説明

列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム及びその表示方法

【課題】電子広告媒体の設置された駅ホームにおいて、列車の到着を待っている乗客に対して、目的地周辺情報などの乗客に関連する情報を提供する。
【解決手段】本発明の運行管理システムは、表示コンテンツを選択して表示する機能を有する情報表示装置205とダイヤ情報と列車在線検知機能を有する運行管理システムにおいて、駅ホーム102に停車する列車103の属性に応じて表示を切替える信号を情報表示装置205に対して出力する手段を備えている。さらに、本発明の運行管理システムは、駅到着検知により表示を切替える信号を情報表示装置205に対して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通機関、特に鉄道及び鉄道駅構内の列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム及びその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の運行管理システムは、例えば鉄道であれば、通称PTC(Programed Traffic Control)と呼ばれ、列車集中制御装置(CTC:Centralized Traffic Control)、運転整理システム、旅客案内システムなどを一括管理する総合システムである。各駅に対応して駅付近の列車の在線検知を行って、信号や分岐器の操作や列車の接近放送や到着放送、或いは遅延情報などの乗客に対する列車情報の案内を行っている。このような運行管理システムは、各JRにおいて既に実現されており、鉄道以外の交通機関であるバスや船舶の運行管理にしても、飛行場のフライト管理にしても同様に運用されている。
【0003】
一方、図1のように駅ホームには、発車標に代表される列車情報案内以外に電子広告媒体が設置されており、乗客に向けた商品、企業の宣伝などの情報表示が行われている。また、商品、企業の宣伝などの情報表示の対象となる乗客は、ホームや待合室にいる乗客だけに限らない。目的の交通機関に向かう乗客や、正に降りてきた乗客も広告を見て欲しい対象になる。しかしながら、これらの広告コンテンツはそれを見て欲しい人に対して提供されているとは限らない。
【0004】
これに対して、特許文献1(特開2006−227342号公報)には、乗客にとって興味を引かない広告や利益のない広告を乗客に対して行うことを抑制するとともに、乗客にとって興味を引く広告や利益のある広告を乗客に対して行うようにして、乗客に対して大きな広告効果を得ることのできる表示装置を提供することを目的とした、トンネル側壁に設置される表示装置であって、通過する車両の属性に応じて選択した表示アイテムを表示する機能を有する表示装置において、車両通過の際に属性を検知して表示するアイテムを選択する手段を備えた表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−227342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特定の交通機関を利用しようとする乗客、特定の交通機関を利用している乗客、或いは特定の交通機関を利用してきた乗客に対して、当該特定の交通機関の属性に応じて、夫々の乗客のニーズに合致した情報を提供することを目的とする。ここにおいて「交通機関の属性」とは、交通機関の運行管理システムで扱われる列車ごとの情報であり、例えば、列車であれば、発着駅名、停車駅情報、運行時刻表、列車名、特急列車、臨時列車等の情報から定められる特定の属性であり、航空機であれば、発着地、経由地、運行時刻テーブル等の情報から定められる特定の属性であり、バスであれば、発着地、休憩サービスエリア、走行計画等の情報から定められる特定の属性である。本発明においては、「交通機関の属性」としては、当該交通機関の行先を具体例として説明する。
【0007】
例えば一例を挙げて本発明の課題を説明する。本発明の具体的な実施例としては、駅ホームで列車の到着を待っておりこれから乗車しようとする乗客に対して、乗客のニーズに合致した情報を提供することを目的とするものである。
【0008】
これと同様な課題を達成する技術としては、特許文献1記載の技術が既に知られている。この特許文献1では、トンネル内や駅ホームなどの線路脇に設置された表示装置において、表示装置の前を列車が通過する時に各車両の属性に応じた広告を表示し、乗車客に対して興味を引く情報の提供を行うものである。この特許文献1の表示装置においては、車両属性検知部は、車両に設けられた車両属性情報発信装置からの車両属性情報を受けて、車両の属性を検知することが好ましいとしている。そして、特許文献1においては、このような構成とすることにより、車両に設置された車両属性情報発信装置からの車両属性情報を受けることにより、通過する車両の属性を迅速かつ確実に検知することが可能になるとしている。
【0009】
しかしながら、このような表示装置の場合には、交通機関であるところの特定の車内に現に乗っている乗客に対しての情報提供は可能であるが、ホームに入ってくる列車を待つ乗客に対する情報提供に対する課題は解決されていない。また、特許文献1では、車両属性情報を車両に設けられた車両属性情報発信装置から発信して、表示装置の車両属性検知部により検知する方式とされているが、これでは新規な車両属性情報発信装置を各車両に設ける必要があり、現実的でないし、設置の費用も高額になる。
【0010】
また、日常生活として毎日繰り返される行動パターンであるが、駅ホームで列車の到着を待っておりこれから乗車しようとする乗客は、通勤の場合でも、出張の場合でも、多くの場合、目的とする列車の到着時間よりも早めにホームに到着し列車乗り込みまで数分程度の待ち時間がある。また、その時間を待合室で過ごすことも多い。この数分の待ち時間の間は、乗客がホーム内の広告掲示を目、にしやすく、読書やワンセグTVに集中する乗車中よりも、ホーム上や待合室内での情報表示がより大きな広告効果を期待できる。しかし、列車を利用する乗客は同じ駅にいても、時間ごとに行き先、目的は多様であり、それぞれの乗客に適した広告を提供することは困難である。
【0011】
駅ホームや待合室で提供する情報をより乗客の必要とする内容にするため、本発明ではホームや待合室で列車を待つ乗客の共通点に着目した。つまり、時刻において、ホームや待合室で列車を待つ乗客の共通点は、これから乗り込む列車が同じということである。ホームで列車を待つ乗客は、これからホームに入ってくる列車に乗り込む乗客が殆どであり、待合室で待つ乗客は、15分から10分後に出発する列車に乗り込む乗客が多くを占める。待合室内の乗客が100%同じ行先の列車に乗り込まなくとも、待合室内の乗客の20%が同じ列車に乗り込むとしても広告の効果は大いに高くなる。
【0012】
このように、乗客が乗り込む列車の属性、例えば通勤列車、特急列車、列車の行先方面などに応じて、関連する情報を表示すると乗客のニーズに合った情報を提供できれば、大きな広告効果を得ることができる。但し、乗車中の乗客と違いホームでは乗降を繰り返しており、待合室でも出入りが頻繁である。このようにホームや待合室では、列車の属性に依って乗客の共通点は刻々と変わるという問題点があり、従来からの一定の表示を続ける方法では広告効果は期待できない。そこで本発明は情報コンテンツの表示を、到着する列車の属性に合わせて柔軟に表示を切替えることで効果的な情報提供を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システムは、多くの属性を有した情報コンテンツを記憶した情報記憶手段から特定の属性の情報コンテンツを選択して表示する電子広告表示システムであって、列車の運行管理システム情報を持つ運行管理中央処理装置からの列車の属性に関する情報を受け取る手段と、前記情報記憶手段から前記受け取った交通機関の属性に関連した情報コンテンツを選択して表示する機能を有する表示制御手段と、列車の在線位置を検知する連動装置と、前記運行管理中央処理装置から前記表示制御手段と前記連動装置への情報伝送を行なう駅I/F装置と、前記運行管理中央処理装置と前記駅I/F装置を繋ぐ通信媒体とからなり、前記運行管理中央処理装置の運行管理情報から列車の属性を判別し、当該属性に応じて表示装置の表示を切替える信号を前記表示制御手段に対して出力する手段を備えることを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明の列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システムは、列車の駅到着検知により前記表示装置への表示を切替える信号を表示制御手段に対して出力することを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システムは、前記運行管理中央処理装置からの情報を元に運行管理情報を配信するWebサーバと前記表示装置を汎用ネットワークを介して接続することを特徴としている。
【0016】
本発明の列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示方法は、多くの属性を有した情報コンテンツを記憶した情報記憶手段から特定の属性の情報コンテンツを選択して表示する電子広告表示方法であって、列車の運行管理システム情報を持つ運行管理中央処理装置からの列車の属性に関する情報を受け取り、前記情報記憶手段から前記受け取った交通機関の属性に関連した情報コンテンツを選択して表示するように制御し、列車の在線位置を連動装置により検知し、駅I/F装置により前記運行管理中央処理装置から前記表示制御手段と前記連動装置への情報伝送を行い、前記運行管理中央処理装置と前記駅I/F装置を繋ぐ通信媒体を介して、前記運行管理中央処理装置の運行管理情報から列車の属性を判別し、当該属性に応じて表示装置の表示を切替える信号を前記表示制御手段に対して出力するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、運行管理システムが有するダイヤ情報と列車在線検知情報を元にして、駅ホームにある電子広告媒体の表示コンテンツの選択と切替タイミングを制御することにより乗客のニーズに合った情報を表示することが可能な運行管理システムの情報を用いた電子広告表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】駅構内に配置された情報表示装置のイメージ図。
【図2】本発明の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム構成図。
【図3】表示装置の機能ブロック図。
【図4】表示切替タイミングを説明するための図。
【図5】分岐の存在する路線の場合の動作を説明するための図。
【図6】運行管理システムによる表示装置制御フローチャート。
【図7】列車到着時の表示切替タイミングを説明するための図。
【図8】実施例3の運行管理システムのシステム構成図。
【図9】実施例3の表示装置の機能ブロック図。
【図10】列車の属性を説明する具体例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の交通機関の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム及びその表示方法の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、駅構内における情報表示装置の設置例を示している。205は、情報表示装置(図中は単に「表示装置」と表記)であり、駅ホーム102から目視可能な任意の位置に設置される。情報表示装置205は、運行管理システムが、列車103が線路たる軌道104の所定の位置に到達したことを検知した上で、後述の運行管理中央処理装置201にて管理される情報に基づいて種々の情報を表示する。ここにおいて、運行管理システム自体は、従来公知の技術であり、本発明の主眼ではないので詳細な説明はしない。本発明は、その運行管理情報から得られる列車の属性に関する情報を用いて、駅構内における情報表示装置に表示する情報コンテンツを選択して表示を行おうとするものである。
【0021】
図2は、情報表示装置205に対して、運行管理システム情報に基づいたコンテンツを表示する制御機能を有する運行管理システムのシステム構成図である。図2において、情報表示装置205に表示するコンテンツを選択する制御機能を有する運行管理システムは、2重系構成の運行管理中央処理装置201(図中は単に「運行管理中央装置」と表示)と、各駅の駅インターフェース装置(以下、単に「駅I/F装置」と表示)203と、運行管理中央処理装置201と駅I/F装置203を繋ぐ長距離対応の2重系ループで構成した高信頼なネットワークで構築する通信媒体202を備えている。各駅の駅I/F装置203は、夫々、連動装置204と情報表示装置205に通信線206で繋がっている。駅I/F装置203は信号設備、軌道回路状態を管理している連動装置204から情報を受信して上位の運行管理中央処理装置201に送信する。これは、従来の運行管理システムにおいて行われている技術であるので詳細は説明しない。ここで、本発明では、駅I/F装置203は、運行管理中央処理装置201から受信した制御情報を連動装置204、及び情報表示装置205に送信する。
【0022】
既存の運行管理システムは、旅客案内を行うための制御地点検出機能を有する。案内制御の起動ポイントとなる地点には接近点、進入点、完全収容点、到着点、出発点などの種類があり、それぞれの地点を検出すると列車の移動状態を把握できる。例えば接近点を検知すると、列車が接近している旨の放送を流している。地点の検出手順について、まず駅ホーム102付近の軌道回路(図示せず)の在線情報を連動装置204が、各駅の駅I/F203と通信媒体202を介して、運行管理中央処理装置201に送信する。各駅の駅I/F203から在線情報を受信した運行管理中央処理装置201は、軌道回路の落下状態と駅ごとに設定された制御地点情報を照合して地点検出を判断する。以上の手順により、列車の地点を検出した場合には、配下にある連動装置204及び情報表示装置205に対して、検出した列車の属性(行先等)に関する旅客案内制御情報を送信する。
【0023】
図3は、本発明の情報表示装置205のシステム構成図である。情報表示装置205は、表示する全てのコンテンツを記憶する記憶部302と、外部から制御情報を受信する通信部303と、前記通信部から受信した制御情報を元に表示するコンテンツを決定し前記記憶部を制御しコンテンツ表示処理を行う表示制御部301と、前記表示制御部301からの表示要求により該当するコンテンツを表示する表示部304を備えている。また通信部303は、通信媒体305を介して駅I/F203に繋がっている。駅構内には情報表示装置205が複数設置されているものとする。しかし、同一の駅構内であっても、例えばホームを例にとっても、到着する列車の属性はホームごとに相違するものであり、各情報表示装置205に表示する情報のコンテンツを相違させることは可能である。
【0024】
本発明の実施例においては、運行管理システムによる制御地点検知機能を利用して駅ホームに設置されている情報表示装置を制御する例を説明する。但し、列車の検知方法は、制御地点検知機能に限らず、地上子を用いた検知方法でも良い。図4は、情報表示装置を制御する基本的なタイミングを表す。まず図4(a)の状態において、軌道104上の2つの列車A及びB(行先が相違しても良いし、同じでも良い)と駅ホーム102との関係を示す。今、駅ホーム102の手前をA列車103aとB列車103bが走行しており、前記2列車はどちらも駅ホーム102に停車する。この時点では、駅ホーム102に設置されている情報表示装置101は運行管理システムより先発列車A103aの属性と制御情報を受信しており、情報表示装置205の表示部304には、先発列車A103aの属性に応じた情報コンテンツが表示されている。次に、図4(b)の状態では、図4(a)の時点から時間が経過し、先発列車A103aは、駅ホーム102に停車後発車した時点の列車状態である。運行管理システムは、出発点400を先発列車A103aが通過したことを検知することにより、当該先発列車A103aの出発を認識し、次の列車の情報への切り替え要求を行う。すなわち、先発列車A103aが出発すると、次に到着する後発列車B103bの属性に関連した情報を得て、その情報に基づいた表示に切替える。そして、当該列車が出発点400を通過することを検知するまで、対象列車の属性に関連した表示を続ける。表示する内容の効果的な例としては、対象列車が特定の観光地行き列車であれば、その行先に関連した観光情報を、通勤列車であればビジネス関連広告などが挙げられる。以上のように、制御タイミングを列車進出時(先行列車の出発点通過時)とすることにより、ホームで待つ乗客は、次に来る列車の乗車までの間、乗客との関連性が高い情報を見ることができる。
【0025】
図5は、効果的な表示方法の一例を説明するものである。図5のように分岐の存在する路線104と駅ホーム102があり、その先の軌道はX方面とY方面に分かれているケースにおいて、列車103が、X方行きの場合には、本発明の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システムにおいては、運行管理システムから列車の属性に関する情報を得てX方沿線の情報コンテンツを表示する。次いで、次に出発する列車に関して、運行管理システムから得られた列車の属性に関する情報がY方面行きであれば、先発列車出発後にY方面に関する情報コンテンツを表示する。例えば、本線(市街地行き)と空港行きの分岐がある路線の場合、先発列車に関して得た属性情報が本線行きの場合には、当該市街地やその沿線施設のPR、行き先の情報案内など本線の属性に関する情報コンテンツを表示し、先発列車が空港行きの場合には、空港情報や当該空港から飛び立つ観光地に関する情報コンテンツを表示するようにする。この情報コンテンツの表示切替の制御タイミングは、先行列車の出発点通過時とすることが好ましい。
【0026】
本発明の具体的実施例においては、前記のような分岐だけでなく、路線の終着点まで行かずに途中駅までで営業を終えるような列車の場合にも、途中駅までの沿線情報に内容を絞ることができる。このように、行先が一定でなく複数種類ある場合には、行先に応じて表示コンテンツを限定できるのでより関連度の高い情報提供が可能となる。いずれの場合も、列車の属性に関する情報の入手は、特別の装置や手法を用いることなく、従来から運用されている列車運行管理システムの情報を有効に利用することにより可能である。
【0027】
図6は、本発明の運行管理システムの情報を用いた情報表示装置の制御のフローチャートを示し、図6(a)は、運行管理中央処理装置201の処理のフローチャート、図6(b)は、情報表示装置内部の表示制御部の処理のフローチャートである。まず運行管理中央処理装置は、ステップS61において、先発列車の出発点検知を行うと、ステップS62でダイヤデータ(運行管理システムからの情報)から各駅の次発列車の属性を取得する。この先発列車の出発点検知は、所定のタイミングで検知情報が得られるまで繰り返される。次に、ステップS63にて、表示装置205に対して列車の属性に関する情報と制御情報を送信する。それにより、情報表示装置205は、ステップS64において、通信制御部303で情報を受信し、ステップS65で表示制御部301が、記憶部302に記憶されている情報コンテンツから、取得した列車の属性に関連付けられたコンテンツを選択する。そして表示制御部301は表示部304に表示する情報コンテンツを切替える。
【実施例2】
【0028】
図7は、前記実施例1の基本動作に加えて、列車の到着時に降車客を対象とした表示に切替える動作を説明するものであり、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。図7(a)について、実施例1の図4と同様に軌道104と駅ホーム102があり、図示はないが先発列車が出発点を検知(S61)したことによりにより、次発車列車103が到着するまでは、列車103の属性と関連のある情報を提供している。この部分は実施例1で説明したステップである。実施例2では、その後、運行管理システムが次発車列車103の到着点410への到達を検知して列車103が到着したとの情報を得た場合には、表示装置205により表示する情報コンテンツを自駅に関係する情報に切替えるものである。その後の制御は、スタートに戻り、列車103が出発点400に到達したことを検知するまで、自駅に関係する情報コンテンツを表示し続ける。図7(b)は、本動作についての運行管理中央処理装置201の処理を表す。実施例1で説明したステップS61からステップ63の後、ステップS71で、次の列車103の到着を検知すると、ステップS72にてダイヤデータより到着列車103の属性情報を取得する。そしてステップS73において情報表示装置205に対して制御情報を送信する。以降の情報表示装置の制御処理については実施例1と同様とする。
【0029】
列車到着時には、ホームで待っていた乗客は表示装置205には目を向けなくなり、代わりに降車客がホーム内の表示に注目するので、実施例2は有効な手段となる。表示するコンテンツ例としては、降車客向けの自駅の周辺施設案内や広告がふさわしい。
【実施例3】
【0030】
図8は、実施例3に係るシステム構成を説明する図であり、前記実施例1及び実施例2と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施例1では、情報表示装置205を運行管理ネットワークに直接組み込んでおり、外部から独立したネットワーク上に情報表示装置205を備えたシステムとして説明している。これに対し実施例3は、情報表示装置205を運行管理中央処理装置201と駅I/F203を介さずに、運行管理中央処理装置201と繋がる独立した運行管理情報提供Webサーバ800を介して、インターネット801より制御情報を受信する点が実施例1と異なる。また、これに伴い情報表示装置101の接続形態が変わる。実施例3に係る情報表示装置205a,205bの機能ブロック図を図9に示す。情報表示装置205a,205bの夫々の構成は実施例1と似ているが、夫々の通信部303a,303bに接続する通信媒体がインターネット801に接続される点が異なる。
【0031】
本構成の利点としては、運行管理システムから独立した運行管理システム情報を用いた電子広告表示システムを構成することが可能であり、運行管理システム側から列車の属性に関する情報の提供を受けるだけで、汎用ネットワークを利用することによって、新たに配線を組む必要がなく設備設置コストを低減してシステムを構成することが出来る。また情報表示装置205a,205bの設置位置の自由度が高くなる。さらには、この実施例においては、表示する情報コンテンツを外部から動的に取得できるメリットがある。例えば、行先地域の天気やニュースなどの情報を提供するサイトからリアルタイムに取得できる。空港の例では、時刻表や遅延状況なども表示可能となる。その他にも静止画だけでなく動画など多様なコンテンツを容易に取得できる。
【0032】
[その他の実施例]
前記実施例の表示切替タイミングは絶対ではなく、実施例に示した以外の制御点、例えば、実施例2の場合は到着点の代わりに接近点で表示を切替えるなどの電子広告表示システム及びその方法も含まれる。表示内容についても同様で、多様なコンテンツが考えられえる。情報表示装置205が走行中の列車からも見えるものであれば、列車が駅を通過する場合は、通過列車に乗車中の乗客を対象として該当列車の属性に応じたものを表示してもよい。また情報表示装置205が表示部304の横幅が広い電子広告媒体であれば、特許文献1記載の車両ごとの属性、例えばグリーン車、女性専用車、喫煙車などについても、乗車位置ごとに分けて別々の情報も表示可能である。
【0033】
図10に、列車の属性を説明する具体例を示す。図10は、東北新幹線の東京発の3本の列車の時刻表である。東京発8時8分のMAXやまびこ(登録商標)127号は、つばさ(登録商標)127号を連結運転しているものであり、福島駅において、仙台行きと山形行きに分割されて運転される。次の、なすの(登録商標)253号は、郡山までの各駅列車である。そして次の、はやて(登録商標)17号は、こまち(登録商標)17号を連結運転しているものであり、盛岡駅において、新青森行きと秋田行きに分割されて運転される。ここにおいて、列車の属性に関連する情報としては、列車の行先、発着時間、発着番線、車両号数等がある。このような列車の属性に関連する情報に基づいて表示されるコンテンツが選択されるものである。もちろん、そのような機能を達成するには、記憶装置に記憶する情報コンテンツに対しては属性情報を一緒にして記憶しておく必要がある。
【符号の説明】
【0034】
205…情報表示装置、201…運行管理中央処理装置、202…運行管理ネットワーク、801…インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多くの属性を有した情報コンテンツを記憶した情報記憶手段から特定の属性の情報コンテンツを選択して表示する電子広告表示システムであって、列車の運行管理システム情報を持つ運行管理中央処理装置からの列車の属性に関する情報を受け取る手段と、前記情報記憶手段から前記受け取った交通機関の属性に関連した情報コンテンツを選択して表示する機能を有する表示制御手段と、列車の在線位置を検知する連動装置と、前記運行管理中央処理装置から前記表示制御手段と前記連動装置への情報伝送を行なう駅I/F装置と、前記運行管理中央処理装置と前記駅I/F装置を繋ぐ通信媒体とからなり、前記運行管理中央処理装置の運行管理情報から列車の属性を判別し、当該属性に応じて表示装置の表示を切替える信号を前記表示制御手段に対して出力する手段を備えている列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の電子広告表示システムにおいて、列車の駅到着検知により前記表示装置への表示を切替える信号を表示制御手段に対して出力することを特徴とする列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示システム。
【請求項3】
請求項1記載の電子広告表示システムにおいて、前記運行管理中央処理装置からの情報を元に運行管理情報を配信するWebサーバと前記表示装置を汎用ネットワークを介して接続することを特徴とする列車の運行管理システムの情報を用いた電子広告表示システム。
【請求項4】
多くの属性を有した情報コンテンツを記憶した情報記憶手段から特定の属性の情報コンテンツを選択して表示する電子広告表示方法であって、列車の運行管理システム情報を持つ運行管理中央処理装置からの列車の属性に関する情報を受け取り、前記情報記憶手段から前記受け取った交通機関の属性に関連した情報コンテンツを選択して表示するように制御し、列車の在線位置を連動装置により検知し、駅I/F装置により前記運行管理中央処理装置から前記表示制御手段と前記連動装置への情報伝送を行い、前記運行管理中央処理装置と前記駅I/F装置を繋ぐ通信媒体を介して、前記運行管理中央処理装置の運行管理情報から列車の属性を判別し、当該属性に応じて表示装置の表示を切替える信号を前記表示制御手段に対して出力するようにした列車の運行管理システム情報を用いた電子広告表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−144109(P2012−144109A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2715(P2011−2715)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】