説明

分析方法

【課題】遠心力を利用した送液チップを用いた分析方法において、反応液や廃液の逆流が効果的に防止される分析方法の提供を目的とする。
【解決手段】選択的結合性物質が結合した担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバを有するチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程を含む分析方法であって、前記公転のための回転軸と停止中の前記チップのリザーバ・反応室軸のなす角度θが0°≦θ≦80°であることを特徴とする分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析方法に関し、詳しくは、正確かつ高感度な分析の可能な分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床診断や食品衛生、環境分析に関わる微量分子の分析の殆どは、臨床検査会社や分析会社で行われているが、世の中の流れとして、ベッドサイドでの簡便・迅速診断や、食品の加工、輸入の各現場において分析・測定を行い、事故を未然に防ぐことや、河川や廃棄物中の有害物質の分析を河川や廃棄物処理場等の現場で行うことの重要性が注目されている。そのため、近年、簡便、迅速、安価かつ高感度に測定が可能な検出法や分析装置の開発が重要視されている。
【0003】
特に、臨床診断のための分析においては、分析時間の短縮や、分析に要する検体量の微量化と同時に、病気の状態を早期に発見するために、微量の検体を用いて高感度に検出することが重要な課題である。これらの課題を解決するために、検体中の微量の被検物質を分析するための免疫分析において、Lab−on−chip(μTAS)と呼ばれる小型のチップの利用が提案されている。近年、このような回転による遠心力を利用して送液させるチップに関する技術が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4には、2つまたはそれ以上のマイクロチャンネル構造体の第1の集合を有し、マイクロチャンネル構造体それぞれが有する特定の構造ユニットが、マイクロ導路で接続されているディスク型のマイクロ流体デバイスを、回転させることによって遠心力を利用して試薬・検体リザーバから反応室に液体を流し、化学的、生物学的化学領域内の測定、合成、分解準備などを行う技術が記載されている。さらに、特許文献5には、微細チャンネルを埋設した微量システムプラットホームを回転させて、これにより生じる向心力を利用してプラットホーム上の流体運動を誘導する技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特表2005−507762号公報
【特許文献2】特表2006−521558号公報
【特許文献3】特表2004−529336号公報
【特許文献4】特表2006−524816号公報
【特許文献5】特表2000−514928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の従来技術では、チップの構造がCD様のディスク型の形状であるため、試薬・検体リザーバと反応室が略水平面上に配列されている。そのため試薬送液後、低速もしくは停止した際に、反応室から試薬・検体リザーバへの反応液の逆流を起こすことがあり、測定が不正確になるという課題があった。特に大容量の試薬や検体を用いた場合、反応室から試薬・検体リザーバへの逆流を起こす可能性が高まることから、用いることができる試薬や検体の容量には実質的な限界があった。
【0007】
また、上記の従来技術では、反応室と反応室に連通した廃液槽が略水平面上に配置されており、そのため試薬送液後、低速もしくは停止した際に、廃液槽から反応室への廃液の逆流を起こすこともあり、測定が不正確になるという課題があった。特に大容量の試薬や検体を用いた場合、廃液槽から反応室への逆流を起こす可能性が高まることから、用いることができる試薬や検体の容量には実質的な限界があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、遠心力を利用した送液チップを用いた分析方法において、反応室から試薬・検体リザーバへの反応液の逆流を効果的に防止できる分析方法、および、廃液槽から反応室への廃液の逆流を効果的に防止できる分析方法の提供を目的とする。さらに、反応室の容積に対して大容量の試薬や検体を用いることの可能な分析方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の〔1〕〜〔19〕を提供するものである。
〔1〕 選択的結合性物質が結合した担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバを有するチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程を含む分析方法であって、前記回転軸と停止中の前記チップのリザーバ・反応室軸のなす角度θが0°≦θ≦80°であることを特徴とする分析方法。
〔2〕 選択的結合性物質が結合した担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバと、該試薬・検体リザーバと反対側で前記反応室に連通した廃液槽を有するチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程を含む分析方法であって、前記回転軸と停止中の前記チップの反応室・廃液槽軸のなす角度θ’が0°≦θ’≦80°であることを特徴とする分析方法。
〔3〕 前記チップが試薬・検体リザーバと反対側で反応室に連通した廃液槽を有し、前記回転軸と停止中の前記チップの反応室・廃液槽軸のなす角度θ’が0°≦θ’≦80°であることを特徴とする〔1〕に記載の分析方法。
〔4〕 前記試薬・検体リザーバの前記反応室に対する容積比が、50以上であることを特徴とする、〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔5〕 前記試薬・検体リザーバの前記反応室に対する容積比が、50〜5×108であることを特徴とする、〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔6〕 前記試薬・検体リザーバの送液方向の投影断面積と、前記反応室の送液方向の投影断面積の比が、50以上であることを特徴とする、〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔7〕 前記試薬・検体リザーバの送液方向に対して平行の最大断面積と、前記反応室の送液方向に対して平行の最大断面積の比が、2〜400であることを特徴とする、〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔8〕 前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体を前記反応室に通過させ、被検物質を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程、および前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて標識物質を含む溶液を反応室に通過させる工程を含む〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔9〕 前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体と標識物質を含む液体の混合液を前記反応室に通過させ、被検物質と標識物質の複合体を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程を含む〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔10〕 前記反応室において、選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を光学的手段を用いて行うことを特徴とする〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔11〕 前記光学的手段が蛍光測定であることを特徴とする〔10〕に記載の分析方法。
〔12〕 前記光学的手段が発光測定であることを特徴とする〔10〕に記載の分析方法。
〔13〕 前記光学的手段が吸光度測定であることを特徴とする〔10〕に記載の分析方法。
〔14〕 前記反応室において、選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を放射線検知手段を用いて行うことを特徴とする〔1〕から〔9〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔15〕 前記選択的結合性物質が、抗原または抗体であることを特徴とする〔1〕から〔14〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔16〕 前記標識物質が、標識抗体であることを特徴とする、〔8〕から〔15〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔17〕 前記被検物質が、タンパク質である〔1〕から〔16〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔18〕 前記被検物質が、サイトカインおよび/またはケモカインである〔1〕から〔17〕のいずれか一項に記載の分析方法。
〔19〕 前記被検物質が、IL−6、IL−8、またはTNFである〔1〕から〔18〕のいずれか一項に記載の分析方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分析方法によれば、分析中チップのリザーバ・反応室軸を所定の角度に保つことにより、従来技術にはない着想として、重力を利用することで反応室から試薬・検体リザーバへの反応液の逆流を効果的に防止することが可能となり、測定精度が向上する。また、分析中チップの反応室・廃液槽軸を所定の角度に保つことにより、従来技術にはない着想として、重力を利用することで廃液槽から反応室への廃液の逆流を効果的に防止することが可能となり、測定精度が向上する。さらに、このように逆流を効果的に防止することが可能となることにより、従来技術では実質的に困難であった、反応室の容積に対して大容量の試薬や検体を用いることが可能となる。反応室の容積に対して大容量の試薬や検体を用いることにより反応室での被検物質および/または標識物質の濃縮が可能となり、結果として測定感度が向上し、微量な被検物質を検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において分析方法とは、被検物質を含む液体(以下、検体ということがある。)を、選択的結合性物質を利用して分析する手法を意味する。本発明における選択的結合性物質とは、被検物質に対し、直接的または間接的に、選択的に結合する性質を有する物質を意味し、代表的な例として、DNAやRNAなどの核酸、抗原や抗体、アビジン、リガンドやレセプターなどのタンパク質、ビオチンや金属などの化合物を挙げることができる。特定の塩基配列を有する一本鎖核酸は、相補的な塩基配列と選択的にハイブリダイズし結合するので、本発明でいう選択的結合性物質に該当する。特定の塩基配列を有する核酸は、その配列を認識するタンパク質と選択的に結合することが知られているので、本発明でいう選択的結合性物質に該当する。抗体や抗原は、対応する抗原や抗体と選択的に結合するので、選択的結合性物質に該当する。アビジンやストレプトアビジンはビオチンと選択的に結合するので、本発明における選択的結合性物質に該当する。リガンドやレセプターも、対応するレセプターやリガンドと選択的に結合するので、本発明における選択的結合性物質に該当する。ビオチンもまた、アビジンやストレプトアビジンと選択的に結合するので、選択的結合性物質である。ニッケルやコバルトなどの金属は、ヒスチジンタグとして知られるペプチドと選択的に結合する物質であることから、選択的結合性物質に該当する。
【0012】
なかでも本発明における選択的結合性物質は、好ましくは、抗原や抗体、アビジン、リガンドやレセプターなどのタンパク質であり、さらに好ましくは抗原または抗体である。本発明における選択的結合性物質が抗原または抗体の場合、本発明における分析方法は抗原抗体反応を利用して分析する免疫分析方法を意味し、その代表的なものとしてELISA(Enzyme−Linked Immunosorbent Assay 固相酵素免疫検定法)、RIA(Radioimmunoassay 放射線免疫検定法)、FIA(Fluorescenceimmunoassay 蛍光免疫検定法)、FLISA(Fluorescence−Linked Immunosorbent Assay 固相蛍光免疫検定法)を挙げることができる。選択的結合性物質が抗原もしくは抗体の場合、本発明における分析チップは免疫分析チップ、分析方法は免疫分析方法と定義される。
【0013】
免疫分析方法としては
1)標識した抗体により目的とする物質を直接認識し検出する直接法、
2)目的とする物質を抗体により認識し、目的物質と結合した抗体を、標識した抗体により認識し検出する間接法、
3)競合法、
4)目的とする物質を固相化した抗体により捕捉し、さらに別の標識した抗体により検出する二抗体サンドイッチ法、
5)目的とする物質を固相化した抗体により捕捉し、さらに別の抗体により目的とする物質を認識し、目的とする物質を認識した抗体を、標識した抗体により検出する三抗体サンドイッチ法、
等が挙げられる。
また、ABC法などの、アビジン、ストレプトアビジン等を用いて、被検物質を検出する手法を利用しても良い。
【0014】
分析方法における被検物質は、タンパク質、糖、脂質、核酸、糖タンパク質、糖脂質など、選択的結合性物質と結合する性質を有する物質であればよい。選択的結合性物質が抗原または抗体の場合、本発明における被検物質は抗原や抗体と特異的に結合する物質であればいずれであってもよい。例えばサイトカイン、ケモカイン、インターロイキン、アレルゲン、DNA、RNA、抗体、脂質、酵素、その他化学物質等を挙げることができる。特に、本発明における被検物質は抗原または抗体と結合するタンパク質であることが好ましく、より好ましくはサイトカイン/ケモカインである。さらに好ましくは、IL−6、IL−8、TNFである。被検物質の由来生物は問わない。被検物質は1種類であってもよし、2種類以上であってもよい。
【0015】
また、分析の目的は特に限定されず、検体中の被検物質の有無の検出、被検物質の定量などが挙げられる。本発明における分析は、臨床検査、食品検査、環境検査などにおける分析に用いることができる。
【0016】
検体とは、前記被検物質を含む可能性がある試料をいい、液体であることが好ましい。例えば、血液、尿、髄液、唾液、痰、細胞懸濁液などの体液をはじめとする生体から採取される液体を挙げることができる。
【0017】
本発明の分析方法においては、選択的結合性物質を結合する担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバを有するチップ(以下、分析チップと称することがある。)を前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸を回転させて被検物質を分析する工程(以下、工程(I)という。)を含む。
【0018】
本発明において用いる分析チップは、選択的結合性物質を結合する担体を収容するカラム状の反応室を有する。反応室の形状およびサイズは、選択的結合性物質を結合する担体を収容できればよい。形状はカラム状、すなわち管状であることが好ましく、管の横断面は円、多角形等特に限定されない。反応室のサイズは、検体中の被検物質を濃縮して検出できるよう、幅がある程度狭いことが望ましく、横断面の短径が通常0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.5mmであり、長さが通常0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mmである。
【0019】
反応室には、選択的結合性物質が結合した担体が収容される。担体の収容数は1つ以上であればよく、分析の効率を上げる観点から、複数の担体を収容することが好ましい。
【0020】
担体の形状は、球状、楕円球状などのマイクロビーズのほか、円柱、多角柱などのいわゆるマイクロロッド、板状のマイクロプレートであってもよい。また、多孔質体であってもよい。
担体のサイズは、反応室のサイズによるが、担体の形状にかかわらず短径が1〜1000μm、好ましくは短径が10〜200μmの範囲であることが好ましい。
【0021】
担体の材料は特に限定されず、ガラス、セラミック(例えばイットリウム部分安定化ジルコニア)、金属(例えば金、白金、ステンレス)、樹脂(例えばナイロンやポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドなど)、アガロース等を用いることができるが、この中でも樹脂、特にポリスチレンが好ましい。
反応室に複数の担体が収納される場合、各担体の形状、サイズ、素材は均一であってもよいし、多様であってもよい。また、反応室に格納する担体のすべてに選択的結合性物質が結合されている必要はなく、何も結合しない担体が一部含まれていてもよい。
【0022】
選択的結合性物質が抗原又は抗体の場合、担体に結合させる抗原または抗体は、種々の抗体、FabフラグメントやF(ab')2フラグメントのような抗体の抗原結合性断片、並びに種々の抗原などの中から、免疫分析における検体中の被検物質に特異的に結合する抗原や抗体を適宜選択することができ、1種類であっても、また複数であってもよい。抗原や抗体の担体への結合密度、結合数、結合様式などに特に制限はない。
【0023】
担体に選択的結合性物質を結合させる方法に特に制限はない。例えば、選択的結合性物質が抗原もしくは抗体の場合、担体と抗原や抗体とを緩衝液等の溶液中で混合し接触させる方法によることができる。接触は、通常1時間〜24時間(日)、低温、一般には4〜37℃の条件で、必要に応じて攪拌しながら実施することができる。得られた担体は、使用前に緩衝液、洗浄液等で洗浄してもよい。尚、結合方法はこれに限定されず、例えば抗原や抗体と担体とを親水性ポリマー(ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリスルホン酸ナトリウム等)を含む架橋剤を使って化学的に結合させる方法などを利用することもできる。またアビジンとビオチンを利用して担体に結合させても良い。
【0024】
反応室には、分析のための被検物質を含む液体、標識物質を含む液体が送り込まれる。
本発明における標識とは、蛍光物質、発光物質、吸光物質、放射性物質、ホースラディッシュペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼやベータガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素を意味する。
【0025】
本発明における標識物質とは、標識を有しており、かつ被検物質もしくは選択的結合性物質に直接/間接的に結合可能な物質を意味する。好ましくは酵素標識抗体、放射性物質標識抗体、または蛍光標識抗体などの標識抗体が用いられる。酵素標識抗体を用いる場合、酵素の基質を含む溶液を回転により送液し、酵素反応の結果生じる蛍光、吸光、発光などを検出することができる。
また、被検物質が標識を有していても良く、検体中の濃度未知の被検物質と競合的に選択的結合性物質に結合させることができる。被検物質についてはすでに説明したとおりである。その他、必要に応じて洗浄液などを通過させることもできる。
【0026】
前記工程(I)においては、上述のチップを前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸を回転させて、被検物質を含む液体や標識物質を含む溶液を反応室に送液する。
【0027】
本発明の分析方法における、回転軸とは、前記分析チップ外にある略鉛直方向の回転軸を指す。すなわち、回転軸はチップの外側にあり略鉛直方向を指しているが、この回転軸を中心とした軌道に沿って分析チップの、少なくとも反応室が回転する(公転する)ことが必要である。軌道は略円形であればよく、楕円軌道などであってもよい。ここで略鉛直方向とは、重力方向とまったく同じ方向、あるいは微細な差(例えば0〜5°)を持つ方向を含む意味である。
【0028】
本発明の分析方法における試薬・検体リザーバとは、遠心力により反応室に送液される試薬もしくは検体、洗浄液や標識物質、基質などを保持する領域を意味する。試薬・検体リザーバは、反応室と直接もしくは流路を介して連結されており、反応室に送液するために反応室側に「リザーバ出口」を有している。
【0029】
本発明の分析方法において、分析チップの反応室には、遠心力により、試薬・検体リザーバから、「リザーバ出口」を通過して、直接もしくは流路を介して、液体が流入する。流入した液体は、反応室を通過し、「反応室出口」から排出される。
【0030】
本発明の分析方法において用いる分析チップは、該試薬検体リザーバと反対側で前記反応室に連通した廃液槽を有するものであってもよい。この場合、「反応室出口」から直接もしくは流路を介して反応室と廃液槽とが連結されるものとすることができる。
【0031】
本発明の分析方法における廃液槽とは、遠心力により反応室から「反応室出口」を通過して送液される試薬もしくは検体、洗浄液や標識物質、基質などの溶液を保持する領域を意味する。廃液槽は「反応室出口」と直接もしくは流路を介して連結されており、反応室から送液される溶液を流入させるために、反応室側に「廃液槽入口」を有している。
【0032】
本発明における「リザーバ・反応室軸」とは、回転停止中のチップの「リザーバ出口」と「反応室出口」を結ぶ軸を意味する。例えば、図11から図17記載の回転停止中のチップJ、K、L、M、N、Pにおける「リザーバ・反応室軸」103は、「リザーバ出口」101と「反応室出口」102を結ぶ軸として表される。
【0033】
本発明においては、回転停止中のチップの「リザーバ・反応室軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θを0°≦θ≦80°に調整する。これにより、従来技術にはない着想として、重力を利用することで、反応室内の反応液がリザーバに逆流することを効果的に防止することができ、その結果測定精度を向上させることが可能となる。さらに、反応室の容積に対して大容量の試薬や検体を用いても効果的に逆流を防止することが可能となるため、反応室で被検物質を濃縮することができることから、測定感度が向上し、微量な被検物質を検出することが可能となる。
【0034】
上記「リザーバ・反応室軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θは、特に0°≦θ≦60°であることにより、より効果的な逆流防止が可能になるので好ましい。
【0035】
本発明における「反応室・廃液槽軸」とは、回転停止中のチップの「反応室出口」と「廃液槽入口」を結ぶ軸を意味する。例えば、図17記載の回転停止中のチップPにおける「反応室・廃液槽軸」106は、「反応室出口」102と「廃液槽入口」105を結ぶ軸として表される。
【0036】
本発明において廃液槽を有する分析チップを用いる場合には、回転停止中の「反応室・廃液槽軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θ’を0°≦θ’≦80°に調整することが好ましい。これにより、従来技術にはない着想として、重力を利用することで、廃液槽内の廃液が反応室に逆流することを効果的に防止することができる。その結果、測定精度を向上させることが可能となる。さらに、反応室の容積に対して大容量の試薬や検体を用いても効果的に逆流を防止することが可能となるため、反応室で被検物質を濃縮することができることから、測定感度が向上し、微量な被検物質を検出することが可能となる。
【0037】
上記「反応室・廃液槽軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θ’は、特に0°≦θ’≦60°であることにより、より効果的な逆流防止が可能になるので好ましい。
【0038】
更に、市販の遠心機の角度にチップを装着した場合に上記各角度の範囲を満たすように設計されたチップを利用すれば、市販の遠心機を使用して本発明を簡便に実施することもできる。
【0039】
また、回転停止中のチップの「リザーバ・反応室軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θを0°≦θ≦80°かつ、回転停止中の「反応室・廃液槽軸」と略鉛直方向の回転軸がなす角度θ’を0°≦θ’≦80°とすることにより、上記逆流防止効果はより高まることが期待される。
【0040】
本発明の分析方法における上記角度について、図11〜図17を例にとって説明する。図11〜図17は、本発明の分析方法において用いるチップの一例を示す図である。図11〜図17のチップJ、K、L、M、N、Pは、いずれもカラム状の反応室11と試薬・検体リザーバ12とを有し、反応室11と試薬・検体リザーバ12とは、「リザーバ出口」101により連結されている。
【0041】
図11−1および図11−2は、停止中の前記チップJにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度が0°≦θ≦80°である状態を示している。図11−1については、「リザーバ・反応室軸」103と回転軸104が並行であることから、両者がなす角度θがθ=0°である状態を示している。一方、図11−2については、「リザーバ・反応室軸」103と回転軸104のなす角度θが0°<θ≦80°で角度をなす状態を示している。
【0042】
図12は、停止中のチップKにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度θが0°≦θ≦80°である状態を示している。
【0043】
図13は、停止中のチップLにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、「リザーバ・反応室軸」103と回転軸104が並行であることから、両者がなす角度θがθ=0°である状態を示している。
【0044】
図14は、停止中のチップMにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度θが0°≦θ≦80°である状態を示している。
【0045】
図15は、停止中のチップNにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度θが0°≦θ≦80°である状態を示している。
【0046】
図16は、停止中のチップMにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、図14のチップMの向きとは異なるが両者がなす角度θは0°≦θ≦80°の範囲内である状態を示している。
【0047】
図17は、停止中のチップPにおける「リザーバ出口」101と「反応室出口」102により定義される「リザーバ・反応室軸」103と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度θが0°≦θ≦80°である状態を示している。また、停止中の前記チップPにおける「反応室出口」102と「廃液槽入口」105により定義される「反応室・廃液槽軸」106と、チップ外にある略鉛直方向の回転軸104との位置関係を示しており、両者がなす角度θ’0°≦θ’≦80°である状態を示している。
【0048】
本発明の分析方法における流路は、長さ1μm以上の流路長を有するものを意味し、好ましくは10μm以上の流路長を有する。
【0049】
上記のようなチップとして最も好ましいものとして、選択的結合性物質が結合した担体を収容する反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバを有し、遠心分離器のアングルローターおよび/またはスイングローターに装着可能な分析チップが挙げられる。
【0050】
前記分析チップの第1のタイプとしては、遠沈管内部に挿入嵌合が可能なものを挙げることができる。すなわち、遠沈管内部に嵌合させた状態で遠心分離器のアングルローターおよび/またはスイングローターに装着可能なタイプであってもよい。このタイプのチップの場合には、遠沈管内に本発明のチップを入れた場合に、遠沈管の内壁面にチップが固定される。言い換えれば、分析チップの外側面のいずれかの点または面が遠沈管の内壁面の任意の点または面で固定される。代表的なものとしては、図1〜図4、図7、図18のそれぞれに示す分析チップA、B、C、D、F、Q、図11〜図16に示す分析チップJ,K,L,M,Nを挙げることができる。これらのチップは、図8に示すように遠沈管Gに挿入し、チップ側面の角15を遠沈管の内壁に突張らして固定させる形で嵌合させて用いることができる。
【0051】
一方、前記分析チップの第2のタイプとしては、遠心分離機のアングルローターやスイングローターの遠沈管等のチップ装着部位にそのまま装着できるタイプのものを挙げることができる。代表的なものとしては、図5や図6に示す分析チップE、図17に示す分析チップPを挙げることができる。
【0052】
ここで、本発明において遠沈管とは、遠心機に適用可能ないわゆる試験管(通常は、キャップのついたもの)を意味し、遠心チューブ、コニカルチューブ、エッペンドルフチューブなどと呼ばれるものをすべて含む。遠心機も遠沈管に対応するものであれば特に限定はなく、遠沈管を装着できるものであれば、小型の卓上型遠心機などでよい。
【0053】
上記分析チップの反応室の形状およびサイズは、選択的結合性物質が結合した担体を収容することができればよい。形状は管状であることが好ましく、管の横断面は円、多角形等特に限定されない。反応室のサイズは小さいほど、選択的結合性物質が結合した担体の量を少なくしてコストダウンを図り、かつリザーバとの容積比を大きくすることを容易にし、市販の遠心機に装着可能なサイズでおおきな濃縮効果が得られる。反応室の容積は、通常は1nL〜100μL、好ましくは10nL〜10μLである。更に好ましくは100nL〜1μLである。
【0054】
上記分析チップにおける反応室について、図1、図5および図6に示す実施例に基づいて説明する。図1の分析チップAは、反応室11が後述の試薬・検体リザーバ12に、「リザーバ出口」101を介して連結して設けられており、試薬・検体リザーバ12の開口部12Aと反対側に「反応室出口」102を有する。反応室11には、選択的結合性物質を結合する担体13が収納されている。また、図5および図6の分析チップEの反応室11は、分析チップEの中部の管壁に隣接して設けられており、試薬・検体リザーバ12の開口部12Aと反対側に「反応室出口」102を有する。
【0055】
上記分析チップにおいて、反応室出口には、担体の堰き止め手段11A´を設けることができ、これによりチップから担体が漏れないよう保持することができる。堰き止め手段としては、例えば金網やフィルタを用いることができる。金網の場合、適当なサイズの金網(例えば開口部分が20μm×20μmのもの)を開口部にプレスして堰き止め手段とすることができる。また、フィルタの場合はセルロース・アセテート製フィルタ等を開口部に圧入して得ることができる。尚、堰き止め手段は金網には限定されず、フィルタ、キャップ等を用いることができる。
【0056】
担体の堰き止め手段として、フィルタで塞いだ場合を図2、図4、図7の実施例を例にとって説明する。図2は、本発明において好ましく用いられる分析チップBの縦断面を模式的に示す図である。担体の堰き止め手段11A´は、反応室11よりも幅が広く取られており、この部分にフィルタが圧入される。また、図4、図7の分析チップD、Fにも同様の堰き止め手段11A´が設けられている。尚、堰き止め手段を設けるにあたり幅が広く取られている必要はなく、図1の分析チップAなどの「反応室出口」102や、図5及び図6に示す分析チップEの「反応室出口」102や、図11〜図17に示す分析チップJ、K、L、M、N、Pの「反応室出口」102において金網をプレスして堰き止め手段(図示せず)を設けることができる。
【0057】
上記分析チップにおいては、反応室に選択的結合性物質が結合した担体が収容されている。選択的結合性物質、担体等の定義は既に述べたとおりである。選択的結合性物質が結合した担体を、チップ本体の反応室に収納する方法は、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、選択的結合性物質が結合したビーズを界面活性剤および/またはブロッキング剤などを含有する緩衝液で懸濁し、この懸濁液を、チップ本体の検体・試薬リザーバに注いだ後に、チップ本体を遠沈管に挿入し遠心機にかけて10秒〜1分遠心する。
【0058】
上記分析チップは、試薬・検体リザーバを備えるため、被検物質を含む液体や標識物質を含む液体を試薬・検体リザーバに保持してから遠心機にかけるだけで反応を行うことができ、かつ、反応室をより狭い管状として、担体の収納密度を向上させて分析の効率を高めることができる。
【0059】
図1の分析チップAは、試薬・検体リザーバ12が「リザーバ出口」101で反応室11に連結して設けられており、試薬・検体リザーバ12は外部に開口部12Aを有する。また、図5及び図6の分析チップEでも、同様に、試薬・検体リザーバ12が反応室11に、「リザーバ出口」101で連結して設けられている。
【0060】
前記試薬・検体リザーバの容積(サイズ)は、前記反応室のそれよりも大きいことが好ましい。反応室がリザーバに比べて十分小さいことにより、被検物質の濃縮効果があるからであり、さらにリザーバに試薬や検体を保持させることが容易となるからである。具体的には例えば、試薬・検体リザーバの反応室に対する容積比が通常は50以上で、中でも50〜5×108の範囲で、特に100〜3000の範囲で、適宜定められることが好ましい。ディスク上に分析機構を集積化させた従来技術では約15倍程度が限界であることから、上述の範囲とすることにより、被検物質の濃縮効果が、従来技術と比較して非常に大きいものとなる。
尚、試薬・検体リザーバの容積は、一般には30μL〜500mLであり、好ましくは30μL〜1000μL(1mL)である。
【0061】
一方、前記試薬・検体リザーバの送液方向の投影断面積(送液方向と垂直な面に投影したときの面積)と、前記反応室の送液方向の投影断面積の比は、通常は50以上であり、好ましくは100以上である。また、上限は、一般には10000以下とする。ディスク上に分析機構を集積化させた従来技術の場合、装置全体が2次元構造であるためにリザーバと反応室の送液方向の投影断面積比がせいぜい10数倍程度までしか差を着けられないが、本発明において用いる分析チップは立体構造であるため、同面積比を拡大し、被検物質の濃縮効率を著しく向上させることができる。
【0062】
さらに、前記試薬・検体リザーバの送液方向に対して平行の最大断面積と、前記反応室の送液方向に対して平行の最大断面積の比は、被検物質の濃縮効果を得る観点から、2〜400であることが好ましい。尚、試薬・検体リザーバの送液方向に対して平行の最大断面積は、10mm2〜200mm2とすることが好ましい。また、反応室の送液方向に対して平行の最大断面積は、0.5mm2〜5mm2とすることが好ましい。
【0063】
試薬・検体リザーバの形状は特に限定されず、円筒形、多角形などの各種形状から適宜選択することができるが、遠心力で試薬や検体を反応室へ円滑に送り込む観点から、横断面の面積が、反応室への接続側に向かってが徐々に狭くなる形状であることが好ましい。例えば、図1に示す分析チップAにおける試薬・検体リザーバ12の形状は、基本的には直方体であり、反応室11側の4つの隅の角が丸みを帯びた形状となっている。一方、図2、図3および図4のそれぞれに示す免疫分析チップB,C,Dにおける試薬・検体リザーバ12の形状も、基本的には直方体であり、4つの側面が反応室側で反応室に向けて絞られている。図5、図6および図18の分析チップE、Qの試薬・検体リザーバ12の形状も図2〜図4に示す実施例と同様である。
【0064】
試薬・検体リザーバは反応室に直接接続していてもよく、流路を介して連結されていても良い。例えば図1の分析チップAのように試薬・検体リザーバ12と反応室11が直接連結していてもよいし、図13のチップL、図14および図16のチップM、図15のチップN、図17のチップPのように、試薬・検体リザーバ12のリザーバ出口101と反応室11とが流路200で連結されていてもよい。そして、試薬・検体リザーバと反応室とは、それぞれの送液方向の中心軸が平行となるように連結されていてもよいし、角度をなして連結されていてもよい。例えば、図12のチップKでは、試薬・検体リザーバ12に対し反応室11が、「反応室出口」102が回転軸の外周側に向けて開口する角度で連結している。
【0065】
試薬・検体リザーバは、反応室と反対側に開口部を有する。外部への開口部の形状は特に問わないが、注入した試薬や検体が外に漏出しない程度の大きさで適宜定めることができる。例えば、短径が1mm〜100mm、好ましくは1〜20mmの範囲となるよう適宜定めることができる。
【0066】
上記分析チップにおいては更に、廃液槽を備えるものであってもよい。廃液槽を備えることにより、遠心機に廃液が飛散することを防ぐことができる。廃液槽は、反応室と、直接、または流路で接続される。前述のように堰き止め手段を設ける場合には、廃液槽は堰き止め手段の先に接続される。
【0067】
例えば、図1〜図4に示すような遠沈管内部に挿入嵌合が可能なタイプの分析チップの場合、図8のように遠沈管に装着した際に遠沈管GとチップHとの間に形成される空間が廃液槽16となりうる。一方、図1〜4中には図示しないが、「反応室出口」102に担体の堰き止め手段を設け、さらに何らかの袋或いは容器を装着して廃液槽とすることも可能である。また、図17のチップPの場合には、反応室11と廃液槽16の廃液槽入口105とが、流路200Aで接続されている。
【0068】
また、図5および図6、ならびに図17に示すような、アングルローターやスイングローターにそのまま装着できるタイプの分析チップの場合には、チップ内に廃液槽16を設けることができる。
【0069】
また、上記の分析チップのうち、遠沈管内部に挿入嵌合が可能なチップの場合には、その外壁に突出部が更に設けられていてもよい。突出部を設けることにより、チップを遠沈管に嵌合させる際に、遠沈管壁面に前記突出部が接触した状態で嵌合させて、遠沈管の底部に前述したような廃液槽としてのスペースを確保することができる。また、チップの遠沈管からの取り出しを容易にすることができる。さらに、チップを遠沈管から取り出す際に、廃液を遠沈管に残した状態でチップのみを取り出して分析することができるので、廃液由来の測定ノイズの影響を無くすことができる。
【0070】
突出部はチップの外壁に設けられるものであればよく、その形状や位置は特定されない。チップを遠沈管に納めた際に遠沈管の内壁面の任意の点又は面で固定されるような位置および形状を、適宜定めることができる。遠沈管の内壁面における固定の態様としては、例えばチップが懸垂して固定される態様、チップが遠沈管底部に足場を介して底上げされる態様が挙げられる。
【0071】
例えば突出部はチップの側面に設けて、遠沈管の内壁面と突出部との接点又は接面によりチップを懸垂させて固定することができる。具体的には、前記試薬・検体リザーバの開口部の周囲に垂直方向に突出した耳を設けることができる。図4の分析チップDでは、開口部12Aの周囲に耳14Aが設けられている。耳の形状及びサイズは、遠沈管のサイズとの関係で適宜定めることができる。
【0072】
また、突出部をチップの底面に設けて、遠沈管の底面まで延伸させてチップを固定することができる。具体的には、前記試薬・検体リザーバの底面から延伸する足を設けることができる。図7の分析チップFでは、チップ底面からチップの延伸する2本の足14Bが設けられている。遠沈管に分析チップFを装着した場合、2本の足14Bにより底上げがなされ、遠沈管底面とチップとの間(主に足14Bの間の空間14C)が廃液槽として確保される。
【0073】
前記分析チップのうち、遠沈管内部に嵌合するタイプのチップの場合には、その後の操作の便宜から、遠沈管から取り外し可能に嵌合することが好ましい。
【0074】
前記の分析チップの、チップ本体のサイズおよび形状は、そのタイプにより適切なサイズを定めることができる。
すなわち、遠沈管に着脱自在に嵌合するタイプのチップの場合、チップ本体のサイズは、上述したように遠沈管内部に挿入嵌合可能とすることを考慮して定めることができる。一般的に用いられる遠沈管のサイズは、短径8〜40mm、高さ5〜120mmであるので、これを考慮すると例えば、チップ本体の短径は通常6〜40mm、高さは通常5〜120mmの範囲で定めることが出来る。より小型であることから、遠沈管として好ましい、エッペンドルフチューブのように容積が0.5ml〜2.5mlの遠沈管は、そのサイズが、8〜10mmであるので、これを考慮すると、チップ本体のサイズは、短径は通常6〜10mm、高さは通常5〜30mm、より好ましくは5〜15mmの範囲で定めることができる。一方、遠心分離機のアングルローターやスイングローターの遠沈管装着部位にそのまま装着できるタイプのチップの場合には、装着先の遠心分離機のロータのサイズに合わせたサイズであればよい。
【0075】
また、前記の分析チップのチップ本体の形状も、成形の容易さも考慮して定めることができる。例えば遠沈管に着脱自在に嵌合するタイプのチップの場合、三角柱、四角柱などの多角柱形、円柱形、角錐形、円錐形などから選択することができる。図1〜図4、図18に示す実施例においては、いずれも立方体形状である。一方、遠心分離機のアングルローターやスイングローターの遠沈管装着部位にそのまま装着できるタイプのチップの場合には、装着先の遠心分離機のロータのサイズに合わせた形状、すなわち遠沈管と同様の形状であればよい。
【0076】
分析チップの材料は特に限定されず、例えば、樹脂、ガラスなどが挙げられる。特に、反応室を外部から観察することが容易になる観点から、少なくとも反応室の一部が透明であることが好ましい。反応室の少なくとも一部を透明とすることにより、より濃縮された被検物質を容易に検出することができる。したがって、反応室の一部に透明材料を用いることが好ましく、特に全体を透明材料から形成することが好ましい。また、反応室の透明材料からなる部分の表面は、平面であってもよいし、レンズ状(凹面)であってもよい。図18に示すチップは形状の保持が可能であるチップ部品A 107と薄い透明材料であるチップ部品B 108にて構成されている。チップ部品Bを薄くすることで材料からの自家蛍光を低減することが可能であり、図18の右側に示すようにチップ部品B 108側から観察することにより、外部からの検出をより容易にすることが可能である。また、反応室11に対して観察側と反対側に位置するチップ部品Aの材料は樹脂にカーボンブラックなどを混ぜることで自家蛍光を小さくしてもよい。
【0077】
透明材料としては、各種有機材料、無機材料を挙げることができ、例えば、ポリメチルメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコン等の樹脂、それらの高分子化合物を含む共重合体あるいは複合体;石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダガラス、ホウ酸ガラス、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス類およびその複合体;表面を絶縁材料で被覆した金属及びその複合体、セラミックス及びその複合体等が好ましく用いられる。このうち、ポリメチルメタクリル酸メチル(PMMA)が特に好ましく用いられる。
【0078】
また、反応室、試薬・検体リザーバの表面は、生体分子の非特異的吸着を抑制する吸着抑制処理が施されていることが好ましい。吸着抑制処理の方法は、親水性高分子材料を静電的に表面に吸着させるコーティング処理、高エネルギー線を照射し、親水性高分子を樹脂表面に共有結合させて強固に固定化する方法などが用いられる。
【0079】
本発明の分析方法において、上述の工程(I)、すなわち、上述のチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程は、以下の(a)および(b)の2工程により実施することが好ましい。
(a) 前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体を前記反応室に通過させ、被検物質を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程、および
(b) 前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて標識物質を含む溶液を反応室に通過させる工程
【0080】
また、上述の工程(I)は、以下の1工程(A)により実施するものであってもよい。
(A) 前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体と標識物質を含む液体の混合液を前記反応室に通過させ、被検物質と標識物質の複合体を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程
【0081】
本発明の分析方法においては、上述の工程(I)の後、続いてチップの反応室において選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を行うことができる。被検物質の検出は、光学的手段、放射線検知手段などを用いて行うことが好ましく、特に光学的手段を用いて行うことが好ましい。光学的手段としては、例えば、蛍光測定、発光測定、吸光度測定を挙げることができ、好ましくは蛍光測定が挙げられる。
【0082】
以下、本発明の分析方法において、選択的結合性物質が結合した担体を収容した反応室を有する分析装置を、前記分析装置外の回転軸に対して回転させることにより、検体および試薬を前記反応室に送液して、前記反応室内の被検物質量を測定する手順(1回ごとの測定結果を得るための手順)を、前記分析チップを用いてELISA法によりサイトカインを分析する場合を例にとって図9を参照しつつ説明する。分析チップの反応室には、サイトカインの1次抗体吸着ビーズが収納されている。
【0083】
本発明の分析方法を、前記分析チップを用いて実施する場合、以下のようにして実施することができる。以下、図9を利用して説明する。
【0084】
本発明の工程(I)を、(a)および(b)の2工程により実施する場合には、以下のようにして行う。
工程(a)については、まず、検体・試薬リザーバに被検物質を含む液体(検体)を注入(図9の(1))した後、検体を遠心力により反応室に移送し(図9の(2))ビーズ担体上の選択的結合性物質と抗原抗体反応させる(図9の(3))。すなわち、検体注入後の分析チップを遠沈管に挿入し、この遠沈管を遠心機にセットして、回転させる。この処理により、遠心力により検体が検体・試薬リザーバから反応室に移送されると同時に反応が行われる。
【0085】
続いて、工程(b)については、酵素標識または蛍光標識を有する標識抗体を含む溶液を検体・試薬リザーバに注入した後(図9の(1))、この基質を同様に遠心力により反応室に移送し(図9の(2))、ビーズ担体上の選択的結合性物質と結合した被検物質と反応させる(図9の(3))。すなわち、上記検体の移送において、検体を標識抗体を含む溶液に代えたほかは同様にして遠心処理を行う。
【0086】
工程(b)の後、反応室において選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を行う。すなわち、遠沈管からチップを取り出して、あるいはチップを遠沈管に挿入したまま、反応室内の蛍光強度を蛍光検出装置(蛍光顕微鏡など)により測定する。標識抗体の標識が、酵素標識である場合、酵素の基質となる試薬を、遠心力により反応室に移送し、酵素の働きにより蛍光物質もしくは発光物質を生成させる。この発光もしくは蛍光強度を測定する。被検物質が検体中のサイトカインの有無検出の場合は、蛍光強度が測定可能な場合には、検体中にサイトカインが存在することが確認される。一方、検体中のサイトカインの定量を目的とした免疫分析の場合には、予めサイトカインの濃度を変えて同様に測定して作成しておいた検量線と比較して、サイトカインの濃度を特定する。
【0087】
一方、本発明の工程(I)を、工程(A)、前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体に標識抗体を添加した液体を、被検物質を含む液体と標識物質を含む液体の混合液を前記反応室に通過させ、被検物質と標識物質の複合体を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程のみで実施する場合には、上述の工程(a)の説明において、検体に代えて検体に標識物質(標識抗体)などを添加した液体を注入することにより実施することができる。
【0088】
ここまで説明したように、本発明の分析方法を、上述の分析チップを用いる場合の操作は、図9に示すように(1)検体・試薬の導入、(2)遠心力による送液、(3)ビーズ部におけるELISAの各反応、の3工程を繰り返しにより進めることができる。尚、検体注入後、および基質注入後には、反応室洗浄のため、必要に応じて洗浄液や緩衝液をリザーバに注入し、同様に遠心処理を行ってもよい。本発明においては、このような測定手順を、異なる遠心力により2回以上繰り返して、2以上の被検物質の測定結果を得るものであってもよい。
【実施例】
【0089】
実施例1
以下のようにして、分析チップを製作した。図2にチップの横断面図を示す。分析チップは円筒形のチップ本体からなり、内部に管状の反応室11と円筒形で反応室側が絞り形状の検体・試薬リザーバ12を備え、両者は「リザーバ出口」101で連結している。検体・試薬リザーバと反応室はそれぞれ外部への開口部を有し、検体・試薬リザーバの開口部には、外部に突出した耳が設けられている。反応室には一次抗体を結合したビーズ担体が充填されるので、ビーズ堰き止め用のフィルタ圧入穴が設けられている。
【0090】
まず、ポリメチルメタクリレート製の樹脂(クラレ製)を切削加工でチップ本体を製作した。直径φ2mm、長さ2mmのセルロース・アセテート製フィルタをフィルタ圧入穴より圧入し分析チップを製作した。
【0091】
続いて、分析チップの反応室にビーズ担体を充填した。
ポリスチレンビーズ(Polyscience社、粒径:25μm)をリン酸緩衝液で洗浄し、ポリスチレンビーズと同量の0.1μg/ml抗hIL−6抗体0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液を添加し、4℃で一晩振とうさせた。振とう後、ポリスチレンビーズ2μlを150μlの0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で懸濁した。この懸濁物を上記分析チップのリザーバに注いだ後に、チップを遠沈管(商品名:エッペンマイクロチューブ、メーカー名:エッペンドルフ、サイズ:1.5mL)に入れ、遠心機(商品名:微量高速冷却遠心機、メーカー名:株式会社トミー精工、型名:MX−300)が停止中のチップのリザーバ・反応室軸と略鉛直方向の回転軸とがなす角度が45°になるようにロータ(商品名:ロータ、メーカー名:株式会社トミー精工、型名:TMP−21)を使用し2000Gで30秒間遠心した。反応室の容積に対する抗体結合ポリスチレンビーズの密度は、9×104個/mm3であった。
【0092】
分析チップのリザーバに、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液100μlを注いで、遠心機にて2000Gで60秒間遠心し、ビーズを洗浄した。その後、0.25%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させたhIL−6(ヒトインターロイキン−6、鎌倉テクノサイエンス社)50μlと、0.25%BSA、0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液で溶解させた0.6μg/mlのHRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)標識抗hIL−6抗体(鎌倉テクノサイエンス社)50μlとを混合し、上記チップのリザーバに注入した。そしてチップを500Gで600秒間遠心し反応させた。反応後0.05%トゥイーン20含有リン酸緩衝液100μlを上記リザーバに注入し、チップを2000Gで60秒間遠心し再びビーズを洗浄した。洗浄後、20μM過酸化水素水、13μg/ml Amplex Red(Molecular Probes社)を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)100μlをリザーバに注ぎ2000Gで10秒間遠心して送液した。その後に、チップを遠沈管から出して、反応室内で産生されたレゾルフィンの量を蛍光顕微鏡IX−71(オリンパス社)を用いて測定した。各濃度でのhIL−6の蛍光強度の測定結果を図10に示す。尚、測定条件は励起波長510−560nm、発光波長575−650nm、露光時間5ミリ秒とした。
尚、回転軸と停止中のチップのリザーバ・反応室軸のなす角度θは、45°であった。
【0093】
【表1】

【0094】
表1および図10から明らかなように、各試薬送液後の反応室から試薬・検体リザーバへの廃液逆流が無く、良好な測定結果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図3】図3は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す上面図および縦断面図である。
【図5】図5は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図6】図6は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す上面図および縦断面図である。
【図7】図7は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す縦断面図である。
【図8】図8は、本発明で用い得るチップを遠沈管に挿入した状態を模式的に示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の分析方法の手順の一例を示す説明図である。
【図10】図10は、実施例の結果を示すグラフである。
【図11−1】図11−1は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図11−2】図11−2は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図12】図12は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図13】図13は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図14】図14は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図15】図15は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図16】図16は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図17】図17は、本発明で用いるチップの一例を回転軸と共に模式的に示す縦断面図である。
【図18】図18は、本発明で用いるチップの一例を模式的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
11 反応室
11A´ 担体の堰き止め手段
12 試薬・検体リザーバ
12A 開口部
13 抗原および/または抗体が結合した担体
14A 耳
14B 足
14C 空間
15 免疫分析チップの側面の角
16 廃液槽
101 リザーバ出口
102 反応室出口
103 リザーバ・反応室軸
104 回転軸
105 廃液槽入口
106 反応室・廃液槽軸
200、200A 流路
A〜F,J〜M,P,Q チップ
G 遠沈管
107 チップ部品A
108 チップ部品B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的結合性物質が結合した担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバを有するチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程を含む分析方法であって、前記回転軸と停止中の前記チップのリザーバ・反応室軸のなす角度θが0°≦θ≦80°であることを特徴とする分析方法。
【請求項2】
選択的結合性物質が結合した担体を収容するカラム状の反応室と前記反応室に連通した試薬・検体リザーバと、該試薬・検体リザーバと反対側で前記反応室に連通した廃液槽を有するチップを、前記チップ外にある略鉛直方向の回転軸に対して回転させて被検物質を分析する工程を含む分析方法であって、前記回転軸と停止中の前記チップの反応室・廃液槽軸のなす角度θ’が0°≦θ’≦80°であることを特徴とする分析方法。
【請求項3】
前記チップが試薬・検体リザーバと反対側で反応室に連通した廃液槽を有し、前記回転軸と停止中の前記チップの反応室・廃液槽軸のなす角度θ’が0°≦θ’≦80°であることを特徴とする請求項1に記載の分析方法。
【請求項4】
前記試薬・検体リザーバの前記反応室に対する容積比が、50以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項5】
前記試薬・検体リザーバの前記反応室に対する容積比が、50〜5×108であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項6】
前記試薬・検体リザーバの送液方向の投影断面積と、前記反応室の送液方向の投影断面積の比が、50以上であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項7】
前記試薬・検体リザーバの送液方向に対して平行の最大断面積と、前記反応室の送液方向に対して平行の最大断面積の比が、2〜400であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項8】
前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体を前記反応室に通過させ、被検物質を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程、および
前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて標識物質を含む溶液を反応室に通過させる工程
を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項9】
前記チップを回転させることにより生じる遠心力を用いて被検物質を含む液体と標識物質を含む液体の混合液を前記反応室に通過させ、被検物質と標識物質の複合体を前記選択的結合性物質が結合した担体に結合せしめる工程を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項10】
前記反応室において、選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を光学的手段を用いて行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項11】
前記光学的手段が蛍光測定であることを特徴とする請求項10に記載の分析方法。
【請求項12】
前記光学的手段が発光測定であることを特徴とする請求項10に記載の分析方法。
【請求項13】
前記光学的手段が吸光度測定であることを特徴とする請求項10に記載の分析方法。
【請求項14】
前記反応室において、選択的結合性物質が結合した担体に結合した被検物質の検出を放射線検知手段を用いて行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項15】
前記選択的結合性物質が、抗原または抗体であることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項16】
前記標識物質が、標識抗体であることを特徴とする、請求項8から15のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項17】
前記被検物質が、タンパク質である請求項1から16のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項18】
前記被検物質が、サイトカインおよび/またはケモカインである請求項1から17のいずれか一項に記載の分析方法。
【請求項19】
前記被検物質が、IL−6、IL−8、またはTNFである請求項1から18のいずれか一項に記載の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−268194(P2008−268194A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81220(P2008−81220)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】