説明

分散広帯域光の高速波長スキャンのための回転ディスク反射

電磁放射をフィルタする装置および発生源の構成が提供され、これらは、電磁放射の周波数に基づいて電磁放射の1つ以上の成分(320,340)を物理的に分離するように構成された少なくとも1つのスペクトル分離構成(200)を有しうる。装置および発生源の構成は、回転リフレクタディスクスキャナ(500)など、1つ以上の成分(320,340)に関連する少なくとも1つの信号を受け取るように構成された少なくとも1つの連続回転光学構成を有しうる。更に、装置および発生源の構成は、信号を受け取るように構成された少なくとも1つのビーム選択構成も有しうる。回転ディスク(500)は、ディスク(500)の回転の周波数に応じて、波長スキャンを生成するための反射パターン(520)を有しうる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2007年1月19日出願の米国特許出願第60/885,660号に基づき、同出願に対する優先権の利益を要求し、その全開示が、参照によりここに援用される。
【0002】
本発明は、一般に、光学系に関し、より詳細には、波長チューニングのための光波長フィルタシステム、ならびにこの光波長フィルタシステムを使用した波長掃引レーザに関する。
【背景技術】
【0003】
光リフレクトメトリ測定、生物医学画像法、センサインタロゲーション、ならびに試験および測定用の、高速かつ広範にチューニング可能な波長レーザソースを開発するために、かなりの労力が払われてきた。狭線幅、ワイドレンジおよび高速のチューニングは、キャビティ内狭帯域波長スキャンフィルタを使用して得られている。回折格子フィルタ設計を使用することにより、拡張キャビティ半導体レーザにおいてモードホッピングのない単一周波数動作が得られている。しかし、単一周波数レーザ動作を得て、モードホップのないチューニングを保証することは、複雑な機械装置を使用し、最大チューニング速度を制限する可能性がある。これまでに得られている最高のチューニング速度の1つは100nm/秒未満にとどまっている。生物医学画像法などの特定の代表的な用途では、10GHz以上の瞬時線幅に対応する複数の長手方向モード動作で十分である。このような線幅により、光コヒーレンストモグラフィ法において組織の数ミリメートルの範囲深さ(ranging depth)と、スペクトル符号化共焦点顕微鏡検査においてマイクロメートルレベルの横分解能を得ることができる。
【0004】
10GHzのオーダーの線幅は、キャビティ内チューニング素子(例えば音響光フィルタ、ファブリペローフィルタおよびガルバノメーター駆動回折格子フィルタ)を使用して実現することができる。しかし、従来の掃引周波数は、フィルタの有限のチューニング速度によって1kHz未満に限られていた。生物医学的用途におけるビデオ速度(>30フレーム/秒)の高解像度光学画像法では、15kHzを越える反復速度を有する高速チューニングが必要となりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリゴンスキャンフィルタを使用する波長掃引レーザの最近の実装は、最大10,000nm/マイクロ秒の高速波長チューニングを提供している。高速ポリゴンベースの波長掃引光源は、200フレーム/秒もの高速撮像が可能であるが、瞬時線幅を0.15nmより狭い値に保った10,000nm/マイクロ秒もの高い波長チューニング速度は、ポリゴンベースの波長掃引レーザの限界に既に達している。
【0006】
したがって、特に広い波長チューニング範囲および高速チューニング速度での狭瞬時線幅のための、新しい波長スキャンフィルタと、より高速なチューニングのためのレーザ方式が求められている。
【0007】
本発明の目的の1つは、上記の不備を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な実施形態は、広スペクトルチューニング範囲および狭瞬時線幅において高速波長掃引光を供給する光波フィルタリングのための装置および発生源の構成を有しうる。本発明の代表的な実施形態の代表的な変形例では、前記光フィルタは、回折格子、集束レンズおよび回転ディスクを備えうる。前記回転ディスクは、リフレクタパターンおよび/または透過ウィンドウパターンを有しうる。ディスクの特定の光学部品と構成および適切な設計により、狭瞬時線幅で、広いチューニング範囲にわたる高速波長掃引が可能となる。
【0009】
本発明の別の代表的な実施形態では、前記波長掃引フィルタは、波長チューニング可能な光源を実施する適切な利得媒質と結合される。前記フィルタおよび利得媒質は、更にレーザキャビティに組み込まれうる。例えば、レーザは狭帯域スペクトルを発し、その中心波長が広い波長範囲にわたって高速で掃引されうる。この代表的なレーザ共振器は、前記レーザの前記キャビティ長を最小限に抑える特別に設計された半導体光利得媒質を有する単方向光ファイバリングおよび/または完全自由空間線形キャビティを有しうる。
【0010】
本発明の代表的な一実施形態によれば、装置は、第1電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つの区画を有する構成を有しうる。前記区画は、前記第1電磁放射に関連する第2電磁放射の透過および/または反射を行うように構成されうる。前記区画は、(i)特定の波数が時間と共に直線的に変化し、かつ(ii)平均周波数が時間と共に、1ミリ秒につき100テラヘルツより高速で変化する、ように前記第2電磁放射を変化させるように構成されうる。前記平均周波数は、5キロヘルツを越える反復速度で繰り返し変化しうる。前記スペクトルは、100ギガヘルツ未満の瞬時線幅を有しうる。
【0011】
本発明の更に別の代表的な実施形態によれば、前記構成は、前記第2電磁放射を、少なくとも1つの特定の位置に、前記区画の反射および/または透過をさせる連続回転ディスクを有する。前記回転ディスクは、前記第2電磁放射の反射および/または透過を行う、曲線形状を有する少なくとも1つの部分を有しうる。前記構成は、レーザキャビティに設けられうる。また、処理構成および/またはユーザによる前記平均周波数の制御を可能にする制御構成も設けられうる。
【0012】
本発明の更に別の代表的な実施形態によれば、装置は、電磁放射を供給することができ、第1電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つの区画を有する連続回転する第1構成を有しうる。前記区画は、前記第1電磁放射に関連する第2電磁放射の透過および/または反射を行うように構成されうる。前記第2電磁放射の波長は、特性的反復時間でスキャンされうる。前記第2電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つのレーザキャビティを有する第2構成が設けられうる。前記レーザキャビティにおける前記第2電磁放射の往復伝搬時間は、前記特性的反復時間の整数倍と実質的に等しくてもよい。
【0013】
本発明の更に別の代表的な実施形態によれば、前記往復伝搬時間および/または前記特性的反復時間を制御するように構成された第3構成が設けられうる。前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求め、前記関係に基づいて前記第3構成を制御するように構成された第4構成が設けられうる。また、前記往復伝搬時間および/または前記特性的反復時間を制御し、前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求めるように構成された別の構成が設けられうる。前記別の構成は前記関係に基づいて制御されうる。本発明の代表的な実施形態によれば、前記第2構成に対して内部または外部に提供され、少なくとも1つのラマン増幅特性に基づいて前記第1電磁放射または前記第2電磁放射のうちの少なくとも一方を増幅するように構成された更に別の構成が設けられうる。
【0014】
本発明の上記ならびに他の目的、特徴および利点は、下記に記載する本発明の詳細な説明を読めば、更に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明に係る回転ディスクに基づく波長チューニングフィルタの第1の代表的な実施形態である。
【図1B】本発明に係る回転ディスクに基づく波長チューニングフィルタの第2の代表的な実施形態である。
【図2】本発明に係るディスクリフレクタに基づく波長チューニングフィルタを使用した、短い線形キャビティレーザの第3の代表的な実施形態である。
【図3】本発明に係るディスクリフレクタに基づく波長チューニングフィルタを使用した、ファイバリングレーザの代表的な実施形態である。
【図4】本発明に係るディスクリフレクタに基づく波長チューニングフィルタを使用した、共振キャビティファイバリングレーザの代表的な実施形態である。
【図5】本発明に係るディスクリフレクタに基づく波長チューニングフィルタを使用した、共振キャビティファイバラマンリングレーザの代表的な実施形態である。
【図6A】本発明に係るディスクリフレクタの第1の代表的な実施形態である。
【図6B】本発明に係るディスクリフレクタの第2の代表的な実施形態である。
【図6C】本発明に係るディスクリフレクタの第3の代表的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の更に別の目的、特徴および利点は、本発明の例示的な実施形態を示す図面を参照して、以下の発明の詳細な説明から明らとなるであろう。
【0017】
全図面にわたって、同じ参照番号および参照符号は、特段の断りのない限り、同様の特徴、要素、部品または図に示した実施形態の一部を指すために用いられる。また、対象の発明を、図を参照して詳細に説明するが、説明は例示的な実施形態に関連して行う。対象の発明の真の範囲および趣旨を逸脱しない範囲で、記載の実施形態に変更および変形を行うことができることが意図される。
【0018】
図1Aは、本発明に係るディスクリフレクタに基づく波長チューニングフィルタの第1の代表的な実施形態の模式図を示す。例えば、光波長フィルタは、平行(collimated)入出力ビーム100、回折格子200、集束レンズ400、および回転反射ディスク500を備える。光波長フィルタへの光入力が、平行入力ビーム100として提供される。波長フィルタされた出力が、平行光出力100として逆反射される。回折格子200は、波長分散素子として使用され、反射格子、透過格子、プリズム、回折格子、音響光学回折セルまたはこれらの素子の1つ以上の組み合わせ(これらに限定されない)を備えうる。
【0019】
回折格子200が、焦点距離を有する凹形曲率を有してもよく、この場合、集束レンズ400が不要となる。集束レンズ400は、ほぼその焦点距離F1だけ回折格子から離れた距離に設けられている。集束レンズ400は、格子200から回析された平行波長成分を受け取り、これを像平面IPに集束させる。像平面IPには、反射パターン520を有するディスク500が設けられている。反射ディスク500がその中心540を中心に回転560すると、各波長成分が、リフレクタパターン520の1つによって1つずつ選択的に反射され、時間と共に連続波長掃引が与えられる。あるリフレクタストリップが波長340〜320の所望のスペクトルを処理した(passes through)後は、次のリフレクタがスキャンを繰り返していく。ディスク500の作製にさまざまな種類の材料を使用することができ、これには、軽量金属、軽量プラスチック、およびガラス基板またはシリコン基板などの異なる材料の基板などが挙げられる。また、集束レンズ400も、用途に応じて異なる材料から形成することができ、低コストの用途ではプラスチック製の成型非球面レンズを使用することができる。
【0020】
波長チューニングの方向を決定するために、光軸210に対する入射ビーム100の代表的な向きおよびディスクリフレクタ500の回転方向560を使用することができ、例えば、波長アップ(正)スキャンまたは波長ダウン(負)スキャンがある。フィードバックループ回路を使用して、ディスク500の回転速度が監視および制御されうる。フィードバックを提供するために、モニタ用ビーム110が使用されうる。図1Aに示す代表的な構成は、正の波長掃引を行ないうる。図1Aには、ディスクリフレクタ構成500が、例えば20のリフレクタパターン520を有するように示されているが、リフレクタストリップの個数が20より多いか少ないリフレクタパターン構成520が使用されてもよいことを理解すべきである。実際の機械的制約を一般に考慮しないが、従来の製造法に基づけば、任意の用途に使用するためのディスクリフレクタ構成500のリフレクタストリップ520の特定の個数は、特定の用途のための所望のスキャン速度およびスキャン範囲に応じて決まりうる。
【0021】
更に、ディスク500のサイズは、特定の用途の選択(preference)に基づいて選択され、好ましくはディスク500の製造のしやすさおよび重量などの特定の要因が考慮されるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明に係る代表的な一実施形態では、幅広い光スペクトルを有し、格子に入射されるガウスビーム100が使用される。従来の回折格子式(grating equation)は、
λ=p・(sinα+sinβ)
のように表すことができ、上記式において、λは光波長、pは格子間隔、αおよびβは格子の垂直軸に対するビームの入射角および回析角である。フィルタのチューニング範囲の中心波長は、
λ=p・(sinα+sinβ
によって定義され、上記式において、βは、光軸210と格子の垂直軸間の角度である。回折格子構成のスペクトル分解能のFWHM帯域幅は、
(δλ)FWHM/λ=A・(p/m)cosα/W
によって定義され、上記式において、二重光路(double pass)に対し、
【数1】

であり、mは回折次数、Wはファイバコリメータにおけるガウスビームの1/e幅である。
【0023】
フィルタのチューニング範囲は、
Δλ=pcosβ(L/F1)
によって与えられ、上記式において、L=2F1tan(Δβ/2)は、ストライプ間の距離を表す。像平面におけるビームスポット経(1/e強度点で測定される)は、w=4λF1/πW’(左記式において、W’=W(cosβ/cosα)は集束レンズ400における各波長成分の平行ビームの1/e幅である)で表されるため、フィルタの(チューニング範囲)/(線幅)で定義することができるフィルタの有効フィネッス(effective
finesse)は、
【数2】

によって決定することができる。
【0024】
この関係から求められるように、格子のスペクトル分解能が十分に高いと仮定した場合には、フィルタのフィネッスを上げるには、格子の溝の密度を大きくし、ビーム入射角を大きくする必要がある。例えば、W=0.5mm、λ=1.3μm、Δλ=120nm、およびp=1/1200mmのときに800のフィネッス(Δλ=120nm、および(δλ)filter=0.15nm)を実現するためには、入射角は86.9°でなければならない(W=0.5mmおよび(SX)FWHM=0.062nm)。焦点距離が短い(NAが大きい)場合、リフレクタストリップ間の間隔が小さく(スポット経が小さく)なるため、同じサイズのディスクでリフレクタストリップを増やし、このため、おそらく波長掃引反復速度を上げるためには、レンズ400の有効径(clear aperture)が、ビームクリッピングを防ぐのに十分大きい限り、短焦点距離レンズ400の使用が好適である。例えば、F1=10mmおよびD=10mm(NA≒0.5)の場合、Dはレンズ400の有効径、L=1.74mmおよびws=2.16マイクロメートルである。
【0025】
ストリップの幅wは、好ましくは、ディスク表面におけるビームスポット経wと実質的に等しくてもよい。w>wの場合、フィルタ帯域幅が広がり、w<wの場合、フィルタ帯域幅が狭くなるものの、ビームクリッピングによってフィルタの効率(反射率)が低下しうる。
【0026】
光波長フィルタの第2の代表的な実施形態が図1Bに示される。この代表的なフィルタ構成では、回転ディスクに透過ウィンドウのストリップが配置されうる。透過ウィンドウを通る波長成分のみが、テレスコープ構成420,440を介して反射鏡600に中継され、その後入射ポート100に逆反射される。
【0027】
図2は、回転リフレクタディスクを使用した波長掃引レーザの代表的な実施形態を示す。半導体光学アンプ(SOA)700からの平行光出力100が、回転ディスク波長フィルタに直接結合される。SOA710の反射ファセット側から光の一部分がシングルモードファイバ720に結合され、レーザ740の出力が提供される。
【0028】
光がSOA利得媒質を通過すると、バンド内4波混合現象の結果、キャビティ内レーザ光の光スペクトルの周波数シフトダウンが発生する。周波数シフトダウンが発生した場合、波長スキャンフィルタを正の波長掃引方向に作動させることによって大きな出力パワーを生み出すことができる。自己周波数シフトと正のチューニングを組み合わせた動作により、より大きな出力を得ることができ、レーザがより高いチューニング速度で動作することが可能となるため、正の波長スキャンは好ましい動作でありうる。チューニング速度が上がることで、出力パワーを下げることができ、瞬時線幅を広げることができる。チューニング速度に対する出力パワーおよび瞬時線幅の感受性を下げるために、短いキャビティ長が望ましいとも考えられる。
【0029】
ディスクリフレクタおよび利得媒質と光波長フィルタ間の直接自由空間結合に基づく、長さの短い波長スキャンフィルタでは、キャビティ全体の往復長さは、20cmよりも短くてもよく、このことは、チューニング速度に対する出力パワーおよび瞬時線幅の感受性を下げるために有利である。透過型の回転ディスクフィルタを使用することもできるが、キャビティ長が短い反射型が好適でありうる。
【0030】
図3は、回転リフレクタディスクを使用した波長掃引レーザの別の代表的な実施形態を示す。ファイバリングキャビティ702が、コリメーティングレンズ750を介してディスクスキャンフィルタに結合されうる。比較的長いキャビティ長が許容されるような高速チューニングが必須ではない用途では、従来のデュアルポートSOA712を有するファイバリングキャビティが、任意選択の代表的な構成であってもよい。
【0031】
図4は、キャビティ長の長いディスクに基づくファイバリング波長掃引レーザの代表的な実施形態を示す。レーザ光が、キャビティの往復後に共振するようにキャビティ長を長くすることは、チューニング速度に対する出力パワーおよび瞬時線幅の感受性を下げる別の方法である。リングキャビティ702内に設けらた、その長さがチューニング反復速度に応じて決まる追加のファイバ760により、共振チューニングが可能となる。ディスクスキャナを有するレーザキャビティのキャビティ長の変動は、ポリゴンスキャナベースのレーザのものよりも小さく、このため、より良好な共振を得ることができる。キャビティミラー位置が固定されており、ディスクが回転しても、各波長のキャビティ長が変化しないため、透過型ディスクスキャンフィルタを使用することにより、更に好適なキャビティ共振を得ることができる。ディスク500の回転速度は、回転速度を測定するために(おそらくモニタリングビーム110を用いる)フィードバックループを使用することにより、一定に保つことができる。ディスクの厚さおよび平坦度のばらつきによる位相変動を除去するために、電気光学位相変調器または圧電変調器による能動位相チューニングが使用されてもよい。また、キャビティ長の変動のフィードバックを位相変調器に提供するために、監視ビーム110も使用されてもよい。
【0032】
図5は、ディスクスキャンフィルタを使用した共振キャビティファイバラマンリングレーザの代表的な実施形態を示す。共振波長チューニングに長い光ファイバ760が使用されるため、WDMカプラ780を介して適切な励起光770を供給することで、長いファイバ760においてラマン利得を発生させることができる。ラマン利得効率を改善するキャビティ内の長いファイバ760として、特殊なタイプのファイバが使用されうる。ラマン利得波長帯域は、励起光の波長帯域によって決定されるため、適切な波長帯域の励起光が利用可能である限り、任意の波長チューニング帯域を有する波長掃引レーザを得ることができる。また、励起光のパワーおよびファイバにおけるラマン利得効率によっては、高パワーの波長掃引レーザを実施することができる。ラマン利得のための励起光をレーザ光の後方で供給しても、より高い利得を得るために、前方と後方の両方の励起を同時に使用してもよい。励起光は、単一波長成分の光に限定されない。広帯域幅のラマン利得を得るために、好ましくは複数波長の励起光が使用されうる。この代表的な構成は、フィルタの自由スペクトル範囲を越えるレーザチューニング範囲を実現するために、波長を少しずつずらし、利得帯域幅が、フィルタの自由スペクトル範囲よりも広く、漸進的にオン/オフが循環される複数のラマン励起光を使用することにより、更に拡張することができる。
【0033】
図6Aは、スキャンディスクリフレクタ(または透過ウィンドウ)パターン520の構成の代表的な実施形態を示す。例えば、回転ディスク500に、100を越えるリフレクタストリップ520が書き込まれうる。波長成分の空間的に離散された線580が、好ましくはリフレクタストリップに対して90°の向きでディスクに入射される。厚さとリフレクタストリップ間の間隔は、上で説明した考慮事項に基づいて決定されうる。リフレクタ(または透過ウィンドウ)のない領域には、反射防止コーティングが施されうる。多くのリフレクタストリップをディスクに書き込むことができ、同じ回転速度で高いチューニング反復速度を与えることができるため、回転速度が小さなディスクの回転速度よりも大幅に遅くない限り、大口径の(直径の大きな)ディスク好適でありうる。100を越えるリフレクタストリップを有するディスク560を1000回転/秒で回転させると、100kHzを越えるチューニング反復速度を得ることができる。
【0034】
図6Bは、スキャンディスクリフレクタ(または透過ウィンドウ)パターン520の構成の別の代表的な実施形態を示す。この代表的な実施形態では、リフレクタストリップは、直線でなく曲線である。リフレクタストリップの曲率は、ディスクスキャナが一定速度で回転しているときに、任意の所望の波長チューニングのスロープを得ることができるように慎重に設計される。所望の波長チューニングスロープを得るために、リフレクタストリップ素子と波長成分の線間580の角度fを、予め設計された値に正確に合わせる必要がある。OFDI(光学周波数領域画像法)に好適な1つの代表的なチューニングスロープは、ディスクが一定速度で回転すると、フィルタされた光の波数が時間と共に直線的に掃引されうる。
【0035】
図6Cは、スキャンディスクリフレクタ(または透過ウィンドウ)パターン520の構成の別の代表的な実施形態を示す。この代表的な構成では、リフレクタストリップ522の複数のリングが、ディスク上に書き込まれうる。各リフレクタストリップリングは、特定の波長フィルタリング条件(チューニング範囲、線幅など)に対応しており、複数のリングにより、異なる波長掃引要件に対するさまざまな選択肢を与えることができる。
【0036】
上記の説明は、本発明の原則を示すに過ぎない。記載した実施形態をさまざまに変更および変形することは、ここに記載した教示を鑑みれば、当業者にとって明らかであろう。実際、本発明の代表的な実施形態に係る構成、システムおよび方法は、どのようなOCTシステム、OFDIシステム、スペクトルドメインOCT(SD−OCT)システムまたは他の画像システムと共に使用することができる。この例としては、例えば、2004年9月8日出願の国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日出願の米国特許出願第11/266,779号、および2004年7月9日出願の米国特許出願第10/501,276号に記載されているものが挙げられ、これらの開示の全体が参照により本明細書に援用される。このため、当業者が数多くのシステム、構成および方法を考察することができることが認められよう。このようなシステム、構成および方法は、ここに明確に図示または記載されていないが、本発明の原理を具体化しており、このため本発明の趣旨および範囲に含まれる。また、先行技術情報が本明細書に参照により明示的に援用されていない範囲において、その全体が本明細書に明示的に援用される。本明細書において上記で参照した刊行物の全ては、その全体が参照により本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つの区画を有する構成を有し、
前記少なくとも1つの区画は、前記第1電磁放射に関連する第2電磁放射の透過または反射の少なくとも一方を行うように構成されており、
前記少なくとも1つの区画は、
a.特定の波数が時間と共に直線的に変化し、かつ
b.平均周波数が時間と共に、1ミリ秒につき100テラヘルツより高速で変化する、ように前記第2電磁放射を変化させるように構成されている装置。
【請求項2】
前記平均周波数は、5キロヘルツを越える反復速度で繰り返し変化する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スペクトルは、100ギガヘルツ未満の瞬時線幅を有する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記構成は、前記第2電磁放射を、少なくとも1つの特定の位置に、前記少なくとも1つの区画の反射または透過の少なくとも一方をさせる連続回転ディスクを有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記回転ディスクは、前記第2電磁放射の反射または透過の少なくとも一方を行う、曲線形状を有する少なくとも1つの部分を有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの区画は曲線形状を有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記構成はレーザキャビティに設けられる請求項1に記載の装置。
【請求項8】
処理構成またはユーザの少なくとも一方による前記平均周波数の制御を可能にする制御構成を更に有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
電磁放射を供給する装置であって、
第1電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つの区画を有する連続回転する第1構成と、前記少なくとも1つの区画は、前記第1電磁放射に関連する第2電磁放射の透過または反射の少なくとも一方を行うように構成されており、前記第2電磁放射の波長は、特性的反復時間でスキャンされ、
前記第2電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つのレーザキャビティを有する第2構成と、を有し、前記レーザキャビティにおける前記第2電磁放射の往復伝搬時間は、前記特性的反復時間の整数倍と実質的に等しい装置。
【請求項10】
前記往復伝搬時間または前記特性的反復時間のうちの少なくとも1つを制御するように構成された第3構成を更に有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求め、前記関係に基づいて前記第3構成を制御するように構成された第4構成を更に有する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記往復伝搬時間または前記特性的反復時間の少なくとも1つを制御し、前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求めるように構成された別の構成を有し、前記別の構成は前記関係に基づいて制御される請求項9に記載の装置。
【請求項13】
電磁放射を供給する装置であって、
第1電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つの区画を有する第1構成と、前記少なくとも1つの区画は、前記第1電磁放射に関連する第2電磁放射の透過または反射の少なくとも一方を行うように構成されており、前記第2電磁放射の波長は、特性的反復時間でスキャンされ、
前記第2電磁放射を入射するように構成された少なくとも1つのレーザキャビティを有する第2構成と、前記レーザキャビティにおける前記第2電磁放射の往復伝搬時間は、前記特性的反復時間の整数倍と実質的に等しく、
前記第2構成に対して内部または外部に提供され、少なくとも1つのラマン増幅特性に基づいて前記第1電磁放射または前記第2電磁放射のうちの少なくとも一方を増幅するように構成された第3構成と、を有する装置。
【請求項14】
前記往復伝搬時間または前記特性的反復時間のうちの少なくとも1つを制御するように構成された第4構成を更に有する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求め、前記関係に基づいて前記第4構成を制御するように構成された第5構成を更に有する請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記往復伝搬時間または前記特性的反復時間の少なくとも1つを制御し、前記往復伝搬時間と前記特性的反復時間との関係を求めるように構成された別の構成を有し、前記別の構成は前記関係に基づいて制御される請求項13に記載の装置。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2010−517080(P2010−517080A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546509(P2009−546509)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/051335
【国際公開番号】WO2008/089342
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】