説明

分析物の結合体プローブおよび光学的検出

【課題】S/N比を増加させ、分析物に対する検出限界を下げ、より低い濃度での分析物の観測を可能にする。
【解決手段】本発明は、分析物の結合体プローブおよび光学的検出に関する。より具体的には、本発明は、分析物の光学的検出を使用するバイオセンサーのためのアレイを形成するために使用される結合体プローブに関する。本発明はさらに、ポリマーに結合する化学物質または生体分子を含む結合体に関する。このポリマーは、ジオール含有ポリマー、直鎖ポリサッカリドまたは分枝鎖ポリサッカリド、あるいは直鎖ポリヌクレオチドまたは分枝鎖ポリヌクレオチドであり得る。本発明はさらに、結合体を含むアレイに関し、画像センサーを用いたアレイを使用して分析物を検出する方法が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、特許協力条約第8条によって、2001年3月9日に出願された、米国仮特
許出願60/274,177号の優先権の利益を主張し、この出願は、その全体を参考と
して本明細書中で援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、分析物の結合体プローブおよび光学的検出に関する。より具体的には、本発
明は、センサーのアレイまたは分析物の光学的検出を使用するシステムを形成するために
使用される結合体プローブに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生体分子および他の分析物は、標的の分析物を結合する、選択的または特異的なプロー
ブのアレイまたはマイクロアレイを使用して、検出され得る。バイオセンサーアレイ技術
において、基材またはバイオチップ上にプローブスポットを配置するためのスキームが、
開発されてきた。アレイは、遺伝子配列を検出および発見するために、薬物分子候補を選
択および試験するために、毒物学的作用または薬理学的作用を調査するために、および他
の使用のために使用される。標的は、種々の相互作用のプローブのアレイに結合し得、そ
の相互作用としては、核酸塩基対形成またはハイブリダイゼーション、タンパク質−タン
パク質相互作用、タンパク質−リガンド相互作用、酵素−基質相互作用、レセプター−リ
ガンド相互作用、および他の化学反応が挙げられる。
【0004】
バイオセンサーは、マイクロアレイ形式で、タンパク質または核酸のような生体分子間
の膨大な相互作用の同時試験を可能にする。これらバイオセンサーは、Human Ge
nome Project由来の膨大な配列情報および他の生物体のゲノム配列由来の膨
大な配列情報を使用する、強力なツールを提供する。
【0005】
分析物種からのシグナルは、一般的に小さく、種々の供給源由来のバックグラウンドシ
グナルは、測定のS/N比を相対的に小さくする。小さなシグナルは、低いS/N比およ
び分析物の弱い検出に移行する。溶液は、分析物からのシグナルを増強し、検出に固有の
S/N比を増加するために存在する。S/N比の増加は、分析物に対する検出限界を下げ
、より低い濃度での分析物の観測を可能にし、生体分子への適用に対する新しい門戸を開
く。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
センサーを用いて分析物を検出するにおいて使用するための結合体であって、その結合体
は、ジオール含有ポリマーに結合された化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目2)
センサーを用いて分析物を検出するにおいて使用するための結合体であって、その結合体
は、直鎖状ポリサッカリドに結合された化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目3)
センサーを用いて分析物を検出するにおいて使用するための結合体であって、その結合体
は、分枝状ポリサッカリドに結合された化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目4)
センサーを用いて分析物を検出するにおいて使用するための結合体であって、その結合体
は、ホスホジエステル結合に近接してヒドロキシル基を有するポリヌクレオチドに結合さ
れた化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目5)
センサーを用いて分析物を検出するにおいて使用するための結合体であって、その結合体
は、RNA、ポリ(T)、ポリ(U)およびポリ(A)からなる群より選択されるポリマ
ーに結合された化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目6)
アミロース、アミロペクチン、グリコゲン、デキストラン、セルロース、キチン、キト
サン、ペプチドグリカン、グリコサミノグリカンおよびそれらの混合物からなる群より選
択される分枝状ポリサッカリドに結合された化学物質または生体分子を含む、結合体。
(項目7)
上記化学物質または生体分子がオリゴヌクレオチドである、項目1〜6のいずれか一
項に記載の結合体。
(項目8)
上記化学物質または生体分子がタンパク質核酸である、項目1〜6のいずれか一項に
記載の結合体。
(項目9)
上記化学物質または生体分子がタンパク質である、項目1〜6のいずれか一項に記載
の結合体。
(項目10)
上記化学物質または生体分子が抗体または抗体フラグメントである、項目1〜6のい
ずれか一項に記載の結合体。
(項目11)
項目1〜6のいずれか一項に記載の結合体であって、その結合体は、独立して同じかま
たは異なる複数の化学物質または生体分子を含み、そしてさらに、独立して同じかまたは
異なる複数の標識種を含む、結合体。
(項目12)
結合体を作製する方法であって、その方法は以下、
分枝状ポリサッカリドを酸化剤と反応させる工程であって、それにより、アルデヒド基
を有する分枝状ポリサッカリドを形成する、工程;および
複数の化学物質または生体分子の各々に対して、反応性アミノ基を付加する工程;およ

その複数の化学物質または生体分子に対して、複数のそのアルデヒド基を結合させる工程、
を包含する、方法。
(項目13)
上記酸化剤が過ヨウ素酸ナトリウムである、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記複数の化学物質または生体分子のうちの少なくとも1つに対して、上記複数のアル
デヒド基を結合させる工程が、光反応性架橋剤を用いて行われる、項目12に記載の方
法。
(項目15)
結合体を作製する方法であって、その方法は以下、
分枝状ポリサッカリドをカルボニル化剤と反応させる工程であって、それにより、カル
バメート基を有する分枝状ポリサッカリドを形成する、工程;および
複数の化学物質または生体分子の各々に対して、反応性アミノ基を付加する工程;およ

その複数の化学物質または生体分子に対して、複数のそのカルバメート基を結合させる工程

を包含する、方法。
(項目16)
上記カルボニル化剤が、N,N’−カルボニルジイミダゾールまたはN,N’−ジスク
シンイミジルカルボネートである、項目15に記載の方法。
(項目17)
結合体を作製する方法であって、その方法は、分枝状ポリサッカリドをヘテロ二官能性の
光反応性架橋剤と反応させる工程を包含する、方法。
(項目18)
結合体を作製する方法であって、その方法は、分枝状ポリサッカリドを3−マレイミドプ
ロピオン酸と反応させる工程を包含する、方法。
(項目19)
画像センサーを用いて分析物を検出するためのアレイであって、そのアレイは、項目1
〜6のいずれか一項に記載の結合体を含む、アレイ。
(項目20)
上記結合体が、上記画像センサーの表面上にスポットされる、項目19に記載のアレ
イ。
(項目21)
上記結合体が、上記画像センサーに隣接している基材上にスポットされる、項目19
に記載のアレイ。
(項目22)
上記画像センサーがCMOS画像センサーを備える、項目19に記載のアレイ。
(項目23)
分析物を検出する方法であって、その方法は、標的分析物を含む流体を、項目19〜2
2のいずれか一項に記載のアレイと接触させる工程を包含する、方法。
(項目24)
CMOS画像センサーにおいて形成される、アレイ中の分析物から生じるシグナルを増
加させる方法であって、その方法は、ポリサッカリド、ヒドロゲル、および分枝状オリゴヌ
クレオチドからなる群より選択される分子に対して、複数のプローブを結合させる工程を
包含する、方法。
(項目25)
アレイにおいて分析物を検出する方法であって、その方法は、CMOS画像センサーのフ
レーム積分時間を増加させることにより、分析物のシグナルを積分する工程を包含する、
方法。
(項目26)
積分されたシグナルを保存する工程、および固定された時間間隔で積分を繰り返す工程
をさらに包含する、項目25に記載の方法。
(項目27)
センサーデバイスであって、以下
光学的デジタル画像センサー;
低光量エンクロージャー;および
結合体プローブアレイ
を備えた、センサーデバイス。
(項目28)
上記光学的デジタル画像センサーがCMOS画像センサーである、項目27に記載の
センサーデバイス。
(項目29)
上記低光量エンクロージャーが、隔壁を備えた流体入口開口部をさらに含む、項目2
7に記載のセンサーデバイス。
(項目30)
バイオセンサーシステムであって、そのバイオセンサーシステムは、以下
第1コネクターを備えた読取り位置;
携帯型エンクロージャー
を備え、その携帯型エンクロージャーは、以下
光学的デジタル画像センサー;
低光量エンクロージャー;
プローブアレイ;
その携帯型エンクロージャーをその第1コネクターに装着するための第2コネクターで
あって、
それにより、その携帯型エンクロージャーをその読取り位置に装着する、第2コネクタ

を備えている、バイオセンサーシステム。
(項目31)
上記第2コネクターが回路基板エッジコネクターである、項目30に記載のバイオセ
ンサーシステム。
(項目32)
上記読取り位置が、上記携帯型エンクロージャーのホットスワップのための回路手段を
備える、項目30に記載のバイオセンサーシステム。
(項目33)
上記光学的デジタル画像センサーを冷却するための手段をさらに備える、項目30に
記載のバイオセンサーシステム。
(項目34)
アッセイシステムにアセンブルされ得る構成部分を備えたキットであって、そのキットは
、少なくとも1つの認識分子および少なくとも1つのシグナル伝達分子に結合されたポリ
サッカリド結合体を含む、キット。
(本発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、ポリマーに結合する化学物質または生体分子を含む結
合体に関する。1つの実施形態において、このポリマーは、ジオール含有ポリマーである
。別の実施形態において、このポリマーは、直鎖ポリサッカリドまたは分枝鎖ポリサッカ
リドである。このポリマーはまた、直鎖ポリヌクレオチドまたは分枝鎖ポリヌクレオチド
であり得る。この化学物質または生体分子は、例えば、オリゴヌクレオチド、タンパク質
核酸、タンパク質、抗体または抗体フラグメントであり得る。1つの実施形態において、
結合体は、ポリサッカリドを、酸化剤、またはカルボニル化剤、もしくは、例えば、3−
マレイミドプロピオン酸(3−maleimidopropionic acid)と反
応する工程を含む方法によって調製される。ポリマーへの化学物質または生体分子のカッ
プリングは、光反応性架橋剤、またはヘテロ二官能性光反応性架橋剤を用いてなされ得る

【0007】
別の局面において、本発明は、結合体を含むアレイに関する。1つの実施形態において
、画像センサーを用いたアレイを使用して分析物を検出する方法が、提供される。このア
レイは、画像センサー上または画像センサーに近接する基材上に位置し得る。この画像セ
ンサーは、CMOS画像センサーであり得る。この画像センサーおよびアレイは、低光量
エンクロージャー内に含まれ得る。
【0008】
別の局面において、本発明は、アレイを使用して分析物を検出する方法に関する。1つ
の実施形態において、複数のプローブをポリマーに結合することによって、アレイ上の分
析物から生じるシグナルを増加する方法が、提供される。別の実施形態において、分析物
のシグナルを統合する工程を含んだ、分析物を検出する方法が、提供される。
【0009】
別の局面において、本発明は、光学画像センサー、低光量エンクロージャー、および結
合体プローブアレイを含むセンサーデバイスに関する。
【0010】
別の局面において、本発明は、読取り位置および画像センサーを含む携帯型エンクロー
ジャーを含むバイオセンサーシステムに関する。1つの実施形態において、携帯型エンク
ロージャーは、コネクターで読取り位置に接続され、ここで、携帯型エンクロージャーは
、読取り位置から取り外し可能である。別の実施形態において、この読取り位置は、移動
式エンクロージャーのホットスワップを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、読取り位置の実施形態に付随する、低光画像センサーエンクロージャーの実施形態を示す。
【図2】図2は、低光量画像センサーエンクロージャーの実施形態の側面図を示す。
【図3】図3は、取り外し可能な光学画像センサーを有するバイオセンサーシステムの実施形態を示す。
【図4】図4は、CMOS画像センサーを使用するアレイプローブスポットシグナルの検出の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
「アレイ」または「マイクロアレイ」は、直線状または2次元のマトリクスまたは不連
続領域のアレイであり、各々は、規定された領域を有し、固体支持体の表面上に形成され
る。この不連続領域は、重なり合っても、重なり合わなくても良い。マイクロアレイ上の
不連続領域の密度は、単一の固相支持体の表面上で検出される標的分子(例えば、ポリヌ
クレオチド)の総数によって決定される。2つ以上の領域がアレイを形成し得るが、不連
続領域の代表的な密度は、少なくとも約50/cmであり、しばしば少なくとも約10
0/cmであり、よりしばしば少なくとも約500/cmであり、そして時々少なく
とも約1,000/cmである。本明細書中で使用される場合、DNAマイクロアレイ
は、標的ポリヌクレオチドを増幅またはクローニングするために使用される、チップまた
は他の表面上に位置づけられるオリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイ中
のプライマーの各特定の群の位置が既知であるので、標的ポリヌクレオチドの同一性は、
マイクロアレイ上の特定の位置へのそれらの結合に基づいて決定され得る。
【0013】
用語「標識」または「標識種」は、アッセイサンプルにおける標的ポリヌクレオチドの
存在を示す検出可能なシグナルを生成可能な組成物をいう。適切な標識としては、放射性
同位元素、ヌクレオチド発色団、酵素、基質、蛍光分子、化学発光部分、磁性粒子、ナノ
粒子(例えば、量子ドット)、および生物発光部分が挙げられる。従って、標識は、分光
学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電子工学的手段、光学的手段
または化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。
【0014】
本明細書中で使用される場合、「生物学的サンプル」は、例えば、血液、血漿、血清、
脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸路の外部切片、腸管路の外部切片、および尿生
殖器路の外部切片、涙、唾液、乳汁、(血液細胞を含むがこれに限定されない)細胞、腫
瘍、器官、ならびにインビトロの細胞培養物成分のサンプルもまた含むがこれらに限定さ
れない、個体から単離された組織または流体サンプルをいう。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「生物学的供給源」は、標的ポリヌクレオチドが由
来する供給源をいう。この供給源は、細胞、組織または流体を含むがこれらに限定されな
い、上に記載されるような「サンプル」の任意の形態であり得る。「異なる生物学的供給
源」は、同じ個体の異なる細胞/組織/器官、もしくは同じ種の異なる個体由来の細胞/
組織/器官、または異なる種由来の細胞/組織/器官をいう。
【0016】
「ポリヌクレオチド」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態(リボヌクレオ
チドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)である。この用語は、分子の一次構造
のみをいう。従って、この用語は、二本鎖および一本鎖のDNAおよびRNA、ならびに
A型、B型、H型およびZ型DNAのような形態および三重鎖形態を含む。この用語はま
た、公知の型の改変、例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、1つ以
上の天然に存在するヌクレオチドのアナログへの置換、ヌクレオチド間改変(例えば、非
荷電性結合を有する改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなどであ
る)、ペンダント部分を有する改変(例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素
、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなどを含む)、インターカレーター(例え
ば、アクリジン、ソラレンなどである)を有する改変、キレート剤(例えば、金属、放射
性金属などである)を含む改変、アルキル化剤を含む改変、改変された結合を有する改変
(例えば、αアノマー核酸などである)のような)のような)、および非改変形態のポリ
ヌクレオチドを含む。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語、生物学的な「結合パートナー」もしくは「リガン
ド/アンチリガンド」または「リガンド/アンチリガンド複合体」は、他の分子を特異的
に認識(例えば、結合)し、抗原−抗体、レクチン−炭水化物、核酸−核酸、ビオチン−
アビジンなどのような結合複合体を形成する分子をいう。生物学的結合パートナーは、単
一の分子の対に限定される必要はない。従って、例えば、単一のリガンドが、2つ以上の
「アンチリガンド」の統合された作用によって結合され得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「リガンド」もしくは「分析物」または「マーカー
」は、検出される任意の分子をいう。この用語は、リガンドを特異的または非特異的に結
合するアンチリガンドとの相互作用を介して、あるいは誘電特性のようなリガンド独特の
特性によって検出される。このリガンドは、一般的に、このリガンドのいくつかの部分の
認識に起因して、このリガンドに特異的または非特異的に結合する別の分子(すなわち、
アンチリガンド)が存在する任意の分子として規定される。例えば、このアンチリガンド
は、抗体であり得、そしてリガンドはこの抗体に特異的に結合する抗原のような分子であ
り得る。この抗原が表面に結合し、抗体が、検出される分子である場合には、本明細書の
目的のために、この抗体は、リガンドになり、この抗原は、アンチリガンドである。この
リガンドはまた、細胞、細胞膜、細胞小器官およびその合成アナログからなり得る。
【0019】
本発明を実施するために使用されるリガンドとしては、(抗体/エピトープ複合体を形
成する)抗体、抗原、核酸(例えば、天然または合成のDNA、RNA、GDNA、HD
NA、cDNA、mRNA、tRNAなど)、レクチン、砂糖(例えば、レクチン/砂糖
複合体を形成する)糖タンパク質、レセプターおよびこれらの同族のリガンド(例えば、
増殖因子およびそれらの関連レセプター、サイトカインおよびそれらの関連レセプター、
シグナル伝達レセプターなど)、(天然産物または、コンビナトリアルライブラリーで開
発され、保存される、合成アナログのいずれか由来の)薬物候補のような低分子、代謝産
物、濫用性薬物およびそれらの代謝副産物、ビタミンのような補酵素ならびに他の天然に
存在する化合物および合成化合物(生理学的流体、細胞、細胞性成分(細胞膜および関連
する構造)で見られる酸素および他の気体、植物供給源および動物供給源で見られる他の
天然産物、ならびに他の部分的または完全な合成産物など)が挙げられるが、これらに限
定されない。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「結合事象」は、リガンドおよびアンチリガンドの
ような、少なくとも2つの分子の構造の間の相互作用または結合をいう。この相互作用は
、2つの分子構造が、直接的または間接的に、物理的接触をする場合、または2つの構造
が物理的に分離されているが、それらの間が電磁気学的に結合される場合、生じ得る。目
的の結合事象の例としては、リガンド/レセプター、抗原/抗体、酵素/基質、DNA/
DNA、DNA/RNA、RNA/RNA、ハイブリッド、核酸ミスマッチ、相補的な核
酸および核酸/タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、用語「結
合事象」は、シグナル伝達経路に結合する、リガンド、またはアンチリガンド/リガンド
複合体のような、本明細書に記載される単一分子または分子構造を称し得る。この場合、
シグナル伝達経路は、第2の分子構造である。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「リガンド/アンチリガンド複合体」は、アンチリ
ガンドに結合したリガンドをいう。この結合は、特異的でも非特異的でもよく、そして、
この結合は、代表的には、共有結合、水素結合、免疫学的結合、Van der Waa
ls力、イオン間力、または他の型の結合であり得る。
【0022】
本明細書中で使用される場合、分子および分子部分の点で用語「結合(couplin
g)」は、分子の結合または会合をいう。これら結合または会合は、化学反応の結果とし
ての、あるいは直接的または間接的な物理的相互作用、van der Waals相互
作用、ロンドン力、または弱い相互作用の結果としての、あるいは磁気相互作用、静電相
互作用、もしくは電磁相互作用の結果としての、特異的または非特異的な相互作用のいず
れでもよい。
【0023】
(結合体プローブ)
一般的に、アレイのプローブは、検出される標的分析物を捕捉し、結合する。プローブ
捕捉部分または標的結合部分としては、核酸、ポリヌクレオチド、タンパク質、ペプチド
核酸、低分子、および広範囲の生体分子が挙げられる。標的結合プローブ部分としては、
抗体のエピトープ結合ドメインが挙げられる。
【0024】
1つの局面において、本発明は、アレイの各点またはスポット内に、増大した数の分析
物を包含する。スポット当たりの増大した数の分析物は、より多くの数の分析物部分を捕
捉し得る共役プローブの組成物によって、達成される。例えば、ポリサッカリド共役体を
含む共役プローブは、増大した分析物部分をマイクロアレイのスポット点に導くために使
用される。
【0025】
1つの実施形態において、結合体は、化学物質または生体分子に結合したポリマーから
形成され、ここで、これらの化学物質または生体分子は、プローブを含み、それによって
結合体プローブが形成する。このプローブを含む化学物質または生体分子は、共有結合に
よって、またはイオン相互作用または弱い結合力のような非共有的化学相互作用によって
このポリマーと結合される。このポリマーは、例えば直鎖または分枝鎖ポリサッカリドま
たはオリゴサッカライドのような、直鎖ポリマーまたは分枝鎖ポリマーであり得る。
【0026】
このポリマーは、層、ビーズ、ディスクまたはその混合物の形態で、固体組成物、ゲル
組成物またはアモルファス組成物であり得、そして、均質または不均質であり、直鎖また
は分枝鎖であり、側鎖が分枝しており、分枝櫛形(comb)であり、あるいは星状また
は樹状(dendrimeric)であり得る。ポリマーの分枝は、長鎖分枝または短鎖
分枝であり得る。これらのポリマーは、合成的手法によって作製され、または天然に存在
する供給源から単離される天然産物として得られ得る。ポリマーの例としては、炭水化物
、サッカライド、ホモポリサッカリド、ヘテロポリサッカリド、アガロース、アミロース
、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、セルロース、キチン、キトサン、ペプ
チドグリカン、およびグリコサミノグリカンが挙げられる。いくつかの実施形態において
、これらのポリマーは、高度に分枝されたデキストランである。さらなる実施形態におい
て、ポリマーは、ヒドロゲルのような水和したデキストランもしくはアガロースであり、
またはポリアクリルアミドゲルである。この結合体を作製するために使用されるポリマー
の、さらなる例としては、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド核酸、プロテオグリ
カン、糖タンパク質、および糖脂質が挙げられる。さらなる実施形態において、ポリマー
は、抗体または抗体フラグメントであり得る。
【0027】
結合体を作製するために有用なポリマーのさらなる例としては、gem−ジオール基お
よびvic−ジオール基を有するポリマーのようなジオール含有ポリマーが挙げられる。
別の例は、RNA中のリン酸ジエステル結合のような、エステル基に近位のヒドロキシル
基を有するポリマーである。
【0028】
ポリマーのさらなる例は、ポリ(T)、ポリ(A)、またはポリ(U)のような、合成
ポリヌクレオチドまたは天然に存在するポリヌクレオチドである。
【0029】
別の例は、複数のヒドロキシル基を有するポリマーである。これらのポリマー種の任意
の混合物は、本発明の実施形態において使用され得る。
【0030】
これらの結合体プローブは、化学物質または生体分子をポリマーに結合することによっ
て調製される。共役体を調製する一般的な方法の例は、Greg T.Hermanso
n,Bioconjugate Techniques(Academic Press
1996)に概説される。いくつかの実施形態において、結合体プローブは、化学物質
または生体分子上の官能基または反応性基の、ポリマーとの共役反応によって調製され、
これらの官能基または反応性基は、化学物質または生体分子をこのポリマーに結合する。
化学物質または生体分子上の官能基または反応性基としては、例えば、アルデヒド基、ヒ
ドロキシル基、アミンまたはアミノ基、カルボキシレート、スルフヒドリル基およびその
混合体が挙げられる。
【0031】
結合体プローブは、化学物質または生体分子をポリマーと結合または反応することによ
って調製され、ここで、このポリマーは、直接的または、リンカー基を介して間接的に、
化学物質または生体分子の官能基または反応性基と結合するための複数の部位を含むよう
に、誘導体化され得る。この誘導体化されたポリマーは、化学物質または生体分子を接着
するために使用され得る反応性基を有する。この誘導体化されたポリマーの反応性基は、
アルデヒド、ヒドロキシル、アミンまたはアミノ基、カルボキシレート、スルフヒドリル
、イソチオシアネート、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ケトン、グリオキサー
ル、エポキシド、オキシラン、イミドエステル、カルボジイミダゾール、アルキルホスフ
ェート、無水物、マレイミド、アジリジン、アクリロイル、フルオロフェニル、ジアゾア
セチル、N−アシルイミダゾール、スクシンイミジルカルボネート、カルボキシメチル基
、イソシアネート、ヒドラジド基、アクリルアジド、およびそれらの混合体であり得る。
【0032】
そのポリマーは、キトサン中に反応性アミン基(例えば、アミノ基)を有し得る。さら
なる実施形態において、そのポリマーは、反応性官能基(例えば、スルフェート、カルボ
キシレート、またはホスフェート基)を有する。スルフェート含有ポリマーの例としては
、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、硫酸ヘパリン、および硫酸ケラチンが、挙げら
れる。カルボキシレート含有ポリマーの例は、シアリン酸誘導体である基を含む多糖、ア
ルドン酸誘導体である基を含む多糖、ウロン酸誘導体である基を含む多糖、オキソアルド
ン酸誘導体である基を含む多糖、およびアルコルビン酸誘導体である基を含む多糖である

【0033】
ホスフェート含有ポリマーの例としては、核酸(例えば、DNAまたはRNA)が挙げ
られる。これらのポリマーは、二官能性リンカー(例えば、ホモ二官能性リンカー、ヘテ
ロ二官能性リンカー)または多官能性リンカーを使用して、結合体プローブを生成するた
めに化学物質または生体分子と結合され得る。例えは、その結合体プローブは、別のポリ
ヌクレオチドと結合体化されたポリヌクレオチドポリマーであり得る。1つの例において
、RNAは、結合体を生成するために化学物質または生体分子に結合するための、アルデ
ヒド基を提供するように酸化される。
【0034】
種々の化学物質または生体分子が、種々の標的と結合可能な結合体プローブを提供する
ために、そのポリマーに結合され得る。換言すると、単一ポリマー鎖が、結合体プローブ
を提供するために種々の化学物質または生体分子に結合され得る。結合体プローブの混合
物が、本発明の一実施形態において使用され得る。
【0035】
1つの実施形態において、結合体プローブを調製するために、そのポリマーおよび化学
物質または生体分子の各々上のアミノ基が、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネー
ト)、ジスクシンイミジルタルタレート、またはジスクシンイミジルグルタレートを使用
して、連結される。さらなる実施形態において、その化学物質または生体分子のスルフヒ
ドリル基が、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネートまたはm
−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用して、そのポリ
マーのアミン基と連結される。別の実施形態において、その化学物質または生体分子のス
ルフヒドリル基が、4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシル−
ヒドラジドまたは3−(2−ピリジルジチオ)プロオピニルヒドラジドを使用して、その
ポリマーのアルデヒド基と連結される。さらなる実施形態において、その化学物質または
生体分子のスルフヒドリル基が、4−(p−アジドサリチルアミド)ブチルアミンを使用
して、そのポリマーのカルボキシレート基と連結される。
【0036】
そのポリマーおよび化学物質または生体分子の各々上のアミノ基が、さらなる実施形態
においては、ヘテロ二官能性架橋剤であるN−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシ
スクシンイミドまたはN−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート
を使用して、連結され得る。
【0037】
1つの実施形態において、その結合体化は、そのポリマーのヒドロキシル基をカルボニ
ル化剤(例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール)と反応させて中間体イミダゾリ
ルカルバメートを形成することによって実施され、その中間体イミダゾイルカルバメート
は、次いで、N−求核剤(例えば、アミン)、アミノ含有部分(例えば、ペプチドおよび
タンパク質)と反応してN−アルキルカルバメート結合を生じ得る。
【0038】
別の実施形態において、その結合体化は、そのポリマーのヒドロキシル基をN,N’−
ジスクシンイミジルカルボネートと反応させ、その後、オリゴヌクレオチド上のアミノ含
有部分(例えば、アミノ基)と反応させることによって、実施される。そのアミノ基は、
そのオリゴヌクレオチドの末端アミノ基であっても、またはそのオリゴヌクレオチドの末
端付近にあってもよい。
【0039】
その結合体化は、そのポリマーを3−マレイミドプロピオン酸と反応させ、その後、そ
の生成物である誘導体化ポリマーを、オリゴヌクレオチド上のアミノ基と反応させること
によって、実施され得る。
【0040】
別の実施形態において、その結合体化は、ポリマーのヒドロキシル基と、その化学物質
または生体分子のアルキルハライド末端基と反応させて、そのプローブ結合体中にエーテ
ル結合を生じさせることによって、実施される。
【0041】
隣接する炭素原子上にヒドロキシル基を含むポリマー(例えば、糖質または糖タンパク
質)は、過酸化ナトリウムと、そのポリマー上にアルデヒド官能基を生成するように反応
され得、そのアルデヒド官能基は、化学物質または生体分子に結合させて結合体プローブ
を調製するために使用され得る。そのポリマー上のアルデヒド官能基と、アミン含有化学
物質またはアミン含有生体分子とのその後の反応は、そのポリマーとその分子との間にシ
ッフ塩基結合を生じる。そのシッフ塩基結合は、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウ
ムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウム)と、そのポリマーとその化学物質またはその生
体分子との間に二級アミン結合または三級アミン結合を生成するように、反応され得る。
【0042】
さらなる実施形態において、結合体プローブは、光反応性架橋剤を使用して調製される
。例えば、そのポリマーおよびその化学物質またはその生体分子の各々上のアミノ基が、
光反応性架橋剤とカップリングされ得、それにより、そのポリマーが、連結基を介してそ
の化学物質またはその生体分子とカップリングしている結合体が形成され得る。1つの例
において、そのポリマーのアミノ基は、N−ヒドロキシスクシンイミジル−4−アジドサ
リチル酸とカップリングされ得、そしてその化学物質またはその生体分子のアミノ基が、
その後、光分解によってカップリングされて、そのポリマーが、連結基を介してその化学
物質またはその生体分子とカップリングされている結合体が形成され得る。
【0043】
別の例において、その化学物質またはその生体分子のスルフヒドリル基が、1−(p−
アジドサリチルアミド)−4−(ヨードアセトアミド)ブタンとカップリングされ得、そ
の後、そのポリマーのアミノ基が、光分解によってカップリングされて、そのポリマーが
、連結基を介してその化学物質またはその生体分子とカップリングされている結合体が形
成され得る。
【0044】
別の例において、そのポリマーのアルデヒド基が、p−アジドベンゾイルヒドラジドと
カップリングされ得、その化学物質または生体分子のアミノ基が、その後、光分解によっ
てカップリングされて、そのポリマーが、連結基を介してその化学物質または生体分子と
カップリングされている結合体が形成され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、アビジン−ビオチン相互作用が、この結合体化反応のた
めに使用される。反応性基(例えば、アミノ、カルボキシレート、スルフヒドリル、およ
びカルボヒドレート)が、ビオチン化され得る。そのビオチン基が、アビジンまたはスト
レプトアビジンと結合するために使用され得、そのアビジンまたはストレプトアビジンは
、標識を保有し得る。
【0046】
アレイを作製するためのそのセンサーの表面への結合体プローブのカップリングは、多
数の方法で実施され得る。例えば、その表面が、エポキシドで誘導体化され得、そのエポ
キシドは、その結合体プローブ中の反応性−OH基または反応性−NH−基と反応し得
る。別の例において、そのセンサー表面は、ポリ(リジン)で処理され、そして結合体プ
ローブまたはその生体分子が、その表面上にスポットされる。その結合体プローブまたは
生体分子を基材(例えば、スライドガラスまたは電子デバイスに近接するパシベーション
層)と架橋させるために、必要に応じて、UV照射が使用され得る。結合体プローブまた
はオリゴヌクレオチドが、アルデヒド基、アミン基、またはイソチオシアニド基で誘導体
化されているセンサー表面にカップリングされ得る。そのアレイの形成機構は、スポッテ
ィング、インクジェットプリンティング、または直接のチップ上合成であり得る。
【0047】
さらに、そのプローブは、ロボットシステム(例えば、Genetic MicroS
ystems(Woburn,MA)、GeneMachines(San Carlo
s,CA)またはCartesian Technologies(Irvine,CA
)、またはPackard Bioscience(Billerica,MA)により
製造されるロボットシステム)を使用して、固体支持体に適用され得る。
【0048】
その検出アレイ層にリガンドを結合することに関与する代表的化学は、一般的に、その
リガンドおよびそのリガンドが結合する任意のアンチリガンドの性質、ならびにそのアッ
セイにおけるそれらの機能に依存する。その表面上で生じ得る可能な相互作用の型の列挙
としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:タンパク質/タンパク質相互作
用、DNA/タンパク質相互作用、RNA/タンパク質相互作用、核酸ハイブリダイゼー
ション(塩基対ミスマッチ分析を含む)、RNA/RNA相互作用、TRNA相互作用、
酵素/基質系、抗原/抗体相互作用、低分子/タンパク質相互作用、薬物/レセプター相
互作用、膜/レセプター相互作用、固相リガンドにおけるコンフォメーション変化、タン
パク質/糖質相互作用、および脂質/タンパク質相互作用。
【0049】
実際の表面化学は、1つの実施形態において、一次結合および二次結合として記載され
得る。分子結合のさらなる領域もまた、生じ得る。一次結合は、その検出表面へのアンチ
リガンドの結合を指し、その結合は、リンカー分子の補助を介してなされ得る。
【0050】
1つの実施形態において、本発明は、調製された固体支持体を提供し、その固体支持体
は、固定されているかまたは固定されていない、別個のオリゴヌクレオチドプローブ群を
含む。そのプローブは、例えば、標準的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プローブ選択プ
ログラム(例えば、Massachusetts Institute of Tech
nologyから得られるProbe3)を使用して、選択または設計され得る。
【0051】
その固相支持体は、約5〜約100平方マイクロメートルの領域を提供し得、その領域
上に、約100,000個までのプローブ群が、所定のパターンに従って別個領域に固定
され得る。その調製された固体支持体は、その支持体上の所定の任意の位置での、そのプ
ローブまたはプローブ対の配列についての関連する記録または電子記録を有し得、従って
、その支持体上の増幅された標的の位置が、同様に同定され得る。
【0052】
参照配列の特定の領域に対応する各群内のプローブの数は、そのマイクロアレイでの計
画されたその後の増幅反応の必要性によって、決定および制限され得る。従って、例えば
、そのマイクロアレイ上の特定の部位でPCR増幅を実行するために必要であるとみなさ
れるプローブの数は、特に、反応体積および標的テンプレートポリヌクレオチド分子の予
定数、ならびに提唱されるPCRサイクル数を考慮すると、どの程度の数のオリゴヌクレ
オチドプローブコピーが、首尾良い反応を確実にするためにその支持体上の各位置で群と
して適用されるかを正確に決定するのに役立つ。時に、プローブの量(すなわち、プロー
ブ分子数またはプローブ濃度)は、所定の固体支持体上の各位置で(例えば、標的ポリヌ
クレオチドの約100,000個までの領域を増幅または検出するために、1000〜1
0,000個、約100,000個までのプローブ群を有するDNAマイクロアレイ形式
で)ほぼ同じである。
【0053】
任意の核酸含有プローブが、核酸塩基の微小な欠失、付加、および/または置換を含み
得ることが、理解される。
【0054】
オリゴヌクレオチドプローブは、核酸中に通常見出される天然に存在する複素環式塩基
(ウラシル、シトシン、チミン、アデニン、およびグアニン)、ならびに改変塩基および
塩基アナログを含む。標的配列へのそのプローブのハイブリダイゼーションと適合性であ
る任意の改変塩基または塩基アナログが、本発明の実施において有用である。
【0055】
そのポリヌクレオチドプローブの糖部分またはグリコシド部分は、デオキシリボース、
リボース、および/またはこれらの糖の改変形態(例えば、2’−O−アルキルリボース
)を含み得る。好ましい実施形態において、その糖部分は、2’−デオキシリボースであ
るが、標的配列にハイブリダイズするそのプローブの能力と適合性である任意の糖部分が
、使用され得る。
【0056】
1つの実施形態において、そのプローブのヌクレオシド単位は、当該分野で周知である
ように、ホスホジエステル骨格により連結される。さらなる実施形態において、ヌクレオ
チド間結合は、そのプローブの特異的ハイブリダイゼーションと適合性である任意の結合
(ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、スルファメート結合(例えば、米
国特許第5,470,967号)およびポリアミド結合(すなわち、ペプチド核酸)を含
むが、これらに限定されない)を包含し得る。ペプチド核酸は、Nielsenら(19
91)Science 254:1497−1500、米国特許第5,714,331号
、およびNielsen(1999)Curr.Opin.Biotechnol.10
:71−75に記載される。
【0057】
特定の実施形態において、そのプローブは、キメラ分子であり得;すなわち、1つより
多くの型の塩基または糖サブユニットを含み得、そして/またはその結合は、同じプロー
ブ内の1つより多くの型であり得る。
【0058】
そのプローブは、当該分野で公知であるように、その標的配列へのハイブリダイゼーシ
ョンを促進する部分(例えば、インターカレート剤および/または副溝結合剤)を含み得
る。
【0059】
塩基、糖、およびヌクレオシド間骨格のバリエーション、ならびにそのプローブ上にな
んらかのペンダント基が存在することは、配列特異的な様式でそのプローブがその標的配
列と結合する能力と、適合性である。多数の構造的改変(既知の改変、および開発される
改変の両方)が、これらの結合内で可能である。さらに、そのプローブを形成する種々の
複素環式塩基、糖、ヌクレオシド、およびヌクレオチドを調製するための合成法、ならび
に特定の所定の配列のオリゴヌクレオチドの調製は、当該分野において十分に発展してお
り、そして公知である。オリゴヌクレオチド合成のための1つの方法は、米国特許第5,
419,966号の教示を組み込む。
【0060】
そのオリゴヌクレオチドプローブは、特定のPCRまたはその後の操作(例えば、増幅
された標的ポリヌクレオチドの単離)を補助し容易にする、任意の特別のさらなる部分ま
たは配列を用いて、設計され得る。例えば、プローブは、その標的配列に対して相補的で
ある配列に加えて、配列を含み得る。そのような配列は、通常は、そのプローブにおいて
、標的相補的配列の上流(すなわち、5’側)にある。例えば、1つ以上の制限酵素認識
部位を含む配列(いわゆる、「リンカー」または「アダプター」)が、標的相補的配列の
上流にプローブ中に存在する場合に、増幅産物のクローニングおよびその後の操作を容易
にする。プローブ中に含めるための他の有用な配列としては、配列決定プローブと相補的
な配列、およびバクテリオファージRNAポリメラーゼ(例えば、T3 RNAポリメラ
ーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、および/またはSP6 RNAポリメラーゼ)のプロ
モーターを特定する配列が、挙げられる。
【0061】
本発明の1つの局面において、そのマイクロアレイプローブは、その標的ポリヌクレオ
チド中の目的領域全体を網羅するためのタイリング(tiling)法によって、規定さ
れる。例えば、第1のプローブ群は、その群内の各プローブの配列が、目的領域の最も5
’側の部分と対応するように設計される;第2のプローブ群は、その第1群からその領域
の3’末端の方に1ヌクレオチド分「シフト」された配列を有する;そして第3のプロー
ブ群は、その第2群からその領域の3’末端の方に1ヌクレオチド分「シフト」された配
列を有する;などのようである。理論上、そうすると、プローブ群の数は、目的領域中の
ヌクレオチド数と等しい。当然、その領域の特定の部分に対応する各プローブ群内に、上
記のような4つの異なる3’末端を備える、少なくとも4つのプローブセットが存在する
。複数の標的ポリヌクレオチドが、本発明に従って検出されるべき場合、特定の標的ポリ
ヌクレオチドに対応する各プローブ群は、そのマイクロアレイの別個領域中に存在する。
【0062】
(デジタル画像バイオセンサーシステム)
本発明の1つの局面において、バイオセンサーシステムを用いる分析物の検出は、その
アレイに結合した分析物からのシグナルを、より少ないバックグラウンドで、相応して、
もっと高いシグナル対ノイズ比で読み出すために使用され得る、デジタル画像または「機
械視覚」感知技術を使用することによって、増強される。1つの実施形態において、その
バイオセンサーシステムは、デジタル画像感知技術を使用し、この技術は、ドーターボー
ド上のデジタル画像センサー、結合体プローブのアレイ、そのセンサーに熱冷却を提供し
得るそのセンサーのエンクロージャー、ならびに分析物シグナルを積分する方法を含む。
【0063】
1つの実施形態において、捕捉種(例えば、結合体プローブ)を含むアレイからの光学
的シグナルは、デジタル画像センサーを使用して検出される。そのデジタル画像センサー
は、光センサー素子のマトリクスを備える。その結合体プローブは、そのデジタル画像セ
ンサー上のアレイ中にスポットされ得、そして、そのデジタル画像センサーの表面に、共
有結合または非共有結合のいずれかをされ得る。別の実施形態において、そのアレイは、
そのデジタル画像センサーに近接して配置され得るスライドガラス上にスポットされる。
そのような実施形態において、光ファイバー結合器が、必要に応じて、そのスライドガラ
スとそのセンサーとの間に配置される。
【0064】
そのアレイにおける各々の別個のプローブスポットの限局的な領域は、デジタル画像セ
ンサー中の個々の光センサー素子の領域よりも大きくあり得る。代表的には、プローブス
ポットと個々の光センサーとの間に、1対1対応は存在しない。あるいは、そのプローブ
スポットは、個々の光センサー素子とほぼ同じサイズであり得る。
【0065】
そのデジタル画像センサーは、1つの実施形態において、相補的金属酸化物半導体(C
MOS)画像センサーである。そのCMOS画像センサーの各センサーは、光ダイオード
セルを備え、その光ダイオードセルは、それ自体のアナログ−デジタル変換器、増幅器、
およびレジスタに連結されている。そのCMOS画像センサーの最上層は、パシベーショ
ン層(これは、実質的に光透過性である二酸化ケイ素であり得る)であり、そのアレイに
送達されるべき分析物溶液から半導体回路を保護するための流体バリアとして役立つ。こ
のパシベーション層はまた、伝導性透過性材料であり得る。
【0066】
1つの局面において、本発明は、検出される種からのシグナルを、デジタル画像センサ
ーを用いてそのシグナルを検出することによって増強することに関し、このデジタル画像
センサーにおいて、そのアレイは、デジタル画像センサー上に直接形成されている。1つ
の実施形態において、分析物の化学発光放射の光学的検出が、デジタル画像センサーの頂
部にある薄いバシベーション層上に形成されたアレイを用いて実施される。この実施形態
において、シグナルは、そのデジタル画像センサーの光電性素子にそのアレイを接近させ
ることによって、有利に増強される。
【0067】
本発明の別の局面において、そのセンサーデバイスまたはセンサーシステムは、画像セ
ンサー検出器上に衝突するバックグラウンド放射を減少させることによって、分析物アレ
イの光シグナルの測定のシグナル対ノイズ比の増加を提供する。図1の実施形態において
示されるように、エンクロージャー100が、その光学画像センサーおよびそのアレイを
含むように提供される。そのエンクロージャー100は、頂部シェル(shell)16
0および底部シェル180を備える。この底部シェル180は、光学画像センサーのため
のプリント回路基板、そのセンサーのための光学的冷却素子を支持し、そしてその頂部シ
ェル160を機械的に受容する。図1の実施形態において、その光学画像センサーのため
のプリント回路基板が、第2のエンクロージャー150内に含まれる。その回路基板およ
び第2のエンクロージャーは、端コネクター360に取り付けられている。その頂部シェ
ル160は、底部シェル180により受容された場合、そのアレイ120を密閉して取り
囲むバリア200によって規定される、低光領域300を提供する。流体が、そのバリア
200により規定されるその低光領域中のそのアレイと接触する。
【0068】
図2に例示される別の実施形態において、流体侵入口240は、底部シェル180に提
供される。操作の際に、流体は、流体侵入口240を介して液体含有標的分子を注入する
ことによってアレイ120に負荷される。この流体は、低光量領域300にプールする。
必要に応じて、キャピラリー構造または流体チャネル104は、エンクロージャー100
内に形成されて流体侵入口240からアレイ120に分析物が送達される。流体侵入口2
40は、必要に応じて、隔壁244を備え、ここを介して流体が導入される。この隔壁は
、流体および光の両方についてのバリアである。
【0069】
いくつかの代替の実施形態において、例えば、蛍光検出が使用される場合、低光量領域
300に存在する流体を有する必要はない。これらの実施形態において、流体を、流体侵
入口240で注入して画像センサーの冷却を提供し得る。
【0070】
図2の実施形態において、任意のレンズが、低光量領域300に隣接する頂部シェル1
60に提供される。シーラント268(例えば、発砲エラストマー)およびo−リングは
また、低光量領域300の封入を補助するために提供される。
【0071】
エンクロージャー100は、読取り位置400に連結され、その結果、アレイは、実質
的に重力レベルである。必要に応じて、このエンクロージャーは、読取り位置に付着され
得、そして任意の重力方向に操作され得る。これらの任意の実施形態において、流体侵入
口およびエンクロージャーは、表面張力、および任意の方向におけるキャピラリー効果に
よって、分析物アレイシグナルが読み取られ得る程度にまで分析流体を内包し得る。
【0072】
図1および2の実施形態において例示されるように、光学画像化センサー140を支持
するプリントされた回路基板380は、電気的エッジコネクタ360を介して読取り位置
400に電気的に連結される。光学画像化センサー140は、安定性および保護のために
、エポキシ248で確保され得、そして部分的に内包され得る。必要に応じて、底部シェ
ル180は、光学画像化センサー140の電気的回路にアクセスするための開口部を提供
する。
【0073】
1つの実施形態において、バイオセンサーシステムが、提供され、これは、分析物シグ
ナルを積分して分析物の検出のシグナル対ノイズの比を増加させる。積分は、アレイより
生じる光についての検出器のフレーム補正時間を増加させることによって、実施され得る
。分析物シグナルを積分するために、データ移入の方法が、CMOS画像化センサーを使
用して提供される。典型的なCMOS画像化センサーは、迅速なフレーム速度デバイスで
あり、これは、ビデオカメラ適用において使用され得る。1つの実施形態において、CM
OS画像化センサーは、このセンサー上に衝突するアレイシグナルを積分するために、か
なり遅いレジームにおいて操作される。この実施形態において、積分されたシグナルは、
メモリ内に保存され、この積分は、繰り返され、分析物シグナルの経時的な変化速度が観
察される。CMOS画像化センサーのフレーム補正時間は、制御され得、例えば、0時間
時に全てのチップ上のレジスターをクリアすることによって分析物検出を積分し得、次い
で、固定した期間にわたる分析物放射シグナルを回収し得る。いくつかの実施形態におい
て、画像化センサーの個々の光センサーエレメントは、異なる期間にわたって同時積分を
行う。分析物シグナルの積分は、そのシグナル対ノイズの比を増加させ、そして分析物の
検出を増強させて、低濃度の分析物の検出を可能にする。
【0074】
1つの実施形態において、分析物シグナルは、低光量エンクロージャー内のセンサーを
冷却することによりCMOSが増加センサーに固有の「暗電流」ノイズを低減させること
によって、増強される。このセンサーは、熱電エレメントによって、ノズル拡張または冷
蔵冷却法によって、または冷却された流体中の液浸によって、冷却され得る。ノイズの約
2分の1低減は、センサーを7℃まで冷却することによって観察され、そしてセンサーを
4℃まで冷却することによって、室温と比較して約10倍ノイズを低減させる。いくつか
の実施形態において、流体(サンプル分子を含んでも含まなくてもよい)が、センサーの
冷却を提供するために低光量エンクロージャーに注入される。
【0075】
(分析物アレイシグナル)
結合体プローブに結合した分析物の光学的検出としては、蛍光法、化学発光法、生物発
光法、比色法、吸収法、および量子ドット法による検出が挙げられる。標識種またはシグ
ナル分子は、ポリマーに、結合体プローブのプローブに、または標的混合物中の分析物に
付着される。標識種またはシグナル分子の例としては、放射性同位元素、蛍光剤、化学発
光剤、ケミルミノフォア(chemiluminophore)、生物発光剤、酵素、抗
体、および粒子(例えば、磁気粒子および量子ドット)が挙げられる。短いアミン誘導性
オリゴヌクレオチドに付着した蛍光色素分子が、標識種として使用され得、ここで、アミ
ン基は、結合体のポリマーに結合される。分析物検出に使用されるシグナル分子としては
、放射標識、蛍光色素(例えば、Cy3、Cy5、Alexa Flour 488、フ
ルオレセイン、ローダミン、Texas red、ローズベンガル(rose beng
al)、ダンシルクロリド、エチジウムブロミド、アミノナフタレン、ピレン、およびポ
ルフィリン)、化学発光系(例えば、ルミノール、ジオキシエタン(dioxetane
)、アクリジニウムフェニルエステル、およびルテニウム塩)、発色団および比色プロー
ブ(例えば、コロイド金、アゾ色素、キノリン色素およびシアニン色素)が挙げられる。
【0076】
分析物の検出についての種々のスキームが、M.SchenaおよびR.W.Davi
s、DNA Microarrays:A Practical Approach(M
.Schena編、Oxford University Press 1999)に記
載されている。
【0077】
使用される標識種の例としては、アゴニストおよびアンタゴニスト、毒素、エピトープ
、ホルモン、抗体、ペプチド、酵素、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸、レクチン、炭
水化物、タンパク質および薬物が挙げられる。例えば、ELISAアッセイで使用される
酵素は、蛍光検出について使用され得る。別の例は、蛍光標識されたアビジンまたはスト
レプトアビジンである。
【0078】
いくつかの実施形態において、1つより多い型の標識種を使用して、特定の分析物につ
いての1つより多い検出法を提供し得る。結合体プローブのポリマーは、例えば、複数の
蛍光標識種および化学発光標識種に結合され得る。上記のように、いくつかの実施形態に
おいて、結合体化プローブは、1つより多い標的を結合し得る。よって、いくつかの実施
形態において、結合体化プローブのポリマーは、複数の標的結合分子および複数の異なる
標識種に結合され得る。
【0079】
蛍光検出について、アレイスポット励起光は、アレイに隣接する、またはCMOSセン
サーエンクロージャーに隣接するLEDパネルによって提供され得る。蛍光法において、
狭いバンドのフィルタを、アレイスポットとフォトダイオードとの間でアレイに隣接して
使用して、アレイの読出しシグナルからの励起シグナルを除去し得、そして検出のための
放射光を選択し得る。
【0080】
別の方法において、分析物シグナルは、化学発光の光学的検出によるアレイ情報を提供
するために読み出され得る。化学発光は、化学反応により生成される光より生じ、これは
、フィルタ(例えば、CMOS画像化センサー)なしに広帯域検出器により検出され得る
。アレイスポットからの光は、直接検出され、そしてバックグラウンドシグナルは、主に
周囲光および「暗電流」に起因する。分析物は、化学発光タグで誘導体化され得る。例え
ば、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼが、化学発光検出に使用
され得る。検出の効率は、一部、タグを標的へ選択的または特異的に付着する効率に依存
する。標識は、酵素検出系、続く化学発光反応(これは、化学結合切断から放出されるエ
ネルギーを比較波長の光子へ変換する)によって認識され得るビオチンまたはジオキシゲ
ニンのいずれかであり得る。結合切断または化学反応より生成される光を安定化させる分
子(また、化学発光増幅剤(enhancer)と呼ばれる)は、化学発光検出に使用さ
れ得る。
【0081】
シグナル分子または色素分子の数 対 プローブ分子の数(これは、結合体プローブま
たはポリマーに結合されている)の比は、実質的に変動し得る。いくつかの実施形態にお
いて、シグナル分子対プローブ分子の比は、少なくとも3、4または5である。しばしば
、シグナル分子対プローブ分子の比は、少なくとも6、7、8または9である。しばしば
、シグナル分子対プローブ分子の比は、少なくとも10、20、30、40、50、60
、70、80、90または100である。シグナル分子とプローブ分子との種々の組合わ
せを使用して、結合体プローブを形成し得る。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態において、アレイシグナルは、ディジタル画像化センサー
によって検出され得る。他の実施形態において、検出は、電荷結合素子(CCD)、光電
子増倍(PMT)またはアバランシェフォトダイオードを用いて達成され得る。この分析
物の測定はまた、例えば、電気的コンダクタンス検出による種々のアレイスキームにおい
て行われ得る。
【0083】
本発明の別の局面は、工業分野、環境分野、生物医学分野およびバイオテクノロジー分
野における結合体プローブの適用に関する。本発明の結合体プローブは、分析適用または
診断適用において使用され得、そして液相、気体相または固相において分析物を検出され
得る。結合体プローブは、分析物中または水溶液、非水相もしくはガス相中の有機粒子、
無機粒子または周囲粒子を検出するために、バイオセンサーに積分および使用され得る。
【0084】
増幅または標識された標識ポリヌクレオチドの検出は、標識された配列に使用された方
法(例えば、増幅または新たに合成されたDNA鎖に組み込まれた標識を検出する工程を
包含する)によって行われ得る。よって、例えば、蛍光標識または放射標識は、直接検出
され得る。他の標識技術は、抗体または他の結合分子(例えば、ストレプトアビジン)に
よって検出される鎖合成の間に、標識されているかまたは標識分子自体を結合し得るかの
いずれかであるDNAに組み込まれる標識(例えば、ビオチンまたはジオキシゲニン)を
必要とし得る。例えば、標識分子は、例えば、蛍光分子(例えば、フルオレセインイソチ
オシアネート、Texas redおよびローダミン)、または酵素的に活性化可能な分
子のいずれかに結合体化された、抗ストレプトアビジン抗体または抗ジオキシゲニン抗体
であり得る。たとえ、新たに合成された分子上の標識、そして、この標識が、DNAに直
接であるか、またはDNAを結合する(またはDNAを結合する分子を結合する)分子に
結合体化されているとしても、この標識(例えば、蛍光、酵素、化学発光または比色)は
、標識に依存して種々の技術(レーザスキャナ、CCDカメラまたはX線フィルムを含む
)、または特定の標識を検出するための他の適切な手段によって検出され得る。
【0085】
標的ポリヌクレオチドは、増幅されたDNAにPCR増幅の間に組み込まれた標識ヌク
レオチド(例えば、直接標識のためのdNTP−蛍光標識;間接標識のためのdNTP−
ビオチンまたはdNTP−ジオキシゲニン)を使用することによって検出され得る。間接
標識されたDNAについて、検出は、ストレプトアビジンまたは抗ジオキシゲニン抗体と
結合体化された、蛍光または他の酵素によって行われる。PCR法は、ポリヌクレオチド
標的に対して新たに合成された相補体中に組み込まれた標識を検出することによるポリヌ
クレオチドの検出を、典型的に使用する。この目的のために、合成される場合にDNAに
組み込まれ得る任意の標識(例えば、上記のような、フルオロ−dNTP、ビオチン−d
NTP、またはジオキシゲニン−dNTP)が、使用され得る。1つ以上の普遍的(un
iversal)プライマーを溶液中で使用して行われるPCR増幅は、この普遍的プラ
イマーの検出によって固体支持体上での位置で増幅した標的を検出するためのオプション
を提供する。よって、1つより多い普遍的プライマーが使用される場合、異なる供給源由
来の標的鎖は、固体支持体上で差示的に検出され得る。
【0086】
適切な蛍光標識のさらなる例としては、フルオレセイン(FITC)、5,6−カルボ
キシメチルフルオレセイン、Texas red、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−
ジアゾル−4−イル(NBD)、クマリン、ダンシルクロリド、ローダミン、4’−6−
ジアミジノ−2−フェニルインドール(phenylinodole)(DAPI)、な
らびにシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が挙げられる
。しばしば、蛍光色素は、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロ
キシスクシンイミドエステル)またはローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)で
ある。時折、コンビナトリアル多色(multicolor)コード化についての蛍光標
識は、FITC、およびシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびC
y7である。これらの蛍光(flour)についてのそれぞれの最大吸収および最大放射
は:FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3
.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm;672nm)、Cy5.5(6
82nm;703nm)およびCy7(755nm;778nm)であり、よって同時検
出を可能にする。
【0087】
標識されたヌクレオチドは、時折標識の検出にために使用される。なぜなら、これらは
、合成中に直接組み込まれ得るからである。増幅したDNAまたはRNAに組み込まれ得
る検出標識の例としては、ヌクレオチドアナログ(例えば、BrdUrd(Hoyおよび
Schimke、Mutation Research 290:217−230(19
93))、BrUTP(Wansickら、J.Cell Biology 122:2
83−293(1993))およびビオチンで改変されたヌクレオチド(Langerら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:6633(1981))、ま
たは適切なハプテン(例えば、ジオキシゲニン(Kerkhof、Anal.Bioch
em.205:359−364(1992)))で改変されたヌクレオチドが挙げられる
。フルオレセイン標識されたヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアネート−d
UTP、シアニン−3−dUTPおよびシアニン−5−dUTP(Yuら、Nuclei
c Acids Res.,22:3226−3232(1994))である。DNAに
ついての有用なヌクレオチドアナログ検出標識は、BrdUrd(BUDR三リン酸、S
igma)であり、そしてRNAについての有用なヌクレオチドアナログ検出標識は、ビ
オチン−16−ウリジン−5’−三リン酸(Biotin−16−dUTP、Boehr
ingher Mannheim)である。フルオレセイン、Cy3およびCy5は、直
接標識のためにdUTPに連結され得る。Cy3.5およびCy7は、ビオチン標識化プ
ローブまたはジオキシゲニン標識化プローブの二次検出のための、アビジンまたは抗ジオ
キシゲニン結合体として利用可能である。
【0088】
1つの実施形態において、本発明を使用して、分子構造のシグナル経路への結合を検出
する。この実施形態において、シグナルは、シグナル経路に沿って伝播する。シグナルが
伝播するにつれて、そのシグナルは、その結合した構造に連結し、そして調節される。調
節された応答の分析は、結合を示す。
【0089】
別の実施形態において、本発明を使用して、二次結合を同定し得る。例えば、一次結合
は、伝導性表面に対する抗体の付加であり得る。二次結合は、固定化された抗体と溶液中
のその抗原との間の結合を測定することを含み得る。一次結合が以前の段落に記載される
ように検出された後に、抗体を含有する溶液が、バイオアッセイデバイスに添加され、そ
してその応答が再度測定される。この応答は、一次結合応答に比較される。変化は、結合
事象が生じたことを示す。
【0090】
別の実施形態において、本発明は、アッセイ形式において使用され得る。センサーデバ
イスまたはバイオセンサー系は、各々が特定の抗リガンドに結合された複数のアドレス可
能な部位を有する。デバイスに溶液を送達した後、各部位での結合応答が測定され、そし
て特徴付けられる。この方のデバイスを使用して、サンプル中の特定の核酸配列の存在を
測定および/または同定し得る。アドレス可能な部位の各々で、独特な核酸(nucle
ic)配列が、抗リガンドとして付着される。このサンプルへの曝露に際して、相補配列
は、適切な部位に結合する。各部位での応答は、配列が結合しているか否かを決定する。
このような測定はまた、結合した配列が抗リガンド配列と完全に一致するか否か、または
1つまたは複数のミスマッチが存在するか否かを示す。この実施形態をまた使用して、タ
ンパク質、およびタンパク質のクラスを同定し得る。
【0091】
別の実施形態において、本発明を使用して、引き続いて未知の濃度の特定の分析物また
はリガンドを測定するための、標準曲線または力価曲線を生成し得る。例えば、センサー
デバイスまたはバイオセンサー系に付着され得る抗体が、使用され得る。このデバイスは
、いくつかの異なる濃度のリガンドに曝露され得、そして測定される各濃度に対する応答
が測定され得る。このような曲線はまた、用量応答曲線として当業者に公知である。未知
のサンプルが、このデバイスに曝露され得、そしてその応答が測定される。その応答を標
準曲線と比較して、未知のサンプル中のリガンドの濃度を測定し得る。
【0092】
しばしば、所定の分子の特定の品質を決定することが、所望され得る。タンパク質がど
のクラスに属するのか、または所定の遺伝子もしくは他の核酸配列がどの型の多型である
のかを決定することが、例として挙げられる。これは、多くの方法で行われる。タンパク
質は、しばしば、構造的相同性の数および型、またはタンパク質の同一または類似のクラ
スに見出される特定の下部構造によって分類される。例えば、細胞膜に一般に見出され、
そして細胞外環境と細胞内環境との間のシグナル伝達経路を媒介するG−タンパク質は、
細胞膜を7回貫通する構造を常に有する。このような構造は、G−タンパク質の視覚的な
定義である。他のクラスのタンパク質は、同様な構造相同性を有し、そしてそれ自体、あ
るクラスのタンパク質を別のクラスのタンパク質から、これらのタンパク質の相同性に基
づいて区別し得る任意の方法は、多くの生物医学研究分野における莫大な用途の1つであ
る。所定の分子の誘電体特性がその分子の電荷分布の幾何学によって全体的に決定され、
そしてほとんどのタンパク質が独特な構造または幾何学を有する場合、次いで、各タンパ
ク質は、そのタンパク質の誘電体特性を測定することにより独自に決定され得る。よって
、単純な誘電サイン(例えば、本発明によって作製される誘導サイン)は、所定のタンパ
ク質を同定するように働き得、そしてさらに、そのタンパク質を、以前から公知のいくつ
かのクラスのタンパク質に分類することを可能にし得る。さらなる改良点が、所定のタン
パク質の特定の下部構造に特異的であるバイオアッセイデバイスにおいて抗リガンドの群
を使用することによる分類方法論に加えられ得る。例えば、ドメインのような特定の下部
構造に特異的なある群の抗体は、その下部構造の存在または非存在の決定に利用され得る
。よって、任意の所定のタンパク質は、特定の下部構造、およびそのタンパク質自体の誘
電体特性の、存在および非存在の両方を決定することによって特徴付けられ得る。この分
類戦略に対するさらなる改良点は、温度、pH、イオン強度、および上記した特性に対す
る他の環境効果を見出すことを含み得る。
【0093】
核酸はまた、類似のパラダイムに従うことによって特徴付けられ得る。例えば、所与の
遺伝子が、特定の塩基対配列を有することが公知であり得る。しばしば、天然に、この配
列に小さな変動が存在する。例えば、多くの細胞膜中の塩素イオン輸送チャネルをコード
する遺伝子内には、共通の単一塩基対変異または変化が存在する。このような変化は、ヒ
トにおいて、嚢胞性線維症と呼ばれる疾患を導く。このように、小さな変動に関して所与
の核酸配列を特徴付けることは、非常に重要である。このような変動は、しばしば、多型
と呼ばれ、そしてこのような多型は、現在、公知の多型のそれぞれに対する相補鎖を形成
することによって検出される。任意の所与の遺伝子が数百または数千もの多型のうちのい
ずれか1つの形態を取り得るので、各多型についての相補鎖を作製することは、しばしば
、骨の折れる仕事である。本明細書中に記載される発明を使用して、非相補的な結合また
はハイブリダイゼーションは、先のパラグラフに記載された物理的性質と同じ多くの物理
的性質を測定することによって検出および区別され得る:ハイブリダイゼーション事象の
誘電的性質が、特徴付けられ得、そして公知のデータに関連付けられ得、それによって生
じたハイブリダイゼーションの型(完全または不完全のいずれか)を決定し得る。このよ
うに、所与の核酸配列によって構成されるアンチリガンド(antiligand)を用
いて、数百の異なる多型(リガンドとして)は、結合事象の特徴付けによって検出され得
る。当業者は、さらなる洗練(例えば、ハイブリダイゼーションプロセスを変更するため
にストリンジェンシー条件を変更するか、または温度を変更し、そして融点を決定するこ
と)が可能であることを理解し、これが、ハイブリダイゼーションプロセスの性質の別の
指標として役立つ。
【0094】
1つの実施形態において、薬物−レセプター相互作用は、所与の結合事象が、レセプタ
ーをオンもしくはオフにするか、またはいくつかの他の形態のアロステリック効果を生じ
るかを決定するために特徴付けられ得る。例えば、所与のレセプターは、アンチリガンド
として使用され得、そして公知のアゴニストが第1リガンドとして使用され得る。この相
互作用は、誘電特性または他の特性に従って特徴付けられる。薬物候補についてスクリー
ニングされる化合物は、レセプターとのそれらの結合特性について試験され得る。例えば
、結合し、そして公知のアゴニストと類似の特性の値を生じる候補は、アゴニストである
可能性がより高い。この方法は、任意の型の目的の標的−レセプター結合事象、または他
のクラスの結合事象を特徴付けるために使用され得る。
【0095】
1つの実施形態において、結合体プローブは、ELISAアッセイと類似のイムノソル
ベントアッセイ、または免疫ブロットアッセイのための認識系として役立つ。この実施形
態の結合体は、ポリマーに結合される抗体を有し、この抗体は、ELISAアッセイまた
は免疫ブロットアッセイの1次抗体である。酵素に結合される2次抗体(着色生成物を形
成する反応を触媒する)を使用して、1次抗体、または結合体のいくつかの部分を認識し
得る。酵素の基質を使用して、検出のための色を生成し得る。さらなる実施形態において
、キットは、アッセイ系のために調製され得、このキットは、例えば、少なくとも1つの
認識分子および少なくとも1つのシグナル伝達分子または標識種に結合されるポリサッカ
リド結合体を使用して組み立てられる。これらの実施形態において、この認識分子は、抗
体、または他の化学物質もしくは生体分子であり得る。
【0096】
(センサーシステム)
1つの実施形態において、図3に示されるように、バイオセンサーシステムは、微光(
low−light)エンクロージャー100内のデジタル画像センサー600、ハイデ
ータスループット読取り位置400、および汎用コンピューター700を備える。読取り
位置400は、CMOSデジタル画像センサー600を含む低光量エンクロージャー10
0を挿入するための少なくとも1つのソケットを備え、これによって、センサーエンクロ
ージャーを読取り位置に電気的および機械的に接続する。読取り位置は、例えば、ユニバ
ーサルシリアルバス(USB)454を介して、または異なるパラレルポートインターフ
ェースデバイス452によってコンピューターに接続され得る。必要に応じて、読取り位
置は、Ethernet(登録商標)インターフェース456を介してコンピューターに
接続され得る。このシステムにおいて使用され得る他の接続としては、限定しないが、F
irewire、SCSI、およびPCMCIAが挙げられる。代替の実施形態において
、コンピューターおよび読取り位置は、ハンドヘルドコンピューター、またはパーソナル
デジタルアシスタント(例えば、Palm Pilot)によって置換され得る。
【0097】
図3の実施形態を参照して、読取り位置400内のマザーボード上のプログラム可能な
論理デバイス460は、汎用コンピューター700(例えば、パーソナルコンピューター
)にインターフェースされる。プログラム可能な論理デバイス460はまた、デジタル画
像センサー600にインターフェースされ、そして画像の開始および終了のシグナルを伝
達するデジタル画像センサーからのステータスライン(フレーム、ライン、およびピクセ
ルデータクロックパルスラインを含む)をモニターすることによってデジタル画像センサ
ー分析物データからの読み出しを同期させる。プログラム可能な論理デバイス460は、
画像センサー600からローカルFIFOメモリーへの画像データの流れを管理し、ここ
で、この画像は、コンピューター700がデータの移動を要求するまで、保存される。プ
ログラム可能な論理デバイス460の代表的なサイクルは、コンピューター700からの
コマンドを受け取り、これによってセンサーは、画像を出力し、その画像を読取り位置4
00内のマザーボード上のローカルFIFOメモリーにキャプチャし、そしてキャプチャ
された画像データをコンピューター700に転送する。グラフィカルユーザーインターフ
ェース(GUI)は、コンピューターユーザが、画像キャプチャを要求し、そしてサイク
ル、スナップショットモードを表示するか、または連続的配列で、ライブビデオモードを
要求するための機能を提供する。フィルターおよび画像処理ツールは、ユーザがセンサー
を微光条件下で操作し得るように提供される。これらのツールは、センサーからの小さな
シグナルをブーストするための画像処理ルーチン、同時に追加される画像に対するソフト
ウェアルーチン、バックグラウンド画像または「暗色」画像を減算するためのルーチン、
およびノイズを濾波するためのルーチンを含む。GUIはまた、センサーオンチップ設定
でユーザーコントロールを与える。これによって、ユーザは、センサーとインタラクトし
得、オンチップパラメーター(例えば、積分時間、ゲイン、および類似物)をデジタルコ
ンバーターの範囲に調整する。
【0098】
図3の実施形態によって例示されるように、読取り位置400は、画像センサードータ
ーボードおよび低光量エンクロージャー100を読取り位置400に接続するために、コ
ネクター360を備える。この実施形態の配置の特徴は、光学デジタル画像センサー分析
物検出器が読取り位置から容易に機械的に分離される;言い換えると、除去可能であるこ
とである。除去可能なデジタル画像センサーは、有利に、デジタル画像センサーの携帯可
能性、およびバイオセンサーシステムのハイスループット操作を提供する。操作において
、低光量エンクロージャーおよびデジタル画像センサーは、手動またはロボット利用のい
ずれかで、キューから読取り位置に接続され、そして、分析物を検出した後、低光量エン
クロージャーおよびデジタル画像センサーは、手動またはロボット利用のいずれかで、取
り外され得る。バイオセンサーシステムのこのプラグアンドプレイ特徴によって、例えば
、使い捨て可能なユニットである低光量エンクロージャーおよびデジタル画像センサーを
有するバイオセンサーシステムの操作が可能になる。代替の実施形態において、低光量エ
ンクロージャーおよびデジタル画像センサーは、異なるアレイを使用するために再生され
得る。操作において、バイオセンサーシステム読取り位置は、ホットスワップ(hot−
swap)能力を備え、ここで、光学画像センサーを含む低光量エンクロージャーは、読
取り位置または画像センサーのいずれかの電源供給の電源を断つことなく、読取り位置に
接続され得、そして取り外され得る。
【0099】
読取り位置は、USBマイクロコンピューターインターフェースを備える。必要に応じ
て、MICROSOFT EXTENDED CAPABILITIES PORT(E
CP)インターフェースを備え得、これは、活性なインターフェースを決定するためのユ
ーザ制御スイッチを有する。USBケーブルは、読取り位置マザーボードによって使用さ
れ得る電源を供給する。ECPについて、9 VDCサプライが提供される。手動リセッ
トスイッチは、バイオセンサーマザーボードをリセットするために提供され、そしてプロ
グラム可能な論理デバイスもまた手動でリセットされ得る。
【0100】
1つの実施形態において、本発明は、時間積分によって分析物シグナル検出を増強する
方法である。データスループットおよび標的における分析物パラメーターの測定は、デジ
タル画像センサーによってアレイから光の検出において固有の信号対雑音によって制限さ
れる。信号対雑音は、数ミリ秒間以上、しばしば、約10ミリ秒〜約2分間、ときどき、
約30ミリ秒〜約1000ミリ秒間、そしてときどき、約50ミリ秒〜約600ミリ秒間
、分析物シグナルを積分することによって増加し得る。別の実施形態において、分析物シ
グナルの時間依存性は、アレイシグナルフレームの配列を保存することによって記録され
、ここで、各フレームは、分析物シグナルをある期間積分することによって得られる。
【0101】
USBマイクロコンピューターインターフェースは、画像センサーおよびプログラム可
能な論理デバイスのためのマスタークロックを提供する。画像センサー出力は、画像ライ
ンおよびフレームパルスに沿ってピクセルデータを含み、これらは、コネクターを通って
マザーボードに戻され、そしてFIFOメモリーに送られる。フレームパルスは、FIF
Oポインターをリセットするために使用され、そしてラインパルスは、書き込みがFIF
Oについて可能であるので使用される。この配置は、左上ピクセルをFIFOの位置0(
ゼロ)として開始して、FIFOにピクセルデータを保存する。
【0102】
一旦、画像がFIFOにあると、2つのインターフェースのうちの1つによって読み出
され得る。図3の実施形態を参照して、アレイ画像データがパラレルポート(PP)45
2に、1つの読み当たり1ピクセルで読み出されるECPが提供される。読み出しは、P
P452が逆の要求を送るとき、開始する。これによって、プログラム可能な論理デバイ
ス460が、PP452に対するその出力ドライバーを可能にする。次いで、プログラム
可能な論理デバイス460は、パー.クロック(per.clock)をアサートする。
PP452は、パー.アック(per.ack)に応答する。コンピューター700がピ
クセルのフレームを読み出すまで、クロックアックシーケンスは続く。プログラム可能な
論理デバイス460は、PP452データビットゼロをSDAとして使用し、そしてPP
452データビット1をI2CバスのSCLとして使用する。
【0103】
別の実施形態において、FIFOの画像データは、USBインターフェースによって読
み出される。バイオセンサー操作は、従来のUSB転送と比較して、連続的なデータ伝達
のバンド幅を増加することによって増強される。従来のUSB転送において、FIFOか
らのデータのパケットが読み出され、FIFOが、読み出される次のパケットをロードす
る時間の間隔が続く。例えば、従来のUSBマイクロコンピューターインターフェースに
おいて、63ピクセルのパケットは、FIFOから読み出され、そしてUSBにおけるデ
ータラインのうちの1つを介して送られる。1つの実施形態において、2つの終点が、2
つのバッファを確立するためにFIFOにおいて指定される。操作において、1つのバッ
ファが読み出され、そしてUSB内のデータラインのうちの1つに伝達され、一方、他の
バッファが充填され、それによって、100%までユニバーサルシリアルバスを使用して
転送バンド幅を増加する。第1バッファからのデータ伝達の終わりは、例えば、1個また
は数個のクロックパルスの直前、第2バッファからのユニバーサルシリアルバスのデータ
ライン上でのデータ伝達の開始の前に生じる。第2バッファからのユニバーサルシリアル
バスのデータライン上でのデータ伝達が生じ、一方、同時に、第1バッファにデータをロ
ードする。これらの工程は、転送が必要な全てのデータが送られるまで繰り返され得、こ
れによって、従来のUSBに対して、データ転送速度を増加する。
【0104】
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに説明する。これらの実施例は、例示の目的
のためだけに与えられ、そして本発明を制限するとは解釈されない。本発明の例示的な実
施形態を記述するが、当業者は、これらが、本発明の精神および範囲から逸脱することな
く、変更または改変され得ることを認識し、そして添付の特許請求の範囲に記載される本
発明の真の範囲内に入る全てのこのような変更、改変、および等価な配置を網羅すること
が意図される。
【0105】
本明細書中で参照される全ての文書、刊行物、学術論文、論文、および特許は、その全
体が、具体的に参考として援用される。
【実施例】
【0106】
(実施例1)
線状ポリサッカリドデキストラン(Sigma)を、脱イオン水中に、1%の最終濃度
まで溶解し、次いでオートクレーブした。0.40mlデキストラン溶液のアリコートを
、ロッキングプラットフォームにおいて、室温暗所で、一晩、44μlの0.5M過ヨウ
素酸ナトリウムで酸化した。次いで、酸化されたデキストランを0.3M NaOACお
よび2×VolのEtOHで2回沈殿させることによって洗浄した。ペレットを空気乾燥
し、そして0.4mlの5mM NaPO緩衝液(pH7.2)中に再溶解した。
【0107】
1μlの酸化されたデキストランを、Eppendorff管において、7μlの10
mM NaCO(pH9.0)および2μlのオリゴヌクレオチド(HO中の2μM
溶液)に添加した。このオリゴヌクレオチドは、25〜45マーの長さで変化し、第1級
アミンを、合成の間、3’末端または5’末端のいずれかに導入した。この反応を、37
℃の水浴中で、一晩実行した。NaBHを、管に添加し、そして混合物を室温で30分
間さらにインキュベートし、次いで、0.3M NaOAcおよび2×Vol のEtO
Hで沈殿させた。このペレットをTE緩衝液中に溶解させ、そしてアリコートを1%アガ
ロースゲル上で電気泳動によって分離し、次いで、EtBrで染色した。この検出系にお
いて、遊離オリゴヌクレオチドは、塩の前面(salt−front)近くに移動し、一
方、デキストランに結合したオリゴヌクレオチドは、ずっとより遅く移動した。
【0108】
(実施例2)
高分子量分枝ポリサッカリド、グリコーゲン(Sigma)およびアミロペクチン(S
igma)を使用して、アミン誘導体化オリゴヌクレオチドに結合した。これらのポリマ
ーのジオール基を、NaIOを用いる酸化によってアルデヒド基に変換した。過ヨウ素
酸ナトリウムを、それぞれ、グリコーゲンについて25mMの最終濃度、そしてアミロペ
クチンについて20mMの最終濃度まで、0.4mlの1%ポリサッカリド溶液(H
中)に添加した。酸化を、ロッキングプラットフォームにおいて、室温暗所で、一晩続け
た。次いで、酸化されたポリサッカリドを、0.3M NaOAcおよび2×Vol の
EtOHで2回沈殿させて、過剰のNaIOを除去した。空気乾燥後、ペレットを0.
4mlの5mM NaPO緩衝液(pH7.2)に溶解した。アミン誘導体化オリゴヌ
クレオチドのカップリングおよび結合した生成物のゲル−分析を、デキストランについて
実施例1に記載される通りに実施した。
【0109】
(実施例3)
10グルコースモノマー当たり1つのオリゴヌクレオチドの結合密度で各グリコーゲン
分子に結合される、平均して約1000オリゴヌクレオチド分子を有する、実施例2の結
合体プローブを調製する。
【0110】
(実施例4)
5’末端においてアミンで誘導体化され、そして3’末端において、蛍光色素Cy5で
誘導体化された、シグナル伝達分子5’−ACTGCT−3’(BP001)、および5
’末端においてアミン基で誘導体化された、認識プローブ分子オリゴヌクレオチドAKH
108
【0111】
【化1】


を、同じポリサッカリドに結合する。AKH108は、細菌Haemophilus i
nfluenzaeゲノム由来のプライマー
【0112】
【化2】


(これは、3−ホスホグリセレートキナーゼをコードする遺伝子内のフラグメントに対応
する)を用いて増幅されたPCR産物にハイブリダイズする。このPCR産物を、マイク
ロアレイフォーマットで、ポリ(リジン)で被覆したガラススライド上にスポットする。
【0113】
同時架橋のために、0.2nmolのAKH108および2nmolのBP001を、
最終容量10μlで、10mM NaCO中の20nmolの酸化されたグリコーゲン
を含む管に添加する。反応を37℃で一晩実施する。次いで、NaBHを、管に、4m
Mの最終濃度まで添加し、そして室温でさらに90分間インキュベートする。最終生成物
を、EtOHを用いて沈殿させる。遠心分離後、架橋された生成物および遊離のAKH1
08が、ペレットになり、一方、遊離のBP001は、上清に残り、捨てられる。ペレッ
トを10μl 3×SSPE/0.1%SDS/1.0mg/mlBSA中に溶解させ、
そしてマイクロアレイ表面に適用する。室温で5時間のハイブリダイゼーション後、この
スライドを、3回、10μlの新鮮な0.1×SSPE/0.1%SDSで洗浄し、そし
てレーザースキャナーで走査し、そしてPCR産物についてのスポットされたパターンを
観測する。
【0114】
(実施例5)
オリゴヌクレオチド
【0115】
【化3】


(これは、Enterococcous faecalis由来のRecA遺伝子から増
幅されたPCR産物に特異的にハイブリダイズする)を使用して、グリコーゲンおよびア
ミロペクチンに架橋した。ポリサッカリドを実施例2に記載されるように酸化した。架橋
について、20nmolの酸化された糖および2nmolのアミン誘導体化オリゴヌクレ
オチドを、10μlの最終容量で10mM NaCO緩衝液(pH9.0)中で混合し
、次いで、37℃で一晩インキュベートした。結合反応の最後に、NaBH4を、4mM
の最終濃度まで添加し、そして室温でさらに60分間インキュベートした。最終生成物を
、0.3M NaOAcおよび2×VolのEtOHを用いて沈殿させ、次いで、10m
M NaCO(pH9.0)中に溶解した。架橋されたオリゴヌクレオチドのアリコー
トを使用して、エポキシ処理したガラススライド上にスポットした。非酸化ポリサッカリ
ドと混合された等量のオリゴヌクレオチドをまた、コントロールとして同じスライド上に
スポットした。オンチップハイブリダイゼーションについて、RecA PCR産物を、
Alexa Fluor 546(Molecular Probes Inc)で標識
し、3×SSPE/0.1%SDS/1.0mg/mlBSA中に溶解し、そしてガラス
スライド表面上に塗布した。室温で3時間のハイブリダイゼーションおよび0.1×SS
PE/0.1%SDSでの洗浄後、このスライドを、レーザースキャナーを使用して走査
した。グリコーゲンに結合されたオリゴヌクレオチドについてのスポットシグナルは、コ
ントロールの非酸化グリコーゲンスポットに対して5.86であり、そしてアミロペクチ
ンに結合したオリゴヌクレオチドに対するスポットシグナルは、コントロールの非酸化ア
ミロペクチンに対して5.63であった。
【0116】
(実施例6)
カルボジイミダゾール(CDI)活性化について、4μlの0.5M CDI(DMS
O中)を、DMSO中の10μlの0.5%ポリサッカリドおよび6μlのDMSOに添
加した。反応を、室温で3時間、ときどきボルテックスしながらインキュベートした。次
いで、1mlのn−ブタノールを各チューブに添加し、ボルテックスにより完全に混合し
、そして微量遠心管中で遠心分離した。ブタノールの除去後、ペレットを空気乾燥し、そ
して10μlのDMSO中に溶解した。オリゴヌクレオチドカップリングのために、2.
2nmolのアミン誘導体化オリゴヌクレオチドを、5μlの0.5%CDI−活性化ポ
リサッカリドと、20μlの最終容量で混合した。反応物を、室温で5日間、ときどきボ
ルテックスしながらインキュベートした。反応の最後に、1μlの10%エタノールアミ
ンを添加し、そしてさらに30分間インキュベートし、次いで、EtOHで沈殿させた。
次いで、生成物を10μlのTE緩衝液中に溶解し、そしてゲル電気泳動によって分析し
た。
【0117】
(実施例7)
CMOS画像センサーを、ハイブリダイゼーションシグナルの直接的なオンチップ(o
n−chip)検出のために使用した。
【0118】
PB0330単色画像センサー(Photobit)のベアダイを、エッジコネクター
でドーターボードに装着した。結合線をエポキシ(Epoxy)中に被包し、そして加硫
した。ダイ表面を、加圧滅菌したdHOで3回リンスし、そして風乾した。エポキシで
表面を誘導体化するために、メタノール中にある2%(3−グリシドキシプロピル)トリ
メトキシ−シランの溶液を、このダイ表面に塗布し、そして室温で10分間インキュベー
トし、次いで、メタノールで2回洗浄し、そして風乾した。
【0119】
4つの異なる捕捉プローブ(50mM NaCO緩衝液中において100pmol/
ml、pH10.5)を手動で、エポキシ(Epoxy)処理したダイ表面上に二連でス
ポットした。スポットが乾燥した後、この表面を、50mM NaCO(pH10.5
)中にある1%エタノールアミンで迅速に1回洗浄し、そして室温で10分間にわたって
同じブロッキング溶液中においてインキュベートした。次いで、この表面を、加圧滅菌さ
れたdHOで4回リンスした。
【0120】
オンチップハイブリダイゼーションのために、ダイ表面を、室温で20分間にわたって
3×SSPE/50%ホルムアミド/1mg/ml BSAと共にインキュベートし、次
いで、20mlの3×SSPE/50%ホルムアミド/1mg/ml BSA中において
PCR産物(以下に説明されるように、一端をビオチン標識)でハイブリダイズした(こ
れは、沸騰水浴中で2分間加熱され、そして迅速に4℃で冷却された後)。ハイブリダイ
ゼーションを、加湿チャンバー内において一晩30℃で実施した。その後、ダイ表面を、
0.1×SSPEを用いて、室温で4回(各々5分間)洗浄した。ハイブリダイズしたP
CR産物上のビオチンに対して、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ結合体を
結合させるために、ダイ表面をまず、室温で20分間にわたって、TBS中にある1mg
/ml BSAと共にインキュベートし、次いで室温で2時間にわたって、TBS/1m
g/ml BSA中で1:100に希釈したAvidx−AP(Tropix)と共にイ
ンキュベートした。次いで、ダイ表面を、TBSを用いて、室温で5回(各々5分間)洗
浄した。
【0121】
オンチップハイブリダイゼーションシグナルを検出するために、ダイ表面上にTBSを
有するドーターボードを、遮光エンクロージャー(light−proof enclo
sure)において、読取り位置(Reading Station)のコネクターに挿
入した。専売ソフトウェアをPCで立ち上げて、「暗色画像」(すなわち、バックグラウ
ンド画像、Idark)を読み出した。ドーターボードを読取り位置になお装着したまま
で、次いで、TBSを、化学発光基質溶液(これは、製造元の仕様書に従って調製された
、CDP−starおよびエンハンサーEmerald II(両方とも、Tropix
から)を含む)で置き換えた。約0.1秒の積分時間での画像フレーム(I)を、センサ
ーから読み出した。I−Idarkを、実シグナルスナップショット(real sig
nal snapshot)として処理した。このソフトウェアは、連続処理されたスナ
ップショットを共に加算する組込み型(built−in)サブルーチンを有し、そして
、1つの画像として結果を提示し、これによりさらに、シグナル積分時間を延長する。
【0122】
以下のセンサーレジスター設定は、この点で最適であることが見出された:
最大での利得(Gain)(レジスター53、および43〜46);1フレームあたり
0.1秒での積分時間(レジスター9および10);最大でのアナログマイナスオフセッ
ト(Analogue negative offset)(レジスター32および57
);74での増幅段利得(Gainstage)(レジスター62)。レジスターの静止
(rest)を、デフォルト設定で残した。
【0123】
下記の実験において使用した捕捉プローブおよびPCRプライマーは、以下の通りであ
った:
【0124】
【化4】




捕捉プローブを、上記のように、酸化されたグリコゲンに架橋した。最終のペレットを
、最終濃度100ピコモル/mlで50mM NaCO(pH10.5)中に溶解し、
そして以下のパターンにおいて二連で、エポキシ処理されたダイ表面上にスポットした(
ここで、1=Neisseria meningitidis、2=Listeria
monocytogenes、3=Hemophilus influenzae、4=
Mycoplasma pneumoniae)。
【0125】
【化5】


図4は、CMOS画像センサーを使用した、ハイブリダイゼーション検出結果を示す。
各スポットについての積分時間は、約0.5秒であった。図4における各分析物について
、右側の画像はスポットされたアレイを示し、そして左側の画像は検出されたスポットを
示す。図4の右側に示されるアレイのスポットは、見栄えの都合から円で描いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−92675(P2009−92675A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1173(P2009−1173)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【分割の表示】特願2002−572372(P2002−572372)の分割
【原出願日】平成14年3月11日(2002.3.11)
【出願人】(503329008)アポロ バイオテクノロジー, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】