説明

削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置および回転角検出方法

【課題】簡略な構成で削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する。
【解決手段】位置検出機能と回転角検出機能を備えたプローブ50の先端に誘導治具60を固定し、自在ボーリングの削孔ロッド12内に挿入する。削孔ロッド12の先端12Aには先端ユニット20が装着され、先端ユニット20の円筒管21の先端に、削孔方向を決める先端傾斜板40が取り付けられている。誘導治具60の外周部には円筒ハウジング61の外周面より突没自在の可動ガイド部材70が装備されており、この可動ガイド部材70が、円筒管21の内壁面22に設けられたガイド手段30(全周解放溝32、誘導溝33、位置決め溝34)に案内されることで、誘導治具60が挿入されながら回転して、最終的に可動ガイド部材70が位置決め溝34に嵌まることで、プローブ50が先端傾斜板40と円周方向に固定される。これにより、プローブ50により先端傾斜板40の回転角が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒管状の削孔ロッドの先端に削孔方向を決める先端傾斜板を設け、削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転と推進により直線状の削孔を行い、削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転静止状態での推進により曲線状の削孔を行う自在ボーリングの施工時に削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する装置、および、この装置を使用して先端傾斜板の回転角を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自在ボーリングを用いた地盤改良工法は、直線ボーリングでは届かない既設構造物直下などに削孔管(削孔ロッド)を敷設し、これを用いて注入などの地盤改良を行う工法である。
【0003】
自在ボーリング技術においては、削孔管の先端に、前面が斜めの受圧板になった先端傾斜板(傾斜ビット)を取り付ける。そして、削孔管および先端傾斜板を回転させず、そのまま推進させることで、斜めの先端傾斜板が地盤反力を受けて削孔管が反り返るようになり曲線状の削孔が可能になる。また、直線削孔を行う際には、削孔管および先端傾斜板に回転をかけながら推進させる。こうして直線削孔と曲線削孔を繰り返し、計画線に沿って削孔管を敷設した後、これを通して注入管等を地中に挿入し、注入材を注入するなどして地盤改良を行う。
【0004】
ところで、自在ボーリングによる削孔過程においてその削孔方向を変える場合、先端傾斜板の向きを予定する方向に定め、その状態で削孔ロッドを推し進めることで削孔方向を変化させるが、この際、先端傾斜板の向きを把握することが重要となる。
【0005】
従来では、ビーコンなどの電磁波発信機を削孔ロッド先端に埋め込むことで先端傾斜板の向きを計測したり、削孔ロッドに先端傾斜板の向きが分かるようにマーキングを施し、削孔ロッドの捩れ角を考慮しながら先端傾斜板の向きを推定したりする方法が採られていた。
【0006】
しかし、前者の場合は、削孔ロッド先端に機器を埋め込むことで、後工程として削孔ロッドから注入などの作業を行う際に障害になるという問題があった。また、後者の場合は、削孔ロッドが長くなると、削孔ロッド自体の捩れが大きくなることなどから、先端傾斜板の向きを容易に推定することが困難となるなどの問題があった。
【0007】
そこで、例えば、特許文献1に示すように、削孔ロッドの基端から先端に向けてジャイロスコープを挿入し、ジャイロスコープの先端に該ジャイロスコープに対して回転自在に捻れ検知装置の雄型(または雌型)を設ける一方、削孔ロッドの先端内部に削孔ロッドの先端の削孔方向決定部材(先端傾斜板)に対して円周方向に固定された関係にある捻れ検知装置の雌型(または雄型)を設けておき、ジャイロスコープの挿入に従って捻れ検知装置の雄型(または雌型)が回転して削孔ロッド側の雌型(または雄型)に係合するようにし、その係合したときのジャイロスコープに対する雄型(または雌型)の回転角に基づいて、削孔方向決定部材(先端傾斜板)の回転角を割り出す方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3763399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記特許文献1に記載の技術では、ジャイロスコープの先端に捻れ検知装置の雄型(または雌型)を回転自在に取り付けておく必要があるので、構成が複雑になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮し、簡略な構成により、削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出することのできる装置、および、この装置を用いて削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明の検出装置は、円筒管状の削孔ロッドの先端に削孔方向を決める先端傾斜板を取り付け、前記削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転と推進により直線状の削孔を行い、前記削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転静止状態での推進により曲線状の削孔を行う自在ボーリングの施工時に前記削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する装置において、前記削孔ロッドの基端から先端まで挿入される円筒ケーシングの内部に、位置検出機能と該円筒ケーシングの軸線周りの回転角検出機能を発揮するセンサ機能部を備えるプローブと、該プローブの前記円筒ケーシングの先端に固定された誘導治具と、前記削孔ロッドの先端内周面に形成され、該誘導治具が前記削孔ロッドの先端の最深部に挿入されるに従い、該誘導治具と共に前記プローブを前記先端傾斜板と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に誘導するガイド手段と、からなり、記誘導治具は、前記プローブの円筒ケーシングと略同一外径を有し前記円筒ケーシングの先端に連結された円筒ハウジングと、該円筒ハウジングの外周部の周方向の定位置に該円筒ハウジングの外周面より半径方向内側に埋没した位置と該円筒ハウジングの外周面より半径方向外側に突出した位置との間で変位できるよう突没自在に配置された可動ガイド部材と、該可動ガイド部材を突出側に付勢するバネと、を有し、前記ガイド手段は、前記誘導治具が前記プローブと共に前記削孔ロッドの内部に挿入されて先端に移動してきたときに、前記可動ガイド部材の外方への突出を許すと共に、該可動ガイド部材が突出した状態での前記誘導治具の全周回転を許容する全周解放溝と、前記誘導治具が前記削孔ロッドの最深部に挿入されたときに、前記可動ガイド部材と係合することで、前記誘導治具を介して前記プローブを前記先端傾斜板と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に保持する位置決め溝と、前記誘導治具の可動ガイド部材が前記全周解放溝からさらに前記削孔ロッドの最深部に向けて挿入されてきたときに前記突出状態の可動ガイド部材と摺動することにより、徐々に前記可動ガイド部材を位置決め溝に導き入れる誘導溝と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、前記可動ガイド部材が、直線状の第1辺およびそれと交差する直線状の第2辺を有する板状体として形成され、前記円筒ハウジングの直径方向に形成された収容溝内に収容されて、該収容溝内に配置された回動支点により前記突没する方向に回動可能に支持されており、前記可動ガイド部材が前記バネの付勢力により回動して一部分が前記円筒ハウジングの外周面より外側に突出したときに、突出した部分の前記誘導治具の挿入方向の前方を向く直線状の前記第1辺を前端辺縁部、突出した部分の前記削孔ロッドの内壁面に当たる直線状の前記第2辺を上端辺縁部とした場合、前記前端辺縁部と上端辺縁部のなす角度が90°以下に設定され、前記前端辺縁部の断面形状が先端に向けて尖ったクサビ状に形成され、更に、前記上端辺縁部が前記削孔ロッドの内壁面に当たって前記可動ガイド部材の回動が止まったときに、該上端辺縁部が前記削孔ロッドの内壁面に前記削孔ロッドの軸線と平行な姿勢で線接触するように、前記回動支点の位置および前記可動ガイド部材の形状が設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、前記削孔ロッドの最深部に向けて前記誘導治具が挿入される際に前記可動ガイド部材の前端辺縁部が突き当たって摺動する前記誘導溝の溝壁が、前記削孔ロッドの縦断面の中心を通る中心線を挟んで左右対称形状に形成され、前記中心線と前記溝壁の交わる2つの点のうち、一方の点の溝壁上に、接近してくる前記可動ガイド部材の前端辺縁部に向かって突出する三角形状の突起部が設けられ、他方の点の位置に、前記位置決め溝への入口が滑らかに連続する湾曲線状に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、前記ガイド手段の全周解放溝の前記削孔ロッド基端側に位置する端部に、削孔ロッド先端側から基端側に向けて窄まったテーパ状全周溝が連続して形成されており、一方、前記可動ガイド部材の前端辺縁部に対向する第3辺に、前記誘導治具の引き抜き時に前記テーパ状全周溝の溝壁に当接することで、前記可動ガイド部材に埋没する方向への回転力を与える傾斜が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明の検出方法は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転角検出装置を用いて削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する方法であって、前記プローブの先端に固定した誘導治具の可動ガイド部材を該誘導治具の円筒ハウジング内に押し込んだ状態で、前記プローブを前記削孔ロッドの基端から先端に向けて挿入し、この挿入した誘導治具の可動ガイド部材を前記ガイド手段の全周解放溝に到達させることで、該可動ガイド部材の一部を前記誘導治具の円筒ハウジングの外周面から外側に突出させ、この状態で更に前記誘導治具を削孔ロッドの最深部に向けて挿入することにより、突出した可動ガイド部材の一部の前端辺縁部を、前記ガイド手段の誘導溝の溝壁に突き当てて摺動させ、この摺動作用により、前記誘導治具およびプローブを挿入に従って徐々に回転させることにより、突出した可動ガイド部材の一部をガイド手段の位置決め溝に導き入れ、この導き入れにより、前記誘導治具を介してプローブを、前記削孔ロッドの先端傾斜板の向きに対応した円周方向の定位置に位置決め保持し、この状態で前記プローブにより前記先端傾斜板の向きを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、先端に誘導治具を固定したプローブを、削孔ロッドの基端から先端に向けて挿入することにより、ガイド手段として挿入方向に順番に並ぶ解放溝、誘導溝、位置決め溝とそれらに案内される誘導治具の可動ガイド部材の働きにより、プローブを削孔ロッドの先端傾斜板と一定の周方向位置関係にある位置(位置決め溝)に位置決め保持することができる。つまり、先端傾斜板とプローブとを周方向に固定された関係に保つことができる。従ってその状態で、プローブに装備したセンサ機能部により、先端傾斜板の回転角を正確に検出することができる。この場合、プローブと誘導治具はお互いに回転する関係にはなく、プローブの円筒ケーシング自体が先端傾斜板と一緒の向きに回転するので、回転自在にプローブと誘導治具を連結する等の余計な手段が不要であり、構成の簡略化を図ることができる。
【0017】
また、プローブ自体が先端傾斜板と一緒の向きに回転するので、先端傾斜板の向きを想定ではなく、実際に正確に把握することができ、以降の削孔方向の制御がより正確にできるようになる。
【0018】
また、誘導治具の可動ガイド部材が円筒ハウジングに突没自在に設けられているので、誘導治具およびプローブを削孔ロッドの基端から内部に挿入して先端に移動するまでの区間、可動ガイド部材を円筒ハウジングの内側に押し込んだ状態に保っておくことができる。従って、プローブを削孔ロッドの基端から先端に向けて挿入する間、可動ガイド部材が挿入の邪魔になることがなく、解放溝を形成した箇所までの区間、削孔ロッドの内径を一定の径に維持することができる。また、円筒ハウジングの内部に可動ガイド部材を埋没させた状態にしさえすれば、誘導治具を自由に削孔ロッド内で回転させることができるので、プローブ挿入操作の制約を生じることもない。
【0019】
請求項2の発明によれば、可動ガイド部材の前端辺縁部の断面形状が先端に向けて尖ったクサビ状に形成されているので、可動ガイド部材の前端辺縁部が削孔ロッド側の誘導溝の溝壁に突き当たったときに、スムーズに挿入方向の力を回転方向の力に変えることができ、可動ガイド部材を誘導回転させることができる。ちなみに、前端辺縁部の端面が平面状になっていると、前端辺縁部が削孔ロッド側の誘導溝の溝壁に突き当たったときに、その位置で止まってしまい、左右どちらかの誘導回転力が発生しにくくなる場合があり得る。
【0020】
また、可動ガイド部材の上端辺縁部が削孔ロッドの内壁面に当たって可動ガイド部材の外方への回動が止まったときに、その上端辺縁部が削孔ロッドの内壁面に削孔ロッドの軸線と平行な姿勢で線接触するので、削孔ロッドの内壁面によって可動ガイド部材が確実に回転止めされる。従って、誘導溝の溝壁から可動ガイド部材に強い反力(押し戻す力)が作用した場合にも、可動ガイド部材の突出姿勢が崩れることがなく、可動ガイド部材を誘導溝に導かれながら位置決め溝にスムーズに嵌め込むことができる。
【0021】
また、可動ガイド部材の前端辺縁部と上端辺縁部のなす角度が90°以下に設定されている上、可動ガイド部材の回動支点が円筒ハウジングの収納溝内に設けられているので、誘導溝の溝壁から可動ガイド部材が受ける反力によって発生する回転モーメントの方向を、可動ガイド部材が円筒ハウジングから突出する方向に設定することができる。従って、間違って可動ガイド部材が埋没する方向に回転する心配がなく、確実に可動ガイド部材と誘導溝によって誘導治具およびプローブを誘導回転させることができる。
【0022】
請求項3の発明によれば、可動ガイド部材の前端辺縁部が誘導溝の溝壁に当たる位置に応じて180°以内の回動範囲で左側または右側に誘導治具を回転させることができ、必要最小範囲の回転でプローブを先端傾斜板の向きにスムーズに追従させることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、プローブの引き抜き時にスムーズに可動ガイド部材を突出状態から埋没状態に収納することができ、プローブの引き抜き操作をスムーズに行うことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、プローブを削孔ロッドの基端から先端の最深部まで挿入することにより、先端傾斜板の向きにプローブを追従させることができ、正確に先端傾斜板の向きを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の説明用の側断面図である。
【図2】同実施形態において、削孔ロッド先端部にプローブを挿入した状態を示す断面図である。
【図3】同実施形態におけるプローブの先端に固定する誘導治具の側面図である。
【図4】同誘導治具の上面図である。
【図5】同実施形態における削孔ロッドの先端内周のガイド手段の構成を便宜的な形で示す斜視図である。
【図6】図5のX1−X1線に沿う断面図である。
【図7】図5のX2−X2線に沿う断面図である。
【図8】図5のX3−X3線に沿う断面図である。
【図9】図5のX4−X4線に沿う断面図である。
【図10】前記ガイド手段としての誘導溝と位置決め溝を平面的に展開して示す図である。
【図11】図5と同様の図として示すガイド手段に、削孔ロッドの基端から挿入したプローブが到達した状態を示す斜視図である。
【図12】図11の次の状態として、プローブの先端に固定した誘導治具が、ガイド手段である全周解放溝の位置まで到達して、誘導治具の可動ガイド部材の一部が円筒ハウジングの外周から外側に突出した状態を示す斜視図である。
【図13】図12の次の状態として、誘導治具の円筒ハウジングの外周から突出した可動ガイド部材の一部が、ガイド手段の誘導溝の溝壁に当たって摺動し始め、誘導溝の溝壁の輪郭に従って、可動ガイド部材が位置決め溝に向かって回転しながら誘導され出した状態を示す斜視図である。
【図14】図13の次の状態として、位置決め溝に向かって更に可動ガイド部材が回転しながら誘導されている状態を示す斜視図である。
【図15】図14の次の状態として、位置決め溝の入口に可動ガイド部材が導入されている状態を示す斜視図である。
【図16】図15の次の状態として、プローブおよび誘導治具が削孔ロッドの最深部まで挿入され、可動ガイド部材が位置決め溝に嵌まることで、先端傾斜板に対してプローブおよび誘導治具が円周方向に固定された状態を示す斜視図である。
【図17】自在ボーリングにより削孔したのち地盤改良(注入作業)を行っている状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は実施形態の自在ボーリングの施工時に削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する装置の説明用の側断面図、図2は削孔ロッド先端部にプローブを挿入した状態を示す断面図、図3はプローブの先端に固定する誘導治具の側面図、図4は誘導治具の上面図である。また、図5は削孔ロッドの先端内周のガイド手段の構成を便宜的な形で示す斜視図であり、図6は図5のX1−X1線に沿う断面図、図7は図5のX2−X2線に沿う断面図、図8は図5のX3−X3線に沿う断面図、図9は図5のX4−X4線に沿う断面図、図10はガイド手段としての誘導溝と位置決め溝を平面的に展開して示す図である。また、図11〜図16は、削孔ロッドの基端から先端に向けて挿入したプローブおよび誘導治具が最終的に最深部に到達するまでの作用説明図である。
【0028】
図1において、10は自在ボーリングの削孔装置、11は削孔装置の地上部マシン、12は円筒管状の削孔ロッド、12Aは削孔ロッドの先端、12Bは削孔ロッドの基端、200は既設構造物、Gは地盤、1は地盤に施工されたボーリング孔である。
【0029】
この削孔装置10を利用する自在ボーリングは、円筒管状の削孔ロッド(削孔管)12の先端12Aに削孔方向を決める先端傾斜板(傾斜ビットや削孔方向決定部材ともいう)40を取り付け、削孔ロッド12および先端傾斜板40の回転と推進により直線状の削孔を行い、削孔ロッド12および先端傾斜板40の回転静止状態(非回転状態)での推進により曲線状の削孔を行い、直線状の削孔と曲線状の削孔を繰り返すことにより、計画線に沿ったボーリング孔を形成するものである。
【0030】
この自在ボーリングによれば、直線ボーリングでは届かない既設構造物200の直下などの地盤G中にボーリング孔1を施工することができ、このボーリング孔1を利用して地盤改良を行うことができる。図17は、そのように施工したボーリング孔1に注入管100を配し、注入管100を通して地盤改良材を地盤G中に注入することにより、地盤改良を行っている状態を示す側断面図で、図中300で示す部分は地盤改良範囲である。
【0031】
図2に示すように、削孔ロッド12の先端12Aには、ネジ連結部25を介して先端ユニット20が取り付けられており、先端傾斜板40は、その先端ユニット20の円筒管21(この部分も削孔ロッド12に相当)の先端にボルトで着脱可能に取り付けられている。この先端傾斜板40は、前面が削孔ロッド12の軸線に対して傾斜しており、削孔ロッド12を回転静止状態で推進させる際、地盤からの圧力を受ける受圧板として機能する。この先端傾斜板40を取り外すと、円筒管21の先端は開放する。
【0032】
自在ボーリングの施工時には、削孔ロッド12の先端傾斜板40の回転角を検出する必要がある。そこで、プローブを主体とする実施形態の回転角検出装置が利用される。
【0033】
この回転角検出装置は、削孔ロッド12の基端12Bから先端12Aまで挿入される円筒ケーシング51の内部に、位置検出機能と該円筒ケーシング51の軸線周りの回転角(ロール角ともいう)検出機能を発揮するセンサ機能部(図示しないが、ジャイロスコープや加速度センサ等のセンサ類)を内蔵したプローブ50と、このプローブ50の円筒ケーシング51の先端に固定された誘導治具60と、先端ユニット20の円筒管21の内壁面22に形成されたガイド手段30とからなる。なお、誘導治具60は、プローブ50自身の回転角を考慮した状態でプローブ50の先端部に連結固定されている。
【0034】
また、ガイド手段30は、誘導治具60が削孔ロッド12の先端の最深部(先端ユニット20の円筒管21の内部)に挿入されるに従い、誘導治具60と共にプローブ50を、先端傾斜板40と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に誘導する役割を果たすもので、溝加工により構成されている。プローブ50は、押し込み棒58により削孔ロッド12の内部に挿入され、押し込み棒58や図示しないケーブルを引くことにより、削孔ロッド12の基端12B側に引き戻される。なお、押し込み棒58とケーブルを兼ねても良い。
【0035】
誘導治具60は、図3および図4に示すように、プローブ50の円筒ケーシング51と略同一外径を有し円筒ケーシング51の先端にネジ62によって連結される円筒ハウジング61と、円筒ハウジング61の外周部の周方向の定位置に円筒ハウジング61の外周面より半径方向内側に埋没した位置と円筒ハウジング61の外周面より半径方向外側に突出した位置との間で変位できるよう突没自在に配置された可動ガイド部材70と、可動ガイド部材70を突出側(図3中矢印A方向)に付勢するバネ65と、を有している。
【0036】
可動ガイド部材70は、直線状の第1辺72およびそれと交差する直線状の第2辺71を有する板状体として形成され、円筒ハウジング61の直径方向に形成された収容溝63内に収容されて、収容溝63内に配置された回動支点64により、突没する方向(図3中矢印A方向およびその逆方向)に回動可能に支持されている。バネ64は、その回動支点64の周りに装着され、一端が収容溝63内に設けられたストッパ66に係合され、他端が可動ガイド部材70に係合されている。
【0037】
また、図3のように、可動ガイド部材70がバネ65の付勢力により回動して一部分が円筒ハウジング61の外周面より外側に突出したときに、突出した部分の誘導治具60の挿入方向の前方を向く直線状の第1辺(72)を前端辺縁部72、突出した部分の削孔ロッド12の内壁面に当たる直線状の第2辺(71)を上端辺縁部71とした場合、前端辺縁部72と上端辺縁部71のなす角θは90°以下に設定されている。
【0038】
また、前端辺縁部72の断面形状は、図4に示すように、先端に向けて尖ったクサビ状に形成されている。また、図2に示すように、上端辺縁部71が円筒管21の内壁面22に当たって可動ガイド部材70の回動が止まったときに、上端辺縁部71が円筒管21の内壁面22に円筒管21の軸線と平行な姿勢で線接触するように、回動支点64の位置および可動ガイド部材70の形状が設定されている。
【0039】
一方、ガイド手段30は、図2および図5〜図10に示すように、プローブ50の挿入方向の手前側から順に並ぶテーパ状全周溝31と、全周解放溝32と、誘導溝33と、位置決め溝34とで構成されている。
【0040】
全周解放溝32は、図12に示すように、誘導治具60がプローブ50と共に削孔ロッド12の内部に挿入されて先端(円筒管21の内部)にまで移動してきたときに、可動ガイド部材70の外方への突出を許すと共に、可動ガイド部材70が突出した状態での誘導治具60の全周回転を許容する部分である。
【0041】
また、位置決め溝34は、図15、図16に示すように、誘導治具60が削孔ロッド12の最深部(先端ユニット20の円筒管21)に挿入されたときに、可動ガイド部材70と溝壁34Aが係合することで、誘導治具60を介してプローブ50を、先端傾斜板40と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に保持する部分であり、板状体よりなる可動ガイド部材70の厚さより僅かに大きな溝幅を有し、挿入方向に可動ガイド部材70を止めるために所定の長さで行き止まりとなっている。
【0042】
また、誘導溝33は、図13、図14に示すように、誘導治具60の可動ガイド部材70が、全周解放溝32から更に削孔ロッド12の最深部(先端ユニット20の円筒管21)に向けて挿入されてきたときに、突出状態の可動ガイド部材70と溝壁33Aが摺動することにより、徐々に可動ガイド部材70を位置決め溝34に導き入れる部分である。
【0043】
この場合、削孔ロッド12の最深部(先端ユニット20の円筒管21)に向けて誘導治具60が挿入される際に可動ガイド部材70の前端辺縁部72が突き当たって摺動する誘導溝33の溝壁33Aは、図7に示すように、円筒管21の縦断面の中心Oを通る中心線Hを挟んで左右対称形状に形成されており、中心線と溝壁33Aの交わる2つの点(直径の両端)のうち、一方の点の溝壁33A上に、接近してくる可動ガイド部材70の前端辺縁部72に向かって突出する三角形状の突起部33P(図11)が設けられ、他方の点の位置に、位置決め溝34への入口が滑らかに連続する湾曲線状に設けられている。なお、誘導溝33の溝壁33Aは、図10に示すように、平面に展開したときに直線状をなす輪郭に沿って形成されており、3次元的には螺旋状をなしている。
【0044】
また、テーパ状全周溝31は、全周解放溝32の削孔ロッド12の基端12B側に位置する端部に、削孔ロッド12の先端12A側から基端側に向けて窄まった形状で連続して形成されており、一方、可動ガイド部材70の前端辺縁部72に対向する第3辺73(図3)に、誘導治具60の引き抜き時にテーパ状全周溝31の溝壁に当接することで、可動ガイド部材70に埋没する方向への回動支点64まわりの回転力を与える傾斜が設けられている。
【0045】
なお、テーパ状全周溝31から位置決め溝34までの長さは、削孔ロッド12の内径の5倍〜10倍程度に設定されている。また、全周解放溝32から位置決め溝34までの溝深さは一定に設定されている。
【0046】
次に作用と共に実施形態の回転角検出方法を説明する。
【0047】
プローブ50による削孔経路の計測および削孔制御は次のように行う。
【0048】
まず、位置演算計測機能を開始状態とし、プローブ50の先端に固定した誘導治具60の可動ガイド部材70を、誘導治具60の円筒ハウジング61内に押し込んだ状態で、プローブ50および誘導治具60を、削孔ロッド12の基端12B(地表部の口元)から先端に向けて挿入し、図11および図12の矢印Bで示すように、挿入した誘導治具60の可動ガイド部材70をガイド手段30の全周解放溝32に到達させることで、可動ガイド部材70の一部を誘導治具60の円筒ハウジング61の外周面から外側に突出させる。
【0049】
その状態で更に誘導治具60を削孔ロッド12(先端ユニット20の円筒管21)の最深部に向けて挿入することにより、図13および図14に示すように、突出した可動ガイド部材70の一部の前端辺縁部72を、ガイド手段30の誘導溝33の溝壁33Aに突き当てて摺動させる。
【0050】
そうすると、その摺動作用により、誘導治具60およびプローブ50が矢印B方向への挿入に従って徐々に矢印C方向へ回転する。誘導溝33と可動ガイド部材70の位置関係によっては180°以内の回動範囲で左側または右側に回転誘導され、最終的には、図15および図16に示すように、突出した可動ガイド部材70の一部がガイド手段30の位置決め溝34に導入され、位置決め溝34の最奥部まで進入することにより、誘導治具60を介してプローブ50が、削孔ロッド12の先端傾斜板40の向きに対応した円周方向の定位置に位置決め保持され、プローブ50自身が直進・回転方向ともに固定される。そして、地上部側の削孔ロッド12の基端12Bから削孔ロッド12の先端12Aまでの計測データに基づき、削孔経路およびその状態での先端傾斜板40の向き(回転角)が計測される。
【0051】
経路計測の結果、当初の削孔計画線に沿っている場合でかつ以降の削孔計画線が直線である場合には、再び位置演算計測機能を開始状態とし、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bまで引き抜いて、削孔経路を逆向きに演算計測し、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bより外に取り出したのち、削孔ロッド12を回転状態として直進削孔を行う。
【0052】
また、経路計測の結果、当初の削孔計画線に沿っている場合でかつ以降の削孔計画線が曲線である場合、または、削孔経路が当初の削孔計画線から外れ、経路の修正が必要な場合には、当初の削孔計画線の方向に沿うように削孔ロッド12の先端12Aに取り付けられた先端傾斜板40の向きを演算し、プローブ50が削孔ロッド12の先端12Aに固定された状態のまま、所定の角度となるまで削孔ロッド12を微速回転させ、先端傾斜板40の向きの修正を行い、その後、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bまで引き抜きながら、削孔経路を逆向きに演算計測し、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bより外に取り出したのち、削孔ロッド12を回転静止状態として掘進する。そして、前記の計測動作、削孔動作を繰り返すことで、削孔計画線に沿うように制御しながら削孔を行う。
【0053】
また、所定の削孔計画線に沿う削孔が完了したと判断された場合は、再び位置演算計測機能を開始状態とし、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bより挿入し、プローブ50の先端に連結した誘導治具60を、削孔ロッド12の先端12Aの奥部まで押し込む。この際、プローブ50の回転角(ロール角)の変化をリアルタイムで監視することで、プローブ50が最終位置まで到達したかを判定し、その後、再びプローブ50を削孔ロッド12の基端12Bまで引き抜き、逆演算計測を行って、削孔ルートを確定する。
【0054】
以上のように、本実施形態の回転角検出装置によれば、先端に誘導治具60を固定したプローブ50を、削孔ロッド12の基端12Bから先端12Aに向けて単に挿入することにより、ガイド手段30として挿入方向に順番に並ぶ全周解放溝32、誘導溝33、位置決め溝34とそれらに案内される誘導治具60の可動ガイド部材70の働きにより、プローブ50を削孔ロッド12の先端傾斜板40と一定の周方向位置関係にある位置(位置決め溝34)に位置決め保持することができる。つまり、先端傾斜板40とプローブ50とを周方向に固定された関係に保つことができる。従ってその状態で、プローブ50に装備したセンサ機能部により、先端傾斜板40の回転角を正確に検出することができる。
【0055】
この場合、プローブ50と誘導治具60はお互いに回転する関係にはなく、プローブ50の円筒ケーシング51自体が先端傾斜板40と一緒の向きに回転するので、回転自在にプローブ50と誘導治具60を連結する等の余計な手段が不要であり、構成の簡略化を図ることができる。
【0056】
また、プローブ50自体が先端傾斜板40と一緒の向きに回転するので、先端傾斜板40の向きを想定ではなく、実際に正確に把握することができ、以降の削孔方向の制御がより正確にできるようになる。
【0057】
また、誘導治具60の可動ガイド部材70が円筒ハウジング61に突没自在に設けられているので、誘導治具60およびプローブ50を削孔ロッド12の基端12Bから内部に挿入して先端12Aに移動するまでの区間、削孔ロッド12の内径を一定の径に維持することで、可動ガイド部材70を円筒ハウジング61の内側に押し込んだ状態に保っておくことができる。従って、プローブ50を削孔ロッド12の基端12Bから先端12Aに向けて挿入する間、可動ガイド部材70が挿入の邪魔になることがない。また、円筒ハウジング61の内部に可動ガイド部材70を埋没させた状態にしさえすれば、誘導治具60を自由に削孔ロッド12内で回転させることができるので、プローブ50挿入操作の制約を生じることもない。
【0058】
また、可動ガイド部材70の前端辺縁部72の断面形状が先端に向けて尖ったクサビ状に形成されているので、可動ガイド部材70の前端辺縁部72が削孔ロッド12側の誘導溝33の溝壁33Aに突き当たったときに、スムーズに挿入方向の力を回転方向の力に変えることができ、可動ガイド部材70を誘導回転させることができる。ちなみに、前端辺縁部72の端面が平面状になっていると、前端辺縁部72が削孔ロッド12側の誘導溝33の溝壁33Aに突き当たったときに、その位置で止まってしまい、左右どちらかの誘導回転力が発生しにくくなる場合があり得る。
【0059】
また、可動ガイド部材70の上端辺縁部71が削孔ロッド12(先端ユニット20の円筒管21)の内壁面22に当たって可動ガイド部材70の外方への回動が止まったときに、その上端辺縁部71が削孔ロッド12の内壁面22に削孔ロッド12の軸線と平行な姿勢で線接触するので、削孔ロッド12の内壁面22によって可動ガイド部材70が確実に回転止めされる。従って、誘導溝33の溝壁33Aから可動ガイド部材70に強い反力(押し戻す力)が作用した場合にも、可動ガイド部材70の突出姿勢が崩れることがなく、可動ガイド部材70を誘導溝33に導かれながら位置決め溝34にスムーズに嵌め込むことができる。
【0060】
また、可動ガイド部材70の前端辺縁部72と上端辺縁部71のなす角度が90°以下に設定されている上、可動ガイド部材70の回動支点64が円筒ハウジング61の収納溝63内に設けられているので、誘導溝33の溝壁33Aから可動ガイド部材70が受ける反力によって発生する回転モーメントの方向を、可動ガイド部材70が円筒ハウジング61から突出する方向に設定することができる。従って、間違って可動ガイド部材70が埋没する方向に回転する心配がなく、確実に可動ガイド部材70と誘導溝33によって誘導治具60およびプローブ50を誘導回転させることができる。
【0061】
また、可動ガイド部材70の前端辺縁部72が誘導溝33の溝壁33Aに当たる位置に応じて180°以内の回動範囲で左側または右側に誘導治具を回転させることができるので、必要最小範囲の回転でプローブ50を先端傾斜板40の向きにスムーズに追従させることができる。
【0062】
また、ガイド手段30にテーパ状全周溝31が設けられているので、プローブ50の引き抜き時に、スムーズに可動ガイド部材70を突出状態から埋没状態に収納することができ、プローブ50の引き抜き操作をスムーズに行うことができる。
【0063】
また、上述の手順でプローブ50を削孔ロッド12の先端12Aに到達させることにより、先端傾斜板40の向きにプローブ50を追従させることができるので、正確に先端傾斜板40の向きを把握することができる。
【符号の説明】
【0064】
12 削孔ロッド
12A 先端
12B 基端
21 円筒管(削孔ロッドの一部)
22 内壁面
30 ガイド手段
31 テーパ状全周溝
32 全周解放溝
33 誘導溝
33A 溝壁
33P 突起部
34 位置決め溝
34A 溝壁
40 先端傾斜板
50 プローブ
51 円筒ケーシング
60 誘導治具
61 円筒ハウジング
63 収容溝
64 回動支点
65 バネ
70 可動ガイド部材
71 上端辺縁部(第2辺)
72 前端辺縁部(第1辺)
73 第3辺
O 中心
H 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒管状の削孔ロッドの先端に削孔方向を決める先端傾斜板を取り付け、前記削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転と推進により直線状の削孔を行い、前記削孔ロッドおよび先端傾斜板の回転静止状態での推進により曲線状の削孔を行う自在ボーリングの施工時に前記削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する装置において、
前記削孔ロッドの基端から先端まで挿入される円筒ケーシングの内部に、位置検出機能と該円筒ケーシングの軸線周りの回転角検出機能を発揮するセンサ機能部を備えるプローブと、
該プローブの前記円筒ケーシングの先端に固定された誘導治具と、
前記削孔ロッドの先端内周面に形成され、該誘導治具が前記削孔ロッドの先端の最深部に挿入されるに従い、該誘導治具と共に前記プローブを前記先端傾斜板と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に誘導するガイド手段と、からなり、
前記誘導治具は、
前記プローブの円筒ケーシングと略同一外径を有し前記円筒ケーシングの先端に連結された円筒ハウジングと、
該円筒ハウジングの外周部の周方向の定位置に該円筒ハウジングの外周面より半径方向内側に埋没した位置と該円筒ハウジングの外周面より半径方向外側に突出した位置との間で変位できるよう突没自在に配置された可動ガイド部材と、
該可動ガイド部材を突出側に付勢するバネと、を有し、
前記ガイド手段は、
前記誘導治具が前記プローブと共に前記削孔ロッドの内部に挿入されて先端に移動してきたときに、前記可動ガイド部材の外方への突出を許すと共に、該可動ガイド部材が突出した状態での前記誘導治具の全周回転を許容する全周解放溝と、
前記誘導治具が前記削孔ロッドの最深部に挿入されたときに、前記可動ガイド部材と係合することで、前記誘導治具を介して前記プローブを前記先端傾斜板と一定の周方向位置関係にある位置決め位置に保持する位置決め溝と、
前記誘導治具の可動ガイド部材が前記全周解放溝からさらに前記削孔ロッドの最深部に向けて挿入されてきたときに前記突出状態の可動ガイド部材と摺動することにより、徐々に前記可動ガイド部材を位置決め溝に導き入れる誘導溝と、を有することを特徴とする削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、
前記可動ガイド部材が、直線状の第1辺およびそれと交差する直線状の第2辺を有する板状体として形成され、前記円筒ハウジングの直径方向に形成された収容溝内に収容されて、該収容溝内に配置された回動支点により前記突没する方向に回動可能に支持されており、
前記可動ガイド部材が前記バネの付勢力により回動して一部分が前記円筒ハウジングの外周面より外側に突出したときに、突出した部分の前記誘導治具の挿入方向の前方を向く直線状の前記第1辺を前端辺縁部、突出した部分の前記削孔ロッドの内壁面に当たる直線状の前記第2辺を上端辺縁部とした場合、
前記前端辺縁部と上端辺縁部のなす角度が90°以下に設定され、
前記前端辺縁部の断面形状が先端に向けて尖ったクサビ状に形成され、
更に、前記上端辺縁部が前記削孔ロッドの内壁面に当たって前記可動ガイド部材の回動が止まったときに、該上端辺縁部が前記削孔ロッドの内壁面に前記削孔ロッドの軸線と平行な姿勢で線接触するように、前記回動支点の位置および前記可動ガイド部材の形状が設定されていることを特徴とする削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、
前記削孔ロッドの最深部に向けて前記誘導治具が挿入される際に前記可動ガイド部材の前端辺縁部が突き当たって摺動する前記誘導溝の溝壁が、前記削孔ロッドの縦断面の中心を通る中心線を挟んで左右対称形状に形成され、前記中心線と前記溝壁の交わる2つの点のうち、一方の点の溝壁上に、接近してくる前記可動ガイド部材の前端辺縁部に向かって突出する三角形状の突起部が設けられ、他方の点の位置に、前記位置決め溝への入口が滑らかに連続する湾曲線状に設けられていることを特徴とする削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置であって、
前記ガイド手段の全周解放溝の前記削孔ロッド基端側に位置する端部に、削孔ロッド先端側から基端側に向けて窄まったテーパ状全周溝が連続して形成されており、一方、前記可動ガイド部材の前端辺縁部に対向する第3辺に、前記誘導治具の引き抜き時に前記テーパ状全周溝の溝壁に当接することで、前記可動ガイド部材に埋没する方向への回転力を与える傾斜が設けられていることを特徴とする削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転角検出装置を用いて削孔ロッドの先端傾斜板の回転角を検出する方法であって、
前記プローブの先端に固定した誘導治具の可動ガイド部材を該誘導治具の円筒ハウジング内に押し込んだ状態で、前記プローブを前記削孔ロッドの基端から先端に向けて挿入し、
この挿入した誘導治具の可動ガイド部材を前記ガイド手段の全周解放溝に到達させることで、該可動ガイド部材の一部を前記誘導治具の円筒ハウジングの外周面から外側に突出させ、
この状態で更に前記誘導治具を削孔ロッドの最深部に向けて挿入することにより、突出した可動ガイド部材の一部の前端辺縁部を、前記ガイド手段の誘導溝の溝壁に突き当てて摺動させ、
この摺動作用により、前記誘導治具およびプローブを挿入に従って徐々に回転させることにより、突出した可動ガイド部材の一部をガイド手段の位置決め溝に導き入れ、
この導き入れにより、前記誘導治具を介してプローブを、前記削孔ロッドの先端傾斜板の向きに対応した円周方向の定位置に位置決め保持し、この状態で前記プローブにより前記先端傾斜板の向きを検出することを特徴とする削孔ロッドの先端傾斜板の回転角検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−1773(P2011−1773A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146456(P2009−146456)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000236610)株式会社不動テトラ (136)
【出願人】(390036504)日特建設株式会社 (99)
【Fターム(参考)】