説明

前立腺疾病及び皮膚癌におけるイソチオシアネート系化合物の使用

天然または人工合成したイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を用いた前立腺疾患および皮膚癌を予防するおよび処置する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然及び人工合成したイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物、また、その前立腺増殖、前立腺炎、メラノーマの治療への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺増殖症は、良性前立腺肥大(BPH)とも言い、年寄に多くみられる疾患であり、前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素(Phase II detoxification enzyme)、すなわちグルタチオンS−トランスフェラーゼP(GSTP1)の遺伝子の発現の喪失と、男性ホルモンの異常及び年齢に関連する。40代前の発病率は低いが、50代が40%、80代が90%近くになる。90歳になると、前立腺組織学検査を行えば、ほぼ100%の男性に前立腺増殖が見られ、約25%の患者に尿道障害が発生し薬物または手術治療が必要となる。近年、生活リズムの加速や人間の平均寿命の延長と共に、良性前立腺増殖患者の数も増えている。また、資料によると、良性前立腺増殖患者が若くなる傾向がみられている。
【0003】
前立腺は腺と筋肉から構成される。これらの組織は年齢と共に増加する。不明要素の作用で、細胞内第2相薬物代謝解毒酵素の発現がだんだん失われ、そのため、細胞の有害物質侵入に抵抗する能力が低下し、炎症性または非炎症性組織が必要以上に増殖され、良性前立腺増殖や炎症を引き起こす。前立腺組織の体積が増加したため、尿路を圧迫し、排尿困難を引き起こす。適切な診断と治療を行わなければ、重篤な良性前立腺増殖合併症を引き起こす可能性が高まる。例えば、頻尿、排尿困難、急性尿閉、尿路感染、膀胱結石、直腸脱、内痔核、性機能障害、高血圧、心脳血管障害、水腎症、尿毒症、更には前立腺癌等が誘発される。
【0004】
現在、前立腺増殖の治療用薬物は主に3種類がある。5α−還元酵素阻害剤、α−受容体阻害剤と天然植物薬(花粉)である。その中で、5α−還元酵素阻害剤Proscar(プロスカー)はMerck & Co. Inc.により開発、製造され、主に良性前立腺増殖症を治療する薬品である。だが、プロスカーは体積が大きめの前立腺肥大(>40cm3)にしか適用できず、それ以外には臨床効果があまり良くない。α−受容体阻害剤は膀胱頸と前立腺周囲の筋肉を弛緩させるため、症状を緩和させる効果が得られる。これらの薬物は応急処置として、いくつかの症状を軽減させることができるが、根本的な治療にはならない。
【0005】
前立腺炎は男性によくある病気で、患者は働き盛りの青年と壮年が圧倒的に多い。大きく急性と慢性に分けられ、その原因は細菌感染または非細菌感染により引き起こされる。主には排尿痛、小便が白い、頻尿、下腹部痛、会陰部痛等の症状があり、ひどい場合には発熱や悪寒がする。前立腺増殖の症状に類似した場合もある。本発明の実験例には、抗前立腺炎作用を有するポジティブ・コントロールであるゲヌリン(GENURIN)を用いた例があり、それはLifephama S.R.I (Italy)が長年の研究により発明した薬である。膀胱及び前立腺の各病症、例えば、膀胱炎、膀胱痛、前立腺炎、尿道炎、膀胱尿道炎、尿道膀胱三角炎等により生ずる排尿困難、急尿、夜尿、上骨弓痛などの症状に適用する。臨床試用によると、この薬は飲んだ後吸収が速く、各臓器組織を経て、最後に尿から排出される。泌尿生殖器の平滑筋に選択的に作用させることができ、痙攣性疼痛を軽減し、これにより膀胱刺激症状を緩和する。
【0006】
皮膚癌は中国での発病率は低いが、白人種でよくみられる悪性腫瘍の一つである。皮膚癌は体のどの部位でも発生するが、およそ80%が顔面、頭部、頚部に発生し、これらの部位に奇形と危険をもたらす。皮膚癌の主な発病原因は紫外線である。紫外線の大部分は太陽光線の照射によるため、人種、皮膚類型、年齢、職業、居住地に関係なく、誰でも皮膚癌を発病する可能性がある。現在、抗皮膚癌薬は多くないが、ある関連報道によると、近年、皮膚癌の患者数は年々増加する傾向にある。世界保健機関(WHO)が2006年7月に発表したレポートによると、毎年60,000人近くが過度の日射で死亡し、その中で、悪性皮膚癌による死亡が圧倒的に多い。48,000人の死亡原因は悪性メラノーマであり、その他12,000人が他の種類の皮膚癌で死亡している。そのため、皮膚癌を治療及び/または予防する薬品、保健品の開発は重要な医学的応用価値がある。
【0007】
前述のように、前立腺病は男性の健康に悪影響を与える主な病気であり、人類社会、特に高齢化社会にとって深刻な問題となっている。また、皮膚癌の患者数も増えている。そのため、前立腺疾病と皮膚癌を治療及び/または予防する新規の有効な薬品または保健品、食品、化粧品の開発が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、天然または合成したイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物の使用、製剤及び調製方法に関する研究である。
【0009】
本発明の第一の目的は、前立腺増殖、前立腺炎、皮膚癌等疾患の治療及び/または予防におけるイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物の使用である。
【0010】
第二の目的は、前立腺増殖、前立腺炎、皮膚癌等疾病の治療及び/または予防のため、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物の有効成分をベースにした製剤を提供することである。
【0011】
第三の目的は、イソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物及びその製剤の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明で扱う天然及び合成したイソチオシアネート系化合物は、ベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、4−スルホフェニルイソチオシアネートを含むが、それに限らない。その構造式は以下の式の通りである。
【化1】

【0013】
本発明が扱うイソチオシアネート系化合物の誘導体、代謝産物は、イソチオシアネートの共役体を含むが、それに限らない。それにはグルタチオン−、システイニルグリシン−、システイニル−と、N−アセチルシステイン−を含み、最も適したのはN−アセチルシステインの共役体である。
【0014】
本発明が扱うイソチオシアネート系化合物の誘導体、代謝産物は、ベンジルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、アリルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、4−スルホフェニルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体を含むが、それに限らない。その構造式は以下の式の通りである。
【化2】

【0015】
本発明に記述のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物のうち、前立腺疾病及び皮膚癌の治療・予防に比較的効果の高いものは、フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート及びこれらのN−アセチルシステイン共役体であり;より効果の高いものは、フェネチルイソチオシアネートと、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体であり;最も効果の高いものは、フェネチルイソチオシアネートである。
【0016】
本発明に記載のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体及び代謝産物は、前立腺疾病及び皮膚癌の治療及び/または予防に使用される。前立腺疾病の中で、前立腺増殖と前立腺炎に適し、その中でも最も効果の高いのは、前立腺増殖の治療及び/または予防である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に記載のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物は、フェネチルイソチオシアネート (PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC)を含むが、それに限らない。全ての化合物が前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素−グルタチオンS−トランスフェラーゼP(GSTP1)の遺伝子の発現を有効に誘導し、前立腺細胞による有害物質を除去する能力を高める。それによって、前立腺疾病及びその他の組織/器官の炎症を治療及び/または予防する効果が得られる。
【0018】
本発明に記載のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物は、フェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体を含むが、それに限らない。これらは、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1及び、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)の発現を有効に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に記載の組成物の使用形式は、薬品、食品、保健品、化粧品としてである。
【0020】
本発明によるイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を含む薬品、保健品の組成物は、以下の成分を含む。
【0021】
(a)0.5〜50重量部の活性成分。ここに記載の活性成分は、イソチオシアネート系化合物及び/またはその誘導体、代謝産物;イソチオシアネート系化合物はベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、4−スルホフェニルイソチオシアネートを含むが、それに限らない。ここに記載の誘導体は、イソチオシアネート系化合物のN−アセチルシステイン共役体を含むが、それに限らない。最も適したのは、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、ベンジルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、アリルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、4−スルホフェニルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体である。
【0022】
(b)0〜1000重量部の活性成分に対して薬用可能な担体。ここに記載の薬用可能な担体は以下を含む。
【0023】
(b1) 0〜1000重量部の界面活性剤または可溶化剤。ここに記載の界面活性剤は以下のものから選択される:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(最も適したのはポリオキシエチレン23ラウリルエーテル)、ポリオキシエチレングリセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル(最も適したのはポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル)、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油(最も適したのはポリオキシエチレン(35)ヒマシ油)、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油(最も適したのはポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油)、ポロクサマー(最も適したのはポロクサマーF-127、ポロクサマーF-68)、ポリソルベート(即ち、トウイーン80)あるいはその組合せ。ここに記載の可溶化剤は以下のものから選択される:ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000あるいはその組合せ。ここに記載の界面活性剤または可溶化剤は、以下のものがより適したものである:ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル、ポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油あるいはその組合せ。最も適したのは、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルである。
【0024】
(b2)0〜500重量部の油性成分。ここに記載の油性成分は、脂肪酸または脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノ又はジグリセリドであり、大豆油、とうもろこし油、落花生油、ステアリン酸、パルミチン酸、パーム油、ヒマワリ種油、オリーブ油、やし油、ごま油、綿実油、低エルカ酸菜種油、オレイン酸、リノール酸、中鎖脂肪酸トリグリセリド、モノオクタデカン酸グリセリル、グリセリン一酢酸エステル、グリセリン二酢酸エステル、グリセリン三酢酸エステルの中の一種あるいは一種以上の組成物を含むが、それに限らない。ここに記載の油性成分は、以下のものが適している:中鎖脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、大豆油、とうもろこし油、綿実油、ステアリン酸、オレイン酸。より適したのは、中鎖(すなわちC8〜C12)脂肪酸トリグリセリド、大豆油、とうもろこし油であり、最も適したのは、中鎖脂肪酸トリグリセリドである。
【0025】
(b3)0〜25重量部の酸化防止剤。ここに記載の酸化防止剤は、以下のものから選択される:水溶性酸化防止剤と脂溶剤酸化防止剤、例えば、ビタミンC、ビタミンCパルミチン酸エステル、没食子酸プロピルエステル、トコフェロール、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールの中の一種あるいは一種以上の組成物。その中でも、適したのはビタミンC、ビタミンCパルミチン酸エステル、没食子酸プロピルエステル、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール等であり、より適したのはビタミンCパルミチン酸エステルである。
【0026】
(b4)は(b1)、(b2)、(b3)の中の一種または多種成分の組合せである。
【0027】
本発明の薬品、保健品組成物のもうひとつの特徴として、以下の助剤を添加して、更に他の適宜な剤型を調製することができる。添加する助剤は以下を含む。
【0028】
(a) 吸着剤と希釈剤(diluent)。この吸着剤と希釈剤は、以下のものから選択される:α−ラクトース(1H2O)、無水ラクトース、β−シクロデキストリン(β-cyclodextrin)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(hydroxypropyl-β−cyclodextrin)、微晶セルロース(PH101, PH102, KGシリーズ)、微晶セルロース丸心(microcrystalline cellulose pill)、乳糖澱粉丸心(lactose starch pill)、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、修飾澱粉、スクロース オクタアセテート(sucrose octaacetate)、カルボキシルメチル澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸、マンニトール(mannitol)、ソルビトール(sorbitol)、ソルビン酸(sorbic acid)、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、多孔性澱粉、微粉シリカゲル(colloidal silicon dioxide)中の一種あるいは一種以上の組合せ。この吸着剤と希釈剤の中でも適したのは、ステアリン酸、ソルビトール、微晶セルロース(KGシリーズ)、マンニトール300DC、β−シクロデキストリン、微粉シリカゲル、α−ラクトース(1H2O)であり、より適したのは、β−シクロデキストリン、ステアリン酸である。最も適したのは、β−シクロデキストリンである。前記の吸着剤と希釈剤の通常用量は0.5〜1500重量部であり、最も良いのは2.0〜500重量部である。
【0029】
(b) 潤滑剤。ここに記載の潤滑剤は、以下のものから選択される:ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、微粉シリカゲル、タルク。その中でも、より適したのは、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、微粉シリカゲルであり、最も適したのは、ポリエチレングリコールである。潤滑剤の通常用量は0〜30重量部である。
【0030】
(c) 結合剤(binder)。ここに記載の結合剤は、以下のものから選択される:ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethyl cellulose)、エチルセルロース(200メッシュ)、ポリエチレングリコール。その中でも、適したのは、ヒドロキシプロピルセルロースEF、ポリエチレングリコール6000、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE15であり、もっと適したのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE15、ポリエチレングリコール6000であり、最も適したのは、ポリエチレングリコール6000である。結合剤の通常用量は0〜100重量部である。
【0031】
(d)崩解剤。ここに記載の崩解剤は、以下のものから選択される:多孔性澱粉、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシルメチル澱粉ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(low-substituted hydroxyproxyl cellulose)、微晶セルロース。その中でも、適したのは、微晶セルロースPH101、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウムであり、最も適したのは、微晶セルロースPH101である。崩解剤の通常用量は0〜100重量部である。
【0032】
(e) コーティング材料。ここに記載のコーティング材料は、以下のものから選択される:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ジメチルアミノエチルメチルアクリレート−中性メチルアクリレートポリマー(dimethylaminoethylmethylacrylate-neutral methylacrylate polymer)、ポリエチレングリコール、二酸化チタン(titanium dioxide)、酸化第二鉄(iron oxide red)、ソルビン酸カリウム(potassium sorbate)。その中でも、適したのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE15、ヒドロキシプロピルセルロースEF、ジメチルアミノエチルメチルアクリレート−中性メチルアクリレートポリマー、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、エチルセルロース(200メッシュ)であり、より適したのは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE15、ポリエチレングリコール4000、エチルセルロースである。コーティング材料の通常用量は0.5〜20重量部である。
【0033】
比較的良い薬品、保健品組成物は、活性成分の量が1〜25重量部、界面活性剤の量が5〜200重量部、油性成分の量が0.5〜100重量部、酸化防止剤の量が1〜20重量部、その他の助剤の量が0.5〜1500重量部である。
【0034】
本発明の薬品、保健品組成物は、少なくとも以下のような剤型を作ることができる:錠剤、カプセル剤、丸剤、注射用粉剤、注射剤、凍結乾燥粉剤、軟膏剤、坐剤、クリーム剤、フィルム、エマルジョン、噴霧剤、インプラント。
【0035】
本発明の薬品、保健品組成物の製剤は、その投薬方法が以下の通りである:経口投薬、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、腹腔内投薬、舌下投薬、直腸投薬、局所投薬(外用)。
【0036】
本発明の薬品、保健品組成物の製剤は、前立腺疾病と皮膚癌の治療及び/または予防に使用される。前立腺疾病の中でも、適したのは、前立腺増殖と前立腺炎であり、より適したのは、前立腺増殖の治療・予防である。
【0037】
本発明の薬品、保健品組成物の中で、比較的良い組成物は、in vitroでの溶出率が大きい、安定性が高い、用量が低い、毒性副作用が小さい等の特徴がある。
【0038】
本発明の薬品、保健品組成物の中で、比較的良い製剤、例えばフェネチルイソチオシアネートを含む薬物の製剤は、前立腺組織の異常な増殖を抑制し、軽減することができる。
【0039】
本発明の薬品、保健品組成物の中で、比較的良い製剤、例えば、フェネチルイソチオシアネートを活性成分として含む製剤は、前立腺組織の炎症を有効に予防及び/または治療することができる。
【0040】
本発明の薬品、保健品組成物の中で、比較的良い製剤、例えば、フェネチルイソチオシアネートを有効な薬物成分として含む製剤は、皮膚癌細胞の増殖を有効に抑制することもできる。
【0041】
本発明のイソチオシアネート系化合物の組成物は、前立腺増殖と前立腺炎の治療が必要な患者を処置する場合、その用量範囲が0.1〜20mg/kgであり、より良いのは1〜4 mg/kgである。本発明の実施例の中で、適した用量は1、2、4 mg/kgであり、低用量の1 mg/kgでも、充分に前立腺増殖と前立腺炎を抑制する効果が得られた。
【0042】
本発明の薬品、保健品組成物の中で、比較的良い製剤、例えば、フェネチルイソチオシアネートを有効成分として含む製剤は、関連した疾病を治療する時、単独で使用することも、他の治療方法と併用することもできる。例えば、外科手術と併用、または一種や多種の西洋薬と併用、漢方薬と併用、放射線治療と併用、遺伝子治療と併用、生物製剤と併用など。
【0043】
現存する技術と比べ、本発明の利点は以下の通りである。
【0044】
本発明は、フェネチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート系化合物が、前立腺増殖と前立腺炎の治療及び/または予防に有効であることを初めて証明した。
【0045】
また、本発明は以下の内容についても証明した:その他のイソチオシアネート系化合物はフェネチルイソチオシアネートに類似し、前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素−即ちグルタチオンS−トランスフェラーゼP遺伝子の発現を有効に誘導し、前立腺細胞の有害物質を除去する能力を高めることにより、前立腺疾病及び他の組織/器官の炎症の治療及び/または予防の役割を果たす。
【0046】
本発明は、睾丸を切除したラットのin vivo実験モデルを使い、フェネチルイソチオシアネートを代表としたイソチオシアネート系化合物が良性前立腺増殖を有効に抑制できることを初めて証明した。
【0047】
本発明は、ラットのin vivo実験を通じて、フェネチルイソチオシアネートを代表としたイソチオシアネート系化合物が前立腺炎、特に非細菌性前立腺炎の治療・予防に効果があることを初めて証明した。
【0048】
本発明は、一部のイソチオシアネート系化合物がヒトの前立腺癌細胞の中の男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原PSAの発現を有効に抑制できることを初めて証明した。
【0049】
本発明は、フェネチルイソチオシアネートを代表としてのイソチオシアネート系化合物がメラノーマB16細胞(皮膚癌)を抑制できることを初めて実験を通じて証明した。
【0050】
本発明は、初めて天然または合成のフェネチルイソチオシアネートなどのイソチオシアネート系化合物を有効成分とした製剤を提供した。
【0051】
本発明のフェネチルイソチオシアネートを代表としたイソチオシアネート系化合物の組成物は、前立腺増殖と前立腺炎の治療が必要な患者に実施する場合、微量を用いても良い抑制効果を得られる。
【0052】
本発明によるフェネチルイソチオシアネートなどイソチオシアネート系化合物を有効成分とした薬品、保健品組成物は、前立腺増殖と前立腺炎を治療する時、in vitroでの溶出率が大きい、用量が低い、治療効果が良い、毒性副作用が小さいだけではなく、安定性が高いという特徴もある。
【0053】
本発明は前立腺疾病の治療方法を提供した。ここに記述の疾病は、前立腺増殖または前立腺炎を含むが、これに限定されない。それには、治療が必要な対象に0.1〜20mg/kg のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を使用することも含まれる。
【0054】
もう一つの実施例の中で、使用用量が1mg/kgの場合でも、前立腺増殖と前立腺炎を有効に抑制することができた。
【0055】
また本発明は、前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素(Phase II detoxification enzyme)遺伝子の発現を抑制する方法を提供した。それは以下の順を含む:前立腺細胞とイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を接触させ、それによって、グルタチオンS−トランスフェラーゼP(GSTP1)の遺伝子発現を誘導させる。
【0056】
本発明は皮膚癌の治療方法も提供した。それには治療が必要な患者にイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を使用することが含まれる。
【0057】
附図概略
図1、異なるイソチオシアネート系化合物がヒトの前立腺癌細胞株LNCaP中第2相薬物代謝解毒酵素GSTP1に対しての誘導作用。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート、PEITC-NAC:フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体。
【0058】
図2、フェネチルイソチオシアネートのSp1転写因子の活性に対する影響。
図3、フェネチルイソチオシアネートがSp1転写因子と標的遺伝子ARのプロモーターDNAの結合を抑制する。
【0059】
図4、異なるイソチオシアネート系化合物のヒトの前立腺癌細胞株LNCaP中男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)に対しての抑制作用。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート、PEITC-NAC:フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体。
【0060】
図5、前立腺の正常組織切片(顕微鏡で20倍拡大)。
【0061】
図6.1、前立腺増殖モデルコントロール群の腺房密度の増加(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ腺房密度が明らかに増大している。
【0062】
図6.2、前立腺増殖モデルコントロール群の腺腔増大切片(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ、腺腔が明らかに増大し、腔内の分泌物が増加している。
【0063】
図6.3、プロスカー対照群の腺腔増大切片(顕微鏡で20倍拡大)。これはポジティブ・コントロール薬物で処置された動物の組織切片である。正常組織に比べ、腺腔が明らかに増大し、腔内の分泌物が増加しているが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、前立腺腔が縮小し、腔内の分泌物が減少している。
【0064】
図6.4、プロスカー対照群の腺房密度の増加切片(顕微鏡で20倍拡大)。これはポジティブ・コントロール薬物で処置された動物の組織切片である。正常組織に比べ、腺房密度が増加しているが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、腺房密度が減少している。
【0065】
図6.5、前立腺増殖モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (2mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ、腺腔が増大し、腔内の分泌物と腺房密度が増加したが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、腺腔が縮小し、腔内の分泌物が減少し、腺房密度が減少している。
【0066】
図7.1、前立腺炎モデルコントロール群充血切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、好中球の浸潤、出血が見られる。
【0067】
図7.2、ゲヌリン対照群リンパ球浸潤の切片(顕微鏡で20倍拡大)。リンパ細胞浸潤、繊維化、充血が見られる。
【0068】
図7.3、前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (4mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺水腫、少量の充血、フィブリン滲出が見られ、前立腺炎モデルコントロール群に比べ、症状が軽い。
【0069】
図7.4、前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群(2mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、フィブリン滲出が見られる。
【0070】
図7.5、前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (1mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、フィブリン滲出、好中球の浸潤が見られ、前立腺炎モデルコントロール群に比べ、症状が軽い。
【0071】
図8、異なるイソチオシアネート系化合物間のヒトの前立腺癌細胞株LNCaP成長の抑制作用の比較。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート。
【0072】
図9、フェネチルイソチオシアネートの内因性男性ホルモンレセプター(AR)及び男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)発現に対する影響。
【0073】
図10、フェネチルイソチオシアネートのメラノーマB16細胞成長曲線に対する影響。
【0074】
図11、フェネチルイソチオシアネート胃管投与後の、マウスのメラノーマの体積の増加に対する効果。
【実施例】
【0075】
実施例1:フェネチルイソチオシアネートの調製。
器具と試薬:1H-NMRはBrucker AV-300型MRI計を用いて測定、内部標準TMS、特別な説明がなければ溶剤はCDCl3。MSはNicolet FTMS-2000型質量分析器を用いて測定;元素分析はElementar Vario EL III器具を用いて測定。
【0076】
薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲルGF254(青島海洋化学製品工場)を採用し、自ら製造した。すべての試薬は市販の化学純製品または分析純製品を採用し、処理せずに直接使用した。
【0077】
実施例1-1:天然植物からフェネチルイソチオシアネートを抽出。
a) オランダからしを塊状に砕いてから水を入れ、室温で数日に放置し、酵素の作用でフェネチルイソチオシアネートを分解させた。それを、N−ヘキサンなどの非水溶性溶剤で抽出し、次に、真空状態で溶剤を留去し、減圧蒸留して生成物を得た。これにより高い収率と純度の生成物が得られた(具体的な方法はRibnicky David M et al.2000を参考)。
【0078】
b) 上記の方法でコショウソウの中からもフェネチルイソチオシアネートを抽出することができる。家木犀草の根塊を水に浸した後、水蒸気蒸留法を用いて、上述したフェネチルイソチオシアネートを作ることができる。
【0079】
実施例1-2:化学方法でフェネチルイソチオシアネートを合成する。
50mLの丸底フラスコの中に15mL CH2Cl2とチオホスゲン 3mL(40mmol)を入れて攪拌し、0℃まで冷却し、定圧滴下漏斗を用いて、等当量のフェニルエチルアミン(4.04g、40 mmol)をゆっくり滴下した(滴下中に放熱し、温度が15℃を超えないように)。滴下後、室温で5〜6時間反応させ、TLCでフェニルエチルアミンが無くなっていることを確認した後、10mLの水を入れて反応を終了させる。再び5mL CH2Cl2を入れ、分液漏斗で有機相を分ける。有機相を水(15mL×2)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過し、有機相が乾燥するまで濃縮させる。残留液は、石油エーテル(沸点60〜90℃)を溶出液として、シリコン・カラムで精製・溶出し、濃縮した後、真空精留して無色の油状の液体4.9gを得る。収率が75%であった。Katritzky (Alan R.Katritzky et al.1979)等とVictor Gil (Victor Gil et al,1980)の文献資料に基づいて、MRIと質量スペクトルを行い構造を確証した。
【0080】
構造を測定した結果:
1H-NMRδ:7.26-7.24(m,3H,Ph-H),7.12(d,J=8.5Hz,2H,Ph-H),3.94(t,J=7.0Hz,2H,CH2),2.81(t,J=7.0Hz,2H,CH2);
ESI-MS:164.1[M+H],C9H9NS(163.24); C9H9NSとした計算値:C66.22,H5.56,N8.58,実測値:C66.30,H5.42,N88.34;
分子量は163.24であった。
【0081】
実施例2:異なるイソチオシアネート系化合物がGSTP1蛋白に対する影響
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート (PEITC)が無錫ジェーシ医薬技術有限会社により合成され、NMR、UV、IR、MS等によりその化学構造を確かめ、HPLCで含有量と純度を測定した(>99%)。他のイソチオシアネート化合物、つまり、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)は、アメリカのSigma-Aldrich社から購入された。フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC) は、アメリカのLKT社から購入。他の化学試薬は、特別な説明がない場合、すべてアメリカのSigma社から購入。蛋白質電気泳動用ポリアクリルアミドゲル試薬、SDS、電気泳動緩衝液、蛋白質電気泳動緩衝液、ニトロセルロース膜などは、アメリカのBio-Rad社から購入。ECLウェスタン・ブロッティング検出キットとフィルムは、アメリカのGE社から購入。第2相薬物代謝解毒酵素(GSTP1)抗体とβ−アクチン抗体は、それぞれアメリカのBD社とSanta Cruz Biotechnology社から購入された。
【0082】
細胞培養:ヒトの前立腺癌細胞LNCaP、PC-3は、American Type Culture Collectionから購入。細胞は37度、5%CO2のインキュベーターに置かれ、10%ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むRPMI1640の培地にて培養した。
【0083】
ウェスタン・ブロッティング法でGSTP1蛋白を検測:対数成長期のヒトの前立腺癌細胞LNCaPを、図1に示したフェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC)で24時間処理した。細胞を収集、洗浄し、文献(Wang,L.G., Ossowski,et,al. Overexpressed androgen receptor linked to p21WAF1 silencing may be responsible for androgen independence and resistance to apoptosis of a prostate cancer cell line. Caner Res 61(20):7544-51,2001)の方法で蛋白を取り出し、定量化した。50μgの蛋白を取って、SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動を行った。電気泳動後、蛋白をニトロセルロース膜に移動させ、GSTP1抗体でウェスタン・ブロッティング測定を行い、β−アクチン抗体を内部標準として、ECLフィルムで実験結果を記録した。
【0084】
結果と討論:
ウェスタン・ブロッティング法を用いて、イソチオシアネート化合物が前立腺増殖及び炎症を抑制する分子メカニズムについて研究及び比較した。同等な実験条件で、使用したすべてのイソチオシアネート化合物が、明らかに前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素−グルタチオンS−トランスフェラーゼPGSTP1遺伝子の発現を誘導した。GSTP1は第2相薬物代謝解毒酵素として、細胞の炎症物質と発癌物質を含んだ内因性と外因性の有害物質を有効かつ持続的に除去するという極めて重要な役割を果たした。多くの既存研究においては、前立腺炎症、肥大、癌変の過程で、外部環境の影響を受け、GSTP1遺伝子プロモーター領域中のCpGアイランドの高メチル化により、正常な発現能力が失われるということが示されている。本発明では、フェネチルイソチオシアネート(PEITC,JC-5411)が、その他実験に使われたすべてのイソチオシアネート官能団を持つイソチオシアネート系化合物と同様に、GSTP1の発現を有効に誘導していることが証明された(図1)。本実験結果からは、イソチオシアネート系化合物のイソチオシアネート基がGSTP1遺伝子に対して発現誘導の役割を果たすことが、前立腺増殖と前立腺炎を治療・予防する重要なメカニズムになっていると推測される。本研究では、また4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)を含んだイソチオシアネート官能団を持つイソチオシアネート化合物及びフェネチルイソチオシアネートの体内代謝産物フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体が、すべて前立腺疾病の治療・予防に役立つことが証明された。
【0085】
実施例3:フェネチルイソチオシアネートが転写因子Sp1の活性の抑制に関する研究
材料と方法:
試薬:前記の実施例1-2で合成されたフェネチルイソチオシアネートを取り、DMSOで溶液に調製した。Sp1-lucとmtSp1-lucはルシフェラーゼ遺伝子及びその変異体を始動する重複した3つのSP1タンデムリピートを含み、Sp1転写因子の活性を測定するのに用いる。Effectene形質移入試薬及びルシフェラーゼ遺伝子測定キットは、それぞれQiagen(Valencia,CA)とPromega(Madison,WI) から購入。蛋白電気泳動用ポリアクリルアミドゲル試薬、SDS、電気泳動緩衝液は、アメリカのBio-Rad社から購入。その他の実験用化学試薬は、特別な説明のあるものを除いて、すべてアメリカのSigma社から購入。
【0086】
細胞培養:ヒトの前立腺癌細胞LNCAP ADは、American Type Culture Collectionから購入。LNCaP AIは、GAOなどの方法に基づいて製作。(Gao, M.,Ossowski, L., and Ferrari, A. C. Activation of Rb and decline in androgen receptor protein precede retinoic acid-induced apoptosis in androgen-dependent LNCaP cells and their androgen-independent derivative. J Cell Physiol, 179: 336-346,1999.)。ADとAI細胞は、37度、5%CO2のインキュベーター中に置かれ、それぞれ10%正常なウシ胎児血清及び活性炭処理ウシ胎児血清と、ペニシリンとストレプトマイシンを含むRPMI1640培地にて培養した。
【0087】
遺伝子形質移入:対数成長期のADとAI細胞を直径60ミリメートルの平皿に接種。細胞濃度は1ミリメートル毎に105個であった。5%CO2と37度で24時間インキュベートした後、Effectene (Qiagen, Valencia, CA)を形質移入試薬として、それぞれ1μg/皿のSp1-luc とその突然変異遺伝子 (mtSp1-luc)に形質移入を行った。形質移入後24時間、細胞に異なった濃度のJC-5411を24時間処理した。細胞を収集し、洗浄後、細胞溶解試薬を入れ、Promegaルシフェラーゼ酵素活性測定システムでルシフェラーゼ酵素活性を測定した。
【0088】
電気泳動移動度シフト解析(EMSA):EMSAを現有の技術方法に基づいて行った。簡単に言えば、対数成長期のAD細胞を異なった濃度のフェネチルイソチオシアネートで24時間処理し、文献方法で核蛋白質を取り出した (Wang,L.G., Liu, X.M., Kreis, W., and Budman,D.R. Down-regulation of prostate-specific antigen expression by finasteride through inhibition of complex formation between androgen receptor and steroid receptor-binding consensus in the promoter of the PSA gene in LNCaP cells. Caner Res, 57: 714-719, 1997.)。5μgの核蛋白質と32P−標識Sp1オリゴヌクレチドあるいはその対応する突然変異オリゴヌクレチドプローブを室温で30分間反応させた。その反応液には1gのdIdCが含まれ、反応の特異性を高めた。反応生成物を8%の非変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動させた。ポリアクリルアミドゲルを乾燥後、X-rayフィルムで蛋白−核酸の反応信号を検査測定した。
【0089】
結果と討論:フェネチルイソチオシアネートのSp1転写因子に対する抑制効果を研究するため、フェネチルイソチオシアネートのSp1特異なルシフェラーゼ酵素形質移入遺伝子に対する影響について測定した。また、測定システムの信頼性を確保するため、SP1特異活性化剤TSAとSP1特異性阻害剤、ミトラマイシンを比較対照した。図2に示したように、Sp1-lucで形質移入したAD細胞をフェネチルイソチオシアネートで24時間処理した後、形質移入遺伝子の蛍光素酵素活性が明らかに減った。その作用はポジティブ・コントロール薬物ミトラマイシンと同程度であり、また良好な用量−効果関係が現れた。その一方、TSAは蛍光素酵素活性を著しく促進した。mSp1-lucで形質移入した細胞は活性がなかった。つまり、この実験においては、フェネチルイソチオシアネートがSP1転写因子の抑制剤であることが証明された。
【0090】
フェネチルイソチオシアネートがSP1転写因子を抑制するメカニズムを説明するため、電気泳動移動度シフト解析法を用いて、フェネチルイソチオシアネートのSP1−DNAに対する結合作用の影響について研究した。転写因子として、SP1蛋白はその調節する標的遺伝子プロモーターとSP1結合位置で結合してからでなければ、その遺伝子の転写は活性化されない。EMSAは、この作用を研究する一般的方法である。図3によると、細胞はフェネチルイソチオシアネートの処理を経て、核蛋白(SP1転写因子を含む)とSP1特異的オリゴヌクレオチドの結合が薬物濃度との相関が検証されている。この結果で、フェネチルイソチオシアネートがSP1転写因子の抑制剤であったことが証明された。なお、フェネチルイソチオシアネートがSP1下流遺伝子に対しての抑制作用は(例えば、前記実験に示した)、SP1転写因子とその標的遺伝子プロモーターとの結合を減らすことにより実現されたことも明らかになった。
【0091】
実施例4:異なるイソチオシアネート系化合物がAR、SP1、PSA蛋白分子に対しての影響についての研究
材料と方法:
試薬:イソチオシアネート化合物、実施例2と同様。その他の化学試薬は、特別な説明がなければ、アメリカのSigma社から購入されたものである。蛋白質電気泳動用ポリアクリルアミドゲル試薬、SDS、電気泳動緩衝液、蛋白質電気泳動緩衝液、ニトロセルロース膜などは、アメリカのBio-Rad社から購入。ECLウェスタン・ブロッティング検出キットとフィルムは、アメリカのGE社から購入。男性ホルモンレセプター、Sp1、前立腺特異抗原PSA及びβ−アクチンなどの抗体は、それぞれアメリカのBD社とSanta Cruz Biotechnology社から購入。
細胞培養:実施例2と同様。
【0092】
ウェスタン・ブロッティング法でAR、SP1、PSA蛋白を測定:対数成長期のヒトの前立腺癌細胞LNCaPを、図2に示したフェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC)のように、24時間処理した。細胞を収集、洗浄し、文献方法(実施例2と同様)で蛋白を取り出し、定量した。50μgの蛋白を取って、SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動を行った。電気泳動後、蛋白をニトロセルロース膜に移動させ、特異なAR、SP1、PSA抗体でウェスタン・ブロッティング測定を行い、β−アクチン抗体を内部標準として、ECLフィルムで実験結果を記録した。
【0093】
結果と討論:
ウェスタン・ブロッティング法を採用し、イソチオシアネート化合物が前立腺増殖及び炎症と、ヒト前立腺癌細胞成長を抑制する他の可能な分子メカニズムについて、研究及び比較した。更にフェネチルイソチオシアネートがSp1に対しての作用を明らかに表した。これらの化合物、特にフェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)が、ヒト前立腺癌細胞の中の男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプター遺伝子上流Sp1及び男性ホルモンレセプター遺伝子下流前立腺特異抗原PSAなど遺伝子の発現に対して、明らかに抑制作用があったことが実験で証明された(図4)。フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC)がヒト前立腺癌細胞の中の男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1及び男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原PSAなど遺伝子の発現に対して似た作用があった。アリルイソチオシアネート(AITC)が上述した遺伝子の発現の抑制作用が比較的に弱いが、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)が試した薬物濃度でほとんど無作用であった。この結果と、下述の化合物がLNCaP癌細胞成長に対しての抑制作用が一致した(実施例8)。これによって、男性ホルモンレセプター発現の抑制は、これらの化合物が、前立腺増殖を選択的に抑制と前立腺癌細胞増殖を抑制する分子メカニズムであったことが証明された。
【0094】
イソチオシアネート化合物が前立腺増殖及び炎症を抑制、前立腺癌細胞増殖を抑制する分子メカニズムについての研究に基づいて、更にイソチオシアネート系化合物のin vitroおよびin vivoにおける薬物効果について研究した。
【0095】
実施例5:フェネチルイソチオシアネート(PEITC)が良性前立腺増殖に関する研究(一)
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート、実施例2と同様;プロピオン酸テストステロン、エストラジオール、ケタミン及びペニシリンは、無錫山禾グループ健康参薬連鎖有限会社から購入。
【0096】
動物:成年無病原の健康な雄SDラットは、体重150〜200グラムであり、南京医科大学実験動物センターから購入。1籠に5匹ずつ、適宜食品と飲用水が供給され、昼夜照明を交替し、室温は25±2℃に維持された。
【0097】
動物モデル及び薬物治療:60匹の雄SDラットを、1群10匹ずつ、無作為に6群に分けた。第1〜6群すべてのラットに、無菌操作でケタミンを注射し麻酔させ、両側の睾丸を手術で切除した。手術後、感染を防止するため、ペニシリンを注射した。一週間後よりプロピオン酸テストステロンを皮下注射した。用量は、1mg/匹、毎日1回、1ヶ月間続けた。第1群はコントロール群で、プロピオン酸テストステロン注射開始の日より1ヶ月間、毎日生理塩水を飲服させた。第2群はエストラジオール群で、プロピオン酸テストステロン注射開始の日より1ヶ月間、毎日油性安息香酸エストラジオール0.1 mg/匹を皮下注射した。第3、第4、第5、第6群は投与群で、プロピオン酸テストステロン注射開始の日から1ヶ月間、毎日フェネチルイソチオシアネート薬物組成物(油溶性製剤と水溶性製剤)を胃管投与した。その用量は、それぞれ4mg/kg(本発明の実施例13-3組成物中の有効成分)、1mg/kg(本発明の実施例13-3組成物中の有効成分)、4mg/kg(本発明の実施例13-11組成物中の有効成分)、1mg/kg(本発明の実施例13-11組成物中の有効成分)。
【0098】
最後の投与の24時間後、動物を死亡させ、重量を量った。次に、前立腺組織を出して、その体積と重量を量り、平均値と臓器係数(各群の平均前立腺重量/平均体重)を計算し、最後に生物統計処理を行った(t検定)。
【0099】
結果と討論:
コントロール群ラットの前立腺の平均重量は1.28g、臓器係数は0.34%;エストラジオール群の前立腺の平均重量は0.73g、臓器係数は0.23%;投与群(油性製剤4mg/kg、油性製剤1mg/kg、水性製剤4mg/kg、水性製剤1mg/kg)前立腺の平均重量はそれぞれ0.79g、0.91g、0.83g、0.75g,臓器係数はそれぞれ0.23%、0.25%、0.23%、0.21%であり、いずれもコントロール群より低く、著しい相違が確認された(p<0.05)。これにより、男性ホルモンが前立腺増殖を有効に誘発し、フェネチルイソチオシアネートを有効成分とした油溶性組成物と水溶性組成物が前立腺増殖を抑制し、その効果がポジティブ・コントロール薬物エストラジオールとは大きな差がないことが分かった。本実施例では、フェネチルイソチオシアネートが実験薬物濃度区間で前立腺増殖を有効に抑制するということが証明された。
【0100】
実施例6:フェネチルイソチオシアネート(PEITC)が良性前立腺増殖に対する研究(二)
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート化合物、実施例2と同様;プロピオン酸テストステロン、プロスカー、ケタミン、ペニシリンが無錫山禾グループ健康参薬連鎖有限会社から購入。
【0101】
動物:成年無病原の健康な雄SDラット、体重150〜200グラム、南京医科大学実験動物センターから購入。籠当たり5匹、適宜食品と飲用水が供給され、昼夜照明が交替され、室温は25±2℃に維持された。
【0102】
動物モデル及び薬物治療:36匹の雄SDラットを体重によって、1群9匹ずつ、無作為に4群に分けた。第1群はブランク群(偽手術群)で、無菌条件下でケタミンを注射して麻酔させ、手術切除睾丸法の操作を行ないながら睾丸は切除せず、通常通り食べさせる。第2〜4群のすべてのラットを無菌操作でケタミンを注射し麻酔させ、両側の睾丸を手術で切除した。手術後、感染を防止するため、ペニシリンを注射し、1週間後プロピオン酸テストステロンを皮下注射した。用量は5mg/kgで、毎日1回、1ヶ月間続けた。第2群はコントロール群で、プロピオン酸テストステロン注射開始の日より1ヶ月間、毎日生理塩水を飲服させた。第3群はプロスカー群で、プロピオン酸テストステロン注射開始の日より1ヶ月間、毎日プロスカー懸濁液0.1mg/ラット/日を内服投与した。第4群は投与群で、プロピオン酸テストステロン注射の日より1ヶ月間、毎日フェネチルイソチオシアネート薬物組成物(本発明の実施例13-11組成物)を胃管投与した。
【0103】
最後の投与の24時間後、動物を死亡させ、重量を量った。そのうえ、前立腺組織を出して、体積と重量を量り、平均値と臓器係数(各群の平均前立腺重量/平均体重)を計算し、また組織切片実験を行い、最後に統計処理を行った(t検定)。
【0104】
組織切片実験:パラフィンで前立腺組織塊を包んだ後、その切片にHE染色を行い、光学顕微鏡で観察した。
【0105】
実験データは下表のようになる。
【表1】

【0106】
【表2】

注:0は0点、+は1点、++は2点、+++は3点を意味する。
*コントロールに比べp<0.05 **コントロールに比べp<0.01
【0107】
結果と討論:
表1のコントロール群とブランク群のデータを比較すると前立腺増殖が明らかなことから、前立腺増殖のモデルが成功したことが明らかである。また、表1の結果により、プロスカー群とフェネチルイソチオシアネート(PEITC) 投与群が前立腺をある程度萎縮させ、一定の治療効果を持つことが証明された。前立腺の器質性変化は一定の時間が掛かるものの、投与時間が1ヶ月だけのかもしれないため、前立腺萎縮の指標だけからみると、二群の投薬期間を延ばした方が効果が更に良くなる可能性がある。前立腺重量、体積、臓器係数抑制率のデータからみると、この二群の治療に効果があった。フェネチルイソチオシアネート(PEITC) 投与群のデータがプロスカー投与群のデータより良好であったが、両者の治療効果の比較はもっと厳密な実験検証が必要であった。
【0108】
組織切片からみると、本実験中のラットの前立腺増殖の主な症状が:腺房密度の変化、腺腔の大きさの変化及び腔内分泌物(瀦留物)の変化、結合組織増殖及び乳頭増殖が伴った。図2と図5、図6.1〜6.5からみると、フェネチルイソチオシアネート(PEITC) 投与群とプロスカー群の病理変化がコントロール群より軽く、著しい相違があった(プロスカーp<0.05、フェネチルイソチオシアネートp<0.01)。前立腺重量、体積及び臓器係数抑制率のデータが同程度であって、フェネチルイソチオシアネート投与群の病理変化はプロスカー群ほど明らかでなかった。
【0109】
実施例7:フェネチルイソチオシアネートが非細菌性前立腺炎に対しての作用の研究
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート、実施例2に同じ;消痔霊注射液(硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸注射液)が済南永寧製薬株式会社から購入された。ゲヌリン(塩酸フラボキサート)、ケタミン、ペニシリンが無錫山禾グループ健康参薬連鎖有限会社から購入された。
【0110】
動物:成年無病原の健康な雄SDラット、体重が150〜200グラムで、南京医科大学実験動物センターから購入された。籠当たり5匹、適宜食品と飲用水が供給され、昼夜交替する照明、室温が25±2℃に維持された。
【0111】
病理モデル及び薬物治療:55匹の雄SDラットを無作為に6群に分け、コントロール群に10匹を用いるのを除き、他の5群を1群当たり9匹とした。第1〜6群のラットを無菌操作でケタミンを注射し麻酔させた後常規の消毒し、腹部の中央に1.5cm位の切り込みを入れ、第1群は感染を防止するため、ペニシリンを注射し、蒸留水10ml/kgを、1日1回、1週間5日で、5週間飲ませ;第2〜6群は1mlの注射器で前立腺の左葉と右葉にそれぞれ25%の消痔霊注射液0.1mlを注射し、1号の絹糸で筋肉と皮膚を縫い合わせた後、感染を防止するため、ペニシリンを注射した。第2群はモデルコントロール群で、消痔霊注射後24時間後、蒸留水10ml/kgを1日1回、1週間5日で、5週間飲ませた。第3群はゲヌリン群で、消痔霊注射後24時間後、ゲヌリン懸濁液60mg/kgを1日1回、1週間5日で、週末投与なしで、5週間飲ませた。第4、第5、第6群は投与群で、消痔霊注射後24時間後、フェネチルイソチオシアネート薬物組成物(本発明の実施例13-11組成物)を、用量がそれぞれ4mg/kg、2mg/kg、1mg/kgで、1週間5日で、週末投与なしで、5週間胃管投与した。最後の投与日に、各群のラットの投与後1時間、2時間、3時間の尿液をそれぞれ収集した。
【0112】
最後の投与の24時間後、動物を死亡させ、重量を量った。そのうえ、前立腺組織を出して、体積を測定し、重量を量り、平均値と臓器係数(各群の平均前立腺重量/平均体重)を計算し、また組織切片実験を行い、最後に生物統計処理を行った(t検定)。
【0113】
組織切片実験:パラフィンで前立腺組織塊を包んだ後、その切片にHE染色を行い、光学顕微鏡で観察した。
【0114】
実験データは下表のようになる。
【表3】

注:コントロールに比べp<0.05
【0115】
【表4】

注:コントロールに比べp<0.05
【0116】
【表5】

注:0は0点、+は1点、++は2点、+++は3点を意味する。
**コントロールに比べp<0.01
【0117】
結果:表3から見られるように、フェネチルイソチオシアネートは前立腺炎から引き起こされた前立腺肥大に対し明らかに抑制作用がある。この抑制作用と用量との相関性が明らかではないことから、本実験で用いた最低の用量ですでに十分な治療効果に達したのではないかと推測される。表4によると、PEITC投与群の利尿効果は明らかであり、用量が多ければ多いほど利尿効果が著しく、用量と治療効果との間に相関性が示された。PEITCの用量が4mg/kgに達した時の尿液量のデータをみると、コントロール群に比べ、利尿効果が著しく(p<0.05)、またポジティブ・コントロール薬物ゲヌリンに比べ、利尿作用がやや強い。表5及び図5、図7.1〜7.5で見られるように、ゲヌリン群及びフェネチルイソチオシアネートの大、中、小用量群におけるラットの病理変化が、コントロールに比べ低く、著しい差異がある(p<0.01)。これにより、フェネチルイソチオシアネートがポジティブ・コントロール薬物ゲヌリンと同様に、前立腺炎の病状を軽減と治療する効果があることが確認された。
【0118】
実施例8:異なるイソチオシアネート系化合物のin vitroでのヒト前立腺癌細胞成長に対する抑制作用の研究
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート(PEITC)、実施例2と同様。その他のイソチオシアネート系化合物、即ち、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)は、アメリカのSigma-Aldrich社から購入。実験の際、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)は無血清のRPMI-1640細胞培地で溶液を調製し、その他のイソチオシアネート系化合物はDMSOで溶液を調製した。
【0119】
細胞培養:実施例2と同様。
MTTとSRB:MTTとSRB実験方法は文献(Kreis,Budman et al. 1997)に述べられており、それを要約すると以下の通りである:対数成長期の癌細胞を取り、96ウェル・プレートの中に接種し、細胞密度はウェル当たり5000細胞/200μlであった。24時間後、連続希釈した薬物を投入し、薬物の作用下で細胞を3日間または7日間培養させた。各ウェルから100μlの培養培地を取り、MTT[臭化 3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム]溶液50μlを入れ、再び4時間培養させた。塩酸イソプロパノール200μlで黒紫色のホルマザン沈殿物を溶解させ、波長540nmの吸光度を測定した。SRB法を採用した場合、72時間後すべての培地を捨て、細胞を10%のトリクロロ酢酸で1時間固定させてから、空気中に置いて24時間自然乾燥させ、SRB(スルホローダミン B)50μlを入れて20〜30分間染色させる。1%の酢酸で5回洗浄し、空気中に置いて24時間に自然乾燥させたら、10mMTris-HCI(pH10.0)溶液200μlを入れ、すおう色の蛋白−SRB複合体を溶解させ、540nmおよび630nmの両方の波長で吸光度を測定する。各群の実験データの平均値を求め、実験群と対照群の細胞生存率を計算した。結果は表6のとおりである。SigmaPlot製図ソフトで細胞生存率−薬物濃度半対数曲線(図8)を描き、薬物の半数抑制濃度(IC50)を求めた。
【0120】
【表6】

【0121】
結果と討論:
MTTとSRBの2種の分析方法を用い、フェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)の抗ヒト前立腺癌細胞株LNCapに対する活性について比較研究を行った。その結果、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)では実験で行われた薬物濃度の範囲内(0.039-20μM)で細胞成長への抑制作用が明らかには認められなかったが、その他3種のイソチオシアネート化合物ではヒト前立腺癌細胞成長に対して明らかな抑制作用が見られた。その中で、フェネチルイソチオシアネート(PEITC)とベンジルイソチオシアネート(BITC)の細胞成長抑制活性は同程度であり、半数抑制濃度(IC50)が0.8〜1.5μMの間であったが、アリルイソチオシアネート(AITC)の細胞成長抑制活性はやや弱く、IC50は約10μMであった(図8)。本実験により、前立腺癌細胞または他の癌細胞の異常成長に対する抑制作用は、イソチオシアネート系化合物が共通な薬理学的特性であった。実施例11では、フェネチルイソチオシアネートのマウスのメラノーマB16細胞に対する成長抑制作用に比べ(IC50は約10〜12μM)、この化合物のヒト前立腺癌細胞に対する成長抑制作用が明らかに強いことが分かった(8〜10倍強い)。この結果は、ヒト癌細胞が動物癌細胞よりイソチオシアネート系化合物に感受性であり、また前立腺癌細胞が他の癌細胞より感受性であることを示唆する。
【0122】
実施例9:フェネチルイソチオシアネートのホルモン依存型およびホルモン非依存型前立腺癌細胞に対する抑制作用の研究
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート、実施例2と同様。特別な説明がない場合、その他の化学試薬はアメリカのSigma社から購入されたものである。
細胞培養:ヒト前立腺癌細胞株LNCaP、実施例3と同様。
【0123】
MTT:MTTとSRB実験方法は文献に述べられており(Kreis, Budman et al. 1997)、要約すると以下の通りである:対数成長期の癌細胞を取り、96ウェル・プレートに接種し、細胞密度はウェル当たり2500細胞/200μlである。24時間後、連続希釈したフェネチルイソチオシアネートまたはパクリタキセルを投入する。薬物の作用下で、細胞を7日間培養させ、各ウェルから100μlの培養培地を取る。MTT溶液50μl [臭化 3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム]を入れ、再び4時間培養させる。塩酸イソプロパノール200μlで黒紫色のホルマザン沈殿物を溶解させ、波長540nmで吸光度を測定する。各群の実験データの平均値を求め、実験群と対照群で細胞生存率を計算する。SigmaPlot製図ソフトで細胞生存率−薬物濃度半対数曲線を描き、また薬物の半数抑制濃度(IC50)も計算する。
【0124】
結果:過度に活発的な男性ホルモン−男性ホルモンレセプター系は、非制御前立腺細胞増殖と前立腺癌細胞増殖の重要な原因である。フェネチルイソチオシアネートは男性ホルモンレセプターの発現を遮断することで前立腺細胞の増殖を抑制させることができる。また、ARはホルモン非依存型前立腺癌細胞にとって同様に或いはより重要であるため、ARの転写と発現を遮断することでホルモン非依存型前立腺癌細胞の成長を抑制させることができる。このことから、ここではMTT方法を用い、フェネチルイソチオシアネートの前立腺癌細胞の成長に対する抑制作用を研究し、またホルモン依存型(LNCAP AD)とホルモン非依存型(LNCAP AI)細胞のフェネチルイソチオシアネートに対する感受性を比較した。図9Bに示されたように、フェネチルイソチオシアネートは、抗前立腺癌細胞成長阻害の能力がやや強く、更に重要なことに、ADとAIの両方の細胞において同様の感受性を持ち、IC50はいずれも0.6μMであった。同様の実験条件下で、臨床上広く使用されている化学療法薬物パクリタキセルと比べると、パクリタキセルは抗前立腺癌作用が非常に強いが、一方でホルモン非依存型前立腺癌細胞AIはパクリタキセルに対する耐性が非常に強い。ホルモン依存型前立腺癌細胞ADに比べると、ホルモン非依存型の薬物半数抑制濃度は前者の60倍になる(IC50は、AD細胞で0.01nM、AI細胞で0.6nM、図9A)。この結果は、我々の以前の観察結果と一致する。ここで指摘しておきたい点は、パクリタキセルは抗前立腺癌作用がフェネチルイソチオシアネートより強いものの、パクリタキセルは有効薬物濃度に達したらやや強い副作用が生ずることである。例えば、パクリタキセルは血漿薬物濃度0.05μMで深刻な骨髄抑制を起こす。しかし、フェネチルイソチオシアネートは天然食材から作られ、有害性が低い。臨床の実践で証明されたように、パクリタキセルは悪い副作用を起こすだけではなく、晩期前立腺癌患者の命を延長させることができない。
【0125】
実施例10:in vivoにおけるPEITC-NAC抗腫瘍活性及び男性ホルモンリセプター発現に対する影響の研究
材料と方法:
試薬:PEITC-NAC 実施例2と同様。特別な説明がない場合、その他の実験用化学試薬はアメリカのSigma社から購入されたものである。
【0126】
腫瘍接種及び薬物処理:BALB/c雄ヌードマウス、5週齢、中国科学院上海実験動物センターから購入。動物はSPF実験室で飼育。ホルモン非依存型ヒト前立腺癌PC-3細胞を取り、マトリゲルを加え、マウスの前腋の下に皮下接種した。平均一匹のマウスに細胞約1×106個を接種。接種24時間後、無作為に動物を1群8匹ずつ、2群に分けた。一群はコントロールで、AIN76A飼料を与えた。もう一群はPEITC-NAC治療群で、PEITC-NACを含むAIN76A飼料を与えたが、その1グラムの飼料に8μMのPEITC-NACが含まれていた。投与後7日目、10日目、22日目にそれぞれ腫瘍発病率を観測した。最後の投与の24時間後、動物の体重を量ってから、動物を死亡させ、腫瘍を取り出して重量を量り、腫瘍生成抑制率を計算した。その結果は表7に示されたとおりである。ウェスタン・ブロッティング法を用い、男性ホルモンレセプターの発現変化を測定した。
【0127】
【表7】

【0128】
結果と討論:
免疫欠損マウスはヒトの腫瘍の転移及び抗癌薬物の研究に広く使われている。PEITC-NACの抗前立腺癌活性を証明するため、我々はホルモン非依存型ヒト前立腺癌PC-3細胞を免疫欠陥型マウスに移植し、PEITC-NACのホルモン非依存型ヒト前立腺癌PC-3細胞に対する抗癌作用を観察した。実験結果は表7に示されたように、PEITC-NACはいずれの用量でもホルモン非依存型ヒト前立腺癌PC-3細胞に対してやや強い抑制作用を示した。腫瘍成長抑制率は53.3%に達し(p<0.02)、1匹のマウスが腫瘍を発生しなかった。
【0129】
実施例11:フェネチルイソチオシアネートのin vitroでのマウスのメラノーマB16細胞成長に対する抑制作用の研究
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート、実施例2と同様。マウスのメラノーマB16細胞は中国科学院上海細胞研究所から購入。RPMI-1640細胞培地はGibco社から、ウシ胎児血清は上海華美生化試薬会社から、グルタミンはSigma社から購入。ペニシリン、ストレプトマイシンは医用品であり、トリプシンはAmrescoの分け積み込み製品である。トリパンブルーはSigma社から購入。24ウェル細胞培養プレートはアメリカのCostar社から、ジメチルスルホキシド(DMSO)は上海医薬(集団)上海化学試薬会社から購入。
【0130】
細胞培養:RPMI-1640培地を1mol/L HCLまたはNaOHでpH7.0〜7.2まで調整し、滅菌濾過し、4℃の冷蔵庫に保存した。使用する前、10%ウシ胎児血清(FCS)、1%グルタミン200 mmol/L、ペニシリン100 U/mLとストレプトマイシン100 U/mLを入れ、完全培地を調製した。マウスのメラノーマB16細胞はこの培地で成長させた。インキュベーターは37℃、5%CO2及び飽和湿度を保った。
【0131】
細胞成長曲線の測定:対数成長期のB16細胞を取り、0.25%のトリプシンで消化させた後、RPMI-1640完全培地で細胞濃度を約2〜5×104/mLに調整した。そして、細胞を各ウェル1mL ずつ、24ウェル培養プレートに接種し、24時間培養後、異なる濃度のフェネチルイソチオシアネートを含む培地を各培養ウェルの中に入れ、最終濃度を5、10、15μmol/Lに調整。濃度毎にウェル3個を設け、対照群に等体積のRPMI-1640完全培地を入れ、37℃、5%CO2のインキュベーターで0〜5日間培養させた。それぞれ異なる培養時間の細胞を取り、トリパンブルー排除法を用いて生存細胞を計数した。濃度毎の生存細胞数はウェル3個の平均値を使い、細胞の成長曲線を描いた。成長曲線は附図10に示したとおりである。
【0132】
抑制率の測定:対数成長期のB16細胞を取り、0.25%のトリプシンで消化させる。RPMI-1640完全培地で細胞濃度を約3〜5×104/mL に調整し、細胞をウェル当たり150μLずつ、96ウェル培養プレートに接種し、37℃、5%CO2のインキュベーターで24時間培養させる。そして、実験群に異なる濃度のフェネチルイソチオシアネートを含む培地150μLを入れ、ブランクコントロール群に等体積のRPMI-1640完全培地を入れる。各群にウェル4個を設け、細胞培養プレートをCO2インキュベーターに移動させ、37℃、5%CO2及び飽和湿度条件で48時間成長させる。培養終了後、上清液を丁寧に除き、各ウェルにD-Hanks 150μLを加えて、一回洗浄してから、また上清液を丁寧に除去する。それから、各ウェルにMTT溶液 100μL(0.5mg/mL)を入れ、再び4時間培養させ、上清液を丁寧に除く。各ウェルにDMSO 150μLを入れ、37℃で10分間置き、振動後酵素免疫検測器を用いてOD570を測定する。抑制率結果は下表のようになる。
【0133】
【表8】

【0134】
結果と討論:
成長曲線(図10)からみると、フェネチルイソチオシアネートはマウスのメラノーマB16細胞に対し明らかな抑制作用がある。また、濃度が高ければ高いほど、細胞成長の抑制作用が明らかである。抑制率実験の結果からみると、フェネチルイソチオシアネートの濃度とマウスのメラノーマB16細胞の量に明らかな量効関係があり、サンプル濃度の増加とともに抑制作用も明らかに強くなり、その最高抑制率は96%以上に達している。これにより、フェネチルイソチオシアネートがin vitroでマウスのメラノーマB16細胞の増殖を有効に抑制できることが証明された。
【0135】
実施例12:フェネチルイソチオシアネートのin vivoでのマウスのメラノーマB16細胞に対する抑制作用の研究
材料と方法:
試薬:フェネチルイソチオシアネート、実施例2と同様;マウスのメラノーマB16細胞は中国科学院上海細胞研究所から購入。RPMI-1640細胞培地はGibco社から、ウシ胎児血清は上海華美生化試薬会社から、グルタミンはSigma社から購入。ペニシリン、ストレプトマイシンは医用品であり、トリプシンはAmrescoの分け積み込み製品である。トリパンブルーはSigma社から購入。注射用シクロホスファミド(CTX)は江蘇恒瑞医薬株式会社から、生理塩水は上海長征富民薬業銅陵有限会社から購入された。
【0136】
動物:健康な雄昆明種マウス、4〜6 週齢、体重18〜22gで、南京医科大学実験動物センターから購入された。
【0137】
in vitro細胞培養及びマウスのin vivoでの継代:B16細胞が体積当たり10%ウシ胎児血清、1%グルタミン200 mmol/L、ペニシリン100 U/mLとストレプトマイシン100 U/mLを含むRPMI-1640完全培地、37℃、5%CO2及び飽和湿度のインキュベーターで成長させた。接着細胞が0.25%のトリプシンを用いて消化、継代させた。対数成長期のB16細胞を取り、PBSで細胞懸濁液を調製し、トリパンブルー排除法を用いて生存細胞数を計数したところ、98%以上に達した。そして、PBSで細胞濃度を1×107/mL までに調整し、それを0.2 mLマウスの右腋に皮下接種し、継代させた。
【0138】
病理モデル及び薬物治療:無菌条件下でマウス腋下の継代のメラノーマB16腫瘍を剥離し、塊状に切り、ガラスホモジナイザーで、生理塩水(1:3)を入れて均一に磨りつぶした。生理塩水で単細胞懸濁液を調製し、トリパンブルー排除法を用いて生存細胞数を計数したところ、98%以上に達した。生理塩水で細胞濃度を1×107/mLに調整し、0.2mLを各マウスの右腋に皮下接種し、接種後体重によって各群12匹ずつ、無作為で5群に分けた。
【0139】
実験群は胃管投与高/低用量群を設けた(本発明の実施例13-16組成物である。有効成分のフェネチルイソチオシアネートで計算して用量は70、120mg/kg)。ネガティブ・コントロール群は同じ溶剤を含む生理塩水を胃管投与を行い、ポジティブ・コントロール群はシクロホスファミド(20mg/kg)を腹腔注射した。翌日から投与し、毎日1回の投与で、15日間続けた。投与中止24時間後、マウスを死亡させ、腫瘍を取り出してから、その重量を量り、腫瘍体積を記録し、腫瘍抑制率を計算した。その腫瘍抑制率の結果を表9に示す。
【0140】
腫瘍体積成長曲線の測定:腫瘍体積の測定は、衛生部薬政局が編集した「新薬(西洋薬)臨床前研究指導原則集成」中の“抗腫瘍薬物薬効学指導原則”の規定に基づいて実験を行った。本実験はマウス腫瘍接種後の4日目からノギスで腫瘍マウスの腫瘍長径(A)と短径(B)を隔日で測量し、測量を3回繰り返した。式V=π/6[(A+B)/2]3で相似体積を計算し、時間−腫瘍体積成長曲線図を作成した(図11)。
【0141】
【表9】

注:* ネガティブ・コントロールに比べ、p<0.05
** ネガティブ・コントロールに比べ、p<0.01
△ シクロホスファミドに比べ、p>0.05
【0142】
結果と討論:
(1)表9から以下のことが明らかになった:投与方法が胃管投与である場合、フェネチルイソチオシアネート投与群の平均腫瘍重量はネガティブ・コントロール群と比べ、明らかな違いが見られ(p<0.05)、ある程度の用量依存関係が認められた。フェネチルイソチオシアネートのマウスB16腫瘍に対する抑制率は58.54%、シクロホスファミドの抑制率は66.23%であり、両者間に明らかな差異がなかった(p>0.05)。フェネチルイソチオシアネートは内服での投与であり、シクロホスファミドは注射での投与である。内服投与が患者に便利であることは明らかである。
(2)図11では、腫瘍体積成長曲線が腫瘍抑制率の評価指標になった場合、腫瘍体積と腫瘍重量が良好な相関性を持っていたことが分かる。投与手段が胃管投与である場合、フェネチルイソチオシアネートはin vivoでマウスのメラノーマB16に対し、異なる濃度で異なる程度の抑制作用を発生し、その抑制効果と用量は正相関である。
【0143】
表9と図11をまとめると、以下の結論が得られる:フェネチルイソチオシアネートはin vivo移植マウス腫瘍B16に対し、ある程度の抗腫瘍作用があった。ヒトの皮膚癌の中で、悪性メラノーマは最も深刻な皮膚癌である。フェネチルイソチオシアネートはマウスのin vivo及びin vitroでの薬効実験で良好な抑制作用が示された。これにより、フェネチルイソチオシアネートがヒト皮膚癌の良好な治療薬としての将来性を持っていることが推測される。
【0144】
実施例13:異なるイソチオシアネート系化合物の薬物組成物の研究
本発明は幅広く且つ深い研究に基づき、界面活性剤、油性成分及びほかの助剤成分を合理的に選択し、溶出率が大きく安定性が良いイソチオシアネートの薬品、保健品組成物を調製した。in vivo薬効試験の結果からは、このような組成物が前立腺増殖、前立腺炎、皮膚癌に良好な抑制作用があることが示された。
【0145】
本発明の薬品、保健品組成物は、主に以下のものを含む:
(a) 有効成分としての天然または人工合成のイソチオシアネート系化合物;
(b) 界面活性剤または可溶化剤:界面活性剤は本実験で乳化、増溶などの効果があった。界面活性剤は親水基と親油基の両方を持つため、活性成分の分子の周囲を囲み、有効成分を乳化、増溶及び安定させる働きをした;
(c) 油性成分:希釈剤または助溶剤とする;
(d) 抗酸化剤:活性成分の酸化を防止する;
(e) その他の助剤成分:例えば、吸着剤と希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩解剤、被覆材料、溶剤、コーティング材料などの助剤添加剤を使い、本発明に記載された組成物を更に錠剤、顆粒剤、丸剤、凍結乾燥粉剤、溶液剤、エマルジョン、注射剤、軟膏剤、フィルム、坐剤、噴霧剤、インプラントなど適宜な剤型として製造することができる。
【0146】
本発明のフェネチルイソチオシアネート薬品、保健品組成物は前立腺増殖、前立腺炎及び皮膚癌を有効に抑制できる。
【0147】
実施例13-1:
4−スルホフェニルイソチオシアネート 100mg
微晶セルロース(PH102) 90mg
無水ラクトース 150mg
微粉シリカゲル 2mg
【0148】
技術:4−スルホフェニルイソチオシアネートを取り、等量増加の原則で処方比例の微晶セルロース(PH102)、無水ラクトースを入れてまんべんなく混合してから、微粉シリカゲルを入れて混ぜ合わせ、直接打錠する。
【0149】
4−スルホフェニルイソチオシアネートは粉末状固体であり、分散性が良い。本処方中の主薬の含有量が高くないので、微晶セルロースと無水ラクトースを希釈剤として採用し、直接打錠する。
【0150】
実施例13-2:
4−スルホフェニルイソチオシアネート 10mg
澱粉乳糖丸心(starlac) 288mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
【0151】
技術:澱粉乳糖丸心と4−スルホフェニルイソチオシアネートを5分間撹拌、混合した後、ステアリン酸マグネシウムを入れ、再び5分間撹拌、混合し、直接打錠する。
【0152】
澱粉が中側で乳糖が外側であるため、澱粉乳糖丸心は、良好な抗湿性を有する。この性質に基づいて、我々は、本処方における希釈剤として澱粉乳糖丸心を選択し、直接打錠する。
【0153】
実施例13-3:
フェネチルイソチオシアネート 2.5mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 350mg
【0154】
技術:フェネチルイソチオシアネートと中鎖脂肪酸トリグリセリドを取り、まんべんなく撹拌、混合した後、軟カプセルに調製するか、または硬カプセルに充填する。
【0155】
フェネチルイソチオシアネートは水難溶性液体であるため、処方の選択肢が制限される。本処方は、炭素鎖が比較的短い中鎖脂肪酸トリグリセリドを用い、分散性が良い。製剤の含有量均等度を確保するだけではなく、安定性が良い利点も持っている。
【0156】
実施例13-4:
ベンジルイソチオシアネート 2.5mg
大豆油 350mg
【0157】
技術:ベンジルイソチオシアネートと大豆油を取り、よく撹拌、混合し、軟カプセルに調製するか、または硬カプセルに充填する。
【0158】
13-3の処方に比べ、本処方では大豆油を採用した。価格が比較的安く、供給が十分である利点があるが、炭素鎖がやや長いため、薬物の体内吸収には比較的不利である。
【0159】
実施例13-5:
フェネチルイソチオシアネート 2.5mg
ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル 125mg
【0160】
技術:フェネチルイソチオシアネートとビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルを60℃で溶解させ、よく混ぜ合わせてから硬カプセルに充填する。
【0161】
ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルは優秀な界面活性剤であり、主薬の溶出率を上げるのに大変重要である。しかし、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルには生物活性物質α−トコフェロールが含まれている。高含有量のビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルが患者に有益または有害な副作用があるかどうかについては、更なる研究が必要である。
【0162】
実施例13-6:
フェネチルイソチオシアネート 2.5mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 25mg
【0163】
技術:フェネチルイソチオシアネートとポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを60℃で溶解させ、よく混ぜ合わせてから硬カプセルに充填する。
【0164】
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルが薬局方に許可された界面活性剤の一つであり、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルの生物活性副作用がない。本処方は安定性が良いだけではなく、溶出率も大きいことが実験で証明された。
【0165】
実施例13-7:
ベンジルイソチオシアネート 50mg
ポリエチレングリコール6000 300mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 1200mg
【0166】
技術:ポリエチレングリコール6000とポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを磁力加熱器で加熱溶解させ、ベンジルイソチオシアネートを入れてよく撹拌する。60℃水槽で気泡がなくなるまで保温させ、冷却剤のジメチルシリコンオイルに滴下し、ベンジルイソチオシアネートの滴丸(dropping pill)を得る。
【0167】
実施例13-8:
滴丸処方 フェネチルイソチオシアネート 50mg
ポリエチレングリコール6000 450mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 1050mg
被覆処方 Eudragit E100 100mg
アセトン 1420mg
タルク/ステアリン酸マグネシウム 50mg
ポリエチレングリコール6000(80メッシュ) 10mg
水 20mg
【0168】
技術:処方量のポリエチレングリコール6000、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを加熱溶解させ、フェネチルイソチオシアネートを入れてよく撹拌する。70℃水槽で気泡がなくなるまで保温させ、冷却剤のジメチルシリコンオイルに滴下し、ベンジルイソチオシアネートの滴丸を得る。
【0169】
これ以外に、処方量のアセトンを取り、ステアリン酸マグネシウム、タルクを入れ、よく撹拌してから待機させる。そして、処方量のポリエチレングリコール6000を水に溶かす。以上2種類の溶液をよく混ぜ合わせ、ボールミルで均等に分散させ、懸濁液にする。また、処方量のEudragit E100をアセトンで溶解させ、12.5%のEudragit E100アセトン溶液に調製し、配合しておいた懸濁液に入れる。アセトンで濃度を調整し、濃度が8〜10%のコーティング溶液を得る。
【0170】
できあがった滴丸をコーティング・パンに置き、回転状態でコーティング液を吹きつけてコーティングする。コーティング後の滴丸を硬カプセルに充填する。
【0171】
実施例13-9:
フェネチルイソチオシアネート 25mg
ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル 50mg
ポロクサマーF-127 50mg
ソルビトール 75mg
多孔性澱粉 193mg
微晶セルロース(PH101) 392mg
10% ポリビニルピロリドン K30 エタノール溶液 0.5ml
タルク 15mg
【0172】
技術:フェネチルイソチオシアネート、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル、ポロクサマーF-127を加熱溶解させた後、ソルビトール、多孔性澱粉、微晶セルロース(PH101)を入れ、均一に混合するまで撹拌する。撹拌しながらポリビニルピロリドン K30 エタノール溶液を入れて顆粒とし、篩い、60℃のオーブンで30分間に乾かし、乾燥した顆粒を得る。適量なタルクを入れ、よく撹拌後硬カプセルに充填する。
【0173】
実施例13-10:
ベンジルイソチオシアネート 2.5mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 2mg
トウイーン80 25mg
【0174】
技術:ベンジルイソチオシアネート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウイーン80をよく撹拌後、硬カプセルに充填する。
【0175】
ベンジルイソチオシアネートの溶出を改善するため、本処方は実施例13-3を参考に、界面活性剤トウイーン80を増加した。実験の結果、本処方の溶出率に明らかな改善があったことが証明された。
【0176】
実施例13-11:
フェネチルイソチオシアネート 2.5mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 2mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 25mg
【0177】
技術:フェネチルイソチオシアネート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを60℃で溶解させ、よく混合後、硬カプセルに充填する。
【0178】
本製品は、実施例5:フェネチルイソチオシアネート(PEITC)の良性前立腺増殖に対する作用の研究(一)、実施例6:フェネチルイソチオシアネート(PEITC)の良性前立腺増殖に対する作用の研究(二)と実施例7:フェネチルイソチオシアネートの非細菌性前立腺炎に対する作用の研究に用いられ、いずれも良い実験結果が得られた。
【0179】
フェネチルイソチオシアネートは水難溶性液体であるため、処方の選択肢が制限される。本処方は、実施例13-3と実施例13-6を参考し、同じ処方内に、中鎖脂肪酸トリグリセリドとポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを同時に使用した。近年、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルは、様々な難溶性薬物(例えば、パクリタキセル)調製剤によく選ばれている界面活性剤で、本実験でもポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルは水難溶性薬物に確かに良好な増溶効果があることが証明された。in vitro実験結果からは、本処方は安定性がよいだけではなく、溶出率も大きいことが明らかになった。in vivo実験の結果とin vitroでの溶出率の結果が一致した。in vivoおよびin vitroでの実験結果を合わせて見ると、本処方は臨床に将来的な実用価値がある処方であることが予想される。
【0180】
実施例13-12:
アリルイソチオシアネート 2.5mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 320mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 40mg
【0181】
技術:アリルイソチオシアネート、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを加熱溶解させ、よく撹拌した後、圧着法で軟カプセルに調製する。
【0182】
アリルイソチオシアネートも水難溶性液体であるため、実施例13-11に類似した処方を採用した。アリルイソチオシアネートの安定性を高めるため、本処方では中鎖脂肪酸トリグリセリドの割合を高める方法を採用した。
【0183】
実施例13-13:
フェネチルイソチオシアネート 50mg
ステアリン酸 150mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 1350mg
【0184】
技術:ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを磁力加熱器で加熱溶解させ、その後、フェネチルイソチオシアネートを入れてよく撹拌し、60℃水槽で気泡がなくなるまで保温させ、冷却剤のジメチルシリコンオイルに滴下し、フェネチルイソチオシアネートの滴丸を得る。
【0185】
本処方は実施例13-11の改良型で、実施例13-11で使用した中鎖脂肪酸トリグリセリドを、ステアリン酸に代えた。ステアリン酸がポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルの構成部分なので、両者を一緒に使うとよい相容性があると考えられる。
【0186】
実施例13-14:
ベンジルイソチオシアネート 50mg
ステアリン酸 300mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 1200mg
【0187】
技術:ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを磁力加熱器で加熱溶解させ、その後、ベンジルイソチオシアネートを入れてよく撹拌し、60℃水槽で気泡がなくなるまで保温させ、冷却剤のジメチルシリコンオイルに滴下し、ベンジルイソチオシアネートの滴丸を得る。
【0188】
実施例13-13に比べると、主薬がフェネチルイソチオシアネートからベンジルイソチオシアネートに代えられた。また、ステアリン酸の割合も高くした。それは処方製品の融点が上がり、滴丸の成型に有利にするためである。
【0189】
実施例13-15:
ベンジルイソチオシアネート 25mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 20mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 100mg
ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル 125mg
【0190】
技術:ベンジルイソチオシアネート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルを60℃で溶解させ、よく混ぜ合わせ、硬カプセルに充填する。
【0191】
実施例13-16:
フェネチルイソチオシアネート 25mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 20mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 75mg
ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油 50mg
【0192】
技術:フェネチルイソチオシアネート、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油を60℃で溶解させ、よく混合後、硬カプセルに充填する。
【0193】
本処方は実施例13-11の改良型で、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油を増やした。これによって水溶性が更に改善された。
【0194】
実施例13-17:
ベンジルイソチオシアネート 25mg
綿実油 20mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 250mg
ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油 50mg
【0195】
技術:ベンジルイソチオシアネート、綿実油、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油を60℃で溶解させ、よく混ぜ合わせ、硬カプセルに充填する。
【0196】
実施例13-18:
フェネチルイソチオシアネート 100mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 90mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 250mg
ポリエチレングリコール6000 2500mg
【0197】
技術:ポリエチレングリコール6000、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルを磁力加熱器で加熱溶解させてから、フェネチルイソチオシアネートと中鎖脂肪酸トリグリセリドを入れてよく撹拌し、70℃水浴で気泡がなくなるまで保温させ、冷却剤のジメチルシリコンオイルに滴下し、フェネチルイソチオシアネートの滴丸を得る。滴丸表面に残されたジメチルシリコンオイルを無水エーテルで洗浄し、エーテルを揮発させ、カプセルに充填する。
【0198】
本処方の実施例13-11との違いは、融点が高いポリエチレングリコール6000を増加した。これは、処方の融点を上げ、滴丸の成型を有利にするためである。
【0199】
実施例13-19:
フェネチルイソチオシアネート 25mg
トコフェロール 25mg
ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル 75mg
ポリエチレングリコール4000 25mg
【0200】
技術:まず、ポリエチレングリコール4000、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルを60℃水浴で融解させてから、フェネチルイソチオシアネートとトコフェロールを入れ、よく撹拌し、熱いうちに硬カプセルに充填する。
【0201】
本処方はビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルを界面活性剤として使った。ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルがα−トコフェロールとポリエチレングリコールを含んでいるため、相似相溶の原則に従って、この三者を一緒に使用するとよい親和性があると考えられる。しかし、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステルとα−トコフェロールは両方ともある程度の生物活性を持っているため、特定の臨床適応症に対しては、プラス効果またはマイナス効果が生じられるかどうかについて、検討する必要がある。
【0202】
実施例13-20:
フェネチルイソチオシアネート 2.5mg
中鎖脂肪酸トリグリセリド 2.0mg
ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル 25mg
カルボキシルメチル澱粉ナトリウム 300mg
ポリエチレングリコール6000(80メッシュ) 10mg
【0203】
技術:フェネチルイソチオシアネート、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリドを少々加熱融解させ、カルボキシルメチル澱粉ナトリウムを入れ、よく撹拌混合し、ポリエチレングリコール6000粉末を入れてよく混ぜ合わせた後、カプセルに充填する。
【0204】
カルボキシルメチル澱粉ナトリウムはとてもよい結合剤である。本処方では、実施例13-11の処方を粉末状固体調製剤に改造する可能性について検討した。
【0205】
実施例13-21:
錠剤処方 4−スルホフェニルイソチオシアネート 10mg
β−シクロデキストリン(Kleptose DC) 240mg
マンニトール (Pearlitol SD200) 240mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
被覆処方 ヒドロキシプロピルメチルセルロースE15 0.4mg
ヒドロキシプロピルセルロースEF 0.4mg
ポリエチレングリコール400 0.08mg
ソルビン酸カリウム 0.014mg
水 10mg
【0206】
技術:4−スルホフェニルイソチオシアネート、β−シクロデキストリン、マンニトールをタービンの撹拌器に入れ、10分間撹拌し、その後、ステアリン酸マグネシウムを入れ、5分間撹拌し、直接打錠する。
【0207】
また、処方量の水を取り、保温、撹拌状態でヒドロキシプロピルメチルセルロースE15、ヒドロキシプロピルセルロースEF、ポリエチレングリコール400とソルビン酸カリウムを入れ、コーティング液を得る。できあがった錠剤をコーティング・パンに入れ、回転状態でコーティング液を散布し、被覆錠剤を作る。
【0208】
実施例13-22:
フェネチルイソチオシアネート 25mg
ポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油 225mg
【0209】
技術:フェネチルイソチオシアネートとポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油をよく混合した後、40℃で硬カプセルに充填する。
【0210】
ポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油は難溶性薬物に近年よく使われる可溶化剤である。増溶効果がよいだけではなく、室温で半固体なので、半固体調製剤の調製に相応しい。
【0211】
実施例13-23:
フェネチルイソチオシアネート 25mg
ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油 200mg
トウイーン80 75mg
トコフェロール 5mg
【0212】
技術:フェネチルイソチオシアネートとポリオキシエチレン(35)ヒマシ油、トウイーン80、トコフェロールをよく混合した後、軟カプセルに充填する。
【0213】
実施例14:イソチオシアネート組成物の安定性の研究
実験機器: S.C.101型送風電熱恒温乾燥オーブン:浙江省嘉興町新勝電熱機器工場、METTLER AE100電子てんびん:スイスのRuishimeitele社、Agilent 1100 高速液体クロマトグラフィー:アメリカのAgilent社。
【0214】
実験方法:適量のイソチオシアネート(対照)と組成物を取り、清潔なバイアル(西林瓶)に入れ、ゴム栓をして、アルミニウム蓋をしっかり閉めた。60℃の条件を保ち、0日目、5日目、10日目にサンプルを取って、高速液体クロマトグラフィー法で含有量の変化を考察した。
【0215】
実験結果は表10のようになる。
【表10】

【0216】
実験討論:イソチオシアネート系化合物と油性成分から構成した組成物の安定性は、単独のイソチオシアネートに比べ改善された(実施例13-3、13-4)。また、本実験は、イソチオシアネート系化合物と油性成分(とうもろこし油、中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルなど異なる比例で混合した組成物が、単独のイソチオシアネートに比べ、安定性が優れていることを表明した。これにより、油性成分または油性成分及び界面活性剤ポリオキシエチレン(40)ステアリン酸エステルが、イソチオシアネートの安定性をある程度改善できることが証明された。このメカニズムについては更なる研究が必要である。
【0217】
実施例15:イソチオシアネート組成物のin vitroでの溶出率に関する考察
材料と方法:薬物:実施例13中の一部のイソチオシアネート系薬物組成物。
機器:溶出率測定装置:RCZ-5A知能薬物溶出率測定装置、天津大学精密機器工場;HPLC:アメリカのAgilent社のAgilent 1100。
溶出率測定方法:中国薬局法2005年版二部付録XC溶出率測定法第二法かい法に基づいて、200回/分間、37℃±0.5℃、脱気脱イオン水500ml、45分でサンプルを取り、すぐに0.8μmのフィルター膜を通し、サンプルを取り、高速液体クロマトグラフィー法で分析し、溶出率を計算した。
【0218】
実験結果は表11のようになる。
【表11】

【0219】
実験討論:上記表からみられるように、イソチオシアネート系化合物のみはほとんど溶出しなかった。イソチオシアネート系化合物と油性成分、界面活性剤から構成された薬物組成物はある程度の溶出率があった。実験のデータから、油性成分と溶出率が逆相関関係があることが証明された。
【0220】
実施例14の安定性実験と実施例15の溶出率実験結果をまとめると、イソチオシアネート系化合物と油性成分及びイソチオシアネート系化合物と油性成分、界面活性剤から構成された薬物組成物の安定性がよかった。その他、イソチオシアネート系化合物と油性成分、界面活性剤から構成された薬物組成物のin vitroでの溶出率も大きかった。また、本実験は、実施例5、6、7、10、12のin vivo薬効実験を通じて、このような薬物組成物の治療効果が適切で、前立腺増殖、前立腺炎、前立腺癌及び皮膚癌の治療・予防に使えることが証明された。
【0221】
前立腺疾病は男性、特に中高年男性の生活に影響を及ぼす主な疾病である。世界範囲での前立腺疾病の発病率が年々増加している傾向があり、現在の治療手段はまだ薬物治療が中心になっている。既存の前立腺疾病の治療薬はいくらか問題があり、例えば、ステロイドがある程度のステロイドホルモン様毒性副作用がある。ほかの前立腺疾病の治療または予防用薬物もいろいろな欠点があり、例えば、一部の有効成分が不明確、治療メカニズムがはっきりしない、治療効果が不適切などである。前立腺疾病の発症、悪化を予防及び/または治療するために、新しくてもっと有効な薬品または保健品、食品、化粧品の研究開発が必要である。
【0222】
皮膚癌の主な発病原因は紫外線である。紫外線の多くは太陽光線の照射により起すため、人種、皮膚類型、年齢、職業、住所にかかわらず、どんなヒトでも皮膚癌にかかる可能性がある。近年、生活レベルの上昇、アウトドア活動の普及とともに、皮膚癌の患者数が年々増加する傾向がみられる。現在、抗皮膚癌の薬物がまだ少ないため、皮膚癌の予防及び/または治療用の薬品、保健品を研究開発することは重要な医学的応用価値がある。
【0223】
本発明はさまざまなin vivoとin vitroでのモデルを用いて、大量な実験データを通じて、イソチオシアネート基を持つイソチオシアネート系化合物[フェネチルイソチオシアネート(PEITC)、ベンジルイソチオシアネート(BITC)、アリルイソチオシアネート(AITC)、4−スルホフェニルイソチオシアネート(SPITC)、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体(PEITC-NAC)を含むが、これらに限らない]は、前立腺疾病(前立腺増殖、前立腺炎、前立腺癌を含むが、これらに限らない)の治療及び/または予防に有効的であることを証明した。これに基づいて、本発明はまた上記の疾病を治療・予防する分子メカニズムを研究した。即ち、このような化合物は前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素GSTP1を誘導し、細胞の有害物質に対する清浄作用を強化し、これによって、前立腺増殖、前立腺炎、前立腺癌を治療・予防する。また、一部のイソチオシアネート、例えばフェネチルイソチオシアネートが、男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1、及び男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)の発現を有効に抑制することを通じて、前立腺細胞の増殖、前立腺癌細胞の成長を抑制できる。ここに特記したいことは、本発明に述べられた有効化合物が内服有効のため、臨床使用に便利で、長期的な薬物の治療が必要な前立腺疾病患者にとっては、不必要な苦痛と面倒を減らすことができる。また、本発明のデータによって、イソチオシアネート化合物が皮膚疾病(皮膚癌を含むがこれに限らない)を有効に治療・予防できることが証明された。また、フェネチルイソチオシアネートがin vitroおよびin vivoでマウスのメラノーマB16細胞の増殖を有効に抑制できることが今回の実験で明らかになった。これによって、フェネチルイソチオシアネートが抗腫瘍の範囲が広いなどの特徴を持っていることも明らかになった。以前、フェネチルイソチオシアネートが化学予防剤として、腫瘍の発生を予防できることを提起した学者がいたが、今回の実験では、前立腺疾病にも有効な抑制作用があることが証明され、医学的応用の可能領域を広げた。
【0224】
薬物活性を持つイソチオシアネート系化合物を価値ある製品に変えるため、我々は組成物及び生産技術についても大量の研究を行い、イソチオシアネート系化合物を有効成分とした薬品、保健品組成物を本特許に含めた。これらの組成物は優れた溶出率、安定した有効成分などの特徴により、有効成分使用用量が低いため、薬物の有害な副作用も比較的小さく、薬物生産のコストも削減され、患者の経済負担も減らすことができる。イソチオシアネート系有効成分の生産技術に関して、本特許は天然野菜からの抽出または人工合成の具体的な技術を提供する。このように、本特許は新規で、実用的、広大な臨床将来性を持つ製品を提案するものである。
【産業上の利用可能性】
【0225】
フェネチルイソチオシアネートを含む多数のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体は水難溶性化合物であることを考え、我々はこれと薬用担体を混合して分散剤を作成し、また異なる投与方法のニーズに答え、異なる剤型に調製した。生物学的利用能が改善され、極めて低い用量でも最良の治療効果が得られるため薬物の有害な副作用も下がる。また、動物実験中の治療効果がプロスカー、ゲヌリンに相当するか、またはそれより良い。これは前立腺増殖と前立腺炎のような慢性的、長期な投与治療が必要な疾病に対しては、重大な突破であることは間違いない。本発明で行った動物実験により、イソチオシアネート系化合物、特にフェネチルイソチオシアネートが極めて低い用量で良性前立腺増殖と非細菌性前立腺炎を有効に抑制できることが証明された。その他、in vitro細胞試験とin vivo薬効試験によって、イソチオシアネート系化合物、特にフェネチルイソチオシアネートが皮膚癌にも抑制効果があり、皮膚癌の治療・予防の薬物として使われる。また、本発明では、分子生物学方法を用い、ヒトの前立腺癌LNCaP細胞中で、さまざまなイソチオシアネート系化合物及び誘導体が第2相薬物代謝解毒酵素−グルタチオンS−トランスフェラーゼP(GSTP1)を誘導することができ、イソチオシアネート系化合物及び誘導体、代謝産物(4−スルホフェニルイソチオシアネート及び誘導体を除く本発明中の他のイソチオシアネート系化合物及び誘導体)が、男性ホルモンレセプターAR及び男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)の発現を有効に抑制できることを比較、証明した。なお、イソチオシアネート系化合物及びその誘導体、代謝産物が前立腺細胞増殖及び前立腺炎を抑制するための分子メカニズムを提供した。それにより、本発明のイソチオシアネート系化合物及びその誘導体、特にフェネチルイソチオシアネート系化合物は、薬品、食品、保健品、化粧品に広く使用され、前立腺疾病及び皮膚癌を治療及び/または予防に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】異なるイソチオシアネート系化合物がヒトの前立腺癌細胞株LNCaP中第2相薬物代謝解毒酵素GSTP1に対しての誘導作用。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート、PEITC-NAC:フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体。
【図2】フェネチルイソチオシアネートのSp1転写因子の活性に対する影響。
【図3】フェネチルイソチオシアネートがSp1転写因子と標的遺伝子ARのプロモーターDNAの結合を抑制する。
【図4】異なるイソチオシアネート系化合物のヒトの前立腺癌細胞株LNCaP中男性ホルモンレセプターAR、男性ホルモンレセプターの上流の遺伝子Sp1、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)に対しての抑制作用。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート、PEITC-NAC:フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体。
【図5】前立腺の正常組織切片(顕微鏡で20倍拡大)。
【図6.1】前立腺増殖モデルコントロール群の腺房密度の増加(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ腺房密度が明らかに増大している。
【図6.2】前立腺増殖モデルコントロール群の腺腔増大切片(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ、腺腔が明らかに増大し、腔内の分泌物が増加している。
【図6.3】プロスカー対照群の腺腔増大切片(顕微鏡で20倍拡大)。これはポジティブ・コントロール薬物で処置された動物の組織切片である。正常組織に比べ、腺腔が明らかに増大し、腔内の分泌物が増加しているが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、前立腺腔が縮小し、腔内の分泌物が減少している。
【図6.4】プロスカー対照群の腺房密度の増加切片(顕微鏡で20倍拡大)。これはポジティブ・コントロール薬物で処置された動物の組織切片である。正常組織に比べ、腺房密度が増加しているが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、腺房密度が減少している。
【図6.5】前立腺増殖モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (2mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。正常組織に比べ、腺腔が増大し、腔内の分泌物と腺房密度が増加したが、前立腺増殖モデルコントロール群に比べ、腺腔が縮小し、腔内の分泌物が減少し、腺房密度が減少している。
【図7.1】前立腺炎モデルコントロール群充血切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、好中球の浸潤、出血が見られる。
【図7.2】ゲヌリン対照群リンパ球浸潤の切片(顕微鏡で20倍拡大)。リンパ細胞浸潤、繊維化、充血が見られる。
【図7.3】前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (4mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺水腫、少量の充血、フィブリン滲出が見られ、前立腺炎モデルコントロール群に比べ、症状が軽い。
【図7.4】前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群(2mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、フィブリン滲出が見られる。
【図7.5】前立腺炎モデルフェネチルイソチオシアネート投与群 (1mg/kg) 切片(顕微鏡で20倍拡大)。前立腺充血、水腫、フィブリン滲出、好中球の浸潤が見られ、前立腺炎モデルコントロール群に比べ、症状が軽い。
【図8】異なるイソチオシアネート系化合物間のヒトの前立腺癌細胞株LNCaP成長の抑制作用の比較。PEITC:フェネチルイソチオシアネート、BITC:ベンジルイソチオシアネート、AITC:アリルイソチオシアネート、SPITC:4−スルホフェニルイソチオシアネート。
【図9】フェネチルイソチオシアネートの内因性男性ホルモンレセプター(AR)及び男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)発現に対する影響。
【図10】フェネチルイソチオシアネートのメラノーマB16細胞成長曲線に対する影響。
【図11】フェネチルイソチオシアネート胃管投与後の、マウスのメラノーマの体積の増加に対する効果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺疾病及び皮膚癌を治療・予防する組成物の調製のためのイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物の使用。
【請求項2】
前立腺細胞第2相薬物代謝解毒酵素(Phase II detoxification enzyme)、つまりグルタチオンS−トランスフェラーゼP(GSTP1)の遺伝子の発現の誘導に用いられることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
男性ホルモンレセプターの上流の転写因子である遺伝子Sp1、男性ホルモンレセプターの下流の遺伝子である前立腺特異抗原(PSA)の発現の抑制に用いられることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記のイソチオシアネート系化合物が、ベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、4−スルホフェニルイソチオシアネートを含み、その構造式が以下の式:
【化1】

で示されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記の誘導体と代謝産物が、ベンジルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、フェネチルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、アリルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体、4−スルホフェニルイソチオシアネート−N−アセチルシステイン共役体を含み、その構造式が以下の式:
【化2】

で示されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記の前立腺疾病が、前立腺増殖と前立腺炎を含むことを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記のイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物を、単独で使用、または助剤とともに製剤として使用することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項8】
製剤が、薬品、保健品、食品、あるいは化粧品であることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
(a)フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、4−スルホフェニルイソチオシアネート及びそのN−アセチルシステイン共役体から選択されるイソチオシアネート系化合物またはその誘導体、代謝産物である活性成分、及び
(b1)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレングリコール モノステアリン酸エステル、ポリオキシアルキレンステアリン酸エステル、ビタミンEポリエチレングリコールコハク酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポロクサマー、ポリソルベートあるいはその組合せから選択される界面活性剤、あるいは
ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000あるいはその組合せから選択される可溶化剤、
(b2)脂肪酸または脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸モノ又はジグリセリド、大豆油、とうもろこし油、落花生油、ステアリン酸、パルミチン酸、パーム油、ヒマワリ種油、オリーブ油、やし油、ごま油、綿実油、低エルカ酸菜種油、オレイン酸、リノール酸、中鎖脂肪酸トリグリセリド、モノオクタデカン酸グリセリル、グリセリン一酢酸エステル、グリセリン二酢酸エステル、グリセリン三酢酸エステルまたはその組合せから選択される油性成分。
(b3)ビタミンC、ビタミンCパルミチン酸エステル、没食子酸プロピルエステル、トコフェロール、t−ブチル−p−ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含む水溶性酸化防止剤と脂溶性酸化防止剤から選ばれる酸化防止剤、あるいは
(b4)前記の(b1)、(b2)、(b3)の組み合せを含む
(b)活性成分に対して薬用可能な担体を含有し、
もう一つの好ましい例において、前記の組成物が薬品または保健品であることを特徴とする組成物。
【請求項10】
組成物の剤型が、錠剤、カプセル剤、丸剤、注射用粉剤、注射剤、凍結乾燥粉剤、軟膏剤、坐剤、クリーム剤、フィルム、エマルジョン、噴霧剤またはインプラントから選択されることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
投薬方法が、経口投薬、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、腹腔内投薬、舌下投薬、直腸投薬、局所投薬から選択されることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前立腺疾病又は皮膚癌を治療・予防する薬物の調製のための請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項13】
前記前立腺疾病が前立腺増殖と前立腺炎を含むことを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
組成物を単独で使用または他の薬物と併用することを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記の併用が、外科手術との併用、一種または多種の西洋薬との併用、漢方薬との併用、放射線治療との併用、遺伝子治療との併用、生物製剤との併用を含むことを特徴とする請求項13に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6.1】
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【図6.2】
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【図6.3】
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【図6.4】
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【図6.5】
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【図7.1】
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【図7.2】
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【図7.3】
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【図7.4】
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【図7.5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−515910(P2009−515910A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540431(P2008−540431)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/CN2006/003062
【国際公開番号】WO2007/056941
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(508146374)
【Fターム(参考)】