説明

分析装置、分析方法及びコンピュータプログラム

【課題】検体の再検査を初検とは異なる他の測定ユニットで実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査結果を早期に取得したいという要望との両方の要望を実現することが可能な分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備える。所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける。搬送装置は、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定ユニットと、複数の測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、検体の再検査を実行することが可能な分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、血清、血漿、尿、髄液等の検体を、分散配置されている生化学分析装置、免疫検査装置、血液検査装置、尿検査装置等の各測定ユニットへ搬送して、検査又は再検査を実行する分析装置が多々開発されている。斯かる分析装置では、検体の1回目の検査(以下、初検という)において各測定ユニットでの分析結果が正常値と比べて異常であるか否かを判断し、異常であると判断された場合には、再検査が必要な検体であると判断して、再度検体を分析する。
【0003】
再検査が必要となるのは、分析結果は正常であるが、所定の測定項目の分析結果が正常範囲を外れている場合、及び装置の異常、検体の劣化等により分析結果が正しく得られていない場合等である。検体の分析結果が正常範囲を外れている場合、分析結果だけからは装置の異常が原因であるのか、その他の原因であるのかを特定することができない。したがって、再検査を初検とは別の測定ユニットにて実行することが望ましい。
【0004】
一方、再検査の結果を早期に取得することを優先するべきケースも存在する。再検査の結果を早期に取得するためには、初検の分析結果を得た時点で検体に最も近接する測定ユニットに搬送することが好ましい。例えば分析結果は、検体を吸引してから数分以内で取得することができ、初検を実行した測定ユニットと同一の測定ユニットが最も近接する測定ユニットとなる可能性が高い。したがって、再検査を初検と同一の測定ユニットで実行するか、他の測定ユニットで実行するかは、状況に応じて柔軟に対応することが求められている。
【0005】
例えば特許文献1には、複数の分析モジュールと、複数の分析モジュールに検体を搬送する搬送装置とを備えた自動分析システムが開示されている。特許文献1に開示されている自動分析システムでは、検体の再分析を行う分析モジュールを、「完全別モジュール」、「別モジュール優先」、「処理能力優先」の3つから指定することが可能となっている。
【0006】
「完全別モジュール」が指定された場合、初検を実行した分析モジュールとは異なる他の分析モジュールで再分析が実行される。「別モジュール優先」が指定された場合、他の分析モジュールが優先されるが、他の分析モジュールが分析中であり高負荷の状態である場合には初検を実行した分析モジュールで再分析が実行される。「処理能力優先」が指定された場合、分析モジュールとして処理能力が最も高い分析モジュールにて再分析が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−039554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、分析装置の使用者には、検体の再検査を初検とは異なる他の測定ユニットで実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査結果を早期に取得したいという要望とがある。これらの要望を実現するためには、特定の1つの分析モジュールを、再検査を実行する分析モジュールとして指定することが効果的である。ここで、特許文献1に開示してある自動分析システムでは、再分析を実行する分析モジュールとして他の分析モジュールを指定することが可能である。しかし、特定の1つの分析モジュールを、再検査を実行する分析モジュールとして指定することについては開示されていない。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検体の再検査を初検とは異なる他の測定ユニットで実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査結果を早期に取得したいという要望との両方の要望を実現することが可能な分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る分析装置は、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段と、該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける測定ユニット設定受付手段と、前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、第2発明に係る分析装置は、第1発明において、前記測定ユニット設定受付手段は、前記所定の測定ユニットを、前記再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットとして設定を受け付けることを特徴とする。
【0012】
また、第3発明に係る分析装置は、第1又は第2発明において、前記測定ユニットは3以上備えてあり、前記測定ユニット設定受付手段は、再検査を前記所定の測定ユニットと異なる他の測定ユニットで実行するとの設定を受け付けることが可能にしてあり、前記測定ユニット設定受付手段にて、再検査を前記所定の測定ユニットと異なる他の測定ユニットで実行するとの設定を受け付けた場合、前記搬送制御手段は、所定の条件に基づいて再検査を実行する測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御することを特徴とする。
【0013】
また、第4発明に係る分析装置は、第3発明において、前記搬送制御手段は、測定ユニットごとの処理負荷を算出する処理負荷算出手段を備え、処理負荷の最も軽い測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御することを特徴とする。
【0014】
また、第5発明に係る分析装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記再検査判断手段で、検体の再検査が必要であるか否かを判断する複数の判断条件を記憶する判断条件記憶手段を備え、前記測定ユニット設定受付手段は、前記判断条件ごとに、再検査が必要であると判断された検体を再測定する測定ユニットの設定を受け付けることを特徴とする。
【0015】
また、第6発明に係る分析装置は、第5発明において、前記判断条件記憶手段は、所定の測定項目ごとの分析結果の正常範囲を前記判断条件として記憶することを特徴とする。
【0016】
また、第7発明に係る分析装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記搬送装置は、検体を順方向及び逆方向に搬送することが可能な搬送ラインを備えることを特徴とする。
【0017】
また、第8発明に係る分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、複数の前記測定ユニットは、血液中の血球数を計数する血球計数装置であることを特徴とする。
【0018】
また、第9発明に係る分析装置は、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに取得する時間取得手段と、該時間取得手段で取得した前記分析結果取得時間を出力する時間出力手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る分析装置は、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段と、該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出する分析結果取得時間算出手段と、算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択する測定ユニット選択手段と、前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係る分析方法は、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付け、前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御することを特徴とする。
【0021】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係る分析方法は、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出し、算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択し、前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御することを特徴とする。
【0022】
次に、上記目的を達成するために第13発明に係るコンピュータプログラムは、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記分析装置を、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段、該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける測定ユニット設定受付手段、及び前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
次に、上記目的を達成するために第14発明に係るコンピュータプログラムは、検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置とを備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記分析装置を、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段、該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出する分析結果取得時間算出手段、算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択する測定ユニット選択手段、及び前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段として機能させることを特徴とする。
【0024】
第1発明、第11発明及び第13発明では、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける。搬送装置は、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御される。検体の再検査を実行する測定ユニットの設定として、最短で分析結果を得ることができる1つの測定ユニットの設定、又は初検を実行した測定ユニット以外の1つの測定ユニットの設定を、それぞれ受け付けることができ、再検査を初検とは異なる他の測定ユニットで実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査の分析結果を早期に取得したいという要望との両方の要望を実現することが可能な分析装置を提供することができる。
【0025】
最短で分析結果を得ることができる1つの測定ユニットは、多くの場合、初検を実行した測定ユニットである。第2発明では、初検を実行した所定の測定ユニットを、再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットとして設定を受け付けることにより、再検査が必要であると判断された検体の再検査結果を早期に取得したいという要望を実現することが可能となる。
【0026】
第3発明では、測定ユニットは3以上備えてあり、再検査を所定の測定ユニットと異なる他の測定ユニットで実行するとの設定を受け付けた場合、所定の条件に基づいて再検査を実行する測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御する。他の測定ユニットが複数あることから、いずれの測定ユニットを再検査を実行する測定ユニットとするかを所定の条件に基づいて選択することにより、1つの測定ユニットの設定を受け付けなかった場合であっても、再検査を実行する測定ユニットを確実に特定することが可能となる。
【0027】
第4発明では、測定ユニットごとの処理負荷を算出し、処理負荷の最も軽い測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御する。これにより、他の測定ユニットが複数ある場合であっても、処理負荷の最も軽い測定ユニットを選択することができ、再検査を確実に実行することが可能な測定ユニットを特定することが可能となる。
【0028】
第5発明では、検体の再検査が必要であるか否かを判断する複数の判断条件を記憶しておき、判断条件ごとに、再検査が必要であると判断された検体を再測定する測定ユニットを選択する。これにより、測定項目ごとに分析結果を取得するまでの時間が相違する場合であっても、異常であると判断された測定項目に応じて最も近接する測定ユニットにて再検査を実行することが可能となる。
【0029】
第6発明では、所定の測定項目ごとの分析結果の正常範囲を前記判断条件として記憶することにより、分析結果の適否を的確に判断することが可能となる。
【0030】
第7発明では、搬送装置が、検体を順方向及び逆方向に搬送することが可能な搬送ラインを備えることにより、別途再検査用の搬送ラインを設ける必要がなく、装置全体として低コストにすることが可能となる。
【0031】
第8発明では、複数の測定ユニットが、血液中の血球数を計数する血球計数装置であることにより、計数した血球数に基づいて再検査を他の測定ユニットで実行するか否かの設定を受け付けることが可能となる。また、血球計数装置は、測定項目によって分析結果を取得するまでの時間が大きく相違することがないので、再検査結果を早期に取得可能な測定ユニットの特定が容易であり、使用者が容易に1つの測定ユニットを選択することが可能となる。
【0032】
第9発明では、再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する、測定ユニットごとの分析結果取得時間に基づいて、検体を再測定する測定ユニットの設定を受け付けることにより、再検査を実行する測定ユニットとして、分析結果取得時間が最短となる測定ユニットの設定を受け付けることができるので、再検査が必要であると判断された検体の再検査の分析結果を早期に取得することが可能となる。
【0033】
第10発明、第12発明及び第14発明では、所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出し、算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択する。搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御することにより、再検査を実行する測定ユニットとして、分析結果取得時間が最短となる測定ユニットが自動的に選択され、再検査の分析結果を早期に取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
上記構成によれば、検体の再検査を実行する測定ユニットの設定として、最短で分析結果を得ることができる初検を行った測定ユニットの設定、又は該測定ユニット以外の他の測定ユニットの設定を、それぞれ受け付けることができ、再検査を初検とは異なる他の測定ユニットで実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査の分析結果を早期に取得したいという要望との両方の要望を実現することが可能な分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係る分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図である。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る分析装置の検体搬送装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る搬送制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る分析装置の測定ユニット及び制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る分析装置の再検査を実行する測定ユニットを設定する測定ユニット設定画面の例示図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る分析装置の再検査を実行する測定ユニットの測定項目ごとの設定画面の例示図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る分析装置の搬送制御装置のCPUの再検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る分析装置の搬送制御装置のCPUの再検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係る分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る分析装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る分析装置の制御装置のCPUの再検査処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る分析装置の概略構成を示す模式図である。本発明の実施の形態1に係る分析装置1は、検体容器を収容したサンプルラックを投入する検体投入装置2、検体を測定する複数の測定ユニット5(5a、5b、5c、5d)、測定ユニット5ごとに設けてある、サンプルラックを搬送する検体搬送装置(搬送装置)3、3、・・・、検体採取後のサンプルラックを収容する検体収容装置4、搬送制御装置8を備えている。
【0037】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同一種類の測定ユニットであっても良いし、複数種類の測定ユニットであっても良い。測定ユニット5、5、・・・は一の制御装置9にLAN7を介して接続されている。本実施の形態1では制御装置9が測定ユニット5、5、・・・の動作を制御する。
【0038】
検体投入装置2は、複数の検体容器を収容したサンプルラックを検体搬送装置3、3、・・・へ送出するように構成されている。サンプルラックの送出は、検体投入装置2にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続されている搬送制御装置8によって制御される。
【0039】
搬送制御装置8は、制御装置9に記憶されている測定ユニット5、5、・・・に関する情報、例えば測定ユニットの識別情報、種類に関する情報等を取得して、サンプルラックの送出を制御する。
【0040】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図である。図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは管状をなしており、上端が開口している。内部には、例えば患者から採取した血液検体が収容され、上端の開口は蓋Cにより密封することができる。検体容器Tの側面には、検体を識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL1が貼付されている。また図3に示すように、サンプルラックLは10本の検体容器Tを垂直状態(立位状態)で保持するように構成されている。サンプルラックLの側面には、サンプルラックLを識別するバーコードが印刷されたバーコードラベルBL2が貼付されている。
【0041】
図1の例に示す分析装置1は、4つの検体搬送装置3、3、・・・が、4つの測定ユニット5a、5b、5c、5dの手前側(図1の紙面に向かって下側)に配置されている。隣接する検体搬送装置3、3間では、サンプルラックLが受渡しされる。また、図1の紙面に向かって最も右側の検体搬送装置3は、検体投入装置2から投入されたサンプルラックLの搬送を開始する。図1の紙面に向かって最も左側の検体搬送装置3は、検体収容装置4へサンプルラックLを搬送する。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の検体搬送装置3の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を分析装置1の測定ユニット5へ供給するための第1搬送機構31と、検体を下流側の検体搬送装置3(又は検体収容装置4)へ搬送するための第2搬送機構32と、第2搬送機構32を制御する制御部300とを備えている。第1搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動するラック搬送部35と、サンプルラックLに貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取るバーコード読取部36と、サンプルラックLの有無を検出するラックセンサ37と、検体容器Tの有無を検出する検体容器センサ38と、分析後ラック保持部34へサンプルラックLを送出するラック送出部39とを備えている。
【0043】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、幅はサンプルラックLの幅より若干大きい。分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、上面に分析前のサンプルラックLを載置する。分析前ラック保持部33は、第2搬送機構32と連動しており、後述する第2搬送機構32のラック送出部322によって、第2搬送機構32からサンプルラックLが送出される。
【0044】
分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出される位置をラック検出位置33aとしている。第2搬送機構32から送出されたサンプルラックLは、ラック検出位置33aまで搬送され、搬送されたサンプルラックLがラックセンサ37により検出される。
【0045】
また、分析前ラック保持部33の両側面には、内側へ向けて突出することが可能なラック送込部33bが設けてある。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出された場合、ラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、係合した状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。ラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動される。
【0046】
ラック搬送部35は、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、X方向へと搬送する。検体容器センサ38によって検体容器Tが検出される検体容器検出位置35a、及び測定ユニット5へ検体を供給するための検体供給位置35cは、ラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上に存在する。ラック搬送部35は、サンプルラックLを、検体容器検出位置35aを経由して検体供給位置35cへ搬送する。
【0047】
検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側に位置しており、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、図示しない測定ユニット5のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット5に供給される。ラック搬送部35は、検体供給位置35cに検体容器Tを搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を停止する。
【0048】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさとなっている。第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。第1ベルト351及び第2ベルト352の移動方向を制御することにより、サンプルラックLはX方向に順方向のみならず逆方向にも移動させることが可能となっている。
【0049】
バーコード読取部36は、図2及び図3に示した検体容器Tに貼付されたバーコードラベルBL1のバーコードを読み取り、また、サンプルラックLに貼付されたバーコードラベルBL2のバーコードを読み取る。バーコード読取部36は、図示しない回転装置によって対象の検体容器TをサンプルラックLに収容したまま水平方向に回転させながら検体容器Tの検体バーコードを読み取る。検体容器Tを回転させることにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部36に対して反対側に位置する場合でも、バーコードラベルBL1をバーコード読取部36へ向けることができ、バーコード読取部36に検体バーコードを読み取らせることができる。また、サンプルラックLのラックバーコードは、各サンプルラックLに固有に付されたラックIDを記録したものであり、検体の分析結果の管理等に使用される。
【0050】
ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、図示しないのれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子をそれぞれ有している。ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触片が検出対象の検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射する。これにより、検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲され、検体容器Tを検出することができる。
【0051】
ラック送出部39は、ラック搬送部35を挟んで分析後ラック保持部34に対向するように配置されており、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動する。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に搬送することができる。このようにして、分析が完了したサンプルラックLは、第1搬送機構31から第2搬送機構32へ送出される。
【0052】
第2搬送機構32は、ラック搬送部321と、ラック送出部322と、分析後ラック保持部34とを備えている。ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延伸しており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることができる。ラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ移動させる。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ搬送することができる。
【0053】
ラック送出部322は、分析前ラック保持部33の前側に、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部33に対向するように配置されており、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動する。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに搬送させる。
【0054】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、幅はサンプルラックLの幅より若干大きい。分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、第1搬送機構31と連動しており、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送出される。
【0055】
分析後ラック保持部34の両側面には、内側へ向けて突出することが可能なラック送込部34bが設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが送出された場合、ラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、係合した状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動される。
【0056】
検体搬送装置3によるサンプルラックLの搬送は、検体搬送装置3にLAN7を介してデータ通信することが可能に接続された搬送制御装置8により制御される。すなわち、搬送制御装置8は、サンプルラックLの検体投入装置2による投入から検体搬送装置3による搬送、及び検体搬送装置3から検体収容装置4への収容を制御する。
【0057】
なお、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4は、図1に示すように、それぞれCPU、ROM、RAM等から構成される制御部200、300、400を備えている。搬送制御装置8は、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4の制御部200、300、400とデータ通信を行うことにより、動作を制御することができる。また、制御装置9も検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4の制御部200、300、400とデータ通信を行うことが可能に接続されている。
【0058】
図5は、本発明の実施の形態1に係る搬送制御装置8の構成を示すブロック図である。図5に示すように、搬送制御装置8は、CPU81、RAM82、記憶装置83、入出力インタフェース84、ビデオインタフェース85、可搬型ディスクドライブ86、通信インタフェース87及び上述したハードウェアを接続する内部バス88で構成されている。
【0059】
CPU81は、内部バス88を介して搬送制御装置8の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM82は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、搬送制御プログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、搬送制御プログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0060】
記憶装置83は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置83に記憶されている搬送制御プログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体80から、可搬型ディスクドライブ86によりダウンロードされ、実行時には記憶装置83からRAM82へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース87を介して外部のネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0061】
また記憶装置83は、LAN7に接続されている測定ユニット5の種類に応じた搬送制御のための設定項目情報等の搬送制御情報を記憶してある搬送制御情報記憶部831を備えている。
【0062】
通信インタフェース87は内部バス88に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態1ではLAN7を介して制御装置9、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。
【0063】
入出力インタフェース84は、キーボード、マウス等の入力部110と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース85は、CRTモニタ、LCD等の画像表示部120と接続され、所定の画像を表示する。
【0064】
複数の測定ユニット5、5、・・・は、同種類の構成であっても異種類の構成であっても良い。本実施の形態1では、3つの測定ユニット5a、5b、5cは同種の測定ユニットであるが、残りの測定ユニット5dは異種の測定ユニットとしてある。具体的には、測定ユニット5a、5b、5cは、血球計数装置であり、例えば測定ユニット5a、5b、5cともに電気抵抗式の血球計数及び光学式の血球計数の両方を用いて血球を計数する。測定ユニット5dは、塗抹標本を作成する塗抹標本作成装置である。
【0065】
測定ユニット5の種類はこれに限定されるものではなく、尿分析装置、血液凝固測定装置、免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置等であっても良いことは言うまでもない。
【0066】
図6は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の測定ユニット5及び制御装置9の構成を示すブロック図である。図6の例では、血球計数装置である測定ユニット5aの構成例を示している。図6に示すように、測定ユニット5(5a)は、試料取得部50、試料取得部50を駆動させる駆動回路501、試料調製部52、試料調製部52を駆動させる駆動回路502、検出部53、検出部53を駆動させる駆動回路503、及び検出部53が出力する電気信号に対して波形処理を行う波形処理回路504を備えている。
【0067】
試料取得部50及び試料調製部52は、各々、駆動回路501及び駆動回路502がレジスタ505に記憶されている制御データに応じた制御信号を出力することにより駆動される。検出部53は、例えば取得した光信号を電気信号に変換し、波形処理回路504は、変換されて伝達された電気信号を増幅し、増幅した電気信号を波形処理する。レジスタ505は、波形処理された電気信号を記憶する。
【0068】
通信インタフェース506は、LANインタフェースであり、制御装置9の通信インタフェース97との間をLANケーブル70にて接続してある。これにより、制御装置9からの測定ユニット5(5a)に関する情報の送信要求信号を受信した場合、プロセッサ507は、制御装置9に対して測定ユニット5(5a)に関する情報を送信する。
【0069】
また、制御装置9は、CPU91、RAM92、記憶装置93、入出力インタフェース94、ビデオインタフェース95、可搬型ディスクドライブ96、通信インタフェース97及び上述したハードウェアを接続する内部バス98で構成されている。
【0070】
CPU91は、内部バス98を介して制御装置9の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置93に記憶されている動作制御プログラム102に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM92は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、動作制御プログラム102の実行時にロードモジュールが展開され、動作制御プログラム102の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0071】
記憶装置93は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置93に記憶されている動作制御プログラム102は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ96によりダウンロードされ、実行時には記憶装置93からRAM92へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース97を介して外部のネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0072】
また記憶装置93は、接続されている測定ユニット5(5a)の識別情報、測定された結果に関する情報等を含む測定ユニット情報を記憶してある測定ユニット情報記憶部931を備えている。
【0073】
通信インタフェース97は内部バス98に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。本実施の形態1ではLAN70を介して搬送制御装置8、検体搬送装置3、3、・・・等と接続されている。
【0074】
入出力インタフェース94は、キーボード、マウス等の入力部130と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース95は、CRTモニタ、LCD等の表示部140と接続され、所定の画像を表示する。
【0075】
本実施の形態1に係る分析装置1では、検体の初検を測定ユニット5aにて実行し、再検査の実行が必要であるか否かを判断する。再検査の実行が必要であると判断された場合、再検査の対象となる検体は、再検査を実行する測定ユニット5まで搬送する必要が生じる。すなわち、初検を実行した測定ユニット5aで再検査を実行する場合には、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、検体供給位置35cへ戻すよう搬送する必要がある。また、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5b又は5cで再検査を実行する場合には、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、測定ユニット5b又は5cへ搬送する必要がある。
【0076】
初検を実行した測定ユニット5aで再検査を実行するか、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5b又は5cで再検査を実行するかについては、搬送制御装置8の画像表示部120を介して使用者により事前に設定を受け付けておく。図7は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の再検査を実行する測定ユニット5を設定する測定ユニット設定画面の例示図である。
【0077】
図7に示す測定ユニット設定画面では、まず再検査を実行するか否かの設定を、ラジオボタン等を介したマウス等のクリック操作により受け付ける。もちろんプルダウンメニュー、選択ボタン等を介して設定を受け付けても良い。なお、再検査を「する」との設定を受け付けた場合にのみ、再検査ユニット設定のラジオボタンを有効化することで、誤設定を未然に回避することができる。
【0078】
再検査を「する」との設定を受け付けた場合、再検査を実行する測定ユニット5(再検査ユニット)の設定を受け付ける。「同ユニット」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aと同一の測定ユニットで再検査を実行する。したがって、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを測定ユニット5aの検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0079】
「他ユニット」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5b、5cで再検査を実行する。なお、測定ユニット5b、5cのいずれを選択するかは、所定の選択条件を事前に定めておき選択するようにしておけば良い。例えば、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの位置を検出して近接する方の測定ユニット5を選択しても良いし、測定ユニット5b、5cそれぞれに搬送されているサンプルラックLの数を計数しておき、検査待ちのサンプルラックLの数が少ない方の測定ユニット5を選択しても良い。また、測定ユニット5b、5cのプロセッサ507、507の演算処理負荷を算出しておき、演算処理負荷の軽い方の測定ユニット5を選択しても良い。このように選択された測定ユニット5b又は5cの検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0080】
「指定」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、指定を受け付けた測定ユニット5で再検査を実行する。測定ユニット5の指定の受付は例えばプルダウンメニューにより受け付ける。この場合、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、指定を受け付けた測定ユニット5の検体供給位置35cへ搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0081】
「指定なし」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、所定の条件に基づいて選択される測定ユニット5で再検査を実行する。なお、いずれの測定ユニット5を選択するかは、所定の選択条件を事前に定めておき選択するようにしておけば良い。例えば、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの位置を検出して最も近接する測定ユニット5を選択しても良いし、測定ユニット5a、5b、5cそれぞれに搬送されているサンプルラックLの数を計数しておき、検査待ちのサンプルラックLの数が最も少ない測定ユニット5を選択しても良い。また、測定ユニット5a、5b、5cのプロセッサ507、507、507の演算処理負荷を算出しておき、演算処理負荷の最も軽い測定ユニット5を選択しても良い。このように選択された測定ユニット5の検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0082】
図7に示す測定ユニット設定画面にて設定を受け付けた再検査を実行する測定ユニット5の選択情報等は、搬送制御装置8の搬送制御情報記憶部831に記憶されている。搬送制御装置8のCPU81は、搬送制御情報記憶部831を照会して、記憶してある測定ユニットの選択情報等に基づいて、再検査の対象となった検体の搬送先に関する情報を取得する。
【0083】
再検査を実行する測定ユニット5の設定は、測定項目ごとに受け付けても良い。この場合、搬送制御装置8の記憶装置83に複数の測定項目を判断条件として記憶しておき、測定項目ごとに再検査を実行するか否か、実行する場合の測定ユニット5の選択条件等の設定を受け付ける。図8は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の再検査を実行する測定ユニット5の測定項目ごとの設定画面の例示図である。
【0084】
図8に示す測定ユニット設定画面では、まず再検査を実行するか否かの設定を、ボタン72を介したマウス等のクリック操作により、測定項目71ごとに受け付ける。もちろんプルダウンメニュー、ラジオボタン等を介して設定を受け付けても良い。測定項目71に表示されている項目は、記憶装置83に判断条件として記憶されている測定項目を読み出して表示する。図8では、設定を受け付けた項目をハッチングしてある。なお、再検査を「する」との設定を受け付けた場合にのみ、再検査ユニット設定ボタン73を有効化することで、誤設定を未然に回避することができる。
【0085】
測定項目である赤血球数及び白血球数について異常を検出した場合の再検査を実行する測定ユニットを設定する「赤血球数異常」及び「白血球数異常」については、図8の例では「同ユニット」の設定を受け付けている。この場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aと同一の測定ユニットで再検査を実行する。したがって、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを測定ユニット5aの検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0086】
測定項目である白血球分画について異常を検出した場合の再検査を実行する測定ユニットを設定する「白血球分画」については、図8の例では「他ユニット」の設定を受け付けている。この場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5b、5cで再検査を実行する。なお、測定ユニット5b、5cのいずれを選択するかは、所定の選択条件を事前に定めておき選択するようにしておけば良い。例えば、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの位置を検出して近接する方の測定ユニット5を選択しても良いし、測定ユニット5b、5cそれぞれに搬送されているサンプルラックLの数を計数しておき、検査待ちのサンプルラックLの数が少ない方の測定ユニット5を選択しても良い。また、測定ユニット5b、5cのプロセッサ507、507の演算処理負荷を算出しておき、演算処理負荷の軽い方の測定ユニット5を選択しても良い。このように選択された測定ユニット5b又は5cの検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0087】
その他「指定(5c)」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、指定を受け付けた測定ユニット5cで再検査を実行する。図8の例では測定ユニット5cの指定受付に限定しているが、とくにこれに限定されるものではない。この場合、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、指定を受け付けた測定ユニット5cの検体供給位置35cへ搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0088】
「指定なし」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、所定の条件に基づいて指定される測定ユニット5で再検査を実行する。なお、いずれの測定ユニット5を選択するかは、所定の選択条件を事前に定めておき選択するようにしておけば良い。例えば、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの位置を検出して最も近接する測定ユニット5を選択しても良いし、測定ユニット5a、5b、5cそれぞれに搬送されているサンプルラックLの数を計数しておき、検査待ちのサンプルラックLの数が最も少ない測定ユニット5を選択しても良い。また、測定ユニット5a、5b、5cのプロセッサ507、507、507の演算処理負荷を算出しておき、演算処理負荷の最も軽い測定ユニット5を選択しても良い。このように選択された測定ユニット5の検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、搬送制御装置8のCPU81から指示が送出される。
【0089】
図8に示す測定ユニット設定画面にて設定を受け付けた再検査を実行する測定ユニット5の選択情報等は、搬送制御装置8の搬送制御情報記憶部831に記憶されている。搬送制御装置8のCPU81は、搬送制御情報記憶部831を照会して、記憶してある測定ユニット5の選択情報等に基づいて、再検査の対象となった検体の搬送先に関する情報を取得する。
【0090】
その他、各測定項目の測定値が正常であるか否かを判断するために測定値が正常である正常範囲を制御装置9の記憶装置93に記憶しておき、取得した測定データが正常範囲内であるか否かに基づいて、再検査が必要であるか否かを判断しても良い。この場合、図8の例に、測定項目ごとの正常範囲の設定を受け付ける項目を設けても良い。測定項目ごとに正常範囲を適切に設定することができ、無用な再検査を回避することができるとともに、再検査の必要な検体の看過を未然に防止することが可能となる。設定された測定項目ごとの正常範囲はLAN7を介して制御装置9の記憶装置93に記憶される。
【0091】
図9は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の搬送制御装置8のCPU81の再検査処理の手順を示すフローチャートである。図9において、本実施の形態1に係る分析装置1の搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9のCPU91から再検査を実行する旨の再検査オーダ信号を受信したか否かを判断する(ステップS901)。すなわち、CPU81は、CPU91から再検査を実行する旨の再検査オーダ信号を受信した場合には、再検査が必要であると判断し、所定期間内にCPU91から再検査を実行する旨の再検査オーダ信号を受信しない場合には、再検査が不要であると判断する。なお、制御装置9のCPU91は、再検査が必要であるか否かを所定の条件に基づいて判断し、再検査が必要な場合には、再検査オーダ信号を搬送制御装置8に送信し、再検査が不要な場合には、再検査オーダ信号の送信を行わない。そして、CPU81が、再検査オーダ信号を受信していないと判断した場合(ステップS901:NO)、CPU81は、受信待ち状態となる。
【0092】
再検査オーダ信号には、検体を識別する検体識別情報として例えばバーコード情報に含まれる検体ID、患者を識別する患者識別情報等の初検のオーダ情報に含まれている情報だけでなく、再検査が必要と判断された測定項目、初検を実行した測定ユニットを識別する測定ユニットID等も含まれる。CPU81が、再検査オーダ信号を受信したと判断した場合(ステップS901:YES)、CPU81は、搬送制御情報記憶部831に記憶してある測定ユニットの選択情報を照会し(ステップS902)、再検査が必要と判断された検体の搬送先である測定ユニット5、すなわち再検査を実行する測定ユニット5を特定する(ステップS903)。
【0093】
CPU81は、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニットであるか否かを判断する(ステップS904)。CPU81が、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニット5であると判断した場合(ステップS904:YES)、CPU81は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、初検を実行した測定ユニット5の検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう指示を送出する(ステップS905)。
【0094】
CPU81が、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5とは異なる他の測定ユニット5であると判断した場合(ステップS904:NO)、CPU81は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、特定された測定ユニット5へ搬送するよう指示を送出する(ステップS906)。
【0095】
以上のように本実施の形態1によれば、検体の再検査を実行する測定ユニット5の設定として、最短で分析結果を得ることができる初検を実行した測定ユニット5の設定、又は該測定ユニット5以外の他の測定ユニット5の設定を、それぞれ受け付けることができ、再検査を初検とは異なる他の測定ユニット5で実行したいという要望と、再検査が必要であると判断された検体の再検査の分析結果を早期に取得したいという要望との両方の要望を実現することが可能な分析装置を提供することができる。
【0096】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る分析装置1の構成は、実施の形態1に係る分析装置1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態2は、再検査が必要であると判断された検体が生じた時点で再測定の分析結果を取得するまでの時間である分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出し、分析結果取得時間が最短である測定ユニットに検体を搬送するよう制御する点で実施の形態1と相違する。
【0097】
したがって、初検を実行した測定ユニット5aで再検査を実行するか、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5b又は5cで再検査を実行するかについて、搬送制御装置8の画像表示部120を介して使用者により事前に設定を受け付ける必要がなく、再検査を実行する測定ユニット5を設定する測定ユニット設定画面も必要とはしない。つまり、実施の形態1における「指定なし」の設定を受け付けた場合の処理と同様になる。
【0098】
所定の検体について再検査が必要であると判断された場合、搬送制御装置8のCPU81は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの現在位置を検出し、搬送してから検体を吸引して分析結果を取得するまでの分析結果取得時間を、搬送先である測定ユニットごとに算出する。分析結果取得時間は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの現在位置からの搬送時間であっても良いし、測定ユニットごとの測定待ちの検体数から換算した時間であっても良い。その他、これらの時間を組み合わせて総合的に判断する指標を算出しても良い。
【0099】
図10は、本発明の実施の形態2に係る分析装置1の搬送制御装置8のCPU81の再検査処理の手順を示すフローチャートである。図10において、本実施の形態2に係る分析装置1の搬送制御装置8のCPU81は、制御装置9のCPU91から再検査を実行する旨の再検査オーダ信号を受信したか否かを判断する(ステップS1001)。CPU81が、再検査オーダ信号を受信していないと判断した場合(ステップS1001:NO)、CPU81は、受信待ち状態となる。
【0100】
再検査オーダ信号には、検体を識別する検体識別情報として例えばバーコード情報に含まれる検体ID、患者を識別する患者情報等の初検のオーダ情報に含まれている情報だけでなく、再検査が必要と判断された測定項目、初検を実行した測定ユニットを識別する測定ユニットID等も含まれる。CPU81が、再検査オーダ信号を受信したと判断した場合(ステップS1001:YES)、CPU81は、測定ユニットごとに分析結果取得時間を算出する(ステップS1002)。CPU81は、算出した分析結果取得時間が最短である測定ユニット5を、再検査を実行する測定ユニット5として選択する(ステップS1003)。
【0101】
CPU81は、選択された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニットであるか否かを判断する(ステップS1004)。CPU81が、選択された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニットであると判断した場合(ステップS1004:YES)、CPU81は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、初検を実行した測定ユニット5の検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう指示を送出する(ステップS1005)。
【0102】
CPU81が、選択された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5とは異なる他の測定ユニット5であると判断した場合(ステップS1004:NO)、CPU81は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、選択された測定ユニット5へ搬送するよう指示を送出する(ステップS1006)。
【0103】
以上のように本実施の形態2によれば、再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出し、算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体の再測定を実行する測定ユニットとして選択する。搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御することにより、再検査を実行する測定ユニットとして、分析結果取得時間が最短となる測定ユニットが自動的に選択され、再検査の分析結果を早期に取得することが可能となる。
【0104】
なお、算出した分析結果取得時間が最短である測定ユニットを、再検査を実行する測定ユニットとして選択するのではなく、算出した分析結果取得時間を表示して、表示された分析結果取得時間に基づいて、使用者による再検査を実行する測定ユニットの選択を受け付けても良い。この場合であっても、搬送制御装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択を受け付けた測定ユニットへ搬送するよう制御することにより、再検査を実行する測定ユニットとして、分析結果取得時間が最短となる測定ユニットの選択を受け付けることが可能となる。
【0105】
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3に係る分析装置1の概略構成を示す模式図である。本発明の実施の形態3に係る分析装置1は、互いに同種類の第1測定ユニット5a及び第2測定ユニット5bの2つの測定ユニットと、第1測定ユニット5a及び第2測定ユニット5bの前面側に配置された検体搬送装置(搬送装置)3と、第1測定ユニット5a、第2測定ユニット5b及び検体搬送装置3に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置12とを備えている。
【0106】
本実施の形態3では、第1測定ユニット5aと第2測定ユニット5bとは同種類の測定ユニットであり、同一の測定原理を用いて同一の測定項目について検体を測定する。なお、同種類とは、2つの測定ユニット5a、5bが完全に同一の測定項目について検体を測定する場合のみならず、第1測定ユニット5aによる複数の測定項目と第2測定ユニット5bによる複数の測定項目とが部分的に共通している場合も含む。
【0107】
また、第1測定ユニット5a及び第2測定ユニット5bは、並列に配置されている。さらに、第1測定ユニット5a及び第2測定ユニット5bは、それぞれ検体搬送装置3が搬送するサンプルラックLに収容された検体容器Tを、筐体に設けられた取り込み口51a及び51bから内部に取り込み、内蔵している検体吸引部により吸引した検体の所定の測定項目について測定する。
【0108】
制御装置12は、パーソナルコンピュータ(PC)等で構成されている。図12は、本発明の実施の形態3に係る分析装置1の制御装置12の構成を示すブロック図である。図12に示すように、制御装置12は、CPU121、RAM122、記憶装置123、入出力インタフェース124、ビデオインタフェース125、可搬型ディスクドライブ126、通信インタフェース127及び上述したハードウェアを接続する内部バス128で構成されている。
【0109】
CPU121は、内部バス128を介して制御装置12の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置123に記憶されている搬送制御プログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM122は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、搬送制御プログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、搬送制御プログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0110】
記憶装置123は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置123に記憶されている搬送制御プログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体80から、可搬型ディスクドライブ126によりダウンロードされ、実行時には記憶装置123からRAM122へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース127を介してネットワークに接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。また記憶装置123は、測定ユニット5a、5bごとに搬送制御のための設定項目情報等の搬送制御情報を記憶してある搬送制御情報記憶部1231を備えている。
【0111】
通信インタフェース127は内部バス128に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワークに接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0112】
入出力インタフェース124は、キーボード、マウス等の入力部12bと接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース125は、CRTモニタ、LCD等の画像表示部12aと接続され、所定の画像を表示する。
【0113】
検体搬送装置3の概略構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。なお、分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、幅はサンプルラックLの幅より若干大きい。分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、上面に分析前の検体容器T、T、・・・を収容したサンプルラックLを載置する。
【0114】
また、分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、幅はサンプルラックLの幅より若干大きい。分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、上面に分析後のサンプルラックLが載置される。
【0115】
本実施の形態3に係る分析装置1では、検体の初検を測定ユニット5aにて実行し、再検査の実行が必要であるか否かを判断する。再検査の実行が必要であると判断された場合、再検査の対象となる検体は、再検査を実行する測定ユニット5まで搬送する必要が生じる。すなわち、初検を実行した測定ユニット5aで再検査を実行する場合には、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、検体供給位置35cへ戻すよう搬送する必要がある。また、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる測定ユニット5bで再検査を実行する場合には、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、隣接する測定ユニット5bへ搬送する必要がある。
【0116】
初検を実行した測定ユニット5aで再検査を実行するか、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5bで再検査を実行するかについては、制御装置12の画像表示部12aを介して使用者により事前に設定を受け付けておく。画像表示部12aに表示される測定ユニット設定画面は、実施の形態1の図7と同様である。
【0117】
例えば再検査を「する」との設定を受け付けた場合、再検査を実行する測定ユニット5(再検査ユニット)の設定を受け付ける。「同ユニット」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aと同一の測定ユニットで再検査を実行する。したがって、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを測定ユニット5aの検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう、制御装置12のCPU121から指示が送出される。
【0118】
「他ユニット」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、初検を実行した測定ユニット5aとは異なる他の測定ユニット5bで再検査を実行する。測定ユニット5bの検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、制御装置12のCPU121から指示が送出される。
【0119】
「指定」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、指定を受け付けた測定ユニット5で再検査を実行する。測定ユニット5の指定の受付は例えばプルダウンメニューにより受け付ける。この場合、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、指定を受け付けた測定ユニット5の検体供給位置35cへ搬送するよう、制御装置12のCPU121から指示が送出される。
【0120】
「指定なし」の設定を受け付けた場合、再検査が必要であると判断された検体は、所定の条件に基づいて選択される測定ユニット5で再検査を実行する。なお、いずれの測定ユニット5を選択するかは、所定の選択条件を事前に定めておき選択するようにしておけば良い。例えば、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLの位置を検出して最も近接する測定ユニット5を選択しても良いし、測定ユニット5a、5bそれぞれに搬送されているサンプルラックLの数を計数しておき、検査待ちのサンプルラックLの数が少ない測定ユニット5を選択しても良い。また、測定ユニット5a、5bのプロセッサ507、507の演算処理負荷を算出しておき、演算処理負荷の軽い測定ユニット5を選択しても良い。このように選択された測定ユニット5の検体供給位置35cへ、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを搬送するよう、制御装置12のCPU121から指示が送出される。
【0121】
図7に示す測定ユニット設定画面にて設定を受け付けた再検査を実行する測定ユニット5の選択情報等は、制御装置12の搬送制御情報記憶部1231に記憶されている。制御装置12のCPU121は、搬送制御情報記憶部1231を照会して、記憶してある測定ユニット5の選択情報等に基づいて、再検査の対象となった検体の搬送先に関する情報を取得する。
【0122】
再検査を実行する測定ユニット5の設定は、測定項目ごとに受け付けても良い。この場合、制御装置12の記憶装置123に複数の測定項目を判断条件として記憶しておき、測定項目ごとに再検査を実行するか否か、実行する場合の測定ユニット5の選択条件等の設定を受け付ける。再検査を実行する測定ユニット5の測定項目ごとの設定画面は実施の形態1の図8と同様であることから、設定内容も含めて詳細な説明は省略する。
【0123】
図8に示す測定ユニット設定画面にて設定を受け付けた再検査を実行する測定ユニット5の選択情報等も、制御装置12の搬送制御情報記憶部1231に記憶されている。制御装置12のCPU121は、搬送制御情報記憶部1231を照会して、記憶してある測定ユニットの選択情報等に基づいて、再検査の対象となった検体の搬送先に関する情報を取得する。
【0124】
その他、各測定項目の測定値が正常であるか否かを判断するために測定値が正常である正常範囲を制御装置12の記憶装置123に記憶しておき、取得した測定データが正常範囲内であるか否かに基づいて、再検査が必要であるか否かを判断しても良い。この場合、図8の例に、測定項目ごとの正常範囲の設定を受け付ける項目を設けても良い。測定項目ごとに正常範囲を適切に設定することができ、無用な再検査を回避することができるとともに、再検査の必要な検体の看過を未然に防止することが可能となる。設定を受け付けた測定項目ごとの正常範囲も制御装置12の記憶装置123に記憶される。
【0125】
図13は、本発明の実施の形態3に係る分析装置1の制御装置12のCPU121の再検査処理の手順を示すフローチャートである。図13において、本実施の形態3に係る分析装置1の制御装置12のCPU121は、分析結果を取得した検体について再検査を実行するか否かを判断する(ステップS1301)。CPU121が、再検査を実行しないと判断した場合(ステップS1301:NO)、CPU121は、処理を終了する。
【0126】
CPU121が、再検査を実行すると判断した場合(ステップS1301:YES)、CPU121は、搬送制御情報記憶部1231に記憶してある測定ユニットの選択情報を照会し(ステップS1302)、再検査が必要と判断された検体の搬送先である測定ユニット5、すなわち再検査を実行する測定ユニット5を特定する(ステップS1303)。
【0127】
CPU121は、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニットであるか否かを判断する(ステップS1304)。CPU121が、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5と同一の測定ユニットであると判断した場合(ステップS1304:YES)、CPU121は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、初検を実行した測定ユニット5の検体供給位置35cへ戻すように搬送するよう指示を送出する(ステップS1305)。
【0128】
CPU121が、特定された測定ユニット5が、初検を実行した測定ユニット5とは異なる他の測定ユニット5であると判断した場合(ステップS1304:NO)、CPU121は、再検査の対象となる検体が収容された検体容器Tを含むサンプルラックLを、特定された測定ユニットへ搬送するよう指示を送出する(ステップS1306)。
【0129】
以上のように本実施の形態3によれば、検体の再検査を実行する測定ユニットの設定を任意に受け付けることができるので、最短で分析結果を得ることができる初検を実行した測定ユニット、又は該測定ユニットと異なる測定ユニットを、再検査を実行する測定ユニットとして明示的な指定を受け付けることができ、所定の測定項目の分析結果が正常範囲を外れている場合であって、異常の原因を特定することができない場合であっても、再検査を初検とは異なる他の別の測定ユニットにて再検査を実行することが可能となる。
【0130】
その他、本発明は上記実施の形態1乃至3に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。例えば搬送制御装置8、制御装置9は単数であっても複数であっても良いし、一体となっていても良い。
【符号の説明】
【0131】
1 分析装置
2 検体投入装置
3 検体搬送装置(搬送装置)
4 検体収容装置
5、5a、5b、5c、5d 測定ユニット
7 LAN
8 搬送制御装置
9、12 制御装置
81、91、121 CPU
82、92、122 RAM
83、93、123 記憶装置
84、94、124 入出力インタフェース
85、95、125 ビデオインタフェース
86、96、126 可搬型ディスクドライブ
87、97、127 通信インタフェース
88、98、128 内部バス
101 搬送制御プログラム
102 動作制御プログラム
831、1231 搬送制御情報記憶部
931 測定ユニット情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段と、
該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける測定ユニット設定受付手段と、
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記測定ユニット設定受付手段は、前記所定の測定ユニットを、前記再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットとして設定を受け付けることを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記測定ユニットは3以上備えてあり、
前記測定ユニット設定受付手段は、再検査を前記所定の測定ユニットと異なる他の測定ユニットで実行するとの設定を受け付けることが可能にしてあり、
前記測定ユニット設定受付手段にて、再検査を前記所定の測定ユニットと異なる他の測定ユニットで実行するとの設定を受け付けた場合、前記搬送制御手段は、所定の条件に基づいて再検査を実行する測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御することを特徴とする請求項1又は2記載の分析装置。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、測定ユニットごとの処理負荷を算出する処理負荷算出手段を備え、
処理負荷の最も軽い測定ユニットを選択して、再検査が必要であると判断された検体を搬送するよう制御することを特徴とする請求項3記載の分析装置。
【請求項5】
前記再検査判断手段で、検体の再検査が必要であるか否かを判断する複数の判断条件を記憶する判断条件記憶手段を備え、
前記測定ユニット設定受付手段は、前記判断条件ごとに、再検査が必要であると判断された検体を再測定する測定ユニットの設定を受け付けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記判断条件記憶手段は、所定の測定項目ごとの分析結果の正常範囲を前記判断条件として記憶することを特徴とする請求項5記載の分析装置。
【請求項7】
前記搬送装置は、検体を順方向及び逆方向に搬送することが可能な搬送ラインを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項8】
複数の前記測定ユニットは、血液中の血球数を計数する血球計数装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに取得する時間取得手段と、
該時間取得手段で取得した前記分析結果取得時間を出力する時間出力手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項10】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段と、
該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出する分析結果取得時間算出手段と、
算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択する測定ユニット選択手段と、
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段と
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項11】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、
再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付け、
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御することを特徴とする分析方法。
【請求項12】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断し、
再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出し、
算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択し、
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御することを特徴とする分析方法。
【請求項13】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記分析装置を、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段、
該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体を再測定する1つの測定ユニットの設定を受け付ける測定ユニット設定受付手段、及び
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、設定された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
検体を測定して測定データを出力する複数の測定ユニットと、
複数の該測定ユニットに対して測定対象となる検体を搬送する搬送装置と
を備え、検体を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記分析装置を、
所定の測定ユニットでの測定結果に基づいて検体の再検査が必要であるか否かを判断する再検査判断手段、
該再検査判断手段で再検査が必要であると判断された検体の再測定に要する分析結果取得時間を測定ユニットごとに算出する分析結果取得時間算出手段、
算出した分析結果取得時間が最も短い測定ユニットを、検体を再測定する測定ユニットとして選択する測定ユニット選択手段、及び
前記搬送装置が、再検査が必要であると判断された検体を、選択された測定ユニットへ搬送するよう制御する搬送制御手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−190816(P2010−190816A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37415(P2009−37415)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】