説明

制御装置、バッテリシステム、電動車両、移動体、電力貯蔵装置および電源装置

【課題】バッテリセルの寿命を長期化することが可能な制御装置、バッテリシステム、電動車両、移動体、電力貯蔵装置および電源装置を提供する。
【解決手段】主電池モジュール100のSOCが時間軸方向で変化するSOC期待値関数に追従するように、電力入力部INからの入力電力による主電池モジュール100および補助電池モジュール200の少なくとも一方の充電がバッテリECU300により制御されるとともに、主電池モジュール100および補助電池モジュール200の少なくとも一方の放電による電力出力部OUTへの電力の供給がバッテリECU300により制御される。また、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値関数に追従するように、主電池モジュール100と補助電池モジュール200との間の充電および放電がバッテリECU300により制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置およびそれを備えたバッテリシステム、電動車両、移動体、電力貯蔵装置および電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動自動車等の移動体または電力を貯蔵する電源装置には、充放電可能なバッテリセルを含むバッテリシステムが用いられる。このようなバッテリセルの寿命は、その使用のされ方により変化することが知られている。特許文献1には、二次電池の寿命を長期化するための電気自動車の電源装置制御方法が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された電源装置制御方法においては、主電源および副電源を含む電源装置が負荷装置に接続される。主電源は、設定された一定の値で電流を供給する。ここで、負荷装置が必要とする電流が主電源から供給される電流に満たない場合、その差分の電流が副電源へ供給される。この場合、副電源は充電される。一方、負荷装置が必要とする電流が主電源から供給される電流よりも大きい場合、その差分の電流が副電源により供給される。この場合、副電源は放電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−80008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電源装置制御方法においては、供給電流の急激な変化を抑えることにより、主電源の寿命を長期化することができると記載されている。リチウムイオン電池等の二次電池には、充放電を繰り返すことにより劣化する寿命(サイクル寿命)および高い充電状態が保持されることにより劣化する寿命(カレンダー寿命)があることが知られている。しかしながら、特許文献1の電源装置制御方法では、負荷装置が必要とする電流が頻繁に変化する場合、バッテリセルの充放電の繰り返しの頻度が高くなる。また、負荷装置に長期間電流が供給されない場合、バッテリセルが高い充電状態で長期間保持される。そのため、サイクル寿命またはカレンダー寿命の制限により、主電源の寿命を長期化することができない。
【0006】
本発明の目的は、バッテリセルの寿命を長期化することが可能な制御装置、バッテリシステム、電動車両、移動体、電力貯蔵装置および電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバッテリシステムは、バッテリセルを含む主電池モジュールと、主電池モジュールに接続される補助電池モジュールと、主電池モジュールの充電状態が予め設定された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、外部から供給される電力による主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の充電を制御し、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給を制御するとともに、主電池モジュールと補助電池モジュールとの間の充電および放電を制御する制御装置とを備えるものである。
【0008】
ここでいう充電状態とは、例えば、満充電容量に対する残容量の比率で表すSOC(State of Charge)で定義される。すなわち、その目標関数とは、時間を変数に持ちSOCの値を与える関数を意味する。
【0009】
目標関数の時間軸方向での変化とは、例えば、ある第1の時点での目標関数の値とその後の第2の時点での目標関数の値との間の変化を意味する。時間軸方向での変化は、周期的変化を含む。周期的変化とは、変化の繰り返しを少なくとも1周期含んでいればよく、各周期が同一の時間幅を有しなくてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッテリセルの寿命を長期化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係るバッテリシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】バッテリシステムの電力供給の制御を示すフローチャートである。
【図3】バッテリシステムの電力供給の制御を示すフローチャートである。
【図4】バッテリシステムの電力供給の制御を示すフローチャートである。
【図5】バッテリシステムの電力供給の制御を示すフローチャートである。
【図6】バッテリシステムの電力供給の制御を示すフローチャートである。
【図7】第1の制御例における主電池モジュールおよび補助電池モジュールのSOCのシミュレーションの結果を示す図である。
【図8】第2の制御例における主電池モジュールおよび補助電池モジュールのSOCのシミュレーションの結果を示す図である。
【図9】第3の制御例における主電池モジュールおよび補助電池モジュールのSOCのシミュレーションの結果を示す図である。
【図10】バッテリシステムを備える電動自動車の構成を示すブロック図である。
【図11】バッテリシステムを備える電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施の形態に係るバッテリシステムは、バッテリセルを含む主電池モジュールと、主電池モジュールに接続される補助電池モジュールと、主電池モジュールの充電状態が予め設定された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、外部から供給される電力による主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の充電を制御し、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給を制御するとともに、主電池モジュールと補助電池モジュールとの間の充電および放電を制御する制御装置とを備えるものである。
【0013】
このバッテリシステムにおいては、主電池モジュールの充電状態が時間軸方向で変化する目標関数ンに追従するように、外部から供給される電力による主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の充電が制御装置により制御される。また、主電池モジュールの充電状態が時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給が制御装置により制御される。さらに、主電池モジュールの充電状態が時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、主電池モジュールと補助電池モジュールとの間の充電および放電が制御装置により制御される。
【0014】
そのため、主電池モジュールの充電状態を目標関数に追従させつつ、外部の負荷へ電力を供給することができる。この場合、目標関数を適切に設定することにより、外部の負荷への電力の供給状態にかかわらず、主電池モジュールの充放電の頻度を制御することができる。これにより、サイクル寿命による主電池モジュールの劣化を緩和することができる。
【0015】
また、目標関数を適切に設定することにより、主電池モジュールが高い充電状態または低い充電状態で長期間維持されることを防止することができる。これにより、カレンダー寿命による主電池モジュールの劣化を緩和することができる。これらの結果、主電池モジュールの寿命を長期化することができる。
【0016】
さらに、目標関数を適切に設定することにより、補助電池モジュールにより外部の負荷へ電力を供給しつつ主電池モジュールの充電状態を一時的に所定の値に設定すること、および所定の期間において主電池モジュールの充電状態を特定の目標関数に追従させることができる。それにより、主電池モジュールの充電状態の測定精度向上に資することが可能となる。
【0017】
制御装置は、目標関数と主電池モジュールの充電状態との比較結果と、外部から供給される電力、外部の負荷から要求される電力および補助電池モジュールに蓄積される電力の少なくとも1つとに基づいて、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの充電および放電を制御してもよい。
【0018】
この場合、目標関数との主電池モジュールの充電状態との比較結果と、外部から供給される電力、外部の負荷から要求される電力および補助電池モジュールに蓄積される電力の少なくとも1つとに基づいて、主電池モジュールが外部もしくは補助電池モジュールから供給される電力により充電されるか、または主電池モジュールが放電されることにより外部の負荷もしくは補助電池モジュールへ電力が供給される。これにより、主電池モジュールの充電状態を目標関数に確実に追従させつつ、外部の負荷へ要求される電力を供給することができる。
【0019】
制御装置は、目標関数に基づいて、補助電池モジュールの放電による主電池モジュールの充電、および主電池モジュールの放電による補助電池モジュールの充電を選択的に行ってもよい。
【0020】
この場合、主電池モジュールを充電するための電力の一部または全部が補助電池モジュールの放電により供給される。これにより、例えば外部から電力が供給されない場合でも主電池モジュールを充電することができる。また、補助電池モジュールを充電するための電力の一部または全部が主電池モジュールの放電により供給される。これにより、例えば外部から電力が供給されない場合でも補助電池モジュールを充電することができる。したがって、外部の負荷へ電力が供給されない場合に、電力を無駄にすることなく主電池モジュールおよび補助電池モジュールに電力を蓄積することができる。
【0021】
制御装置は、主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも小さい場合に、外部から供給される電力および補助電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により主電池モジュールが充電されるように外部および補助電池モジュールからの電力の供給を制御し、主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも大きい場合に、外部の負荷および補助電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により主電池モジュールが放電されるように外部の負荷および補助電池モジュールへの電力の供給を制御してもよい。
【0022】
この制御によれば、主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも小さい場合、外部から供給される電力および補助電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により主電池モジュールが充電される。これにより、主電池モジュールを充電することができる。また、主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも大きい場合、外部の負荷および補助電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により主電池モジュールが放電される。これにより、電力を無駄にすることなく主電池モジュールを放電することができる。
【0023】
制御装置は、外部から供給される電力が外部の負荷から要求される電力よりも大きくかつ主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも大きい場合に、外部から供給される電力および主電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により補助電池モジュールが充電されるように外部および主電池モジュールからの電力の供給を制御し、外部から供給される電力が外部の負荷から要求される電力よりも小さい場合、または主電池モジュールの充電状態が目標関数の値よりも小さい場合に、外部の負荷および主電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により補助電池モジュールが放電されるように外部の負荷および主電池モジュールへの電力の供給を制御してもよい。
【0024】
この場合、外部および主電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により補助電池モジュールが充電される。また、外部の負荷および主電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により補助電池モジュールが放電される。これにより、主電池モジュールの充電状態を目標関数に追従させつつ補助電池モジュールを充電および放電することができる。
【0025】
本発明の他の実施の形態に係る制御装置は、バッテリセルを含む主電池モジュールおよび主電池モジュールに接続される補助電池モジュールに接続され、時間軸方向で変化するように予め設定された主電池モジュールの充電状態の目標関数を記憶する記憶部と、主電池モジュールの充電状態が目標関数に追従するように、外部から供給される電力による主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の充電を制御し、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給を制御するとともに、主電池モジュールと補助電池モジュールとの間の充電および放電を制御する電源制御部とを備えるものである。
【0026】
この制御装置によれば、主電池モジュールの充電状態が記憶部に記憶された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、外部から供給される電力による主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の充電が電源制御部により制御される。また、主電池モジュールの充電状態が記憶部に記憶された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、主電池モジュールおよび補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給が電源制御部により制御される。さらに、主電池モジュールの充電状態が記憶部に記憶された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、主電池モジュールと補助電池モジュールとの間の充電および放電が制御装置により制御される。
【0027】
そのため、主電池モジュールの充電状態を目標関数に追従させつつ、外部の負荷へ電力を供給することができる。この場合、目標関数を適切に設定することにより、外部の負荷への電力の供給状態にかかわらず、主電池モジュールの充放電の頻度を制御することができる。これにより、サイクル寿命による主電池モジュールの劣化を緩和することができる。
【0028】
また、目標関数を適切に設定することにより、主電池モジュールが高い充電状態または低い充電状態で長期間維持されることを防止することができる。これにより、カレンダー寿命による主電池モジュールの劣化を緩和することができる。これらの結果、主電池モジュールの寿命を長期化することができる。
【0029】
さらに、目標関数を適切に設定することにより、補助電池モジュールにより外部の負荷へ電力を供給しつつ主電池モジュールの充電状態を一時的に所定の値に設定すること、および所定の期間において主電池モジュールの充電状態を特定の目標関数に追従させることができる。それにより、主電池モジュールの充電状態の測定精度向上に資することが可能となる。
【0030】
本発明のさらに他の実施の形態に係る電動車両は、上記バッテリシステムと、バッテリシステムの主電池モジュールからの電力により駆動されるモータと、モータの回転力により回転する駆動輪とを備えるものである。
【0031】
この電動車両においては、主電池モジュールからの電力によりモータが駆動される。そのモータの回転力によって駆動輪が回転することにより、電動車両が移動する。
【0032】
この電動車両には、上記バッテリシステムが用いられるので、電動車両の主電池モジュールの寿命を長期化することができる。そのため、電動車両の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0033】
本発明のさらに他の実施の形態に係る移動体は、上記バッテリシステムと、移動本体部と、バッテリシステムの主電池モジュールからの電力を移動本体部を移動させるための動力に変換する動力源と、動力源により変換された動力により移動本体部を移動させる駆動部とを備えるものである。
【0034】
この移動体においては、バッテリシステムからの電力が動力源により動力に変換され、その動力により駆動部が移動本体部を移動させる。
【0035】
この移動体には、上記バッテリシステムが用いられるので、移動体の主電池モジュールの寿命を長期化することができる。そのため、移動体の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0036】
本発明のさらに他の実施の形態に係る電力貯蔵装置は、上記バッテリシステムと、バッテリシステムの主電池モジュールの充電または放電に関する制御を行うシステム制御部とを備えるものである。
【0037】
この電力貯蔵装置においては、システム制御部により、主電池モジュールの充電または放電に関する制御が行われる。それにより、主電池モジュールの劣化、過放電および過充電を防止することができる。
【0038】
この電力貯蔵装置には、上記バッテリシステムが用いられるので、電力貯蔵装置の主電池モジュールの寿命を長期化することができる。そのため、電力貯蔵装置の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0039】
本発明のさらに他の実施の形態に係る電源装置は、外部に接続可能であり、上記電力貯蔵装置と、電力貯蔵装置のシステム制御部により制御され、電力貯蔵装置のバッテリシステムの主電池モジュールと外部との間で電力変換を行う電力変換装置とを備えるものである。
【0040】
この電源装置においては、主電池モジュールと外部との間で電力変換装置により電力変換が行われる。電力変換装置が電力貯蔵装置のシステム制御部により制御されることにより、主電池モジュールの充電または放電に関する制御が行われる。それにより、主電池モジュールの劣化、過放電および過充電を防止することができる。
【0041】
この電源装置には、上記バッテリシステムが用いられるので、電源装置の主電池モジュールの寿命を長期化することができる。そのため、電源装置の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0042】
[1]第1の実施の形態
以下、第1の実施の形態に係るバッテリシステムについて図面を参照しながら説明する。バッテリシステムは、電力を駆動源とする電動車両等の移動体または電力貯蔵装置を有する電源装置等に搭載される。また、バッテリシステムは、充放電が可能なバッテリセルを備える民生機器等に搭載することもできる。
【0043】
(1)バッテリシステムの構成
図1は、第1の実施の形態に係るバッテリシステムの構成を示すブロック図である。第1の実施の形態に係るバッテリシステム500は、主電池モジュール100、補助電池モジュール200およびバッテリECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)300を含む。また、バッテリシステム500は、電力入力部INおよび電力出力部OUTを含む。さらに、バッテリシステム500は、主電池モジュール100の状態監視および保護等のバッテリマネジーメント機能を含んでもよい。本形態では、主電池モジュール100および補助電池モジュール200は並列に接続される。
【0044】
主電池モジュール100は複数のバッテリセル10を含む。主電池モジュール100内において、複数のバッテリセル10は直列接続される。主電池モジュール100が並列接続された複数のバッテリセル10を含んでもよく、直列接続および並列接続された複数のバッテリセル10を含んでもよい。また、主電池モジュール100が直列および並列に接続された複数のバッテリセル10からなるバッテリパックを含んでもよい。さらに、主電池モジュール100が単一のバッテリセル10を含んでもよい。各バッテリセル10は二次電池である。本形態では、二次電池としてリチウムイオン電池が用いられる。本形態においては、直列に接続された複数のバッテリセル10がバッテリモジュールを構成する。主電池モジュール100は、補助電池モジュール200、電力入力部INおよび電力出力部OUTとの間で充放電可能に接続される。主電池モジュール100は、バッテリECU300による制御に基づいて充放電を行う。
【0045】
補助電池モジュール200は、電気二重層キャパシタ等の充放電可能な大容量キャパシタである。補助電池モジュール200として、鉛蓄電池を用いてもよい。また、補助電池モジュール200として、主電池モジュール100と同様の構成を有するバッテリモジュールを用いてもよい。補助電池モジュール200は、主電池モジュール100、電力入力部INおよび電力出力部OUTとの間で充放電可能に接続される。補助電池モジュール200は、バッテリECU300による制御に基づいて充放電を行う。
【0046】
バッテリECU300は、例えばCPU(中央演算処理装置)310およびメモリ320等を含む。バッテリECU300はマイクロコンピュータであってもよい。バッテリECU300は、バスBSを介して主電池モジュール100、補助電池モジュール200、電力入力部INおよび電力出力部OUTに通信可能に接続される。バッテリECU300は、主電池モジュール100および補助電池モジュール200の少なくとも一方の充放電に関する制御を行う。本形態では、主電池モジュール100および補助電池モジュール200の双方の充放電に関する制御を行う。
【0047】
電力入力部INは、例えば充電回路である。電力出力部OUTは、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータまたは電動車両のモータ、家電製品、屋内設備、工場設備もしくは据え置き型蓄電装置等の負荷へ電力を供給するための電力供給回路である。電力入力部INには、商用電源または太陽電池等からの電力が入力される。電力入力部INには、電動車両の回生電力が入力されてもよい。電力入力部INに入力される電力を、以下、入力電力と呼ぶ。電力入力部INは、入力電力に基づいて、主電池モジュール100、補助電池モジュール200および電力出力部OUTに電力を供給する機能を有する。電力出力部OUTは、供給された電力を負荷に出力する。電力出力部OUTから出力される電力を、以下、出力電力と呼ぶ。本形態では、電力入力部INからはDC(直流)電力が供給される。電力出力部OUTにはDC電力が入力される。電力出力部OUTからはDCまたはAC(交流)電力が供給される。電力出力部OUTは、DC/DC(直流/直流)コンバータまたはDC/AC(直流/交流)コンバータを内蔵してもよい。また、電力入力部INおよび電力出力部OUTは、電力の入力機能および出力機能を有する1つの電力入出力部として構成されてもよい。
【0048】
以下の説明において、電力入力部INまたは補助電池モジュール200が主電池モジュール100に電力を供給することは、主電池モジュール100を充電することを意味する。電力入力部INまたは主電池モジュール100が補助電池モジュール200に電力を供給することは、補助電池モジュール200を充電することを意味する。また、主電池モジュール100が補助電池モジュール200または電力出力部OUTへ電力を供給することは、主電池モジュール100を放電することを意味する。補助電池モジュール200が主電池モジュール100または電力出力部OUTへ電力を供給することは、補助電池モジュール200を放電することを意味する。
【0049】
図1において、電力入力部INから主電池モジュール100、補助電池モジュール200および電力出力部OUTへの電力の供給をそれぞれ矢印a,b,cで示す。主電池モジュール100および補助電池モジュール200から電力出力部OUTへの電力の供給をそれぞれ矢印d,eで示す。主電池モジュール100から補助電池モジュール200への電力の供給を矢印fで示し、補助電池モジュール200から主電池モジュール100への電力の供給を矢印gで示す。入力電力を矢印hで示し、出力電力を矢印iで示す。
【0050】
このバッテリシステム500においては、主電池モジュール100の充電状態が時間軸方向で変化する後述のSOC期待値関数に追従するように、電力入力部INから供給される電力による主電池モジュール100および補助電池モジュール200の少なくとも一方の充電がバッテリECU300により制御される。また、主電池モジュール100の充電状態が時間軸方向で変化するSOC期待値関数に追従するように、主電池モジュール100および補助電池モジュール200の少なくとも一方の放電による電力出力部OUTへの電力の供給がバッテリECU300により制御される。さらに、主電池モジュール100の充電状態が時間軸方向で変化するSOC期待値関数に追従するように、主電池モジュール100と補助電池モジュール200との間の充電および放電がバッテリECU300により制御される。
【0051】
SOC期待値関数の時間軸方向での変化とは、例えば、ある第1の時点でのSOC期待値関数の値とその後の第2の時点でのSOC期待値関数の値との間の変化を意味する。周期的変化とは、変化の繰り返しを少なくとも1周期含んでいればよく、各周期が同一の時間幅を有しなくてもよい。本形態では、時間軸方向での変化の例として、SOC期待値関数が周期的に変化する例について説明する。
【0052】
そのため、主電池モジュール100の充電状態をSOC期待値関数に追従させつつ、電力出力部OUTへ電力を供給することができる。この場合、SOC期待値関数を適切に設定することにより、電力出力部OUTの電力の供給状態にかかわらず、主電池モジュール100の充放電の頻度を制御することができる。これにより、サイクル寿命による主電池モジュール100の劣化を緩和することができる。
【0053】
また、SOC期待値関数を適切に設定することにより、主電池モジュール100が高い充電状態または低い充電状態で長期間維持されることを防止することができる。これにより、カレンダー寿命による主電池モジュール100の劣化を緩和することができる。これらの結果、主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。
【0054】
さらに、SOC期待値関数を適切に設定することにより、補助電池モジュール200により電力出力部OUTへ電力を供給しつつ主電池モジュール100の充電状態を一時的に所定の値に設定することができる。それにより、主電池モジュール100の充電状態の測定精度向上に資することが可能となる。
【0055】
(2)SOC期待値関数
以下の説明では、満充電状態での主電池モジュール100に蓄積される電荷量を満充電容量と呼ぶ。任意の状態で主電池モジュール100に蓄積されている電荷量を残容量と呼ぶ。主電池モジュール100の満充電容量に対する残容量の比率を充電率(SOC)と呼ぶ。充電状態には、SOC、開放電圧、残容量、放電深度、電流積算値および蓄電量差等があるが、本実施の形態では、主電池モジュール100の充電状態の一例として主電池モジュール100のSOCを用いる。
【0056】
図1のバッテリシステム500では、以下に説明する制御により主電池モジュール100のSOCを予め設定される変化パターンに追従して変化させることができる。予め設定されるSOCの変化パターンをSOC期待値関数と呼び、SOC期待値関数の各時点でのSOCの値をSOC期待値と呼ぶ。SOC期待値はSOCの目標値である。SOC期待値関数は時間軸方向で変化するSOC目標値の期待値関数である。SOC期待値関数は、バッテリECU300のメモリ320に記憶されている。本形態においては、SOC期待値関数は正弦波(サインカーブ)であるが、方形波または他の波形であってもよい。また、SOC期待値関数は時間的に正弦波、方形波または他の波形に変化してもよい。さらに、SOC期待値関数は、目標値が0に設定される期間を有してもよい。SOC期待値関数の周期は一定であってもよく、またはSOC期待値関数の中の各々の周期は変化してもよい。
【0057】
バッテリECU300のCPU310(以下、単にバッテリECU300と呼ぶ。)は、主電池モジュール100のSOCとSOC期待値関数のSOC期待値とを比較する。主電池モジュール100のSOCがSOC期待値よりも小さい場合、バッテリECU300は、電力入力部INおよび補助電池モジュール200から供給される電力の少なくとも一方により主電池モジュール100が充電されるように電力入力部INおよび補助電池モジュール200からの電力の供給を制御する。
【0058】
一方、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値よりも大きい場合、バッテリECU300は、電力出力部OUTおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方への電力の供給により主電池モジュール100が放電されるように電力出力部OUTおよび補助電池モジュール200への電力の供給を制御する。
【0059】
また、バッテリECU300は、電力入力部INからの入力電力と電力出力部OUTへの出力電力とを比較する。入力電力が出力電力よりも大きくかつ主電池モジュール100のSOCがSOC期待値よりも大きい場合、バッテリECU300は、電力入力部INおよび主電池モジュール100から供給される電力の少なくとも一方により補助電池モジュール200が充電されるように電力入力部INおよび主電池モジュール100からの電力の供給を制御する。一方、バッテリECU300は、入力電力が出力電力よりも小さい場合、または主電池モジュール100のSOCがSOC期待値よりも小さい場合に、電力出力部OUTおよび主電池モジュール100の少なくとも一方への電力の供給により補助電池モジュール200が放電されるように電力出力部OUTおよび主電池モジュール100への電力の供給を制御する。
【0060】
(3)バッテリECUの動作
図2〜図6は、バッテリシステム500の電力供給の制御を示すフローチャートである。以下、図1および図2〜図6を用いて、バッテリECU300によるバッテリシステム500の電力供給の制御を説明する。なお、図2の結合子Aは、図3の結合子Aにつながる。図2の結合子Bは、図3の結合子Bにつながる。図3の結合子Cは、図2の結合子Cにつながる。図2の結合子Dは、図4の結合子Dにつながる。図4の結合子Eは、図5の結合子Eにつながる。図5の結合子Fは、図6の結合子Fにつながる。図5の結合子Gは、図6の結合子Gにつながる。図6の結合子Hは、図5の結合子Hにつながる。図4の結合子Iおよび図5の結合子Iは、図1の結合子Iにつながる。
【0061】
まず、バッテリECU300は、電力入力部INへの入力電力が電力出力部OUTからの出力電力以上であるか否かを判定する(ステップS1)。入力電力が出力電力以上である場合、電力出力部OUTに接続される負荷から要求される電力の全てを電力入力部INから供給することができる。この場合、バッテリECU300は、次の複数の処理(ステップS2,S3,S4,S7の処理)を並列して行う。
【0062】
ステップS1で入力電力が出力電力以上である場合、電力入力部INは十分な電力を供給することができる。そのため、図1に矢印cで示すように、並列処理の1つとして、バッテリECU300は電力入力部INから電力出力部OUTへ電力を供給する(ステップS2)。これにより、電力入力部INへの入力電力が電力出力部OUTに接続される負荷に供給される。
【0063】
また、ステップS1で入力電力が出力電力以上である場合、主電池モジュール100から電力出力部OUTへ電力を供給しない。そのため、並列処理の1つとして、バッテリECU300は主電池モジュール100から電力出力部OUTへの電力の供給を停止する(ステップS3)。
【0064】
さらに、ステップS1で入力電力が出力電力以上である場合、並列処理の1つとして、バッテリECU300は、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値関数のSOC期待値未満でかつ予め定められた所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達しないか否かを判定する(結合子Aを経由したステップS4)。なお、所定時間Δt後のSOCは、現時点からの予測値である。以下の説明においても同様である。本形態において、所定時間Δtは、例えば0.1秒から1秒程度に設定される。所定時間Δtの範囲は、0.1秒から1秒に限定されない。所定時間Δtの範囲は、バッテリECU300による処理の精度および処理を行うバッテリECU300のCPU310の性能のトレードオフにより適切に設定することができる。
【0065】
ステップS4で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値未満でかつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達しない場合、主電池モジュール100のSOCをSOC期待値に追従させるため、主電池モジュール100を充電する。そのため、図1の矢印aで示すように、バッテリECU300は電力入力部INから主電池モジュール100へ電力を供給する(ステップS5)。これにより、主電池モジュール100が充電される。
【0066】
一方、ステップS4で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値以上である場合、または所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達する場合、主電池モジュール100を充電しない。そのため、バッテリECU300は電力入力部INから主電池モジュール100への電力の供給を停止する(ステップS6)。
【0067】
また、ステップS1で入力電力が出力電力以上である場合、補助電池モジュール200から電力出力部OUTへ電力を供給しない。そのため、並列処理の1つとして、バッテリECU300は補助電池モジュール200から電力出力部OUTへの電力の供給を停止する(結合子Aを経由したステップS7)。
【0068】
本実施の形態において、バッテリECU300は、ステップS2の処理、ステップS3の処理、ステップS4を経由したステップS5またはステップS6の処理、およびステップS7の処理を同時に実行する。これらのステップS2の処理、ステップS3の処理、ステップS5またはステップS6の処理、およびステップS7の処理を同時に実行する処理を第1の処理と呼ぶ。
【0069】
一方、ステップS1で入力電力が出力電力未満である場合、電力出力部OUTに接続される負荷から要求される電力の全てを電力入力部INから供給することができない。この場合、バッテリECU300は、例えば次の複数の処理(ステップS8,S9,S6,S11の処理)を並列して行う。
【0070】
ステップS1で入力電力が出力電力未満である場合、電力入力部INは十分な電力を供給することができない。そのため、並列処理の1つとして、バッテリECU300は電力入力部INから電力出力部OUTへの電力の供給を停止する(ステップS8)。
【0071】
また、ステップS1で入力電力が出力電力未満である場合、並列処理の1つとして、バッテリECU300は、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値関数のSOC期待値を超えかつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下しないか否かを判定する(ステップS9)。
【0072】
ステップS9で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値を超えかつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下しない場合、主電池モジュール100のSOCをSOC期待値に追従させるため、主電池モジュール100を放電する。そのため、図1の矢印dで示すように、バッテリECU300は主電池モジュール100から電力出力部OUTへ電力を供給する(ステップS10)。これにより、主電池モジュール100が放電されるとともに、電力出力部OUTに接続される負荷に主電池モジュール100からの電力が供給される。
【0073】
一方、ステップS9で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値以下である場合、または所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下する場合、主電池モジュール100を放電させることができない。そのため、バッテリECU300は主電池モジュール100から電力出力部OUTへの電力の供給を停止する(ステップS3)。
【0074】
さらに、ステップS1で入力電力が出力電力未満である場合、電力入力部INは十分な電力を供給することができない。そのため、並列処理の1つとして、バッテリECU300は電力入力部INから主電池モジュール100への電力の供給を停止する(結合子Bを経由したステップS6)。
【0075】
また、ステップS1で入力電力が出力電力未満である場合、並列処理の1つとして、バッテリECU300は所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下しないか否かを判定する(結合子Bを経由したステップS11)。
【0076】
ステップS11で所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下しない場合、補助電池モジュール200は十分な電力を供給することができる。そのため、図1の矢印eで示すように、バッテリECU300は補助電池モジュール200から電力出力部OUTへ電力を供給する(ステップS12)。これにより、補助電池モジュール200が放電されるとともに、電力出力部OUTに接続される負荷に補助電池モジュール200から電力が供給される。
【0077】
一方、ステップS11で所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下する場合、補助電池モジュール200は十分な電力を供給することができない。そのため、バッテリECU300は補助電池モジュール200から電力出力部OUTへの電力の供給を停止する(ステップS7)。
【0078】
本実施の形態においては、バッテリECU300は、ステップS8の処理、ステップS10またはステップS3の処理、ステップS6の処理、およびステップS12またはステップS7の処理を同時に実行する。これらのステップS8の処理、ステップS9を経由したステップS10またはステップS3の処理、ステップS6の処理、およびステップS12またはステップS7の処理を同時に実行する処理を第2の処理と呼ぶ。
【0079】
バッテリECU300は、第1の処理または第2の処理の後、所定時間Δt待機する(ステップS13、および結合子Cを経由したステップS13)。その後、バッテリECU300はステップS1の処理に戻るとともに、図4のステップS14の処理に進む。ステップS13の処理の後に行うステップS1以降の処理を、以下、2周目以降の処理と呼ぶ。
【0080】
バッテリECU300は、2周目以降のステップS1〜S13の処理を実行するとともに、電力入力部INへの入力電力が電力出力部OUTからの出力電力以上であるか否かを判定する(結合子Dを経由したステップS14)。本実施の形態において、バッテリECU300は、2周目以降のステップS1の処理およびステップS14の処理を同時に行う。入力電力が出力電力以上である場合、電力出力部OUTに接続される負荷から要求される電力の全てを電力入力部INから供給することができる。
【0081】
ステップS14で入力電力が出力電力以上である場合、電力入力部INは十分な電力を供給することができる。この場合、バッテリECU300は、電力入力部INから主電池モジュール100への電力の供給が停止されているか否かを判定する(ステップS15)。
【0082】
ステップS15で電力入力部INから主電池モジュール100への電力の供給が停止されている場合、上記のステップS4で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値以上であるか、または所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達することになる。そのため、主電池モジュール100を放電する。この場合、バッテリECU300は、所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達しないか否かを判定する(ステップS16)。
【0083】
ステップS16で所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達しない場合、補助電池モジュール200を充電することができる。そのため、図1の矢印bで示すように、バッテリECU300は電力入力部INから補助電池モジュール200へ電力を供給する(ステップS17)。これにより、補助電池モジュール200が充電される。本実施の形態において、バッテリECU300は、2周目以降の第1または第2の処理およびステップS17の処理を同時に行う。
【0084】
一方、ステップS14で入力電力が出力電力未満である場合、電力入力部INは十分な電力を供給することができない。そのため、バッテリECU300は電力入力部INから補助電池モジュール200への電力の供給を停止する(ステップS18)。
【0085】
また、ステップS15で電力入力部INから主電池モジュール100への電力の供給を停止していない場合、上記のステップS4で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値未満でかつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達しないことになる。そのため、主電池モジュール100を充電する。この場合、主電池モジュール100を充電するために、図1の矢印aで示すように、電力入力部INは主電池モジュール100に電力を供給する。そのため、バッテリECU300は電力入力部INから補助電池モジュール200への電力の供給を停止する(ステップS18)。
【0086】
さらに、ステップS16で所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達する場合、補助電池モジュール200を充電しない。そのため、バッテリECU300は電力入力部INから補助電池モジュール200への電力の供給を停止する(ステップS18)。本実施の形態において、バッテリECU300は、2周目以降の第1または第2の処理およびステップS18の処理を同時に行う。
【0087】
バッテリECU300は、ステップS17またはステップS18の処理の後、所定時間Δt待機する(結合子Iを経由したステップS13)。その後、バッテリECU300は、2周目以降のステップS1の処理に戻るとともに、結合子Eを経由して図5のステップS19の処理に進む。
【0088】
バッテリECU300は、2周目以降のステップS1〜S18の処理を実行するとともに、電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200への電力の供給が停止されているか否かを判定する(結合子Eを経由したステップS19)。電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200への電力の供給が停止されている場合、上記のステップS1およびステップS14で入力電力が出力電力未満であることになる。したがって、電力入力部INは十分な電力を供給することができない。この場合、バッテリECU300は、次の複数の処理(ステップS20,S23の処理)を並列して行う。
【0089】
ステップS19で電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200への電力の供給が停止されている場合、並列処理の1つとして、バッテリECU300は主電池モジュール100のSOCがSOC期待値を超え、かつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下せず、かつ所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達しないか否かを判定する(ステップS20)。
【0090】
ステップS20で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値を超え、かつ所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下せず、かつ所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達しない場合、主電池モジュール100のSOCをSOC期待値に追従させるため、主電池モジュール100を放電する。また、補助電池モジュール200を充電することができる。そのため、図1の矢印fで示すように、並列処理の1つとして、バッテリECU300は主電池モジュール100から補助電池モジュール200へ電力を供給する(ステップS21)。ここで、主電池モジュール100から補助電池モジュール200へ供給される電力は、主電池モジュール100のSOCとSOC期待値との差分に相当する。これにより、主電池モジュール100が放電されるとともに、補助電池モジュール200が充電される。
【0091】
一方、ステップS20で主電池モジュール100のSOCがSOC期待値以下の場合、所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが0%に低下する場合、または所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが100%に達する場合、主電池モジュール100を放電せず、または補助電池モジュール200を充電しない。そのため、バッテリECU300は主電池モジュール100から補助電池モジュール200への電力の供給を停止する(ステップS22)。
【0092】
一方、ステップS19で電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200の両方への電力の供給が停止されていない場合、上記のステップS1およびステップS14で入力電力が出力電力以上であることになる。したがって、電力入力部INは十分な電力を供給することができる。ここで、電力入力部INが主電池モジュール100へ電力を供給している場合には、主電池モジュール100は放電を行うことができない。一方、電力入力部INが補助電池モジュール200へ電力を供給している場合には、主電池モジュール100は補助電池モジュール200へ電力を供給しない。そのため、いずれの場合でも、バッテリECU300は主電池モジュール100から補助電池モジュール200への電力の供給を停止する(ステップS22)。
【0093】
また、ステップS19で電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200への電力の供給を停止している場合、バッテリECU300は、所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達しないで、かつ所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下しないか否かを判定する(結合子Fを経由したステップS23)。
【0094】
ステップS23で所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達せず、かつ所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下しない場合、主電池モジュール100を充電する。また、補助電池モジュール200は十分な電力を供給することができる。そのため、図1の矢印gで示すように、バッテリECU300は補助電池モジュール200から主電池モジュール100へ電力を供給する(ステップS24)。ここで、本体部200から主電池モジュール100へ供給される電力は、主電池モジュール100のSOCとSOC期待値との差分に相当する。これにより、主電池モジュール100が充電されるとともに、補助電池モジュール200が放電される。
【0095】
一方、ステップS23で所定時間Δt後に主電池モジュール100のSOCが100%に達する場合、または所定時間Δt後に補助電池モジュール200のSOCが0%に低下する場合、主電池モジュール100を充電せず、または補助電池モジュール200は十分な電力を供給することができない。そのため、バッテリECU300は補助電池モジュール200から主電池モジュール100への電力の供給を停止する(ステップS25)。
【0096】
本実施の形態において、バッテリECU300は、2周目以降の第1または第2の処理、2周目以降のステップS14〜S16を経由したステップS17またはステップS18の処理、ステップS19,S20を経由したステップS21またはステップS22の処理、およびステップS23を経由したステップS24またはステップS25の処理を同時に実行する。ステップS21またはステップS22の処理、およびステップS24またはステップS25の処理を同時に実行する処理を第3の処理と呼ぶ。
【0097】
また、ステップS19で電力入力部INから主電池モジュール100および補助電池モジュール200の両方への電力の供給が停止されていない場合、上記と同様に、ステップS1およびステップS14で入力電力が出力電力以上であることになる。したがって、電力入力部INは十分な電力を供給することができる。ここで、電力入力部INが主電池モジュール100へ電力を供給している場合には、補助電池モジュール200は主電池モジュール100へ電力を供給しない。一方、電力入力部INが補助電池モジュール200へ電力を供給している場合には、補助電池モジュール200は放電を行うことができない。そのため、いずれの場合でも、バッテリECU300は補助電池モジュール200から主電池モジュール100への電力の供給を停止する(結合子Gを経由したステップS25)。
【0098】
本実施の形態において、バッテリECU300は、2周目以降の第1または第2の処理、2周目以降のステップS17またはステップS18の処理、ステップS22の処理、およびステップS25の処理を同時に実行する。ステップS22の処理およびステップS25の処理を同時に実行する処理を第4の処理と呼ぶ。
【0099】
バッテリECU300は、第3の処理または第4の処理の後、所定時間Δt待機して(結合子I、および結合子H,Iを経由したステップS13)、2周目以降のステップS1の処理に戻る。
【0100】
(4)主電池モジュールのSOCの第1の制御例
図7は、第1の制御例における主電池モジュール100および補助電池モジュール200のSOCのシミュレーションの結果を示す図である。図7ならびに後述する図8および図9において、横軸は時間であり、縦軸はSOCである。また、図7ならびに後述する図8および図9において、二点鎖線はSOC期待値の変化(SOC期待値関数)を示す。一点鎖線はバッテリECU300による制御が行われない場合の主電池モジュール100のSOCの変化を示す。すなわち、図7、図8および図9は、バッテリECU300による制御が行われない場合の主電池モジュール100のSOCの変化が一点鎖線で示す変化となるように、電力入力部INからの入力電力および電力出力部OUTへの出力電力を想定した事例である。点線は補助電池モジュール200のSOCの変化を示す。実線はバッテリECU300による制御が行われる場合の主電池モジュール100のSOCの変化を示す。
【0101】
第1の制御例においては、定期的に使用される負荷が電力出力部OUTに接続されることが想定されている。SOC期待値関数は、図7に二点鎖線で示すように、SOC期待値が20%と80%との間でサインカーブを描くように設定される。サインカーブは、電力入力部INからの入力電力および電力出力部OUTへの出力電力に対して、主電池モジュール100のサイクル寿命を長期化することが可能な低い周波数を有するように設定される。
【0102】
主電池モジュール100のSOCが制御されない場合、電力入力部INおよび主電池モジュール100の少なくとも一方の電力が電力出力部OUTへ供給される。これにより、図7に一点鎖線で示すように、SOCが0%になるまで主電池モジュール100は短い周期で放電される。また、電力入力部INの電力が主電池モジュール100へ供給される。これにより、図7に一点鎖線で示すように、SOCが100%になるまで主電池モジュール100は短い周期で充電される。
【0103】
このように、バッテリECU300による制御が行われない場合、SOC0%から100%の間で短い周期で主電池モジュール100の充放電が繰り返されることにより主電池モジュール100は劣化する。これにより、主電池モジュール100のサイクル寿命が短縮化される。
【0104】
一方、主電池モジュール100のSOCが制御される場合、図7に実線で示すように、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するように、主電池モジュール100の充放電が行われる。
【0105】
主電池モジュール100のSOCがSOC期待値を超える場合、そのSOCとSOC期待値との差分に相当する電力が、主電池モジュール100から電力出力部OUTおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方へ供給される。また、電力入力部INの電力が主電池モジュール100へ供給されず、電力出力部OUTおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方へ供給される。これにより、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するとともに、電力出力部OUTへ所望の電力が供給される。
【0106】
主電池モジュール100のSOCがSOC期待値未満である場合、そのSOCとSOC期待値との差分に相当する電力が、電力入力部INおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方から主電池モジュール100へ供給される。また、主電池モジュール100の電力が電力出力部OUTへ供給されず、電力入力部INおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方の電力が電力出力部OUTへ供給される。これにより、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するとともに、電力出力部OUTへ所望の電力が供給される。
【0107】
第1の制御例では、SOC期待値が20%から80%の間で変化しかつ急激な変化が抑制されるようにSOC期待値関数が設定されている。そのため、主電池モジュール100のSOCが20%から80%の間に制限されるとともに、主電池モジュール100の充放電の頻度が低減される。これにより、主電池モジュール100のサイクル寿命が長期化される。また、第1の制御例では、主電池モジュール100のSOCが所定の値(例えば80%未満)に設定される。そのため、SOCが80%以上の高い状態で長期間主電池モジュール100が維持されることがない。これにより、主電池モジュール100のカレンダー寿命が長期化される。これらの結果、主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。
【0108】
(5)主電池モジュールのSOCの第2の制御例
図8は、第2の制御例における主電池モジュール100および補助電池モジュール200のSOCのシミュレーションの結果を示す図である。
【0109】
第2の制御例においては、使用頻度の低い負荷が電力出力部OUTに接続されることが想定されている。この場合、主電池モジュール100から電力出力部OUTに電力が供給される頻度が低いので、図8に一点鎖線で示すように、主電池モジュール100のSOCが80%以上まで主電池モジュール100が充電された状態で維持される。
【0110】
このように、バッテリECU300による制御が行われない場合、高いSOCの状態(例えば80%以上)が維持されることにより主電池モジュール100は劣化する。これにより、主電池モジュール100のカレンダー寿命が短縮化される。
【0111】
一方、SOC期待値関数は、図8に二点鎖線で示すように、SOC期待値が15%と85%との間でサインカーブを描くように設定される。したがって、主電池モジュール100のSOCが制御される場合、図8に実線で示すように、SOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するように、主電池モジュール100の充放電が行われる。
【0112】
主電池モジュール100のSOCがSOC期待値を超える場合、そのSOCとSOC期待値との差分に相当する電力が、主電池モジュール100から主に補助電池モジュール200へ供給されるとともに、必要に応じて電力出力部OUTへも供給される。また、電力入力部INの電力が主電池モジュール100へ供給されず、主に補助電池モジュール200へ供給されるとともに、必要に応じて電力出力部OUTへも供給される。これにより、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するとともに、電力出力部OUTへ所望の電力が供給される。
【0113】
主電池モジュール100のSOCがSOC期待値未満である場合、そのSOCとSOC期待値との差分に相当する電力が、電力入力部INおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方から主電池モジュール100へ供給される。また、主電池モジュール100の電力が電力出力部OUTへ供給されず、必要に応じて電力入力部INおよび補助電池モジュール200の少なくとも一方の電力が電力出力部OUTへ供給される。これにより、主電池モジュール100のSOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するとともに、電力出力部OUTへ所望の電力が供給される。
【0114】
第2の制御例ではSOC期待値が所定の値(例えば15%から85%)の間で変化しかつ急激な変化が抑制されるようにSOC期待値関数が設定されている。そのため、主電池モジュール100が85%以上の高いSOCの状態で長期間維持されることがない。これにより、主電池モジュール100のカレンダー寿命が長期化される。また、第2の制御例では、主電池モジュール100のSOCが15%から85%の間に制限されるとともに、主電池モジュール100の充放電の頻度が低減される。これにより、主電池モジュール100のサイクル寿命が長期化される。これらの結果、主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。
【0115】
また、図8のX部のように、主電池モジュール100のSOCが15%まで低下した時点で、電力出力部OUTに電力を供給する必要が生じる場合がある。この場合には、図8に点線で示すように、補助電池モジュール200のSOCが高い状態で維持されている。そのため、補助電池モジュール200から電力出力部OUTに電力を供給することができる。このように、主電池モジュール100のSOCが低下する場合には補助電池モジュール200のSOCが上昇する。そのため、主電池モジュール100のSOCが15%まで低下した場合でも、バッテリシステム500は負荷に電力を供給することができる。
【0116】
(6)主電池モジュールのSOCの第3の制御例
図9は、第3の制御例における主電池モジュール100および補助電池モジュール200のSOCのシミュレーションの結果を示す図である。
【0117】
第3の制御例においては、主電池モジュール100のSOCを正確に推定することが想定されている。SOC期待値関数は、図9に二点鎖線で示すように、SOC期待値が一時的に0%まで低下するように設定される。主電池モジュール100のSOCは、バッテリセル10の開放電圧または主電池モジュール100に流れる電流に基づいて、公知のSOCを推定する方法またはSOCを推定するアルゴリズムにより推定することができる。本形態では、SOCは、下記式(1)に基づいて算出される。すなわち、SOCは、充電による電流積算量と放電による電流積算量との差を満充電電流容量で除算することにより得られる。
【0118】
SOC=(充電電流積算量[Ah]−放電電流積算量[Ah])
/満充電電流容量[Ah]×100 [%] ・・・(1)
式(1)により算出されるSOCは誤差を有する。そのため、算出される電流積算量を定期的にリセットする必要がある。SOCが0%になるまで主電池モジュール100を放電させることにより、電流積算量のリセットが行われる。この状態から以降の充放電において式(1)を算出することにより、SOCを正確に算出することができる。
【0119】
また、主電池モジュール100が劣化することにより、式(1)の分母の満充電電流容量が経時的に変化する。そのため、満充電電流容量を定期的に更新する必要がある。SOCが100%から0%に変化するまで主電池モジュール100を放電させることにより、満充電電流容量の更新が行われる。この放電により主電池モジュール100から供給された放電電流積算量が満充電電流容量となる。
【0120】
主電池モジュール100のSOCが制御されない場合、図9に一点鎖線で示すように、SOCが80%以上になるまで主電池モジュール100が充電された状態で維持される。そのため、主電池モジュール100の電流積算量のリセットを行うことができない。また、主電池モジュール100の満充電電流容量の更新を行うことができない。
【0121】
このように、電力出力部OUTに接続される負荷によっては、SOCが0%になるまで主電池モジュール100を放電させることができない。仮に、SOCが0%になるまで主電池モジュール100を放電させることができた場合でも、その負荷を使用していなければ放電のために供給した電力が無駄になる。また、SOCが100%から0%に変化するまでの主電池モジュール100の放電が急激である場合、主電池モジュール100のサイクル寿命が短縮化される。
【0122】
さらに、第2の制御例と同様に、主電池モジュール100のSOCが制御されない場合、高いSOCの状態(例えば80%以上)が維持されることにより主電池モジュール100は劣化する。これにより、主電池モジュール100のカレンダー寿命が短縮化される。
【0123】
一方、主電池モジュール100のSOCが制御される場合、図9に実線で示すように、SOCがSOC期待値の変化(SOC期待値関数)に追従するように、主電池モジュール100の充放電が行われる。第3の制御例における主電池モジュール100、補助電池モジュール200、電力入力部INおよび電力出力部OUT間の充放電の制御は、第1の制御例および第2の制御例と同様である。
【0124】
第3の制御例ではSOC期待値が一定の割合で緩やかに100%から0%に低下した後、一定の割合で緩やかに上昇するようにSOC期待値関数が設定されている。そのため、主電池モジュール100のSOCが一定の割合で緩やかに100%から0%に低下する。これにより、主電池モジュール100の電流積算量のリセットを行うことができる。また、主電池モジュール100の満充電電流容量の更新を行うことができる。その後、主電池モジュール100のSOCは一定の割合で緩やかに上昇する。このときのSOCは、リセットされた直後であるので、正確に算出される。
【0125】
第3の制御例においては、主電池モジュール100のSOCが緩やかに変化するように主電池モジュール100の充放電が行われるので、主電池モジュール100のサイクル寿命が長期化される。また、主電池モジュール100が高いSOCの状態(例えば80%以上)で長期間維持されることがないので、主電池モジュール100のカレンダー寿命が長期化される。これらの結果、主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。
【0126】
また、制御例3においては、電流積算量のリセットおよび満充電電流容量の更新のために、SOCが100%から0%に変化するまで主電池モジュール100が放電されるが、主電池モジュール100から放電のために供給される電力を補助電池モジュール200に蓄えることができる。そのため、電力出力部OUTに接続される負荷を使用しない場合でも、放電のために供給した電力が無駄になることがない。
【0127】
さらに、図9のY部のように、主電池モジュール100のSOCが0%まで低下した時点で、電力出力部OUTに電力を供給する必要が生じる場合がある。この場合には、図9に点線で示すように、補助電池モジュール200のSOCが高い状態で維持されている。そのため、補助電池モジュール200から電力出力部OUTに電力を供給することができる。このように、主電池モジュール100のSOCが低下する場合には補助電池モジュール200のSOCが上昇する。そのため、主電池モジュール100のSOCが0%まで低下した場合でも、バッテリシステム500は負荷に電力を供給することができる。
【0128】
バッテリECU300は、上記の制御例1、制御例2および制御例3を組み合わせてSOC期待値関数を設定することができる。
【0129】
(7)効果
本実施の形態に係るバッテリシステム500においては、主電池モジュール100のSOCが100%から0%に低下するまで主電池モジュール100が放電される頻度が低減される。同様に、主電池モジュール100のSOCが0%から100%に達するまで主電池モジュール100が充電される頻度が低減される。これにより、サイクル寿命による主電池モジュール100の劣化が緩和される。また、主電池モジュール100が高いSOCの状態(例えば80%以上)で長期間維持されることが防止される。これにより、カレンダー寿命による主電池モジュール100の劣化が緩和される。これらの結果、主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。
【0130】
また、電力出力部OUTに接続される負荷にかかわらず、補助電池モジュール200のSOCが100%に達しない場合、電力を無駄にすることなく主電池モジュール100のSOCが0%になるまで主電池モジュール100を放電させることができる。これにより、主電池モジュール100の電流積算量のリセットを行うことができる。また、その後、主電池モジュール100のSOCが100%になるまで主電池モジュール100を充電することができる。これにより、主電池モジュール100の満充電電流容量をより正確に更新することができる。
【0131】
さらに、主電池モジュール100のSOCが低い場合、補助電池モジュール200のSOCが比較的高い状態になるように制御される。これにより、主電池モジュール100のSOCが低下した時点で電力出力部OUTに電力を供給する必要が生じた場合でも、補助電池モジュール200から電力出力部OUTに電力を供給することができる。一方、主電池モジュール100のSOCが高い場合、補助電池モジュール200のSOCが比較的低い状態になるように制御される。そのため、主電池モジュール100の放電を行う場合、補助電池モジュール200は主電池モジュール100により供給される電力を蓄積することができる。これにより、電力出力部OUTに電力を供給しない場合でも、電力を無駄にすることなく主電池モジュール100を放電することができる。
【0132】
このように、電力出力部OUTに負荷が接続されているか否か、その負荷が使用されているか否か、およびその負荷の使用態様にかかわらず、主電池モジュール100のSOCを最適な値に推移させることができる。また、主電池モジュール100のSOCおよび満充電電流容量等の値を正確に測定することができる。これにより、ユーザは、任意のタイミングでバッテリシステム500を負荷、電力供給ラインまたは充電器と接続または取り外しを行った場合でも、主電池モジュール100の劣化を防止することができる。
【0133】
これらの結果、SOCを推定する方法を最適化する手間を省きつつ主電池モジュール100のSOCを最適な値に保持し、主電池モジュール100のSOCおよび満充電電流容量等の値をより正確に測定することができる。また、バッテリシステム500における主電池モジュール100のSOCの推定に用いられるアルゴリズム(ソフトウエア)の構成を単純化することができる。すなわち、SOC期待値関数を変更するだけで、主電池モジュール100のSOCの履歴を最適な状態に推移させることができる。これにより、電力出力部OUTに接続される負荷の電力要求パータンごとに最適化したSOCの値の算出プログラムを用意する手間が省かれる。また、そのプログラムを最適化する手間が省かれる。本形態では、主電池モジュール100のSOCが低下した状態においても、補助電池モジュール200が電力出力部OUTに電力を供給することができる。これにより、バッテリECU300は、主電池モジュール100のSOCの値を所望に増減させる制御を行うことができる。さらに、バッテリシステム500を様々な負荷に共通して使用することができる。
【0134】
[2]第2の実施の形態
以下、第2の実施の形態に係る移動体として、電動車両およびその他の移動体について説明する。本実施の形態に係る移動体は、第1の実施の形態に係るバッテリシステム500を備える。
【0135】
(1)電動車両の構成および動作
第2の実施の形態に係る電動車両の一例として電動自動車を説明する。図10は、バッテリシステム500を備える電動自動車の構成を示すブロック図である。図10に示すように、電動自動車600は、車体610を備える。車体610に、バッテリシステム500、電力変換部601、モータ602、駆動輪603、アクセル装置604、ブレーキ装置605、回転速度センサ606および主制御部607が設けられる。モータ602が交流(AC)モータである場合には、電力変換部601はインバータ回路を含む。
【0136】
バッテリシステム500は、電力変換部601を介してモータ602に接続されるとともに、主制御部607に接続される。主制御部607には、バッテリシステム500を構成するバッテリECU300(図1参照)から主電池モジュール100(図1参照)の充電量が与えられる。また、主制御部607には、アクセル装置604、ブレーキ装置605および回転速度センサ606が接続される。主制御部607は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータからなる。
【0137】
アクセル装置604は、電動自動車600が備えるアクセルペダル604aと、アクセルペダル604aの操作量(踏み込み量)を検出するアクセル検出部604bとを含む。運転者によりアクセルペダル604aが操作されると、アクセル検出部604bは、運転者により操作されていない状態を基準としてアクセルペダル604aの操作量を検出する。検出されたアクセルペダル604aの操作量が主制御部607に与えられる。
【0138】
ブレーキ装置605は、電動自動車600が備えるブレーキペダル605aと、運転者によるブレーキペダル605aの操作量(踏み込み量)を検出するブレーキ検出部605bとを含む。運転者によりブレーキペダル605aが操作されると、ブレーキ検出部605bによりその操作量が検出される。検出されたブレーキペダル605aの操作量が主制御部607に与えられる。
【0139】
回転速度センサ606は、モータ602の回転速度を検出する。検出された回転速度は、主制御部607に与えられる。
【0140】
主制御部607には、主電池モジュール100の充電量、主電池モジュール100に流れる電流の値、アクセルペダル604aの操作量、ブレーキペダル605aの操作量、ならびにモータ602の回転速度が与えられる。主制御部607は、これらの情報に基づいて、主電池モジュール100の充放電制御ならびに電力変換部601の電力変換制御を行う。
【0141】
例えば、アクセル操作に基づく電動自動車600の発進時および加速時には、バッテリシステム500から電力変換部601に主電池モジュール100の電力が供給される。
【0142】
さらに、主制御部607は、与えられたアクセルペダル604aの操作量に基づいて、駆動輪603に伝達すべき回転力(指令トルク)を算出し、その指令トルクに基づく制御信号を電力変換部601に与える。
【0143】
上記の制御信号を受けた電力変換部601は、バッテリシステム500から供給された電力を駆動輪603を駆動するために必要な電力(駆動電力)に変換する。これにより、電力変換部601により変換された駆動電力がモータ602に供給され、その駆動電力に基づくモータ602の回転力が駆動輪603に伝達される。
【0144】
一方、ブレーキ操作に基づく電動自動車600の減速時には、モータ602は発電装置として機能する。この場合、電力変換部601は、モータ602により発生された回生電力を主電池モジュール100の充電に適した電力に変換し、主電池モジュール100に与える。それにより、主電池モジュール100が充電される。
【0145】
(2)電動車両における効果
この電動自動車600には、第1の実施の形態に係るバッテリシステム500が用いられるので、電動自動車600の主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。そのため、電動自動車600の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0146】
(3)他の移動体の構成および動作
バッテリシステム500が船、航空機、エレベータまたは歩行ロボット等の他の移動体に搭載されてもよい。
【0147】
バッテリシステム500が搭載された船は、例えば、図10の車体610の代わりに船体を備え、駆動輪603の代わりにスクリューを備え、アクセル装置604の代わりに加速入力部を備え、ブレーキ装置605の代わりに減速入力部を備える。運転者は、船体を加速させる際にアクセル装置604の代わりに加速入力部を操作し、船体を減速させる際にブレーキ装置605の代わりに減速入力部を操作する。この場合、船体が移動本体部に相当し、モータが動力源に相当し、スクリューが駆動部に相当する。なお、船は、減速入力部を備えなくてもよい。この場合、運転者が加速入力部を操作して船体の加速を停止することにより、水の抵抗によって船体が減速する。このような構成において、モータがバッテリシステム500からの電力を受けてその電力を動力に変換し、変換された動力によってスクリューが回転されることにより船体が移動する。
【0148】
バッテリシステム500が搭載された航空機は、例えば、図10の車体610の代わりに機体を備え、駆動輪603の代わりにプロペラを備え、アクセル装置604の代わりに加速入力部を備え、ブレーキ装置605の代わりに減速入力部を備える。なお、船および航空機は、減速入力部を備えなくてもよい。この場合、運転者が加速入力部を操作して加速を停止することにより、水の抵抗または空気抵抗によって機体が減速する。
【0149】
バッテリシステム500が搭載されたエレベータは、例えば、図10の車体610の代わりに籠を備え、駆動輪603の代わりに籠に取り付けられる昇降用ロープを備え、アクセル装置604の代わりに加速入力部を備え、ブレーキ装置605の代わりに減速入力部を備える。
【0150】
バッテリシステム500が搭載された歩行ロボットは、例えば、図10の車体610の代わりに胴体を備え、駆動輪603の代わりに足を備え、アクセル装置604の代わりに加速入力部を備え、ブレーキ装置605の代わりに減速入力部を備える。
【0151】
これらの移動体においては、モータが動力源に相当し、船体、気体、籠および胴体が本体部に相当し、スクリュー、プロペラ、昇降用ロープおよび足が駆動部に相当する。動力源がバッテリシステム500からの電力を受けてその電力を動力に変換し、駆動部が動力源により変換された動力により移動本体部を移動させる。
【0152】
(4)他の移動体における効果
このような種々の移動体においても、第1の形態に係るバッテリシステム500が用いられるので、移動体の主電池モジュールの寿命を長期化することができる。そのため、移動体の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0153】
(5)移動体の変形例
図10の電動自動車600または他の移動体において、各バッテリシステム500にバッテリECU300が設けられる代わりに、主制御部607がバッテリECU300と同様の機能を有してもよい。
【0154】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る電源装置について説明する。本実施の形態に係る電源装置は、第1の実施の形態に係るバッテリシステム500を備える。
【0155】
(1)構成および動作
図11は、バッテリシステム500を備える電源装置の構成を示すブロック図である。図11に示すように、電源装置700は、電力貯蔵装置710および電力変換装置720を備える。電力貯蔵装置710は、バッテリシステム群711およびシステムコントローラ712を備える。バッテリシステム群711は、第1の実施の形態に係るバッテリシステム500を含む。複数のバッテリシステム500間において、複数のバッテリセル10は互いに並列に接続されてもよく、または互いに直列に接続されてもよい。
【0156】
システムコントローラ712は、システム制御部の例であり、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータからなる。システムコントローラ712は、各バッテリシステム500のバッテリECU300(図1参照)に接続される。各バッテリシステム500のバッテリECU300は、各バッテリセル10(図1参照)の端子電圧に基づいて各バッテリセル10の充電量を算出し、算出された充電量をシステムコントローラ712に与える。システムコントローラ712は、各バッテリECU300から与えられた各バッテリセル10の充電量に基づいて電力変換装置720を制御することにより、各バッテリシステム500に含まれる複数のバッテリセル10の放電または充電に関する制御を行う。
【0157】
電力変換装置720は、DC/DC(直流/直流)コンバータ721およびDC/AC(直流/交流)インバータ722を含む。DC/DCコンバータ721は入力端子721a、出力端子721bおよび入出力端子721cを有し、DC/ACインバータ722は入出力端子722a,722bを有する。DC/DCコンバータ721の入力端子721aおよび出力端子721bは電力貯蔵装置710のバッテリシステム群711に接続される。図1の矢印iと同様に、複数のバッテリシステム500の電力出力部OUT(図1参照)は、DC/DCコンバータ721の入力端子721aに電力を出力する。また、図1の矢印hと同様に、複数のバッテリシステム500の電力入力部IN(図1参照)は、DC/DCコンバータ721の出力端子721bから電力を入力される。入力端子721aおよび入出力端子721bは、双方向の電源ラインとして、ひとつの入出力端子として構成されてもよい。
【0158】
DC/DCコンバータ721の入出力端子721cおよびDC/ACインバータ722の入出力端子722aは互いに接続されるとともに電力出力部PU1に接続される。DC/ACインバータ722の入出力端子722bは電力出力部PU2に接続されるとともに他の電力系統に接続される。電力出力部PU1,PU2は例えばコンセントを含む。電力出力部PU1,PU2には、例えば種々の負荷が接続される。他の電力系統は、例えば商用電源または太陽電池を含む。電力出力部PU1,PU2および他の電力系統が電源装置に接続される外部の例である。
【0159】
DC/DCコンバータ721およびDC/ACインバータ722がシステムコントローラ712によって制御されることにより、バッテリシステム群711に含まれる複数のバッテリセル10の放電および充電が行われる。
【0160】
バッテリシステム群711の放電時には、バッテリシステム群711から与えられる電力がDC/DCコンバータ721によりDC/DC(直流/直流)変換され、さらにDC/ACインバータ722によりDC/AC(直流/交流)変換される。
【0161】
DC/DCコンバータ721によりDC/DC変換された電力が電力出力部PU1に供給される。DC/ACインバータ722によりDC/AC変換された電力が電力出力部PU2に供給される。電力出力部PU1から外部に直流の電力が出力され、電力出力部PU2から外部に交流の電力が出力される。DC/ACインバータ722により交流に変換された電力が他の電力系統に供給されてもよい。
【0162】
システムコントローラ712は、各バッテリシステム500に含まれる複数のバッテリセル10の放電に関する制御の一例として、次の制御を行う。バッテリシステム群711の放電時に、システムコントローラ712は、各バッテリECU300(図1参照)から与えられる各バッテリセル10の充電量に基づいて放電を停止するか否かを判定し、判定結果に基づいて電力変換装置720を制御する。具体的には、バッテリシステム群711に含まれる複数のバッテリセル10(図1参照)のうちいずれかのバッテリセル10の充電量が予め定められたしきい値よりも小さくなると、システムコントローラ712は、放電が停止されるまたは放電電流(または放電電力)が制限されるようにDC/DCコンバータ721およびDC/ACインバータ722を制御する。これにより、各バッテリセル10の過放電が防止される。
【0163】
一方、バッテリシステム群711の充電時には、他の電力系統から与えられる交流の電力がDC/ACインバータ722によりAC/DC(交流/直流)変換され、さらにDC/DCコンバータ721によりDC/DC(直流/直流)変換される。DC/DCコンバータ721からバッテリシステム群711に電力が与えられることにより、バッテリシステム群711に含まれる複数のバッテリセル10(図1参照)が充電される。
【0164】
システムコントローラ712は、各バッテリシステム500に含まれる複数のバッテリセル10の充電に関する制御の一例として、次の制御を行う。バッテリシステム群711の充電時に、システムコントローラ712は、各バッテリECU300(図1参照)から与えられる各バッテリセル10の充電量に基づいて充電を停止するか否かを判定し、判定結果に基づいて電力変換装置720を制御する。具体的には、バッテリシステム群711に含まれる複数のバッテリセル10のうちいずれかのバッテリセル10の充電量が予め定められたしきい値よりも大きくなると、システムコントローラ712は、充電が停止されるまたは充電電流(または充電電力)が制限されるようにDC/DCコンバータ721およびDC/ACインバータ722を制御する。これにより、各バッテリセル10の過充電が防止される。
【0165】
(2)効果
上記のように、本実施の形態に係る電源装置700には、第1の実施の形態に係るバッテリシステム500が設けられるので、電源装置700の主電池モジュール100の寿命を長期化することができる。そのため、電源装置700の信頼性の向上および低コスト化が可能となる。
【0166】
(3)電源装置の変形例
図11の電源装置700において、各バッテリシステム500にバッテリECU300が設けられる代わりに、システムコントローラ712がバッテリECU300と同様の機能を有してもよい。
【0167】
電源装置700と外部との間で互いに電力を供給可能であれば、電力変換装置720がDC/DCコンバータ721およびDC/ACインバータ722のうちいずれか一方のみを有してもよい。また、電源装置700と外部との間で互いに電力を供給可能であれば、電力変換装置720が設けられなくてもよい。
【0168】
図11の電源装置700においては、複数のバッテリシステム500が設けられるが、これに限らず、1つのバッテリシステム500のみが設けられてもよい。
【0169】
また、電源装置700が複数のバッテリシステム500を含む場合、少なくとも1つのバッテリシステム500が主電池モジュール100として動作し、他のバッテリシステム500が補助電池モジュール200として動作してもよい。この場合、システムコントローラ712が各バッテリシステム500の充放電に関する制御を行う。
【0170】
[4]他の実施の形態
(1)第1の実施の形態において、主電池モジュール100および補助電池モジュール200が設置される位置は限定されず、主電池モジュール100と補助電池モジュール200とが離間して設置されていてもよい。例えば、主電池モジュール100が電動車両用の電源として電動車両に搭載され、補助電池モジュール200が家庭用の貯蓄用電源として住宅に設置されてもよい。また、主電池モジュール100が家庭用の貯蓄用電源として第1の住宅に設置され、補助電池モジュール200が家庭用の貯蓄用電源として第2の住宅に設置されてもよい。
【0171】
さらに、主電池モジュール100および補助電池モジュール200が同様の構成を有する場合、主電池モジュール100および補助電池モジュール200の役割を時間ごとに交換してもよい。すなわち、状況に応じて、主電池モジュール100が補助電池モジュール200になり、補助電池モジュール200が主電池モジュール100になってもよい。
【0172】
(2)第1の実施の形態において、バッテリシステム500は1個の主電池モジュール100を含むが、これに限定されない。バッテリシステム500は複数の主電池モジュールを含んでもよい。同様に、バッテリシステム500は1個の補助電池モジュール200を含むが、これに限定されない。バッテリシステム500は複数の補助電池モジュール200を含んでもよい。
【0173】
例えば、バッテリシステム500が4個の主電池モジュール100と、1個の補助電池モジュール200とを含んでもよい。同様に、バッテリシステム500が第1の住宅に設置される1個の主電池モジュール100と、第2、第3、第4および第5の住宅にそれぞれ設置される4個の補助電池モジュール200とを含んでもよい。
【0174】
(3)第1の実施の形態において、充電状態としてSOCが用いられたが、これに限定されない。充電状態として、SOCに代えて開放電圧、残容量、放電深度、電流積算値または蓄電量差等が用いられてもよい。
【0175】
(4)第1の実施の形態において、SOC期待値関数は、第1〜第3の制御例において設定されたSOC期待値関数に限定されず、任意に設定することができる。
【0176】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0177】
バッテリセル10がバッテリセルの例であり、主電池モジュール100が主電池モジュールの例であり、補助電池モジュール200が補助電池モジュールの例である。SOC、開放電圧、残容量、放電深度、電流積算値または蓄電量差等が充電状態の例であり、SOC期待値関数が目標関数の例である。電力入力部INが外部の例であり、携帯電話、パーソナルコンピュータまたは電動車両のモータが外部の負荷の例である。バッテリECU300が制御装置の例であり、メモリ320が記憶部の例であり、CPU310が電源制御部の例であり、バッテリシステム500がバッテリシステムの例である。
【0178】
モータ602がモータおよび外部装置の例であり、駆動輪603が駆動輪の例であり、電動自動車600が電動車両の例である。車体610、船の船体、航空機の機体、エレベータの籠または歩行ロボットの胴体が移動本体部の例であり、モータ602、駆動輪603、スクリュー、プロペラ、昇降用ロープの巻上モータまたは歩行ロボットの足が動力源の例である。電動自動車600、船、航空機、エレベータまたは歩行ロボットが移動体の例である。システムコントローラ712がシステム制御部の例であり、電力貯蔵装置710が電力貯蔵装置の例であり、電源装置700が電源装置の例であり、電力変換装置720が電力変換装置の例である。
【0179】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0180】
10 バッテリセル
100 主電池モジュール
200 補助電池モジュール
300 バッテリECU
310 CPU
320 メモリ
500 バッテリシステム
600 電動自動車
601 電力変換部
602 モータ
603 駆動輪
604 アクセル装置
604a アクセルペダル
604b アクセル検出部
605 ブレーキ装置
605a ブレーキペダル
605b ブレーキ検出部
606 回転速度センサ
607 主制御部
610 車体
700 電源装置
710 電力貯蔵装置
711 バッテリシステム群
712 システムコントローラ
720 電力変換装置
721 DC/DCコンバータ
721a 入力端子
721b 出力端子
721c,722a,722b 入出力端子
722 DC/ACインバータ
a〜i 矢印
BS バス
IN 電力入力部
OUT 電力出力部
PU1,PU2 電力出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルを含む主電池モジュールと、
前記主電池モジュールに接続される補助電池モジュールと、
前記主電池モジュールの充電状態が予め設定された時間軸方向で変化する目標関数に追従するように、外部から供給される電力による前記主電池モジュールおよび前記補助電池モジュールの少なくとも一方の充電を制御し、前記主電池モジュールおよび前記補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給を制御するとともに、前記主電池モジュールと前記補助電池モジュールとの間の充電および放電を制御する制御装置とを備える、バッテリシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記目標関数と前記主電池モジュールの充電状態との比較結果と、外部から供給される電力、外部の負荷から要求される電力および前記補助電池モジュールに蓄積される電力の少なくとも1つとに基づいて、前記主電池モジュールおよび前記補助電池モジュールの充電および放電を制御する、請求項1記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記目標関数に基づいて、前記補助電池モジュールの放電による前記主電池モジュールの充電、および前記主電池モジュールの放電による前記補助電池モジュールの充電を選択的に行う、請求項1または2記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記主電池モジュールの充電状態が前記目標関数の値よりも小さい場合に、外部から供給される電力および前記補助電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により前記主電池モジュールが充電されるように外部および前記補助電池モジュールからの電力の供給を制御し、
前記主電池モジュールの充電状態が前記目標関数の値よりも大きい場合に、外部の負荷および前記補助電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により前記主電池モジュールが放電されるように外部の負荷および前記補助電池モジュールへの電力の供給を制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、
外部から供給される電力が外部の負荷から要求される電力よりも大きくかつ前記主電池モジュールの充電状態が前記目標関数の値よりも大きい場合に、外部から供給される電力および前記主電池モジュールから供給される電力の少なくとも一方により前記補助電池モジュールが充電されるように外部および前記主電池モジュールからの電力の供給を制御し、外部から供給される電力が外部の負荷から要求される電力よりも小さい場合、または前記主電池モジュールの充電状態が前記目標関数の値よりも小さい場合に、外部の負荷および前記主電池モジュールの少なくとも一方への電力の供給により前記補助電池モジュールが放電されるように外部の負荷および前記主電池モジュールへの電力の供給を制御する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
バッテリセルを含む主電池モジュールおよび前記主電池モジュールに接続される補助電池モジュールに接続され、
時間軸方向で変化するように予め設定された前記主電池モジュールの充電状態の目標関数を記憶する記憶部と、
前記主電池モジュールの充電状態が予め設定された前記目標関数に追従するように、外部から供給される電力による前記主電池モジュールおよび前記補助電池モジュールの少なくとも一方の充電を制御し、前記主電池モジュールおよび前記補助電池モジュールの少なくとも一方の放電による外部の負荷への電力の供給を制御するとともに前記主電池モジュールと前記補助電池モジュールとの間の充電および放電を制御する電源制御部とを備える、制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバッテリシステムと、
前記バッテリシステムの前記主電池モジュールからの電力により駆動されるモータと、
前記モータの回転力により回転する駆動輪とを備える、電動車両。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバッテリシステムと、
移動本体部と、
前記バッテリシステムの前記主電池モジュールからの電力を前記移動本体部を移動させるための動力に変換する動力源と、
前記動力源により変換された動力により前記移動本体部を移動させる駆動部とを備える、移動体。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバッテリシステムと、
前記バッテリシステムの前記主電池モジュールの充電または放電に関する制御を行うシステム制御部とを備える、電力貯蔵装置。
【請求項10】
外部に接続可能であり、
請求項9記載の電力貯蔵装置と、
前記電力貯蔵装置の前記システム制御部により制御され、前記電力貯蔵装置の前記バッテリシステムの前記主電池モジュールと前記外部との間で電力変換を行う電力変換装置とを備える、電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31310(P2013−31310A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166347(P2011−166347)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】