説明

到来角標定装置および位置標定装置

【目的】本発明は、受信波の到来角を求める到来角標定装置と、求められた複数の到来角に基づいて受信波の送信点の位置を求める位置標定装置とに関し、構成の大幅な複雑化と、ランニングコストの大幅な増加との何れも生じることなく、柔軟に精度よく受信波の到来角を探知でき、その受信波の送信点の位置を標定できることを目的とする。
【解決手段】少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める到来角概算手段と、前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める不確定性排除手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナに到来する受信波の到来角を求める到来角標定装置と、その到来角標定装置によって求められた複数の到来角に所定の航法を適用することにより受信波が送信された地点の位置を求める位置標定装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
水面下の音を無線伝送するソノブイは、水面上の位置が航空機等の移動体(以下、単に「航空機」という。)に搭載された位置標定装置によって予め特定されなければならない。
従来の位置標定装置では、以下のような前提の下で、ソノブイの位置の標定が実現されていた。
【0003】
(1) ソノブイが位置する方向が航空機の機体に対して左右の何れの方向であるかが既知である。
(2) 位置の標定の対象となるソノブイの方向は、そのソノブイから到来する受信波の到来角θの方向余弦の値として識別されるため、上記機体の左右の何れか一方の方向に限定される。
(3) ソノブイの位置の初期値がある程度の精度で得られる。
【0004】
なお、本発明に関連性がある先行技術としては、以下に列記する先行技術がある。
(1) 「航空機のマルチパス誤差を補償したデータを有するマルチパス誤差補償テーブル6と、航法装置20から出力される航法信号による航法データの誤差を補償したデータを有する航法データ誤差補償テーブル7と、ソノブイからの発信信号が受信変換されたソノブイ信号に関する位相差誤差を補償したデータを有する位相差誤差補償テーブル8と、測角演算器4からの角度信号及び航法信号に基づいて到来角を算出する際、各誤差補償テーブル6,7,8から各誤差補償データを参照して誤差補償した到来角を用いてソノブイの設定位置を算出する誤差補償/位置評定演算器5とを備えることにより、簡易な構成で位相差検出誤差や移動体(航空機)固有の移動状態付随誤差(航法誤差)を抑制できると共に、ソノブイの位置評定を安定的に正確にして迅速に行い得る」点に特徴があるソノブイ位置評定装置…特許文献1
【0005】
(2) 「受信した信号から基準位置を受信復調部24で復調し、また電波到来角検出部23で移動体から見た基準位置送信用ブイの方位を受信した信号から移動体の2つの位置において検出し、2つの位置における基準位置送信用ブイの方位を基に、三角測量の原理を用いて基準位置送信用ブイの位置を評定処理部26で評定し、位置補正データ作成部25で基準位置送信用ブイの評定位置と復調した基準位置との誤差を表す位置補正データを作成すると共に、ソノブイからの電波を同様に電波到来角検出部23及び評定処理部26で処理しソノブイの位置を評定し、これを位置補正部27で位置補正データにより補正することにより、ソノブイの位置を短時間で高精度で安価に検出できる」点に特徴があるソノブイ位置検出方式…特許文献2
【0006】
(3) 「移動体用装置104に、送信時刻情報を移動体用拡散符号でスペクトラム拡散した信号を送信する装置2及び3を備え、ソノブイ用装置には、前記信号を受信し、移動体用拡散符号で逆拡散して送信時刻情報を復調した後、送信時刻情報をソノブイ用拡散符号で再びスペクトラム拡散して移動体用装置104に送信する機能を備え、移動体用装置104には、更に、ソノブイ用装置から送信される信号を受信して、ソノブイ用拡散符号で逆拡散して送信時刻情報を復調し、この送信時刻情報と受信時刻情報との差を演算する装置6、7、及び8を備えることによって、移動体においてソノブイの位置を高精度で検出することができる」点に特徴があるソノブイ位置検出方式…特許文献3
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−110373号公報
【特許文献2】特開平8−114664号公報
【特許文献3】特開平8−114665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した従来例では、何れのソノブイも、機体の左翼側と右翼側との何れの方向に位置するかが正確に特定されていないと、位置標定が正しく実現されなかった。
また、位置標定が可能なソノブイの方向は、そのソノブイから到来する受信波の到来角θの方向余弦の値のみとして識別されるため、上記機体の左右の何れか一方のみの方向に限定されていた。
【0009】
さらに、従来例では、航空機の飛行経路や姿勢によっては、ソノブイが位置する方向が機体の右翼側と左翼側との何れにあるか特定することが困難となり得る。
しかも、水面上のソノブイは、位置が潮流等に応じて変化し得るため、機体の右翼側と左翼側との何れの方向に位置するかの特定が困難となる場合が多かった。
【0010】
本発明は、構成の大幅な複雑化と、ランニングコストの大幅な増加との何れも生じることなく、柔軟に精度よく受信波の到来角を求めることができる到来角標定装置と、その受信波の送信点の位置を標定できる位置標定装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明では、到来角概算手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める。不確定性排除手段は、前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める。
【0012】
すなわち、上記ユニークなn組の対の何れについても、異なる2つのアンテナに同じ位相差で到来する受信波の到来角が2(あるいは複数)通りあるために生じるその到来角の不確定性は、異なる対に基づいて求められた到来角にも含まれる到来角が選択されることによって排除される。
【0013】
したがって、複数Nのアンテナに到来する受信波の到来角は、その受信波の送信源がこれらのアンテナに対してどのような方向に位置する場合であっても、安定に確度高く求められる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、記録手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する。到来角概算手段は、前記記録手段によって記録された受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める。不確定性排除手段は、前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める。
【0015】
既述の到来角の不確定性は、複数Nのアンテナに到来し、かつ記録された受信波から上記n組の対が選択されることにより、請求項1に記載の発明と同様に排除される。
したがって、このような不確定性の排除は、複数Nのアンテナが物理的に不規則に設置された場合であっても、安定に確度高く達成される。
【0016】
請求項3に記載の発明では、記録手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する。選択手段は、前記記録手段によって記録された受信波より、異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対を順次選択する。到来角概算手段は、前記選択手段によって選択された対に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を順次求める。不確定性排除手段は、前記到来角概算手段によって既に求められた複数の2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を探索する。前記選択手段は、前記不確定性排除手段によって前記特定の1つの到来角が特定されたときに、後続する対の選択を打ち切る。
【0017】
すなわち、到来角の不確定性の排除は、その不確定性の排除のために適用される対が無駄に選択されることなく実現される。
したがって、ランニングコストの削減に併せて、実装や熱設計にかかわる制約の緩和が図られる。
【0018】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の到来角標定装置において、前記到来角概算手段は、前記複数Nのアンテナが搭載された移動体の航法系が与える座標系において前記2通りの到来角を求める。
【0019】
すなわち、移動体(複数Nのアンテナ)の位置が変化した場合であっても、受信波の到来角は、その移動体の航法系が与える座標系において求められる。また、第1ないし第pの到来角標定装置が請求項4に記載の到来角標定装置である場合には、受信波の到来角ψ1〜ψpは、移動体(複数Nのアンテナ)の位置が変化した場合であっても、その移動体の航法系が与える座標系において求められる。
したがって、このような到来角は、上記航法系に適合した多様な測位や測距に柔軟に適用することが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、第1ないし第pの到来角標定装置は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数(≧3)のアンテナを個別に含む複数p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpを個別に求める。測位手段は、前記p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpと、前記p組のアンテナの位置とに基づいて前記受信波の送信点の位置を求める。前記第1ないし第pの到来角標定装置は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の到来角標定装置である。
【0021】
すなわち、受信波の送信点の位置は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の到来角標定装置によって不確定性を伴うことなく求められた到来角に基づいて求められる。また、第1ないし第pの到来角標定装置が請求項4に記載の到来角標定装置である場合には、受信波の到来角ψ1〜ψpは、移動体(複数Nのアンテナ)の位置が変化した場合であっても、その移動体の航法系が与える座標系において求められる。
【0022】
したがって、受信波の送信点の位置は、その送信点の位置の変位と、複数Nのアンテナの位置および姿勢だけではなく、これらの送信点からアンテナに至る無線伝送路の特性に柔軟に追従しつつ求められる。さらに、第1ないし第pの到来角標定装置が請求項4に記載の到来角標定装置である場合には、受信波の送信点の位置は、上記移動体の位置の変化が大きいほど上述したp組のアンテナの位置が物理的に大きく領域に分布するため、精度よく求められる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来例で生じていた到来角の不確定性(アンビギュイティ)は、ハードウェアの構成や処理量が大幅に増加することなく、しかも、精度が低下することなく安定に排除される。
【0024】
また、受信波の送信点の位置は、上記不確定性に制約されることなく、しかも、個々の受信波の到来角に含まれる誤差に起因して精度が低下することなく、その送信点の位置の変位に柔軟に追従しつつ求められる。
したがって、本発明は、受信波の送信点の位置の標定にかかわる制約が大幅に緩和され、その標定の精度が安定に高く維持されると共に、多様な分野への柔軟な応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態におけるアンテナの配置を示す図である。
【図3】本実施形態における到来角算出部の動作フローチャートである。
【図4】本実施形態における位置標定部の動作フローチャートである。
【図5】本実施形態の動作原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0027】
図において、位置標定装置10は、例えば、航空機30に搭載され、以下の通りに構成される。なお、航空機30はソノブイ20-1〜20-k が投下された海面上を飛行し、その航空機30の機体上には、アンテナ31-1〜31-Nが取り付けられる。なお、アンテナ31-1〜31-Nの符号「31」に付加された添え番号「1」〜「N」は、航空機30の機首の先端に対する距離が小さい順に付与される。また、アンテナ31-1〜31-(N/4),31-(N/4+1)〜31-(N/2),31-(N/2+1)〜31-(3N/4),31-(3N/4+1)〜31-Nは、例えば、アンテナ31-1〜31-Nの数Nが「8」である場合には、図2に示すように、それぞれ直線A、B、C、D上に一定の間隔dで配置されると共に、直線A、Bは互いに交叉し、かつ直線C、Dも互いに交叉する。
【0028】
上記アンテナ31-1〜31-Nの給電点は、複数の受信機11-1〜11-Nの入力にそれぞれ接続される。これらの受信機11-1〜11-Nの出力は到来角算出部12の対応する入力に接続され、その到来角算出部12の出力は位置標定部13の第一の入力に接続される。位置標定部13の第二の入力には、航空機30の航法系(図示されない。)によってその航空機30の位置や姿勢が与えられ、この位置標定部13の出力には、ソノブイ20-1〜20-kに関して標定された個々の位置(標定結果)が出力される。
【0029】
図3は、本実施形態における到来角算出部の動作フローチャートである。
図4は、本実施形態における位置標定部の動作フローチャートである。
図5は、本実施形態の動作原理を示す図である。
【0030】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第一の実施形態の動作を説明する。なお、以下では、ソノブイ20-1〜20-kの内、位置の標定対象となる特定のソノブイについては、添え番号「1」〜「k」の何れも含まない符号「20」を付与して表記する。
【0031】
受信機11-1〜11-Nは、ソノブイ20からアンテナ31-1〜31-Nに到来した受信波r1〜rNを取り込み、例えば、所定の中間周波信号またはベースバンド信号として到来角算出部12に引き渡す。
【0032】
到来角算出部12は、以下の処理(以下、「到来角算出処理」という。)を行う。
(1) 既述の航法系から与えられる航空機30の位置および姿勢と、これらの受信波r〜rNが到来したアンテナ31-1〜31-N の航空機30上の取り付け位置とに基づいて、既定の座標系(以下、「測位座標系」という。)におけるこれらのアンテナ31-1〜31-N の絶対的な位置を求める(図3ステップS1)。
【0033】
(2) 受信波r〜rNをディジタル信号に変換し(図3ステップS2)、これらのディジタル信号に併せて、上記アンテナ31-1〜31-Nの絶対的な位置を記憶する(図3ステップS3)。
【0034】
(3) このようにして記憶された受信波r〜r(N/4),r(N/4+1)〜r(N/2),r(N/2+1)〜r(3N/4),r(3N/4+1)〜rNから、それぞれ異なる2つの受信波の対(以下、「受信波対」という。)を数n(=1≦(N/2))個ずつ選択する(図3ステップS4)。なお、以下では、アンテナ31-1〜31-Nの個数Nは、「8」であると仮定する。
【0035】
(4) このようにして選択された受信波対の内、例えば、受信波対(r,r)に関して以下の処理(4-1)〜(4-3)を行う。
【0036】
(4-1) 受信波対(r,r)の位相差δ1を求める(図3ステップS5)。なお、このような位相差δ1は、受信波r,rの伝搬路長の差(図5(a))に起因して生じる。
【0037】
(4-2) 受信波r,rの波長λと、アンテナ31-1,31-2 の間隔dとに対して下式で示される到来角α1(図5(b))を求める(図3ステップS6)。なお、下式の項α1は、既述の直線A上におけるアンテナ31-1,31-2 の位置を基準として示される受信波r,rの到来角(0≦α1<2π)である。
α1=cos−1(λ・δ1/(2πd))
【0038】
(4-3) 直線Aに対して上記到来角α1の方向と対称な方向(図5(c))を示す到来角α1′(0≦α1′<2π)(図5(d))を求める(図3ステップS7)。
【0039】
(5) 受信波対(r,r)に関して以下の処理(5-1)〜(5-3)を行う。
(5-1) 受信波対(r,r)の位相差δ2を求める(図3ステップS8)。なお、このような位相差δ2は、受信波r,rの伝搬路長の差(図5(e))に起因して生じる。
【0040】
(5-2) 受信波r,rの波長λと、アンテナ31-3,31-4 の間隔dとに対して下式で示される到来角α2(図5(f))を求める(図3ステップS9)。なお、下式の項α2は、既述の直線B上におけるアンテナ31-3,31-4 の位置を基準として示される受信波r,rの到来角(0≦α2<2π)である。
α2=cos−1(λ・δ2/(2πd))
【0041】
(5-3) 直線Bに対して上記到来角α2の方向と対称な方向(図5(g))を示す到来角α2′(0≦α2′<2π)(図5(h))を求める(図3ステップS10)。
【0042】
(6) 受信波対(r,r)に関して上記処理(4-1)〜(4-3)に準じた処理を施すことにより、下式で示される受信波r,rの到来角α3、α3′を求める(図3ステップS11)。なお、下式の項α3、α3′は、アンテナ31-5,31-6 の位置を基準として示され、これらのアンテナ31-5,31-6 が配置された直線に対して互い対称である受信波r,rの到来角(0≦α3<2π,0≦α3′<2π)である。
α3=cos−1(λ・δ3/(2πd))
【0043】
(7) 受信波対(r,r)に関して上記処理(4-1)〜(4-3)に準じた処理を施すことにより、下式で示される受信波r,rの到来角α4、α4′を求める(図3ステップS12)。なお、下式の項α4、α4′は、アンテナ31-7,31-8 の位置を基準として示され、これらのアンテナ31-7,31-8 が配置された直線に対して互い対称である受信波r,rの到来角(0≦α4<2π,0≦α4′<2π)である。
α4=cos−1(λ・δ4/(2πd))
【0044】
(8) 上記到来角α1、α1′の内、直線A、Bの交叉角χABに対して以下の式が成立する1つの到来角ψ1(0≦ψ1<2π)を特定する(図3ステップS13)。
ψ1=π−χAB−α2(または、π−χAB−α2′)
【0045】
(9) 下式に示す算術演算を行うことにより、上記到来角ψ1を既述の測位座標系における到来角ψ1′に換算する。ここに、K1は、アンテナ31-1〜31-4の位置が上記測位座標系で示されることに伴う補正値である(図3ステップS14)。
ψ1′=ψ1+K1
【0046】
(10)上記到来角α3、α3′の内、直線C、Dの交叉角χCDに対して以下の式が成立する一方の到来角ψ2(0≦ψ2<2π)を特定する(図3ステップS15)。
ψ2=π−χCD−α4(または、π−χCD−α4′)
【0047】
(11) 下式に示す算術演算を行うことにより、上記到来角ψ2を既述の測位座標系における到来角ψ2′に換算する。ここに、K2は、アンテナ31-5〜31-8の位置が上記測位座標系で示されることに伴う補正値である(図3ステップS16)。
ψ2′=ψ2+K2
【0048】
位置標定部13は、例えば、上述した到来角ψ1′、ψ2′が到来角算出部12によって算出される度に、以下の処理(以下、「位置標定処理」という。)を行う。
(1) 直線A上のアンテナ31-1,31-2で挟まれた区間の重心(中点)GA(または、直線B上のアンテナ31-3,31-4で挟まれた区間の重心(中点)GB)と、直線C上のアンテナ31-5,31-6で挟まれた区間の重心(中点)GC(または、直線D上のアンテナ31-7,31-8で挟まれた区間の重心(中点)GD)との測位座標系における座標を識別する(図4ステップS1)。
【0049】
(2) 重心(中点)GA(または、GB)から到来角ψ1′の方向に描くことができる第一の半直線と、重心GC(または、GD)から到来角ψ2′の方向に描くことができる第二の半直線を特定する(図4ステップS2)。
(3) これらの半直線の交点としてソノブイ20の位置を特定する(図4ステップS3)。
【0050】
すなわち、従来例で生じていたソノブイの方向や位置の不確定性(アンビギュイティ)は、ハードウェアの構成や処理量の大幅な増加を伴うことなく容易に排除される。
【0051】
したがって、本実施形態によれば、従来例に比べて、ソノブイの位置の標定にかかわる制約が大幅に緩和され、その標定の精度が安定に高く維持される。
なお、本実施形態では、直線A、B、C、D上にそれぞれ配置されたアンテナの数が何れも「2」以上であるために、これらの直線A、B、C、D上にそれぞれ配置されたアンテナに到来した受信波対が1つずつに限定されている。
【0052】
しかし、本発明はこのような構成に限定されず、例えば,直線A、B、C、Dの一部または全ての上にそれぞれ配置されたアンテナの数が「3」以上である場合には、これらの3つ以上のアンテナに個別に到来した受信波の位相差は、既述の不確定性を排除することによって得られる1つの到来角(例えば、到来角ψ1′)の精度を高める積分処理等に適用されてもよい。
【0053】
なお、本実施形態では、到来角算出処理および位置標定処理は、ディジタル領域の処理として実現されている。
しかし、これらの処理は、例えば、場合には、アンテナ31-1〜31-Nに到来した受信波の何れも、記憶されることなく、既述の処理に等価であるアナログ領域の処理が並行して施されてもよい。
【0054】
さらに、既述の到来角算定処理および位置標定処理は、「海面に対する航空機30の高度が加味された処理」として実現されるべき場合には、例えば、アンテナ31-1〜31-Nが3つの直線上に複数個ずつ配置されることによって、3次元に拡張されてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、本発明は、受信波の到来角に基づいてそのソノブイ20の位置を標定する位置標定装置に適用されている。
しかし、本発明は、このようなソノブイ20の位置の標定に限定されず、多様な無線周波信号の送信点の方位角や位置を標定するためにも適用可能である。
【0056】
さらに、本実施形態では、ソノブイ20-1〜20-k の何れか1つから複数のアンテナに個別に到来した受信波の到来角を求め、これらの到来角に基づいてその1つのソノブイの位置を標定するために、本発明が適用されている。
しかし、本発明は、このような用途に限定されず、例えば、所定の多元接続方式が適用されることによって上記複数のソノブイとの間に異なる無線伝送路が形成されるならば、これらの複数のソノブイの個々の到来角や位置の標定にも、同様に適用可能である。
【0057】
また、本実施形態では、アンテナ31-1〜31-Nの個数Nが「8」であるために、受信波r〜r(N/4),r(N/4+1)〜r(N/2),r(N/2+1)〜r(3N/4),r(3N/4+1)〜rNの何れも1つの受信波対に該当し、そのために、これらの受信波r〜r(N/4),r(N/4+1)〜r(N/2),r(N/2+1)〜r(3N/4),r(3N/4+1)〜rNから複数の受信波対を選択する処理が不要となっている。
【0058】
しかし、本発明は、アンテナ31-1〜31-Nの個数Nが「9」である場合には、受信波r〜r(N/4),r(N/4+1)〜r(N/2),r(N/2+1)〜r(3N/4),r(3N/4+1)〜rNの一部または全てから複数の受信波対が適宜選択され、このような冗長な受信波が到来角ψ1′(ψ2′)の精度を高めるために用いられてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、受信波r〜r(N/4),r(N/4+1)〜r(N/2),r(N/2+1)〜r(3N/4),r(3N/4+1)〜rNからそれぞれ所望の数の受信波対を選択する処理と、選択された全ての受信波対に対して施される既述の処理との何れもが行われている。
しかし、到来角ψ1′(ψ2′)が所望の精度で得られた時点で、新たな受信波を選択する処理と、余剰の受信波対に基づいて行われる処理との全てまたは何れかが打ち切られることによって、ランニングコストの削減、実装・熱設計にかかわる制約の緩和が図られてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態では、アンテナ31-1〜31-Nの何れもが航空機30に物理的に取り付けられ、これらのアンテナ31-1〜31-Nが区分された4つのグループ毎に含まれる2つのアンテナに到来する受信波の位相差に基づいて、その受信波の到来角(ソノブイ20の方位角)およびソノブイ20の位置の標定が実現されている。
【0061】
しかし、本実施形態は、このような構成に限定されず、例えば、以下の通りに構成されることにより、航空機30に搭載可能なアンテナの配置および数Nに制約があっても、上記到来角(方位角)および位置の標定の精度を高めることが可能となる。
【0062】
(1) アンテナの数Nは、「2」以上の小さな複数に設定される。
(2) 上記到来角(方位角)および位置については、航空機30の航法系が与える航法座標系の下で求められる。なお、このような到来角(方位角)が上記航法座標系の下では求められない場合には、航空機30の異なる位置でそれぞれ求められた到来角(方位角)は、共通の航法座標系へマッピングされた後に位置の標定に供されてもよい。
【0063】
(3) 既述の「直線Aと直線Bとが交叉する」との条件と、「直線Cと直線Dとが交叉する」との条件は、上記航法系が与える航空機30の位置と姿勢(または機首の方向)に基づいて識別される。
【0064】
(4) 上記4つのグループの一部または全てに属する2つのアンテナの物理的な間隔は、航空機30の移動に応じた位置(これらの2つのアンテナの位置)の変化が既述の航法座標系の下で特定されることによって、大きな値に柔軟に精度よく設定される。
【0065】
また、本実施形態では、アンテナ31-1〜31-Nが航空機30に取り付けられ、これらのアンテナ31-1〜31-Nに到来した受信波の位相差に基づいてソノブイ20の方位および位置の標定が実現されている。
しかし、本発明はソノブイ20以外の送信機や送信点の方位・位置の標定にも適用可能であり、かつアンテナ31-1〜31-Nは航空機20以外の移動体に取り付けられてもよい。
【0066】
さらに、本発明は、既述の実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、到来角ψ1′、ψ2′(または、ψ1、ψ2)については、何れも、所望の座標系おける複数通りの値として求められ、これらの複数通りの値が既述の不確定性(アンビギュイティ)の排除に先行して(あるいは後続して)積分されたり、平均化されることにより、精度が高められてもよい。
【0068】
以下、本願に開示された発明を整理し、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段」の欄の記載に準じた様式により列記する。
【0069】
[請求項1] 少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める到来角概算手段と、
前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める不確定性排除手段と
を備えたことを特徴とする到来角標定装置。
【0070】
請求項1に記載の発明では、到来角概算手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める。不確定性排除手段は、前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める。
【0071】
すなわち、上記ユニークなn組の対の何れについても、異なる2つのアンテナに同じ位相差で到来する受信波の到来角が2(あるいは複数)通りあるために生じるその到来角の不確定性は、異なる対に基づいて求められた到来角にも含まれる到来角が選択されることによって排除される。
【0072】
したがって、複数Nのアンテナに到来する受信波の到来角は、その受信波の送信源がこれらのアンテナに対してどのような方向に位置する場合であっても、安定に確度高く求められる。
【0073】
[請求項2] 少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する記録手段と、
前記記録手段によって記録された受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める到来角概算手段と、
前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める不確定性排除手段と
を備えたことを特徴とする到来角標定装置。
【0074】
請求項2に記載の発明では、記録手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する。到来角概算手段は、前記記録手段によって記録された受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める。不確定性排除手段は、前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める。
【0075】
既述の到来角の不確定性は、複数Nのアンテナに到来し、かつ記録された受信波から上記n組の対が選択されることにより、請求項1に記載の発明と同様に排除される。
したがって、このような不確定性の排除は、複数Nのアンテナが物理的に不規則に設置された場合であっても、安定に確度高く達成される。
【0076】
[請求項3] 請求項2に記載の到来角標定装置において、
前記不確定性排除手段は、前記特定の1つの到来角を既定の精度で特定できたときに、前記特定の1つの到来角を求めるための処理を打ち切る
ことを特徴とする到来角標定装置。
【0077】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の到来角標定装置において、前記不確定性排除手段は、前記特定の1つの到来角を既定の精度で特定できたときに、前記特定の1つの到来角を求めるための処理を打ち切る。
ことを特徴とする到来角標定装置。
【0078】
すなわち、到来角の不確定性の排除は、不確定性排除手段によって無駄な処理を行われることなく実現される。
したがって、ランニングコストの削減に併せて、実装や熱設計にかかわる制約の緩和が図られる。
【0079】
[請求項4] 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の到来角標定装置において、
前記到来角概算手段は、
前記複数Nのアンテナが搭載された移動体の航法系が与える座標系において前記2通りの到来角を求める
ことを特徴とする到来角標定装置。
【0080】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の到来角標定装置において、前記到来角概算手段は、前記複数Nのアンテナが搭載された移動体の航法系が与える座標系において前記2通りの到来角を求める。
【0081】
すなわち、移動体(複数Nのアンテナ)の位置が変化した場合であっても、受信波の到来角は、その移動体の航法系が与える座標系において求められる。
したがって、このような到来角は、上記航法系に適合した多様な測位や測距に柔軟に適用することが可能となる。
【0082】
[請求項5] 少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する記録手段と、
前記記録手段によって記録された受信波より、異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対を順次選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された対に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を順次求める到来角概算手段と、
前記到来角概算手段によって既に求められた複数の2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を探索する不確定性排除手段とを備え、
前記選択手段は、
前記不確定性排除手段によって前記特定の1つの到来角が特定されたときに、後続する対の選択を打ち切る
ことを特徴とする到来角標定装置。
【0083】
請求項5に記載の発明では、記録手段は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する。選択手段は、前記記録手段によって記録された受信波より、異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対を順次選択する。到来角概算手段は、前記選択手段によって選択された対に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を順次求める。不確定性排除手段は、前記到来角概算手段によって既に求められた複数の2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を探索する。前記選択手段は、前記不確定性排除手段によって前記特定の1つの到来角が特定されたときに、後続する対の選択を打ち切る。
【0084】
すなわち、到来角の不確定性の排除は、その不確定性の排除のために適用される対が無駄に選択されることなく実現される。
したがって、ランニングコストの削減に併せて、実装や熱設計にかかわる制約の緩和が図られる。
【0085】
[請求項6] 請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の到来角標定装置において、前記不確定性排除手段は、前記複数の2通りの到来角に規定の精度で共に含まれる到来角の平均値として、前記特定の1つ到来角を求める
ことを特徴とする到来角標定装置。
【0086】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の到来角標定装置において、前記不確定性排除手段は、前記複数の2通りの到来角に規定の精度で共に含まれる到来角の平均値として、前記特定の1つ到来角を求める。
【0087】
すなわち、受信波の到来角は、複数Nのアンテナの位置の変動や誤差だけではなく、その受信波の送信源の位置の急激な変動、あるいは受信波が伝搬する伝搬路の特性の変動等に起因して大きな誤差を生じることなく求められる。
したがって、従来波の到来角の精度が高められ、かつ安定に維持される。
【0088】
[請求項7] 少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数(≧3)のアンテナを個別に含む複数p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpを個別に求める第1ないし第pの到来角標定装置と、
前記p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpと、前記p組のアンテナの位置とに基づいて前記受信波の送信点の位置を求める測位手段とを備え、
前記第1ないし第pの到来角標定装置は、
請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の到来角標定装置である
ことを特徴とする位置標定装置。
【0089】
請求項7に記載の発明では、第1ないし第pの到来角標定装置は、少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数(≧3)のアンテナを個別に含む複数p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpを個別に求める。測位手段は、前記p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpと、前記p組のアンテナの位置とに基づいて前記受信波の送信点の位置を求める。前記第1ないし第pの到来角標定装置は、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の到来角標定装置である。
【0090】
すなわち、受信波の送信点の位置は、請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の到来角標定装置によって不確定性を伴うことなく求められた到来角に基づいて求められる。また、第1ないし第pの到来角標定装置が請求項4に記載の到来角標定装置である場合には、受信波の到来角ψ1〜ψpは、移動体(複数Nのアンテナ)の位置が変化した場合であっても、その移動体の航法系が与える座標系において求められる。
【0091】
したがって、受信波の送信点の位置は、その送信点の位置の変位と、複数Nのアンテナの位置および姿勢だけではなく、これらの送信点からアンテナに至る無線伝送路の特性に柔軟に追従しつつ求められる。さらに、第1ないし第pの到来角標定装置が請求項4に記載の到来角標定装置である場合には、受信波の送信点の位置は、上記移動体の位置の変化が大きいほど上述したp組のアンテナの位置が物理的に大きく領域に分布するため、精度よく求められる。
【符号の説明】
【0092】
10 位置標定装置
11 受信機
12 到来角算出部
13 位置標定部
20 ソノブイ
30 航空機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める到来角概算手段と、
前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める不確定性排除手段と
を備えたことを特徴とする到来角標定装置。
【請求項2】
少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する記録手段と、
前記記録手段によって記録された受信波から選択され、かつ異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対について、個別に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を求める到来角概算手段と、
前記n組の対について求められた2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を求める不確定性排除手段と
を備えたことを特徴とする到来角標定装置。
【請求項3】
少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数N(≧3)のアンテナに到来した受信波を記録する記録手段と、
前記記録手段によって記録された受信波より、異なる2つの受信波からなるユニークなn(≦N)組の対を順次選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された対に含まれる2つの受信波の位相差と、前記個別に含まれる2つの受信波が到来したアンテナの間隔と、前記2つの受信波の波長とで定まる2通りの到来角を順次求める到来角概算手段と、
前記到来角概算手段によって既に求められた複数の2通りの到来角に共に含まれる特定の1つの到来角を探索する不確定性排除手段とを備え、
前記選択手段は、
前記不確定性排除手段によって前記特定の1つの到来角が特定されたときに、後続する対の選択を打ち切る
ことを特徴とする到来角標定装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の到来角標定装置において、
前記到来角概算手段は、
前記複数Nのアンテナが搭載された移動体の航法系が与える座標系において前記2通りの到来角を求める
ことを特徴とする到来角標定装置。
【請求項5】
少なくとも1つが同一直線上に配置されていない複数(≧3)のアンテナを個別に含む複数p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpを個別に求める第1ないし第pの到来角標定装置と、
前記p組のアンテナに到来した受信波の到来角ψ1〜ψpと、前記p組のアンテナの位置とに基づいて前記受信波の送信点の位置を求める測位手段とを備え、
前記第1ないし第pの到来角標定装置は、
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の到来角標定装置である
ことを特徴とする位置標定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7739(P2011−7739A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153850(P2009−153850)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】