説明

制御装置、制御システム、制御方法、プログラム及び媒体

【課題】電源供給態様の異なるコンピュータ相互間において故障検出及び通信を行う場合に、誤検出、誤判定を防止することができる制御装置、制御システム、制御方法、プログラム及び媒体を提供すること。
【解決手段】本発明による制御装置2は、スイッチ5のオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置2であって、制御装置2の自己診断を行う自己診断手段2daと、スイッチ5がオフされた場合に自己診断を禁止する禁止手段2dbと、スイッチ5のオン後にスイッチ5のオフと同時に電源をオフとする他制御装置4への通信開始を検出した場合に、自己診断を開始する開始手段2dcとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両内又はオフィス内、工場内等において、電源供給態様の異なるECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータ相互間において故障検出及び通信を行う場合に、誤検出、誤判定を防止することを主目的とした、制御装置、制御システム、制御方法、プログラム及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メカニカルキーを使用することなく、車両のドアのロック又はアンロックを制御するスマートエントリーシステムとして、特許文献1に記載されたようなものが提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のスマートエントリーシステムでは、車両のドアのロック又はアンロックを制御する車載機がリクエスト信号をある領域内に一定の周期で送信し、携帯機がこの領域内に入ってきてリクエスト信号を受信すると認証コードを含むアンサー信号を送信し、このアンサー信号を車載機が受信して予め登録された認証コードとアンサー信号に含まれる認証コードを照合する。
【0004】
この照合の結果が合致した場合にユーザの操作を伴って又は伴わないで車両のドアのロック又はアンロックを制御することが行われている。また、一致した場合のみイグニッションスイッチの操作つまりエンジンの始動を許容するイモビライザ機能を有することも示唆されている。
【0005】
また、さらに以前より、メカニカルキーを使用したイモビライザシステムも広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−115705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなイモビライザシステムにおいて、イモビライザ機能を有するイモビライザ制御ECUとイグニッションスイッチのスタート位置により起動されるエンジンを制御するエンジン制御ECUの相互通信態様を考慮したとき、以下のような問題が生じる。
【0008】
つまり、イモビライザ制御ECU等のバッテリからIGSWのみを介して電力を供給されるECUに対して、エンジン制御ECU等のバッテリからIGSWに加えて、IGSWに並列に挿入される、自己保持機能を有するメインリレーを介して電力が供給されるECUが故障検出及び通信を行う場合には、IGSWのオフに伴う電源オフのタイミングのずれが生じて、このずれに起因するダイアグ検出の誤検出、誤判定が懸念される。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、電源供給態様の異なるコンピュータ相互間において故障検出及び通信を行う場合に、誤検出、誤判定を防止することができる制御装置、制御システム、制御方法、プログラム及び媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するため、本発明による制御装置は、
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置であって、前記制御装置の自己診断を行う自己診断手段と、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記スイッチのオン後に前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始手段とを含むことを特徴とする。なお、開始(再開)の条件を、前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した後に当該他制御装置からの応答を受信した場合に、としてもよい。
【0011】
上記の問題を解決するため、本発明による制御システムは、
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする第一制御装置と、前記オフと同時に電源をオフとする第二制御装置と、を含み、前記第一制御装置は、自己診断を行う自己診断手段を含むとともに、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記スイッチのオン後に前記第二制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始手段を含むことを特徴とする。なお、開始(再開)の条件を、前記第二制御装置への通信開始を検出した後に前記第二制御装置からの応答を受信した場合に、としてもよい。
【0012】
上記問題を解決するため、本発明による制御方法は、
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置において自己診断を行う自己診断ステップと、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止ステップと、前記スイッチのオン後に前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始ステップとを含むことを特徴とする。なお、開始(再開)の条件を、前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した後に前記他制御装置からの応答を受信した場合に、としてもよい。
【0013】
本発明のプログラムは前記制御方法を実行するプログラムであり、本発明の媒体は前記プログラムを格納した媒体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上述した電源供給態様の異なるコンピュータ相互間においても、ロジックの適宜の変更によりダイアグ検出つまり自己診断の誤検出や誤判定を防止でき、通信の信頼性と検出及び判定の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る実施例の制御装置2及び制御システム1の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】実施例の制御システム1の適用対象となる電源オンオフの遷移態様を示すタイムチャートである。
【図3】実施例1の制御システム1の制御装置2における制御内容を示すフローチャートである。
【図4】実施例1の制御システム1全体の制御内容を示すシーケンス図である。
【図5】実施例2の制御システム1の制御装置2における制御内容を示すフローチャートである。
【図6】実施例2の制御システム1全体の制御内容を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例1の制御システム1は、図1に示すように、エンジン制御ECU2(制御装置:第一制御装置)と、メインリレー3と、イモビライザ制御ECU4(他制御装置:第二制御装置)を備えて構成される。エンジン制御ECU2はCAN(Controller Area Network)等の通信規格に接続されており、CANは外部コネクタを介してディーラー等のダイアグツールと接続可能とされている。
【0018】
IGSW5(イグニッションスイッチ:スイッチ)の接点部の正極側と、メインリレー3の接点部の正極側には車両のバッテリ6の正極側が接続されており、IGSW5の接点部とメインリレー3の接点部はともにエンジン制御ECU2の正極側に接続されている。エンジン制御ECU2とイモビライザ制御ECU4とは専用回線にて相互に通信可能に接続されている。
【0019】
エンジン制御ECU2は、例えばCPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インターフェースとそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる処理を行うものである。
【0020】
加えて、エンジン制御ECU2は機能ブロックとして、IG判定部2a、メインリレー制御部2b、イモビ通信部2c、自己診断部2dを含み、さらに、自己診断部2dは、エンジン制御ECU2を他のECUとの通信態様も含めて自己診断(ダイアグ検出)する自己診断手段2daと、自己診断を適宜禁止する禁止手段2dbと、自己診断を適宜開始する開始手段2dcを構成する。
【0021】
IG判定部2aは、図2に示されるようなIGSW5のオンとオフの交互に現れる遷移に対して、オンオフを判定し検出するものである。メインリレー制御部2bは、IG判定部2aの判定結果に基づいて、オンとなったタイミングを始点とし、オフとなったタイミングから所定時間T経過したタイミングを終点として、メインリレー3のコイルを励磁するものである。ここで、所定時間Tは、外気温やエンジン温度等を含む諸条件に基づいてその都度エンジン制御ECU2内にて予め実験又はシミュレーションにより定められたマップ等を用いて演算されその都度補正されるパラメータである。
【0022】
メインリレー3は、例えば図示しないジャンクションボックス内に設けられて、エンジン制御ECU2のメインリレー制御部2bの上述した制御に基づいて、接点部のオンオフが選択されるものである。IGSW5のオンをIG判定部2aが検出した場合には、図2中左側に示すようにIGSW5のオンに同期させてコイルが励磁されて接点部がオンとされる。これに対して、IGSW5がオフとされた場合には、IGSW5のオフに対して、図2中右側に示すように、所定時間T経過してからオフとされる。なお、図2中において、IGはIGSW5を、E/Gはエンジン制御ECU2を、MRはメインリレー3を、イモビはイモビライザ制御ECU4を指す。
【0023】
イモビライザ制御ECU4も、例えばCPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インターフェースおよびそれらを相互に接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる処理を行うものである。イモビライザ制御ECU4は機能ブロックとして、EFI通信部4aを含む。なお、EFIは(Electronic Fuel Injection)である。
【0024】
エンジン制御ECU2のイモビ通信部2cは、イモビライザ制御ECU4のEFI通信部4aとの上述した専用回線を通じての通信を司るものであり、自己診断部2dは、ダイアグ検出すなわち自己診断を行うものであり、イモビ通信部2cからEFI通信部4aへの送信に対するEFI通信部4aからの応答が得られない場合に、通信エラーが発生した旨のダイアグコードを記憶する。車両が例えばディーラー等に入庫した場合にダイアグツールがCANの外部コネクタに接続され、ダイアグツールからダイアグコードの読み出し要求があった場合には、自己診断部2dはこのダイアグコードをダイアグツールに送信する。
【0025】
禁止手段2dbは、IGSW5がオフされた場合に自己診断手段2daによる自己診断を禁止する。開始手段2dcは、IGSW5のオン後にIGSW5のオフと同時に電源をオフとする他制御装置又は第二制御装置であるイモビライザ制御ECU4への通信開始を検出した場合に、自己診断を開始(再開)する。
【0026】
ここで本実施例1の制御内容の主たる対象とするケースは以下の通りである。すなわち、図2のケース1に示すように、IGSW5をオフとした場合イモビライザ制御ECU4は即座にセット状態(許可状態)に移行され電源オフの状態となるが、エンジン制御ECU2はメインリレー3を用いた自己保持機能により、所定時間Tを経過するまでは制御を継続した後に電源オフ状態に移行される。この自己保持機能は、ダイアグコード等のデータの受け取り時間の確保や、回転数の急激な低下の防止等を目的としている。
【0027】
このため、エンジン制御ECU2がIGをオフとした時から電源オフ状態に移行されるまでに、イモビライザ制御ECU4との通信を実行してダイアグ検出を行うと、エンジン制御ECU2はイモビライザ制御ECU4からの正常の応答を期待するため、制御を停止したイモビライザ制御ECU4に故障が発生していると誤判定する。
【0028】
また、図2のケース2に示すように、所定時間Tつまり、エンジン制御ECU2によるメインリレー3の自己保持期間中に、再度IGSW5がオンされた場合に、エンジン制御ECU2側も直ちにダイアグ検出を再開すると、エンジン制御ECU2側は、一連の通信と認識するものの、イモビライザ制御ECU4では、IGSW5のオフからオンへの移行によりリスタート状態に移行されており、セット状態からリスタート状態への遷移中であるため、通信トリガを掴みきれず、通信エラーとなるおそれがある。
【0029】
そこで以下これらに対応する、本実施例1の制御装置2の基本的な制御内容について図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3におけるSTARTにおいては、IGSW5がオンされる又は既にオンされているものとし、ステップS1においてはダイアグ検出(自己診断)が自己診断手段2daにより開始されているものとしている。
【0030】
ステップS2において、IG判定部2aは、IGSW5がオフされたか否かを判定し、肯定であればステップS3にすすみ、否定であればステップS2の手前に戻る。ステップS3において、禁止手段2dbによりダイアグ検出を禁止する。
【0031】
ステップS4において、IG判定部2aは、IGSW5がオンされたか否かを判定し、肯定であればステップS5にすすみ、否定であればステップS4の手前に戻る。ステップS5において、イモビ通信部2cは、EFI通信部4aに対して通信を開始したか否かを判定し、肯定であれば、ステップS6にすすみ、否定であればステップS5の手前に戻る。
ステップS6において、開始手段2dcは自己診断手段2daによるダイアグ検出を開始又は再開する。
【0032】
次に、本実施例1の制御装置2を含めた制御システム1全体の制御内容について図4に示すシーケンス図を用いて説明する。図4において左側のフローはイモビライザ制御ECU4の制御内容を示し、右側のフローはエンジン制御ECU2の詳細な制御内容を示す。
【0033】
ステップS1においてダイアグ検出は自己診断手段2daにより開始されており、ステップS2において、IGSW5がオフであると判定された場合に、ステップS3において、自己診断手段2daによる自己診断が禁止手段2dbにより禁止される。
【0034】
ステップS2と同時に実行されるイモビライザ制御ECU4側のステップS21においてIGがオフである場合には、イモビライザ制御ECU4の電源はオフとされ、ステップS22においてIGSW5がオンであると判定されるまでは、このイモビライザ制御ECU4の電源のオフ状態は継続される。
【0035】
再度、運転者のキー操作によりIGSW5がオンとされると、ステップS4、ステップS22の双方で肯定と判定され、イモビライザ制御ECU4側のステップS23のキー照合がOKであるか否かのステップが実行され肯定である場合には、ステップS24において、イモビライザ制御ECU4のEFI通信部4aからエンジン制御ECU2のイモビ通信部2cに固定の許可コードが出力される。
【0036】
ステップS7においてこの許可コードをイモビ通信部2cが受信したか否かが判定され、肯定であれば、ステップS8にすすむ。ステップS8においてエンジン制御ECU2は制御対象となるエンジンのスタータモータを始動して、エンジンを始動する。
【0037】
ステップS8によるエンジンの始動後、エンジンが所定の回転数以上となり、バッテリの電圧が安定した場合には、エンジン制御ECU2のイモビ通信部2cは乱数コードをEFI通信部4aに送信するとともに、送信したか否か、つまり通信を開始したか否かを判定し、肯定であればステップS6にすすむ。
【0038】
ステップS6において、開始手段2dcは自己診断手段2daによるダイアグ検出を再度開始する。イモビ通信部2cがこの乱数コードを受信すると、ステップS25において肯定の判定がなされて、ステップS26において、イモビ通信部2cは、乱数コードに含まれる乱数に対する所定演算式に基づく解を演算してこの解を含む返信コードを、EFI通信部4aに送信する。
【0039】
ステップS9において、EFI通信部4aは返信コードを受信し、上述した乱数に対して自身が有する所定演算式に基づく解と返信コードが含む解とが一致するか否かを判定し、肯定であればステップS10にすすみ、否定であればステップS11にすすむ。ステップS10において、エンジン制御ECU2はエンジンの回転数を維持又は上昇させて回転を継続させ、ステップS11においては、エンジン制御ECU2はエンジンの回転数を減少させて停止させる。以上の制御内容により、本発明の制御方法は繰り返し実行される。
【0040】
以上述べた制御内容により実現される本実施例1の制御装置2及び制御システム1によれば、まず、ステップS21からステップS22の期間中の、電源がオフとされた後のイモビライザ制御ECU4に対して、エンジン制御ECU2が通信を行うことによるダイアグ検出の誤検出、誤判定を防止することができる。
【0041】
つまり、図2に示したケース1の所定時間T中に、エンジン制御ECU2の自己診断手段2daが、イモビライザ制御ECU4との通信を含めた自己診断を行うことを予め禁止して、ダイアグ検出の誤検出を防止することができる。
【0042】
また、図2に示したケース2のように、所定時間Tが経過する前に、再度IGSW5がオンとされる場合においても、図4に示した、ステップS4のIGSW5のオンとによる肯定条件と、ステップS5に示した通信開始した旨の肯定条件の双方が成立した場合においてのみ、ステップS6の再度のダイアグ検出に移行することとなり、通信のインバータルと送信されるコードの長さにより、例えばコードを部分的にしか受信できないことによって、通信トリガをイモビライザ制御ECU4側が掴みきれずに、通信エラーとなる可能性をなくすことができる。
【0043】
加えて、本実施例1においては、ダイアグ検出の再開をエンジン制御ECU2側の肯定条件を用いて判定しているので、判定内容をエンジン制御ECU2側で閉じることができ、ダイアグ検出の対象となるデータフレームによらない判定を行うことができる。つまり、ダイアグ検出の開始と禁止をより適切に実行することができる。なお、本実施例1に示したキー認証とエンジン始動許可に伴う認証、エンジン回転数継続に伴う認証は、所謂チャレンジレスポンス方式のものでよい。
【0044】
以上述べた実施例1においては、ダイアグ検出の再開の条件をIGSW5のオンと通信開始のアンド条件としているが、通信開始とこれに伴う相手側ECUの受信応答の受信のアンド条件とすることもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0045】
本実施例2のハード構成は実施例1の図1に示したものと同等であるため、同一の符号を付し、制御内容において異なる部分についてのみ説明する。エンジン制御ECU2つまり制御装置側の基本的なフローチャートは、図5に示すとおりである。
【0046】
図3に比べて異なる点は、エンジン制御ECU2側のステップS5以降の処理であるため、その点について述べる。図5においては、ステップS4の判定要素に換えて、ステップS12の受信応答有りの判定要素とし、ステップS12の肯定判定後にステップS6のダイアグ検出開始を再開させる点である。
【0047】
この場合、シーケンス図は、イモビライザ制御ECU4側のステップS25の後に、乱数コード受信に対応する受信応答返信のステップS27が加えられ、ステップ27に対応するエンジン制御ECU2側の受信応答を受信したか否かの判定要素であるステップS12が加えられる。
【0048】
つまり、ステップS8でエンジンが始動された後、ステップS5において、エンジンの回転数が上昇してエンジン制御ECU2のイモビ通信部2cがイモビライザ制御ECU4のEFI通信部4aに対して乱数コードを送信したか否かを、イモビ通信部2cが判定し、肯定であればステップS12にすすみ、否定であればステップS5の手前に戻る。
【0049】
イモビライザ制御ECU4側においては、ステップS5に対応させて、ステップS25が実行され、乱数コードをEFI通信部4aがイモビ通信部2cから受信したか否かが判定され、肯定である場合にはステップS25にすすみ、否定である場合には、ステップS25の手前に戻る。
【0050】
ステップ27において、イモビライザ制御ECU4のEFI通信部4aは受信応答をイモビ通信部2cに対して返信する。ステップS27に対応するステップS12において、イモビ通信部2cは受信応答を受信したか否かを判定し、肯定であればステップS6にすすみ、否定であればステップS12の手前に戻る。ステップS6において、ステップS3により禁止されていたダイアグ検出が開始される。
【0051】
本実施例2の制御内容によっても、実施例1に示したものと同様に、図2に示したケース1において、電源がオフとされた後のイモビライザ制御ECU4に対してエンジン制御ECU2が通信を行うことによるダイアグ検出の誤検出、誤判定を防止することができる。
【0052】
また、図2に示したケース2において、ステップS5の通信開始とステップS12の受信応答受信のアンド条件が成立した場合においてのみ、再度のダイアグ検出に移行することとなるので、通信のインバータルと送信されるコードの長さにより、例えばコードを部分的にしか受信できずに通信トリガをイモビライザ制御ECU4側が掴みきれずに、通信エラーとなる可能性をなくすことができる。
【0053】
本実施例2においては、エンジン制御ECU2側がダイアグ検出を再開するにあたり、イモビライザ制御ECU4との通信開始に伴う返信応答を用いることによって、双方向通信に基づいてより確実性の高いダイアグ検出の再開の判定を行うことができる。
【0054】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。また、実施例相互間を適宜組み合わせることも可能である。
【0055】
例えば、制御装置を上述したエンジン制御ECU2に換えて、HVECU、EVECUとすることもできる。また、トランスミッションECUにも適用することができる。制御装置と他制御装置の組合せについても、異なる組合せのECUとすることもできる。上述した実施例では対象とするECUの双方がIG系を電源とするものを示したが、双方がACC系、+B系を電源とするものとしてもよい。
【0056】
また、車載用のECU以外のマイクロコンピュータの組合せにおいても、スイッチを共通の電源として、一方のみが自己保持用のリレーを具備しているケースにおいて、本発明を適用することができる。ECU相互間の通信線は上述した専用回線でなく、CANやLIN等のLANであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、スイッチの負極側に接続されて、スイッチのオフに対して即座にオフとされるマイクロコンピュータと時間差を有してオフとされるマイクロコンピュータ相互間における通信形態を予め定めることによって、特に後者のマイクロコンピュータ側で自己診断(ダイアグ検出)を行った場合の通信エラーの誤検出、誤判定を効果的に防止できる。
【0058】
このため、上述した相互関係を有するマイクロコンピュータを通信線で接続した相互に通信を行うシステムとマイクロコンピュータに適用して効果的なものである。特に車両内における複数のECUにより構成されるシステムに適用して効果的なものである。つまり、本発明は乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【符号の説明】
【0059】
1 制御システム
2 エンジン制御ECU(制御装置:第一制御装置)
2a IG判定部
2b メインリレー制御部
2c イモビ通信部
2d 自己診断部
2da 自己診断手段
2db 禁止手段
2dc 開始手段
3 メインリレー(MR)
4 イモビライザ制御ECU(他制御装置:第二制御装置)
4a EFI通信部
5 IGSW(スイッチ)
6 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置であって、前記制御装置の自己診断を行う自己診断手段と、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記スイッチのオン後に前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始手段とを含むことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置であって、前記制御装置の自己診断を行う自己診断手段と、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した後に当該他制御装置からの応答を受信した場合に、前記自己診断を開始する開始手段とを含むことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする第一制御装置と、前記オフと同時に電源をオフとする第二制御装置と、を含み、前記第一制御装置は、自己診断を行う自己診断手段を含むとともに、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記スイッチのオン後に前記第二制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始手段を含むことを特徴とする制御システム。
【請求項4】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする第一制御装置と、前記オフと同時に電源をオフとする第二制御装置と、を含み、前記第一制御装置は自己診断を行う自己診断手段を含むとともに、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止手段と、前記第二制御装置への通信開始を検出した後に前記第二制御装置からの応答を受信した場合に、前記自己診断を開始する開始手段を含むことを特徴とする制御システム。
【請求項5】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置において自己診断を行う自己診断ステップと、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止ステップと、前記スイッチのオン後に前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した場合に、前記自己診断を開始する開始ステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
スイッチのオフから所定時間経過後に電源をオフとする制御装置において自己診断を行う自己診断ステップと、前記スイッチがオフされた場合に前記自己診断を禁止する禁止ステップと、前記スイッチのオフと同時に電源をオフとする他制御装置への通信開始を検出した後に前記他制御装置からの応答を受信した場合に、前記自己診断を開始する開始ステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の制御方法を実行するプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを格納した媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−11192(P2013−11192A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143029(P2011−143029)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】