を克服し、システムの所望の性能を回復するために強力な制御システムが必要とされる。そのような制御システムは、適切な制御が実現され得るようにシステム変数を測定するためのセンサを必要とし得る。複雑さと費用を低減するためには、最小限の数の測定センサが用いられるべきである。しかし、現在利用できる解決策は複雑なハードウェアおよび制御システムを有し、そのためシステム全体が高価になり、発電機からの電力抽出の効率が最大化されない。
【0027】
本明細書において説明するのは、分散型発電を配電グリッドと接続するためのシステムである。システムは、本明細書においては「マイクロインバータシステム」ともいい、電力部と制御部とを含む。電力部は一つまたは複数の分散型発電機から電力を獲得し、電力をグリッドに注入するためのインバータを含む。一態様において、分散型発電機は、一つまたは複数のPVセルまたはPVモジュールである。また電力部は、インバータの出力電流におけるスイッチングリプルを減衰させるための出力フィルタも含む。出力フィルタは、単純なインダクタ(L)とすることもでき、例えばLCLフィルタなどの一つまたは複数のインダクタと一つまたは複数のコンデンサ(C)との組み合わせとすることもでき、任意の類似の高次フィルタとすることもできる。制御部は、インバータからの出力電力を制御し、グリッドへの高品質の(すなわち、実質的に位相整合された、実質的に高調波のない)電力の注入を保証する。すなわち、グリッドに注入される電力は、全高調波歪み(THD)および位相整合を含む、電力品質についての国家的または国際的電力機関の仕様および標準に従う。例えば、本明細書において説明する技法は、電力機関の仕様および標準によって規定されるように、電流のTHDが、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満になるように分散型発電に適用され得る。
【0028】
本発明の態様は本明細書においては主に配電グリッドに関して説明されているが、本発明はそれだけに限定されるものではないことが理解されるであろう。すなわち、各態様は、インターフェースが発電と電気負荷との間のものである独立型用途において使用されてもよい。独立型用途の一例がオフグリッド用途である。独立型の一態様では、負荷の電圧および電流が感知され、本明細書において説明する技法またはその変形を使用して、負荷に送電される電力を調整するのに使用され得る。
【0029】
異なる状況下にある分散型発電システムの総合効率を高めるためには、独立の制御および電力抽出が発電機ごとに必要とされる。例えば、PVモジュールを使用した分散型発電では、PVモジュールの部分日影および/またはPVモジュール間の不整合が、システムの総合効率を高めるために独立の制御および電力抽出を必要とする要因である。
【0030】
これは、本明細書において説明する局面および態様によれば、PVパネルごとに電力部および制御部を含む別個のマイクロインバータシステムを使用することによって達成され得る。典型的には、マイクロインバータシステムは、コンパクトかつロバストであり、そのためPVパネルに取り付けることも可能である。マイクロインバータシステムは、高くつく高電圧直流配線を必要とせず、PVモジュールの部分日影を回避することができないPVモジュールなどの分散型発電用途に適する。というのは、最大電力点追従(MPPT)がPVモジュールごとに独立に実行されるからである。マイクロインバータシステムは、PVモジュール間の不整合損を回避する。この技術のモジュール性のおかげで、PVモジュールは「プラグアンドプレイ」方式で追加することもできる。加えて、マイクロインバータシステムは大量生産されてもよく、これによりコストが低減される。さらに、システムの少なくともいくつかの部分はFPGAを使用して実施されてもよく、これによってシステムは一層コンパクトかつロバストなものになる。
【0031】
本明細書において使用する場合、「dc」という用語は直流を指し、「DC」という用語と同義である。
【0032】
本明細書において使用する場合、「PVセル」および「PVモジュール」という用語は区別なく使用され、同義である。
【0033】
本明細書において使用する場合、「コマンド」という用語は、基準信号を指す。
【0034】
本明細書において使用する場合、「分散型発電」という用語は、配電グリッドに対して分散されている発電を指す。分散型発電の例には、それだけに限らないが、PVモジュールおよびそのアレイ、風車およびそのアレイなどが含まれる。
【0035】
各態様は本明細書においては主にPVモジュールに関して説明されているが、これらの態様は、風車などの別の種類の分散型発電に適用されるか、またはそれらと共に使用するために適合されてもよいことが理解されるであろう。
【0036】
分散型発電を配電グリッドと接続するためのマイクロインバータシステムの一態様が図1のブロック図に示されている。この態様は、(一つまたは複数の)PVセル10の両端に並列に接続された入力コンデンサCPVと、入力コンデンサの両端に並列に接続された第1段20と、第1段出力の両端に並列に接続された第2のコンデンサC1と、インバータを含む第2段30と、L1、C2、およびL2を含む出力LCLフィルタとを含む電力部を含む。第1段20は、一つまたは複数のスイッチを含んでいてもよく、入力コンデンサCPV電圧を調整するのに使用され、入力電圧振動を除去し、大きな入力コンデンサの必要性を回避する。図1の態様において、制御部40は、最大電力点追従装置50と、第1段20および第2段30におけるスイッチを駆動するためのゲート信号を生成することによりグリッドへの電力潮流を制御するための回路とを含む。例えば、制御部40は、図1に示し、以下で説明するように、PV出力電圧VPVを制御するための段52と、直流コンデンサ電圧Vdcを制御するための段54と、改良型パルス幅変調(PWM)制御装置56と、配電グリッドへの電力注入を制御するための出力電流制御装置58とを含む。
【0037】
マイクロインバータシステムの電力部の第2段30は、電流源インバータ(CSI)または電圧源インバータ(VSI)を含んでいてもよい。例えば、単純な誘導性フィルタまたはLCLフィルタなどの高次フィルタを使用して、電圧源インバータがグリッドに接続されていてもよい。そのようなフィルタは、インバータによって生成されて注入電流に移されるスイッチング周波数リプルを減衰させる。単純なLフィルタでは、減衰は20 log(ωsL)dBである。例えば、L=10mH、fs=50kHzの値では、減衰は約70dBである。同レベルの(またはより多くの)フィルタリングを提供するのにずっと小型の回路素子で済む高次出力フィルタが使用されてもよい。例えば、図1に示すような、インダクタンスL1(インバータ側)、キャパシタンスC2、およびインダクタンスL2(グリッド側)を有するLCLフィルタを考える。L1=L2=220μH、C2=2.2μFでは、そのようなフィルタは、50kHzのスイッチング周波数においてL=10mHに等しい単一のインダクタンスのように働くことが示されている。よってLCLフィルタは実質的に回路構成要素のサイズを低減する。例えばこの例では、インダクタのサイズは約22.7分の1に低減され得る。
【0038】
本明細書において説明する分散型発電を配電グリッドと接続するためのシステムの別の態様が、図2のブロック図に示されている。図2には、制御部の一態様の詳細が示されている。一般に、制御部は、瞬時電力基準計算器60と、φvを算出する改良型位相同期ループ(EPLL)70と、マイクロインバータのための基準電流を算出することをタスクとする基準電流生成器80とを含む。そのような基準電流は、正確な有効(active)電力レベル(すなわち有効(real)電力レベル)および無効電力レベルがグリッドに注入されるようにするために、閉ループ(非線形)機構において適正に調整される。図2の態様において、瞬時電力基準計算器60は有効電力および無効電力のコマンドを受け取り、瞬時電力基準信号を生成する。
【0039】
従来の手法は有効電力の生成を考慮するにすぎないことが知られているのに対して、本明細書において説明する態様は有効電力および無効電力の両方の生成を実現し得る。無効電力制御は多くの場合、ユーティリティシステムがない場合に負荷無効電力需要がDGシステムによってしか供給され得ない、独立型用途およびマイクログリッドシステムにおいて必要とされる。有効電力および無効電力の両方の生成が、別の回路を必要とせずに達成される。有効電力のための基準は、例えば、直流コンデンサ電圧Vdcの誤差に対して動作する単純なPI制御装置などによって生成され得る。性能結果のサンプルが図11に示されており、図11(a)には基準有効電力信号および基準無効電力信号が示されており、図11(b)にはグリッドの電流信号(破線)および電圧信号(実線)が示されており、図11(c)には瞬時電力誤差が示されている。
【0040】
本明細書において説明する制御部の別の態様が図3のブロックに示されている。この制御装置の一特徴は、従来の方法においてなされるような直流リンク電圧の制御ではなく、直流リンクエネルギーの制御である。図3において、定数Kは、電圧からエネルギー変数を生成するために0.5C1に等しい。しかし、一般に定数は、制御装置設計に含まれている任意の数とすることができる。エネルギー変数を使用した結果として、制御ループは線形になり、他方、従来の手法では、制御ループは非線形である。(詳細な数学的証明を以下に示す。)非線形ループは設計のために線形化を必要とし、信号変動が大きい場合に制御装置の性能および安定性を制限する。制御変数として直流リンク電圧ではなく直流リンクエネルギーを使用することには2つの利点がある。一つの利点は、全般的な安定性を保証するパラメータ集合の設計を容易にすることである。第2の利点は、直流リンク電圧が二重周波数を有すると共に高次のリプルも有するのに対して、直流リンクエネルギーが二重周波数リプルだけを有することから生じる。よって、この態様において使用されるノッチフィルタ(図3参照)は、エネルギー信号が使用されるときにリプルを完全に阻止する。図14に、入力電力が100Wから200Wまで段階的に進むときの従来の方法(破線)および本制御法の態様(実線)についての出力電流の振幅を示す。従来の方法では、電流の振幅は、グリッド電流上で3次および5次の高調波に変換される4次の高調波を有することがわかる。
【0041】
図3の制御部の態様の別の特徴は、有効電力および無効電力に対する独立制御である。これは、改良型位相同期ループ(EPLL)によって提供される電圧直交信号によって実現される。無効電力Q*のための基準は、外部から設定されるか、または独立型もしくはマイクログリッド用途において出力電圧振幅および/または(一つもしくは複数の)周波数誤差を(例えばPI制御装置を使用して)処理することによって計算される。実際の出力無効電力は、電圧EPLLおよび出力電流のための別のEPLL(図3には示されていない)によって提供されるデータを使用して、または低域フィルタもしくはノッチフィルタを使用して算出することができる。無効電力制御ループは任意選択であり、主として独立型用途に役立つものであることが理解されるであろう。
【0042】
EPLL部分のブロック図が図4に示されている。EPLLは、測定された電圧信号からφvおよびωを推定する。EPLLは有害な二重周波数リプルを回避する。そのようなリプルが、システムの動作の正確さにマイナスの影響を及ぼす従来の単相PLLシステムの主要な短所である。EPLLは、入力信号の短期の欠如に際してさえも同期のための正確な基準を提供する。これは、測定システムにおいて短い中断が生じる場合、およびシステムにおいて事故が生じる場合に望ましい機能である。図16Aおよび図16Bに、EPLLおよび従来のPLLから得られた結果を示す。入力は、t=0.1秒において消滅する、大きさが変化するノイズのある正弦波信号である。EPLLによって提供される正弦波信号は正確であり、他方、従来のPLLによって提供される正弦波信号は大きな二重周波数リプルを有し、入力信号が消滅するときに大きなオフセットを有する。入力信号がないときには、EPLLの出力も位相のわずかなオフセットを有するが、この程度のオフセットは、振幅推定機能を落とすことによって制御され得る。さらにEPLLは、同期基準と直交する別の信号も提供する。そのような信号は、直交信号といい、図3に示すような無効電力制御に使用され得る。またEPLLは、図3の態様における無効電力制御ループの別の特徴である、その入力信号の振幅を推定することもできる。
【0043】
制御部の複雑さは既存の技法の複雑さ以下であり、さらに本明細書において説明する制御装置は有効電力および無効電力の両方に対して柔軟であり、独立の制御を提供するという利点も加わることが理解されるであろう。図2および図3に示すような制御装置は、ディジタル実装形態に適する。EPLLおよび電流基準生成器は同様の構造を有していてもよく、この構造はFPGAにおける順次ディジタル回路実装形態を簡略化する。というのは、ひとたびEPLL構造が実装されれば、同じ手法が有限状態機械設計における電流基準生成器に使用され得るからである。
【0044】
一態様によれば、制御部は、インバータと配電グリッドとの間に接続されたLCLフィルタの挙動を制御する。そのようなLCLフィルタの制御の必要が生じるのは、LCL回路の構成要素間における共振のためである。この共振モードの制振は、純粋なLCLフィルタにおいては0であり、これは、回路がその固有共振周波数の振動を示すことを意味する。実際には、構成要素の抵抗性がある程度の制振を提供するが、その乏しい制振ではやはり、振動がフィルタによって生成される結果になる。この問題を克服するための2つの方法がある。(1)受動的制振。この方法では、共振モードの制振を増大させるためにLCL構成要素にある量の抵抗が加えられる。しかしそのような抵抗器は、エネルギーを消費し、損失を増大させる。(2)能動的制振。この方法では、共振モードに適切な制振を導入するために適切な制御戦略が使用される。この手法は、後述する制御部の一態様において使用される。
【0045】
制御戦略は、LCLフィルタが使用されるときに望ましい性能を得るに際して重要な役割を果たす。フィルタは3次のものであり、3つの状態変数を有する。グリッドに注入される電流は最も重要な変数であり、慎重に制御される。目的は、あらゆるシステム動作条件ならびにあらゆるシステムの不確実性およびパラメータの変化について、この電流を60Hzの実質的に高調波のない正弦波信号として維持することである。システムの条件および要件に関する詳細な説明を以下に示す。
・発電がPVモジュールや風車などの間欠的または可変的な電源であることから、異なるシステム動作条件が生じる。この現象は、制御装置がそのために動作することができなければならない幅広い電流レベルおよび他のシステム変数を生じさせる。
・フィルタは、無限バスである配電グリッドに接続されている。しかし、そのような無限バスは、フィルタが結び付けられている位置に応じてフィルタに対して異なるインピーダンスを示し得る。この現象は、フィルタのグリッド側インダクタにおいて大きな不確実性を生成させる。
・結合点における配電グリッド電圧は、多くの場合、純粋な正弦波であると想定されるが、これは必ずしもそうであるとは限らない。注入電流は滑らかでなければならず、かつグリッド電圧歪みの存在にもかからわず許容される高調波のレベルに従わなければならない。
・典型的なグリッドは、多くの場合、その周波数にある程度の変動を生じる。制御装置は、そのような変動にもかかわらずグリッドと同期して動作することができなければならない。この問題は、弱いグリッドシステムまたは孤立したシステムにおいてはより一層厄介である。
・システムの構成要素は非線形性を有する可能性があり、これは電流歪みを生じさせる可能性がある。制御装置は、注入電流の品質に対するそれらの現象の悪影響を最小限に抑えることができなければならない。
・回路構成要素は、温度および/または老朽化による変化を受ける可能性がある。制御装置はそのような変化に抗してロバストに動作しなければならない。
・LCLフィルタの共振現象は、システムの様々な動作条件の間の望ましくない振動を回避するように制御される必要がある。
【0046】
LCLフィルタの安定性がほんのわずかしかないせいで、閉ループシステムの安定かつロバストな性能を得るためのグリッド電流の標準的なフィードバックループを設計することは困難である。よって、一態様においては、図5に示すような、出力フィードバックループと組み合わされた準状態フィードバック戦略が使用され得る。制御部は、グリッド電流およびインバータ電流をフィードバックする内部ループ110と、誤差なしの純粋な正弦波電流の追従を保証する外部ループ100とを含む。内部ループ110におけるグリッド電圧からのフィードフォワード項は、制御ループ動作の安定性特性に対して全く影響を及ぼさない。これはソフトスタート動作を実現するのに使用される。(本明細書にはこの項を設計するための数式が含まれている。)マイクロインバータ出力フィルタコンデンサ電圧Vc(図1参照)は、センサの過剰な使用を回避するために、内部ループにおけるフィードバック信号として使用されない。設計の解析が示すところによれば、制御部は、コンデンサ電圧を使用せずに望ましく動作する。また、インバータ電流の測定からグリッド電流を推定するための状態推定器も使用され得る。これによりグリッド電流を感知する必要もなくなる。
【0047】
標準的な状態フィードバックの技法では、すべての状態変数がフィードバックに使用されるものと仮定する。よって、閉ループ極は、コンデンサ電圧利得が0に設定されている場合には、その事前指定位置から逸脱する。逸脱は、図7に示されているように、応答速度の低減および共振の制振の低減の方向でのものであり、図7には、Vcが使用される場合と、Vcが使用されない場合についての閉ループ極の逸脱が示されている。
【0048】
調査が示すところによれば、状態フィードバック理論の標準的な極割当ての技法は、様々な理由で、制御装置利得を設計するのに好適ではない。閉ループ極のための適切な位置の集合を獲得することは困難であり、閉ループシステムは、システムの不確実性、計算遅延、および推定の正確さの影響を受けやすくなり、共振振動について不十分な制振を示すことになる。例えば、グリッド側インダクタL2に対する不確実性(すなわち、0.5mHから1mHまでの変化)の影響が図8Aに示されている。これは、グリッド側インダクタの増大が閉ループシステムを不安定にすることを示している。これとは対照的に、グリッド側インダクタにおける大きな不確実性(すなわち、0.5mHから20mHまでの40倍の変化)に対する図5の態様の性能が図8Bに示されている。制御装置は不安定性なしで非常に大きな不確実性レベルを処理することが示されている。
【0049】
この態様は最適な制御法を使用し、制御目的を満たす位置に閉ループ極を最適に割当てる。線形二次調整(LQR)法の改善バージョンが、単相PV用途に適合するように作成され、使用された。この改善は、調整問題ではなく追従問題を解決することを伴うものであった。さらに、図5に示すような共振型制御装置100が、0定常状態誤差を保証するように組み入れられた。この制御装置の係数は、後述のような改良型LQR法を使用して最適に獲得された。従来のLQR法を使用することに伴う一つの大きな問題は、そのQ行列の正しい調整である。本明細書において説明するのは、望ましい応答に到達すべきQ行列の要素を見つける系統的な方法である。
【0050】
方法を明確にするために、以下にいくつかの数学的証明を示す。LCLフィルタは以下の状態空間方程式で説明されてもよく、式中、指数pはプラントを表し、xpはxp={ii,vc,ig}Tとして定義される状態ベクトルであり、yは、igである対象となる出力である。
【0051】
各行列は次式で与えられる。
式中、MはPWM利得である。共振型制御装置(R制御装置)は以下の状態空間方程式で記述される。
式中、指数rは共振を表し、xrはR制御装置の状態ベクトルであり、eは注入電流の誤差である。各行列は次式で与えられる。
式中、 oはシステム周波数である。R制御装置の状態変数は、ラプラス領域においては、
であり、よって、時間領域において以下の式を満たす。
LCLフィルタおよびR制御装置は、一緒に組み合わされるとき、以下の状態空間方程式で記述され得る5次システムを構成する。
式中、x=[xp,xr]Tは状態変数のベクトルであり、y基準は基準信号であり、各行列は以下で与えられる。
制御信号uは、状態フィードバック則の標準形である
として表され得ることに留意されたい。この場合の唯一の違いは、コンデンサ電圧に対応するフィードバック利得のうちの一つが0に設定されることである。(行列AおよびBで記述される)組み合わせシステムは完全に制御することができる。
【0052】
式集合(1)は閉ループ制御システムを記述している。(1)において、y基準はグリッド電流のために基準信号である。この信号は、基準生成部によって提供され、周波数60Hzの純粋な正弦波信号である。よって式 基準+ y基準=0を満たす。またグリッド電圧vgも、グリッドが硬いと仮定する場合には、この式を満たす。上記考察は、(1)の両辺に微分演算子D2+ が適用される場合、vgおよびy基準が消え、以下の簡略化された式が得られる。
(10)において、新しい状態ベクトルzおよび新しい制御信号vはz= + xおよびv= uとして定義される。新しい変数(zおよびv)は、元の変数の周波数 における純粋な正弦波からの逸脱を特徴付ける。より具体的には、R制御装置に対応する新しい状態ベクトルは、
であり、式における相等性は(6)に基づいて推論される。また、状態フィードバック制御則(9)は、
として新しい制御信号についての類似の則を獲得するために使用されてもよい。
【0053】
式(10)および式(12)は、状態変数を「0」まで調整することを目的とする標準調整問題を記述している。実際のところ、状態変数および制御信号に対する上記変換は、追従問題を調整問題へと変換した。そのような問題には、LQRの技法を使用して最適に対処することができる。LQR法は、次式で表される二次コスト関数を最小化する最善の制御装置利得を提供する。
行列Qは半正値である。解は代数リカッチ方程式(ARE)から得られ、手順K=lqr(A,B,Q,1)を使用してMatlab(商標)において都合よく計算される。
【0054】
LQR法は、閉ループ極を選択する問題を、行列Qを選択することへと変換する。この行列は対角非負行列であり、よって、制御装置利得Kの要素と同数の要素を有し、すなわち、Q=diag(q1,q2,q3,q4,q5)である。しかし、閉ループ極の選択とは異なり、Qの選択は、各要素qiを増大させることは、状態変数ziの0からの逸脱を低減することに対して顕著な効果を有するという明確な見通しをもって実行される。よって多くの場合、簡単な試行錯誤段で適切な選択に至ることができ、この選択が閉ループシステムの望ましい挙動をもたらす。さらに、この方法において設計者は、安定性が非負のQの任意の選択について保証されるために、閉ループの不安定性についての懸念をもたない。
【0055】
(13)から、q5が追従誤差を制御し、望ましい応答を生成することに対して最も大きな影響を及ぼすことがわかる。係数q4は追従誤差の変化率を制御し、システム応答をより円滑にするのに使用され得る。q3、q2およびq1を使用することによりさらなる調整も可能である。本明細書において使用される系統的方法は、他のすべての係数が0に設定されている間にq5を初期の正の値から増大させ始めるものである。q5は、ある値まで到達した後で、固定化され、次いで、q4が増加し始める。q係数が増大されている間、システム応答が閉ループ極および0の位置と共に監視される。この設計は、望ましい応答が達成された後で終了する。典型的な根軌跡曲線が図9Aに示されており、システム応答特性の展開が図9Bに示されている。
【0056】
Qの選択ごとに、閉ループ極は、コスト関数(13)が最小化されるように、特定の位置に手配され、配置される。そのようは解を最適という。これは、閉ループ極の任意のブラインド選択が必ずしも最適解に対応するとは限らないはずであることを意味する。LQR法の一特徴は、最適である閉ループ極の位置を保証することである。またそのような最適性は、当技術分野において周知のように、位相余裕および利得余裕という旧来の概念の点でもある程度のシステムロバスト性に対応する。図8Bには、図8Aの状況に類似した状況が示されている。L2における0.5mHという小ささの不確実性で不安定になる従来の状態フィードバック設計とは異なり、本明細書において説明する技法は、非常に大きい、すなわち、20mH以上もの大きさの不確実性で安定性を維持する。
【0057】
本明細書において説明する改良型LQR設計法の一特徴は、無限時間追従問題が対処されることである。そのような問題はこれまで、閉形式の定式として対処されたことがない。有限時間追従問題の解は、無限時間が関与するときに生成する課題であるため、公知である。本明細書において説明する技法は、この課題を効果的に解決する。
【0058】
ソフトスタート動作を実現するためにグリッド電圧のフィードフォワード項が含まれる。閉ループ状態空間方程式は、
であり、式中、各行列は以下で与えられる。
制御構造によれば、制御信号は以下になる。
これにより閉ループシステムについての以下の記述が生成される。
グリッド電圧への出力電流の応答は以下の式から計算される。
フィードフォワード項を最適化してソフトスタート動作を実現するために、以下のノルムが最小化のために定義される。
ノルムは、以下の式に示される周知の線形解析理論から算出することができる。
式中、各行列は以下に定義される。
したがって、最適な利得を、微分法と、利得を0に等しくすることによって導出することができる。
【0059】
図17にサンプルシミュレーションを提示する。図17には、システム出力電流応答が、始動項が含まれる場合と、始動項が含まれない場合とについて示されている。フィードフォワード項はシステムの始動段の円滑化に寄与することがわかる。
【0060】
図6Aに示す制御部の別の態様によれば、さらなる改善が、注入電流の品質に対するグリッド電圧歪みの影響を最小化する。改善は、図6Aに示すように外側フィードバックループに複数の共振制御装置103および109を組み込むことによって行われた。またそのような制御装置の設計は、前述のような改善型LQR法を使用して実現されてもよい。そのような設計は、従来の技法を使用すると非常に困難な、複数の制御係数の調整を伴う。本明細書において説明する方法は、そのような設計を、不安定性の懸念を伴わずに、非常に簡便なやり方で円滑に行わせる。
【0061】
図10Aおよび図10Bに、グリッド電圧が平滑である場合と、グリッド電圧が歪んでいる場合の2つの場合についての図6Aの態様の性能を示す。図示のシナリオは、0.075秒の瞬間において照射レベルが100パーセントから25パーセントまで落ちる場合に対応する。高品質電力の注入を意味する高速で円滑なグリッド電流注入が観測される。図13には、グリッド電圧が高調波および/またはノイズによって歪むときのシステムの望ましい性能を確認する別のシミュレーション結果が示されている。この図でグリッド電圧は、t=0.7秒において20%の第5高調波を受け、次いでt=0.8秒において分散0.01のホワイトノイズも加えられる。グリッド電流が示されており、電圧端子において存在する極度の歪みおよびノイズにもかかわらず非常に明確な正弦波形を描いている。
【0062】
電流制御部の別の態様によれば、グリッド電圧の高調波および基準電流の高調波を排除するために、図6Bに示すような複数の共振制御装置図が配置され得る。これらの制御装置の利得も、本明細書において説明する改良型LQR法を使用して最適に決定され得る。
【0063】
電流制御部の別の態様によれば、グリッド電流に存在し得る可能な直流成分を排除するために、図6Cに示すような積分制御装置が含まれる。この制御装置の利得も、本明細書において説明する変形LQR法を使用して最適に決定され得る。
【0064】
電流制御部の別の態様によれば、広範囲の周波数内にある高調波を抑圧するために、図6Dに示すような広帯域高調波制御装置が含まれる。この制御装置は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構造を有していてもよい。
【0065】
電流制御部の別の態様によれば、広範囲の周波数内にある高調波を補償するために、図6Eに示すような広帯域フィードフォワード高調波補償器が含まれる。この補償器は、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構造を有していてもよい。
【0066】
本明細書において説明する態様の電流制御部は、図5、6A、6B、6C、6D、および6Eに示すような構成の一つを使用してもよく、その任意の2つ以上の構成を組み合わせてもよいことが理解される。閉ループ制御装置の態様はシステム不確実性の大きな変動とインバータのスイッチング動作によって生じる大きな測定ノイズの両方に対してロバストである。制御部は、その性能に対するマイナスの影響なしでグリッド電圧における歪みおよび可能な周波数スイングを処理する。共振現象は十分に制振され、事実上信号には振動が現れない。システムのEPPL機能のおかげで、システムの周波数適合可能性が達成される。さらに、R制御装置は、高速な周波数変化によって生じる誤差を回避するように適切に構築されている。図12に、60から50Hzまでの大きな周波数変動が生成するときのシステムのサンプル性能を示す。図12(a)にはグリッドの電流(破線)および電圧(実線)が示されており、図12(b)には瞬時電力誤差が示されており、図12(c)には推定周波数が示されている。システムは、動作周波数を調整しており、注入電力は定常状態で変更されないままである。
【0067】
制御部の態様は、例えば、DSPマイクロプロセッサおよび/またはFPGAにおいて実装され得る。しかし、制御装置を、固定小数点実装形態について制御装置のパラメータ長と量子化誤差のどちらの影響も受けにくくするよう注意を払わねばならない。これに関しては既存文献に記載されているようなデルタ演算子の使用が有益となり得る。結果として、制御部の実装形態は、FPGAにおいてより複雑さが低く、よりコンパクトなものになる。
【0068】
補足のために図2の非線形制御の態様を数学的に導出し、以下で論じる。結合点におけるグリッド電圧をv(t)で、DGによる注入電流をi(t)で表すものとする。目的は、グリッドへの瞬時電力p(t)=v(t)i(t)の適切な注入を保証するように電流を制御することである。電力は、それぞれPおよびQで表されるその有効成分および無効成分によって都合よく特徴付けられる。v(t)=Vsin(φv)およびi(t)=Isin(φi)である正弦波状況において、瞬時電力は、
であり、式中、φ=φv-φiおよびP=1/2VIcosφおよびQ=-1/2・2VIsinφである。
【0069】
有効電力および無効電力のコマンドがそれぞれP基準およびQ基準で表されるものとする。その場合、瞬時電力のコマンドは次式で与えられる。
実際の電力と基準電力との瞬時二乗誤差であるコスト関数
を定義する。前述の目的はここで、J[i(t)]を最小にする適切な電流i(t)を見つけることに変換することができる。この問題への解を得るには、電流はi(t)=Isin(φi)であり、式中、
であり、ωはグリッド周波数である。電圧信号v(t)=Vsin(φv)は、
になるような基準とみなされる。その場合コスト関数は、滑らかな未知の変数θ=(I,φ)になる。(勾配降下法に基づくものである)EPLL方程式を導出するのに使用されるのと同じ戦略が、これらの未知の変数の変動を決定する式に到達するために用いられて得る。一般式は
であり、式中、μは正値定符号2×2行列である。対角構造をμ=diag{μ1,μ2}と仮定すると、結果として得られる式は以下のように要約することができる。
式中、e(t)=p基準(t)-p(t)=p基準(t)-v(t)i(t)であり、i(t)=Isin(φi)である。
【0070】
式集合(25)には、実際の電力と所望の電力との最小誤差を保証するために所望の変数Iおよびφiがどのように変更されなければならないかが示されている。図2にその方式が示されている。式(23)には、図2において、瞬時電力基準P基準(t)がどのようにして有効および無効基準値P基準およびQ基準から合成されるかが示されている。さらに、位相角および周波数を得るために電圧信号に対してEPLLが用いられる。EPLLの一特徴は、この状況では、単相用途における二重周波数高調波を除去することができることであり、このためEPLLはグリッド接続単相用途に有用である。
【0071】
以下に、直流電圧制御装置の性能およびその設計方法を示すための数学的証明を示す。式(26)には、直流バスのための電力バランス方程式が示されており、式中、p入力は入力電力であり、p出力はインバータ出力電力である。この式は非線形である。
【0072】
直流リンクエネルギー(wc)を新しい状態変数として定義することにより、線形式(27)が得られ、式中、pLは出力フィルタに蓄積される瞬時電力である。
【0073】
2つの項vgiおよびpLは二重周波数信号であり、p入力は直流信号である。結果は、wcが直流項と二重周波数項だけからなるというものになる。よって、vdcは多くの高次の高調波を有する。これは、従来行われたように、vdcがフィードバックループに使用される場合には、二重周波数を中心とするノッチフィルタが制御ループから高調波を除去することができない可能性があることを意味する。他方、wcにおけるフィードバックループはこの問題をなくす。この現象は図14に示されており、この方法は出力電流においてリプルを生じさせない。
【0074】
この方法は、リプルを回避するのみならず、直流リンク制御ループのための設計手順も円滑化する。完全な制御ループが図15(a)に示されており、ループ内の信号は直流項および二重周波数項を含む。電流制御装置は直流リンク制御ループより速いため、この態様は、線形ループが示されている図15(b)に示すように簡略化され得る。ループのPI制御係数を設計するには任意の周知の線形システム設計法が使用され得る。ループの特性方程式を(28)に示す。
【0075】
本願全体において引用されるすべての参照文献、係属中の特許出願、および公開特許の内容は参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0076】
均等物
当業者は、本明細書において説明した態様の変形を理解し、または確認することができるであろう。そのような変形は本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲により保護されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型発電の電圧および電流に対応する信号を受け取り、該分散型発電の電圧を制御するための信号を電力回路に出力する、最大電力点追従装置を含む第1の部分と、
該電力回路の直流電圧、配電グリッドの電圧および電流、ならびにインバータ電流に対応する信号を受け取り、該電力回路の出力電圧を制御するための信号を出力する、電流基準生成器、電流制御装置、および直流電圧制御装置を含む第2の部分と
を含み、
該電流基準生成器が、非線形回路素子を含み、かつ該電力回路の直流電圧ならびに該グリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成し、
結果として、実質的に高調波のない電力が該配電グリッドに注入される、
該分散型発電を該配電グリッドと接続する該電力回路のための制御装置。
【請求項2】
電力回路の出力電圧が、電力回路のインバータを制御することによって制御される、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
インバータが電流源インバータである、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
インバータが電圧源インバータである、請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
分散型発電が少なくとも一つの光起電力(PV)モジュールを含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
電流基準生成器が、
(i) 瞬時電力基準信号を生成する瞬時電力計算器を含み、かつ
(ii)非線形回路素子を使用して、該瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する、請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
改良型位相同期ループ(EPLL)を含む、請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
EPLLが、瞬時電力基準信号を生成するのに使用されるグリッド電圧の位相角を提供する、請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
瞬時電力計算器が、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する、請求項6記載の制御装置。
【請求項10】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドが外部から設定される、請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
有効電力コマンドが、直流リンク電圧誤差または直流リンクエネルギー誤差に対して動作する内部比例積分(PI)制御装置によって生成される、請求項9記載の制御装置。
【請求項12】
電流基準生成器が、エネルギー計算器と、ノッチフィルタと、少なくとも一つのPI制御装置とを含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項13】
EPLLを含む、請求項12記載の制御装置。
【請求項14】
EPLLが、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する、請求項13記載の制御装置。
【請求項15】
第1のPI制御装置が、(i)基準エネルギー信号と(ii)電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの並列信号と乗算して電流基準信号の有効電流成分を生成する、請求項14記載の制御装置。
【請求項16】
第2のPI制御装置が、(i)基準無効電力信号と(ii)電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの直交信号と乗算して電流基準信号の無効成分を生成する、請求項14記載の制御装置。
【請求項17】
電流制御装置が、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項18】
電流制御装置が、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびソフトスタートフィードフォワード制御装置を含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項19】
電流制御装置が一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分を含む、請求項18記載の制御装置。
【請求項20】
各共振型出力フィードバック部分がグリッド電圧の高調波に対応する、請求項19記載の制御装置。
【請求項21】
電流制御装置が、
(i) グリッド電流に作用する一つもしくは複数の共振型高調波制御装置、
(ii) グリッド電流に作用する積分制御装置、
(iii)該共振型制御装置と並列の広帯域高調波制御装置、
(iv) 該共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置、または
(v) グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器、または
(vi)(i)から(v)のうちの一つまたは複数の少なくとも一部分
を含む、請求項18記載の制御装置。
【請求項22】
広帯域高調波制御装置が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項21記載の制御装置。
【請求項23】
広帯域フィードフォワード高調波補償器が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項21記載の制御装置。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項記載の制御装置とインバータを含む電力回路とを含む、分散型発電を配電グリッドと接続するためのマイクロインバータシステム。
【請求項25】
インバータが電流源インバータである、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項26】
インバータが電圧源インバータである、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項27】
電流制御装置が、電力回路の出力フィルタを介して、実質的に高調波のない電力の潮流を制御する、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項28】
フィルタがインダクタである、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項29】
フィルタが誘導性素子および容量性素子の組み合わせを含む、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項30】
フィルタがLCLである、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項31】
分散型発電が少なくとも一つのPVモジュールを含む、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項32】
請求項24から31のいずれか一項記載のマイクロインバータシステムを含むPVモジュール。
【請求項33】
分散型発電の電圧および電流に対応する信号を使用して該分散型発電の電圧を制御する工程、
電流基準信号を生成する工程、および
(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流とに対応する信号を使用して該電力回路の出力電圧を制御する工程
を含み、
該電流基準信号を生成する工程が、非線形回路素子を備える電流基準生成器を使用する工程を含み、
結果として、実質的に高調波のない電力が該配電グリッドに注入される、
該分散型発電を該配電グリッドと接続する該電力回路を制御するための方法。
【請求項34】
電力回路の出力電圧が、電力回路のインバータを制御することによって制御される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
インバータが電流源インバータである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
インバータが電圧源インバータである、請求項34記載の方法。
【請求項37】
分散型発電が少なくとも一つのPVモジュールを含む、請求項33記載の方法。
【請求項38】
瞬時電力基準信号を生成する工程と、非線形回路素子を使用して該瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する工程とを含む、請求項33記載の方法。
【請求項39】
グリッド電圧の位相角を使用して瞬時電力基準信号を生成する工程を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
EPLLを使用してグリッド電圧の位相角を提供する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する工程を含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを外部から設定する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
直流リンク電圧誤差に対して動作する内部PI制御装置によって有効電力コマンドを生成する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置によって無効電力コマンドを生成する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、基準エネルギー信号と、電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差から、電流基準信号の有効電流成分を生成する工程を含み、該誤差が並列信号と乗算される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、基準無効電力信号と、電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差から、電流基準信号の無効成分を生成する工程を含み、該誤差が直交信号と乗算される、請求項45記載の方法。
【請求項48】
グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を、EPLLを使用して生成する工程を含む、請求項45記載の方法。
【請求項49】
電流制御装置において、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項50】
フィードフォワードソフトスタート制御装置を使用する工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
電流制御装置において、一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバックを使用する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項52】
各共振型出力フィードバック部分がグリッド電圧の高調波に対応する、請求項51記載の方法。
【請求項53】
電流制御装置において、
(i) グリッド電流に作用する一つもしくは複数の共振型高調波制御装置、
(ii) グリッド電流に作用する積分制御装置、
(iii)該共振型制御装置と並列の広帯域高調波制御装置、
(iv) 該共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置、または
(v) グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器、または
(vi)(i)から(v)のうちの一つまたは複数の少なくとも一部分
を使用する工程
を含む、請求項50記載の方法。
【請求項54】
広帯域高調波制御装置が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
広帯域フィードフォワード高調波補償器が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項53記載の方法。
【請求項1】
分散型発電の電圧および電流に対応する信号を受け取り、該分散型発電の電圧を制御するための信号を電力回路に出力する、最大電力点追従装置を含む第1の部分と、
該電力回路の直流電圧、配電グリッドの電圧および電流、ならびにインバータ電流に対応する信号を受け取り、該電力回路の出力電圧を制御するための信号を出力する、電流基準生成器、電流制御装置、および直流電圧制御装置を含む第2の部分と
を含み、
該電流基準生成器が、非線形回路素子を含み、かつ該電力回路の直流電圧ならびに該グリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成し、
結果として、実質的に高調波のない電力が該配電グリッドに注入される、
該分散型発電を該配電グリッドと接続する該電力回路のための制御装置。
【請求項2】
電力回路の出力電圧が、電力回路のインバータを制御することによって制御される、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
インバータが電流源インバータである、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
インバータが電圧源インバータである、請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
分散型発電が少なくとも一つの光起電力(PV)モジュールを含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
電流基準生成器が、
(i) 瞬時電力基準信号を生成する瞬時電力計算器を含み、かつ
(ii)非線形回路素子を使用して、該瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する、請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
改良型位相同期ループ(EPLL)を含む、請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
EPLLが、瞬時電力基準信号を生成するのに使用されるグリッド電圧の位相角を提供する、請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
瞬時電力計算器が、有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する、請求項6記載の制御装置。
【請求項10】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドが外部から設定される、請求項9記載の制御装置。
【請求項11】
有効電力コマンドが、直流リンク電圧誤差または直流リンクエネルギー誤差に対して動作する内部比例積分(PI)制御装置によって生成される、請求項9記載の制御装置。
【請求項12】
電流基準生成器が、エネルギー計算器と、ノッチフィルタと、少なくとも一つのPI制御装置とを含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項13】
EPLLを含む、請求項12記載の制御装置。
【請求項14】
EPLLが、グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する、請求項13記載の制御装置。
【請求項15】
第1のPI制御装置が、(i)基準エネルギー信号と(ii)電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの並列信号と乗算して電流基準信号の有効電流成分を生成する、請求項14記載の制御装置。
【請求項16】
第2のPI制御装置が、(i)基準無効電力信号と(ii)電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差に対して動作し、PI出力をEPLLからの直交信号と乗算して電流基準信号の無効成分を生成する、請求項14記載の制御装置。
【請求項17】
電流制御装置が、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項18】
電流制御装置が、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造、およびソフトスタートフィードフォワード制御装置を含む、請求項1記載の制御装置。
【請求項19】
電流制御装置が一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分を含む、請求項18記載の制御装置。
【請求項20】
各共振型出力フィードバック部分がグリッド電圧の高調波に対応する、請求項19記載の制御装置。
【請求項21】
電流制御装置が、
(i) グリッド電流に作用する一つもしくは複数の共振型高調波制御装置、
(ii) グリッド電流に作用する積分制御装置、
(iii)該共振型制御装置と並列の広帯域高調波制御装置、
(iv) 該共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置、または
(v) グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器、または
(vi)(i)から(v)のうちの一つまたは複数の少なくとも一部分
を含む、請求項18記載の制御装置。
【請求項22】
広帯域高調波制御装置が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項21記載の制御装置。
【請求項23】
広帯域フィードフォワード高調波補償器が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項21記載の制御装置。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか一項記載の制御装置とインバータを含む電力回路とを含む、分散型発電を配電グリッドと接続するためのマイクロインバータシステム。
【請求項25】
インバータが電流源インバータである、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項26】
インバータが電圧源インバータである、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項27】
電流制御装置が、電力回路の出力フィルタを介して、実質的に高調波のない電力の潮流を制御する、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項28】
フィルタがインダクタである、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項29】
フィルタが誘導性素子および容量性素子の組み合わせを含む、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項30】
フィルタがLCLである、請求項27記載のマイクロインバータシステム。
【請求項31】
分散型発電が少なくとも一つのPVモジュールを含む、請求項24記載のマイクロインバータシステム。
【請求項32】
請求項24から31のいずれか一項記載のマイクロインバータシステムを含むPVモジュール。
【請求項33】
分散型発電の電圧および電流に対応する信号を使用して該分散型発電の電圧を制御する工程、
電流基準信号を生成する工程、および
(i)電力回路の直流電圧と(ii)配電グリッドの電圧および電流とに対応する信号を使用して該電力回路の出力電圧を制御する工程
を含み、
該電流基準信号を生成する工程が、非線形回路素子を備える電流基準生成器を使用する工程を含み、
結果として、実質的に高調波のない電力が該配電グリッドに注入される、
該分散型発電を該配電グリッドと接続する該電力回路を制御するための方法。
【請求項34】
電力回路の出力電圧が、電力回路のインバータを制御することによって制御される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
インバータが電流源インバータである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
インバータが電圧源インバータである、請求項34記載の方法。
【請求項37】
分散型発電が少なくとも一つのPVモジュールを含む、請求項33記載の方法。
【請求項38】
瞬時電力基準信号を生成する工程と、非線形回路素子を使用して該瞬時電力基準信号ならびにグリッドの電圧および電流から電流基準信号を生成する工程とを含む、請求項33記載の方法。
【請求項39】
グリッド電圧の位相角を使用して瞬時電力基準信号を生成する工程を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
EPLLを使用してグリッド電圧の位相角を提供する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドから瞬時電力を算出する工程を含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
有効電力コマンドおよび無効電力コマンドを外部から設定する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
直流リンク電圧誤差に対して動作する内部PI制御装置によって有効電力コマンドを生成する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
電圧振幅誤差に対して動作する内部PI制御装置によって無効電力コマンドを生成する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を生成する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項46】
前記方法が、基準エネルギー信号と、電力回路の直流電圧に対応する実際のエネルギー信号との間の誤差から、電流基準信号の有効電流成分を生成する工程を含み、該誤差が並列信号と乗算される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記方法が、基準無効電力信号と、電力回路の出力電力に対応する実際の無効電力信号との間の誤差から、電流基準信号の無効成分を生成する工程を含み、該誤差が直交信号と乗算される、請求項45記載の方法。
【請求項48】
グリッド電圧に対応する並列信号および直交信号を、EPLLを使用して生成する工程を含む、請求項45記載の方法。
【請求項49】
電流制御装置において、共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバック制御構造を使用する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項50】
フィードフォワードソフトスタート制御装置を使用する工程を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
電流制御装置において、一つまたは複数の共振型出力フィードバック部分と組み合わされた準状態フィードバックを使用する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項52】
各共振型出力フィードバック部分がグリッド電圧の高調波に対応する、請求項51記載の方法。
【請求項53】
電流制御装置において、
(i) グリッド電流に作用する一つもしくは複数の共振型高調波制御装置、
(ii) グリッド電流に作用する積分制御装置、
(iii)該共振型制御装置と並列の広帯域高調波制御装置、
(iv) 該共振型制御装置と直列の広帯域高調波制御装置、または
(v) グリッド電圧信号に作用する広帯域フィードフォワード高調波補償器、または
(vi)(i)から(v)のうちの一つまたは複数の少なくとも一部分
を使用する工程
を含む、請求項50記載の方法。
【請求項54】
広帯域高調波制御装置が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項53記載の方法。
【請求項55】
広帯域フィードフォワード高調波補償器が、比例、比例微分、進み、または進み遅れ構成を有する、請求項53記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公表番号】特表2013−505688(P2013−505688A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529079(P2012−529079)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001466
【国際公開番号】WO2011/032287
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001466
【国際公開番号】WO2011/032287
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】
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