説明

制御システム

遠心コンプレッサ(120、108、119)のための安定制御アルゴリズム(300)が提供される。安定制御アルゴリズムはコンプレッサの不安定の検出に応答して可変形状ディフューザー(119)及び(設けた場合の)高温ガスバイパス弁(134)を制御するために使用される。安定制御アルゴリズムは、サージ状況又は停止状況の検出に応答して可変形状ディフューザー内のディフューザーリング(210)の位置を調整することができる。可変形状ディフューザー内のディフューザーリングはディフューザーリングの最適の位置を決定するために調整することができる。安定制御アルゴリズムは、また継続するサージ状況の検出に応答して高温ガスバイパス弁を開くために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
この出願は、2003年10月10日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR STABILITY CONTROL IN A CENTRIFUGAL COMPRESSOR」という名称の出願番号第10/683,772号の一部係属出願である。
【技術分野】
【0002】
この出願は、一般に制御システムに関する。特に、この出願は、コンプレッサの不安定状況に応答して遠心コンプレッサの可変形状ディフューザー機構を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]遠心コンプレッサは、コンプレッサの作動中にサージ状況(surge conditions)又は停止状況(stall conditions)のような不安定に遭遇することがある。サージ又はサージングは、遠心コンプレッサが軽負荷及び高圧力比率で作動するときに生じることのある不安定な状況である。サージは、圧力及び流れにおける変動、及び、時には、コンプレッサを通る完全な逆流を伴う遷移現象である。制御しない場合は、サージは、コンプレッサの回転素子及び静止素子の双方において過剰な振動を生じさせることがあり、コンプレッサの恒久的な損傷を招くことがある。サージ状況を修正又は修繕する1つの技術は、コンプレッサの入口での流れを増大させるようにコンプレッサの排気ガスの一部をコンプレッサの入口へ戻すために高温ガスバイパス弁の開放を含むことができる。
【0004】
[0004]遠心コンプレッサの回転停止は、コンプレッサの回転するインペラにおいて又はインペラの下流側の静止のディフューザーにおいて生じることがある。両者の場合、回転停止の存在は、コンプレッサ及び/又はシステムの性能に悪影響を及ぼすことがある。羽根無しラジアルディフューザーを備えた混合流れ式の遠心コンプレッサは、その意図する作動範囲の一部の範囲、又は、ある場合は、その全範囲にわたってディフューザーの回転停止を生じさせることがある。典型的には、ディフューザーのデザインがディフューザー通路内での流れの一部の分離を伴わずにすべての流れを収容できないので、ディフューザーの回転停止が生じる。
【0005】
ディフューザーの回転停止は、低周波数音響エネルギ又は脈動の発生を招く。脈動は、ガス流れ通路内で大きな振幅を有することがあり、コンプレッサ、その制御子又は、他の関連する部品/システムの早期の故障を招くことがある。遠心コンプレッサ内の停止状況を修正又は修繕する1つの技術は、可変形状ディフューザー内のディフューザー空間の閉鎖を含むことができる。ディフューザー空間の閉鎖は、またサージ状況に抵抗するコンプレッサの能力を向上させることができる。しかし、ディフューザーギャップの過剰な閉鎖は、コンプレッサを通る流量又は容量を減少させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,872,050号明細書
【特許文献2】米国特許第6,857,845号明細書
【特許文献3】米国特許第6,427,464号明細書
【特許文献4】米国特許第4,608,833号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0005]本発明は、冷媒蒸気を圧縮するように構成された遠心コンプレッサを有する液体チラー(chiller;冷却器)システムに関する。遠心コンプレッサは、未圧縮の冷媒蒸気を受け取るコンプレッサ入口と、圧縮された冷媒蒸気を排出するコンプレッサ出口とを有する。内部では、コンプレッサは、ディフューザーを通る圧縮された冷媒蒸気の流れ通路を変更するための調整可能なディフューザーリングを有する。液体チラーシステムは、またコンプレッサの出口及び入口間で接続された随意(optional)の高温ガスバイパス弁を含む。随意の高温ガスバイパス弁は、圧縮された冷媒蒸気の一部がコンプレッサの入口からコンプレッサの出口へ流れるのを許容するように、構成され、コンプレッサを通る最少の冷媒蒸気流量を維持するために使用される。
【0008】
液体チラーシステムは、更に遠心コンプレッサの安定的な作動を維持するようにディフューザー及び随意の高温ガスバイパス弁を制御するための安定制御システムを含む。安定制御システムは、遠心コンプレッサの停止状況の感知に応答してディフューザーリングを制御するための停止反応状態(stall reacting state)と、遠心コンプレッサのサージ状況の感知に応答してディフューザーリングを制御するためのサージ反応状態(surge reacting state)と、遠心コンプレッサ内での第2のサージ状況の感知に応答して随意の高温ガスバイパス弁を制御するための高温ガスオーバーライド状態(override state)と、ディフューザーリングのための最適の位置を得るようにディフューザーリングを制御するための探索状態(probing state)と、を有する。
【0009】
[0006]本発明は、更にコンプレッサと、閉冷媒回路(closed refrigerant circuit)に接続された凝縮器及び蒸発器を有するチラーシステムに関する。コンプレッサは、チラーシステムから未圧縮の冷媒蒸気を受け取るコンプレッサ入口と、圧縮された冷媒蒸気をチラーシステムへ排出するコンプレッサ出口とを有し、ディフューザーがコンプレッサ出口に隣接して位置する。ディフューザーは、コンプレッサ出口への圧縮された冷媒蒸気の通過を許容するように構成されたディフューザー空間を有し、ディフューザーリングがディフューザー空間を通る圧縮された冷媒蒸気の流れを制御するためにディフューザー空間の寸法を変更するようにディフューザー空間内で調整自在に位置する。チラーシステムは、またコンプレッサの安定的な作動を維持するようにコンプレッサ内の停止状況及びサージ状況の検出に応答してディフューザー空間内のディフューザーリングの位置を制御するための安定制御システムを含む。
【0010】
[0007]本発明は、また、コンプレッサ入口と、コンプレッサ出口と、調整可能な流れ通路を備えた可変形状ディフューザーと、を有する遠心コンプレッサの安定的な作動を維持するための安定制御システムに関する。安定制御システムは遠心コンプレッサ内での停止状況の感知に応答して可変形状ディフューザーの流れ通路を調整するための停止反応状態と、遠心コンプレッサ内でのサージ状況の感知に応答して可変形状ディフューザーの流れ通路を調整するためのサージ反応状態とを有する。
【0011】
[0008]本発明は、更に調整可能な流れ通路を備えた可変形状ディフューザーを有する遠心コンプレッサ内で安定制御を提供する方法に関する。この方法は、遠心コンプレッサの作動中に遠心コンプレッサ内のサージ状況を繰り返し感知する工程と、遠心コンプレッサの作動中に遠心コンプレッサ内の停止状況を繰り返し感知する工程と、所定のサージ反応時間期間だけ、遠心コンプレッサ内のサージ状況の検出に応答して可変形状ディフューザーの流れ通路を連続的に閉鎖する工程と、検出された停止状況が修正されるか又はサージ状況が検出されるまで、遠心コンプレッサ内の停止状況の検出に応答して可変形状ディフューザーの流れ通路を連続的に閉鎖する工程と、を含む。
【0012】
[0009]本発明は、また、コンプレッサの安定的な作動を維持するための制御システムに関する。制御システムは、コンプレッサ内の停止状況又はサージ状況のうちの1つの検出に応答してコンプレッサのディフューザーの流れ通路を閉鎖するように構成された少なくとも1つの第1の制御状態を含む。制御システムは、また、停止状況又はサージ状況が不存在の決定に応答してコンプレッサのディフューザーの流れ通路を開放するように構成された第2の制御状態を含む。
【0013】
[0010]本発明は、更に遠心コンプレッサ内の安定制御を提供する方法に関する。この方法は、遠心コンプレッサの作動中にサージ状況を繰り返し検出する工程と、遠心コンプレッサの作動中に停止状況を繰り返し検出する工程とを含む。方法は、また遠心コンプレッサ内でのサージ状況又は停止状況の検出に応答して遠心コンプレッサのディフューザーの流れ通路を閉鎖する工程と、停止状況又はサージ状況が不存在の検出に応答して遠心コンプレッサのディフューザーの流れ通路を開放する工程とを含む。
【0014】
[0011]本発明は、また蒸気圧縮システムに関する。蒸気圧縮システムは、閉ループとなって接続されたコンプレッサ、第1の熱交換器及び第2の熱交換器とを含む。コンプレッサは、未圧縮の蒸気を受け取るための入口と、圧縮された蒸気を排出するための出口とを含み、ディフューザーが出口の近傍に位置する。ディフューザーは、出口への圧縮された蒸気の流れを許容するように構成された通路と、通路を通る圧縮された蒸気の流れを制御するために通路の寸法を変更するように通路内に位置するリングとを有する。蒸気圧縮システムは、また、コンプレッサ内での停止状況及びサージ状況の存在又はコンプレッサ内での停止状況及びサージ状況の不存在のうちの一方に応答して通路内のリングの位置を調整するための制御システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、蒸気圧縮システムの例示的な実施の形態を概略的に示す。
【図2】図2は、遠心コンプレッサ及びディフューザーの例示的な実施の形態の部分断面図を示す。
【図3】図3は、図1の蒸気圧縮システムのための制御システムの例示的な状態線図を示す。
【図4】図4は、図1の蒸気圧縮システムのための制御システムの別の例示的な状態線図を示す。
【図5】図5は、蒸気圧縮システムの別の例示的な実施の形態を概略的に示す。
【図6】図6は、図5の蒸気圧縮システムのための制御システムの例示的な状態線図を示す。
【図7】図7は、図5の蒸気圧縮システムのための制御システムの別の例示的な状態線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019]図1は、加熱、通気及び空調(HVAC)、冷凍又は液体チラーシステムにおいて使用できる例示的な蒸気圧縮システムを概略的に示す。蒸気圧縮システム100は、モータ152により駆動されるコンプレッサ108、凝縮器112、膨張装置(図示せず)及び蒸発器126を通して例えば冷媒である流体を循環させることができる。システム100はまた制御パネル140を含むことができ、制御パネルは、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ148と、マイクロプロセッサ150と、不揮発性メモリ144と、インターフェイスボード146とを有することができる。蒸気圧縮システム100内で冷媒として使用できる流体のいくつかの例は、フッ化水素系炭素(HFC)基礎の冷媒(例えばR−410A)、二酸化炭素(CO;R−744)及び任意の他の形式の冷媒である。
【0017】
[0020]コンプレッサ108と一緒に使用されるモータ152は、可変速度ドライブ(VSD)により稼働することができるか、または、交流(AC)又は直流(DC)電源から直接稼働することができる。使用する場合、可変速度ドライブは、特定の固定のライン電圧及び固定のライン周波数を有するAC電力をAC電源から受け取り、可変の電圧及び周波数を有する電力をモータに供給する。モータ152は、VSDにより稼働できるか、または、AC又はDC電源から直接稼働できる任意の形式の電気モータとすることができる。たとえば、モータ152は、切換え磁気抵抗モータ、誘導モータ、電気的に整流される永久磁石モータ又は任意の他の適当なモータ形式とすることができる。代わりの実施の形態においては、コンプレッサ108を駆動するために、スチーム又はガスタービン又はエンジン及び関連する素子のような他の駆動機構を使用することができる。
【0018】
[0021]コンプレッサ108は、冷媒蒸気を圧縮し、排出ラインを通して凝縮器112へ圧縮された蒸気を供給する。例示的な実施の形態においては、コンプレッサ108は、遠心コンプレッサとすることができる。コンプレッサ108により凝縮器112へ送給された冷媒蒸気は、例えば水又は空気のような流体へ熱を伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果、凝縮器112内で冷媒液体に凝縮する。凝縮器112からの液体冷媒は、膨張装置(図示せず)を通って蒸発器126へ流れる。蒸発器126へ送給された液体冷媒は、例えば空気又は水のような流体から熱を吸収し、冷媒蒸気への位相変化を受ける。蒸気冷媒は、蒸発器126を出て、吸入ラインによりコンプレッサ108へ帰還し、サイクルを完成させる。
【0019】
[0022]図1に示す例示的な実施の形態においては、凝縮器112内の冷媒蒸気は、水と熱交換関係となり、冷却塔122に接続された熱交換器116を通って流れる。凝縮器112内の冷媒蒸気は、熱交換器コイル内の水との熱交換関係の結果、冷媒液体へと位相変化する。蒸発器126は、冷却負荷130に接続された供給ライン128S及び帰還ライン128Rを有する熱交換器128を含むことができる。熱交換器128は、蒸発器126内で複数のチューブ束を含むことができる。例えば水、エチレン、塩化カルシウムブレイン、塩化ナトリウムブレイン又は、任意の他の適当な補助の液体のような補助の液体は、帰還ライン128Rを介して蒸発器126内へ進行し、供給ライン128Sを介して蒸発器126から出る。蒸発器126内の液体冷媒は、熱交換器128内の補助の液体と熱交換関係となり、熱交換機コイル128内の補助の液体の温度を冷やす。蒸発器126内の冷媒液体は、熱交換器コイル128内の補助の液体との熱交換関係の結果、冷媒蒸気へと位相変化する。
【0020】
[0023]コンプレッサ108への入力即ち入口においては、コンプレッサ108への冷媒の流れを制御するために使用される1又はそれ以上の予備回転ベーン(PRV)又は入口ガイドベーン120が存在する。コンプレッサ108への冷媒の量を増大させ、それによって、システム100の容量を増大させるように、予備回転ベーン120を開くために、アクチュエータが使用される。同様に、アクチュエータは、コンプレッサ108への冷媒の量を減少させ、それによって、システム100の冷却容量を減少させるように、予備回転ベーン120を閉じるために使用される。
【0021】
[0024]図2は、遠心コンプレッサ及びディフューザーの例示的な実施の形態の部分断面図を示す。コンプレッサ108は、冷媒蒸気を圧縮するためのインペラ202を含む。次に、圧縮された蒸気は、ディフューザー119を通過する。ディフューザー119は、可変形状を有する羽根無しラジアルディフューザーとすることができる。可変形状ディフューザー(VGD)119は、ディフューザープレート206と、ノズルベースプレート208との間に形成された、冷媒蒸気の通過のためのディフューザー空間204を有する。ノズルベースプレート208は、ディフューザーリング210と一緒に使用するように構成される。
【0022】
ディフューザーリング210は、ディフューザー空間即ち通路204を通過する冷媒蒸気の速度を制御するために使用される。ディフューザーリング210は、通路を通って流れる蒸気の速度を増大させるためにディフューザー通路204内へ延びることができ、通路を通って流れる蒸気の速度を減少させるためにディフューザー通路204から引き戻すことができる。ディフューザーリング210は、ディフューザーの可変形状を提供するように電気モータにより駆動される調整機構212を使用して伸縮できる。1つの例示的な可変形状ディフューザーの作動及び素子の一層詳細な説明は、参照としてここに組み込む、2005年3月29日に発行された米国特許第6,872,050号明細書において提供される。
【0023】
[0025]制御パネル140は、システム100の性能を示す入力信号をシステム100から受け取ることのできるA/Dコンバータ148を有する。たとえば、制御パネル140により受け取られる入力信号は、予備回転ベーン120の位置、蒸発器126からの退去冷液体温度、蒸発器126及び凝縮器112の圧力、及び、コンプレッサ排出通路内の聴覚即ち音響圧力測定値を含むことができる。制御パネル140は、またシステム100の作動を制御するためにシステム100の素子へ信号を伝達するためのインターフェイスボード146を有する。たとえば、制御パネル140は、存在する場合の随意の高温ガスバイパス弁134の位置を制御し、また、可変形状ディフューザー119内のディフューザーリング210の位置を制御するように、予備回転ベーン120の位置を制御するために信号を伝達することができる。
【0024】
[0026]制御パネル140は、システム及びコンプレッサの安定性を維持するように、システム100の作動を制御するために、及び、特定のコンプレッサ状況に応答して可変形状ディフューザー119内でのディフューザーリング210の伸長及び引き戻しの時期を決定するために、制御アルゴリズム(algorithm;解法手順)を使用する。制御パネル140は、システム及びコンプレッサの安定性を維持するように、特定のコンプレッサ状況に応答して、存在する場合の随意の高温ガスバイパス弁134(図5乃至7を参照)を開閉するために、制御アルゴリズムを使用することができる。1つの実施の形態においては、制御アルゴリズムは、マイクロプロセッサ150により実行できる一連のインストラクションを有する、不揮発性メモリ144内に記憶されたコンピュータプログラムとすることができる。
【0025】
1つの例示的な実施の形態においては、制御アルゴリズムは、コンピュータプログラムに埋め込まれ、マイクロプロセッサ150により実行される。しかし、制御アルゴリズムは、デジタル及び/又はアナログハードウエアを使用して履行及び実行することができることを理解すべきである。制御アルゴリズムを実行するためにハードウエアを使用した場合、制御パネル140の対応する形状は、必要な素子を組み込むように、及び、もはや必要となくなることのある任意の素子(例えばA/Dコンバータ148)を除去するように、変更することができる。
【0026】
[0027]図3、4、6及び7は、コンプレッサ及びシステムの安定性を維持するための安定制御アルゴリズムの例示的な状態線図を表す。安定制御アルゴリズムは、システムのための他の制御アルゴリズム(例えば差動制御アルゴリズム)に関して別個のプログラムとして実行できるか、または、安定制御アルゴリズムは、システムの他の制御アルゴリズム内に組み込むことができる。図3に示すように、安定制御を図1のシステム100に提供するための安定制御アルゴリズムの例示的な実施の形態の状態線図300は、6つの制御状態を有することができる。制御状態は:始動/休止(シャットダウン)状態302と;停止待機状態304と;停止反応状態306と;探索状態308と;サージ待機状態310と;サージ反応状態312;とを含む。各制御状態は、特定の制御状態のための対応する制御操作を実行するために1又はそれ以上のプログラム又はアルゴリズム又は他の制御装置又は設備を含むことができる。
【0027】
[0028]始動/休止状態302は、システム100の作動中の安定制御アルゴリズム300における最初及び最後の制御状態である。不活動状態からシステム100を始動又は開始すると、安定制御アルゴリズム300は、始動/休止状態302に入る。同様に、システム100を停止即ち休止すべき場合、システム100を制御している別の制御アルゴリズム又は、安定制御アルゴリズム300からの休止コマンドに応答して、安定制御アルゴリズム300内の他の制御状態の任意の1つの状態から始動/休止状態302に入る。安定制御アルゴリズム300は、コンプレッサ108が始動するまで、始動/休止状態302に留まる。始動/休止状態302においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、完全に開いた位置即ち完全に引き戻された位置へ移動し、それによって、ディフューザー空間204を完全に開く。
【0028】
[0029]コンプレッサ108が始動した後に、停止待機状態304に入る。停止反応状態306における停止状況の修正に続いて、停止待機状態304に入ることができる。安定制御アルゴリズム300は、次の状況のうちの1つが生じるまで、停止待機状態304に留まる。このような次の状況とは:所定の停止待機期間が終了した状況;サージ状況が検出された状況;停止状況が検出された状況;または、予備回転ベーン120が所定のPRVオフセット量以上に移動した状況;である。予備回転ベーン120の運動は、コンプレッサの状況(例えば流れ及び/又はヘッド)が変化しており、可変形状ディフューザー119の調整が必要となることがあるというインジケータの表示とすることができる。
【0029】
例示的な実施の形態によれば、所定の停止待機期間は、約0.5分から約15分までの範囲とすることができ、約10分とすることができ、所定のPRVオフセット量は、予備回転ベーンの運動範囲の0%から約5%までの範囲とすることができ、約3%とすることができる。停止待機状態304においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210が先の状態内にあって、ディフューザー空間204の開放を保持又は維持しているような位置と同じ位置に保持又は維持される。
【0030】
[0030]停止待機状態304又は、探索状態308のいずれかにおけるコンプレッサ108の停止の検出に応答して、停止反応状態306に入る。コンプレッサの停止を検出するための例示的な技術の工程及び素子の一層詳細な説明は、参照としてここに組み込む、2005年2月22日に発行された米国特許第6,857,845号明細書において提供される。しかし、システムの停止を検出するために、任意の適当な停止検出技術を使用できることを理解すべきである。安定制御アルゴリズム300は、コンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、または、サージ状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、停止反応状態306に留まる。
【0031】
例示的な実施の形態によれば、停止状況は、対応する停止センサ電圧が所定の停止最小しきい電圧よりも小さくなったという事実に応答して、修正又は修繕されたものとみなされ、その所定の停止最小しきい電圧は、約0.4ボルトから約0.8ボルトの範囲とすることができ、約0.6ボルトとすることができる。停止反応状態306においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、コンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、閉位置の方へ連続的に延びて、ディフューザー空間204の開口を閉じる。停止反応状態306における停止状況が修正又は修繕されたとき、安定制御アルゴリズム300は、停止待機状態304へ戻る。
【0032】
[0031]所定の停止待機期間の終了又は停止待機状態304での所定のPRVオフセット量よりも大きな予備回転ベーン120の運動に応答して、探索状態308に入る。サージ待機状態310における所定のサージ待機期間の終了に続いて、探索状態308に入ることができる。安定制御アルゴリズム300は、コンプレッサ108内で停止状況又はサージ状況が検出されるまで、探索状態308に留まる。例示的な実施の形態によれば、停止状況は、対応する停止センサ電圧が所定の停止最大しきい電圧よりも大きくなったという事実に応答して、検出され、その所定の停止最大しきい電圧は、約0.6ボルトから約1.2ボルトの範囲とすることができ、約0.8ボルトとすることができる。探索状態308においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、サージ状況又は停止状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、開くか又は引き戻されて、ディフューザー空間204の開度を増大させる。
【0033】
例示的な実施の形態によれば、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、所定のパルス間隔を有するパルスによりトリガされる増分的な量又は段階ずつ開かれるか又は引き戻され、その所定のパルス間隔は、約0.5秒から約5秒までの範囲とすることができ、約1又は2秒とすることができる。例えばコンプレッサ容量の70%よりも小さいような一層小さなコンプレッサ負荷においては、停止状況は典型的には、サージ状況が生じることのできる前に、検出され、制御される。しかし、コンプレッサ容量の70%よりも大きいような一層大きなコンプレッサ負荷及び極めて高いヘッド又はリフトにおいては、サージ状況は探索状態308にある間に生じることがあり、これは本質的に一時的なもので、停止ノイズとして検出されない。
【0034】
[0032]停止待機状態304、停止反応状態306又は探索状態308のいずれかにおけるコンプレッサ108内でのサージの検出に応答して、サージ反応状態312に入る。コンプレッサ108内でサージを検出する例示的な技術のための工程及び素子の一層詳細な説明は、参照としてここに組み込む、米国特許第6,427,464号明細書において提供される。しかし、任意の適当なサージ検出技術をシステムと一緒に使用できることを理解すべきである。所定のサージ反応時間が終了するまで、安定制御アルゴリズム300は、サージ反応状態312に留まる。
【0035】
例示的な実施の形態によれば、所定のサージ反応時間は、約1秒から約30秒までの範囲とすることができ、約5秒とすることができる。サージ反応状態312においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、所定のサージ反応時間にわたって閉位置の方へ連続的に延びて、ディフューザー空間即ちギャップ204を減少させ、一層安定的なコンプレッサ作動容量を提供する。サージ反応時間期間は、可変形状ディフューザーリング機構212の全体の速度、アクチュエータモータの駆動及びサージ安定性を達成するために必要な所望のVGDリング210の運動応じて、変更することができる。
【0036】
[0033]サージ反応状態312においてコンプレッサ108内のサージ状況が修正又は修繕されたとき、サージ待機状態310に入る。安定制御アルゴリズム300は、所定のサージ待機期間が終了するか、または、コンプレッサ108が別のサージ状況に入るまで、サージ待機状態310に留まる。例示的な実施の形態によれば、所定のサージ待機期間は、約0.5分から約15分までの範囲とすることができ、約10分とすることができる。サージ待機状態310においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210が先の状態内にあって、ディフューザー空間204の開放を保持又は維持しているような位置と同じ位置に保持又は維持される。
【0037】
例示的な実施の形態においては、安定制御アルゴリズム300は、サージ待機状態310における別のサージ状況の検出に応答してサージ反応状態312へ再度入ることができる。代わりに、サージ待機状態310における別のサージ状況の検出に応答して、別の制御アルゴリズムを使用することができる。サージ事象は、コンプレッサを休止させる時期を決定するために独立的に又は制御アルゴリズムの一部としてカウントすることができる。短時間期間内で継続するサージの場合、安定制御アルゴリズム300又は別の制御アルゴリズムは、コンプレッサ108の損傷を回避するために警報又はコンプレッサ108の休止保護を提供することができる。そのほかは、サージ待機状態310における所定のサージ待機期間の終了に応答して、安定制御アルゴリズム300は探索状態308に入る。
【0038】
[0034]図4は、図3の状態制御線図と同様の制御システムのための別の例示的な状態線図を示すが、違いは、所定のサージ待機期間が終了するか、または、停止状況が検出されるか、または、コンプレッサ108が別のサージ状況に入るまで、安定制御アルゴリズム300は、サージ待機状態310に留まり、(サージ待機状態310、探索状態308又は停止待機状態304のいずれかから)コンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、または、サージ状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、安定制御アルゴリズム300は、停止反応状態306に留まることである。サージ待機状態310にある間に停止状況が生じた場合、安定制御アルゴリズム300は、サージ待機状態310におけるサージ待機期間のためのタイマーを中断又は中止させ、停止反応状態306に入る。
【0039】
サージ待機状態310からコンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、または、サージ状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、安定制御アルゴリズム300は、停止反応状態306に留まる。サージ待機状態310からコンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されたとき、安定制御アルゴリズム300は、サージ待機状態310へ再度入り、サージ待機状態310におけるサージ待機期間のためのタイマーを再始動させる。別の例示的な実施の形態においては、安定制御アルゴリズム300がサージ待機状態310へ再度入ったとき、サージ待機期間のためのタイマーは、完全な時間期間だけサージ待機状態310に留まるように再始動できる。
【0040】
[0035]図5は、蒸気圧縮システムの別の例示的な実施の形態を概略的に示す。図5に示す蒸気圧縮システム200は、図1に示す蒸気圧縮システム100と同様であるが、違いは、高温ガスバイパスライン132及び高温ガスバイパス(HGBP)弁134がコンプレッサ108の出口即ち排出部と予備回転ベーン120の入口との間で接続されていて、HGBP弁134が開いたときに、サージ状況の存在に応答して、コンプレッサの排出部からの圧縮された冷媒をコンプレッサ108の入口へ送給又は帰還させることができることである。HGBP弁134の位置は、もしあれば圧縮された冷媒の量を規制するように制御され、これはコンプレッサ108に提供される。HGBP弁のための例示的な制御工程の説明は、参照としてここに組み込む、上記米国特許第6,427,464号明細書において提供される。しかし、任意の適当なHGBP弁及び対応する制御プロセスをシステムと一緒に使用できることを理解すべきである。
【0041】
[0036]図6は、図5の蒸気圧縮システムのための制御システムのための例示的な状態線図を示す。図6に示すように、図5のシステムに安定制御を提供する安定制御アルゴリズムの実施の形態のための状態線図500は、図3に示し詳細に上述した安定制御アルゴリズム300のための状態線図と同様であるが、違いは、第7の制御状態である高温ガスオーバーライド状態314及び高温ガスオーバーライド状態314への対応する内部接続部を付加したことである。
【0042】
[0037]サージ反応状態312への可能な帰還又は安定制御アルゴリズム300に関して上述したような別のサージ状況の検出に応答しての別の制御アルゴリズムの使用の代わりに、サージ待機状態310の間にコンプレッサ108が第2のサージ状況を体験したことに応答して、高温ガスオーバーライド状態314に入る。安定制御アルゴリズム500は、システムを制御する別の制御アルゴリズムからのHGBP弁開放コマンドの検出に応答して、停止待機状態304、停止反応状態306又は探索状態308から高温ガスオーバーライド状態314へ入ることができる。HGBP弁開放コマンドは、参照としてここに組み込む、上記米国特許第6,427,464号明細書に記載されたように、または、任意の他の適当なHGBP弁を使用して、発生させることができる。
【0043】
安定制御アルゴリズム500は、HGBP弁134が閉位置へ帰還するまで、高温ガスオーバーライド状態314に留まる。高温ガスオーバーライド状態314においては、可変形状ディフューザー119のディフューザーリング210は、HGBP弁134が開位置にあるときにはいつでも適所に保持又は固定され、それによって、システムのヘッドが後に下降し、HGBP弁134が閉じたときに、同様のサージ安定の位置に可変形状ディフューザー119を保つために、ディフューザー空間204の開度を保持又は固定する。高温ガスオーバーライド状態314においてHGBP弁134が閉じたとき、安定制御アルゴリズム500は、停止待機状態304に入る。
【0044】
[0038]図7は、図6と同様の制御システムのための別の例示的な状態線図を示すが、違いは、所定のサージ待機期間が終了するか、停止状況が検出されるか、または、コンプレッサ108が別のサージ状況にはいるまで、安定制御アルゴリズム500がサージ待機状態310に留まり、(サージ待機状態310、探索状態308又は停止待機状態304のいずれかから)コンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、または、サージ状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、安定制御アルゴリズム500が停止反応状態306に留まることである。サージ待機状態310にある間に停止状況が生じた場合は、安定制御アルゴリズム500は、サージ待機状態310におけるサージ待機期間のためのタイマーを中断又は中止させ、停止反応状態306に入る。
【0045】
安定制御アルゴリズム500は、サージ待機状態310からコンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されるまで、または、サージ状況がコンプレッサ108内で検出されるまで、停止反応状態306に留まる。サージ待機状態310からコンプレッサ108内で検出された停止状況が修正又は修繕されたとき、安定制御アルゴリズム500は、サージ待機状態310に再度入り、サージ待機状態におけるサージ待機期間のためのタイマーを再始動させる。別の例示的な実施の形態においては、安定制御アルゴリズム500がサージ待機状態310に再度入ったとき、サージ待機期間のためのタイマーは、全時間期間に対してサージ待機状態310内に留まるように再始動することができる。
【0046】
[0039]例示的な実施の形態においては、モータ152は、モータ152の速度を変更する可変速度ドライブ(図示せず)に接続される。可変速度ドライブ(VSD)によるコンプレッサの速度の変更は、システムを通る冷媒蒸気の流量及びサージ状況に関するコンプレッサの安定性の双方に影響を及ぼす。安定制御アルゴリズム300、500は、可変速度ドライブに関連して使用することができる。可変速度ドライブを使用した場合、安定制御アルゴリズム300、500がサージ反応状態312にある間にサージが検出されたときに、一層速い速度でコンプレッサを作動させるために、システム作動パラメータ及びコンプレッサPRV位置情報を利用する適応容量制御ロジックを使用することができる。過去の性能パラメータは、適応容量制御ロジックにより未来のサージ状況を回避するためにメモリ内でマップ化又は記憶できる。例示的な適応容量制御工程の説明は、参照としてここに組み込む、米国特許第4,608,833号明細書において提供される。しかし、任意の適当な適応容量制御工程をシステムと一緒に使用できることを理解すべきである。
【0047】
[0040]本発明のある特徴及び実施の形態のみを図示し、説明したが、当業者なら、特許請求の範囲に記載した要旨の新規な教示及び利点から本質的に逸脱することなく、多くの修正及び変更(例えば、規模、寸法、構造、形状及び種々の素子の割合の変更、パラメータ(例えば、温度、圧力等)の値、装着構成、材料、色彩、方位の使用等)を行うことができる。任意のプロセス又は方法工程の順番又は順序は、代わりの実施の形態に従って変更又は順番変えできる。
【0048】
それ故、特許請求の範囲は、本発明の真の精神内に入るようなすべてのこのような修正及び変更をカバーすることを意図するものであることを理解すべきである。更に、例示的な実施の形態の簡潔な説明を提供する努力として、実際の履行のすべての特徴は述べなかった(即ち、本発明を実行する現時点で考えられる最良のモードに関係しないもの、または、特許請求の範囲の発明を可能にすることに関係しないものは述べなかった)。任意の技術的又は設計的なプロジェクトにおけるような、任意のこのような実際の履行の開発において、多くの履行上の特定の決定を行うことができることを認識すべきである。このような開発努力は、複雑で時間を消費するかもしれないが、それにも拘わらず、過度な経験を伴わずにこの開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作及び製造の日常の仕事であろう。
【符号の説明】
【0049】
100、200:蒸気圧縮システム、108:コンプレッサ、112:凝縮器、119:ディフューザー、120:予備回転ベーン、126:蒸発器、134:高温ガスバイパス弁、204:ディフューザー空間、210:ディフューザーリング、300、500:安定制御アルゴリズム、302:始動/休止状態、304:停止待機状態、306:停止反応状態、308:探索状態、310:サージ待機状態、312:サージ反応状態、314:高温ガスオーバーライド状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサの安定的な作動を維持するための制御システムであって、
コンプレッサ内の停止状況又はサージ状況のうちのいずれか一方の状況の検出に応答して、コンプレッサのディフューザーの流れ通路を閉じるように構成された少なくとも1つの第1の制御状態と、
停止状況又はサージ状況が存在しないとの決定に応答して、コンプレッサのディフューザーの流れ通路を開くように構成された第2の制御状態と、を有することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の制御状態が、前記停止状況の検出に応答して入る停止反応状態と、前記サージ状況の検出に応答して入るサージ反応状態と、を有することを特徴とする請求項1の制御システム。
【請求項3】
前記サージ反応状態が所定のサージ反応時間期間だけディフューザーの流れ通路を連続的に閉じるように構成され、前記停止反応状態は、検出された停止状況が修正されるか又はサージ状況が検出されるまで、ディフューザーの流れ通路を連続的に閉じるように構成されることを特徴とする請求項2の制御システム。
【請求項4】
サージ反応状態内で修正されたサージ状況に応答してディフューザーの流れ通路の寸法を維持するように構成されたサージ待機状態を更に有することを特徴とする請求項3の制御システム。
【請求項5】
前記サージ待機状態は、所定のサージ待機期間が終了するか、サージ状況が生じるか又は停止状況が生じるまで、ディフューザーの流れ通路の寸法を維持するように構成されることを特徴とする請求項4の制御システム。
【請求項6】
前記サージ待機状態内でのサージ状況の発生に応答してディフューザーの流れ通路の寸法を維持するように構成された高温ガスオーバーライド状態を更に有することを特徴とする請求項5の制御システム。
【請求項7】
前記サージ待機状態における停止状況の発生に応答して停止反応状態に入り、前記停止反応状態における停止状況の修正に応答してサージ待機状態に入ることを特徴とする請求項5の制御システム。
【請求項8】
前記停止反応状態における停止状況の修正又はコンプレッサの始動のうちの一方に応答してディフューザーの流れ通路の寸法を維持するように構成された停止待機状態を更に有することを特徴とする請求項3の制御システム。
【請求項9】
前記停止待機状態は、所定の停止待機期間が終了するか、予備回転ベーンが所定のしきい量以上に調整されるか、停止状況が生じるか、又はサージ状況が生じるかのいずれか1つまで、ディフューザーの流れ通路の位置を維持するように構成されることを特徴とする請求項8の制御システム。
【請求項10】
前記第2の制御状態は、停止状況が検出されるか又はサージ状況が検出されるまで、ディフューザーの流れ通路を増分的に開くように構成された探索状態を有することを特徴とする請求項1の制御システム。
【請求項11】
前記コンプレッサの始動前にディフューザーの流れ通路を完全に開くように構成された始動状態を更に有することを特徴とする請求項1の制御システム。
【請求項12】
遠心コンプレッサに安定制御を提供する方法であって、
遠心コンプレッサの作動中にサージ状況を繰り返し検出する工程と、
遠心コンプレッサの作動中に停止状況を繰り返し検出する工程と、
遠心コンプレッサにおけるサージ状況又は停止状況の検出に応答して、遠心コンプレッサのディフューザーの流れ通路を閉じる工程と、
停止状況又はサージ状況の不存在の決定に応答して、遠心コンプレッサのディフューザーの流れ通路を開く工程と、を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
前記ディフューザーの流れ通路を開く工程は、停止状況が検出されるか又はサージ状況が検出されるまで、遠心コンプレッサのディフューザーの流れ通路を増分的に開く工程を有することを特徴とする請求項12の方法。
【請求項14】
所定のサージ待機期間が終了するか、サージ状況が検出されるか、停止状況が検出されるかまで、サージ状況の修正に応答してディフューザーの流れ通路の寸法を維持する工程を更に有することを特徴とする請求項12の方法。
【請求項15】
前記遠心コンプレッサの停止に応答してディフューザーの流れ通路を完全に開く工程を更に有することを特徴とする請求項12の方法。
【請求項16】
所定の停止待機期間が終了するか、予備回転ベーンが所定のしきい量以上に移動するか、停止状況が検出されるか、又はサージ状況が検出されるかのいずれかの1つまで、遠心コンプレッサの停止状況の修正又は遠心コンプレッサの始動に応答してディフューザーの流れ通路の位置を維持する工程を更に有することを特徴とする請求項12の方法。
【請求項17】
蒸気圧縮システムであって、
閉ループに接続されたコンプレッサ、第1の熱交換器、及び第2の熱交換器、並びに制御システムを有し、
コンプレッサが、未圧縮の蒸気を受け取るための入口と、圧縮された蒸気を排出するための出口と、出口の近傍に位置するディフューザーと、を有し、
ディフューザーが、出口への圧縮された蒸気の流れを許容するように構成された通路と、通路を通る圧縮された蒸気の流れを制御するために通路の寸法を変更するように通路内に調整自在に位置するリングと、を有し、
制御システムがコンプレッサの停止状況及びサージ状況のうちの1つの存在、又はコンプレッサの停止状況及びサージ状況の不存在に応答して通路内のリングの位置を調整することを特徴とする蒸気圧縮システム。
【請求項18】
前記制御システムがサージ状況又は停止状況の存在に応答して通路内へリングを伸長させることを特徴とする請求項17の蒸気圧縮システム。
【請求項19】
前記制御システムがサージ状況の検出に応答して所定のサージ反応時間期間だけ通路内へリングを連続的に伸長させ、検出された停止状況が修正されるか又はサージ状況が検出されるまで、停止状況の検出に応答して通路内へリングを連続的に伸長させることを特徴とする請求項18の蒸気圧縮システム。
【請求項20】
前記出口と入口との間で接続され、出口から入口への圧縮された冷媒蒸気の一部の流れを許容するように構成された高温ガスバイパス弁を更に有し、制御システムが高温ガスバイパス弁の閉鎖に応答して通路内でリングを適所に維持することを特徴とする請求項17の蒸気圧縮システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−517745(P2011−517745A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504235(P2011−504235)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/040357
【国際公開番号】WO2009/129178
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】