説明

刈り込み機

【課題】 ブレードカバーの着脱をこまめに行うことが可能な刈り込み機を提供し、刈り込み機を利用する作業の便宜に寄与する。
【解決手段】 刈り込み機は、刈り込み機本体と、刈り込み機本体に設けられている一対のブレードと、刈り込み機本体に対して第1位置と第2位置の間を移動可能に設けられている移動部材を備えている。移動部材には、ブレードカバー部が形成されている。移動部材が第1位置にあるときには、ブレードカバー部が一対のブレードに取付けられた状態となり、移動部材が第2位置にあるときには、ブレードカバー部が一対のブレードから取外された状態となることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば芝生バリカン、芝刈り機、ヘッジトリマ等と称される刈り込み機であって、主として芝生や生垣等の刈り込み作業に用いる刈り込み機に関する。
【背景技術】
【0002】
刈り込み機は、刈り込み機本体と、刈り込み機本体に設けられている一対のブレードを備えている。刈り込み機では、刈り込み機本体に内蔵されている動力源によって、一対のブレードが相対運動可能に構成されている。一対のブレードのそれぞれには、複数の刃先部が櫛状に形成されている。一対のブレードが相対運動することによって、各ブレードに形成されている刃先部が草木等を切断する。
刈り込み機には、ブレードカバーが用意されている。刈り込み機を運転しないときには、一対のブレードにブレードカバーを取付けることによって、ブレードの刃先部が無用に露出することを防止することができる。刈り込み機を保管する際や、刈り込み機を運搬する際には、一対のブレードにブレードカバーを取付けておくことが求められる。
特許文献1には、ブレードカバー(文献内ではカッターカバーと称している)に関する技術が記載されている。
【特許文献1】実公昭52−50127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブレードを無用に露出させないためには、ブレードカバーの着脱をこまめに行うことが重要である。作業者は、刈り込み機の運転を始める直前においてブレードカバーを取外し、刈り込み機の運転を終えた直後においてブレードカバーを取付けるようにして、ブレードを露出させた状態で刈り込み機を運搬することや、ブレードを露出させた状態で刈り込み機を放置することは、避けるように努めなければならない。
しかしながら、刈り込み機を利用する刈り込み作業は、屋外で行われることが多いことから、その作業範囲が比較的に広いという特徴がある。刈り込み機を利用する作業についても、一箇所に留まって行われることは少なく、移動しながら行われることが多い。
刈り込み機を運転しながら移動すると、ブレードカバーを取外して刈り込み機の運転を始めた位置と、刈り込み機の運転を終えてブレードカバーを取付けるべき位置とが離れることとなる。この場合、刈り込み機の運転を終えた作業者は、刈り込み機を運転し始めた位置までブレードカバーを取りに戻る必要があり不便である。また作業者は、刈り込み機を携帯して戻るか、あるいは刈り込み機を放置して戻ることとなるが、いずれにしてもブレードは露出された状態となっており、ブレードに注意を払う必要がある。
そのことから、例えばブレードカバーを携行しながら刈り込み作業を行うことが考えられる。しかしながら、ブレードカバーを携行しながら刈り込み機を操作することは面倒であり、ブレードカバーを遺失してしまう恐れもある。
本発明は、上記の問題を解決する。本発明は、ブレードカバーの着脱をこまめに行うことが可能な刈り込み機を提供し、刈り込み機を利用する作業の便宜に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が提供する刈り込み機は、刈り込み機本体と、刈り込み機本体に設けられている一対のブレードと、刈り込み機本体に対して第1位置と第2位置の間を移動可能に設けられている移動部材を備えている。移動部材には、ブレードカバー部が形成されている。移動部材が第1位置にあるときには、ブレードカバー部が一対のブレードに取付けられた状態となる。移動部材が第2位置にあるときには、ブレードカバー部が一対のブレードから取外された状態となることを特徴とする。
【0005】
この刈り込み機では、刈り込み機本体に対して移動部材を第1位置に移動することによって、ブレードカバー部を一対のブレードに取り付けることができる。また、刈り込み機本体に対して移動部材を第2位置に移動することによって、ブレードカバー部を一対のブレードから取外すことができる。
この刈り込み機によると、移動部材を移動することによって、刈り込み機の運転を始める直前においてブレードカバーを取外し、刈り込み機の運転を終えた直後においてブレードカバーを取付けることができる。ブレードを露出させた状態で刈り込み機を運搬・放置する動作を作業者に強いることがない。ブレードカバーを携行することなく、ブレードカバーの着脱をこまめに行うことが可能となる。
【0006】
上記の刈り込み機では、移動部材が第1位置にあるときに、移動部材の位置を保持する第1位置保持機構が付加されていることが好ましい。
それにより、一対のブレードに取付けられているブレードカバー部が、一対のブレードから偶発的に外れてしまうことが防止される。
【0007】
上記の刈り込み機では、移動部材が第2位置にあるときに、移動部材の位置を保持する第2位置保持機構が付加されていることが好ましい。
それにより、刈り込み機を運転して刈り込み作業している時に、移動部材が無用に移動することを防止することができる。
【0008】
移動部材には、作業面に当接させることによって一対のブレードの作業面に対する位置を調節するためのガイド部を形成しておくことが好ましい。この場合、移動部材が第1位置にあるときにはガイド部が収容された状態となり、移動部材が第2位置にあるときにはガイド部が作業面に当接可能な状態となることが好ましい。
この刈り込み機では、刈り込み機本体に対して移動部材を第1位置に移動することによって、ブレードカバー部を一対のブレードに取付けることができるとともに、ガイド部を収容することができる。また、刈り込み機本体に対して移動部材を第2位置に移動することによって、ブレードカバー部を一対のブレードから取外すことができるとともに、ガイド部を作業面に当接可能な状態とすることができる。
この刈り込み機によると、移動部材を移動することによって、刈り込み機の運転を始める直前においてガイド部を作業面に当接可能な状態にし、刈り込み機の運転を終えた直後においてガイド部を収容することができる。刈り込み機の運転をしないときには、ガイド部を収容することによって、例えばガイド部が損傷してしまうことを防止することができる。
【0009】
上記の刈り込み機において、移動部材は、刈り込み機本体に対して第1位置と第2位置と第3位置の間を移動可能に設けられていることが好ましい。この場合、移動部材が第3位置にあるときには、ブレードカバー部が一対のブレードから取り外された状態となっているとともにガイド部が作業面に当接可能な状態となっていることが好ましい。そして、移動部材が第3位置にあるときに、移動部材の位置を保持する第3位置保持機構が付加されていることが好ましい。
ガイド部を移動部材に設けておくと、刈り込み機本体に対する移動部材の位置を調整することによって、刈り込み機本体に設けられている一対のブレードに対するガイド部の位置を調整することが可能となる。
この刈り込み機では、刈り込み機を運転する際に、刈り込み機本体に対する移動部材の位置を、第2位置と第3位置のいずれかに保持することができる。それにより、一対のブレードに対するガイド部の位置を選択的に調整して保持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ブレードカバーの着脱をこまめに行うことが可能となり、刈り込み機を利用する作業者の安全を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
最初に、以下に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1) 芝生バリカンは、移動部材が第1位置にあるときに、移動部材に設けられているブレードカバー部を、一対のブレードに向けて付勢している付勢部材を備えている。
(形態2) 芝生バリカンは、移動部材が第1位置にあるときに、係合することによって芝生バリカンと移動部材の相対位置を保持する第1係合対を備えている。第1係合対の一方は芝生バリカン本体側に設けられている。第1係合対の他方は移動部材側に設けられている。
(形態3) 芝生バリカンは、移動部材が第2位置にあるときに、係合することによって芝生バリカンと移動部材の相対位置を保持する第2係合対を備えている。第2係合対の一方は芝生バリカン本体側に設けられている。第1係合対の他方は移動部材側に設けられている。
(形態4) 芝生バリカンは、移動部材が第2位置にあるときに、第2係合対の少なくとも一方を、第2係合対が係合し続ける方向に付勢している付勢部材を備えている。
【実施例】
【0012】
本発明を具現化した芝生バリカンの実施例について図面を参照して説明する。芝生バリカンは、芝生の刈り込みを主な用途とする刈り込み機である。
図1は、実施例の芝生バリカン10の外観図である。図1に示すように、芝生バリカン10は、芝生バリカン本体16(以下、単に本体ということがある)と、本体16に設けられている上側ブレード32および下側ブレード34と、本体16に対して移動可能に設けられている移動部材40を備えている。
本体16には、作業者が芝生バリカン10を把持するための把持部12や、芝生バリカン10の運転スイッチであるトリガスイッチ14等が設けられている。芝生バリカン10は、手持ち式の刈り込み機である。
本体16には、後述する移動部材40の各所と係合するための係合突部材46や係合爪部36等が設けられている。係合突部材46は、本体16に対して進退可能に設けられているとともに、本体16から突出する方向に付勢されている。係合爪部36は、本体16に対して固定されている。
【0013】
図2は、実施例の芝生バリカン10を下方(図1において下方)からみたときの外観図(一部、断面図)である。図3は、図2に示すIII−III線による断面図である。図2に示すように、上側ブレード32と下側ブレード34のそれぞれには、櫛状に並ぶ刃先部32a、34aが形成されている。
図2、図3に示すように、一対のブレード32、34は、本体16に対して軸部材66の回りに揺動可能に支持されている。下側ブレード34の基端部(刃先部34a群の反対側)には、本体16側に設けられている第1回転カム74bが嵌合している嵌合孔34bが形成されている。嵌合孔34bは、スロット形状をしている。第1回転カム74bが回転運動したときに、下側ブレード34が往復揺動運動する構成となっている。上側ブレード32についても同様に、本体16側に設けられている第2回転カム74aが嵌合している嵌合孔32bが形成されており、第2回転カム74aが回転運動したときに、上側ブレード32が往復揺動運動する構成となっている。第1回転カム74bと第2回転カム74aは、略180度の位相差を持って回転する構成となっており、一対のブレード32、34が反対向きに往復揺動運動する構成となっている。
【0014】
図3に示すように、本体16の内部には、駆動源であるモータ60や、モータ60の駆動力を一対のブレード32、34に伝達する動力伝達部62等が内蔵されている。前出の回転カム74a、74bは動力伝達部62の一部である。モータ60の駆動/停止は、トリガスイッチ14の操作によって切換えられる。モータ60の回転動力は、回転カム74a、74bへと伝達され、一対のブレード32、34の往復揺動運動に変換される。一対のブレード32、34による対称的な往復揺動運動によって、上側ブレード32の刃先部32aと下側ブレード34の刃先部34aが繰り返し交差することとなり、芝生等が切断される。
【0015】
図4、図5を参照して、移動部材40の構成について説明する。移動部材40は、概して略U字形状の板状部42に、折り返し部30や、複数のリブ状の突出部20、44、64が形成された構成となっている。移動部材40の材質は特に限定されないが、例えば樹脂材料等を用いて形成するとよい。
折り返し部30は、一対のブレード32、34を収容可能な空間30aを形成しており、一対のブレード32、34のブレードカバーを構成している。以下、折り返し部30を、ブレードカバー部30ということがある。
ブレードカバー部30上に形成されている3つの第1突出部20と、板状部42のU字形状内縁に沿って形成されている2つの第2突出部64は、板状部42に対して第1面42a側に突出している。詳しくは後述するが、これらの突出部20、64は、芝生の刈り込み長さを調節するためのガイドとして機能する。以下、第1突出部20を第1ガイド部20ということがある。また、第2突出部64を第2ガイド部64ということがある。
板状部材42のU字形状外縁に沿って形成されている2つの突出部44は、板状部42に対して第2面42b側に突出している。
移動部材40では、第2ガイド部64に、長孔54や、切欠部50や、ノッチ群60が形成されている。ノッチ群60は、第1ノッチ60aと第2ノッチ60bと第3ノッチ60cから構成されている。
【0016】
図1、図2に示すように、移動部材40は、本体16側に設けられているピン部材52によって、本体16に取付けられている。ピン部材52は、移動部材40の長孔54に遊嵌している。それにより、移動部材40は、長孔54の長軸方向に沿って(図1の状態ではA方向に)移動可能であるとともに、ピン部材52の回り(図1の状態ではC方向)に回動可能となっている。ピン部材52の端部には、ワッシャ52aが固定されている。ワッシャ52aの直径は長孔54の短軸よりも大きく、長孔54がピン部材52から離脱することが禁止されている。それにより、移動部材40は、本体16から離反することが禁止されている。移動部材40の長孔54内には、ばね部材56が設けられている。
【0017】
図1、図2は、移動部材40のブレードカバー部30が、一対のブレード32、34に取付けられた状態を示している。本体16に対する移動部材40の位置に関して、図1、図2に示す移動部材40の位置を第1位置という。移動部材40が本体16に対して第1位置にあるときには、ブレードカバー部30が一対のブレード32、34に取付けられた状態となる。芝生バリカン10を運搬する際や、芝生バリカン10を保管しておく際には、移動部材40を第1位置へと移動することによって、ブレードカバー部30を一対のブレード32、34に取付けることができる。
移動部材40が第1位置にあるときには、本体16に設けられている係合突部材46が、移動部材40に設けられている切欠部50と係合している。係合突部材46と切欠部50は、移動部材40が第1位置にあるときに、係合することによって本体16と移動部材40の相対位置を保持する第1係合対を構成している。また、移動部材40が第1位置にあるときには、ばね部材56が移動部材40を図1中のB方向に付勢している。即ち、ばね部材56は、ブレードカバー部30を一対のブレード32、34に向けて付勢している。第1係合対46、50による係合や、ばね部材56による付勢力によって、移動部材40は第1位置に保持されており、ブレードカバー部30が一対のブレード32、34から離脱することが抑止されている。それにより、芝生バリカン10を運搬している時や、芝生バリカン10を保管している間に、ブレードカバー部30が一対のブレード32、34から偶発的に外れてしまうことが防止される。
【0018】
芝生バリカン10を使用する際には、本体16に対して移動部材40を図1中のA方向に引き出すことによって、ブレードカバー部30を一対のブレード32、34から取外すことができる。さらに、移動部材40を図1中のC方向に回転させることによって、ブレードカバー部30を一対のブレード32、34から退避させることができる。
図6は、ブレードカバー部30が一対のブレード32、34から取外された状態を示しており、芝生バリカン10によって刈り込み作業を実施するときの状態を示している。本体16に対する移動部材40の位置に関して、図6に示す移動部材40の位置を第2位置という。移動部材40が本体16に対して第2位置にあるときには、ブレードカバー部30が一対のブレード32、34から取外された状態となる。前出の第1位置にある移動部材40に対して、第2位置にある移動部材40は、ピン部材52の回りに略180度回転している。
移動部材40が第2位置にあるときには、本体16に設けられている係合爪部36が、移動部材40に設けられている第1ノッチ60aと係合している。係合爪部36と第1ノッチ60aは、移動部材40が第2位置にあるときに、係合することによって本体16と移動部材40の相対位置を保持する第2係合対を構成している。また、移動部材40が第2位置にあるときには、ばね部材56が移動部材40を図1中のA方向に付勢している。即ち、ばね部材56が第1ノッチ60aを係合爪部36に向けて付勢することによって、第2係合対60a、36が係合し続けるようになっている。第2係合対36、60aによる係合や、ばね部材56による付勢力によって、移動部材40は第2位置に保持されており、芝生バリカン10の運転中に移動部材40が無用に移動することが防止されている。
作業者は、芝生バリカン10を芝生面(作業面)Hに沿って移動させることによって、芝生の刈り込み作業を行うことができる。
【0019】
図6に示すように、移動部材40が第2位置にあるときには、移動部材40に設けられている第1ガイド部20群や、第2ガイド部64群が、本体16からみて下方に向けて突出している。即ち、第1ガイド部20群や第2ガイド64群は、芝生面Hに当接させることが可能な状態となっている。第1ガイド部20群と第2ガイド部64群は、それぞれの頂部20a、64aがすべて同一平面内に位置するように構成されている。ガイド部20、64群の頂部20a、64a群を芝生面Hに当接させた場合、一対のブレード32、34と芝生面Hとの間の距離は所定距離L1となる。作業者は、ガイド部20、64群の頂部群20a、64a群を芝生面Hに当接させることによって、芝生面Hに対する一対のブレード32、34の距離を所定距離L1に調節することができる。その状態を維持しながら芝生バリカン10を移動することによって、芝生面Hを略一定の長さL1に刈り込むことが容易にできる。
【0020】
図6に示すように、移動部材40が第2位置にあるときは、移動部材40の板状部42の第2面42bが、一対のシャーブレード32、34の後方に広がっている。また板状部42の第2面42bは、芝生面Hに対して略平行に広がっている。一対のシャーブレード32、34によって刈り取られた芝は、移動部材40の板状部42の第2面42bによって受止められる。第2面42bによって受止められた芝は、第2面42bの外縁に沿って形成されている突出部44によって、第2面42b上に保持される。即ち、移動部材40では、板状部42の第2面42bや突出部44によって、集塵部(いわゆるチップレシーバ部)が形成されている。
【0021】
図7に示すように、芝生バリカン10を使用する際には、移動部材40に設けられている第2ノッチ60bを、本体16に設けられている係合爪部36と係合させることによって、移動部材40を第2位置とは異なる位置に保持することもできる。即ち、係合爪部36と第2ノッチ60bは、移動部材40が第3位置にあるときに、係合することによって本体16と移動部材40の相対位置を保持する第3係合対を構成している。本体16に対する移動部材40の位置に関して、図7に示す移動部材40の位置を第3位置という。移動部材40が第3位置にあるときについても、移動部材40に設けられているガイド部20、64群は、本体16からみて下方に向けて突出している。即ち、第1ガイド部20群や第2ガイド64群は、芝生面Hに当接させることが可能な状態となっている。ただし、移動部材40が第3位置にあるときは、移動部材40が第2位置にあるときに比して、本体16に対するガイド部20、64群の位置が異なることとなる。それにより、ガイド部20、64群を芝生面Hに接触させた場合、一対のブレード32、34と芝生面Hとの間の距離は所定距離L2となる。所定距離L2は、所定距離L1よりも長い。作業者は、移動部材40を第3位置に調節することによって、芝生を略一定の長さL2に刈り込むことが容易にできる。
移動部材40を第3位置に調節した場合でも、板状部42の第2面42bが、一対のシャーブレード32、34の後方において、芝生面Hと略平行に広がることとなる。それにより、移動部材40を第3位置に調節した場合でも、一対のシャーブレード32、34によって刈り取られた芝は、板状部42の第2面42b上に収集される。
【0022】
あるいは、図8に示すように、移動部材40に設けられている第3ノッチ60cを、本体16に設けられている係合爪部36と係合させることによって、移動部材40をさらに第3位置とは異なる位置に保持することもできる。即ち、係合爪部36と第3ノッチ60cは、移動部材40が第4位置にあるときに、係合することによって本体16と移動部材40の相対位置を保持する第4係合対を構成している。本体16に対する移動部材40の位置に関して、図8に示す移動部材40の位置を第4位置という。移動部材40が第4位置にあるときにも、移動部材40に設けられているガイド部20、64群は、芝生面Hに当接させることが可能な状態となっている。ガイド部20、64群を芝生面Hに接触させた場合、一対のブレード32、34と芝生面Hとの間の距離が所定距離L3となる。所定距離L3は、所定距離L2よりも長い。作業者は、移動部材40を第4位置に調節することによって、芝生を略一定の長さL3に刈り込むことが容易にできる。
【0023】
芝生バリカン10では、本体16に対する移動部材40の位置を第2位置と第3位置と第4位置の間において調節することによって、芝生の刈り込み長さをL1、L2、L3のいずれかに調節することができる。また、移動部材40をいずれの位置に調節した場合でも、板状部42の第2面42bは芝生面Hに対して同じ角度を保つので、刈り取った芝を移動部材40によって収集しながら刈り込み作業を行うことができる。
【0024】
板状部材42のU字形状外縁に沿って形成されている2つの突出部44は、刈り取った芝を保持する機能に加えて、以下の機能を果たす。
突出部44の外側に形成されている平面は、本体16の長手方向に対して略平行に形成されている。即ち、刈り込み作業時に本体16を移動させる方向に対して略平行に形成されている。また、2つの突出部44の幅は、下側ブレード34の幅よりもわずかに広くなっており、上下のブレード32、34が左右に揺動したときに、上下のブレード32、34が2つの突出部44よりも外側にはみ出さないようになっている。それにより、壁際に生えている芝生等を刈り取る際には、突出部44の外側平面を芝生バリカン10の側方のガイドとして用いることができる。即ち、突出部44の外側平面を壁面に押し当てながら本体16を前方に動かすことによって、揺動している上下のブレード32、34を壁面に接触させることなく、本体16を正しい向きに維持しながら、壁面に沿って移動させることができる。
【0025】
刈り込み作業を終了あるいは中断し、芝生バリカン10の運転を停止した際には、本体16に対して移動部材40を図6中のB方向に引き出すとともに、移動部材40を図6中のD方向に回転させることによって、再びブレードカバー部30を一対のブレード32、34に取付けることができる(図1、図2の状態)。ブレードカバーを取りに戻ったりすることなく、速やかにブレードカバー部30を一対のブレード32、34に取付けることできる。一対のブレード32、34を露出させた状態で芝生バリカン10を運搬することや放置したりすることを、作業者に強いることがない。
また、移動部材40を第1位置へと移動することによって、移動部材40に設けられているガイド部20、64群を、移動部材40の上方側へと移動することができる。この状態は、ガイド部20、64群を芝生面H等に当接させることができない状態であることから、ガイド部20、64群を収容した状態といえる。移動部材40が第1位置にあり、ガイド部20、64群が収容されている状態では、例えば芝生バリカン10を地面等に置いたときでも、ガイド部20、64群が地面等に接触することがない。それにより、ガイド部20、64群が破損してしまうことを防止することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例の芝生バリカンを側方からみたときの外観を示す図。
【図2】実施例の芝生バリカンを下方からみたときの外観を示す図。
【図3】図2中のIII−III線断面図であり、芝生バリカン本体の内部構成を示す図。
【図4】移動部材を上方からみたときの外観図。
【図5】移動部材を側方からみたときの外観図。
【図6】芝生バリカンの使用時の状態を示す図(刈り込み長さL1)。
【図7】芝生バリカンの使用時の状態を示す図(刈り込み長さL2)。
【図8】芝生バリカンの使用時の状態を示す図(刈り込み長さL3)。
【符号の説明】
【0028】
10・・芝生バリカン
12・・把持部
14・・トリガスイッチ
16・・芝生バリカン本体
20・・第1ガイド部
30・・ブレードカバー部
32・・上側ブレード
34・・下側ブレード
36・・係合爪部
40・・移動部材
42・・板状部
42a・・板状部の第1面
42b・・板状部の第2面
46・・係合突部材
50・・切欠部
56・・ばね部材
60・・ノッチ群
64・・第2ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り込み機本体と、
刈り込み機本体に設けられている一対のブレードと、
刈り込み機本体に対して第1位置と第2位置の間を移動可能に設けられている移動部材を備え、
前記移動部材には、ブレードカバー部が形成されており、
前記移動部材が第1位置にあるときには、前記ブレードカバー部が前記一対のブレードに取付けられた状態となり、前記移動部材が第2位置にあるときには、前記ブレードカバー部が前記一対のブレードから取外された状態となることを特徴とする刈り込み機。
【請求項2】
前記移動部材が第1位置にあるときに、前記移動部材の位置を保持する第1位置保持機構が付加されていることを特徴とする請求項1の刈り込み機。
【請求項3】
前記移動部材が第2位置にあるときに、前記移動部材の位置を保持する第2位置保持機構が付加されていることを特徴とする請求項1又は2の刈り込み機。
【請求項4】
前記移動部材には、作業面に当接させることによって作業面に対する一対のブレードの位置を調節するためのガイド部が形成されており、
前記移動部材が第1位置にあるときには前記ガイド部が収容された状態となり、前記移動部材が第2位置にあるときには前記ガイド部が作業面に当接可能な状態となることを特徴とする請求項3の刈り込み機。
【請求項5】
前記移動部材は、刈り込み機本体に対して第1位置と第2位置と第3位置の間を移動可能に設けられており、
前記移動部材が第3位置にあるときには、前記ブレードカバー部が前記一対のブレードから取り外された状態となっているとともに前記ガイド部が作業面に当接可能な状態となり、
前記移動部材が第3位置にあるときに、前記移動部材の位置を保持する第3位置保持機構が付加されていることを特徴とする請求項4の刈り込み機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−259513(P2008−259513A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151706(P2008−151706)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【分割の表示】特願2005−155180(P2005−155180)の分割
【原出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】