説明

制御された周期的ナノ構造体によって表面をマーキングする方法およびデバイス

制御された周期的ナノ構造体によって表面をマーキングする方法は、
表面をマーキングする方法であって、
情報の項目のコード化を、コード化情報を表す値を含む画像の形をとって行う、コード化するステップ(500)と、
前記表面の領域を偏光されたレーザ光でドットごとにマーキングして、前記表面の上または前記表面内で方位付けられたナノ構造体を形成すべく、各マーキング・ドットについて前記画像のドットの値に従って前記レーザ光の偏光を変調する、マーキング・ステップ(506〜514)と
を含む。
実施形態では、マーキング・ステップの間、10×10-12秒よりも短い持続時間を有するパルス・レーザが利用され、前記レーザ光源から生じかつ前記表面に到達する光を偏光させる手段であって、前記偏光手段によって受信される信号に従って変えることができる偏光軸によって光を偏光させるように設計された手段が利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された周期的ナノ構造体によって表面をマーキングする方法およびデバイス、ならびにこの種の表面の情報を読み取る方法およびデバイスに関する。特に、本発明は、その識別、トレーサビリティ、および認証の目的で対象物またはドキュメントをマーキングするのに適用される。
【背景技術】
【0002】
例えば表面状態をプリントすること、または変更することによる、多数のマーキング手段が知られている。これらのマーキング手段は、連続的なマーキングについては非常に適切であるが、マーキングされる対象物またはドキュメントを識別し、認証することに関しては低いセキュリティ強度しか与えない。特に、一般に模造者がこれらを模造するのは容易である。
【0003】
さらに、以前の技術状態のマーキングは通常、肉眼で見え、それにより模造者によるマーキングの検出、分析、または破壊が容易である。
【0004】
数百ナノメートルの周期を有する周期的構造体の存在が、科学的に強調されている(例えば、Appl.Surf.Sc.253,8075−879−2007で受け入れられている、GUILLERMIN、F.GARRELIE、N.SANNER、E.AUDOUARD、H.SODERの五氏による文献「静的なフェムト秒照射による表面構造体のモノパルスおよびマルチパルスの生成(Mono−and multi−pulse formation of surface structures under static femtosecond irradiation)」を参照されたい)。
【0005】
文献WO2007/01215では、ホログラフィー効果がこの表面に現われるようにするために、形押し具または材料の表面構造の現実化について説明している。これは自動適応型構造体を利用し、この自動適応型構造体は、ラインの全長にわたって平行構造体を示す連続ラインによってマーキングすることを必要とする。さらに、これは、マーキングするべきラインの各ドットに数十、数百ものレーザ・ショットを必要とする。これらの2つの特性の結果として、このマーキングの方法は、非常に緩慢であり、ラインで追跡されたシンボルを除いた情報を書き込みできるようにするものではない。
【0006】
文献EP1 586 405では、レーザ・ショットによるマイクロマシニング形成構造体を説明している。このマシニングは、例えば、2つの項目間の機械的インターフェースを改善することを目的としている。したがって、このマシニングでは、どのようにしても模造者との戦いができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2007/01215
【特許文献2】EP1 586405
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. GUILLERMIN、F. GARRELIE、N. SANNER、E. AUDOUARD、H. SODER らによる「静的なフェムト秒照射による表面構造体のモノパルスおよびマルチパルスの生成(Mono-and multi-pulse formation of surface structures under static femtosecond irradiation)」、Appl.Surf.Sc.253,8075-879-2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、これらの欠点を除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、第1の態様により、本発明は、ドキュメントをマーキングする方法を構想するものであり、この方法は、
情報の項目(アイテム)のコード化を、コード化情報を表す値を含む画像の形をとって行うコード化のステップと、
前記表面の領域を偏光されたレーザ光でドットごとにマーキングして、前記表面の上または前記表面内で方位付けられたナノ構造体を形成すべく、各マーキング・ドットについて前記画像のドットの値に従って前記レーザ光の偏光を変調する、マーキングのステップと
を含む。
【0011】
したがって、本発明は目立たないナノ構造体を利用して、これらのナノ構造体の方位付けを用いることによって情報をコード化できる。本発明は、ナノ構造体の方位付けによって構築する表面に、マーキングの際ドットごとに情報を記録させることによって、あらゆるタイプの材料のマーキングに適用され、前記方位付けは、光についてある効果を有し、したがって画像を読み取りできるようにすることに留意されたい。したがって、本発明の利用により、表面のマーキングされた領域に非常に迅速なマーキングと高密度の情報の両方が可能になる。
【0012】
前記画像により示される情報は、好ましくは、マーキングされた表面の識別、認証、および/またはトレーサビリティのために設計される情報の項目である。
【0013】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、参照領域がマーキングされ、前記マーキングを読み取るステップ中に利用すべき方位付けを表す。これらの措置の結果、コードを読み取る間、照明を正確に方位付けすることができ、コードの可読性が増大する。
【0014】
特定の形状構成によれば、簡単に上で説明したように、このマーキング方法は、マーキングされた画像のドットの物理的特性を表すシグネチャを決定するステップと、前記シグネチャを格納するステップとを含む。
【0015】
例えば、前記物理的特性とは、構造体のムラの位置、レーザ光の焦点、レーザ光のパワー、レーザ・ショットの数、入射角または偏光角である。このようにして、マーキングされた表面は、そのシグネチャに基づき続いて識別することができる。そして、正当な表面がコピーを作成するのに使用されていた場合、少なくとも最初のコピーの作成については、使用された正当な表面をおそらくは判定することができる。このようにして、本発明により提供される偽造と戦う手段が増加する。
【0016】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、マーキングされた領域の表面の少なくとも半分だけが単一のレーザ・ショットを受け入れる。これらの措置の結果、マーキング速度が増加する。
【0017】
特定の形状構成によれば、情報のコード化項目を表す値を含む画像の形をとって情報の項目をコード化するステップの間、前記画像の各ドットは、少なくとも3つの異なる値をとることができ、マーキング・ステップの間、レーザ光の偏光は、少なくとも3つの方向に従って変調され、各偏光方向は、前記画像のドットの値のうちの1つに関連している。このようにして、いったん適切な照明の方向付けで照明されると、多色であり、高密度の情報を有するマーキングされた領域が形成される。
【0018】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、10×10-12秒よりも短い持続時間を有するパルス・レーザが利用される。
【0019】
特定の形状構成によれば、上で簡単に説明した方法は、前記表面にマーキングされた前記画像を読み取るステップと、この画像読取に従ってその品質を検証するステップとを含む。したがって、マーキングの品質が保証される。
【0020】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、25μmよりも小さい寸法を有するレーザ光が利用される。
【0021】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、10μmよりも小さいピッチに配設されるドットが生成される。
【0022】
特定の形状構成によれば、マーキング・ステップの間、800nmに近い波長を有する光を発するレーザ光が利用される。
【0023】
特定の形状構成によれば、コード化するステップの間、前記画像は、実行すべきマーキング・ステップのそれぞれに対して変えられる。これらの措置の結果、マーキングにより表されるコードを単に読み取ることによって、マークを有する表面を識別することができ、したがって、これを有する生産品を識別することができる。
【0024】
特定の形状構成によれば、コード化するステップの間、前記情報の項目は、表面を含む対象物またはドキュメントに関するデータを表す。これらの措置の結果、マーキングによって表されるコードの少なくとも一部を直接読み取ることにより、バーコードと同じ方法で対象物の認識が可能になる。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、表面をマーキングするデバイスを構想するものであり、
画像の形の情報の項目をコード化する手段と、
前記表面に形成すべき前記画像の各ドットに従ってレーザ光の偏光を変調することによって、前記表面の上または前記表面内で方位付けられたナノ構造体を形成するように、偏光されたレーザ光で前記表面をマーキングする手段と
を備えることを特徴とする。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、表面にマーキングされた画像を読み取る方法を構想するものであり、
前記表面にマーキングされた前記画像の電子画像を捕捉するステップと、
前記捕捉された画像のドットの色を処理するステップと、
捕捉された画像の前記ドットの色に従って情報の項目を復号化するステップと
を含むことを特徴とする。
【0027】
特定の形状構成によれば、電子画像を捕捉するステップの間、光源が、予め規定された方位付けでマーキングされた画像を照明するように方位付けられる。これらの措置の結果、コードを読み取ることが改善される。
【0028】
特定の形状構成によれば、上で簡単に説明したように、本発明の主題である読み取る方法は、前記表面によって担持されるマークを読み取るステップを含み、電子画像を捕捉するステップの間、前記マーキングされた画像に関する光源の方位付けは、読み取られた前記マークに従って決定される。これらの措置の結果、マーキングされた表面および光源のそれぞれの位置を自動的に調整することが容易になる。
【0029】
特定の形状構成によれば、上で簡単に説明した読み取る方法は、情報の復号化された項目に従って、マーキングされた画像の真偽を判別するステップを含む。この情報により、その内容を通して、または復号中に情報の復号化された項目が含むエラーによって識別が可能になる。
【0030】
特定の形状構成によれば、上で簡単に説明したように、この読み取る方法は、マーキングされた画像のドットを表すシグネチャを判別するステップと、前記シグネチャをメモリに格納されているシグネチャと比較するステップとを含む。
【0031】
第4の態様によれば、本発明は、表面にマーキングされた画像を読み取るデバイスを構想するものであり、
前記表面にマーキングされた前記画像の電子画像を捕捉する手段と、
前記捕捉された画像のドットの色を処理する手段と、
捕捉された画像の前記ドットの色に従って情報の項目を復号化する手段と
を備えることを特徴とする。
【0032】
特別な特性として、このマーキング・デバイス、この読取方法、およびこの読取デバイスの利点および目的は、上で簡単に説明したようにマーキング方法のそれらと同様であり、ここでは、これらの利点および目的を繰り返さない。
【0033】
本発明の他の利点、目的、および特性は、付録に含まれる図面を参照し、決して限定するものではない一例として行われる、次に続く説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の主題であるマーキング・デバイス、およびその動作条件についての特定の実施形態を概略的に示す図である。
【図2】光の偏光の方向付けによるナノ構造体の方位付けについての説明図であり、図2では方位付けが角度の程度で表現されている。
【図3】本発明の主題である読取デバイスについての特定の実施形態を概略的に示す図である。
【図4】照明の方位付けに従って、領域マトリックス全部にわたって読み取られる色を概略的に示す図である。
【図5A】本発明の主題であるマーキング方法、および読取方法についての特定の実施形態で利用されるステップを、論理図の形で示す図である。
【図5B】本発明の主題であるマーキング方法、および読取方法についての特定の実施形態で利用されるステップを、論理図の形で示す図である。
【図6】異なるマーキング・パラメータに基づく同一のマーキング・デバイスおよび同一の読取デバイスで生成される色分布の、2つの例を示す図である。
【図7】ナノ構造体の方位付けによるマークの読み取り中に得られる、色相の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、制御手段100、レーザ101、ミラー102、ダイヤフラム103、偏光子104、セパレータ・キューブ105、偏光子106、スキャナ107、およびマーキングすべき表面108を示している。
【0036】
レーザ101の制御手段100は、表面108にマーキングすべき画像を決定するように設計され、画像は、情報のコード化された項目をそれぞれ受け止める領域というテーブルから形成される。この領域は、同一のまたは異なる形状を有することができる。明細書の他の部分において、および図において、テーブルという領域はすべて、同じ寸法の正方形であると考えられる。したがって、マーキングすべき画像により表されるテーブルは、領域マトリックスを形成する。
【0037】
各領域によって担持される情報の項目は、バイナリであり、またはバイナリでない場合がある。下で説明するように、領域によって担持される少なくとも1つの(ここではそれぞれの)情報値は、特定の偏光の方向付けに対応し、別の値は、マーキングの欠如、偏光の欠如、または異なる偏光の方向付けに対応することができる。
【0038】
実施形態では、制御手段100は、コンピュータ・システムから情報のコード化された項目を受け取る。他の実施形態では、制御手段100は、画像に関してコード化すべき情報を受け取り、この情報をコード化した後、画像を計算する。
【0039】
例えば、このコード化の間、情報のコード化された項目は、マーキングすべき表面を含む対象物またはドキュメントに関するデータを表すものである。例えば、情報のコード化された項目は、生産物指示、通し番号および/またはバッチ番号、製造日付、製造業者指示、生産物の知的財産権の所有権者の識別、生産物出荷先指示を示す。
【0040】
実施形態では、領域によって担持される情報の値は、例えば暗号化情報などの表面の安定的確保情報を示す。
【0041】
好ましくは、前記画像の各ドットは、少なくとも3つの異なる値をとることができ、マーキング中に、これは、レーザ光の偏光角の少なくとも3つの値にそれぞれ対応する。
【0042】
実施形態では、マーキングすべき各表面または対象物について、制御手段100は、各マーキングが特定の画像に対応するように画像を変える。
【0043】
制御手段100は、例えばラインごとに、および各ラインに、列ごとに、画像の走査に従って偏光子106の偏光の方向付けを制御する。
【0044】
実施形態では、制御手段100はまた、レーザ光の集束、レーザ光のパワー、レーザ・ショットの数を制御し、かつ/またはコード化された画像に従って1つのドットから次のドットへ入射角を変化させることによってドットごとに入射角を制御する。
【0045】
実施形態では、レーザ101は、百フェムト秒(100×10-15秒)の持続時間、および、好ましくはこれよりも短い持続時間を有するパルスを発するレーザ光源である。
【0046】
ここで、ミラー102は角度伝達を簡単に行うものである。これは、本発明の主題であるデバイスのコンパクト化を増大する働きをする。
【0047】
ダイヤフラム103は、光学系の像面に配置され、したがって、レーザ・ショット中にマーキングされる各領域の寸法を規定する。
【0048】
偏光子104およびセパレータ・キューブ105は、マーキングすべき表面108上のレーザ光のパワーに適応する働きをする減衰器を共同で実現することができる。知られているタイプの他の減衰手段は、要素104および要素105を置き換えて、この減衰機能を行うことができることに留意されたい。
【0049】
偏光子106は、セパレータ・キューブ105からの光を偏光させることによってマーキングすべき表面108に到達する光を偏光させるように設計され、偏光角は、情報の項目をコード化する画像を表す信号の値に依存し、信号は、制御手段100によって送り出される。例えば、偏光子106は、PLZTセラミックまたは強誘導性の液晶偏光子、あるいは電気モータ(図示せず)により回転される静的偏光子である。
【0050】
スキャナ107は、制御手段100によって行われる画像の走査と同期させる方法で、表面108の走査をひき起こすように設計される。このようにして、同期スキャンが、まず制御手段100によって与えられる画像の各ラインについて、次にマーキングすべき表面108上の平行なラインについて実行される。例えば、スキャナ107には、圧電性セラミックに取り付けられるミラーが備えられる。
【0051】
例えば、マーキングすべき表面108は、金属、シリコン、紙、プラスチック、またはボール紙である。一般に、このように任意の材料をマーキングできるが、実施されるパワーが異なることに留意されたい。例えば、このパワーは、誘導体材料をマーキングする場合よりも金属をマーキングする場合の方が大きい。
【0052】
また、図1は、画像取得手段109、画像処理手段110、および格納手段111も示している。
【0053】
画像取得手段109は、下で説明するように方位付けされた光源、および画像取得デバイス、例えばカメラまたは電子カメラを備える。
【0054】
画像処理手段110は、画像取得手段109によって与えられる電子画像に従って、まずマーキングの品質を、次に表面108にマーキングされる画像の物理的特性を決定するように設計される。好ましくは、これらの物理的特性は、例えばラインのフォークの位置などの不規則な、予測できない、またはランダムな現象を示すものである。
【0055】
これらの物理的特性に基づき、画像処理手段110は、画像のシグネチャを決定する。画像処理手段110の動作は、図5Aおよび図5Bに関して詳述されている。
【0056】
事実上、極めて短時間のレーザ照射により形成されるナノ構造体の構造は、数百ナノメートルの周期によって特徴づけられるだけではない。擬似周期ナノ構造体のライン間のフォークの数、2つのフォーク間のラインの平均的長さ、フォークの外観の形状などのより微妙な特性または不規則性も、適切な画像解析アルゴリズムによって解析され、定量化される。このようにして、(人間の指紋と同じ方法で)レーザと材料との間の特定の相互作用独特のデジタル・シグネチャを、ナノ構造体の外観から得ることができる。この特定の特性は、識別、認証、およびトレーサビリティの手続きの際の使用されるように格納される。
【0057】
他の実施形態では、シグネチャは、あるレーザ・ショットまたは一連の個々のレーザ・ショットに対応するマーキングされた画像のドットの物理的特性を表している。例えば、この物理的特性は、レーザ光の焦点、レーザ光のパワー、レーザ・ショットの数、入射角または偏光角である。この特性を決定するためにおよび結果として、例えば、マーキングされた表面のシグネチャ、下で説明される色較正データが使用される(特に図6を参照されたい)。例えば、画像を取り出す際に得られる色の分布は、問題のドットについて行われるレーザ・ビーム・ショットの数を表す。
【0058】
格納手段111は、画像のシグネチャ、および関連する情報、すなわち、例えばこの画像によって表される情報の内容、制御手段100によって与えられる内容を格納するように設計される。
【0059】
本発明の第1の実施形態では、型をマーキングするためのデバイスが利用され、この型で成形される項目のすべてが、この型のデバイスで実現されるナノ構造体を再現する。それにもかかわらず、この連続的な製造により、成形体を個々に識別できるようにすることに留意されたい。この目的のために、ナノ構造体の画像が捕捉され、ランダムな成形エラーの位置が決定され、次いでこれらのランダムなエラーの分布が決定される。次いで、この分布は、項目(例えば、製造の日付、バッチ番号または個々の通し番号)の識別名と関連して、例えばインターネット網を介して遠隔的にアクセスできる、例えばデータ・ベースに格納される。識別する項目についての以降の認識中に、ナノ構造体の画像がやはり捕捉され、成形エラーの位置および分布が決定され、この分布は、メモリに格納されたものと比較されて、このシグネチャに関して格納された他のデータによってその項目を識別する(例えば、通し番号、製造の日付および場所、バッチ番号、容器、製造順序)。この識別機能は、コピー防止機能と組み合わされ、成形体または型の任意のコピーが、例えばマークのエラーの全数に従って項目の同一性と同じ方法で識別される追加のコピー・エラーを出現させることに留意されたい。
【0060】
本発明の主題であるデバイスの第2の実施形態では、各対象物またはドキュメントは、個別的にデバイスよるマーキングの対象物であり、こうして成形された画像およびマークは、1つの対象物から次の対象物に、または1つのバッチから次のバッチにマーキング・エラーと無関係に変化する。
【0061】
図2は、レーザ光の偏光角に従ってナノ構造体の画像に達する矢印で表される、ナノ構造体の方位付けが変化することを示している。例えば、水平線に対して40°の偏光角で実現されるナノ構造体120の最も長いラインは、約40°に方位付けられ、水平線に対して70°の偏光角で実現されるナノ構造体121の最も長いラインは、約70°に方位付けられる。しかし、これらの角度は2本の垂直な直線から測定される。事実上、ナノ構造体121のラインは、レーザからの光の偏波面に対して著しく垂直である。
【0062】
図3は、情報読取デバイス305が、画像取得手段309、画像処理手段310、および格納手段311を備えることを示している。
【0063】
画像取得手段309は、方位付けされた光源312、および画像取得デバイス313、例えばカメラまたは電子カメラを備える。
【0064】
画像処理手段310は、
まず、知られている色認識技術およびマーキング領域認識技術に従って、観察されるマーキングされた領域302のそれぞれのマーキングされたドットに対応する色(図4を参照されたい)と、
次に、画像取得手段309によって与えられる電子画像に従って、表面301にマーキングされた画像の物理的特性と
を決定するように設計される。これらの物理的特性に基づいて、画像処理手段310は、図5Aおよび図5Bに関して詳述されているように、問題の表面のマーキング中に利用されるものと同様な画像についてシグネチャを決定する。
【0065】
次いで、画像処理手段310は、ネットワーク・インターフェース314および通信ネットワーク316、例えば電話またはインターネットによってリモート・サーバ315にこのシグネチャを送信する。リモート・サーバ315は、この信号をシグネチャのデータ・ベースの内容と比較する。引き換えに、リモート・サーバ315から、対象物の識別名(例えば、製造の日付、バッチ番号または個々の通し番号)が与えられる。
【0066】
同時に、画像処理手段310は、マークのエラーの割合に従って、画像が原物(オリジナル)か、または限界値よりも大きなエラー率を表しているコピーかどうかを判定する(限界値は、マークのシグネチャに関連してメモリに格納されているか、または実現されたマークにコード化された情報により表されている可能性がある)。
【0067】
ここで、期間エラーは、シグネチャを決定するために、または読み取られたマークにコード化された情報を読み取るために、利用される物理的特性のそれぞれに適用できることに留意されたい。第1の場合には、距離が、読み取られたシグネチャとマーキング中に格納されたシグネチャとの間で測定される。第2の場合には、コード化された情報の冗長性が利用され、コード化された情報を復元するのに使用される冗長性の数または割合が測定される。例えば、冗長性の1つのタイプは、「CRC」(「check redundancy code」の頭文字)の名前で知られている。この2つの場合のそれぞれにおいて、限界値または閾値が、正当であると考えられる個々のマークに使用され、これらは、コピーであると考えられるマークに由来するエラーがより少ない。
【0068】
図4が示すように、正確に方位付けられた照明の下で、ナノ構造体は、例えば青色および緑色を与えている。例えば、2進値「1」を青色に、かつ2進値「0」を緑色に割り当てることによって、バイト10010101は、図4で表される画像と関連づけられる。観測される色は、観測角度および照明角度に依存する。したがって、観測される色を利用するには、比色分析を用いることが必要である。使用され得る2つの可能なアプローチがあり、すなわち、
固定した参照ドット405が、マーキングの上またはマーキングの近くに定位置に置かれ、読み取りと、特にマークを照明する光の入射角との方位付けを可能にし、
2つのマーキング間の比色間隔を正確にかつ一定に決定すること
である。
【0069】
図5Aおよび図5Bに対して見ることができるように、ある実施形態では、図1から図3に示されるデバイスで本発明を利用することは、まず、マーキングすべき各対象物またはドキュメントについて、領域マトリックスを決定するステップ500を含み、このマトリックスの各領域は、例えばコード化され、かつ場合によっては暗号化された2進情報の値に関連する。マトリックスの領域に関連する値によって表されるコード化された情報は、例えば、対象物の識別名、製造の日付、バッチ番号または個々の通し番号である。
【0070】
実施形態では、情報のコード化項目を表す値を含む画像の形をとって情報の項目をコード化するステップ500の間、前記画像の各ドットは、少なくとも3つの異なる値をとることができる。
【0071】
ステップ502の間、自動的である場合がある調整が、ダイヤフラム103の開口に対して実行され、このダイヤフラム103は、光学系の像面に配置されて、レーザ・ショット中にマーキングされる領域の寸法を規定する。この寸法は、例えば、マーキングすべき対象物またはドキュメントのバッチに対してメモリに格納されている仕様によって与えられる。
【0072】
次いで、ステップ504の間、燭光の減衰は、セパレータ・キューブ105から上流に配置される偏光子104の偏光角を制御することによって制御される。この減衰は、例えばメモリに格納されている仕様に従って、およびドキュメントもしくは対象物のバッチに対応して、またはマーキングすべきドキュメントもしくは対象物の色および材料の検出器(図示せず)に従って、自動的に制御することができる。
【0073】
ステップ506の間、スキャナ107は、マーキングすべき対象物またはドキュメントに形成すべき第1の領域がレーザ光の光路上にあるように配置される。
【0074】
ステップ508の間、標的領域に表すべき数値が、メモリ内のこの値を読み取ることによって決定される。ステップ509の間、偏光子106の偏光角は、この角度が表されるべき数値を表すように調整される。
【0075】
ステップ510の間、少なくとも1つのレーザ・ショットを、約1フェムト秒の持続時間のレーザ光を出射することによって実施し、ナノ構造体が、マーキングすべき対象物またはドキュメントの標的領域に形成される。
【0076】
好ましくは、単一のレーザ・ショットが、マーキングすべき各ドットに対して実行される。好ましくは、ドットのオーバーラップにもかかわらず、マーキングされた領域の表面の少なくとも半分だけが単一のレーザ・ショットを受け入れる。
【0077】
マーキングすべき画像の各ドットが、少なくとも3つの異なる値をとることができる場合、マーキング・ステップ510の間、レーザ光の偏光は、少なくとも3つの方向に従って変調され、各偏光方向は、前記画像のドットの値のうちの1つに関連している。
【0078】
ステップ512の間、形成すべき画像の最後の領域が、処理されたかどうかが判定される。処理されていなければ、ステップ514の間、これはマーキングすべき次の領域に移動され、この新しい領域についてステップ506に進められる。
【0079】
このように、これは、制御手段100によって行われる画像の走査と同期される方法で走査される表面108をもたらす。
【0080】
ステップ512の結果で処理されているとなった場合、ステップ515の間、方位マーク405が、マーキングすべき表面にマーキングされる。この方位マークは、コード化された情報を読み取ることができるようにする光源の方位付けを表す。
【0081】
次いで、ステップ516の間、マーキングされた対象物またはドキュメントは移動されて、画像取得手段109に関してこれを配置し、光源は、画像の異なる領域に、回折により異なる色を出現させるように方向付けされる。ステップ518の間、対象物またはドキュメントのマーキングされた領域の画像が捕捉されかつ格納される。ステップ520の間、色を規格化された色と比較し、画像の領域の表面を規格化された表面と比較することによって、マーキングが十分に高品質であるかどうかを判定する。
【0082】
品質が予め規定されたレベルよりも低い場合、ステップ521の間、対象物またはドキュメントは、生産チェーンまたはプリント・チェーンから取り除かれる。
【0083】
さもなければ、ステップ522の間、表面108にマーキングされた画像の物理的特性が、画像取得手段109によって与えられる電子画像に従って決定される。例えば、ナノ構造体のラインの著しく平行な分岐またはフォークの位置が決定される。
【0084】
ステップ524の間、これらの物理的特性に基づき、画像のシグネチャが決定される。
【0085】
ステップ526の間、まず画像のシグネチャ、次に関連する情報が、すなわち、例えばこの画像によって表される情報の内容、制御手段100によって与えられる内容が、格納される。同時にシグネチャとして格納される情報は、例えば、対象物の識別名、製造の日付、バッチ番号または個々の通し番号である。
【0086】
シグネチャおよび関連する情報についてのメモリは、例えばインターネット網を介して遠隔的にアクセスできるデータ・ベースであり得ることに留意されたい。
【0087】
また、型がマーキングされる実施形態では、シグネチャは、一方では型について、他方ではこの型から成形される各対象物について決定されかつ格納されることにも留意されたい。
【0088】
認証されるべき対象物またはドキュメントについての以降の認識中に、ステップ544の間、初期の画像捕捉が実行される。次いで、ステップ546の間、方位マーク405が検出される。ステップ548の間、光源が、マーク405で識別される方位付けを重んずるように方位付けされる。ステップ548の間、マーキングされた表面を移動することができ、光源を移動することができ、または光源を、問題の方位付けに対応するいくつかの固定した光源から選択できることに留意されたい。
【0089】
次いで、ステップ550の間、ナノ構造体の画像は、画像取得手段109で捕捉されかつ格納され、光源は、画像の異なる領域に、回折により異なる色を出現させるように方位付けされる。
【0090】
ステップ552の間、画像のさまざまなマーキングされた領域によって担持される色が識別され、これらの色は、メッセージの数値に関連する。したがって、このメッセージは、表示され、遠隔に送信され、かつ/またはコンピュータ・アプリケーションに送信される。ステップ554の間、メッセージのエラーの量が、例えば、これらのエラーを正すのに使用される冗長性の量を決定することによって、または、再構成される最初のメッセージと比較することによって判定される。次いで、ステップ556の間、対象物またはドキュメントが、原物か、またはエラーの量を予め規定された限界値と比較することによってコピーかどうかが判定される。
【0091】
対象物またはドキュメントを識別するために、ステップ558の間、表面108にマーキングされた画像のランダムな物理的特性が、画像取得手段109によって与えられる電子画像に従って決定される。例えば、ナノ構造体のラインの著しく平行な分岐の位置、またはエラーの位置および分布が決定される。ステップ560の間、これらの物理的特性に基づいて、画像のシグネチャが決定される。
【0092】
ステップ562の間、このシグネチャはリモート・メモリに供給され、それと引き換えに、第1に、認識の欠如によって対象物またはドキュメントがコピーまたは贋作であることが示すことができる場合には、このシグネチャについての情報の認識項目が受け取られ、第2に、認識された場合には、リモート・メモリのシグネチャに関連する情報が受け取られる。このようにして、例えば、他の格納されているデータによって対象物またはドキュメントを識別するために、成形エラーまたは特徴的な要素の位置および分布が、メモリにおいて表されているものと比較される。この識別機能は、コピー防止機能と組み合わされ、成形体または型の任意のコピーが、例えばマークのエラーの全数に従って項目の同一性と同じ方法で識別される追加のコピー・エラーを出現させることに留意されたい。
【0093】
関連する情報は、表示され、かつ/あるいはトレーサビリティまたは統計処理アプリケーションに送信される。
【0094】
ある変形においては、マーキングされた情報の再度の読み取りが、これらのナノ構造体の方位付けを介して実行されることに留意されたい。顕微手段によって、微細構造体が、適切な光学デバイスの助けを借りて直接検出される。次いで、画像解析アルゴリズムを使用して、画像の領域に関連するナノ構造体のそれぞれの平均的な方位付けを決定する。
【0095】
このようにして、本発明の態様に従って、金属表面の極めて短時間の照射が、ナノ構造体の異なるタイプ、または「リップル(ripples)」を得るために実行され、その方位付けは、情報をコード化するために使用される。ナノ構造体の方位付けを制御するために、レーザに関連する偏光ストリップが導かれる。
【0096】
コード化された情報を検索するために、方位付けが予め規定されている光について、ナノ構造体の方位付けの変化によって生じる比色変化が、利用される。
【0097】
明細書の他の部分において、フラット・ベッド・スキャナから構成される画像取得システムが考えられる。事実上、フラット・ベッド・スキャナは、巨視的に可視化するためのナノ構造体の間接的な手段として使用することができる。この取得システムは、特定の色を、ナノ構造体の方位付けに対応させるという興味深い特殊性を有する。スキャナによって発せられる光は、すべての波長を含む白色光である。白色光は、照明方位または入射角に関して特定の方位付けを有するナノ構造体の上方に送られる。この方位付けが、ネットワークの回折に関する標準的な式に統合される場合、次の式が得られる。すなわち、
m.λ=d.(sinα×cosθ+sinβ)
ここで、λは、波長、
αは、光の入射角、
θは、ナノ構造体と照明方位との間の角度、
βは、画像取得デバイスに向かう光ビームの戻し角度
である。
スキャナ装置の機器構成を、スキャナの光の入射角についてα=10°の固定値、およびスキャナのCCD取得デバイスのビームの戻し角度についてβ=56°の固定値であると仮定すると、スキャナのナノ構造体の方位付けに従ってこの取得デバイスによって知覚される波長値を導き出すことができる。
【0098】
これらの知覚される波長値は、450nm(青)から570nm(オレンジ色)まで変化し、この取得システムで得られる画像に存在する色に対応する。
【0099】
画像が取得される際に観察される比色分析効果は、ナノ構造体のマーキングにおける取得システムの光の回折によるものである。これらのネットワークの光の回折は、これらの量および形態に従って変化し、使用されるさまざまなレーザのマーキングのパラメータに依存する。
【0100】
このように、さまざまなレーザのパラメータの変化により、(サイズ、ピッチ、形状、規則性等について)異なる構造体であるナノ構造体の異なるタイプを実現することができる。ナノ構造体のこれらの異なるタイプは、多くの異なるネットワークなどを形成し、次々に異なる回折現象を生じる。したがって、同一のレーザおよび同一の取得条件について、異なるカラー・スペクトルを得ることができる。読取/マーキング・システムの正確な較正には、この結果を活用できるようにすることが必要である。図6は、同じ読取/マーキング・デバイスであるが異なるレーザ・パラメータで実現される異なる較正についての2つの例を示している。
【0101】
左側において、円グラフ602は、45μmの光ビーム(「スポット」)径、25mWのパワー、15μmのオーバーラップ、3回の通過の場合に得られる色相を示している。右側において、円グラフ604は、20μmのビーム径、5mWのパワー、オーバーラップなし、25回の通過の場合に得られる色相を示している。第1の場合よりも右側の第2の場合において、色がより一様に分布されることに留意されたい。
【0102】
比色解像度算出は、下で説明される。この解像度は、いくつの数の色がデバイスで観察できるか、およびいかなる正確さで2つの色を区別、すなわち識別できるかを知るのに有用である。正確な解析を可能にするために、色間距離メトリックが導入される。本発明者らは、適切な表色空間、例えば「HSV」(色相、飽和、値)で算出される距離により、このタイプの取得から得られる色の値および飽和が、色相と違って非常に僅かしか変化しないと観察できることを判定した。
【0103】
好ましくは、情報を読み取る場合に、HSVで示される表現に対して、スキャナからの出力についてRGB(赤、緑、青)で示される画像のドットの表現である比色変換がある。
【0104】
図7は、参照であるHSVの比色構造において、フラット・ベッド・スキャナによる取得の場合のサンプルのナノ構造体の方位付けのそれぞれについて、観察される色のそれぞれを示している。一組の不連続なドットから形成されるこの曲線700は、フラット・ベッド・スキャナのナノ構造体の方位付けに従って、このスキャナによる取得中に得られる色の色相に変化を与えている。
【0105】
いったんサンプルにマーキングされたナノ構造体の各方位付けについて観察された色相が算出されると、上昇的な階層型分類が、観察しかつ識別できる色の数を判定するために、および解像度のいかなるレベルの場合にも実現される。
【0106】
この上昇的な階層型分類の目的は、一組の変数に関して類似した挙動を有する個体を分類することである。その原理は、最も接近した個体または個体のグループついて2×2の集合を通して区分け(「樹状図(dendrogram)」)を作り出すことである。このアルゴリズムにより、分類履歴を含む区分けの階層が形成される。
【0107】
それにもかかわらず、このアプローチには、分類すべき個体に適応するメトリックを有することが必要である(ユークリッド距離、標準偏差等)。下の表で報告された例では、ユークリッド距離が選択された。この分類の有する困難性は、合体後に各距離を再計算するための選択にある(簡単なリンク:これらの最も近接した隣り合うものの間の最も小さな距離を有する2つのグループの合体、全リンク:これらの最も遠い隣り合うものの間の最も小さな距離を有する2つのグループの合体、平均のグループ・リンク:隣り合うものの間の距離の平均値が最も小さい場合の2つのグループの合体、各重心の距離:これらの重心の間の最も小さな距離を有する2つのグループの合体)。
【0108】
研究すべき個体の特異性(平均することができない色相に対応するナノ構造体の方位付け)に鑑みて、これは、0°から100°のスケールで、4°ごとに変化するナノ構造体の25個の異なる方位付けから得られる25個の色相について使用される重心リンクである。
【0109】
【表1】

【0110】
この表の最後のラインは、各列について、識別できるクラスの数を示している。
【0111】
この樹状図を観察すると、現在の見解によれば、この樹状図を作るのに使用される画像取得システムの助けを借りて、関連する色相の点でナノ構造体の方位付けについて最大が20個の異なるクラスを識別できることを断言することができる。合体距離が増加すると、識別できるクラスの数が減少する。
【0112】
次いで、使用するクラスの数に応じて、ユーザは、上の樹状図を再検討し、ナノ構造体の対応する方位付けを選択しさえすればよい。
【0113】
このシステムにより、互いに関してその色相の方位付けを最大化する一組のクラスを決定することができる。
【0114】
本発明を使用する例には、上で説明した原理、すなわち、色に対応するナノ構造体の方位付けを用いて、金属表面でグラフィック作業を再現することがある。いくつかのナノ構造体を、画像の各ドットに重ね合わせできることに留意されたい。
【0115】
これを行うために、再現すべき作業での支配的な色の数を特徴づける。次いで、この数に応じて、上の樹状図が、作業の色のすべてを、提案される最も近接した色クラスに関連させるように使用される。
【0116】
望んでいたクラスの数が決定されると、最初の画像の画素のそれぞれが、色相の提案されたクラスのうちの1つに割り当てられる。例えば、この操作は、参照であるRGB比色構造で実行される。それぞれの利用できる色クラスに対して最初の画像の各画素の距離が決定され、表の画素の色が、色相の最も近接したクラスの色と関連づけられる。このようにして、画像の色の数が、マーキングしかつスキャナによって見えるようにするために利用できる色クラスの数まで自動的に減少されている。
【0117】
この操作を実行してしまうと、マーキングすべきナノ構造体の方位付けに対応する色平面が作り出される。これらの平面は、いかなるレーザが、期待色に関連するナノ構造体の各方位付けを形成するように各金属サンプルにマーキングしなければならないかを示すものである。
【0118】
ミクロレベルで、情報を読み取ると、正確に制御されたネットワークの回折効果のおかげで、ナノ構造体の方位付けが決定される。このようにして、本発明を利用することによって、比色変化が、所与のコードの新しい読取軸に情報を加えるように使用される。例えば、3つの異なる方位付けを有するナノ構造体が4mmの寸法を有するDatamatrix(登録商標)に加えられ、これらは、画像取得デバイス、例えばフラット・ベッド・スキャナによって与えられる3つの異なる色によって読み取られる。
【符号の説明】
【0119】
100 制御手段; 101 レーザ; 102 ミラー; 103 ダイヤフラム;
104 偏光子; 105 セパレータ・キューブ; 106 偏光子106;
107 スキャナ; 108 表面108; 120,121 ナノ構造体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面をマーキングする方法であって、
情報の項目のコード化を、コード化情報を表す値を含む画像の形をとって行う、コード化するステップ(500)と、
前記表面の領域を偏光されたレーザ光でドットごとにマーキングして、前記表面の上または前記表面内で方位付けられたナノ構造体を形成すべく、各マーキング・ドットについて前記画像のドットの値に従って前記レーザ光の偏光を変調する、マーキング・ステップ(506〜514)と
を含む方法。
【請求項2】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、参照領域がマーキングされ、前記マーキングを読み取るステップ中に利用すべき方位付けを表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マーキングされた画像のドットの物理的特性を表すシグネチャを決定するステップ(524)と、前記シグネチャを格納するステップ(526)とを含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、前記マーキングされた領域の前記表面の少なくとも半分だけが単一のレーザ・ショットを受け入れることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
情報の前記コード化項目を表す値を含む画像の形をとって情報の項目をコード化するステップ(500)の間、前記画像の各ドットが、少なくとも3つの異なる値をとることができ、前記マーキング・ステップの間、前記レーザ光の前記偏光が、少なくとも3つの方向に従って変調され、各偏光方向が、前記画像のドットの値のうちの1つに関連していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、10×10-12秒よりも短い持続時間を有するパルス・レーザ(101)が利用されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面にマーキングされた前記画像を読み取るステップ(518)と、前記画像読取に従ってその品質を検証するステップ(520)とを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、25μmよりも小さい寸法を有するレーザ光が利用されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、10μmよりも小さいピッチに配設されるドット(302)が生成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記マーキング・ステップ(506〜514)の間、800nmに近い波長を有する光を発するレーザ光が利用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コード化するステップ(500)の間、前記画像が、実行すべき前記マーキング・ステップのそれぞれに対して変えられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記コード化するステップ(500)の間、情報の前記項目が、前記表面(301)を含む対象物またはドキュメント(108)に関するデータを表すことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
表面をマーキングするデバイスであって、
画像の形の情報の項目をコード化する手段(100)と、
前記表面に対する偏向されたレーザ光でのマーキングを、前記表面に形成すべき前記画像の各ドットに従ってレーザ光の偏光を変調することによって、前記表面の上または前記表面内で方位付けられたナノ構造体を形成させて行う、表面をマーキングする手段(101〜107)と
を備えるデバイス。
【請求項14】
表面にマーキングされた画像を読み取る方法であって、
前記表面にマーキングされた前記画像の電子画像を捕捉するステップ(550)と、
前記捕捉された画像のドットの色を処理するステップ(552)と、
前記捕捉された画像の前記ドットの前記色に従って情報の項目を復号化するステップ(552)と
を含む方法。
【請求項15】
前記電子画像を捕捉するステップ(550)の間、光源(312)が、予め規定された方位付けで前記マーキングされた画像を照明するように方位付けられることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記表面によって担持されるマークを読み取るステップを含み、電子画像を捕捉する前記ステップの間、前記マーキングされた画像に関する前記光源の前記方位付けが、読み取られた前記マークに従って決定されることを特徴とする、請求項14または15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
情報の前記復号化された項目に従って、前記マーキングされた画像の真偽を判別するステップを含むことを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記マーキングされた画像のドットを表すシグネチャを判別するステップと、前記シグネチャをメモリに格納されているシグネチャと比較するステップとを含むことを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
表面にマーキングされた画像を読み取るデバイスであって、
前記表面にマーキングされた前記画像の電子画像を捕捉する手段(309、313)と、
前記捕捉された画像のドットの色を処理する手段(305、310)と、
前記捕捉された画像の前記ドットの前記色に従って情報の項目を復号化する手段(305、310)と
を備えるデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−539575(P2010−539575A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524544(P2010−524544)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001292
【国際公開番号】WO2009/090324
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(509331593)
【Fターム(参考)】