説明

制御装置

【課題】1つの装置にて、製品のラインナップの充実を高め、熱・ノイズに対して信頼性が高く、かつ低コストの制御装置の実装構造を実現する。
【解決手段】制御装置1の実装構造は、上面側に開口部を有する箱型形状に形成され、内部実装機器2,4,5,6及び12または15とが搭載される外枠を成す筐体フレーム3と、内部実装機器の13または、14が金具及びプリント板の換装により、実装でき、外気取り入れファン8により、高発熱部品のHDD・CPUを効率的に冷却する冷却風洞を備え、筐体フレーム3に設けられた通風孔10の孔をシールド効果の高い形状とし、筐体フレーム3や各部材に押し出し部23を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
社会インフラ・公共システム製品などを支える制御装置は、昨今、実装する部品内部機器や部品の新しい規格への適応・低電圧化・高速化・高密度化など急速に技術が進歩し、製品の高い拡張性・ラインナップの拡充・小型化・高性能化・低コスト化の要求が益々高まっている。
【0003】
そのため、製品開発においては、多種の規格に対応するため、多くの機種開発で開発コストが増えており、また、熱・ノイズに対する対策など製品の信頼性を確保するのに苦慮していた。加えて製品のライフサイクルも短命化し、信頼性を確保しながら新製品をいち早く市場投入しなければならない状況にある。
【0004】
このような、製品の高い拡張性・ラインナップの拡充・小型化・高性能化・低コスト化の要求に対する技術は、例えば、特開2011−35208号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−35208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような制御装置において高信頼性が求められ、開発コスト低減、ラインナップの拡充・熱・ノイズに対する対策が求められるが、ラインナップの拡充には、規格に適合した構造としなければならないが、各規格により製品の寸法が大きく異なっているため1つの製品での対応は難しい。
【0007】
例えば、増設用のI/Oモジュールにおいては、例えば、フルハイトと呼ばれる106.68mmの高さとロープロファイルと呼ばれる64.41mmの高さの2種類がある。
【0008】
2種類の規格に対応するには、物理的高さが異なり2種類の規格に対応した構造の開発が必要となることが問題となっている。
【0009】
また、熱対策においては、製品の内部に実装される電子部品や機器の発熱量が多くなり強制ファン冷却のみでは足らず、冷却フィンを実装し対応しているが、年々増加する発熱に対しては冷却フィンを大型化せざるを得ないことが問題となっている。
【0010】
同時に、発熱量が増加する部品や機器は、制御装置内の複数箇所にあり、外部から取り込んだ冷却風を複数の発熱部に循環させ、発生した高熱を効率よく排気させる必要がある。
【0011】
このため、制御装置内に複数のファンやフィンを設けたり、内部の空気抵抗を少なく循環させる整流板や風洞を設けるなどが必要となることが問題となっている。
【0012】
さらに、ノイズ対策においては、電子部品や機器の低電圧化・微細化・高速化などにより、制御装置内のノイズ源やノイズレベルが増加し、製品の高密度化により、ノイズ伝送経路も複雑化している。これらの内部で発生するノイズを製品外部に漏れないように外郭を成す筐体フレームや外装カバー、及び内部実装金具類などで密着性を確保してアース経路に落とす必要がある。
【0013】
このため、従来、部材間に導伝性の良い市販ガスケットを挟んだり、専用のアースバネを製作し挟んだり、或いは市販のアースバネ(フィンガなど)を挟んだり、鋼材の塗装や表面処理を剥離したりする必要があることが問題となっている。
【0014】
本発明の目的は上記の問題の少なくとも1つを解決することが可能な制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明では、筺体の一方端に拡張I/Oボードが実装される開口部を有し、換装される金具あるいはプリント板を介して異なるサイズの拡張ボードが互い代替的に前記開口部に実装可能に構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、製品のラインナップ充実性が高く、低コストの制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態である制御装置の概略の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態である制御装置の分解図である。
【図3】本発明の実施形態であるI/Oボードを実装する際の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態であるロープロサイズのI/Oボードを実装する際の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態である高信頼シールドI/Oモジュールフレーム内部構造の概略図である。
【図6】本発明の実施形態である高信頼シールドフレーム構造の概略図である。
【図7】本発明の実施形態である高信頼シールドフレーム通風孔の拡大図である。
【図8】本発明の実施形態である冷却風洞構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である制御装置の概略図である。図1は、2種類のI/Oモジュールに適合し、熱・ノイズに対して高い信頼性を必要とするフロントパネル付制御装置1であり、定められた筐体フレーム(箱型)3の中は高密度実装となっている。導通性を必要とする外装カバー類は除いた状態である(実際の使用の際には外装カバーが装置される)。
【0020】
図1(A)では、フルハイトサイズ対応のI/OボードがI/Oモジュールを介して装着されており、一方、図1(B)では、図1(A)と代替的に、ロープロファイルサイズ対応のI/OボードがI/O固定金具を利用して装着されている。フロントパネル付制御装置1の一部をなす筺体フレーム3内には、電源2と冷却風洞11が配置されている。
【0021】
図2は、本発明の一実施例である制御装置の分解図である。I/Oモジュール12とフルハイトサイズ対応のI/Oボード13との組と、ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード14とI/O固定金具15との組との一方の組が装着される。筐体フレーム3には、主に内部実装機器・部品を稼動させる電源(電源モジュール)2、筐体フレーム3内の底面に制御プリント板であるマザーボード6、HDD実装トレー19やDVDメディア装置5を実装するHDDやぐら(実装モジュール)9、フルハイトサイズ対応のI/Oボード13などを幾つか実装するI/Oモジュール12、ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード14などを幾つか実装するための、ロープロファイルサイズ対応のI/O固定金具15などで構成された。
【0022】
ここで、LAN端子(図示せず)を介して情報がマザーボード6に装置されたCPU(図示せず)に供給され、CPUはこの情報に基づいて指令情報を演算を実行してLAN端子(図示せず)を介して外部機器に指令を供給する。
【0023】
CPUは、HDD4に格納されたプログラム、あるいはDVDメディア装置5に格納された各情報を演算の過程で利用する。
【0024】
装置内には、冷却性能を確保するために、装置正面側となるHDD実装トレー19などを挿入する面の装置内側に冷却ファン8が設けられており、マザーボード6には、CPUなど高発熱部におのおの冷却フィン7が実装され、特に装置中央に実装された冷却フィン7は、最も発熱する部分であり、通風孔10より外気を冷却ファン8で強制的に装置内に吸い込むが、冷却フィン7と同時にHDD4を同時に冷却するため、冷却風洞11が実装されている。
【0025】
なお、フルハイトサイズ対応のI/Oボード13が用いられても、ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード14であっても、後述のコネクタ20を介して、マザーボード6(CPU)とバス(図示せず)を介して接続される。
【0026】
図3は、本発明の一実施例である2種類のI/Oモジュールを実装する際の概略図である。I/Oモジュール12とI/O固定金具15は、図1のフロントパネル付制御装置1内の後方片端に垂直に実装され、I/Oモジュール12はマザーボード6上のコネクタ20a,20bに接続される。I/O固定金具15は、筐体フレーム3に垂直に実装され、ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード14がマザーボード6上のコネクタ20b,20c,20dに垂直に接続される。
【0027】
2つの種類の規格に対応する実装構造を前記の通り、少ない部品点数の換装で行うことにより、材料費削減などの低コスト化、1つの製品にて実現できるため開発費のコスト低減となる。
【0028】
図4は、本発明の一実施例であるロープロファイルサイズ対応のI/Oボードを実装する際の拡大図である。本図のロープロファイルサイズ対応のI/Oボード14は、ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード固定金具17を介しI/O固定金具15へ実装される。ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード固定金具17は、筐体フレーム3にあるロープロファイルサイズ対応のI/Oボード固定金具挿入孔21に挿入し、反対側をネジ1本で実装する引っ掛け構造となっている。I/O固定金具15は、筐体フレーム3の爪部22の内側に挿入し、爪部22以外は、筐体フレーム3の外側に実装される引っ掛け構造となっている。
【0029】
また、I/O固定金具15上部、及び閉止板18には外装カバーと接触する面に電気的導通性を確保するために押し出し部23が加工されている。
【0030】
図5は、本発明の一実施例である高信頼シールドI/Oモジュールフレーム構造の概略図である。本図のI/Oモジュール12は、図1のフロントパネル付制御装置1内の後方片端に実装され、フルハイトサイズ対応のI/Oボード13をフルハイトサイズ対応のI/Oボード固定金具16を介しI/Oモジュールフレームに実装される。フルハイトサイズ対応のI/Oボード固定金具16は、I/Oモジュールにあるフルハイトサイズ対応のI/Oボード固定金具挿入孔24に挿入し、反対側をネジ1本で実装する引っ掛け構造となっている。
【0031】
また、I/Oモジュールフレームには、外装カバーに接触する面に電気的特性を確保するために押し出し部23が加工されている。
【0032】
図6は、本発明の一実施例である高信頼シールドフレーム構造の概略図である。1つの鋼材を箱型形状になるようにいくつか曲げ加工を施し、外装カバーと接触する面に電気的導通性を確保するための円柱状の押し出し部(押し出し加工)23をフレーム上部の各四方向に一定の間隔で設けた筐体フレーム3である。
【0033】
図7は、本発明の一実施例である高信頼シールドフレームの通風孔の拡大図である。フロントパネル付制御装置1内部に外気を冷却ファン8により取り入れる通風孔10の孔の形状、及び寸法は、孔径を小さくし多量に設けることで合計面積が同じ条件での孔径が大きいものや、長円に比べ筐体フレーム3に流れる電流方向が縦横に流れるため、シールド性が向上できる。
【0034】
図8は、本発明の一実施例である高信頼冷却風洞構造の概略図である。冷却風洞11は、フロントパネル付制御装置1内部に外気取り入れ冷却ファン8の後方及び、側面に高発熱部がある実装形態において、冷却ファン8を囲うように成型し、側面に風孔及び風孔内部に爪を設けて、効率的に側面に冷却風を送り、冷却ファンの後方にある冷却フィン近傍まで冷却風洞を設けることで効率的に高発熱部材のCPU及びHDDを冷却できる。
【0035】
以上、本実施例の技術を要約すると、(1)制御装置内の増設用I/Oモジュールを金具及びプリント板の換装により、2種類の規格に対応する構造、(2)制御装置内の外気取り入れファンにより、HDD・CPUなど複数箇所冷却が必要とする高密度実装において効率的に冷却風を送る冷却風洞構造、(3)外気取り入れのための、通風孔の孔をシールド効果の高い形状とし、筐体フレームや各部材に直接ボスなどを押し出し加工し組み合わせ部材間の導通性が向上するシールド構造、これらを組み合わせた制御装置により、課題である製品のラインナップの充実を高め、熱・ノイズ、及び低コストを容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 フロントパネル付制御装置
2 電源
3 筐体フレーム
4 HDD
5 DVDメディア装置
6 マザーボード
7 冷却フィン
8 冷却ファン
9 HDDやぐら
10 通風孔
11 冷却風洞
12 I/Oモジュール
13 フルハイトサイズ対応のI/Oボード
14 ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード
15 I/O固定金具
16 フルハイトサイズ対応のI/Oボード固定金具
17 ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード固定金具
18 閉止板
19 HDD実装トレー
20 コネクタ
21 ロープロファイルサイズ対応のI/Oボード固定金具挿入孔
22 爪部
23 押し出し部
24 フルハイトサイズ対応のI/Oボード固定金具挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置において、筺体の一方端に拡張I/Oボードが実装される開口部を有し、換装される金具あるいはプリント板を介して異なるサイズの拡張ボードが互い代替的に前記開口部に実装可能に構成されることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記筺体は、鋼材を箱型形状になるように幾つか曲げ加工して成型された筐体フレームから成り、前記筺体フレームの電気的導通性を必要とする部材と組み合わせる面に、押し出し加工を施したことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1において、筐体フレームに流れる電流方向が縦横均一となるように小径丸型形状の通風孔を設けたことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項2において、押し出し加工された部品の形状は、円柱形あるいは球形であり、前記押し出し部は、電気的導通性を必要とする部材と組み合わせる面に一定距離の間隔で複数設けられていることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1において、外気吸い込みファンが実装され、そのファン後方部、及び側面部に高発熱部品が実装されており、前記外気吸い込みファンを囲い、側面部に風孔を設けたことを特徴とする制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−256768(P2012−256768A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129746(P2011−129746)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】