説明

列車状況案内システム

【課題】列車利用客及び列車利用予定客へのサービスの向上を図ることができる列車状況案内システムを提供する。
【解決手段】列車状況案内システムにおいて、列車10に設置されるとともに該列車10の乗車率に関する情報を取得して無線送信する列車情報伝送手段と、駅構内30又は駅構外40に設置されるとともに前記列車情報伝送手段から前記列車10の乗車率に関する情報を受信して当該列車10の乗車率状況に関する情報案内を行う定置型情報案内手段と、駅周辺で運行されている他の交通機関に設置されるとともに前記列車情報伝送手段から前記列車10の乗車率に関する情報を受信して当該列車10の乗車率状況に関する情報案内を行う移動体用情報案内手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車利用客に列車の運用状況や混雑状況、位置情報等を案内するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道利用者に列車の混雑状況を通知するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、車両の重量を検知する応荷重装置が出力するデータによってその車両の乗車数を算出し、その乗車数情報を駅構内に設置されたスピーカと駅表示板によって鉄道利用者に通知するシステムが記載されている。特許文献2には、応荷重装置及び車両内センサによって、その車両の乗車率を算出し、駅構内に設置されたスピーカ、列車情報案内装置、車両乗車状況案内装置、オーロラビジョン(商標名)によって乗客に車両やホームの混雑状況を通知し、さらに、駅構外に設置されたオーロラビジョンによって、乗車予定客に車両やホームの混雑状況を通知するシステムが記載されている。
【特許文献1】特開昭59−29565号公報
【特許文献2】特許第3447968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のシステムは、駅構内にいる人に対して、次に到着予定の列車の混雑情報を通知していたが、複数の列車の混雑状況を通知していなかった。また、駅構外及び駅周辺の他の交通機関には列車やホームの混雑状況の通知がされていなかった。特許文献2のシステムは、駅構内の乗客及び駅構外でこれから列車の利用を予定している人に対して、次に到着予定の列車の混雑情報を通知していたが、複数の列車の混雑状況を通知していなかった。また、駅周辺の他の交通機関には列車やホームの混雑状況の通知がされていなかった。従って、特許文献1及び2のシステムでは、駅に集まる人の流れをコントロールできず、駅構内の混雑を解消することが十分にできなかった。
【0004】
本発明の目的は、列車利用客及び列車利用予定客へのサービスの向上を図ることができる列車状況案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の列車状況案内システムは、
列車に設置され、該列車の乗車率に関する情報を取得して無線送信する列車情報伝送手段と、
駅構内又は駅構外に設置され、前記列車情報伝送手段から前記列車の乗車率に関する情報を受信して当該列車の乗車率状況に関する情報案内を行う定置型情報案内手段と、
他の交通機関に設置され、前記列車情報伝送手段から前記列車の乗車率に関する情報を受信して当該列車の乗車率状況に関する情報案内を行う移動体用情報案内手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、
前記列車情報伝送手段は、前記列車の乗車率に関する情報をアナログ信号とデジタル信号の両方で無線通信する構成であり、
前記定置型情報案内手段は、前記デジタル信号で送信された情報を受信可能な構成であり、
前記移動体用情報案内手段は、前記アナログ信号で送信された情報を受信可能な構成とすると良い。
【0007】
さらに好ましくは、
前記列車情報伝送手段は、
現在位置の測定を行う測位手段を有し、
前記乗車率に関する情報と前記測位手段により測定された測位情報とを無線送信する構成であり、
前記定置型情報案内手段は、
受信した前記乗車率に関する情報と前記測位情報とに基づいて列車の運行位置と該列車の乗車率状況の情報案内を行う構成とすると良い。
【0008】
さらに好ましくは、
前記定置型情報案内手段は、
前記測位情報に基づいて路線図上に前記列車の位置を示すとともに、該路線図上に位置が示された前記列車に対応させて当該列車の乗車率状況の情報を表示する路線図情報表示手段を備えると良い。
【0009】
さらに好ましくは、
前記列車情報伝送手段は、
列車を構成する複数の車両に設置されて当該車両の乗車率に関する物理量の検出を行う複数の乗車率検出装置と、
前記複数の乗車率検出手段の検出情報を収集して前記列車の乗車率に関する情報を生成する伝送中央局と、
前記列車の乗車率に関する情報を無線送信する第1無線通信装置と、
を備えると良い。
【0010】
さらに好ましくは、
前記定置型情報案内手段は、
前記列車情報伝送手段から無線送信された情報を受信する第2無線通信装置と、
前記第2無線通信装置とケーブル接続又は無線接続されるとともに当該第2無線通信装置の受信信号に基づいて前記列車の乗車率情報に関する情報の出力を行う複数の情報出力装置と、
から構成されると良い。
【0011】
さらに好ましくは、
前記移動体用情報案内手段は、
前記列車情報伝送手段から無線送信された情報を受信する第3無線通信装置と、
前記第3無線通信装置により受信された情報に基づいて列車の混雑状況を音声又は表示により出力する出力装置と、
から構成されると良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、列車利用客及び列車利用予定客へのサービスの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、図を参照して本発明の第1実施形態の列車状況案内システムの一例について説明する。まず、第1の実施形態の構成を図1〜図3に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態の列車状況案内システムにおける複数の車両15a、15b、‥‥、15nからなる列車10の内部構成を示すブロック図である。以下、車両15a、15b、‥‥、15nのうち、任意の車両を示す場合は、車両15と示す。
【0014】
図1に示すように、第1実施形態の列車状況案内システムにおける列車10は、各車両15a、15b、‥‥、15nに応荷重装置21a、21b、‥‥、21nと、車両内センサ22a、22b、‥‥、22nと、伝送端末局23a、23b、‥‥、23nと、を備え、例えば、列車10の先頭車両15aに、伝送中央局24と、無線通信装置25と、を備えて構成される。
【0015】
応荷重装置21a、21b、‥‥、21n、車両内センサ22a、22b、‥‥、22n及び伝送端末局23a、23b、‥‥、23nは、列車10の各車両15a、15b、‥‥、15nに設置され、車両15a、15b、‥‥、15n毎に各動作を実行する。応荷重装置21a、21b、‥‥、21nは、車両の重量を検知して重量データを出力する。車両内センサ22は、車両のドアを通過した人の人数をカウントしてその人数データを出力する。上記重量データと上記人数データにより、乗車率に関する情報は構成される。伝送端末局23a、23b、‥‥、23nは、各車両15a、15b、‥‥、15nに設けられた応荷重装置21a、21b、‥‥、21n及び車両内センサ22a、22b、‥‥、22nから出力される乗車率に関する情報を集め、後述する列車10の伝送中央局24に出力する。応荷重装置21a、21b、‥‥、21n、車両内センサ22a、22b、‥‥、22n及び伝送端末局23a、23b、‥‥、23nを備えることによって、乗車率検出装置20a、20b、‥‥、20nが構成される。乗車率検出装置20a、20b、‥‥、20nから得られる乗車率に関する情報は停車駅においての乗客の乗車が終わってドアの閉完了時のものが採用される。
【0016】
伝送中央局24及び無線通信装置25は、例えば、列車10の先頭車両15aに設置される。伝送中央局24は、各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率検出手段20a、20b、‥‥、20nから出力された乗車率に関する情報により、各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率を算出し、無線通信装置25に出力する。無線通信装置25は、伝送中央局24から受信した乗車率や業務に関わる情報等を無線によって送信する。無線通信装置25は、デジタル無線通信とアナログ無線通信の両方が実行可能である。列車情報伝送手段は、乗車率検出装置20a、20b、‥‥、20nと、伝送中央局24と、無線通信装置25と、を備えて構成される。
【0017】
図2は、本実施形態の列車状況案内システムにおける駅構内30及び駅構外40の構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の列車状況案内システムにおける駅構内30の構成は、無線通信装置50と、スピーカ31と、列車情報案内装置32と、車両乗車状況案内装置33と、画像表示装置34と、で構成される。スピーカ31と、列車情報案内装置32と、車両乗車状況案内装置33と、画像表示装置34は、例えば切符売り場や改札口付近、ホーム等の複数箇所に設置され、無線通信装置50とケーブル接続される。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の列車状況案内システムにおける駅構外40の構成は、スピーカ41と、列車情報案内装置42と、車両乗車状況案内装置43と、画像表示装置44と、で構成される。スピーカ41と、列車情報案内装置42と、車両乗車状況案内装置43と、画像表示装置44は、駅構内30に設けられた無線通信装置50から混雑情報等を受信して、それぞれ通知を行う。スピーカ41と、列車情報案内装置42と、車両乗車状況案内装置43と、画像表示装置44は、駅構外40の複数箇所に設置され、無線通信装置50とケーブル接続される。
【0019】
無線通信装置50は、無線通信装置25から送信された乗車率情報や、ビデオカメラ等のホーム監視装置(不図示)から得られたホーム上の混雑状況の情報等を、スピーカ31、41と、列車情報案内装置32、42と、車両乗車状況案内装置33、43と画像表示装置34、44に送信する。無線通信装置50は、無線通信装置25から送信された業務内容等に関わる情報を受信して、連絡先に送信する。無線通信装置50は、デジタル無線通信が実行可能である。
【0020】
スピーカ31、41は、無線通信装置50から列車10及びホームの混雑状況や列車10の運行状況や車両内の混雑状況等の情報を受信するとともに、音声による案内放送によって、上記情報を通知する。列車情報案内装置32、42は、無線通信装置50からホームの混雑状況や列車10の運行状況や車両内の混雑状況等の情報を受信するとともに、例えば、掲示板に文字を表示することにより、上記情報を通知する。
【0021】
車両乗車状況案内装置33、43は、無線通信装置50から列車10の各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率やホームの混雑状況等の情報を受信するとともに、上記情報を通知する。画像表示装置34、44は、無線通信装置50からホームの混雑状況や列車10の運行状況や車両内の混雑状況等の情報を受信するとともに、例えば、掲示板に画像を表示することによって上記情報を通知する。上記のスピーカ31、41と、列車情報案内装置32、42と、車両乗車状況案内装置33、43と画像表示装置34、44と、によって、情報出力装置35、45が構成される。定置型情報案内手段は、無線通信装置50と複数の情報出力装置35、45によって構成される。
【0022】
図3は、本実施形態の列車状況案内システムにおける他の交通機関の構成を示すブロック図である。他の交通機関とは、例えば、路線バス60やタクシー70等が該当する。
【0023】
図3に示すように、本実施形態の列車状況案内システムにおける路線バス60の構成は、例えば、無線通信装置61と、列車情報案内装置62と、画像表示装置63と、スピーカ64と、で構成される。本実施形態の列車状況案内システムにおけるタクシー70の構成は、例えば、無線通信装置71と、列車情報案内装置72と、画像表示装置73と、で構成される。無線通信装置61、71は、アナログ無線通信が実行可能なものとする。
【0024】
路線バス60においては、例えば、列車情報案内装置62と、画像表示装置63と、スピーカ64と、により出力手段65が構成される。無線通信装置61と出力手段65によって、路線バス60における移動体用情報案内手段が構成される。タクシー70においては、例えば、列車情報案内装置72と、画像表示装置73と、により出力手段74が構成される。無線通信装置71と出力手段74によって、タクシー70における移動体用情報案内手段が構成される。移動体用情報案内手段は、例えば、駅周辺で運行している複数の路線バス60や複数のタクシー70等の他の交通機関の複数箇所に設置される。
【0025】
次に、本発明における第1実施形態の動作例を図1〜3に基づいて説明する。
【0026】
上記のような構成を備えた第1実施形態の列車状況案内システムでは、列車10に設置されている乗車率検出装置20a、20b、‥‥、20nから出力される乗車率に関する情報は、伝送中央局24に出力される。伝送中央局24は出力された乗車率に関する情報から各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率を算出し、無線通信装置25に出力する。無線通信装置25は、乗車率や列車10の運行状況に関わる情報や業務連絡等の情報を送信する。無線通信装置25は、業務連絡など秘守性を持つ内容の情報はデジタル無線信号を用いて駅構内30に設置されている無線通信装置50に送信し、列車状況などの一般に公開してもよい情報はアナログ無線信号を用いて各場所に設置されている無線通信装置50、61、71に送信することが可能である。
【0027】
無線通信装置50に送信された乗車率や列車10の運行状況に関わる情報等は、情報出力手段35、45によって通知される。
【0028】
スピーカ31、41は、例えば、ホームや到着する列車10の混雑状況等に問題がない場合は通常通りの音声放送を行い、到着する列車10の特定の車両15が混雑している場合等は、その旨の通知をするとともに、比較的混雑していない車両番号を通知したり、次に到着する列車10の車両15a、15b、‥‥、15nの混雑状況に関する音声放送をする。
【0029】
列車情報案内装置32、42は、例えば、列車10の運行状況等に問題がない場合は通常通りに列車10の到着時刻等を表示し、列車10の遅延や運行の停滞等の問題が発生した場合にはその旨の通知を行う。
【0030】
車両乗車状況案内装置33、43は、例えば、到着する列車10とその次に到着する列車10の各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率を通知する。
【0031】
画像表示装置34、44は、例えば、ホームの各場所の混雑状況や列車10の車両内の混雑情報等を画像によって通知する。
【0032】
路線バス60における無線通信装置61又はタクシー70における無線通信装置71に送信された列車状況に関する情報は、出力手段65、74によって通知される。
【0033】
列車情報案内装置62、72は、例えば、列車10の運行状況等に問題がない場合は通常通りに列車10の到着時刻等を表示し、列車10の遅延や運行の停滞等の問題が発生した場合にはその旨の通知を行う。
【0034】
画像表示装置63、73は、例えば、ホームの各場所の混雑状況や列車10の車両内の混雑情報等を画像によって通知する。
【0035】
スピーカ64は、例えば、列車10の運行状況に問題がない場合は、通常通りの音声放送を行い、列車10の遅延や運行の停滞等の問題が発生した場合にはその旨の通知を行う。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態における列車状況案内システムによれば、複数の列車10の混雑状況や運行状況等を通知することにより、列車利用客は複数の列車10の混雑状況や運行状況等に合わせて、利用する列車10や車両15を選択することができる。したがって、列車利用者の選択肢の幅が広がり、列車利用者及び列車利用予定者にとって、列車10が利用し易いものとなる。
【0037】
また、第1実施形態における列車状況案内システムによれば、駅構内30及び駅構外40だけでなく、他の交通機関においても複数の列車10の混雑状況を通知することにより、他の交通機関を利用している列車利用予定客にも複数の列車10の混雑状況を通知することができる。列車利用予定客は、例えば、旅券を購入する前に列車状況を確認できるため、複数の列車10の混雑状況に合わせて駅構内30に入る時間を調整することによって時間を有効利用できる。また、列車10の運行の停滞や遅延が発生した場合、駅に辿り着く前に他の交通機関を利用する選択の機会を得ることができる。さらに、混雑時の駅の更なる混雑を鉄道会社と列車利用客は回避することができる。さらに、各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車数や駅へ集まる人の数の均一化が図れるので、車両15やホーム等の混雑を解消につながるという効果がある。
【0038】
また、第1実施形態における列車状況案内システムによれば、駅構内30に設けられた無線通信装置50は、デジタル無線通信が可能であることにより、通信の正確性が確保されるので、例えば、次以降に到着予定の列車10からの混雑状況情報等をすべての駅へ伝達することが可能である。従って、すべての駅で情報を共有することができる。また、無線通信装置50は、通信情報をインターネット回線を介して集積し、管理させることが可能である。例えば、混雑情報や運行状況等も逐次収集することができる。従って、管理者である鉄道会社はダイヤの見直しデータとすることができる。
【0039】
さらに、デジタル無線信号を使用し、所定の変調方式で変調することにより、音声通信やその他の情報通信のセキュリティを保つことができるため、例えば、業務連絡等の連絡無線はデジタル信号を使用し、混雑状況情報等の一般に公開してもよい連絡無線はアナログ信号を使用することで使い分けができ、通信のセキュリティと公共性の両方を持たせることができる。さらに、駅周辺で運行されている従来のアナログ無線機を搭載した路線バス60やタクシー70等の他の交通機関にはアナログ無線信号で情報を伝達することも可能であり、新たに路線バス60やタクシー70等にデジタル無線機を設置するという設備投資が必要ない。
【0040】
さらに、列車10から各駅の無線通信装置50に情報を伝達する際に、情報をデジタル信号で送受信できるため、アナログ信号による情報の送受信よりもデータ量が多く、且つ、処理速度の速い通信が可能になる。
【0041】
また、第1実施形態における列車状況案内システムによれば、無線を使用していることにより、有線と比較してシステムの導入が容易にできるため、導入コスト削減や期間短縮を図ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、図4、5を参照して本発明の第2実施形態の列車状況案内システムの一例について説明する。なお、第1実施形態と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図4は、本発明の第2実施形態の列車状況案内システムにおける列車10の内部構成を示すブロック図である。図4に示すように、第2実施形態の列車状況案内システムにおける列車10は、応荷重装置21と、車両内センサ22と、伝送端局23と、伝送中央局24と、無線通信装置25と、を備える他に、測位手段26を備える。本発明の第2実施形態における列車情報伝送手段は、乗車率検出装置20a、20b、‥‥、20nと、伝送中央局24と、無線通信装置25と、測位手段26と、を備えて構成される。
【0044】
測位手段26は、例えば、GPS(Global Positioning System)を備えたレシーバユニット等で構成される。GPSは、対象となるものの地球上の現在位置を調べるための衛星測位システムである。測位手段26は、列車10の、例えば、先頭車両15aに設置され、GPSによって列車10の位置を測定して、その列車10の位置を示す測位情報を無線通信装置25に送信する。
【0045】
無線通信装置25は伝送中央局24及び測位手段26から送信された乗車率及び測位情報等を、無線通信装置50、61、71に送信する。
【0046】
無線通信装置50は、無線通信装置25から受信した測位情報を列車情報案内装置32、42と、車両乗車状況案内装置33、43と、画像表示装置34、44と、に送信するとともに、乗車率等の情報を情報出力手段35、45に送信する。無線通信装置61、71は、無線通信装置25から受信した測位情報を列車情報案内装置62、72と、画像表示装置63、73と、に送信するとともに、乗車率等の情報を出力手段65、74に送信する。
【0047】
車両乗車状況案内装置33、43は、無線通信装置50から受信した情報に基づいて、例えば、到着する列車10とその次に到着する列車10の各車両15a、15b、‥‥、15nの乗車率を通知するとともに、到着する列車10と、その次に到着する列車10と、列車10が向かっている駅等と、のおおよその位置関係を表示する。
【0048】
列車情報案内装置32、42、62、72や、画像表示装置34、44、63、73は、複数の列車10の路線上の位置関係を表示する。図5は本発明の第2実施形態における測位情報に基づく列車10の位置及び運行状況を示す表示の一例を示す図である。
【0049】
図5に示すように、列車10の位置及び運行状況の表示の一例においては、例えば、縮尺した列車路線図を用いて、列車路線図中の駅を「丸」印で表示し、駅と次の駅との間の路線を一定間隔毎に区切って区画のように表示している。以降、駅と次の駅との間の路線をm等分したものを区画と記す。区画は駅と次の駅との間の路線の距離を約m分の1にした区間と等しいものとする。
【0050】
列車の位置及び運行状況を示す表示の一例を、図5の列車路線図中の秋葉原駅〜東京駅間を例にとって説明する。列車10は秋葉原駅から東京駅に向かっているものとする。
【0051】
列車10が秋葉原駅〜東京駅間の線路を走行中である場合は、図5のAの区画のように、列車10がAの区間を運行中であることを示すブロックが、例えば、緑色等でAの区画と重ねられて表示されている。列車10が駅に停車中の場合は、図5のBの東京駅の「丸」印のように、例えば、オレンジ色等で「丸」印が表示される。列車10が事故や故障などで停車している場合、区画や「丸」印は、例えば、赤色等で表示される。列車10が走行することにより、次の区画又は駅に到達した場合は、現在の表示を消して、次の区画又は駅に表示が移行される。
【0052】
定置型情報案内手段が設置されている駅構内30及び駅構外40において、列車情報案内装置32、42と画像表示装置34、44は路線図上に列車10の位置を示すに伴い、路線図上に位置が示された列車10に対応させて、列車情報案内装置32、42や車両乗車状況案内装置33、43や、画像表示装置34、44は列車10の乗車率等の情報を表示する。例えば、列車利用者が東京駅で情報出力装置35、45によって情報を得る場合、東京駅に到着する列車10やその次に東京駅に到着する列車10等の東京駅に向かって運行している列車10の乗車率や運行状況等の情報を東京駅に到着する順に順番に表示する。
列車情報案内装置32、42と画像表示装置34、44は路線図上に列車10の位置を示し、路線図上に位置が示された列車10に対応させて、列車情報案内装置32、42や車両乗車状況案内装置33、43や、画像表示装置34、44は列車10の乗車率等の情報を表示する構成により、路線図情報表示手段が構成される。
【0053】
以上説明したように、第2実施形態における列車状況案内システムによれば、複数の列車10の位置を測定して複数の列車10の混雑状況、測位情報及び運行状況等を通知することにより、列車利用者は列車10の到着を待つ時に、到着までの時間を時刻表通りに列車10が通常運行しているかを確認することできる。例えば、列車事故や列車10の故障により運行の停滞や遅延が発生した場合に、構内アナウンスを待たずとも運行状況に異常が発生したことがわかり、回復状況も列車10の各車両15a、15b、‥‥、15nの混雑状況と合わせて知ることができる。
【0054】
また、第2実施形態における列車状況案内システムによれば、他の交通機関において、複数の列車10の測位情報が通知されることにより、列車利用者は、例えば、自分がどの列車10を利用することになるかのおおよその見当を付けることができる。
【0055】
また、第2実施形態における列車状況案内システムによれば、他の交通機関において、複数の列車10の測位情報や混雑状況等が通知されることにより、列車利用者は、複数の列車10の位置、混雑状況及び運行状況等に合わせて、利用する列車10や車両15を選択することができる。従って、列車利用者の選択肢の幅が広がり、列車利用者及び列車利用予定者にとって、列車10が利用し易いものとなる。
【0056】
また、第2実施形態における列車状況案内システムによれば、GPSと、無線通信装置と、インターネットを利用することにより、広域なエリアでの情報管理が図られる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態においては、列車10の混雑状況と運行状況等を通知する構成及び列車10の混雑状況と測位情報と運行状況等と通知する構成としたが、測位情報だけを通知する構成としてもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、列車10の混雑状況や測位情報を通知する構成としたが、道路上を走行する乗用車に無線通信機能や出力手段を設けることにより、乗用車の混雑状況や測位情報を通知する構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、情報出力装置35、45は、無線通信装置50とケーブル接続される構成としたが、情報通信装置35、45の個々の装置に受信機を設けることにより、情報通信装置35、45は無線通信装置50と無線接続される構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、無線通信装置50はデジタル無線通信が可能な構成としたが、アナログ無線通信が可能な構成としてもよい。無線通信装置50がアナログ無線通信可能な構成とすることにより、無線通信装置50の設置が容易となり、設置にかかる費用や手間を低減させることができる。さらに、無線通信装置50はデジタル無線通信とアナログ無線通信の両方が実行可能な構成としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、路線バス60やタクシー70は、アナログ無線通信が実行可能な構成としたが、路線バス60やタクシー70にデジタル無線通信機能を設けることにより、デジタル無線通信が可能な構成としてもよい。路線バス60やタクシー70がデジタル無線通信可能な構成とすることにより、データ量が多く、且つ、処理速度の速い通信が可能となる。また、路線バス60やタクシー70は、デジタル無線通信とアナログ無線通信の両方が可能な構成としてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、路線バス60は、出力手段65として、列車情報案内装置62と、画像表示装置63と、スピーカ64と、を備える構成としたが、これらに限定されるものではなく、適宜変更可能である。タクシー70は、出力手段74として、列車情報案内装置72と、画像表示装置73と、を備える構成としたが、これらに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0063】
また、上記実施形態においては、伝送中央局24、無線通信装置25及び測位手段26は、先頭車両15aに設置されるとしたが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0064】
また、上記実施形態においては、列車位置情報の表示を、図5のような構成を用いて示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0065】
その他、実施の形態で示した細部構成及び細部動作手順に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲内で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態の列車状況案内システムにおける列車10の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の列車状況案内システムにおける駅構内30及び駅構外40の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の列車状況案内システムにおける他の交通機関の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態の列車状況案内システムにおける列車10の内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態の列車状況案内システムにおける列車10の位置及び運行状況を示す表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 列車
15a、15b、‥‥、15n 車両
20a、20b、‥‥、20n 乗車率検出装置
21a、21b、‥‥、21n 応荷重装置
22a、22b、‥‥、22n 車両内センサ
23a、23b、‥‥、23n 伝送端末局
24 伝送中央局
25 無線通信装置
26 測位手段
30 駅構内
31 スピーカ
32 列車情報案内装置
33 車両乗車状況案内装置
34 画像表示装置
35 情報出力装置
40 駅構外
41 スピーカ
42 列車情報案内装置
43 車両乗車状況案内装置
44 画像表示装置
45 情報出力装置
50 無線通信装置
60 路線バス
61 無線通信装置
62 列車情報案内装置
63 画像表示装置
64 スピーカ
65 出力装置
70 タクシー
71 無線通信装置
72 列車情報案内装置
73 画像表示装置
74 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に設置され、該列車の乗車率に関する情報を取得して無線送信する列車情報伝送手段と、
駅構内又は駅構外に設置され、記列車情報伝送手段から前記列車の乗車率に関する情報を受信して当該列車の乗車率状況に関する情報案内を行う定置型情報案内手段と、
他の交通機関に設置され、前記列車情報伝送手段から前記列車の乗車率に関する情報を受信して当該列車の乗車率状況に関する情報案内を行う移動体用情報案内手段と、
を備えていることを特徴とする列車状況案内システム。
【請求項2】
前記列車情報伝送手段は、前記列車の乗車率に関する情報をアナログ信号とデジタル信号の両方で無線通信する構成であり、
前記定置型情報案内手段は、前記デジタル信号で送信された情報を受信可能な構成であり、
前記移動体用情報案内手段は、前記アナログ信号で送信された情報を受信可能な構成であることを特徴とする請求項1記載の列車状況案内システム。
【請求項3】
前記列車情報伝送手段は、
現在位置の測定を行う測位手段を有し、
前記乗車率に関する情報と前記測位手段により測定された測位情報とを無線送信する構成であり、
前記定置型情報案内手段は、
受信した前記乗車率に関する情報と前記測位情報とに基づいて列車の運行位置と該列車の乗車率状況の情報案内を行う構成であることを特徴とする請求項1記載の列車状況案内システム。
【請求項4】
前記定置型情報案内手段は、
前記測位情報に基づいて路線図上に前記列車の位置を示すとともに、該路線図上に位置が示された前記列車に対応させて当該列車の乗車率状況の情報を表示する路線図情報表示手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の列車状況案内システム。
【請求項5】
前記列車情報伝送手段は、
列車を構成する複数の車両に設置されて当該車両の乗車率に関する物理量の検出を行う複数の乗車率検出装置と、
前記複数の乗車率検出手段の検出情報を収集して前記列車の乗車率に関する情報を生成する伝送中央局と、
前記列車の乗車率に関する情報を無線送信する第1無線通信装置と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の列車状況案内システム。
【請求項6】
前記定置型情報案内手段は、
前記列車情報伝送手段から無線送信された情報を受信する第2無線通信装置と、
前記第2無線通信装置とケーブル接続又は無線接続されるとともに当該第2無線通信装置の受信信号に基づいて前記列車の乗車率情報に関する情報の出力を行う複数の情報出力装置と、
から構成されることを特徴とする請求項1記載の列車状況案内システム。
【請求項7】
前記移動体用情報案内手段は、
前記列車情報伝送手段から無線送信された情報を受信する第3無線通信装置と、
前記第3無線通信装置により受信された情報に基づいて列車の混雑状況を音声又は表示により出力する出力装置と、
から構成されることを特徴とする請求項1記載の列車状況案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−30541(P2010−30541A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197253(P2008−197253)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】