説明

分水栓施工後の漏水検査方法及びそれを実施するための漏水検査装置

【課題】特願2011−179747と同様の分水栓施工技術を用いながら、この施工技術の実施後に、更生管に通水することなく分水栓の水圧試験を簡易な水圧試験冶具を用いて行うことにより、更生管への通水前に漏水の可能性の有無を検査することのできる分水栓施工後の漏水検査法及び検査装置を提供する。
【解決手段】分水栓施工後の漏水検査方法であって、分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第3の工程と、分水栓取付部材を漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第4の工程と、分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第5の工程、とからなることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、水道管などのように道路の地中に配管された既設管が老朽化した際、新しい管に取り替えるために、更生管を既設管中に挿入する施工工事を行う。この場合に、本発明者は更生管に当然に必要となる分岐部分の水密性をいかに確保するかという点の技術について特願2011−179747の発明の提案をした。
【0002】
この発明は、かかる複合管を用いた更生管施工技術において、分岐部分の水密性の水漏れ検査を容易に行える方法を確保し、かつ分水栓の施工工程の流れの中で漏水検査を行える分水栓の漏水検査方法及びそれを実施するための漏水検査装置に関する。
【背景技術】
【0003】
本願発明者が提案した特願2011−179747においては、他の特許文献(特開2011−037012号公報、特開2011−042164)に比し、特に分水栓の分岐部分の水密性を充分に確保し得る技術であるが、分水栓施工完了後に通水を行った場合に、施工の状況や施工条件や環境によって分岐部から漏水を生起する場合が考えられる。
【0004】
例えば、
(1)通常考えられる漏水原因としては、更生管に分水栓取付孔をドリルで穿孔する際に穿孔面が摩耗により粗面となる場合
(2)穿孔時に既設管の材料としての鉄、モルタルがドリルに巻込まれたり、穿孔時に更生管の材料の繊維質が確実に切断されず繊維自由端が浮遊状態で穿孔粗面となる場合
(3)ゴム輪の上下端縁部と接触する他の接触部材の押圧力が足りずに、分水栓取付孔周の既設管外周面と更生管内周面にパッキン材としてのゴム輪上下端縁部が充分に押圧されていない場合
(4)分水栓取付孔の穿孔内周面にドリルの穿孔切屑が付着してゴム輪外周面の間に挟着した状態となっている場合
などが考えられる。
【0005】
このような原因により一旦通水を行った後に分岐部から漏水が生起した場合には、管路を断水して止水工事を行い原因の解明をしてその後補修工事を行う必要があり、多大の労力と時間とコストを要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−037012号公報
【特許文献2】特開2011−042164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明では、特願2011−179747と同様の分水栓施工技術を用いながら、この施工技術の実施後に、更生管に通水することなく分水栓の水圧試験を簡易な水圧試験冶具を用いて行うことにより、更生管への通水前に漏水の可能性の有無を検査することのできる分水栓施工後の漏水検査法及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に圧着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、修繕管の外方に突出した分水栓取付部材の縦螺杆に水圧試験装置を連通連設し、縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第3の工程と、スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して、分水栓取付部材を漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第4の工程と、分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第5の工程、とからなる分水栓施工後の漏水検査方法に関する。
【0009】
また、上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に圧着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して、分水栓取付部材を漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第3の工程と、分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第4の工程と、分水栓に水圧試験装置を連通連設すると共に分水栓内を貫通した縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第5の工程、とからなる分水栓施工後の漏水検査方法に関する。
【0010】
また、上方開口の箱型ケースの上方開口縁部を既設管の内周面に沿って密着可能に形成すると共に、始端を水圧試験冶具に連通可能とし、終端を外方に開口した縦水路を内部に有する縦螺杆を箱型ケースの底部に立設し、箱型ケース内底面に載置が可能な圧縮用鍔部を下端に形成した筒状の圧縮冶具を縦螺杆の外周に嵌合し、縦螺杆における縦水路の終端開部と箱型ケースの内部とは連通状態とすることにより、縦螺杆と圧縮冶具との間の嵌合間隙及び圧縮用鍔部の下底面と箱型ケース内底面との間の載置間隙に通水が可能に構成とし、筒状の圧縮冶具の外周には下端にゴム受けフランジを形成したスリーブを嵌合し、更には、前記スリーブの外周には修繕管の周壁に形成した分水栓取付孔に嵌着するための筒状のゴム輪を嵌着し、スリーブの外周にはゴム輪の上端縁を分水栓取付孔の周縁部に圧着するためのゴム輪圧縮ナットを螺合することにより構成したことを特徴とする漏水検査装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、修繕管の一端開口部からロープを介して分水栓取付部材を送り込み、分水栓取付孔に嵌入した縦螺杆と、その外周のスリーブと、スリーブ外周のゴム輪によって修繕管の分水栓取付孔内周面にゴム輪を水密状に嵌着して分水栓の取付け施工を確実、簡便に行うことができると同時に、修繕管の内周面に密着した上方開口の箱型ケース内に縦螺杆の縦水路を介して水圧をかけることにより分水栓取付孔内周面とゴム輪の嵌着部やゴム輪とスリーブの嵌着部の漏水の有無を迅速に、かつ簡易に検査することができ、分水栓施工後に通水した場合の不用意な漏水事故から生じる補修工事の煩雑さや各種の負荷を解消することができる効果がある。
【0012】
特に、本発明によれば、分水栓の施工を行う冶具と漏水検査を行う水圧試験冶具とを一体に構成することができるため、分水栓施工作業の一連の工程の中で漏水検査も行うことができることになり、安全で正確、迅速な分水栓施工を簡便に、かつ安価に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】修繕管の分水栓取付孔に分水栓取付部材を取り付ける状態の断面説明図。
【図2】図1の要部の拡大図。
【図3】図2の要部の拡大説明図。
【図4】本発明の分水栓施工を行う部分の修繕管の断面図。
【図5】本発明の分水栓を取り付けるために使用するサドルの平面図。
【図6】本発明の漏水検査装置における分水栓取付部材の送水ポールを示す断面図。
【図7】送水ポールにゴム輪圧縮冶具、スリーブ、ゴム輪を嵌着した状態の断面図。
【図8】箱型ケースに一体に立設した送水ポールの斜視図。
【図9】ゴム輪圧縮冶具の断面図。
【図10】スリーブの断面図。
【図11】ゴム輪の断面図。
【図12】締付ナットの断面図。
【図13】袋ナットの断面図。
【図14】締付ナットの締付を行う締付冶具の平面図。
【図15】同断面図。
【図16】ゴム輪圧着ナットの断面図。
【図17】水圧冶具の断面図。
【図18A】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18B】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18C】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18D】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18E】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18F】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18G】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図18H】分水栓取付部材の施工及び水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図19A】図18の変形例にかかわる水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図19B】図18の変形例にかかわる水圧検査の過程を示す断面説明図。
【図19C】図18の変形例にかかわる水圧検査の過程を示す断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施例は、上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に密着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、修繕管の外方に突出した分水栓取付部材の縦螺杆に水圧試験装置を連通連設し、縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第3の工程と、スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して分水栓取付部材を、漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第4の工程と、分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第5の工程、とからなる分水栓施工後の漏水検査方法に関する。
【0015】
また、上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に嵌着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して分水栓取付部材を、漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第3の工程と、分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第4の工程と、分水栓に水圧試験装置を連通連設すると共に分水栓内を貫通した縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第5の工程とからなる分水栓施工後の漏水検査方法に関する。
【0016】
また、上方開口の箱型ケースの上方開口縁部を既設管の内周面に沿って密着可能に形成すると共に、始端を水圧試験冶具に連通可能とし、終端を外方に開口した縦水路を内部に有する縦螺杆を箱型ケースの底部に立設し、箱型ケース内底面に載置が可能な圧縮用鍔部を下端に形成した筒状の圧縮冶具を縦螺杆の外周に嵌合し、縦螺杆における縦水路の終端開部と箱型ケースの内部とは連通状態とすることにより、縦螺杆と圧縮冶具との間の嵌合間隙及び圧縮用鍔部の下底面と箱型ケース内底面との間の載置間隙に通水が可能に構成とし、筒状の圧縮冶具の外周には下端にゴム受けフランジを形成したスリーブを嵌合し、更には、前記スリーブの外周には修繕管の周壁に形成した分水栓取付孔に嵌着するための筒状のゴム輪を嵌着し、スリーブの外周にはゴム輪の上端縁を分水栓取付孔の周縁部に圧着するためのゴム輪圧縮ナットを螺合することにより、構成したことを特徴とする漏水検査装置に関する。
【0017】
以下に、この発明の分水栓施工後の漏水検査方法、及びそれを実施するための漏水検査装置の実施例を図面に基づき詳説する。
【0018】
図1は、地中に埋設され老朽化していた水道管が補修を受けて修繕された修繕管1を示している。
【0019】
図1に示すように、修繕管1は、補修の際に水道管の一部が除去されることにより端部開口2,2が形成されている。また、ここでは修繕管1の中途部に水道を分岐する分水栓を着取すべく、分水用作業坑3が形成されている。
【0020】
修繕管1は、図4に示すように、長年に亘って使用され老朽化したダグタイル管(以下、既設管4という。)の内部に、内側からポリエチレン層、樹脂含浸ポリエステル不織布層、及び樹脂含浸ガラス長繊維層の三層のライニング材からなるノーディパイプ(以下、更生管5という。)を嵌装することで修繕されたものである。
【0021】
分水栓の施工にあたっては、図4に示すようにまず、修繕管1の外周に、分水栓100を取り付けるためのサドル10の取付を行い、分水栓100を取り付けるための分水栓取付孔Hを穿孔する。
【0022】
サドル10は、図4に示す正面視において略Ω型の上部分割体10aと、同じく略Ω型の下部分割体10bとで構成されており、両分割体10a,10bには、それぞれボルト11を挿通するためボルト挿通孔を備えたフランジ部10cが形成されている。また、上部分割体10aの頂部には、図4,5に示すように、後に取り付けられる分水栓100に連通させるための孔部12が形成されている。また、孔部12の周縁に沿って壁部12aが形成されており、同壁部12aの内周面には雌ネジ部12bが形成されている。
【0023】
サドル10の修繕管1への取付は、図4に示すように、上部分割体10aの凹状周面と、下部分割体10bの凹状周面とで修繕管1の外周を囲繞し、両分割体10a,10bのフランジ部10cにそれぞれボルト11を挿通してナットを螺合させることにより行う。そして、孔部12に図示しない穿孔機を取り付けて修繕管1の表面に穿孔し、分水栓取付孔Hを形成する。
【0024】
次に、サドル10が取り付けられた修繕管1に分水栓100の施工を行うに際しては、図1〜3に示すように、修繕管1の内壁側に取り付ける部材を修繕管1の端部開口2より送り込み、当該部材を前述の分水栓取付孔Hから引き上げつつ取り付けを行う点に特徴を有している。特に、本方法は、管路内に直接人が入って分水栓の施工を行うことができない場合に適している。
【0025】
具体的には、図1に示すように、施工現場にはドラム装置70が設置されており、このドラム装置70を構成する巻回ドラム73に巻回された索体71によって修繕管1内での分水栓取付部材Mの送り込みを行う、送り込み工程(第1の工程)が行われる。
【0026】
すなわち、ドラム装置70は、図1及び図2に示すように、索体71の繰り出し及び巻取を行う巻回ドラム73と、巻回ドラム73より繰り出され、先端にヘッド74が取り付けられた索体71と、ヘッド74に取り付けられたロープ体75と、ロープ体75の終端に取り付けられた分水栓取付部材Mと、分水栓取付部材Mの終端と索体71の中途部とを連結するワイヤー20で構成している。
【0027】
なお、本実施形態では、掘削された分水用作業坑3a及び3bの2箇所において分水栓の取付作業を行うこととしており、索体71には2つの分水栓取付部材Mが連結されているが、より多くの分水栓取付部材Mを連結させて更なる箇所の分水栓の取付作業を同時に行うことも勿論可能である。
【0028】
索体71は、可撓性を有しつつも、巻回ドラム73側から繰り出す方向への力を付与する。
【0029】
ヘッド74は、図2に示すように、索体71の先端部に取り付けられた部材であり、分水栓取付部材Mに取り付けられたロープ体75を係止可能に構成している。
【0030】
ロープ体75は、ヘッド74に分水栓取付部材Mを連結し追従させるためのものである。
【0031】
また、分水栓取付部材Mの終端にはワイヤー20の一端側が接続されており、同ワイヤー20の他端は、ワイヤー連結体21により索体71の中途に連結されている。
【0032】
分水栓取付部材Mは、ロープ体75の終端に取り付けられており、ヘッド74に追従して修繕管1の内部を移動する。
【0033】
以下、この分水栓取付部材Mについて具体的に説明する。
【0034】
図7に示すように、分水栓取付部材Mは、箱型ケースKと、縦螺杆30と、圧縮冶具35と、スリーブ34と、ゴム輪31とより構成されている。
【0035】
箱型ケースKは、図8に示すように上方開口の方形の箱型に形成されており、その上方開口縁部6は、更生管5の内周面に沿った凸状の半円弧に形成されており、箱型ケースKの底部中央には、縦螺杆30が立設されている。
【0036】
縦螺杆30は、図6〜7に示すように、外面に雄ネジ部30aが形成されたロッド状の部材であり、その上端部には、ロープ体75を挿通可能なロープ体挿通孔30bを有したロープ取付ボルト30cが螺入され、ロープ体75は、このロープ体挿通孔30bに挿通し、ロープ取付ボルト30cにてループ状に固定することで、分水栓取付部材Mに連結される。この縦螺杆30は、ロープ体75を介して引き上げる役割を有する。
【0037】
縦螺杆30の内部には、縦水路S1が設けられており、その始端開口部S2は後述する水圧検査装置Wと連通連設し、終端は、縦螺杆30の下部外周に開口する横水路S3と連通している。
【0038】
従って、水圧検査装置Wからの水圧は、縦水路S1から横水路S3を介して縦螺杆30の外周方に水圧負荷をかけることができ、この水圧負荷は後述するように箱型ケースK内部からゴム輪31の接触部分へ伝わることにより漏水検査を行うことができるように構成されている。
【0039】
ゴム輪31は、ゴムなどの弾性素材にて形成されており、分水栓取付孔Hの止水と、同分水栓取付孔H周縁近傍の更生管5の不安定となった組織(穿孔により不安定となった組織)を保護する役割を担う部材である。
【0040】
すなわち、図11に示すように、ゴム輪31は、図10に示したスリーブ34が挿通されるスリーブ挿通孔31aを備えた周壁部31bと、同周壁部31bの下端において半径方向外方へ延出させたフランジ31cとで構成している。
【0041】
周壁部31bの外径は、分水栓取付孔Hよりも僅かに(例えば、1mm程度)小径としており、分水栓取付孔Hにゴム輪31が簡単に挿し込めるようにしている。また、同周壁部31bの厚みは、ゴム輪31を上下方向から圧縮して周壁部89を肉厚状に変形させた際、スリーブ34と分水栓取付孔Hとの間隙を水密状に充填できる程度の厚みとしている。
【0042】
また、ゴム輪31は、周壁部31bの下端縁部とフランジ31c下面とにより連続した円弧状の湾曲部31dが形成されており、この湾曲部31dの曲率は、修繕管1の内周面の曲率と略同じ曲率としている。
【0043】
これは、湾曲部31dを設けず、直線状の底面とした場合に比して、分水栓取付の際にスリーブ34と修繕管1との間に挟まれるフランジの圧縮負荷を、その周回りにおいて略均一とするための構造である。
【0044】
また、周壁部31bの上下方向の長さは、修繕管1の管厚よりも大きく形成しており、周壁部31bの上部には、半径方向内方へ向けて膨出状とした環状凸部31eが備えられている。また、この環状凸部31eの上端縁は、スリーブ34が挿通された際に修繕管1の外面に沿うように、上方へ湾曲させた湾曲部31fとしている。
【0045】
また、スリーブ挿通孔31aの下部(フランジ31cの内方)には、上方に向けて縮径するテーパー部31gが設けられている。このテーパー部31gは、スリーブ34をスリーブ挿通孔31aに挿入する際の、ガイドの役割を果たす。なお、テーパー部31gよりも上方のスリーブ挿通孔31aの内径は、後に詳述するスリーブ34の筒壁体34bの雄ネジ部34hよりも下方位置の外径よりも僅かに小さく形成している。
【0046】
これは、スリーブ34の圧入によってゴム輪31の内径を押し広げることにより、分水栓取付孔Hとゴム輪31の外周面との間に形成される隙間を埋め、なおもゴム輪31を押し広げてスリーブ34外周と分水栓取付孔Hの内周面との間でゴム輪31は強く圧縮される。この圧縮によっても、分水栓取付孔Hは止水すると共に安定した穿孔壁面になる。すなわち、分水栓取付孔Hやゴム輪31、スリーブ34により構成される分岐部の止水は、分水栓取付孔Hにゴム輪31を入れ、さらに、スリーブ34をゴム輪31内に圧入することによって行われる。
【0047】
スリーブ34は、図10に示すように、筒状で下部にゴム受けフランジを有する金属製(例えば、SUS316)の部材であり、修繕管1より分水された水が通水する通水孔34aを備えた外観視略円筒状の筒壁体34bと、筒壁体34bの下端開口縁部より半径方向外方へ向けて形成されたゴム受けフランジ34cとを備えている。
【0048】
筒壁体34bの上下方向中途部外面には、後述のゴム輪圧縮ナット36と螺合する雄ネジ部34hが形成されている。なお、スリーブ34はゴム輪31内に圧入される部材であることから、この雄ネジ部34hには、ゴム輪31の内面に傷を付けないようなネジ加工が施されている。
【0049】
ゴム受けフランジ34cは、その縁部を上方に立ち上げてなる立上部34eが形成されており、筒壁体34bと立上部34eとの間(ゴム受けフランジ34cの上面)に環状溝部34fが形成されている。この環状溝部34fは、分水栓取付の際に、フランジ34cと修繕管1の内壁面との間でゴム輪31のゴム受けフランジ31cをしっかりと噛み込んで水密状に圧着固定するための部位である。
【0050】
また、スリーブ34には、筒壁体34bの下端縁部とゴム受けフランジ34c下面とを連続させてなる円弧状の湾曲部34gが形成されており、この湾曲部34gの曲率は修繕管1の内周面の曲率と略同じ曲率としている。これは、分水栓取付の際にスリーブ34をゴム輪31のフランジ31cの下面にフィットさせて、スリーブ34のゴム輪31への圧力を分水栓取付孔Hの周縁部近傍において均等とするための構造である。
【0051】
スリーブ34と箱型ケースKの中央に立設した縦螺杆30との間には,図9に示すような圧縮冶具35が介在して嵌着されている。
【0052】
圧縮冶具35は、図9に示すように下端に圧縮用鍔部37を突設しており、上部外周面には雄ネジ部を形成すると共に、下端内周面及び圧縮冶具35の下底面には、縦溝或は下部内周面全面を薄く切削して形成した水路38を形成している。
【0053】
圧縮冶具35の外周にスリーブ34を嵌着した場合には、圧縮用鍔部37がスリーブ34のゴム受けフランジ34cを下面より支持する状態となり、他方、圧縮冶具35の水路38は、縦螺杆30内部の縦水路S1と連通して、箱型ケースKの内部に水圧負荷をかけることができるように構成している。
【0054】
後述するように当然に箱型ケースK内への水圧負荷は、分水栓取付孔Hとゴム輪31との嵌着部やゴム輪31とスリーブ34との嵌着部の水漏試験に使われる。
【0055】
次に、修繕管1内より孔部12を介して露出させた分水栓取付部材Mに対し、修繕管1の外部より取り付ける部材について説明する。図18Dに示すように、サドル10の孔部12内には、分水栓取付孔Hに嵌着したゴム輪31の上端縁を圧着するためのゴム輪圧縮ナット36が嵌入されている。図中、43はワッシャである。
【0056】
ゴム輪圧縮ナット36は、スリーブ34の外周の雄ネジ部34hと螺合するものであり、該ナット36には、図16に示すように、周縁にピン挿入孔36aを設けており、ピン挿入孔36aは、図14,15に示す締付冶具Pの袋ナット状頭部P3に垂設した嵌合ピンP1に嵌入して、締付冶具Pの操作によりゴム輪31の上端縁部を分水栓取付孔Hの周辺に圧着する。P2は、締付冶具Pのハンドルである。
【0057】
サドル10の孔部12内には、前述したゴム輪圧縮ナット36上方に重ねて水圧冶具Qが嵌入されている。
【0058】
すなわち、水圧冶具Qは、図17や図18B、図18C、及び図18Eに示すように下半部周面を雄ネジ部Q1とし、その上方にサドルの孔部12の壁部12aに載置される係合フランジQ2を設け、更に上方に冶具本体Q3を設けて形成しており、内部の縦螺杆貫通孔Q4の下半部には、圧縮冶具35に嵌着したスリーブ34を縦螺杆30と共に挿通し、上半部には縦螺杆30を挿通して縦螺杆貫通孔Q4上端から縦螺杆30を突出させている。
【0059】
図18B及び図18Cに示すように、水圧冶具Qの上端から突出した縦螺杆30には、螺進ナット39が螺着されており、螺進ナット39を回転操作することにより縦螺杆30を圧縮冶具35、スリーブ34と共に引き上げていき、最終的には箱型ケースKの上方開口縁部6が更生管5の内周面に密着するまで引き上げていく。
【0060】
図12は、縦螺杆30に螺着する螺進ナット39を示すものであり、下底面にはワッシャ33に嵌入する突部40を設けている。
【0061】
前述のような構成を有する分水栓取付部材Mは、ドラム装置70によって図1,2に示すように端部開口2から修繕管1の内部伸延方向へ向けて送り込み(送り込み工程)が行われる。分水栓取付孔Hの近傍まで分水栓取付部材Mが到達すると、図2に示すようにフック92を用いて分水栓取付孔Hからロープ体75を引き出すロープ引出工程を行う(第1の工程)。
【0062】
フック92は、図2に示すように、棒状把持部92aの下端に、L字状に屈曲させてなる鉤部92bが形成されており、本ロープ引出工程では、この鉤部にて修繕管1内のロープ体75を引っかけて掬い上げることにより、図2に示すように分水栓取付孔Hよりロープ体75を引き出す。
【0063】
次に、図3に示すように分水栓取付孔Hより引き出したロープ体75を切断具95により切断し、スリーブ34(分水栓取付部材M)を分水栓取付孔Hに引きつけるスリーブ引き付け工程を行う(第1の工程)。
【0064】
具体的には、図3及び図18Aに示すように、切断具95によって切断されたロープ体75のうち、スリーブ34(分水栓取付部材M)が取り付けられているスリーブ側ロープ体75aを引き付けて、ゴム輪31が装着されているスリーブ34の先端(上端)を、分水栓取付孔Hに臨ませる。なお、切断具95によって切断されたロープ体75のうち、ヘッド74に取り付けられている方のヘッド側ロープ体75bは、分水栓取付孔Hを介して修繕管1の管内へ落下させ、後の索体71の巻取と同時に修繕管1外へ回収される。
【0065】
次に、分水栓取付部材Mの一部であるスリーブ34とゴム輪31を、分水栓取付孔Hに嵌合させる、スリーブ嵌合工程を行う(第2の工程)。
【0066】
具体的には、図17、図18Bに示すように、まず、サドル10の壁部12a上に、水圧冶具Qを載置する。
【0067】
水圧冶具Qは、図17に示すように、略中央部には、上下方向に貫通する縦螺杆貫通孔Q4が穿設されている。
【0068】
縦螺杆貫通孔Q4は、上部が縮径されている。
【0069】
そして、図18Bに示す状態において、縦螺杆30の回動を規制しつつ、螺進ナット39を所定方向へ回転させることにより、分水栓取付部材Mを上方へ徐々に引き上げて、図18Cに示すように、スリーブ34及びゴム輪31を分水栓取付孔Hに嵌合させる。なお、図18Dでは、既に水圧冶具Q及び螺進ナット39を取り外した状態を示している。また、ゴム輪31やスリーブ34には、適宜滑剤を塗布しておいても良い。
【0070】
次いで、図18Dに示すように、スリーブ34にワッシャ43を挿通させ、同スリーブ34の外面に形成した雄ネジ部34hに、ゴム輪圧縮ナット36を螺着する。
【0071】
すなわち、分水栓取付孔Hより突出させたスリーブ34の雄ネジ部34hにゴム輪圧縮ナット36を軽く螺合させ(図18D参照)、ゴム輪圧縮ナット36のピン挿入孔36aに締付冶具Pの嵌合ピンP1を嵌合させ、さらに追締ナット41を圧縮冶具35の雄ネジ部32に螺合させ(図18D参照)、締付冶具PのハンドルP2を把持して回動させつつ追締ナット41を回動させることにより、ゴム輪圧縮ナット36を雄ネジ部32に深くねじ込む(図18D参照)。この動作によって、スリーブ34は分水栓取付孔Hから十分に引き上げが行われるとともに、ゴム輪31が圧着して水密性が向上する。
【0072】
すなわち、ゴム輪圧縮ナット36を締め付けることで、ゴム輪31は修繕管1の内外から強く締め付けられることとなる。このとき、ゴム輪31の反発力を受けながら締付冶具Pでゴム輪圧縮ナット36を締めると、スリーブ34の雄ネジ部34hに焼き付きが発生するおそれがあるが、本実施形態では、締付冶具Pの上部に取り付けた追締ナット41で追い締めを行いつつゴム輪圧縮ナット36を締め付けることとしており、ゴム輪31の反発力を和らげて、焼き付きの発生を防止している。
【0073】
この作業を終えると、追締ナット41と締付冶具Pをサドル10の孔部12から取り外し、図18Eに示すように、サドル10の孔部12中にゴム輪圧縮ナット36と重なる状態で水圧冶具Qを嵌入し、水圧冶具Q中の縦螺杆貫通孔Q4上方に縦螺杆30を突出させて、縦螺杆30にワッシャ43を介してゴム輪圧縮ナット36を螺合しながら上方より水圧冶具Q上端を押圧する。
【0074】
かかる状態では、ゴム輪圧縮ナット36の締め付により箱型ケースKが縦螺杆30と共に上昇し、箱型ケースKの上方開口縁部6が更生管5の内周面に密着する。
【0075】
かかる状態において、図18Fに示すように縦螺杆30の最上端に連結ナット42を介して水圧検査装置Wを連通連結する。図中、W1はT型金具を示す。
【0076】
すなわち、W2は水圧検査装置Wからの水圧を計測する水圧計であり、W3は縦螺杆30内部の縦水路S1に送水するためのホースを示している。
【0077】
図18Fの状態で、縦螺杆30の始端開口部S2に水圧をかけると水圧負荷は、縦水路S1、横水路S3を介して圧縮冶具35の下部内周面の水路38から、箱型ケースK内部に至る。
【0078】
箱型ケースKの内部に至った水圧負荷は、ゴム輪31と分水栓取付孔Hとの嵌着部分や、ゴム輪31とスリーブ34との嵌着部分に及ぶことになり、仮にかかる嵌着部分に漏水原因があると水圧検査装置Wの水圧計W2の計測に表れることにより漏水の有無を認識することができ、修繕管1に漏水することなく分水栓の不都合を事前に把握できる(第3の工程)。
【0079】
漏水検査の完了後は、異常がない場合は水圧検査装置Wを縦螺杆30の上端から取外し分水栓取付孔Hにスリーブ34と、ゴム輪31とゴム輪圧縮ナット36を残して分水栓取付部材Mを、既設管4の一部開口部より管外に取り出す(第4の工程)。
【0080】
図18Gは、かかる状態を示している。この状態で図18Hに示すようにサドル10の孔部12中に分水栓100の取付口部102を取り付ける(第5の工程)。
【0081】
分水栓100は、図18Hに示すように、サドル10の孔部12に取り付けて水を流入させる流入口としての取付口部102と、流入させた水を吐出する出水口部103と、流入させた水の出水口部103からの出水、止水を切り替えるステム108とを備えている。
【0082】
また、取付口部102にはフランジ部102aが設けられており、同フランジ部102a下方の外周面には、サドル10の孔部12内に形成した雌ネジ部12bに螺合する雄ネジ部102bが形成されている。
【0083】
また、取付口部102の内周面にはシールリング溝が刻設されており、同シールリング溝には、スリーブ34に形成されている縮径部の外径よりも僅かに小さい内径を有するシールリングが配設されている。
【0084】
そして、本分水栓取付工程では、取付口部102の雄ネジ部102bを、孔部12の雌ネジ部12bに螺合させ、壁部12aの上端とフランジ部102aとが当接するまで螺入することにより、スリーブ34の先端が分水栓100の取付口部102に嵌入された状態で分水栓100が取り付けられる。
【0085】
このとき、スリーブ34の縮径部には、シールリングが水密状に嵌め合わされているため、分水栓100からの水漏れが極めて容易に防止されることとなる。
【0086】
〔変形例〕
次に、分水栓の漏水検査方法及びその検査装置に関する変形例について図19A〜図19Cに基づき説明する。
【0087】
前記の漏水検査方法およびその検査装置では、水圧検査装置Wを分水栓装着前に取り付けて、まず、漏水検査を行い、その後に検査に合格した場合に分水栓を取り付けて分水栓施工が完了する。
【0088】
しかし、本変形例は、第1の工程、第2の工程は同じであるが、第3の工程、第4の工程、第5の工程を前後逆にしている。
【0089】
すなわち、分水栓取り付けの施工を行った後に、分水栓100に水圧検査装置Wを装着して、分水栓100を装着したままで漏水検査を行うものである。
【0090】
分水栓施工のために分水栓取付部材Mを分水栓取付孔Hに嵌着して取り付ける工程は、前記の方法と同じである(図1,2,18A,18B,18C,18D参照)。
【0091】
すなわち、前記の施工過程の説明図である図18Dにおいては、ゴム輪圧縮ナット36を締付冶具Pで締め付けており、本変形例では、図19Aの状態となっている。
【0092】
この図19Aの状態の後で、分水栓100の下部の取付口部102をサドル10の孔部12中に嵌入して、水圧冶具Q周面に嵌着して分水栓100の取り付けを完了する(変形例の第2の工程)。
【0093】
この状態では、分水栓100内部、すなわち分岐水の縦流路中に分水栓取付部材Mの縦螺杆30が貫通した状態である。
【0094】
そして、分水栓100の上端の分水サドル105を取外して、その代わりに別途用意した袋ナット104(図13参照)を取り付ける。
【0095】
袋ナット104は、図13に示すように三段の外形を有する内部筒状のナットであり、上段部112の外周には雄ネジ115を形成し、天井部に通水路107を設けており、中段部113と下段部114の各内部は大径の空間に形成している。
【0096】
下段部114の内周面には雌ネジ116を形成しており分水栓100の分水サドル105を取り外した後の雄ネジ部に螺合自在としている。
【0097】
かかる袋ナット104を分水栓100の上端開口部に螺着するに際しては、図19Bに示すように分水栓100の上端開口部から貫通突設した縦螺杆30上部に止水ナット110を螺着し、袋ナット104の中段部113内を仕切って中段部113の内部空間を送水貯留部111としており、送水貯留部111は通水路107と縦螺杆30の縦水路S1に連通しており、通水路107からの送水圧は、送水貯留部111を介して縦螺杆30の縦水路S1に至り、縦水路S1から箱型ケースK中に水圧負荷をかけてゴム輪31の嵌着部の漏水検査を行う(変形例の第3の工程)。なお、117は、分水栓100の出水口部103を閉塞したキャップを示す。
【0098】
漏水検査の終了後は、図19Cに示すように、分水栓100に接続した水圧検査装置Wを取り外し、分水栓100上端部の分水サドル105を閉蓋する。
【0099】
そして、分水栓100と共にスリーブ34とゴム輪31とゴム輪圧縮ナット36を分水栓取付孔Hに残して分水栓取付部材Mをロープ体75を介して修繕管1の一端開口部から管外に取り出し(変形例の第4の工程)、漏水事故のない分水栓施工が完了する。
【0100】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0101】
例えば、本実施形態において箱型ケースKは、底面視矩形状としたがこれに限定されるものではなく、底面視円形状としても良いのは勿論であり、作業性の向上を図るべく、自在に変更可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
1 修繕管
4 既設管
5 更生管
6 上方開口縁部
12 孔部
12a 壁部
30 縦螺杆
31 ゴム輪
31c ゴム受けフランジ
34 スリーブ
34c ゴム受けフランジ
35 圧縮冶具
36 ゴム輪圧縮ナット
37 圧縮用鍔部
38 水路
75 ロープ体
100 分水栓
H 分水栓取付孔
K 箱型ケース
M 分水栓取付部材
P 締付冶具
Q 水圧冶具
S1 縦水路
S2 始端開口部
S3 横水路
W 水圧検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、
前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に圧着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、
修繕管の外方に突出した分水栓取付部材の縦螺杆に水圧試験装置を連通連設し、縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第3の工程と、
スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して、分水栓取付部材を漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第4の工程と、
分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第5の工程、
とからなる分水栓施工後の漏水検査方法。
【請求項2】
上方開口の箱型ケースの低部に立設した縦螺杆の外周に圧縮用鍔部を有した筒状の圧縮冶具を嵌合し、圧縮冶具の外周に筒状のゴム受けフランジを下端に有したスリーブを、更にその外周に筒状のゴム輪をそれぞれ嵌合して構成した分水栓取付部材を分水栓取付孔を穿孔した既設管の一端開口部からロープを介して送り込む第1の工程と、
前記分水栓取付部材を前記分水栓取付孔に下方より嵌入して箱型ケースの上端縁を分水栓取付孔周辺の修繕管内周に圧着することにより、分水栓取付部材のスリーブとゴム輪を前記分水栓取付孔に嵌着する第2の工程と、
スリーブとゴム輪とゴム輪圧縮ナットを分水栓取付孔に残して、分水栓取付部材を漏水検査後にロープを介して既設管の一端開口部から管外に取り出す第3の工程と、
分水栓を既設管の外方に突出したスリーブに装着する第4の工程と、
分水栓に水圧試験装置を連通連設すると共に分水栓内を貫通した縦螺杆内部の縦水路を介して箱型ケース内に水圧をかけることにより、分水栓取付孔内壁面とゴム輪外周面の嵌着部やゴム輪内周面とスリーブ外周面の嵌着部などにおける漏水を検査し、その後水圧試験装置を取外す第5の工程、
とからなる分水栓施工後の漏水検査方法。
【請求項3】
上方開口の箱型ケースの上方開口縁部を既設管の内周面に沿って密着可能に形成すると共に、始端を水圧試験冶具に連通可能とし、終端を外方に開口した縦水路を内部に有する縦螺杆を箱型ケースの底部に立設し、
箱型ケース内底面に載置が可能な圧縮用鍔部を下端に形成した筒状の圧縮冶具を縦螺杆の外周に嵌合し、
縦螺杆における縦水路の終端開部と箱型ケースの内部とは連通状態とすることにより、縦螺杆と圧縮冶具との間の嵌合間隙及び圧縮用鍔部の下底面と箱型ケース内底面との間の載置間隙に通水が可能に構成とし、
筒状の圧縮冶具の外周には下端にゴム受けフランジを形成したスリーブを嵌合し、
更には、前記スリーブの外周には修繕管の周壁に形成した分水栓取付孔に嵌着するための筒状のゴム輪を嵌着し、
スリーブの外周にはゴム輪の上端縁を分水栓取付孔の周縁部に圧着するためのゴム輪圧縮ナットを螺合することにより構成したことを特徴とする漏水検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図18H】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【公開番号】特開2013−112980(P2013−112980A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259329(P2011−259329)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【特許番号】特許第4950355号(P4950355)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000240673)ヨネ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】