説明

切断した植物の育成装置

【課題】切断した植物の長期間の生育を可能とする。
【解決手段】 取付台11に形成した植物配置用スペース内に多数の植物差し込み体8が配置され、各植物差し込み体8には、循環水供給管5と循環水排出管6が接続する。各植物差し込み体8には、循環水流通用チャンバー8−5が設けられ、これに循環水供給管5と循環水排出管6が連通している。取付台11には、養分水循環路が構成され、給水タンク36内の養分水が養分水循環駆動手段より養分水循環路に沿って循環し、養分水が植物差し込み体8の循環水流通用チャンバー8−5を通って循環する。切断した植物は植物差し込み体8の差し込み口57から循環水流通用チャンバー8−5に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断した植物の育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切断した樹木や花は、水にさして養分水を供給し生育している。植物の幹を切断した場合、直ちに水揚げ処理を行い、植え込まなければ寿命を短くする。植え込む方法は、スポンジ状の物質に水を含ませた容器や、水を入れる容器に植物を差し込む方法が一般的である。これらの容器の場合、限られた容量の水に差し込み、植物の自然蒸発により、導管から養分水が補給され生きている。水の管理方法は、定期的に水を交換し、切り口の処理、延命剤など、様々な方法で工夫されているが短い期間で生命力を失って枯れてしまい、長期の育成はできないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−73551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断した植物は、短時間で生命力を失い枯れてしまう。水揚げをしても長期の生育は難しい。その原因は、滞留水に雑菌・バクテリア・不純物・藻等が繁殖して植物の切り口や導管を塞ぎ、養分補給を阻害することにある。
本発明は上記問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため発明は、取付台(11)上に、切断した植物の軸部を受け入れこれを支持する植物差し込み口(57)と該植物差し込み口(57)に差し込まれた植物の軸部の切り口に養分水を供給する循環水流通用チャンバー(8−5)を有する植物差し込み体(8)を配置し、植物の生育のための養分水を給水タンク(36)に貯蔵し、該給水タンク(36)の出口と入り口を結ぶ養分水循環路を設け、該養分水循環路の養分水循環経路に前記循環水流通用チャンバー(8−5)を設け、ポンプ(31)(23)によって、前記給水タンク(36)内の養分水を前記養分水循環路を介して循環させるようにしたものである。
また本発明は、
植物配置用スペースが形成された取付台(11)と、
筒体(8a)と該筒体(8a)に嵌合配置され根から切断された植物の軸状部分を脱着自在に保持する植物差し込み口(57)が形成された保持体(9)と前記植物差し込み口(57)の下方に位置して前記筒体(8a)に形成された循環水流通用のチャンバー(8−5)と該循環水流通用チャンバー(8−5)に連通する一対の流通口(8−1)(8−2)とを有し、前記取付台(11)の植物配置用スペース内に配置された植物差し込み体(8)と、
前記取付台(11)に支承され、植物用の養分水が収納された給水タンク(36)と、
前記給水タンク(36)の出口に連通する往路用本管(1)と、
前記給水タンク(36)の入口に連通する復路用本管(2)と、
前記往路用本管(1)に接続され前記取付台(11)に複数並列状に配置された往路用分岐管(3)と、
前記復路用本管(2)に接続され前記取付台(11)に前記往路用分岐管(3)ごとにこれと対をなしてほぼ平行に配置された復路用分岐管(4)と、
前記取付台(11)の前記植物配置用スペース内に位置して複数配置され、各々の下端が前記往復路用分岐管(3)(4)の中の一方の分岐管(3)に接続し、各上端が前記植物差し込み体(8)の一対の流通口(8−1)(8−2)の中の一方の流通口(8−1)に接続する循環水供給管(5)と、
前記取付台(11)の前記植物配置用スペース内に位置して前記循環水供給管(5)と並んで配置され、各々の下端が前記往復路用分岐管(2)(4)の中の他方の分岐管(4)に接続し、各上端が前記植物差し込み体(8)の一対の流通口(8−1)(8−2)の中の他方の流通口(8−2)に接続する循環水排出管(6)と、
前記給水タンク(36)内の養分水を該給水タンク(36)の出口から前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)及び前記往復路用本管(1)(2)を経て給水タンク(36)の入り口に至る循環路を循環させる養分水循環駆動手段と
を備え、根から切断した植物の軸状部分の切り口を前記植物差し込み口(57)から前記循環水流通用チャンバー(8−5)内に挿入できるようにしたものである。
また本発明は、前記保持体(9)をゴムにより構成し、前記植物差し込み口(57)の底部を拡径自在に密着させ、該植物差し込み口(57)内に前記循環水流通用チャンバー(8−5)内の循環水が浸入しないようにしたものである。
また本発明は、前記循環水流通用チャンバー(8−5)内に殺菌抗菌用のボール(8−8)を配置し、該ボール(8−8)の殺菌抗菌作用によって循環水流通用チャンバー(8−5)内を殺菌し、該循環水流通用チャンバー(8−5)内に挿入された前記植物の切り口に殺菌された養分水が供給されるようにしたものである。
また本発明は、前記給水タンク(36)内に養分水を殺菌する殺菌装置(41)を設け、殺菌した養分水を循環させて前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)に供給するようにしたものである。
また本発明は、前記養分水の循環路に水温調整装置(21−1)を設け、前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)に供給される養分水の温度を適正な一定の温度に保持するようにしたものである。
また本発明は、前記養分水循環駆動手段を前記給水タンク(36)に高圧の空気を供給する空気ポンプ(31)で構成したものである。
また本発明は、前記養分水循環駆動手段を前記養分水の循環路に設けた液体用の循環ポンプ(23)で構成したものである。
また本発明は、前記養分水が、浄化ろ過材、活性水発生材、マイナスイオン発生材、殺菌抗菌材の中の少なくとも1つの水質改善材で水質改善処理が施された水であることを特徴とするものである。
また本発明は、前記給水タンク(36)に補助給水タンク(38)を電磁弁(29)を介して接続し、前記補助給水タンク(38)内の水中に浄化ろ過材、活性水発生材、マイナスイオン発生材、殺菌抗菌材の中の少なくとも1つの水質改善材を入れ、該水質改善材で水質を改善した水を養分水として前記電磁弁(29)を通じて前記給水タンク(36)に補給するようにしたものである。
また本発明は、前記給水タンク(36)及び/又は前記補助給水タンク(38)内の水中に酸素を供給する酸素補給手段を設け、前記養分水に酸素を補給するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、切断した植物の切り口に循環水を供給するようにしたので、切断した植物の寿命を延ばすことができ、長期間の生育が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】植物差し込み体と配管路の概観図である。
【図2】植物差し込み体の断面図である。
【図3】本装置の一部の外観図である。
【図4】本装置の正面図である。
【図5】本装置の一部の外観図である。
【図6】本装置の全体システム説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図6は本装置のシステム構成図を示している。本装置は、根から切断した切断植物10を差し込むための多数の差し込み口57が多数マトリックス状に配置された配列平面からなる切断植物育成床部58と、切断植物に養分水を供給するための養分水循環駆動部59と、この養分水循環駆動部59と植物育成床部58とを接続する往復路用本管1,2とから構成され、これらは養分水循環路を構成している。
【0009】
養分水循環駆動部59は、給水タンク36と、空気タンク37と、圧縮空気を吐出する空気ポンプ31と、養分水循環路の養分水を循環方向に付勢する循環ポンプ23と、各種機器の駆動と制御を行う制御盤50と、水温調整装置21−1と、電磁弁30−1,26,15,29と、養分水循環路の各所に設けられたバルブと、これら各機器間を連通させる配管と、制御盤50と各機器を電気的に接続する信号線とより構成され、全体がケーシングに収納されている。ケーシングに収納された養分水循環駆動部59は、図4に示す、脚部にキャスター12の付いた移動自在な取付台11の下部に支持されている。なお、図4において、養分水循環駆動部59を収納するケーシングは図示省略されている。
【0010】
給水タンク36には、制御盤50によって電気的にオンオフが制御される殺菌装置41や、水位センサ39、圧力センサ40、水温センサ21−2、減圧弁43が配置され、制御盤50に、これらセンサ39,40,21−2により給水タンク36内の水位42や水温や給水タンク36内の空気圧の信号が供給されるように構成されている。給水タンク36内には、電磁弁29の設けられた配管28を通じて、補助給水タンク38内の養分水42が補給されるように構成されている。補助給水タンク38の上部には、開閉可能なキャップの付いた補給口51が設けられ、ここから補助給水タンク38内に養分水が補給される。
【0011】
ここで養分水とは植物生育に必要な水のことであり、水道水その他一般に用いられる普通の水のことである。補助給水タンク38内には、市販の浄化ろ過材42−1、市販の活性水発生材、市販のマイナスイオン発生材、市販の殺菌抗菌材が配置され、これら水質改善材により、補助給水タンク38内の養分水は、切断植物10の生育に適した、活性化、浄化ろ過され、殺菌された、マイナスイオンの豊富な養分水となっている。補助給水タンク38には、減圧弁52と水位センサ39が設けられている。空気タンク37の内部は、制御盤50によって電気的に駆動が制御される空気ポンプ31の圧縮空気吐出口と配管32及びバルブ33を介して連通している。
【0012】
空気タンク37内は、エアー流通パイプ30とバルブ33,30−2を介して、先端が、補助給水タンク38内の養分水42の水中に配置された酸素排出パイプ53と連通している。前記空気タンク37と空気ポンプ31とパイプ53は補助給水タンク38内の養分水42に酸素を補給する酸素補給手段を構成している。
一方、空気タンク37内の圧縮空気は、電磁弁30−1と昇圧管54を通じて、給水タンク36に供給され、給水タンク36内に、養分水循環に必要な空気圧を発生させるようにしている。
【0013】
循環ポンプ23を通る流通路には、電磁弁26,15間にバイパス通路25が設けられ、循環ポンプ23を停止したとき、養分水循環路内の養分水がバイパス通路25を通じて流れるように構成されている。養分水循環駆動部59には、往路用本管1と接続する循環水流出口60と、復路用本管2と接続する循環水流入口61が設けられ、循環水流出口60の上流側は、電磁弁15、循環ポンプ23、バイパス通路25、電磁弁26、水温調整装置21−1、バルブ21を通じて、給水タンク36の出口に連通している。一方、循環水流入口61の下流側は、配管20、バルブ20を通じて、給水タンク36の入り口に連通し、また、バルブ16を通じて、補助給水タンク38の入り口に連通している。
【0014】
制御盤50は、DC変換装置とバッテリを内蔵し、移動時や停電時でも、バッテリの電力によって、養分水循環駆動部59内の空気ポンプ31等の各種電気機器を駆動できるようになっている。また、制御盤50には、外部AC電源を取り入れるためのコンセント付きのコードが接続している。
【0015】
取付台11の上部支持枠の植物配置用スペースには、図5に示すように、互いに所定間隔を存して、多数の往路用分岐管3の直線部分が配置され、各往路用分岐管3は往路用本管1に接続している。多数の往路用分岐管3の直線部分は、取付台11の植物配置用スペース内に位置して、床面に対して水平な方向に並列状に配列され、取付台11の上部支持枠に支持されている。また、前記往路用分岐管3の直線部分に対して平行に、復路用分岐管4の直線部分が所定間隔を存して隣接配置され、前記植物配置用スペース内に位置して、取付台11の上部支持枠に支持されている。
【0016】
前記各復路用分岐管4は、復路用本管2に接続している。前記各往復路用の分岐管3,4の直線部分の先端は、各々閉じた構成となっており、それぞれにバルブ13,14が設けられている。取付台11の上部には、図4に示すように、床面に対して水平な面内で多数平行に配設された各往路用分岐管3の直線部分ごとに、往路用の循環水供給管5が、ほぼ等間隔で、床面に対してほぼ垂直な状態で多数直立配置されている。
【0017】
各循環水供給管5の下端は図3に示すように、対応する往路用分岐管3の直線部分に接続している。各循環水供給管5の上端は、図2に示すように、植物差し込み体8の循環水流通口8−1にねじ構造により接続している。また、往路用循環水供給管5と対をなして、透明な合成樹脂チューブからなる復路用循環水排出管6が直立状態で配置され、各復路用循環水排出管6の下端は、図3に示すように、対応する復路用分岐管4の直線部分に接続している。
各復路用循環水排出管6の上端は、図2に示すように、植物差し込み体8の循環水流通口8−2にねじ構造により接続している。
【0018】
図2に示す、植物差し込み体8は、根から切断した切断植物の茎を差し込むための植物差し込み口57が形成されたゴムからなる保持体9と、該保持体9を嵌合保持する筒体8aと、筒体8のねじ部8−9に螺合し、保持体9の端部8−10に圧着して、保持体9を筒体8aに固定するキャップ8−3と、筒体8a内に配置されたゴム体受け8−7と、切断植物の茎などの軸部を受け入れ、該軸部に循環水を供給する、植物差し込み口57の下方に形成された循環水流通用チャンバー8−5と、該循環水流通用チャンバー8−5内に配置された、殺菌、抗菌機能を有するセラミックからなるボール8−8とを備えている。
【0019】
差し込み口57は、底部が拡径自在に密着した、円錐状に形成されている。この円錐形状により、植物の茎(軸部)を差し込み口57に差し込んだとき、差し込み口57の底部が茎に密着して、水漏れを防止するとともに、植物を差し込んでいない状態でも、循環水流通用チャンバー8−5内の高圧循環養分水が差し込み口57から外部に漏れない構成となっている。この植物差し込み口57にゴムの圧力に抗して切断植物の軸部を圧入すると、この軸部の切り口は、植物差し込み口57の底部から突出し、この突出部が循環水流通用チャンバー8−5内の養分水内に配置されるようになっている。
尚、往路用循環水供給管5は、銅などの金属により構成しているが、金属製に特に限定されるものではなく、合成樹脂その他の材料のパイプを使用することができる。
【0020】
また、復路用循環水排出管6は、透明な合成樹脂チューブに特に限定されるものではなく、金属管を用いてもよい。前記各復路用循環水排出管6の上部には、植物差し込み体8内の循環水流通用チャンバー8−5の循環水の排出量を調整するための調整弁7がそれぞれ取り付けられている。往路用分岐管3の直線部分と復路用分岐管4の直線部分の間には、図5に示すように、多数の植物差し込み体8が取付台11の植物配置用スペース上にマトリックス状に配置される。尚、図6中、符号14−1は外気通気バルブ、17,18,27は配管、55は本装置の連結方向、56は水流方向、51は給水・タンク点検口、44,45,47は制御線、49はシステム連結のための信号線、48はシステム電源線、34は減圧弁、40−1は圧力センサ、35は排水弁、46はポンプ用電源線、24はバルブ、8−4は循環水流入方向、8−6は循環水流出方向、56は水流方向を示すものである。
を示している。
【0021】
次に本装置の動作について説明する。
まず、給水タンク36内の養分水を植物差し込み体8に循環的に供給する養分水循環動作について説明する。給水タンク36内に、予め、補助給水タンク38内の、浄化ろ過材42−1や活性水発生材やマイナスイオン発生材や殺菌抗菌材で水質改善された養分水を満たしておく。本装置の駆動をスタートさせると、制御盤50によって、空気ポンプ31と循環ポンプ23が駆動状態となる。空気ポンプ31の高圧出力は、空気タンク37に伝達され、空気タンク37内が高圧となる。
【0022】
この空気タンク37内の高圧空気は、バルブ33、配管30、電磁弁30−1、昇圧管54を通じて給水タンク36内に伝達され、給水タンク36内の空気が高圧状態となる。この空気圧は、圧力センサ40から信号線を通じて制御盤50の入力部にフィードバックされ、制御盤50は、このフィードバック信号に基づいて、減圧弁43を制御し、給水タンク16内の空気圧を所定の適正な値に制御する。一方、空気タンク37内の高圧空気は、バルブ33,30−2とパイプ53を通じて補助給水タンク38内の養分水42の水中に供給され、養分水42に酸素が供給される。給水タンク36内の養分水は、給水タンク36内の高圧な空気圧と、循環ポンプ23の液体圧送力によって、給水タンク36の出口から養分水循環路に押し出される。
【0023】
給水タンク36の出口から出た養分水は、養分水循環路を経て、給水タンク36の入り口に戻り、養分水は、給水タンク36の出口と入り口との間の養分水循環路を循環する。即ち、給水タンク36の出口を出た養分水は、バルブ21、水温調整装置21−1の流体通路、電磁弁26,バルブ24、循環ポンプ23の流体通路、バルブ24,22、電磁弁15,循環水流出口60を経て、往路用本管1に至り、該往路用本管1から更に各往路用分岐管3、該分岐管3の直線部分、往路用循環水供給管5、植物差し込み体8の循環水流通用チャンバー8−5、復路用循環水排出管6、調整弁7、復路用分岐管4の直線部分、復路用分岐管4、バルブ14、復路用本管2、循環水流入口61、バルブ20を経て、給水タンク36の入り口に流入する。
【0024】
この養分水は、水温調整装置21−1を通ることによって水温が一定に保たれる。上記循環ポンプ23の運転中、養分水循環路の水圧が設定水圧を超えた場合には、制御盤50は、この水圧の状態をセンサ40で検知し、循環ポンプ23の下流側の、電磁弁15を調整し、且つ、給水タンク36側のバルブ19を開放して、養分水循環路の水圧を減圧し、所定の適正な水圧に戻す。通常運転において、養分水循環路に所定の範囲内で水圧が保たれているときは、循環ポンプ23は停止され、バルブ24,24が閉じられる。
【0025】
循環ポンプ23が停止状態のとき、電磁弁26,15のバイパス側の弁が開放され、水温調整装置21−1を経た循環水は、バイパス通路25を経て、循環水流出口60に向かう。本装置運転中、制御盤50は、圧力センサ40と水温センサ21−2の各信号をモニターし、給水タンク36が適正な圧力を保持し、養分水が適正な水温を保持するように、空気ポンプ31と水温調整装置21−1をオンオフ制御する。空気ポンプ31のオンオフ制御の間隔は、空気タンク31の容量により決定される。本装置の運転中、バルブ16及び電磁弁29は閉じている。給水タンク36内の養分水の水位が所定値より下がると、水位センサ21−2の信号によって、制御盤50は、この給水タンク36の水位低下を検知し、電磁弁29を開放する。
【0026】
これにより、補助給水タンク38内の養分水は、給水タンク36の水位が所定の水位に達するまで給水タンク36に供給される。
尚、本実施形態では、給水タンク36内の養分水を該給水タンク36の出口から植物差し込み体8の循環水流通用チャンバー8−5及び往復路用本管1,2を経て給水タンク36の入り口に至る養分水循環路を循環させるポンプとして空気ポンプ(空圧ポンプ)31と循環ポンプ23の2つのポンプを用いたが、本発明は特に2つのポンプを用いる構成に限定されるものではなく、空気ポンプ31のみでもよく、また循環ポンプ23のみでも良い。
【符号の説明】
【0027】
1 往路用本管
2 復路用本管
3 往路用分岐管
4 復路用分岐管
5 循環水供給管
6 循環水排出管
7 調整弁
8 植物差し込み体
9 保持体
10 切断植物
11 取付台
12 キャスター
13 バルブ
14 バルブ
15 電磁弁
16 電磁弁
20 配管
21−1 水温調整装置
23 循環ポンプ
31 空気ポンプ
36 給水タンク
37 空気タンク
38 補助給水タンク
50 制御盤
54 昇圧管
57 差し込み口
58 植物育成床部
59 養分水循環駆動部
60 流出口
61 流入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付台(11)上に、切断した植物の軸部を受け入れこれを支持する植物差し込み口(57)と該植物差し込み口(57)に差し込まれた植物の軸部の切り口に養分水を供給する循環水流通用チャンバー(8−5)を有する植物差し込み体(8)を配置し、植物の生育のための養分水を給水タンク(36)に貯蔵し、該給水タンク(36)の出口と入り口を結ぶ養分水循環路を設け、該養分水循環路の養分水循環経路に前記循環水流通用チャンバー(8−5)を設け、ポンプ(31)(23)によって、前記給水タンク(36)内の養分水を前記養分水循環路を介して循環させるようにしたことを特徴とする切断した植物の育成装置。
【請求項2】
植物配置用スペースが形成された取付台(11)と、
筒体(8a)と該筒体(8a)に嵌合配置され根から切断された植物の軸状部分を脱着自在に保持する植物差し込み口(57)が形成された保持体(9)と前記植物差し込み口(57)の下方に位置して前記筒体(8a)に形成された循環水流通用のチャンバー(8−5)と該循環水流通用チャンバー(8−5)に連通する一対の流通口(8−1)(8−2)とを有し、前記取付台(11)の植物配置用スペース内に配置された植物差し込み体(8)と、
前記取付台(11)に支承され、植物用の養分水が収納された給水タンク(36)と、
前記給水タンク(36)の出口に連通する往路用本管(1)と、
前記給水タンク(36)の入口に連通する復路用本管(2)と、
前記往路用本管(1)に接続され前記取付台(11)に複数並列状に配置された往路用分岐管(3)と、
前記復路用本管(2)に接続され前記取付台(11)に前記往路用分岐管(3)ごとにこれと対をなしてほぼ平行に配置された復路用分岐管(4)と、
前記取付台(11)の前記植物配置用スペース内に位置して複数配置され、各々の下端が前記往復路用分岐管(3)(4)の中の一方の分岐管(3)に接続し、各上端が前記植物差し込み体(8)の一対の流通口(8−1)(8−2)の中の一方の流通口(8−1)に接続する循環水供給管(5)と、
前記取付台(11)の前記植物配置用スペース内に位置して前記循環水供給管(5)と並んで配置され、各々の下端が前記往復路用分岐管(2)(4)の中の他方の分岐管(4)に接続し、各上端が前記植物差し込み体(8)の一対の流通口(8−1)(8−2)の中の他方の流通口(8−2)に接続する循環水排出管(6)と、
前記給水タンク(36)内の養分水を該給水タンク(36)の出口から前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)及び前記往復路用本管(1)(2)を経て給水タンク(36)の入り口に至る循環路を循環させる養分水循環駆動手段と
を備え、根から切断した植物の軸状部分の切り口を前記植物差し込み口(57)から前記循環水流通用チャンバー(8−5)内に挿入できるようにしたことを特徴とする切断した植物の育成装置。
【請求項3】
前記保持体(9)をゴムにより構成し、前記植物差し込み口(57)の底部を拡径自在に密着させ、該植物差し込み口(57)内に前記循環水流通用チャンバー(8−5)内の循環水が浸入しないようにしたことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項4】
前記循環水流通用チャンバー(8−5)内に殺菌抗菌用のボール(8−8)を配置し、該ボール(8−8)の殺菌抗菌作用によって循環水流通用チャンバー(8−5)内を殺菌し、該循環水流通用チャンバー(8−5)内に挿入された前記植物の切り口に殺菌された養分水が供給されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項5】
前記給水タンク(36)内に養分水を殺菌する殺菌装置(41)を設け、殺菌した養分水を循環させて前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)に供給するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項6】
前記養分水の循環路に水温調整装置(21−1)を設け、前記植物差し込み体(8)の循環水流通用チャンバー(8−5)に供給される養分水の温度を適正な一定の温度に保持するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項7】
前記養分水循環駆動手段を前記給水タンク(36)に高圧の空気を供給する空気ポンプ(31)で構成したことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項8】
前記養分水循環駆動手段を前記養分水の循環路に設けた液体用の循環ポンプ(23)で構成したことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項9】
前記養分水が、浄化ろ過材、活性水発生材、マイナスイオン発生材、殺菌抗菌材の中の少なくとも1つの水質改善材で水質改善処理が施された水であることを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項10】
前記給水タンク(36)に補助給水タンク(38)を電磁弁(29)を介して接続し、前記補助給水タンク(38)内の水中に浄化ろ過材、活性水発生材、マイナスイオン発生材、殺菌抗菌材の中の少なくとも1つの水質改善材を入れ、該水質改善材で水質を改善した水を養分水として前記電磁弁(29)を通じて前記給水タンク(36)に補給するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の切断した植物の育成装置。
【請求項11】
前記給水タンク(36)及び/又は前記補助給水タンク(38)内の水中に酸素を供給する酸素補給手段を設け、前記養分水に酸素を補給するようにしたことを特徴とする請求項10に記載の切断した植物の育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−213683(P2010−213683A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162184(P2009−162184)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(501183367)
【Fターム(参考)】