説明

制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法

【課題】表示装置の体感的な表示速度向上と消費電力のピーク値の低減を両立する。
【解決手段】表示装置は、画素へ電圧を複数回印加する書き込み動作により画素の階調を変更する。表示装置は、新たに画素の表示状態を変更する場合、表示状態を変更する画素が書き込み動作中であるか否か判断する。表示装置は、書き込み動作中ではない画素については書き込み動作を開始し、書き込み動作中である画素については、進行中の書き込み動作が終了した後、画素に対して新たな書き込み動作を開始する。また、表示装置は、
書き込み動作を更新中の画素及び新たに書き込みを開始する画素により消費する電力が大となる場合、新たに書き込みを開始すべき画素について書き込み動作の開始を後回しにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示する表示装置として、マイクロカプセルを用いた電気泳動方式の表示装置がある。この表示装置でアクティブマトリクス方式のものは、行方向へ伸びた複数の走査線と、列方向に伸びた複数のデータ線との交点の各々にマイクロカプセルを駆動する駆動回路が設けられている。走査線とデータ線に電圧を印加すると、駆動回路に設けられた電極と、この電極に対してマイクロカプセルを挟んで対向する電極との間に電位差が生じる。マイクロカプセルを挟んで対向する電極間に電位差が生じると、この電位差により生じた電界に応じてマイクロカプセル内の白粒子と黒粒子が移動する。各マイクロカプセル内の白粒子と黒粒子の分布が変わることにより光学的反射特性が変化し、画像が表示されることとなる。
【0003】
この電気泳動方式の表示装置においては、アクティブマトリクス方式で表示を変更する際に画像の書き換えが複数フレームに渡って行われるものがある。しかし、画像の書き換えを複数フレームに渡って行う際に全面で書き換えを始めてしまうと、書き込みが終了するまでの間は新たに書き込みが行えないため、画像の追記や削除を行う際には一旦画像の書き込みが終了してから次ぎの書き込みを開始することとなり、時間がかかって操作性の観点で問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、部分領域の単位でパイプライン処理を行うことにより書き込みを行う方式が考案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示されている方式によれば、画面上の互いに重ならない2つの部分領域にタイミングをずらして画像を書き込む場合、先に書き込みを開始した部分領域の書き込みが完了していなくても、後から書き込みを開始する部分領域の書き込みを開始することができ、この方式を採用しない場合と比較して表示速度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アクティブマトリクス方式においては、データ線が寄生容量によりコンデンサーとして機能するため、走査線が選択される毎にデータ線の電圧を変化させる表示の場合には消費する電力が大となる。したがって、画像書き換えの際にこのような電力消費の大きな走査が続くと、消費電力が瞬間的に電源回路の供給限界を超えてしまうことがある。また、アクティブマトリクス方式においては、解像度を高くすると電流を流す駆動回路が増えることとなり、消費する電力が大となる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、表示装置の体感的な表示速度向上と消費電力のピーク値の低減を両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る表示装置の制御装置は、複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置の制御装置であって、前記行を順次選択する選択部と、前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、前記データ読み込み部で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み部で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択部で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定部と、前記選択部で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定部と、前記境界特定部で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶部と、前記境界数記憶部に記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断部と、前記判断部において前記閾値未満であると判断された場合、前記選択部で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記判断部において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断部において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新部とを有する。
この制御装置によれば、表示装置の体感的な表示速度向上と消費電力のピーク値の低減を両立することができる。
【0008】
なお、前記制御装置においては、前記複数行複数列の画素は、予め定められた行数で複数領域に分けられ、前記判断部は、前記境界数記憶部に記憶された境界数のうち、前記選択部で選択されている行を含む前記領域に係る境界数の合計が、予め定められた閾値以上であるか否か判断する構成としてもよい。
この構成によれば、表示領域毎に画素の書き込み動作の開始が制御されるので、後で選択される行においても、画素の書き込み動作を開始することができる。
また、前記制御装置においては、前記複数回の電圧の印加について各回で印加する電圧を定めたテーブルに従って前記画素へ電圧を印加する構成であってもよい。
この構成によれば、画素毎に画素の階調を変更することができる。
また、前記制御装置においては、前記選択部で選択された行の画素であって前記書き込み動作が進行中の画素について、隣り合う行において前記書き込み動作が進行中の画素に印加される電圧と同じ電圧が印加されるように、電圧の印加時期を制御する構成としてもよい。
この構成によれば、電圧を印加する画素については、隣り合う画素に印加される電圧と同じ電圧が印加されることとなり電力の消費を抑えることができる。
【0009】
また、本発明に係る表示装置は、複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置であって、前記行を順次選択する選択部と、前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、前記データ読み込み部で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み部で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択部で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定部と、前記選択部で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定部と、前記境界特定部で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶部と、前記境界数記憶部に記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断部と、前記判断部において前記閾値未満であると判断された場合、前記選択部で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記判断部において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断部において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新部とを有する。
この表示装置によれば、表示装置の体感的な表示速度向上と消費電力のピーク値の低減を両立することができる。
【0010】
また、本発明に係る表示装置の制御方法は、複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置の制御方法であって、前記行を順次選択する選択工程と、前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み工程と、前記データ読み込み工程で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み工程で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択工程で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定工程と、前記選択工程で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定工程と、前記境界特定工程で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶工程と、前記境界数記憶工程で記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断工程と、前記判断工程において前記閾値未満であると判断された場合、前記選択工程で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記判断工程において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断工程において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新工程とを有する。
この方法によれば、表示装置の体感的な表示速度向上と消費電力のピーク値の低減を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】表示装置100のハードウェア構成を示したブロック図。
【図2】表示部1の断面を示した図。
【図3】表示部1の回路の構成を説明するための図。
【図4】表示部1が備える画素駆動回路の構成を説明するための図。
【図5】コントローラー2で実現する機能の構成を示したブロック図。
【図6】コントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図7】コントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図8】表示装置100の動作を説明するための図。
【図9】表示装置100の動作を説明するための図。
【図10】表示装置100の動作を説明するための図。
【図11】表示装置100の動作を説明するための図。
【図12】表示装置100の動作を説明するための図。
【図13】表示装置100の動作を説明するための図。
【図14】表示装置100の動作を説明するための図。
【図15】表示装置100の動作を説明するための図。
【図16】表示装置100の動作を説明するための図。
【図17】表示装置100の動作を説明するための図。
【図18】表示装置100の動作を説明するための図。
【図19】表示装置100の動作を説明するための図。
【図20】表示装置100の動作を説明するための図。
【図21】表示装置100の動作を説明するための図。
【図22】表示装置100の動作を説明するための図。
【図23】表示装置100の動作を説明するための図。
【図24】表示装置100の動作を説明するための図。
【図25】表示装置100の動作を説明するための図。
【図26】表示装置100の動作を説明するための図。
【図27】表示装置100の動作を説明するための図。
【図28】表示装置100の動作を説明するための図。
【図29】表示装置100の動作を説明するための図。
【図30】表示装置100の動作を説明するための図。
【図31】表示装置100の動作を説明するための図。
【図32】表示装置100の動作を説明するための図。
【図33】表示装置100の動作を説明するための図。
【図34】表示装置100Aハードウェア構成を示したブロック図。
【図35】第2実施形態に係るテーブルTB1〜TB12の内容を示した図。
【図36】第2実施形態のコントローラー2が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図37】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図38】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図39】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図40】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図41】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図42】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図43】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図44】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図45】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図46】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図47】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図48】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図49】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図50】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図51】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図52】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図53】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図54】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図55】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図56】表示装置100Aの動作を説明するための図。
【図57】本発明に係る表示装置の適用例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
(表示装置100の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。表示装置100は、電気泳動方式の表示装置であり、表示部1、コントローラー2、制御部3、VRAM(Video RAM)4及びRAM(Random Access Memory)5を備えている。表示装置100の各部は、バス9で接続されている。コントローラー2は、表示装置100の制御装置に相当する。なお、コントローラー2、制御部3を合わせた部分を表示装置100の制御装置と定義することもできる。あるいは、コントローラー2、制御部3、VRAM4、RAM5の全体を、表示装置100の制御装置と定義することもできる。
【0013】
表示部1は、メモリー性を有する表示素子を有しており、表示素子に電圧が印加されていなくても表示した画像が維持される表示デバイスである。本実施形態においては、表示部1は、電気泳動粒子を有する表示素子を有しており白黒の画像を表示する。コントローラー2は、表示部1を駆動するものであり、表示部1に画像を表示させるための各種信号を出力する。制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、表示装置100の各部を制御する。また、制御部3は、VRAM4にアクセスし、各種データをVRAM4に書き込む。VRAM4は、表示部1に表示させる画像を示す画像データを記憶するメモリーである。RAM5は、表示部1に画像を表示させるために用いられるデータを記憶するメモリーであり、書込データ記憶領域6、予定画像データ記憶領域7、一時記憶領域8A及び境界数記憶領域8Bが設けられている。なお、書込データ記憶領域6には、表示部1の各画素について黒から白へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第1書込データ)を記憶する白書込データ記憶領域6Aと、各画素について白から黒へ表示状態を変更する動作が進行中であるか否かを示すデータ(第2書込データ)を記憶する黒書込データ記憶領域6Bとが設けられている。
【0014】
(表示部1の構成)
図2は、表示部1の断面を示した図である。また、図3は、表示部1の回路の構成を説明するための図であり、図4は、表示部1が備える画素駆動回路の構成を説明するための図である。表示部1は、図2に示したように大別して第1基板10、電気泳動層20、第2基板30によって構成されている。第1基板10は、絶縁性及び可撓性を有する基板11上に回路の層が形成された基板である。基板11は、本実施形態においてはポリカーボネートで形成されている。なお、基板11としては、ポリカーボネートに限定されることなく、軽量性、可撓性、弾性及び絶縁性を有する樹脂材料を用いることができる。また、基板11は、可撓性を持たないガラスで形成されていてもよい。基板11の表面には、接着層11aが設けられ、接着層11aの表面には回路層12が積層されている。
【0015】
回路層12は、横方向に配列された複数の走査線64と、各走査線と電気的に絶縁を保つように設けられ縦方向に配列された複数のデータ線65を有している。また、回路層12は、走査線64とデータ線65との交差のそれぞれに対応して、画素電極13a(第1電極)と、TFT(Thin Film Transistor)で構成された画素駆動回路とを有している。
【0016】
電気泳動層20は、バインダー22と、バインダー22によって固定された複数のマイクロカプセル21で構成されており、画素電極13a上に形成されている。なお、マイクロカプセル21と画素電極13aとの間には、接着剤により形成された接着層を設けてもよい。
【0017】
バインダー22としては、マイクロカプセル21との親和性が良好で電極との密着性が優れ、且つ絶縁性を有するものであれば特に制限はない。マイクロカプセル21内には、分散媒と電気泳動粒子が格納されている。マイクロカプセル21を構成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチン系の化合物やウレタン系の化合物等の柔軟性を有するものを用いるのが好ましい。
【0018】
分散媒としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などのいずれかを用いることができ、また、分散媒は、その他の油類であってもよい。また、これらの物質は単独又は混合して分散媒に用いることができ、さらに界面活性剤などを配合して分散媒としてもよい。
【0019】
電気泳動粒子は、分散媒中で電界によって移動する性質を有する粒子(高分子あるいはコロイド)である。本実施形態においては白の電気泳動粒子と黒の電気泳動粒子がマイクロカプセル21内に格納されている。黒の電気泳動粒子は、例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子であり、本実施形態では正に帯電されている。白の電気泳動粒子は、例えば、二酸化チタンや酸化アルミニウム等の白色顔料からなる粒子であり、本実施形態では負に帯電されている。
【0020】
第2基板30は、フィルム31と、フィルム31の下面に形成された透明電極層32(第2電極)で構成されている。フィルム31は、電気泳動層20の封止及び保護の役割を担うものであり、例えばポリエチレンテレフタレートのフィルムである。フィルム31は、透明で絶縁性を有している。透明電極層32は、例えば、酸化インジウム膜(ITO膜)などの透明な導電膜で構成されている。
【0021】
次に、表示部1が備える回路について説明する。コントローラー2は、表示領域55に画像を表示させるための信号や、表示部1を駆動するための各種信号を出力するものである。図3に示した表示領域55には、縦方向に沿って平行に配列された複数のデータ線65と、横方向に沿って平行に配列された複数の走査線64が設けられている。また、表示領域55には、データ線65と走査線64との交差に対応して画素駆動回路が設けられている。
【0022】
図4は、画素駆動回路の構成を説明するための図である。なお、本実施形態では、各走査線64を区別するために、図3に示した走査線を上から順に1、2、3、・・・、(m−1)、m行目という呼び方をする場合がある。また同様に、各データ線65を区別するために、図3に示したデータ線を左から順に1、2、3、・・・、(n−1)、n列目という呼び方をする場合がある。
【0023】
図4においては、1行目の走査線64と1列目のデータ線65との交差に対応した画素駆動回路を示している。他のデータ線65と走査線64との交差についても同じ画素駆動回路が設けられているが、各画素駆動回路の構成は同じであるため、ここでは、代表して1行目のデータ線と1列目の走査線との交差に対応した画素駆動回路について説明し、他の画素駆動回路については説明を省略する。
画素駆動回路では、トランジスタ61のゲートが走査線64に接続され、トランジスタ61のソースがデータ線に接続されている。また、トランジスタ61のドレインが画素電極13aに接続されている。画素電極13aは、透明電極層32と対向し、画素電極13aと透明電極層32との間には電気泳動層20が挟まれている。この一の画素電極13aと透明電極層32との間にあるマイクロカプセル21が表示部1において一の画素となる。なお、画素駆動回路においては、電気泳動層20と並列に保持容量63が接続されている。また、透明電極層32の電位は予め定められた電位Vcomにされている。
【0024】
走査線駆動回路53は、表示領域55の各走査線64と接続されており、1、2、・・・、m行目の走査線64に走査信号Y1、Y2、・・・、Ymを供給する。具体的には、走査線駆動回路53は、走査線64を1、2、・・・、m行目という順番で選択し、選択した走査線64の走査信号の電圧を選択電圧V(Hレベル)とし、選択されていない走査線の走査信号の電圧を非選択電圧V(Lレベル)とする。
【0025】
データ線駆動回路54は、表示領域の各データ線と接続されており、1、2、・・・、n列目のデータ線65にデータ信号X1、X2、・・・、Xnを供給する。電位が選択電圧Vとなっている走査線64に接続されている画素駆動回路に対しては、データ線65からデータ信号が供給される。具体的には、走査線64がHレベルとなると、当該走査線64にゲートが接続されたトランジスタ61がオン状態になり、画素電極13aがデータ線65に接続される。このため、走査線64がHレベルであるときに、データ線65にデータ信号を供給すると、当該データ信号は、オン状態になったトランジスタ61を介して画素電極13aに印加される。走査線64がLレベルになると、トランジスタ61はオフ状態になるが、データ信号によって画素電極13aに印加された電圧は、保持容量63に蓄積され、画素電極13aの電位及び透明電極層32の電位との電位差(電圧)に応じて電気泳動粒子が移動する。
例えば、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が+15Vである場合、負に帯電している白の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、正に帯電している黒の電気泳動粒子が透明電極層32側に移動して画素が黒の表示となる。また、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位が−15Vである場合、正に帯電している黒の電気泳動粒子が画素電極13a側に移動し、負に帯電している白の電気泳動粒子が透明電極層32側に移動して画素が白の表示となる。
【0026】
なお、以下の説明においては、走査線駆動回路53が1行目の走査線を選択してからY行目の走査線の選択が終了するまでの期間を「フレーム期間」又は単に「フレーム」と称する。各走査線64は、1フレームに一回づつ選択され、各画素駆動回路には1フレームに一回づつデータ信号が供給される。
また、本実施形態においては、各画素の表示状態を白(低濃度)から黒(高濃度)又は黒から白へ変化させる際には、1フレームだけで画素駆動回路を駆動して表示状態を変化させるのではなく、複数フレームに渡って画素へ電圧を印加する書き込み動作により表示状態を変化させる。これは、表示状態を白から黒へ変化させるに際し、1フレームだけ電気泳動粒子に電位差を与えても黒の電気泳動粒子が完全には表示側に移動しきらず、表示状態が完全な黒とはならないためである。このことは、表示状態を黒から白へ変化させる場合の白の電気泳動粒子についても同様である。よって、例えば、画素の表示状態を白から黒へ変化させる場合、画素に黒を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って画素駆動回路へ供給され、画素の表示状態を黒から白へ変化させる場合には、画素に白を表示させるためのデータ信号が複数フレームに渡って供給される。
また本実施形態においては、1フレーム内である画素の画素電極13aを透明電極層32に対して電位が高くなる正極とし、同じフレーム内で他の画素の画素電極13aを透明電極層32に対して電位が低くなる負極とすることができる。つまり、1フレーム内で透明電極層32に対して正極と負極の両方の極を選択できる駆動(以下、両極駆動という)となっている。
【0027】
(コントローラー2の構成)
次に、コントローラー2の構成について説明する。図5は、コントローラー2において実現する機能を示したブロック図である。コントローラー2においては、選択部201、データ読み込み部202、画素特定部203、境界特定部204、判断部205、更新部206及び駆動部207が実現する。なお、これら各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、コントローラー2にCPUを設け、このCPUでプログラムを実行することにより各部が実現されるようにしてもよい。
【0028】
選択部201は、複数行複数列で配置された画素を行単位で順次選択するブロックである。データ読み込み部202は、VRAMに記憶されている画像データを読み込むブロックである。画素特定部203は、データ読み込み部202が読み込んだデータと、予定画像データ記憶領域7に格納されているデータとを比較し、新たに表示状態を変更する画素を特定するブロックである。境界特定部204は、選択部201で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定するブロックである。判断部205は、境界特定部204で特定された境界の数(境界数)が予め定められた閾値以上であるか否か判断するブロックである。更新部206は、画素の書き込み動作の開始を制御するブロックである。駆動部207は、画素電極13aに対してデータ信号が供給されるように走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54を制御するブロックである。
【0029】
(実施形態の動作)
次に、表示装置100の動作について説明する。なお、図8以降においては、画像Aは、表示部1において表示されている画像を示している。また、画素Pijは、一つの画素を表している。ここで、添字のiは、行列に配置された画素の行番号を表し、jは、列番号を表しており、以下、画素を特定して説明する場合、例えば1行1列目の画素は画素P11と称する。なお、画像Aにおいては、各画素について階調を容易に理解できるように黒から白までの8段階の階調を0から7までの数字で示しているが実際にはこの数字は表示されない。また、表示部1においては、画素はm本の走査線64とn本のデータ線65の交差毎に存在するが、図面が繁雑になるのを防ぐために、以下の説明では、表示部1が4行4列の画素P11〜P44で構成されている場合を例にして動作説明を行う。
【0030】
また、画像Aの内容が図示されている図面においては、VRAM4において画素P11〜P44に対応する記憶領域Aijの内容、予定画像データ記憶領域7において画素P11〜P44に対応する記憶領域Bijの内容、白書込データ記憶領域6Aにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Cijの内容及び黒書込データ記憶領域6Bにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Dijの内容も図示している。なお、各記憶領域の添字のi及びjは、行列に配置された記憶領域の行番号を表し、jは、列番号を表している。例えば、画素や記憶領域を特定して説明する場合、例えば1行1列目の記憶領域Aijは記憶領域A11と称し、1行1列目の画素はP11と称する。
【0031】
また、画像Aの内容が図示されている図面においては、境界数記憶領域8Bの内容も図示している。境界数記憶領域8Bにおいては、複数行の画素の行間に対応して記憶領域が設けられている。なお、記憶領域Giの添字のiは、記憶領域の行番号を表している。
本実施形態においては、画素のi行目の各列について、i−1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi−1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Giに格納する。また、画素のi行目の各列について、i+1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi+1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Gi+1に格納する。なお、複数行の画素の最初の行(1行目)については、i−1行目が存在しないため、最初の行において画素電極13aに電圧が印加される画素の数がG1に格納される。また、複数行の画素の最後の行(4行目)については、i+1行目が存在しないため、最後の行において画素電極13aに電圧が印加される画素の数がG5に格納される。
【0032】
VRAM4の記憶領域A11〜A44には、表示部1に表示する画像の各画素の階調が記憶され、予定画像データ記憶領域7の記憶領域B11〜B44には、表示部1に表示させる予定の画像について各画素の階調が記憶される。白書込データ記憶領域6Aの記憶領域C11〜C44には、画素P11〜P44を白にするまでに必要な電圧の印加回数が第1書込データとして記憶され、黒書込データ記憶領域6Bの記憶領域D11〜D44には、画素P11〜P44を黒にするまでに必要な電圧の印加回数が第2書込データとして記憶される。なお、第1書込データ及び第2書込データは、0でなければ画素に対する書き換え動作が進行中であることを表し、0であれば画素に対する書き換え動作が終了していることを表す。
【0033】
コントローラー2は、画素の駆動を行う際に図6,7に示した処理を行う。まず、コントローラー2は、変数i,jの値を初期化して1にする(ステップSA1,SA2)。次にコントローラー2は、複数行複数列で配置された画素のうちi行目を選択し、選択したi行目の画素に係る記憶領域の内容を更新する処理を行う(ステップSA3)。つまり、ここでコントローラー2の選択部201が機能する。
【0034】
ステップSA3では、コントローラー2は、まず予定画像データ記憶領域7のi行目のデータを一時記憶領域8Aにコピーする(ステップSB1)。次にコントローラー2は、変数i,jで特定される画素Pijを選択する(ステップSB2)。例えば、変数iの値が1であり、変数jの値が1である場合、画素P11が選択される。次に、コントローラー2は、選択した画素Pijに対応する記憶領域Cijに記憶されている第1書込データと、記憶領域Dijに記憶されている第2書込データの両方が0であるか否か判断する(ステップSB3)。コントローラー2は、選択した画素Pijについて対応する記憶領域Cijの第1書込データと記憶領域Dijの第2書込データの両方が0である場合には(ステップSB3でYES)、ステップSB5へ移行し、第1書込データと第2書込データの一方が0以外である場合には(ステップSB3でNO)、ステップSB4へ移行する。ステップSB4へ移行すると、コントローラー2は、記憶領域Cijに記憶されている第1書込データ又は記憶領域Dijに記憶されている第2書込データのうち値が0以外のデータから1を減算する。なお、値が0となっている第1書込データ又は第2書込データについては1を減算しない。
【0035】
一方、コントローラー2は、ステップSB5へ移行すると、記憶領域Aijに記憶されているデータを読み込み(データ読み込み部202)、記憶領域Bijに記憶されているデータとを比較する。ここで、コントローラー2は、両者が異なっている場合には(ステップSB5でNO)、画素Pijを新たに表示状態を変更する画素として特定し(画素特定部203)、特定した画素Pijに係るデータを更新する。具体的には、コントローラー2(更新部206)は、画素Pijの階調を記憶領域Aijの階調に変更するまでに必要な画素への電圧の印加回数を書込データ記憶領域6に書き込む(ステップSB6)。また、コントローラー2が、記憶領域Bijの内容を記憶領域Aijに記憶されている内容で上書きする(ステップSB7)。
【0036】
次に、コントローラー2は、変数jの値がデータ線の本数nと同じであるか否か判断する(ステップSB8)。ここで変数jの値がnと同じでなければ(ステップSB8でNO)変数jの値に1を加え(ステップSB9)、ステップSB2へ移行する。
一方、コントローラー2は、変数jの値がnである場合(ステップSB8でYES)、画素のi行目の各列について、i−1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi−1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Giに格納する。また、画素のi行目の各列について、i+1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi+1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Gi+1に格納する(ステップSB10(境界特定部204))。
【0037】
次にコントローラー2は、境界数記憶領域8Bに格納されている値を合計し、合計値が予め定められた閾値以上であるか否か判断する(ステップSB11(判断部205))。コントローラー2は、合計値が閾値未満である場合には(ステップSB11でNO)、ステップSA4へ移行する。一方、コントローラー2(更新部206)は、合計値が閾値以上である場合には(ステップSB11でYES)、記憶領域のi行目の内容を書き換える(ステップSB12)。具体的には、予定画像データ記憶領域7については、一時記憶領域8Aに記憶されている内容で上書きする。また、白書込データ記憶領域6Aと黒書込データ記憶領域6Bについては、7が格納されている記憶領域について内容を0に書き換える。
【0038】
コントローラー2は、ステップSA4へ移行すると、変数iの値が走査線の本数mと同じであるか否か判断する。ここで変数iの値がmでなければ(ステップSA4でNO)変数iの値に1を加え(ステップSA5)、ステップSA2へ移行する。変数iの値がmである場合(ステップSA4でYES)、コントローラー2が、走査線駆動回路53とデータ線駆動回路54とを制御して画素駆動回路を駆動する(ステップSA6(駆動部207))。
【0039】
次に、図面を参照し、VRAM4に画像データが書き込まれてから画像データの画像が表示部1に表示されるまでの表示部1における表示の変化、VRAM4の内容の変化、RAM5の内容の変化について説明する。
【0040】
表示部1の表示と、VRAM4、書込データ記憶領域6、予定画像データ記憶領域7及び境界数記憶領域8Bの状態が図8の状態となっている時に制御部3がVRAM4に画像データを書き込むと、画像データに応じてVRAM4の状態が図9に示した状態となる。図9の状態でステップSB2において画素P11が選択されると、ステップSB3でYESと判断され、ステップSB5でNOと判断される。記憶領域B11の内容が黒を表し、記憶領域A11の内容が白を表しているため、画素P11を黒から白に変更することとなり、ステップSB6で、記憶領域C11に7が書き込まれ、ステップSB7で記憶領域B11に記憶領域A11の内容が書き込まれる。次に、画素P12が選択されると、ステップSB3でYESと判断され、ステップSB5でNOと判断される。これにより、ステップSB6で記憶領域C12に7が書き込まれ、ステップSB7で記憶領域B12に記憶領域A12の内容が書き込まれて図10に示した状態となる。
【0041】
この後、処理が進められてステップSB8でYESと判断されると、コントローラー2は、ステップSB10の処理を行う。具体的には、まずコントローラー2は、白書込データ記憶領域6Aのi行目で0以外の値が格納されている各記憶領域において、隣り合うi−1行目の記憶領域に0が格納されている記憶領域と、白書込データ記憶領域6Aのi行目で0が格納されている各記憶領域において、隣り合うi−1行目の記憶領域に0以外の値が格納されている記憶領域とを特定する。そして特定した記憶領域に対応した画素においてi−1行目との境界を特定する。また、コントローラー2は、白書込データ記憶領域6Aのi行目で0以外の値が格納されている各記憶領域において、隣り合うi+1行目の記憶領域に0が格納されている記憶領域と、白書込データ記憶領域6Aのi行目で0が格納されている各記憶領域において、隣り合うi+1行目の記憶領域に0以外の値が格納されている記憶領域とを特定する。そして、特定した記憶領域に対応した画素においてi+1行目との境界を特定する。
【0042】
また、コントローラー2は、黒書込データ記憶領域6Bのi行目で0以外の値が格納されている各記憶領域において、隣り合うi−1行目の記憶領域に0が格納されている記憶領域と、黒書込データ記憶領域6Bのi行目で0が格納されている各記憶領域において、隣り合うi−1行目の記憶領域に0以外の値が格納されている記憶領域とを特定する。そして、特定した記憶領域に対応した画素においてi−1行目との境界を特定する。また、コントローラー2は、黒書込データ記憶領域6Bのi行目で0以外の値が格納されている各記憶領域において、隣り合うi+1行目の記憶領域に0が格納されている記憶領域と、黒書込データ記憶領域6Bのi行目で0が格納されている各記憶領域において、隣り合うi+1行目の記憶領域に0以外の値が格納されている記憶領域とを特定する。そして、特定した記憶領域に対応した画素においてi+1行目との境界を特定する。
【0043】
後述するように、白書込データ記憶領域6Aにおいて0以外の値が格納されている記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して−15Vとなるように画素電極13aに電圧が印加される。ここで、隣り合うi−1行目やi+1行目の記憶領域で0が格納されている場合、この隣り合う記憶領域に対応した画素の画素電極13aにおいては、透明電極層32の電位Vcomに対して−15V以外の電圧が印加される。また、白書込データ記憶領域6Aにおいて0が格納されている記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して電位差が−15V以外となるように画素電極13aに電圧が印加される。ここで、隣り合うi−1行目やi+1行目の記憶領域で0以外が格納されている場合、この隣り合う記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位差が−15Vの電圧となるように電圧が印加される。
また、黒書込データ記憶領域6Bにおいて0以外の値が格納されている記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して+15Vとなるように画素電極13aに電圧が印加される。ここで、隣り合うi−1行目やi+1行目の記憶領域で0が格納されている場合、この隣り合う記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して+15V以外の電圧が印加される。また、黒書込データ記憶領域6Bにおいて0が格納されている記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して電位差が+15V以外となるように画素電極13aに電圧が印加される。ここで、隣り合うi−1行目やi+1行目の記憶領域で0以外が格納されている場合、この隣り合う記憶領域に対応した画素においては、透明電極層32の電位Vcomに対して画素電極13aの電位差が+15Vの電圧となるように電圧が印加される。
【0044】
つまり、i行目で0以外の値が格納されている記憶領域について、i−1行目やi+1行目において隣り合う記憶領域に0が格納されている場合や、i行目で0が格納されている記憶領域について、i−1行目やi+1行目において隣り合う記憶領域に0以外が格納されている場合、i行目の記憶領域に対応する画素においては、i−1行目やi+1行目に電圧を印加する時とは異なる電圧が印加されることとなる。つまり、i行目の画素において、これら隣り合う画素との境界は、電力を消費する部分であるといえる。よって、この電力を消費する境界部分を特定し、特定した部分の数をカウントすれば、画像の表示において消費する電力を見積もることとなる。
【0045】
例えば、i=1の場合、1行目について各記憶領域の内容を更新し終えた時点では各記憶領域の内容は図10に示した状態となっている。図10において記憶領域C11,C12には7が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C11,C12を特定する。ここで、図10の画像Aにおいて1行目の上側のハッチングの部分が、電力を消費する部分であるといえる。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G1に格納する。また、i行目(1行目)とi+1行目(2行目)とを比較すると、図10において記憶領域C11には7が格納されており、記憶領域C11に隣り合う記憶領域C21には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C11を特定する。また、記憶領域C12には7が格納されており、記憶領域C12に隣り合う記憶領域C22には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C12を特定する。ここで、図10の画像Aの1行目と2行目の間においてハッチングの部分が、電力を消費する部分と特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G2に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図10に示したように、記憶領域G1に2が格納され、記憶領域G2に2が格納された状態に変更される。
【0046】
次にコントローラー2は、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計が予め定められた閾値以上であるか判断する(ステップSB11)。例えば、境界数記憶領域8Bに格納されている数の合計が10以上となると、消費電力が表示装置100の電源回路が供給できる電力の供給量を上回り、画素の表示状態を変化させるのに必要な電圧を印加できなくなる場合には、閾値の数は10に設定される。ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は4であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0047】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=2となり、ステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は図11に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、記憶領域C21,C22には7が格納されており、記憶領域C31,C32には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C11,C12を特定する。ここで、図11の画像Aの2行目と3行目の間においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G3に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図11に示したよう記憶領域G3に2が格納された状態に変更される。なお、1行目と2行目との間では、特定される部分がないため、記憶領域G2には0が格納される。
【0048】
次にコントローラー2は、ステップSB11の処理を行うが、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は4であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0049】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=3となり、ステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は図12に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、記憶領域の2行目と3行目との間では、記憶領域C21,C22には7が格納されており、記憶領域C31,C32には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C31,C32を特定する。また、記憶領域D33,D34には7が格納されており、記憶領域D23,D24には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域D33,D34を特定する。ここで、図12の画像Aの2行目と3行目の間においてハッチング部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「4」を記憶領域G3に格納する。また、記憶領域の3行目と4行目との間では、記憶領域D33,D34には7が格納されており、記憶領域D43,D44には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域D33,D34を特定する。ここで、図12の画像Aの3行目と4行目の間においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G4に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図12に示したように記憶領域G3と記憶領域G4の内容が変更される。
【0050】
次にコントローラー2は、ステップSB11の処理を行うが、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0051】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=4となり、ステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は図13に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、記憶領域D43,D44には7が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域D43,D44を特定する。ここで、図13の画像Aにおいて4行目の下側のハッチング部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G5に格納する。なお、3行目と4行目との間においては、特定される部分がないため、記憶領域G4には0が格納される。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図13に示したように記憶領域G4と記憶領域G5の内容が変更される。
【0052】
次にコントローラー2は、ステップSB11の処理を行うが、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0053】
この後、ステップSA6の処理が行われると、画素P11に対応する画素駆動回路(1行目の走査線64と1列目のデータ線65の交差に対応する画素駆動回路)においては、記憶領域C11の内容が0以外であるため、走査線64が選択された時に画素電極13aの電位が透明電極層32の電位Vcomに対して−15Vとなるようにデータ線65に電圧が印加される。また、画素P12,P21,P22に対応する画素駆動回路においても、記憶領域C12,C21,C22の内容が0以外であるため、走査線64が選択された時に画素電極13aの電位が透明電極層32の電位Vcomに対して−15Vとなるようにデータ線65に電圧が印加される。
また、画素P33に対応する画素駆動回路(3行目の走査線64と3列目のデータ線65の交差に対応する画素駆動回路)においては、記憶領域D33の内容が0以外であるため、走査線64が選択された時に画素電極13aの電位が透明電極層32の電位Vcomに対して+15Vとなるようにデータ線65に電圧が印加される。また、画素P34,P43,P44に対応する画素駆動回路においても、記憶領域D34,D43,D44の内容が0以外であるため、走査線64が選択された時に画素電極13aの電位が透明電極層32の電位Vcomに対して+15Vとなるようにデータ線65に電圧が印加される。
なお、他の画素については、白書込データ記憶領域6Aにおいて対応する記憶領域の内容が0であり、且つ黒書込データ記憶領域6Bにおいて対応する記憶領域の内容が0であるため、走査線64が選択された時に画素電極13aの電位と透明電極層32の電位Vcomとの差が0Vとなるようにデータ線65に電圧が印加される。このようにデータ線65に電圧が印加されると、画素において白粒子と黒粒子が移動して表示部1の表示は図14に示した状態となる。
【0054】
ステップSA6の処理が終了すると、コントローラー2は、処理の流れをステップSA1へ戻す。そして、処理が進められ、図14の状態でステップSB2において画素P11が選択されると、ステップSB3でNOと判断され、記憶領域C11に書き込まれている値から1が減算され、記憶領域C11の内容は6となる。次に画素P12が選択されると、ステップSB3でNOと判断され、記憶領域C12に書き込まれている値から1が減算され、記憶領域C12の内容は6となる。この後、画素P44まで選択されると、図15に示したように記憶領域C11,C12,C21,C22の内容が6となり、記憶領域D33,D34,D43,D44の内容が6となる。
【0055】
図16は、図15に示した状態から2回目のステップSA6の処理が行われた直後の状態を示した図である。ここで、図17に示したようにVRAM4の内容が書き換えられた場合について考える。図17の状態からi=1の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図18に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図18の画像Aにおいてハッチングの部分が電力を消費する部分として特定され、記憶領域G1,G2の内容は図18に示したままとなる。
【0056】
ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSB11ではNOと判断され、ステップSA4へ移行する。次に、i=2となって処理が進められ、ステップSB2において画素P21が選択されると、ステップSB3でNOと判断されてステップSB4で記憶領域C21に書き込まれている値から1が減算され、記憶領域C21の内容は4となる。一方、ステップSB2において画素P23が選択されると、ステップSB3でYESと判断され、ステップSB5でNOと判断される。これにより、ステップSB6で、記憶領域D23に7が書き込まれ、ステップSB7で記憶領域B23に記憶領域A23の内容が書き込まれる。このように、VRAM4の内容が白から黒に書き換えられても、白への書き換えが進行中の画素については白への書き換えが進められ、書き換えが進行中でなかった画素については黒書込データ記憶領域6Bに第2書込データが記憶される。そしてステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図19に示した状態となる。
【0057】
次に、コントローラー2は、ステップSB10の処理を行う。ここで記憶領域C21,C22には4が格納されており、記憶領域C31,C32には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C21,C22を特定する。また、記憶領域D23,D24には7が格納されており、記憶領域C13,C14には0が格納されているため、コントローラー2は、この記憶領域C23,C24を特定する。ここで、図19の画像Aにおいて1行目と2行目の間のハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G2に格納する。また、図19の画像Aの2行目と3行目の間においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G3に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図19に示したように記憶領域G2と記憶領域G3の内容が変更される。
【0058】
ここで、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。そして、図19の状態からi=3の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図20に示した状態となる。
【0059】
ここでステップSB10の処理が行われると、図20の画像Aにおいて2行目と3行目の間のハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G3に格納する。また、図20の画像Aにおいて3行目と4行目の間のハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G4に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図20に示したように記憶領域G3と記憶領域G4の内容が変更される。
【0060】
ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計が10となるため、ステップSB11でYESと判断される。ステップSB11でYESと判断すると、コントローラー2は、記憶領域C31〜C34及び記憶領域D31〜D34において7が格納されている記憶領域に0を格納する。また、記憶領域B31〜B34を、一時記憶領域に記憶された内容で上書きする(ステップSB12)。これにより、記憶領域の内容は、図21に示した状態となる。つまり、3行目の画素においては、書き換えが進行中の画素(画素P33,P34)については、書き換えが進められる。また、新たに書き換えをしようとした画素P31,P32については、書き換えを開始すると消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなるため、書き換えが後回しにされることとなる。
【0061】
図21の状態からi=4の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は、図22に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、記憶領域G4の内容が0となる。そして、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0062】
そしてステップSA6の処理が行われると表示部1の状態は、図23に示した状態となり、書き換えが進行中の画素については進行中の書き換えが進められ、書き換えが行われていなかった画素については新たに画素の書き換えが開始される。また、書き換えが開始されると消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなる画素については、画素の書き換えが後回しにされることとなる。
【0063】
さらに処理が進められ、先に書き換えが開始された画素(画素P11,P12,P21,P22,P33,P34,P43,P44)について、第1書込データと第2書込データの値が1になり、ステップSA6の処理が行われると、各記憶領域と表示部1の表示は図24に示した状態となる。
【0064】
図24の状態からi=1の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域C11,C12の内容が図25に示したように0になる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図25において画像Aのハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「4」を記憶領域G2に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図25に示したようになる。
【0065】
この時点での境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。図25の状態からi=2の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、図26のように記憶領域C21,C22の内容が0になる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図26の画像Aにおいてハッチングの部分が電力を消費する部分であると特定される。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図26に示したようになる。
【0066】
この時点での境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は4であるため、ステップSB11でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。図26の状態からi=3の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、図27のように記憶領域D31,D32の内容が7になり、記憶領域D33,D34の内容が0になる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図27において画像Aのハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G3,G4の内容は図27に示した状態となる。
【0067】
ここで境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は10以上であるため、ステップSB11でYESと判断され、ステップSB12の処理が行われて記憶領域の内容が図28に示した状態となる。
【0068】
この後、ステップSA4へ移行し、i=4となって処理が進められ、ステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域D43,D44の内容が0になる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、記憶領域C41〜C44及び記憶領域D41〜D44の内容が0であるため、隣り合う行との間で印加される電圧が異なる部分が特定されず、記憶領域G4,G5の内容は共に0となり、各記憶領域の内容は、図29に示した状態となる。そしてステップSA6の処理が行われると表示部1の状態は、図30に示した状態となる。
【0069】
この後、ステップSA4へ移行し、再度i=2となってステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は図31に示した状態となる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図31の画像Aにおいてハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G2,G3の内容は図31に示した状態となる。
【0070】
また、図31の状態からi=3の時にステップSB8でYESと判断されるまで処理が進められると、図32のように記憶領域D31,D32の内容が7になる。ここで、ステップSB10の処理が行われると、図32の画像Aにおいてハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G3,G4の内容は図32に示した状態となる。この後、ステップSA6の処理が行われると、図33に示した状態となる。ここで、書き換えが後回しにされていた画素の書き換えが開始されることとなる。
【0071】
本実施形態によれば、先に書き換えが開始された領域と新たに書き換えを行う領域とが重なっても、新たに書き換えを開始する時に書き換えが進行中でなかった部分については、書き換えが直ぐに開始されるのでユーザーには表示速度が早く感じられることとなる。
また、画素の書き換えを行うと、消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなる場合には、画素の書き換えが後回しにされ、書き換えが後回しにされた画素は、消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上真ら無くなるとと書き換えが開始されることとなるため、画素の書き換え時において消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る表示装置100Aについて説明する。図34は、表示装置100Aのハードウェア構成を示した図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の表示装置100と構成が同じものについては同じ符号を付してその説明を省略する。表示装置100Aは、画素の階調を変更する際の動作が第1実施形態と異なる。コントローラー2は、駆動テーブルTBを有している。また、RAM5には、テーブルID記憶領域6Cと、インデックス記憶領域6Dが設けられている。
【0073】
図35は、駆動テーブルTBの内容を示した図である。駆動テーブルTBは、テーブルIDで識別される12個のテーブルTB1〜TB12で構成されている。本実施形態では、画素は、黒から白までの4段階の階調をとり、各階調を0(黒)から順に3(白)までの数字で表す。テーブルTB1〜TB12は、画素をある階調から他の階調へ変更する時に選択され、選択されるテーブルは、画素の変更前の階調と変更後の階調によって決められる。なお、画素の階調を変更する際には複数回に渡って画素電極13aに電圧を印加するが、各テーブルは、画素の階調をある階調からある階調へ変更する時に各回において画素電極13aに印加する電圧を示すデータが格納されている。テーブルに格納されている1〜8までの数字は、インデックスである。また、各インデックスに対応付けられている「b」、「w」、「n」というデータは、各回において画素電極13aに印加する電圧を示している。ここで「b」は、透明電極層32との電位差が+15Vとなる正の電圧を印加することを示しており、「w」は、透明電極層32との電位差が−15Vとなる負の電圧を印加することを示している。また「n」は、画素電極13aと透明電極層32との間の電位差を0とすることを示している。
【0074】
次に、表示装置100Aが行う処理の流れと表示装置100Aの動作について説明する。なお、第2実施形態の説明に係る図面で記憶領域の内容を図示している図は、VRAM4と予定画像データ記憶領域7の内容に加え、テーブルID記憶領域6Cにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Eijの内容、及びインデックス記憶領域6Dにおいて画素P11〜P44に対応する記憶領域Fijの内容を図示している。記憶領域E11〜E44には、画素の階調を変更する際に使用されるテーブルのテーブルIDが格納される。例えば、テーブルIDとして1が格納されている場合、テーブルIDが1であるテーブルTB1が画素の階調を変更する際に使用される。また、記憶領域F11〜F44には、テーブルにおいてどのインデックスを参照するかを表す数字が格納される。
【0075】
本実施形態に係るコントローラー2は、ステップSA3の処理内容が第1実施形態と異なる。図36は、本実施形態におけるステップSA3の処理内容を示したフローチャートである。まず、ステップSC1〜ステップSC2の処理は、第1実施形態のステップSB1〜ステップSB2の処理と同じ処理である。次に、コントローラー2は、選択した画素Pijに対応する記憶領域Fijに記憶されているインデックスの値が0か否か判断する(ステップSC3)。コントローラー2は、ここで記憶領域Fijの内容が0である場合(ステップSC3でYES)、ステップSC5へ移行し、0以外である場合には(ステップSC3でNO)、ステップSC4へ移行する。ステップSC4へ移行すると、コントローラー2は、記憶領域Fijの値から1を減算する。
【0076】
ステップSC5へ移行すると、コントローラー2は、記憶領域Aijに記憶されているデータと、記憶領域Bijに記憶されているデータとを比較する。ここで、コントローラー2は、両者が異なっている場合には(ステップSC5でNO)、画素の階調を記憶領域Bijに格納されている階調から記憶領域Aijに格納されている階調へ変化させるためのテーブルをテーブルTB1〜TB12の中から決定する(ステップSC6)。次に、コントローラー2は、ステップSC6で決定したテーブルのテーブルIDを記憶領域Eijに書き込み、記憶領域Fijに8を書き込む(ステップSC7)。また、コントローラー2が、記憶領域Bijの内容を記憶領域Aijに記憶されている内容で上書きする(ステップSC8)。
【0077】
次のステップSC9,ステップSC10の処理は、第1実施形態のステップSB8,ステップSB9の処理と同じ処理である。コントローラー2は、ステップSC11においては、画素のi行目の各列について、i−1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi−1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Giに格納する。また、画素のi行目の各列について、i+1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素とi+1行目の画素との境界の数の合計を記憶領域Gi+1に格納する。
【0078】
次にコントローラー2は、境界数記憶領域8Bに格納されている値を合計し、合計値が予め定められた閾値以上であるか否か判断する(ステップSC12)。コントローラー2は、合計値が閾値未満である場合には(ステップSC12でNO)、ステップSA4へ移行する。一方、コントローラー2は、合計値が閾値以上である場合には(ステップSC12でYES)、記憶領域のi行目の内容を書き換える(ステップSC13)。
【0079】
次に、図面を参照し、画素を駆動する時の動作の一例を説明する。なお、以下の説明では、図37に示したようにVRAM4に画像データが書き込まれた状態を想定して説明を行う。
【0080】
図37に示した状態でステップSA3の処理が行われ、ステップSC2において画素P11が選択されると、ステップSC3でYESと判断され、ステップSC5でNOと判断される。次にステップSC6では、記憶領域B11の内容が0であり記憶領域A11の内容が3であるため、画素P11の階調を変更するのに使用するテーブルとして階調を0から3へ変更するテーブルTB10が決定される。次に、ステップS6で決定されたテーブルのテーブルIDが記憶領域E11に書き込まれ、記憶領域F11に8が書き込まれ(ステップSC7)、記憶領域B11の内容が記憶領域A11の内容で上書きされる(ステップSC8)。次に、画素P12が選択されると、ステップSC3でYESと判断され、ステップSC5でNOと判断される。この後、テーブルTB10が決定され、テーブルIDが記憶領域E12に書き込まれ、記憶領域F12に8が書き込まれ(ステップSC7)、記憶領域B12の内容が記憶領域A12の内容で上書きされる(ステップSC8)。ここで、記憶領域の内容は図38に示した状態となる。
【0081】
この後、処理が進められてステップSC9でYESと判断されると、コントローラー2は、ステップSC11の処理を行う。ここで、コントローラー2は、i行目の画素について、記憶領域Eijと記憶領域Fijを参照し、各画素に印加する電圧を特定する。次に、コントローラー2は、i−1行目の画素について、テーブルID記憶領域6Cとインデックス記憶領域6Dを参照し、各画素に印加する電圧を特定する。また、コントローラー2は、i+1行目の画素について、テーブルID記憶領域6Cとインデックス記憶領域6Dを参照し、各画素に印加する電圧を特定する。次にコントローラー2は、i行目の画素において、i−1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素においてi−1行目との境界を特定する。この特定した境界部分は、第1実施形態で説明したように電力を消費する部分である。またコントローラー2は、i行目の画素において、i+1行目と異なる電圧が印加される画素を特定し、特定した画素においてi+1行目との境界を特定する。この特定した境界部分は、第1実施形態で説明したように電力を消費する部分である。
【0082】
例えば、図38に示した状態の場合、画素P11,P12においては、画素電極13aに透明電極層32との電位差を−15Vとする負の電圧が印加され、画素P21,P22においては、透明電極層32との電位差を0Vにする電圧が画素電極13aに印加される。画素P11と画素P21とでは画素電極13aに印加される電圧が異なり、画素P12と画素P22とでは画素電極13aに印加される電圧が異なるため、コントローラー2は、この画素P11とP21との境界部分及び画素P12と画素P22との境界部分(図38の画像Pijの1行目と2行目の間のハッチングの部分)を、電力を消費する部分として特定する。また、図38の表示部の1行目の上のハッチングの部分を、電力を消費する部分として特定する。コントローラー2が、特定した境界部分の数を記憶領域Giと記憶領域Gi+1に格納すると、境界数記憶領域8Bの内容は図38に示した状態となる。
【0083】
次にコントローラー2は、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計が予め定められた閾値以上であるか判断する(ステップSC12)。ここで、第1実施形態と同様に閾値が10である場合、この時点での境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は4であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0084】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=2となり、ステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は図39に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図39の表示部のハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「2」を記憶領域G3に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図39に示したように記憶領域G3に2が格納された状態に変更される。なお、1行目と2行目との間では、特定される部分がないため、記憶領域G2には0が格納される。
【0085】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=3となり、ステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は図40に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図40の表示部においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数を記憶領域G3,G4に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図40に示したように記憶領域G3に4が格納され、記憶領域G4に2が格納された状態になる。次にコントローラー2は、ステップSC12の処理を行うが、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0086】
次に、ステップSA5の処理が行われてi=4となり、ステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は図41に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図41の表示部においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数を記憶領域G4,G5に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図41に示したように記憶領域G4に0が格納され、記憶領域G5に2が格納された状態になる。
【0087】
さらに処理が進められると、ステップSA6の処理が行われる。ここで、画素P11について記憶領域E11に格納されているテーブルIDが10であり、記憶領域F11に格納されているインデックスが8である。画素P11については、テーブルTB10においてインデックスの8に対応付けられているデータが「w」であるため、画素電極13aの電位が透明電極層32に対して−15Vとなるように画素駆動回路が駆動される。また、画素P33について記憶領域E33に格納されているテーブルIDが3であり、記憶領域F11に格納されているインデックスが8である。画素P33については、テーブルTB3においてインデックスの8に対応付けられているデータが「b」であるため、画素電極13aの電位が透明電極層32に対して+15Vとなるように画素駆動回路が駆動される。なお、インデックスが0となっている記憶領域に対応する画素については、透明電極層32と画素電極13aの電位差が0Vにされる。
【0088】
図42は、図41に示した状態から2回目のステップSA6の処理が行われた直後の状態を示した図である。ここで、図43に示したようにVRAM4の内容が書き換えられた場合について考える。図43の状態からi=1の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図44に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図44の表示部においてハッチングの部分が電力を消費する部分として特定され、記憶領域G1,G2の内容は図44に示した状態となる。
【0089】
ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。次に、i=2となって処理が進められ、ステップSC2において画素P21が選択されると、ステップSC3でNOと判断されてステップSC4で記憶領域F21に書き込まれている値から1が減算され、記憶領域F21の内容は5となる。一方、ステップSC2において画素P23が選択されると、ステップSC3でYESと判断され、ステップSC5でNOと判断される。これにより、ステップSC7で、記憶領域F23に8が書き込まれ、記憶領域E23に3が書き込まれる。また、ステップSC8で記憶領域B23に記憶領域A23の内容が書き込まれる。
このように、VRAM4の内容が白から黒に書き換えられても、白への書き換えが進行中の画素については白への書き換えが進められ、書き換えが進行中でなかった画素については対応する記憶領域Eij及び記憶領域Fijに新たにデータが書き込まれる。そしてステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図45に示した状態となる。
【0090】
ここで、ステップSC11の処理が行われると、図45の表示部においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数を記憶領域G2,G3に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図45に示したように記憶領域G2と記憶領域G3の内容が変更される。
【0091】
ここで、この時点で境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。そして、i=3の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図46に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図46の表示部においてハッチングの部分が、電力を消費する部分であると特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数を記憶領域G3,G4に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図46に示したように記憶領域G3と記憶領域G4の内容が変更される。
【0092】
ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計が10となるため、ステップSC12でYESと判断される。ステップSC12でYESと判断すると、コントローラー2は、記憶領域F31〜F34において8が格納されている記憶領域に0を格納する。また、記憶領域B31〜B34を、一時記憶領域に記憶された内容で上書きする(ステップSC13)。これにより、記憶領域の内容は、図47に示した状態となる。つまり、3行目の画素においては、書き換えが進行中の画素(画素P33,P34)については、書き換えが進められる。また、新たに書き換えをしようとした画素P31,P32については、書き換えを開始すると消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなるため、書き換えが後回しにされることとなる。
【0093】
図47の状態からi=4の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、各記憶領域の内容は、図48に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、記憶領域G4の内容が0となる。そして、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。
【0094】
そしてステップSA6の処理が行われると、VRAM4で内容が書き換えられた部分に対応する画素について、書き換えが進行中の画素については進行中の書き換えが進められ、書き換えが行われていなかった画素については新たに画素の書き換えが開始される。また、書き換えが開始されると消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなる画素については、画素の書き換えが開始されないこととなる。
【0095】
さらに処理が進められると、先に書き換えが開始された画素(画素P11,P12,P21,P22,P33,P34,P43,P44)について、図49に示したように記憶領域Fijの値が1になる。図49の状態からi=1の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域F11,F12の内容が0になる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図50において画像Aのハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定される。コントローラー2は、この特定した部分の数「4」を記憶領域G2に格納する。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図50に示したように記憶領域G1と記憶領域G2の内容が変更される。
【0096】
この時点での境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は8であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。図50の状態からi=2の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、図51のように記憶領域F21,F22の内容が0になる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図51の表示部においてハッチングの部分が電力を消費する部分であると特定される。ここで、境界数記憶領域8Bの内容は、図51に示したように記憶領域G2と記憶領域G3の内容が変更される。
【0097】
この時点での境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は4であるため、ステップSC12でNOと判断され、ステップSA4へ移行する。図51の状態からi=3の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、図52のように記憶領域F31,F32の内容が8になり、記憶領域F33,F34の内容が0になる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図52において表示部のハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G3,G4の内容は図52に示した状態となる。
【0098】
ここで境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は10以上であるため、ステップSC12でYESと判断され、ステップSC13の処理が行われて記憶領域の内容が図53に示した状態となる。
【0099】
この後、ステップSA4へ移行し、次にi=4となって処理が進められる。図53の状態からステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域F43,F44の内容が0になる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、記憶領域C41〜C44及び記憶領域D41〜D44の内容が0であるため、隣り合う行との間で印加される電圧が異なる部分が特定されず、記憶領域G4,G5の内容は共に0となり、各記憶領域の内容は、図54に示した状態となる。
【0100】
この後、ステップSA4へ移行し、再度i=2となってステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、記憶領域の内容は図55に示した状態となる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図55において表示部のハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G2,G3の内容は図55に示した状態となる。ここで、境界数記憶領域8Bに記憶されている値の合計値は10未満であるため、ステップSC12でNOと判断される。
【0101】
図55の状態からi=3の時にステップSC9でYESと判断されるまで処理が進められると、図56のように記憶領域F31,F32の内容が8になる。ここで、ステップSC11の処理が行われると、図56の表示部においてハッチングの部分が、電力を消費する部分として特定され、記憶領域G3,G4の内容は図56に示した状態となる。ここで、書き込みが後回しにされていた画素について、対応する記憶領域にテーブルIDとインデックスが書き込まれるため、ステップSA6においては、書き込みが後回しにされていた画素について表示状態の変更が開始される。
【0102】
本実施形態においても、先に書き換えが開始された領域と新たに書き換えを行う領域とが重なっても、新たに書き換えを開始する時に書き換えが進行中でなかった部分については、書き換えが直ぐに開始されるのでユーザーには表示速度が早く感じられることとなる。
また、本実施形態においても、画素の書き換えを行うと、消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ることとなる場合には、画素の書き換えが後回しにされ、書き換えが後回しにされた画素は、消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回らなくなると書き換えが開始されることとなるため、画素の書き換え時において消費電力のピーク値を抑えることができる。
【0103】
[電子機器]
次に、上述した実施形態に係る表示装置を用いた電子機器について説明する。
図57(a)は、上述した実施形態に係る表示装置を用いた電子ブックリーダーの斜視図である。この電子ブックリーダー1000は、本の形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して開閉自在に設けられたカバー1002と、操作部1003と、本発明の実施形態に係る表示装置100を備えている。この電子ブックリーダー1000においては、電子ブックの内容が表示装置100に表示され、操作部1003を操作することにより、電子ブックのページがめくられる。
また、図57(b)は、上述した実施形態に係る表示装置を用いた腕時計1100の斜視図である。この腕時計1100は、本発明の実施形態に係る表示装置100を備えている。この腕時計1100においては、時刻や年月日が表示装置100に表示される。
なお、このほかにも、上述した実施形態に係る表示装置100を適用可能な電子機器として、電子ペーパー、電子手帳、電卓、携帯電話機等などが挙げられる。
【0104】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0105】
(変形例1)
上述した実施形態においては、新たに画素の書き換えを開始すると消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回るか否かを画素の行毎に判断しているが、ある行について判断した時点で消費電力のピーク値が電源回路が供給できる電力の供給量を上回ると判断した場合、この行以降で新たな画素の書き換えを後回しにするようにしてもよい。
【0106】
(変形例2)
上述した実施形態では、表示部1の画素の配置が4行4列である場合を例に動作の説明を行ったが、画素の配置は、この配置に限定されるものではなく、例えば、400行640列などの配置とし、ステップSB11やステップSC12における閾値を10以外の値としてもよい。
また、画素の配置が数十行〜数百行になる場合、予め定められた数行〜数十行で表示部1の画素を複数の領域に分割してもよい。また、この分割した領域毎に閾値を定め、各領域毎に上述した第1実施形態に係る図6,7の処理または第2実施形態に係る図36の処理を行うようにしてもよい。
表示部1の画素を複数の領域に分割しない場合、行番号が大きな画素については画素の書き換えが後回しにされる可能性が高く、書き換えが開始されるタイミングが遅くなる虞がある。一方、表示部1の画素を複数の領域に分割する構成によれば、各領域で行番号が小さな画素については書き換えが開始される可能性が高くなるので、画面全体で書き換えを開始したようにユーザーに見せることができる。
【0107】
(変形例3)
上述した第2実施形態においては、i行目で表示状態を更新中の画素と、この画素に対してi−1行目で隣り合う画素で表示状態を更新中の画素について、画素電極13aに印加する電圧をテーブルIDおよびインデックスに基づいて特定し、i行目の画素と、この画素に対してi−1行目で隣り合う画素とで画素電極13aに印加する電圧の電位差が30Vとなる場合、i−1行目の画素と印加する電圧が同じになるまでi行目の画素について画素の表示状態の更新を停止してもよい。
また、第2実施形態においては、フレームごとに電力を消費する境界部分を計算しているが、これに代えて、テーブルIDとインデックスに基づいてすべてのフレームについてあらかじめ電力を消費する境界の計算を行っても良い。この計算の結果、すべてのフレームについて境界数記憶領域8Bに格納されている値の合計が予め定められた閾値より小さければ、すべてのフレームにおいて、どの行の書き換えも後回しにすることなく表示動作を実行すればよい。また、上記計算の結果、いずれかのフレームにおいて境界数記憶領域8Bに格納されている値の合計が予め定められた閾値以上となる場合には、表示動作を開始せず、所定の行以降の書き換えを2フレーム目以降に後回しにすることとし、改めてすべてのフレームについて計算を実施する。この動作を繰り返して、所定の行を所定のフレーム数だけ後回しにすることですべてのフレームについて境界数記憶領域8Bに格納されている値の合計が予め定められた閾値より小くなった場合に、表示動作を開始する。このようにすれば、テーブルIDとインデックスがどのように分布されていても、書き換え動作の途中で電力が限界値を超える不具合を発生させないことができる。
また、第2実施形態においては、隣り合う行の隣り合う画素について、テーブルID記憶領域6Cとインデックス記憶領域6Dとに基づいて各画素に印加される電圧を特定し、当該電圧の情報から、電力を消費する境界部分を特定しているが、これに代えて、隣り合う行の隣り合う画素について、テーブルID及びインデックスの少なくとも一方が異なっていた場合には、これら隣り合う画素の境界は電力を消費する境界部分とみなして処理を行っても良い。
【0108】
(変形例4)
上述した実施形態においては、黒の電気泳動粒子が正に帯電され、白の電気泳動粒子が負に帯電された態様としたが、黒の電気泳動粒子が負に帯電され、白の電気泳動粒子が正に帯電された態様としてもよい。また、電気泳動粒子として白と黒の2種類を用いて白黒の表示が行われるが、電気泳動粒子の色は、白と黒に限定されるものではなく、赤や青、緑など他の色であってもよい。
また、上述した実施形態では、表示装置100は電気泳動方式であるが、電気泳動方式に限定されるものではない。表示装置100の表示方式は、複数フレームに渡って画素に電圧を印加することにより画像を表示するものであれば、例えば、コレステリック液晶、エレクトロクロミック、電子粉粒体等を用いたものであってもよい。
また、電気泳動層20は、マイクロカプセル21を有する構成に限定されず、隔壁によって仕切られた空間に分散媒と電気泳動粒子を格納する構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、コントローラー2と制御部3は、別々になっているが、コントローラー2で実現する機能の一部を制御部3で実現させてもよく、また、コントローラー2と制御部3とを一つの半導体チップ上にまとめて制御部としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…表示部、2…コントローラー、3…制御部、4…VRAM、5…RAM、6…書込データ記憶領域、6A…白書込データ記憶領域、6B…黒書込データ記憶領域、6C…テーブルID記憶領域、6D…インデックス記憶領域、7…予定画像データ記憶領域、8A…一時記憶領域、8B…境界数記憶領域、9…バス、10…第1基板、11…基板、11a…接着層、12…回路層、13a…画素電極、20…電気泳動層、21…マイクロカプセル、22…バインダー、30…第2基板、31…フィルム、32…透明電極層、53…走査線駆動回路、54…データ線駆動回路、55…表示領域、61…トランジスタ、63…保持容量、64…走査線、65…データ線、100…表示装置、201…選択部、202…データ読み込み部、203…画素特定部、204…境界特定部、205…判断部、206…更新部、207…駆動部、1000…電子ブックリーダー、1001…フレーム、1002…カバー、1003…操作部、1100…腕時計、TB…駆動テーブル、TB1〜TB12…テーブル、X1〜Xm…データ信号、Y1〜Ym…走査信号、Pij…画素、Aij…記憶領域、Bij…記憶領域、Cij…記憶領域、Dij…記憶領域、Eij…記憶領域、Fij…記憶領域、Gij…記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置の制御装置であって、
前記行を順次選択する選択部と、
前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、
前記データ読み込み部で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み部で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択部で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定部と、
前記選択部で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定部と、
前記境界特定部で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶部と、
前記境界数記憶部に記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断部と、
前記判断部において前記閾値未満であると判断された場合、
前記選択部で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、
前記判断部において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断部において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新部と
を有する制御装置。
【請求項2】
前記複数行複数列の画素は、予め定められた行数で複数領域に分けられ、
前記判断部は、前記境界数記憶部に記憶された境界数のうち、前記選択部で選択されている行を含む前記領域に係る境界数の合計が、予め定められた閾値以上であるか否か判断すること
を特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記複数回の電圧の印加について各回で印加する電圧を定めたテーブルに従って前記画素へ電圧を印加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記選択部で選択された行の画素であって前記書き込み動作が進行中の画素について、隣り合う行において前記書き込み動作が進行中の画素に印加される電圧と同じ電圧が印加されるように、電圧の印加時期を制御すること
を特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置であって、
前記行を順次選択する選択部と、
前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み部と、
前記データ読み込み部で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み部で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択部で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定部と、
前記選択部で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定部と、
前記境界特定部で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶部と、
前記境界数記憶部に記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断部と、
前記判断部において前記閾値未満であると判断された場合、
前記選択部で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、
前記判断部において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断部において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新部と
を有する表示装置。
【請求項6】
複数行複数列の画素の各々に対応して第1電極が設けられた第1基板と、第2電極が設けられた第2基板とで表示素子を挟持し、前記第1電極、前記表示素子及び前記第2電極とで前記画素が構成され、前記表示素子へ電圧を複数回印加する書き込み動作により前記画素の表示状態を第1の表示状態から第2の表示状態へ変更する表示装置の制御方法であって、
前記行を順次選択する選択工程と、
前記表示装置に表示させる画像の画像データをメモリーから読み込むデータ読み込み工程と、
前記データ読み込み工程で画像データが読み込まれる前に前記表示装置に表示する予定であった画像を示す予定画像データと、前記データ読み込み工程で読み込まれた画像データとに基づいて、前記選択工程で選択された行の画素において新たに表示状態を変更する変更画素を特定する特定工程と、
前記選択工程で選択された行の画素において、隣り合う行の画素と異なる電圧が印加される画素を特定し、当該特定した画素と、当該特定した画素に隣り合う行において当該特定した画素と異なる電圧が印加される画素との境界を特定する境界特定工程と、
前記境界特定工程で特定された境界の境界数を、前記行毎に記憶する境界数記憶工程と、
前記境界数記憶工程で記憶された境界数の合計が予め定められた閾値以上であるか否か判断する判断工程と、
前記判断工程において前記閾値未満であると判断された場合、
前記選択工程で選択された行の前記変更画素が前記書き込み動作中ではない場合には、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、前記変更画素が前記書き込み動作中である場合には、進行中の書き込み動作が終了した後、前記画像データの定める表示状態となるように前記変更画素に対して前記書き込み動作を開始し、
前記判断工程において前記閾値以上であると判断された場合、前記判断工程において前記閾値未満と判断されるまで前記変更画素に対する前記書き込み動作を開始しない更新工程と
を有する表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2012−58614(P2012−58614A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203619(P2010−203619)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】