説明

切削装置の切削ブレード検出機構

【課題】切削ブレードを構成する環状の切れ刃が基台の外周縁から離脱して全破損したことを確実に検出することができる切削ブレード検出機構を提供する。
【解決手段】チャックテーブルに保持された被加工物を切削する環状の切れ刃を備えた切削ブレードの回転軸方向の一方の側に配設された発光手段と、切削ブレードの回転軸方向の他方の側に発光手段と対向して配設され発光手段によって照射された光を受光する受光手段と、該受光手段によって受光された光の受光量に基づいて該環状の切れ刃の状態を判定する制御手段とを具備する切削装置の切削ブレード検出機構であって、切削ブレードは円形状の基台と円形状の基台の外周部側面に装着され基台の外周縁から突出して形成された環状の切れ刃とからなり、発光手段の発光面および受光手段の受光面は円形状の基台の外周部によって一部が遮光される位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削装置に装備される切削ブレードを構成する環状の切れ刃の破損を検出するための切削ブレード検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように複数のデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、個々の光デバイスを製造している。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれる切削ブレードを備えた切削装置によって行われている。切削ブレードは円形状の基台と該円形状の基台の外周部側面に装着され基台の外周縁から突出して形成された環状の切れ刃とによって構成されている。このように構成された切削ブレードは、環状の切れ刃が所定量磨耗した場合には交換する必要がある。このため、切削装置は、磨耗して直径が減少した切削ブレードの環状の切れ刃の交換時期および環状の切れ刃の欠けを検出するための切削ブレード検出機構を備えている。
【0004】
切削装置に装備される切削ブレードの検出機構は、切削ブレードの環状の切れ刃が侵入するブレード侵入部と、該ブレード侵入部に対向して配設される発光手段および受光手段とを備えている。この切削ブレード検出機構は、発光手段が発する光を受光手段が受光し、受光手段が受光した光の光量に対応した電圧に変換することにより、発光手段と受光手段の間のブレード侵入部に位置する切削ブレードの環状の切れ刃の状態を検出する。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−53803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
而して、上記発光手段および受光手段は、細い光ファイバーを複数束ねて構成されている。このように細い光ファイバーが複数束ねて構成された発光手段は、直径が略1mmの円形の光を発光する。そして、発光手段が発する光を受光手段が受光する受光量が例えば10%になるようにセットし、切削ブレードを構成する環状の切れ刃が磨耗することにより受光手段による受光量が例えば60%に達すると発光手段と受光手段とからなる検出機構を調整して発光手段が発する光を受光手段が受光する受光量が例えば10%になるようにセットし直す。このため、切削ブレードを構成する環状の切れ刃が所定量磨耗する都度、発光手段と受光手段とからなる検出機構を調整しなければならず、その調整作業に多大な時間を要し生産性が悪いという問題がある。
【0007】
一方、切削ブレードを構成する環状の切れ刃の磨耗量は、切削ブレードの環状の切れ刃を被加工物を保持するチャックテーブルの保持面にコンタクトすることによって基準位置を設定する所謂セットアップ動作を切削作業を実施する際に行うことにより実質的に検出することができる。また、切削ブレードを構成する環状の切れ刃に発生する欠けが被加工物に実質的に悪影響を及ぼすのは環状の切れ刃が基台の外周縁から離脱する全破損する場合である。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、切削ブレードを構成する環状の切れ刃が基台の外周縁から離脱して全欠損したことを確実に検出することができる切削ブレード検出機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、チャックテーブルに保持された被加工物を切削する環状の切れ刃を備えた切削ブレードの回転軸方向の一方の側に配設された発光手段と、切削ブレードの回転軸方向の他方の側に該発光手段と対向して配設され該発光手段によって照射された光を受光する受光手段と、該受光手段によって受光された光の受光量に基づいて該環状の切れ刃の状態を判定する制御手段と、を具備する切削装置の切削ブレード検出機構において、
該切削ブレードは、円形状の基台と、該円形状の基台の外周部側面に装着され該基台の外周縁から突出して形成された環状の切れ刃とからなり、
該発光手段の発光面および該受光手段の受光面は、該円形状の基台の外周部によって一部が遮光される位置に配設されている、
ことを特徴とする切削装置の切削ブレード検出機構が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明による切削ブレード検出機構は、発光手段の発光面および該受光手段の受光面が切削ブレードを構成する円形状の基台の外周部によって一部が遮光される位置に配設されているので、発光手段の発光面から発光された光を受光手段の受光面によって受光されることで切削ブレードを構成する環状の切れ刃が円形状の基台の外周縁から離脱し全破損したことを検出することができる。このように本発明による切削ブレード検出機構においては、発光手段の発光面から発光された光を受光手段の受光面によって受光されたか否かだけを検出するので、発光手段および受光手段の位置調整が不要となり、生産性が向上するとともに、致命的な円環状の切れ刃の全破損を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に本発明に従って構成された切削ブレード検出機構が装備された切削装置の斜視図。
【図2】図1に示す切削装置に装備されるスピンドルユニットの要部斜視図。
【図3】図1に示す切削装置に装備される切削ブレードと本発明に従って構成された切削ブレード検出機構との関係を示す説明図。
【図4】図3に示す切削ブレード検出機構を構成する発光手段の発光体および受光手段の受光体と切削ブレードを構成する円環状の切れ刃との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された切削装置の切削ブレード検出機構の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に従って構成された切削ブレード検出機構を装備した切削装置の斜視図が示されている。図1に示す切削装置1は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、被加工物を保持するチャックテーブル3が切削送り方向である矢印Xで示す方向に移動可能に配設されている。チャックテーブル3は、吸着チャック支持台31と、該吸着チャック支持台31上に配設された吸着チャック32を具備しており、該吸着チャック32の上面である保持面上に被加工物を図示しない吸引手段を作動することによって吸引保持するようになっている。また、チャックテーブル3は、図示しない回転機構によって回転可能に構成されている。なお、チャックテーブル3には、被加工物として後述するウエーハをダイシングテープを介して支持する環状のフレームを固定するためのクランプ33が配設されている。このように構成されたチャックテーブル3は、図示しない切削送り手段によって、矢印Xで示す切削送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0014】
図1に示す切削装置1は、切削手段としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、図示しない割り出し送り手段によって図1において矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるとともに、図示しない切り込み送り手段によって図1において矢印Zで示す切り込み送り方向に移動せしめられるようになっている。このスピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向である矢印Yで示す方向および切り込み方向である矢印Zで示す方向に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42の前端部に装着された切削ブレード43とを具備している。切削ブレード43は、例えば図2に示すようにアルミニウムによって形成された円形状の基台431と、該基台431の外周部側面にダイヤモンド砥粒をニッケルメッキで固めて厚さが15〜30μmに形成された円環状の切れ刃432からなっている。この円環状の切れ刃432は、基台431の外周縁から0.5〜1.5mm程度突出して設けられている。
【0015】
図2を参照して説明を続けると、上記スピンドルハウジング41の前端部には、切削ブレード43の上半部を覆うブレードカバー44が取り付けられている。ブレードカバー44は、図示の実施形態においてはスピンドルハウジング41に装着された第1のカバー部材441と、該第1のカバー部材441に装着される第2のカバー部材442とからなっている。第1のカバー部材441の側面には雌ネジ穴441aと2個の位置決めピン441bが設けられており、第2のカバー部材442には上記雌ネジ穴441aと対応する位置に挿通穴442aが設けられている。また、第2のカバー部材442の第1のカバー部材441と対向する面には、上記2個の位置決めピン441bが嵌合する図示しない2個の凹部が形成されている。このように構成された第1のカバー部材441と第2のカバー部材442は、第2のカバー部材442に形成された図示しない2個の凹部を第1のカバー部材441に設けられた2個の位置決めピン441bに嵌合することによって位置決めする。そして、締結ボルト443を第2のカバー部材442の挿通穴442aに挿通し、第1のカバー部材441に設けられた雌ネジ穴441aと螺合することにより、第2のカバー部材442を第1のカバー部材441に装着する。
【0016】
上記ブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441と第2のカバー部材442には、それぞれ切削水供給管451、452が配設されている。この切削水供給管451、452の下端には、それぞれ切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432の両側にそれぞれ配設され円環状の切れ刃432の両側面に向けて切削水を噴射する切削水供給ノズル461、462が接続されている。なお、上記切削水供給管451、452は、図示しない切削水供給手段に接続されている。
【0017】
図示の実施形態におけるスピンドルユニット4のブレードカバー44を構成する第1のカバー部材441には、上記切削ブレード43の円環状の切れ刃432の破損を検出するための切削ブレード検出機構5が配設されている。この切削ブレード検出機構5について図2乃至図4を参照して説明する。
【0018】
図示の実施形態における切削ブレード検出機構5は、図2に示すように上記第1のカバー部材441に締結ボルト51によって取り付けられる取付け部材52と、図3に示すように該取付け部材52に上下方向摺動可能に配設される支持部材53と、該支持部材53の一方側に配設された発光手段6および支持部材53の他方側に配設された受光手段7を具備している。取付け部材52には、第3図に示すように上記支持部材53の厚みに対応する溝幅を有し下方が開放され上下方向に形成された案内溝521が形成されている。この案内溝521に支持部材53が上下方向に摺動可能に配設される。
【0019】
上記支持部材53は、ステンレス鋼やアルミニウム等の金属材によって上記案内溝521の溝幅と対応する厚みを有する板状に形成され、その下部には上記切削ブレード43を構成する円形状の基台431の外周部および環状の切れ刃432が侵入する切削ブレード侵入凹部531が形成されており、この切削ブレード侵入凹部531の両側に発光体取り付け部532と受光体取り付け部533が設けられている。このように構成された支持部材53は、取付け部材52に形成された案内溝521の上下方向に摺動可能に配設され、取付け部材52に装着された調整ネジ54によって上下方向に移動調節されるようになっている。
【0020】
上記発光手段6は、図4に示すように支持部材53の発光体取り付け部532に発光面601を上記ブレード侵入凹部531に向けて配設された発光体60と、該発光体60に光を発する光源61とからなっている。発光体60は、断面が円形の複数の光ファイバーを束ねて直径が1mm程度の円形に形成されている。このように構成された発光体60は、図3に示すように支持部材53の発光体取り付け部532に装着される。上記光源61は、例えばレーザー発光ダイオード(LED)からなり、制御手段8によって制御される。
【0021】
次に、上記受光手段7について、図4を参照して説明する。
受光手段7は、支持部材53の受光体取り付け部533に受光面701を上記ブレード侵入凹部531に向けて配設された受光体70と、該受光体70によって受光された光の光量に対応した電圧に変換する光電変換器71とからなっている。受光体70は、上記発光体60と同様に断面が円形の複数の光ファイバーを束ねて直径が1mm程度の円形に形成されている。このように構成された受光体70は、図3に示すように支持部材53の受光体取り付け部533に装着され、受光体70が上記発光手段6の発光体60の発光面601と対向して配設される。上記光電変換器71は、受光体70によって受光された光の光量に対応した電圧値に変換し、制御手段8に送る。
【0022】
ここで、上記発光手段6を構成する発光体60の発光面601および受光手段7を構成する受光体70の受光面701と切削ブレード43との関係について、図3および図4を参照して説明する。
発光体60の発光面601および受光体70の受光面701は、切削ブレード43を構成する円形状の基台431の外周部によって一部が遮光される位置に配設されている。図示の実施形態においては、発光体60の発光面601の中心P1および受光体70の受光面701の中心P2が切削ブレード43を構成する円形状の基台431の外周縁431aと対応する位置になるように位置付けられる。この発光体60の発光面601および受光体70の受光面701の位置調整は、上記取付け部材52に装着された調整ネジ54によって支持部材53を上下方向に移動調節することにより行われる。
【0023】
図示の実施形態における切削ブレード検出機構5は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
切削ブレード43が回転している状態において制御手段8は、発光手段6の光源61を附勢(ON)する。この結果、発光手段6の光源61が発光され、発光された光が発光体60の発光面601から受光手段7を構成する受光体70の受光面701に向けて光が照射される。そして、受光体70の受光面701が受光した光が光電変換器71に伝送され、光電変換器71は受光体70の受光面701が受光した光の光量に対応した電圧信号を制御手段8に出力する。発光体60の発光面601および受光体70の受光面701は、上述したようにそれぞれの中心P1およびP2が切削ブレード43を構成する円形状の基台431の外周縁431aと対応する位置になるように位置付けられているので、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432が破損して円形状の基台431の外周縁431aから離脱しない状態においては、発光体60の発光面601から照射された光は受光体70の受光面701によって受光されない、又は受光されても後述する閾値に達しない。一方、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432が破損して円形状の基台431の外周縁431aから離脱すると、発光体60の発光面601の中心P1および受光体70の受光面701の中心P2が切削ブレード43を構成する円形状の基台431の外周縁431aと対応する位置になるように位置付けられているので、発光体60の発光面601から照射された光の50%以上が受光体70の受光面701によって受光される。即ち、制御手段8は、光電変換器71からの検出信号に基づいて、受光体70の受光面701によって受光され受光量が発光体60の発光面601から照射された光の50%(閾値)以上である場合には、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432が全破損したものと判断し、円環状の切れ刃432が全破損した旨を後述する表示手段に表示する。この結果、オペレータは円環状の切れ刃432が全破損したことを確認することができる。
【0024】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置1は、上記チャックテーブル3上に保持された被加工物の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段11を具備している。この撮像手段11は、顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっている。また、切削装置1は、撮像手段11によって撮像された画像や上記切削ブレード検出機構5の制御手段8による判定結果等を表示する表示手段12を具備している。
【0025】
上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域13aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル13が配設されている。このカセット載置テーブル13は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル13上には、被加工物としての半導体ウエーハ10を収容するカセット14が載置される。カセット14に収容される半導体ウエーハ10は、表面に格子状のストリートが形成されており、この格子状のストリートによって区画された複数の矩形領域にIC、LSI等のデバイスが形成されている。このように形成された半導体ウエーハ10は、環状の支持フレームFに装着されたダイシングテープTの表面に裏面が貼着された状態でカセット14に収容される。
【0026】
また、図示の実施形態における切削装置は、カセット載置テーブル13上に載置されたカセット14に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)を仮置きテーブル15に搬出するとともに仮置きテーブル15に戻された切削加工後の半導体ウエーハ10をカセット14に搬入する搬出・搬入手段16と、仮置きテーブル15に搬出された半導体ウエーハ10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1の搬送手段17と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄する洗浄手段18と、チャックテーブル3上で切削加工された半導体ウエーハ10を洗浄手段18へ搬送する第2の搬送手段19を具備している。
【0027】
次に、上述した切削装置1を用いて半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断する切削作業について説明する。
カセット載置テーブル13上に載置されたカセット14の所定位置に収容されている半導体ウエーハ10(環状のフレームFにダイシングテープTを介して支持されている状態)は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル13が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、搬出・搬入手段16が進退作動して搬出位置に位置付けられた半導体ウエーハ10を仮置きテーブル15上に搬出する。仮置きテーブル15に搬出された半導体ウエーハ10は、第1の搬送手段17の旋回動作によって上記チャックテーブル3上に搬送される。
【0028】
チャックテーブル3上に半導体ウエーハ10が載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハ10をチャックテーブル3上に吸引保持する。また、半導体ウエーハ10をダイシングテープTを介して支持する環状のフレームFは、上記クランプ33によって固定される。このようにして半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3は、撮像手段11の直下まで移動せしめられる。チャックテーブル3が撮像手段11の直下に位置付けられると、撮像手段11によって半導体ウエーハ10に形成されているストリートが検出され、スピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調節してストリートと切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432との精密位置合わせ作業が行われる。
【0029】
その後、チャックテーブル3を切削ブレード43の下方である切削加工領域に移動し、切削ブレード43を所定方向に回転せしめるとともに、矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432の最下端がダイシングテープTに達する位置に位置付ける。そして、半導体ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル3を切削送り方向である矢印Xで示す方向に所定の切削送り速度で移動する。この結果、チャックテーブル3上に保持された半導体ウエーハ10は、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432により所定のストリートに沿って切断される(切削工程)。この切削工程を実施する際には、切削水供給ノズル461、462から切削水が切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432の側面に向けて噴射される。
【0030】
以上のようにして、半導体ウエーハ10を所定のストリートに沿って切断したら、スピンドルユニット4を図1において矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハ10の所定方向に延在するストリートの全てに沿って切削工程を実施したならば、チャックテーブル3を90度回転させて、半導体ウエーハ10の所定方向と直交する方向に延在するストリートに沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハ10に格子状に形成された全てのストリートが切削されて個々のデバイスに分割される。なお、分割された個々のデバイスは、ダイシングテープTの作用によってバラバラにはならず、環状のフレームFに支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0031】
上述したように半導体ウエーハ10のストリートに沿って切削工程が終了したら、半導体ウエーハ10を保持したチャックテーブル3は最初に半導体ウエーハ10を吸引保持した位置に戻される。そして、半導体ウエーハ10の吸引保持を解除する。次に、半導体ウエーハ10は第2の搬送手段19によって洗浄手段18に搬送される。洗浄手段18に搬送された半導体ウエーハ10は、ここで洗浄および乾燥される。このようにして洗浄および乾燥された半導体ウエーハ10は、乾燥後に第1の搬送手段17によって仮置きテーブル15に搬送される。そして、半導体ウエーハ10は、搬出・搬入手段16によってカセット14の所定位置に収納される。
【0032】
上述した切削工程を実施している際に上記切削ブレード検出機構5も作動し、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432の状態を監視している。そして、切削ブレード検出機構5の制御手段8は、受光手段を構成する光電変換器71からの検出信号に基づいて、受光体70の受光面701によって受光され受光量が発光体60の発光面601から照射された光の50%以上である場合には、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432が全破損したものと判断し、円環状の切れ刃432が全破損した旨を表示手段12に表示する。この結果、オペレータは円環状の切れ刃432が全破損したことを確認することができる。このように、図示の実施形態においては、切削ブレード43を構成する円環状の切れ刃432が破損して円形状の基台431の外周縁431aから離脱した状態、即ち受光体70の受光面701によって受光され受光量が発光体60の発光面601から照射された光の50%以上であるか否かだけを判断するので、発光体60の発光面601および受光体70の受光面701の位置調整が不要となり、生産性が向上するとともに、致命的な円環状の切れ刃432の全破損を確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:切削装置
2:装置ハウジング
3:チャックテーブル
4:スピンドルユニット
42:回転スピンドル
43:切削ブレード
44:ブレードカバー
461,462:切削水供給ノズル
5:切削ブレード検出機構
52:取付け部材
53:支持部材
6:発光手段
60:発光体
601:発光面
61:光源
7:受光手段
70:受光体
701:受光面
71:光電変換器
8:制御手段
10:半導体ウエーハ
11:撮像手段
12:表示手段
13:カセット載置テーブル
14:カセット
15:仮置きテーブル
16:搬出・搬入手段
17:第1の搬送手段
18:洗浄手段
19:第2の搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックテーブルに保持された被加工物を切削する環状の切れ刃を備えた切削ブレードの回転軸方向の一方の側に配設された発光手段と、切削ブレードの回転軸方向の他方の側に該発光手段と対向して配設され該発光手段によって照射された光を受光する受光手段と、該受光手段によって受光された光の受光量に基づいて該環状の切れ刃の状態を判定する制御手段と、を具備する切削装置の切削ブレード検出機構において、
該切削ブレードは、円形状の基台と、該円形状の基台の外周部側面に装着され該基台の外周縁から突出して形成された環状の切れ刃とからなり、
該発光手段の発光面および該受光手段受光面は、該円形状の基台の外周部によって一部が遮光される位置に配設されている、
ことを特徴とする切削装置の切削ブレード検出機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−51092(P2012−51092A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197901(P2010−197901)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】