説明

切断ユニット

【課題】 よりクリーンな環境を実現するとともに、様々なパウチ形状を実現することが可能な切断ユニットを提供すること。
【解決手段】 帯状の包材から複数の容器を製造する製袋装置に用いられる切断ユニット30であって、それぞれが切断部311を有する1対の刃31と、1対の刃31の切断部311どうしが対称軸を挟んで対称に開閉動可能となるように、1対の刃31を回動可能に支持する、上記対称軸に対して直角である支持軸33と、切断部311を開閉動させる開閉駆動機構30Aと、1対の刃31の切断部311どうしの任意の交差点を通り、かつ上記対称軸および支持軸33のいずれに対しても直角である方向に延びる揺動軸を中心として1対の刃31を揺動させることにより1対の刃31の姿勢を変更する姿勢変更駆動機構30Bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、プラスチックフィルム製のパウチ容器を製袋する製袋装置に用いられる切断ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、パウチ容器の一例を示している。同図に示されたスパウト付きパウチ容器SPは、パウチP、およびこれに装着されたスパウトSを有している。パウチPは、たとえばプラスチックフィルム製であり、胴部P1、トップガセット部P2、およびボトムガセット部P3からなる。胴部P1は、両端縁がヒートシールされている。トップガセット部P2は、胴部P1の上端部にヒートシールされた部分であり、ボトムガセット部P3は、胴部P1の下端部にヒートシールされた部分である。スパウトSは、本体部S1およびフランジ部S2を有している。フランジ部S2がトップガセット部P2に接着されることにより、スパウトSは、パウチPに装着されている。本体部S1は、たとえばねじ式の筒となっており、内容物を飲むときの飲み口として使用される。
【0003】
スパウト付きパウチ容器SPは、たとえば、図15に示す包材Fから製造される(特許文献1参照)。包材Fは、帯状のプラスチックフィルム材料に対して折り曲げ加工およびヒートシール加工を施した上で、適所にスパウトSが取り付けられたものである。この包材Fをたとえば製袋装置において送りながら、切断線CLで切断することにより、図16に示すように複数のスパウト付きパウチ容器SPが得られる。この切断を行うための切断ユニットとしては、たとえば打ち抜きを用いた手法が考えられる。
【0004】
しかしながら、打ち抜きを用いた手法によると、打ち抜きに用いるダイセットの案内軸と軸受が、包材Fに近い高さに設けられる。この案内軸は、上記軸受との摩擦を繰り返すため、粉塵が発生しやすい。また、ダイセットとの潤滑に用いられる油が飛散する場合がある。これらの粉塵や油が包材Fに付着すると、スパウト付きパウチ容器Sに収容される飲料や薬品に粉塵や油が混入するおそれがある。また、パウチPの両端縁形状を直線状以外のたとえば折れ線形状とする場合、その形状ごとに打ち抜きダイセットを用意することが強いられる。これは、装置コストを増大させるとともに、交換作業によって製造効率が低下してしまうことが懸念される。さらに、包材Fに対して駆動機構を下方に離間して配置できるはさみの原理を用いた機構によれば、粉塵や油が混入するおそれは少ない。しかしながら、このような機構によってたとえば折れ線形状の切断線を切断することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008−096392号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、よりクリーンな環境を実現するとともに、様々なパウチ形状を実現することが可能な切断ユニットを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される切断ユニットは、帯状の包材から複数の容器を製造する製袋装置に用いられる切断ユニットであって、それぞれが切断部を有する1対の刃と、上記1対の刃の上記切断部どうしが対称軸を挟んで対称に開閉動可能となるように、上記1対の刃を回動可能に支持する、上記対称軸に対して直角である支持軸と、上記切断部を開閉動させる開閉駆動機構と、上記1対の刃の上記切断部どうしの任意の交差点を通り、かつ上記対称軸および上記支持軸のいずれに対しても直角である方向に延びる揺動軸を中心として上記1対の刃を揺動させることにより上記1対の刃の姿勢を変更する姿勢変更駆動機構と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記姿勢変更駆動機構は、上記支持軸に対して上記切断部とは反対側に離間した位置にあり、かつ上記揺動軸と平行である追加の揺動軸を中心として上記1対の刃を揺動させる揺動機構と、上記追加の揺動軸に対して直角である第1の方向に上記1対の刃を往復動させる第1の往復動駆動機構と、上記追加の揺動軸および上記第1の方向のいずれに対しても直角である第2の方向に上記1対の刃を往復動させる第2の往復動駆動機構と、を備えている。
【0009】
このような構成によれば、上記1対の刃をはさみのように用いつつ、上記包材に設定された切断線がたとえば折れ線状であっても、その屈曲点において、これを中心に揺動するように上記1対の刃を姿勢変更させることができる。したがって、上記1対の刃と上記包材とが不当に干渉することなく、たとえば折れ線状となった上記切断線に沿って上記包材を適切に切断することができる。さらに、折れ線の屈曲点の間隔をごく短い距離とすることにより、曲線状の切断線に沿って切断することが可能である。
【0010】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る切断ユニットの一例が用いられた製袋装置の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る切断ユニットの一例が用いられた製袋装置の一例を示す正面図である。
【図3】本発明に係る切断ユニットの一例を示す側面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明に係る切断ユニットの制御構成を示すシステム構成図である。
【図6】本発明に係る切断ユニットの一例によって切断される包材の一例を示す要部正面図である。
【図7】本発明に係る切断ユニットの一例による切断動作を説明する図である。
【図8】本発明に係る切断ユニットの一例による切断動作を説明する図である。
【図9】本発明に係る切断ユニットの一例による姿勢変更動作を説明する図である。
【図10】本発明に係る切断ユニットの一例による切断動作を説明する図である。
【図11】本発明に係る切断ユニットの一例による切断動作を説明する図である。
【図12】本発明に係る切断ユニットの一例によって切断された包材から生成されたスパウト付きパウチ容器の一例を示す正面図である。
【図13】本発明に係る切断ユニットの一例によって切断される包材、およびこの包材から生成されたスパウト付きパウチ容器の他の例を示す正面図である。
【図14】従来の切断ユニットを用いて生成されたスパウト付きパウチ容器の一例を示す斜視図である。
【図15】従来の切断ユニットによって切断される包材の一例を示す要部正面図である。
【図16】従来の切断ユニットよって切断された包材から生成されたスパウト付きパウチ容器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明に係る切断ユニットの一例が搭載された製袋装置を示している。本実施形態の製袋装置Aは、包材送出ユニット11、穴形成ユニット12、折目線形成ユニット13、折畳ユニット14、スパウト装着ユニット15、シールユニット16、局部シールユニット17、ボトム切断ユニット18、切断ユニット30、連続送りユニット21、間欠送りユニット22を備えている。スパウト装着ユニット15、シールユニット16、局部シールユニット17、ボトム切断ユニット18、切断ユニット30、連続送りユニット21、間欠送りユニット22は、基台25に載せられている。製袋装置Aは、包材Fから図12に示す複数のスパウト付きパウチ容器SPを製造するために用いられる。スパウト付きパウチ容器SPは、パウチPおよびこれに取り付けられたスパウトSを有している。
【0014】
包材送出ユニット11には、ロールRが装てんされている。ロールRには、長尺帯状の包材Fが巻かれている。包材Fは、たとえばプラスチックフィルムからなる。包材送出ユニット11は、ロールRから包材Fを順次送り出す。穴形成ユニット12は、包材送出ユニット11から送り出された包材Fに、複数の穴を形成する。これらの穴は、たとえばスパウトSを取り付けるための穴、あるいはスパウト付きパウチ容器SPの下端両側切り欠き部(図示略)を形成するための穴である。
【0015】
折目線形成ユニット13は、穴あけ形成された包材Fに、たとえば幅方向中央線と重なる位置に折目線を形成する。折畳ユニット14は、折目線形成ユニット13によって形成された折目線に沿って、包材Fを連続的に幅方向に折り畳む。
【0016】
スパウト装着ユニット15は、包材FにスパウトSを装着するものであり、スパウト挿入仮接着部151、スパウト接着部152、およびスパウト冷却部153からなる。スパウト挿入仮接着部151は、包材Fのうち図12に示すトップガセット部P2に相当する部分に形成された穴に、スパウトSの本体部S1を挿入する動作と、スパウトSのフランジ部S2を包材Fにヒートシールすることにより仮接着する動作とを行う。スパウト接着部152は、フランジ部S2と包材Fとを再度ヒートシールすることによりスパウトSと包材Fとを本接着する。スパウト冷却部153は、包材Fのうちフランジ部S2にヒートシールされた部分を冷却する。
【0017】
シールユニット16は、包材Fの適所どうしをヒートシールするものであり、接着部161、冷却部162、および切断部163からなる。接着部161は、包材Fのうち図12におけるトップガセット部P2の周縁に相当する部分と胴部P1の上端周縁に相当する部分とのヒートシール、ボトムガセット部P3の周縁に相当する部分と胴部P1の下端周縁に相当する部分とのヒートシール、包材Fを幅方向に横断する所定幅部分に対するヒートシール、を行う。冷却部162は、包材Fのうち接着部161によってヒートシールされた部分を冷却する。切断部163は、包材Fのうちトップガセット部P2がたとえば八角形状となるように不要部分を切断する。このように、シールユニット16においては、包材Fの接着、冷却、切断が順次実行される。
【0018】
局部シールユニット17は、シール不良が発生しやすい部位に対してヒートシールを施すものであり、接着部171および冷却部172からなる。接着部171は、シール不良が発生しやすい、たとえば胴部P1の上端縁と側縁との境界部分や、胴部P1の下端縁と側縁との境界部分を局部的に再度ヒートシールする。冷却部172は、包材Fのうち接着部171によってヒートシールされた部分を冷却する。
【0019】
ボトム切断ユニット18は、局部シールユニット17によって再度ヒートシールされた包材Fを部分的に切断する。より具体的には、ボトム切断ユニット18は、包材Fのうちボトムガセット部P3の下端両側を円弧形状とするのに不要な部分を切断する。
【0020】
切断ユニット30は、ボトム切断ユニット18から送られてくる包材Fを切断することにより長手方向において分割するためのものである。図3および図4に示すように切断ユニット30は、1対の刃31、開閉駆動機構30A、および姿勢変更駆動機構30Bを備えている。各刃31は、切断部311および操作部312を有している。切断部311は、他方の刃31の切断部311と摺り合わされることにより、包材Fをせん断によって切断する部分である。1対の刃31は、支持軸33によって相対回転可能に支持されている。図3および図4に示す状態においては、1対の刃31は、z方向に延びる対称軸を挟んで対称な姿勢で開閉される。操作部312は、支持軸33を挟んで切断部311と反対側に位置している。
【0021】
開閉駆動機構30Aは、カムフォロア32、凹状部材46、連結ブラケット45、2つのスライダ44、スライドレール43、2つのねじ軸48、および開閉モータ47を備えている。各刃31の操作部312の下端部には、カムフォロア32が取り付けられている。各カムフォロア32は、凹状部材46に収容されている。各凹状部材46は、連結ブラケット45を介してスライダ44に取り付けられている。各スライダ44は、y方向に延びるスライドレール43に嵌められており、スライドレール43に対してy方向に往復動可能となっている。また、2つの連結ブラケット45は、揺動ケース41に設けられた開口42を通過しており、かつ、それぞれの下方部分にy方向に貫通する雌ねじ穴が形成されている。2つの連結ブラケット45の上記雌ねじ穴には、それぞれねじ軸48が螺合されている。2つのねじ軸48は、y方向に延びており、互いに逆方向とされた雄ねじが形成されている。2つのねじ軸48は、連結部材51によって連結されており、それぞれの端部が軸受49に回転可能に支持されている。図中右方のねじ軸49は、ジョイント52を介して開閉モータ47に連結されている。開閉モータ47は、揺動ケース41に固定されている。
【0022】
開閉モータ47が回転すると、2つのねじ軸48が回転する。2つのねじ軸48には反対向きの雄ねじが形成されているため、連結ブラケット45がy方向において互いに逆方向に移動する。これに伴い、2つのカムフォロア32が接近または離間動することになる。2つの刃31の操作部312どうしが互いに接近すると、切断部311どうしが離間する。一方、操作部312どうしが離間すると、切断部311どうしが接近する。したがって、開閉モータ47の回転によって、2つの刃31の切断部311を開閉することができる。
【0023】
姿勢変更駆動機構30Bは、揺動機構30C、水平動駆動機構(第1の往復動駆動機構)30D、および昇降動駆動機構(第2の往復動駆動機構)30Eからなる。揺動機構30Cは、揺動モータ54および揺動軸55を備えている。揺動軸55は、本発明で言う追加の揺動軸に相当する。揺動ケース41のy方向一端側部分は、揺動モータ54に連結されている。揺動モータ54は、水平動ブラケット61に固定されている。揺動ケース41のy方向他端側部分には、揺動軸55が取り付けられている。これにより、揺動ケース41は、水平動ブラケット61に対してy方向に延びる回転軸周りに揺動可能に支持されている。揺動モータ54を回転させることにより、揺動ケース41を揺動軸55を中心として揺動させることができる。揺動ケース41の揺動に伴い、2つの刃31も揺動軸55を中心に揺動する。
【0024】
水平動駆動機構30Dは、4つのスライダ63、2つのスライドレール62、ねじ軸65、および水平動モータ64を備えている。水平動ブラケット61の下面には、4つのスライダ63が取り付けられている。このうち2つのスライダ63は、図4における図中右方のスライドレール62に嵌合しており、残りの2つのスライダ63は、図中左方のスライドレール62に嵌合している。2つのスライドレール63は、図3に示すように、それぞれx方向に延びており、昇降ブラケット71に固定されている。これにより、水平動ブラケット61は、昇降ブラケット71に対してx方向(本発明で言う第1の方向)に移動可能に支持されている。また、水平動ブラケッド61には、x方向に延びる雌ねじ穴(図示略)が形成されており、この雌ねじ穴にねじ軸65が螺合されている。ねじ軸65は、水平動モータ64に連結されている。これにより、水平動モータ64の回転によって、水平動ブラケット61を昇降ブラケット71に対してx方向に往復動させることができる。水平動ブラケット61の水平往復動に伴い、2つの刃31もx方向に往復動する。
【0025】
昇降動駆動機構30Eは、ねじロッド72、2つの補助ロッド73、ねじブラケット74、補助ブラケット75、および昇降モータ76を備えている。昇降ブラケット71には、ねじロッド72の上端が連結されている。ねじロッド72は、z方向に延びており、雄ねじが形成されている。ねじロッド72には、雌ねじが形成されたねじブラケット74が螺合されている。ねじブラケット74は、基台25に対して固定されている。また、ねじロッド72の下端は、昇降モータ76に連結されている。昇降モータ76は、基台25に対して固定されている。昇降ブラケット71には、2つの補助ロッド73が取り付けられている。各補助ロッド73は、補助ブラケット75に対して摺動可能とされている。各補助ブラケット75は、基台25に固定されている。これにより、昇降モータ76によって、昇降ブラケット71が基台25に対してz方向(本発明で言う第2の方向)に昇降動させることができる。昇降ブラケット71の昇降動に伴い、2つの刃31も昇降動する。
【0026】
開閉モータ47、揺動モータ54、水平動モータ64、および昇降モータ76は、いずれもサーボモータであり、図5に示すように、モーションコントローラ82に接続されている。モーションコントローラ82は、複数のサーボモータを同期制御可能な制御機器であり、本実施形態においては、少なくとも4軸のサーボモータを同期制御可能である。したがって、開閉モータ47、揺動モータ54、水平動モータ64、および昇降モータ76は、モーションコントローラ82によって、互いの動きが同期制御される。モーションコントローラ82は、制御部81に接続されている。制御部81は、切断ユニット30をはじめとする製袋装置Aの各部の動作を制御するためのものであり、たとえばCPU、メモリ、各種インターフェースを備えている。
【0027】
図1および図2に示すように、折畳ユニット14とスパウト装着ユニット15との間には、連続送りユニット21が設けられている。連続送りユニット21は、折り畳まれた包材Fを連続的に送り出す。局部シールユニット17の下流側には、間欠送りユニット22が設けられている。間欠送りユニット22は、包材Fを間欠的に送り出す。連続送りユニット21とスパウト装着ユニット15との間には、ダンサーユニット23が設けられている。ダンサーユニット23は、間欠送りユニット22が停止している間、連続送りユニット21から送られてくる包材Fを一時的に蓄えておくためのものである。
【0028】
次に、切断ユニット30による切断動作について、以下に説明する。
【0029】
図6は、切断ユニット30に送られてきたときの包材Fを示している。この状態の包材Fは、間欠送りユニット22によって間欠的に送られる。切断ユニット30による切断は、間欠送りユニット22の送り動作が停止している間に実行される。包材Fは、幅方向を横切るようにヒートシールされた複数の帯状部分がある。本実施形態においては、これらの帯状部分は、折れ線状とされている。この帯状部分のほぼ中央線上に、切断線CLが設定される。切断線CLも、折れ線状である。
【0030】
まず、図7に示すように、切断ユニット30においては、2つの刃31が開閉モータ47により開状態とされる。2つの切断部311の開口根元部分に包材Fの切断線CL開始部分が当てられる。この動作は、たとえば昇降モータ76による上昇動、または開閉モータ47による開閉動によってなされる。2つの切断部311と包材Fとが接している部分が、切断が行われる切断点CPである。
【0031】
2つの刃31がxz平面に沿った状態で、開閉モータ47により2つの刃31を閉じていく。これにより、2つの切断部311による切断が進行し、切断点CPが、図7に示す位置から図8に示す位置までz方向へ移動する。本図に示した切断点CPを境界として、切断線CLは、屈曲している。このため、切断ユニット30は、切断動作をいったん停止し、2つの刃31の姿勢変更動作を行う。この姿勢変更は、切断点CPを中心として2つの刃31を傾ける動作である。
【0032】
図9に示すように、切断ユニット30の姿勢変更動作は、3つの動作を同期することによって達成される。図中左方に示した動作は、揺動モータ54による揺動Mαである。この揺動Mαは、切断点CPではなく揺動軸55を中心としてなされる。揺動軸55を中心とした揺動Mαの動作角度は、切断線CLの屈曲角度と一致している。
【0033】
次に、図中中央に示した動作は、水平動モータ64による水平動Mxである。この水平動Mxは、2つの刃31が揺動軸55を中心として揺動させたときと、切断点CPを中心として揺動させたときとに生じるx方向のずれを解消するためのものである。仮に、上述した揺動Mαを実行した後にこの水平動Mxを実行すると、2つの刃31のx方向位置が、切断点CPを中心に揺動させた場合と一致する。
【0034】
次に、図中右方に示した動作は、昇降モータ76による昇降動Mzである。この昇降動Mzは、2つの刃31が揺動軸55を中心として揺動させたときと、切断点CPを中心として揺動させたときとに生じるz方向のずれを解消するためのものである。仮に上述した揺動Mα(および水平動Mx)を実行した後にこの昇降動Mzを実行すると、2つの刃31のz方向位置が、切断点CPを中心に揺動させた場合と一致する。
【0035】
実際の切断ユニット30の姿勢変更動作においては、モーションコントローラ82による揺動モータ54、水平動モータ64、昇降モータ76の同期制御によって、揺動Mα、水平動Mx、昇降動Mzを同時に行う。たとえば、揺動モータ54による揺動Mαを主動軸とし、水平動Mxおよび昇降動Mzを従動軸とする。そして、切断点CPが包材F(あるは、基台25)に対して動かないように、揺動Mαと水平動Mxおよび昇降動Mzとを同期制御しながら実行する。これにより、あたかも切断点CPに揺動軸が存在するかのような揺動を2つの刃31に与えることができる。
【0036】
図8における切断点CPを中心とした揺動を終えた後は、開閉モータ47により、2つの刃31をさらに閉じていく。これにより、2つの切断部311による切断が進行し、切断点CPが、図8に示す位置から図10に示す位置まで前進する。本図に示した切断点CPを境界として、切断線CLは、ふたたび屈曲している。このため、切断ユニット30は、切断動作をふたたび停止し、2つの刃31の姿勢変更動作を行う。この姿勢変更は、切断点CPを中心として2つの刃31を傾ける動作であり、上述したモーションコントローラ82による同期制御によってなされる。
【0037】
姿勢変更動作により、2つの刃31をx方向に直立させた後は、切断動作を再開する。そして、切断点CPが図10に示す位置から図11に示す位置に到達すると、切断動作が完了する。これにより、包材Fは、幅方向に切断され、長手方向に分断される。この切断と、間欠送りユニット22による間欠送りとを交互に行うことにより、帯状の包材Fから図12に示す複数のスパウト付きパウチ容器SPが生成される。スパウト付きパウチ容器SPは、その両側端縁が直線状ではなく、折れ線状となっている。
【0038】
次に、切断ユニット30の作用について説明する。
【0039】
本実施形態によれば、1対の刃31をはさみのように駆使することにより、包材Fを切断することができる。1対の刃31による切断においては、開閉駆動機構30Aおよび姿勢変更駆動機構30Bが、いずれも包材Fに対して下方に位置している。このため、開閉駆動機構30Aおよび姿勢変更駆動機構30Bからの粉塵や油が包材Fに付着しにくい。とくに、製袋装置Aが設置させる工場は、天井から床面に向かって気流制御が行われている場合が多く、粉塵や油は下方から舞い上がりにくい。したがって、スパウト付きパウチ容器SPを清潔に保つのに有利であり、スパウト付きパウチ容器SPを飲料や薬品の収容に用いる場合に特に適している。
【0040】
また、1対の刃31をはさみのように用いつつ、折れ線状に設定された切断線CLの屈曲点において、これを中心に揺動するように1対の刃31を姿勢変更させることができる。仮に、図8に示す切断点CP以外の点を中心として1対の刃31を揺動させると、1対の刃31と包材Fとが不当に干渉してしまい、包材Fに意図せぬしわや亀裂が発生するおそれがある。本実施形態によれば、姿勢変更駆動機構30Bによって、1対の刃31は、任意の位置にある切断点CPを中心として揺動することにより姿勢変化することが可能である。したがって、1対の刃31と包材Fとが不当に干渉することなく、折れ線状となった切断線CLに沿って包材Fを適切に切断することができる。
【0041】
モーションコントローラ82によって互いに同期制御された揺動機構30C、水平動駆動機構30D、および昇降動駆動機構30Eによって姿勢変更駆動機構30Bを構成すれば、任意の切断点CPを中心とした揺動を合理的に実現することができる。
【0042】
図13は、切断ユニット30によって切断される包材Fの切断線CLの他の例、およびこの切断によって生成されるスパウト付きパウチ容器SPを示している。同図によくあらわれているように、この例においては、切断線CLは、曲線として設定されている。このような切断線CLは、上述した折れ線状の切断線CLと比較して、個数が顕著に多く、かつ互いの間隔がごく短い多数の屈曲点を有する軌跡として設定される。すなわち、切断線CLが実質的に曲線となる程度の個数の屈曲点が設定される。そして、切断ユニット30による切断においては、図7〜図11に示した切断制御(開閉モータ47、揺動モータ54、水平動モータ64、および昇降モータ76に対するモーションコントローラ82による4軸制御)が連続的に行われる。
【0043】
このような例によれは、図13に示すように側縁の形状が曲線状とされたスパウト付きパウチ容器SPを適切に製造することができる。
【0044】
また、切断ユニット30において、開閉モータ47のトルクを監視することにより、異物混入や刃31の切断部311の寿命診断を行うことが可能である。すなわち、1対の刃31の切断動作を妨げるような異物が混入したときや、切断の繰り返しによって切断部311が摩耗したときには、1対の刃31の切断抵抗が大きくなる。このため、切断作業を実現するために必要とされる開閉モータ47のトルクが増大する。たとえば、開閉モータ47の初期トルクに基づいて適切と想定される許容トルクを設定し、この許容トルクをしきい値とする。開閉モータ47のトルクがこのしきい値を超えた場合には、異物が混入した、もしくは切断部311の寿命が到来したと判断することができる。
【0045】
本発明に係る切断ユニットは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る切断ユニットの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0046】
A 製袋装置
SP スパウト付きパウチ容器
F 包材
Mα 揺動
Mx 水平動
Mz 昇降動
S スパウト
S1 本体部
S2 フランジ部
P パウチ
P1 胴部
P2 トップガセット部
P3 ボトムガセット部
R 包材ロール
11 包材送出ユニット
12 穴形成ユニット
13 折目線形成ユニット
14 折畳ユニット
15 スパウト装着ユニット
151 スパウト挿入仮接着部
152 スパウト接着部
153 スパウト冷却部
16 シールユニット
161 接着部
162 冷却部
163 切断部
17 局部シールユニット
171 接着部
172 冷却部
18 ボトム切断ユニット
21 連続送りユニット
22 間欠送りユニット
23 アキュームユニット
25 基台
30 切断ユニット
30A 開閉駆動機構
30B 姿勢変更駆動機構
30C 揺動機構
30D 水平動機構(第1の往復動駆動機構)
30E 昇降動駆動機構(第2の往復動駆動機構)
31 刃
311 切断部
312 操作部
32 カムフォロア
33 支持軸
41 揺動ケース
42 開口
43 スライドレール
44 スライダ
45 連結ブラケット
46 凹状部材
47 開閉モータ
48 ねじ軸
49 軸受
51 連結部材
52 ジョイント
54 揺動モータ
55 (追加の)揺動軸
61 水平動ブラケット
62 スライドレール
63 スライダ
64 水平動モータ
65 ねじ軸
71 昇降ブラケット
72 ねじロッド
73 補助ロッド
74 ねじブラケット
75 補助ブラケット
76 昇降モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包材から複数の容器を製造する製袋装置に用いられる切断ユニットであって、
それぞれが切断部を有する1対の刃と、
上記1対の刃の上記切断部どうしが対称軸を挟んで対称に開閉動可能となるように、上記1対の刃を回動可能に支持する、上記対称軸に対して直角である支持軸と、
上記切断部を開閉動させる開閉駆動機構と、
上記1対の刃の上記切断部どうしの任意の交差点を通り、かつ上記対称軸および上記支持軸のいずれに対しても直角である方向に延びる揺動軸を中心として上記1対の刃を揺動させることにより上記1対の刃の姿勢を変更する姿勢変更駆動機構と、
を備えることを特徴とする、切断ユニット。
【請求項2】
上記姿勢変更駆動機構は、上記支持軸に対して上記切断部とは反対側に離間した位置にあり、かつ上記揺動軸と平行である追加の揺動軸を中心として上記1対の刃を揺動させる揺動機構と、上記追加の揺動軸に対して直角である第1の方向に上記1対の刃を往復動させる第1の往復動駆動機構と、上記追加の揺動軸および上記第1の方向のいずれに対しても直角である第2の方向に上記1対の刃を往復動させる第2の往復動駆動機構と、を備えている、請求項1に記載の切断ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−6330(P2012−6330A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146019(P2010−146019)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】