説明

切花梱包用保水容器及びその製造方法

【課題】
見栄えが良く、且つ容易に製造することができる切花梱包用保水容器及びその製造方法の提供。
【解決手段】
切花挿入孔11を有する支持板12と、支持板12の裏面に切花挿入孔11と連通配置に固定された切花用保水袋13とを備えてなる切花梱包用保水容器10において、切花用保水袋13は、少なくとも表面が熱可塑性樹脂材により形成され、支持板12は、平板状の支持板本体14と、その表面に貼り合わされ、切花挿入孔11の内側に張り出した熱融着しろ20を一体に有する樹脂シート16とからなり、熱融着しろ20と切花用保水袋13の開口縁部とが熱融着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に切花の梱包に使用する切花梱包用保水容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切花は、一定本数を紐等で束ね、茎部の先端に含水させた保水シートを巻き付け、その保水シートの上から不透水性の容器を被せるようにし、その状態で段ボール箱に収容して出荷するようになっており、このようにすることによって、流通過程において店頭に並ぶまでに要する期間等、一定期間の生花の鮮度を保つようにしている。
【0003】
しかしながら、このような梱包状態では、輸送途中に段ボール箱内に収容された生花が箱内で移動し、花や葉が段ボール箱の内壁に当たって傷ついてしまうという問題があった。
【0004】
また、段ボール箱を横向きにすると保水部材より水が漏れ出してしまうため、運送や保管の際、箱を立てた状態にしておかなければならず、運送や保管する際の箱の配置が制約されて不便であった。また、茎部に保水シートを巻き付ける作業も煩わしいものであった。
【0005】
そこで上述の問題を解決すべく、梱包用の箱内部に支持される支持板と、支持板の裏面に切花挿入孔と連通配置に固定され、横にしても水漏れしない切花用保水袋とを備えた切花梱包用保水容器が開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の如き花梱包用保水容器では、切花用保水袋の開口縁部を折り返して糊しろを形成し、その糊しろと支持板の裏面との間を接着剤により接着する為、見栄えが悪いという問題があり、また、作業が煩わしく製造が困難であるという問題があった。
【0007】
また、店頭に入荷された後は、梱包に用いられた段ボール箱等が嵩張り邪魔になるので、切花を箱及び保水容器より取り出し、バケツ等に移し替えなければならなかった。
【0008】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題を鑑み、見栄えが良く、且つ容易に製造することができ、しかも、梱包用箱より取り出して使用することができる切花梱包用保水容器及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器において、前記切花用保水袋は、少なくとも表面が熱可塑性樹脂材により形成され、前記支持板は、平板状の支持板本体と、該支持板本体の表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する樹脂シートとをからなり、該熱融着しろと前記切花用保水袋の開口縁部とが熱融着された切花梱包用保水容器であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、前記樹脂シートは、前記支持板本体の表面に剥離可能に貼り合わされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成に加え、前記樹脂シートは、外縁部に口絞り用紐体を一体に有するシート状に形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3の構成に加え、支持板本体は、外周部に切り離し可能な剥離補助片を一体に有することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器の製造方法において、平板状の支持板本体と、その表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する熱可塑性樹脂製の樹脂シートとからなる支持板を形成しておき、前記熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に重ね、前記熱融着しろを前記開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定する切花梱包用保水容器の製造方法であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成に加え、支持板本体の表面に熱可塑性の樹脂シートを溶融合成樹脂材を介して重ね合わせ、前記樹脂シートと前記支持板本体とを剥離可能に貼り合せた支持板用板材を形成し、該支持板用板材に上下に貫通した一次孔を形成した後、該一次孔周りの前記支持板本体の切花挿入孔内側部分を該支持板本体より切り離すとともに該内側部分を取り除き、該切花挿入孔の内側に熱融着しろを張り出させ、該熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6の構成に加え、支持板用板材は、前記樹脂シートの裏面側にラミネート層成形機のダイスより連続して押し出した溶融合成樹脂材を被着させ、該溶融合成樹脂材の裏面側に平板状の表側ライナを重ね合わせて接着させ、予めラミネート層を介して前記樹脂シートと表側ライナとを一体的に貼り合わせた部材を形成しておき、その後、前記表側ライナと平板状の裏側ライナとの間に断面波状の中芯材を介在させ、前記表面側部材、中芯材及び裏面側部材を貼り合わせて形成することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項5、6又は7の構成に加え、樹脂シートの外周と平行配置に切り離し用切れ目を入れ、樹脂シートの外縁部に口絞り用紐体を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る切花梱包用保水容器は、切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器において、前記切花用保水袋は、少なくとも表面が熱可塑性樹脂材により形成され、前記支持板は、平板状の支持板本体と、該支持板本体の表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する樹脂シートとからなり、該熱融着しろと前記切花用保水袋の開口縁部とが熱融着されたことによって、支持板の裏面に切花用保水袋を好適に固定することができ、且つ、見栄えがよい。
【0018】
前記樹脂シートは、前記支持板本体の表面に剥離可能に貼り合わされたことによって、樹脂シートを支持板本体より剥がし、切花用保水袋を支持板より分離して使用することができる。
【0019】
前記樹脂シートは、外縁部に口絞り用紐体を一体に有するシート状に形成されたことによって、支持板本体に貼り合わされた際にはシートの一部をなし、支持板本体より分離して使用する際には樹脂シートからなる口を絞るための紐として使用することができる。
【0020】
支持板本体は、外周部に切り離し可能な剥離補助片を一体に有することによって、剥離補助片を支持板本体より切り離すことにより樹脂シートの縁部が露出し、その部分をもって容易に樹脂シートを支持板本体より剥がすことができる。
【0021】
また、本発明方法は、切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器の製造方法において、平板状の支持板本体と、その表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する熱可塑性樹脂製の樹脂シートとからなる支持板を形成しておき、前記熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に重ね、前記熱融着しろを前記開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定することによって、支持板の裏面に切花用保水袋を容易に固定することができ、切花梱包用保水容器を容易且つ見栄え良く製造することができる。
【0022】
支持板本体の表面に熱可塑性の樹脂シートを溶融合成樹脂材を介して重ね合わせ、前記樹脂シートと前記支持板本体とを剥離可能に貼り合せた支持板用板材を形成し、該支持板用板材に上下に貫通した一次孔を形成した後、該一次孔周りの前記支持板本体の切花挿入孔内側部分を該支持板本体より切り離すとともに該内側部分を取り除き、該切花挿入孔の内側に熱融着しろを張り出させ、該熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定することによって、支持板本体の切花挿入孔内側部分を容易に取り除くことができ、切花挿入孔の内側に好適に熱融着しろを形成することができる。
【0023】
支持板用板材は、前記樹脂シートの裏面側にラミネート層成形機のダイスより連続して押し出した溶融合成樹脂材を被着させ、該溶融合成樹脂材の裏面側に平板状の表側ライナを重ね合わせて接着させ、予めラミネート層を介して前記樹脂シートと表側ライナとを一体的に貼り合わせた部材を形成しておき、その後、前記表側ライナと平板状の裏側ライナとの間に断面波状の中芯材を介在させ、前記表側ライナ、中芯材及び裏側ライナを貼り合わせて形成することによって、段ボール紙の表面に好適にラミネート層及び樹脂シートを重ね合わせることができる。
【0024】
樹脂シートの外周と平行配置に切り離し用切れ目を入れ、樹脂シートの外縁部に口絞り用紐体を形成することにより、支持端本体より樹脂シートを引き剥がすことで紐として機能する口絞り用紐体を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明に係る切花梱包用保水容器について説明する。
【0026】
図1、図2は切花梱包用保水容器の一例を示し、図中符号10は切花梱包用保水容器である。
【0027】
この切花梱包用保水容器10は、中央に切花挿入孔11が形成された平板状の支持板12と、支持板12の裏面に切花挿入孔11と連通配置に固定された切花用保水袋13とを備えている。
【0028】
支持板12は、図3に示すように、平板矩形状の支持板本体14と、支持板本体14の表面にラミネート層15を介して貼り合わされた熱可塑性樹脂からなる樹脂シート16とを備え、その中央部に切花挿入孔11が形成されている。
【0029】
支持板本体14は、両面段ボール紙、即ち、表側ライナ17、断面波形状の中芯材18及び裏側ライナ19とを重ね合わせて貼着した一層状の段ボール材により形成され、中央に切花挿入孔11が形成されている。
【0030】
また、この支持板本体14には、外周部(隅部)にミシン目26aより切り離し可能な剥離補助片26を一体に備えている。
【0031】
樹脂シート16は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂をもってシート状に形成され、支持板本体14との間に合成樹脂ラミネート層15を介在させ、支持板本体14に対し容易に剥離可能な状態に接着されている。
【0032】
また、樹脂シート16は、切花挿入孔11の内側に張り出した熱融着しろ20を一体に有し、支持板本体14と樹脂シート16とを切花挿入孔11の位置を合わせて貼り合わせることにより、熱融着しろ20が切花挿入孔11を通して支持板12裏側に露出されるようになっている。
【0033】
更に,この樹脂シート16は、外周に沿って切り離し用切れ目27が入れられ、シートの外縁部を構成するとともに切れ目より切り離される口絞り用紐体28,28を一体に有するシート状に形成されている。
【0034】
ラミネート層15は、LDPE(低密度ポリエチレン)等のポリエチレン樹脂により厚さ5〜35μに形成され、また、このラミネート層15と支持板本体14との間の剥離強度が10g/50mm以下となるように形成されている。
【0035】
切花用保水袋13は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリプロピレン等、不透水性の合成樹脂シートからなる外袋材21と、外袋材21の内側に線状ラミネート層22を介して貼り合わされた吸水性を有する不織布からなる内袋材23とをもって構成され、両側部に内側に折り込まれたまち部24,24を有する袋状に形成されている。
【0036】
また、この切花用保水袋13には、上面中央部に支持板12の切花挿入孔11と連通される開口部25が形成されている。
【0037】
開口部25は、支持板12の切花挿入孔11よりも径が小さく、熱融着しろ20の内側の円と略同じ径の円形に形成されている。
【0038】
この開口縁部に、熱融着しろ20を重ね、この熱融着しろ20と開口縁部とを熱融着することにより支持板12の裏面に切花用保水袋13が固定されるようになっている。
【0039】
このように構成された切花梱包用保水容器10は、図4に示すように、切花梱包用の梱包箱29の底部に収容され、支持板12の外縁が箱29の内縁部に嵌まり込むとともに、支持板12を箱内側に突出した支持突起29a,29aに支持させることにより、梱包箱29の底部に安定した状態で保持させることができるようになっている。
【0040】
また、この切花梱包用保水容器10は、保水袋内の開口部25の周りに貯留部が形成され、貯留部を下側にすれば横にしても水漏れしないようになっている。
【0041】
更に、切花梱包用保水容器10を横向きにして運送や保管をするような場合には、貯留部に水が溜まり、花の茎部には直接水が接しない状態となるが、内袋材23を構成する保水性材料を介して、即ち保水性材料の毛細管現象により貯留部の水が花の茎部に給水されるようになっている。
【0042】
更にまた、内袋材23を外袋材21の内側に線状ラミネート層22を介して貼り合せたことによって、外袋材21と内袋材23との間に、線状ラミネートに挟まれた間隙が形成され、この間隙を通じて貯留部に溜まった水が吸い上げられ内袋材23全体に行き渡りやすいようになっている。
【0043】
また、この切花梱包用保水容器10では、支持板本体14より剥離補助片26を切り離し、樹脂シート16の隅部を露出させ、その部分を掴んで支持板本体14の表面より樹脂シート16を剥離させることにより、支持板(本体)と切花用保水袋13とを分離することができるようになっている。
【0044】
また、樹脂シート16を支持板本体14より剥がすことにより、樹脂シート16の外縁部を構成する口絞り用紐体28,28が紐として使用できるようになる。
【0045】
この分離された切花用保水袋13には、図5に示すように、熱融着された樹脂シート16が開口縁部に支持されており、この樹脂シート16を挿入された切花の茎部の周りに窄め、その外側を口絞り用紐体28,28で縛ることにより開口部を絞ることができるようになっている。
【0046】
このようにすることにより、運搬用の段ボール箱より取り出された切花をバケツ等を用いずとも店頭に置くことができ、しかも、一般に農協等から切花が出荷される際には、保水容器に抗ウイルス剤が添加されているため、運搬時の保水容器を引き続き使用することにより、その抗ウイルス剤が添加された水をそのまま店頭でも利用することができる。
【0047】
次に、この切花梱包用保水容器10の製造方法について説明する。
【0048】
この切花梱包用保水容器10は、支持板12と切花用保水袋13とを別個に形成しておき、その支持板12の裏面に切花挿入孔11と開口部25とが連通配置となるように切花用保水袋13を固定することにより製造される。
【0049】
支持板12の製造は、樹脂シート16と表側ライナ17とを貼り合せた後、この貼り合せた部材の裏面側に断面波状の中芯材18及び裏側ライナ19を貼り合せ、それを所定の大きさに切断して支持板用板材30を形成し、支持板用板材30を加工し、切花挿入孔11及びその内側に張り出した熱融着しろ20を形成することにより行われる。
【0050】
樹脂シート16と表側ライナ17とを貼り合せるには、図6に示す如き装置を使用し、図において、31は表側ライナ17をロール状に巻いて支持させた表側ライナ繰り出しロール、32は樹脂シート16をロール状に巻いて支持させた樹脂シート繰り出しロール、33は冷却兼用の受けロール33、34は受けロール33と互いに近接する加圧ロール34、35は溶融合成樹脂を帯状にして受けロール33表面上に供給するTダイ、36はラミネート層成形機である。
【0051】
この装置では、表側ライナ17を表側ライナ繰り出しロール31から引き出し、ガイドロール37,38によって受けロール33の上側から下側に添わせ、巻き取りロール39に巻き取らせる。樹脂シート16は、樹脂シート繰り出しロール32から引き出して加圧ロール34の外周に添わせ、加圧ロール34によって受けロール33の表面に添わされた表側ライナ17の表面に重ね合わせ、表側ライナ17とともに巻き取りロール39に巻き取らせる。
【0052】
Tダイ35からは、受けロール33の上面側に添わされた樹脂シートの裏面にシート状に所定量の溶融合成樹脂15aを連続して押し出し、これをラミネート層15となす。
【0053】
ラミネート層15となる溶融合成樹脂は、樹脂シート16と同質のポリエチレン材を使用するとともに、その溶融温度を200〜330℃として樹脂シート16の裏面に供給する。
【0054】
また、加圧ロール34は、溶融合成樹脂を表側ライナ17と樹脂シート16との間に挟んだ状態でこれを受けロール33との間に挟んで加圧させるものであり、その加圧力は0.5〜5.0kg/m、好ましくは1.0〜1.5kg/m程度の大きさに設定している。また、加圧ロール34による加圧力とシートの送り速度及び溶融合成樹脂繰り出し量によってラミネート層15の厚さが5〜35μとなるように調整している。
【0055】
樹脂シート16の裏面に供給される溶融合成樹脂は、200〜330℃であるため、これと同質の樹脂シート16に対しては互いに溶融状態となって一体化される。
【0056】
しかし、溶融温度が低いため粘性が高く、表側ライナ17に対してはその組織内への浸透性能が低く、しかも、加圧ロール34による加圧力が小さいため、溶融合成樹脂は表側ライナ17の組織内に充分に浸透せず、このため容易に剥離する状態で表側ライナ17が貼り合わされる。
【0057】
次に、図7に示すように、コルゲータを用いて上述の樹脂シート16と表側ライナ17とを貼り合せた表側ライナシート40の裏面に断面波状の中芯材18及び裏側ライナ19を順次貼り合せ、それを所定の形状に切断して支持板用板材30を形成する。
【0058】
コルゲータは、シングルフェーサA、ダブルフェーサ(ダブルバッカ)B、乾燥部C及びカッターDを備え、シングルフェーサAにて中芯材18を断面波状に形成するとともにその中芯材18と表側ライナシートとを貼り合せ、それをダブルフェーサBに送り裏面側部材28と貼り合せ、乾燥部Cにより粘着剤を乾燥定着させることにより段ボール紙形状に成形し、それをカッターDにより所定の寸法に切りそろえることにより支持板用板材30を成形するようになっている。
【0059】
尚、この所定寸法に裁断された支持板用板材30の隅部に、ミシン目26aを形成し、切り離し可能な三角形状の剥離補助片26を形成しておく。
【0060】
このように形成された支持板用板材30に、トムソン加工等により一次孔41及び切花挿入孔11を形成する。
【0061】
まず、切花挿入孔11の径よりも小さい円形状配置にトムソン刃等の刃を有する一次打ち抜き型により、支持板用板材30の中央に表裏方向に貫通した一次孔41を形成する。
【0062】
次に、支持板用板材30の裏面側よりトムソン刃42を切花挿入孔11の外形に合わせて配置した挿入孔用打ち抜き型43により、一次孔41の周りに配置された支持板本体14の切花挿入孔11の内側部分44を支持板本体14より切り離す。
【0063】
このとき、トムソン刃42は、図8に示すように、支持板本体14を切断し、且つ樹脂シート16に到達しない位置で止められている。
【0064】
そして、支持板本体14より切り離された内側部分44を取り除くことにより、樹脂シート16の切花挿入孔11の内側に一体に張り出した輪状の熱融着しろ20が切花挿入孔11を通して支持板12の裏面側に露出される。
【0065】
尚、樹脂シート16と支持板本体14とは、一定以上の力をかけることにより容易に剥がすことができる状態にあるので、内側部分44を容易に樹脂シート16より剥がして取り除くことができるようになっている。
【0066】
次に、支持板12の表面側、即ち樹脂シート側よりトムソン刃等により浅く切れ目を入れ、樹脂シート16の外周と平行配置にコ字状の切り離し用切れ目27を形成する。
【0067】
これにより、樹脂シート16には、その外縁部に口絞り用紐体28,28が一体に形成される。
【0068】
以上で支持板12の製造工程が完了する。
【0069】
一方、切花用保水袋13の製造方法は、まず、外袋材21を構成するポリエチレン等の不透水性材料からなるシート上に、線状ラミネート加工により、所定の間隔をおいて溶融合成樹脂材を被着させ、その上に内袋材23を構成する保水性材料からなるシートを重ね合わせてプレスすることにより、不透水性材料シートと線状ラミネートと保水性材料シートとが三層に貼り合わされたシートを形成し、この三層シートを所定の形状に裁断し、所定の位置に開口部25を形成する。
【0070】
次に、この裁断された三層シート材を、その両縁部をヒートシールにより融着させて筒状となし、開口部25を有する部分の両側部を内側に折り込んで平板状とした状態で、両開口端部をそれぞれヒートシールにより閉じる。
【0071】
これにより両側部にまち部を有する袋状に切花用保水袋13が形成される。
【0072】
そして、この切花用保水袋13を平板状に折り畳んだ状態にしておき、熱融着しろ20を切花用保水袋13、即ち外袋材21の開口縁部に重ね合わせ、熱融着しろ20の表面側より所定の圧力でヒータを押し当てて開口縁部に熱融着しろ20を熱融着させ、それにより支持板12の裏面に切花用保水袋13が連通配置に固定させ、切花梱包用保水容器10が形成される。
【0073】
以上で作業が完了する。
【0074】
尚、上述の実施例では、支持板本体14を両面段ボール紙により構成した例について説明したが、支持板本体14は複両面段ボール紙、或いは複々両面段ボール紙であってもよい。
【0075】
また、支持板本体14は、段ボール紙の他、ボール紙、厚紙等の紙板材や合成樹脂製の板材等であってもよい。
【0076】
尚、上述の実施例では、表側ライナシートと中芯材を貼り合せた後、裏側ライナを貼り合せた例について説明したが、中芯材と裏側ライナとを予め貼り合せておき、それを表側ライナシートと貼り合せるようにしてもよい。
【0077】
また、上述の実施例では、樹脂シートと支持板本体とを貼り合せた部材を所定の形状に裁断し、そこに一次孔及び切花挿入孔を順次形成することにより、熱融着しろが切花挿入孔の内側に張り出した樹脂シートと支持板本体とが貼り合わされた支持板を形成する例について説明したが、支持板は、予め切花挿入孔が形成された支持板本体と、予め切花挿入孔より径の小さい孔が形成された樹脂シートとを貼り合せることにより形成するようにしてもよい。
【0078】
尚、上述の実施例では、樹脂シートの外縁部に口絞り用紐体を設けた例について説明したが、樹脂シートに口絞り用紐体を設けず、別個に用意した紐で樹脂シートからなる切花用保水袋の開口縁部を絞るようにしてもよい。
【0079】
尚、上述の実施例では、支持板を正方形とした例について説明したが、支持板は、長方形や多角形等の形状であってもよい。
【0080】
また、上述の実施例では、円形の切花挿入孔を支持板中央に設けた例について説明したが、切花挿入孔の形状は、楕円形、長穴状等の形状であってもよく、また、複数箇所設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る切花梱包用保水容器の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の切花梱包用保水容器の断面図である。
【図3】図1中の支持板を下側より見た斜視図である。
【図4】同上の切花梱包用保水用容器の梱包用箱内に収容した状態を示す断面図である。
【図5】支持板より分離した切花用保水袋を示す正面図である。
【図6】本発明方法における樹脂シートと表側ライナとの貼り合せ工程の概略を示す側面図である。
【図7】同上の支持板成形工程の概略を示す側面図である。
【図8】同上の切花挿入孔成形工程の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
【0082】
10 切花梱包用保水容器
11 切花挿入孔
12 支持板
13 切花用保水袋
14 支持板本体
15 ラミネート層
16 樹脂シート
17 表側ライナ
18 中芯材
19 裏側ライナ
20 熱融着しろ
21 外袋材
22 線状ラミネート層
23 内袋材
24 まち部
25 開口部
26 剥離補助片
26a ミシン目
27 切り離し用切れ目
28 口絞り用紐体
29 切花梱包用箱
29a 支持突起
30 支持板用板材
31 表側ライナ繰り出しロール
32 樹脂シート繰り出しロール
33 受けロール
34 加圧ロール
35 Tダイ
36 溶融合成樹脂供給装置
37,38 ガイドロール
39 巻取りロール
40 表側ライナシート
41 トムソン刃
42 挿入孔用打ち抜き型
43 内側部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器において、
前記切花用保水袋は、少なくとも表面が熱可塑性樹脂材により形成され、
前記支持板は、平板状の支持板本体と、該支持板本体の表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する樹脂シートとからなり、該熱融着しろと前記切花用保水袋の開口縁部とが熱融着されたことを特徴としてなる切花梱包用保水容器。
【請求項2】
前記樹脂シートは、前記支持板本体の表面に剥離可能に貼り合わされた請求項1に記載の切花梱包用保水容器。
【請求項3】
前記樹脂シートは、外縁部に口絞り用紐体を一体に有するシート状に形成された請求項2に記載の切花梱包用保水容器。
【請求項4】
支持板本体は、外周部に切り離し可能な剥離補助片を一体に有する請求項1、2又は3に記載の切花梱包用保水容器。
【請求項5】
切花挿入孔を有する支持板と、該支持板の裏面に前記切花挿入孔と連通配置に固定された切花用保水袋とを備えてなる切花梱包用保水容器の製造方法において、
平板状の支持板本体と、その表面に貼り合わされ、前記切花挿入孔の内側に張り出した熱融着しろを一体に有する熱可塑性樹脂製の樹脂シートとからなる支持板を形成しておき、前記熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に重ね、前記熱融着しろを前記開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定することを特徴としてなる切花梱包用保水容器の製造方法。
【請求項6】
支持板本体の表面に熱可塑性の樹脂シートを溶融合成樹脂材を介して重ね合わせ、前記樹脂シートと前記支持板本体とを剥離可能に貼り合せた支持板用板材を形成し、該支持板用板材に上下に貫通した一次孔を形成した後、該一次孔周りの前記支持板本体の切花挿入孔内側部分を該支持板本体より切り離すとともに該内側部分を取り除き、該切花挿入孔の内側に熱融着しろを張り出させ、該熱融着しろを前記切花用保水袋の開口縁部に熱融着させて前記支持板を切花用保水袋に固定する請求項5に記載の切花梱包用保水容器の製造方法。
【請求項7】
支持板用板材は、前記樹脂シートの裏面側にラミネート層成形機のダイスより連続して押し出した溶融合成樹脂材を被着させ、該溶融合成樹脂材の裏面側に平板状の表側ライナを重ね合わせて接着させ、予めラミネート層を介して前記樹脂シートと表側ライナとを一体的に貼り合わせた部材を形成しておき、その後、前記表側ライナと平板状の裏側ライナとの間に断面波状の中芯材を介在させ、前記表側ライナ、中芯材及び裏側ライナを貼り合わせて形成する請求項5又は6に記載の切花梱包用保水容器の製造方法。
【請求項8】
樹脂シートの外周と平行配置に切り離し用切れ目を入れ、樹脂シートの外縁部に口絞り用紐体を形成する請求項5、6又は7に記載の切花梱包用保水容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−8563(P2007−8563A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194606(P2005−194606)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(395019889)中越テック株式会社 (14)
【出願人】(000201641)全国農業協同組合連合会 (69)
【出願人】(501436311)ちくま農業協同組合 (2)
【Fターム(参考)】