説明

制御装置、制御方法、及びプログラム

【課題】モータの高効率なトルク制御を可能にして、エネルギーの無駄を小さく抑えることの可能な制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置4は、第1条件判断器16と、第2条件判断器17と、第1加算器20と、第2加算器21とを有する。第1,第2条件判断器16,17は、それぞれ、速度指令が示す角速度を条件として、第1,第2モータ5,6の出力トルクを設定するための第1,第2補正乗数を求める。第1加算器20は、前記角速度に第1補正乗数を乗じた値と、第1のトルク値とを加算することで第1モータ5の出力トルクを求めて、出力トルクを示す第1モータ5の駆動信号を出力する。第2加算器21は、前記角速度に第2補正乗数を乗じた値と、第1のトルク値と正負が反対である第2のトルク値とを加算することで、第2モータ6の出力トルクを求めて、該出力トルクを示す第2モータ6の駆動信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアを介して負荷軸にトルクが伝達されるモータを制御する制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータで動力を得る可動体が開示されている。可動体は、第1,第2モータと、第1〜第3ギアと、速度指令部と、制御装置とを有する。第1ギアは第1モータの駆動軸に設けられる。第2ギアは第2モータの駆動軸に設けられる。第3ギアは、負荷軸に設けられて、第1,第2ギアと噛み合う。負荷軸は、第1,第2モータのトルクが第1〜第3ギアを介して伝達されることで回転し、これに伴い、可動体の駆動部が回転する。速度指令部は、負荷軸の角速度Vを指示する速度指令を出力する。制御装置は、角速度Vを用いる式(1),(2)に従って、第1,第2モータのトルクを制御する。
【0003】
T1=1/2×k×V+Tp ・・・(1)
【0004】
T2=1/2×k×V−Tp ・・・(2)
【0005】
式(1)によれば、第1モータのトルクは、速度指令が示す角速度Vに1/2と比例定数kとを乗じた値に、プリトルク+Tpが加算された値に制御される。式(2)によれば、第2モータのトルクは、速度指令が示す角速度Vに1/2と比例定数kとを乗じた値に、プリトルク−Tpが加算された値に制御される。
【0006】
上記のトルク制御によれば、速度指令が示す角速度Vの絶対値が、2Tp/kよりも小さい場合には、第1,第2モータの出力トルクの極性は、正負反対になる。このため、第1,第2ギアから第3ギアに伝達されるトルクの向きは逆向きになる。この場合、第3ギアは、大出力のモータに設けられたギアに従動して回転する。
【0007】
例えば、第1モータが大出力のモータである場合、第3ギアは第1ギアに従動して回転する。また、小出力の第2モータに設けられる第2ギヤは、第3ギアに回転方向と反対方向のトルクを与える。これにより、第1ギアと第3ギアとは、隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギアに生じる第1,第2モータの合成トルクが、負荷軸に伝達されることで、負荷軸は回転する。
【0008】
また、速度指令が示す角速度Vが0である場合には、第1モータと第2モータとに、それぞれ、プリトルク+Tp,−Tpが与えられる。この場合、第1,第2モータの出力トルクの極性が正負反対であることで、第1ギアと第3ギアとの間や、第2ギアと第3ギアとの間にバックラッシュが生じない。また、第1,第2モータのトルクの絶対値が等しいことで、第1〜第3ギアは回転を停止する。また、第3ギアに生じる第1,第2モータの合成トルクが0になることで、負荷軸の回転が停止し、これに伴い、可動体の駆動部も回転を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−51722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで上述のように、第3ギアが、大出力のモータに設けられたギアに従動する場合、小出力のモータのトルクは、第3ギアに伝達される大出力のモータのトルクを減退させ、第3ギアに生じる合成トルクを小さくする。特許文献1では、式(1),式(2)により、第1,第2モータのトルクが、速度指令が指示する角速度Vに比例する値に制御される。よって、角速度Vが大きくなることに応じて、小出力のモータのトルクの絶対値も大きくなる。このため、角速度Vが大きくなることに応じて、第3ギアに生じる合成トルクを効率よく高めて、負荷軸の角速度を速めることができない。
【0011】
また、特許文献1は、第1,第2モータのトルクを角速度Vに比例する値に制御するものであるから、角速度Vが0である場合に、第1,第2モータのトルクは、絶対値が最小の値にならない。よって、特許文献1は、負荷軸の回転を停止させるために、第1,第2モータに必要以上のトルクを加えるため、エネルギーの無駄を生じさせる。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、モータの高効率なトルク制御を可能にして、エネルギーの無駄を小さく抑えることの可能な制御装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の観点に係る制御装置は、第1及び第2のモータからギアを介して一つの負荷軸に伝達されるトルクを制御する制御装置であり、第1条件判断器と、第2条件判断器と、第1加算値と、第2加算値とを備える。第1条件判断器は、モータの駆動指令が示す指令値が所定値以上になる場合に、第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが第1の勾配で変化し、指令値が前記所定値よりも小さい場合に、第1モータから負荷軸に伝達されるトルクが一定になるように、第1モータの制御値を設定するための第1補正乗数を求める。第2条件判断器は、指令値が所定値以上になる場合に、第2モータから負荷軸に伝達されるトルクが一定になり、指令値が所定値よりも小さい場合に、第2モータから負荷軸に伝達されるトルクが第1の勾配と正負が同一である第2の勾配で変化するように、第2モータの制御値を設定するための第2補正乗数を求める。第1加算値は、指令値に第1補正乗数を乗じた値と、負荷軸に第1の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、第1モータの制御値を求めて、該制御値を示す第1モータの駆動信号を出力する。第2加算器は、指令値に前記第2補正乗数を乗じた値と、負荷軸に前記第1の向きと相対向する第2の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、第2モータの制御値を求めて、該制御値を示す第2モータの駆動信号を出力する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モータの駆動指令が示す値に関わらず、小出力のモータのトルクを、一定にして、その絶対値を最小値にする制御が可能になる。よって、モータの駆動指令が示す値が変化することに応じて、ギアに生じる合成トルクを効率よく高め、負荷軸の角速度を速めることができる。これにより、モータの高効率なトルク制御が実現される。
【0015】
また、負荷軸の回転を停止させるモータの駆動指令が出力された場合に、各モータのトルクの絶対値を最小の値に制御できる。よって、負荷軸の回転を停止させるため、モータに必要最低限のトルクを加えることが可能になる。これにより、エネルギーの無駄が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る可動体の構成を示すブロック図である。
【図2】ギアボックスに配置されるギアを示す概略図である。
【図3】実施の形態1において、速度指令が示す角速度と、負荷軸に生じるトルクとの関係を示すグラフである。
【図4】図2の対応図であり、速度指令が示す角速度が0である場合の第1〜第3ギアの状態を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態2において、速度指令が示す角速度と、負荷軸に生じるトルクとの関係を示すグラフである。
【図6】図2の対応図であり、速度指令が示す角速度が、速度閾値以上である場合の第1〜第3ギアの状態を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態3において、速度指令が示す角速度と、負荷軸に生じるトルクとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態4に係る可動体の構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態4において、電流制御信号が示すトルクと、負荷軸に生じるトルクとの関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態1〜4に係る制御装置の物理的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る実施の形態1を、図を参照しながら説明する。実施の形態1は、本発明に係る制御装置が、例えばクレーン車である可動体1に設けられる場合を示す。図1に示すように、可動体1は、角速度減算器2と、速度指令出力部3と、制御装置4と、第1モータ5と、第2モータ6と、ギアボックス7と、駆動装置8とを有する。以下、可動体1の各構成要素について説明する。
【0018】
図2に示すように、ギアボックス7には、第1ギア9、第2ギア10、第3ギア11が配置される。第1ギア9は、第1モータ5の駆動軸5aに設けられる。第2ギア10は、第2モータ6の駆動軸6aに設けられる。第1,第2ギア9,10は、第3ギア11と噛み合うように配置される。上記の噛み合いにより、第1,第2モータ5,6のトルクは、第1,第2ギア9,10を介して第3ギア11に伝達される。
【0019】
図1に示すように、駆動装置8は、負荷軸12と、角速度検出器13とを有する。第3ギア11は負荷軸12に設けられる。負荷軸12は、第1〜第3ギア9〜11を介して第1,第2モータ5,6のトルクが伝達されることで回転し、この回転に伴い、可動体1の駆動部が回転する。角速度検出器13は、負荷軸12の角速度を検出して、該角速度の実際値Realを出力する。
【0020】
角速度減算器2には、運転台(図示せず)から角速度Cmdを示す信号が入力され、角速度検出器13から角速度の実際値Realを示す信号が入力される。角速度減算器2は、角速度Cmdと角速度の実際値Realとの偏差Errを求め、偏差Errを示す信号を出力する。
【0021】
速度指令出力部3は、角速度減算器2が出力した信号が示す偏差Errに基づき、負荷軸12に生じさせる角速度Vを求めて、角速度Vを指示する速度指令を出力する。
【0022】
制御装置4は、第1,第2モータ5,6から第1〜第3ギア9〜11を介して負荷軸12に伝達されるトルクを制御する。
【0023】
具体的には、制御装置4は、第1,第2モータ5,6の制御値として、第1,第2モータ5,6の出力トルクを式(3),式(4)より求め、該出力トルクを示す駆動信号を出力して、第1,第2モータ5,6で出力されるトルクを制御する。
【0024】
T1=αV+C ・・・(3)
T2=βV+D ・・・(4)
【0025】
式(3)によれば、速度指令が示す角速度Vに第1補正乗数αを乗じた値に、第1向トルク発生値Cを加算することで、第1モータ5の出力トルクT1(=αV+C)が求められる。式(4)によれば、角速度Vに第2補正乗数βを乗じた値に、第2向トルク発生値Dを加算することで、第2モータ6の出力トルクT2(=βV+D)が求められる。
【0026】
第1向トルク発生値Cは、負荷軸12に第1の向きのトルクを発生させるための値であり、正の値+Tpに設定される。第2向トルク発生値Dは、負荷軸12に第1の向きと相対向する第2の向きのトルクを発生させための値であり、負の値−Tp'に設定される。
【0027】
また、第1,第2向トルク発生値C,Dは、絶対値が等しく設定される。これは、角速度Vが0である場合に、負荷軸12の回転を停止させることを目的とする。なお、トルク値C,Dの絶対値は、摩擦トルクや風損などに起因した粘性トルクに基づき設定される。
【0028】
制御装置4は、式(3),式(4)の演算を行うための構成として、図1に示すように、第1条件判断器16と、第2条件判断器17と、第1増幅器18と、第2増幅器19と、第1加算器20と、第2加算器21とを有する。
【0029】
また、制御装置4は、式(3),式(4)の演算値に対応する電流を第1,第2モータ5,6に生じさせる構成として、第3増幅器22と、第4増幅器23とを有する。以下、制御装置4の各構成要素について説明する。
【0030】
速度指令出力部3が出力した速度指令は、第1条件判断器16と、第2条件判断器17と、第1増幅器18と、第2増幅器19とに入力される。
【0031】
第1条件判断器16は、速度指令が指示する角速度Vを条件として、第1モータ5の制御値を設定するための第1補正乗数αを求めて、第1補正乗数αを示す信号を出力する。
【0032】
角速度Vが0以上である場合、第1補正乗数αは、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクを第1の勾配γで変化させる値で求められる。また、角速度Vが0よりも小さい場合、第1補正乗数αは、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクを一定にさせる値で求められる。
【0033】
具体的には、第1補正乗数αは、角速度Vを条件とする式(5)により求められる。式(5)によれば、角速度Vが0以上である場合には、第1補正乗数αはγ(第1の値)で求められる。また、角速度Vが0よりも小さい場合には、第1補正乗数αは0で求められる。
【0034】
0≦Vのとき、α=γ
0>Vのとき、α=0 ・・・(5)
【0035】
第1増幅器18は、速度指令が示す角速度Vに、第1条件判断器16が出力した第1補正乗数αを乗じた値αVを求めて、該演算値αVを示す第1トルク指令を出力する。
【0036】
角速度Vが0以上である場合には、α=γであることで、演算値αVはγVで求められる。角速度Vが0よりも小さい場合には、α=0であるため、演算値αVは0で求められる。
【0037】
第1加算器20は、第1トルク指令が示す値αV(γV或いは0)と、第1向トルク発生値Cである+Tp’(第1のトルク値)とを加算することで、第1モータ5の出力トルクαV+Cを求める。
【0038】
角速度Vが0以上である場合には、出力トルクαV+Cは、γV+Tp'で求められる。角速度Vが0よりも小さい場合には、出力トルクαV+Cは、0+Tp’の計算から、+Tp'で求められる。
【0039】
さらに、第1加算器20は、第1モータ5の出力トルクαV+Cを示す第1モータ5の駆動信号を出力する。
【0040】
第3増幅器22は、第1モータ5の駆動信号が示す出力トルクαV+Cを、電流値に変換して、第1モータ5に出力する。これにより、第1モータ5の電機子に流れる電流が上記の電流値になり、第1加算器20が求めたトルクαV+Cが、第1モータ5で出力される。このトルクαV+Cは、第1,第3ギア9,11を介して負荷軸12に伝達される。
【0041】
第2条件判断器17は、速度指令が指示する角速度Vを条件として、第2モータ6の制御値を設定するための第2補正乗数βを求めて、第2補正乗数βを示す信号を出力する。
【0042】
角速度Vが0以上である場合には、第2補正乗数βは、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクを、一定にさせる値で求められる。また、角速度Vが0よりも小さい場合には、第2補正乗数βは、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクを、第2の勾配γで変化させる値で求められる。
【0043】
具体的には、第2補正乗数βは、角速度Vを条件とする式(6)により求められる。式(6)によれば、角速度Vが0以上である場合には、第2補正乗数βは0で求められる。また、角速度Vが0よりも小さい場合には、第2補正乗数βはγ(第2の値)で求められる。
【0044】
0≦Vのとき、β=0
0>Vのとき、β=γ ・・・(6)
【0045】
また、角速度Vが0以上である場合に、第1補正乗数αとして求められる第1の値γと、角速度Vが0よりも小さい場合に、第2補正乗数βとして求められる第2の値γとは、正負が同一(いずれも正の値)に設定される。これは、角速度Vが正である場合に、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクの勾配(第1の勾配)と、角速度Vが負である場合に、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクの勾配(第2の勾配)との正負を、同一にすることを目的とする。
【0046】
また、第1補正乗数αとして求められる第1の値γと、第2補正乗数βとして求められる第2の値γとは、絶対値が等しく設定される。これは、角速度Vが正である場合と、角速度Vが負である場合とで、第1,第2モータ5,6から負荷軸12に伝達されるトルクの傾きの絶対値を同一にすることを目的とする。なお、上述の傾きの絶対値は、必ずしも同一にされる必要はない。よって、第1の値と第2の値とは、必ずしも絶対値が等しくなくてもよい。
【0047】
第2増幅器19は、速度指令が示す角速度Vに、第2条件判断器17が出力した第2補正乗数βを乗じた値βVを求めて、該演算値βVを示す第2トルク指令を出力する。
【0048】
角速度Vが0以上である場合には、β=0であることで、演算値βVは0で求められる。また、角速度Vが0よりも小さい場合には、β=γであることで、演算値βVはγVで求められる。
【0049】
第2加算器21は、第2トルク指令が示す値βV(0或いはγV)と、第2向トルク発生値Dである−Tp’(第2のトルク値)とを加算することで、第2のモータ6の出力トルクβV+Dを求める。
【0050】
角速度Vが0以上である場合には、出力トルクβV+Dは、0−Tp’の計算から、−Tp’で求められる。角速度Vが0よりも小さい場合には、出力トルクβV+Dは、γV−Tp'で求められる。
【0051】
さらに、第2加算器21は、上記第2モータ6の出力トルクβV+Dを示す第2モータ6の駆動信号を出力する。
【0052】
第4増幅器23は、上記第2モータ6の駆動信号が示す出力トルクβV+Dを、電流値に変換して、第2モータ6に出力する。これにより、第2モータ6の電機子に流れる電流が上記の電流値になり、第2加算器21が求めたトルクβV+Dが、第2モータ6で出力される。このトルクβV+Dは、第2,第3ギア10,11を介して負荷軸12に伝達される。
【0053】
制御装置4の制御によれば、図3に示すように、速度指令が示す角速度Vが0よりも大きい場合、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、γV+Tp'になり、第1の勾配γで値が変化する。また、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、−Tp'になる。
【0054】
この場合、第1モータ5のトルクγV+Tp'は、正の値を示し、第2モータ6のトルク−Tp'は、負の値を示す。よって、図2の矢印に示すように、第1,第2ギア9,10から第3ギア11に伝達されるトルクの向きは逆向きになる。また、第1モータ5の出力トルクγV+Tp'は、第2モータ6の出力トルク−Tp'よりも絶対値が大きい。このため、第3ギア11は、第1ギア9に従動して回転する。また、第2ギヤ10が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク−Tp'を伝達することで、第3ギア11は、第1ギア9と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0055】
また、図3に示すように、速度指令が示す角速度Vが0よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、+Tp'になる。また、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、γV−Tp'になり、第2の勾配γで値が変化する。
【0056】
この場合、第1モータ5のトルク+Tp'が正の値で、第2モータ6のトルクγV−Tp'が負の値であるため、第1,第2ギア9,10から第3ギア11に伝達されるトルクの向きは逆向きになる。また、第2モータ6の出力トルクγV−Tp'は、第1モータ5の出力トルク+Tp'よりも絶対値が大きい。よって、第3ギア11は、第2ギア10に従動して回転し、この回転方向は、図2に示す方向と逆になる。また、第1ギヤ9が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第2ギア10と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが、負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0057】
角速度Vが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp',−Tp'(第1,第2トルク値C,D)が与えられる。よって、図4の矢印に示すように、第1,第2モータ5,6から第1,2ギア9,10に伝達されるトルクの極性が正負反対になる。このため、第1ギア9と第3ギア11との間にバックラッシュ、或いは、第2ギア10と第3ギア11との間にバックラッシュが生じない。また、第1,第2モータ5,6のトルク+Tp',−Tp'の絶対値が等しいことで、第1〜第3ギア9〜11は回転を停止する。また、第3ギア11に生じる第1,第2モータ5,6の合成トルクが0であることで、負荷軸12の回転が停止し、これに伴い、可動体1の駆動部も回転を停止する。
【0058】
本実施の形態によれば、速度指令が示す角速度Vが0以外である場合には、第3ギア11に回転方向とは逆方向のトルクを与える小出力のモータは、角速度Vに応じてトルクが変化せず、そのトルクの絶対値が最小の値Tp'になる。
【0059】
すなわち、図3に示すように、角速度Vが0よりも大きい場合には、上記逆方向のトルクを与える小出力の第2モータ6は、トルクが−Tp'で一定になることで、角速度Vに応じてトルクが変化せず、トルクの絶対値が最小の値Tp'になる。
【0060】
また、角速度Vが0よりも小さい場合には、上記逆方向のトルクを与える小出力の第1モータ5は、トルクが+Tp'で一定になることで、角速度Vに応じてトルクが変化せず、トルクの絶対値が最小の値Tp'になる。
【0061】
以上述べたように、本実施の形態によれば、速度指令が示す角速度Vが0以外である場合には、小出力のモータのトルクは、角速度Vの値に関わらず一定とされ、また、その絶対値も小さくなる。よって、速度指令が示す角速度Vの絶対値が大きくなることに応じて、第3ギア11に生じる合成トルクを効率よく高めて、負荷軸12の角速度を速めることができる。これにより、モータの高効率なトルク制御が実現される。
【0062】
また、速度指令が示す角速度Vが0である場合、第1,第2モータ5,6のトルクは、それぞれ、+Tp',−Tp'になることで、トルクの絶対値がいずれも最小の値Tp'になる。よって、負荷軸12の回転を停止させるために、第1,第2モータ5,6に必要最低限のトルクを加えることが可能になる。このため、エネルギーの無駄が生じない。
【0063】
また一般に、モータの出力誤差は、モータの出力トルクが変化する場合に大きくなる。本実施の形態によれば、第1,第2モータ5,6のうち、小出力のモータはトルク値が一定(+Tp'或いは−Tp')とされる。よって、出力誤差による影響の大きな低速域で、第1,第2モータ5,6の出力誤差の合計を小さく抑えて、負荷軸12を回転させる合成トルクの精度を高めることができる。
【0064】
(実施の形態2)
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。実施の形態2は、第1,第2補正乗数α,βが求める方法が、実施の形態1と異なる。
【0065】
実施の形態2では、第1条件判断器16は、式(7)により、第1補正乗数αを求めて、第1補正乗数αを示す信号を出力する。
【0066】
0≦Vのとき、α=γ
0>V>−Vlimのとき、α=0
−Vlim≧Vのとき、α=γ ・・・(7)
【0067】
式(7)によれば、速度指令が指示する角速度Vが0以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim(第1の閾値)以下である場合には、第1補正乗数αは、γ(第1の値)で求められる。
【0068】
角速度Vが0よりも小さく−Vlim(第1の閾値)よりも大きい場合には、第1補正乗数αは、0で求められる。
【0069】
第1増幅器18は、速度指令が示す角速度Vに、第1条件判断器16が出力した第1補正乗数αを乗じた値αVを求めて、演算値αVを示す第1トルク指令を出力する。
【0070】
角速度Vが0以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim以下である場合には、α=γであることで、演算値αVは、γVで求められる。
【0071】
角速度Vが0よりも小さく−Vlimよりも大きい場合には、α=0であることで、演算値αVは、0で求められる。
【0072】
第1加算器20は、第1トルク指令が示す値αVと、第1向トルク発生値Cとを加算することで、第1モータ5の出力トルクαV+Cを求めて、出力トルクαV+Cを示す第1モータ5の駆動信号を出力する。本実施の形態では、第1向トルク発生値Cは、式(8)により設定される。
【0073】
0≦Vのとき、C=+Tp’
0>V>−Vlimのとき、C=+Tp’
−Vlim≧Vのとき、C=+γVlim+Tp’ ・・・(8)
【0074】
角速度Vが、0以上である場合、第1向トルク発生値Cは、+Tp’に設定される。
よって、出力トルクαV+Cは、γV+Tp’で求められる。
【0075】
角速度Vが0よりも小さく−Vlimよりも大きい場合には、第1向トルク発生値Cは、+Tp’に設定される。出力トルクαV+Cは、0+Tp’の計算から、+Tp’で求められる。
【0076】
角速度Vが−Vlim以下である場合、第1向トルク発生値Cは、+γVlim+Tp’に設定される。よって、出力トルクαV+Cは、γV+γVlim+Tp’で求められる。
【0077】
第3増幅器22は、上記第1モータ5の駆動信号が示す出力トルクαV+Cを、電流値に変換して、第1モータ5に出力する。これにより、第1加算器20が求めたトルクαV+Cが、第1モータ5で出力される。
【0078】
第2条件判断器17は、速度指令が指示する角速度Vを条件とする式(9)により、第2補正乗数βを求めて、第2補正乗数βを示す信号を出力する。
【0079】
+Vlim≦Vのとき、β=γ
0≦V<+Vlimのとき、β=0
0>Vのとき、β=γ ・・・(9)
【0080】
角速度Vが+Vlim(第2の閾値)以上である場合、或いは、角速度Vが0よりも小さい場合には、第2補正乗数βは、γ(第2の値)で求められる。
【0081】
角速度Vが0以上で、+Vlim(第2の閾値)よりも小さい場合には、第2補正乗数βは、0で求められる。
【0082】
第2増幅器19は、速度指令が示す角速度Vに、第2条件判断器17が出力した第2補正乗数βを乗じた値βVを求めて、該演算値βVを示す第2トルク指令を出力する。
【0083】
角速度Vが+Vlim以上である場合、或いは、角速度Vが0よりも小さい場合には、演算値βVは、γVで求められる。
【0084】
角速度Vが、0以上で、+Vlimよりも小さい場合には、β=0であることで、演算値βVは、0で求められる。
【0085】
第2加算器21は、第1トルク指令が示す値βVと、式(10)で得られる第2向トルク発生値Dとを加算することで、第2モータ6の出力トルクβV+Dを求めて、出力トルクβV+Dを示す第2モータ6の駆動信号を出力する。本実施の形態では、第1向トルク発生値Cは、式(10)により設定される。
【0086】
+Vlim≦Vのとき、D=−γVlim−Tp’
0≦V<+Vlimのとき、D=−Tp’
0>Vのとき、D=−Tp’ ・・・(10)
【0087】
角速度Vが、+Vlim以上である場合、第2向トルク発生値Dは、−γVlim−Tp’に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、γV−γVlim−Tp’で求められる。
【0088】
角速度Vが0以上であり−Vlimよりも大きい場合には、第2向トルク発生値Dは−Tp’に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、0−Tp’の計算から、−Tp’で求められる。
【0089】
角速度Vが0よりも小さい場合、第2向トルク発生値Dは−Tp’に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、γV−Tp’で求められる。
【0090】
第4増幅器23は、上記第2モータ6の駆動信号が示す出力トルクを、電流値に変換して、第2モータ6に出力する。これにより、第2加算器21が求めたトルクが、第2モータ6で出力される。
【0091】
実施の形態2の制御によれば、図5に示すように、速度指令が指示する角度Vが、+Vlim(第2の閾値)以上である場合、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、γV+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、γV−γVlim−Tp’になる。よって、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγになり、正の値になる。このため、図6の矢印に示すように、第1,第2ギア9,10は、トルクを出し合い第3ギア11の回転を加減速するように動作する。また、第3ギア11には第1,第2モータ5,6の合成トルク2γV−γVlimが生じ、合成トルク2γV−γVlimが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0092】
また、図5に示すように、角速度Vが、0よりも大きく、+Vlim(第2の閾値)よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、γV+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、−Tp’になる。つまり、実施の形態1で角速度Vが0よりも大きい場合と同様の状況になる。よって、第3ギア11は、第1ギア9に従動して回転する。また、第2ギヤ10が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第1ギア9と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0093】
角速度Vが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp',−Tp'が与えられる。よって、実施の形態1で、角速度Vが0になる場合と同様、第1ギア9と第3ギア11との間にバックラッシュ、或いは、第2ギア10と第3ギア11との間にバックラッシュが生じない。また、第1,第2モータ5,6の合成トルクが0になることで、負荷軸12の回転が停止する。
【0094】
また、角速度Vが、0よりも小さく、−Vlim(第1の閾値)よりも大きい場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、γV−Tp’になる。つまり、実施の形態1で角速度Vが0よりも小さい場合と同様の状況になる。よって、第3ギア11は、第2ギア10に従動して回転する。また第1ギヤ9が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第2ギア10と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0095】
また、角速度Vが、−Vlim(第1の閾値)以下である場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、γV+γVlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、γV−Tp’になる。よって、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγになり、負の値になる。このため、第1,第2ギア9,10は、トルクを出し合い第3ギア11の回転を加減速するように動作する。また、第3ギア11には第1,第2モータ5,6の合成トルク2γV+γVlimが生じ、合成トルク2γV+γVlimが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0096】
本実施の形態によれば、速度指令が指示する角速度Vが−Vlim(第1の閾値)以下や+Vlim(第2の閾値)以上である場合には、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配は、正負が同一になる。このため、負荷軸12に回転を生じさせるトルクを、第1,第2モータ5,6の両者に分担させることができる。よって、第1,第2モータ5,6の個々に加えられる負荷を小さく抑えることができる。
【0097】
また、角速度Vが0よりも大きく+Vlimよりも小さい場合や、角速度Vが0よりも小さく−Vlimよりも大きい場合には、第3ギア11に回転方向とは逆方向のトルクを与える小出力のモータは、角速度Vに応じてトルクが変化せず、そのトルクの絶対値が最小の値Tp'になる。よって、角速度Vの絶対値が大きくなることに応じて、第3ギア11に生じる合成トルクを効率よく高めて、負荷軸12の角速度を速めることができる。
【0098】
また、小出力のモータのトルク値が一定とされることで、実施の形態1と同様、出力誤差による影響の大きな低速域で、第1,第2モータ5,6の出力誤差の合計を小さく抑えて、負荷軸12を回転させる合成トルクの精度を高めることができる。
【0099】
また、角速度Vが0である場合、第1,第2モータ5,6のトルクは、それぞれ、+Tp,−Tpになることで、トルクの絶対値が最小の値Tp'になる。よって、負荷軸12の回転を停止させるために、第1,第2モータ5,6に必要最低限のトルクを加えることが可能になる。
【0100】
(実施の形態3)
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。実施の形態3は、実施の形態2の変形例であり、速度指令が指示する角速度Vと、負荷軸12に生じる合成トルクとがリニアな関係になるように、第1,第2補正乗数α,βや第1,第2のトルク値C,Dが求められる。
【0101】
実施の形態3では、第1条件判断器16は、式(11)により、第1補正乗数αを求めて、第1補正乗数αを示す信号を出力する。
【0102】
+Vlim≦Vのとき、α=γ/2
0≦V<+Vlimのとき、α=γ
0>V>−Vlimのとき、α=0
−Vlim≧Vのとき、α=γ/2 ・・・(11)
【0103】
式(7)によれば、速度指令が指示する角速度Vが0以上で、+Vlim(第3の閾値)よりも小さい場合には、第1補正乗数αは、γ(第1の値)で求められる。
【0104】
角速度Vが0よりも小さく、−Vlim(第4の閾値)よりも大きい場合には、第1補正乗数αは、0で求められる。
【0105】
角速度Vが+Vlim(第3の閾値)以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim(第4の閾値)以下である場合には、第1補正乗数αは、γ/2(第3の値)で求められる。γ/2(第3の値)は、γ(第1の値)と正負が同一であり、絶対値が、0よりも大きく、γ(第1の値)よりも小さい。
【0106】
式(11)で使用される+Vlim,−Vlim(第3,第4の閾値)は、例えば、正負が反対で、絶対値が等しく設定される。なお、絶対値については必ずしも等しくなくてもよい。また、+Vlim,−Vlim(第3,第4の閾値)は、後述の式(12),式(13),式(14)で、第1,2向トルク発生値C、第2補正乗数β、第2向トルク発生値Dを求めるためにも使用される。
【0107】
第1増幅器18は、速度指令が示す角速度Vに、第1条件判断器16が出力した第1補正乗数αを乗じた値αVを求めて、演算値αVを示す第1トルク指令を出力する。
【0108】
角速度Vが、0以上で、+Vlimよりも小さい場合には、α=γであることで、演算値αVは、γVで求められる。
【0109】
角速度Vが、0よりも小さく、−Vlimよりも大きい場合には、α=0であることで、演算値αVは、0で求められる。
【0110】
角速度Vが、+Vlim以上である場合、或いは、角速度Vが、−Vlim以下である場合には、α=γ/2であることで、演算値αVは、(γ/2)×Vで求められる。
【0111】
第1加算器20は、第1トルク指令が示す値αVと、第1向トルク発生値Cとを加算することで、第1モータ5の出力トルクαV+Cを求めて、出力トルクαV+Cを示す第1モータ5の駆動信号を出力する。本実施の形態では、第1向トルク発生値Cは、式(12)により設定される。
【0112】
+Vlim≦Vのとき、C=(γ/2)×Vlim+Tp’
0≦V<+Vlimのとき、C=+Tp’
0>V>−Vlimのとき、C=+Tp’
−Vlim≧Vのとき、C=(γ/2)×Vlim+Tp’ ・・・(12)
【0113】
角速度Vが、0以上で、+Vlimよりも小さい場合、第1向トルク発生値は、+Tp’(第1のトルク値)に設定される。よって、出力トルクαV+Cは、γV+Tp’で求められる。
【0114】
角速度Vが、0よりも小さく、−Vlimよりも大きい場合には、第1向トルク発生値Cは、+Tp’(第1のトルク値)に設定される。よって、出力トルクαV+Cは、0+Tp’の計算から、+Tp’で求められる。
【0115】
角速度Vが、+Vlim以上である場合、或いは、角速度Vが、−Vlim以下である場合には、第1向トルク発生値Cは、(γ/2)×Vlim+Tp’(第3のトルク値)に設定される。よって、出力トルクαV+Cは、(γ/2)×V+(γ/2)×Vlim+Tp’で求められる。
【0116】
なお、(γ/2)×Vlim+Tp’(第3のトルク値)は、γ(第1の値)からγ/2(第3の値)を差し引いた差分(γ/2)と、+Vlim(第3の閾値)との乗数(γ/2×Vlim)に、+Tp’(第1のトルク値)を加算した値である。
【0117】
第3増幅器22は、上記第1モータ5の駆動信号が示す出力トルクαV+Cを、電流値に変換して、第1モータ5に出力する。これにより、第1加算器20が求めたトルクαV+Cが、第1モータ5で出力される。
【0118】
第2条件判断器17は、速度指令が指示する角速度Vを条件とする式(13)により、第2補正乗数βを求めて、第2補正乗数βを示す信号を出力する。
【0119】
+Vlim≦Vのとき、β=γ/2
0≦V<+Vlimのとき、β=0
0>V>−Vlimのとき、β=γ
−Vlim≧Vのとき、β=γ/2 ・・・(13)
【0120】
角速度Vが0以上で、+Vlim(第3の閾値)よりも小さい場合には、第2補正乗数βは、0で求められる。
【0121】
角速度Vが0よりも小さく、−Vlim(第4の閾値)よりも大きい場合には、第2補正乗数βは、γ(第2の値)で求められる。
【0122】
角速度Vが+Vlim(第3の閾値)以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim(第4の閾値)以下である場合には、第2補正乗数βは、γ/2(第4の値)で求められる。γ/2(第4の値)は、γ(第2の値)と正負が同一であり、絶対値が、0より大きく、γ(第2の値)よりも小さい。
【0123】
また本実施の形態では、式(11)に示したように、0≦V<+Vlimである場合に、第1補正乗数αとして求められるγ(第1の値)と、0>V>−Vlimである場合に、第2補正乗数βとして求められるγ(第2の値)とは、同一の値とされる。
【0124】
また、+Vlim≦Vである場合、或いは、−Vlim≧Vである場合に、第1補正乗数αとして求められる1/2γ(第3の値)と、第2補正乗数βとして求められる1/2γ(第4の値)との合計は、第1,第2の値γに一致する。
【0125】
第2増幅器19は、速度指令が示す角速度Vに、第2条件判断器17が出力した第2補正乗数βを乗じた値βVを求めて、該演算値βVを示す第2トルク指令を出力する。
【0126】
角速度Vが、0以上で、+Vlimよりも小さい場合には、β=0であることで、演算値βVは、0で求められる。
【0127】
角速度Vが、0よりも小さく、−Vlimよりも大きい場合には、β=γであることで、演算値βVは、γVで求められる。
【0128】
角速度Vが+Vlim以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim以下である場合には、β=γ/2であることで、演算値βVは、(γ/2)×Vで求められる。
【0129】
第2加算器21は、第1トルク指令が示す値αVと、第2向トルク発生値Dとを加算することで、第2モータ6の出力トルクβV+Dを求めて、出力トルクβV+Dを示す第2モータ6の駆動信号を出力する。本実施の形態では、第2向トルク発生値Dは、式(14)により設定される。
【0130】
+Vlim≦Vのとき、D=−(γ/2)×Vlim−Tp’
0≦V<+Vlimのとき、D=−Tp’
0>V>−Vlimのとき、D=−Tp’
−Vlim≧Vのとき、D=−(γ/2)×Vlim−Tp’ ・・・(14)
【0131】
角速度Vが、0以上で、+Vlimよりも小さい場合、第2向トルク発生値は、−Tp’(第2のトルク値)に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、0−Tp’の計算から、−Tp’で求められる。
【0132】
角速度Vが、0よりも小さく、−Vlimよりも大きい場合には、第2向トルク発生値Dは、−Tp’(第2のトルク値)に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、γV−Tp’で求められる。
【0133】
角速度Vが+Vlim以上である場合、或いは、角速度Vが−Vlim以下である場合には、第2向トルク発生値Dは、−(γ/2)×Vlim−Tp’(第4のトルク値)に設定される。よって、出力トルクβV+Dは、(γ/2)×V−(γ/2)×Vlim−Tp’で求められる。
【0134】
−(γ/2)×Vlim−Tp’(第4のトルク値)は、γ(第2の値)からγ/2(第4の値)を差し引いた差分(γ/2)と、−Vlim(第4の閾値)との乗数(−(γ/2)×Vlim)に、−Tp’(第2のトルク値)を加算した値である
【0135】
第4増幅器23は、上記第2モータ6の駆動信号が示す出力トルクを、電流値に変換して、第2モータ6に出力する。これにより、第2加算器21が求めたトルクが、第2モータ6で出力される。
【0136】
制御装置31の制御によれば、図7に示すように、速度指令が指示する角度Vが、+Vlim(第3の閾値)以上である場合、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、(γ/2)×V+(γ/2)×Vlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、(γ/2)×V−(γ/2)×Vlim−Tp’になる。よって、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγ/2になり、正の値になる。また、第3ギア11には第1モータ5,6の合成トルクγVが生じ、合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0137】
また、角速度Vが、0よりも大きく、+Vlim(第3の閾値)よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、γV+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、−Tp’になる。つまり、実施の形態1で角速度Vが0よりも大きい場合と同様の状況になり、第3ギア11は、第1ギア9に従動して回転する。また、第2ギヤ10が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第1ギア9と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0138】
角速度Vが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp',−Tp'が与えられる。よって、実施の形態1で、角速度Vが0になる場合と同様、第1ギア9と第3ギア11との間にバックラッシュ、或いは、第2ギア10と第3ギア11との間にバックラッシュが生じない。また、第1,第2モータ5,6の合成トルクが0になることで、負荷軸12の回転が停止する。
【0139】
また、角速度Vが、0よりも小さく、−Vlim(第4の閾値)よりも大きい場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、γV−Tp’になる。つまり、実施の形態1で角速度Vが0よりも小さい場合と同様の状況になる。よって、第3ギア11は、第2ギア10に従動して回転する。また第1ギヤ9が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第2ギア10と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0140】
また、角速度Vが、−Vlim(第4の閾値)以下である場合には、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、(γ/2)×V+(γ/2)×Vlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、(γ/2)×V−(γ/2)×Vlim−Tp’になる。よって、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγ/2になり、正の値になる。また、第3ギア11には第1,第2モータ5,6の合成トルクγVが生じ、合成トルクγVが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0141】
本実施の形態によれば、トルクτが+τlim(第3の閾値)以上や−τlim(第4の閾値)以下である場合に、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配の正負を同一にすることができる。また、角速度Vのいずれの範囲においても、負荷軸12に生じる合成トルクがγVになることで、該合成トルクγVと、速度指令が指示する角速度Vとの関係をリニアにすることができる。
【0142】
(実施の形態4)
次に、本発明に係る実施の形態4を説明する。実施の形態4は、本発明に係る制御装置が、例えば大型アンテナである可動体40に設けられる場合を示す。図8に示すように、可動体40は、電流制御信号出力部41と、制御装置42と、第1モータ5と、第2モータ6と、ギアボックス7と、駆動装置43とを有する。
【0143】
第1モータ5、第2モータ6、及びギアボックス7の構成は、実施の形態1と同様である。駆動装置43は、図1に示す駆動装置8から、角速度検出器13が省略されたものである。実施の形態3も、実施の形態1と同様、第1,第2モータ5,6のトルクが第1〜第3ギア9〜11を介して負荷軸12に伝達される。これにより、負荷軸12に回転が生じて、これに伴い、可動体40の駆動部が回転する。
【0144】
電流制御信号出力部41は、例えば運転台に設置され、第1,第2モータ5,6の合計トルクτに応じた電流値を示す電流制御信号を出力する。
【0145】
制御装置42は、式(15),式(16)により第1,第2モータ5,6の出力トルクを求める。式(15)によれば、トルクτに第1補正乗数αを乗じた値に、第1向トルク発生値Cを加算することで、第1モータ5の出力トルクT1が求められる。式(12)によれば、トルクτに第2補正乗数βを乗じた値に、第2向トルク発生値Dを加算することで、第2モータ6の出力トルクT2が求められる。
【0146】
T1=ατ+C ・・・(15)
T2=βτ+D ・・・(16)
【0147】
第1向トルク発生値C,Dは、実施の形態1と同様、それぞれ+Tp',−Tp'(第1,第2のトルク値)に設定され、正負が反対で、絶対値が等しいものとされる。
【0148】
制御装置42は、式(15),式(16)の演算を行うための構成として、第1条件判断器44と、第2条件判断器45と、第1加算器46と、第2加算器47とを有する。
【0149】
さらに、制御装置42は、第1,第2モータ5,6の電流子で流れる電流を制御して、式(15),式(16)の演算で求めたトルクを生じさせる構成として、第1ドライブユニット48と、第2ドライブユニット49とを有する。以下、制御装置42の各構成要素について説明する。
【0150】
第1条件判断器44は、電流制御信号が示す電流値に応じたトルクτを条件として、第1補正乗数αを求めて、第1補正乗数αを示す信号を出力する。
【0151】
トルクτが0以上である場合、第1補正乗数αは、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクを第1の勾配γで変化させる値で求められる。また、トルクτが0よりも小さい場合、第1補正乗数αは、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクを一定にさせる値で求められる。
【0152】
具体的には、第1補正乗数αは、トルクτを条件とする式(17)により求められる。式(17)によれば、トルクτが0以上である場合には、第1補正乗数αはγ(第1の値)で求められる。トルクτが0よりも小さい場合には、第1補正乗数αは0で求められる。
【0153】
0≦τのとき、α=γ
0>τのとき、α=0 ・・・(17)
【0154】
第1加算器46は、トルクτに、第1条件判断器44が出力した第1補正乗数αを乗じた値ατを求める。トルクτが0以上である場合には、α=γであることで、演算値ατはγτで求められる。トルクτが0よりも小さい場合には、α=0であるため、演算値ατは0で求められる。
【0155】
さらに、第1加算器46は、演算値ατに、第1のトルク値Cである+Tp’を加算することで、第1モータ5の出力トルクを求める。
【0156】
トルクτが0以上である場合には、出力トルクατ+Cは、γτ+Tp'で求められる。トルクτが0よりも小さい場合には、出力トルクατ+Cは、0+Tp’の計算から、+Tp'で求められる。
【0157】
さらに、第1加算器46は、第1モータ5の出力トルクατ+Cを示す第1モータ5の駆動信号を出力する。
【0158】
第1ドライブユニット48は、第1モータ5の駆動信号に基づき、第1モータ5の電流子に流す電流を制御する。これにより、第1モータ5では、第1加算器46が求めたトルクατ+Cが出力される。このトルクατ+Cは、第1,第3ギア9,11を介して負荷軸12に伝達される。
【0159】
また、第1ドライブユニット48は、電流帰還ループ48aを構成し、これに応じて、第1モータ5の電機子電流を制御する。よって、第1モータ5のトルクは、第1加算器46が演算した値ατ+Cに維持される。
【0160】
第2条件判断器45は、電流制御信号が示す電流値に応じたトルクτを条件として、第2補正乗数βを求めて、第2補正乗数βを示す信号を出力する。
【0161】
トルクτが0以上になる場合には、第2補正乗数βは、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクが一定にさせる値で求められる。また、トルクτが0よりも小さい場合には、第2補正乗数βは、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクを、第2の勾配γで変化させる値で求められる。
【0162】
具体的には、第2補正乗数βは、トルクτを条件とする式(18)により求められる。式(18)によれば、トルクτが0以上である場合には、第2補正乗数βは0で求められる。トルクτが0よりも小さい場合には、第2補正乗数βはγ(第2の値)で求められる。
【0163】
0≦τのとき、β=0
0>τのとき、β=γ ・・・(18)
【0164】
また、トルクτが0以上である場合に、第1補正乗数αとして求められる第1の値γと、トルクτが0よりも小さい場合に、第2補正乗数βとして求められる第2の値γとは、正負が同一に設定される。これは、トルクτが正である場合に、第1モータ5から負荷軸12に伝達されるトルクの勾配(第1の勾配)と、トルクτが負である場合に、第2モータ6から負荷軸12に伝達されるトルクの勾配(第2の勾配)との正負を同一にすることを目的とする。
【0165】
また、第1補正乗数αとして求められる第1の値γと、第2補正乗数βとして求められる第2の値γとは、絶対値が等しく設定される。これは、トルクτが正である場合と、トルクτが負である場合とで、第1,2モータ5,6から負荷軸12に伝達されるトルクの勾配を同一にすることを目的とする。なお、上述のトルクの勾配は必ずしも同一にされる必要はないため、第1の値と第2の値とは、必ずしも絶対値が等しく設定されなくてもよい。
【0166】
第2加算器47は、トルクτに、第2条件判断器45が出力した第2補正乗数βを乗じた値βγを求める。トルクτが0以上である場合には、β=0であるため、演算値βVは0で求められる。また、トルクτが0よりも小さい場合には、β=γであることで、演算値βτはγτで求められる。
【0167】
さらに、第2加算器47は、演算値βτに、第2のトルク値Dである−Tp’(第2のトルク値)を加算することで、第2モータ6の出力トルクβτ+Dを求める。
【0168】
トルクτが0以上である場合には、出力トルクβτ+Dは、0−Tp'の計算から、−Tp’で求められる。トルクτが0よりも小さい場合には、出力トルクβτ+Dは、γτ−Tp'で求められる。
【0169】
さらに、第2加算器47は、第2モータ6の出力トルクβτ+Dを示す第2モータ6の駆動信号を出力する。
【0170】
第2ドライブユニット49は、第2加算器47の駆動信号に基づき、第2モータ6に流す電流を制御する。これにより、第2モータ6では、第2加算器47が求めたトルクβτ+Dが出力される。このトルクβτ+Dは、第2,第3ギア10,11を介して負荷軸12に伝達される。
【0171】
また、第2ドライブユニット49は、電流帰還ループ49aを構成し、これに応じて、第2モータ6の電機子電流を制御する。これにより、第2モータ6のトルクは、第2加算器47が演算した値βτ+Dに維持される。
【0172】
制御装置42の制御によれば、図9に示すように、トルクτが0よりも大きい場合、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、γτ+Tp'になり、第1の勾配(γ)で値が変化する。また、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、−Tp'になる。
【0173】
この場合、第1モータ5のトルクγτ+Tp'が正の値で、第2モータ6のトルク−Tp'が負の値であるため、第1,第2ギア9,10から第3ギア11に伝達されるトルクの向きは逆向きになる。また、第1モータ5の出力トルクγτ+Tp'は、第2モータ6の出力トルク−Tp'よりも絶対値が大きい。よって、第3ギア11は、第1ギア9に従動して回転する。また、第2ギヤ10が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク−Tp'を伝達することで、第3ギア11は第1ギア9と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγτが、負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0174】
また、トルクτが0よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、+Tp'になる。また、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、γτ−Tp'になり、第2の勾配(γ)で値が変化する。
【0175】
この場合、第1モータ5のトルク+Tp'が正の値で、第2モータ6のトルクγτ−Tp'が負の値であるため、トルクτが0よりも大きい場合と同様、第1,第2ギア9,10から第3ギア11に伝達されるトルクの向きは逆向きになる。また、第2モータ6の出力トルクγτ−Tp'は、第1モータ5の出力トルク+Tp'よりも絶対値が大きい。よって、第3ギア11は、第2ギア10に従動して回転し、この回転方向は、トルクτが0よりも大きい場合と逆になる。また、第1ギヤ9が、第3ギア11に回転方向と反対方向のトルク+Tp'を伝達することで、第3ギア11は第2ギア10と隙間なく刃が噛み合った状態が維持される。また、第3ギア11に生じる合成トルクγτが、負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0176】
また、トルクτが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp,−Tpが与えられる。この場合、第1,第2モータ5,6のトルクの極性が正負反対であることから、第1ギア9と第3ギア11との間、或いは、第2ギア10と第3ギア11との間にバックラッシュが生じない。また、第1,第2モータ5,6のトルク+Tp,−Tpの絶対値が等しいことで、第1〜第3ギア9〜11は回転を停止する。また、第3ギア11に生じる第1,第2モータ5,6の合成トルクが0であることで、負荷軸12の回転が停止し、これに伴い、可動体1の駆動部も回転を停止する。
【0177】
本実施の形態によれば、電流制御信号が示すトルクτが0以外である場合には、第3ギア11に回転方向とは逆方向のトルクを与える小出力のモータは、トルクτに応じて出力トルクが変化せず、そのトルクの絶対値が最小の値Tp'になる。
【0178】
すなわち、トルクτが0よりも大きい場合には、上記逆方向のトルクを与える小出力の第2モータ6は、出力トルクが−Tp'で一定になり、絶対値が最小の値Tp'になる。また、トルクτが0よりも小さい場合には、上記逆方向のトルクを与える小出力の第1モータ5は、出力トルクが+Tp'で一定になり、トルクの絶対値が最小の値Tp'になる。以上により、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0179】
なお、本実施の形態では、第1,第2補正乗数α,βは、式(19),式(20)により求められ、第1,第2のトルク値C,Dは、式(21),式(22)により設定されてもよい。
【0180】
0≦τのとき、α=γ
0>τ>−τlimのとき、α=0
−τlim≧τのとき、α=γ ・・・(19)
【0181】
+τlim≦τのとき、β=γ
0≦τ<+τlimのとき、β=0
0>τのとき、β=γ ・・・(20)
【0182】
0≦τのとき、C=+Tp’
0>τ>−τlimのとき、C=+Tp’
−τlim≧τのとき、C=+γτ+τlim ・・・(21)
【0183】
+τlim≦τのとき、D=−γτlim−Tp’
0≦τ<+τlimのとき、D=−Tp’
0>τのとき、D=−Tp’ ・・・(22)
【0184】
上記のように、第1,第2補正乗数α,βや、第1,第2トルク値C,Dが設定される場合、第1モータ5の出力トルクατ+Cや、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、以下に示すようになる。
【0185】
トルクτが+τlim(第2の閾値)以上である場合、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、γτ+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、γτ−γτlim−Tp’になる。この場合、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγになり、正の値になる。また、第3ギア11には第1,第2モータ5,6の合成トルク2γτ−γτlimが生じ、合成トルク2γτ−γτlimが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0186】
また、トルクτが、0よりも大きく、+τlim(第2の閾値)よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、γτ+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、−Tp’になる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0よりも大きい場合と同様の状況になる。
【0187】
また、トルクτが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp',−Tp'が与えられる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0である場合と同様の状況になる。
【0188】
また、トルクτが、0よりも小さく、−τlim(第1の閾値)よりも大きい場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、γτ−Tp’になる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0よりも小さい場合と同様の状況になる。
【0189】
また、トルクτが、−τlim(第1の閾値)以下である場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、γτ+γτlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、γτ−Tp’になる。この場合、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγになり、負の値になる。また、第3ギア11には第1,第2モータ5,6の合成トルク2γτ+γτlimが生じ、合成トルク2γτ+γτlimが負荷軸12に伝達されることで、負荷軸12は回転する。
【0190】
以上のように、トルクτが−τlim(第1の閾値)以下や+τlim(第2の閾値)以上である場合には、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配は、正負が同一になる。よって、第1,第2ギア9,10は、トルクを出し合い第3ギア11の回転を加減速するように動作する。このため、負荷軸12に回転を生じさせるトルクを、第1,第2モータ5,6の両者に分担させることができる。これにより第1,第2モータ5,6の個々に加えられる負荷を小さく抑えることができる。
【0191】
また、第1,第2補正乗数α,βは、式(23),式(24)により求められ、第1,第2のトルク値C,Dは、式(25),式(26)により設定されてもよい。
【0192】
+τlim≦τのとき、α=γ/2
0≦τ<+τlimのとき、α=γ
0>τ>−τlimのとき、α=0
−τlim≧τのとき、α=γ/2 ・・・(23)
【0193】
+τlim≦τのとき、β=γ/2
0≦τ<+τlimのとき、β=0
0>τ>−τlimのとき、β=γ
−τlim≧τのとき、β=γ/2 ・・・(24)
【0194】
+τlim≦Vのとき、C=(γ/2)×τlim+Tp’
0≦τ<+τlimのとき、C=+Tp’
0>τ>−τlimのとき、C=+Tp’
−τlim≧τのとき、C=(γ/2)×τlim+Tp’ ・・・(25)
【0195】
+τlim≦τのとき、D=−(γ/2)×τlim−Tp’
0≦τ<+τlimのとき、D=−Tp’
0>τ>−τlimのとき、D=−Tp’
−τlim≧τのとき、D=−(γ/2)×τlim−Tp’ ・・・(26)
【0196】
上記のように、第1,第2補正乗数α,βや、第1,第2トルク値C,Dが設定される場合、第1モータ5の出力トルクατ+Cや、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、以下に示すようになる。
【0197】
トルクτが+τlim(第3の閾値)以上である場合、第1モータ5の出力トルクαV+Cは、(γ/2)×τ+(γ/2)×τlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβV+Dは、(γ/2)×τ−(γ/2)×τlim−Tp’になる。この場合、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγ/2になり、正の値になる。また、第3ギア11に生じる第1モータ5,6の合成トルクは、γτになる。
【0198】
また、トルクτが、0よりも大きく、+τlim(第3の閾値)よりも小さい場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、γτ+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、−Tp’になり、第3ギア11に生じる第1,第2モータ5,6の合成トルクは、γτになる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0よりも大きい場合と同様の状況になる。
【0199】
また、トルクτが0である場合には、第1モータ5と第2モータ6とに、それぞれ、プリトルク+Tp',−Tp'が与えられる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0である場合と同様の状況になる。
【0200】
また、トルクτが、0よりも小さく、−τlim(第4の閾値)よりも大きい場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、γτ−Tp’になり、第3ギア11に生じる第1,第2モータ5,6の合成トルクは、γτになる。つまり、実施の形態4で、トルクτが0よりも小さい場合と同様の状況になる。
【0201】
また、トルクτが、−τlim(第4の閾値)以下である場合には、第1モータ5の出力トルクατ+Cは、(γ/2)×τ+(γ/2)×τlim+Tp’になり、第2モータ6の出力トルクβτ+Dは、(γ/2)×τ−(γ/2)×τlim−Tp’になる。この場合、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配が、いずれもγ/2になり、負の値になる。また、第3ギア11に生じる第1モータ5,6の合成トルクは、γτになる。
【0202】
以上のように、トルクτが+τlim(第3の閾値)以上や−τlim(第4の閾値)以下である場合には、第1,第2モータ5,6の出力トルクの勾配の正負が同一になる。また、角速度Vのいずれの範囲においても、負荷軸12に生じる合成トルクはγVになり、該合成トルクと、速度指令が指示する角速度Vとの関係をリニアにすることができる。
【0203】
また、実施の形態1〜4に係る制御装置は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成により実現することが可能であり、図10に示すように、例えば、制御部100、主記憶部110、外部記憶部120、操作部130、及び入出力部140を備える。主記憶部110、外部記憶部120、操作部130、及び入出力部140は、システムバス160を介して、制御部100に接続される。
【0204】
主記憶部110は、RAM(Random Access Memory)などのメインメモリであり、外部記憶部120に記憶されている制御プログラム300をロードして、制御部100の作業領域アとして用いられる。
【0205】
外部記憶部120は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、磁気ディスク、半導体メモリなどの不揮発性メモリから構成される。外部記憶部120は、制御部100に処理を行わせるための制御プログラム300をあらかじめ記憶し、また、制御部100の指示に従いデータを記憶する。
【0206】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)などから構成され、外部記憶部120に記憶されている制御プログラム300に従って、処理を実行する。
【0207】
入出力部140は、制御装置4,42から第1,第2モータ5,6に電流値を出力するためのインターフェイスである。
【0208】
操作部130は、キーボード及びマウスなどのポインティングデバイスなどをシステムバス160に接続するインターフェース装置から構成される。ユーザは、操作部130を介して、第1補正乗数α、第2補正乗数β、第1向トルク発生値C、第2向トルク発生値D、−Vlim(第1の閾値)、+Vlim(第2の閾値)、−τlim(第1の閾値)、及び+τlim(第2の閾値)等を入力することが可能であり、操作部130を介して入力された情報は、制御部100に供給される。
【0209】
実施の形態1〜4に係る制御装置の各構成部分の処理は、制御部100、主記憶部110、外部記憶部120、操作部130、入出力部140などを資源として用いられることで実行される。その場合、制御部100は、外部記憶部120に格納されている制御プログラム300を、主記憶部110にロードし実行し、各部の動作を制御し上記の各機能を行わせることにより、制御装置4,42をソフトウェア的に実現する。
【0210】
また、実施の形態1〜4に係る制御装置は、各構成部分の機能を実現する回路を込み込んだLSI(Large Scale Integration)などの電子回路として構成することができる。
【0211】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変が可能である。
【0212】
例えば、第1補正乗数α、第2補正乗数β、第1向トルク発生値C、及び第2向トルク発生値Dは、第1〜第3ギア9〜11のギア比等に基づき、任意の値に設定され得る。
【0213】
また、第1,第2モータ5,6の駆動を指示する指令値は、上記実施の形態に示す負荷軸の角速度Vやトルクτを示す指令に限られない。
【0214】
また、例えば、モータの駆動軸の位置を示す駆動指令が出力されてもよい。この場合、位置を示す値を条件として、モータの出力トルクを設定するための第1,第2補正乗数α,βが求められ、第1,第2補正乗数α,βに基づき、第1,第2モータ5,6の出力トルクが求められる。
【0215】
また、第1,第2補正乗数α,βを求めるために、指令値と実際値との誤差が取得されるようにしてもよい。この場合、該誤差を条件として第1補正乗数α,βが求められ、該補正乗数α,βに基づき、モータの出力トルクが求められる。
【0216】
また、実施の形態1〜4の制御装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に伝送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0217】
1,40 可動体
2 角速度減算器
3 速度指令出力部
4,42 制御装置
5 第1モータ
5a,6a 駆動軸
6 第2モータ
7 ギアボックス
8,43 駆動装置
9 第1ギア
10 第2ギア
11 第3ギア
12 負荷軸
13 角速度検出器
14 第1角速度半減部
15 第2角速度半減部
16,44 第1条件判断器
17,45 第2条件判断器
18 第1増幅器
19 第2増幅器
20,46 第1加算器
21,47 第2加算器
22 第3増幅器
23 第4増幅器
41 電流制御信号出力部
48 第1ドライブユニット
48a,49a 電流帰還ループ
49 第2ドライブユニット
100 制御部
110 主記憶部
120 外部記憶部
130 操作部
140 入出力部
160 システムバス
300 制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のモータからギアを介して一つの負荷軸に伝達されるトルクを制御する制御装置であって、
前記モータの駆動指令が示す指令値が所定値以上になる場合に、前記第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが第1の勾配で変化し、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になるように、前記第1モータの制御値を設定するための第1補正乗数を求める第1条件判断器と、
前記指令値が前記所定値以上になる場合に、前記第2モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になり、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第2モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが前記第1の勾配と正負が同一である第2の勾配で変化するように、前記第2モータの制御値を設定するための第2補正乗数を求める第2条件判断器と、
前記指令値に前記第1補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に第1の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第1モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第1モータの駆動信号を出力する第1加算器と、
前記指令値に前記第2補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に前記第1の向きと相対向する第2の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第2モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第2モータの駆動信号を出力する第2加算器と、
を有する制御装置。
【請求項2】
前記第1条件判断器は、前記指令値が0以上である場合には、前記第1補正乗数を第1の値で求め、前記指令値が0よりも小さい場合には、前記第1補正乗数を0で求め、
前記第2条件判断器は、前記指令値が0以上である場合には、前記2補正乗数を0で求め、前記指令値が0よりも小さい場合には、前記第2補正乗数を、前記第1の値と正負が同一である第2の値で求め、
前記第1加算器は、前記第1の向きのトルクを発生させる値を、第1のトルク値で求め、
前記第2加算器は、前記第2の向きのトルクを発生させる値を、前記第1のトルク値と正負が反対である第2のトルク値で求める請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1条件判断器は、前記指令値が0以上である場合には、前記第1補正乗数を前記第1の値で求め、前記指令値が0よりも小さく第1の閾値よりも大きい場合には、前記第1補正乗数を0で求め、前記指令値が前記第1の閾値以下である場合には、前記第1補正乗数を前記第1の値で求め、
前記第2条件判断器は、前記指令値が0以上で第2の閾値よりも小さい場合には、前記第2補正乗数を0で求め、前記指令値が第2の閾値以上である場合、或いは、前記指令値が0よりも小さい場合には、前記第2補正乗数を、前記第2の値で求める請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1条件判断器は、前記指令値が0以上で第3の閾値よりも小さい場合には、前記第1補正乗数を前記第1の値で求め、前記指令値が前記第3の閾値以上である場合には、前記第1補正乗数を第3の値で求め、前記指令値が0よりも小さく第4の閾値よりも大きい場合には、前記第1補正乗数を0で求め、前記指令値が前記第4の閾値以下である場合には、前記第1補正乗数を前記第3の値で求め、
前記第2条件判断器は、前記指令値が0以上で前記第3の閾値よりも小さい場合には、前記第2補正乗数を0で求め、前記指令値が前記第3の閾値以上である場合には、前記第2補正乗数を第4の値で求め、前記指令値が0よりも小さく前記第4の閾値よりも大きい場合には、前記第2補正乗数を前記第2の値で求め、前記指令値が前記第2の閾値以下である場合には、前記第2補正乗数を前記第4の値で求め、
前記第3の値は、前記第1の値と正負が同一であり、絶対値が、0よりも大きく、前記第1の値よりも小さく、
前記第4の値は、前記第2の値と正負が同一であり、絶対値が、0より大きく、前記第2の値よりも小さい請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1加算器は、前記指令値が0以上で前記第3の閾値よりも小さい場合、或いは、前記指令値が0よりも小さく前記第4の閾値よりも大きい場合には、前記第1の向きのトルクを発生させる値を、前記第1のトルク値で求め、前記指令値が前記第3の閾値以上である場合、或いは、前記指令値が前記第4の閾値以下である場合には、前記第1の向きのトルクを発生させる値を、第3のトルク値で求め、
前記第2加算器は、前記指令値が0以上で前記第3の閾値よりも小さい場合、或いは、前記指令値が0よりも小さく前記第4の閾値よりも大きい場合には、前記第2の向きのトルクを発生させる値を、前記第2のトルク値で求め、前記指令値が前記第3の閾値以上である場合、或いは、前記指令値が前記第4の閾値以下である場合には、前記第2の向きのトルクを発生させる値を、第4のトルク値で求め、
前記第1の値と、前記第2の値とは、同一の値であり、
前記第3の値と前記第4の値との合計は、前記第1の値及び前記第2の値に一致し、
前記第1のトルク値と、前記第2のトルク値とは、絶対値が等しく、
前記第3のトルク値は、前記第1の値から前記第3の値を差し引いた差分と、前記第1の閾値との乗数に、前記第1のトルク値を加算した値であり、
前記第4のトルク値は、前記第2の値から前記第4の値を差し引いた差分と、前記第2の閾値との乗数に、前記第2のトルク値を加算した値である請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記モータの駆動指令は、前記負荷軸の角速度を示す速度指令である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記モータの駆動指令は、前記モータの電機子の電流値を示す電流制御信号であり、
前記第1及び第2条件判断器は、前記電流値に応じたトルクを条件として、それぞれ前記第1及び第2補正乗数を求める請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
第1及び第2のモータからギアを介して一つの負荷軸に伝達されるトルクを制御する制御方法であって、
前記モータの駆動指令が示す指令値が所定値以上になる場合に、前記第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが第1の勾配で変化し、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になるように、前記第1モータの制御値を設定するための第1補正乗数を求める第1条件判断段階と、
前記指令値が前記所定値以上になる場合に、前記第2モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になり、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第2モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが前記第1の勾配と正負が同一である第2の勾配で変化するように、前記第2モータの制御値を設定するための第2補正乗数を求める第2条件判断段階と、
前記指令値に前記第1補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に第1の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第1モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第1モータの駆動信号を出力する第1加算段階と、
前記指令値に前記第2補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に前記第1の向きと相対向する第2の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第2モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第2モータの駆動信号を出力する第2加算段階と、
を有する制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
モータの駆動指令が示す指令値が所定値以上になる場合に、第1モータからギアを介して負荷軸に伝達されるトルクが第1の勾配で変化し、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第1モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になるように、前記第1モータの制御値を設定するための第1補正乗数を求める第1条件判断手段、
前記指令値が前記所定値以上になる場合に、第2モータからギアを介して前記負荷軸に伝達されるトルクが一定になり、前記指令値が前記所定値よりも小さい場合に、前記第2モータから前記負荷軸に伝達されるトルクが前記第1の勾配と正負が同一である第2の勾配で変化するように、前記第2モータの制御値を設定するための第2補正乗数を求める第2条件判断手段、
前記指令値に前記第1補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に第1の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第1モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第1モータの駆動信号を出力する第1加算手段、
前記指令値に前記第2補正乗数を乗じた値と、前記負荷軸に前記第1の向きと相対向する第2の向きのトルクを発生させる値とを加算することで、前記第2モータの制御値を求めて、該制御値を示す前記第2モータの駆動信号を出力する第2加算手段、
として機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−9532(P2013−9532A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141015(P2011−141015)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】