説明

分析装置

【課題】分析装置に複数の異常が発生した場合、容易かつ迅速に測定を再開できる分析装置を提供する。
【解決手段】複数のユニットを備えており、測定試料を調製する試料調製部と、前記測定試料から所定の成分を検出する検出部と、前記測定試料の調製および前記検出を含む測定動作の開始指示を受け付ける測定開始指示受付手段と、前記開始指示を受け付けたとき、測定動作を実行するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定手段と、前記複数のユニットの動作の異常を検知する異常検知部と、前記異常を検知したとき、前記複数のユニットの動作を停止させる動作停止手段と、前記測定動作が停止した後、測定動作の再開指示を受け付ける測定再開指示受付手段と、前記測定動作の再開指示を受け付けたとき、前記複数のユニットを初期位置に動作させた後、測定動作を再開するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定再開手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に異常が発生した場合、ユーザが容易かつ迅速に測定を再開できる分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や検査センターにおいては、血液や尿などの検体を測定する分析装置が使用されている。近年、処理能力の向上のため分析装置は大型化しており多数のユニットが搭載されている。このため、複数の異常が同時に発生する場合がある。
【0003】
特許文献1には、特定の知識や技術を有しないユーザでも異常の復帰作業を行えるよう、発生した複数の異常を表形式にて表示する分析装置が開示されている。また、この特許文献1に開示された分析装置は、ユーザの使用状況に応じて表形式にて表示された各異常の重要度のランク付けや異常の復帰方法をユーザにとって分かりやすいものとするため、復帰方法の内容を編集可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−170868
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、分析装置に異常が発生した場合、ユーザは異常が表示された画面から復帰させる異常を選択し、トラブルシューティング画面を表示させ、対話形式にて画面に表示される復帰手順に従い選択した異常を復帰しなければならなかった。さらに、分析装置に複数の異常が同時に発生しているような場合、ユーザは発生している各異常に対して上記復帰操作を行なわなければならなかった。このため、ユーザにとって操作が煩雑で、また時間のかかるものであった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、分析装置に複数の異常が発生した場合、容易かつ迅速に測定を再開できる分析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点から、本発明の分析装置は、所定の動作を行う複数のユニットを備えており、試料と試薬とを含む測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部によって調製された測定試料から所定の成分を検出する検出部と、前記試料調製部による測定試料の調製および前記検出部による測定試料の所定の成分の検出を含む測定動作の開始指示を受け付ける測定開始指示受付手段と、前記測定開始指示受付手段が測定動作の開始指示を受け付けたとき、測定動作を実行するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定手段と、前記複数のユニットの動作の異常を検知する異常検知部と、
前記異常検知部が異常を検知したとき、前記複数のユニットの動作を停止させる動作停止手段と、前記動作停止手段によって測定動作が停止した後、測定動作の再開指示を受け付ける測定再開指示受付手段と、前記測定再開指示受付手段が測定動作の再開指示を受け付けたとき、前記複数のユニットを初期位置に動作させた後、測定動作を再開するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定再開手段とを備えるように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生した場合、ユーザが容易かつ迅速に測定を再開できる。
【0008】
上記発明においては、表示部をさらに備え、前記測定再開指示受付手段は、前記表示部にユーザからの測定動作の再開指示を受け付けるボタンを表示するように構成することができる。
【0009】
上記発明においては、前記測定開始指示受付手段は、前記ボタンを介してユーザからの測定動作の開始指示を受け付けるように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生した後に測定動作を再開する操作と、分析装置に異常が発生していない状態で測定動作を開始する操作を共通にすることができるので、ユーザは操作方法を統一することができ、容易に測定を再開することができる。
【0010】
上記発明においては、表示部と、前記異常検知部が検知した異常の内容および当該異常の復帰方法とを前記表示部に表示する表示制御手段とをさらに備え、前記表示制御手段は、前記測定再開指示受付手段が測定動作を再開したとき、前記表示部に表示した前記異常の内容および当該異常の復帰方法を前記表示部から消去するように構成することができる。
これにより、測定動作の再開指示が受け付けられたとき、異常の内容および異常の復帰方法を表示部から消去することで、例えば複数のユニットを初期位置に移動させているときに新たな異常が発生した場合、復帰させようとした異常と新たに発生した異常を区別することができる。したがって、ユーザは現在分析装置で発生している異常を容易に知ることができる。
【0011】
上記発明においては、前記動作停止手段は、前記異常検知部が異常を検知したとき、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作を継続しつつ、測定動作の継続が不可能な測定試料について測定動作を停止するように前記複数のユニットを制御し、前記測定再開指示受付手段は、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作を行っているとき、測定動作の再開指示を受け付けることができるように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生した場合、ユーザは継続している測定動作が停止するのを待つことなく測定動作の再開指示を分析装置に指示することができる。したがってユーザにとって迅速に測定動作を再開することができる。
【0012】
上記発明においては、前記測定再開手段は、測定動作の継続が可能な測定試料についての測定動作が継続しているとき、前記測定再開指示受付手段が測定動作の再開指示を受け付けた場合、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作が停止した後、前記複数のユニットを初期位置に移動させ、測定動作を再開するように前記複数のユニットおよび検出部を制御するように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生した場合、ユーザは継続している測定動作が停止するのを待つことなく測定動作の再開指示を分析装置に与えることができる。したがってユーザにとって迅速に測定動作を再開することができる。
【0013】
上記発明においては、検出部により所定の成分の検出が完了した測定試料を収容する反応容器が廃棄される廃棄部をさらに備え、前記複数のユニットは、反応容器を複数保持する反応容器保持部と、前記反応容器保持部から前記廃棄部に反応容器を廃棄する廃棄機構部とを含み、前記測定再開手段は、前記測定再開指示受付手段によって測定動作の再開指示が受け付けられると、前記複数のユニットを初期位置に移動させた後、反応容器保持部に保持されている反応容器を前記廃棄機構部によって前記廃棄部に廃棄し、測定動作を再開するように前記反応容器保持部と前記廃棄機構部を制御するように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生した後に測定動作を再開したとき、反応容器保持部に保持された反応容器を確実に廃棄することができる。
【0014】
上記発明においては、前記複数のユニットは、所定の周期ごとに前記反応容器保持部を略水平面上で所定の角度回転移動させる駆動源を含み、前記測定再開手段は、反応容器を廃棄するとき、前記反応容器保持部を所定の角度回転移動させる周期が、測定のときに前記反応容器保持部を所定の角度回転移動させる周期よりも短くなるよう前記駆動源を制御するように構成することができる。
これにより、分析装置に異常が発生し、反応容器保持部に反応容器が保持されている場合、反応容器保持部に保持された反応容器を早く廃棄することができるので、ユーザは迅速に測定を再開することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の分析装置によれば、分析装置に異常が発生した場合、ユーザは容易かつ迅速に測定を再開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
「装置の全体構成」
図1は、本発明の一実施の形態に係る免疫分析装置(検体分析装置)の全体構成を示す平面説明図である。
免疫分析装置1は、血液等の検体(試料)を用いて、B型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカ及び甲状腺ホルモン等種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1は、図1に示されるように、複数の機構(コンポーネント)からなる測定ユニット2と、測定ユニット2に電気的に接続されたデータ処理ユニットである制御装置300とから構成されている。
【0017】
この免疫分析装置1では、測定対象である血液等の検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体及び磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部107の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原及び標識抗体を2次BF分離部106の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発行する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
「測定ユニットの構成」
【0018】
測定ユニット2は、主に測定制御部100と、2次反応部101と、2次攪拌キャッチャ102と、検出部103と、検出部キャッチャ104と、廃棄部105と、2次BF分離部106と、1次BF分離部107と、搬送機構108と、1次反応部109と、1次攪拌キャッチャ110と、キュベット供給装置111と、チップ搬送部112と、ピペットチップ供給装置113と、チップ脱離部114と、R1/R3試薬設置部115と、R2試薬設置部116と、R1試薬分注アーム117と、検体分注アーム118と、R2試薬分注アーム119と、R3試薬分注アーム120と、R4試薬供給部121と、R5試薬供給部122と、搬送部250と、バーコードリーダ255とを備えている。測定ユニット2を構成する各機構は、それぞれ初期位置を有しており、測定制御部100は各機構を初期位置から所定のパルスまたは所定の位置まで動作するように各機構を制御する。
測定ユニット2の各機構の構成としては、公知の構成を適宜採用することができるが、以下、図1にそって、簡単に説明をする。
【0019】
測定制御部100は、CPUと、RAMと、ROM等を備えており、図4に示すように測定制御部100が各機構を制御するとともに、Ethernet(登録商標)を用いた通信インタフェース260を介して、制御装置300からの測定情報の受信、制御装置300への測定結果の送信、および制御装置300への異常の通知を行っている。
【0020】
2次反応部101は、図2に示すように、回転テーブル部101bと、センサ101cとモータ101dを備えている。
回転テーブル部101bは、上面が円形とされており、複数の保持孔101aが回転テーブル部101bと同軸的な円環をなすように等間隔に設けられている。
センサ101cは、センサ101cの前に位置する保持孔101aにキュベットが存在しているか否かを検知するために設けられている。また、回転テーブル部101bは初期位置を有しており、初期位置に戻ったことを検知するためのセンサ(図示せず)を備えている。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、回転テーブル部101bを初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うよう回転テーブル部101bを制御する。
モータ101dは、回転テーブル部101bの下に設置され、回転テーブル部101bを所定の期間毎に所定の角度だけ回転するように構成されている。免疫分析装置1の各種装置(R4試薬分注アーム121やR5試薬分注アーム122など)は、保持孔101aに保持されたキュベットが回転テーブル部101bにより所定のポジションに搬送されたタイミングで動作するように制御されている。
【0021】
また、2次攪拌キャッチャ102は、図2に示すように、攪拌部102aと、上下移動機構部102bと、水平移動機構部102cと、回転移動機構部102dとを備えている。攪拌部102aは、キュベットを把持するとともにキュベットを攪拌する機能を有している。上下移動機構部102bは、攪拌部102aを上下方向に移動させる機能を有している。水平移動機構部102cは、攪拌部102aおよび上下移動機構部102bを水平方向に移動させる機能を有している。回転移動機構部102dは、2次反応部101の回転テーブル部101bの中心を軸に攪拌部102a、上下移動機構部102bおよび水平移動機構部102cを回転移動させる機能を有している。また、2次攪拌キャッチャ102は上下方向、水平方向および回転方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、2次攪拌キャッチャ102が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、2次攪拌キャッチャ102を上下方向、水平方向および回転方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うよう2次攪拌キャッチャ102を制御する。
すなわち、2次攪拌キャッチャ102は、2次反応部101の回転テーブル部101bの保持孔101aに収納されるキュベットを把持するとともに、把持したキュベットを上昇させ、キュベット内の試料を攪拌する機能を有している。また、2次攪拌キャッチャ102は、回転テーブル101bのポジション202に位置する保持孔101aに保持されるキュベットを2次BF分離部106のポジション228に位置する保持孔に搬送する機能も有している。さらに、2次攪拌キャッチャ102は、2次BF分離部106のポジション233に位置する保持孔に保持されるキュベットを回転テーブル部101bのポジション207の保持孔101aに搬送する機能も有している。
【0022】
図1に戻り、検出部103は、測光を行うキュベットを設置する設置部103aを備えている。検出部は、光電子倍増管(Photo Multiplier Tube)を用いて、設置部103aに設置されたキュベット内の試料が生じる光を測光し、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0023】
検出部キャッチャ104は、図3に示すように、攪拌部104aと、上下移動機構部104bと、水平移動機構部104cと、回転移動機構部104dとを備えている。
攪拌部104aは、キュベットを把持するとともに、把持したキュベットを上昇させ、キュベットを攪拌する機能を有している。上下移動機構部104bは、攪拌部104aを上下方向に移動させる機能を有している。水平移動機構部104cは、攪拌部104aおよび上下移動機構部104bを、水平方向に移動させる機能を有している。回転移動機構部104dは、軸104eを中心に攪拌部104a、上下移動機構部104bおよび水平移動機構部104cを回転移動させる機能を有している。また、検出部キャッチャ104は上下方向、水平方向および回転方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、検出部キャッチャ104が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、検出部キャッチャ104を上下方向、水平方向および回転方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うよう検出部キャッチャ104を制御する。
すなわち、検出部キャッチャ104は、2次反応部101の回転テーブル部101bのポジション224に位置する保持孔101aに保持されたキュベットを把持するとともに把持したキュベットを上昇させ、キュベット内の試料を攪拌し、検出部103の設置部103aに設置する機能を有している。さらに、検出部103の設置部103aのキュベットの検出が完了すると、検出部キャッチャ104は、検出部103の設置部103aのキュベットを廃棄部105に廃棄する機能も有している。
また、キュベットの廃棄処理が実行された場合、検出部キャッチャ104は、2次反応部101の回転テーブル部101bのポジション224に位置する保持孔101aに保持されたキュベットを把持するとともに、把持したキュベットを上昇させ、廃棄部105に廃棄する機能も有している。
【0024】
図3は、検出部キャッチャ104と廃棄部105の斜視図である。廃棄部105は廃棄用部材105aと廃棄袋105bとを備えている。検出部103によってキュベット内の試料が測光された後、検出部103の設置部103aにあるキュベットが検出部キャッチャ104によって、廃棄用部材105aの孔を介して、廃棄袋105bに廃棄される。
【0025】
図1に戻り、2次BF分離部106は、2次攪拌キャッチャ102によって2次反応部101から2次BF分離部106に搬送されたキュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。未反応のR3試薬が分離された2次BF分離部106のキュベットは、2次攪拌キャッチャ102によって2次反応部101に再び搬送される。
【0026】
1次BF分離部107は、2次BF分離部106と同様の構成を有しており、1次攪拌キャッチャ110によって1次反応部109から搬送されたキュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。未反応のR1試薬等が分離された1次BF分離部107上のキュベットは、後述する搬送機構108によって2次反応部101に搬送される。
【0027】
搬送機構108は、先端にキュベット把持部(図2の2次攪拌キャッチャ102における攪拌部102aと同様の構成)を有するアーム部108aと、アーム部108aの回動時に中心となる軸108bとを備える。搬送機構108は、1次BF分離部107のキュベットをアームの先端にあるキュベット把持部によって把持するとともに、把持したキュベットを上昇させ、2次反応部101の回転テーブル部101bに搬送する。
【0028】
1次反応部109は、2次反応部101と同様の構成を有しており、回転テーブル部109bと、センサ109cと、モータ109dを備えている。
回転テーブル部109bは、上面が円形とされており、複数の保持孔109aが回転テーブル109bと同軸的な円環をなすように等間隔に設けられている。
センサ109cは、センサ109cの前に位置する保持孔109aにキュベットが存在しているか否かを検知するために設けられている。
モータ109dは、回転テーブル部109bの下に設置され、回転テーブル部109bを所定の期間毎に所定の角度だけ回転するように構成されている。免疫分析装置1の各種装置(R1試薬分注アーム117やR2試薬分注アーム119など)は、保持孔109aに保持されたキュベットが回転テーブル部109bにより所定のポジションに搬送されたタイミングで動作するように制御されている。
【0029】
1次攪拌キャッチャ110は、2次攪拌キャッチャと同様の構成を有しており、後述するキュベット供給装置111から1次反応部109の回転テーブル部109bのポジション150に位置する保持孔109aにキュベットを供給し、保持孔109aに保持されるキュベットを把持するとともに、把持したキュベットを上昇させ、キュベット内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、1次反応部109の回転テーブル部109bのポジション165に位置する保持孔109aに保持されているキュベットを、1次BF分離部107のポジション186に位置する保持孔に搬送する機能を有している。
【0030】
キュベット供給装置111は、キュベット投入部111aと、キュベット提供テーブル111bとを備えている。
免疫分析装置1の使用者はキュベット投入部111aからキュベットを補充し、キュベット投入部111a内のキュベットが、1つずつキュベット提供テーブル111bに供給される。そして、1次攪拌キャッチャ110により、キュベット提供テーブル111b上のキュベットが1次反応部109の回転テーブル部109bの所定の保持孔109aにセットされる。
【0031】
ピペットチップ供給装置113は、投入したピペットチップを1つずつチップ搬送部112のチップ設置部112aに供給する機能を有している。
チップ脱離部114は、後述する検体分注アーム118に装着されたピペットチップを脱離するために設けられている。
【0032】
R1/R3試薬設置部115には、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬容器及び標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬容器が設置されている。
一方、R2試薬設置部116には、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬容器が設置されている。
【0033】
R1試薬分注アーム117は、アーム部117aと軸117bを備えている。
アーム部117aの先端部には、試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられており、軸117bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、R1試薬分注アーム117は回動方向および上下方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、R1試薬分注アーム117が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、R1試薬分注アーム117を回動方向および上下方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うようR1試薬分注アーム117を制御する。
R1試薬分注アーム117は、R1/R3試薬設置部115に設置された試薬容器内のR1試薬の吸引を行い、吸引したR1試薬を1次反応部109の回転テーブル部109bの所定の保持孔109aに保持されたキュベットに吐出する機能を有している。
【0034】
検体分注アーム118は、アーム部118aと軸118bを備えている。
アーム部118aの先端部には、検体の吸引及び吐出を行うためのノズルが設けられており、このノズル部の先端には、チップ搬送部112により搬送されるピペットチップが装着され、軸118bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、検体分注アーム118は回動方向および上下方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、検体分注アーム118が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、検体分注アーム118を回動方向および上下方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うよう検体分注アーム118を制御する。
検体分注アーム118は、検体ラック253に載置された試験管254の検体を吸引し、吸引した検体を1次反応部109の回転テーブル部109bの所定の保持孔109aに保持されたキュベットに吐出する機能を有している。
【0035】
R2試薬分注アーム119は、アーム部119aと軸119bを備えている。
アーム部119aの先端部には、試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられており、軸119bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、R2試薬分注アーム119は回動方向および上下方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、R2試薬分注アーム119が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、R2試薬分注アーム119を回動方向および上下方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うようR2試薬分注アーム119を制御する。
R2試薬分注アーム119は、R2試薬設置部116に設置された試薬容器内のR2試薬の吸引を行い、吸引したR2試薬を1次反応部109の回転テーブル部109bの所定の保持孔109aに保持されたキュベットに吐出する機能を有している。
【0036】
R3試薬分注アーム120は、アーム部120aと軸120bを備えている。
アーム部120aの先端部には、試薬の吸引及び吐出を行うためのノズルが取り付けられており、軸120bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、R3試薬分注アーム120は回動方向および上下方向の初期位置を有しており、それぞれセンサ(図示せず)を備えている。センサは、R3試薬分注アーム120が初期位置に戻ったことを検知する。測定制御部100は、測定開始の指示を受け付けた時および異常による測定動作の停止後に測定再開の指示を受け付けたとき、R3試薬分注アーム120を回動方向および上下方向の初期位置に戻した後に、所定の測定動作を行うようR3試薬分注アーム120を制御する。
R3試薬分注アーム120は、R1/R3試薬設置部115に設置された試薬容器内のR3試薬の吸引を行い、吸引したR3試薬を2次反応部101の回転テーブル部101bの所定の保持孔101aに保持されたキュベットに吐出する機能を有している。
【0037】
R4試薬供給部120およびR5試薬供給部121は、それぞれR4試薬およびR5試薬を2次反応部101の回転テーブル部101bの所定の保持孔101aに保持されたキュベット内に供給するために設けられている。
【0038】
搬送部250は試験管254が複数保持された検体ラック253をセットする右槽部251と、保持している試験管254の吸引が完了した検体ラック253を駐留する左槽部252とを有している。
【0039】
バーコードリーダ255は、搬送部250の右槽部251から送り込まれた検体ラック253の検体ラックバーコードおよび検体ラックに保持された試験管254の試験管バーコードを読取るように構成されている。
【0040】
「制御装置」
図5は、制御装置300のブロック図を示す。図5に示すように、制御装置300は本体部301と、ディスプレイ302と、入力デバイス303とから主として構成されたコンピュータである。
本体部301は、CPU310と、ROM311と、RAM312と、ハードディスク313、入出力インタフェース314、読出装置315、通信インタフェース316、画像出力インタフェース317とから主として構成されており、CPU310、ROM311、RAM312、ハードディスク313、入出力インタフェース314、読出装置315、通信インタフェース316、画像出力インタフェース317は、バス318によってデータ通信可能に接続されている。
【0041】
CPU310は、ROM311及びハードディスク313に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM312にロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、アプリケーションプログラムを当該CPU310が実行することにより、後述するような各機能ブロックが実現され、コンピュータが制御装置300として機能する。
【0042】
ROM311は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構
成されており、CPU310に実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いる
データが記録されている。
【0043】
RAM312は、SRAM、DRAM等によって構成されている。RAM312は、ROM311及びハードディスク313に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU310の作業領域として利用される。
【0044】
ハードディスク313は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等、CPU310に実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
【0045】
読出装置315は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体319に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。
【0046】
入出力インタフェース314は、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェースから構成されている。入出力インタフェース314には、キーボード、マウス及びハンディバーコードリーダからなる入力デバイス303が接続されており、操作者が当該入力デバイス303を使用することにより、本体301にデータを入力することが可能である。
【0047】
通信インタフェース316は、例えばEthernet(登録商標)インタフェースであり、制御装置300は、当該通信インタフェース316により、所定の通信プロトコルを使用して測定制御部100との間でデータの送受信が可能である。
【0048】
画像出力インタフェース317は、LCDまたはCRT等で構成されたディスプレイ
302に接続されており、CPU310から与えられた画像データに応じた映像信号を
ディスプレイ302に出力するようになっている。
【0049】
ディスプレイ302は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。図9は、ディスプレイ302に表示される測定ユニット2を操作するための操作画面550の一例である。
操作画面550は、メニューバー551と、ツールバー552と、機能表示領域553およびステータスバー554とを備えている。
メニューバー551には、操作画面550におけるルートメニューが表示される。それぞれのルートメニューには、サブメニューが存在し、図示しないマウスやキーボード303の入力によって、プルダウンメニューを表示することができる。
ツールバー552には、操作画面550内で使用頻度の高い機能を実行するための複数のツールボタンアイコンが表示されおり、ユーザが測定の開始および異常からの測定の再開を行うための測定開始ボタン552aaが表示される。
機能表示領域553は、測定オーダ入力用画面、精度管理用画面等を表示するための領域である。図9の機能表示領域553は測定オーダを入力する画面の一例である。
ステータスバー554は、装置状態インジケータ554aと、消耗品インジケータ554bとを備えている。装置状態インジケータ554aは、装置状態インジケータ555と、装置状態メッセージ556と、異常メッセージ557から構成されている。装置状態インジケータ555は、測定ユニット2の状態を背景色でユーザに示し、測定ユニット2の状態に応じて背景色を変更する。例えば、スタンバイ中は背景色を緑、測定中は背景色を橙、異常が発生しているときは背景色を赤に変更する。装置状態メッセージ556は、測定ユニット2の状態を示すメッセージを表示する。例えば、スタンバイ中はスタンバイ、測定中は測定中、異常が発生しているときはエラーと表示する。異常メッセージ557は、測定ユニット2に発生している異常の内容を表示する。
消耗品インジケータ554bは、消耗品となるピペットチップ、キュベット、試薬等の装置内の在庫状態を表示するための領域である。
【0050】
「全体プロセス」
これより図6から図11を用いて、免疫分析装置1の処理フローを説明する。
図6は免疫分析装置1のメイン処理を示すフローチャートである。制御装置300は、ユーザにより制御装置300のディスプレイ302に表示された図9に示す測定開始ボタン552aが押下されたか(ステップS100)またはシャットダウンボタン(図示せず)が押下された(ステップS140)か否かを判断する。ユーザにより測定開始ボタン552aが押下されると(ステップS100においてYes)、制御装置300は、測定制御部100に測定開始のコマンドを送信する(ステップS101)。
【0051】
測定制御部100は、制御装置300から測定開始のコマンドまたはシャットダウンコマンドを受信するのを待機しており(ステップS200またはステップS220)、測定開始のコマンドを受信すると(ステップS200においてYes)、測定ユニット2が図8で後述する測定動作を停止しているか否かを判断する(ステップS201)。測定動作が停止している場合(ステップS201においてYes)、測定制御部100は、制御装置300に装置状態が測定中に変わったことを通知し(ステップS202)、2次反応部101の回転テーブル部101b、1次反応部109の回転テーブル部109b、R1試薬分注アーム117、検体分注アーム118、R2試薬分注アーム119、R3試薬分注アーム120、2次攪拌キャッチャ102および1次攪拌キャッチャ110等の各ユニットを各初期位置に移動させる初期化動作を行う(ステップS203)。
この初期化動作は、測定を再開したとき、ユニットが他のユニットと干渉するのを防ぐために行われる。すなわち、測定制御部100は、測定動作が完了したとき、各ユニットの初期化動作を実行するが、測定完了後にユーザがユニットに手を触れるなどしてユニットが初期位置からずれてしまうことがある。この状態でユーザが測定を開始すると、ユニットは所定の位置とは離れた位置に移動してしまい、他のユニットと干渉してしまうおそれがある。このため、測定制御部100は、制御装置300から測定開始のコマンドを受信すると(ステップS200においてYes)、必ず各ユニットの初期化動作(ステップS203)を行う。
【0052】
一方、測定制御部100は、測定動作が停止していないと判断した場合(ステップS201においてNo)、制御装置300に装置状態が測定予約の状態に変わったことを通知する(ステップS215)。装置状態が測定予約とは、測定ユニット2に異常が発生し、測定動作の継続が可能なキュベットについて測定動作を継続しているとき、ユーザが測定を再開するために測定開始ボタン552aを押下した状態を示す。
【0053】
また、測定制御部100は、各ユニットの初期化動作(ステップS203)を実行中に異常が発生したか否かを判断する(ステップS204)。初期化動作中に異常が発生しなかった場合(ステップS204においてNo)、測定制御部100は、後述するキュベットの廃棄処理(ステップS205)を実行し、測定ユニット2上に残っているキュベットを廃棄する。
本実施の形態において、キュベットは複数のユニットを移送されながら測定動作が進められる。しかしながら、測定が正常に完了したにも関わらず、センサの誤検知、各ユニットの誤動作等により免疫分析装置1上にキュベットが残ったまま測定が完了してしまう可能性がある。この状態で、ユーザが測定を再開すると、免疫分析装置1上に残ったままのキュベットと測定のために新たに免疫分析装置1上にセットされるキュベットが干渉してしまうおそれがある。このため、測定動作が開始される前に、免疫分析装置1上にキュベットが残っているか否かを確認し、キュベットが残っている場合はキュベットを廃棄する必要がある。
【0054】
一方、各ユニットの初期化動作(ステップS203)中に異常が発生した場合(ステップS204においてYes)、例えば、R1試薬分注アーム117を回動方向および上下方向の初期位置に移動させようとしたが、回動動作を妨げる障害物により回動方向の初期位置にR1試薬分注アーム117が戻ることができなかったような場合、処理をステップS208に進める。
【0055】
ここで、キュベット廃棄処理(ステップS205)のフローを図7を用いて説明する。
測定制御部100は、モータを制御して1次反応部109の回転テーブル部109bと2次反応部101の回転テーブル部101bとを所定の角度回転させ(ステップS205a)、1次反応部109上のセンサ109cと2次反応部101上のセンサ101cそれぞれの出力に基づいて、1次反応部109と2次反応部101の保持孔にキュベットが存在するか否かを検知する(ステップS205b)。測定制御部100は、1次反応部109の回転テーブル部109bまたは2次反応部101の回転テーブル部101bのうち少なくともいずれか1つにキュベットが存在すると判断した場合(ステップS205cにおいてYes)、測定制御部100は、測定ユニット2上のどこにキュベットが存在しているかを記憶する(ステップS205d)。本実施の形態においては、1次BF分離部107と2次BF分離部106にはキュベットの有無を検知するためのセンサを設けておらず、1次BF分離部107と2次BF分離部106の全保持部にキュベットが存在しているとみなす。キュベットが存在しないと判断した場合(ステップS205cにおいてNo)、処理をステップS205eに進める。
【0056】
1次反応部109の回転テーブル部109b、1次BF分離部107、2次反応部101の回転テーブル部101bおよび2次BF分離部106のすべての保持孔について、キュベットの有無の確認が完了した場合(ステップS205eにおいてYes)、測定制御部100は、後述する9秒周期の制御処理(ステップS205f)を起動し、1次反応部109の回転テーブル部109b、1次BF分離部107、2次反応部101の回転テーブル部101bおよび2次BF分離部106の保持孔に保持されたすべてのキュベットの廃棄を実行する。
1次反応部109の回転テーブル部109b、1次BF分離部107、2次反応部101の回転テーブル部101bおよび2次BF分離部106のすべての保持孔について、キュベットの有無の確認が完了していない場合(ステップS205eにおいてNo)、処理をステップS205aに戻す。
【0057】
ここで、9秒周期の制御処理(ステップS205f)とは、キュベットの廃棄を実行するとき、測定制御部100が9秒周期で各ユニットが所定の動作をするように制御し、測定ユニット2上のキュベットを廃棄する処理のことである。例えば、2次反応部101の回転テーブル部101bがモータ101dにより9秒毎に所定の角度回転し、回転テーブル部101bが次に所定の角度回転するまでに、各ユニットは所定の動作を実行する。なお、測定動作時において、測定制御部100は、18秒周期で各ユニットが所定の動作を行うように各ユニットを制御する。
キュベットの廃棄時は、測定動作時と比べて動作するユニットが少ないため、各ユニットは干渉回避のために他のユニットの所定の動作が完了するのを待つことが少なくなるため、複数のユニットを制御する周期を短くすることができる。
例えば、測定動作時においては、R1試薬分注アーム117とR3試薬分注アーム120は試薬を吸引するためR1/R3試薬設置部115にアクセスする。また、R1/R3試薬設置部115は、R1試薬とR3試薬がセットとなったR1/R3試薬ボトルを複数架設できる構成となっており、測定制御部100は、R1試薬分注アーム117とR3試薬分注アーム120が吸引のためにR1/R3試薬設置部115にアクセスするとき、対応するR1/R3試薬ボトルを試薬分注アームがアクセスする位置に移動させる。
しかしながら、R1試薬とR3試薬はセットでR1/R3試薬設置部115に架設され、また、各試薬分注アームが吸引のためR1/R3試薬設置部115にアクセスする試薬は独立している。したがって、R3試薬分注アーム120は、R1試薬分注アーム117の吸引動作が完了した後、R1/R3試薬ボトルがR3試薬の吸引位置に移動するのを待ってから吸引動作を開始しなければならない。
キュベットの廃棄実行時においては、R1試薬分注アーム117、R3試薬分注アーム120の吸引動作等、所定の動作を行う必要のないユニットがあるため、複数のユニットを動作させる周期を測定動作よりも短くすることができる。
【0058】
図6に戻り、装置内のキュベット廃棄処理(ステップS205)が完了後、測定制御部100は、測定動作を行う(ステップS206)。
本実施の形態においては、測定制御部100は、18秒周期で各ユニットを制御し、測定動作を行う。図8に示したフローチャートを用いて測定動作のフローを説明する。
まず、測定制御部100は、1次攪拌キャッチャ110を制御して、キュベット供給部111から1次反応部109の回転テーブル部109bのポジション150に位置する保持孔109aにキュベットを搬送し、セットする(ステップS450)。測定制御部100は、センサ109cの出力によりキュベットが回転テーブル部109bのポジション150に位置する保持孔109aに搬送されたことを検知する。
【0059】
ついで、測定制御部100は、R1試薬分注アーム117を制御して、R1/R3試薬設置部115に設置された試薬容器内のR1試薬をノズル部によって吸引し、1次反応部109側にアーム117aを回動させ、回転テーブル部109bの保持孔109aに保持されているキュベット内に、吸引したR1試薬を吐出する(ステップS451)。このR1試薬には、検体に含まれる抗原に結合する捕捉抗体が含まれている。
【0060】
ついで、測定制御部100は、検体分注アーム118を制御して、チップ搬送部112により搬送されるピペットチップを装着し、搬送部250により吸引位置まで搬送された検体ラック253に載置される試験管254から血液等の検体を吸引する。そして、測定制御部100は、検体分注アーム118のアーム部118aを1次反応部109側に回動させ、R1試薬分注工程においてR1試薬が分注されたキュベット内に、吸引した検体を吐出する(ステップS452)。
その後、測定制御部100は、1次攪拌キャッチャ110によってR1試薬および検体が収容されたキュベットを攪拌し、攪拌されたR1試薬および検体は、回転テーブル部109bの保持孔109aのキュベット内で所定時間インキュベーションされる。その結果、捕捉抗体(R1試薬)と検体の抗原が結合する。
【0061】
ついで、測定制御部100は、R2試薬アーム119を制御してR2試薬設置部116に設置された試薬容器内のR2試薬をノズル部によって吸引し、1次反応部109側にアーム119aを回動させ、所定時間インキュベーションしたR1試薬および検体を収容するキュベット内に、吸引したR2試薬を吐出する(ステップS453)。このR2試薬には、検体中の抗原が結合した捕捉抗体に結合する磁性粒子が含まれている。
【0062】
その後、測定制御部100は、1次攪拌キャッチャ110を制御して、R1試薬、検体およびR2試薬が収容されたキュベットを攪拌し、攪拌したR1試薬、検体およびR2試薬は、1次反応部109の保持孔109aのキュベット内で所定時間インキュベーションされる。その結果、磁性粒子(R2試薬)と検体の抗原が結合した捕捉抗体(R1試薬)とが結合する。
【0063】
ついで、測定制御部100は、1次攪拌キャッチャ110を制御して、インキュベーションしたR1試薬、検体およびR2試薬を収容したキュベットをポジション165に位置する保持孔109aから1次BF分離部107のポジション186に搬送する(ステップS454)。
【0064】
ついで、1次BF分離部107に保持されたキュベット内の磁性粒子は、当該キュベットの側方に配置される磁石により集磁される。そして、測定制御部100は、1次BF分離部107のノズル部をキュベット内に挿入し、試料を吸引することにより、磁性粒子および当該磁性粒子に捕捉抗体を介して結合した抗原を除く不要成分を除去する(ステップS455)。
【0065】
なお、不要成分の除去をより確実に行うため、測定制御部100は、キュベット内に洗浄液を供給して攪拌し、その後、洗浄液とともに不要成分をノズル部によって除去する動作を繰り返し行う。測定制御部100は、不要成分が除去された後のキュベットを1次BF分離部107を回転させ、搬送機構138によって把持可能な位置まで搬送する。
【0066】
ついで、1次BF分離部107により不要成分が除去されたキュベットは、図1に示すように、搬送機構108のアーム部108aによって把持されて、2次反応部101の回転テーブル部101bのポジション192に位置する保持孔101aに搬送される(ステップS456)。測定制御部100は、センサ101cの出力によりキュベットが回転テーブル部101bのポジション192の保持孔101aに搬送されたことを検知する。
【0067】
ついで、測定制御部100は、R3試薬分注アーム120を制御して、R1/R3試薬115に設置された試薬容器内のR3試薬をノズル部によって吸引し、アーム120aを2次反応部101側に回動させ、捕捉抗体(R1試薬)を介して結合した磁性粒子(R2試薬)と検体の抗原とを収容したキュベット内に所定量のR3試薬を吐出する(ステップS457)。このR3試薬には、検体中の抗原に結合する標識抗体が含まれている。
【0068】
その後、測定制御部100は、2次攪拌キャッチャ102を制御して、捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬が収容されたキュベットを攪拌し、攪拌された捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬は、2次反応部101の保持孔101aに保持されたキュベット内で所定時間インキュベーションされる。その結果、捕捉抗体(R1試薬)を介して磁性粒子(R2試薬)と結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とが結合する。
【0069】
ついで、測定制御部100は、2次攪拌キャッチャ102を制御して、インキュベーションされた捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬を収容したキュベットを回転テーブル部101bのポジション202に位置する保持孔101aから2次BF分離部106のポジション228に搬送する(ステップS458)。
【0070】
ついで、2次BF分離部106に保持されたキュベット内の磁性粒子は、1次BF分離部107における工程と同様に、当該キュベットの側方に配置される磁石により集磁される。そして、測定制御部100は、2次BF分離部106のノズル部をキュベット内に挿入し、試料を吸引することにより、磁性粒子および当該磁性粒子に捕捉抗体を介して結合した抗原を除く不要成分を除去する(ステップS459)。なお、不要成分の除去をより確実に行うため、測定制御部100は、キュベット内に洗浄液を供給して攪拌し、その後、洗浄液とともに不要成分をノズル部によって除去する動作を繰り返し行う。
【0071】
この後、測定制御部100は、2次BF分離部106を回転させ、不要成分が除去された標識抗体が結合した抗原を含む試料を収容したキュベットを2次攪拌キャッチャ102が搬送可能なポジション233まで搬送する。
【0072】
ついで、測定制御部100は、2次攪拌キャッチャ102を制御して、不要成分が除去されたキュベットを再び2次反応部101の回転テーブル部101bのポジション207に位置する保持孔101aに搬送する(ステップS460)。
【0073】
ついで、測定制御部100は、R4試薬供給部121を制御して、測定ユニット2の下部に設置された(図示せず)試薬容器内のR4試薬(分散液)を、捕捉抗体(R1試薬)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)および検体の抗原を収容したキュベット内にノズル部から吐出する(ステップS461)。
【0074】
ついで、測定制御部100は、R5試薬供給部122を制御して、測定ユニット2の下部に設置された(図示せず)試薬容器内のR5試薬を、捕捉抗体(R1試薬)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)、分散液(R4試薬)および検体の抗原を収容したキュベット内にノズル部から吐出する(ステップS462)。R5試薬には、R3試薬の標識抗体と反応して発光する発光基質が含まれている。
【0075】
そして、測定制御部100は、2次攪拌キャッチャ102を制御して、捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)、分散液(R4試薬)および発光基質を含むR5試薬が収容されたキュベットを攪拌し、所定時間インキュベーションする。
【0076】
その後、測定制御部100は、検出部キャッチャ104を制御して、インキュベーションされた捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)、分散液(R4試薬)および発光基質を含むR5試薬が収容されたキュベットを設置位置103aに搬送する(ステップS463)。そして、R3試薬の標識抗体とR5試薬の発光基質との反応過程で生じる発光量が光電子倍増管で取得される(ステップS464)。なお、取得された検出結果は図6のステップS212において、制御装置300に送信される。
【0077】
検出部103の設置位置103aのキュベットは、検出が完了した後、検出部キャッチャ104により廃棄用部材105aの孔を介して測定ユニット2の下部に配置される図4に示す廃棄袋105bに廃棄される(ステップS465)。
【0078】
図6に戻り、測定制御部100は、測定動作(ステップS206)中に測定ユニット2において異常が発生したか否かを判断する(ステップS207)。測定動作中に測定ユニット2に異常が発生した場合(ステップS207においてYes)、測定制御部100は、制御装置300に異常が発生した旨を通知する(ステップS208)。
ついで、測定制御部100は、後述する異常処理(ステップS209)を実施し、測定動作の継続が可能な条件を満たすキュベットは、測定動作を継続し、継続中のキュベットの分析が完了後、測定動作を停止する。
【0079】
測定動作中に測定ユニット2に異常が発生したと判断したとき(ステップS207においてYes)、測定制御部100が実行する異常処理(ステップS209)を図11に示すフローチャートを用いて説明する。
測定制御部100は、図6に示すステップS207において異常を検知した場合、異常の発生した工程に応じて、測定動作を継続するか否かを判断する。異常が図8に示すステップS457からステップS465で発生した場合(ステップS600においてYes)、測定制御部100は、すべての測定動作を停止する(ステップS601)。
一方、異常が図8に示すステップS450からステップS456で発生した場合(ステップS600においてNoかつステップS610においてYes)、測定制御部100は、図8に示すステップS456までの処理を停止し、ステップ457以降の処理を継続する(ステップS611)。
また、異常が図8に示すステップS450以前で発生した場合(ステップS600においてNo、ステップS610においてNoかつステップS620においてYes)、測定制御部100は、ステップS450までの処理、すなわち検体分注アーム118による新たな検体の吸引を停止し、ステップS450以降の処理を継続する(ステップS621)。
さらに、試薬の有効期限切れなどユーザに警告を促す異常が発生した場合(ステップS600においてNo、ステップS610においてNo、ステップS620においてNoかつステップS620においてNo)、測定制御部100は、その旨をヘルプ画面560に表示し、測定動作を継続する(ステップS630)。
【0080】
図6に戻り、測定制御部100は、測定動作を継続しているキュベットの測定が完了した場合(ステップS210においてYes)、測定結果を制御装置300に通知する(ステップS211)。 測定ユニット2内に測定動作を継続しているキュベットがある場合(ステップS210においてNo)、処理をステップS206に戻す。
測定制御部100は、測定結果を制御装置300に通知した後、現在の装置状態を判断する(ステップS212)。装置状態が測定予約の場合(ステップS212においてYes)、測定制御部100は、処理をステップS202に進め、制御装置300に装置状態が測定中に変わったことを通知し(ステップS202)、各ユニットの初期化動作を行い(ステップS203)、装置内のキュベットの廃棄処理(ステップS205)が完了した後、測定動作を実行する(ステップS206)。
一方、装置状態が異常である場合、(ステップS212においてNoかつステップS213においてYes)、制御装置100は、処理をステップS200に戻し、制御装置300から測定再開のための測定開始コマンドを受信するのを待つ(ステップS200)。
また、装置状態が測定予約または異常でない場合、すなわち測定中である場合(ステップS212においてNoかつステップS213においてNo)、測定制御部100は、制御装置300に装置状態がスタンバイに変わったことを通知し(ステップS214)、処理をステップS200に戻し、制御装置300から測定開始のための測定開始コマンドを受信するのを待つ(ステップS200)。
【0081】
制御装置300は、測定制御部100から装置状態(ステップS102)、異常発生通知(ステップS120)または測定結果(ステップS130)を受信するのを待機しており、装置状態を受信した場合(ステップS102においてYes)、処理をステップS103に進める。制御装置300は、測定制御部100から受信した装置状態の内容が測定中である場合(ステップS103においてYes)、図9に示す装置状態インジケータ554aの背景色を橙に、そして装置状態メッセージ556を測定中に変更し(ステップS104)、後述する図10のヘルプ画面560のエラー内容表示欄561に表示されたエラーメッセージをすべて消去し(ステップS105)、処理をステップS100に戻す。
一方、測定制御部100から受信した装置状態が測定予約である場合(ステップS103においてNoかつステップS106においてYes)、制御装置300は、装置状態を図9に示す装置状態インジケータ554aの背景色を橙に、そして装置状態メッセージ556を測定予約に変更し(ステップS107)、処理をステップS100に戻す。
また、測定制御部100から受信した装置状態がスタンバイである場合(ステップS103においてNoかつステップS106においてNoかつステップS108においてYes)、制御装置300は、装置状態を図9に示す装置状態インジケータ554aの背景色を緑に、そして装置状態メッセージ556をスタンバイに変更し(ステップS109)、処理をステップS100に戻す。
さらに、測定制御部100から受信した装置状態が測定中、測定予約またはスタンバイの何れでもない場合(ステップS103においてNoかつステップS106においてNoかつステップS108においてNo)、処理をステップS100に戻す。
【0082】
一方、制御装置300が測定制御部100から異常発生通知を受信した場合(ステップS102においてNoかつステップS120においてYes)、制御装置300は、免疫分析装置1のユーザにディスプレイ302またはアラーム音を介して免疫分析装置1のユーザに測定ユニット2で異常が発生したことを知らせる(ステップS121)。ついで、制御装置300は測定ユニット2において発生した異常とその復帰方法を後述するヘルプ画面560に表示し(ステップS122)、処理をステップS100に戻す。
【0083】
測定ユニット2において発生した異常とその復帰方法をユーザに示すヘルプ画面560の一例を図10に示す。ヘルプ画面560は、主にエラー内容表示欄561と、エラー選択用カーソル562、スクロールバー563、およびアクションメッセージ欄564とを備えている。
エラー内容表示欄561には、測定ユニット2および制御装置300で発生している異常を複数表示することができる。本実施の形態においては、発生したエラーが上から異常の重要度順に表示しているが、発生順としてもよい。エラー選択用カーソル562は、デフォルトでは最新に発生した異常の上に表示されているが、ユーザがマウスを操作することにより、エラー内容表示欄561に表示された他の異常に表示させることも可能である。スクロールバー563は、複数の異常が発生し、エラー内容表示欄561に一度に表示することができない場合、スクロールバー563を上下させることで、表示しきれなかった異常をエラー内容表示欄561に表示することができる。アクションメッセージ欄564は、エラー選択用カーソル562により選択されたエラーに対応したアクションメッセージを表示する。
【0084】
図6に戻り、制御装置300が測定制御部100から異常発生通知を受信した後(ステップS102においてNoかつステップS120においてYes)、ユーザにより図9に示す測定開始ボタン552aが押下されると(ステップS100においてYes)、測定制御部100に測定再開のための測定開始のコマンドが送信される(ステップS101)。
【0085】
測定制御部100は、制御装置300から測定開始のコマンドを受信すると(ステップS200においてYes)、測定動作が停止しているか否かを判断する(ステップS201)。測定動作が停止している場合(ステップS201においてYes)、測定制御部100は、制御装置300に装置状態が測定中に変わったことを通知し(ステップS202)、各ユニットの初期化動作を行う(ステップS203)。測定ユニット2で発生する異常の大半は、測定動作時にユニットが他のユニットと干渉してしまい所定の位置にアクセスできないことに起因し、ユニットの位置ずれや故障に起因するものではない。このため、測定ユニット2で発生する異常の大半は、ユニットの位置調整やユニットの交換を行うことなく、各ユニットの初期化動作を実行することにより復帰することができる。
さらに、測定制御部100は、初期化動作が正常に完了した場合、測定ユニット2で発生した異常が全て復帰できたと判断する。これにより、例えば測定ユニット2で複数の異常が発生しているような場合、ユーザは発生している異常を1つずつ選択して復帰手順に従い復帰動作を行う必要がなくなるので、迅速に測定を再開することができる。 ついで、測定制御部100は、初期化動作時に異常が発生したか否かを判断する(ステップS204)。初期化動作時に異常が発生しなかった場合(ステップS204においてNo)、測定制御部100は、装置内のキュベット廃棄処理を実行し(ステップS205)、キュベット廃棄処理が完了した後、測定動作を再開する(ステップS206)。
一方、測定動作が停止していない場合(ステップS201においてNo)、すなわち異常が発生した後、異常処理により継続可能な測定動作が継続している場合、制御装置300に装置状態が測定予約に変わったことを通知し(ステップS215)、処理をステップS200に戻す。測定制御部100は、制御装置300から測定開始コマンドの受信(ステップS200)またはシャットダウンコマンドの受信(ステップS220)を待機している間に、異常処理により継続していた測定(ステップS209)が完了した場合(ステップS210においてYes)、制御装置300に測定結果を報告し(ステップS211)、装置状態が測定予約であるか否かを判断する(ステップS212)。この場合、装置状態が測定予約であるので(ステップS212においてYes)、測定制御部は、処理をステップS202に戻し、制御装置300に装置状態が測定中に変わったことを通知し(ステップS202)、各ユニットの初期化動作を行う(ステップS203)。ついで、測定制御部100は、初期化動作時に異常が発生したか否かを判断する(ステップS204)。初期化動作時に異常が発生しなかった場合(ステップS204においてNo)、測定制御部100は、装置内のキュベット廃棄処理を実行し(ステップS205)、キュベット廃棄処理が完了した後、測定動作を再開する(ステップS206)。
【0086】
なお、上記の初期化動作によって異常を解除できなかった場合には、免疫分析装置1は以下のように動作する。測定制御部100は、初期化動作時に異常が発生したと判断した場合(ステップS204においてYes)、制御装置300に異常が発生した旨を通知し(ステップS208)、異常処理を実施する(ステップS209)。初期化動作時においては、測定を継続するキュベットがないので、測定制御部100は、測定動作を停止させる。ついで、測定制御部100は、測定動作を継続しているキュベットの測定が完了しているか否かを判断する(ステップS210)。この場合、測定動作が停止しているので測定制御部100は測定動作が完了したと判断し(ステップS210においてYes)、測定結果を制御装置300に通知し(ステップS211)、処理をステップS200に戻す。
【0087】
制御装置300は、測定制御部100から異常発生通知を受信すると(ステップS102においてNoかつステップS120においてYes)、免疫分析装置1のユーザにディスプレイ302またはアラーム音を介して測定ユニット2で異常が発生したことを知らせる(ステップS121)。ついで、制御装置300は、測定ユニット2において発生した異常とその復帰方法を後述するヘルプ画面560に表示し(ステップS122)、処理をステップS100に戻す。
免疫分析装置1のユーザは、初期化動作によって復帰できなかった異常をヘルプ画面560より1つずつ選択し、図示しない復帰ボタンを押下して異常を復帰させる。
【0088】
また、制御装置300が測定制御部100から測定結果を受信した場合(ステップS102においてNoかつステップS120においてNoかつステップS130においてYes)、制御装置300は測定結果の解析を行い(ステップS131)、処理をステップS100に戻す。
【0089】
一方、制御装置300において、免疫分析装置1のユーザがシャットダウンを実行するため、ディスプレイ302上のシャットダウンボタン(図示せず)を押下すると(ステップS100においてNoかつステップS140においてYes)、制御装置300は測定制御部100にシャットダウンコマンドを送信し(ステップS141)、測定制御部100からシャットダウン完了の通知が送信されるのを待機する(ステップS142)。 制御装置300は、測定制御部100からシャットダウンの完了を受信すると(ステップS142においてYes)、測定制御部100との通信を切断し(ステップS143)、処理を終了する。
シャットダウンボタンが押下されなかった場合(ステップS100においてNoかつステップS140においてNo)、制御装置300は、処理をステップS100に戻す。
【0090】
測定制御部100は、シャットダウンコマンドを受信すると(ステップ200においてNoかつステップS220においてYes)、試薬アーム115の洗浄、試薬を分注するための流路(図示せず)等を洗浄し(ステップS221)、シャットダウンの完了後、シャットダウンが完了したことを制御装置300に送信する(ステップS222)。
【0091】
以上で説明した処理によって、測定ユニット2に異常が発生した場合、ユーザは測定を再開するため、測定開始ボタンを押下するだけでよいので、容易に測定を再開することができる。また、測定制御部100は、キュベットの廃棄処理を行う際、測定動作中に複数のユニットを制御する周期よりも短い周期で複数のユニットを制御するので、迅速にキュベットを廃棄することができ、ユーザは迅速に測定を再開することが可能となる。
【0092】
本実施の形態においては、測定開始ボタンを制御装置300のディスプレイ302に表示する構成について述べたが、測定ユニット2に測定を開始するためのスイッチを設ける構成としてもよい。
【0093】
また、本実施の形態においては、1次反応部109上のセンサ109cと2次反応部101上のセンサ101cを用いて、回転テーブル部109bと回転テーブル部101bの保持孔に存在するキュベットの位置を検知する構成について述べたが、上記センサ109cと101cを用いずに、回転テーブル部109bと回転テーブル部101bの全ての保持孔にキュベットが存在しているとして廃棄動作を実行する構成としてもよい。
【0094】
また、本実施の形態においては、キュベットの廃棄処理時に1次BF分離部107と2次BF分離部106の全保持部にキュベットが存在するとみなす構成について述べたが、1次BF分離部107と2次BF分離部106の保持部にキュベットが存在しているか否かを検知するためのセンサを設ける構成としてもよい。
【0095】
また、本実施の形態においては、キュベットを保持し、所定の速度で搬送するユニットとして1次反応部109、2次反応部101、1次BF分離部107および2次BF分離部106が存在する構成について述べたが、特開平6−82461に開示されているような、1次反応部109、2次反応部101、1次BF分離部107および2次BF分離部106の測定動作が1つのターンテーブルにおいて実施される構成としてもよい。
【0096】
また、本実施の形態においては、測定時の周期とキュベット廃棄時の周期が異なる構成について述べたが、測定時の周期とキュベット廃棄時の周期を同じとする構成としてもよい。
【0097】
また、本実施の形態において、測定時の周期は18秒、キュベット廃棄時の周期は9秒である構成について述べたが、このような本発明と本実施の形態との対応関係は1つの例示である、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1実施形態例に係る分析装置全体構成図の一例である。
【図2】2次反応部のハードウェア構成図である。
【図3】検出部と廃棄用部材のハードウェア構成図である。
【図4】測定制御部のハードウェア構成図である。
【図5】図1に示した制御装置のハードウェア構成図である。
【図6】分析装置が行うメイン処理を示すフローチャートの一例である。
【図7】測定制御部が行うキュベットの廃棄処理を示すフローチャートの一例である。
【図8】図1に示した免疫分析装置の測定動作のフローを示す図である。
【図9】ユーザが測定開始の操作を行う操作画面の一例である。
【図10】制御装置のディスプレイに表示されるヘルプ画面の一例である。
【図11】測定制御部が異常発生後に行う異常処理を示すフローチャートの一例である。
【符号の説明】
【0099】
1 分析装置
2 測定ユニット
100 測定制御部
101 2次反応部
101c 2次反応部上のセンサ
102 2次攪拌キャッチャ
103 検出部
104 検出部キャッチャ
105 廃棄用部材
106 2次BF分離部
107 1次BF分離部
108 搬送機構
109 1次反応部
109c 1次反応部上のセンサ
110 1次攪拌キャッチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の動作を行う複数のユニットを備えており、試料と試薬とを含む測定試料を調製する試料調製部と、
前記試料調製部によって調製された測定試料から所定の成分を検出する検出部と、
前記試料調製部による測定試料の調製および前記検出部による測定試料の所定の成分の検出を含む測定動作の開始指示を受け付ける測定開始指示受付手段と、
前記測定開始指示受付手段が測定動作の開始指示を受け付けたとき、測定動作を実行するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定手段と、
前記複数のユニットの動作の異常を検知する異常検知部と、
前記異常検知部が異常を検知したとき、前記複数のユニットの動作を停止させる動作停止手段と、
前記動作停止手段によって測定動作が停止した後、測定動作の再開指示を受け付ける測定再開指示受付手段と、
前記測定再開指示受付手段が測定動作の再開指示を受け付けたとき、前記複数のユニットを初期位置に動作させた後、測定動作を再開するよう前記複数のユニットおよび前記検出部を制御する測定再開手段とを備える、分析装置。
【請求項2】
表示部をさらに備え、
前記測定再開指示受付手段は、前記表示部にユーザからの測定動作の再開指示を受け付けるボタンを表示するように構成されている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記測定開始指示受付手段は、前記ボタンを介してユーザからの測定動作の開始指示を受け付けるように構成されている請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
表示部と、前記異常検知部が異常を検知すると、異常の内容および当該異常の復帰方法とを前記表示部に表示する表示制御手段とをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記測定再開指示受付手段が測定動作の再開指示を受け付けると、前記表示部に表示した前記異常の内容および当該異常の復帰方法を前記表示部から消去するように構成されている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記動作停止手段は、前記異常検知部が異常を検知したとき、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作を継続しつつ、測定動作の継続が不可能な測定試料について測定動作を停止するように前記複数のユニットを制御し、
前記測定再開指示受付手段は、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作を行っているとき、測定動作の再開指示を受け付けることができるように構成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記測定再開手段は、測定動作の継続が可能な測定試料についての測定動作が継続しているとき、前記測定再開指示受付手段が測定動作の再開指示を受け付けた場合、測定動作の継続が可能な測定試料について測定動作が停止した後、前記複数のユニットを初期位置に移動させ、測定動作を再開するように前記複数のユニットおよび検出部を制御する、請求項1〜5の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
検出部により所定の成分の検出が完了した測定試料を収容する反応容器が廃棄される廃棄部をさらに備え、
前記複数のユニットは、反応容器を複数保持する反応容器保持部と、前記反応容器保持部から前記廃棄部に反応容器を廃棄する廃棄機構部とを含み、
前記測定再開手段は、前記測定再開指示受付手段によって測定動作の再開指示が受け付けられると、前記複数のユニットを初期位置に移動させた後、反応容器保持部に保持されている反応容器を前記廃棄機構部によって前記廃棄部に廃棄し、測定動作を再開するように前記反応容器保持部と前記廃棄機構部を制御する、請求項1〜6の何れか1項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記複数のユニットは、所定の周期ごとに前記反応容器保持部を略水平面上で所定の角度回転移動させる駆動源を含み、
前記測定再開手段は、反応容器を廃棄するとき、前記反応容器保持部を所定の角度回転移動させる周期が、測定のときに前記反応容器保持部を所定の角度回転移動させる周期よりも短くなるよう前記駆動源を制御する請求項7に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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