切断機
【課題】 12リットル〜27リットルのペール缶の側壁部分の任意の位置を容易に切断できるようにした切断機を提供する。
【解決手段】 本体(11A) に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダ(11)と、手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃(13)と、手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、切断刃の切り刃の一部を突出させて切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベース(12)と、を備える。取付けベースには安全カバー(21,21')を前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設ける。安全カバーは前端部を下方に折り曲げ、折り曲げ部分には切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに切断刃の切り刃を突出させ得る長溝(21B')を形成するのがよい。
【解決手段】 本体(11A) に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダ(11)と、手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃(13)と、手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、切断刃の切り刃の一部を突出させて切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベース(12)と、を備える。取付けベースには安全カバー(21,21')を前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設ける。安全カバーは前端部を下方に折り曲げ、折り曲げ部分には切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに切断刃の切り刃を突出させ得る長溝(21B')を形成するのがよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は切断機に関し、例えば円筒状の20リットル缶(いわゆる、ペール缶)等の側壁部分を効率よく切断できるようにした切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
化学薬品、灯油、潤滑オイル、食用油、食品、塗料等は18リットル缶や20リットル缶といった中型缶、あるいはドラム缶といった大型缶に入れられることが多い。かかる中・大型缶は化学薬品等の中身を使い終わると、工場等の片隅に積んでおき、まとめて廃棄することが行われている
【0003】
しかし、中・大型空き缶は缶の形状のままでは積んでおいたり、運搬車両の荷台に搭載したりする場合に大きなスペースを必要とし、廃棄のコスト高を招来する。
【0004】
これに対し、例えば18リットルの角形缶(一斗缶)の蓋部分及び底蓋部分の3周囲又は4周囲を切開刃によって開缶し、蓋部分及び底蓋部分を内方に折り曲げ、残った側壁部分をそれほど大きな荷重を加えなくとも平坦な形状に潰すことができるようにした開缶器具が開発され実用化されている(特許文献1)。
【0005】
この開缶器具は一斗缶に使用すると、容易に開缶して圧潰できるものの、円筒状の12リットル〜27リットルのペール缶の場合には蓋部分や底蓋部分を開缶しても蓋部分と側壁部分との間及び底蓋部分と側壁部分との間が何重にも折り曲げられて接着剤で接着され、さらには圧着されて大変頑丈な構造となっており、大きな荷重を加えても圧潰することができず、頑丈な構造部分を切断する必要があった。
【0006】
他方、切断刃を縦向きに支持し、駆動モータによって切断刃を回転させて被切断物を切断するようにした手持ち式切断機が実用化されている(特許文献2、特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−129795号公報
【特許文献2】特開2005−74861号公報
【特許文献3】特開2003−136432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2、3記載の手持ち式切断機ではペール缶などを切断の対象にすることを予定しておらず、ペール缶の側壁部分を切断しようとすると、作業が非常に繁雑になるばかりでなく、切断の勢いが軽量の空缶を飛ばしたり変形させたりする衝撃が手振れを招いて非常に危険であるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる状況において、12リットル〜27リットルのペール缶の側壁部分の任意の位置を容易に切断するようにした切断機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る切断機は、本体に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダと、該手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃と、上記手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、上記切断刃の切り刃の一部を突出させて上記切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベースと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
手持ち式グラインダはその駆動軸に研磨・研削ディスク( オフセット研削砥石)を取付け、ワークの研磨・研削に用いるものであり、多くの工場では一般的に装備されている。
【0012】
本発明の特徴の1つは手持ち式グラインダの駆動軸に切断刃を取付けて被切断物の切断に用いるようにした点にある。これにより、専用の切断機を購入することなく、ペール缶(20リットル缶)の切断に用いることができ、コスト高を招来することはない。
【0013】
また、本発明の第2の特徴は手持ち式グラインダの本体下面に取付けベースを取付けられ、取付けベースの凹部に切断刃の切り刃の一部を突出させて切断刃を回転自在に収容するようにした点にある。これにより、切粉が周囲に飛散するおそれがなく、安全に切断を行うことができる。
【0014】
取付けベースは切断刃を収容する凹部が形成されていれば切粉が周囲に飛散しないが、切粉を捕獲できるようにするのが好ましい。そこで、取付けベースの凹部には切粉を外方に排出する排出口部を形成するのがよい。
【0015】
排出口部には排出された切粉を貯留するボックスを取付けることができ、又排出された切粉を集塵機に案内するホースを接続することもできる。
【0016】
被切断物は金属製や合成樹脂製のペール缶やドラム缶の切断に用いることができるが、他の被切断物の切断にも利用することができる。切断の方向は縦、横、斜めのいずれの方向であってもよい。
【0017】
本発明は手持ち式グラインダに取付けベースを取付け、取付けベースの凹部に切断刃を収容するようにした構造であればよく、これを定盤やアームに固定して切断機を構成することができる。
【0018】
例えば、取付けベースを定盤に固定し、切断刃を定盤の基準面に対して所定の高さに設定することができる。この定盤には被切断物が定盤外に移動するのを規制するガイドを設けるのがよい。
【0019】
また、切断作業中の安全性を確保すべく、切断刃による事故を防止する対策が望ましい。そこで、取付けベースには安全カバーを前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設け、この安全カバーは切断すべきワークが切断刃に向けて押し付けられた時に後方にスライドされて切断刃の切り刃の一部がワークを切断するように構成するのがよい。
【0020】
さらに、安全カバーの前端部を下方に折り曲げ、この折り曲げ部分には長溝を形成し、切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに長溝から切断刃の切り刃を突出させるように構成すると、さらに安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図6は本発明に係る切断機の概念を示す。図において、切断機10は手持ち式グラインダ11、取付けベース12及び切断刃13から構成されている。手持ち式グラインダ11は本体11A内に駆動モータが内蔵され、駆動モータの回転軸が本体11Aの前後方向に延び、本体11Aの先端部には駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられている。
【0022】
取付けベース12は鋳造によって製造され、手持ち式グラインダ11の本体11Aの後部がU字ボルト15と下側の受け具15A及び上側の押え具15Bとによって取付けベース12に固定されるとともに、本体11Aの前部が姿勢を保持する支柱16とねじによって取付けベース12に取付けられ、又取付けベース12には手持ち式グラインダ11の駆動軸を保持する円形突部を嵌め込む円筒状の嵌め込み部12Cが突設されている。
【0023】
取付けベース12には下面が開口した凹部12Aが形成され、凹部12A内には切断刃13が回転自在に収容されて駆動軸に取付けられている。切断刃13は外周に切刃が形成され、例えば株式会社モトユキ製の超硬チップソー(KPシリーズ)を用いることができる。
【0024】
また、取付けベース12の側部には凹部12Aと連通しかつ凹部12Aの接線方向に延びるように排出口部19が形成され、この排出口部19にはボックス17又は集塵機(図示せず)に延びるホース18が接続されるようになっている。
【0025】
また、取付けベース12は例えばボルト・ナット14Aによって定盤14に固定され、切断刃13は定盤14の基準面14Bから所望の高さに設定されているが、取付けベース12を適当な金具によってアーム(図示せず)に取付けることもできる。
【0026】
図7ないし図11は本例の切断機を定盤14に固定したペール缶用の切断装置の構造例を示す。定盤14は基準面14Bと取付け面14Cとが設けられ、取付け面14Cには本例の切断機の取付けベース12がボルト・ナットによって固定されている。
【0027】
取付けベース12の前方には安全カバー21が前後にスライド自在に設けられ、コイルばね22によって前方に付勢され、又定盤14の基準面14Bの後及び左右にはガイド(持ち運び時の取っ手)20が取付けられ、ガイド20によってペール缶30が基準面14Bから外れるのを規制するようになっている。
【0028】
ペール缶30を切断する場合、ペール缶30を定盤14の基準面14B上に搭載し、切断刃13に向けて押し進める。安全カバー21が押し動かされると、ペール缶30の切断を開始できることが分かる。
【0029】
そこで、さらにペール缶30を切断刃13に向けて押し込むと、切断刃13の切刃はペール缶30の側壁を切り込み、所定の深さで止まる。その状態でペール缶30を定盤14の基準面14Bに搭載させたままで回転させると、ペール缶30の側壁面の任意の高さを切断することができる。
【0030】
切断に際して発生した切粉は取付けベース12の凹部12A内を内周壁面に沿って旋回し、排出口部19まで来ると、排出口部19から排出されてボックス17に溜められる。
【0031】
使用済みとなったペール缶やドラム缶などの密閉構造の缶については、行政によって分別指導が行われている。特に、ペール缶内の樹脂袋、毒薬、爆薬、化学薬品の汚染物質などの残留物を取り除かないと、産業廃棄物として廃棄処理することが難しい。
【0032】
上述のように、例えばペール缶の底蓋部分を切断すると、残留物を完全に取り除いて分別が可能となる。更に、底蓋部分を切断すると、残った部分を足で踏むことによって平坦に圧潰することができ、保管や運搬が容易となる。
【0033】
図12ないし図14は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図11と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では取付けベース12の前方に安全カバー21’が前後にスライド自在に設けられ、コイルばね22’によって前方に付勢されている。この安全カバー21’の前端部分は下方に折り曲げられ、この折り曲げ部分21B’には長溝21A’が横方向に延びて形成され、ペール缶を定盤14の基準面14B上に搭載し、切断刃13に向けて押し進めると、安全カバー21’が後方に押し動かされ、長溝21B’から切断刃13が突出してペール缶を切断できるようになっている。
【0034】
本例の切断機では安全カバー21’の前端部分21A’が下方に折り曲げられているので、作業者が誤って切断刃13に手指を触れるおそれを大幅に少なくして安全性を高めることができる。盤14の基準面14Bに搭載させたままで回転させると、ペール缶30の側壁面の任意の高さを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る切断機の概念を示す平面図である。
【図2】本発明に係る切断機の概念を示す側面図である。
【図3】上記切断機における取付けベースを示す平面図である。
【図4】上記取付けベースを示す側面図である。
【図5】上記取付けベースの正面及びその断面を示す図である。
【図6】上記取付けベースの背面を示す図である。
【図7】上記切断機を備えたペール缶の切断装置を示す平面図である。
【図8】上記切断装置を示す側面図である。
【図9】上記切断装置を示す正面図である。
【図10】上記切断装置を示す背面図である。
【図11】上記切断装置の切断作業を示す図である。
【図12】上記切断機を備えたペール缶の切断装置の第2の実施形態を示す正面図である。
【図13】上記切断装置を示す平面図である。
【図14】上記切断装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 切断機
11 手持ち式グラインダ
12 取付けベース
12A 凹部
13 切断刃
17 ボックス
18 ホース
19 排出口部
21、21’ 安全カバー
21A’ 折り曲げ部分
21B’ 長溝
【技術分野】
【0001】
本発明は切断機に関し、例えば円筒状の20リットル缶(いわゆる、ペール缶)等の側壁部分を効率よく切断できるようにした切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
化学薬品、灯油、潤滑オイル、食用油、食品、塗料等は18リットル缶や20リットル缶といった中型缶、あるいはドラム缶といった大型缶に入れられることが多い。かかる中・大型缶は化学薬品等の中身を使い終わると、工場等の片隅に積んでおき、まとめて廃棄することが行われている
【0003】
しかし、中・大型空き缶は缶の形状のままでは積んでおいたり、運搬車両の荷台に搭載したりする場合に大きなスペースを必要とし、廃棄のコスト高を招来する。
【0004】
これに対し、例えば18リットルの角形缶(一斗缶)の蓋部分及び底蓋部分の3周囲又は4周囲を切開刃によって開缶し、蓋部分及び底蓋部分を内方に折り曲げ、残った側壁部分をそれほど大きな荷重を加えなくとも平坦な形状に潰すことができるようにした開缶器具が開発され実用化されている(特許文献1)。
【0005】
この開缶器具は一斗缶に使用すると、容易に開缶して圧潰できるものの、円筒状の12リットル〜27リットルのペール缶の場合には蓋部分や底蓋部分を開缶しても蓋部分と側壁部分との間及び底蓋部分と側壁部分との間が何重にも折り曲げられて接着剤で接着され、さらには圧着されて大変頑丈な構造となっており、大きな荷重を加えても圧潰することができず、頑丈な構造部分を切断する必要があった。
【0006】
他方、切断刃を縦向きに支持し、駆動モータによって切断刃を回転させて被切断物を切断するようにした手持ち式切断機が実用化されている(特許文献2、特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−129795号公報
【特許文献2】特開2005−74861号公報
【特許文献3】特開2003−136432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2、3記載の手持ち式切断機ではペール缶などを切断の対象にすることを予定しておらず、ペール缶の側壁部分を切断しようとすると、作業が非常に繁雑になるばかりでなく、切断の勢いが軽量の空缶を飛ばしたり変形させたりする衝撃が手振れを招いて非常に危険であるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる状況において、12リットル〜27リットルのペール缶の側壁部分の任意の位置を容易に切断するようにした切断機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る切断機は、本体に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダと、該手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃と、上記手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、上記切断刃の切り刃の一部を突出させて上記切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベースと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
手持ち式グラインダはその駆動軸に研磨・研削ディスク( オフセット研削砥石)を取付け、ワークの研磨・研削に用いるものであり、多くの工場では一般的に装備されている。
【0012】
本発明の特徴の1つは手持ち式グラインダの駆動軸に切断刃を取付けて被切断物の切断に用いるようにした点にある。これにより、専用の切断機を購入することなく、ペール缶(20リットル缶)の切断に用いることができ、コスト高を招来することはない。
【0013】
また、本発明の第2の特徴は手持ち式グラインダの本体下面に取付けベースを取付けられ、取付けベースの凹部に切断刃の切り刃の一部を突出させて切断刃を回転自在に収容するようにした点にある。これにより、切粉が周囲に飛散するおそれがなく、安全に切断を行うことができる。
【0014】
取付けベースは切断刃を収容する凹部が形成されていれば切粉が周囲に飛散しないが、切粉を捕獲できるようにするのが好ましい。そこで、取付けベースの凹部には切粉を外方に排出する排出口部を形成するのがよい。
【0015】
排出口部には排出された切粉を貯留するボックスを取付けることができ、又排出された切粉を集塵機に案内するホースを接続することもできる。
【0016】
被切断物は金属製や合成樹脂製のペール缶やドラム缶の切断に用いることができるが、他の被切断物の切断にも利用することができる。切断の方向は縦、横、斜めのいずれの方向であってもよい。
【0017】
本発明は手持ち式グラインダに取付けベースを取付け、取付けベースの凹部に切断刃を収容するようにした構造であればよく、これを定盤やアームに固定して切断機を構成することができる。
【0018】
例えば、取付けベースを定盤に固定し、切断刃を定盤の基準面に対して所定の高さに設定することができる。この定盤には被切断物が定盤外に移動するのを規制するガイドを設けるのがよい。
【0019】
また、切断作業中の安全性を確保すべく、切断刃による事故を防止する対策が望ましい。そこで、取付けベースには安全カバーを前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設け、この安全カバーは切断すべきワークが切断刃に向けて押し付けられた時に後方にスライドされて切断刃の切り刃の一部がワークを切断するように構成するのがよい。
【0020】
さらに、安全カバーの前端部を下方に折り曲げ、この折り曲げ部分には長溝を形成し、切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに長溝から切断刃の切り刃を突出させるように構成すると、さらに安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図6は本発明に係る切断機の概念を示す。図において、切断機10は手持ち式グラインダ11、取付けベース12及び切断刃13から構成されている。手持ち式グラインダ11は本体11A内に駆動モータが内蔵され、駆動モータの回転軸が本体11Aの前後方向に延び、本体11Aの先端部には駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられている。
【0022】
取付けベース12は鋳造によって製造され、手持ち式グラインダ11の本体11Aの後部がU字ボルト15と下側の受け具15A及び上側の押え具15Bとによって取付けベース12に固定されるとともに、本体11Aの前部が姿勢を保持する支柱16とねじによって取付けベース12に取付けられ、又取付けベース12には手持ち式グラインダ11の駆動軸を保持する円形突部を嵌め込む円筒状の嵌め込み部12Cが突設されている。
【0023】
取付けベース12には下面が開口した凹部12Aが形成され、凹部12A内には切断刃13が回転自在に収容されて駆動軸に取付けられている。切断刃13は外周に切刃が形成され、例えば株式会社モトユキ製の超硬チップソー(KPシリーズ)を用いることができる。
【0024】
また、取付けベース12の側部には凹部12Aと連通しかつ凹部12Aの接線方向に延びるように排出口部19が形成され、この排出口部19にはボックス17又は集塵機(図示せず)に延びるホース18が接続されるようになっている。
【0025】
また、取付けベース12は例えばボルト・ナット14Aによって定盤14に固定され、切断刃13は定盤14の基準面14Bから所望の高さに設定されているが、取付けベース12を適当な金具によってアーム(図示せず)に取付けることもできる。
【0026】
図7ないし図11は本例の切断機を定盤14に固定したペール缶用の切断装置の構造例を示す。定盤14は基準面14Bと取付け面14Cとが設けられ、取付け面14Cには本例の切断機の取付けベース12がボルト・ナットによって固定されている。
【0027】
取付けベース12の前方には安全カバー21が前後にスライド自在に設けられ、コイルばね22によって前方に付勢され、又定盤14の基準面14Bの後及び左右にはガイド(持ち運び時の取っ手)20が取付けられ、ガイド20によってペール缶30が基準面14Bから外れるのを規制するようになっている。
【0028】
ペール缶30を切断する場合、ペール缶30を定盤14の基準面14B上に搭載し、切断刃13に向けて押し進める。安全カバー21が押し動かされると、ペール缶30の切断を開始できることが分かる。
【0029】
そこで、さらにペール缶30を切断刃13に向けて押し込むと、切断刃13の切刃はペール缶30の側壁を切り込み、所定の深さで止まる。その状態でペール缶30を定盤14の基準面14Bに搭載させたままで回転させると、ペール缶30の側壁面の任意の高さを切断することができる。
【0030】
切断に際して発生した切粉は取付けベース12の凹部12A内を内周壁面に沿って旋回し、排出口部19まで来ると、排出口部19から排出されてボックス17に溜められる。
【0031】
使用済みとなったペール缶やドラム缶などの密閉構造の缶については、行政によって分別指導が行われている。特に、ペール缶内の樹脂袋、毒薬、爆薬、化学薬品の汚染物質などの残留物を取り除かないと、産業廃棄物として廃棄処理することが難しい。
【0032】
上述のように、例えばペール缶の底蓋部分を切断すると、残留物を完全に取り除いて分別が可能となる。更に、底蓋部分を切断すると、残った部分を足で踏むことによって平坦に圧潰することができ、保管や運搬が容易となる。
【0033】
図12ないし図14は第2の実施形態を示し、図において図1ないし図11と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では取付けベース12の前方に安全カバー21’が前後にスライド自在に設けられ、コイルばね22’によって前方に付勢されている。この安全カバー21’の前端部分は下方に折り曲げられ、この折り曲げ部分21B’には長溝21A’が横方向に延びて形成され、ペール缶を定盤14の基準面14B上に搭載し、切断刃13に向けて押し進めると、安全カバー21’が後方に押し動かされ、長溝21B’から切断刃13が突出してペール缶を切断できるようになっている。
【0034】
本例の切断機では安全カバー21’の前端部分21A’が下方に折り曲げられているので、作業者が誤って切断刃13に手指を触れるおそれを大幅に少なくして安全性を高めることができる。盤14の基準面14Bに搭載させたままで回転させると、ペール缶30の側壁面の任意の高さを切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る切断機の概念を示す平面図である。
【図2】本発明に係る切断機の概念を示す側面図である。
【図3】上記切断機における取付けベースを示す平面図である。
【図4】上記取付けベースを示す側面図である。
【図5】上記取付けベースの正面及びその断面を示す図である。
【図6】上記取付けベースの背面を示す図である。
【図7】上記切断機を備えたペール缶の切断装置を示す平面図である。
【図8】上記切断装置を示す側面図である。
【図9】上記切断装置を示す正面図である。
【図10】上記切断装置を示す背面図である。
【図11】上記切断装置の切断作業を示す図である。
【図12】上記切断機を備えたペール缶の切断装置の第2の実施形態を示す正面図である。
【図13】上記切断装置を示す平面図である。
【図14】上記切断装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 切断機
11 手持ち式グラインダ
12 取付けベース
12A 凹部
13 切断刃
17 ボックス
18 ホース
19 排出口部
21、21’ 安全カバー
21A’ 折り曲げ部分
21B’ 長溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダと、
該手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃と、
上記手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、上記切断刃の切り刃の一部を突出させて上記切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベースと、
を備えたことを特徴とする切断機。
【請求項2】
上記取付けベースの凹部には切粉を外方に排出する排出口部が形成されている請求項1記載の切断機。
【請求項3】
上記排出口部には排出された切粉を貯留するボックスが取付けられている請求項2記載の切断機。
【請求項4】
上記排出口部には排出された切粉を集塵機に案内するホースが接続されている請求項2記載の切断機。
【請求項5】
上記取付けベースが定盤に固定され、上記切断刃が上記定盤の基準面に対して所定の高さに設定されている請求項1記載の切断機。
【請求項6】
上記定盤には被切断物が定盤外に移動するのを規制するガイドが設けられている請求項5記載の切断機。
【請求項7】
上記取付けベースには安全カバーが前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設けられ、該安全カバーは切断すべきワークが切断刃に向けて押し付けられた時に後方にスライドされて切断刃の切り刃の一部がワークを切断するようになっている請求項1記載の切断機。
【請求項8】
上記安全カバーは前端部が下方に折り曲げられ、該折り曲げ部分には切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに上記切断刃の切り刃を突出させ得る長溝が形成されている請求項7記載の切断機。
【請求項1】
本体に駆動モータが内蔵され、本体の先端部に駆動軸が駆動モータの回転軸と直交する方向に延びて設けられた手持ち式グラインダと、
該手持ち式グラインダの駆動軸に取付けられ、外周に切り刃が形成された切断刃と、
上記手持ち式グラインダの本体下面に取付けられ、上記切断刃の切り刃の一部を突出させて上記切断刃を回転自在に収容する凹部が形成された取付けベースと、
を備えたことを特徴とする切断機。
【請求項2】
上記取付けベースの凹部には切粉を外方に排出する排出口部が形成されている請求項1記載の切断機。
【請求項3】
上記排出口部には排出された切粉を貯留するボックスが取付けられている請求項2記載の切断機。
【請求項4】
上記排出口部には排出された切粉を集塵機に案内するホースが接続されている請求項2記載の切断機。
【請求項5】
上記取付けベースが定盤に固定され、上記切断刃が上記定盤の基準面に対して所定の高さに設定されている請求項1記載の切断機。
【請求項6】
上記定盤には被切断物が定盤外に移動するのを規制するガイドが設けられている請求項5記載の切断機。
【請求項7】
上記取付けベースには安全カバーが前後スライド自在にかつばね部材によって前方に付勢して設けられ、該安全カバーは切断すべきワークが切断刃に向けて押し付けられた時に後方にスライドされて切断刃の切り刃の一部がワークを切断するようになっている請求項1記載の切断機。
【請求項8】
上記安全カバーは前端部が下方に折り曲げられ、該折り曲げ部分には切断すべきワークが切断刃に向け押し付けられたときに上記切断刃の切り刃を突出させ得る長溝が形成されている請求項7記載の切断機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−50998(P2009−50998A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49056(P2008−49056)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(500185014)
【出願人】(591182189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(500185014)
【出願人】(591182189)
【Fターム(参考)】
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