説明

制御方法

【課題】 HDD上にシステムファイルが配置され、それから起動するシステムにおいて、
システムファイルの誤消去を防止し、システムファイルの改竄を困難にすることで、安定した動作を提供し、さらに高速にシステムを起動させる
【解決手段】 (1)ハードディスク上にパーティションリストに登録されない領域を確保する。
(2)独自のファイルシステムを使用し、システム起動用ファイルを配置する。
(3)システムをロードするローダが、上記領域上のシステム起動用ファイルをメモリに読み込んで起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムのオペレーティングシステムや制御プログラムを、ハードディスク装置等から起動する組み込み装置の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像複写装置は、装置内に大量の画像データを保持するため、ハードディスクなどの大容量の記憶装置を装備するようになっている。
【0003】
また、装置の制御プログラムも大きくなってきているため、従来主流であったEEPROMやFlash ROMに代わり、ハードディスクに保持するようになってきている。
【0004】
ハードディスクはパーティションで分割し、用途ごとに使用するパーティションを割り当てて使用している。また、そのパーティションは数珠つなぎになっている。
【0005】
各パーティションはPCと同じファイルシステムを使用しているケースが多い。
【0006】
上記の例として、下記特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2006-236193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、各パーティションは、FATやext2,3等の汎用ファイルシステムでフォーマットされ使用されるが、システムが汎用ファイルシステムのパーティション上に配置されると、誤消去する可能性が高くなってしまう。
【0008】
また、そのハードディスクをそのまま市販のPC等に接続することで、ハッキングされる可能性がある。
【0009】
また、パーティションは、用途やシステム動作仕様に従って複数用意するが、近年の機能の増加に伴い、パーティションの数も増加している。一方で、パーティション数は扱える上限が決まっているため、無闇に増やすことは避ける必要がある。
【0010】
各パーティションを構成しているファイルシステムは、システム起動後に使用できるようにするために、初期化処理がかかる。装置の起動時には、使用するパーティションごとに初期化を行うことになるが、その分起動時間がかかってしまう。この起動時間は短い方がいい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)ハードディスク上にパーティションリストに登録されない領域を確保する。
【0012】
(2)独自のファイルシステムを使用し、システム起動用ファイルを配置する。
【0013】
(3)システムをロードするローダが、上記領域上のシステム起動用ファイルをメモリに読み込んで起動する。
【発明の効果】
【0014】
パーティション数を増加させることなく、システム起動専用領域を確保できる。
【0015】
高速に起動できる。誤消去を防止できる。解析や改竄の可能性を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0017】
図4は、本実施例の構成を示す複写機であり、リーダ部1およびプリンタ部2の構成を示す断面図である。以下、構成および動作について説明する。
【0018】
リーダー部1の説明
原稿給送装置101上に積載された原稿は、1枚づつ順次原稿台ガラス面102上に搬送される。原稿がガラス面102の所定位置へ搬送されると、スキャナ部のランプ103が点灯、かつスキャナ・ユニット104が移動して原稿を照射する。原稿の反射光は、ミラー105、106、107、レンズ108を介してCCDイメージ・センサー部109(以下CCDと称する)に入力される。
図5は、上記のリーダ部1の信号処理構成を示す回路ブロック図であり、以下、構成および動作について説明する。
【0019】
CCD109に照射された原稿の反射光は、ここで光電変換され、レッド、グリーン、ブルーの各色の電気信号に変換される。CCD109からのカラー情報は、次の増幅器110R,110G,110BでA/D変換器111の入力信号レベルに合わせて増幅される。A/D変換器111からの出力信号は、シェーディング回路112に入力され、ここでランプ103の配光ムラや、CCDの感度ムラが補正される。シェーディング回路112からの信号は、Y信号・色検出回路113及び外部I/F切り替え回路119に入力される。
【0020】
Y信号生成・色検出回路113は、シェーディング回路112からの信号を下記の式で演算を行いY信号を得る。
【0021】
Y=0.3R+0.6G+0.1B
さらに、R,G,Bの信号から7つの色に分離し各色に対する信号を出力する色検出回路を有する。Y信号生成・色検出回路113からの出力信号は、変倍・リピート回路114に入力される。スキャナーユニット104の走査スピードにより副走査方向の変倍を、変倍回路・リピート回路114により主走査方向の変倍を行う。また変倍・リピート回路114により複数の同一画像を出力することが可能である。輪郭・エッジ強調回路115は、変倍・リピート回路114からの信号の高周波成分を強調することによりエッジ強調および輪郭情報を得る。輪郭・エッジ強調回路115からの信号は、マーカエリア判定・輪郭生成回路116とパターン化・太らせ・マスキング・トリミング回路117に入力される。
【0022】
マーカエリア判定・輪郭生成回路116は、原稿上の指定された色のマーカペンで書かれた部分を読みとりマーカの輪郭情報を生成し、つぎのパターン化・太らせ・マスキング・トリミング回路117でこの輪郭情報から太らせやマスキングやトリミングを行う。また、Y信号生成・色検出回路113からの色検出信号によりパターン化を行う。
【0023】
パターン化・太らせ・マスキング・トリミング回路117からの出力信号は、プリンタ部2に出力する場合は、後述する画像データセレクタ118により選択され、レーザドライバ回路119に入力され各種処理された信号をレーザを駆動するための信号に変換する。レーザドライバ119の出力信号は、プリンタ2に入力され可視像として画像形成が行われる。
【0024】
画像メモリ120は、画像データセレクタ118により送られた画像データをCPU122の指示により画像メモリ120の指定位置に後述する方法で、記憶及び読みだしを行い、回転処理、画像をメモリ上で合成する機能を行っている。
【0025】
コネクタ121は、装置外部と通信を行うためのインタフェースで、USBやIEEE1394等々で外部デバイスやPCや他の装置と接続される。
【0026】
CPU回路122はリーダ部1を制御するもので、制御プログラム、エラー処理プログラムなどを記憶するROM124と各種プログラムのワークエリアなどのために利用されるRAM125と各種タイマー制御部等から構成される。また、画像メモリ120に蓄積された画像データの中で必要なデータはCPU122の指示により、圧縮器126と通して圧縮しハードディスク127に蓄積される。ハードディスク127に記憶された画像データを、伸張器126を通してCPU122の指示により画像メモリ上に展開することも可能である。
【0027】
操作部123の説明
操作部123はリーダ部1の画像処理に対する画像編集内容、コピー枚数等の画像動作を指示する各種キー群と、操作時の内容を表示する表示部等を有している。図7は本実施例の操作部123の詳細を示したものである。この操作部123には、各種キーと、液晶表示装置からなるドットマトリックスで構成される液晶表示部250とが配置されている。
【0028】
液晶表示部7-250はタッチパネルであり、キー表示部を押下することにキー入力が出来る。
【0029】
ハードキー群240は、各種ハードキーであり、スタートキー7-241は、コピーをスタートする為のキーであり、復帰キー7-246は設定モードを標準状態に復帰するためのキーである。
【0030】
またキー群7-245は、コピー枚数、ズーム倍率等を入力させる0〜9までのテンキーとその入力をその入力をクリアするためのクリアキーである。このキー群で入力されたコピー部数は、液晶表示部7-253に表示される。ガイドキー7-247は、各機能のガイド画面を表示させるためのキーであり、ユーザーモードキー7-248は、機器の各種設定を行うためのキーである。
【0031】
液晶表示部7-250は、装置の状態、コピー枚数、倍率、選択用紙及び各種操作画面を表示する。液晶表示部7-250には、タッチキーも表示される。キー7-252は、給紙段及びオート用紙選択を選択するキーであり、このキーを押下すると 給紙段選択画面(図示しない)が表示される。この画面で給紙段を選択しOKキー7-270を押下すると、この画面は閉じ、表示部7-251に表示される。キー7-258・キー7-262は濃度調整を行うためのキーで、これにより調整される濃度は、表示部7-263に表示される。キー7-259は自動濃度調整機能をON/OFFするためのキーとその表示部である。
【0032】
キー7-254、キー7-255はそれぞれ等倍、縮小/拡大を設定するキーである。キー7-255を押下すると拡大縮小設定画面(図示しない)が表示され、拡大縮小を詳細に設定できる。倍率は、液晶表示部7-264にも表示される。
【0033】
キー7-260は応用モードキーであり、キー7-260を押下すると、各種モード設定画面に移行する。
【0034】
画像メモリ部120の説明
図8、図9、を用いて画像の記憶方法、読みだし用法について説明する。図8(1)は、画像メモリの1つの記憶容量を示したもので、本実施例では、600dpi基準でA3サイズの記憶ができるもので、縦7015x横9920ビットで構成される。この記憶領域が図6に示す様に画像レイアウト領域1つとキャラクタ用データ1つと画像記憶領域として、100枚分の画像が記憶できる様に構成されている。続いて図8(2)を用いて原稿画像を画像メモリに記憶する場合の例を示したものである。(2a)のようにおかれた原稿は、図に示す様に矢印の方向に順次読み込まれ、先ず、1ライン目が読み込まれると、(2b)に示されるように(0、0)アドレスをスタート位置にX方向のカウントアップ、Y方向のカウントアップに指定して、先ず1ライン目が読み込まれるとY方向のカウンタが(0、7015)方向に順に書き込まれる。次に2ライン目が読み込まれると、X方向のカウンタがアップされ(1、0)アドレスから(1、7015)アドレス方向に順に書き込まれる。次に3ライン目が読み込まれると、X方向のカウンタがアップされ(2、0)アドレスから(2、7015)アドレスまで書き込まれる。この様に読み込み、書き込みを繰り返して(4960、7015)まで書き込まれる。
【0035】
次に(2)を用いてメモリに書き込まれた画像データを読み出す処理を(3)(4)を用いて説明する。(3)で記憶されたデータは、(3a)に示す様に先ず、1ライン目は、(4960、0)アドレスをスタート位置に、Xカウンタを順にカウントダウン、Y方向のカウンタをアップに指定して(0、0)方向にXカウンタを順にダウンしながら読みだす。つぎにYカウンタをアップさせ、2ライン目の読みだしが行われ、(4960、1)アドレスから(0、1)の方向に読みだし、順次このように読み出す事により(3b)の画像を読み出すことができる。
【0036】
(4)では記憶されたデータは、(4b)に示す様に先ず1ライン目は(0、0)のアドレスをスタート位置にし、X方向のカウンタをアップ、Y方向のカウンタをダウンに指定して(0、7015)の方向にYカウンタを順次アップしながら読み出す。次にXカウンタをアップさせ、2ライン目の読みだしが行われ、(1、0)アドレスから(1、7015)方向に読みだし、順次この様に読み出すことにより、(4b)の読みだしをおこなうことができる。従って、(2a)に示すA4幅の原稿を(3)の方向で読み出すことで画像を回転しないで読み出すことができる。
【0037】
また、(4c)に示すようにまず1ライン目は(4960、7015)アドレスをスタート位置にYカウンタをカウントダウンし(4960、0)まで順次読み出す。2ライン目はXカウンタをカウントダウンさせ、(4959、7015)からYカウンタをカウントダウンし、(4959,0)まで順読み出す。順次このように読み出すことにより(4d)の180度回転した画像を読み出すことができる。
【0038】
図9の画像レイアウトメモリについて説明する。前述したように(5a)(5b)のような個々に記憶された画像を読みだし、画像レイアウトメモリの所望の位置に画像を書き込むことにより(5c)に示すように別々の原稿画像をメモリ上で合成することができる。
【0039】
ハードディスク部127の説明
図10は、画像/管理データ蓄積用HDD127であり、CPU122に指示された場合に圧縮器126を用いてHDD127に格納する。このとき圧縮器126が圧縮用にメモリが必要な場合は、図9に示す、符号化用テンポラリ1もしくは符号用テンポラリ2メモリを一時使用し、符号化したデータをHDD127に蓄積する。
【0040】
HDD127は図1に示すように、領域を分けて使用する。ユーザーBOX領域、管理領域、汎用データ領域は、ファイルシステムが適用されており、ファイル単位のアクセスが可能ある。ユーザーBOX領域は、ユーザーBOX機能を実現するための、ファイル名/ユーザー名などがBOX毎に記載されたファイルが格納されている。管理領域は、本発明の画像差分管理用のデータが蓄積されている。画像データ領域、一時データ領域は、画像フォーマット専用のファイルシステムが適用されており、画像のみの入出力が可能である。一時データ領域は、一時的に使用される画像データ領域であり、電源ON時に消去される領域であり、コピー機能などに用いられる。
【0041】
上記の領域は、HDD上はパーティションという構造で区切られている。図1はパーティション構成の一例である(パーティションの数はシステムごとに異なる)。HDDは、セクタと呼ばれる512byte のブロック単位で使用可能であり、HDD上の先頭のセクタに記録されている情報をMBR(Master Boot Record:マスターブートレコード)と呼ぶ。MBRには、基本1、基本2、基本3、拡張の4パーティションの位置情報(先頭セクタ及びセクタ数)が記録されている。また、拡張パーティションはさらに拡張1〜12に分割され、拡張1には拡張1及び拡張2の位置情報が記録されており、以下、各拡張パーティションには、そのパーティションと次の拡張パーティションの位置情報が記録されている。このように、HDD上のパーティションの構成は数珠つなぎにHDD上に記録されている。
【0042】
図2は、本実施例のシステム起動方法において使用されるHDDのパーティション構成図であり、図1と比較して、MBRと基本1との間に起動用の領域が確保されている。この起動用領域は、その位置情報がMBRには記載されず、パーティションとしては認識されない。
【0043】
プリンタ部2の説明
図4を参照しながらプリンタ部2の構成および動作について説明する。
【0044】
プリンタ部2に入力された画像信号は、露光制御部201にて変調された光信号に変換されて感光体202を照射する。照射光によって感光体202上に作られた潜像は現像器203によって現像される。上記現像像の先端とタイミングを併せて転写紙積載部204、もしくは205より転写紙が搬送され、転写部206に於て、上記現像された像が転写される。転写された像は定着部207にて転写紙に定着された後、排紙部208より装置外部に排出される。排紙部208から出力された転写紙は、製本ユニット230にうけわたされる。製本ユニット230は、処理内容により転写紙の進行方向を変更することにより後処理を行う。パンチ機能が働いている場合は、パンチユニット290においてパンチ穴あけを行ために方向変更材232、235を制御し、パンチユニット290に導く。同様にステイプル機能がはたらいている場合も、ステイプルユニット280においてステイプルを行うために、方向変更材232、235を制御する。ステイプルユニットは、ステイプルの種類に応じたステイプルを行う。
【0045】
図4において、上記に説明の無いものは、本発明に無関係であるため特に説明しない。
【0046】
図3の7801は本発明を適用前のシステム起動状況のタイムチャートである。
7811に実施例のタイムチャートを記載する。
【0047】
7802は実施例の手法で、システム制御プログラムを高速でロードすることによって短縮可能である。
【0048】
このようにシステム起動プログラムを配置するフォーマットを変更することにより、起動時間の高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】パーティション図
【図2】パーティション図
【図3】実施例における処理時間の図
【図4】断面図
【図5】回路ブロック図
【図6】回路ブロック図
【図7】操作部の図
【図8】画像記憶方法の図
【図9】画像記憶領域の図
【図10】画像記憶領域の図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のロードプログラムを記憶媒体から読み出すステップと
第一のロードプログラムが、第二のロードプログラムを記憶媒体から読み出すステップと、
第二のロードプログラムがシステム起動プログラムを記憶媒体から読み出すステップと、
システム起動プログラムがシステムを起動するステップとを有する制御方法であって、
第二のロードプログラムは、記憶媒体の領域のうち第二のロードプログラムおよびシステム起動プログラムが認識できない領域に配置されていることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−265977(P2009−265977A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115306(P2008−115306)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】