説明

分離搬送装置

【課題】主に簡易な構成で被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる分離搬送装置を提供する。
【解決手段】第1搬送部12が第1駆動部14により所定の回転速度で中心軸回りに回転されると、第1搬送部12の上面に供給された複数の電子部品Mがその遠心力により径方向外側に向かって移動する。このとき電子部品Mはガイド部16により1列に整列させて第1搬送部12の径方向外側に連続的に誘導される。電子部品Mが第1搬送部12の径方向外側端部に到達すると電子部品Mはガイド部20により第2搬送部18に移載される。第2搬送部18は第1搬送部12の回転速度よりも早い回転速度で第1搬送部12の回転方向と同一方向に第2駆動部22により回転されるため、第2搬送部18の上面には複数の電子部品Mが所定の間隔をあけて移載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品を1個ずつ分離した状態で電子部品の外観検査や収納テープへの個別収納させる部位に連続供給するための分離搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチップ部品の分離供給機構では、チップ部品フィーダのガイド部と連続回転円板との間に固定又は回転する薄板が配設され、ガイド部から連続回転円板へのチップ部品の移動が薄板を介して行われる。これにより、連続回転円板とガイド部との隙間や連続回転円板の周縁部の欠損、傷及び凹凸等の影響を受けることなく連続回転円板へのチップ部品の供給を安定的に円滑に行うことができる。そして、ガイド部から離れたチップ部品は連続回転円板の回転に伴い円周軌道上を移動するが、円周軌道に沿ったチップ部品の搬送速度よりも大きく設定することで、連続回転円板上に移載されたチップ部品の相互間隔をあけることができる。また、連続的にチップ部品を供給するので処理速度の向上を図ることができ、従来の間欠運動の機構よりも構造が簡単となる(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2544787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1に記載のチップ部品の分離供給機構では、チップ部品フィーダと連続回転円板とが必要なり、装置自体の構成が複雑となる問題がある。また、異なった寸法のチップ部品を移動させる場合、チップ部品フィーダのガイド部と連続回転円板との隙間を適正値に調整することが困難となる問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、主に簡易な構成で被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる分離搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、平面視にて略円形状に形成され中心軸回りに回転させることにより上面に載置された被搬送物を径方向外側に搬送させる第1搬送部と、前記第1搬送部の径方向外側に配置され中心軸回りに回転可能に配置されるとともに、前記第1搬送部の径方向外側端部に搬送された前記被搬送物を上面に移載する第2搬送部と、前記第1搬送部を所定の回転速度で回転させる第1駆動部と、前記第2搬送部を所定の回転速度で回転させる第2駆動部と、前記第1搬送部の上面に載置された前記被搬送物を、1列に整列させて前記第1搬送部の径方向外側に誘導するとともに前記第2搬送部の上面に移載するガイド部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の分離搬送装置において、前記第2搬送部は、前記第1搬送部に対して相対速度が生じるように前記第2駆動部により回転されることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の分離搬送装置において、前記第2搬送部は、前記第1搬送部の回転速度よりも早い回転速度でかつ前記第1搬送部の回転方向と同一方向に前記第2駆動部により回転されることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、第1搬送部の径方向外側端部が前記第2搬送部の径方向内側端部に回転可能となるように接触していることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記第1搬送部は、前記第1搬送部の径方向外側端部が前記第2搬送部の径方向内側端部よりも高い位置なるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の分離搬送装置において、前記第1搬送部は、前記第2搬送部よりも前記被搬送物の厚み寸法の約30%を最大寸法として高い位置にあることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記第1搬送部の径方向外側端部には、前記第2搬送部の上面に向かって下り傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記第2搬送部は、透明部材で構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、中心軸回りに回転可能に配置され前記第1搬送部の上面の前記被搬送物を吸着して前記第2搬送部の上面に移動させる吸着ロール部と、前記吸着ロール部を回転させる第3駆動部と、を有し、前記吸着ロール部は、前記第3駆動部により前記第2搬送部の回転速度と略同じ回転速度でかつ前記第2搬送部の回転方向と同一方向に回転されることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の分離搬送装置において、前記吸着ロール部の内部であって前記吸着ロール部の円周の少なくとも一部に相当する領域には、前記被搬送物を吸引させる吸引部が固定されて設けられており、前記被搬送物は、前記吸引部が位置する領域の前記吸着ロール部に吸着されて前記吸着ロール部と共に回転移動されることを特徴とする。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の分離搬送装置において、前記第2搬送部の上面に移載された前記被搬送物の外観の良否を検査する外観検査部と、前記外観検査部により検査された前記被搬送物を前記第2搬送部から排出させる排出部と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の分離搬送装置において、前記排出部は、前記外観検査部の検査結果に基づいて前記被搬送物の排出場所を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、第1搬送部が第1駆動部により所定の回転速度で中心軸回りに回転されると、第1搬送部の上面の中心軸近傍に供給された複数の被搬送物がその遠心力により径方向外側に向かって移動する。このとき、被搬送物は、ガイド部により1列に整列させて第1搬送部の径方向外側に連続的に誘導される。被搬送物が第1搬送部の径方向外側端部に到達すると、被搬送物はガイド部により第2搬送部に移載される。ここで、第2搬送部は第2駆動部により回転されるため、第2搬送部の上面には複数の被搬送物が所定の間隔をあけて移載される。以上のように、本発明によれば、主に第1搬送部と第2搬送部とガイド部を用いるだけの簡易な構成で、被搬送物を1個ずつ分離させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第2搬送部は第1搬送部に対して相対速度が生じるように第2駆動部により回転されることにより、第2搬送部の上面には複数の被搬送物が所定の間隔をあけて移載される。この結果、第1搬送部上から第2搬送部上に移載される被搬送物を1個ずつ確実に分離させることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、第2搬送部は第1搬送部の回転速度よりも早い回転速度でかつ第1搬送部の回転方向と同一方向に第2駆動部により回転されるため、第2搬送部の上面には複数の被搬送物が所定の間隔をあけてかつ姿勢が乱れることなく移載される。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、第1搬送部の径方向外側端部が第2搬送部の径方向内側端部に回転可能となるように接触(摺接)しているため、第1搬送部と第2搬送部との間に隙間が生じず、第1搬送部と第2搬送部との境界で被搬送物が詰まることを防止できる。また、寸法が異なる被搬送物を搬送させる場合でも、従来技術のように隙間の適正値を調整する必要がない。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、第1搬送部は第1搬送部の径方向外側端部が第2搬送部の径方向内側端部よりも高い位置なるように配置されているため、被搬送物を第1搬送部の上面から第2搬送部の上面に円滑に移載させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第1搬送部が第2搬送部よりも被搬送物の厚み寸法の約30%を最大寸法として高い位置にあるため、被搬送物を第1搬送部の上面から第2搬送部の上面に移載させる際に、被搬送物が落下の衝撃などにより破損してしまうことを防止できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、第1搬送部の径方向外側端部には第2搬送部の上面に向かって下り傾斜する傾斜部が形成されているため、第1搬送部と第2搬送部との間に隙間が生じている場合や被搬送物の寸法が異なる場合でも、第1搬送部の径方向外側端部に位置する被搬送物を第2搬送部の上面に円滑に移載させることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、第2搬送部は透明部材で構成されているため、第2搬送部に移載された被搬送物の裏面(第2搬送部の上面と面接している面)の外観を第2搬送部の底部側から別途設けた撮像部により撮像することができる。これにより、第2搬送部に移載された被搬送物の裏面の外観検査をする場合に、第2搬送部上で被搬送部の向きを変える必要がない。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、吸着ロール部は第3駆動部により第2搬送部の回転速度と略同じ回転速度でかつ第2搬送部の回転方向と同一方向に回転されるため、被搬送物を吸着ロールに吸着させた状態で第1搬送部の上面から第2搬送部の上面に移動させることができる。これにより、第1搬送部と第2搬送部との間にある溝の溝幅や被搬送物の寸法によらず、第1搬送部と第2搬送部との間で被搬送物が詰まることを確実に防止できる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、吸着ロール部の内部であって吸着ロール部の円周の少なくとも一部に相当する領域には被搬送物を吸引させる吸引部が固定されて設けられているため、吸着ロール部は吸引部に対して回転移動する。そして、被搬送物は吸引部が位置する領域の吸着ロール部に吸着されて吸着ロール部と共に回転移動されることにより、被搬送物は吸引部が位置する領域以外に回転移動すると吸着ロール部から離脱する。これにより、吸引部を常時吸引状態に制御した場合でも、被搬送物を吸着ロール部から容易に離脱させることができる。
【0027】
請求項11に記載の発明によれば、外観検査部により第2搬送部の上面に移載された被搬送物の外観が検査され、外観検査部により検査された被搬送物が排出部により第2搬送部から排出される。これにより、外観が検査された被搬送物を第2搬送部から排出することができる。
【0028】
請求項12に記載の発明によれば、外観検査部の検査結果に基づいて被搬送物の排出場所が排出部により変えられるため、被搬送物の優良・不良を容易に選別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の第1実施形態に係る分離搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、被搬送物として電子部品を例にとり説明するが、当然に電子部品に限られるものではなく、1個ずつ分離させるべき物であれば他の物を搬送・分離させてもよい。
【0030】
図1に示すように、分離搬送装置10は、円板状部材である第1搬送部12を備えている。この第1搬送部12の中心には第1回転軸14が接続されている。この第1回転軸14には、第1回転軸14を自軸回りに回転させる第1駆動モータ(図示省略)が接続されている。
【0031】
また、第1搬送部12の上面には、電子部品Mを一列に整列させた状態で第1搬送部12の径方向外側に向かって搬送させる複数の整列ガイド16が形成されている。この整列ガイド16は、第1搬送部12の上面から突出した凸状のレール部で構成されている。なお、整列ガイド16は、凸状のレール部に替えて、第1搬送部12の上面に凹状に形成された溝部でもよい。
【0032】
また、第1搬送部12の径方向外側には、第2搬送部18が回転可能となるように配置されている。第2搬送部18は、円環状部18Aと、円環状部18Aの下端部と接続したベース部18Bと、ベース部18Bの径方向内側端部と接続した筒状軸部18Cと、で構成されている。この第2搬送部18は、透明の材料(透明部材)で構成されていることが好ましい。
【0033】
また、第2搬送部18の円環状部18Aの径方向内側には上記第1搬送部12が配置されており、第2搬送部18の筒状軸部18Cの径方向内側(内部)には第1搬送部12に接続された第1回転軸14が回転可能となるように挿通されている。なお、第1搬送部12と第2搬送部18とは同心軸上に位置するようにそれぞれ配置されている。
【0034】
また、第2搬送部18の円環状部18Aの径方向内側面(内周面)と第1搬送部12の外周面との間には所定の隙間が介在している。なお、第2搬送部18の円環状部18Aの径方向内側面(内周面)と第1搬送部12の外周面との間に隙間を介在させず、第1搬送部12の外周面が第2搬送部18の円環状部18Aの径方向内側面(内周面)と相互に回転可能となるように接触(摺接)するように構成してもよい。
【0035】
また、図2に示すように、第1搬送部12の上面は、第2搬送部18の円環状部18Aの上面よりも高い位置になるように構成されている。詳細には、第1搬送部12の上面は、第2搬送部18の円環状部18Aの上面よりも電子部品Mの厚み寸法の約30%を最大寸法として高い位置にあることが好ましい。
【0036】
また、第1搬送部12の上面から第2搬送部18の円環状部18Aの上面にかけて、第1搬送部12の径方向外側端部に搬送された電子部品Mを円環状部18Aに移載する移載ガイド20が配置されている。この移載ガイド20は、第1搬送部12の上面に突出するように形成された凸状のレール部で構成されている。移載ガイド20は、第1搬送部12の回転により回転するとともに、第2搬送部18の円環状部18Aの上面を摺接するように移動する。なお、移載ガイド20は、凸状のレール部に替えて、第1搬送部12の上面に凹状に形成された溝部でもよい。
【0037】
また、第2搬送部18の筒状軸部18Cには、第2回転軸22が接続されている。この第2回転軸22には、第2回転軸22を自軸回りに回転させる第2駆動モータ(図示省略)が接続されている。
【0038】
ここで、第1搬送部12と第2搬送部18とを同じ方向にそれぞれ回転されるとともに、第2搬送部18の回転速度が第1搬送部12の回転速度よりも速い速度で回転するように設定されている。
【0039】
また、第2搬送部18の円環状部18Aの径方向外側には、円環状部18Aの上面に移載された電子部品Mの外観を検査する外観検査部24が配置されている。この外観検査部24は、例えばCCDカメラなどで構成され電子部品Mの外観を撮像する撮像部と、撮像対象となる電子部品Mに光を照射する照明ランプと、撮像部により撮像された撮像データに基づいて電子部品Mの外観の良否を判定する良否判定部と、をそれぞれ備えている。
【0040】
また、外観検査部24の近傍には、外観の良否が検査された電子部品Mを円環状部18Aから排出するための排出部26が配置されている。この排出部26は、例えば吸引ノズルなどにより構成されており、外観検査部24と電気的に接続されている。これにより、排出部26は、外観検査部24の検査結果に基づいて制御される。
【0041】
なお、排出部26の近傍には優良排出部と不良排出部とを備えた電子部品排出領域(図示省略)が設けられており、電子部品Mの優良・不良が区別されて電子部品Mが電子部品排出領域に排出される。
【0042】
次に、本実施形態の分離搬送装置10の作用について説明する。
【0043】
図1に示すように、第1駆動モータの駆動により第1回転軸14が回転されると、第1搬送部12が第1回転軸14回りに連続回転される。第1搬送部12が連続回転されると、第1搬送部12の回転に伴う遠心力より、第1搬送部12の中心部近傍に位置する電子部品Mが径方向外側に搬送される。なお、電子部品Mの第1搬送部12への供給は、第1搬送部12の上面上の電子部品Mの残量を光センサ(図示省略)などにより検知して所定のタイミングで電子部品供給装置(図示省略)などにより行われる。
【0044】
ここで、第1搬送部12の上面には整列ガイド16が形成されているため、電子部品Mは1列に整列した状態で第1搬送部12の径方向外側端部に誘導される。
【0045】
また、第1搬送部12の径方向外側端部に誘導された電子部品Mは、移載ガイド20により、第2搬送部18の円環状部18Aに連続的に移載される。このとき、図2に示すように、第1搬送部12の上面が第2搬送部18の円環状部18Aの上面よりも高い位置にあるため、第1搬送部12の上面が第2搬送部18の円環状部18Aの上面に電子部品Mを円滑に移載させることができる。特に、第1搬送部12の上面が第2搬送部81の円環状部18Aの上面よりも電子部品Mの厚み寸法の約30%を最大寸法として高い位置にあるため、電子部品Mを第1搬送部12の上面から第2搬送部18の円環状部18Aの上面に移載させる際に、電子部品Mが落下の衝撃などにより破損してしまうことを防止できる。
【0046】
また、第1搬送部12の径方向外側端部が第2搬送部18の円環状部18Aの径方向内側端部に回転可能となるように接触(摺接)するように構成すると、第1搬送部12と第2搬送部18の円環状部18Aとの間に隙間が生じず、第1搬送部12と第2搬送部18の円環状部18Aとの境界で電子部品Mが詰まることを防止できる。また、寸法が異なる電子部品を搬送させる場合でも、従来技術のように隙間の適正値を調整する必要がない。
【0047】
ここで、第2搬送部18は第1搬送部12の回転速度よりも早い回転速度で第1搬送部12の回転方向と同一方向に回転されるため、第2搬送部18の上面には、複数の電子部品Mが所定の間隔(等ピッチ)をあけてかつその姿勢を乱すことなく安定した状態で移載される。このように、第2搬送部18の上面には、複数の電子部品Mを1個ずつ確実に分離させた状態で移載することができる。
【0048】
第2搬送部18の円環状部18Aの上面に電子部品Mが移載されると、第2搬送部18の回転と共に移載された電子部品Mも移動していき、やがて外観検査部24に到達する。電子部品Mが外観検査部24に到達すると、照明ランプにより光が照射されるとともに撮像部によりその外観が撮像される。撮像部により撮像された撮像データは良否判定部に送信され、電子部品Mの外観の良否が判定される。
【0049】
このとき、第2搬送部18が透明部材で構成されているため、例えば円環状部18Aの下方に撮像部を設置しておけば、円環状部18Aの下方から電子部品Mの裏面(円環状部18Aの上面と面接している面)の外観を撮像することができる。これにより、第2搬送部18の円環状部18Aに移載された電子部Mの裏面の外観検査をする場合に、第2搬送部18の円環状部18A上で電子部品Mの向きを変える必要がない。
【0050】
電子部品Mが外観検査部24を通過すると、やがて排出部26に到達する。排出部26では、外観検査部24の検査結果に基づいて電子部品Mが第2搬送部18の円環状部18Aから排出される。具体的には、外観検査部24により優良と判定された電子部品Mは優良排出部に排出され、不良と判定された電子部品Mは不良排出部に排出される。これにより、電子部品Mの優良・不良を容易に選別することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態の分離搬送装置によれば、第1搬送部12と第2搬送部18と各ガイド16、20とを用いるだけの簡易な構成で、電子部品Mを1個ずつ確実に分離させることができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態に係る分離搬送装置について説明する。
なお、第1実施形態に係る分離搬送装置と同様の構成には同符号を付し、説明を適宜省略する。
【0053】
図3に示すように、本実施形態の分離搬送装置では、第1搬送部12の径方向外側端部には、第2搬送部18の円環状部18Aの上面に向かって下り傾斜する傾斜部12Aが形成されている。これにより、第1搬送部12の径方向外側端部に搬送された電子部品Mは、傾斜部12Aの傾斜面上を滑落していき、第2搬送部18の円環状部18Aの上面に到達する。これにより、第1搬送部12と第2搬送部18の円環状部18Aとの間に隙間が生じている場合や搬送する電子部品Mの寸法が異なる場合でも、第1搬送部12の径方向外側端部に位置する電子部品Mを第2搬送部18の円環状部18Aの上面に円滑に移載させることができる。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態に係る分離搬送装置について説明する。
なお、第1実施形態に係る分離搬送装置と同様の構成には同符号を付し、説明を適宜省略する。また、本実施形態で搬送する電子部品は、直方体形状のものである。
【0055】
図4及び図5に示すように、本実施形態の分離搬送装置30には、吸着ローラ32が設けられている。この吸着ローラ32は、第1搬送部12と第2搬送部18との境界近傍に配置されている。吸着ローラ32は、外周面に複数の吸引孔38が形成された円柱状部材32Aを備えている。
【0056】
図5(A)及び(B)に示すように、この円柱状部材32Aの内部には、円柱状のサクションリング34が配置されている。このサクションリング34は固定されており、円柱状部材32Aがサクションリング34の外周面に擦接して回転可能となるように構成されている。このサクションリング34は中空状に形成されており、その上面であって円柱状部材32A及び後述の第3回転軸32Bの内部には吸引導管36が接続されている。また、吸引導管36には吸引ポンプ(図示省略)が接続されている。このため、吸引ポンプの駆動によりサクションリング34の内部の空気が吸引導管36を介して外部に排出される。ここで、サクションリング34の円周の1/4(90度)に相当する領域は吸引部34Aとなっており、吸引部34Aの外周面がサクションリング34の外部と貫通した構成となっている。これにより、吸引部34A
【0057】
なお、吸引部34Aはサクションリング34の円周の1/4(90度)に相当する領域に形成されている構成に限られるものではなく、サクションリング34の全円周に亘って形成されていてもよく、また、サクションリング34の円周の少なくとも一部の領域に亘って形成されている構成であればよい。
【0058】
また、円柱状部材32Aには、第3回転軸32Bが接続されている。この第3回転軸32Bには、第3駆動モータ(図示省略)が接続されている。第3駆動モータにより第3回転軸32Bが回転駆動されて、円柱状部材32Aが第3回転軸32Bと共にサクションリング34の外周面上を回転する。なお、円柱状部材32Aは第2搬送部18の回転方向と同一の方向に回転され、また、その回転速度は第2搬送部18の回転速度と同一の速度あるいは若干速い速度となるように設定されている。
【0059】
本実施形態によれば、円柱状部材32Aは第3回転軸32Bにより第2搬送部18の回転速度と略同じ回転速度でかつ第2搬送部18の回転方向と同一方向に回転されるため、第1搬送部12の径方向外側端部に搬送されてきた電子部品Mをサクションリング34の吸引部34Aに位置する円柱状部材32Aに吸着させた状態で90度回転移動させて、第1搬送部12の上面から第2搬送部18の円環状部18Aの上面に移動させることができる。
【0060】
ここで、電子部品Mはサクションリング34の吸引部34Aに位置する円柱状部材32Aに吸着された状態で90度回転移動すると、電子部品Mが吸引部34Aから吸引部34A以外の領域に移動するため、電子部品Mには吸引力が作用せず、電子部品Mは円柱状部材32Aから離脱してしまう。これにより、第1搬送部12と第2搬送部18の円環状部18Aとの間にある溝の溝幅や電子部品Mの寸法によらず、第1搬送部12と第2搬送部18の円環状部18Aとの間で電子部品Mが詰まることを確実に防止できる。特に、吸引部34Aをサクションリング34の円周の一部の領域に形成したことにより、吸引ポンプの駆動のON/OFFを切り替えることなく、吸引ポンプの駆動をONの状態にし続けるだけで、電子部品Mを円柱状部材32Aから容易に離脱させることができる。この結果、吸引ポンプの駆動制御を容易なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分離搬送装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る分離搬送装置を構成する第1搬送部と第2搬送部との部分的な断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る分離搬送装置を構成する第1搬送部と第2搬送部との部分的な断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る分離搬送装置の概略構成図である。
【図5】(A)は本発明の第3実施形態に係る分離搬送装置を構成する吸着ロール部の横断面図であり、(B)はそのA−A間の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10、30 分離搬送装置
12 第1搬送部
12A 傾斜部
14 第1回転軸(第1駆動部)
16 整列ガイド(ガイド部)
18 第2搬送部
20 移載ガイド(ガイド部)
22 第2回転軸(第2駆動部)
24 外観検査装置
26 排出部
32A 円柱状部材(吸着ロール部)
32B 第3回転軸(第3駆動部)
M 電子部品(被搬送物)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視にて略円形状に形成され中心軸回りに回転させることにより上面に載置された被搬送物を径方向外側に搬送させる第1搬送部と、
前記第1搬送部の径方向外側に配置され中心軸回りに回転可能に配置されるとともに、前記第1搬送部の径方向外側端部に搬送された前記被搬送物を上面に移載する第2搬送部と、
前記第1搬送部を所定の回転速度で回転させる第1駆動部と、
前記第2搬送部を所定の回転速度で回転させる第2駆動部と、
前記第1搬送部の上面に載置された前記被搬送物を、1列に整列させて前記第1搬送部の径方向外側に誘導するとともに前記第2搬送部の上面に移載するガイド部と、
を含んで構成されたことを特徴とする分離搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送部は、前記第1搬送部に対して相対速度が生じるように前記第2駆動部により回転されることを特徴とする請求項1に記載の分離搬送装置。
【請求項3】
前記第2搬送部は、前記第1搬送部の回転速度よりも早い回転速度でかつ前記第1搬送部の回転方向と同一方向に前記第2駆動部により回転されることを特徴とする請求項1又は2に記載の分離搬送装置。
【請求項4】
第1搬送部の径方向外側端部が前記第2搬送部の径方向内側端部に回転可能となるように接触していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送部は、前記第1搬送部の径方向外側端部が前記第2搬送部の径方向内側端部よりも高い位置なるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項6】
前記第1搬送部は、前記第2搬送部よりも前記被搬送物の厚み寸法の約30%を最大寸法として高い位置にあることを特徴とする請求項5に記載の分離搬送装置。
【請求項7】
前記第1搬送部の径方向外側端部には、前記第2搬送部の上面に向かって下り傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項8】
前記第2搬送部は、透明部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項9】
中心軸回りに回転可能に配置され前記第1搬送部の上面の前記被搬送物を吸着して前記第2搬送部の上面に移動させる吸着ロール部と、前記吸着ロール部を回転させる第3駆動部と、を有し、
前記吸着ロール部は、前記第3駆動部により前記第2搬送部の回転速度と略同じ回転速度でかつ前記第2搬送部の回転方向と同一方向に回転されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項10】
前記吸着ロール部の内部であって前記吸着ロール部の円周の少なくとも一部に相当する領域には、前記被搬送物を吸引させる吸引部が固定されて設けられており、
前記被搬送物は、前記吸引部が位置する領域の前記吸着ロール部に吸着されて前記吸着ロール部と共に回転移動されることを特徴とする請求項9に記載の分離搬送装置。
【請求項11】
前記第2搬送部の上面に移載された前記被搬送物の外観の良否を検査する外観検査部と、
前記外観検査部により検査された前記被搬送物を前記第2搬送部から排出させる排出部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の分離搬送装置。
【請求項12】
前記排出部は、前記外観検査部の検査結果に基づいて前記被搬送物の排出場所を変えることを特徴とする請求項11に記載の分離搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−39144(P2007−39144A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222160(P2005−222160)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】