説明

削岩機の制御方法及び装置並びに削岩機

本発明に係る方法及び装置は、衝撃装置及び回転モーメントを提供する回転モータを備えた送りビーム(3)上で前後に移動可能な削岩機(2)の動力供給制御方法及び装置であって、回転モーメントに関するパラメータが監視され、動力供給が、パラメータの値の変動に応じた流量制御によって制御され、動力供給を提供する流体モータ手段への供給流量が、第一レベルより高い回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減させられる。第一レベルより低い回転モーメントに対応するパラメータ値に対して、動力供給が、パラメータの値の変動に応じて圧力制御によって制御され、前記流体モータ手段への供給圧力が、回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減させられる。本発明は、削岩機及び削岩リグにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の各独立項の前文に記載した削岩機の動力供給を制御するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃式の削岩作業の間、シャンクアダプタ及びドリルストリングを通して、ドリルビットまで伝達される衝撃波が発生させられる。衝撃波がドリルビットに達すると、その硬質金属製スタッドが岩石の中に押し込まれ、岩石を破壊するような強い力が発生する。打撃後に未破壊の岩石に接触することになる硬質金属製のピンのために、ドリルスチールは、(しばしば油圧駆動の)回転モータ及び変換機を備えた回転装置を用いて回転させられる。
【0003】
削岩機は、それ自身が、スライド上に設けられており、このスライドは、送りビーム上で前後に移動可能である。削岩機及びスライドは、例えば、油圧シリンダやチェーンフィーダーのような形態の動力供給モータによって送りビームに沿って岩石に対して駆動される。
【0004】
削岩作業に関しては、いつでも、ドリルがスタックに当たる危険がある。このことは、ドリルストリングを解放するのが困難になるという結果を招き、生産時間の損失やドリルストリングの損失のために、生産を減少させる原因となる。ドリルホールの中のドリルストリングを引き出さなければならないことは、ストリング及びドリルビットのコストに加えて、破壊された岩石の荷重がかかっていることに関連して、解決し難い問題であり、また、ロストしたドリルビットや装備されたドリルビットが粉砕機にダメージを与え得るという危険もある。
【0005】
従来技術によれば、削岩機がスタックに当たる傾向にある時に、より高いモーメントがドリルビットを回転させるために必要になるので、回転モータへの回転圧力を増加している。
【0006】
掘削作業が開始される時、回転圧力は増加され、そして、通常の場合、圧力レベルは、「アイドル回転圧力」と「回転圧力目標値」との間にある。掘削作業中に、削岩機がスタックに当たる傾向にあると、回転圧力は増加されることになる。回転圧力が「回転圧力の要求値」レベルを超えると、供給圧力は、あるレベル、即ち、「掘削用の最低供給圧力」まで回転圧力に比例して減少させられる。この圧力レベルは、一般に、摩擦を克服し、削岩機を動かすためのレベルとちょうど同じ大きさである。これは、岩石とドリルビットとの間の圧力を低減させ、かつ、削岩機がスタックに当たる危険を低減させるために行われる。
【0007】
このことにも拘わらず、回転圧力が「ドリルスタック制限」に対応するレベルまで上昇され続けると、スタック掘削に対する保護機能が起動され、回転圧力が「ドリルスタック後の制限」に対応するレベルより低くなるまで、ドリルスライドが後方の送られ、衝撃装置の圧力が、「掘削始動時の圧力」まで低減される。ドリルスライドは、「ドリルスタック時の反転送り用の時間」(tf)の設定値だけ反転される。ドリルスタックが設定時間(tf)の範囲内で終わらない場合には、全ての削岩機能が停止される。
国際特許公開WO1997/49895号公報には、従来技術の代表例として説明され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許公開WO1997/49895号公報
【特許文献2】国際特許公開WO2006/108918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の問題点は、掘削が、痙攣のような体験であり得ることにある。回転圧力が「ドリルスタック制限」より高く上昇し、ドリルスタックに対する保護機能が起動する時、削岩機は、突然、後方に引き寄せられ、しばしば嫌な体験をさせられ、削岩機に対しても有害であり得る。
【0010】
国際特許公開WO2006/108918号公報は、削岩工程を制御する方法に関し、回転モータの圧力差を利用して、削岩機の送りを制御する。前記圧力差が敷居値を越えるまで回転抵抗が増加した時、送りは逆転運動に切り替えられる。この方法では、敷居値より低い圧力の増加時には、別体の送り調整バルブによって制御される送り制御バルブが、送りモータ流量を低減させるために設けられている。この構成の問題点は、システムによる制御が不正確であり、具体的には、制御工程の開始時の制御が不正確であることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の問題点を取り除き、又は少なくとも低減させる方法及び装置を提供することにある。
【0012】
この目的は、特許請求の範囲の各独立項の特徴部分を通して上述した方法及び装置で得られる。
【0013】
本発明による基本概念は、送りモータへの動力供給に対する圧力制御と流量制御との組合せを提供することにあり、削岩機がスタックを掘削しようとした時、言い換えれば、回転圧力が第一レベルより高く増加する時に、より滑らかなかつよりフレキシブルな制御を得ることにある。前記第一レベルは、回転モーメント(トルク)及びそれによる回転抵抗が、通常の削岩作業に対応するとみなされ得る値より高く増加した時のパラメータに対して実験的に決められた値であり得る。制御工程の開始時に圧力制御をすることで、大きな利点として、遊びが低減され、かつ、遅れが低減されたシステムの直接的作用を得ることが達成される。これらの異なる原理の組合せにより、各制御原理の利点が利用でき、かつ、その欠点を回避できる当業者が予期しない特性が得られる。
【0014】
より詳細には、この制御原理による利点は、第一レベルより低いパラメータ値を用いて、岩石に対するドリルビットの耐力の調整が、圧力制御を通して達成できることにある。第一レベルを超えた時に、流量制御に切り換えることによって、全工程間で、同じ最大耐力のままで、削岩機の速度を制御することが可能になる。
【0015】
好ましくは、供給圧力及び供給流量は、各々、各領域の回転モーメントに対応するパラメータ値の変化に比例して低減又は増加させられ、これは信頼性のある簡単な構成部材を用いて実現され得る。
【0016】
また、好ましくは、供給流量は、第二レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値に対して、反転送りに対応する負の値を負うために低減される。従って、方向の切り替えのために、削岩機は、さらに回転抵抗が増加した時に、増加した速度で後方に動くことになる。これにより、ドリルスタック機能に対する要求が低減することになる。
【0017】
本発明の実施例によれば、ドリルスタック機能は、第三レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値の時に起動されるプリセット削岩機パラメータを含む。公知の従来技術と比べると、本発明によれば、掘削中のめったにない状況の時に、このドリルスタック機能が起動されることになり、生産性が向上し、運転効率が向上するという利点が得られる。さらに、結局、ドリルスタック機能を起動しなければならない場合でも、この機能が起動する時には削岩機が既にその後方への移動を開始しているので、この変更が相当になめらかになる。これは、作業者が体験する負担が小さく、かつ、削岩機及びドリルスチール上の負荷を低減することにもなる。他の利点は、削岩機が、ドリルスタック機能が起動する前に既に後方に動き始めており、この方向が深刻なドリルスタックの状態を減らしているので、「ドリルスタック制限」がもたらされ得ることにある。
【0018】
好ましくは、回転モーメントに関する前記パラメータは、回転圧力、回転子変換機で検知されたモーメント、回転速度のグループの何れか一つである。具体的には、回転圧力が測定及び監視が容易であり、回転抵抗に直接的に関連して予測可能であるため、パラメータは回転圧力であることが好ましい。
【0019】
一般に、掘削の間、削岩機の前方への送りを制限することは望ましくない。その理由から、対応するバルブは、これらのバルブが供給流量に対して何の流量制限もしないように調整される。有効な供給流量は、供給モータによって決められることになり、この流量は、通常、バルブを通過できる流量よりも十分に低い。従って、圧力制御から流量制御への変更の間に、仮に流量制御が起動すると同時に圧力制御が終了するように変更が実行されると、流量制御バルブが不感帯を持ち、即ち、遊びを持ち、制御が不正確になるという危険がある。
【0020】
第一レベルの領域内の前記パラメータ値のインターバルの範囲で、動力供給の流量制御と圧力制御を相互にオーバーラップすることによって、この問題は回避され、システム内の遊び及び不感帯をさらに減らし、完全に無くすことが達成される。実際には、このオーバーラップは、制御原理間の変更が生じる時に、バルブの設定を実際の流量により適合させて、オーバーラップの間にシステムに影響を及ぼさないように、バルブを閉弁方向へ制御することによって達成され得る。オーバーラップの長さは、実験的に決められた値を通して、又は、実際の流量、掘削速度又は他の適当な任意のパラメータの測定値に基づいて決められ得る。バルブの調整は、手動でも自動でもよい。
【0021】
好ましくは、アイドル回転圧力と回転圧力目標値との間の通常掘削の間は、動力供給制御は行われず、供給圧力及び供給流量は一定の保持される。これにより、システムは、回転圧力目標値を超えた時に圧力制御に適当に移行することになる
【0022】
対応する利点は、対応する装置に関する請求項によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】制御システムを有する本発明による装置を備えた掘削リグを図式的に示す図である。
【図2】回転圧力に比例する供給圧力を示すグラフである。
【図3】回転圧力に比例する供給流量を示すグラフである。
【図4】方法の流れをフローチャートの形態で示す図である。
【図5】流量制御と圧力制御との間の違いを説明するための油圧回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、添付図面を参照して幾つかの実施例によって、以下により詳細に説明される。
【0025】
図1において、符号1は削岩用の削岩リグを示しており、この削岩リグ1は、ドリルアーム上に送りビーム3を支持している。削岩機2は、従来と同様に、送りビーム3上で前後に移動可能であり、先端にドリルビット5が取り付けられたドリルストリング4に作用する。
【0026】
削岩機2には、掘削中にドリルストリング4を回転させるための回転装置(図示せず)が、公知の方法で設けられている。回転モータは、導管8を介してポンプ7から出てくる回転流によって水圧駆動される。導管8内の圧力は回転圧力であり、圧力センサ9によって感知される。
【0027】
削岩機2は、供給導管11を介してポンプ10によって供給される供給流量で水圧駆動される供給モータ(図示せず)を用いて、その往復運動中に、送り力Fで駆動される。供給導管11内の圧力は供給圧力であり、圧力センサ12によって感知される。符号6は中央処理装置(CPU)を示しており、このCPU6は、圧力センサ9及び12からの信号を受け取り、これらの導管内の圧力を監視する。CPU6は、それが制御状態になる時、削岩機2に加えて、ポンプ7及び10と通信する。さらに、CPU6は、好ましくは、他の機能も有するが、それらは本発明の対象ではないので、ここでは説明はしない。
【0028】
図2は、供給圧力Pを回転圧力Pの関数として示すグラフである。図3は、供給流量を回転圧力Pの関数として示すグラフである。通常の掘削の間は、回転圧力は、「アイドル回転圧力」Pと、「回転圧力目標値」PRBとの間にある。これは、「供給圧力掘削」と「流量掘削」とを与える。
【0029】
回転圧力が、前記「回転圧力目標値」になるように適当に設定された限界値を超えて増加すると、供給圧力は、回転圧力の継続的な増加に比例して低減されることになる。供給圧力は、「最低供給圧力掘削」のレベルまで適当に低減される。「最低供給圧力掘削」のレベルは、好ましくは、送りビームとスライドとの間の摩擦を克服するのに必要とされる圧力であり得るが、それより高いレベルでもよい。
【0030】
回転圧力が継続的に第一レベルP1より高く増加し続けると、制御原理は、圧力制御から流量制御に切り替えられる。その際、削岩機への流量は、回転圧力の増加に比例して低減され、同時に、供給圧力は、「最低供給圧力掘削」のレベルで一定に保持される。
【0031】
回転圧力Pが、削岩機への流量がゼロになるまで調整された低減に対応する第二レベルP2まで増加し続けると、圧力の切り替えが生じ、その結果、回転圧力Pはより増加されて、削岩機は、後方へ送られ始める。その後、その供給圧力レベルは、「後方送り圧力」として規定される。チェーンフィーダーを備えたアームが使用されている場合、この圧力レベルは、おおよそ「最低供給圧力掘削」になるが、シリンダフィーダーが使用されている場合には、後方への駆動領域が前方への駆動領域程大きくないので、この圧力レベルは、相当高くなる。
【0032】
回転圧力Pが増加し続けると、流量は、その前の方向と反対に増加し、削岩機は、後方へ高い速度で動くことになる。
【0033】
回転圧力が、さらに増加し続けると、回転圧力は第三回転圧力レベルP3に達する「ドリルスタック制限」。これは、ドリルスタック保護機能が起動されることを意味し、それにより、予め決められた特定の削岩機パラメータが設定されることになる。その後、ドリルスライドは、回転圧力が「ドリルスタック後の制限」より低くなるまで後方に送られる。「ドリルスタック後の制限」は、「ドリルスタック制限」より回転圧力が低く設定された値である。後退運動の間、衝撃装置圧力は、圧力をカラーリング(collaring)するために低減される。ドリルスタック保護機能は、「ドリルスタック時の反転送り用の時間」tをアクティブにする。ドリルスタックが、まだ、停止していない場合、全てのドリル機能が終わらせられる。
【0034】
ドリルスタック保護機能に加えて、本発明による方法は、完全にソフトウェア化され得、かつ、全てのパラメータは、作業者又は保守作業者によって、設定され修正され得る。
【0035】
図4には、フローチャートの形態で方法のシーケンスが示されている。
【0036】
ポジション19は、シーケンスの開始を示している。
ポジション20は、「アイドル回転圧力」と「回転圧力目標値」との間の回転圧力を用いた通常掘削を示している。この通常掘削では、機能が完全に不活動であり、調節が何も行われない「供給圧力掘削」及び「供給流量掘削」が行われる。回転圧力を監視している間、回転圧力Pが、圧力PRB、即ち、回転圧力目標値より高く増加していないか否かが観察される。回転圧力Pが回転圧力目標値PRBより高くない場合には、システムは、ポジション20に戻る。しかし、回転圧力Pが回転圧力目標値PRBより高くなると、システムはポジション21に切り替わる。
【0037】
ポジション21では、回転圧力は、限界値「回転圧力目標値」より高く増加させられている。システムは、供給圧力制御に切り替わり、回転圧力Pの監視を続ける。回転圧力Pが、第一レベルを超えた回転運動の増加に対応する圧力P1を超えると、本発明によれば、システムはポジション22に切り替えられる。
【0038】
ポジション22は、削岩機フィードの流量制御への移行を意味しており、回転圧力の増加に比例して、削岩機フィードへの流量が低減され、上述のように、同時に、供給圧力は、「最低供給圧力掘削」レベルに一定に保持される。第一レベルより高い回転圧力を継続的に監視している時に、回転圧力Pが圧力P2、即ち、第二レベルを超えているか否かが判断される。回転圧力Pが第二レベルP2を超えていない場合には、システムは、直接、ポジション21の後の処理に切り換る。しかし、回転圧力Pが第二レベルP2を超えている場合は、システムは、ポジション23に切り替えられる。
【0039】
ポジション23では、削岩機フィードへの供給圧力でシフトが行われ、その結果、削岩機は後方へ動かされる。削岩機フィードへの流量は、回転圧力の変化に比例して、まだ変化されたままになる。
【0040】
回転圧力を継続的に監視している時に、回転圧力Pが圧力P3を超えているか否かが判断される。圧力P3は、ドリルスタックに対する限界を意味する回転圧力の第三レベルである。回転圧力Pが第三レベルP3を超えていない場合、システムは、直接、ポジション22の後の処理に戻される。しかし、回転圧力Pが第三レベルP3を超えている場合には、システムはポジション24に切り替えられる。
【0041】
ポジション24は、ドリルスタック保護機能の起動を意味している。
ドリルスタック保護機能が起動すると、所定の時間「ドリルスタック時の反転送り用の時間」tfにわたって特定のプリセット削岩機データが起動する。時間tfが経過した時に、回転圧力Pが第三レベルP3を超えたままか否かが判断される。回転圧力Pが第三レベルP3を超えていない場合には、システムは、直接、ポジション23の後の処理に切り替えられる。しかし、回転圧力Pが、第三レベルP3を超えたままの場合には、システムは、ポジション25に切り替えられる。
【0042】
ポジション25では、ドリルビットを備えたドリルストリングが、それが削岩機のこの機能を通して開放され得ない長さまでスタックを掘削するとみなした時に、削岩機の停止処理が開始される。その後、掘削は、オペレータによる手動制御に切り替えられる。
【0043】
ポジション26は、シーケンスの終りを示している。
【0044】
本発明は、特許請求の範囲の範囲内で変更することができ、上述した実施例に限定されるものではない。従って、調整は、前記した比例流量制御が好ましいとしても、比例流量制御とは別の方法でも実行することができる。全ての限界値及びレベルは、実施されている状況と既存の装置に応じて調整可能であり、例えば、流量制御は、回転圧力が「回転圧力目標値」を超えた時に開始してもよい。
【0045】
ポジション21の処理は、第一レベルより低い前記パラメータの値に対する時間間隔の範囲内で、パラメータの値が増加した時に供給圧力が低減されるように、仕上げられ得る。供給圧力は、パラメータの値の増加に比例して減少され得、又は、パラメータの値が増加した瞬間に減少され得る。図2には、供給圧力が、「回転圧力目標値」を超えた時に、比例的に減少させられる例が示されているが、代わりに、「最低供給圧力掘削」まで供給圧力をほぼ一瞬に低減させることもできる。「最低供給圧力掘削」の供給圧力は、図3に関して説明したように、流量制御の主要部分の間で有効である供給圧力と同じ圧力である。この場合、図2のグラフは、「最低供給圧力掘削」まで瞬時に下げられ、即ち、図2に示された軌道とは異なる軌道を通過させられる。
【0046】
また、回転圧力に加えて、監視され、測定される前記パラメータは、回転子変速機内で、例えば、公知のトルクセンサで瞬時に感知され得、また、回転速度は、回転速度センサで感知され得る。
【0047】
本発明による装置における発明の作用を提供する手段は、公知の従来の調整装置及び制御装置である。
【0048】
回転モーメントに関するパラメータを監視し、パラメータの値の変化に応じて供給力を制御する手段は、適当には、一方ではセンサと組み合わせられたCPUであり、他方では、流量制御装置と組み合わせられたCPUである。
【0049】
パラメータ値の変化に関連して供給を行う流体モータ手段への供給流量を変えることによって供給力を低減させたり、増加させたりする手段は、適当には、流体調整装置と組み合わせられたCPUである。
【0050】
プリセット削岩機パラメータを備えたドリルスタック機能を起動する手段は、適当には、機械的設定手段と組み合わせられたCPUを通して実現される。
【0051】
上述したドリルスタック機能の別の実施例では、削岩機は、別の補助機能なしに簡単に急速に後方へ送られる。本発明は、その最も上位概念においては、何のドリルスタック機能も前提とされない。
【0052】
第一レベルの範囲内の前記パラメータの値のインターバル内で、供給流量制御及び供給圧力制御が相互にオーバーラップすることが有利である。具体的には、実験による流量値、測定された供給流量、測定又は推定された掘削速度のグループの何れかに応じて、圧力制御が終わる前に、供給流量を調整するバルブが閉弁方向に調整され始め得る。オーバーラップを通して、システム内にあり得る遊び及び不感帯が、さらに減少され得、完全に除去することさえもできる。実際には、オーバーラップは、閉弁方向に調整されるべきバルブによって達成され得、制御原理間に切り替えが生じた時に、バルブ設定が、実際の流量により適合されるようになる。
【0053】
バルブの調整は、手動又は自動で実行され得る。図3を参照すると、不規則なグラフは、実際の掘削中の現実の流量を示している。符号39は、流量制御中の流量の進行を示している。上述したオーバーラップ原理を適用することによって、圧力制御が終わる前に流量制御が開始され、そのグラフが符号40で示されている。セクション41によって示された制御が不安定になる不感帯は、本発明のこの変形例を通して回避され得、制御が明確になり、制御領域全体に亘って、具体的には、制御原理間の切り換りの時に、より正確になる。「第一レベル」に関してオーバーラップの原理を説明すると、圧力制御は、流量制御が開始された時に、この時を越えていくらか継続され、また、逆に、流量制御は、「第一レベル」のいくらか前に開始される。
【0054】
ここで、流量制御と圧力制御との間の違いを説明するために図5を参照する。流量制御のために、圧力補償バルブが用いられ得、供給モータ29のメインバルブ27の内側と外側の圧力差がバルブ28によって調整される。この調整の目的は、圧力差を可能な限り一定に維持することにある。
流量は次式で表されるので、流量は、開口面積を与えるバルブの設定に依存するだけになる。
(式) 流量=開口面積×√圧力差
【0055】
圧力制御のために、圧力リミッタ30、例えば、電子的に制御される圧力リミッタが用いられる。圧力が所定のレベルを超えた時に、バルブはタンクに開き、そして、導管内の圧力が低減し、その結果、バルブ28が閉じる。
【0056】
流量制御のための別の解決手段は、回転速度制御油圧ポンプ又は変位量を制御可能な油圧ポンプの何れかを有するポンプ31からの流量を調整することにある。図5は、図1からは独立したものであるが、図5におけるポンプ31は、図1におけるポンプ10に対応している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃装置及び回転モーメントを提供する回転モータを備えた送りビーム(3)上で前後に移動可能な削岩機(2)の動力供給制御方法であって、
回転モーメントに関するパラメータが監視され、
動力供給が、パラメータの値の変動に応じた流量制御によって制御され、
動力供給を提供する流体モータ手段への供給流量が、第一レベルより高い回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減させられる
動力供給制御方法において、
第一レベルより低い回転モーメントに対応するパラメータ値に対して、動力供給が、パラメータの値の変動に応じて圧力制御によって制御され、
前記流体モータ手段への供給圧力が、回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減させられる
ことを特徴とする動力供給制御方法。
【請求項2】
供給圧力が、第一レベルより低い回転モーメントに対応するパラメータ値の変化に比例して低減又は増加させられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
供給流量が、第一レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値の変化に比例して低減又は増加させられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
供給流量が、第二レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータに対する、後方への動力供給に対応するマイナス値を負うために低減させられる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
プリセット削岩機パラメータを有するドリルスタック保護機能が、第三レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値の時に起動させられる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
回転モーメントに関連する前記パラメータが、回転圧力、回転子変換機における感知モーメント及び回転速度のグループの中の何れか一つである
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
第一レベルの領域における前記パラメータの値のインターバルの範囲内で、動力供給の流量制御及び圧力制御が相互にオーバーラップする
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
供給流量調整バルブが、実験による流量値、測定された供給流量、測定又は推定された掘削速度のグループの何れか一つに応じて、圧力制御が停止される前に閉弁方向に調整され始める
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
供給圧力が、パラメータ値の増加中に瞬時に低減される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アイドル回転圧力と回転圧力目標値との間の通常掘削に対応する回転圧力の値に対しては、動力供給制御が行われず、供給圧力及び供給流量が一定に保持される
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
回転圧力目標値を超えた時に、システムが圧力制御に切り換る
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
衝撃装置及び回転モーメントを提供する回転モータを備えた送りビーム(3)上で前後に移動可能な削岩機(2)の動力供給制御装置であって、
回転モーメントに関するパラメータが監視する監視手段と、
動力供給を提供する流体モータ装置への供給流量を、第一レベルより高い回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減させることによって、パラメータの値の変動に応じて動力供給を制御する流量制御手段と
を備えた動力供給制御装置において、
第一レベルより低い回転モーメントに対応するパラメータ値に対して、パラメータの値の変動に応じて動力供給を制御する圧力制御手段を備え、
前記流体モータ手段への供給圧力を、回転モーメントの増加に対応するパラメータ値の変化に比例して低減する
ことを特徴とする動力供給制御装置。
【請求項13】
前記圧力制御手段が、第一レベルより低い回転モーメントに対応するパラメータ値の変化に比例して供給圧力を低減又は増加するよう構成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記流体制御手段が、第一レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値の変化に比例して供給流量を低減又は増加するように構成されている
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記流量制御手段が、第二レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータに対する、後方への動力供給に対応するマイナス値を負うために供給流量を低減するように構成されている
ことを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
第三レベルより高い回転モーメントに対応するパラメータ値の時に、起動させられるように構成されたプリセット削岩機パラメータを有するドリルスタック保護機能を備えている
ことを特徴とする請求項12〜15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
回転モーメントに関連する前記パラメータが、回転圧力、回転子変換機における感知モーメント及び回転速度のグループの中の何れか一つである
ことを特徴とする請求項12〜16の何れか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記流量制御手段及び前記圧力制御手段が、第一レベルの領域における前記パラメータの値のインターバルの範囲内で、流量制御及び圧力制御をオーバーラップさせるように構成されている
ことを特徴とする請求項12〜17の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
供給流量調整バルブが、実験による流量値、測定された供給流量、測定又は推定された掘削速度のグループの何れか一つに応じて、圧力制御が停止される前に、閉弁方向に供給流量を調整するようバルブの制御を開始する手段を備えている
ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
アイドル回転圧力と回転圧力目標値との間の通常掘削に対応する回転圧力の値に対しては、調整を行わず、供給圧力及び供給流量を保持する手段を備えている
ことを特徴とする請求項12〜19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
回転圧力目標値を超えた時に、システムを圧力制御に切り換える手段を備えている
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項12〜21の何れか一項に係る装置を備えていることを特徴とする削岩機。
【請求項23】
請求項22による削岩機を備えていることをことを特徴とする削岩リグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−521603(P2010−521603A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554478(P2009−554478)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000168
【国際公開番号】WO2008/115113
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】