説明

切削方法および切削装置

【課題】強制振動を抑制できる切削方法および切削装置を提供する。
【解決手段】ワークWを垂直にクランプするクランプ機構10と、クランプされたワークWを送り方向に水平移動させる移動テーブル20と、ワークWの一方の表面を切削する第1切削機構30と、ワークWの他方の表面を切削する第2切削機構40と、制御部50とを備え、制御部50が、第1切削機構30と第2切削機構40とを同期させてワークWを切削するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切削方法および切削装置に関する。さらに詳しくは、板材の切削時に発生する強制振動が抑制されてなる切削方法および切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧延材などの板材においては、製品品質を確保するため機械加工、例えば切削加工により仕上げがなされている。
【0003】
図13に、従来の切削方法を概略図で示す。従来の切削方法は、図13に示すように、電磁石により構成された台盤100にワーク(仕上げ対象板材)Wを載置した後、載置されたワークWを電磁石により台盤100に吸着・固定し、ついでワークWを例えばフライス工具101により切削し、そして切削完了後に電磁石によるワークWの吸着・固定を解除するという手順を踏むものとされている。
【0004】
しかしながら、ワークWには圧延加工などの際に生ずる残留応力に起因する反りがあるが、ワークWを電磁石により強制的に吸着・固定させるという方法では、切削時にワークWはフラットとなっているが、残留応力がなくなったわけではないので、電磁石による吸着・固定を解除すると、残留応力のためにワークWに反りが戻るという現象、いわゆるスプリングバックが発生し、所定の加工精度を確保できないという問題がある。
また、従来の切削方法では、ワークの反転作業が必要であるため、生産性が悪いという問題もある。
【0005】
本発明者等は、かかる従来技術の課題を解決すべく、ワークを垂直に保持した状態で両面からフライス工具による切削などの機械加工を行う手法を既に提案している。
【0006】
しかしながら、本発明者等の提案に係る手法においては、特に剛性の低いワークの切削を行った場合には、切削加工などの機械加工時にワークに振動、いわゆるびびり振動が発生し、ワークを所望精度に加工できないという問題のあることが判明した。
【0007】
なお、このびびり振動には、再生振動と強制振動の二種類が存在するが、その中の再生振動についての解決策については既に提案を行っている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−291872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、本発明者等の提案に係る切削手法において問題となっている強制振動を抑制できる切削方法および切削装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、強制振動を抑制してワーク表面の加工精度を向上すべく鋭意研究した結果、両ミルの刃数をそれぞれ一つとするとともに、両ミルを同期させてワーク各表面の切削を行うことにより、切削時にミルから発生するスラストが相殺されるため、強制振動が抑制されて加工精度が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の切削方法は、被削材を両側から切削する切削方法であって、一方の表面の切削と、他方の表面の切削とを同期させてなすことを特徴とする。
【0012】
本発明の切削方法においては、一方の切削具と他方の切削具との位相を一致させて切削をなすのが好ましい。
【0013】
また、本発明の切削方法においては、切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は一刃とされてなるのがさらに好ましい。
一方、本発明の切削装置は、被削材の一方の表面を切削する第1切削機構と、被削材の他方の表面を切削する第2切削機構と、被削材を垂直にクランプするクランプ機構と、相対移動機構と、制御部とを備え、前記第1切削機構と前記第2切削機構とは対向配置され、前記第1切削機構および前記第2切削機構と、前記被削材とは、前記相対移動機構により被削材の長手方向に相対移動可能とされ、前記制御部が、前記第1切削機構と前記第2切削機構とを同期制御することを特徴とする。
【0014】
本発明の切削装置においては、第1切削機構がマスターとされ、第2切削機構が前記第1切削機構に追従するスレイブとされてなるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の切削装置においては、相対移動機構が、被削材をその長手方向に水平移動させる移動テーブルとされてもよく、あるいは第1切削機構を被削材の長手方向に沿って水平移動させる第1移動テーブルと、第2切削機構を被削材の長手方向に沿って水平移動させる第2移動テーブルとされ、前記第1移動テーブルによる前記第1切削機構の水平移動と、前記第2移動テーブルによる前記第2切削機構の水平移動とが同期させられるようにされてもよい。
【0016】
さらに、本発明の切削装置においては、切削機構の切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は一刃とされてなるのがさらに好ましい。
【0017】
さらに、本発明の切削装置においては、切削機構の切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は粗切削をなす粗刃と仕上げ切削をなす仕上げ刃とを有し、前記仕上げ刃は仕上げ切削時に前記粗刃の先端よりも前方に突出可能とされてなるのがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は前記の如く構成されているので、両切削具から切削時に発生するスラストが相殺されて強制振動が抑制されるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る切削装置のブロック図である。
【図2】同切削装置のクランプ機構のブロック図である。
【図3】同クランプ機構の上部クランプ部のブロック図である。
【図4】同クランプ機構の下部クランプ部のブロック図である。
【図5】同切削装置の切削機構の概略図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る切削装置の要部ブロック図である。
【図7】同切削装置における仕上げ刃と粗刃との位置関係の説明図であって、同(a)は粗切削時を示し、同(b)は仕上げ切削時を示す。
【図8】同切削装置における仕上げ刃出入り高さ調整機構の概略図である。
【図9】同調整機構の要部詳細図である。
【図10】切削時にワークに発生する強制振動の周波数解析をしたグラフであって、同(a)は実施例を示し、同(b)は比較例を示し、同(c)は参考例を示す。
【図11】切削後に被削材表面の凹凸をカッターマークに沿って計測したグラフであって、同(a)は実施例を示し、同(b)は比較例を示し、同(c)は参考例を示す。
【図12】本発明の切削装置の他の例のブロック図である。
【図13】従来の切削手法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0021】
実施形態1
本発明の切削方法が適用されてなる切削装置の実施形態1を図1にブロック図で示し、図2に概略図で示す。
【0022】
切削装置Aは、図1に示すように、ワーク(被削材)Wを垂直に固定するクランプ機構10と、ワークWを水平に移動させる移動テーブル20と、ワークWの右側面を切削する右側切削機構30と、ワークWの左側面を切削する左側切削機構40と、これらを制御する制御部50とを主要構成要素として備えてなるものとされる。なお、本実施形態では、切削機構30,40はフライス工具を備えた横型フライス盤とされている。
【0023】
クランプ機構10は、図2に示すように、ワークWの上端を下方に押圧する上部クランプ部11と、ワークWの下端を受ける下部クランプ部16とを含むものとされる。
【0024】
上部クランプ部11は、図3に示すように、ワークW上端を全長に亘ってクランプできる長さを有する長方形状の上部クランプ板材12と、クランプ板材12を昇降させる昇降機構13とを含むものとされる。上部クランプ板材12の板厚は、クランプするワークWの板厚より薄くされて切削機構の切削の際に障害とならないようにされている。昇降機構13の基部は移動テーブル20の適宜位置に配設されている。
【0025】
下部クランプ部16は、図4に示すように、ワークW下端を全長に亘ってクランプできる長さを有する長方形状の下部クランプ板材17と、下部クランプ板材17の下部を把持する把持部18aを有する把持部材18と、把持部18aの位置を把持位置と開放位置とに切り替える切替手段19とを含むものとされる。
【0026】
なお、本実施形態では、把持部18aの把持位置と開放位置との切り替えは、切替手段19によりなすようにされているが、構成の簡素化の観点から手動により把持位置と開放位置とに切り替えがなされるようにされてもよい。
【0027】
下部クランプ板材17の板厚も、クランプするワークWの板厚より薄くされている。また、下部クランプ板材17の上部には、ワークWの吊上げの便宜などのために、適宜間隔で長方形状の切り欠き(図示省略)が設けられている。
把持部18aは、上部中央にその長手方向全長に亘って下部クランプ板材17の下部が嵌め込まれる溝18bが形成されている。
切替手段19は、溝18bの側壁を幅方向に水平移動させることにより、把持部18aを把持位置と開放位置とに切り替えるものとされている。
把持部材18および切替手段19は、移動テーブル20の適宜位置に配設されている。
【0028】
移動テーブル20は支持部材を介してベースB(図5参照)上の適宜位置に配設され、ワークWをその長手方向(送り方向)に移動させるものとされている。
【0029】
右側切削機構30は、図5に示すように、右フライス工具31と、右フライス工具31を回転させるスピンドル32と、モータ33と、モータ33とスピンドル32との間に介装される減速機34と、モータ33の回転数を計測するモータ用エンコーダー35と、スピンドル32の回転数を計測するスピンドル用エンコーダー36と、右フライス工具31の切り込み量を調整自在に支持する支持台37とを備えてなるものとされ、支持台37がベースBの適宜位置に配設される。右フライス工具31は、明瞭には図示はされていないが、単一の刃を有する一刃ミルとされる。なお、スピンドル32、モータ33、減速機34、モータ用エンコーダー35、スピンドル用エンコーダー36および支持台37は、従来のフライス盤と同様とされているので、これらの詳細な説明は省略する。
【0030】
左側切削機構40は、右側切削機構30と同様に構成され、左フライス工具41と、スピンドル42と、モータ43と、減速機44と、モータ用エンコーダー45と、スピンドル用エンコーダー46と左フライス工具41の切り込み量を調整自在に支持する支持台47と備えてなるものとされる。左フライス工具41は、右フライス工具31と左右対称とされている。なお、左側切削機構40は、図5において()を付して付記的に示されている。
【0031】
ここで、右側切削機構30と左側切削機構40とは対向配置されている。
【0032】
また、本実施形態では、右側切削機構30と左側切削機構40とを同期させるため、例えば、右側切削機構30はマスターとされ、左側切削機構40は右側切削機構30に追従するスレイブとなるよう制御部50により制御されるものとされている。
【0033】
制御部50は、例えばコンピュータにより構成され、下記に示す手順が実行できるようプログラムされている。
【0034】
次に、かかる構成とされた切削装置AによるワークWの表面仕上げ切削について説明する。
【0035】
手順1:クランプ機構10、移動テーブル20、右側切削機構30および左側切削機構40を待機位置にセットする。
【0036】
手順2:ワークWを仮保持した状態でクランプ機構10によりクランプする。
【0037】
手順3:右側切削機構30の右フライス工具31および左側切削機構40の左フライス工具41の切削量を調整する。
【0038】
手順4:右側切削機構30の右フライス工具31と左側切削機構40の左フライス工具41の位相を同相とする。つまり、各フライス工具31,41の刃を対向させる。
【0039】
手順5:右フライス工具31と左フライス工具41とを同期させて回転させる。つまり、右側切削機構30をマスターとし、左側切削機構40をスレイブとして切削する。
【0040】
手順6:移動テーブル20によりワークWをその長手方向に送りながらワークWの両面を切削する。つまり、右フライス工具31によりワークWの右表面を切削し、左フライス工具41によりワークWの左表面を切削する。
【0041】
このように、本実施形態においては、右フライス工具31および左フライス工具41の刃を一刃とするとともに、その位相を同相としているので、両フライス工具31,41の刃を多刃とした場合に比して、強制振動が抑制されてワークW表面の加工精度が向上し、製品品質が向上する。
【0042】
また、右フライス工具31と左フライス工具41とを同期させて切削を行っているので、両フライス工具31,41を同期させない場合に比して、両フライス工具31,41の切削タイミングのずれに起因する加振力が低減されて強制振動が抑制され、ワークW表面の加工精度が向上し、製品品質が向上する。
【0043】
実施形態2
図6に、本発明の実施形態2に係る切削装置の要部をブロック図で示す。
【0044】
実施形態2は実施形態1を改変してなるものであって、フライス工具表面からの仕上げ刃の出入り高さ調整する仕上げ刃調整機構(以下、単に調整機構という)ADを備えてなるものとされる。つまり、図7に示すように、粗切削時には仕上げ刃FCをフライス工具内に収納しておき(図7(a)参照)、仕上げ切削時に仕上げ刃FCを粗刃RCの先端よりも前方に突出させる(図7(b)参照)ようにしてなるものとされる。
【0045】
調整機構ADは、図6および図7に示すように、右側仕上げ刃RFCの出入り高さを調整する右側仕上げ刃調整部60と、左側仕上げ刃LFCの出入り高さを調整する左側仕上げ刃調整部70とを備えてなるものとされる。なお、図6において図1と同一の符号を付したものは、同一または類似の構成要素を示す。このことは、他の図においても同様である。
【0046】
図8に、右側仕上げ刃調整部60を示す。
【0047】
右側仕上げ刃調整部60は、図8に示すように、右フライス工具31に装着されて右側仕上げ刃RFCを螺進退自在に保持する仕上げ刃保持具61と、仕上げ刃保持具61に保持されている右側仕上げ刃RFCを螺進退させる駆動機構62とを備えてなるものとされる。
【0048】
仕上げ刃保持具61は、図9に示すように、先端部に右側仕上げ刃RFCが装着され基端部に雌ネジ63aが形成されてなる保持部材63と、先端部に前記雌ネジ63aと螺合する雄ネジ64aが形成され、中間部に径大雄ネジ64bが形成され、基端部にモータ軸66の先端と嵌合する嵌合部64cが形成されてなる駆動部材64と、中間部の径大雄ネジ64bと螺合する雌ネジが形成されてなる雌ネジ部材65とを含むものとされる。
保持部材63は、駆動部材64と螺合されて一体化される。また、保持部材63は角型形状とされて摺動自在に右フライス工具31の適宜位置に装着される。
雌ネジ部材65は、例えばネジ留めにより右フライス工具31裏面(右側仕上げ刃RFCが突出する側と反対側)に装着される。
【0049】
駆動機構62は、駆動部材64を正逆に回転させるモータ62aと、モータ62aを右フライス工具31に対して進退自在に保持するスライドベース62bと、スライドベース62bをスライドさせる油圧シリンダー62cとを含むものとされる。
【0050】
モータ軸66先端部には、駆動部材64の嵌合部64cが嵌合する嵌合凹部66aが形成されている(図9参照)。
【0051】
なお、左側仕上げ刃調整部70は、右側仕上げ刃調整部60とほぼ左右対称とされているので、その図示説明は省略する。
【0052】
次に、かかる構成とされた調整機構ADによる仕上げ刃FCの出入り高さの調整について説明する。
【0053】
手順11:右側フライス工具31を適宜回転させて駆動部材64をモータ62aの軸66と対向させる。
【0054】
手順12:モータ62aを右側フライス工具31に向けて前進させ、モータ軸66先端の嵌合凹部66aに駆動部材64の嵌合部64cを嵌合させる。
【0055】
手順13:モータ62aを正回転させて仕上げ刃RFCを右側フライス工具31表面からの出入り高さを所定高さとする。つまり、仕上げ刃RFCの先端を所定距離粗刃RC先端より突出させる。
【0056】
手順14:保持部材63をストッパーSTにより右フライス工具31に位置決め固定する。
【0057】
手順15:モータ62aを後退させ、モータ軸66と駆動部材64との係合を解除する。
【0058】
これらの一連の手順により、右側仕上げ刃RFCの出入り高さの調整が完了する。同様にして左側仕上げ刃LFCの出入り高さの調整をなす。この後、実施形態1と同様にしてワークWの切削がなされる。
【0059】
このように、実施形態2によれば、調整機構ADを設けたので、粗切削と仕上げ切削との切り替えに要する時間が短縮されて作業能率が向上する。
【0060】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。
【実施例】
【0061】
実施例
長さが450mm、幅が200mm、厚さが16.2mmの圧延鋼板(材質 JIS:SS400)を、切り込み深さを0.1mmにセットして右フライス工具と左フライス工具とを同期させ、右フライス工具および左フライス工具の回転数をそれぞれ200rpmとし、ワークの送り速度を800mm/分として各1枚刃で切削を行った。その際の振動周波数解析をし、その結果を図10(a)に示す。図より、強制振動が刃の通過周期の整数倍に同期して発生しているのが理解される。図中、横軸は周波数を示し、縦軸は変位を示し、縦軸に平行とされている点線は刃の通過周期の整数倍を示す。
【0062】
また、図11(a)に、被削材表面の凹凸の計測結果を示す。図より、振動の凹凸は4μm程度であるので、許容値内であるのが理解される。
【0063】
比較例
右フライス工具と左フライス工具との切削開始のタイミングを0.22ミリ秒ずらした他は、実施例と同様にして切削を行った。その際の振動周波数解析をし、その結果を図10(b)に示す。また、被削材表面の凹凸の計測結果を図11(b)に示す。これらの図より、左右の位相をわずかにずらしただけでも実施例と比較し、明らかに振動の変位が大きくなって許容値から外れているのが理解される。また、このことから、左右を同期させることの重要性が理解される。
【0064】
参考例
右フライス工具のみによる切削とした他は、実施例と同様にして切削を行った。その際の振動周波数解析をし、その結果を図10(c)に示す。また、被削材表面の凹凸の計測結果を図11(c)に示す。これらの図より、実施例および比較例と比較し、振動の変位が大きくなっているのが理解される。このことから、左右同時に切削することの重要性が理解される。
【0065】
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0066】
例えば、実施形態および実施例おいては、ワークWが水平移動させられるようにされているが、切削機構が水平同期移動させられるようにされてもよい。
【0067】
例えば、図12に示すように、切削装置A1が、ワークWをクランプするクランプ機構10Aと、右側切削機構30と、右側切削機構30をワークWの長手方向に沿って移動させる右側移動テーブル80Aと、左側切削機構40と、左側切削機構40をワークWの長手方向に沿って移動させる左側移動テーブル80Bと、右側移動テーブル80Aによる右側切削機構30の移動と、左側移動テーブル80Bによる左側切削機構40の移動とを同期させる移動テーブル同期移動手段52を有する制御部50Aとを備えてなるものとされてもよい。
また、実施形態および実施例おいては、フライス工具は一刃とされているが、刃の加工精度および形成位置精度を向上させることにより2刃や3刃などとすることもできる。
【0068】
さらに、実施形態および実施例では、平板のフライス加工を例に取り説明されているが、本発明の適用は平板に限定されるものではなく、タービンブレードやコンプレッサのスクロールなどの曲面を有する薄板のエンドミル加工にも適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、高精度の表面品質が要求される切削加工に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
10 クランプ機構
11 上部クランプ部
12 上部クランプ板材
13 昇降機構
16 下部クランプ部
17 下部クランプ板材
18 把持部材
20 移動テーブル
30 右側切削機構
31 右フライス工具
32 スピンドル
33 モータ
34 減速機
35 モータ用エンコーダー
36 スピンドル用エンコーダー
37 支持台
40 左側切削機構
41 左フライス工具
42 スピンドル
43 モータ
44 減速機
45 モータ用エンコーダー
46 スピンドル用エンコーダー
50 制御部
52 移動テーブル移動同期手段
60 右側仕上げ刃調整部
61 仕上げ刃保持具
62 駆動機構
80 移動テーブル
A 切削装置
AD 仕上げ刃調整機構
B ベース
W ワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材を両側から切削する切削方法であって、
一方の表面の切削と、他方の表面の切削とを同期させてなすことを特徴とする切削方法。
【請求項2】
一方の切削具と他方の切削具との位相を一致させて切削をなすことを特徴とする請求項1記載の切削方法。
【請求項3】
切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は一刃とされてなることを特徴とする請求項2記載の切削方法。
【請求項4】
被削材の一方の表面を切削する第1切削機構と、被削材の他方の表面を切削する第2切削機構と、被削材を垂直にクランプするクランプ機構と、相対移動機構と、制御部とを備え、
前記第1切削機構と前記第2切削機構とは対向配置され、
前記第1切削機構および前記第2切削機構と、前記被削材とは、前記相対移動機構により被削材の長手方向に相対移動可能とされ、
前記制御部が、前記第1切削機構と前記第2切削機構とを同期制御する
ことを特徴とする切削装置。
【請求項5】
第1切削機構がマスターとされ、第2切削機構が前記第1切削機構に追従するスレイブとされなることを特徴とする請求項4記載の切削装置。
【請求項6】
相対移動機構が、被削材をその長手方向に水平移動させる移動テーブルとされてなることを特徴とする請求項4記載の切削装置。
【請求項7】
相対移動機構が、第1切削機構を被削材の長手方向に沿って水平移動させる第1移動テーブルと、第2切削機構を被削材の長手方向に沿って水平移動させる第2移動テーブルとされ、
前記第1移動テーブルによる前記第1切削機構の水平移動と、前記第2移動テーブルによる前記第2切削機構の水平移動とが同期させられてなる
ことを特徴とする請求項4記載の切削装置。
【請求項8】
切削機構の切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は一刃とされてなることを特徴とする請求項4記載の切削装置。
【請求項9】
切削機構の切削具がフライス工具とされ、前記フライス工具は、粗切削をなす粗刃と、仕上げ切削をなす仕上げ刃とを有し、
前記仕上げ刃は、仕上げ切削時に前記粗刃の先端よりも前方に突出可能とされてなることを特徴とする請求項4記載の切削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−56056(P2012−56056A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203800(P2010−203800)
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年6月10日 ブリティシュコロンビア大学主催の「第2回国際会議 プロセスマシンインターアクション」において文書をもって発表
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(592199593)大同アミスター株式会社 (14)
【Fターム(参考)】